(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】候補薬剤の治療特性を評価するための方法及びモデルシステム、並びに関連するコンピュータ可読媒体及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20240806BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20240806BHJP
C12N 5/09 20100101ALI20240806BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12N5/07
C12N5/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503912
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022038069
(87)【国際公開番号】W WO2023004149
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】グダルジ、 ハニ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 ジョニー
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QR77
4B063QS24
4B063QS34
4B063QS39
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AC14
4B065BC18
4B065BD21
4B065CA46
(57)【要約】
本明細書では、インビトロ、インビボ、及びエクスビボモデルシステム、そのようなモデルシステムを作製する方法、並びに候補薬剤の1つ以上の治療特性を評価するか、又は新しい治療標的を同定するためにそのようなモデルシステムを使用する方法が提供される。また、例えば、本開示の方法を実践する際の使用を見出すコンピュータ可読媒体及びシステムも提供される。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価するための方法であって、
三次元で異なる細胞型の細胞のプールを成長させることと、
前記小分子化合物を用いて前記三次元プールを処理することと、
前記処理された三次元プールの細胞を単一細胞に解離させることと、
前記解離された単一細胞及び前記小分子化合物で処理されていない対照三次元プールからの解離された単一細胞に対する単一細胞リボ核酸(RNA)配列決定を実施することと、
前記単一細胞RNA配列決定からのデータを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートすることと、
前記分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価することと、を含む、方法。
【請求項2】
細胞の前記プールは、細胞の成長平衡プールであり、
a)前記異なる細胞型の各々は、細胞の前記プール中の少なくとも1×10
3個の生存細胞で表されるか、
b)細胞の前記プール中で、前記異なる細胞型の細胞型が他の細胞型を2桁以上上回ることはないか、又は
c)前記異なる細胞型の各々の細胞の総数は、細胞の前記プール中で互いに2桁以内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異なる細胞型の細胞の前記プールは、2~100個の異なる細胞型を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
異なる細胞型の細胞の前記プールは、10~50個の異なる細胞型を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記異なる細胞型は、患者から得られた初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
三次元で前記プールを成長させることは、前記プールから異種移植片を産生することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
三次元で前記プールを成長させることは、前記プールからオルガノイドを産生することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の治療特性は、薬物との併用療法について前記小分子化合物が候補であることを含み、前記方法は、処理及び細胞型によって分類された前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、
各条件で残っている細胞の数を計数することによって、各細胞株の薬物感受性を決定することと、
各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を計算することと、
各細胞株の前記計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子についての重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
誤検出率を上回る重み付けスコアを有する前記遺伝子に基づいて、併用療法標的を予測することであって、薬物感受性と反相関する遺伝子は、薬物耐性を予測し、したがって、併用標的化のための候補標的を表す、予測することと、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の治療特性は、前記小分子化合物の作用機構を含み、前記方法は、処理及び細胞型によって分類された前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、
各条件で残っている細胞の数を計数することによって、各細胞株の薬物感受性を決定することと、
各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を決定することと、
薬物感受性細胞株にわたる前記決定された薬物誘導遺伝子発現変化を集約することと、
前記集約された計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子について重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
誤検出率を上回る重み付けスコアを有するものとして、集約された薬物感受性と相関する遺伝子を同定することと、
前記集約された薬物感受性と相関する前記遺伝子に基づいて、前記化合物の作用機構を予測することと、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の治療特性は、疾患サブタイプの治療について前記小分子化合物が候補であることを含み、前記方法は、処理及び細胞型によって分類された前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、
各条件で残っている細胞の数を計数することによって、各細胞株の薬物感受性を決定することであって、各細胞株は、その遺伝子変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャによって分類される、決定することと、
細胞株にわたって前記決定された薬物感受性を集約することと、
可変選択回帰アルゴリズムを使用して、集約された薬物感受性への関連性を予測する各変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャについてスコアを与えることと、
疾患サブタイプにおける前記化合物の有効性を、誤検出率を上回るスコアを有する前記疾患サブタイプに基づいて予測することと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記可変選択回帰アルゴリズムは、重み付けラッソ回帰アルゴリズムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
命令が記憶された1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
単一細胞RNA配列決定データを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートすることであって、前記単一細胞RNA配列決定データは、小分子化合物で処理された異なる細胞型の三次元プールからの解離された単一細胞、及び前記小分子化合物で処理されていない異なる細胞型の対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実施することによって生成される、デコンボリュートすることと、
前記分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価することと、を行わせる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記1つ以上の治療特性は、薬物との併用療法について前記小分子化合物が候補であることを含み、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記命令は、処理及び細胞型によって分類される前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記1つ以上のプロセッサに、
各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を計算することと、
各細胞株の前記計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子についての重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
誤検出率を上回る重み付けスコアを有する前記遺伝子に基づいて、併用療法標的を予測することであって、薬物感受性と反相関する遺伝子は、薬物耐性を予測し、したがって、併用標的化のための候補標的を表す、予測することと、を更に行わせる、請求項12に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記1つ以上の治療特性は、前記小分子化合物の作用機構を含み、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記命令は、処理及び細胞型によって分類される前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記1つ以上のプロセッサに、
各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を決定することと、
薬物感受性細胞株にわたる前記決定された薬物誘導遺伝子発現変化を集約することと、
前記集約された計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子について重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
誤検出率を上回る重み付けスコアを有するものとして、集約された薬物感受性と相関する遺伝子を同定することと、
前記集約された薬物感受性と相関する前記遺伝子に基づいて、前記化合物の作用機構を予測することと、を更に行わせる、請求項12又は13に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記1つ以上の治療特性は、疾患サブタイプの治療について前記小分子化合物が候補であることを含み、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記命令は、処理及び細胞型によって分類される前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記1つ以上のプロセッサに、
細胞株にわたって薬物感受性を集約することであって、各条件で残っている細胞の数を計数することによって、各細胞株について薬物感受性が決定され、各細胞株は、その遺伝子変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャによって分類される、集約することと、
可変選択回帰アルゴリズムを使用して、集約された薬物感受性への関連性を予測する各変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャについてスコアを与えることと、
疾患サブタイプにおける前記化合物の有効性を、誤検出率を上回るスコアを有する前記疾患サブタイプに基づいて予測することと、を更に行わせる、請求項12~14のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記可変選択回帰アルゴリズムは、重み付けラッソ回帰アルゴリズムである、請求項15に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価するためのシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
命令が記憶された1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
単一細胞RNA配列決定データを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートすることであって、前記単一細胞RNA配列決定データは、小分子化合物で処理された異なる細胞型の三次元プールからの解離された単一細胞、及び前記小分子化合物で処理されていない異なる細胞型の対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実施することによって生成される、デコンボリュートすることと、
前記分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価することと、を行わせる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える、システム。
【請求項18】
前記1つ以上の治療特性は、薬物との併用療法について前記小分子化合物が候補であることを含み、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記命令は、処理及び細胞型によって分類される前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記1つ以上のプロセッサに、
各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を計算することと、
各細胞株の前記計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子についての重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
誤検出率を上回る重み付けスコアを有する前記遺伝子に基づいて、併用療法標的を予測することであって、薬物感受性と反相関する遺伝子は、薬物耐性を予測し、したがって、併用標的化のための候補標的を表す、予測することと、を更に行わせる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上の治療特性は、前記小分子化合物の作用機構を含み、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記命令は、処理及び細胞型によって分類される前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記1つ以上のプロセッサに、
各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を決定することと、
薬物感受性細胞株にわたる前記決定された薬物誘導遺伝子発現変化を集約することと、
前記集約された計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子について重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
誤検出率を上回る重み付けスコアを有するものとして、集約された薬物感受性と相関する遺伝子を同定することと、
前記集約された薬物感受性と相関する前記遺伝子に基づいて、前記化合物の作用機構を予測することと、を更に行わせる、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の治療特性は、疾患サブタイプの治療について前記小分子化合物が候補であることを含み、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記命令は、処理及び細胞型によって分類される前記単一細胞トランスクリプトームに基づいて、前記1つ以上のプロセッサに、
細胞株にわたって薬物感受性を集約することであって、各条件で残っている細胞の数を計数することによって、各細胞株について薬物感受性が決定され、各細胞株は、その遺伝子変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャによって分類される、集約することと、
可変選択回帰アルゴリズムを使用して、集約された薬物感受性への関連性を予測する各変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャについてスコアを与えることと、
疾患サブタイプにおける前記化合物の有効性を、誤検出率を上回るスコアを有する前記疾患サブタイプに基づいて予測することと、を更に行わせる、請求項17~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記可変選択回帰アルゴリズムは重み付けラッソ回帰アルゴリズムである、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
ある期間の間培養された2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、前記2つ以上の異なる細胞型の各々は成長率を有し、前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型は、培養前に、前記2つ以上の異なる細胞型の前記細胞型の各々の前記成長率と逆比で組み合わされる、平衡細胞数培養物。
【請求項23】
前記期間は、6時間~45日間、12時間~30日間、24時間~20日間、又は72時間~14日間である、請求項22に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項24】
(i)前記2つの異なる細胞型の各々は、前記平衡細胞数培養物中の少なくとも1×10
3個の生存細胞で表され、
(ii)前記平衡細胞数培養物中の前記少なくとも2つの異なる細胞型の細胞型は、他の細胞型を2桁以上上回らないか、又は
(iii)前記平衡細胞数培養物中、前記少なくとも2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の総数は、互いに2桁以内である、請求項22又は23に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項25】
少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、前記平衡細胞数培養物の0.2体積%~10体積%の試料は、前記異なる細胞型の各々の少なくとも500個の細胞を含み、前記試料は、2つ以上の細胞型を組み合わせて細胞プールを作成し、培養培地に接種して、前記平衡細胞数培養物を得た後、72時間~45日間の期間の間、前記平衡細胞数培養物が培養された後、前記平衡細胞数培養物から採られる、平衡細胞数培養物。
【請求項26】
少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、前記細胞型の各々は、前記培養物中の少なくとも1×10
3個の細胞で表され、前記細胞型のうちの少なくとも2つは異なるがん組織に由来する、平衡細胞数培養物。
【請求項27】
少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、前記細胞型の各々は、前記培養物中の少なくとも1×10
3個の細胞で表され、前記細胞型のうちの少なくとも2つは互いに異なるがん変異を含む、平衡細胞数培養物。
【請求項28】
前記平衡細胞数培養物は、2~100個の異なる細胞型を含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項29】
前記平衡細胞数培養物は、10~50個の異なる細胞型を含む、請求項28に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項30】
前記異なる細胞型は、がん変異を有する細胞、1人以上の対象からのがん細胞、1人以上の対象からの初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、様々な細胞株からの細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項31】
前記平衡細胞数培養物は、モデルシステムに移植される、請求項22~30のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項32】
前記モデルシステムは、インビトロモデルシステム、インビボモデルシステム、又はエクスビボモデルシステムである、請求項31に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項33】
少なくとも2つ以上の異なる細胞型を有する平衡細胞数培養物を調製する方法であって、
(a)前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型についての成長率を決定することと、
(b)細胞プールを作成するために、前記2つ以上の異なる細胞型を組み合わせることであって、前記細胞プールに添加される前記2つ以上の異なる細胞型の前記細胞型の各々の初期細胞数が、ステップ(a)の前記成長率に基づいて決定される、組み合わせることと、
(c)前記平衡細胞数培養物を作成するために、ステップ(b)の前記細胞プールをある期間にわたって培養することであって、前記平衡細胞数培養物の0.2体積%~10体積%の試料は、前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の少なくとも500個の細胞を含む、培養することと、を含む、方法。
【請求項34】
ステップ(c)の前記試料は、5,000~200,000個の細胞を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の500個以上の生存細胞が、ステップ(c)の前記試料中に存在している、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(b)において前記細胞プールに添加した後の前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型からの表現は、ステップ(a)において決定される、その細胞型の前記細胞成長率に反比例する、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記平衡細胞数培養物は、2~100個の異なる細胞型を含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記平衡細胞数培養物は、2~50個の異なる細胞型を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(a)の前記成長率を前記決定することは、前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型についての前記成長率を測定することを含む、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記異なる細胞型は、がん変異を有する細胞、1人以上の対象からのがん細胞、1人以上の対象からの初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、様々な細胞株からの細胞、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記異なる細胞型は、1つ以上の異種移植片モデルから選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記異種移植片は、疾患を有する対象のうちの1人に由来する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記疾患は、腫瘍性疾患である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記腫瘍性疾患は、頭、首、肺、皮膚、乳房、血液、リンパ、骨、軟組織、脳、眼、生殖系、循環系、消化器系、内分泌系、神経系、及び泌尿器系のがんのうちの1つ以上から選択されるがんである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記方法は、ステップ(b)において、ある細胞型を、前記細胞型が1日当たり0.2倍の成長率を有するときに、除外することを更に含む、請求項33~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(c)の前記期間は、6時間~45日間である、請求項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(c)の前記期間は、12時間~20日間である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(c)の前記期間は、24時間~14日間である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(c)の前記期間は、72時間である、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(c)の前記期間は、7日間である、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(c)の前記試料は、前記期間の終了時に採られる、請求項33~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(c)の少なくとも2つ以上の試料は、前記期間中の異なる時点で採られる、請求項33~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(a)における各細胞型の前記成長率は、個別にカルセイン-AM成長アッセイ、又はCell Titer Glo成長アッセイによって決定される、請求項33~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型は、ステップ(b)で、前記カルセイン-AM成長アッセイによって決定される、前記細胞型の各々の前記成長率と逆の比率で組み合わされ、ii)成長のための総日数にスケーリングされる、請求項33~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
