IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中天鋼鉄集団有限公司の特許一覧 ▶ 常州中天特鋼有限公司の特許一覧

特表2024-529953二次冷却凝固モデルの正確性検証方法
<>
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図1
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図2
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図3
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図4
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図5
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図6
  • 特表-二次冷却凝固モデルの正確性検証方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】二次冷却凝固モデルの正確性検証方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/128 20060101AFI20240806BHJP
   G01N 33/20 20190101ALI20240806BHJP
   B22D 11/16 20060101ALI20240806BHJP
   B22D 11/22 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B22D11/128 350A
G01N33/20 100
B22D11/16 104S
B22D11/22 B
B22D11/16 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504564
(86)(22)【出願日】2022-05-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022091382
(87)【国際公開番号】W WO2023087633
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111375620.X
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025469
【氏名又は名称】中天鋼鉄集団有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523025296
【氏名又は名称】常州中天特鋼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】王 向紅
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャン▼ 鯉平
(72)【発明者】
【氏名】王 立濤
(72)【発明者】
【氏名】梁 澤深
(72)【発明者】
【氏名】王 海心
(72)【発明者】
【氏名】朱 東▲ポ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 健斌
【テーマコード(参考)】
2G055
4E004
【Fターム(参考)】
2G055AA03
2G055BA06
2G055EA04
2G055EA08
2G055FA01
2G055FA05
4E004KA13
4E004KA14
4E004KA17
4E004MC02
4E004MC05
4E004MC06
4E004MC17
4E004MC18
4E004MC21
4E004NA01
4E004NB02
4E004NB04
4E004NC01
4E004TB07
(57)【要約】
本発明は、冷却モデルの技術分野に関し、特に、二次冷却凝固モデルの正確性を検証する方法に関する。当該方法は、プライメタルズによりオンライン二次冷却凝固モデルを確立するステップS1と、連続鋳造生産プロセスにより鋳片を得て、テンションレベラーに入る鋳片の中心固相率fsを算出するステップS2と、テンションレベラーを用いて軽圧下を行い、中心固相率fsが10~50%であるときに領域に対して単ロール又は多ロールの圧下を行うステップS3と、鋳片をサンプリングした後に、酸洗して縦方向低倍率で割れ開始位置を検査し、実測した割れ開始位置に基づいて測定して得られたXと、二次冷却凝固モデルを用いて模擬した鋳片の厚さDとを比較するステップS4と、を含む。圧下プロセスによる割れの発生方式で二次冷却凝固モデルの正確性を検証することができ、鋳片が縦方向低倍率で割れを発生させることを保証し、かつ割れ開始位置に基づいて二次冷却凝固モデルの正確性を検証することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライメタルズによりオンライン二次冷却凝固モデルを確立するステップS1と、
