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特表2024-529946複合構造体、ヒータ装置、高速ライトオフ排ガス後処理システムおよび複合構造体を製造および使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】複合構造体、ヒータ装置、高速ライトオフ排ガス後処理システムおよび複合構造体を製造および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/50 20240101AFI20240806BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20240806BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240806BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B01J35/50 311
F01N3/20 K
F01N3/28 J
F01N3/28 301P
B01D53/94 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504499
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022038439
(87)【国際公開番号】W WO2023009575
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,455
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ダグラス マンロー
(72)【発明者】
【氏名】デシュマネ,ヴィシュワナート ガンパット
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA17
3G091AA18
3G091AB04
3G091AB13
3G091FA02
3G091FB02
3G091FC04
3G091GA06
3G091GB03W
3G091GB04W
3G091GB05W
3G091GB06W
3G091GB07W
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3G091GB10W
3G091GB17X
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4D148AA18
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4G169DA06
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4G169EC27
4G169EE03
4G169FA01
(57)【要約】
複合構造体、排ガス後処理システムおよび製造する方法。複合構造体は、複数のチャネルを形成する交差する壁の配列を含む本体を含み、チャネルは、隣接しているチャネルが各壁の反対の側に配置されているように軸方向で本体を通って延びている。本体の複合材料は、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相を含む。第1の相は、相互接続された内部の気孔を含む。導電性の材料の第2の相であって、壁の互いに反対の側の間で、軸方向に対して垂直な横方向で、壁のうちの少なくとも幾つかの壁を通る電気経路を形成する、第1の相の相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する、連続した3次元の相互接続された導電性の相である、第2の相が含まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体であって、
複数のチャネルを形成する交差する壁の配列を含む本体を含み、前記チャネルは、隣接しているチャネルが各壁の互いに反対の側に配置されているように、軸方向で前記本体を通って延びており、前記本体の複合材料が、
ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相であって、相互接続された内部の気孔を含む、第1の相と、
導電性の材料の第2の相であって、前記壁の互いに反対の側の間で、前記軸方向に対して垂直な横方向で、前記壁のうちの少なくとも幾つかの壁を通る電気経路を形成するために、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する、連続した3次元の相互接続された導電性の相である、第2の相と
を含み、
前記第1の相が、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の連続した3次元の相互接続された構造体を含み、これにより、前記第1の相の前記連続した3次元の相互接続された構造体が、前記連続した3次元の相互接続された導電性の相に絡み合っており、
前記第2の相が、前記本体の前記軸方向に対して垂直な前記横方向で前記本体の互いに反対の側の間で、前記本体にわたる連続した電気的な接続部を形成する、
複合構造体。
【請求項2】
前記第2の相が欠如している場合に、前記第1の相が、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料のモノリシックなハニカム体として構成されている、請求項1記載の複合構造体。
【請求項3】
前記第1の相が、前記複合構造体の固体体積の25%~90%を構成し、前記第2の相が、前記複合構造体の前記固体体積の10%~75%を構成する、請求項1または2記載の複合構造体。
【請求項4】
前記第2の相の前記導電性の材料が、導電性の金属である、請求項1から3までのいずれか1項記載の複合構造体。
【請求項5】
前記第2の相が、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔を不完全に充填し、前記壁内に残留開放気孔を残す、請求項1から4までのいずれか1項記載の複合構造体。
【請求項6】
前記第2の相が、前記複合構造体の代表体積に関して少なくとも200g/Lの負荷レベルで、前記相互接続された内部の気孔内に存在し、前記代表体積が、前記第1の相の軸方向長さを乗算した、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記第1の相の閉じた前面面積として決定される、請求項1から5までのいずれか1項記載の複合構造体。
【請求項7】
前記壁の部分を互いに分離させることによって壁の前記配列のための蛇行したパターンを形成する切欠き部分を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の複合構造体。
【請求項8】
前記第2の相が欠如している場合に、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔が、
40%~80%である、前記相互接続された内部の気孔の平均バルク気孔率と、
5μm~40μmの中央細孔径と
を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の複合構造体。
【請求項9】
排ガス後処理システムであって、
抵抗加熱素子として構成された、請求項1から8までのいずれか1項記載の複合構造体を含むヒータ装置と、前記ヒータ装置に隣接して位置決めされた排ガス後処理構成要素とを備える、排ガス後処理システム。
【請求項10】
複合構造体を製造する方法であって、
少なくとも相互接続された気孔内に導電性の粒子を堆積させることにより粒子が負荷された本体を形成するために、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料を含むベース構造体を導電性の粒子を含有するスラリーにさらすステップと、
前記導電性の粒子を一緒に焼結させて、前記ベース構造体の前記相互接続された気孔内に配置された、連続した3次元の相互接続された導電性の相を形成するために、前記粒子が負荷された本体を焼成するステップと
を含む、製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2021年7月28日に出願された米国仮特許出願第63/226455号明細書の優先権の利益を主張し、その内容に依拠し、その内容全体を参照することにより本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、流体後処理装置およびシステム、例えば内部に電気ヒータを有する排ガス処理システムなどのための複合構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
コールドスタート後の最初の数秒間は、触媒コンバータなどの触媒を含む排ガス後処理構成要素を備えたエンジンの運転中の総エミッションに不相応に関与してしまう。したがって、排ガス後処理システムにおける触媒の早期または高速ライトオフは、このようなコールドスタートエミッションを低減する上で有益であり得る。コールドスタートエミッションの低減は、ますます厳しくなる環境空気品質および/または自動車排ガスエミッション規制のような排ガスエミッション規制に適合するための努力において特に有用であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つ以上の実施形態において、複合構造体であって、複数のチャネルを形成する交差する壁の配列を含む本体を含み、チャネルは、隣接しているチャネルが各壁の互いに反対の側に配置されているように、軸方向で本体を通って延びており、本体の複合材料が、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相であって、相互接続された内部の気孔(porosity)を含む、第1の相と、導電性の材料の第2の相であって、壁の互いに反対の側の間で、軸方向に対して垂直な横方向で、複数の壁のうちの少なくとも幾つかの壁を通る電気経路を形成するために、第1の相の相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する、連続した3次元の相互接続された導電性の相である、第2の相とを含む、複合構造体が提供される。
【0005】
実施形態において、第1の相が、相互接続された内部の気孔を含む、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の連続した3次元の相互接続された構造体を含み、これにより、第1の相の連続した3次元の相互接続された構造体が、連続した3次元の相互接続された導電性の相に絡み合っている。
【0006】
実施形態において、第2の相が欠如している場合に、第1の相が、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料のモノリシックなハニカム体として構成されている。
【0007】
実施形態において、導電性の材料は、焼結された金属相を含む。
【0008】
実施形態において、第2の相が、本体の軸方向に対して垂直な横方向で本体の互いに反対の側の間で、本体にわたる電気的な接続部を形成する。
【0009】
実施形態において、第2の相が、本体の互いに反対の軸方向の面の間でも電気的な接続部を形成する。
【0010】
実施形態において、第2の相が、少なくとも部分的に壁の外面にも沿って形成されている。
【0011】
実施形態において、第2の相が、複合構造体の固体体積の10%以上を含む。
【0012】
実施形態において、第1の相が、複合構造体の固体体積の25%~90%を構成し、第2の相が、複合構造体の固体体積の10%~75%を構成する。
【0013】
実施形態において、第2の相の導電性の材料が、導電性の金属である。
【0014】
実施形態において、導電性の金属は、Fe含有の合金、Fe、CrおよびAl含有の合金、またはニッケル・クロム含有の合金を含む。
【0015】
実施形態において、第2の相が、第1の相の相互接続された内部の気孔を不完全に充填し、壁内に残留開放気孔を残す。
【0016】
実施形態において壁上に、壁の開放気孔内に、またはその両方に、触媒材料が配置されている。
【0017】
幾つかの実施形態において、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料が、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ムライト、サフェリン、スピネル、アルミン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、β-スポジュメン、β-ユークリプタイト(LiAlSiO)、コーディエライト・ガラスセラミック、溶融シリカ、ドープされた溶融シリカ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
実施形態において、複合材料が、15S/cm~300S/cmの導電率を有する。
【0019】
実施形態において、第2の相の導電性の材料が、1.2×10-6Ω・m未満の電気抵抗率を有する。
【0020】
実施形態において、第2の相が、複合構造体の代表体積に関して少なくとも200g/Lの負荷レベルで、相互接続された内部の気孔内に存在し、代表体積が、第1の相の軸方向長さを乗算した、相互接続された内部の気孔を含む、第1の相の閉じた前面面積として決定される。
【0021】
実施形態において、負荷レベルが、複合構造体の代表体積の少なくとも1200g/Lである。
【0022】
実施形態において、負荷レベルが、複合構造体の代表体積の少なくとも150cm/Lである。
【0023】
実施形態において、複合構造体が、壁の複数の部分を互いに分離させることによって壁の配列のための蛇行したパターンを形成する切欠き部分を含む。
【0024】
実施形態において、導電率が、1000S/cm~2500S/cmである。
【0025】