ステップ(c)の前記試料は、前記平衡細胞数培養物の0.5体積%~3体積%である、請求項33~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
請求項33~55のいずれか一項に記載のステップ(c)の前記試料からの細胞を、ステップ(c)の前記試料からのステップ(b)の前記細胞プールの前記2つ以上の細胞と相関させる方法であって、実施するステップは、
(i)前記試料からの1つ以上の細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実施して、前記試料からの前記1つ以上の細胞における単一ヌクレオチド多型を同定することと、
(ii)ステップ(i)の前記単一ヌクレオチド多型と、ステップ(b)の前記細胞プールの前記2つ以上の細胞の単一ヌクレオチド多型とを比較し、それにより、ステップ(c)の前記試料からの細胞を、ステップ(b)の前記細胞プールの前記2つ以上の細胞と相関させることと、を更に含む、方法。
【請求項57】
前記試料の1つ以上の細胞に対する単一細胞トランスクリプトーム分析を更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ステップ(c)の一部は、インビトロで実施される、請求項33~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
ステップ(c)の一部は、インビボで実施される、請求項33~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することを更に含む、請求項33~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記モデルシステムは、インビトロモデルシステム、エクスビボモデルシステム、又はインビボモデルシステムである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された、平衡細胞数培養物。
【請求項63】
前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の500個以上の生存細胞が、ステップ(c)の終了時に前記試料中に存在しており、ステップ(c)の前記期間は、24時間~45日間である、請求項62に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項64】
ステップ(c)の前記期間は、3日~20日間である、請求項62又は63に記載の培養物の平衡細胞数培養物。
【請求項65】
前記異なる細胞型は、がん変異を有する細胞、1人以上の対象からのがん細胞、1人以上の対象からの初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、様々な細胞株からの細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物。
【請求項66】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された平衡細胞数培養物であって、前記平衡細胞数培養物は、2つ以上の異なる細胞型を含み、前記2つ以上の異なる細胞型の各々は、前記培養物中の少なくとも1×10
3個の細胞で表され、前記細胞型のうちの少なくとも2つは、異なる対象から供給される、平衡細胞数培養物。
【請求項67】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された平衡細胞数培養物であって、前記平衡細胞数培養物は、2つ以上の異なる細胞型を含み、前記2つ以上の異なる細胞型の各々は、前記培養物中の少なくとも1×10
3個の細胞で表され、前記細胞型のうちの少なくとも3つは、異なるがん組織に由来する、平衡細胞数培養物。
【請求項68】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された平衡細胞数培養物であって、前記平衡細胞数培養物は、2つ以上の異なる細胞型を含み、前記2つ以上の異なる細胞型の各々は、前記培養物中の少なくとも1×10
3個の細胞で表され、前記細胞型のうちの少なくとも2つは、互いに異なるがん変異を含む、平衡細胞数培養物。
【請求項69】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された平衡細胞数培養物であって、前記平衡細胞数培養物は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボモデルシステムに移植される、平衡細胞数培養物。
【請求項70】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された平衡細胞数培養物であって、前記平衡細胞数培養物の細胞型が、他の細胞型を2桁以上上回ることはない、平衡細胞数培養物。
【請求項71】
請求項33~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された平衡細胞数培養物であって、前記2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の総数は、互いに2桁以内である、平衡細胞数培養物。
【請求項72】
2つ以上の細胞型に対する候補薬剤の影響を評価する方法であって、
i)請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することと、
ii)前記平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、
iii)前記モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
iv)前記持続時間の終了時に前記平衡細胞数培養物を評価して、前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、を含む、方法。
【請求項73】
前記モデルシステムは、インビトロモデルシステム、インビボモデルシステム、又はエクスビボモデルシステムである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
インビボモデルシステムにおいて、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含むモザイク腫瘍を作成する方法であって、
(i)請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することであって、前記細胞型のうちの少なくとも2つは、異なるがん組織に由来する、調製することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をインビボシステムに移植することであって、前記インビボシステムは、哺乳動物である、移植することと、を含む、方法。
【請求項75】
請求項74に記載の少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含むモザイク腫瘍の個々の細胞に対する候補薬剤の治療有効性を評価する方法であって、
(i)前記モザイク腫瘍を、ある持続時間にわたって前記候補薬剤で処理することと、
(ii)前記処理されたモザイク腫瘍の細胞を個々の細胞に解離させることと、
(iii)前記持続時間の終了時に前記個々の細胞を評価して、前記モザイク腫瘍の前記個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、
(iv)前記モザイク腫瘍の前記個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現と、前記候補薬剤で処理されていない同一のモザイク腫瘍の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現とを比較することによって、前記候補薬剤の前記治療有効性を決定することと、を含む、方法。
【請求項76】
インビボシステムにおいて、複数の細胞型に対する候補薬剤の影響を同時に評価する方法であって、
(i)請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することであって、前記細胞型のうちの少なくとも2つは、互いに異なる、調製することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をインビボシステムに移植することであって、前記インビボシステムは、哺乳動物である、移植することと、
(iii)前記インビボシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
(iv)前記個々の細胞を評価して、前記持続時間の終了時に、前記複数の細胞型の各々の前記個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、
(v)前記インビボシステムにおける前記複数の細胞型の各々の前記個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現と、前記候補薬剤で処理されていない同一のインビボシステムの複数の細胞型の各々の個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現とを比較することによって、前記候補薬剤の影響を決定することと、を含む、方法。
【請求項77】
エクスビボシステムにおいて、複数の細胞型に対する候補薬剤の影響を同時に評価する方法であって、
(i)請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することであって、前記細胞型のうちの少なくとも2つは、互いに異なる、調製することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をエクスビボシステムに移植することであって、前記エクスビボシステムは、オルガノイドである、移植することと、
(iii)前記エクスビボシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
(iv)前記個々の細胞を評価して、前記持続時間の終了時に、前記エクスビボシステムにおける前記複数の細胞型の各々の前記個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、
(v)前記エクスビボシステムにおける前記複数の細胞型の各々の前記個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現と、前記候補薬剤で処理されていない同一のエクスビボシステムの複数の細胞型の各々の個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現とを比較することによって、前記候補薬剤の影響を決定することと、を含む、方法。
【請求項78】
インビトロシステムにおいて、複数の細胞型に対する候補薬剤の影響を同時に評価する方法であって、
(i)請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することであって、前記細胞型のうちの少なくとも2つは、互いに異なる、調製することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をインビトロシステムに移植することであって、前記インビトロシステムは、2D又は3Dインビトロモデルシステムである、移植することと、
(iii)前記インビトロシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
(iv)前記個々の細胞を評価して、前記持続時間の終了時に、前記インビトロシステムにおける前記複数の細胞型の各々の前記個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、
(v)前記インビトロシステムにおける前記複数の細胞型の各々の前記個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現と、前記候補薬剤で処理されていない同一のインビトロシステムの複数の細胞型の各々の個々の細胞の前記表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現とを比較することによって、前記候補薬剤の影響を決定することと、を含む、方法。
【請求項79】
併用療法における2つ以上の候補薬剤の影響を評価することを含む、請求項72~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
第1の候補薬剤と第2の候補薬剤との組み合わせの影響を評価することを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記方法は、前記第1の候補薬剤と前記第2の候補薬剤との薬物相乗効果を評価する、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
前記方法は、腫瘍成長を抑制する際の前記第1の候補薬剤と前記第2の候補薬剤との前記組み合わせの有効性を評価する、請求項80又は81に記載の方法。
【請求項83】
候補薬剤に感受性のある対象亜集団を同定する方法であって、
(i)複数の細胞型を含む、請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を作成することであって、前記複数の細胞型は、少なくとも2つの異なる対象からの細胞を含む、作成することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、
(iii)前記モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
(iv)前記持続時間の終了時に前記平衡細胞数培養物を評価して、前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、
(v)ステップiv)の前記評価に基づいて、前記候補薬剤に感受性のある前記対象亜集団を同定することと、を含む、方法。
【請求項84】
生物学的経路における候補薬剤標的を同定する方法であって、
(i)請求項22~32又は62~71のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、
(iii)前記モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
(iv)前記持続時間の終了時に前記平衡細胞数培養物を評価して、前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、
(v)ステップiv)の前記評価に基づいて、前記生物学的経路における前記候補薬剤標的を同定することと、を含む、方法。
【請求項85】
疾患を処置するための候補薬剤の治療有効性を同定する方法であって、
(i)請求項32~56のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物を調製することであって、前記異なる細胞型は、疾患を有する2人以上の対象からの細胞を含む、調製することと、
(ii)前記平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、
(iii)前記モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、
(iv)前記持続時間の終了時に前記平衡細胞数培養物を評価して、前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、
(v)ステップiv)の前記評価に基づいて、前記疾患を処置するための前記候補薬剤の前記治療有効性を決定することと、を含む、方法。
【請求項86】
前記得られた平衡細胞数培養物を評価して、前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の遺伝的及びトランスクリプトーム的影響を決定することは、
(i)前記得られた平衡細胞数培養物の細胞を単一細胞に解離させることと、
(ii)前記得られた平衡細胞数培養物を残す2つ以上の異なる細胞型の各々の細胞の数を計数することと、
(iii)各細胞型の候補薬剤が誘導した1つ以上の遺伝子発現変化を決定することと、
(iv)各個々の細胞の前記計算された候補薬剤が誘導した遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子についての重み付けスコアを、候補薬剤感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、
(v)ステップiv)の前記重み付けスコアに基づいて、前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、を含む、請求項72、73、又は75~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記候補薬剤は、治療的摂動を引き起こす薬剤である、請求項72、73、又は75~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記候補薬剤は、小分子、抗体、ペプチド、遺伝子エディタ、又は核酸アプタマーから選択される薬剤である、請求項72、73、又は75~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することは、請求項22~31又は61~69のいずれか一項に記載の平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する、又は請求項32~60のいずれか一項に記載の方法によって調製される平衡細胞数培養物に対する前記候補薬剤の効果を評価することを含む、請求項72、73、又は79~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の前記効果は、前記候補薬剤によって処理された前記平衡細胞数培養物の個々の細胞の遺伝子発現を計算することによって評価され、前記遺伝子発現を、前記候補薬剤によって処理されていない同一の平衡細胞数培養物の個々の細胞の前記遺伝子発現と比較する、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の前記効果は、前記候補薬剤によって処理された前記平衡細胞数培養物の個々の細胞のトランスクリプトーム的発現を決定することによって評価され、前記トランスクリプトーム的発現を、前記候補薬剤によって処理されていない同一の平衡細胞数培養物の個々の細胞の前記遺伝子発現と比較する、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
前記平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する前記候補薬剤の前記効果は、前記候補薬剤によって処理された前記平衡細胞数培養物中の前記2つ以上の異なる細胞型の前記細胞型の各々の生存可能な個々の細胞の数を計数し、前記候補薬剤によって処理されていない同一の平衡細胞数培養物中の前記2つ以上の異なる細胞型の前記細胞型の各々の生存可能な個々の細胞の数を比較することによって評価される、請求項89~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
遺伝的影響を評価することは、前記持続時間の終了時に、前記平衡細胞数培養物中の細胞の単一細胞RNA配列決定を含む、請求項72、73、又は79~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
表現型の変化を評価することは、前記持続時間の終了時に、前記2つ以上の異なる細胞型の前記細胞型の各々の生存可能な個々の細胞の数を計数することを含む、請求項72、73、又は79~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
トランスクリプトーム的影響を評価することは、前記持続時間の終了時に、前記平衡細胞数培養物中の細胞の単一細胞トランスクリプトームプロファイルを決定することを含む、請求項72、73、又は79~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記持続時間は、6時間~45日間、12時間~30日間、24時間~20日間、又は72時間~14日間である、請求項72、73、又は74~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記持続時間が、少なくとも24時間である、請求項72、73、又は74~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記持続時間は、14日間である、請求項72、73、又は74~97のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月23日に出願された米国仮特許出願第63/225,209号の利益を主張し、この出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援の言明
本発明は、米国国立衛生研究所によって付与された助成金番号R00 CA194077の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
創薬コストの上昇及び治療分子の発見におけるリターンの減少の最近の現象は、創薬科学の基礎に起因する可能性がある。具体的には、ハイスループットスクリーニング(HTS)は、新しい分子発見のためのゴールドスタンダードであり続けている。しかしながら、HTSの主要な制限は、その人工的な性質であり、インビトロ生化学的又は細胞ベースのアッセイでのみ可能である。インビトロ生化学的又は細胞ベースのアッセイは、前臨床インビボ研究が後に続き、インビボでの治療薬候補パフォーマンスを予測するための十分な薬理学的及び毒性データ又は信頼性の高い予測能力を提供することができず、薬物開発プロセスを高価かつ非効率的にする。本開示は、インビボ及びエクスビボモデルシステム、並びにスケーラブルなHTSスクリーニングを実施するためのそのようなシステムを作成する方法を提供する。
【発明の概要】
【0004】
平衡細胞数培養物、及びそれを作成する方法、候補薬剤の1つ以上の治療特性を評価するための方法が提供される。方法は、三次元で異なる細胞型の細胞の不均一プールを成長させることと、小分子化合物で三次元プールを処理することと、処理された三次元プールの細胞を、単一細胞RNA配列決定に好適な細胞型の等しい表現を有する単一細胞懸濁液に解離させることと、を含む。方法は、解離された単一細胞及び小分子化合物で処理されていない対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して単一細胞リボ核酸(RNA)配列決定を実施することと、単一細胞RNA配列決定からのデータを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートすることと、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価することと、を更に含む。また、例えば、本開示の方法を実践する際の使用を見出すコンピュータ可読媒体及びシステムも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1A~1Gは、非GENEVA細胞プールとGENEVA細胞プールとの細胞組成の比較を実証する。
図1Aは、単一細胞RNA配列決定採取に基づく、非GENEVA細胞プール(プール1)からの細胞表現の分布を実証する。棒は、各細胞型についてのscRNAseqデータセット内の細胞の数を示す。
図1Bは、UMAPクラスタリング視覚化アルゴリズムを使用して二次元トランスクリプトーム空間にプロットされた
図1Aからのデータセットを示す。
図1Cは、データセット内の各細胞株の正確な捕捉を可能にする、GENEVA細胞プール(プール2)からの単一細胞RNA配列決定採取時の細胞表現の分布を示す。
図1Dは、GENEVAプール2のUMAPプロットとしてプロットされた単一細胞RNA配列決定データを示す。
図1Eは、データセット内の各細胞株の正確な捕捉を可能にする、GENEVA細胞プール(プール3)からの単一細胞RNA配列決定採取時の細胞表現の分布を示す。
図1Fは、GENEVAプール3のUMAPプロットとしてプロットされた単一細胞RNA配列決定データを示す。
図1Gは、プール1~3の外挿を示す。単一細胞RNA配列決定に必要とされる細胞の総数は、プール2及びプール3と比較して、プール1において有意に高い。
【
図2】
図2A~Fは、複数のインビボ及びエクスビボモデルシステムにおけるGENEVAの利用を実証する。
