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特表2024-529968大容量薬剤投与のための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】大容量薬剤投与のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20240806BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240806BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61M5/168 500
A61M5/142
A61M5/14 580
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505133
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022071259
(87)【国際公開番号】W WO2023006906
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,494
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,498
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,499
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・マイケル・コイン・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェームズ・フランジーズ
(72)【発明者】
【氏名】モリー・クリスティン・ラーソン-ウェイクマン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C066FF04
4C066QQ14
4C066QQ25
4C066QQ44
4C066QQ74
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ92
(57)【要約】
装置、システム、および方法が開示されており、それらは、治療薬剤を患者に送達するように構成されている。装置、システム、および方法は、リザーバー、患者インターフェース、チュービングセット、および流体ポンプを含み、コンポーネントは、チュービングセットの内部ルーメンを通過する治療薬剤の特定の特質に基づいて、較正された流量を提供するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、前記装置は、
治療薬剤を含有するリザーバーと、
前記リザーバーの内容物を前記患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、
可撓性のチュービングセットであって、前記可撓性のチュービングセットは、前記可撓性のチュービングセットの近位端部において前記リザーバーと流体連通しており、前記可撓性のチュービングセットの遠位端部において前記患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、
前記リザーバーから前記可撓性のチュービングセットを通して前記患者インターフェースの中へ前記治療薬剤を排出するように構成されている流体ポンプと
を含み、
前記可撓性のチュービングセットは、所定の長さと、一貫した内部直径を含む内部ルーメンとを含み、前記可撓性のチュービングセットは、前記内部ルーメンを通過する前記治療薬剤の特定の特質に基づいて、所定の較正された流量を提供するように構成されており、前記特定の特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、前記患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
【請求項2】
前記流体ポンプは、実質的に一定の圧力デバイスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体ポンプは、実質的に一定のフローデバイスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記内部ルーメンの前記内部直径は、前記薬剤チュービングセットのインターフェースにおける応力、および、関連のタンパク質ベースの治療薬剤の凝集を低減させるように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記治療薬剤は、実質的に非ニュートン性の流体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記治療薬剤は、粘度と剪断応力との間に非線形の関係を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記治療薬剤は、前記薬剤の温度に基づく非線形の粘度変化を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記治療薬剤は、生物学的製剤、組み換え型治療用タンパク質、遺伝子療法、モノクロナール抗体、抗体薬物複合体、または融合タンパク質である、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記流体ポンプは、使い捨てのものであり、1回使用のために設計されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記流体ポンプは、再使用可能であり、複数回使用のために設計されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記流体ポンプは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、コントローラーをさらに含み、前記コントローラーは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、コントローラーをさらに含み、前記コントローラーは、使い捨てのものであり、1回使用のために設計されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、コントローラーをさらに含み、前記コントローラーは、再使用可能であり、複数回使用のために設計されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記リザーバーは、事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、前記流体ポンプによって投与される、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記可撓性のチュービングセットは、治療薬剤がインフュージョンリアクションを引き起こす可能性のある流量よりも小さい流量を提供するように構成されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、複数の可撓性のチュービングセットをさらに含み、1つまたは複数の前記可撓性のチュービングセットは、実験的に決定された濃度-温度-粘度関係に基づいて、室温における前記治療薬剤のmL/時での実際の流量をラベル付けされている、請求項1から17のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、
1つまたは複数の治療薬剤をそれぞれ含有している、複数のリザーバー
を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記流体ポンプは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記複数のリザーバーのうちの1つまたは複数と前記可撓性のチュービングセットの前記近位端部との間の流体連通は、マニホールドによって提供されている、請求項18または19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
以下の出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている:2021年7月28日に出願された米国仮出願第63/226,494号;2021年7月28日に出願された米国仮出願第63/226498号;および2021年7月28日に出願された米国仮出願第63/226499号。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、治療薬の大量輸液のための装置および方法に関する。特定の本開示の実施形態は、既知の、事前選択された、および制御された流量において、1つまたは複数の治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
輸液および注入は、さまざまな疾患に対する多種多様な関心の治療薬を送達するために使用されるありふれた医療処置である。本明細書で使用されるときに、「輸液」、「注入」、および「投与」は、相互交換可能に使用され、それは、皮下(SC)ルート、筋肉内(IM)ルート、静脈内(IV)ルート、または経腸ルートによって行われる(同様に、相互交換可能に使用される用語である)。投与ルートは、特定の薬剤の薬物動態(PK)プロファイル、製剤コンポーネント、承認された規制当局の表示、個々の臨床的判断、または臨床上の必要性に基づく。
【0004】
SCまたはIMルートが、プレフィルドシリンジおよびオートインジェクターを使用したより少量の投与のために頻繁に使用される。生物学的薬は、これらのデバイスによってSCルートを介して頻繁に投与される。しかし、より量の多い薬剤は、これらのデバイスに適切ではなく、IVルートが、一般的には病院または外来診療所において、典型的に選ばれる。家庭でのIV投与の安全リスクおよび患者負担を所与として、製薬会社および患者は、一般的に、家庭でのSC投与を好む。SC投与は、一般的に、より侵襲性が低く、患者にとってより簡潔であると考えられている。SCルートを介した薬剤の生理学的な取り込みは、より遅いので、IV投与と比較して改善された忍容性の可能性が存在している。
【0005】
安全、忍容性、および便利性におけるこれらの重大な利点を所与として、医薬品産業は、製剤をIV投与からSC投与へ移行させること、および、薬剤投与を診療所から家庭環境へ移行させることに、多大な投資を行ってきた。しかし、多くの大容量送達デバイス(たとえば、シリンジまたは容積ポンプなど)は、トレーニングを受けた医療従事者による使用のみを意図しており、家庭使用には不適切である。
【0006】
病院グレードのデバイスに対する代替を提供する、家庭使用のための携帯型ポンプが開発されている。しかし、それらは、医療提供者による構成、患者によるコンポーネントの無菌的な組み立てを必要とし、また、特定のコンポーネントが入手不可能であるかまたは不注意に置換された場合には、適正に働かない可能性がある。これらのエラーは、感染、薬剤エラー、および重篤な有害事象につながる可能性がある。結果として、これらのデバイスの適用可能性は限られている。家庭環境における大量投与の利益を完全に現実化するために、トレーニングを受けた医療提供者ではない患者によって使用するのに適切な、単純な、エラープルーフの、安全な、および直感的な送達デバイスに対する必要性が存在している。
【0007】
SC投与は、製薬会社および患者によって非常に好適であるが、すべての薬がIV投与からSC投与へ容易に移行されるわけではない。バイオアベイラビリティーは、人間での臨床試験を通して決定され、分子特異的であり(molecule-specific)、一般的に、IVルートに対してSCルートはより低い。同じ分子に関して、同等のバイオアベイラビリティーを提供するためには、IV送達と比較して、より大きなSC体積が必要とされる傾向がある。しかし、これらの体積は、固定体積インクリメント(たとえば、3mL、5mL、10mL、25mL、および50mLなど)で供給される、現在の大容量SCデバイス(たとえば、オンボディインジェクター(OBI)など)の容量を超える可能性がある。体積要件が利用可能なOBIデバイスを超えるか、または、OBIのカスタマイズを必要とする場合には、OBIを使用する薬剤の後続の臨床試験または商業的発売が遅れる可能性がある。
【0008】
個々の薬剤は、薬のより大きなレジメンの一部であることが多く、標準化されたレジメンは、特定の疾患状態、治療レジメン、または薬剤に対応している。臨床環境では、オーダーセットは、標準化されたレジメンを投与するために必要とされるすべての情報を含有している。たとえば、腫瘍学的レジメンは、前薬剤、腫瘍学的治療、および後薬剤を含むことが可能である(すべてが、オーダーセットの中に含有されている)。既存の薬物送達デバイスは、単一の薬剤を投与するように設計されており、マルチ薬剤レジメンの送達を支持することができず、それは、療法を診療所から家庭環境へ移動させるための能力を限定する。疑われるインフュージョンリアクションを検出および応答することができる送達デバイスは存在しておらず、それは、特定の薬剤の投与を家庭環境では現在実行不可能なものにしており、これらの薬剤を診療所での送達に制限している。
【0009】
そのうえ、薬剤オーダーセットは、特定の患者モニタリングを実施するように、および、緊急薬剤の偶発的な投与を許容するように、臨床スタッフに指示することが可能である。これは、特定の患者に輸液関係のリアクションを引き起こす薬剤にとって、とりわけ重要である。インフュージョンリアクションは、薬剤の作用のモードに関係付けられる、潜在的に致命的な全身的な反応である。全身的なインフュージョンリアクションは、オートインジェクター、プレフィルドシリンジ、またはOBIデバイスによって起こることとなるような、単一の薬剤の投与からの局所的な注入部位反応または紅斑(それらは、不快であるが生命を脅かすものではない)とは臨床的に異なっている。それらは、薬剤投与に対する即座の停止および1つまたは複数の反作用薬剤の投与を要求する。しかし、先行技術デバイスは、全身的なインフュージョンリアクションの検出も、緊急薬剤の送達も可能にせず、全身的なインフュージョンリアクションが起こる可能性がある場合に、薬剤を投与するために安全に使用されることができない。これは、生物学的療法に関してとりわけ懸念されることであり、特に、腫瘍学的治療に関連している。
【0010】
臨床環境では、薬剤レジメンの投与、関連のモニタリング、および臨床的な意思決定は、電子健康記録(EHR)システムの中の患者の記録の中に文書化される。EHRの目的は、患者のためのケアの完全な臨床記録を提供すること、および、人間の記憶に依存することなくまたはヒューマンエラーを導入することなく、薬剤レジメンを安全に管理することである。医療提供者は、所与の患者のために、EHRシステムをリアルタイムで更新およびレビューする。家庭使用のための現在の薬物送達デバイスは、EHRインターフェースを有しておらず、それは、マルチ薬剤レジメン、偶発的な薬剤投与、または特定の患者モニタリング要件を伴うそれらの使用を妨げる。そのうえ、他の薬物送達デバイス(たとえば、OBIなど)を介した薬剤の投与は、EHRシステムの中に反映されない可能性がある。
【0011】
臨床環境では、EHRシステムは、不可欠な患者安全機能も提供する。EHRシステムは、身体的なバイタルサイン、研究室試験値、または、スケジュール通りの先行薬剤の投与に基づいて、患者が特定の薬剤を安全に受け取ることができることを保証する。しかし、家庭環境において使用される先行技術送達デバイスは、単一の薬剤に焦点を合わせられており、EHRシステムの中への一体化を欠いており、したがって、診療所に存在する安全インターロックを提供することができない。結果として、現在のデバイスは、安全でない条件での薬剤の投与を防止することができない。
【0012】
したがって、臨床環境の外側であっても、治療薬剤の前に、その間に、およびその後に、他の薬剤の投与を可能にする必要性が存在している。また、薬物開発プロセスに任意の容積制限または「ブレークポイント」を課さない、ならびに、送達デバイス、装置、およびシステム設計から製剤開発および臨床試験を切り離す、薬物送達システムの必要性が存在している。そのうえ、特定のセンサーを通して全身的なインフュージョンリアクションを検出し、薬の送達を食い止め、1つまたは複数の緊急の反作用薬剤を投与するように構成されている、薬物送達デバイス、装置、およびシステムの必要性が存在している。また、EHR一体化を提供する、ならびに、オーダー通りに複雑なレジメンの家庭送達を可能にすることによって、患者の記録の中の投与を更新することによって、および、余分な労力をかけずに患者のための完全なレジメン履歴を医療提供者がレビューすることを可能にすることによって、薬物送達デバイス、装置、およびシステムの技術を進歩させる、装置、システム、および方法の必要性が存在している。また、EHRシステムとの一体化を可能にし、安全な条件の下でのみ薬剤の投与を可能にし、現在では臨床環境に存在している安全対策を家庭で再現する、装置、システム、および方法を提供する必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第10,252,005号明細書
【特許文献2】米国特許第9,795,740号明細書
【特許文献3】米国特許第10,357,612号明細書
【特許文献4】米国特許第8,617,109号明細書
【特許文献5】米国特許第8,876,766号明細書
【特許文献6】米国特許第9,022,982号明細書
【特許文献7】米国特許第9,095,657号明細書
【特許文献8】米国特許第9,132,236号明細書
【特許文献9】米国特許第9,446,201号明細書
【特許文献10】米国特許第9,468,722号明細書
【特許文献11】米国特許第9,737,668号明細書
【特許文献12】米国特許第10,255,827号明細書
【特許文献13】米国特許第10,307,543号明細書
【特許文献14】米国特許第10,456,521号明細書
【特許文献15】米国特許第10,507,289号明細書
【特許文献16】米国特許第10,525,213号明細書
【特許文献17】米国特許第10,632,248号明細書
【特許文献18】米国特許第10,874,804号明細書
【特許文献19】米国特許第10,881,811号明細書
【特許文献20】米国特許第11,065,387号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、1つまたは複数の治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、治療薬剤を含有する1つまたは複数のリザーバーと、リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、近位端部においてリザーバーと流体連通しており、遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、リザーバーから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治療薬剤を排出するように構成されている流体ポンプとを含み、可撓性のチュービングセットは、所定の長さと、一貫した内部直径を含む1つまたは複数の内部薬剤ルーメンとを含み、可撓性のチュービングセットは、内部ルーメンを通過する治療薬剤の特定の特質に基づいて、特定の較正された流量を確立するように構成されており、特定の特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置に向けられている。いくつかの実施形態において、装置は、モジュール式である。いくつかの実施形態において、装置は、既知の、事前選択された、および制御された流量において、治療薬剤を患者に送達するように構成されている。いくつかの実施形態において、装置は、既知の事前選択された最大流量において、治療薬剤を患者に送達するように構成されている。いくつかの実施形態において、装置は、既知の、事前選択された、および制御された第1の流量において、第1のルーメンを通して、第1の薬剤を送達するように構成されており、また、既知の、事前選択された、および制御された第2の流量において、第2のルーメンを通して、第2の薬剤を送達するように構成されており、第1の流量は、第2の流量よりも大きい。
【0015】
追加的な本開示の実施形態は、治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、1つまたは複数のリザーバーであって、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれは、治療薬剤を含有する、1つまたは複数のリザーバーと、1つまたは複数の治療薬剤の前に投与されることとなる前薬剤、または、1つまたは複数の治療薬剤の後に投与されることとなる後薬剤を含有する1つまたは複数のリザーバーと、リザーバーの内容物を患者の身体の中へ排出するように構成されている患者インターフェースと、可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部においてリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治療薬剤を排出するための流体ポンプとを含み、可撓性のチュービングセットは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンを提供されており、それを通過する治療薬剤の特質に基づいて、特定の較正された流量を提供し、特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置に向けられている。
【0016】
さらなる実施形態は、1つまたは複数の治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、1つまたは複数の治療薬剤を含有する1つまたは複数のリザーバーと、緊急薬剤を含有する緊急リザーバーと、1つまたは複数のリザーバーおよび緊急リザーバーの内容物を患者の身体の中へ排出するように構成されている患者インターフェースと、可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部において1つまたは複数のリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットとを含み、可撓性のチュービングセットは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンを提供されており、内部直径は、それを通過する治療薬剤の特質に基づいて、特定の較正された流量を提供するように構成されており、特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置に向けられている。
【0017】