実施形態において、第2の相が欠如している場合に、第1の相の相互接続された内部の気孔が、40%~80%である、相互接続された内部の気孔の平均バルク気孔率と、5μm~40μmの中央細孔径とを有している。
【0026】
実施形態において、排ガス後処理システムは、抵抗加熱素子として構成された、上記実施形態のいずれかの複合構造体を備えたヒータ装置と、ヒータ装置に隣接して位置決めされた排ガス後処理構成要素とを備える。
【0027】
実施形態において、排ガス後処理構成要素が、触媒化基材またはパティキュレートフィルタである。
【0028】
実施形態において、複合構造体が、複数のチャネルを形成する交差する壁のハニカム体を含み、ハニカム体の複合材料が、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相であって、40%~80%の気孔率および5μm~40μmの中央細孔径を有する相互接続された内部の気孔を含む第1の相と、導電性の材料の第2の相であって、複合構造体の代表体積に関して少なくとも25cm/Lの負荷レベルで、相互接続された内部の気孔内に存在し、代表体積は、第1の相の軸方向長さを乗算した、相互接続された内部の気孔を含む、第1の相の閉じた前面面積として決定されている、第2の相とを含み、第1の相が、複合構造体の固体体積の25%~90%を構成し、第2の相が、複合構造体の固体体積の10%~75%を構成する。
【0029】
実施形態において、第1の相が、相互接続された内部の気孔を含むガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の連続した3次元の相互接続された構造体を含み、これにより、第1の相の連続した3次元の相互接続された構造体が、連続した3次元の相互接続された導電性の相に絡み合っている。
【0030】
実施形態において、複合構造体を製造する方法は、複合構造体の代表体積に関して少なくとも200g/Lの負荷レベルで、少なくとも相互接続された気孔内に導電性の粒子を堆積させることにより粒子が負荷された本体を形成するために、多孔質の材料を含むベース構造体を導電性の粒子を含有するスラリーにさらすステップを含み、ここで代表体積が、ベース構造体の軸方向長さを乗算した、ベース構造体の閉じた前面面積として決定されている。
【0031】
実施形態において、ベース構造体が、多孔質の材料のモノリシックなハニカム体を含む。
【0032】
実施形態において、この方法は、導電性の粒子を一緒に焼結させて、ベース構造体の相互接続された気孔内に配置された、連続した3次元の相互接続された導電性の相を形成するために、粒子が負荷された本体を焼成するステップを含む。
【0033】
実施形態において、この方法は、複数のチャネルを、導電性の粒子を含有するスラリーに複数回さらし、複数回さらした後にその都度乾燥させるステップをさらに含み、さらすステップおよび乾燥させるステップを全て焼成前に行う。
【0034】
実施形態において、導電性の粒子を含有するスラリーが、導電性の金属粒子を含む。
【0035】
実施形態において、導電性の金属粒子が、25μm以下の中央粒径を有する。
【0036】
実施形態において、複合構造体が、軸方向に対して垂直な方向で互いに反対の横方向の側の間で測定して、25S/cmよりも大きな導電率を有している。
【0037】
実施形態において、この方法は、導電性の粒子を焼結するために、粒子が負荷された本体を1200℃~1450℃の温度で焼成するステップを含む。
【0038】
本開示のこれらの実施形態および別の実施形態にしたがって、多くの別の特徴および態様が提供される。実施形態の別の特徴および態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、その説明と共に本開示を説明するために用いられる。
図1A】本開示の1つ以上の実施形態による、排ガスヒータの一部として実施することができる複合構造体を概略的に示す斜視図である。
図1B図1Aに示した、排ガスヒータの一部として実施された複合構造体の入口端面を概略的に示す正面図である。
図1C】本開示の実施形態による、蛇行した抵抗構造体を含む代替的な複合構造体の入口端面を概略的に示す正面図である。
図1D】本開示の実施形態による、蛇行した抵抗構造体を含む代替的な複合構造体の入口端面を概略的に示す正面図である。
図2図1A図1Bに示したような排ガスヒータの一部として実施された複合構造体を含む排ガス後処理システムに関する、時間(秒)の関数としてのCO浄化率(%)のグラフプロットを概略的に示す図である。
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、相互接続された内部の気孔と、少なくとも相互接続された内部の気孔内に配置された連続した3次元の相互接続された焼結された金属相とを備える、多孔質のガラスまたはセラミックを含む相を備えた小部を示す、複合構造体を断面で概略的に示す微細構造写真である。
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、相互接続された内部の気孔と、少なくとも相互接続された内部の気孔内に配置された連続した3次元の相互接続された焼結された金属相とを示す、複合構造体の壁セグメントを拡大した断面で概略的に示す微細構造写真である。
図3C】本開示の1つ以上の実施形態による、相互接続された内部の気孔と、連続した3次元の相互接続された焼結された金属相と、さらに、壁セグメント内の導電性の経路を示す、複合構造体の壁セグメントを拡大した断面で概略的に示す微細構造写真である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、触媒基材と、ヒータ装置の一部として実施されている複合構造体とを含む排ガス後処理システムを概略的に示す断面した側面図である。
図5A】本開示の1つ以上の実施形態による、導電性の粒子を含有するスラリーにハニカム体をさらすように構成された処理装置を概略的に示す断面した側面図である。
図5B】本開示の1つ以上の実施形態による、導電性の粒子を含有するスラリーにハニカム体をさらすように構成された処理装置を概略的に示す断面した側面図である。
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、ヒータ装置の一部として実施された一体的な複合構造体と、複合構造体の前側部分に設けられた導電性の相とを含む触媒含有の基材を概略的に示す斜視図である。
図7】本開示の1つ以上の実施形態による複合構造体を製造する方法のフローチャートである。
図8】本開示の1つ以上の実施形態による複合構造体を使用する方法のフローチャートである。
図9】本開示の1つ以上の実施形態による種々異なる焼結温度における複合構造体の代表体積の金属相負荷量(g/L)に対する導電率(S/cm)のプロットを示す図である。
図10A】本開示の1つ以上の実施形態による、排ガス後処理構成要素を加熱するためのヒータ装置の一部として実施された複合構造体を備える排ガス後処理システムの一部を概略的に示す図である。
図10B】本開示の1つ以上の実施形態による、排ガス後処理構成要素を加熱するためのヒータ装置の一部として実施された複合構造体を備える排ガス後処理システムの一部を概略的に示す図である。
図10C】本開示の1つ以上の実施形態による、排ガス後処理構成要素を加熱するためのヒータ装置の一部として実施された複合構造体を備える排ガス後処理システムの一部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
電気ヒータおよび電気加熱式触媒システム(EHC)は、後処理システムよりも早いライトオフ時間を可能にするための可能なアプローチを提供する。このアプローチは、ライトオフを引き起こすために触媒の温度を十分に上昇させるために、エンジン排ガスの熱に依存しており、したがってコールドスタートエミッションおよび総テールパイプエミッションをさらに低減する機会を提供する。このような電気ヒータおよびEHCは、ディーゼルエンジン、またはエンジン排ガス温度が例えばガソリンエンジンの使用時よりも低い別のエンジンにさらに適用することができる。さらに、電気ヒータおよびEHCは、(内燃機関および電気モータの両方を有する)ハイブリッド自動車において有益であり得る。なぜならば、自動車が電気モータ運転と内燃機関運転との間で連続的に繰り返し移行する場合、内燃機関がコールドスタート状態になることが多いからである。このような用途では、より速いライトオフ時間が重要となる。また、選択触媒還元(SCR)の触媒が採用される場合のように、煤の再生を増大させ、かつ/または触媒活性を高めるために排ガスが継続的または周期的に加熱される定常使用も注目すべきである。
【0041】
しかし、上述のヒータおよびEHCのような、エンジン排ガスの後処理において使用されるあらゆる構成要素は、過酷な条件、例えば極端な熱サイクル、一定の振動および湿潤環境への曝露に耐えることができなければならない。したがって、本明細書に記載した1つ以上の実施形態によれば、高い強度、高い耐久性、ならびに熱、酸化および腐食に対する耐性を提供することができる複合構造体が提供される。このような複合構造体は、排ガス後処理システムの一部として使用することができる。特に、このような複合構造体は、例えばヒータとして実施することができる。ヒータは、別個の排ガス後処理構成要素、例えば、触媒基材またはパティキュレートフィルタと組み合わせて使用され得る別個の構成要素であってよく、または任意選択的に、本明細書に記載された複合構造体は、触媒基材として、または触媒基材と一体的に形成することができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、複合構造体は、複数のチャネルを形成する交差する壁の配列を含む本体を含み、チャネルは、本体の互いに反対の側の端面間で、例えば入口面から出口面へと軸方向に延びている。壁は、複合材を含み、この複合材は、多孔質の材料の第1の相であって、多孔質の材料が、第1の相のための相互接続された内部の気孔を定義している、第1の相と、第1の相内に含浸された、かつ/または第1の相に絡み合っている導電性の材料の第2の相とを含んでいる。幾つかの実施形態において、導電性の材料の第2の相は、第1の相の相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填し、これにより壁の互いに反対の側の表面の間に延びている。幾つかの実施形態において、第1の相は、まず、独立した構造体またはモノリスとして製造されていてよく、これにより、製造中に第2の相を担持または支持するための母材として機能する。
【0043】
本明細書においてさらに後述するように、第1の相の材料は、概して非導電性であってよい。幾つかの実施形態において、第1の相の材料は、多孔質のセラミック、多孔質のガラスセラミックまたは多孔質のガラス材料(本明細書ではまとめて「ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料」とも呼ばれ得る)である。幾つかの実施形態において、(以下でより詳細に説明される)導電性の第2の相の形成を容易にするために、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料は、少なくとも40%の平均バルク気孔率および/または少なくとも5μm、さらには少なくとも10μmの中央細孔径を有している。
【0044】
(第2の相を有しない、独立したまたはモノリシックな構造体としての)第1の相は、多孔質のセラミックハニカム体、例えば、触媒基材またはパティキュレートフィルタとして有用なセラミックハニカム体として形成され、かつ実質的に多孔質のセラミックハニカム体、例えば、触媒基材またはパティキュレートフィルタとして有用なセラミックハニカム体の製造にしたがって製造することができる。例えば、モノリシックなハニカム体は、セラミック形成混合物(またはバッチ)を押し出してグリーン体を形成し、このグリーン体を焼成することにより形成することができる。流体(例えば、排ガス)流は、多孔質のセラミックハニカム体に設けられたチャネルに沿って長手方向(軸方向)に通過し、かつ壁の多孔質のセラミック材料の相互接続された内部の気孔も通過する。したがって、第1の相の相互接続された内部の気孔は、連続した3次元の相互接続された相としての第2の相を形成するために、複合材の第2の相(導電性の材料)を堆積させることができる空間を提供する。幾つかの実施形態において、まず第1の相を製造することができ、かつこれにより第1の相は製造中に第2の相を担持または支持するための基材または母材として機能する。連続した3次元の相互接続された相は、金属または金属を含有する材料(本明細書では集合的に「金属材料」とも呼ばれ得る)のような概して導電性の材料から形成されていてよい。したがって、幾つかの実施形態において、複合構造体は、多孔質のセラミックハニカム体(第1の相)の気孔に金属を含有する材料(第2の相)を含浸または侵入させることによって形成される。
【0045】
したがって、第1の相が、相互接続された内部の気孔を有する、セラミックまたはガラスを含有する材料の連続した3次元の第1の構造体(例えば、多孔質のセラミックモノリシックなハニカム体)を含んでいるのに対して、第2の相は、第1の相の相互接続された内部の気孔内に形成され、かつこの気孔を通る、導電性の材料の連続した3次元の相互接続された第2の構造体である。結果として、本明細書に記載された複合構造体は、記載された第1の相および第2の相をそれぞれ連続した3次元の構造体として含んでいると同時に、これら第1の相と第2の相は、この第2の相が第1の相の多孔質の構造体内に形成され、この多孔質の構造体を通り、したがって第1の相の多孔質の構造体によって成形されているので、互いに密接に絡み合っている別個の相である。有利には、連続した3次元の相互接続された構造体(例えば、多孔質のセラミック材料から製造されたモノリシックなハニカム体)として構成されている第1の相は、侵入および焼結中に第2の相を支持して成形する初期構造体を提供している一方で、第1の相の相互接続された内部の気孔の特徴(例えば、中央細孔径、気孔率%および細孔径分布)に基づいて、得られる複合構造体の電気抵抗/導電性の調整可能性をも提供することによって、本明細書に記載される複合構造体の製造を容易にする。さらに、一度製造されると、連続した3次元の相互接続された絡み合った第1の相および第2の相の組み合わせにより、得られる複合構造体のために高い耐久性、環境耐性、強度、およびサーマルサイクル性が得られる。