図2Aは、数回の用量のARS1620(0.4uM、1.6uM、25.0uM)又はDMSO(ビヒクル)で処理した4つの異なるヒトPDX腫瘍をインプットとして用いて、エクスビボのオルガノイドとして成長したGENEVAプールを実証する。
図2Aは、UMAPクラスタリング視覚化アルゴリズムを使用して、二次元トランスクリプトーム空間にプロットされる。
図2Bは、薬物処理条件及び起源の遺伝子型(PDX)によって分類された表として、
図2Aからのデータセットを示す。表内の細胞は、各カテゴリーについて単一細胞RNA配列決定によって得られた細胞数である。
図2Cは、ARS1620(100mg/kg)又はDMSO(ビヒクル)のいずれかで処理した4つの異なるヒトPDX腫瘍をインプットとして用いて、インビボで脇腹異種移植片として成長したGENEVAプールを実証する。
図2Cは、UMAPクラスタリング視覚化アルゴリズムを使用して、二次元トランスクリプトーム空間にプロットされる。
図2Dは、薬物処理条件及び起源の遺伝子型(PDX)によって分類された表として、
図2Cからのデータセットを示す。表内の細胞は、各カテゴリーについて単一細胞RNA配列決定によって得られた細胞数である。
図2Eは、ARS1620(100mg/kg)又はDMSO(ビヒクル)のいずれかで処理した8つのサブの異なるヒトがん細胞株をインプットとして用いて、インビボで脇腹異種移植片として成長したGENEVAプールを実証する。
図2Eは、UMAPクラスタリング視覚化アルゴリズムを使用して、二次元トランスクリプトーム空間にプロットされる。
図2Fは、薬物処理条件及び起源の遺伝子型(PDX)によって分類された表として、
図2Eからのデータセットを示す。表内の細胞は、各カテゴリーについて単一細胞RNA配列決定によって得られた細胞数である。
【
図3】
図3A~Eは、薬物化合物、遺伝的ドライバー、及びIC50曲線再構築に対する相対的な表現型の発見のためのGENEVAの利用を実証する。
図3Aは、ベムラフィニブ又はARS1620で処理したGENEVAプールから細胞数に対する薬物処理前/後から計算された個々の細胞型の相対感受性を実証する。ベムラフィニブ処理プールにおける最も感受性の高い細胞株は、BRAF.V600E変異体保有である。最も感受性の高い細胞株ARS1620処理プールは、KRAS.G12C変異体保有である。
図3Bは、ラッソ回帰モデルを使用して、GENEVAプールにおける相対薬物感受性の変化に関与する原因となるドライバー変異の発見を実証する。BRAF.V600Eは、ラッソアルゴリズムによって、ベムラフィ二ブに対する薬物感受性を引き起こす原因となる変異として予測される。KRAS.G12Cは、ラッソアルゴリズムによって、ARS1620に対する薬物感受性を引き起こす原因となる変異として予測される。
図3Cは、ARS1620の有無にかかわらず処理後のGENEVA細胞プールデータからのIC50曲線の再構築を、相対生存率のスケーリングされた尺度に適合させた細胞数及び補間されたIC50ロジスティック回帰曲線で実証する。IC50曲線は、個々の細胞株から構築され、非KRAS.G12C細胞株は、KRAS.G12C細胞株よりもARS1620に対する有意に高い生存率を示す。
図3Dは、GENEVAプール内の異なる細胞株からの相対的な薬物感受性測定値を実証し、それによって、ARS1620の感作変異標的としてのKRAS.G12Cの発見を再現する。
図3Eは、プールされたオルガノイドとして成長したPDXで実施されたGENEVAからの細胞周期阻害率の計算を実証する。この再構築方法は、表現型の測定値として周期状態推論を使用した細胞計数の代替方法によって、ARS-1620処理に対するKRAS.G12C特異的薬物感受性を再現する。
【
図4】
図4A~Dは、併用療法及び薬物耐性機構の予測のためのGENEVAの利用を実証する。
図4Aは、KRAS.G12C特異的に、ARS1620で処理したGENEVAプールにおける細胞生存機構を示すいくつかの薬物耐性標的の上方制御をGENEVAが発見することを実証する。
図4Bは、i)3つのARS1620阻害剤、及びii)特定の薬物耐性経路を標的とする化合物と組み合わせて薬物標的を投与することによる、予測される薬物標的の検証を実証する。ブリス薬物相乗効果がプロットされ、いくつかの化合物は、複数のKRAS.G12C阻害剤との有意な薬物相乗効果を示す。
図4Cは、H1373 KRAS.G12C変異株(条件ごとにn=4~5匹のマウス)を使用したマルチアーム併用療法におけるARS1620及びINK128のインビボマウス研究からの相対腫瘍体積を実証する。
図4Dは、INK128及びARS1620の非依存性又は薬物相乗効果なしのヌルモデルと比較して、INK128及びARS1620がインビボで相乗的に腫瘍成長を低下させることを実証する。
【
図5】
図5A~Cは、内皮-間葉系遷移(EMT)経路を介した薬物耐性のインビボ特異的機構の予測のためのGENEVAの利用を実証する。
図5Aは、細胞プール内のKRAS.G12C細胞株のARS1620処理の対のインビボ及びインビトロGENEVA実験において、EMT遺伝子セットがインビトロではなくインビボで薬物処理後に上方制御されたことを実証する。
図5Bは、H1373 KRAS.G12C変異株(条件ごとにn=4~5匹のマウス)を使用したマルチアーム併用療法における、ARS1620及びEMT阻害剤であるガルニセルチブのインビボマウス研究からの相対腫瘍体積を実証する。
図5Cは、ガルニセルチブ及びARS1620の非依存性又は薬物相乗効果なしのヌルモデルと比較して、ガルニセルチブ及びARS1620がインビボで相乗的に腫瘍成長を低下させることを実証する。
【
図6】
図6A~Eは、ミトコンドリア遺伝子に対する化合物の作用の分子機構の発見のためのGENEVAの利用を実証する。
図6Aは、ARS1620処理後の非ミトコンドリア遺伝子転写物の遺伝子発現と比較して、ミトコンドリア的にコードされ、ゲノム的にコードされたミトコンドリア標的化転写物のGENEVAプールにおけるKRAS.G12C株にわたる集約された遺伝子発現をプロットする。ミトコンドリア的にコードされた遺伝子及びゲノム的にコードされたミトコンドリア常駐遺伝子は、ARS1620処理後に生存する細胞において有意に下方制御される。
図6Bは、GENEVA細胞プール内の各個々のKRAS.G12C細胞株についてのARS1620処理後のmitoコードされた転写産物の遺伝子発現をプロットする。
図6Cは、H2030(KRAS.G12C)からの長期ARS1620寛容細胞株(30日処理、10uM)の生成及びプロファイリングを実証する。H2030薬物持続性細胞株と元の親細胞株との間の蛍光ミトコンドリア染色(Mitotracker Deep Red FM)を用いたミトコンドリア含有量のアッセイは、ARS1620による長期薬物処理後のミトコンドリア含有量の減少を示す。
図6Dは、KRAS.G12C阻害剤AMG510が、AMG510処理後(2時間)のH2030(KRAS.G12c)細胞の酸素消費量を測定するシーホースアッセイを使用して、KRAS.G12C阻害の新規の致死性機構として、ミトコンドリア呼吸及び電子伝達鎖活性を増加させることを実証する。
図6Eは、KRAS.G12C細胞株の亜集団構造が、ARS1620による後処理後のミトコンドリアリードの数が少ない細胞型の選択を示すことを実証する。
【
図7】
図7A~Gは、フェロトーシス遺伝子に対する化合物の作用の分子機構の発見のためのGENEVAの利用を実証する。
図7Aは、ARS1620を薬物投与されたGENEVAプールからの複数のG12C株にわたって集約されたZスコア差を示す火山プロットをプロットし、抗フェロトーシス遺伝子の共有上方制御を実証する。
図7Bは、ARS1620投与量の増加に応答して、各細胞株の抗フェロトーシス遺伝子の遺伝子発現をプロットする。
図7Cは、蛍光脂質過酸化センサを使用したフェロトーシスの実験的調査を利用して、ARS1620投与量(48時間)に対する脂質過酸化細胞の用量応答を実証する。
図7D、E、Fは、
図7FのARS1620と比較して、
図7Dの既知の強誘導体剤アルトレタミン、
図7Eのエラスチンにわたる生存及び脂質過酸化動態を実証する。脂質過酸化及び生存動態は、ARS1620がフェロトーシス誘導剤として実施することを示す全ての化合物において、IC50付近で交差する。
図7Gは、複数のKRAS阻害剤が、KRAS.G12C細胞株H2030において脂質過酸化を特異的に誘導するが、KRAS.G12V細胞株H441においてそれほど多くは誘導しないことを実証する。
【
図8】
図8A~Dは、インビボでの細胞プールに複数の共投与化合物を組み込んだ併用療法のGENEVA試験を実証する。
図8Aは、UMAPクラスタリング視覚化アルゴリズムを使用して二次元トランスクリプトーム空間にプロットされた、起源細胞株及び薬物処理条件によって分類されたKRAS.G12変異株におけるCLXプールを使用したGENEVA併用療法研究を実証する。処理条件としては、アンチマイシン、ARS1620、ガルニセルチブ、INK128、DMSO、ARS1620+アンチマイシン、ARS1620+ガルニセルチブ、ARS1620+INK128が挙げられる。
図8Bは、各薬物条件における細胞周期状態について単独で、及び薬物条件にわたるG12C株について推定された組み合わせで実施された相乗効果計算のために、
図8AからのGENEVAデータを利用する。
図8C~Dは、遺伝子レベルの相乗効果を推定する多因子線形モデルを使用して、ARS1620と組み合わせたガルニセルチブ(
図8C)及びINK128(
図8D)の相乗薬物効果を駆動する遺伝子の同定を実証し、相乗薬物効果を駆動するミトコンドリア転写物を明らかにする。
【
図9】
図9A~Bは、遺伝子逆多重化改善アルゴリズム及びGENEVA法によるARS1620に応答する患者の新規遺伝子型の同定を実証する。
図9Aは、Totalseq標識された単一細胞RNA配列決定データセットからのパーセント表現の標準方法に対する、遺伝子逆多重化脱ノイズアルゴリズム比較による細胞付与信頼性の改善を実証する。信頼度の高いメトリックは、点線、又はノイズ補正アルゴリズムの結果に記載されている。
図9Bは、ARS1620の有無にかかわらず薬剤化されたGENEVAプールが、最も薬物感受性の高い腫瘍型としてEML4-ALKの感受性を実証したことをプロットしており、各棒は、ARS1620の処理又はビヒクル下でのその遺伝子型の相対生存率である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムがより詳細に記載される前に、方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムは、記載された特定の実施形態に限定されず、したがって、当然のことながら変え得ることを理解されたい。また、方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムの範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0007】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値、及びこの記載の範囲内の任意の他の記載される値又は中間値が、方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムに包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、個別により小さい範囲に含まれてもよく、記載の範囲において任意の具体的に除外された限界に従って、同様に方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムに包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムに含まれる。
【0008】
本明細書では、数値の前に「約」という用語が付けられて、特定の範囲が提示される。本明細書では、「約」という用語は、それが先行する正確な数、及びその用語が先行する数に近い、又は近似する数について文字どおりの支持を提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近いか、又は近似するかどうかを決定するとき、その近い又は近似する列挙されない数は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙されている数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
【0009】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムが属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムも、方法、コンピュータ可読媒体、及びシステム、代表的な例示的な方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムの実施又は試験に使用され得る。
【0010】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、あたかも各個々の刊行物又は特許が参照によって組み込まれるように具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれ、参照によって本明細書に組み込まれることによって、それらの刊行物が引用される関連した材料及び/又は方法を開示及び記載する。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示についてのものであり、提示された刊行物の日付が、別個に確認される必要があり得る実際の刊行日と異なる場合があるため、本方法、コンピュータ可読媒体及びシステムがそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単独で」、「のみ」などのそのような排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0012】
別個の実施形態の文脈で記載されるものである方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムの特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されるものである方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムの様々な特徴はまた、別々に又は任意の好適な下位組み合わせで提供され得る。実施形態の全ての組み合わせが本開示によって具体的に包含され、そのような組み合わせが操作可能なプロセス及び/又は組成物を包含する限り、各々及び全ての組み合わせが個別に明示的に開示されたかのように本明細書に開示される。加えて、そのような変数を記載する実施形態に列挙された全ての下位組み合わせはまた、本方法、コンピュータ可読媒体、及びシステムによって具体的に包含され、各々及び全てのそのような下位組み合わせが個別に及び明示的に開示されたかのように本明細書に開示される。
【0013】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される別個の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0014】
方法
一態様において、本開示は、平衡細胞数培養物及び平衡細胞数培養物を作成する方法を提供する。一態様では、本開示は、候補薬剤、例えば、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価するための方法を提供する。方法は、三次元で異なる細胞型の細胞の不均一なプールを成長させることと、小分子化合物で三次元プールを処理することと、異なる細胞型からの細胞の等しい表現を可能にする方法で、処理された三次元プールの細胞を単一細胞に解離させることと、を含む。方法は、解離された単一細胞及び小分子化合物で処理されていない対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して単一細胞リボ核酸(RNA)配列決定を実施することと、単一細胞RNA配列決定からのデータを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートすることと、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価することと、を更に含む。
【0015】
本方法は、細胞を一緒に混合し、それらを一緒に薬剤化し、次いで、単一細胞RNA配列決定を使用して薬物処理後細胞株を読み出すことによって、これに対処する。このようにして、観察単位を単一細胞に減らし、細胞株を一緒に混合/多重化することによって、本方法は、多数の小分子に対する多数の表現型/遺伝子型の異なる細胞株のアッセイを可能にする。得られた単一細胞RNA配列決定データを、異なるモデルを使用して分析して、生物学的標的、有効な相乗的併用療法標的、疾患サブタイプの層別化などを発見する。
【0016】
本開示の方法の実施形態は、単一細胞RNA配列決定結果として
図2に提供される。この例では、異なる患者、臓器系、及び/又は疾患モデル/サブタイプからの細胞型の大きなパネルを一緒に混合して、プールを作成する。次いで、プールを、インビボ(例えば、動物モデル、例えば、マウスで異種移植片を産生する)又はエクスビボ(例えば、オルガノイドを産生する)で三次元で成長させる。次いで、三次元プールを、化合物が三次元プールのメンバー(細胞)に作用するのに好適な条件下で、目的の研究用小分子化合物で処理する。薬物送達方法は、三次元プールのタイプ、例えば、三次元プールがインビボ異種移植片である場合の全身注射などに応じて変化する。次に、処理された三次元プールを採取し、単一細胞に解離させ、次いで単一細胞RNA配列決定に供する。表現型の変化は、各細胞型についての個々の生存細胞の数を計数し、それを、目的の研究用小分子化合物で処理されていない同一の三次元プールからの各細胞型についての生存細胞の数と比較することによって留意される。次いで、単一細胞配列決定データをモデリング及び/又はトランスクリプトーム分析に供して、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価し、その非限定的な例としては、作用機構(MOA)、併用療法(臨床併用療法として有効であろう薬物)、及びサブタイプ層別化(異なる患者群又はサブタイプにおける有効性)が挙げられる。
【0017】
上記に要約されるように、本開示の方法は、三次元で異なる細胞型の細胞のプールを成長させることを含む。ある特定の実施形態では、異なる細胞型の細胞のプールは、1000個以下、500個以下、250個以下、又は100個以下であるが、2つ以上、5つ以上、10個以上(例えば、10~50個)、20個以上、30個以上、40個以上、又は50個以上の異なる細胞型を含む。
【0018】
異なる細胞型の細胞は、目的の任意の細胞型から選択され得、どの細胞型であるかは、目的の特定の小分子化合物、評価される小分子の1つ以上の治療特性などに応じて異なり得る。いくつかの実施形態によれば、異なる細胞型の細胞のプールは、患者から得られた初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0019】
患者から得られた細胞には、患者から得られた生検組織からの細胞が含まれるが、これらに限定されない。生検組織は、健康な組織、又は、例えばがん組織を含む病変組織から得られ得る。がんの種類及び/又は実施される生検の種類に応じて、細胞は、固形組織生検又は液体生検からであり得る。いくつかの例では、細胞は、外科生検から調製され得る。例えば、切除生検、切開生検、ワイヤ局在化生検などを含むが、これらに限定されない、本明細書に記載の方法で使用される細胞の収集のために、外科的生検のための任意の便利で適切な技術を利用してもよい。いくつかの例では、外科的生検は、例えば、腫瘍切除、乳房切除、リンパ節手術、腋窩リンパ節解離、センチネルリンパ節手術などを含むが、これらに限定されない、試料を得ること以外の主要な目的を有する外科的処理の一部として得ることができる。
【0020】
様々な他の生検技術を用いて、生検組織を得ることができ、次に、本開示の方法で用いられる細胞を得ることができる。非限定的な例として、試料は、針生検によって得ることができる。例えば、細針吸引(FNA)、コア針生検、定位コア生検、真空支援生検などを含むが、これらに限定されない、針生検のための任意の便利で適切な技術を、試料の収集に利用することができる。
【0021】
臓器系からの細胞としては、皮膚、脳、心臓、腎臓、肝臓、胃、大腸、肺などから選択される臓器系からの細胞が含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、臓器系からの細胞には、副腎、肛門、虫垂、膀胱(泌尿器)、骨、骨髄、脳、気管支、横隔膜、耳、食道、目、卵管、胆嚢、生殖器、心臓、視床下部、関節、腎臓、大腸、喉頭、肝臓、肺、リンパ節、乳腺、腸間膜、口、鼻腔、鼻、卵巣、膵臓、松果体、副甲状腺、咽頭、下垂体、前立腺、直腸、唾液腺、骨格筋、平滑筋、皮膚、小腸、脊髄、脾臓、胃、歯、胸腺、甲状腺、気管、舌、尿管、尿道、靭帯、腱、髪の毛、前庭系、胎盤、精巣、精管、精嚢、尿道球腺、副甲状腺、胸管、動脈、静脈、毛細血管、リンパ管、扁桃腺、ニューロン、皮下組織、嗅上皮(鼻)、小脳、及びそれらの任意の組み合わせから選択される臓器系からの細胞が含まれ得る。
【0022】
疾患モデルからの細胞としては、がん(例えば、1つ以上の異なるがん細胞株からの細胞)、心血管疾患、脳血管疾患(例えば、脳卒中、一過性虚血発作、くも膜下出血、血管性認知症など)、呼吸器疾患、感染症、神経変性疾患、認知症、アルツハイマー病、糖尿病、腎臓病、肝臓病(例えば、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎など)、及びそれらの任意の組み合わせから選択される疾患をモデル化する細胞が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、異なる細胞型の細胞は、1つ以上のがん細胞株からの細胞を含む。「がん細胞」とは、腫瘍性細胞表現型を示す細胞を意味し、これは、例えば、異常な細胞成長、異常な細胞増殖、密度依存性成長阻害の喪失、固定非依存性成長可能性、免疫不全の非ヒト動物モデルにおける腫瘍成長及び/又は発達を促進する能力、並びに/又は細胞形質転換の任意の適切な指標のうちの1つ以上を特徴とし得る。「がん細胞」は、本明細書では「腫瘍細胞」、「悪性細胞」、又は「がん性細胞」と互換的に使用することができ、固形腫瘍、半固形腫瘍、血液悪性腫瘍(例えば、白血病細胞、リンパ腫細胞、骨髄腫細胞など)、原発腫瘍、転移性腫瘍などのがん細胞を包含する。
【0024】
異なる細胞型の細胞が1つ以上のがん細胞株からの細胞を含む場合、1つ以上のがん細胞株は、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、胃腸がん、膵臓がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、胆管がん、膀胱がん、肝臓がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓がん、様々な種類の頭頸部がんなどから独立して選択されるがんに由来し得る。ある特定の実施形態では、1つ以上のがん細胞株は、固形腫瘍、多形性再発性膠芽腫(GBM)、非小細胞肺がん、転移性黒色腫、黒色腫、腹膜がん、上皮性卵巣がん、多形性膠芽腫(GBM)、転移性結腸直腸がん、結腸直腸がん、膵管腺がん、扁平上皮がん、食道がん、胃がん、神経芽腫、卵管がん、膀胱がん、転移性乳がん、膵臓がん、軟組織肉腫、再発性頭頸部がん扁平上皮がん、頭頸部がん、未分化星状細胞腫、悪性胸膜中皮腫、乳がん、扁平非小細胞肺がん、横紋筋肉腫、転移性腎細胞がん、基底細胞がん腫(基底細胞上皮腫)、及び神経膠肉腫から独立して選択されるがんに由来し得る。ある特定の実施形態では、1つ以上のがん細胞株は、黒色腫、ホジキンリンパ腫、腎細胞がん(RCC)、膀胱がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、及び頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)から独立して選択されるがんに由来し得る。いくつかの実施形態によれば、異なる細胞型の細胞は、portals.broadinstitute.org/ccleで入手可能なBroad Institute Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)に記載されている1つ以上のがん細胞株からの細胞を含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、異なる細胞型の細胞は、1つ以上の異なる型の幹細胞からの細胞を含む。異なる細胞型の細胞の中に含まれ得る幹細胞の非限定的な例としては、胚性幹(ES)細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、間葉系幹細胞(MSC)、神経幹細胞(NSC)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0026】
上記に要約されるように、本開示の方法は、三次元で異なる細胞型の細胞のプールを成長させることを含む。ある特定の実施形態では、異なる細胞型の細胞のプールは、少なくとも部分的にインビボで三次元で成長させる。1つの非限定的な例によれば、プールを三次元で成長させることは、プールから異種移植片を産生することを含む。本明細書で使用される場合、「異種移植片」は、異なる種のレシピエントに移植された1つの種からの組織(細胞移植片、例えば、細胞株移植片を含む)である。ある特定の実施形態では、ドナー種は、ヒトであり、レシピエント動物は、マウス、ラット、ブタなどである。レシピエント動物は、免疫不全(例えば、無胸腺ヌードマウス、scid/scidマウス、非肥満(NOD)-scidマウス、組換え-活性化遺伝子2(Rag2)-ノックアウトマウスなど)であり得る。レシピエント動物が齧歯類(例えば、マウス又はラット)であるとき、異種移植片の産生は、例えば、尾静脈注射による、レシピエント齧歯類への異なる細胞型の細胞のプールの非経口注射を含み得る。いくつかの実施形態によれば、異種移植片は、細胞株由来異種移植片(CDX)、例えば、1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10個以上、又は25個以上)の異なる細胞株由来の細胞を含む異種移植片であり、その非検定的な例としては、腫瘍細胞株が挙げられる。ある特定の実施形態では、異種移植片は、患者由来の異種移植片(PDX)、例えば、1人以上の異なる患者、例えば、2人以上、3人以上、4人以上、5人以上、10人以上、又は25人以上の異なる患者からの初代細胞(例えば、原発腫瘍細胞)を含む異種移植片である。初代細胞は、いくつかの例では、本明細書の他の場所に記載されているような生検を介して得ることができる。