さらなる実施形態は、1つまたは複数の制御された流量において、臨床試験の間に、1つまたは複数の治験中の薬を送達するように構成されている装置であって、装置は、1つまたは複数のリザーバーであって、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれは、治験中の治療薬剤を含有する、1つまたは複数のリザーバーと、リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部において1つまたは複数のリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、リザーバーから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治験中の治療薬剤を排出するように構成されている流体ポンプとを含み、いくつかの可撓性のチュービングセットのそれぞれは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンを提供されており、それを通過する治験中の治療薬剤の特質に基づいて、特定の較正された流量を提供し、特質は、用量、濃度、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択され、特質は、1つまたは複数の臨床試験研究条件に対応している、装置に向けられている。
【0018】
本開示の別の態様は、治験中の薬の臨床試験の間に、1つまたは複数の制御された流量において、治験中の治療薬剤を患者に送達するための方法であって、方法は、臨床試験キットを提供するステップであって、臨床試験キットは、治験中の治療薬剤、リザーバー、流体ポンプ、および1つまたは複数の可撓性のチュービングセットを含み、1つまたは複数の可撓性のチュービングセットのそれぞれは、特定の治験中の治療薬剤のための特定の制御された流量に対応しており、1つまたは複数の臨床試験条件に関係付けられている、ステップと、臨床試験プロトコルまたはランダム化スケジュールに特定されているように、個々の患者の臨床試験条件に対応する1つまたは複数の可撓性のチュービングセットから、選択された可撓性のチュービングセットを選択するステップと、流体ポンプとの流体連通を確立するために、可撓性のチュービングセットの近位端部を流体ポンプに取り付けるステップと、可撓性のチュービングセットの遠位端部を患者インターフェースに取り付けるステップと、治験中の治療薬剤を患者に投与するステップとを含む、方法に向けられている。
【0019】
方法の別の実施形態では、1つまたは複数の既知の、事前選択された、および制御された流量において、単一のポンプユニットによって送達される実質的に非ニュートン性の特質を示す治療薬剤を患者に送達するための最適化されたチュービングセットを提供する方法が提供される。方法は、治療薬剤の所望の薬物動態に基づいて、患者への投与のための治療薬剤の1つまたは複数の所望の流量を識別するステップと、治療薬剤の送達が起こることとなる1つまたは複数の室温を識別するステップと、患者への送達のための医薬品製剤の中の治療薬剤の温度、粘度、および濃度の間の関係を識別するために、試験を実行するステップと、理論的な計算および計算流体力学分析のうちの1つまたは複数に基づいて、所望の流量のうちの1つまたは複数に関連付けられる実験的なチュービングセットの内部直径、長さ、および内部表面粗さの値を特定するステップと、非ニュートン性の特質を示す治療薬剤を実験的なチュービングセットを通して推進するために必要とされる力を特徴付けするステップと、複数の温度および流量において実験的なチュービングセットの中に治療薬剤をディスペンスするために、必要とされる流体ポンプパワーを実験的に決定するステップと、観察された流量-対-所望の流量に対処するために、実験的なチュービングセットの値を調節し、最適化されたチュービングセットを選択するステップと、最適化されたチュービングセットを通る所望の流量を確認するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】1つまたは複数の実施形態による、終端ルアーテーパー接続を特徴とする4つの一般の血管アクセスデバイス(VAD)を使用して静脈内薬剤送達を達成するための患者インターフェースコンポーネントの解剖学的場所を示す、簡単化された部分的な切欠正面図ダイアグラムである。
図1B】1つまたは複数の実施形態による、植え込まれた血管アクセスデバイス(VAD)または「ポート」およびHuber針を使用して静脈内薬剤送達を達成するための患者インターフェースコンポーネントの解剖学的場所を示す、簡単化された部分的な切欠正面図ダイアグラムである。
図1C】1つまたは複数の実施形態による、さまざまな真っ直ぐな進入のおよび角度付きの針設置を使用して皮下投与および筋肉内投与を達成するための患者インターフェースコンポーネントの解剖学的場所を示す、簡単化された部分的な切欠正面図ダイアグラムである。
図1D】1つまたは複数の実施形態による、軟質の可撓性の投与カニューレの設置を達成するための、ならびに、皮下投与および筋肉内投与を提供するための患者インターフェースコンポーネントの解剖学的場所を示す、簡単化された部分的な切欠正面図ダイアグラムである。
図2A】1つまたは複数の実施形態による、3つの薬剤を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2B-1】1つまたは複数の実施形態による、レジメン要件に基づく例示的な投与シーケンスおよび時間遅延を図示する、いくつかの薬剤の併用療法を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2B-2】1つまたは複数の実施形態による、レジメン要件に基づく例示的な投与シーケンスおよび時間遅延を図示する、いくつかの薬剤の併用療法を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2B-3】1つまたは複数の実施形態による、レジメン要件に基づく例示的な投与シーケンスおよび時間遅延を図示する、いくつかの薬剤の併用療法を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2B-4】1つまたは複数の実施形態による、レジメン要件に基づく例示的な投与シーケンスおよび時間遅延を図示する、いくつかの薬剤の併用療法を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2B-5】1つまたは複数の実施形態による、レジメン要件に基づく例示的な投与シーケンスおよび時間遅延を図示する、いくつかの薬剤の併用療法を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2C】1つまたは複数の実施形態による、完全な薬剤レジメンの一部として、特定の他の薬剤によって先行および/または後続される治療薬剤を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2D】1つまたは複数の実施形態による、関心の薬剤およびさまざまなフラッシング溶液を送達するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図2E】1つまたは複数の実施形態による、関心の薬剤を送達するために、および、全身的なインフュージョンリアクションに反作用するために緊急薬剤を偶発的に投与するために、薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図3A】1つまたは複数の実施形態による、どのように本開示がその中に一体化されるかを図示する、臨床試験研究プロセスのフローダイアグラムである。
図3B】人間臨床試験の一部として研究される製剤特質、予期される薬物療法的効果、および予期される投薬レジメンに基づいて、1つまたは複数のレートにおいて非ニュートン性の治療薬剤を送達するためにチュービングセットを設計および改良するための1つの実施形態の中のプロセスのフローダイアグラムである。
図3C】1つまたは複数の実施形態による、製剤特質を与えられた実質的に非ニュートン性の治療薬剤を送達するためにチュービングセットを設計および改良するための支配パラメーター概略図ダイアグラムである。
図4】1つまたは複数の実施形態による、全身的なインフュージョンリアクションを検出するために患者ステータスの閉ループモニタリングを提供するために、および、全身的なインフュージョンリアクションに対する1つまたは複数の適当な臨床応答を可能にするために、薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図5】1つまたは複数の治療薬剤の投与の間にまたはその後に、患者インフュージョンリアクションを検出して応答するための1つの実施形態のプロセスのフローダイアグラムである。
図6A】1つまたは複数の実施形態による、チュービングセットおよび薬剤ルーメンの断面図である。
図6B】1つまたは複数の実施形態による、チュービングセットおよび薬剤ルーメンの断面図である。
図6C】1つまたは複数の実施形態による、チュービングセットおよび薬剤ルーメンの断面図である。
図7A】1つまたは複数の実施形態による、インラインフィルターおよびフロー制限器を含有するチュービングセットの一部分を図示する図である。
図7B】1つまたは複数の実施形態による、インラインフィルターおよびフロー制限器を含有するチュービングセットの一部分を図示する図である。
図8】1つまたは複数の実施形態による、治験中の治療薬剤のための臨床研究データ完全性を提供するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図9】1つまたは複数の治療薬剤を患者に送達するための選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図10A】電子健康記録システムの中に含有されている単一の薬剤のための薬剤オーダーの中の情報の代表的な例を示す図である。
図10B】患者のためのさまざまな薬剤投与および他のケアインストラクションを含む、薬剤レジメンの投与のための電子健康記録システムの中に含有されている薬剤オーダーセットの中の情報の代表的な例を示す図である。
図10C】1つまたは複数の実施形態による、薬剤オーダーに対する薬物送達装置の関連付けおよび検証を提供するために薬物送達装置の中に実装された選択された機能的コンポーネントのブロック図である。
図11図9に描かれている実施形態のさらなる実施形態を示す図である。
図12図4において参照されたコントローラー403、センサー407、および患者データ408の中の意思決定アルゴリズムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
いくつかの例示的な本開示の実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明において記載されている構築またはプロセスステップの詳細に限定されないということが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、さまざまな方式で実践または実施されることが可能である。
【0022】
本明細書で使用されているように、「輸液」、「注入」、および「投与」は、相互交換可能に使用され、それは、皮下(SC)ルート、筋肉内(IM)ルート、静脈内(IV)ルート、または経腸ルートによって行われる(同様に、相互交換可能に使用される用語である)。投与ルートは、特定の薬剤の薬物動態(PK)プロファイル、製剤コンポーネント、承認された規制当局の表示、個々の臨床的判断、または臨床上の必要性に基づく。
【0023】
本開示の実施形態は、薬剤投与のための装置、システムおよび方法を提供し、薬剤の数、投与順序、体積、送達時間、および投与のルートは、独立して選択される。装置、システム、および方法の実施形態は、研究施設における初期の人間臨床試験から、薬物承認後の家庭環境における商業的発売を通して使用可能な単一のアーキテクチャーを提供する。1つまたは複数の実施形態は、家庭環境における使用を提供し、そこでは、装置、システム、および方法は、医療トレーニングを受けていない患者または素人の介護者による使用のために本質的に安全で直感的である。
【0024】
したがって、本開示の実施形態は、さまざまなシーケンス、レート、および設定において、家庭の中での多くの異なる薬剤の送達(歴史的に診療所内環境に限定されているものを含む)を可能にする、薬物送達装置、システム、および方法を提供する。当業者によって認識されることとなるように、本明細書で開示されているデバイス、装置、および/またはシステムの例、改善、および配置を実施する多数の方式が存在している。図面および以下の説明に描かれている例示的な実施形態が参照されることとなるが、本明細書で開示されている実施形態は、本開示によって包含されるさまざまな代替的な設計および実施形態を網羅することを意味するものではない。
【0025】
本開示の実施形態は、臨床環境の外側であっても、治療薬剤の前に、その間に、およびその後に、他の薬剤の投与を可能にすることによって、薬物送達デバイス、装置、またはシステムの技術を進歩させる。本開示の1つまたは複数の実施形態は、薬物開発プロセスに任意の容積制限または「ブレークポイント」を課さず、送達デバイス、装置、およびシステム設計から製剤開発および臨床試験を切り離す。加えて、実施形態は、特定のセンサーを通して全身的なインフュージョンリアクションを検出すること、薬の送達を食い止めること、および、1つまたは複数の緊急の反作用薬剤を投与することを可能にすることによって、薬物送達デバイス、装置、またはシステムを進歩させる。本開示の1つまたは複数の実施形態は、EHR一体化を提供する、ならびに、オーダー通りに複雑なレジメンの家庭送達を可能にすることによって、患者の記録の中の投与を更新することによって、および、余分な労力をかけずに患者のための完全なレジメン履歴を医療提供者がレビューすることを可能にすることによって、薬物送達デバイス、装置、またはシステムの技術を進歩させる、装置、システム、および方法をさらに提供する。1つまたは複数の実施形態は、EHRシステムとの一体化を可能にし、安全な条件の下でのみ薬剤の投与を可能にし、現在では臨床環境に存在している安全対策を家庭で再現する、装置、システム、および方法を提供する。
【0026】
さまざまな本開示の実施形態は、治療薬の大量輸液のために構成されている改善されたシステムまたは装置および方法に向けられている。より具体的には、実施形態は、所望の治療効果を実現するために十分に大きなおよび変化する体積で、投与の1つまたは複数の生理学的なルートを介して、1つまたは複数の治療薬を送達するように組み合わせられるように構成されているコンポーネントを含む、システム、装置、および方法を提供する。1つまたは複数の実施形態において、治療薬は、随意的に、医療従事者によってオーダーされる通りに完全な治療レジメンを達成するために、前薬剤投与、後薬剤投与、および緊急薬剤投与を含むことも可能である。いくつかの実施形態において、利用されるコンポーネントは、キットの一部であり、コンポーネントのキットと称されることが可能である。1つまたは複数の実施形態のシステム、装置、および方法は、特質が未知であるときに、1つまたは複数の治療薬の薬理学的なおよび生理学的な効果を決定するために使用され、次いで、さまざまな環境において(たとえば、診療所においてまたは家庭においてなど)投与されるときに、治療効果を実現するために所望のパラメーターにおいて治療薬を送達するために使用されることが可能である。加えて、1つまたは複数の実施形態のシステム、装置、および方法は、薬物送達デバイス、装置、またはシステムの投与設定およびエンドユーザーに基づいて、使いやすさ、安全、および便利性を改善する。
【0027】
1つまたは複数の本開示の実施形態は、大量の非経口薬または経腸薬を患者に投与するための新しいおよび/または改善された装置、システム、および方法を提供する。大容量の静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、および経腸投与は、本明細書における開示によって提供される。より具体的には、1つまたは複数の本開示の実施形態は、現在では臨床環境に限定されている薬剤が、高度にトレーニングを受けた医療従事者または診療所の訪問の必要性なしに、患者または素人の介護者によって家庭において投与されることを可能にする。結果として、1つまたは複数の本開示の実施形態は、理想的には、大容量の生物学的製剤(たとえば、モノクロナール抗体など)の家庭投与に適している。
【0028】
本明細書で説明されている実施形態は、腫瘍学において一般的であるように、さまざまな薬剤レジメン(マルチ薬物レジメンを含む)を投与するための構成可能な複数の薬剤リザーバーを備えた薬物送達装置、システム、または方法を提供する。レジメンは、シーケンシャルな、並列的な、時間遅延の、または偶発的な様式で、経時的に投与されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、薬物送達システムは、電子健康記録システムおよび1つまたは複数の薬剤オーダーまたはオーダーセットへのインターフェースを準備されており、研究室値または生理学的なモニタリングに基づいて、マルチ薬物レジメンの投与および偶発的な薬剤投与を可能にする。1つまたは複数の本開示の実施形態は、既存の先行技術デバイスの能力を超えるより複雑な薬剤レジメンの家庭投与を提供する。
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、チュービングセットは、承認された薬剤のための1つまたは複数の臨床試験条件または投薬レジメンに対応する制限された流量を提供される。また、1つまたは複数の本開示の実施形態は、同じデバイス、装置またはシステムによって投与されることとなる、承認前臨床試験薬と商品化された薬の両方提供し、コスト、市場投入までの時間、および、デバイス、装置またはシステム複雑さを大幅に低減させる。
【0030】
1つまたは複数の実施形態において、リザーバーは、デバイス、装置、またはシステムによって投与される薬剤レジメンに基づいて、短期または長期の薬物安定性のために個別に設計されることが可能である。リザーバーは、患者もしくは介護者によって家庭において使用の時点で充填されるか、調剤薬局によって充填されるか、または、医薬品製造業者によって充填されることが可能である。随意的に、薬物送達システムは、いくつかの実施形態において、投与の前におよびその後に、静脈内フラッシュ溶液を備えて構成されることが可能である。
【0031】
1つまたは複数の実施形態において、薬物送達システムは、コントローラー、アルゴリズム、およびセンサーを準備されており、センサーは、患者の潜在的に生命を脅かす全身的なインフュージョンリアクションを検出するために、コントローラーに連結されている。さらに、薬物送達装置、システム、および方法の実施形態は、全身的なインフュージョンリアクションに応答して、自律的に、または、遠隔の臨床医モニターの指示により、相殺する緊急薬剤を投与することが可能であり、そうでなければ、投与モニタリング要件および安全考慮事項に起因して診療所内に制限されることとなる薬剤の家庭投与を可能にする。そのうえ、1つまたは複数の実施形態において、薬物送達システムは、インフュージョンリアクションを引き起こす傾向を伴う薬剤の前および後に、予防的薬剤を送達するように構成されている。
【0032】
1つまたは複数の実施形態において、薬物送達システムは、臨床試験データ管理システムへの入力/出力インターフェースを提供されている。いくつかの実施形態において、データ管理システムは、その中の1つまたは複数の薬物送達システムから臨床試験の間に収集されたデータのための恒久的なストレージを含有している。いくつかの実施形態において、恒久的なデータストレージの中のデータは、薬物承認のための規制当局への提出をサポートするために使用される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の薬物送達装置またはシステムは、特定の患者のための1つもしくは複数の治験中の治療薬剤および/または臨床試験投与条件に関連付けられる。
【0033】
患者インターフェース
生理学的な投与ルートの選択は、薬剤を患者に送達するために使用される患者インターフェースを決定付ける。最も一般的な生理学的なルートは、図1Aから図1Dに示されているが、患者インターフェースの多くの他の構成が、当業者に明らかであることとなり、本明細書における説明は、単に例示目的のためのものであり、本開示を限定するものとして解釈されてはならない。
【0034】
図1Aおよび図1Bを参照すると、末梢静脈カテーテル(PIV)115または中心静脈アクセスデバイス(CVAD)107および103を介して薬剤を受け入れる患者のために、患者インターフェース104が、当業者によく知られているLuer-Lok(登録商標)またはルアーテーパー接続によって提供される。植え込まれた静脈ポート127およびカテーテル128を介して薬剤を受け入れる患者のために、患者インターフェース125は、特殊化されたスチール針(たとえば、ヒューバー針124など)を用いた針進入セプタム129への経皮的なアクセスによって提供される。
【0035】
図1Cを参照すると、皮下ルートを介して薬剤を受け入れる患者のために、患者インターフェースは、注入部位に対して90°に(142)または45°に(160)針を設置する皮下(SC)針アッセンブリ140および158を含み、それによって、中空ボア針ポイント143および170を通って、SC組織148および175にアクセスする。本装置またはシステムの実施形態による筋肉内(IM)投与のために、患者インターフェースは、IM針アッセンブリ151を含み、中空ボア針155は、オープン針ポイント156を通して患者の筋肉組織149の中へ設置される。針142、155、および160の材料は、当技術分野において一般的なシリコン処理されたリジッドの医療用グレードのステンレス鋼である。薬剤は、一体的なチュービングセット145、154、および172を介して患者に送達される。
【0036】
図1Dを参照すると、SCルートまたはIMルートを介して薬剤を受け入れる患者のために、患者インターフェースは、代替的に、除去可能なリジッドのインサーター針によって設置される可撓性の軟質カニューレを含むことが可能である。針アッセンブリ181は、患者または介護者180によって、随意的に、1つまたは複数の挿入アフォーダンス(insertion affordance)186を使用して、患者皮膚182に対して挿入される。患者皮膚182に対して設置されると、針アッセンブリ181の第1の部分は、ユーザー188によって除去され、オープン先端部194を備えた軟質の可撓性カニューレ192を含む一部分191を皮膚の中に保つ。針アッセンブリ189の第1の除去された部分は、スチールインサーターカニューレ190と、挿入および除去アフォーダンス189とを含む。針アッセンブリ191の保たれた部分は、患者のSC組織193への薬剤投与のためのチュービングセット195を含む。また、IM投与は、可撓性カニューレ194のオープン端部を患者の筋肉組織195の中へ設置するために可撓性カニューレ183およびインサーター針184の長さを単に増加させることによって提供される。インサーター針190の材料は、リジッドのシリコン処理された医療用グレードのステンレス鋼であり、可撓性の投与カニューレ183の材料は、任意の生体適合性ポリマー(たとえば、PFTEなど)であることが可能である。