【0046】
幾つかの実施形態において、金属材料は焼結された金属であり、例えば第1の相の相互接続された内部の気孔内に堆積された金属粒子を一緒に焼結することにより形成されている。焼結は、不活性な雰囲気において、例えば窒素のような不活性ガス中に部品を置いて実施することができる。特に、導電性の相(第2の相)は、少なくとも第1の相の気孔内に設けられており、例えば少なくとも第1の相の相互接続された内部の気孔内へ充填されている。幾つかの実施形態において、第2の相は、壁の互いに反対の側の表面の間に延びているように、第1の相の気孔を十分に充填する。これにより、第2の相を、複合構造体の本体の壁を通る電気経路、すなわち電流伝達経路を形成するために使用することができる。幾つかの実施形態において、第2の相を形成するための金属粒子は、本明細書においてより詳細に記載されているように、全代表体積に関して、少なくとも200g/Lの平均負荷レベルで堆積されている。概して、代表体積は、第1の相の固体物質および相互接続された内部の気孔の両方の体積に対応する。したがって、これにより、第1の相が、例えば、独立した多孔質のセラミックのベース構造体から形成されている場合、代表容積は、ベース構造体の軸方向長さを乗算した、ベース構造体の閉じた前面面積として決定することができる。
【0047】
連続した3次元の相互接続された導電性の相は、相互接続された内部の気孔内の連続的な電気経路を形成し、これにより複合構造体全体が導電性になる。本明細書により詳細に記載するように、壁の互いに反対の側の表面の間に延びるように第2の相を形成することにより、電流を複合構造体の端面間で軸方向に流すだけではなく、軸方向に対して垂直な方向で本体にわたって横方向にも電流を流すことができる。例えば、複合構造体が円筒形状を有している場合、第2の相は、円筒形の長手方向(軸方向)長さに沿って電気経路を形成するだけではなく、(軸方向に垂直な方向で横方向である)円筒形の円形の断面形状の直径にわたっても電気経路を形成する。それぞれ反対の側にある横方向の側面に取り付けられた電極を設けることができ、したがって適切な制御システムによって電圧電位を印加することができ、導電性の第2の相は、通電時に抵抗加熱素子として動作する。
【0048】
本明細書に記載された複合構造体は、ヒータ装置(例えば排ガス後処理システムにおける触媒ヒータ)として優れた有用性を有するが、これらの複合構造体は、その高い強度、耐久性、ならびに熱、腐食および酸化に対する耐性のために他の用途も有していてよい。例えば、複合構造体は、優れた圧縮強度を有し、かつ改善された強度対重量特性を有する剛性のハニカム体を提供するために有用であり得る。例えば、複合構造体は、「300/5」または類似の幾何学形状を有するハニカム体の1.0インチ×1.0インチ×1.0インチ(2.54センチメートル×2.54センチメートル×2.54センチメートル)の立方体において、圧縮測定して50MPa超の圧縮強度を呈することができ、ここで、300/5は、1平方インチ(2.54×2.54平方センチメートル)当たり300セル(チャネル)のセル数(cpsi)および5ミル(127マイクロメートル)の壁厚を有するハニカム体に関する。
【0049】
ガラスまたはセラミックを含む複合構造体、ガラスまたはセラミックを含む複合構造体を含む排ガス後処理システム、ガラスまたはセラミックを含む複合構造体を使用するヒータ装置、およびガラスまたはセラミックを含む複合構造体を製造および使用する方法の追加の説明は、本明細書の図1A図10Cを参照して提供される。
【0050】
ここで、図1A図1Bを参照すると、本開示の実施形態による複合構造体100の第1の実施形態が示されている。図示されているような複合構造体100は、図1A図1Bにおいてヒータ装置101用の加熱素子として実施されている。複合構造体100は、交差する壁104を含む本体102を含み、交差する壁104は、本体102を通って軸方向(長手方向)に延びる複数のチャネル106を形成する。壁104は、本明細書に記載されるようなガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相を備える複合材料から形成される(例えば、図3A図3Cの顕微鏡写真において参照番号310で示されたダークグレイの領域を参照、本明細書では第1の相310とも呼ばれ得る)。壁104の複合材料は、金属を含有する材料のような導電性の材料の第2の相をさらに含む(例えば、図3A図3Cの顕微鏡写真において参照番号312で示されたライトグレーの領域を参照、本明細書では第2の相312とも呼ばれ得る)。本明細書に記載されているように、第2の相(再度、図3A図3Cのライトグレーの領域)は、第1の相310(再度、図3A図3Cのダークグレイの領域)の相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する。本明細書に記載されているように、第2の相(ライトグレーの材料)は、本明細書においてより完全に説明されるように、3次元の相互接続された導電性の相として構成されている。壁104は、さらに、第2の相によって充填されない相互接続された内部の気孔の残りの部分(例えば、図3A図3Cの顕微鏡写真における参照番号308で示された黒い領域を参照)として、細孔またはボイド(第2の相の存在により開放気孔と閉鎖気孔との組み合わせとなり得る)を含んでいてよい。したがって、第1の相310の相互接続された内部の気孔308は、当初は(第2の相312の追加前に)図3A図3Cに示した黒い(充填されていない)領域と、図3A図3Cに示した、後に第2の相312によって占められているライトグレーの領域との両方を含んでいる。
【0051】
チャネル106は、互いに平行であり、本体102の反対の側の端面間を通っていてよい。例えば、図1Aでは、チャネル106は、入口面108から出口面110(例えば、入口面108と形状および寸法が実質的に同様である出口面110)まで、本体102を通って軸方向に延びている。軸方向は、図1Aでは線103によって示されている。チャネル106は、横断面において、矩形(正方形が図示されている)、三角形、七角形、六角形、八角形、台形、菱形、円形、楕円形、楕円体、別の多角形、上述の形のいずれかの組み合わせ等のような任意の横断面形状のものであってよい。例えば、強度を高め、製造を容易にし、かつ/または適用されたウォッシュコートの溜まりを阻止するために、角部が、適切に丸み付けされるか、またはフィレット付けされていてよい。全てのチャネル106が同一の形状を有していてよく、またはチャネル106が2つ以上の互いに異なる形状をとることができる。同様に、本体102の周囲形状は、丸み付けされたまたはフィレット付けされた角部を有することを含む、上述の形状および/またはその組み合わせのいずれかをとることができる。本体102の周囲断面形状は、概して、チャネル106の周囲断面形状と概して同一であってよく(例えば、図1Aおよび図1Bに示されている概して矩形の本体102は、概して矩形のチャネル106を有している)、または本体102とチャネル106とが、互いに異なる形状を有していてよい。例えば、別の実施形態において、本体102が、正方形の形状のチャネル106を備えた、円形の横断面形状を有していてよい。
【0052】
本体102の外周面に、付加的な構造支持を提供するスキン111が形成されていてよい。スキン111は、第1の相と同一の製造プロセスで形成され得るか(例えば、多孔質のセラミックハニカムのための製造技術にしたがって共押出しされる)、または後から被着される(グリーンハニカム体に、またはグリーンハニカム体の焼成後に被着される)。複合体100の外形は、図示のように直方体であってよく、したがって入口端面108から見た場合に正方形または矩形の外形を有している。しかしながら、円形、楕円形、三角形または三葉形、多角形等のような別の外周形状が、上述のように使用され得る。
【0053】
本明細書に記載されているように、幾つかの実施形態において、複合構造体100は、ヒータ装置101の一部として、すなわちヒータ装置101の抵抗加熱素子として実施されている。例えば、連続した3次元の相互接続された導電性の相312は、図1A図1Dに示したように本体102の第1の側113と反対側の第2の側115との間のように、(軸方向に対して垂直な方向で)本体にわたって横方向に連続した3次元の導電性の経路を提供するように構成されていてよい。例えば、この実施形態において、電気接続は、軸方向に対して垂直である、本体102の幅W(図1Bに示されている)に対応する横方向で形成されている(軸方向を示す図1Aの線103参照)。したがって、電極117を、本体102のそれぞれ反対の側113,115に取り付けることができ、本体102の壁104の複合材料の連続した3次元の相互接続された導電性の相312は、抵抗素子として機能することができる。これにより、電極117間に電位(電圧)が印加された場合に、本体102が加熱される。したがって、第1の相の多孔質の材料の相互接続された内部の気孔308を通って相互接続されている導電性の相312により、壁104を通って電流が流れることが可能になり、これにより、複合構造体100は、それぞれ反対に位置する側113,115の間で導電性である。
【0054】
ここで図1Cおよび図1Dを参照すると、別の実施形態が示されており、この実施形態では、ダッシュ(’)およびツーダッシュ(’’)記号が、(同一の基礎参照番号を共有する)図1A図1Bに示した実施形態の要素または特徴に類似する要素または特徴の識別を支援するために使用されるが、図1Cおよび図1Dに示した実施形態の特定の特徴に関する更なる説明を容易にする。特段の記載がない限り、ダッシュまたはツーダッシュ記号が付された基礎参照番号を有する特徴または要素は、概して、ダッシュまたはツーダッシュ記号を有しない基礎参照番号を共有する要素または特徴に関して説明したように配置され、かつ機能する。例えば、それぞれ(特段の記載がない限り、ヒータ101に関して記載されたように構成され、製造されかつ/または製造することができる)ヒータ装置101C,101Dの一部として実施された、(特段の記載がない限り、複合構造体100に関して記載したように構成され、製造されかつ/または使用され得る)代替的な複合構造体100C,100Dの入口端面108’,108’’が示されており、この入口端面108’,108’’は、概して図1A図1Bに示した装置101の入口端面108に似ている。
【0055】
図1Aおよび図1Bに示した実施形態とは異なり、図1Cおよび図1Dに示した本体102’、102’’は、切欠き部分107(例えば、スリットまたはスロットと称することもできる)を含むことによって形成される蛇行した抵抗構造体である。換言すると、切欠き部分107によって壁104は、概して蛇行形状の本体102’,102’’を形成し、この蛇行形状では、壁104の部分は、本体102’,102’’にわたって交互に行ったり来たりして延びている。切欠き部分107は、まず(例えば、押出しによって)壁104の連続的な配列を形成し、次いで(例えば、切断または研削によって)切欠き部分107における箇所から壁104の対応する部分を除去することによって形成することができ、またはこれらの本体102’,102’’は、製造のいずれの段階においても壁104が切欠き部分107の領域に配置されることなしに製造することができる。切欠き部分107は、空隙であってよく、または酸化アルミニウムのような電気絶縁材料109で完全にまたは部分的に充填されていてよい。幾つかの実施形態において、絶縁材料109は、本体102’,102’’の複合材料の熱膨張係数と実質的に等しい熱膨張係数を有するように選択されている。
【0056】
図1Aおよび図1Bに示した本体102と同様に、本体102’,102’’の壁104は、本体102’,102’’を通って軸方向に延びる複数のチャネル106を形成する。また、図1Aおよび図1Bに示した本体102と同様に、複合構造体100C,100Dの本体102’,102’’は、本明細書に記載されるような第1の相310および第2の相312を含む複合材料を含んだ壁104を有していてよい。したがって、複合構造体100Cは、図1Aおよび図1Bに示される実施形態にしたがって、かつ本明細書に記載されるように、少なくとも、概して非導電性のガラスまたはセラミックを含む相(第1の相310)の相互接続された内部の気孔内に配置された連続した3次元の相互接続された導電性の相(第2の相312)を含んでいる。切欠き部分107によって本体にわたって行ったり来たり蛇行しなければならない電極117間の送電経路長さの増大により、本体102’,102’’の電気総抵抗を、切欠き部分107を有しない同様の本体と比較して(例えば、切欠き部分107を有していない、図1Aおよび図1Bに示した本体102に対して)、比較的大きく形成することができる。切欠き部分107のパラメータ(例えば、幅、長さ、深さおよび/または個数)は、本体102’,102’’の総抵抗を、所望の値または目標とする値(例えば、ヒータ装置100C,100Dが所与の電源に接続されている場合、所望の温度または目標とされた温度を達成することができる抵抗)に調整または調節するために使用することができる。
【0057】
図1Dに示した実施形態において、絶縁材料109が、各切欠き部分107の開放した端部においてのみ存在する絶縁体(例えば、スロットセパレータと呼ぶこともできる)を含んでいてよい。例えば、これらのスロットセパレータは、コーティングされた金属板を含んでいてよい。例えば、金属板はアルミナのような絶縁材料でコーティングされていてよい。このような絶縁材料109は、スキン111に直接近接するスリット開口(例えば、1~4本のチャネル106の深さに延びている)にのみ配置されていてよい。別の構成も可能である。絶縁材料109は、使用温度に耐えることができる、任意の非導電性の、環境的に不活性な材料であってよい。