【0027】
ある特定の実施形態では、異なる細胞型の細胞のプールは、少なくとも部分的にエクスビボで三次元に成長させる。「エクスビボ」という用語は、生体から得られた試料(例えば、組織又は細胞など)内又はその上で行われる処理、実験、及び/又は測定を指すために使用され、この処理、実験、及び/又は測定は、生体の外部の環境で行われる。したがって、細胞に適用される「エクスビボ操作」という用語は、細胞を培養すること、細胞に1つ以上の遺伝子改変を行うこと、及び/又は細胞を1つ以上の薬剤に曝露することを含むが、これらに限定されない、生物の外部の細胞の任意の処理を指す。したがって、エクスビボ操作は、本明細書では、動物の外で実施される細胞の、例えば、そのような細胞が動物又はその臓器から得られた後の処理を指すために使用され得る。「エクスビボ」とは対照的に、「インビボ」という用語は、本明細書で使用される場合、動物、例えば、齧歯類(例えば、マウス又はラット)、ブタなどの中にある細胞を指す。
【0028】
ある特定の実施形態では、異なる細胞型の細胞のプールは、少なくとも部分的にインビトロで三次元で成長させる。いくつかの実施形態によれば、三次元で成長した異なる細胞型の細胞のプールは、インビトロでオルガノイドに成長される。「オルガノイド」とは、対応するインビボ臓器を模倣し得る三次元(3D)多細胞インビトロ又はエクスビボ組織構築物を意味する。オルガノイドは、3Dバイオプリントされた足場、臓器チップ、マイクロ流体工学ベースの3D細胞培養モデルなどを含むが、これらに限定されない、様々な種類の利用可能な3D細胞培養システムを介して作成され得る。いくつかの実施形態によれば、三次元で成長した異なる細胞型の細胞のプールは、インビトロでスフェロイドに成長される。オルガノイドは、腸、胃、腎臓、肝臓、膵臓、乳腺、前立腺、上下気道、甲状腺、網膜、及び脳を含むが、これらに限定されない、生検試料から直接供給される組織常駐成体幹細胞(ASC)、又は胚性幹細胞(ESC)若しくは誘導PSC(iPSC)などの多能性幹細胞(PSC)からのいずれかの、増加する多様な臓器のために確立することができる。ある特定の実施形態では、三次元で成長した異なる細胞型の細胞のプールは、例えば、1つ以上(例えば、2つ以上)の異なる生検試料から組織由来のオルガノイドに成長する。幹細胞由来及び組織由来オルガノイドを産生するためのアプローチは、例えば、Hofer&Lutolf(2021)Nature Reviews Materials 6:402~420に既知であり、記載されている。
【0029】
異なる細胞型の細胞のプールが三次元で成長すると、三次元プールは小分子化合物で処理される。「小分子」化合物とは、1000原子質量単位(amu)以下の分子量を有する化合物(例えば、有機化合物)を意味する。いくつかの実施形態では、小分子は、900amu以下、750amu以下、500amu以下、400amu以下、300amu以下、又は200amu以下である。ある特定の態様では、小分子は、ポリマーに存在するような繰り返し分子単位から作られていない。いくるかの実施形態によれば、小分子化合物は、既知の治療剤である。「治療剤」又は「薬物」とは、哺乳動物又はヒトなどの動物の標的部位で所望の生物学的効果を生み出すことができる生理学的又は薬理学的に活性な物質を意味する。治療剤は、任意の無機又は有機化合物であり得る。治療剤は、哺乳動物又はヒトなどの動物における疾患、障害、又は細胞増殖の発症又は進行を低下、抑制、減弱化、減少、停止、又は安定化させることができる。いくつかの実施形態では、小分子化合物は、米国食品医薬品局(FDA)及び/又は欧州医薬品庁(EMA)によって、本明細書の他の箇所に記載される疾患、例えば、がん、心血管疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、感染症、神経変性疾患、認知症、アルツハイマー病、糖尿病、腎臓病、肝臓病などのいずれかを含むがこれらに限定されない1つ以上の疾患を処置する際の治療剤として使用するために承認されたものである。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、三次元プールを、小分子化合物のライブラリからの小分子化合物で処理することを含む。例えば、小分子化合物は、MedChemExpress(FDA及び/又はEMAによって承認された1280の構造的に多様な生体活性の細胞透過性の化合物のコレクション、又はいくつかの臨床段階にある、又はこれまでにあった1600の構造的に多様な薬学的に活性の細胞透過性の化合物のコレクション)、ChemDivのマスターPPIライブラリ(天然生成物ベースの、3D模倣物、大環状分子、ヘリックスターン模倣物、トリペプチド模倣物、3D多様性天然生成物のような、及びBeyond平地を含む7つのサブセットを含む20,000の多様な計算的に選択された分子)、MayBridgeコレクション(13,000の化学的に多様な化合物のセット)、ChemBridge DIVERSet-CL(治療開発の可能性が高められた50,000の小分子のコレクション)、TargetMol(NU-HTAの既存のFDA承認及び臨床コレクションを拡大及び補完するために選択された3200の構造的に多様な薬学的に活性の細胞透過性のある化合物のコレクション)、及び/又は目的の任意の他の小分子化合物ライブラリを含むが、これらに限定されないライブラリからであり得る。
【0031】
三次元プールが小分子化合物で処理される方法は、三次元プールの文脈に応じて異なる。異なる細胞型の細胞を含む異種移植片である三次元プールの文脈では、三次元プールを処理することは、レシピエント動物(例えば、マウス、ラット、ブタなど)に小分子化合物を投与することを含み得る。小分子化合物は、経口(例えば、錠剤形態、カプセル形態、液体形態などで)、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、又は硬膜外注射によって)、局所、鼻腔内、又は異種移植片内投与から選択される投与経路を介して投与され得る。エクスビボ又はインビトロで維持及び/又は成長したオルガノイド、スフェロイド、又は他の3D多細胞構造である三次元プールの文脈では、三次元プールを処理することは、三次元プールが存在する細胞培養培地に小分子化合物を添加することを含み得る。プールを小分子化合物で処理する前、その間、及び/又はその後に、三次元プールを成長及び/又は維持するための好適な条件は変化し得る。このような条件は、好適な温度(例えば、32℃~42℃、例えば、37℃)及びpH(例えば、pH7.0~7.7、例えば、pH7.4)で、好適な割合のCO2、例えば、3%~10%、例えば、5%を有する環境において、好適な容器(例えば、細胞培養プレート又はそのウェル)中、好適な培地(例えば、DMEM、RPMI、MEM、IMDM、DMEM/F-12などの細胞培養培地)中で、三次元プールを成長させる及び/又は維持することを含み得る。
【0032】
小分子化合物で三次元プールを処理した後、この方法は、処理された三次元プールの細胞を単一細胞に解離させることを含む。処理された三次元プールの細胞を単一細胞に解離させるための様々な好適なアプローチを用いることができる。例えば、三次元プールが、エクスビボ又はインビトロで維持及び/又は成長したオルガノイド、スフェロイド、又は他の3D多細胞構造である場合、細胞は、DMEM/F12ベース培地中のLiberase(商標)酵素ブレンド(Millipore Sigma)を使用して三次元プールを消化し、37℃で回転しながら1時間消化することによって、単一細胞に解離され得る。三次元プールが異種移植片である場合、異種移植片(例えば、腫瘍異種移植片)は、犠牲死させた動物から(例えば、マウスの脇腹から)解剖され、メスを使用して細かく切断され、DMEM/F12ベース培地10U/uLのDNAse I 1mg/mLのコラゲナーゼIV中の1X Liberase(商標)酵素ブレンドに再懸濁され、37℃で回転しながら1時間消化され得る。
【0033】
本開示の方法は、解離された単一細胞と小分子化合物で処理されていない対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して、単一細胞リボ核酸(RNA)配列決定(「単一細胞RNA-seq」又は「scRNA-seq」と称されることもある)を実施することを更に含む。RNA配列決定(RNA-seq)は、生体試料中のメッセンジャーRNA分子の検出及び定量的分析のためのゲノム的アプローチであり、細胞応答を研究するために有用である。プロテオームを研究するための代用として、いくつかの研究は、その発現が細胞形質及び細胞状態の変化とよく相関する、タンパク質コード、mRNA分子(「トランスクリプトーム」と総称される)に目を向けている。scRNA-seqは、個々の細胞のトランスクリプトームの比較を可能にする。scRNA-seqのための様々な好適なアプローチが利用可能であり、その非限定的な例としては、C1(SMARTer)(例えば、Pollen et al.(2014)Nat Biotechnol.32:1053~8を参照)、Smart-seq2(例えば、Picelli et al.(2013)Nat Methods 10:1096~8を参照)、MATQ-seq(例えば、Sheng et al.(2017)Nat Methods 14:267~70を参照)、MARS-seq(例えば、Jaitin et al.(2014)Science 343:776~9を参照)、CEL-seq(例えば、Hashimshony et al.(2012)Cell Rep.2:666~73を参照)、Drop-seq(例えば、Macosko et al.(2015)Cell 161:1202~14を参照)、InDrop(例えば、Klein et al.(2015)Cell 161:1187~201を参照)、Chromium(例えば、Zheng et al.(2017)Nat Commun.8:14049を参照)、SEQ-well(例えば、Gierahn et al.(2017)Nat Methods 14:395~8を参照)、SPLIT-seq(例えば、Rosenberg et Al.(2017)BioRxiv doi.org/10.1101/105163を参照)などが挙げられる。単一細胞RNA配列決定に関する更なる詳細は、例えば、Haque et al.(2017)Genome Med 9,75に見出すことができる。
【0034】
ある特定の実施形態では、解離された単一細胞に対してscRNA-seqを実施することは、Biolegend TotalSeq(商標)-Aプロトコル(www.biolegend.com/en-us/protocols/totalseq-a-antibodies-and-cell-hashing-with-10x-single-cell-3-reagent-kit-v3-3-1-プロトコル)に従って細胞を標識することと、10×3’クロム単一細胞RNA配列決定プロトコル(support.10xgenomics.com/single-cell-gene-expression/library-prep/doc/user-guide-chromium-single-cell-3-reagent-kits-user-guide-v31-chemistry)を実施することと、10×ライブラリ当たり約300~400Mのリード、及びBiolegend TotalSeq(商標)ライブラリ当たり約25Mのリードで配列決定することと、を含む。単一細胞RNA配列決定からのデータは、例えば、バーコード配列情報を使用して、処理(小分子化合物で処理されたもの対処理されていないもの)及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートされ得る。
【0035】
分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、方法は、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価することを更に含む。本開示の方法は、小分子化合物の多種多様な治療特性を評価するのに使用される。そのような治療特性の非限定的な例としては、薬物との併用療法について小分子化合物が候補であること(併用療法)、小分子化合物の作用機構(MoA)、疾患サブタイプの治療について小分子化合物が候補であること(例えば、がん/腫瘍サブタイプの新規処理を含む精密腫瘍学のための)、小分子化合物の毒性、耐性/寛容の機構、臨床で以前に試験されていない新しい適応症のための薬物再利用などが挙げられる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の治療特性は、薬物との併用療法について小分子化合物が候補であることを含み、そのような方法は、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、各条件で残る細胞の数を計数することによって各細胞株の薬物感受性を決定することと、各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を計算することと、を含む。そのような方法は、各細胞株の計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子について重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることを更に含む。そのような方法は、誤検出率を上回る重み付けスコアを有する遺伝子に基づいて、併用療法標的を予測することを更に含み、薬物感受性と反相関する遺伝子は、薬物耐性を予測し、したがって、併用標的化のための候補標的を表す。
【0037】
併用療法の発見は、どの細胞型が化合物に感受性であることを決定することと、それらの細胞型内で処理前後の遺伝子発現の変化を決定することと、を含み得る。単一細胞RNA配列決定は、細胞ハッシュを用いて実施され得、その後、その単一ヌクレオチド多型を使用して各個々の細胞を逆多重化して、参照SNPを決定するために使用される別個の参照RNA配列決定データセットへの付与後に細胞株同一性を与える。化合物に感受性のある細胞型は、各細胞株の各条件(薬物、非薬物)に残っている細胞の数を計数することによって決定され得る。次いで、各細胞株について、遺伝子発現の差は、薬物処理の前後に計算され得、本明細書では「単一株デルタ」と称されることもある。感受性のある細胞株についての集約された単一株デルタを、感受性のない細胞株についての集約された単一株デルタと比較して、どの遺伝子が感受性細胞において最も上方制御されているかを決定し得る。次に、これらの集約された遺伝子発現変化をオンラインデータベースにマッピングし、文献検索を使用して、これらの遺伝子のうちのどの遺伝子が薬剤化可能であるかを決定し得る。感受性のある株の全て又は大部分にわたって化合物に応答して上方制御される遺伝子は、候補併用療法標的として同定される。
【0038】
ある特定の実施形態では、1つ以上の治療特性は、小分子化合物の作用機構を含み、そのような方法は、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、各条件で残る細胞の数を計数することによって各細胞株の薬物感受性を決定することと、各細胞株の薬物誘導遺伝子発現の変化を決定することと、薬物感受性のある細胞株にわたって決定された薬物誘導遺伝子発現の変化を集約することと、を含む。そのような方法は、集約された計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子についての重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えることと、集約された薬物感受性と相関する遺伝子を、誤検出率を上回る重み付けスコアを有するものとして同定することと、集約された薬物感受性と相関する遺伝子に基づいて、化合物の作用機構を予測することと、を更に含む。
【0039】
作用発見の機構は、小分子化合物濃度の連続希釈を使用して細胞のプールを実験的に投与することと、どの細胞型が化合物に感受性であるかを決定することと、それらの細胞型内で、処理前後の遺伝子発現の変化を決定することと、小分子化合物濃度の関数として、感受性対非感受性細胞株における遺伝子発現の変化をモデル化することと、を含み得る。第一に、細胞のプールは、実験的に、小分子化合物濃度範囲の連続希釈に供され得る。次いで、細胞ハッシュを用いた単一の細胞RNA配列決定の後、各個々の細胞は、その単一ヌクレオチド多型(SNP)を使用して逆多重化されて、参照SNPを決定するために使用される別個の参照RNA配列決定データセットへの付与後に細胞株同一性を与え得る。化合物に感受性のある細胞型は、各細胞株の各条件(薬物、非薬物)に残っている細胞の数を計数することによって決定され得る。次いで、各細胞株について、遺伝子発現の差は、薬物処理の前後に計算され得、本明細書では「単一株デルタ」と称されることもある。感受性のある細胞株についての集約された単一株デルタを、感受性のない細胞株についての集約された単一株デルタと比較して、どの遺伝子が感受性細胞において最も上方制御されているかを決定し得る。次いで、遺伝子発現変化は、薬物濃度の直接的な関数としてどの遺伝子が変化するかを決定するために使用される化合物濃度の関数としてモデル化され得る。次に、これらの濃度依存性遺伝子発現変化を参照遺伝子セットデータベースにマッピングして、これらの遺伝子が当てはまる経路を同定し得る。このモデルでは、薬物濃度の関数としての負の相関遺伝子は、薬物の作用機構を示す。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の治療特性は、疾患サブタイプの治療について小分子化合物が候補であることを含み、そのような方法は、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、各条件で残る細胞の数を計数することによって各細胞株の薬物感受性を決定することを含み、各細胞株は、その遺伝子変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャによって分類される。そのような方法は、細胞株にわたって決定された薬物感受性を集約することと、可変選択回帰アルゴリズムを使用して、集約された薬物感受性との関連性を予測するスコアを各変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャについて与えることと、誤検出率を上回るスコアを有する疾患サブタイプに基づいて、疾患サブタイプにおける化合物の有効性を予測することと、を更に含む。ある特定の実施形態では、可変選択回帰アルゴリズムは、重み付けラッソ回帰アルゴリズムである。
【0041】
近年、タンパク質の特定の遺伝的バリアントを標的とするための治療法が開発されている。これらの特定の遺伝的バリアント、又は遺伝的サブタイプは、患者が受けるべき薬物を決定するためにしばしば使用される。しかしながら、特定の遺伝的サブタイプのために開発された薬物が別のサブタイプに対して有効に使用できるかどうかを評価するための単純で高スループットの方法は現在存在していない。本明細書に記載の方法は、1つの実験において、インビボPDX(患者由来異種移植片)、インビトロ及びエクスビボオルガノイドモデルシステムにおける様々な遺伝的サブタイプに対する分子の相対感受性を同時に決定することができる。本方法は、複数の遺伝的サブタイプから細胞をプールすることを含む。次いで、これらの混合された遺伝的サブタイププールは、小分子を使用して薬剤化される。単一細胞RNA配列決定は、細胞ハッシュを用いて実施され得、その後、その単一ヌクレオチド多型を使用して各個々の細胞を逆多重化して、参照SNPを決定するために使用される別個の参照RNA配列決定データセットへの付与後に細胞株同一性を与える。化合物に感受性のある細胞型は、各細胞株の各条件(薬物、非薬物)に残っている細胞の数を計数することによって決定され得る。次いで、細胞株は、それらの遺伝的サブタイプによって集約され、サブタイプによって分類された異なるグループの株の共通の感受性又は耐性があるかどうかについて評価され得る。回帰モデル(例えば、ラッソ回帰モデル)は、各細胞型の変異についてトレーニングされて、どの遺伝子変異が、単一細胞RNA配列決定デコンボリュートされたデータから計算された感受性を予測するかを決定し得る。データから導出される感受性係数を効果的に予測する変異は、潜在的な標的を示し、その変異の回帰(例えば、ラッソ回帰)におけるモデル変数の係数の符号に基づいて、その変異が耐性(陽性)又は感作(陰性)変異であるかを決定することが可能である。本発明者らは、このアッセイ及びモデリングを用いて、既知の遺伝的サブタイプの層別化を予測することと、並びに異なる遺伝的サブタイプに対して開発された分子に感受性である新規の遺伝的サブタイプを発見することができることを実証することに成功している。どの遺伝的サブタイプが小分子に対する感受性又は耐性を誘導するかをランク付けし、定量的に推定する能力として定義され得るサブタイプ層別化は、この方法を使用して1つのプールされた実験で達成することができる。
【0042】
一態様では、本開示は、ある期間の間培養された2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、少なくとも2つの異なる細胞型の各々が成長率を有し、2つ以上の異なる細胞型の各細胞型が、培養前に、2つ以上の異なる細胞型の細胞型の各々の成長率と逆の比率で組み合わされる、平衡細胞数培養物を提供する。
【0043】
一態様では、本開示は、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、平衡細胞数培養物の0.2体積%~10体積%の試料が、異なる細胞型の各々の少なくとも500個の細胞を含み、試料は、2つ以上の細胞型を組み合わせて細胞プールを作成し、培養培地に接種して、平衡細胞数培養物を得た後、72時間~45日間の期間の間、平衡細胞数培養物が培養された後、平衡細胞数培養物から採られる、平衡細胞数培養物を提供する。
【0044】
一態様では、本開示は、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、細胞型の各々は、培養物中の少なくとも1×103個の細胞で表され、細胞型のうちの少なくとも2つは異なるがん組織に由来する、平衡細胞数培養物が提供される。
【0045】
一態様では、本開示は、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、細胞型の各々は、培養物中の少なくとも1×103個の細胞で表され、細胞型のうちの少なくとも2つは互いに異なるがん変異を含む、平衡細胞数培養物を提供する。
【0046】
一態様では、本開示は、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含む平衡細胞数培養物であって、細胞型の各々は、培養物中の少なくとも1×103個の細胞で表され、細胞型のうちの少なくとも2つは互いに異なるがん変異を含む、平衡細胞数培養物が提供される。
【0047】
いくつかの実施形態では、2つの異なる細胞型の各々は、平衡細胞数培養物中の少なくとも1×103個の生存細胞で表される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物中の少なくとも2つの異なる細胞型の細胞型は、他の細胞型を2桁以上上回らない。いくつかの実施形態では、少なくとも2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の総数は、平衡細胞数培養物中で互いに2桁以内である。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2~500個の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2~500個、5~400個、6~300個、8~200個、10~100個、10~50個、2~30個、2~25個、又は10~30個の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型を含む平衡細胞数培養物における各細胞型の表現を決定することは、UMAP分析を含む。いくつかの実施形態では、UMAP分析は、平衡細胞数培養物における異なる細胞型の表現を1つ以上のクラスターとして提供する。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2つ以上、少なくとも2つ以上、少なくとも3つ以上、少なくとも4つ以上、少なくとも5つ以上、少なくとも6つ以上、少なくとも7つ以上、少なくとも8つ以上、少なくとも9つ以上、少なくとも10個以上、少なくとも11個以上、少なくとも12個以上、少なくとも13個以上、少なくとも14個以上、少なくとも15個以上、少なくとも16個以上、少なくとも17個以上、少なくとも18個以上、少なくとも19個以上、少なくとも20個以上の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、100個の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、6時間~45日間、12時間~40日間、24時間~35日間、72時間~30日間、96時間~20日間、120時間~15日間の期間の間培養される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、72時間の期間の間培養される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、14日の期間の間培養される。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる細胞型の各細胞型は、ステップ(b)で、成長率決定アッセイによって決定される、細胞型の各々の成長率と逆の比率で組み合わされ、ii)成長のための総日数にスケーリングされる。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、成長平衡培養物(例えば、GENEVAプール)である。平衡細胞数培養物、成長平衡培養物、GENEVAプール、及びGENEVA培養物という用語は、明細書で互換的に使用されている。いくつかの実施形態では、成長率決定アッセイは、カルセイン-AM成長アッセイ又はCell Titer Glo成長アッセイである。いくつかの実施形態では、成長率は、カルセイン-AM成長アッセイ及びCell Titer Glo成長アッセイの組み合わせによって決定される。いくつかの実施形態では、成長率は、式(標的細胞数/オイラー定数^(成長率*成長日数))/細胞数によって決定される。いくつかの実施形態では、成長率は、細胞数の倍増によって決定される。いくつかの実施形態では、倍増は、Nf/N0で表され、Nfは、培養期間の終了時の細胞数であり、N0は、培養期間の開始時の細胞数である。いくつかの実施形態では、成長率は、r=ln(Nf/N0)/tによって決定され、ここで、「r」は成長率を表し、「t」はアッセイの時間を表し、lnは自然対数を表す。いくつかの実施形態では、平衡細胞培養物に含まれる細胞は、0.01~0.8、0.05~0.8、0.07~0.7、0.9~0.5、又は0.1~0.4の成長率を有する。いくつかの実施形態では、各細胞型からの細胞は、各細胞型からの表現がそれらの細胞成長率に反比例するような比率で含まれる。いくつかの実施形態では、成長率は、標的細胞数が1000万個、2000万個、3000万個、4000万個、5000万個、6000万個、7000万個、8000万個、9000万個、又は1億個に等しいときに測定される。いくつかの実施形態では、成長率は、標的細胞数が1億に等しいときに測定される。