【0037】
薬物送達システムコンポーネント
図2Aは、外側ハウジング219と、1つまたは複数の治療薬剤220、221、および222のための複数のリザーバー208、209、および210とを含む、例示的な薬物送達装置またはシステムの変形例を図示しており、複数のリザーバー208、209、および210は、流体ポンプ218に流体的に接続されており211、212、および213、それによって、リザーバーは、チュービングセット215および患者インターフェース216を経由して薬剤を患者217に投与するために、流体ポンプ218によって空にされることが可能である。3つのリザーバー208、209、および210が本明細書で説明されているが、リザーバーの多くの構成が、所望の薬剤レジメンに基づいて明らかであり、それらは、本開示を限定することなく、例示目的のためだけに提示されている。例示的な実施形態が明らかにするように、任意の数の薬剤が、所望の通りに本発明のシステムによって投与されることが可能である。
【0038】
いくつかの実施形態において、外側ハウジング219は、1つまたは複数のリザーバー208、209、210と、リザーバーと流体ポンプ218との間の流体連通部211、212、213とを実質的に囲んでいる。いくつかの実施形態において、外側ハウジング219は、流体ポンプ218と、リザーバーと流体ポンプ218との間の流体連通部211、212、213とを実質的に囲んでおり、1つまたは複数のリザーバー208、209、210を部分的に囲んでいる。
【0039】
いくつかの実施形態において、外側ハウジングは、リジッドのエンクロージャーである。いくつかの実施形態において、外側ハウジングは、患者の身体またはポケットに一致するように実質的に可撓性である。いくつかの実施形態において、外側ハウジングは、単一の輪郭付きの側部を備えて構成されており、単一の輪郭付きの側部は、患者の身体に向けて配向されており、患者の身体に一致するように位置している。いくつかの実施形態において、リジッドのプラスチック材料は、たとえば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、またはポリスチレンなどである。いくつかの実施形態において、外側ハウジングは、患者の身体に最も近い側において、軟質の柔軟な材料(たとえば、熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性ポリウレタンなど)によってオーバーモールドされている。いくつかの実施形態において、外側ハウジングは、患者の身体に最も近い側において、軟質の柔軟なゲル材料を提供されている。いくつかの実施形態において、外側ハウジングは、クリップを備えて構成されており、患者の衣服、ポケット、またはベルトへの取り付けを可能にする。
【0040】
図2Bを参照すると、本発明の薬物送達装置またはシステムの実施形態は、開始282および終了283を伴う時間シーケンスにおいて、さまざまな薬剤のシーケンシャルな投与、同時の投与、時間遅延の投与、および偶発的な投与を提供する。時間シーケンスの間に、複数の薬剤220、221、222は、(図2B-1に示されているような)所定のシーケンシャルな順序277で、(図2B-2に示されているような)同時の様式278で、所定の時間遅延271の後の開始において(図2B-3に示されているような)所定のシーケンシャルな順序279で、または、1つもしくは複数の均等にもしくは不均等に間隔を置いて配置された時間遅延272、273、および274によって分離されている(図2B-4に示されているような)所定のシーケンス280で送達されることが可能である。代替的に、時間シーケンスの間に、複数の薬剤220、221、222は、(図2B-5に示されているような)所定のシーケンス281で送達されることが可能であり、そこでは、特定の薬剤が、随意的な時間遅延275の後に同時に投与され(220および221)、その後に、他の薬剤222が、所定の時間遅延276の後に投与される。先述の例は、例示目的のためのものであり、当業者に明らかになることとなる薬剤の数または構成を限定するものとして解釈されてはならない。
【0041】
図9は、外側ハウジング801と、1つまたは複数の治療薬剤807、808のための複数のリザーバー807'、808'とを含む、例示的な薬物送達装置またはシステムの変形例を図示しており、複数のリザーバー807'、808'は、流体ポンプ811に流体的に接続809、810されており、それによって、リザーバー807'、808'は、チュービングセット812および患者インターフェース813を経由して患者814に薬剤807、808を投与するために、流体ポンプ811によって空にされることが可能である。複数のリザーバー807'、808'は、2つのリザーバーのみを示しているが、これは、単に図示のためのものであり、本明細書で説明されている装置およびシステムは、特定の数のリザーバーに限定されない。1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な数のリザーバーが存在することが可能である。また、薬物送達システムは、コントローラー803を提供されており、コントローラー803は、有線接続または無線接続のいずれかを介して、装置のコンポーネントと通信する。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の実施形態によるコントローラーは、プロセッサー804と、プロセッサー805に連結されているメモリーと、プロセッサー805に連結されている入力/出力デバイス806と、システムの異なるコンポーネント(すなわち、本明細書で説明されているシステムのコンポーネント)の間の通信を提供するためのサポート回路とを含む。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、プロセッサーによって実行されるときに、本開示に説明されている方法をシステムが実施することを引き起こすソフトウェアルーチンとして、メモリー805の中に記憶されている。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、ハードウェアにおいて実施される。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのソフトウェアルーチンは、プロセッサーによって制御されているハードウェアから遠隔に位置付けされている第2のプロセッサーによって記憶および/または実行されることも可能である。いくつかの実施形態において、第2のプロセッサーは、クラウドコンピューティングサービスまたはサーバーを含む。いくつかの実施形態において、第2のプロセッサーは、医療提供者によって使用される遠隔患者モニタリングシステムを含む。いくつかの実施形態において、第2のプロセッサーは、電子健康記録(EHR)システムインターフェースを含む。いくつかの実施形態において、第2のプロセッサーは、臨床試験データ管理システムインターフェースを含む。いくつかの実施形態において、第2のプロセッサーは、スマートフォン、スマートタブレット、スマートテレビセット、または音声活性化アシスタントを含む。
【0042】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の入力/出力デバイス806は、光供給源を含み、光供給源は、コントローラー803からインストラクションまたは信号を受け取ると点灯されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、光供給源は、チュービングセット812の中の光学的伝導体に連結されている。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の入力/出力デバイス806は、チュービングセット812の中の伝導体に電気的に連結されているパワー供給源を含む。
【0043】
1つまたは複数の実施形態において、コントローラー803は、流体ポンプ811に連結され、その中の流体フローをセンシングおよび/または制御することも可能である。1つまたは複数の実施形態において、コントローラー803は、1つまたは複数の流体接続部809、810に連結され、その中の流体フローをセンシングおよび/または制御することも可能である。1つまたは複数の実施形態において、コントローラー803は、1つまたは複数のセンサー、および、薬剤807、808を含有するリザーバー807'、808'に連結されることも可能である。1つまたは複数の実施形態において、外側ハウジング801、リザーバー807'、808'、および/またはチュービングセット812は、同様にコントローラー803に連結されているセンサーを備えて構成されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、コントローラー803は、患者814の上の1つまたは複数のセンサー815に連結されることも可能である。
【0044】
治療薬剤および他の薬剤
治療薬剤、予防的前薬剤、予防的後薬剤、緊急薬剤、およびフラッシング溶液を含む、さまざまな薬剤が、本開示によって送達されることが可能である。したがって、「治療薬剤」は、治療薬剤(たとえば、前薬剤または生理食塩水フラッシュ)を投与している間に、疾患を治療するために使用される薬剤(たとえば、抗癌剤)を、システムによって送達される他の補助的な薬剤から区別するために、本明細書では便宜的な用語として使用される。
【0045】
いくつかの実施形態において、治療薬剤は、心臓血管疾患、胃腸疾患、自己免疫疾患、免疫疾患、血液学的疾患、腫瘍学的疾患、内分泌学的疾患、および呼吸器疾患の群から選択される1つまたは複数の疾患を治療するためのものである。いくつかの実施形態において、治療薬剤は、上述の疾患のうちの1つまたは複数を治療するための1つまたは複数の薬剤の共製剤(coformulation)である。いくつかの実施形態において、複数の治療薬剤は、併用療法の一部として提供される。
【0046】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、低分子薬物、治療用タンパク質、サイトカイン、ホルモン、血液製剤、生物学的製剤、モノクロナール抗体、抗体薬物複合体、二重特異性抗体、融合タンパク質、キメラ抗原受容体T細胞療法、細胞療法もしくは遺伝子療法、腫瘍溶解性ウィルス、または免疫療法である。
【0047】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、免疫腫瘍学的薬剤または生物腫瘍学的薬剤である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、たとえば、免疫チェックポイント、サイトカイン、ケモカイン、分化抗原群、インターロイキン、インテグリン、成長因子、酵素、シグナル伝達タンパク質、プロアポトーシスタンパク質、抗アポトーシスタンパク質、T細胞受容体、B細胞受容体、または共刺激タンパク質などのような、いくつかの提案されたターゲットの群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、たとえば、HER-2受容体モジュレーター、インターロイキンモジュレーター、インターフェロンモジュレーター、CD38モジュレーター、CD22モジュレーター、CCR4モジュレーター、VEGFモジュレーター、EGFRモジュレーター、CD79bモジュレーター、Trop-2モジュレーター、CD52モジュレーター、BCMAモジュレーター、PDGFRAモジュレーター、SLAMF7モジュレーター、PD-1/PD-L1阻害剤/モジュレーター、B-リンパ球抗原CD19阻害剤、B-リンパ球抗原CD20モジュレーター、CD3モジュレーター、CTLA-4阻害剤、TIM-3モジュレーター、VISTAモジュレーター、INDO阻害剤、LAG3(CD223)アンタゴニスト、CD276抗原モジュレーター、CD47アンタゴニスト、CD30モジュレーター、CD73モジュレーター、CD66モジュレーター、CDw137アゴニスト、CD158モジュレーター、CD27モジュレーター、CD58モジュレーター、CD80モジュレーター、CD33モジュレーター、APRIL受容体モジュレーター、HLA抗原モジュレーター、EGFRモジュレーター、B-リンパ球細胞接着分子モジュレーター、CDw123モジュレーター、Erbb2チロシンキナーゼ受容体モジュレーター、メソセリンモジュレーター、HAVCR2アンタゴニスト、NY-ESO-1 OX40受容体アゴニストモジュレーター、アデノシンA2受容体、ICOSモジュレーター、CD40モジュレーター、TIL療法、またはTCR療法などのような、提案された作用機序の群から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、セミプリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、ファムトラスツズマブデルエクステカン-nxki、ペルツズマブ、トランスツズマブ-ペルツズマブ、アレムツズマブ、ベランタマブマホドチン-blmf、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、90-イットリウム-イブリツモマブチウキセタン、イサツキシマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブパスドトックス、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ、ポラツズマブベドチン、ラムシルマブ、サシツズマブゴビテカン、タファシタマブ、またはマルゲツキシマブのうちの1つから選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、マルチ薬剤治療レジメンの一部である。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、AC、Dose-Dense AC、TCH、GT、EC、TAC、TC、TCHP、CMF、FOLFOX、mFOLFOX6、mFOLFOX7、FOLFCIS、CapeOx、FLOT、DCF、FOLFIRI、FOLFIRINOX、FOLFOXIRI、IROX、CHOP、R-CHOP、RCHOP-21、Mini-CHOP、Maxi-CHOP、VR-CAP、Dose-Dense CHOP、EPOCH、Dose-Adjusted EPOCH、R-EPOCH、CODOX-M、IVAC、HyperCVAD、R-HyperCVAD、SC-EPOCH-RR、DHAP、ESHAP、GDP、ICE、MINE、CEPP、CDOP、GemOx、CEOP、CEPP、CHOEP、CHP、GCVP、DHAX、CALGB 8811、HIDAC、MOpAD、7+3、5+2、7+4、MEC、CVP、RBAC500、DHA-Cis、DHA-Ca、DHA-Ox、RCVP、RCEPP、RCEOP、CMV、DDMVAC、GemFLP、ITP、VIDE、VDC、VAI、VDC-IE、MAP、PCV、FCR、FR、PCR、HDMP、OFAR、EMA/CO、EMA/EP、EP/EMA、TP/TE、BEP、TIP、VIP、TPEx、ABVD、BEACOPP、AVD、Mini-BEAM、IGEV、C-MOPP、GCD、GEMOX、CAV、DT-PACE、VTD-PACE、DCEP、ATG、VAC、VelP、OFF、GTX、CAV、AD、MAID、AIM、VAC-IE、ADOC、またはPEの群から選択されるマルチ薬剤治療レジメンの一部である。
【0051】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、アジュバント化学療法のために使用される。いくつかの実施形態において、化学療法化合物は、ネオアジュバント化学療法のために使用される。いくつかの実施形態において、化学療法化合物は、アルキル化剤、植物性アルカロイド、抗腫瘍抗生物質、代謝拮抗剤、またはトポイソメラーゼ阻害剤、酵素、レチノイド、またはコルチコステロイドである。いくつかの実施形態において、化学療法化合物は、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、イホスファミド、アザシチジン、デシタビン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カバジタキセル、カルムスチン、クラドリビン、シタラビン、ダカルバジン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ロイコボリン、メルファラン、メトトレキサート、ペメトレキセド、マイトマイシン、ミトキサントロン、テムシロリムス、トポテカン、バルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、またはビノレルビンの群から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療薬剤は、Centers for Disease Controlの「NIOSH List of Hazardous Drugs In Healthcare Settings」にしたがって、または、US Pharmacopeia General Chapter <800>「Hazardous Drugs - Handling in Healthcare Settings」によって定義されるように、有害薬剤として分類される。
【0053】
特定の治療薬剤を投与するときに、治療薬剤の前に(前薬剤)または治療薬剤の後に(後薬剤)、予防薬が患者に投与され、全身的なインフュージョンリアクションを回避し、または、治療薬剤の副作用からの不快感を和らげることが可能である。また、前薬剤および後薬剤は、本明細書の他の箇所に説明されている、薬剤レジメンまたは薬剤オーダーセットの一部を構成することも可能である。
【0054】
図2Cは、システムの中に同様に含有されている1つまたは複数の治療薬剤に加えて、特定の予防薬を投与するように構成されている例示的な薬物送達装置またはシステムを図示している。1つまたは複数の実施形態において、薬物送達装置またはシステム223は、薬剤224、225、および226のための複数のリザーバーを含有している。いくつかの実施形態において、リザーバー224は、治療薬剤228の前に投与される1つまたは複数の予防的前薬剤227を含有している。いくつかの実施形態において、治療薬剤228の投与は、必要とされる前薬剤224の完全な投与の後にのみ行われることが可能である。いくつかの実施形態において、リザーバー226は、治療薬剤228の後に投与される1つまたは複数の予防的後薬剤227を含有している。
【0055】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバー224または226は、0.9%通常生理食塩水、0.45%通常生理食塩水、水の中の5%デキストロース、0.45%通常生理食塩水の中の5%デキストロース、乳酸リンゲル溶液、アルブミン、および、添加された電解質(たとえば、カリウムなど)を含有する晶質流体の群から選択される1つまたは複数の薬剤を含有している。
【0056】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバー224または226は、鎮痛剤、解熱剤、コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤、制吐剤、抗生物質、抗凝固剤、線維素溶解剤、または抗血栓溶解剤の群から選択される1つまたは複数の薬剤を含有している。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバー224または226は、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン、オンダンセトロン、またはファモチジンのうちの1つを含有している。
【0057】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバー224または226は、バイパスチャンバーを特徴とするデュアルチャンバーシリンジの中に含有されている凍結乾燥された前薬剤または後薬剤を再構成するように構成されている。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバー224または226は、よりタイムリーな投与を可能にするために、予測的な方式で、凍結乾燥された前薬剤または後薬剤を再構成するように構成されている。
【0058】
薬剤を静脈内投与するときに、薬剤投与の前および後に、IVカテーテルシステムをフラッシングすることが必要である。フラッシングは、IVシステムの中のすべての薬剤が患者に完全に投与されることを保証するために、および、カテーテルシステムの凝固を防止するために、IVシステム全体を通した治療薬剤送達の後に流体体積を注ぎ込むプロセスを指す。1つまたは複数の実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、カテーテルフラッシングプロトコルと連動して治療薬剤を送達するように構成されることも可能である。
【0059】
図2Dを参照すると、1つまたは複数の実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、フラッシュリザーバー241、243、244および治療薬剤242のためのリザーバーを提供されている。送達装置またはシステムは、1つまたは複数の治療薬剤246の投与245の前におよび/または投与247、256の後に、1つまたは複数のカテーテルフラッシング溶液を送達するように構成されている。1つまたは複数の実施形態において、送達装置またはシステムは、前投与フラッシュリザーバー241から0.9%通常生理食塩水を投与し、リザーバー242の中の1つまたは複数の治療薬剤246がそれに続き、第1の後投与フラッシュリザーバー243の中の0.9%通常生理食塩水フラッシュがそれに続き、第2の後投与フラッシュリザーバー244の中のHeparin Lock Flush溶液がそれに続く。フラッシングは、投与プロセスの開始および終了に限定される必要はなく、複数の薬剤が投与されるときに、フラッシュリザーバーは、望まれる場合には、治療薬剤投与の間に介在されることが可能である。
【0060】