【0058】
幾つかの実施形態において、壁104内に第1の相310を形成する、ガラスまたはセラミックを含有する材料は、多孔質のセラミック材料であってよい。例えば、多孔質のセラミック材料は、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ムライト、サフェリン、スピネル、アルミン酸カルシウム、リン酸ジルコニウムおよび上述の材料のセラミックの組み合わせであってよい。別の適切な多孔質のセラミック材料を使用することができる。
【0059】
別の実施形態において、第1の相310のガラスまたはセラミックを含有する材料は、β-スポジュメン、β-ユークリプタイト(LiAlSiO)、コーディエライト・ガラスセラミックのような多孔質のガラスセラミック材料等を含んでいてよい。上述のセラミック材料との組み合わせを含む、別の適切な多孔質のガラスセラミック材料を使用することができる。
【0060】
代替的または付加的に、第1の相310のガラスまたはセラミックを含有する材料は、幾つかの実施形態において、多孔質のガラス材料であってよい。例えば、第1の相は、例えば米国特許第10,370,304号明細書において教示されているように、ガラスフリット、バインダおよび液体溶媒の押出しにより製造されるような、シリカガラスの、多孔質のガラスのハニカムモノリスを含んでいてよい。例えば米国特許第10,370,304号明細書の関連する内容は参照により本明細書に援用される。ドープされたシリカガラス(例えば、ホウ素ドープシリカガラス)のような別の適切な多孔質のガラス材料を使用することができる。これらのセラミックと、別の適切なセラミック、ガラスセラミックおよび/またはガラス材料の組み合わせを使用することができる。
【0061】
上述したように、複合構造体100は、連続した3次元の相互接続された導電性の相をさらに含んでおり、この導電性の相は、本明細書では、少なくとも、多孔質の壁104の(ガラスまたはセラミックを含有する材料の)第1の相の少なくとも相互接続された内部の気孔内に配置され、かつ/または第1の相の少なくとも相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する第2の相と呼ぶことができる(例えば、図3A図3Cに示した参照符号312で示されたライトグレーの領域を参照)。幾つかの実施形態において、連続した3次元の相互接続された導電性の(第2の)相312は、焼結された金属のような金属を含んでいる。連続した3次元の相互接続された導電性の相312は、上述した第1の相の材料とは異なる材料から形成されている。金属は導電性の金属であってよい。導電性の金属は、例えばFe含有の合金、Fe-Cr合金、Fe-Al合金、Fe-Ni合金またはW-Co合金であってよい。
【0062】
幾つかの実施形態において、Fe、Cr、およびAl含有の合金のような鉄-クロム合金(例えば、FeCrAl合金)が、複合構造体100の第2の相のために使用される。代替的には、幾つかの実施形態において、導電性の金属は、オーステナイト系ニッケル・クロム含有の合金のような、ニッケル・クロム含有の合金である。オーステナイト系ニッケル・クロム含有の合金の一例は、Specialty Materials Corporation社からINCONELの名称で市販されており、INCONELは、金属総質量を基準として、約50質量%~58質量%のニッケルおよび17質量%~23質量%のクロムであってよい。Fe-Cr-Al、Fe-CrおよびFe-Al合金は、それらの低いコストならびに/または熱、酸化および腐食に対する高い耐性のために、幾つかの実施形態において特に有用であり得る。
【0063】
別の適切な導電性かつ酸化耐性の高融点金属が使用されてよい。幾つかの実施形態において、金属を含有する材料は、1200℃超、1300℃超、さらには1400℃超の融点を示す。例えば、これらの融点は、触媒ライトオフ温度を上回り(したがって、本明細書に記載されるような抵抗ヒータ装置における使用にとって適している)、かつ金属材料が、エンジン排ガス温度に耐えることができ、第2の相312が本明細書に記載されるような金属焼結プロセスによって形成される実施形態における焼結温度にも耐えることができる。幾つかの実施形態において、第2の相の金属を含有する材料は、1.2×10-6Ω・m未満、1.1×10-6Ω・m未満、またはそれどころか1.0×10-6Ω・m未満の電気抵抗率を示す。本明細書で言及されるような抵抗率は、「Standard Test Method for Resistance of Electrical Conductor Materials」と題するASTM B193-20により測定することができる。
【0064】
導電性の相312のために適した別の材料には、例えば、1300℃~1500℃の素子温度および50ワット/平方インチ(2.54×2.54平方センチメートル)のピーク電力密度で使用するための炭化ケイ素(SiC)、および例えば、1300℃~1500℃の動作温度および200ワット/平方インチ(2.54×2.54平方センチメートル)のピーク電力密度で使用するための二ケイ化モリブデン(MoSi)が含まれる。導電性の相312を形成するための別の適切な導電性の材料には、SnOおよびZrOが含まれていてよい。
【0065】
第2の相312の導電性の材料が金属である場合、これは、ハニカム体102が、まず金属粒子を含む金属含有スラリーにさらされた(浸漬された)後に、焼結される製造プロセスなど、完全に焼結された金属であってよい。焼結温度は、例えば、焼結される材料に応じて、約1200℃を上回っていてよい。例えば、焼結は、多くの金属の融点の60%~80%の範囲まで、粒子の結合(相互接続)を達成する目的で金属粒子を改質するために十分な時間にわたって加熱することによって、達成できることが多い。これにより、焼結を、第2の相のための連続的に連結された構造体を提供するために利用することができる。さらに、焼結は、導電性の相の接続性を改善することによって導電性の向上を支援するだけでなく、例えば、粒子が一緒に焼結されるや否や表面積を減少させることによって、より良好な酸化耐性を提供することができる。
【0066】
別の実施形態において、複合構造体100は、多孔質の壁104の複合材料の第1の相310の相互接続された内部の気孔308内に配置された、連続した3次元の相互接続された導電性の(第2の)相312を形成するための十分に高い質量パーセントの導電性の粒子を含んでいる。十分に高い質量パーセントとは、これらの実施形態における導電性の粒子が、所定の質量パーセントで提供されることを意味する。この所定の質量パーセントでは、複合材料全体のために所望の導電性を付与する連続した3次元の相互結合された導電性の相312を形成するために、内部の気孔内に導電性の粒子が十分に詰められるか、または別の形式で互いに密接に接触することになる。
【0067】
幾つかの実施形態において、複合構造体100の所望のレベルの導電性は、複合構造体の代表体積(以下でより詳細に説明する)に関して少なくとも200g/L、代表体積の少なくとも400g/L、代表体積の少なくとも800g/Lまたは複合構造体の代表体積の少なくとも1200g/Lの質量負荷レベルで、第1の相310の相互接続された内部の気孔308に導電性の相312を負荷することによって達成される。幾つかの実施形態において、3次元の相互接続された導電性の相312は、相互接続された内部の気孔308内に、例えば複合構造体の代表体積に関して200g/Lより高く、8000g/Lよりも小さな負荷レベルで存在している。別の実施形態において、代表体積の200g/Lより大きく、代表体積の6000g/Lより小さな負荷レベルが所望される。記載された質量負荷に含まれない付加的な導電性の材料が、第1の相の外面上に負荷されていてよい。
【0068】
幾つかの実施形態において、第1の相310の相互接続された内部の気孔308内の導電性の相312は、複合構造体の代表体積に関して少なくとも25cm/L、代表体積の少なくとも50cm/L、代表体積の少なくとも100cm/L、または複合構造体の代表体積の少なくとも150cm/Lの体積負荷レベルである。幾つかの実施形態において、3次元の相互接続された導電性の相312は、相互接続された内部の気孔308内に、例えば、複合構造体の代表体積に関して5cm/Lより大きく、1000cm/Lよりも小さい負荷レベルで存在している。別の実施形態において、代表体積の25cm/Lより大きく、代表体積の750cm/Lより小さい負荷レベルが所望される。記載された体積負荷に含まれない付加的な導電性の材料が、第1の相の外面上に負荷されていてよい。
【0069】
本明細書に開示されている実施形態における1リットル(L)当たりのグラム(g)の表現された尺度は、複合構造体の代表体積に関して決定されており、本明細書において言及される代表体積は、これに複合構造体100の軸方向長さを乗算した、本体102(または本体の代表部分)の閉じた前面面積として定義される。例えば、1リットルの体積を有する複合構造体の代表部分を評価することができる。代表部分は、例えば、ハニカム体102の中心から取ることができる。閉じた前面面積は、(例えば、第2の相を負荷する前、または第1の相の外面上への第2の相のあらゆる負荷を除外して)第1の相に対応する本体102のベース構造体の投影された前面面積を含む。したがって、代表体積が、閉じた前面面積(投影された前面面積)から決定されるので、複合構造体の代表体積は、固体のガラスまたはセラミックを含む相310の体積と、第1の相の内部の気孔とから構成される。例えば、代表体積は、第1の相の外面上に配置されたあらゆる第2の相を除いて、壁104の閉じた前面面積として計算されてよい。代替的には、例えば、第1の相310が(本明細書に記載されているように)多孔質のセラミックハニカムベース構造体から形成されている場合、複合構造体の代表体積は、第1の相が形成されるベース構造体の軸方向長さを、閉じた前面面積に乗算することによって決定され得る。したがって、チャネル106の容積は、複合構造体100の代表体積内に含まれていない。さらに、本明細書で言及される代表体積は、本体102のスキン111およびスキン111に隣接する周縁部に存在する一切の部分的なセルを除外する。
【0070】
連続した3次元の相互接続された導電性の相312が、第1の相310の相互接続された気孔内に設けられ、かつ壁104の互いに反対の表面の間に延びている場合、これにより、壁104を通る複数の電気的な接続部または送電経路が提供される。例えば、これらの電気的な接続部は、導電性の相312が上述の3次元のネットワークとして第1の相310の気孔の曲がりくねった流路を通って形成されるように、頻繁に屈曲し、捩れ、曲がり、分裂し、再結合し、狭まり、かつ/または広くなる、第2の相312の種々異なる分岐部、フィンガまたは別の細長い部分により形成することができる。
【0071】
例えば、図3Cは、壁104の互いに反対の表面313,315の間の、壁104を通る電気的な接続部または送電経路314を示している。第2の相312が3次元の構造を形成するので、より多くの接続部が壁104を通って存在しているが、幾つかのケースでは第2の相312、ひいては対応する送電経路は、横断面がとられた平面に対して垂直な方向に延びているので、図3Cの断面図では見ることができない。
【0072】
さらに、幾つかの実施形態において、連続した3次元の相互接続された導電性の(第2の)相312も、壁104の内部など、壁104に沿って延びる方向で連続した導電性の接続部(送電経路)を提供する。例えば、図3Cに示すように、点線および破線の経路316が、壁104の内部に沿って設けられた連続的な導電性の接続部を示している。幾つかの実施形態において、第2の相312は、壁104の外面上にも配置されており、これにより、壁の外表面の少なくとも一部(表面313および315など)を形成し、壁104の外表面に沿って電流を送る。例えば、図3Aに示すように、壁104の交点に第2の相312の導電性の材料が比較的強く集中的に存在していてよく、このことは、複数の異なる壁、例えば、2つ以上の異なる方向に延びる壁104間の電気的な接続を促進するために有利であり得る。
【0073】
ヒータ装置101の一部として使用される場合、複合構造体100の複合材料を形成するための第1の相310への導電性の相312の負荷の量は、所望のまたは目標とされる導電性を与えるために十分であるように、例えば、複合構造体100が電源に接続された場合に抵抗ヒータとして動作するために適しているように選択しまたは決定することができる。幾つかの実施形態、特に、本体102が交差する壁104の連続的な配列によって形成されている(すなわち、切欠き部分107を有しない)図1A図1Bの実施形態に類似する実施形態では、複合構造体100全体の導電率は、300S/cm以下、200S/cm以下、150S/cm以下、またはそれどころか100S/cm以下である。幾つかの実施形態において、導電率は、15S/cm以上であってよい。幾つかの実施形態において、導電率は、15S/cm~300S/cmまたは15S/cm~150S/cmのような端点として前述の値を含む任意の範囲であってよい。
【0074】
切欠き部分107を含む図1Cおよび図1Dに示した実施形態のような別の実施形態において、導電性の経路に沿った単位長さ当たりの導電率は、蛇行していない本体(切欠き部分107を含んでいない実施形態)におけるよりも高くてよい。例えば、これらの蛇行ヒータでは、送電経路の全長に応じて、導電率は少なくとも300S/cm、少なくとも500S/cm、少なくとも1000S/cm、またはそれどころか少なくとも1500S/cmであってよい。(切欠き部分107を含む)蛇行ヒータの幾つかの実施形態において、導電率は、最大でも2500S/cm、または1000S/cm~2500S/cmのように端点として前述の値を含む任意の範囲であってよい。幾つかの実施形態において、抵抗ヒータの蛇行した本体が300S/cm~1000S/cmである導電率を有することが所望され得る。