【0048】
いくつかの実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は1日に等しい。いくつかの実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は2日に等しい。いくつかの実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は3日に等しい。いくつかの実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は4日に等しい。いくつかために実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は5日に等しい。いくつかの実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は6日に等しい。いくつかの実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は7日に等しい。いくつかために実施形態では、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は10日に等しい。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、がん変異を有する細胞、1人以上の対象からのがん細胞、1人以上の対象からの初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、様々な細胞株からの細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、疾患を有する対象からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、疾患を有する1人以上の対象からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、疾患モデル、例えば、オルガノイド、例えば、異種移植片、例えば、患者由来の異種移植片からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、疾患は、腫瘍性疾患、例えば、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、頭、首、肺、皮膚、乳房、血液、リンパ、骨、軟組織、脳、眼、生殖器系、循環器系、消化器系、内分泌系、神経系、及び泌尿器系のがんのうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態では、細胞株は、がん細胞株である。いくつかの実施形態では、がん細胞株には、H358、NCI-H23、H2122、H2030、SW1573、SK-LU-1、H441、CALU-1、H1792、H1373、H23、H358、H1299、H1975、SKMEL2、MEWO、SKMEL28、HTT144、A375、MIAPACA2、又はA54のうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、モデルシステム、例えば、インビトロモデルシステム、インビボモデルシステム、又はエクスビボモデルシステムに移植される。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、2Dインビトロシステムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、3Dインビトロモデルシステムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、3D足場システムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、エクスビボモデルシステム、例えば、オルガノイドである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、インビボモデルシステム、例えば、動物、例えば、哺乳動物、例えば、マウスである。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、単一のマウスに移植される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物の移植は、インビボシステムにおいてモザイク腫瘍を作成する。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物の移植は、マウスにモザイク腫瘍を作成する。実施形態では、本開示は、平衡細胞数培養物を含むモデルシステムであって、平衡細胞数培養物は複数の細胞型を含む、モデルシステムを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、複数の細胞型を含むモザイク腫瘍を含むモデルシステムを提供する。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、異なる生理学的起源の細胞、異なる対象からの細胞、異なる生物からの細胞、同じ生物の異なる組織からの細胞、同じ組織からであるが異なる生物からの細胞、異なる対象からの異なる組織又は臓器からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、異なる型の細胞は、互いに少なくとも1つの異なる単一ヌクレオチド多型を含む。いくつかの実施形態では、異なる型の細胞は、がん変異を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、同一のがん変異を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞は、異なるがん変異を含み得る。いくつかの実施形態では、変異は、KRAS.G12C、EML4-ALK、TH21、TP53、PIK3CA、PTEN、APC、VHL、KRAS、MLL3、MLL2、ARID1A、PBRM1、NAV3、EGFR、NF1、PIK3R1、CDKN2A、GATA3、RB1、NOTCH1、FBXW7、CTNNB1、DNMT3A、MAP3K1、FLT3、MALAT1、TSHZ3、KEAP1、CDH1、ARHGAP35、CTCF、NFE2L2、SETBP1、BAP1、NPM1、RUNX1、NRAS、IDH1、TBX3、MAP2K4、RPL22、STK11、CRIPAK、CEBPA、KDM6A、EPHA3、AKT1、STAG2、BRAF、AR、AJUBA、EPPK1、TSHZ2、PIK3CG、SOX9、ATM、CDKN1B、WT1、HGF、KDM5C、PRX、ERBB4、MTOR、TLR4、U2AF1、ARID5B、TET2、ATRX、MLL4、ELF3、BRCA1、LRRK2、POLQ、FOXA1、IDH2、CHEK2、KIT、HIST1H1C、SETD2、PDGFRA、EP300、FGFR2、CCND1、EPHB6、SMAD4、FOXA2、USP9X、BRCA2、NFE2L3、FGFR3、ASXL1、TGFBR2、SOX17、CDKN1A、B4GALT3、SF3B1、TAF1、PPP2R1A、CBFB、ATR、SIN3A、VEZF1、HIST1H2BD、EIF4A2、CDK12、PHF6、SMC1A、PTPN11、ACVR1B、MAPK8IP1、H3F3C、NSD1、TBL1XR1、EGR3、ACVR2A、MECOM、LIFR、SMC3、NCOR1、RPL5、SMAD2、SPOP、AXIN2、MIR142、RAD21、ERCC2、CDKN2C、EZH2、PCBP1変異のうちの1つ以上を含む。
【0050】
一態様では、本開示は、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を有する平衡細胞数培養物を調製する方法を提供し、本方法は、
(a)2つ以上の異なる細胞型の各細胞型についての成長率を決定することと、
(b)細胞プールを作成するために、2つ以上の異なる細胞型を組み合わせることであって、細胞プールに添加される2つ以上の異なる細胞型の細胞型の各々の初期細胞数が、ステップ(a)の成長率に基づいて決定される、組み合わせることと、
(c)平衡細胞数培養物を作成するために、ステップ(b)の細胞プールをある期間にわたって培養することであって、平衡細胞数培養物の0.2体積%~10体積%の試料は、2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の少なくとも500個の細胞を含む、培養することと、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)の試料は、5,000~200,000個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、ステップ(c)の試料は、200,000個未満、175,000個未満、150,000個未満、140,000個未満、130,000個未満、120,000個未満、110,000個未満、又は100,000個未満の細胞を含む。いくつかの実施形態では、ステップ(c)の試料は、2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の500個以上の生存細胞を含む。異なる細胞型は、がん変異を有する細胞、1人以上の対象からのがん細胞、1人以上の対象からの初代細胞、臓器系からの細胞、疾患モデルからの細胞、様々な細胞株からの細胞、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、疾患を有する対象からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、疾患を有する1人以上の対象からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、異なる細胞型は、疾患モデル、例えば、オルガノイド、例えば、異種移植片、例えば、患者由来の異種移植片からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、疾患は、腫瘍性疾患、例えば、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、頭、首、肺、皮膚、乳房、血液、リンパ、骨、軟組織、脳、眼、生殖器系、循環器系、消化器系、内分泌系、神経系、及び泌尿器系のがんのうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(c)の試料は、期間の終了時に採られる。いくつかの実施形態では、ステップ(c)の少なくとも2つ以上の試料は、期間中の異なる時点で採られる。いくつかの実施形態では、本開示は、請求項33~55のいずれか一項に記載のステップ(c)の試料からの細胞を、ステップ(c)の試料からのステップ(b)の細胞プールの2つ以上の細胞と相関させる方法を提供し、実施するステップは、
(i)試料からの1つ以上の細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実施して、試料からの1つ以上の細胞における単一ヌクレオチド多型を同定することと、
(ii)ステップ(i)の単一ヌクレオチド多型と、ステップ(b)の細胞プールの2つ以上の細胞の単一ヌクレオチド多型とを比較し、それにより、ステップ(c)の試料からの細胞を、ステップ(b)の細胞プールの2つ以上の細胞と相関させることと、を更に含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、2つの異なる細胞型の各々は、平衡細胞数培養物中の少なくとも1×103個の生存細胞で表される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物中の少なくとも2つの異なる細胞型の細胞型は、他の細胞型を2桁以上上回らない。いくつかの実施形態では、少なくとも2つ以上の異なる細胞型の各細胞型の総数は、平衡細胞数培養物中で互いに2桁以内である。
【0053】
いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2~500個の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2~500個、5~400個、6~300個、8~200個、10~100個、10~50個、2~30個、2~25個、又は10~30個の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2つ以上、少なくとも2つ以上、少なくとも3つ以上、少なくとも4つ以上、少なくとも5つ以上、少なくとも6つ以上、少なくとも7つ以上、少なくとも8つ以上、少なくとも9つ以上、少なくとも10個以上、少なくとも11個以上、少なくとも12個以上、少なくとも13個以上、少なくとも14個以上、少なくとも15個以上、少なくとも16個以上、少なくとも17個以上、少なくとも18個以上、少なくとも19個以上、少なくとも20個以上の異なる細胞型を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、100個の異なる細胞型を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、6時間~45日間、12時間~40日間、24時間~35日間、72時間~30日間、96時間~20日間、120時間~15日間の期間の間培養される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、72時間の期間の間培養される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、14日間の期間の間培養される。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、2つ以上の異なる細胞型を含み、2つ以上の異なる細胞型の各々は、培養物中の少なくとも1×103個の細胞で表され、細胞型のうちの少なくとも2つは互いに異なるがん変異を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、インビボモデルシステムにおいて、少なくとも2つ以上の異なる細胞型を含むモザイク腫瘍を作成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、モザイク腫瘍は、がん細胞株、がん組織、及び/又はがんを有する対象由来の2つ以上の細胞を含む平衡細胞数培養物を移植し、平衡細胞数培養物をインビボモデルシステムに移植することによって作成される。いくつかの実施形態では、インビボモデルシステムは、動物、例えば、哺乳動物、例えば、マウスである。
【0055】
いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物は、モデルシステム、例えば、インビトロモデルシステム、インビボモデルシステム、又はエクスビボモデルシステムに移植される。
【0056】
一態様では、本開示は、2つ以上の細胞型に対する候補薬剤の影響を評価する方法を提供する。この方法は、平衡細胞数培養物を調整することと、
平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、持続時間の終了時に平衡細胞数培養物を評価して、平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、モザイク腫瘍の個々の細胞に対する候補薬剤の治療有効性を評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、候補薬剤の治療有効性は、候補薬剤によってモザイク腫瘍をある持続時間の間処理し、個々の細胞を評価して、持続時間の終了時にモザイク腫瘍の個々の細胞の表現型、遺伝的、及び転写組成学的発現を決定し、モザイク腫瘍の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及び転写組成学的発現を、候補薬剤で処理されていない同一のモザイク腫瘍の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及び転写組成学的発現と比較することによって、候補薬剤の治療有効性を決定することによって測定される。
【0057】
一態様では、本開示は、2つ以上の細胞型に対する候補薬剤の影響を評価する方法を提供する。この方法は、平衡細胞数培養物を調整することと、
平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理することと、持続時間の終了時に平衡細胞数培養物を評価して、平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響を決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、インビボシステムにおいて、複数の細胞型に対する候補薬剤の影響を同時に評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、インビトロシステムにおいて、複数の細胞型に対する候補薬剤の影響を同時に評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、エクスビボシステムにおいて、複数の細胞型に対する候補薬剤の影響を同時に評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、平衡細胞数培養物を調製することと、平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理し、個々の細胞を評価して、持続時間の終了時に、複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、モデルシステムにおける複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現を、候補薬剤で処理されていない同一のモデルシステムの複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現と比較することによって、候補薬剤の影響を決定することと、を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示は、生物学的経路における候補薬剤標的を同定する方法を提供する。方法は、平衡細胞数培養物を調製することと、平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理し、個々の細胞を評価して、持続時間の終了時に、複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、モデルシステムにおける複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現を、候補薬剤で処理されていない同一のモデルシステムの複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、ゲノム的、及びトランスクリプトーム的発現と比較することによって、候補薬剤標的を同定することと、を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、候補薬剤に感受性のある対象亜集団を同定する方法を提供する。方法は、平衡細胞数培養物を調製することと、平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植することと、モデルシステムを、ある持続時間にわたって候補薬剤で処理し、個々の細胞を評価して、持続時間の終了時に、複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することと、平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する候補薬剤の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的影響の評価に基づいて、候補薬剤に感受性のある対象亜集団を同定することと、を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法を使用して、対象からの個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することによって、対象亜集団が薬物に対して耐性になる時点を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法を使用して、対象からの個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定することによって、対象亜集団が候補薬剤による治療的処理に対して になる時点を決定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法を使用して、対象からの個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現に対する1つ以上の治療剤の効果を決定し、対象からの個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現に基づいて処理レジメンを決定することによって、対象集団からの個別化された処理レジメンを決定する方法を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示は、平衡細胞数培養物を調製し、平衡細胞数培養物をモデルシステムに移植し、モデルシステムを、ある持続時間にわたって2つ以上の候補薬剤を組み合わせて処理し、持続時間の終了時に、複数の細胞型の各々の個々の細胞の表現型、遺伝的、及びトランスクリプトーム的発現を決定するために個々の細胞を評価し、個々の細胞に対する併用処理の効果によって併用処理の有効性を同定することによって、併用療法の有効性を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、第1の候補薬剤で処理することと、第2の候補薬剤で処理することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の候補薬剤及び第2の候補薬剤による処理は、連続的である。いくつかの実施形態では、第1の候補薬剤及び第2の候補薬剤による処理は、継続的である。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に、第3の候補薬剤で処理することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、モデルシステムは、インビトロモデルシステム、インビボモデルシステム、又はエクスビボモデルシステムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、2Dインビトロシステムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、3Dインビトロモデルシステムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、3D足場システムである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、エクスビボモデルシステム、例えば、オルガノイドである。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、インビボモデルシステム、例えば、動物、例えば、哺乳動物、例えば、マウスである。
【0061】