いくつかの実施形態において、1つのフラッシング溶液は、0.9%通常生理食塩水である。いくつかの実施形態において、1つのフラッシング溶液は、遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(r-TPA)である。いくつかの実施形態において、1つのフラッシング溶液は、0.9%通常生理食塩水、Heparin Lock Flush溶液、100U/mLのHeparin Lock Flush溶液、および、5000U/mLのHeparin Lock Flush溶液の群から選択される1つまたは複数の薬剤である。いくつかの実施形態において、1つのフラッシング溶液は、抗菌剤である。いくつかの実施形態において、1つのフラッシング溶液は、抗凝固剤と組み合わせられた抗菌剤である。
【0061】
チュービングセット
図6A図6Cは、本開示とともに使用するための例示的なチュービングセットの変形例を図示している。1つの実施形態では、チュービングセット640は、断面チュービングプロファイル640'および少なくとも1つの内側薬剤ルーメン641を提供されている。薬物送達システムの使用の間に、内側薬剤ルーメン641は、本明細書の他の箇所に説明されている流体ポンプおよび患者インターフェースと流体連通しており、システムの中の薬剤を患者に送達する。
【0062】
チュービングセット材料からの潜在的な汚染物質の浸出可能なまたは抽出可能な化合物から、1つまたは複数の内側薬剤ルーメン648を隔離し、それによって、その中に送達される薬剤との適合性を改善することが望ましい可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、バリアコーティング647が、内側薬剤ルーメン648とチュービングセット材料646'との間に介在されることが可能である。1つの実施形態では、バリアコーティングは、PTFEフッ素ポリマー材料を含む。別の実施形態では、バリアコーティングは、チュービングセットが製造されるときに共押出される。別の実施形態では、1つまたは複数の薬剤ルーメンの内部薬剤接触表面は、疎水性コーティングを提供される。
【0063】
チュービングセットを切り替えることなく、本発明の薬物送達システムにおいて複数の流量を提供することが望ましい可能性がある。したがって、1つの実施形態では、チュービングセット642は、断面チュービングプロファイル642'および2つ以上の薬剤ルーメン643、644、645を提供されている。薬剤ルーメンは、異なるまたは同様の直径を有することが可能であり、それによって、さまざまな構成における流量での薬剤の投与を可能にする。例として、第1のルーメン644を通して投与される同じ薬剤は、図6Cに例示されているチュービングセット設計において第2のルーメン643を通して投与される場合よりも迅速に流れることとなる。代替的な実施形態において、薬剤送達は、より小さなルーメンからより大きなルーメンへ(たとえば、643から645へ)フローを切り替えることによって加速されることが可能である。代替的な実施形態において、薬剤送達は、より大きなルーメンからより小さなルーメンへ(たとえば、645から643へ)フローを切り替えることによって減速されることが可能である。代替的な実施形態において、1つまたは複数の薬剤ルーメンは、並列の方式で(たとえば、643および645、または、644および643を使用して)係合され、単一の薬剤のより速い投与を提供することが可能である。代替的な実施形態において、1つまたは複数の薬剤ルーメンは、異なる薬剤を同時にそれぞれ送達することが可能である。代替的な実施形態において、1つまたは複数の薬剤ルーメンは、本明細書で説明されているような緊急薬剤投与のケースのように、望まれるまでシステムによって使用されないままである。
【0064】
本明細書で説明されているチュービングセットのエレメントは、さまざまな形状および形態をとることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、断面チュービングプロファイルは、実質的に円形の、楕円形の、長方形の、または多角形の形状をとることが可能である。チュービングセットの可撓性部分は、シリコーン、PVC、DEHPなしのPVC、EVA、HDPE、LDPE、TPU、PTFE、フッ素ポリマー、または他の適切な可撓性材料のうちの1つまたは複数から作られることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、チュービングセットは、押し出し加工されるが、本明細書で説明されているように、内側薬剤ルーメンに十分な寸法制御および公差制御を提供する他の手段によって形成されることも可能である。1つまたは複数の実施形態において、チュービング材料は、低い浸出可能なおよび抽出可能な化合物のために選択される材料となるように選ばれ、低い浸出可能なおよび抽出可能な化合物は、薬剤を汚染する可能性があり、生物学的薬剤と高い生体適合性を示す。
【0065】
随意的に、チュービングセットの可撓性部分は、1つまたは複数の可撓性材料のセグメントを含むことが可能であり、長さに沿った異なるセクションにおいて異なる程度の可撓性を提供することが可能である。たとえば、よりリジッドの材料が、歪み緩和およびよじれ防止のために、流体ポンプへの接続部の近くに提供されることが可能であり、一方では、より可撓性の材料が、患者の皮膚に対する快適性のために、患者インターフェースの近くにおいて選択されることが可能である。チュービングセットの外部は、PFTEフッ素ポリマーまたは他の恒久的に潤滑性のコーティングを提供され、患者の皮膚または衣服の上でのチュービングセットの引きずりまたは引っ掛かりを防止することが可能である。
【0066】
1つまたは複数の実施形態において、および、図7A図7Bを参照すると、1つまたは複数のチュービングセットは、フィルターの流出側604において患者投与の前に流入薬剤603から望ましくないまたは免疫原性の粒子状物質602を除去するために、インラインフィルター601を提供されている。インラインフィルター材料は、理想的には、低吸収性(low-sorbing)、低タンパク質結合性、および、その中の薬剤との適合性を有するように選択される。随意的に、インラインフィルターは、多層フィルター膜を含むことが可能であり、それぞれの膜層は、異なるフィルター細孔サイズを特徴とする。
【0067】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のチュービングセットは、第1のレートで流入薬剤605を提供するために、および、第1のレートよりも実質的に小さい第2のレートで流出薬剤608を提供するために、工学的なフロー制限部(engineered flow restriction)607を提供される。生物学的薬剤または剪断に敏感な薬剤とともに使用されるときに、平滑化された入口部606および工学的なフロー制限部607は、1つまたは複数の実施形態において、タンパク質の損傷または剪断を防止するように設計されている。
【0068】
流体ポンプ
リザーバーの構成、薬剤の粘度、および、薬剤の数に基づいて、さまざまな流体ポンプが、本明細書における開示において使用されることが可能である。いくつかの実施形態において、単一の流体ポンプが提供される。いくつかの実施形態において、複数の流体ポンプが提供される。いくつかの実施形態において、流体ポンプは、要求に応じて、スタート、休止、またはストップするように構成されている。いくつかの実施形態において、流体ポンプは、選択された薬剤リザーバーの選択的な係合および解除を提供するために、トランスミッションメカニズムを備えて構成されている。いくつかの実施形態において、機械的なドライブが、装置またはシステムのフォームファクターを低減させるために、ギアメカニズムに連結されている。いくつかの実施形態において、ギアメカニズムは、嵌合する傘歯車を含む。いくつかの実施形態において、流体ポンプは、1つまたは複数の薬剤の粘性が不十分である場合には、動作することを防止される。いくつかの実施形態において、流体ポンプは、流体ポンプ入口部における流体の温度を決定するためにセンサーを提供されている。
【0069】
流体ポンプは、たとえば、フラットコイルスプリング、巻かれたヘリカルスプリング、ストリップスプリング、加圧ガス、または電気モーターによって、動力を与えられることが可能である。いくつかの実施形態において、ロータリーパワー供給源が、ウォームスクリューおよびウォームギアを通して1つまたは複数のリザーバーに連結されることが可能である。いくつかの実施形態において、ウォームスクリューおよびウォームギアは、他のリザーバーがシステムによって駆動されている間に、リザーバーを所与の位置に保持するために使用される。別の代替的な実施形態では、流体ポンプは、レート制御アッセンブリを備えたパワーユニット(たとえば、米国特許第10,252,005号に開示されているものなど)によって駆動されることが可能である。別の代替例では、流体ポンプは、化学的なエンジン(たとえば、米国特許第9,795,740号に開示されているものなど)によって駆動されることが可能である。別の実施形態では、流体ポンプは、漸進的係合メカニズムを備えたパワーユニット(たとえば、米国特許第10,357,612号に開示されているものなど)によって駆動されることが可能である。別の実施形態では、流体ポンプは、ロータリードライブ(たとえば、米国特許第8,617,109号、米国特許第8,876,766号、米国特許第9,022,982号、米国特許第9,095,657号、米国特許第9,132,236号、米国特許第9,446,201号、米国特許第9,468,722号、米国特許第9,737,668号、米国特許第10,255,827号、米国特許第10,307,543号、米国特許第10,456,521号、米国特許第10,507,289号、米国特許第10,525,213号、米国特許第10,632,248号、米国特許第10,874,804号、米国特許第10,881,811号、および米国特許第11,065,387号に開示されているものなど、これらの特許文献のそれぞれの内容全体は、その全体が参照により組み込まれている)によって駆動されることが可能である。
【0070】
代替的な実施形態において、流体ポンプは、1回使用の使い捨ての設計である。代替的な実施形態において、流体ポンプは、複数の薬剤投与のために再使用可能な設計である。代替的な実施形態において、流体ポンプは、薬剤レジメンの単一のサイクルを投与するように設計されている再使用可能な設計である。
【0071】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の流体接続部は、患者に投与されない内部体積を最小化するように設計されており、それによって、薬剤の無駄および薬剤過剰充填の必要性を低減させる。したがって、1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーと流体ポンプとの間の流体接続部は、マニホールドを含むことが可能である。代替的な実施形態において、1つまたは複数のリザーバーと流体ポンプとの間のそれぞれの流体接続部は、互いに対して比例的に異なっていることが可能であり、薬物送達システムとともに提供される1つまたは複数のチュービングセットによって提供されるものを超える1つまたは複数の薬剤の独立した流量制御を可能にする。
【0072】
流体ポンプ+チュービングセットの一体化
ある実施形態において、流体ポンプは、チュービングセットの内径とは無関係に、全範囲の体積、粘度、およびレートを送達するのに十分に動力を与えられ、それによって、同じ流体ポンプ設計がさまざまな薬剤のために使用されることを可能にする。これは、流体ポンプを大量生産し、規模の効率性を得るという利点を有している。このアプローチは、薬剤製剤特質を先験的に知ることなく、薬物送達装置またはシステムの設計を可能にする。これは、臨床試験においてとりわけ重要であり、臨床試験では、薬剤製剤特質は、依然として開発中であり、投薬レジメンは、まだ最終決定されていない。
【0073】
本開示におけるチュービングセットは、複雑なまたは精密な機械的なまたは電気機械的なポンプの必要性なしに、治療薬剤のための投与パラメーターを制御し、特定の薬物製剤のフロー特質に対処するために使用されるということが明らかである。これは、非ニュートン性の剪断減粘挙動および剪断増粘挙動を示す生物学的薬物製品または徐放性製剤(そこでは、モデリング技法の有用性が限定的である)にとって、とりわけ重要である。
【0074】
図3Bは、本明細書における開示による、臨床試験において使用するためのチュービングセットを設計するためのプロセスの実施形態を描いている。製剤特質360、薬物動態モデリングパラメーター361、および所望の臨床試験条件362が、Hagen-Pouiselleの式380(図3C)または他のモデリング方法(たとえば、計算流体力学など)のいずれかを使用して、初期数値モデリング363に入力される。モデリング363は、初期設計およびコンポーネント選択364を提供し、それは、最小でも、第1の推定される公称チュービング長さ391、チュービング公称内部直径392、および、公称内部直径392に関する対応する公差393(図3C)を含む。
【0075】
チュービングは、初期設計およびコンポーネント選択364に基づいて製造されることが可能である。しかし、非ニュートン性の流体に関して、初期数値モデリング363は、予測されるものとは実質的に異なっている可能性があり、チュービング内部直径392、および、内部直径392に関する対応する公差393の調節が必要とされる可能性がある。この調節は、押出ダイまたは他の機器に対して、時間のかかるまたはコストのかかる変化を必要とする可能性があり、複数の試験および調節サイクルが必要とされる可能性がある。
【0076】
それにもかかわらず、最初に選択されたコンポーネント364によって提供される流量は、関心の薬物製剤を用いて物理的にテスト365され、所望の臨床試験条件324、330、334、および342と比較される。物理的な試験365は、随意的に、チュービングセットまたは流量によって引き起こされる薬物製品に対する任意の損傷(タンパク質ベースの薬剤を不活性にするかまたは人間に対して有害な免疫原性にする可能性のあるタンパク質の損傷または剪断効果を含む)の特徴付けを含むことが可能である。物理的な試験365は、随意的に、臨床実務における最終的な薬剤のための投与設定を代表する温度において実行されることが可能であり、それは、非線形の粘度-温度-濃度の関係を示す薬剤(たとえば、生物学的製剤など)に特に関係している。
【0077】
多くの薬剤は、非ニュートン性の剪断減粘挙動および剪断増粘挙動を示すので、経験的な結果は、理論的な計算とは異なる可能性もあり、そのケースでは、コンポーネントは、反復的に再設計される367。特定の薬剤のための特定の流量に対応する個々のチュービングセットが、個別に分析され、チュービング長さ391もしくはチュービング直径392のいずれかを改良し、または、直径392に関する精密公差393を特定する。精密に設計されると、複数のチュービングセットが、以前に特定されたような所与の臨床研究設計369を実行するために全体的な薬物送達システムとともに使用するために製造される368。
【0078】
薬剤リザーバー
図2Aを参照すると、1つまたは複数の実施形態において、薬剤リザーバー208、209、および210は、治療薬剤220、221、および222と短期間接触するように設計されており、長期安定性またはコンテナ閉鎖試験に関連付けられる技術的負担およびリスクを最小化する。代替的な実施形態において、リザーバー208、209、および210は、その中の薬220、221、および222の性質に基づいて、短期のまたは長期の薬物接触のためにそれぞれ選択的に設計されている。
【0079】
図2Cを参照すると、1つまたは複数の実施形態において、薬剤リザーバー224および226は、薬剤227および229を事前充填された長期安定性の1次コンテナであり、治療薬剤228を備えたリザーバー225は、短期安定性のために設計されており、投与の直前に充填される。
【0080】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、製造業者によって事前充填されたガラスまたはプラスチックのシリンジまたはカートリッジである。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーの内部表面は、制御されたレベルのシリコーン潤滑剤を含有している。随意的に、シリコーン潤滑剤は、(放射線を通してなど)架橋されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、複数のリザーバー、チャンバー、またはコンパートメントを備えた単一のシリンジである。
【0081】
本開示の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、可撓性の非弾性的なコンテナである。1つまたは複数の実施形態において、可撓性の非弾性的なコンテナは、圧縮力の印加を通して完全に空にされる。随意的に、可撓性の非弾性的なコンテナは、リジッドの保護シェルの中に含有されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、可撓性のエラストマーコンテナである。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、単一の薬剤をそれぞれ含有する1つまたは複数のセグメントを備えた可撓性のコンテナである。
【0082】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、ホウケイ酸ガラス、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、PVC、EVA、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)樹脂またはフィルム、PTFE、フルオロポリマー、または他の適切な材料の群から選択される1つまたは複数の材料から製造されている。他の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、低吸収性材料から製造されている。いくつかの実施形態において、薬剤と接触している1つまたは複数の内部リザーバー表面は、親水性コーティングを有しており、または、タンパク質吸収またはタンパク質凝集体の形成を低減させるために不動態化されている。
【0083】
いくつかの実施形態において、リザーバーは、患者にディスペンスする前に薬局によって充填される。いくつかの実施形態において、リザーバーは、自宅において患者または介護者によって充填される。いくつかの実施形態において、リザーバーは、患者による使用の前に事前充填され、薬物送達システムの中へ組み立てられる。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、薬物送達装置またはシステムの中に含有されている間に充填される。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、薬物送達装置またはシステムの外側で充填され、次いで、2次的な動作として薬物送達システムの中へ据え付けられる。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、患者、素人の介護者、または医療提供者によって充填される。代替的な実施形態において、1つまたは複数の薬剤バイアルは、リザーバーを充填するためのバイアル移送装置またはシステムを提供されている。代替的な実施形態において、リザーバーは、移送装置または最小限の使用ステップおよび対応する無菌破壊(aseptic breach)のリスクによって充填することを達成するために、システムに事前に取り付けられている。代替的な実施形態において、リザーバーは、圧縮ガスによって印加される圧力を使用して、バイアルから充填される。代替的な実施形態において、リザーバーは、電気機械的なポンプアッセンブリによって印加される圧力を使用して、バイアルから充填される。
【0084】
1つまたは複数の実施形態において、薬物送達システムは、充填の後に規制物質を含有する1つまたは複数のリザーバーへの不正アクセス(または、転用)を防止するための1つまたは複数の特徴を装備している。その特徴は、薬物送達装置またはシステムの外部に不正開封防止シールを含むことが可能であり、または、薬物送達システムおよびその中のコンポーネント(薬剤リザーバーを含む)への不正アクセスを検出するための内部センサーを含むことが可能である。
【0085】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のリザーバーは、その中の流体の温度を決定するためのセンサーを提供されている。いくつかの実施形態において、センサーは、リザーバーの外部に位置付けされている。いくつかの実施形態において、センサーは、リザーバー壁部を通して薬剤と直接的な接触を行う温度プローブである。
【0086】
インフュージョンリアクション検出
本明細書において便宜的な用語として使用されるときに、インフュージョンリアクションは、標準インフュージョンリアクション(SIR)、サイトカイン放出反応、またはIgE媒介アレルギー反応を含む。新規の作用モードを有する生物学的製剤の新しいカテゴリーが開発および商品化されるにつれて、追加的なタイプの患者インフュージョンリアクションが、本明細書において列挙されているものを超えて明らかになる可能性もある。したがって、本明細書で引用されている先述のインフュージョンリアクションは、例として提供されており、本明細書における開示の開示範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
【0087】
特定の薬剤は、インフュージョンリアクションの全体的な高い発生率に関連付けられる。これらの薬剤に関して、特定の前薬剤および後薬剤は、それらが起こった場合のインフュージョンリアクションの発生率または患者への悪影響を低減させるために投与される。前薬剤および後薬剤の投与は、図2Cに図示されているように、および、本明細書の他の箇所に説明されているように、本開示によって提供される。
【0088】
しかし、予防薬が投与されるときでも、インフュージョンリアクションが起こる可能性がある。インフュージョンリアクションは、注入部位反応とは臨床的に異なっており、注入部位反応は、局所的な不快感を引き起こし、患者にとって緊急でもなく、生命を脅かすものでもない。インフュージョンリアクションの発現は、突然であり、全身的であり、生命を脅かすものであり、治療は、反作用緊急薬剤の予期せぬ即座の投与を必要とする。急速な発現に起因して、医療提供者は、臨床環境において日常的に患者をモニタリングし、即座に介入する。
【0089】
インフュージョンリアクションの重大な性質に起因して、特に、臨床の外側の環境において、発現時における潜在的なインフュージョンリアクションを予想することが非常に望ましく、それは、本明細書における薬物送達装置またはシステムの代替的な実施形態によっても提供される。図4は、潜在的なインフュージョンリアクションを検出するためのセンサーと、コントローラーおよびアルゴリズムと、薬剤フローを中断するための特徴と、インフュージョンリアクションに応答して緊急薬剤を送達するための随意的な特徴とを含むように構成されている例示的な薬物送達装置またはシステムを図示している。