連続鋳造生産プロセスにより鋳片を得て、オンライン二次冷却凝固モデルによって比水量、引抜き速度、プロセス条件での鋳片の温度を決定し、テンションレベラーに入る鋳片の中心固相率fsを算出するステップS2と、
【数1】
(式中、Tは温度であり、Tは鋼の液相線温度であり、Tは鋼の固相線温度である。)
テンションレベラーを用いて軽圧下を行い、中心固相率fsが10~50%であるときに領域に対して単ロール又は多ロールの圧下を行うステップS3と、
鋳片をサンプリングした後に、酸洗して縦方向低倍率で割れ開始位置を検査し、実測した割れ開始位置に基づいて測定して得られたXと、二次冷却凝固モデルを用いて模擬した鋳片の厚さDとを比較し、|X-D|≦5mmである場合、二次冷却凝固モデルの模擬が正確であるステップS4と、を含む、
ことを特徴とする二次冷却凝固モデルの正確性検証方法。
【請求項2】
前記ステップS2では、連続鋳造生産プロセスにおける晶析装置は、水流量が120~140m/hであり、水温差が7.5~9.5℃であり、銅管の長さが900mmであり、フットロールのノズルは、3行2列、計24個のノズルを用い、その長さが0.45mであり、二次冷却セクションは、二次冷却の第1セクション、二次冷却の第2セクション及び二次冷却の第3セクションを含み、二次冷却の第1セクションの長さが1.9mであり、二次冷却の第2セクションの長さが2.4mであり、二次冷却の第3セクションの長さが2.5mである、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次冷却凝固モデルの正確性検証方法。
【請求項3】
前記ステップS2では、二次冷却は、中冷、弱冷モードを用い、比水量は、0.7L/kg~0.55L/kgに制御され、晶析装置のフットロールは、完全水冷を用い、二次冷却の第1セクション、二次冷却の第2セクション及び二次冷却の第3セクションは、エアロゾル冷却を用い、二次冷却の各セクションの水量の分配比率は、フットロール23%、二次冷却の第1セクション45%、二次冷却の第2セクション22%、二次冷却の第3セクション10%であり、引抜き速度は、2.4~2.5m/minである、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次冷却凝固モデルの正確性検証方法。
【請求項4】
前記ステップS3では、テンションレベラーは、圧下区間がメニスカスからの距離が14200mm~17900mmであり、圧下速度が0.1~0.2mm/secである、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次冷却凝固モデルの正確性検証方法。
【請求項5】
前記ステップS3では、鋳片中の炭素含有量>0.45%の場合に多ロール圧下を用い、0≦fs<0.10の場合に圧下量が0mmであり、0.10≦fs≦0.50の場合に総圧下量が4~12mmであり、
鋳片中の炭素含有量≦0.45%の場合に、中心固相率fsが0.15~0.20であるときに領域に対して単ロール圧下を行い、0≦fs<0.10の場合に圧下量が0mmであり、0.10≦fs≦0.20の場合に総圧下量が10mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次冷却凝固モデルの正確性検証方法。
【請求項6】