いくつかの実施形態では、持続時間は、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約10時間、約16時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、約120時間、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約20日間、約24日間、約25日間、約30日間、約35日間、約40日間、又は約45日間である。いくつかの実施形態では、処理は断続的である。いくつかの実施形態では、処理は連続的である。
【0062】
いくつかの実施形態では、候補薬剤は、治療的摂動を引き起こすことができる薬剤である。いくつかの実施形態では、候補薬剤は、小分子、抗体、ペプチド、遺伝子エディタ、又は核酸アプタマーから選択される。いくつかの実施形態では、小分子は、KRAS.G12C阻害剤、例えば、ARS-1620、AMG510、又はMRTX849である。いくつかの実施形態では、候補薬剤は、生物学的経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、候補薬剤は、生物学的経路の活性化剤である。実施形態では、候補薬剤は、ARS-1620、AMG510、ガルニセルチブ、MRTX849、INK128、及びアンチマイシンのうちの1つ以上から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、表現型の変化を評価することは、持続時間の終了時に、2つ以上の異なる細胞型の細胞型の各々の生存可能な個々の細胞の数を計数することを含む。いくつかの実施形態では、トランスクリプトーム的影響を評価することは、持続時間の終了時に、平衡細胞数培養物中の細胞の単一細胞トランスクリプトームプロファイルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、遺伝的影響を評価することは、持続時間の終了時に、平衡細胞数培養物中の細胞の単一細胞RNA配列決定を含む。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する候補薬剤の効果は、候補薬剤によって処理された平衡細胞数培養物の個々の細胞の遺伝子発現を計算することによって評価され、遺伝子発現を、候補薬剤によって処理されていない同一の平衡細胞数培養物の個々の細胞の遺伝子発現と比較する。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する候補薬剤の効果は、候補薬剤によって処理された平衡細胞数培養物の個々の細胞のトランスクリプトーム的発現を決定することによって評価され、トランスクリプトーム的発現を、候補薬剤によって処理されていない同一の平衡細胞数培養物の個々の細胞の遺伝子発現と比較する。いくつかの実施形態では、平衡細胞数培養物の個々の細胞に対する候補薬剤の効果は、候補薬剤によって処理された平衡細胞数培養物中の2つ以上の異なる細胞型の細胞型の各々の生存可能な個々の細胞の数を計数し、候補薬剤によって処理されていない同一の平衡細胞数培養物中の2つ以上の異なる細胞型の細胞型の各々の生存可能な個々の細胞の数を比較することによって評価される。いくつかの実施形態では、評価は、遺伝的影響、表現型影響、及びトランスクリプトーム的影響のうちの1つ以上の決定を含む。
【0064】
コンピュータ可読媒体及びシステム
本開示の態様は、コンピュータ可読媒体及びシステムも含む。コンピュータ可読媒体及びシステムは、本開示の方法を実践する際を含むが、これに限定されない、様々な文脈での使用を見出す。
【0065】
ある特定の態様では、命令が記憶された1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は、1つ以上のプロセッサに、単一細胞RNA配列決定データを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートさせる。単一細胞RNA配列決定データは、小分子化合物で処理された異なる細胞型の三次元プールからの解離された単一細胞(例えば、異種移植片、オルガノイドなど)、及び小分子化合物で処理されていない異なる細胞型の対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実施することによって生成された。1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は更に、1つ以上のプロセッサに、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価させる。
【0066】
ある特定の実施形態では、命令は、1つ以上のプロセッサに、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価させ、1つ以上の治療特性は、薬物との併用療法について小分子化合物が候補であることを含む。いくつかの実施形態によれば、命令は、1つ以上のプロセッサに、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、各細胞株の薬物誘導遺伝子発現変化を計算させ、各細胞株の計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子についての重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えさせ、誤検出率を上回る重み付けスコアを有する遺伝子に基づいて、併用療法標的を予測させ、薬物感受性と反相関する遺伝子は、薬物耐性を予測し、したがって、併用標的化のための候補標的を表す。
【0067】
いくつかの実施形態では、命令は、1つ以上のプロセッサに、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価させ、1つ以上の治療特性は、小分子化合物の作用機構を含む。ある特定の実施形態では、命令は、1つ以上のプロセッサに、処理及び細胞型によって分類される単一細胞トランスクリプトームに基づいて、各細胞株についての薬物誘導遺伝子発現の変化を決定させ、薬物感受性細胞株にわたる決定された薬物誘導遺伝子発現変化を集約させ、集約された計算された薬物誘導遺伝子発現変化に基づいて、各遺伝子に付いての重み付けスコアを、薬物感受性に対するその予測された関連性に基づいて与えさせ、誤検出率を上回る重み付けスコアを有するものとして、集約された薬物感受性と相関する遺伝子を同定させ、集約された薬物感受性と相関する遺伝子に基づいて、化合物の作用機構を予測させる。
【0068】
ある特定の実施形態では、命令は、1つ以上のプロセッサに、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価させ、1つ以上の治療特性は、疾病サブタイプの治療について小分子化合物が候補であることを含む。いくつかの実施形態によれば、命令は、1つ以上のプロセッサに、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、細胞株にわたって薬物感受性を集約させ、薬物感受性は、各条件で残っている細胞の数を計数することによって各細胞株について決定され、各細胞株は、その遺伝子変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャによって分類される。命令は、1つ以上のプロセッサに、可変選択回帰アルゴリズムを使用して、集約された薬物感受性への関連性を予測する各変異及び/又はトランスクリプトームシグネチャについてスコアを与えさせ、誤検出率を上回るスコアを有する疾患サブタイプに基づいて、疾患サブタイプにおける化合物の有効性を予測させる。ある特定の実施形態では、可変選択回帰アルゴリズムは、重み付けラッソ回帰アルゴリズムである。
【0069】
ある特定の態様では、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価するためのシステムが提供される。そのようなシステムは、1つ以上のプロセッサと、命令が記憶された1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は、1つ以上のプロセッサに、単一細胞RNA配列決定データを、処理及び細胞型によって分類された単一細胞トランスクリプトームにデコンボリュートさせる。単一細胞RNA配列決定データは、小分子化合物で処理された異なる細胞型の三次元プールからの解離された単一細胞(例えば、異種移植片、オルガノイドなど)、及び小分子化合物で処理されていない異なる細胞型の対照三次元プールからの解離された単一細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実施することによって生成された。1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は更に、1つ以上のプロセッサに、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価させる。
【0070】
ある特定の実施形態では、本開示のシステムの1つ以上のコンピュータ可読媒体の命令は、1つ以上のプロセッサに、分類された単一細胞トランスクリプトームに基づいて、小分子化合物の1つ以上の治療特性を評価させ、1つ以上の治療特性は、薬物との併用療法について小分子化合物が候補であること、小分子化合物の作用機構、疾患サブタイプの治療について小分子化合物が候補であること、又はそれらの任意の組み合わせを含む。これら及び他の種類の評価を実施するためのそのような非一時的コンピュータ可読媒体の命令の例は、本明細書に記載されており、簡潔さのために本明細書に繰り返されない。
【0071】
本開示の実施形態を実装するために、様々なプロセッサベースのシステムを使用することができる。そのようなシステムは、システムの構成要素がバスを使用して互いに電気的に通信しているシステムアーキテクチャを含み得る。システムアーキテクチャは、システムバスに様々に結合された処理ユニット(CPU又はプロセッサ)、並びにキャッシュを含むことができる。バスは、システムメモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含む様々なシステム構成要素をプロセッサに結合する。
【0072】
システムアーキテクチャは、プロセッサに直接接続された、プロセッサに近接した、又はプロセッサの一部として統合された高速メモリのキャッシュを含むことができる。システムアーキテクチャは、プロセッサによる迅速なアクセスのために、メモリ及び/又は記憶デバイスからキャッシュにデータをコピーすることができる。このようにして、キャッシュは、データを待つ間のプロセッサ遅延を回避するパフォーマンスの向上を提供することができる。これら及び他のモジュールは、様々なアクションを実施するようにプロセッサを制御するか、又はプロセッサを制御するように構成することができる。他のシステムメモリも使用可能であり得る。メモリは、異なるパフォーマンス特性を有する複数の異なる種類のメモリを含み得る。プロセッサは、任意の汎用プロセッサ、並びにプロセッサを制御するように構成された、記憶デバイスに記憶された第1、第2、及び第3のモジュールなどのハードウェアモジュール又はソフトウェアモジュール、並びにソフトウェア命令が実際のプロセッサ設計に組み込まれる特殊目的プロセッサを含むことができる。プロセッサは、本質的に、複数のコア又はプロセッサ、バス、メモリコントローラ、キャッシュなどを含む、完全に自己完結型のコンピューティングシステムであり得る。マルチコアプロセッサは、対称又は非対称であり得る。
【0073】
コンピューティングシステムアーキテクチャとのユーザ相互作用を可能にするために、入力デバイスは、音声用のマイクロフォン、ジェスチャ又はグラフィカル入力用のタッチ感知スクリーン、キーボード、マウス、動き入力、音声などの任意の数の入力機構を表すことができる。出力デバイスはまた、いくつかの出力機構のうちの1つ以上であり得る。いくつかの例では、マルチモーダルシステムは、ユーザがコンピューティングシステムアーキテクチャと通信するために複数のタイプの入力を提供することを可能にすることができる。通信インターフェースは、一般に、ユーザ入力及びシステム出力を制御及び管理することができる。任意の特定のハードウェア配置上で動作することに制限はなく、したがって、本明細書の基本的な特徴は、それらが開発されるにつれて、改善されたハードウェア又はファームウェア配置に容易に置き換えられ得る。
【0074】
記憶デバイスは、典型的には不揮発性メモリであり、磁気カセット、フラッシュメモリカード、ソリッドステートメモリデバイス、デジタル多用途ディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、及びそれらのハイブリッドなど、コンピュータによってアクセス可能なデータを記憶することができるハードディスク又は他のタイプのコンピュータ可読媒体であり得る。
【0075】
記憶デバイスは、プロセッサを制御するためのソフトウェアモジュールを含むことができる。他のハードウェア又はソフトウェアモジュールが企図される。記憶デバイスは、システムバスに接続することができる。一態様では、特定の機能を実施するハードウェアモジュールは、開示された技術の様々な機能を実行するために、プロセッサ、バス、出力デバイスなどの必要なハードウェア構成要素に関連してコンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア構成要素を含むことができる。
【0076】
本開示の範囲内の実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令若しくはデータ構造を担持するための、又はコンピュータ実行可能命令若しくはデータ構造を記憶した有形の及び/又は非一時的コンピュータ可読記憶媒体又はデバイスを含み得る。そのような有形のコンピュータ可読記憶デバイスは、上記のような任意の特殊目的プロセッサの機能設計を含む、汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能なデバイスであり得る。限定ではなく例として、そのような有形のコンピュータ可読デバイスは、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又はコンピュータ実行可能命令、データ構造、若しくはプロセッサチップ設計の形態で所望のプログラムコードを担持若しくは記憶するために使用され得る任意の他のデバイスを含み得る。情報又は命令がネットワーク又は別の通信接続(ハードワイヤード、無線、又はそれらの組み合わせのいずれか)を介してコンピュータに提供されるとき、コンピュータは、接続をコンピュータ可読媒体として適切に見る。したがって、任意のそのような接続は、コンピュータ可読媒体と適切に称される。上記の組み合わせも、コンピュータ可読記憶デバイスの範囲内に含まれるべきである。
【0077】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、又は特殊目的処理デバイスに特定の機能又は機能のグループを実施させる命令及びデータを含む。コンピュータ実行可能命令はまた、スタンドアロン環境又はネットワーク環境においてコンピュータによって実行されるプログラムモジュールを含む。一般に、プログラムモジュールは、タスクを実施する、又は抽象的なデータ型を実装する、ルーチン、プログラム、構成要素、データ構造、オブジェクト、及び特殊目的プロセッサの設計に固有の機能などを含む。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例を表す。かかる実行可能命令又は関連するデータ構造の特定のシーケンスは、かかるステップで説明される機能を実装するための対応する動作の例を表す。
【0078】
本開示の他の実施形態は、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベース又はプログラマブルコンシューマエレクトロニクス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む多くの種類のコンピュータシステム構成を有するネットワークコンピューティング環境で実施され得る。実施形態はまた、通信ネットワークを介して(ハードワイヤードリンク、無線リンク、又はそれらの組み合わせのいずれかによって)リンクされるローカル及びリモート処理デバイスによってタスクが実施される分散コンピューティング環境で実施され得る。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカル及びリモートメモリ記憶デバイスの両方に位置し得る。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は、例示として提示されるものであって、限定として提示されるものではない。
【0080】
実験
実施例1-3D不均一細胞プールの作成
この実施例は、3D不均一細胞プールの作成を対象としている。長時間の成長後に採取時に同等の数の細胞を産生する不均一な細胞株のプールを作成するために、異なる人々からの11のヒト細胞株のプールを利用した。プーリングの時点での細胞の数が各株について同等であったプールを作成した。次いで、細胞を、細胞培養物中で7日間の成長の経過に供した。7日後、プールを採取し、10X Chromiumプラットフォーム上で単一細胞RNA配列決定を実施し、単一細胞RNA配列決定Illumina断片ライブラリを得た。ライブラリをIllumina機器上で配列決定し、リードを整列して単一細胞遺伝子発現プロファイルを得た。次いで、逆多重化ソフトウェアを使用して、単一細胞データパッケージを起源の患者に分解した(demuxlet、freemuxlet)。90%を超える単一細胞が細胞株A375からであり、一方で、他の10個の細胞株が、10%未満の残りの細胞数を占めることが決定された。細胞、具体的にはH358、H1975、A549、H1299、SKMEL2、及びSKMEL28の数が少ない/限られていたために、いくつかの細胞株について、正確なトランスクリプトーム状態を得ることができなかった(
図1A~B)。
【0081】
実施例2-成長率平衡3D不均一細胞プール(GENEVA)の作成
この実施例は、成長率平衡3D不均一細胞プールの作成を対象としている。プールを構成する細胞株の成長率を、各細胞株の細胞をプールに添加する前に、細胞成長率アッセイを使用して個別に測定した(H23、H358、H1299、H1975、SKMEL2、MEWO、SKMEL28、HTT144、A375、MIAPACA2、A549)。次いで、これらの成長率を使用して、細胞数を、プーリング時に、i)成長アッセイによって決定された細胞株の成長率と逆の比率で平衡にし、ii)縦成長のために日数にスケーリングした。プーリング、成長、採取、並びに単一細胞RNA配列決定及び分析の後、このようにして平衡にされた細胞株のプールは、異なる細胞株間で細胞型のより均等な分布を産生し、実施例1で得られたプールと比較して、プールに含まれる全ての細胞株からの正確な単一細胞トランスクリプトームプロファイルを可能にした(
図2A~B)。成長率を逆に平衡にさせることによって作成されたプールが、より均等に平衡にされたプールを産生することができることを検証するために、時間に基づく逆成長率平衡の方法論を保持しながら、プールを構成する異なる細胞株を用いて実験を実施した(H358、NCI-H23、H2122、H2030、SW1573、SK-LU-1、H441、CALU-1、H1792、H1373)。この第3のプールはまた、異なる細胞株にわたってより均等に分布する数の細胞を産生することができ、長期間のプールされた成長後の発現プロファイルの正確な転写推論を可能にすることが見出された(
図3A~B)。
【0082】
逆成長率及び時間平衡を用いたこれらの実験は、成長率を測定し、厳密な平衡アプローチに従って、定義された採取時に成長し、均等に表すことができる細胞プールを産生することが不可欠であることを実証した。これらのプールからの少量の試料のサンプリング(100,000個未満の細胞試料)は、起源の全ての細胞株からの代表を含み、一方、成長率逆平衡によって作成されなかったプールについては、起源の全ての細胞株からの代表を含むために、100万個の細胞試料が必要であった(
図1G)。
【0083】
GENEVA包含基準の決定のための成長率測定
付着細胞株を、解凍後の2回の継代のために、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したRPMI中で増殖させた。次いで、細胞株をトリプシン(0.25%)を使用して単一細胞懸濁液に解離させた。次いで、細胞数を電子細胞計数器具を使用して取得し、各細胞株の5,000個の細胞を、2つの同一の96ウェルプレートのウェルに個別に播種した。播種の2時間後、1つのプレートを、2時間でPromegaからのcell-titer-glow(CTG)試薬を使用して細胞生存率についてアッセイした。簡潔に述べると、96ウェルアッセイプレート中の培地をデカンティングによって除去し、50μLのCTG試薬を細胞を含有するプレートに直接添加した。37Cで30分間インキュベーションした後、96ウェル互換性ルミノメータで100Vでプレートを読み取り、細胞生存率を測定した。RPMI 10%FBS中での72時間の成長後、培地をデカンティングによって除去し、50μLのCTG試薬を、細胞を含有するプレートに直接添加した。37℃で30分間インキュベーションした後、96ウェル互換性ルミノメータで100Vでプレートを読み取り、細胞生存率を測定した。成長率を測定するために、72時間の生の発光シグナルを、2時間の発光シグナルで割った。この比は、細胞数の倍増であると推定された。以後、Nf/N0と称する。次いで、式:r=ln(Nf/N0)/tを使用して、各細胞株の成長率を計算した。
式中、「r」は成長率を表し、「t」はアッセイの時間を表し、lnは自然対数を表す。プールを構成する全ての細胞株の成長率は、このやり方で決定され、成長率が0.1を超え、0.4未満の細胞のみが、GENEVAプールに含めるための生存可能な候補であると決定された。これらのパラメータ外の成長率を有する細胞株は、GENEVAプールでの更なる検討から省略された。
【0084】
逆成長率及び時間比によるGENEVA細胞プールの作成
次いで、各細胞型からの表現がそれらの細胞成長率に反比例するように、各細胞型からの細胞を含めることによってプールを作成した。細胞数を採り、以下の計算を実施して、GENEVAプールに播種する細胞懸濁液の体積を決定した。
(標的細胞数/オイラー定数^(成長率*成長日数))/細胞数
ここで、標的細胞数は1億に等しく、成長率は、細胞成長アッセイによって決定された実施された測定値から採られ、成長日数は7日に等しかった。この式を使用して、GENEVA細胞プールに添加される細胞の数を計算し、細胞を単一の懸濁液にまとめた。次いで、細胞を、RPMI、10%FBS中の細胞培養物中で7日間成長させた。細胞を、0.25%トリプシンでの解離によって単一細胞懸濁液に採取した。細胞生存率の推定及び細胞の2000細胞/μLへの希釈に続いて、単一細胞に、「10X Chromium v3.0」プロトコル」に指定されている「GEM生成試薬」を装填した。10X Chromium法に記載されているように、単一細胞懸濁液の更なる処理を実施した。Illumina配列決定を実施して、細胞当たり25,000リードを得た。
【0085】
単一細胞から起源の患者へのデコンボリューションのための単一ヌクレオチド参照パネルの生成
上から続いて、GENEVAプールについて生存可能であると決定された細胞株を、次のように成長のために6ウェル細胞培養プレートに個別に播種した。細胞株をトリプシン(0.25%)を使用して単一細胞懸濁液に解離させた。次いで、電子細胞計数器を使用して細胞数を取得し、各細胞株の200,000個の細胞を、6ウェル細胞培養プレートのウェルに個別に播種した。次いで、2mLの培地を添加して、成長培地として機能させた。2日間の成長後、次いで、培地をデカントし、400uLのTrizol RNA抽出試薬を細胞に直接添加することによって、6ウェルプレートをRNA抽出のために採取した。RNAの抽出は、ThermoFisher Trizol RNA抽出法を使用した。次いで、この手順を使用して抽出されたRNAを、RNAseフリーの微小遠心チューブに移し、2uLのRNA溶液をナノドロップ器具上にアリコートすることによって純度をアッセイした。Illumina互換性DNAライブラリを、Lexogenの「Quantseq」キットを使用して調製し、Illumina機器上で配列決定した。
【0086】
GENEVAに適した細胞株からのプールされた遺伝的シグネチャデータ生成
次いで、GENEVAプールについて生存可能であると決定された細胞株を、GENEVAプールされた遺伝的シグネチャデータ生成のための細胞株の均等に分布したプール混合物に調製した。細胞株をトリプシン(0.25%)を使用して単一細胞懸濁液に解離させた。次いで、細胞数を電子細胞計数器を使用して採取し、各細胞株の500,000個の細胞を、4℃(4C)で5mLの1倍のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含有する1つの50mLの円錐形チューブに個別に播種した。全ての細胞株をプールされたGENEVA細胞株のチューブに添加した後、400gで10分間、4Cで遠心分離を実施した。上清をデカントし、細胞ペレットを5mLの1倍のPBSで再懸濁した。細胞を400gで10分間、4Cで再び回転させ、上清をデカントし、ペレットを2.5mLの1倍のPBSで再懸濁した。細胞を400gで10分間、4Cで再び回転させ、上清をデカントし、ペレットを0.5mLの1倍のPBSで再懸濁し、得られた溶液を45ミクロンフィルタチューブを通して濾過して、汚染トリプシン及びウシ胎児血清を含まないプールされた細胞株の単一細胞懸濁液を得た。次いで、この溶液を自動細胞計数器を使用して計数し、2000細胞/μLに希釈した。また、Trypan Blue、1倍のPBS:GENEVAプール、1倍のPBSを1:1で計数で得ることによって、生細胞の推定を実施した。85%を超える場合のプールの生存率を、単一細胞RNA配列決定調製のために進行させた。細胞生存率の推定及び細胞の2000細胞/μLへの希釈に続いて、単一細胞に、「10X Chromium v3.0」プロトコルで指定される「GEM生成試薬」を充填し、得られたIlluminaライブラリを、細胞当たり25,000リードの深度まで配列決定した。