【0075】
導電性の相312が導電性の粒子の焼結によって製造される場合、導電性の相312のための本明細書に記載される多くの金属を含有する材料について、種々異なる温度、例えば、1250℃~1400℃の範囲の温度で粒子が負荷された部分を焼成し、これにより異なるレベルの焼結を達成することができ、このこと自体は、種々異なる導電率の値につながる。図9は、種々異なる焼結(焼成)温度に関する、金属負荷量と導電率との関係を示している。このような焼成は、個々の粒子間の点接触を、連続する単独の導電性の相へと変化させるように作用する。図9により示されるように、焼成度(温度および時間)は、導電率に影響を及ぼし、導電率は、概して焼結度が上がるにつれて高まる。したがって、導電性の粒子を連続的な導電性の相312へと焼結するための焼成条件は、本明細書に記載された複合構造体の全体的な導電率を調整および制御するために使用することができる有用なメカニズムを提供する。
【0076】
連続した3次元の相互接続された導電性の相が、ベースの母材または構造体(第1の相310)の相互接続された内部の気孔に侵入する導電性の金属粒子から製造される実施形態において、金属粒子は、相互接続された開放した気孔内部に収容され得るように十分に小さくなければならない。例えば、幾つかの実施形態において、第1の相310は、40%以上の平均バルク気孔率と、5μm以上の中央細孔径とを有する。別のレベルの平均バルク気孔率、例えば約40%~約80%の平均バルク気孔率を使用することもできる。幾つかの実施形態において、第1の相310の相互接続された内部の気孔の中央細孔径は、第2の相312を形成するために使用される導電性の粒子のサイズに応じて選択される。例えば、導電性の粒子が極めて微細である場合、細孔をより小さく形成することができ、粒子は依然として細孔内に侵入する。導電性の粒子がより大きな場合には、細孔径も比較的大きく形成すべきである。幾つかの実施形態において、第1の相310の相互接続された内部の気孔の中央細孔径は、導電性の粒子の中央粒径よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、またはそれどころか少なくとも5倍大きく、例えば2~20倍大きい。例えば、約5μmの中央細孔径は、約0.5μm~2μmの中央粒径にとって適切であり得る一方で、約40μmの中央細孔径は、約5μm~10μmの中央粒径にとって適切であり得るが、別の実施形態では別のサイズおよび範囲を使用することができる。
【0077】
第1の相310の相互接続された内部の気孔の別の所望の特性は、この気孔が、Db≦1.0、またはそれどころかDb≦0.75を満たす、細孔径分布の幅とも呼ぶことができる細孔径分布(Db)を含んでいてよいことであり、ここで、Dbは、Db=d50/(d90-d10)と定義され、d50は、中央細孔径であり、d90は、分布における細孔の最小90%よりも大きなサイズであり、d10は、分布における細孔の最小10%よりも大きなサイズである。
【0078】
幾つかの実施形態において、導電性の相312の形成に使用される導電性の粒子は、25μm以下の中央粒径、例えば0.5μm~25μmの範囲の中央粒径、またはそれどころか、幾つかの実施形態において1μm~15μmの範囲の中央粒径を有している。幾つかの実施形態において、例えば、第1の相の気孔への侵入を促進するために、導電性の粒子は、所定の粒径分布(Dpb)を有し、ここで、Dpbは、粒径分布の幅と呼ぶことができ、この幅は狭く、例えばDpb≦1.25、またはそれどころかDpb≦1.0である。ここで、Dpb=dp50/(dp90-dp10)として定義され、d50は、中央粒径であり、d90は、分布における粒子の最小90%よりも大きなサイズであり、d10は、分布における粒子の最小10%よりも大きなサイズである。
【0079】
Dpb≦1.25の狭い粒径分布は、幾つかの実施形態において、細孔構造体内へ容易に進入することができない過剰サイズ粒子の存在を減じ、したがって壁104の表面上に堆積される大きな粒子を減じることによって壁内における全体的な堆積を最大化するために有利である。狭い粒径分布は、気孔によって形成された蛇行した経路内の位置に捕捉されることとは対照的に、第1の相310の気孔を通過し得る極めて小さな粒子の存在を最小限にすることもできる。
【0080】
幾つかの実施形態において、複合構造体100は、複合構造体100の固体全体積の約10%以上の体積で、連続した3次元の相互接続された導電性の第2の相312を含んでいる。複合構造体100の固体全体積は、複合構造体100の第1の相310の固体部分の体積と、第1の相中または第1の相上に配置された3次元の相互接続された導電性の相312の体積との合計であり、したがって(残りの充填されていない気孔を含む上述した代表体積とは対照的に)残りの充填されていない気孔は除外される。幾つかの実施形態において、複合構造体100は、複合構造体100の固体体積の約10%~約75%の量で、連続した3次元の相互接続された導電性の第2の相312を含んでいる。幾つかの実施形態において、複合構造体100は、複合構造体100の固体全体積の約25%~90%の量で第1の相310(壁104の固体のガラスまたはセラミックを含む部分)を含んでいる。
【0081】
幾つかの実施形態において、連続した3次元の相互接続された導電性の相312は、第1の相310の相互接続された内部の気孔を不完全に充填し、開放気孔を残す(図3A図3Cの壁104内の黒い領域、参照番号308で示されている)。残留開放気孔は、所望の場合に、複合構造体100に触媒材料をアンカー固定または付加するために使用できる気孔である。しかし、負荷量が高い場合、気孔の大きな割合が3次元の相互接続された導電性の相312で満たされてよく、したがって気孔における付加的な材料のための容積はほとんど残っていない。壁104にほとんど開放気孔が残っていない幾つかの実施形態において、触媒材料を壁104の表面上に添加することができる。
【0082】
いずれの場合も、触媒材料は、多孔質の壁104の残留開放気孔内および/または多孔質の壁104の表面上に配置されてよく、したがって、例えば、触媒コンバータ、電気加熱式の触媒アセンブリあるいは別の排ガス後処理システム、アセンブリまたは構成要素の製造において有用な、触媒化基材を形成することができる。触媒材料は、ウォッシュコーティングのような任意の適切な形式で塗布することができる。ウォッシュコートは、例えば、アルミナスラリーまたは別の適切な酸化物を含有するスラリーおよび1種以上の触媒金属材料のような粒子状の酸化物材料を含んでいてよい。触媒材料は、任意の従来の方法によって、少なくとも本体102の壁104に塗布することができる。
【0083】
触媒材料は、例えば、排気ガスの流れにおける排ガス汚染物質の濃度を低下させるように作用する1種以上の金属材料を含んでいてよい。例えば、触媒材料は、白金、パラジウムおよび/またはロジウムのような白金族金属を含んでいる。触媒材料は、幾つかの実施形態においては、金、銀、銅または鉄を含んでいてよい。例えば、触媒材料ウォッシュコートは、窒素酸化物(NO)の浄化、より害の少ないCO(二酸化炭素)への一酸化炭素(CO)の酸化、およびCO(二酸化炭素)およびHO(水)への炭化水素(未燃焼炭化水素)の酸化を可能にする三元触媒を提供することができる。
【0084】
このような三元触媒設計では、排気ガスは、触媒材料を含む複合体100を通って流れるように方向付けられ、このことは、十分な温度(例えば、約250℃以上の中床温度)が存在する場合に、触媒反応が起こることを可能にする。触媒ウォッシュコートは、導電性の金属部分(例えば、白金族金属の粒子)および非導電性の部分(例えば、アルミナ粒子)の両方を有してよい。例えば、幾つかの実施形態において、触媒金属材料(ウォッシュコートの導電性の部分)は、40g/L未満またはそれどころか20g/L未満の複合構造体100の単位代表体積当たりの質量負荷レベルで、複合構造体100に適用され得る。この負荷レベルが、導電性の相312の体積と比較して低いので、複合構造体100の導電率を大きく変化させることはない。すなわち、ウォッシュコート中の伝導性の粒子は、触媒を含むウォッシュコート内で触媒粒子が隔離され、不規則に堆積され、分離され、かつ/または別の形式で不連続であるので、導電性の経路を形成しない。
【0085】
例えば、三元触媒(TWC)は、アルミナおよび/またはセリア・ジルコニアのウォッシュコート酸化物ブレンド材料内に設けられた、白金、パラジウムおよびロジウムなどの1種以上の白金族金属(PGM)から成る触媒金属材料を含んでいてよい。同様に、SCR触媒材料は、酸化物成分としてゼオライトを含むウォッシュコート中の触媒金属材料としてCuおよび/またはFeを含んでよい。ディーゼル酸化触媒のような別のタイプの触媒金属材料を、同様の形式で複合体100に適用することができる。
【0086】
図4に示したように、電位は、(例えば、図1A図1Dに示したように、電極117および電気的なリード線119を介して本体102に接続された)電圧ドライバ422を使用する制御システム421によって本体102に印加することができる。したがって、複合構造体100は、ヒータ装置101の一部として、例えば排ガス後処理システム400の一部でありかつ触媒化基材425(の例えば上流側または下流側)に隣接して位置決めされ得る抵抗ヒータとして実施することができる。幾つかの実施形態において、複数のヒータおよび/または複数の触媒化基材がシステム400に含まれていてよい。
【0087】
引き続き図4に示した排ガス後処理システム400を参照すると、触媒化基材425は、(例えば、概して上述の第1の相310に対応する多孔質のセラミックハニカム構造体を有し、ガスがチャネル106と同様のチャネルを直接通って流れる)フロースルー型であってよく、ヒータ装置101(例えば、図1A図1Dに関して記載されたものを含む、本明細書に開示された任意の実施形態)は、触媒化基材425に隣接して位置決めされている。上述したように、ヒータ装置101は、母材または交差する壁104の配列を含む本体102を有する複合構造体100を含んでいる。壁104の複合材料は、ガラスまたはセラミックを含有する材料の第1の相(第1の相310)と、導電性の材料の第2の相(第2の相312)とを含み、第2の相は、少なくとも第1の相310の気孔内に連続した3次元の相互接続された導電性の経路(例えば経路314)を形成し、壁104の互いに反対の表面の間で壁104を通って延びている。導電性の材料は、壁104上に配置されていてもよい。
【0088】
排ガス後処理システム400は、ヒータ装置101と、場合によっては触媒化基材425の1つ以上の構成要素とに接続された制御システム421をさらに備えている。制御システム421は、電力を適切なタイミングでヒータ装置101へ供給するように構成されている。電力は、排ガス後処理システム400に接続されたエンジンの運転中または運転前の種々異なる時点で供給され得る。
【0089】
印加される電位(例えば電圧)のタイミング、持続時間および/または大きさは、制御システム421によって制御することができる。制御システム421は、所望の熱プロファイルをヒータ装置101、ひいては触媒化基材425に提供するために、エンジン制御ユニット(ECU)423によって供給されるような、ドライバ422(例えば、電圧ドライバ)への適切な駆動信号を生成することができる。熱プロファイルは、例えば、コールドスタートエミッションを低減するために所望される任意の適切な熱プロファイルであってよい。幾つかの実施形態において、触媒化基材425に付与される熱プロファイルは、エンジンの始動後の数秒以内、例えば2~10秒以内に、閾値温度(例えば、使用される触媒システムに応じて、250℃~650℃)を達成するという目標を有していてよい。
【0090】
ヒータ装置101の目標温度は、排気ガスの流量、本体の入口におけるガス流の温度、本体とガス流との間の熱伝達係数および目標または所望の結果に基づいて印加される電力の関数として決定することができる。例えば、1つの目標は、エンジン始動(点火)後に迅速に(例えば数秒以内に)エミッション浄化を開始するために、触媒化基材425の急速な加熱、ひいては急速なライトオフを達成することであってよい。加熱の特定の目標は、異なる使用用途により異なっていてよいが、一例として、幾つかの実施形態において、20秒未満、15秒未満、またはそれどころか10秒未満で、250℃~450℃の中床(例えば、触媒化基材425の中心)温度を達成することが所望され得る。中床温度は、中床位置において直接測定することができるか、または触媒化ハニカム425の上流および/もしくは下流で行われる1回以上の温度測定値に基づいて推定することができる。例えば、温度センサ424Tからの温度測定値T1は、実験を介して、触媒化基材425の物理的な中心における中床温度と相関していてよい。別の適切な測定値が使用されてよい。さらに、温度センサ424Tが別の場所に設置され、かつ/または複数の温度センサが設置されてよく、これにより、システムを通って運動するときのガス流の温度をより良好に監視することができる。
【0091】
上述の例のそれぞれでは、50%の浄化率までの時間は、エンジンの点火(始動)前にヒータ装置101を始動させることによっても影響を受け得る。例えば、エンジンの点火前の約5秒間にわたってヒータ装置101に電力が供給される場合(例えば、「予熱」と呼ぶことができる)、ライトオフ時間はさらに短縮し得る。この予熱の例では、ライトオフ時間を、エンジン始動から8秒未満、またはそれどころか6秒未満、またはより短くすることができる。
【0092】