前記ステップS4では、サンプリング酸洗としては、具体的に、選択された鋳片を、鋳片を引き抜く方向に沿った縦断面中心試料に加工して、試料を切り取り、選択された鋳片の断面をフライス盤で研磨し、中心試料を1:1の塩酸溶液に入れ、かつエッチング面を酸に完全に浸し、酸洗槽を70~80℃に加熱し、温度範囲内で20分間保持した後、試料を取り出し、取り出した後、直ちに清水とアルコールで洗浄し、ドライヤーで乾燥させ、中心試料の割れを分析し、測定してXを得る、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次冷却凝固モデルの正確性検証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却モデルの技術分野に関し、特に二次冷却凝固モデルの正確性検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炭素鋼に対して、その中心偏析と中心ポロシティを改善する手段は、基本的に低過熱度又は軽圧下技術を用い、軽圧下技術にとって、二次冷却凝固モデルを用いて模擬した鋳片の凝固挙動が重要であるため、二次冷却凝固モデルの正確性の検証は、軽圧下により鋳片の中心偏析とポロシティを改善する第1段階である。一般的に、連続鋳造凝固モデルを確立した後、連続鋳造鋳片の温度場を予測し、かつ釘刺し実験又は鉛沈殿法を用いて凝固モデルの計算結果に対して検証、デバッグを行うが、釘刺しに安全上の問題があるため、当該検証方法を実施することができず、小方ビレットに対して沈殿法を実施することが困難であり、実施過程において鋼漏れリスクが発生しやすく、かつ小方ビレットの凝固速度が速く、引抜き速度が速く、鉛沈殿時に鋳片との相対運動速度が存在するため、鋳片内の鉛含有位置を検証する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における、釘刺しに安全上の問題があるため、当該検証方法を実施することができず、小方ビレットに対して沈殿法を実施することが困難であり、実施過程において鋼漏れリスクが発生しやすいという問題を克服するために、二次冷却凝固モデルの正確性検証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明でその技術的課題を解決するために用いられる技術手段としては、二次冷却凝固モデルの正確性検証方法は、
プライメタルズによりオンライン二次冷却凝固モデルを確立するステップS1と、
連続鋳造生産プロセスにより鋳片を得て、オンライン二次冷却凝固モデルによって比水量、引抜き速度、プロセス条件での鋳片の温度を決定し、テンションレベラーに入る鋳片の中心固相率fsを算出するステップS2と、
【数1】
(式中、Tは温度であり、Tは鋼の液相線温度であり、Tは鋼の固相線温度である。)
テンションレベラーを用いて軽圧下を行い、中心固相率fsが10~50%であるときに領域に対して単ロール又は多ロールの圧下を行うステップS3と、
鋳片をサンプリングした後に、酸洗して縦方向低倍率で割れ開始位置を検査し、実測した割れ開始位置に基づいて測定して得られたXと、二次冷却凝固モデルを用いて模擬した鋳片の厚さDとを比較し、|X-D|≦5mmである場合、二次冷却凝固モデルの模擬が正確であるステップS4と、を含む。
【0005】
さらに、前記ステップS2では、連続鋳造生産プロセスにおける晶析装置は、水流量が120~140m/hであり、水温差が7.5~9.5℃であり、銅管の長さが900mmであり、フットロールのノズルは、3行2列、計24個のノズルを用い、その長さが0.45mであり、二次冷却セクションは、二次冷却の第1セクション、二次冷却の第2セクション及び二次冷却の第3セクションを含み、二次冷却の第1セクションの長さが1.9mであり、二次冷却の第2セクションの長さが2.4mであり、二次冷却の第3セクションの長さが2.5mである。
【0006】
さらに、前記ステップS2では、二次冷却は、中冷、弱冷モードを用い、比水量は、0.7L/kg~0.55L/kgに制御され、晶析装置のフットロールは、完全水冷を用い、二次冷却の第1セクション、二次冷却の第2セクション及び二次冷却の第3セクションは、エアロゾル冷却を用い、二次冷却の各セクションの水量の分配比率は、フットロール23%、二次冷却の第1セクション45%、二次冷却の第2セクション22%、二次冷却の第3セクション10%であり、引抜き速度は、2.4~2.5m/minである。
【0007】
さらに、前記ステップS3では、テンションレベラーは、圧下区間がメニスカスからの距離が14200mm~17900mmであり、圧下速度が0.1~0.2mm/secである。
【0008】
さらに、前記ステップS3では、鋳片中の炭素含有量>0.45%の場合に多ロール圧下を用い、0≦fs<0.10の場合に圧下量が0mmであり、0.10≦fs≦0.50の場合に総圧下量が4~12mmであり、
鋳片中の炭素含有量≦0.45%の場合に、中心固相率fsが0.15~0.20であるときに領域に対して単ロール圧下を行い、0≦fs<0.10の場合に圧下量が0mmであり、0.10≦fs≦0.20の場合に総圧下量が10mmである。