【0087】
i)個々の細胞株遺伝的シグネチャデータセットと、ii)プールされたGENEVA遺伝的シグネチャデータセットとの統合による、GENEVA関連単一ヌクレオチド多型リストの作成
単一ヌクレオチド参照パネルからの配列決定データを最初に計算的に分解して、RNA配列決定データからきれいな単一ヌクレオチド多型呼び出しを得た。配列決定ファイル(fastqフォーマット)をリードごとにトリミングして、ポリ-アデニル化及びTruseq Illumina配列決定アダプター汚染を除去し、「bwa」全ゲノム整列ツールを使用して整列させ、「samtools」ツールを使用してソート及びフォーマットし、「umi_tools」ツールを使用して一意の分子識別子によって重複除外した。配列アーチファクトをクリーニングし、ゲノム位置に完全に整列した個々のリードを、次いで、ツール「samtools mpileup」を使用して位置ごとにスタックし、次いで、「bcftools」及び「vcf-merge」ツールを使用して、bcf及び最終的に単一のマージされたvcfデータ構造フォーマットに変換した。セクション1.d(上記)からの配列決定データを計算的に分解して、単一細胞トランスクリプトームから完全なゲノム整列データを得た。配列決定ファイル(fastqフォーマット)を、として10X Genomicsからの「cellranger」ツールを使用して、整列させた「.bam」フォーマットに処理した。次いで、得られた「.bam」ファイルを、個々の細胞株vcfファイルと併せて下流データ統合に使用した。個々の細胞株からの全ての検出されたSNP変異(セクション1.d.i)を含むマージされた「.vcf」ファイルと、単一細胞RNA配列決定方法を使用して生成されたそれらの同じ株から作成されたGENEVAプールからの全てのSNP変異を含む「.bam」ファイルとを、SNPによる下流GENEVA逆多重化に使用される関連のSNPの選択及びフィルタリングのためのデータ統合のための入力として使用した。データ統合は、GENEVAプールからの単一細胞のそれらの起源の細胞株に戻す正確な遺伝子型決定を妨げる、計算的に無情報のSNPを除去することを目的として実施した。マージされた「.vcf」ファイルは、遺伝子座当たり250超のリードのフィルタリング基準で「.bam」ファイルと交差して、「bedtools intersect」ツールを使用して両方のデータセット間の信頼性の高いリードマッピングのみを可能にした。次いで、これらのSNPを、vcfアルゴリズムの改善を測定する方法としてツール「demuxlet」を統合する再帰的アルゴリズムを使用して更にフィルタリングした。アルゴリズムは、マージされたvcfファイルから各SNPを個別に削除して、テスト対象としてデータが差し引かれた「.vcf」ファイルを生成した。次いで、このデータが差し引かれた「.vcf」ファイルを「.bam」ファイルと併せて使用して、SNP忠実度による逆多重化の尺度である相対シングレット比を提供するdemuxletを実行した。SNP忠実度による全体的な逆多重化に対する単一SNPの個々の寄与を反復的にテストすることによって、高品質SNPの限られたリストに到達し、この特定のGENEVAプールを使用した下流逆多重化及び更なるGENEVA実験のための高品質参照SNPとして使用した。
【0088】
実施例3-非成長平衡及び成長平衡3D不均一細胞プールに対して長時間プール成長及び薬物処理を実施する能力の比較
この実施例は、細胞への長期的な薬物の影響を理解することを可能にするために、薬物化合物で処理しながら、72時間を超えてプールを成長させることを対象としている。
【0089】
14日間の長期の処理持続時間を使用して、プールは、以下の式で「成長日数」変数を14に設定することによって、実施例2に記載されるように平衡にされた。
(標的細胞密度/オイラー定数^(成長率*成長日数))/細胞数
【0090】
様々なモデルシステムに移植された不均一細胞プールを作成した。処理されたプールの少量の試料(総細胞の約1%)は、14日間の処理にわたってその細胞株に対する薬物の影響を正確に評価するのに十分な起源の全ての細胞からの細胞を含有していた(
図1C、D、E、F)。対照的に、非成長平衡不均一3D細胞プール内の細胞の90%は、1つの細胞型からのものであった(
図1A、B)。
【0091】
実施例4-GENEVA細胞プールを使用したインビボ又はエクスビボ3Dモデルシステムの作成
この実施例は、インビボマウスモデル及びインビトロ3Dモデルシステムなどの複雑なモデルシステムに対する、薬物治療を使用した長期処理の影響を評価することを対象としている。
【0092】
長期間の薬物処理のために調整された成長率平衡不均一細胞プールを使用して、4つのヒト患者由来異種移植片(PDX)モデルからプールを作成し、脇腹異種移植片マウスモデルにプールされた腫瘍として移植した。プールされた腫瘍を、分子ARS-1620を用いて14日間強制的に経口投与することによってマウスに薬物を与えた。治療間隔の後、腫瘍をマウスから採取し、単一細胞RNA配列決定、遺伝子逆多重化(実施例2に示すように)、及びバーコード化抗体を使用した試料ハッシュを実施した。トランスクリプトームへの薬物表現型及び薬物変化の推論のために、各PDX遺伝的背景及び薬物処理条件(
図2C、D)から十分な数の細胞を観察した。4つのPDXモデルからのプールを、3Dオルガノイドモデルシステムにおける14日間の薬物処理のための移植のために作成した。細胞プールを、3つの増加用量のARS-1620(0.4uM、1.6uM、25.0uM)及び1つのビヒクル条件で14日間処理した。処理間隔の後、3Dオルガノイドから腫瘍を採取し、単一細胞RNA配列決定、遺伝子逆多重化、及び試料ハッシュを実施した。オルガノイドモデルにおいて、各PDX遺伝的背景及び薬物処理条件(
図2A、B)から十分な数の細胞を観察した。上記の方法を使用して、インビボ脇腹異種移植片マウスモデルに移植するためにヒト細胞株を使用してプールを更に作成した。
【0093】
3DオルガノイドGENEVAモデルの移植、薬剤投与、及び採取
5mLのマトリゲル基底膜試薬を、5M/mLの最終濃度の成長率平衡によって調製したGENEVAプールに添加した。50マイクロリットルのこの溶液を6ウェルプレートに移し、37Cで30分間インキュベートした。オルガノイド培地(高度なDMEM/F12バース、1×N-2、1×B-27、10mMのHEPES、2mMのL-グルタミン、1×Pen-Strep、500ng/mLのFGF10、1%のFBS)を、一晩の回収のために細胞に添加した。16時間後、オルガノイドに、オルガノイド培地中で希釈した薬物化合物で薬剤化した。オルガノイドを、新鮮な薬物化合物培地を72時間ごとに添加した薬物培地中で14日間成長させた。14日目に、オルガノイドを手動解離によって採取し、1:1のDMEM:F12細胞培地、DNAse I(10U/uL)中の10mg/mLのリベラーゼTM細胞解離試薬中に再懸濁した。オルガノイドを、酵素解離のために、600RPMで45分間振盪しながら37Cインキュベーター内でインキュベートし、次いで、4Cで800gで5分間スピンダウンした。解離したオルガノイドを100μLの1倍のPBS中に再懸濁させた。
【0094】
インビボGENEVAモデルの移植、薬剤化、及び採取
2mLのマトリゲル基底膜試薬を、20M/mLの最終濃度の成長率平衡によって調製したGENEVAプールに添加した。100マイクロリットルのこの溶液を、脇腹異種移植片注射でNSGマウスに注射した。24時間後、GENEVA腫瘍を有するマウスに、5%のDMSO、95%のラブラソルのビヒクル溶液中で薬物化合物で薬剤化した。マウスに14日間の経口強制投与を行い、5日間投与し、2日間投与を中止した。14日目に、マウスを犠牲にし、外科用せん断による均質化によって腫瘍を採取し、1:1のDMEM:F12細胞培地、DNAse I(10U/μL)中の5mg/mLのLiberase(商標)細胞解離試薬中に再懸濁した。腫瘍を、酵素解離のために600RPMで45分間振盪しながら37℃のインキュベーター内でインキュベートし、次いで4℃で800gで5分間スピンダウンさせた。解離した腫瘍を100μLの1倍のPBSに再懸濁させた。
【0095】
実施例5-単一RNA配列決定及びトランスクリプトーム解析による細胞起源の同定
この実施例は、患者又は起源の細胞株への単一細胞の付与を対象としている。GENEVA実験からのデータを使用して、GENEVAプールされたmRNAライブラリに対応するfastq配列決定ファイル及び既知の遺伝子型を有する個々の生成された参照VCFファイルを得た。GENEVA mRNAライブラリを、ツールfreemuxlet及びdemuxlet(github.com/statgen/popscle)を使用してデコンボリュートした。コンセンサスアプローチを採用して、demuxletアプローチからのfreemuxlet及び既知の集団によってユニーク個体と呼ばれるクラスターをマッチングした。次いで、この遺伝子単独のアプローチをトランスクリプトーム情報と統合した。GENEVA mRNAライブラリデータを使用して細胞をクラスター化し、10以上のライデン稀少性因子を有するクラスターを呼び出した。次いで、各転写的に定義されたライデンクラスターと各遺伝子単独集団との間に最大尤度マッチを与えて、各トランスクリプトームクラスターのパーセント頻度表現を得た。70%超のカットオフを実装して、トランスクリプトームと遺伝子との間で高い精度を有し、この閾値未満のクラスターを除去したクラスターを取得した。
【0096】
遺伝学によるデコンボリューション
単一細胞を、単一細胞RNAに基づく単一ヌクレオチド多型呼び出しに基づいてデコンボリュートした。freemuxletを、実験への入力として使用される細胞型の数で固定されたクラスター番号で実行した。freemuxletによって決定されるように、遺伝的に異なる細胞の各群に与えられたSNPを表すVCFファイルを得た。次いで、単一株遺伝子型決定から生成された参照VCFを使用して、demuxletを実行した。次いで、最大尤度アプローチを使用して、デマクレットに使用されるVCFファイルとVCFファイルとの間でSNPを交差させ、各未知のfreemuxletクラスターをdemuxlet VCFファイルから既知の参照細胞株に与えて、遺伝子型による最終的なクラスター付与を取得した。
【0097】
遺伝学によるデコンボリューションによるトランスクリプトーム情報の統合
mRNAリードからの単一細胞RNA配列決定フォーマットされた遺伝子数マトリックスデータを、遺伝学によるデコンボリューションによって与えられた単一細胞遺伝子型呼び出しと重ねた。これらの単一細胞遺伝子型呼び出しの知識がない場合、オーバークラスタリングが、10を超えるライデン稀少性因子で、又はライデン因子の付与によって行われ、以下の式に従ってクラスターの総数をもたらした。
clusters_number=10*number_of_celltypes_in_pool
【0098】
トランスクリプトームベース及び遺伝子ベースの呼び出しのカスタム統合機能を使用して、両方のデータソースに基づいて与えられた細胞型の最終リストに到達した。各ライデンクラスターについて、特定のSNP決定遺伝子型に属するそのクラスター内の細胞の割合を計算した。そのクラスター由来の細胞が70%を超える1つのSNP決定遺伝子型に属する場合、このクラスターは、遺伝子及びトランスクリプトーム方法の両方によって高い信頼性としてマークされ、そのクラスターに対する遺伝子型割り当ては、全ての細胞の70%を超える集団に変更された。70%未満の信頼性を有する他の全てのクラスターは、遺伝学的付与及びトランスクリプトーム的付与の両方の間で調和していない低信頼性データポイントとして欠失のためにマークされた。
【0099】
実施例5の代表的なコード:
format_freemuxvcf:
###試料を一意に区別するもののみをサブセットする
freemux_uniq=freemux_full.apply(lambda row:is_uniq(row),axis=1)
format_demuxletvcf:
###試料を一意に区別するもののみをサブセットする
demux_uniq=demux_full[demux_full.index.isin(freemux_uniq.index)]
match_demux_freemux(demux_uniq,freemux_uniq):
######freemuxとdemuxとの間で2つのsnpを比較する
snpsum=
compare_snps(demux_uniq.loc[snpid],freemux_uniq.loc[snpid])
######比較の可能な総数を得る
snptotals=get_snptotals(demux_uniq)
######比較の可能な総数によって除算する
tmp_row=[x/snptotals[i]for x in tmp_row]
print(snptotals[i],tmp_row)
sums_matrix.append(tmp_row)\
######最終の付与辞書を得る
assign_dict=get_assigndict(sums_matrix)
######単一細胞データへのdemuxlet付与
correct_demuxlet(adata,cutoff=0.7,label=’cell_type’):
#####この機能は、トランスクリプトーム空間における各クラスターに細胞型を与えることによってdemuxlet及びトランスクリプトーム呼び出しを補正する統合する。最大細胞型の割合を参照するパラメータ内に定義されたカットオフを使用する。######
celldict={}
###
セット内のクラストについて(adata.obs.leiden):
##最初にクラスターのみを得る
clustdf=adata[adata.obs.leiden==clust].obs
##割合を計算する
props=clustdf.groupby(label).count()[’barcode’]/(len(clustdf))
##カットオフに基づいて過半数があるかどうかを見る
majorcell=props[props>cutoff].index.tolist()
##全てのcell_type値を最も豊富な値に変える
cells=clustdf.index.tolist()
if len(majorcell)==1:
##辞書に加える
celldict[clust]=majorcell[0]
else:
celldict[clust]=’delete’
###細胞型呼び出しを置き替える
adata.obs[label]=adata.obs.apply(lambda row:
replace_celltypes(celldict,row,label),axis=1)
###信頼のない呼び出し(推定ダブレット)としてフラグされた細胞を除去する
adata=adata[adata.obs[label]!=’delete’]
【0100】
実施例6-試料ハッシュ抗体のノイズ補正されたアルゴリズムを使用した実験試料起源の同定
この実施例は、ノイズ補正された試料ハッシュアルゴリズムを使用して、単一細胞をそれらの起源の試料に与えることを対象としている。カスタムベースラインリード調整されたアルゴリズムを使用して、抗体標識(BiolegendからのTotalseq)サブライブラリデータに従って単一細胞を逆多重化した。各細胞を、その起源の細胞プールにマッピングした(又は等価に、それが処理された薬物にマッピングした)。各細胞の付与に関連付けられた信頼度メトリックを開発し、試料起源同定の精度を90%を超えるまで改善し、精度は、最大リード付与の標準的な方法よりも増加した(
図9A)。
【0101】
カスタムベースラインリード調整アルゴリズム
ここに記載されるステップは、カスタムベースラインリード調整アルゴリズムの動作を概説する。10X Genomics Cellranger Pipelineからのホワイトリストとしての単一細胞RNA配列決定バーコード識別子が得られた。抗体ハッシュ配列及びそれらのハッシュに関連付けられた対応する試料をリストする表を生成した。生のfastqデータをリードし、生のリードから定数配列を取り除き、scRNAseqバーコード領域のみ及び抗体標識バーコード領域のみを単離した。バーコードを、1のハミング距離内でscRNAseqバーコードリードから単一細胞ホワイトリストに修正した。バーコードを、1のハミング距離内の抗体ハッシュ配列への抗体標識バーコードリードから修正した。リードは、両方のホワイトリストと絶対一致するように修正されたバーコードをポストハミングすることによってフィルタリングした。次いで、バーコードを中央値ベースラインリード調整アルゴリズムによって与えた。各抗体ハッシュについて、減算するバックグラウンドノイズは、以下の式に従って計算した:
median_correction_factor*median_reads_per_antibody
ここで、median_correction_factorは、通常、最高のパフォーマンスのために約1.6である。各細胞について、その特異的抗体ハッシュのバックグラウンドとして計算されたリード数を差し引いて、生リードのカスタム抗体当たりのノイズ除去データセットを取得した。各細胞について、各抗体ハッシュからのリードの割合を計算した。単一細胞バーコードの最終リスト、及びそれらの対応する最高確率抗体ハッシュ、及び対応する信頼区間値を返した。信頼区間は、最良の識別子からのリードの割合を取り、2番目の最良の識別子からのリードの割合を差し引いて計算した。各細胞からの最もスコアリングされた抗体ハッシュを最良の識別子として与えた。信頼区間が0.4以下の細胞を除去した。
【0102】
実施例6の代表的なコード
def correct_median(readmatrixmed_factor=1.4):
#####各バーコードの係数を掛けた中央値を引く(つまり、背景を除去する)
testmed=pivot.transpose()-med_factor*(pivot.transpose().apply(np.median))
#####負数をゼロに設定する
testmed[testmed<0]=0
###細胞ごとにpctを計算する
testmed=testmed/testmed.sum()
####有意値を得て細胞を呼び出す
new=test.copy()
new[’call’]=test.apply(lambda row:get_sig(list(row),list(test.columns)),axis=1)
pymulti(R1,R2,bcs10x,len_10x=16,len_umi=12,len_multi=8,med_factor=1.6,gbc_thresh=None,sampname=’pymulti_’,split=True,plots=True,hamming=False,thresh=False,pct_only=False,median_only=False,huge=False,bcsmulti=None,reads=None,thresh_dict={}):
”””main loop,splits from fastqs and runs through cell calls
R1=multiseq/ハッシュ分数のRead1 fastq
R2=multiseq/ハッシュ分数のRead2 fastq
bcsmulti=既知のmultiseq/ハッシュバーコードのホワイトリスト
bcs10x=既知の細胞識別子のホワイトリスト
len10x=10xバーコードの長さ
len_umi=リードの各対のumiの長さ
len_multi=パッケージが分割するmultiseqバーコード配列の長さ
med_factor=中央値補正を行う場合、これは、バーコード当たりの背景リードの量を推定するために中央値によって掛けられる係数である
sampname=これは、中間ファイルが保存されるハンドルである
split=まだfastqからこれを分割していない場合はTrueであり、既にこれを分割しおり、処理を戻したい場合はFalseである。これは時間を節約する。
hamming=multiseq/ハッシュホワイトリストに対して1のハミング距離内で一致multiseqハーコードを使用したい場合はTrueである
thresh=リード、異なる補正方法をゲートするために閾値を使用したい場合はTrueである
pct_only=リードの生の割合のみを使用してバーコードを呼び出したい場合はTrueである
median_only=中央値補正方法を使用したい場合はTrueである
huge=ファイルが巨大な場合にTrueであり、この場合、ピクリングではなくh5ファイルとして保存される
thresh_dict=バーコードの辞書:試料のリードをゲートするために使用される閾値
”””
###
if huge==True:print(「巨大なfastqsを想定する」)
###fastqsとピックルとを分割
os.system(’mkdir pymulti’)
if split==True:reads=
split_rawdata(R1,R2,len_10x,len_umi,len_multi,sampname,huge=huge)
###古いピックルデータをリードする
readtable=read_pickle(sampname,reads=reads,huge=huge)
#####マルチレート及び10倍レートの重複をチェックする
multirate=check_stats(readtable,bcsmulti,bcs10x)
####ハミング距離で一致する
if hamming==True:
readtable.drop_duplicates(inplace=True)
matchby_hamdist(readtable,bcsmulti,bcs10x)
#####マルチレート及び10倍レートの重複をチェックする
multirate=check_stats(readtable,bcsmulti,bcs10x)
####フィルターリード表
filtd=filter_readtable(readtable,bcsmulti,bcs10x,gbc_thresh)
####分布zscores内でのmultiseq補正を実装する
if median_only==True:
correct_median(filtd,sampname,med_factor,plots)
else:
correct_simple(filtd,sampname,plots,thresh,pct_only,thresh_dict)
return(filtd)
【0103】
実施例7-GENEVAを使用した候補薬剤に対する感受性の遺伝的ドライバーの決定
この実施例は、GENEVA細胞プールからの表現型の同時推論による、薬物化合物に対する感受性の遺伝的ドライバーの発見を対象としている。長期間の成長平衡細胞プールを作成し、薬物処理に供した。実施例5に記載の方法を使用した遺伝子逆多重化及び実施例6に記載の試料ハッシュ逆多重化を使用した起源の患者及び薬物処理状態への付与の後、
図2A、B、C、D、E、Fに示されるように、各薬物処理条件における別個の数の細胞を有するデータセットを得た。各細胞型について、各薬物処理条件で残っている生存細胞の相対数を計数し、この薬物感受性情報を線形モデルの応答変数として使用した。全ての細胞株についての完全なエクソーム遺伝子変異データを取得し、これらの特徴を線形モデル回帰の説明変数として使用した。ラッソ特徴選択モデルを適用して、どの遺伝子変異が異なる化合物に対する薬物感受性に関与したかを決定した。特定の遺伝子突然変異を有する細胞株を標的とする既知の化合物、具体的には、BRAF.V600E突然変異を有する細胞を標的とするベムラフィニブ(VEM)、又はKRAS.G12C突然変異を有する細胞を標的とするARS-1620(ARS)を概念実験の実証に使用した。ラッソモデルを使用した回帰は、これらの化合物に関する事前の知識に沿って、ベムラフィニブ及びARS-1620の両方について、化合物に対する感受性を誘発する変異を正しく予測した(
図3B、3C)。いくつかの用量のARS1620を使用して、同時にIC50測定に相当する複数の細胞型(
図3D)の生存曲線を生成するのに十分な情報を1つのプールされた実験で生成した。これらの相対的感受性を、細胞株にわたって比較して、ARS1620に対して多かれ少なかれ感受性であった細胞株をランク付けした(
図3E)。
【0104】
薬物表現型の決定に、GENEVAアッセイからのトランスクリプトーム的データも使用した。インビボ及びエクスビボシステムの両方でARS-1620を使用した薬物処理後、既知のKRAS.G12C変異を有する患者由来の異種移植片は、細胞周期阻害率の推定によって、化合物(患者877及び233)に感受性であることが示された(
図3F)。このPDXの文脈では、データセットはまた、感受性のあるドライバー変異(KRAS.G12C)を推測することを可能にした。
【0105】
薬物に対する細胞型の適応度の計算
各薬物条件における細胞の数を、起源細胞型に従って計数した。次いで、これらの生の数値を、薬物処理条件間の総細胞数の差を調整し、以下の式に従って、各細胞型について調整された適応度計算を返す正規化ベースの関数の入力として使用した。
【0106】
各細胞型について、Ciは、各薬物及びビヒクル対について、それぞれ、Dx及びD0、並びに以下のデータ構造を有する細胞数の行列を与えられる:
【表1】
比例表現に基づいて、薬物Dxに対する細胞型Ciの適応度を以下のように計算した:
F(Ci,Dx)=((#cells Dx,Ci)/SUM(#cells Dx))/(#cells D0,Ci)/SUM(#cells D0))
【0107】
試料はまた、比例計算を逃れる可能性のある総細胞数の差異を考慮して調整係数を計算することによって、相対的な試料正規化に従って、データセットサイズに基づいて調整した。
【0108】
各薬物又はビヒクルDxについて、各条件での細胞の総数を計数し、総細胞数の幾何平均を計算し、各条件での細胞の総数を細胞数の幾何平均で割って、正規化比率を得た。以下の行列を各条件Dxの対応する正規化で割って、幾何平均比ベースの補正に従ってデータセットサイズに対して調整された細胞数の最終補正行列を得た。
【表2】
【0109】
これらの適応度計算の各々について、相対適応度は次のように計算された:
細胞株の適応度Y=
(細胞株Yの適応度)/(プール内の全ての細胞株間の最大適応度)
【0110】
薬物感受性の遺伝子型ドライバーの発見のためのラッソ回帰