【0090】
図9を参照すると、1つの代替的な実施形態において、連結されているセンサー815からのデータは、コントローラー803の中のアルゴリズムによって処理され、コントローラー803は、疑われるインフュージョンリアクションを検出し、自動的にまたは医療提供者による介入を通して適当な治療処置を送達するように構成されている。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、インフュージョンリアクションが起こっているかどうかを決定するために、単一の患者からの履歴データを利用する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、インフュージョンリアクションが起こっているかどうかを決定するために、薬物送達システムの1人または複数人のユーザーからの履歴データを利用する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、インフュージョンリアクションが起こっているかどうかを決定するために、治療薬剤が投与されている状態の1つまたは複数の以前の臨床試験からの履歴データを利用する。いくつかの実施形態において、集計された履歴データは、機械学習プログラムによって分析され、インフュージョンリアクション識別の精度または適時性を改善する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、機械学習と連動して、多くの患者から集計された履歴データを使用し、現在の瞬間においてインフュージョンリアクションが起こっているかどうかの確率的な推定を計算する。図11を参照すると、図9に描かれている実施形態のさらなる実施形態では、連結されているセンサー815からのデータおよび患者データ816は、コントローラー803の中のアルゴリズム817によって処理され、コントローラー803は、疑われるインフュージョンリアクションを予測し、検出し、および差別化し、自動的にまたは医療提供者による介入を通して適当な治療処置を送達するように構成されている。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、インフュージョンリアクションの可能性または重症度を予測するために、インフュージョンリアクションが活発に起こっているかどうかを決定するために、1つのインフュージョンリアクションサブタイプを他のものから差別化するために、または、他のサブタイプに対して起こる1つのサブタイプの可能性を予測するために、単一の患者からの履歴データを利用する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、インフュージョンリアクションの可能性または重症度を予測するために、インフュージョンリアクションが活発に起こっているかどうかを決定するために、1つのインフュージョンリアクションサブタイプを他のものから差別化するために、または、他のサブタイプに対して起こる1つのサブタイプの可能性を予測するために、薬物送達システムの1人または複数人のユーザーからの履歴データを利用する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、インフュージョンリアクションの可能性または重症度を予測するために、インフュージョンリアクションが活発に起こっているかどうかを決定するために、1つのインフュージョンリアクションサブタイプを他のものから差別化するために、または、他のサブタイプに対して起こる1つのサブタイプの可能性を予測するために、治療薬剤が投与されている状態の1つまたは複数の以前の臨床試験からの履歴データを利用する。いくつかの実施形態において、集計された履歴データは、機械学習プログラムによって分析され、インフュージョンリアクション予測、検出、および差別化の精度または適時性を改善する。いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、機械学習と連動して、多くの患者から集計された履歴データを使用し、インフュージョンリアクションの可能性または重症度の確率的な推定、インフュージョンリアクションが活発に起こっているかどうかを、1つのインフュージョンリアクションサブタイプが他のものに対して活発に起こっているかどうか、または、他のサブタイプに対して起こる1つのサブタイプの可能性を計算する。
【0091】
1つまたは複数の実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、インフュージョンリアクションが検出される場合に、1つまたは複数の治療薬剤の投与を即座に停止するように構成されている。第1の代替的な実施形態では、薬物送達は、コントローラー803がチュービングセット812との流体接続を中断することによって停止されることが可能である。第2の代替的な実施形態では、薬物送達システムは、コントローラー803が流体ポンプ811をストップすることによって停止されることが可能である。しかし、両方の先行する代替的な実施形態は、不利益である。その理由は、反作用緊急薬剤を含む、さらなる薬剤が投与されない可能性があるからである。第3の代替的な実施形態では、治療薬剤の投与は、流体ポンプ811およびチュービングセット812を、リザーバー808'の中に含有されている反作用緊急薬剤808の投与を提供するように動作可能なままにした状態で、コントローラーがリザーバー807と流体ポンプ811との間の流体接続を中断することによって、停止されることが可能である。
【0092】
図4を参照すると、代替的な実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、治療薬剤を含有するためのリザーバー402と、緊急薬剤を含有するリザーバー416と、リザーバーと流体ポンプ415との間の流体接続部411、417と、流体ポンプ415と患者インターフェース406との間に流体的に接続されているチュービングセット405と、1つまたは複数のセンサー407と、患者データ408の1つまたは複数の供給源とを提供されている。センサーデータ410は、センサー407からコントローラー403に通信される。1つの代替的な実施形態において、センサー407からのデータは、コントローラー403の中のアルゴリズムによって処理され、コントローラー403は、本明細書で説明されているように、疑われるインフュージョンリアクションを検出し、自動的にまたは医療提供者による介入を通して適当な治療処置を送達するように構成されている。1つの代替的な実施形態において、センサー407からのデータは、コントローラー403の中のアルゴリズムによって処理され、コントローラー403は、疑われるインフュージョンリアクションを予測し、検出し、または差別化するように、および、本明細書で説明されているように、自動的にまたは医療提供者による介入を通して適当な治療処置を送達するように構成されている。
【0093】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の実施形態によるコントローラー403は、プロセッサー403aと、プロセッサー403bに連結されているメモリーと、プロセッサー403aに連結されている入力/出力デバイス403cと、システムの異なるコンポーネント(すなわち、本明細書で説明されているシステムのコンポーネント)の間の通信を提供するためのサポート回路とを含む。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、プロセッサーによって実行されるときに、本開示に説明されている方法をシステムが実施することを引き起こすソフトウェアルーチンとして、メモリー403bの中に記憶されている。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、1つまたは複数の患者センサー407からの1つまたは複数のセンサーデータ410または患者データ408に基づくインフュージョンリアクション検出アルゴリズム403dを含む。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、1つまたは複数の患者センサー407からの1つまたは複数のセンサーデータ410または患者データ408に基づく、インフュージョンリアクション予測、検出、および差別化アルゴリズム403dを含む。1つまたは複数の実施形態において、患者データ408は、患者407による症状の自己報告を含む。1つまたは複数の実施形態において、患者データ408は、患者407との医療提供者の対話から導出される。1つまたは複数の実施形態において、インフュージョンリアクション検出アルゴリズムは、また、コントローラー403と連動して、検出されたインフュージョンリアクションに応答するように構成されており、それによって、本明細書で説明されているように、1つまたは複数の緊急薬剤416が投与されることが可能であり、または、それによって、患者407への薬剤送達が停止されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、ハードウェアにおいて実施される。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのソフトウェアルーチンは、プロセッサーによって制御されているハードウェアから遠隔に位置付けされている第2のプロセッサーによって、記憶および/または実行されることも可能である。
【0094】
本開示の1つまたは複数の実施形態において、薬物送達デバイスは、インフュージョンリアクションが検出される場合に、関心の1つまたは複数の治療薬剤の投与を即座に停止するように構成されている。第1の代替的な実施形態では、薬物送達システム401は、流体フロー制御414を提供されることが可能であり、流体フロー制御414は、流体ポンプ415とチュービングセット405との間の流体連通を中断するように構成されている。第2の代替的な実施形態では、薬物送達システム401は、流体フロー制御412を提供されることが可能であり、流体フロー制御412は、流体ポンプ415を中断し、患者404へのすべての薬剤送達を止めるように構成されている。
【0095】
しかし、両方の先行する代替的な実施形態は、(反作用緊急薬剤を含む)さらなる薬剤が投与されることができないという不利益を有している。したがって、第3の代替的なおよび好適な実施形態では、薬物送達システム401は、流体フロー制御413を提供されることが可能であり、流体フロー制御413は、流体ポンプ415と治療薬剤リザーバー402との間の流体連通を中断するように構成されており、それによって、流体ポンプ415およびチュービングセット405を、反作用緊急薬剤416を患者404に投与するように構成されたままにした状態で、インフュージョンリアクションを引き起こす治療薬剤402のフローを防止する。
【0096】
図5は、図4において参照されたコントローラー403およびセンサー407の中の意思決定アルゴリズムの実施形態の概略図を提供しており、インフュージョンリアクションのための診断および治療は、医療提供者のための意思決定支援の形態としてアルゴリズム403によってサポートされる。本実施形態は、薬剤投与501の間に、薬物送達システムが、生理学的センサーデータ502、医療提供者による患者の条件503の対面のまたは遠隔の観察、および患者自己報告549のうちの1つまたは複数に基づいて、潜在的なインフュージョンリアクションを検出するように構成されているということを提供する。
【0097】
潜在的なインフュージョンリアクションのための生理学的なデータ502は、例として、限定ではないが、心拍数、血液圧力、呼吸数、血液酸素飽和度(SpO2)、および温度を含むことが可能であり、それらは、センサー407を経由して収集される。複数のセンサーは、データ504をサンプリングし、データは、システムのコントローラーおよびアルゴリズム403を使用して前処理され505、出力は、同様にコントローラーおよびアルゴリズム403によって、集計および統合される506。
【0098】
センサーデータは、たとえば、フラッシング、皮膚反応、硬直、腫れ、蕁麻疹、血管性浮腫、喘鳴、吸気性喘鳴、咳、声質の変化、または意識の喪失などのような、身体検査からの患者の条件503の客観的なおよび主観的な観察507によって補足されることが可能である。センサーデータは、患者の問診または自己報告549から収集されたデータによってさらに補足されることが可能である(例として、頭痛、息切れ、喉の閉鎖感、発汗、吐き気、腹痛または背痛、痒み、全般的不安、または自己報告による「差し迫った破滅感」の感覚を含む)。
【0099】
患者507の観察は、対面のまたは遠隔の患者の対話および/または患者の問診508を促し、それは、患者評価が満足のいくように完了されるまで、フィードバックループ509の中で医療提供者によって集計および評価され、その後に、医療提供者は、自分の臨床的判断およびヒューリスティックを使用し、全体的な患者アセスメント510に到着する。定量的なセンサーデータ506および定性的な患者アセスメント510は、このようにして全体的な患者アセスメントに統合され511、それは、患者が進行中のインフュージョンリアクション512を経験しているかどうかをアセスし、緊急治療の必要性を決定するために使用される。
【0100】
インフュージョンリアクションが疑われない場合には513、投与501は、進行中の投与レート514で継続されることが可能である。インフュージョンリアクションが疑われる場合には515、薬剤輸液は、自動的に休止またはストップされ516、患者の状況は、即座にエスカレートされ、関連の臨床スタッフは、適当なデータ517を提供される。データ517の全体および患者518を評価すると、医療提供者は、輸液519を再スタートすることが安全であるかどうかを決定する。患者がインフュージョンリアクション(すなわち「フォールスアラーム」)を有してないということ、および、再スタート520することが安全であるということを、医療提供者決定する場合には、輸液は、以前に許容された514ものと同じ投与レートで継続されることが可能である。
【0101】
輸液レート521を遅くすることによって是正され得る軽度のインフュージョンリアクションを患者が有しているということを医療提供者が決定する場合には、輸液は、本明細書の他の箇所に説明されているような複数ルーメンチュービングのより小さなルーメンを使用して、薬剤を投与することによって、医療提供者によって事前決定された低減されたレート522で継続されることが可能である。
【0102】
医療提供者が、患者がインフュージョンリアクションを経験しているということを確認し、輸液を再スタートさせる523ことが安全でないということを決定する場合には、彼らは、薬物送達システムの中の随意的に提供された特徴をトリガーし、1つまたは複数の緊急薬剤を投与し524、随意的に、緊急医療サービス525を呼ぶことを選ぶことが可能である。代替的な実施形態において、緊急医療サービス525は、薬物送達装置またはシステムによって提供されるジオロケーションデータ526に起因して、よりタイムリーな応答を提供するように構成されている。
【0103】
512、513、515、516、517、518、519、523、および524を含む治療アルゴリズムは、例として提供されており、限定として提供されていない。より一般的には、本開示は、多くの代替的な評価および治療フロー550のうちの1つを提供しており、それは、特定の治療薬剤、インフュージョンリアクションの予期されるタイプおよび重症度、所定の薬剤オーダーまたはオーダーセットにおける特定事項、必要とされる反作用薬剤、および、他の臨床的考慮事項に基づいて調整されることが可能である。
【0104】
図12は、図4において参照されたコントローラー403、センサー407、および患者データ408の中の意思決定アルゴリズムの実施形態の概略図を提供しており、インフュージョンリアクションの予測、診断、差別化、および治療は、患者または医療提供者のための意思決定支援の形態としてアルゴリズム403dによってサポートされる。実施形態は、薬剤投与501の前に、その間に、またはその後に、薬物送達システムが、センサーデータ502、医療提供者による患者の条件503の既存の対面のまたは遠隔の観察、患者自己報告549、患者履歴、人口統計学、併用薬剤、および疾患特質528、および患者研究室測定、テレメーター測定、電気生理学的測定、および放射線測定529のうちの1つまたは複数に基づいて、潜在的なインフュージョンリアクションを予測し、検出し、または差別化するように構成されているということを提供する。
【0105】
潜在的なインフュージョンリアクションのためのセンサーデータ502は、例として、限定ではないが、心拍数、血液圧力、呼吸数、血液酸素飽和度(SpO2)、温度、生物物理学的な信号(たとえば、電気生理学的な信号、運動学的な信号、体温調節学的な信号、皮膚特性、血管動態)、生化学的な信号(たとえば、代謝物、電解質、ホルモン、タンパク質、体液の中に存在する他のバイオマーカー)、および環境信号(たとえば、光、ガス、圧力、湿度)を含むことが可能であり、それらは、センサー407を経由して収集される。複数のセンサーは、データ504をサンプリングし、データは、システムのコントローラーおよびアルゴリズム403を使用して前処理され505、出力は、同様に、コントローラーおよびアルゴリズム403によって、集計および統合される506。1つまたは複数の実施形態において、センサー407、センサーデータ502、および患者データ408は、システムのコントローラー403の中に記憶された薬物データベースまたは「ライブラリー」の中に定義されているパラメーターに基づいて選択的に選ばれ、それによって、所与の薬剤またはレジメンに対するインフュージョンリアクションを予測し、検出し、または差別化するために、最も適当な関連のデータが常に収集されることを強制する。1つまたは複数の実施形態において、上述の薬物データベースまたは「ライブラリー」は、システムによって収集され、発生させられ、および分析されるデータを使用して、開発および投入される。1つまたは複数の実施形態において、センサー407、センサーデータ502、および患者データ408は、システムによって収集され、発生させられ、および分析されるデータに基づいて、それらがもはや必要でないとみなされたときに、選択解除されるかまたは選択的に省略される。
【0106】
センサーデータは、全体的な外観、フラッシング、皮膚反応、硬直、腫れ、蕁麻疹、血管性浮腫、喘鳴、吸気性喘鳴、咳、声質の変化、または意識の喪失などのような、身体検査からの患者の条件503の客観的なおよび主観的な観察507によって補足されることが可能である。センサーデータは、患者の問診または自己報告549から収集されたデータによってさらに補足されることが可能である(例として、頭痛、息切れ、喉の閉鎖感、発汗、吐き気、腹痛または背痛、痒み、全般的不安、または自己報告による「差し迫った破滅感」の感覚を含む)。これらのデータは、患者の履歴、人口統計学、併用薬剤、および疾患特質528について収集されたデータによってさらに補足されることが可能であり、それは、例として、患者の年齢、性別、医療歴、手術歴、社会歴、または家族歴、症状もしくは機能的能力、アレルギー、疾患サブタイプ、場所、臓器病変、持続期間、または重症度、疾患増悪もしくは入院の頻度、現在もしくは以前の治療、治療投薬の数および頻度および療法の持続期間、ならびに、有害作用またはインフュージョンリアクションの以前の履歴についての現在のまたは履歴的な情報を含むことが可能である。これらのデータは、患者研究室測定、テレメーター測定、電気生理学的測定、および放射線測定529によってさらに補足されることが可能であり、それは、例として、現在のまたは履歴的な鑑別を伴う全血球計算(たとえば、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、バンド、および芽球の相対比率を有する白血球、赤血球数および質、網状赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、ならびに血小板)、化学(たとえば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、重炭酸塩、血液尿素窒素、クレアチン、グルコース)、凝固(たとえば、プロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間、国際標準化比)、炎症(たとえば、C反応性蛋白、赤血球沈降速度、血漿粘度、リウマチ因子、抗核抗体、抗核因子、抗二本鎖DNA、環状シトルリン化ペプチド抗体、プロカルシトニン、フェリチン、ハプトグロビン、補体およびサブタイプ、免疫グロブリンおよびサブタイプ、抗薬物抗体およびサブタイプ)、サイトカイン(腫瘍壊死因子、インターロイキン、インターフェロン、インテグリン、分化抗原群)、脂質(たとえば、総コレステロールおよびサブタイプ、リポ蛋白、トリグリセリド)、アレルギー研究(たとえば、免疫グロブリンE、トリプターゼ)、尿検査および尿細胞診、微生物検査、鉄検査、ホルモン検査、遺伝学的検査、画像検査(たとえば、X線、コンピューター断層撮影法、磁気共鳴イメージング、ポジトロン放出断層撮影、核スキャン、骨スキャン、超音波)、心電図、心エコー図、血液ガス検査、肺機能検査、生検および病理学的検査、癌遺伝子変異試験、細胞遺伝学的分析、免疫表現型検査、腫瘍マーカーテスト、腫瘍の大きさ、癌転移および臓器病変の程度および部位、および癌の病期分類を含むことが可能である。
【0107】
患者507の観察は(それは、センサーデータ502、患者履歴、デモグラフィック、併用薬剤、および疾患特質528、および患者研究室測定、テレメーター測定、電気生理学的測定、および放射線測定529とともに考慮されることが可能である)は、対面のまたは遠隔の患者の対話および/または患者の問診508を促し、それは、患者評価が満足のいくように完了されるまで、フィードバックループ509の中で医療提供者によって集計および評価され、その後に、医療提供者は、自分の臨床的判断およびヒューリスティックを使用し、全体的な患者アセスメント510に到着する。センサーデータ506、患者アセスメント510、患者履歴および特質528、および患者の測定値529は、このようにして、全体的な解釈の中へ統合され511、それは、患者がインフュージョンリアクションを経験する可能性が高いかどうかを予測する527ために、一旦治療が開始されたときに患者が進行中のインフュージョンリアクションを経験しているかどうかを検出する512ために、および、緊急治療の必要性を決定するために使用される。
【0108】