熱プロファイルは、エンジンの点火の開始時に、またはそれどころかより早く開始してよい。制御システム421への補助的な入力、例えば、1つ以上の酸素測定値(例えば、酸素センサ424Oの酸素測定値O1および/またはO2)および/または1つ以上の温度センサ424Tの温度測定値が使用され得る。複合構造体100または触媒材料(例えば、三元触媒または他の触媒)と組み合わされた複合構造体100を備えるヒータ装置101の熱プロファイルを制御するために、制御システム421によって任意の適切なアルゴリズムを実装することができる。幾つかの実施形態において、排ガス後処理システム400における排ガスヒータ101の1つの目標は、排気ガス423の流入流を効果的に加熱するように作動し、これにより、排気ガス423が、下流側に位置決めされた触媒化基材425内で触媒反応を受けるために十分に高温になるようにすることである。
【0093】
したがって図4に示した実施形態において、ヒータ装置101の一部として構成された複合体100を備えた排ガス後処理システム400が提供される。連続した3次元の相互接続された導電性の相312は、導電性の材料、例えば、導電性の金属(例えば、完全にまたは部分的に焼結された金属)を含んでいてよい。したがって、連続した3次元の相互接続された導電性の相312は、壁104を通る電気経路を提供し、この電気経路は、電流が、本体102の第1の側113と本体102の第2の側115との間のように、本体102にわたって(軸方向に対して垂直な方向で)横方向に流れることを可能にする。
【0094】
上述の複合体100と同様に、排ガスヒータ101は、触媒材料(例えば白金、パラジウム、ロジウムまたはそれらの組み合わせ)を任意選択的に含んでいてよい。触媒材料は、ガンマアルミナのような高表面積ウォッシュコート材料上に支持されていてよい。ウォッシュコートはまた、壁104上に配置されるか、または少なくとも部分的に壁104の残りの充填されていない開放気孔内に配置された酸素貯蔵成分(例えば、セリア・ジルコニア等)を含んでいてよい。
【0095】
図示したように、排ガスヒータ101の外形は、図1Aに示したような矩形の直方体(立方体または直方体の角柱)の外周形状を有していてよい。しかし、円筒形、長円柱形、三角形もしくは三葉形柱形、六角柱形、楕円柱形、台形柱形、または丸み付けされた角部を有する多角形を含む別の任意の多角形柱形もしくはこれらの組み合わせのような別の外周形状が使用されてよい。
【0096】
入口側108から見た場合に矩形(例えば、正方形)の外周輪郭を有する排ガスヒータ101は、形状移行ゾーン、例えば、図4に示したゾーン430A,430B,430Cを含むことにより、排ガス後処理システム400に容易に組み込むことができ、これらの形状移行ゾーンは、カン430が接触し、接続している円形の形状から、入口管432および出口管434(入口管432および出口管434の一部のみが示されている)へと延びている。排ガスヒータ101および触媒化基材425は、実用的であるようにエンジンに接近して接続されていてよい。
【0097】
当然ながら、排ガスヒータ101が、矩形(例えば、正方形)の外周プロファイルを有し、触媒化基材425が、円筒形の外側プロファイルを有している場合、管は、移行ゾーン430Aにおいては円形から矩形に、移行ゾーン430Bにおいては矩形から円形になってよく、かつ切頭円錐を有する移行ゾーン430Cにおいては大きな円形から小さな円形になってよい。しかし、図4に示した配管および移行ゾーンは、単に説明のためのものであり、形状、サイズおよび寸法の別の任意の組み合わせを利用することができる。
【0098】
クラムシェル、横方向溶接等のような任意の適切なキャニング技術を、排ガス後処理システム400の組立てのために使用することができる。ヒータ装置101は、フィルタの触媒基材の軸方向長さに対してかなり薄く(軸方向で短く)てよい(例えば、図4に示すように、軸方向長さLで約0.2インチ(約5.08ミリメートル)~約2.0インチ(約50.8ミリメートル)。さらに、幾つかの実施形態において、電気的な構成要素、例えば電極117および/またはリード線119がカン430を通って通過することを容易にするために、例えば電気的な短絡を防止するために、絶縁体118(図1A図1Bを参照)を使用することができる。
【0099】
幾つかの実施形態において、付加的な絶縁部436がヒータ装置101の周囲にかつ/またはヒータ装置101に当接して含まれていてよく、これにより、運転中のヒータの支持を支援することができ、例えばこれにより、振動、熱サイクルまたは環境条件に対する暴露中に電気的な短絡の可能性を減じる。例えば、多孔質のセラミックハニカム体(例えば、触媒化基材またはパティキュレートフィルタ)を支持するために従来使用されるような任意の適切な緩衝材またはマット材料を、排ガスヒータ101の複合構造体100および/または触媒化基材425を支持するための絶縁部436のために使用することができる。幾つかの実施形態において、絶縁部436は、図4に示すようなヒータ装置101の外周面および/または軸方向の端部(入口面および出口面)の周囲に巻き付けることができ、これにより、上述の緩衝材と、半径方向および/または軸方向での電気的な短絡防止とを提供する。
【0100】
幾つかの実施形態において、複合構造体100は、帯電していない(すなわち、ヒータ装置の一部ではない)構造体構成要素として使用される。金属相310は、高い降伏強度、かつ腐食耐性の材料であってよい。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、ニッケルまたは類似の金属材料またはそれらの合金を使用することができる。幾つかの実施形態において、引張りにおいて90MPaを超える引張り強度を有する金属のような材料がこのような構造体用途のために所望される。
【0101】
このような複合構造体100は、優れた圧縮強度および強度重量比を有していてよく、例えば、より大きな構造体のサブコンポーネントを含む構造体構成要素のために使用することができる。例えば、複合構造体100は、例えば、圧縮において50MPa超の圧縮強度を有していてよい。さらに、複合構造体100は、(チャネル106の方向に沿った)軸方向に沿った圧縮が加えられた複合構造体100の、1.0インチ×1.0インチ×1.0インチ(2.54センチメートル×2.54センチメートル×2.54センチメートル)の立方体で測定された圧縮強度が、金属負荷を有しない、ガラスまたはセラミックを含む相(第の1相)だけで作製されたハニカム構造体と比較して1.5倍以上であってよい。
【0102】
幾つかの実施形態において、第1の相310の構造体の一部のみ、例えば一方の軸方向端部のみに、導電性の粒子が侵入し、この導電性の粒子は、導電性の第2の相312を形成するために焼結される。したがって、幾つかの実施形態において、第1の軸方向長さが、複合構造体100に関して本明細書に記載されている複合材料を含み、第2の軸方向長さが、第1の相310(または導電性の相312以外の材料と組み合わせた第1の相310)のガラスまたはセラミックを含有する材料のみを含む複合構造体が形成される。例えば、図6は、本明細書に記載の複合構造体100とほぼ同一である複合構造体600を備えて製造されたヒータ601を備える本体602の第1の端部部分602A(例えば、使用時の上流側)を含む触媒化基材625の実施形態を概略的に示している。触媒化基材625の第2の端部部分602B(例えば、使用時の下流側)は、三元触媒または別の適切な触媒材料のような触媒を含むウォッシュコートによって触媒化された多孔質の壁604を含む多孔質のハニカム体を備えている。触媒は、従来の方法を用いて多孔質の壁604上に配置される、触媒を含有するウォッシュコートの一部として塗布され得る。
【0103】
上述の本体102と同様に、本体602は、入口端面108から出口端面110にまで延びる、軸方向に延びる複数のチャネル606を形成する交差する多孔質の壁604を含むハニカム構造体を含んでいる。第1の端部602Aの構造および材料は、図1Aおよび図1Bに示した実施形態と同一であってよいが、第2の端部部分602Bが、第2の相312の導電性の材料を含んでいない。その代わりに、第2の端部部分602Bは、例えば、第1の相310に関して記載したような多孔質のセラミック材料と、この多孔質のセラミック材料内または多孔質のセラミック材料上に配置された触媒材料とを含んでいる。第1の端部部分602Aは、第1の相310と、第2の相312の導電性の材料との組み合わせから形成された複合材料に対して付加的に、触媒材料を含んでいてよい。例えば、第1の端部部分602Aは、第1の端部部分602A内のみに第2の相312を形成するために、導電性の材料を第2の端部部分602Bに負荷することなしに、第1の相の相互接続された気孔内に負荷し、次いで本体602を焼結することによって形成することができる。電気的なリード線119は、図4に示しかつ図4に関して説明した形式で、(制御システム421のような)制御システムに接続することができる。
【0104】
図5Aおよび図5Bは、最終的に第2の相312を形成する導電性の材料を含むスラリー535に第1の相310のコーティングされていないベース構造体502Bをさらすために作動するように使用されるコーティング装置500を概略的に示す側面図を示している。本明細書に記載するように、コーティングされていないベース構造体502Bをスラリー535に浸漬することにより、第1の相310の内部の気孔に導電性の粒子を少なくとも部分的に充填することができ、これにより、例えば、第1の相310の気孔に導電性の粒子を大量に負荷し、かつ/または導電性の粒子を焼結することにより、第2の相312を形成することができる。
【0105】
複合構造体100を製造する方法700を、図7に関連してさらに説明する。方法700は、ブロック702において、相互接続された気孔(例えば、気孔308)を含む交差する多孔質の壁(例えば、第1の相310によって実施された多孔質のセラミック壁)を含むコーティングされていないベース構造体(例えば、ベース構造体502B)を準備することを含む。例えば、(例えば、最終的に複合構造体の第1の相310を形成する)ベース構造体は、多孔質のセラミックハニカム体の形態であってよい。交差した多孔質の壁は、相互接続された内部の気孔を含んでいる。幾つかの実施形態において、ベース構造体は、200cpsi(31セル/cm)~900cpsi(140セル/cm)のセル密度、例えば200cpsi(31セル/cm)~600cpsi(93セル/cm)のセル密度を有するマクロ構造を有していてよい。平均バルク気孔率(%P)および中央細孔径は、本明細書に記載されるように提供され得る。最終的に第1の相310を形成するベース構造体502Bのためには、本明細書に記載されるような任意の適切な多孔質のガラス、ガラスセラミックまたはセラミック材料を使用することができる。ヒータ装置101用のベース構造体502Bのための適切なサイズは、エンジンサイズ、エンジンタイプ、エンジン排ガス温度、エンジン排ガス流量等のような意図される用途に依存するが、例えば2mm~51mmの軸方向長さL(例えば、図4を参照)、例えば、51mm~400mmの側面113から側面115までの幅W(図1Bを参照)および51mm~400mmの側面からの高さHを有していてよい。例えば誘導加熱用途のため、または複合体100が構造支持用途で使用される場合、別の適切なサイズが使用されてもよい。
【0106】
方法700は、ブロック704において、複数のチャネル(例えば、チャネル106)を導電性の粒子を含有するスラリー(例えば、スラリー535)にさらし、ここで、導電性の粒子を含有するスラリーは、少なくとも、ベース構造体の多孔質の壁の相互接続された気孔(例えば、気孔308)内に引き込まれて、導電性の粒子を堆積させ、これにより、粒子が負荷された本体(図5Bに示した粒子が負荷された本体502Cを参照)を形成する。導電性の粒子を含有するスラリー535の一部が、壁104上に堆積されてもよい。
【0107】
複数のチャネル106を導電性の粒子を含有するスラリー535にさらすことは、例えば容器537内に含まれる導電性の粒子を含有するスラリー535内にベース構造体502Bを浸漬させるような任意の方法により実施することができ、これにより粒子が負荷された本体502Cを形成することができる。導電性の粒子を含有するスラリーは、1つの実施形態において、導電性の金属粒子を含んでいてよい。導電性の金属粒子は、25μm以下、例えば、0.1μm~25μm、または第2の相312を形成するために使用される導電性の粒子に関して本明細書に別様に記載されたような中央粒径を有していてよい。別の中央粒径も使用することができる。概して、中央粒径は、(第1の相310を形成する)ベース構造体502Bの気孔(例えば、気孔308)の中央細孔径よりも小さくなければならない。
【0108】
ブロック704においてさらしたことに続いて、ブロック706では粒子が負荷された本体を乾燥させることができる。乾燥は、炉または従来の別の乾燥装置のような乾燥装置内にコーティングされた本体502Cを配置することを含んでいてよい。乾燥時間および乾燥温度は、粒子が負荷された本体502Cのサイズおよび幾何学形状、ならびに導電性の粒子を担持するために使用されるスラリー535中の溶媒または液体溶媒に基づいて変化させることができる。例えば、幾つかの実施形態において、乾燥時間および乾燥温度を80℃~200℃および2分~600分で変化させることができる。幾つかの実施形態において、ベース構造体は、導電性の粒子を含有するスラリー535に複数回さらすことができ、例えば、複数回さらした後にその都度(例えば、各浸漬または各塗布シーケンスの後に)乾燥を行うことができる。粒子の負荷および乾燥は、導電性の材料の所望の負荷量(g/L)が気孔308内で達成されるまで継続することができる。
【0109】
ブロック704においてさらしたことに続いて、かつブロック706における乾燥に次いで、方法700は、ブロック708において、粒子が負荷された本体502Cを焼成することを含んでいてよく、これにより連続した3次元の相互接続された導電性の相(例えば、連続した3次元の相互接続された導電性の相312)を形成することができる。焼成温度は、複合構造体内に金属相のような連続した3次元の相互接続された導電性相を形成するために、導電性の粒子を焼結し、かつ互いに融合するために十分に高くてよい。連続した3次元の相互接続された導電性の相312のために本明細書において表される所望の質量負荷量は、最終的な焼成直後の本体を基準とする。幾つかの実施形態において、粒子が負荷された本体502Cは、複合構造体の代表体積の少なくとも200g/L、例えば、幾つかの実施形態において複合構造体の代表体積に関して200g/L~8000g/Lである、ベース構造体の内部気孔内における導電性の材料の最終的な質量負荷レベルを達成するために十分に負荷される。