【0009】
さらに、前記ステップS4では、サンプリング酸洗としては、具体的に、選択された鋳片を、鋳片を引き抜く方向に沿った縦断面中心試料に加工して、試料を切り取り、選択された鋳片の断面をフライス盤で研磨し、中心試料を1:1の塩酸溶液に入れ、かつエッチング面を酸に完全に浸し、酸洗槽を70~80℃に加熱し、当該温度範囲内で20分間保持した後、試料を取り出し、取り出した後、直ちに清水とアルコールで洗浄し、ドライヤーで乾燥させ、中心試料の割れを分析し、測定してXを得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明に係る二次冷却凝固モデルの正確性検証方法は、圧下プロセスによる割れの発生方式で二次冷却凝固モデルの正確性を検証することができ、圧下位置、圧下量の選択を含む具体的な圧下プロセス実施パラメータの確定方法を提供し、鋳片が縦方向低倍率で割れを発生させることを保証し、かつ割れ開始位置に基づいて二次冷却凝固モデルの正確性を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、図面及び実施例を参照して本発明をさらに説明する。
【0012】
図1】本発明の実施例1の縦断面中心試料の模式図である。
図2】本発明の実施例1の中心試料の割れ測定の模式図である。
図3】本発明の二次冷却凝固モデルを用いて模擬した凝固シェルの模式図である。
図4】本発明の実施例2の試料の酸洗後の断面模式図である。
図5】本発明の実施例2の試験曲線の模式図である。
図6】本発明の実施例3の試料の酸洗後の断面模式図である。
図7】本発明の実施例3の試験曲線の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。これらの図面は、いずれも簡略化した模式図であり、本発明の基本構成を模式的に説明するものに過ぎないため、本発明に関連する構成のみを示している。
【0014】
二次冷却凝固モデルの正確性検証方法は、
プライメタルズによりオンライン二次冷却凝固モデルを確立するステップS1と、
連続鋳造生産プロセスにより鋳片を得て、オンライン二次冷却凝固モデルによって比水量、引抜き速度、プロセス条件での鋳片の温度を決定し、テンションレベラーに入る鋳片の中心固相率fsを算出するステップS2と、
【数2】
(式中、Tは温度であり、Tは鋼の液相線温度であり、Tは鋼の固相線温度である。)
テンションレベラーを用いて軽圧下を行い、中心固相率fsが10~50%であるときに領域に対して単ロール又は多ロールの圧下を行うステップS3と、
鋳片をサンプリングした後に、酸洗して縦方向低倍率で割れ開始位置を検査し、実測した割れ開始位置に基づいて測定して得られたXと、二次冷却凝固モデルを用いて模擬した鋳片の厚さDとを比較し、|X-D|≦5mmである場合、二次冷却凝固モデルの模擬が正確であるステップS4と、を含む。
【0015】
前記ステップS2では、連続鋳造生産プロセスにおける晶析装置は、水流量が120~140m/hであり、水温差が7.5~9.5℃であり、銅管の長さが900mmであり、フットロールのノズルは、3行2列、計24個のノズルを用い、その長さが0.45mであり、二次冷却セクションは、二次冷却の第1セクション、二次冷却の第2セクション及び二次冷却の第3セクションを含み、二次冷却の第1セクションの長さが1.9mであり、二次冷却の第2セクションの長さが2.4mであり、二次冷却の第3セクションの長さが2.5mである。
【0016】
前記ステップS2では、二次冷却は、中冷、弱冷モードを用い、比水量は、0.7L/kg~0.55L/kgに制御され、晶析装置のフットロールは、完全水冷を用い、二次冷却の第1セクション、二次冷却の第2セクション及び二次冷却の第3セクションは、エアロゾル冷却を用い、二次冷却の各セクションの水量の分配比率は、フットロール23%、二次冷却の第1セクション45%、二次冷却の第2セクション22%、二次冷却の第3セクション10%であり、引抜き速度は、2.4~2.5m/minである。
【0017】
前記ステップS3では、テンションレベラーは、圧下区間がメニスカスからの距離が14200mm~17900mmであり、圧下速度が0.1~0.2mm/secである。
【0018】
前記ステップS3では、鋳片中の炭素含有量>0.45%の場合に多ロール圧下を用い、0≦fs<0.10の場合に圧下量が0mmであり、0.10≦fs≦0.50の場合に総圧下量が4~12mmであり、