1つまたは複数の実施形態において、統合されるデータ511は、随意的に、インフュージョンリアクションが起こることとなる可能性を予測する527ために使用される。インフュージョンリアクションが起こる可能性が高いと予測されない場合には552、輸液は、計画通りに開始され553、進行中のインフュージョンリアクションのためのモニタリングが始まる512。インフュージョンリアクションが起こる可能性が高いと予測される場合には530、輸液の開始は、一時的に除外され531、また、HCPが通知され532、患者および利用可能なデータをアセスし533、輸液が開始するのに安全であるかどうかを決定する534。輸液が開始するのに安全である(たとえば、治療の利益がインフュージョンリアクションのリスクを上回る)と医療提供者がみなした場合には535、輸液は、計画通りに開始されることとなる553。輸液が開始するのに安全でないと医療提供者がみなした場合には536、薬剤投与は、さらなるフォローアップまで防止される537。1つまたは複数の実施形態において、インフュージョンリアクション可能性527の予測は、インフュージョンリアクションサブタイプ(たとえば、標準インフュージョンリアクション、補体活性化関連の偽アレルギー、過敏症、アナフィラキシー、サイトカイン放出症候群)の相対的可能性の確率的な推定も提供する。
【0109】
薬剤投与のときに、インフュージョンリアクションが疑われない場合には513、投与501は、進行中の投与レートにおいて継続されることが可能である514。インフュージョンリアクションが疑われる場合には515、薬剤輸液は、自動的に休止またはストップされ516、患者の状況は、即座にエスカレートされ517、関連の臨床スタッフは、適当なデータ518を提供される。データの全体および患者518を評価すると、医療提供者は、輸液519を再スタートすることが安全であるかどうかを決定する。患者がインフュージョンリアクション(すなわち「フォールスアラーム」)を有してないということ、および、再スタート520することが安全であるということを、医療提供者が決定する場合には、輸液は、以前に許容された514ものと同じ投与レートで継続されることが可能である。
【0110】
輸液レート521を遅くすることによって是正され得る軽度のインフュージョンリアクションを患者が有しているということを医療提供者が決定する場合には、輸液は、本明細書の他の箇所に説明されているような複数ルーメンチュービングのより小さなルーメンを使用して、薬剤を投与することによって、医療提供者によって事前決定された低減されたレート522で継続されることが可能である。
【0111】
医療提供者が、患者がインフュージョンリアクションを経験しているということを確認し、輸液を再スタートさせる523ことが安全でないということを決定する場合には、彼らは、薬物送達システムの中の随意的に提供された特徴をトリガーし、1つまたは複数の緊急薬剤を投与し524、随意的に、緊急医療サービス525を呼ぶことを選ぶことが可能である。代替的な実施形態において、緊急医療サービス525は、薬物送達装置またはシステムによって提供されるジオロケーションデータ526に起因して、よりタイムリーな応答を提供するように構成されている。
【0112】
1つまたは複数の実施形態において、インフュージョンリアクションの検出512および515は、インフュージョンリアクションサブタイプ(たとえば、標準インフュージョンリアクション、補体活性化関連の偽アレルギー、過敏症、アナフィラキシー、サイトカイン放出症候群)の相対的可能性の確率的な推定も提供する。他の実施形態において、インフュージョンリアクションの検出512および515は、起こっている特定のインフュージョンリアクションサブタイプの決定的な決定を結果として生じさせ、それを他のサブタイプから差別化する。これらの実施形態のいずれにおいても、これらのデータは、随意的に、疑われるインフュージョンリアクションに関して患者を評価する医療提供者518に提供される。他の実施形態において、可能性の高いインフュージョンリアクションサブタイプの確率的な推定、または、起こっている特定のサブタイプの決定的な決定は、適当な応答(投与レート522の変化、緊急薬剤524の投与、または緊急医療サービス525および526を呼び出すことを含む)を推奨するために使用される。他の実施形態において、可能性の高いインフュージョンリアクションサブタイプの確率的な推定、または、特定のサブタイプの決定的な決定は、例として、より多くのデータ(たとえば、特定の研究室での研究)が事後的に利用可能になるシナリオなどにおいて、遡及的に(すなわち、インフュージョンリアクションが起こった後に)発生させられる。次いで、この遡及的な決定は、将来的なインフュージョンリアクション予測または検出モデルにおいて使用されることが可能である。1つまたは複数の実施形態において、確率的な推定は、絶対的な確率のみではなく、ベイズ確率または条件付き確率に基づいている。
【0113】
512、513、514、515、516、517、518、519、523、524、530、531、532、533、534、535、536、537、551、552および553を含むアルゴリズムは、例として提供されており、限定として提供されていない。より一般的には、本開示は、多くの代替的な評価および治療フロー550のうちの1つを提供しており、それは、特定の治療薬剤、インフュージョンリアクションの予期されるタイプおよび重症度、所定の薬剤オーダーまたはオーダーセットにおける特定事項、必要とされる反作用薬剤、および、他の臨床的考慮事項に基づいて調整されることが可能である。
【0114】
インフュージョンリアクション応答
緊急薬剤の偶発的な投与は、とりわけ、本開示によって提供され、副作用または反応を引き起こす傾向を伴う薬剤の安全な投与を可能にする。
【0115】
図2Eは、症状に反作用するために、および/または、同様にシステムの中に含有されている1つまたは複数の治療薬剤の投与によって引き起こされる全身的なインフュージョンリアクションを治療するために、特定の緊急薬を偶発的に投与するように構成されている例示的な薬物送達装置またはシステムを図示している。
【0116】
第1の代替的な実施形態では、薬物送達システムは、1つまたは複数の治療薬剤を投与するために使用される同じチュービングセットルーメンを使用して、1つまたは複数の緊急薬剤を投与するように構成されている。薬物送達装置またはシステム285は、治療薬剤287のためのリザーバー286と、緊急薬剤289を含有するリザーバー288と、リザーバーと流体ポンプ292との間の流体接続部290、291と、流体ポンプ292と患者インターフェース295との間に流体的に接続されている単一のルーメンチュービングセット293とを提供されている。薬剤287は、患者に投与される。本明細書における開示によれば、疑われるまたは実際のインフュージョンリアクションのケースでは、緊急薬剤221が、患者インターフェース295を通して患者294に投与される。
【0117】
第2の代替的な実施形態では、薬物送達システムは、1つまたは複数の治療薬剤を投与するために使用されるものとは代替的なルーメンを使用して、先制的な様式で1つまたは複数の緊急薬剤を投与するように構成されている。薬物送達装置またはシステム285は、治療薬剤287のためのリザーバー286と、緊急薬剤289を含有するリザーバー288と、リザーバーと流体ポンプ292との間の流体接続部290、291と、流体ポンプ292と患者インターフェース295との間に流体的に接続されているダブルルーメンチュービングセット293'とを提供されている。薬剤287は、ダブルルーメンチュービング293'の中の第1の薬剤ルーメン297を使用して、患者に投与される。本明細書における開示によれば、疑われるまたは実際のインフュージョンリアクションのケースでは、治療薬剤287のフローは、第1の薬剤ルーメン297の中で停止され、緊急薬剤221は、ダブルルーメンチュービング293'の中の第2の薬剤ルーメン298を通して投与され、患者インターフェース295を通して患者294の中へ投与される。
【0118】
いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、1つまたは複数の治療薬剤の投与によってトリガーされた疑われる全身的なインフュージョンリアクションに応答して投与される。いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、有害事象を経験する患者に応答して投与される。いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、1つまたは複数の治療薬剤に関する拮抗剤である。
【0119】
いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、エピネフリンである。いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、ナロキソンである。いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、コルチコステロイドである。いくつかの実施形態において、緊急薬剤は、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、またはメチルプレドニゾロンの群から選択される1つまたは複数の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、送達装置またはシステムは、投与の前に凍結乾燥された緊急薬剤を再構成するように構成されている。時間が重要である可能性のある状況では、送達装置またはシステムは、たとえば、潜在的なインフュージョンリアクションがセンサーによって最初に検出されるときなどに、しかし、医療提供者によって投与が指示される前に、予測的な方式で、凍結乾燥された緊急薬剤を再構成するように構成されることが可能である。
【0120】
いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、所定の生理学的なまたは臨床的な基準に基づいて自動的に緊急薬剤を投与するように構成されている。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、遠隔の医療提供者からのインストラクションに基づいて、緊急薬剤を投与するように構成されている。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、装置またはシステムの近位にあるユーザーからインストラクションに基づいて、緊急薬剤を投与するように構成されている。
【0121】
臨床試験構成
本明細書で開示されている薬物送達装置またはシステムの実施形態の1つの主要な利益は、承認された薬剤の商業的プレゼンテーションが、商業的プレゼンテーションのために第2の装置またはシステムを設計、検証、またはテストする必要性なしに、以前の臨床研究において使用された同じ送達装置またはシステムを使用することを可能にするということである。本開示は、挙動が事前に知られていない場合でも、多種多様な薬物動態プロファイルに対処するフレキシビリティーを増加させる。
【0122】
本明細書で使用されているような薬物動態(PK)プロファイルは、便宜的な用語であるが、PKプロファイルのコンポーネントは、当業者によってよく理解されており、例として、限定ではないが、バイオアベイラビリティー、Tmax、Cmax、Area Under Curve (AUC)、Ctrough、吸収レート定数、消失レート定数、半減期、分布容積、クリアランス、および/または定常状態濃度を含むことが可能である。本明細書で使用されているように、CmaxおよびCtroughは、それぞれ、所与の用量の投与の後に全身的な循環において薬物が到達する最大濃度および最小濃度である。Tmaxは、所与の用量の投与の後にCmaxに到達するために必要とされる時間である。
【0123】
図3Aは、本開示が組み込まれた状態の典型的な非経口薬物の用量決定のための臨床前のおよび臨床的な開発プロセスの概略図を描いている。このプロセスでは、フェーズ1試験において用いるための1つまたは複数の適当なチュービングセット322は、製剤開発320および薬物動態モデリング321と並列に決定され、それらの影響を受ける。特に、1つまたは複数の適当なチュービングセット(それは、臨床研究324における所望の流速を支配する)は、独立して変化させられ得る用量範囲から切り離されている。
【0124】
次いで、フェーズ1臨床試験が、当業者によく知られている様式で用量範囲を確立するために実行される。322において決定されたようなチュービングセット325が、臨床試験部位に供給され、所望の臨床試験条件(仮定された用量範囲323を含む)にしたがって初期フェーズ1試験324を実行するために使用される。フェーズ1試験326データの分析は、後続の臨床試験を設計するために使用される投薬レジメン改良327につながる。
【0125】
レジメン改良が単一の投薬レジメン328のみを生み出す場合には、単一の適当なチュービングセット330は、薬物動態データおよび用量評価326からの所望の臨床試験条件339に対応する、フェーズ2研究330において使用するように設計されることとなる。レジメン改良が複数の可能な投薬レジメン332を生み出す場合には、本開示の1つの代替的な実施形態が、フェーズ2研究334において使用するように設計されることとなる1つまたは複数のチュービングセット333の適当なキットを提供し、キットコンポーネントは、1つまたは複数の臨床試験条件336、337、または338にそれぞれ対応している。
【0126】
所望の有効性信号340が1つまたは複数の投薬レジメンによって実現されると、1つまたは複数の適当なチュービングセットが、フェーズ3臨床試験のために決定され341、次いで、以前の臨床試験結果に基づいて、および、所望の臨床試験条件に対応して、フェーズ3試験342において使用される。最後に、規制当局が承認すると、1つまたは複数の適当なチュービングセットは、ピボタル臨床試験結果および所望の商業的プレゼンテーションに基づいて、商業製品344のために選択される。
【0127】
ある実施形態において、1つまたは複数の臨床試験の間に、スタッフは、フェーズ1の研究324およびフェーズ2の研究330および334において、サブセットから1つまたは複数のチュービングセットを選択し、次いで、フェーズ3の研究342のために、チュービングセットのより小さなサブセットを選択する。いくつかの実施形態において、フェーズ3の研究342のために使用されるものよりも小さな、チュービングセットのサブセットは、承認された薬剤の商業的プレゼンテーションにおいて患者に提供される。いくつかの実施形態において、フェーズ3の研究342のために使用される同じチュービングセットは、承認された薬剤の商業的プレゼンテーションにおいて提供される。
【0128】
本開示の1つの有利な態様は、臨床試験および商業的に販売された薬剤の両方における使用に対処するためのフレキシビリティーである。特別な考慮事項が、臨床試験において使用される薬物送達装置またはシステムに適用される。臨床試験データは、正確であり、追跡可能であり、再現可能であるべきである。したがって、データ完全性は、成功的な臨床研究の基礎であり、また、薬の承認に関する自信に満ちた意思決定を可能にするように設計されている倫理的要件および規制上の要件である。
【0129】
臨床試験は、臨床研究フェーズ、特定の薬剤、および患者集団に応じて、多くの異なる環境において行われる。たとえば、再び図3Aを参照すると、多くのフェーズ1の研究304およびフェーズ2の研究309および310は、臨床試験部位においてまたは診療所において完了される。フェーズ3研究313は、臨床試験部位において、診療所において、または家庭環境において、完了されることが可能である。家庭において完了されるフェーズ3研究313に関して、本開示の代替的な実施形態は、さまざまな構成においてGCPまたは他の規制上の要件を満たすセンサー、コントローラー、および恒久的なデータストレージの組み込みを通して臨床試験データ完全性を改善するように構成されているときに、特に有利である。
【0130】
図8を参照すると、代替的な実施形態において、薬物送達システム775は、1つまたは複数のセンサー782を含み、1つまたは複数のセンサー782は、臨床試験776の中で研究される1つまたは複数の治療薬剤の投与の前に、投与の間に、および、投与の後に、1つまたは複数の段階における患者783バイタルサインを測定するために、コントローラー779に連結されている。薬剤投与が進行するにつれて、生理学的センサー783からのデータは、臨床試験チーム784によるその後の検索および分析787のために恒久的なデータストレージ785の中へ記録される。これは、臨床試験チーム784によるデータのその後の分析を提供し、臨床試験776の中で研究される薬剤の結果として、インフュージョンリアクションまたは他の生理学的な有害作用に関する任意の潜在的な傾向を識別する。
【0131】
代替的な実施形態において、薬物送達システム775は、臨床試験776の中で研究される1つまたは複数の治療薬剤の投与の前、投与の間、および投与の後に、1つまたは複数の段階における薬剤投与のステータスを測定するための1つまたは複数のセンサー782を含む。薬剤投与が進行するにつれて、センサー782データは、コントローラー779に通信され781、臨床試験チーム784による後の検索および分析787のために恒久的なデータストレージ785に転送される786。これは、臨床試験チーム784による後のデータの分析、および、それぞれの患者が予期される通りに完全な薬剤用量を受け取ったという検証を提供する。代替的な実施形態において、センサーは、治験中の治療薬剤776を含有する1つまたは複数の薬剤リザーバー776'の上に提供されることも可能である。
【0132】
代替的な実施形態において、薬物送達システム775は、臨床試験776の中で研究される1つまたは複数の治験中の治療薬剤の投与の全体を通して患者インターフェースをモニタリングするための1つまたは複数のセンサー782を含む。センサー782データは、コントローラー779に通信され781、臨床試験チーム784による後の検索および分析787のために恒久的なデータストレージ785に転送される786。これは、臨床試験チーム784による後のデータの分析、および、実際に薬剤が意図された通りに患者に直接的に投与されたという検証を提供する。いくつかの実施形態において、センサー782は、皮膚センサーを含む。いくつかの実施形態において、センサー782は、フローセンサーを含む。
【0133】
代替的な実施形態において、薬物送達システム775は、臨床試験776の中で研究される1つまたは複数の治験中の治療薬剤の投与の全体を通して薬物送達システム775の状態をモニタリングするためにコントローラーおよびアルゴリズム779を含み、さらに、臨床試験チーム784による後の検索および分析787のために、任意のそのような検出された障害を恒久的なデータストレージ785に通信する781。これは、臨床試験チーム784による後のデータの分析、および、治験中の治療薬剤776の投与の間に薬物送達システム775が意図された通りに動作されたという検証を提供する。
【0134】
電子健康記録の一体化
臨床試験は、高度に制御された環境において起こり、交絡変動性を最小化し、交絡変動性は、データ完全性に影響を与え、プラスのまたはマイナスの医薬品の有効性をマスクする可能性がある。治験中の治療薬剤が承認されると、投与は、家庭において、診療所において、または、その両方において行われることが可能である。日々の患者ケアにおいて、疾患の治療は、複雑である可能性があり、医療提供者による複数の薬剤、研究室テスト、および物理的な訪問の調整を必要とする。健康関連情報は、電子健康記録(EHR)の中に記憶されることが多く、患者情報は、一元的に記憶され、認証されたユーザー(たとえば、患者の医師、看護師、および薬剤師など)にアクセス可能である。本明細書で説明されているようにEHR一体化を含むことによって、本開示は、診療所と家庭との間のケアの連続性を提供し、それは、(たとえば、腫瘍学などに関する)薬剤レジメンのケースに当てはまるように、薬剤が両方の環境において与えられるときに極めて重要である。
【0135】
EHRは、オーダーを含有することも可能であり、オーダーは、それぞれの患者をケアし、診断し、および治療するためのインストラクションである。図10を参照すると、1つまたは複数の実施形態において、薬物送達システム1020は、コントローラー1026を提供されており、コントローラー1026は、有線接続または無線接続のいずれかを介して、装置のコンポーネントと通信する。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の実施形態によるコントローラーは、プロセッサー1023と、プロセッサー1024に連結されているメモリーと、プロセッサー1023に連結されている入力/出力デバイス1025と、プロセッサーに連結されているEHRインターフェース1021と、システムの異なるコンポーネント(すなわち、本明細書で説明されているシステムのコンポーネント)の間の通信を提供するサポート回路とを含む。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、プロセッサーによって実行されるときに、本開示に説明されている方法をシステムが実施することを引き起こすソフトウェアルーチンとして、メモリー1024の中に記憶されている。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのプロセスは、ハードウェアにおいて実施される。1つまたは複数の実施形態において、システムを動作させるためのソフトウェアルーチンは、プロセッサーによって制御されているハードウェアから遠隔に位置付けされている第2のプロセッサーによって、記憶および/または実行されることも可能である。
【0136】
いくつかの実施形態において、EHRインターフェース1021は、Wi-Fi、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、セルラー、またはインターネットプロトコル(IP)接続によって実装される。いくつかの実施形態において、冗長な入力/出力インターフェースが、1つの通信インターフェースが故障した場合に提供される。いくつかの実施形態において、EHRインターフェース1021は、エンドツーエンド暗号化を特徴とする。いくつかの実施形態において、EHRインターフェース1021インターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)によって実装される。
【0137】
薬物送達装置またはシステム1020は、EHRインターフェース1021を介してEHRシステム1000とインターフェース接続し、それによって、治療薬剤1027に関係付けられる1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられる。いくつかの実施形態において、その関連付けは、治療薬剤1002に関する対応するオーダーパラメーター1007および投与時間1008を含む。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステムは、EHRインターフェース1021を介して、EHRシステム1000の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、EHRシステムの中に含有されている対応するオーダーパラメーターに関連付けられており、オーダーパラメーターは、識別番号1005、処方者1009、薬剤名1002、ならびに、投与パラメーター1007および時間1008を含む。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRインターフェース1021を介して、EHRシステム1000の中に含有されている1つまたは複数のオーダーセット1030の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1030(図10Bに示されている)に関連付けられる。