【0110】
幾つかの実施形態において、導電性の粒子を焼結するための粒子が負荷された本体502Cの焼成は、任意の適切な炉またはキルン内で行うことができる。焼成温度は、例えば、完全焼結が所望される場合、1200℃~1450℃の範囲であってよい。しかし、別の実施形態において、焼成は、1000℃未満、またはそれどころか700℃未満(例えば、400℃~700℃)のような低い温度で行うことができ、これにより、例えば、粒子のか焼をもたらすことができる。焼成温度は使用されている導電性の材料に依存し、所望される焼結の程度に依存する。例えば、図9に関して説明したように、焼成温度の制御することよって反映される焼結の程度は、本体102の電気抵抗を変化させるために使用することができる。
【0111】
図9は、1280℃~1400℃の焼成温度および母材中および母材上に負荷された金属の金属負荷量(g/L)の効果を示す。示されているように、焼成温度の変化は、導電性に2~3以上の係数で影響を与える(例えば増加させる)ことができる。同様に、(母材の1g/L当たりの)金属負荷量の増加も、導電率を高めることができる。例えば、幾つかの実施形態において、代表体積のg/Lにおける質量負荷量の倍増は、S/mにおける導電率を少なくとも2倍にすることができる。さらに、セル密度(cpsi)、壁厚(μm)、および平均バルク気孔率(%P)のような複合構造体100の幾何学的または寸法的な特性も、導電率に影響を与えることができる。
【0112】
高温の場合または低温の場合のいずれにおいても、得られる複合構造体100は、例えば本体102の互いに反対の側面113,115の間で測定して、幾つかの実施形態では、15S/cm以上、25S/cm以上および15S/cm~2500S/cm、または別の実施形態では、15S/cm~300または15S/cm~150S/cmの導電率を有していてよい。導電率は、種々異なるヒータ装置用途およびヒータ装置設計のための種々異なる導電率を目標にして、かなり広い範囲で調整することができる。
【0113】
例えば、1000~2500S/cmの範囲のような比較的高い導電率は、図1Cおよび図1Dの蛇行した設計に適していてよい。他方で、比較的低い導電率(例えば、300S/cm未満、150S/cm未満、またはそれどころか100S/cm未満)は、図1Aおよび図1Bならびに図6の実施形態にとって有用であってよい。幾つかの用途では、所定の電源によって駆動された場合に、目標温度または性能をもたらすヒータの全抵抗を設定するために、300S/cmより大きくかつ1000S/cmより小さな導電率を有していることが所望され得る。
【0114】
幾つかの実施形態において、方法700は、ブロック710におけるウォッシュコーティングステップを含み、ここで、ブロック708における焼成後に、触媒材料は、ディッピングまたは従来の任意の触媒コーティング法などによって、壁104上および/または残留開放気孔308内に設けられている。ウォッシュコーティング後に、本体102は、例えば400℃~700℃の温度にまでか焼されてよい。
【0115】
方法700の幾つかの実施形態において、複合構造体100の最終的な導電率が調整可能である。調整性は、(例えば、図9に関して説明したように)焼成温度および/または時間の調節に基づいて、導電性相の特定の材料の化学組成の選択、複合構造体の代表部分の単位体積当たりの導電性の相の質量負荷レベルの調節ならびに導電性相の焼結の程度の調節のうちの1つ以上によって達成することができる。同様に、壁厚(Tw)、1平方インチ(2.54×2.54平方センチメートル)当たりのセルのセル密度(cpsi)のような壁104の隣接するセル幾何学形状の調節および/または第1の相310を形成するために使用されるベース構造体の平均バルク気孔率レベル(%P)の調節も、幾らかの調節可能性を提供することができる。
【0116】
特に、導電性の相312の組成は、例えば本明細書に記載されるような種々異なる合金のうちの1種を選択することによって、導電性の相に多かれ少なかれ抵抗率を与えるように変更することができる。さらに、導電性の相312の負荷レベルは、複合構造体中の導電性の材料の割合がより高いという点により、増大された導電性を与えるために、(第1の相310の体積に関して相対的により大きな比率で)増大させることができる。多孔質の本体102の微細構造は、壁厚(Tw)、1平方インチ(2.54×2.54平方センチメートル)当たりのセル数(cpsi)または第1の相310の平均バルク気孔率(%P)の変化によりかつ/または第1の相310に第2の相312が侵入した後に気孔のまだ充填されていない部分に関して、複合体100の絶対抵抗を変化させるように調整することができる。例えば、一定の金属負荷量を維持しながら壁厚(Tw)を増大させることは、本体102中の導電性の相の総量を増加させることによって、抵抗を低下させる効果を有していてよい(すなわち、壁104がより厚くなるにつれて、導電性の相312によって形成される3次元の連続的な構造物内により多くの電気的な接続部を形成することができる)。セル数(cpsi)の増大は、抵抗を低下させる効果を有していてよい。例えば、図3Aに示したように、幾つかの実施形態における導電性の相312の濃度は、壁104の間の交点に集まり、このことは、チャネルがより小さく形成され、それによってこれらの実施形態において交点における導電性相の濃度が互いに近づけられるので、より高い導電性を可能にする。導電性の相312の物理的な構造は、第1の相310の気孔内において利用可能な空間によって制限されるので、平均バルク気孔率(%P)を増加させかつ/または第1の相310の中央細孔径を増加させることにより、抵抗を低下させる効果を有していてよい。例えば、より高い気孔率およびより大きな中央細孔径は、導電性の相312によって形成され得る電気経路を横断面でより厚く、かつ/またはより多い個数で形成することを容易にすることができる。
【0117】
触媒金属材料が、第2の相312の導電性の材料と一緒に本体102の壁104中にかつ/または上に含まれる幾つかの実施形態において、上述したように、使用される触媒金属材料は、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される白金族金属成分であってよい。別の実施形態においては、触媒金属材料は、金または銀であってよい。別の酸化物触媒材料、例えばアルミニウム、ゼオライト、セリア、リチウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛および銀の酸化物が、触媒ウォッシュコートの一部として含まれてよい。幾つかの実施形態において、ウォッシュコートの触媒酸化物材料は、例えば、MgまたはMnOのようなSO吸着成分であってよい。
【0118】
本体102の1つの例は、導電性の材料の添加前に、40%~80%の範囲の高い平均バルク気孔率、5μm~40μmの中央細孔径、100cpsi(15.5セル/cm)~600cpsi(93.0セル/cm)のチャネル密度および0.002インチ(0.0508ミリメートル)~0.0140インチ(0.3556ミリメートル)の壁厚TW(図1Bを参照)を有している。導電性金属は、FeCrAl合金、別のFeを含む合金、または別の導電性の材料であってよい。
【0119】
図8に示したように、本明細書に記載される複合構造体をヒータエレメントとして使用する方法800が提供される。方法800は、ブロック802において、壁を含む本体を含んだ複合構造体を準備するステップを含み、本体が、相互接続された内部の気孔を含む、ガラスまたはセラミックを含有する材料の第1の相と、相互接続された内部の気孔内に配置された連続した3次元の相互接続された導電性の相とを含んでいる。
【0120】
方法800は、ブロック802において、連続した3次元の相互接続された導電性の相によって熱を生成させることをさらに含む。例えば、連続した3次元の相互接続された導電性の相の生成された熱は、250℃より高い、またはそれどころか450℃より高い内部温度に達し得る。例えば、熱は、複合構造体に横方向に(軸方向に対して垂直に)互いに反対の側に取り付けられた一対の電極(例えば、電極117)の間など、複合構造体にわたって電圧を印加することによって生成され得る。幾つかの実施形態において、複合構造体は、250℃~1000℃の内部温度にまで加熱する。
【0121】
ブロック806において、方法800は、流体を加熱するために、複数のチャネル106,606を通して流体(例えば、1種以上の汚染物質を含む排気ガス)を流すステップを含む。流体の加熱は、隣接して位置決めされた触媒基材(例えば、図4および図6に示される触媒基材425または602B、または別の種類の触媒基材)における高速ライトオフを可能にするために十分であり得る。例えば、高速ライトオフは、図2に示したように、ガス流の開始から20秒未満、15秒未満、10秒未満、8秒未満またはそれどころかは5秒未満で達成可能である。ライトオフ時間は、ヒータ装置101がいつ作動されたか(例えば、エンジンの点火前に予熱され得る)、ヒータ装置101のサイズ、電源ワット能力、ヒータ装置の幾何学形状(微細構造)(熱伝達効率)、エンジンの熱出力、エンジンのエキゾーストマニホールドに対する触媒化基材の位置(すなわち、近接して結合されているか否か)、および触媒化基材の熱質量を含む、多くの要因にさらに依存し得る。
【0122】
幾つかの用途では、ヒータ装置101,101C,101Dは、定常状態(例えば、常にオンまたは断続的にオン)で作動させられ、ここで、ガソリンまたはディーゼルパティキュレートフィルタ用途などの、フィルタまたは触媒フィルタとして実施された隣接する基材から煤が焼去される再生事象を補助するために十分な量で電力が供給される。
【0123】
本明細書に開示された実施形態によれば、図8に示した複合構造体を備えるヒータ装置を使用する方法800は、ブロック804における熱の生成と、ヒータによって流体を加熱するために、ブロック806において流体を流すこととを同時に含んでいてよい。幾つかの実施形態において、熱は、ブロック804において抵抗加熱によって生成される。例えば、12V、48Vまたは別の電圧のような電位(例えば、図1Bおよび図4に示したような電位V)は、これらの実施形態において、複合構造体100の一部にわたって、例えば複合構造体100のそれぞれの反対の側113,115の間に印加することができ、これにより複合構造体100および/または複合構造体100を通って流れる流体の加熱を所望の量で引き起こす。
【0124】
図10Aは、複合構造体(例えば、車両の排ガス後処理システムの一部として含まれ得る、触媒化基材(CS)425の上流側に位置決めされたヒータ装置(H)101の一部として実施された複合構造体100)を備えた排ガス後処理システム1000Aを概略的に示している。このような排ガス後処理システム1000Aは、例えば、本明細書に記載されているように、排ガスの1種以上の成分、例えばCO、HC、NOまたはSOを低減するための高速ライトオフ時間を提供することを支援することができる。
【0125】
図10Bは、車両の排ガス後処理システムの一部として含まれ得る、(例えば、交互に差し込まれたチャネルを有する)ウォールフロー型パティキュレートフィルタ(PF)1045として実施された基材の上流側に位置決めされたヒータ装置(H)101として実施された複合体を備える排ガス後処理システム1000Bを概略的に示している。このような排ガス後処理システム1000Bは、例えば、本明細書に記載されるようにパティキュレートフィルタ1045の壁内または壁上に堆積させられた煤の改善された再生を提供することを支援することができる。
【0126】
図10Cは、車両の排ガス後処理システムの一部として含まれ得る、触媒化ウォールフロー型パティキュレートフィルタ(CPF)1050の上流側に位置決めされたヒータ装置(H)101として実施された複合体を備える排ガス後処理システム1000Cを概略的に示している。このような排ガス後処理システム1000Cは、例えば、本明細書に記載されるように、触媒化パティキュレートフィルタ1050内に堆積された煤の改善された再生および/または改善された触媒活性および高速ライトオフを提供することを支援することができる。
【0127】
本開示の実施形態を例示的な形態で開示してきたが、特許請求の範囲およびその等価物に記載されているように、本開示の範囲から逸脱することなしに、多くの修正、追加および削除を行うことができる。
【0128】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0129】
実施形態1
複合構造体であって、
複数のチャネルを形成する交差する壁の配列を含む本体を含み、前記チャネルは、隣接しているチャネルが各壁の互いに反対の側に配置されているように、軸方向で前記本体を通って延びており、前記本体の複合材料が、
ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相であって、相互接続された内部の気孔を含む、第1の相と、
導電性の材料の第2の相であって、前記壁の互いに反対の側の間で、前記軸方向に対して垂直な横方向で、前記壁のうちの少なくとも幾つかの壁を通る電気経路を形成するために、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する、連続した3次元の相互接続された導電性の相である、第2の相と
を含む、
複合構造体。
【0130】
実施形態2