鋳片中の炭素含有量≦0.45%の場合に、中心固相率fsが0.15~0.20であるときに領域に対して単ロール圧下を行い、0≦fs<0.10の場合に圧下量が0mmであり、0.10≦fs≦0.20の場合に総圧下量が10mmである。
【0019】
前記ステップS4では、サンプリング酸洗としては、具体的に、選択された鋳片を、鋳片を引き抜く方向に沿った縦断面中心試料に加工して、試料を切り取り、選択された鋳片の断面をフライス盤で研磨し、中心試料を1:1の塩酸溶液に入れ、かつエッチング面を酸に完全に浸し、酸洗槽を70~80℃に加熱し、当該温度範囲内で20分間保持した後、試料を取り出し、取り出した後、直ちに清水とアルコールで洗浄し、ドライヤーで乾燥させ、中心試料の割れを分析し、測定してXを得る。
【0020】
(実施例1)
測定分析について、300mmの鋳片をオンラインで切り出し、選択された鋳片を、鋳片を引き抜く方向に沿った200mm×150mm×160mmの縦断面中心試料に加工して、サンプリングされた試料の模式図を図1に示し、選択された鋳片の表面をフライス盤で研磨し、酸浸漬の方法で割れ分析を行い、中心試料を1:1の塩酸溶液に入れ、かつエッチング面を酸に完全に浸し、酸洗槽を70~80℃に加熱し、当該温度範囲内で20分間保持した後、試料を取り出し、取り出した後、直ちに清水とアルコールで洗浄し、ドライヤーで乾燥させ、中心試料の割れを分析し、中心試料の割れから内弧又は外弧表面までの距離Xを測定し、図2に示すように、測定したXと二次冷却凝固モデルを用いて模擬したn番目のテンションレベラー(1≦n≦7)に用いられる鋳片の厚さDとを比較分析し、|X-D|≦5mmの場合に二次冷却凝固モデルの模擬が正確であると判定する。
【0021】
(実施例2)
以下、具体的な実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
70鋼の例示的な応用について、Cの含有量が0.65~.0.75%、Siの含有量が0.17~0.37%、Mnの含有量が0.50~0.85%であり、タンディッシュ過熱度が1490~1506℃であり、引抜き速度が2.4m/minであり、二次冷却の比水量が0.75L/kgであり、晶析装置の水流量が140m/hであり、軽圧下を実施する過程において、圧下速度が0.2mm/secであり、総圧下量が12mmであり、ロール1本あたりの最大圧下量が4mmであり、軽圧下ラックの圧下量と鋳片の固相率との関係を以下の表に示す。
【0023】
70鋼の圧下量と鋳片の固相率との関係
【表1】
【0024】
鋳片の縦方向低倍率写真を図4に示し、連続的な中間割れの発生開始位置は、鋳片の表面からの距離が46~48mmであり、1番目のテンションレベラーで圧下割れが発生し、二次冷却凝固モデルを用いて1号ロールの14.2mの位置で模擬した鋳片の凝固厚さは、47.6mmであり、縦方向低倍率写真中の割れの発生と一致する。
【0025】
(実施例3)
冷間圧造鋼SWRCH35Kの例示的な応用について、Cの含有量が0.32~0.38%であり、Siの含有量が0.10~0.35%であり、Mnの含有量が0.60~0.90%であり、Alの含有量が0.020~0.040%であり、タンディッシュ過熱度が1517~1537℃であり、引抜き速度が2.5m/minであり、二次冷却の比水量が0.70L/kgであり、軽圧下を実施する過程において、圧下速度が0.10mm/secであり、総圧下量が10mmであり、ロール1本あたりの最大圧下量が10mmである。軽圧下ラックの圧下量と鋳片の固相率との関係を以下の表に示す。
【0026】
SWRCH35K圧下量と鋳片の固相率との関係
【表2】
【0027】
鋳片の縦方向低倍率写真を図6示し、連続的な中間割れの発生開始位置は、鋳片の表面からの距離が55~57mmであり、2番目のテンションレベラーで圧下割れが発生し、二次冷却凝固モデルを用いて2号ロールの14.8mの位置で模擬した鋳片の凝固厚さは、55.6mmであり、縦方向低倍率写真中の割れの発生と一致する。
【0028】
当業者であれば、上記本発明の理想的な実施例を啓示として、以上の説明を通じて、本発明の技術的思想の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。本発明の技術的範囲は、明細書の記載内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲に基づいて定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】