【0138】
オーダーセットは、EHRシステムの中に提供されることも可能であり、それは、単一の条件、プロセス、または臨床状況(たとえば、疾患を治療するための1つまたは複数の療法の投与など)に関係付けられる複数のオーダーの凝集を含む。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、EHRインターフェース1021を介してEHRシステム1000とインターフェース接続しており、それによって、EHRシステム1000の中の1つまたは複数のオーダーセット1030の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、オーダーセットは、1つもしくは複数の治療薬剤1032のための投与インストラクション、1つもしくは複数の治療薬剤1032の前1031におよびその1033後に与えられる薬剤、ならびに/または、緊急薬剤投与1033に関係付けられるスタンディングオーダーを含有している。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRシステム1000の中の1つまたは複数のオーダーセット1030の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、オーダーセットは、所与の患者のための生理学的なモニタリングインストラクション1037を含有している。
【0139】
投与の前に、オーダーおよびオーダーセットは、また、特定の患者に薬剤をディスペンスするために、および、適正な薬がそれぞれの患者にディスペンスされることを検証するために、臨床実務において使用される。いくつかの実施形態において、図10Cを参照すると、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRシステム1000の中の1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、薬物送達装置またはシステム1020は、治療薬剤1027を保持するリザーバー1027'の内容物が、患者にディスペンスする前に、医療提供者1010によるオーダー1001に対して1011において検証され得る手段を含有している。
【0140】
いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRシステム1000の中の1つまたは複数のオーダーセット1030の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、薬剤オーダーは、EHRシステム1000接続されている機器によってスキャンされ得るバーコードまたはデータマトリックス1022を使用して、薬物送達装置またはシステムの上で参照される。
【0141】
いくつかの実施形態において、オーダーセット1030は、1つまたは複数の治療薬剤1032の投与、関連の1つまたは複数の前薬剤1031または後薬剤1032の投与、1つまたは複数の緊急薬剤1033の投与、必要とされる研究室値もしくは患者モニタリング1034、または、看護に対する他のインストラクション1035、1036、1037のための1つまたは複数のインストラクションを含む。
【0142】
特定のケースでは、薬剤の投与は、1つまたは複数の薬剤オーダー1001またはオーダーセット1030の中に記載された特定の範囲の中に特定の研究室値があることを条件とする可能性がある。研究室値のレビューは、医療提供者によって手動で実施されることが可能であり、または、EHRシステムの中の自動化された意思決定支援を通して実施されることが可能である。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRシステム1000の中の1つまたは複数のオーダーセット1030の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、オーダーセットは、EHRシステム1000の中の他の箇所に含有されている1つまたは複数の診断基準または研究室基準1035のレビューの結果が出るまで、1つまたは複数の治療薬剤1030の投与を許容し、レビューは、医療提供者によって完了される。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRシステム1000の中の1つまたは複数のオーダーセット1030の中に含有されている1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、オーダーセットは、EHRシステム1000の中の他の箇所に含有されている1つまたは複数の診断基準または研究室基準1035のレビューの結果が出るまで、1つまたは複数の治療薬剤1030の投与を許容し、レビューは、同様にEHRシステム1000の中に含有されている意思決定支援ツールによって自動的に完了される。
【0143】
薬剤オーダーおよびオーダーセットは、投与インストラクション(投与レートを含む)を提供する。いわゆる「ハード」リミットは、医療提供者によって上書きされることができないが、一方では、いわゆる「ソフト」リミットは、専門的判断に基づいて医療提供者によって上書きされることが可能である。本開示の実施形態は、両方のタイプのリミットが実装されることを可能にする。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRインターフェース1021を提供されており、EHRシステム1000の中の1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、薬剤オーダーおよびEHRインターフェースは、安全でないまたは臨床的に不適当なパラメーターにおける1つまたは複数の治療薬剤の投与を禁止し、禁止は、患者安全の利益のために1人または複数人の医療提供者1010によって上書きされることができない。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRインターフェース1021を提供されており、EHRシステム1000の中の1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、薬剤オーダーおよびEHRインターフェースは、安全でないまたは臨床的に不適当なパラメーター1007における1つまたは複数の治療薬剤1027の投与を禁止し、また、薬物送達装置またはシステム1020は、1人または複数人の医療提供者1010が臨床的判断に基づいてそのような禁止を上書きするための手段を提供されている。
【0144】
いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステム1020は、EHRインターフェース1021を提供されており、EHRシステム1000の中の1つまたは複数の特定の薬剤オーダー1001に関連付けられており、EHRインターフェース1021と薬物送達装置またはシステム1020との間の通信は、双方向であり、健康記録システムの中のオーダー1001の対応するパラメーターおよびそれに対する投与進行状況の臨床医レビュー1038を可能にする。
【0145】
別の態様において、本明細書における薬物送達システムコントローラーは、投与場所と遠隔のモニタリングサービスとの間の通信を可能にするための入力/出力インターフェースを提供されている。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステムによって収集されたすべてのセンサーデータは、コントローラーによって遠隔のモニタリングサービスに通信される。いくつかの実施形態において、薬物送達装置またはシステムによって収集されたセンサーデータのサブセットは、コントローラーによって遠隔のモニタリングサービスに通信される。いくつかの実施形態において、遠隔のモニタリングサービスは、医療提供者によって有人のものである。いくつかの実施形態において、遠隔のモニタリングサービスは、コンピューティング装置またはシステムである。いくつかの実施形態において、遠隔のモニタリングサービスは、ソフトウェアの中に実装される意思決定支援ツールによって補助される医療提供者である。いくつかの実施形態において、意思決定支援ツールは、予測アルゴリズムまたは機械学習アルゴリズムを用いる。いくつかの実施形態において、意思決定支援ツールは、電子健康記録(EHR)システムである。
【0146】
いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、オーダーセットの中に含有されている1つまたは複数のオーダーの中に含有されている特定のバイタルサインをモニタリングするように、オーダーセットに基づいてプログラムされている。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、オーダーセットの中に含有されている1つまたは複数の個々の薬剤オーダーに基づいて、特定の治療薬剤を送達するようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、EHRの中に含有されている特定の研究室テスト結果の利用可能性の結果が出るまで、送達を可能にするようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、特定の研究室値が事前定義された範囲の中にあるということをEHRから確認したときにのみ、送達を可能にするようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、EHRの中に含有されている特定の研究室値が利用不可能であるかまたは事前定義された範囲の外側にある場合には、送達を禁止するようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、医療提供者によって禁止が上書きされない限り、EHRの中に含有されている特定の研究室値が利用不可能であるかまたは事前定義された範囲の外側にある場合には、送達を禁止するようにプログラムされている。いくつかの実施形態において、薬物送達システムは、EHRの中に含有されている意思決定支援ツールによって自動的に禁止が除去されない限り、EHRの中に含有されている特定の研究室値が利用不可能であるかまたは事前定義された範囲の外側にある場合には、送達を禁止するようにプログラムされている。
【0147】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、少なくとも1つのコントローラーを利用し、少なくとも1つのコントローラーは、本明細書で説明されているような装置およびシステムのさまざまなコンポーネントに連結されることが可能である。いくつかの実施形態において、個々のコンポーネントに接続されている2つ以上のコントローラーが存在しており、主要な制御プロセッサーは、本明細書で説明されているシステムまたは装置を制御するために別個のプロセッサーのそれぞれに連結されている。コントローラーは、さまざまな送達および/または治療レジメンを制御するために産業環境において使用され得る、汎用コンピュータープロセッサー、マイクロコントローラー、マイクロプロセッサーなどの任意の形態のうちの1つであることが可能である。
【0148】
コントローラーは、プロセッサーと、プロセッサーに連結されているメモリーと、プロセッサーに連結されている入力/出力デバイスと、異なる電子コンポーネントの間の通信を提供するためのサポート回路とを有することが可能である。メモリーは、一時的なメモリー(たとえば、ランダムアクセスメモリー)および非一時的なメモリー(たとえば、ストレージ)のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。プロセッサーのメモリー(または、コンピューター可読媒体)は、たとえば、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または、デジタルストレージ、ローカル、もしくはリモートの任意の他の形態などのような、容易に利用可能なメモリーのうちの1つまたは複数であることが可能である。メモリーは、インストラクションセットを保つことが可能であり、インストラクションセットは、本明細書で説明されている装置および方法のパラメーターおよびコンポーネントを制御するように、プロセッサーまたはコントローラーによって動作可能である。サポート回路は、従来の様式でプロセッサーをサポートするために、プロセッサーに連結されている。回路は、たとえば、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、およびサブシステムなどを含むことが可能である。
【0149】
治療レジメンなどのようなプロセスおよび方法は、一般的に、プロセッサーによって実行されるときに、本明細書で説明されている装置およびシステムが本開示に説明されている方法を実施することを引き起こすソフトウェアルーチンとして、メモリーの中に記憶されることが可能である。また、ソフトウェアルーチンは、プロセッサーによって制御されているハードウェアから遠隔に位置付けされている第2のプロセッサー(図示せず)によって、記憶および/または実行されることも可能である。本開示の方法のうちのいくつかまたはすべては、ハードウェアにおいて実施されることも可能である。そうであるので、プロセスは、ソフトウェアにおいて実装されることが可能であり、コンピューターシステムを使用して実行されることが可能であり、たとえば、特定用途向け集積回路もしくは他のタイプのハードウェア実装形態として、ハードウェアにおいて実行されることが可能であり、または、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせとして実行されることが可能である。ソフトウェアルーチンは、プロセッサーによって実行されるときに、汎用コンピューターを、プロセスが実施されるようにチャンバー動作を制御する特定目的のコンピューター(コントローラー)に変換する。
【0150】
いくつかの実施形態において、コントローラーは、本明細書で説明されている方法を実施するための個々のプロセスまたはサブプロセスを実行するための1つまたは複数の構成を有している。
【0151】
本明細書の全体を通して「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「ある実施形態」を参照することは、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、または特質が、本開示の少なくとも1つの実施形態の中に含まれているということを意味している。したがって、本明細書の全体を通したさまざまな場所において、「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態では」、または「ある実施形態において」などのような語句が出現することは、必ずしも、本開示の同じ実施形態を参照しているわけではない。そのうえ、特定の特徴、構造、材料、または特質は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせられることが可能である。
【0152】
本明細書における開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、説明されている実施形態が、本開示の原理および用途の単なる例示であるということを理解することとなる。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に対して、さまざまな修正例および変形例が作製されることが可能であるということが、当業者に明らかになることとなる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲の中にある修正例および変形例を含むことが可能である。
【0153】
本明細書で説明されている薬物送達デバイスおよびコンポーネントは、多くの異なるタイプの病気のうちの1つまたは複数の治療および/または予防のために使用されることが可能である。例示的な病気は、それに限定されないが、関節リウマチ、炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、高コレステロール血症、糖尿病(たとえば、2型糖尿病)、乾癬、片頭痛、多発性硬化症、貧血、紅斑性狼瘡、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻ポリープ、急性低血糖症、肥満、アナフィラキシー、癌、およびアレルギーを含む。本明細書で説明されている薬品送達デバイスの中に含まれ得る例示的なタイプの薬物は、それに限定されないが、抗体、タンパク質、融合タンパク質、ペプチ抗体、ポリペプチド、ペグ化タンパク質、タンパク質フラグメント、タンパク質類似体、タンパク質変異体、タンパク質前駆体、および/またはタンパク質誘伝導体を含む。本明細書で説明されている薬物送達デバイスの中に含まれ得る例示的な薬物は、それに限定されないが(括弧の中に関連の病気の非限定的な例を伴う)、エタネルセプト(関節リウマチ、炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎))、エボロクマブ(高コレステロール血症)、エキセナチド(2型糖尿病)、セクキヌマブ(乾癬)、エレヌマブ(片頭痛)、アリロクマブ(関節リウマチ)、メトトレキサート(アメトプテリン)(関節リウマチ)、トシリズマブ(関節リウマチ)、インターフェロンベータ-1a(多発性硬化症)、スマトリプタン(片頭痛)、アダリムマブ(関節リウマチ)、ダルベポエチンアルファ(貧血)、ベリムマブ(紅斑性狼瘡)、ペグインターフェロンベータ-1a'(多発性硬化症)、サリルマブ(関節リウマチ)、セマグルチド(2型糖尿病、肥満)、デュピルマブ(アトピー性皮膚炎、喘息、鼻ポリープ、アレルギー)、グルカゴン(急性低血糖症)、エピネフリン(アナフィラキシー)、インスリン(糖尿病)、アトロピンおよびベドリズマブ(炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎))を含む。医薬品製剤(それに限定されないが、本明細書で説明されている任意の薬物を含む)は、また、本明細書で説明されている薬物送達デバイスにおいて使用することを企図されており、それは、たとえば、本明細書に列挙されているような薬物(または、薬物の薬学的に許容可能な塩)および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬品製剤である。本明細書に列挙されているような薬物(または、薬物の薬学的に許容可能な塩)を含む医薬品製剤は、1つもしくは複数の他の活性成分を含むことが可能であり、または、存在する唯一の活性成分であることが可能である。
【0154】
一般的に、本出願では、別段の指示がない限り、「チュービングセット」または「チュービング」は、1つまたは複数のチューブを含むことが可能であり、それぞれのチューブは、1つまたは複数のルーメンを含む。
【0155】
本発明のいくつかの態様は、以下の条項に概説されている。
1. 治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、
1つまたは複数の治療薬剤を含有するリザーバーと、
リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、
可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部においてリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、
リザーバーから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治療薬剤を排出するように構成されている流体ポンプと
を含み、
可撓性のチュービングセットは、所定の長さと、一貫した内部直径を含む内部ルーメンとを含み、可撓性のチュービングセットは、内部ルーメンを通過する治療薬剤の特定の特質に基づいて、所定の較正された流量を提供するように構成されており、特定の特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
2. 流体ポンプは、実質的に一定の圧力デバイスを含む、実施形態1に記載の装置。
3. 流体ポンプは、実質的に一定のフローデバイスを含む、実施形態1に記載の装置。
4. 内部ルーメンの内部直径は、薬剤チュービングセットのインターフェースにおける応力、および、関連のタンパク質ベースの治療薬剤の凝集を低減させるように構成されている、実施形態1から3のいずれか1つに記載の装置。
5. 治療薬剤は、実質的に非ニュートン性の流体である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の装置。
6. 治療薬剤は、粘度と剪断応力との間に非線形の関係を示す、実施形態1から5のいずれか1つに記載の装置。
7. 治療薬剤は、薬剤の温度に基づく非線形の粘度変化を示す、実施形態1から6のいずれか1つに記載の装置。
8. 治療薬剤は、生物学的製剤、組み換え型治療用タンパク質、遺伝子療法、モノクロナール抗体、抗体薬物複合体、または融合タンパク質である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の装置。
9. 流体ポンプは、使い捨てのものであり、1回使用のために設計されている、実施形態1から8のいずれか1つに記載の装置。
10. 流体ポンプは、再使用可能であり、複数回使用のために設計されている、実施形態1から8のいずれか1つに記載の装置。
11. 流体ポンプは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、実施形態1から8のいずれか1つに記載の装置。
12. 装置は、コントローラーをさらに含み、コントローラーは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
13. 装置は、コントローラーをさらに含み、コントローラーは、使い捨てのものであり、1回使用のために設計されている、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