各細胞型についての全エクソームデータ配列決定データに由来する変異をダウンロードし、少なくとも2つの異なる細胞型にわたる交差のために分類した。次いで、これらを、特徴選択のためのラッソ回帰アルゴリズムへの入力に適した従属変数の表にフォーマットした。対になった方法で、各細胞株の適応度も計算され、ラッソアルゴリズムの応答変数としてフォーマットされた。次に、ラッソ回帰を、0.05~0.30の間のアルファで、50の間隔ステップで実行して、GENEVA細胞応答を予測する最も関連性の高い変異を見出した。最高スコアの説明変数遺伝子変異は、それらの共変量によってランク付けされ、薬物感受性のドライバーとして指定された。
【0111】
ARS-1620複数用量曲線にわたるGENEVA表現型に基づく再構築されたIC50曲線
細胞数を、異なる薬物処理条件にわたって、具体的には、異なる濃度の薬物にわたって得た。採取時点で、これらの数値に注釈を付け、各細胞型の細胞の絶対数を計算するために使用した。式は以下のとおりとした。
薬物条件Dxにおける細胞型Cyの細胞の絶対数=
(DxにおけるCyの計数された細胞数)/
(Dxでの計数された細胞の総数)*
採取時の注釈から計数された細胞の数
【0112】
次いで、これらの数値をロジスティック回帰適合への入力として使用し、IC50曲線を複数の投与細胞数から補間した。
【0113】
表現型リードアウトとしての細胞計数の代替プロキシとしての細胞周期阻害率の決定
細胞周期は、異なる細胞周期状態に関連する目的の特定の遺伝子に従って、全トランスクリプトームのリードアウト及び重み付けを回帰させることによって計算した。細胞をG1、S、及びG2/Mに与えた。次いで、細胞周期比を、集団当たりの細胞の割合として計算した。
(G2Mの#cells)/(合計#cells)
【0114】
次いで、これらの比率を、それらが供される受ける実験用量レジメンにわたる線形関数としてプロットした。この場合、ARS-1620(uM)の用量曲線である。この関数の、
x=ARS-1620(uM)
y=(G2Mの#cells)/(合計#cells) との線形適合は、
傾きが細胞周期阻害率として決定された関数をもたらし、長い経過にわたるトランスクリプトーム薬物摂動データのみに由来する表現型を測定するための別の方法を反映した。
【0115】
実施例7の代表的なコード
##########
薬物に対する細胞型の適応度の計算
##########
####各処理データセットの長さを得る
sizedict={}
セット内の薬物(adata.obs[treatment]):
onedf=adata[adata.obs[treatment]==drug].obs
sizedict[drug]=len(onedf)
####deseq normalize
deseq_norm==Trueの場合:
##型別に細胞を計数する
セット内の細胞型について(adata.obs[label]):
####計数する
onedf=adata[adata.obs[label]==celltype]
props=pd.DataFrame(onedf.groupby([treatment]).count()[’barcode’])
results[celltype]=props[’barcode’]
#####疑似参照を作成しdeseqを実行する
pseudo=results/gmean(results.iloc[:,:],axis=0)
#####補正する
results=results.transpose()/ratio.tolist()
#####全てをビヒクルで割る
results=results.div(results[vehicle],axis=0)
####定期的な正規化
else:
####ビヒクルに対する適応度を得るために、細胞株ごとに相対的な割合を計算する
##データを結果に保存する
セット内の細胞型について(adata.obs[label]):
####計数する
onedf=adata[adata.obs[label]==celltype].obs
props=pd.DataFrame(onedf.groupby([treatment]).count()[’barcode’])
props=pd.DataFrame(props.apply(lambda row:row[’barcode’]/sizedict[row.name],axis=1))
###全てをビヒクルで割る
results=results.div(results[vehicle],axis=0)
###全てを最大にスケーリングする
results=results/results.max()
##########
薬物感受性の遺伝子型ドライバーの発見のためのラッソ回帰
##########
#######2つ以上に存在する変異のみを得る
uniq=pd.DataFrame(mutations_table.sum(axis=0))
uniq=uniq[uniq[0]!=1]
uniq=uniq.index.tolist()
table=table[uniq]
#####応答変数をインポートする
vem=fitness[’VEM’]
ars=fitness[’ARS1620’]
########応答変数を遺伝子発現データに入れる
vem_x[’y’]=vem_x.apply(lambda row:vemurafinib_dict[row.name],axis=1)
############検索するアルファ範囲を定義する
alphas=np.linspace(0.05,0.3,50)
alphas=alphas[::-1]
coefs=[]
########アルファを計算する
アルファにおけるアルファ:
reg=linear_model.Lasso (alpha=alpha)
reg.fit(vem_x,vem_y)
coefs.append(reg.coef_)
########全ての遺伝子変異の係数を視覚化する
log_alphas=-np.log10(alphas)
coefs=np.transpose(coefs)
coef,c in zip(coefs,colors):
plt.plot(log_alphas,coef,c=np.random.rand(3,),linewidth=3.0)
##########
ARS-1620複数用量曲線にわたるGENEVA表現型に基づく再構築されたIC50曲線
##########
####細胞型及び薬物にわたって細胞の数をスケーリングする
tmp=invitro_clean.obs[[’cell_line’,’sample’]]
tmp=pd.pivot_table(tmp,values=’index’,index=[’cell_line’],columns=[’sample’],
aggfunc=lambda x:len(x.unique()))
####用量レジメンを定義する
conc_dict={
’C0_1’:0.00,
’C0_2’:0.00,
’C1_1’:0.4,
’C1_2’:0.4,
’C2_1’:1.6,
’C2_2’:1.6,
’C3_2’:6.3,
’C4_1’:25.0,
’C4_2’:25.0
}
#####採取時の注釈からの細胞数を掛ける
tmp=tmp*[annotated_actual_cell_counts]
####ロジスティック回帰
sns.lmplot(data=tmp,x=”concentration(uM)”,y=”%survival,logistic=True)
【0116】
実施例8-GENEVAを使用した長期薬物処理における候補薬剤のミトコンドリア作用機構の同定
この実施例は、GENEVAを使用したミトコンドリア遺伝子下方制御による化合物ARS1620の作用の分子機構の同定を対象としている。
【0117】
長期間のGENEVAプールは、ARS1620がヒト細胞内で持続的な腫瘍退縮をどのように達成したかを理解するために作成された。7日間の薬物処理レジメンを行い、生存細胞のトランスクリプトーム変化を分析した。ミトコンドリアにコードされた遺伝子を下方制御し、ミトコンドリアに対するARS1620の効果を示した(
図6A~B)。検証として、ARS1620下で長期処理を行った実験株の生成は、ミトコンドリアが長期ARS1620処理後に有意に除去されることを示した(
図6C)。細胞呼吸のアッセイを使用して、ミトコンドリアの部位での機能的酸素消費量の有意差も、ARS1620処理の結果として検出された(
図6D)。GENEVAプールを構成する各細胞株内の細胞の亜集団組成物の分析は、ARS1620による薬物処理後、生存した細胞は、全体的なリードと比較して、有意に低いミトコンドリアリードの割合を示したことを明らかにし、ミトコンドリア遺伝子発現が下方制御された細胞の集団レベル選択圧を示した(
図6E)。
【0118】
因果遺伝子セット発見のための薬物条件と非薬物条件との間の各細胞株の差異的発現
各細胞株について、単一細胞データセットを、ビヒクル処理されたものと薬物処理されたものとの2つのサブデータセットに分割した。差異的発現は、2試料t検定を使用して2つの単一細胞データセット間で計算した。2試料t検定出力から各遺伝子の差異的発現スコアを得た。全ての細胞株を完了するまで繰り返し、遺伝子の全ての差異的発現スコアを、細胞株ごとに集約された差異的発現表に保存した。細胞を、試験した化合物に対する表現型感受性に従ってグループ化した。試験した化合物については、本明細書に先に記載したように、化合物感受性の遺伝的ドライバーを発見した。遺伝的ドライバーを使用して、細胞株は、ドライバーの存在又は非存在によって、感受性と非感受性の2つのカテゴリーに分類された。差異的発現行列を、感受性及び非感受性細胞株にグループ化した。各細胞株内の遺伝子のzスコアを計算し、遺伝子を、科学文献からキュレーションされた生物学的遺伝子セットデータベースからの遺伝子セットによってグループ化し、グループ化されたzスコアを有する2つの試料T検定を実施した。第一に、全ての差異的発現スコアを、各細胞株内のzスコアによって同じスケールに正規化した。差異的発現行列内の全ての遺伝子について、mSIGDBデータベースの各々から取り出されたグループ化の辞書を作成した(https://www.gsea-msigdb.org/gsea/msigdb/)。mSIGDBからの遺伝子の各グループ化について、2つの試料T検定を、全ての「感受性」及び「非感受性」細胞株を複製物として個別に取り扱う各遺伝子セットについて実施した。各遺伝子検査からの要約統計を保存し、zスコア差を計算した。目的の分子の生物学的作用機構は、各遺伝子セットからのzスコア結果の中央値を順位付けして、化合物に応答して遺伝子セットの相対的な上方制御又は下方制御を決定することによって決定した。
【0119】
実施例8の代表的なコード
####デスコア行列
de_score_all_lines
####msigdbフルデータベース
msigdb
####
de_zscored_all_lines=de_score_all_lines.apply(zscore, axis=0)
genesets_zscored=de_zscored_all_lines.groupby(by=msigdb)
ttest_results=genesets_zscored.apply(lambda row:stats.ttest_ind(row[’sensitive’],row[‘insensitive’]),axis=1)
median_zscore_results=genesets_zscored.apply(lambda row:np.median(row[’sensitive’])-np.median(row[‘insensitive’]),axis=1)
####これらは、遺伝的ドライバーによって分類された、感受性の高い、感受性の低い株の同一性である
sensitive_lines
insensitive_lines
####デスコア行列
de_score_all_lines
####
de_score_all_linesのcell_lineの場合:
if cell_line in sensitive_lines:
de_score_all_lines[cell_line].index.replace(“sensitive”)
if cell_line in insensitive_lines:
de_score_all_lines[cell_line].index.replace(“insensitive”)
###scdataには、全ての単一細胞データがanndataデータ構造フォーマットで含まれている
###de_score_all_linesには、このセクションからの最終出力が含まれている
scanpyをscとしてインポートする
all_linesのcell_lineの場合:
vehicle_data=scdata[scdata.obs.drug==‘vehicle’]
drug_data=scdata[scdata.obs.drug==‘drug’]
differential_expression=sc.tl.rank_genes_groups(vehicle_data,drug_data,method=’t-test’)
de_score=scdata.uns[‘t-test’][‘scores’]
de_score_all_lines.append(de_score)
【0120】
実施例9-GENEVAを使用してフェロトーシスを誘導する際の候補薬剤の作用機構の同定
この実施例は、GENEVA細胞プールを使用したフェリチン遺伝子の上方制御による化合物ARS1620の作用の分子機構の同定を対象としている。
【0121】
上方制御された遺伝子を、長期のARS1620処理を生存する細胞の細胞プール内のKRAS.G12C株にわたって分析した。細胞株にわたって一貫して上方制御された遺伝子は、抗フェロトーシス応答機構に関与することが見出された(
図7A、B)。この遺伝子群の中には、不安定な遊離鉄の隔離に関与するフェリチン錯体の2つの構成要素であるFTH1及びFTLがあった。脂質過酸化生細胞プローブを使用して、脂質過酸化-フェロトーシスの特徴的な表現型のうちの1つ-を、ARS-1620処理に応答して測定した。用量曲線は、ARS-1620が用量依存的に脂質過酸化を誘導したことを実証した(
図7C)。更に、細胞生存及び脂質過酸化動態をフェロトーシスの既知の誘導因子(エラスチン及びアルトレタミン)と比較すると、ARS-1620は、これらのフェロトーシス誘導因子とそのフェロトーシス/生存動態において同様に挙動することが示された(
図7D)。生存及び正規化された脂質過酸化曲線は、同様の薬力学を実証する3つの化合物全てにおいて、IC50生存値の周りで交差した。KRAS.G12C株(H2030)において、3つのKRAS.G12C阻害剤MRTX849、AMG510、及びARS1620は全て、脂質過酸化を増加させたが、非KRAS.G12C株(H441)において、この効果は有意にミュートされた(
図7E)。
【0122】
実施例10-GENEVAを使用した薬剤耐性機構の同定
この実施例は、GENEVA細胞プールにおける長期薬物処理から、複数の標的化可能な薬物耐性機構を同定することを対象としている。
【0123】
薬物耐性が発生した14日間の薬物処理タイムラインにおけるARS-1620のGENEVAデータセットを使用して、耐性機構の遺伝子発現指標を得た(
図4A)。これらの標的の阻害剤を得て、3つのKRAS.G12C阻害剤、ARS1620、AMG510、及びMRTX849と組み合わせて薬物相乗効果を試験した。ここで、薬物相乗効果は、薬物の組み合わせの合計が、個々の化合物単独の加法モデルを上回るものとして定義される。いくつかのGENEVA予測された薬物標的は、高いブリス相乗効果スコアを実証した(0を超えるスコアは、有意な薬物相乗効果を示した、
図4B)。最も強いGENEVA予測、mTOR耐性は、マルチアームインビボマウス研究で試験され、有意なインビボブリス薬物相乗効果及び経時的な腫瘍縮小が見出された(
図4C、D)。
【0124】
薬物耐性経路の同定のための薬物条件と非薬物条件との間の各細胞株の差異的発現
各細胞株について、単一細胞データセットを、ビヒクル処理されたものと薬物処理されたものとの2つのサブデータセットに分割した。差異的発現は、2試料t検定を使用して2つの単一細胞データセット間で計算した。2試料t検定出力から各遺伝子の差異的発現スコアを得た。これを完了するまで全ての細胞株で繰り返し、遺伝子の全ての差異的発現スコアを細胞型によって集約された差異的発現表に保存した。各細胞株内の遺伝子についてzスコアを計算し、グループ化されたzスコアを用いて2つの試料T検定を実施した。第一に、全ての差異的発現スコアを、各細胞株内のzスコアによって同じスケールに正規化した。次いで、2つの試料T検定を、全ての「感受性」及び「非感受性」細胞株を複製物として個別に取り扱う各遺伝子について実施した。各遺伝子検査から要約統計を保存し、zスコア差を計算した。遺伝子は、遺伝子産物の要約統計及び薬剤化可能性によってサブセットされた。p値が0.01以下の遺伝子を選択することによって、各遺伝子についてp値でサブセットされたt検定結果を使用する。zスコアによってサブセットされた中央値の結果を使用すると、遺伝子スコアの上位80パーセンタイルよりも大きいzスコア値を有する遺伝子を選択することによって、各遺伝子の感受性株及び非感受性株間のデルタが変化する。DGIDB.orgを使用して、薬剤化可能な標的のリソースとして、DGIDB.orgからの薬剤化可能な標的との要約統計から得られた相互参照された遺伝子を得て、目的の化合物によって誘導された薬剤耐性標的の最終的な標的リストを得る。
【0125】
実施例10の代表的なコード
###scdataには、全ての単一細胞データがanndataデータ構造フォーマットで含まれている
###de_score_all_linesには、このセクションからの最終出力が含まれている
scanpyをscとしてインポートする
all_linesのcell_lineの場合:
vehicle_data=scdata[scdata.obs.drug==‘vehicle’]
drug_data=scdata[scdata.obs.drug==‘drug’]
differential_expression=sc.tl.rank_genes_groups(vehicle_data,drug_data,method=’t-test’)
de_score=scdata.uns[‘t-test’][‘scores’]
de_score_all_lines.append(de_score)
####デスコア行列
de_score_all_lines
####
de_zscored_all_lines=de_score_all_lines.apply(zscore, axis=0)
ttest_results=de_zscored_all_lines.apply(lambda row:stats.ttest_ind(row[’sensitive’],row[‘insensitive’]),axis=1)
median_zscore_results=de_zscored_all_lines.apply(lambda row:np.median(row[’sensitive’])-np.median(row[‘insensitive’]),axis=1)
####これらは、遺伝的ドライバーによって分類された、感受性の高い、感受性の低い株の同一性である
sensitive_lines
insensitive_lines
####デスコア行列
de_score_all_lines
####
de_score_all_linesのcell_lineの場合:
if cell_line in sensitive_lines:
de_score_all_lines[cell_line].index.replace(“sensitive”)
if cell_line in insensitive_lines:
de_score_all_lines[cell_line].index.replace(“insensitive”)
ttest_results
median_zscore_results
####
ttest_filtered=ttest_results[ttest_results[‘pvalue’]<=0.01]
median_zscore_filtered=median_zscore_results[median_zscore_results[‘zscore’]>=np.percentile(median_zscore_results[‘zscore’],80)]
intermediate_genelist=set(ttest_filtered[’genes]).intersect(set(median_zscore_filtered[‘genes’]))
####最終リストとDGIDBを交差させる
DGIDB_genelist
final_genelist=set(intermediate_genelist).intersect(set(DGIDB_genelist))
【0126】
実施例11-GENEVAを使用したインビボ特異的薬物耐性機構の同定
この実施例は、GENEVAを使用したARS1620に対する腫瘍耐性のインビボ特異的機構としての内皮-間葉系遷移の誘導の同定を対象としている。
【0127】
インビトロ及びインビボの両方で行われたKRAS.G12C阻害剤ARS1620でGENEVAプールに薬剤化したGENEVAデータセットを比較した。具体的には、インビトロデータをインビボデータと比較して、使用されるモデルシステムの文脈に起因する差異及び類似性を探した。薬物に応答して最も上方制御された遺伝子セットのうちの1つは、インビボ文脈に特異的であり、インビトロで差異を示さなかった(
図5A)。内皮-間葉系遷移特徴遺伝子発現シグネチャは、インビボで増加し、ARS1620 KRAS.G12C阻害に対する薬物適応性機構の可能性を示した。検証研究として、併用療法マルチアームインビボマウス研究は、ARS1620と組み合わせたEMT阻害剤、ガルニセルチブの有効性を試験するように設計された。併用療法は、腫瘍増殖を抑制するのに非常に有効であることが見出され(
図5B)、ARS1620とともに作用して成長を相乗的に減少させた(
図5C)。
【0128】
インビボモデルシステムに特異的な因果遺伝子セットの発見
インビボデータセット及びインビトロデータセットについて、実施例8及びt検定結果でそれぞれ決定されたzスコアの中央値結果を組み合わせ、遺伝子セット単位で対になった遺伝子セットで組み合わせた。次いで、インビボ及びインビトロの両方からの組み合わされたzスコア結果表を使用して、以下のように「インビボ特異性スコア」を計算した。
各遺伝子セットについて、「インビボ特異性スコア」=
[(インビボ中央値zスコア)-(インビトロ中央値zスコア)]/
平均([log10(インビボp値)、log10(インビトロp値)]
【0129】
次いで、順序付けられた遺伝子セットをインビボ特異性スコアによってランク付けして、ARS1620に応答してインビボで特異的に有意に上方制御又は下方制御された遺伝子セットに到達させた。
【0130】
実施例12-GENEVAを使用した併用療法の有効性の試験
この実施例は、GENEVA細胞プールにおける最適な併用療法を同定するために併用療法を試験することを対象としている。
【0131】
異種移植片としてインビボでプールされたG12C及び非G12C株のパネルを利用して、合計8つの異なる処理条件について、ARS1620の、ガルニセルチブ、INK128、及びアンチマイシンの有無を比較した併用療法研究を行った。これらの化合物は、併用療法の発見及びARS1620のミトコンドリア作用の機械的理解から得た(
図8A)。各薬物条件における細胞周期活性/不活性割合を使用して、各薬物についていくつかの細胞株にわたって薬物相乗効果を計算した。Ink128及びガルニセルチブは、インビボ相乗効果を実証する以前の検証実験と一致する相対的なインビボ相乗効果を示したが、アンチマイシンは、ミトコンドリア致死性表現型の拮抗と一致するARS1620の相対的なレスキューを実証する拮抗効果を示した(
図8B)。相乗的な薬物表現型を駆動した遺伝子を発見するために、遺伝子発現及び薬物処理+起源細胞株を中心に構築された線形モデルは、ガルニセルチブ及びINK128が一緒になって、単独で観察されたミトコンドリアに対するARS1620一般的な効果と一致するミトコンドリアリードの相乗的減少を更に増加させることができたことを明らかにした(
図8C)。
【0132】
実施例13-GENEVAを使用した、候補薬剤に感受性のある患者亜集団の同定
この実施例は、PDXモデルにおける候補薬剤(ARS1620)に感受性のある新規の患者亜集団の検出を対象としている。
【0133】
PDXモデルのGENEVAプールは、長期薬物処理アッセイのために作成した。腫瘍をインビボ及びオルガノイドに移植し、KRAS.G12C、EML4-ALK、及びTH21肺がん患者の腫瘍をGENEVAプールに薬剤化した。EML4-ALK患者において、KRAS.G12C変異型腫瘍の感受性よりも高い有意な薬物感受性が見られ、EML4-ALK患者腫瘍が、KRAS.G12C阻害剤に応答することを示した(
図9B)。
【0134】
したがって、上記の説明は単に本開示の原理を例示するに過ぎない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載又は図示していないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。更に、本明細書に列挙された全ての例及び条件的文言は、主として本発明の原理及び発明者らにより当該技術の促進のために寄与された概念を理解する上で読者を助けることを意図しており、このような具体的に列挙された例及び条件への限定ではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその具体的な例を列挙する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図している。加えて、かかる等価物は、現在既知の等価物及び将来開発される等価物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実施する開発される任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。
【国際調査報告】