前記第1の相が、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の連続した3次元の相互接続された構造体を含み、これにより、前記第1の相の前記連続した3次元の相互接続された構造体が、前記連続した3次元の相互接続された導電性の相に絡み合っている、実施形態1記載の複合構造体。
【0131】
実施形態3
前記第2の相が欠如している場合に、前記第1の相が、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料のモノリシックなハニカム体として構成されている、実施形態1または2記載の複合構造体。
【0132】
実施形態4
前記導電性の材料が、焼結された金属相を含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0133】
実施形態5
前記第2の相が、前記本体の前記軸方向に対して垂直な前記横方向で前記本体の互いに反対の側の間で、前記本体にわたる電気的な接続部を形成する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0134】
実施形態6
前記第2の相が、前記本体の互いに反対の軸方向の面の間でも電気的な接続部を形成する、実施形態5記載の複合構造体。
【0135】
実施形態7
前記第2の相が、少なくとも部分的に前記壁の外面にも沿って形成されている、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0136】
実施形態8
前記第2の相が、前記複合構造体の固体体積の10%以上を含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0137】
実施形態9
前記第1の相が、前記複合構造体の固体体積の25%~90%を構成し、前記第2の相が、前記複合構造体の前記固体体積の10%~75%を構成する、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0138】
実施形態10
前記第2の相の前記導電性の材料が、導電性の金属である、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0139】
実施形態11
前記導電性の金属が、Fe含有の合金、Fe、CrおよびAl含有の合金またはニッケル・クロム含有の合金を含む、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0140】
実施形態12
前記第2の相が、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔を不完全に充填し、前記壁内に残留開放気孔を残す、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0141】
実施形態13
前記壁上に、前記壁の開放気孔内に、またはその両方に触媒材料が配置されている、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0142】
実施形態14
前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料が、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ムライト、サフェリン、スピネル、アルミン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、β-スポジュメン、β-ユークリプタイト(LiAlSiO)、コーディエライト・ガラスセラミック、溶融シリカ、ドープされた溶融シリカまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0143】
実施形態15
前記複合材料が、15S/cm~300S/cmの導電率を有する、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0144】
実施形態16
前記第2の相の前記導電性の材料が、1.2×10-6Ω・m未満の電気抵抗率を有する、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0145】
実施形態17
前記第2の相が、前記複合構造体の代表体積に関して少なくとも200g/Lの負荷レベルで、前記相互接続された内部の気孔内に存在し、前記代表体積が、前記第1の相の軸方向長さを乗算した、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記第1の相の閉じた前面面積として決定される、実施形態1から16までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0146】
実施形態18
前記負荷レベルが、前記複合構造体の前記代表体積の少なくとも1200g/Lである、実施形態17記載の複合構造体。
【0147】
実施形態19
前記負荷レベルが、前記複合構造体の前記代表体積の少なくとも150cm/Lである、実施形態17記載の複合構造体。
【0148】
実施形態20
前記壁の部分を互いに分離させることによって壁の前記配列のための蛇行したパターンを形成する切欠き部分を含む、実施形態1から19までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0149】
実施形態21
前記導電率が、1000S/cm~2500S/cmである、実施形態20記載の複合構造体。
【0150】
実施形態22
前記第2の相が欠如している場合に、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔が、
40%~80%である、前記相互接続された内部の気孔の平均バルク気孔率と、
5μm~40μmの中央細孔径と
を有する、実施形態1から21までのいずれか1つ記載の複合構造体。
【0151】
実施形態23
排ガス後処理システムであって、
抵抗加熱素子として構成された、実施形態1から22までのいずれか1つ記載の複合構造体を含むヒータ装置と、前記ヒータ装置に隣接して位置決めされた排ガス後処理構成要素とを備える、排ガス後処理システム。
【0152】
実施形態24
前記排ガス後処理構成要素が、触媒化基材またはパティキュレートフィルタである、実施形態21記載の排ガス後処理システム。
【0153】
実施形態25
複合構造体であって、
複数のチャネルを形成する交差する壁のハニカム体を含み、前記ハニカム体の複合材料が、
ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相であって、40%~80%の気孔率および5μm~40μmの中央細孔径を有する相互接続された内部の気孔を含む、第1の相と、
導電性の材料の第2の相であって、前記複合構造体の代表体積に関して少なくとも25cm/Lの負荷レベルで、前記相互接続された内部の気孔内に存在し、前記代表体積が、前記第1の相の軸方向長さを乗算した、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記第1の相の閉じた前面面積として決定される、第2の相と
を含み、
前記第1の相が、前記複合構造体の固体体積の25%~90%を構成し、前記第2の相が、前記複合構造体の前記固体体積の10%~75%を構成する、
複合構造体。
【0154】
実施形態26
前記第1の相が、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の連続した3次元の相互接続された構造体を含み、これにより、前記第1の相の前記連続した3次元の相互接続された構造体が、前記連続した3次元の相互接続された導電性の相に絡み合っている、実施形態1記載の複合構造体。
【0155】
実施形態27
複合構造体を製造する方法であって、
前記複合構造体の代表体積に関して少なくとも200g/Lの負荷レベルで、少なくとも相互接続された気孔内に導電性の粒子を堆積させることにより粒子が負荷された本体を形成するために、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料を含むベース構造体を導電性の粒子を含有するスラリーにさらすステップを含み、前記代表体積が、前記ベース構造体の軸方向長さを乗算した、前記ベース構造体の閉じた前面面積として決定される、製造する方法。
【0156】
実施形態28
前記ベース構造体が、前記多孔質の材料のモノリシックなハニカム体を含む、実施形態27記載の製造する方法。
【0157】
実施形態29
前記モノリシックなハニカム体が、セラミック形成混合物を押し出してグリーン体を形成し、該グリーン体を焼成することにより形成されている、実施形態28記載の製造する方法。
【0158】
実施形態30
前記導電性の粒子を一緒に焼結させて、前記ベース構造体の前記相互接続された気孔内に配置された、連続した3次元の相互接続された導電性の相を形成するために、前記粒子が負荷された本体を焼成するステップをさらに含む、実施形態27から29までのいずれか1つ記載の製造する方法。
【0159】
実施形態31
前記複数のチャネルを、前記導電性の粒子を含有するスラリーに複数回さらし、複数回さらした後にその都度乾燥させるステップをさらに含み、さらすステップおよび乾燥させるステップを全て、焼成するステップの前に行う、実施形態30記載の製造する方法。
【0160】
実施形態32
前記導電性の粒子を含有するスラリーが、導電性の金属粒子を含む、実施形態24から31までのいずれか1つ記載の製造する方法。
【0161】
実施形態33
前記導電性の金属粒子が、25μm以下の中央粒径を有する、実施形態32記載の製造する方法。
【0162】
実施形態34
前記複合構造体が、軸方向に対して垂直な方向で互いに反対の横方向の側の間で測定して、25S/cmよりも大きな導電率を有する、実施形態24から33までのいずれか1つ記載の製造する方法。
【0163】
実施形態35
前記導電性の粒子を焼結するために、前記粒子が負荷された本体を1200℃~1450℃の温度で焼成するステップをさらに含む、実施形態24から34までのいずれか1つ記載の製造する方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体であって、
複数のチャネルを形成する交差する壁の配列を含む本体を含み、前記チャネルは、隣接しているチャネルが各壁の互いに反対の側に配置されているように、軸方向で前記本体を通って延びており、前記本体の複合材料が、
ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の第1の相であって、相互接続された内部の気孔を含む、第1の相と、
導電性の材料の第2の相であって、前記壁の互いに反対の側の間で、前記軸方向に対して垂直な横方向で、前記壁のうちの少なくとも幾つかの壁を通る電気経路を形成するために、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔を少なくとも部分的に充填する、連続した3次元の相互接続された導電性の相である、第2の相と
を含み、
前記第1の相が、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料の連続した3次元の相互接続された構造体を含み、これにより、前記第1の相の前記連続した3次元の相互接続された構造体が、前記連続した3次元の相互接続された導電性の相に絡み合っており、
前記第2の相が、前記本体の前記軸方向に対して垂直な前記横方向で前記本体の互いに反対の側の間で、前記本体にわたる連続した電気的な接続部を形成する、
複合構造体。
【請求項2】
前記第2の相が欠如している場合に、前記第1の相が、前記ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料のモノリシックなハニカム体として構成されている、請求項1記載の複合構造体。
【請求項3】
前記第1の相が、前記複合構造体の固体体積の25%~90%を構成し、前記第2の相が、前記複合構造体の前記固体体積の10%~75%を構成する、請求項1記載の複合構造体。
【請求項4】
前記第2の相の前記導電性の材料が、導電性の金属である、請求項1記載の複合構造体。
【請求項5】
前記第2の相が、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔を不完全に充填し、前記壁内に残留開放気孔を残す、請求項1記載の複合構造体。
【請求項6】
前記第2の相が、前記複合構造体の代表体積に関して少なくとも200g/Lの負荷レベルで、前記相互接続された内部の気孔内に存在し、前記代表体積が、前記第1の相の軸方向長さを乗算した、前記相互接続された内部の気孔を含む、前記第1の相の閉じた前面面積として決定される、請求項1記載の複合構造体。
【請求項7】
前記壁の部分を互いに分離させることによって壁の前記配列のための蛇行したパターンを形成する切欠き部分を含む、請求項1記載の複合構造体。
【請求項8】
前記第2の相が欠如している場合に、前記第1の相の前記相互接続された内部の気孔が、
40%~80%である、前記相互接続された内部の気孔の平均バルク気孔率と、
5μm~40μmの中央細孔径と
を有する、請求項1記載の複合構造体。
【請求項9】
排ガス後処理システムであって、
抵抗加熱素子として構成された、請求項1から8までのいずれか1項記載の複合構造体を含むヒータ装置と、前記ヒータ装置に隣接して位置決めされた排ガス後処理構成要素とを備える、排ガス後処理システム。
【請求項10】
複合構造体を製造する方法であって、
少なくとも相互接続された気孔内に導電性の粒子を堆積させることにより粒子が負荷された本体を形成するために、ガラスまたはセラミックを含有する多孔質の材料を含むベース構造体を導電性の粒子を含有するスラリーにさらすステップと、
前記導電性の粒子を一緒に焼結させて、前記ベース構造体の前記相互接続された気孔内に配置された、連続した3次元の相互接続された導電性の相を形成するために、前記粒子が負荷された本体を焼成するステップと
を含む、製造する方法。
【国際調査報告】