14. 装置は、コントローラーをさらに含み、コントローラーは、再使用可能であり、複数回使用のために設計されている、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
15. リザーバーは、事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態1から14のいずれか1つに記載の装置。
16. 可撓性のチュービングセットは、治療薬剤がインフュージョンリアクションを引き起こす可能性のある流量よりも小さい流量を提供するように構成されている、実施形態1から15のいずれか1つに記載の装置。
17. 装置は、複数の可撓性のチュービングセットをさらに含み、1つまたは複数の可撓性のチュービングセットは、実験的に決定された濃度-温度-粘度関係に基づいて、室温における治療薬剤のmL/時での実際の流量をラベル付けされている、実施形態1から16のいずれか1つに記載の装置。
18. 1つまたは複数の治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、
1つまたは複数の治療薬剤をそれぞれ含有する複数のリザーバーと、
リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、
可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部においてリザーバーと流体連通しており、遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、
リザーバーから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治療薬剤を排出するための流体ポンプと
を含み、
可撓性のチュービングセットは、所定の長さと、一貫した内部直径を含む内部ルーメンとを提供されており、内部直径は、それを通過する治療薬剤の特定の特質に基づいて、所定の較正された流量を提供するように構成されており、特定の特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
19. 流体ポンプは、実質的に一定の圧力デバイスを含む、実施形態18に記載の装置。
20. 流体ポンプは、実質的に一定のフローデバイスを含む、実施形態18に記載の装置。
21. 内部ルーメンの内部直径は、薬剤チュービングセットインターフェースにおける応力、および、関連のタンパク質ベースの治療薬剤の凝集を低減させるように構成されている、実施形態18から20のいずれか1つに記載の装置。
22. 治療薬剤は、実質的に非ニュートン性の流体である、実施形態18から21のいずれか1つに記載の装置。
23. 治療薬剤は、粘度と剪断応力との間に非線形の関係を示す、実施形態18から22のいずれか1つに記載の装置。
24. 治療薬剤のうちの1つは、薬剤の温度に基づく非線形の粘度変化を示す、実施形態18から23のいずれか1つに記載の装置。
25. 治療薬剤は、生物学的製剤、組み換え型治療用タンパク質、遺伝子療法、モノクロナール抗体、抗体薬物複合体、または融合タンパク質である、実施形態18から24のいずれか1つに記載の装置。
26. 流体ポンプは、使い捨てのものであり、1回使用のために設計されている、実施形態18から25のいずれか1つに記載の装置。
27. 流体ポンプは、再使用可能であり、複数回使用のために設計されている、実施形態18から25のいずれか1つに記載の装置。
28. コントローラーは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、実施形態18から27のいずれか1つに記載の装置。
29. コントローラーは、使い捨てのものであり、1回使用のために設計されている、実施形態18から27のいずれか1つに記載の装置。
30. コントローラーは、再使用可能であり、複数回使用のために設計されている、実施形態18から27のいずれか1つに記載の装置。
31. 流体ポンプは、再使用可能であり、薬剤レジメンの単一のサイクルのコースにわたって使用するように設計されている、実施形態18から25および28から30のいずれか1つに記載の装置。
32. リザーバーは、事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態18から31のいずれか1つに記載の装置。
33. 可撓性のチュービングセットは、1つまたは複数の治療薬剤がインフュージョンリアクションを引き起こす可能性のある流量よりも小さい流量を提供するように構成されている、実施形態18から32のいずれか1つに記載の装置。
34. 1つまたは複数のリザーバーと可撓性のチュービングセットの近位端部との間の流体連通は、マニホールドによって提供されている、実施形態18から33のいずれか1つに記載の装置。
35. 1つまたは複数のリザーバーと可撓性のチュービングセットの近位端部との間の流体連通は、2つ以上の独立した薬剤ルーメンを含み、少なくとも第1および第2の薬剤ルーメンの直径は、実質的に等しくない、実施形態18から34のいずれか1つに記載の装置。
36. 1つまたは複数のリザーバーと可撓性のチュービングセットの近位端部との間の流体連通は、2つ以上の独立した薬剤ルーメンを含み、少なくとも第1および第2の薬剤ルーメンの直径は、実質的に等しい、実施形態18から35のいずれか1つに記載の装置。
37. 複数のリザーバーのそれぞれからの治療薬剤の投与は、所定の順序で起こる、実施形態18から36のいずれか1つに記載の装置。
38. 複数のリザーバーのそれぞれの第1のものからの治療薬剤は、事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態18から37のいずれか1つに記載の装置。
39. 複数のリザーバーのそれぞれの1つまたは複数からの治療薬剤は、複数のリザーバーのそれぞれに関して実質的に等しい事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態18から38のいずれか1つに記載の装置。
40. 複数のリザーバーのそれぞれからの治療薬剤は、複数のリザーバーのそれぞれに関して実質的に異なる事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態18から38のいずれか1つに記載の装置。
41. 複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者に同時に投与される、実施形態18から40のいずれか1つに記載の装置。
42. 複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者にシーケンシャルに投与され、リザーバーのそれぞれからの治療薬剤の投与は、先行するリザーバーからの治療薬剤の投与が完了した後にのみ始まる、実施形態18から40のいずれか1つに記載の装置。
43. 複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者にシーケンシャルに投与され、後続のリザーバーからの治療薬剤の投与は、先行するリザーバーからの治療薬剤の投与が始まった後にのみ始まる、実施形態18から40のいずれか1つに記載の装置。
44. 複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者にシーケンシャルに投与され、複数のリザーバーのそれぞれからの治療薬剤の投与の始まりは、1つまたは複数の時間遅延によって分離されている、実施形態18から40のいずれか1つに記載の装置。
45. 装置は、複数の可撓性のチュービングセットをさらに含み、1つまたは複数の可撓性のチュービングセットは、実験的に決定された濃度-温度-粘度関係に基づいて、室温における治療薬剤のmL/時での実際の流量をラベル付けされている、実施形態18から44のいずれか1つに記載の装置。
46. 装置は、複数の可撓性のチュービングセットをさらに含み、1つまたは複数の可撓性のチュービングセットは、実験的に決定された濃度-温度-粘度関係に基づいて、室温における治療薬剤の流量のうちの1つまたは複数に対応する順序識別子をラベル付けされている、実施形態18から45のいずれか1つに記載の装置。
47. 流体ポンプは、実質的に一定の圧力デバイスを含む、実施形態18から46のいずれか1つに記載の装置。
48. 流体ポンプは、実質的に一定のフローデバイスを含む、実施形態18から46のいずれか1つに記載の装置。
49. 可撓性のチュービングセットは、治療薬剤がインフュージョンリアクションを引き起こす可能性のある流量よりも小さい流量を提供する、実施形態18から48のいずれか1つに記載の装置。
50. 装置は、複数の可撓性のチュービングセットをさらに含み、複数のチュービングセットは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンの2つから10個の間の異なる構成から選択される、実施形態18から49のいずれか1つに記載の装置。
51. 治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、
1つまたは複数のリザーバーであって、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれは、1つまたは複数の治療薬剤を含有する、1つまたは複数のリザーバーと、
1つまたは複数の治療薬剤の前に投与されることとなる前薬剤、または、1つまたは複数の治療薬剤の後に投与されることとなる後薬剤のうちのいずれかまたは両方を含有する1つまたは複数のリザーバーと、
リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、
可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部においてリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、
1つまたは複数のリザーバーのそれぞれから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治療薬剤を排出するための流体ポンプと
を含み、
可撓性のチュービングセットは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンを提供されており、それを通過する治療薬剤の特質に基づいて、特定の較正された流量を提供し、特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
52. 1つまたは複数の前薬剤または後薬剤は、鎮痛剤、解熱剤、コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤、制吐剤、抗血栓剤、または抗菌剤からなる群から選択される、実施形態51に記載の装置。
53. 前薬剤または後薬剤のうちの1つまたは複数は、合剤にされた抗菌剤および抗血栓剤を含む、実施形態51に記載の装置。
54. 前薬剤または後薬剤のうちの1つまたは複数は、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン、オンダンセトロン、ファモチジン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、およびメチルプレドニゾロンからなる群から選択される、実施形態51に記載の装置。
55. 前薬剤または後薬剤のうちの1つまたは複数は、0.9%通常生理食塩水、Heparin Lock Flush溶液、100U/mLのHeparin Lock Flush溶液、または、5000U/mLのHeparin Lock Flush溶液からなる群から選択される、実施形態51に記載の装置。
56. 前薬剤または後薬剤のうちの1つまたは複数は、遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(r-TPA)である、実施形態51に記載の装置。
57. 後薬剤のうちの1つまたは複数は、エピネフリンである、実施形態51に記載の装置。
58. 前薬剤のうちの1つまたは複数は、動物由来の、ヒト由来の、または組み換え型ヒアルロニダーゼ酵素である、実施形態51に記載の装置。
59. 1つまたは複数のリザーバーと可撓性のチュービングセットの近位端部との間の流体連通は、2つ以上の独立した薬剤ルーメンを含み、第1の薬剤ルーメンは、治療薬剤を投与するために使用され、第2の薬剤ルーメンは、前薬剤および後薬剤のいずれかまたは両方を投与するために使用される、実施形態51から58のいずれか1つに記載の装置。
60. 1つまたは複数のリザーバーのそれぞれからの治療薬剤の投与は、所定の順序で起こる、実施形態51から59のいずれか1つに記載の装置。
61. 1つまたは複数のリザーバーのそれぞれの第1のものからの治療薬剤は、事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態51から60のいずれか1つに記載の装置。
62. 装置は、1つまたは複数の前薬剤を投与するように構成されており、事前決定された時間遅延の後に1つまたは複数の治療薬剤の投与がそれに続く、実施形態51から61のいずれか1つに記載の装置。
63. 装置は、1つまたは複数の治療薬剤を投与するように構成されており、事前決定された時間遅延の後に1つまたは複数の後薬剤の投与がそれに続く、実施形態51から62のいずれか1つに記載の装置。
64. 1つまたは複数のリザーバーのそれぞれの1つまたは複数からの治療薬剤は、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれに関して実質的に等しい事前決定された時間遅延の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態51から63のいずれか1つに記載の装置。
65. 1つまたは複数のリザーバーのそれぞれからの治療薬剤は、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれに関して実質的に異なる事前決定された時間遅延の経過の後にのみ、流体ポンプによって投与される、実施形態51から63のいずれか1つに記載の装置。
66. 1つまたは複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者に同時に投与される、実施形態51から65のいずれか1つに記載の装置。
67. 1つまたは複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者にシーケンシャルに投与され、リザーバーのそれぞれからの治療薬剤の投与は、先行するリザーバーからの治療薬剤の投与が完了した後にのみ始まる、実施形態51から65のいずれか1つに記載の装置。
68. 1つまたは複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者にシーケンシャルに投与され、後続のリザーバーからの治療薬剤の投与は、先行するリザーバーからの治療薬剤の投与が始まった後にのみ始まる、実施形態51から65のいずれか1つに記載の装置。
69. 1つまたは複数のリザーバーからの治療薬剤は、流体ポンプによって患者にシーケンシャルに投与され、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれからの治療薬剤の投与の始まりは、1つまたは複数の時間遅延によって分離されている、実施形態51から65のいずれか1つに記載の装置。
70. 治療薬剤を患者に送達するように構成されている装置であって、装置は、
1つまたは複数のリザーバーであって、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれは、治療薬剤を含有する、1つまたは複数のリザーバーと、
緊急薬剤を含有する緊急リザーバーと、
リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、
可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部においてリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、
1つまたは複数のリザーバーのそれぞれから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ治療薬剤を排出するための流体ポンプと、
コントローラーと通信して、患者の生理学的な態様および治療薬剤送達装置の物理的な態様のうちの少なくとも1つを検出するように構成されている少なくとも1つのセンサーと、
メモリーを有するコントローラーであって、コントローラーは、センサーからデータを受け取るように構成されており、また、センサーから受け取られたデータに応答して、患者への治療薬剤の送達をスタートする、ストップする、遅くする、速くする、または継続するのうちの1つまたは複数を制御するように構成されている、コントローラーと
を含み、
可撓性のチュービングセットは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンを提供されており、それを通過する治療薬剤の特質に基づいて、特定の較正された流量を提供し、特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
71. 流体ポンプは、コントローラーと通信しており、装置は、それによって、コントローラーから受け取られたセンサーデータに基づいて、治療薬剤の投与を停止するように構成されている、実施形態70に記載の装置。
72. 流体ポンプは、コントローラーと通信しており、装置は、それによって、コントローラーに通信された患者の自己アセスメントに基づいて、治療薬剤の投与を停止するように構成されている、実施形態70または71に記載の装置。
73. 流体ポンプは、コントローラーと通信しており、装置は、それによって、コントローラーから受け取られたセンサーデータに基づいて、緊急薬剤の投与を始めるように構成されている、実施形態70から72のいずれか1つに記載の装置。
74. 流体ポンプは、コントローラーと通信しており、装置は、それによって、コントローラーに通信された患者の自己アセスメントに基づいて、治療薬剤の投与を始めるように構成されている、実施形態70から73のいずれか1つに記載の装置。
75. リザーバーのうちの1つまたは複数と可撓性のチュービングセットの近位端部との間の流体連通は、少なくとも2つ以上の独立した薬剤ルーメンを含み、第1の薬剤ルーメンは、流体ポンプによって1つまたは複数の治療薬剤を送達するために使用され、第2の薬剤ルーメンは、コントローラーによって指示された場合に、流体ポンプによって緊急薬剤を投与するために使用される、実施形態70から74のいずれか1つに記載の装置。
76. コントローラーは、また、1つまたは複数のセンサー値を、コントローラーメモリーの中に保持されているセンサー値のデータベースと比較するように構成されており、データベース値は、さまざまな安全なおよび安全でない薬剤投与条件のいずれかを表している、実施形態70から75のいずれか1つに記載の装置。
77. コントローラーは、また、安全でない投与条件がコントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって検出されるときに、流体ポンプを停止するように構成されている、実施形態76に記載の装置。
78. コントローラーは、また、安全でない投与条件がコントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって検出されるときに、流体ポンプが1つまたは複数の治療薬剤を投与することを防止するように構成されている、実施形態70から77のいずれか1つに記載の装置。
79. コントローラーは、また、装置を使用する患者において、安全でない投与条件がコントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって検出されるときに、医療提供者に通知するように構成されている、実施形態78に記載の装置。
80. コントローラーは、また、コントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって、装置を使用する患者におけるインフュージョンリアクションの発現を検出するように構成されている、実施形態70から79のいずれか1つに記載の装置。
81. コントローラーは、また、装置を使用する患者において、インフュージョンリアクションの発現がコントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって検出されるときに、医療提供者に通知するように構成されている、実施形態80に記載の装置。
82. コントローラーは、また、装置を使用する患者において、安全でない投与条件がコントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって検出されるときに、医療提供者が薬剤投与を遠隔からスタートする、ストップする、休止する、速くする、遅くする、または継続することを可能にするように構成されている、実施形態70から81のいずれか1つに記載の装置。
83. コントローラーは、また、装置を使用する患者において、インフュージョンリアクションがコントローラーおよび1つまたは複数のセンサーによって検出されるときに、医療提供者が薬剤投与を遠隔からスタートする、ストップする、休止する、速くする、遅くする、または継続することを可能にするように構成されている、実施形態70から82のいずれか1つに記載の装置。
84. コントローラーは、また、1つまたは複数のセンサー値を、コントローラーメモリーの中に保持されている1つまたは複数のセンサー値と比較するように構成されており、コントローラーメモリーの中に保持されているセンサー値は、治療薬剤に対する差し迫ったまたは実際のインフュージョンリアクションに以前に関連付けられた生理学的なデータを表している、実施形態70から83のいずれか1つに記載の装置。
85. コントローラーは、また、1つまたは複数のセンサー値を、コントローラーメモリーの中に保持されている1つまたは複数のコンパレーター値と比較するように構成されており、前記コンパレーター値は、治療薬剤のうちの1つまたは複数の投与の前に、その間に、またはその後に、装置の1人または複数人の前のユーザーから収集されたセンサーデータを含む、実施形態70から84のいずれか1つに記載の装置。
86. コンパレーター値のうちの少なくとも1つは、装置によって1つまたは複数の薬剤を現在受け取っている患者に対する治療薬剤の前の投与からのセンサー値を含むことから決定される、実施形態85に記載の装置。
87. コンパレーター値のうちの少なくとも1つは、治療薬剤のうちの1つまたは複数によって実行された1つまたは複数の以前の人間臨床試験における1人または複数人の参加者からのセンサー値を含む、実施形態85または86に記載の装置。
88. コントローラーは、また、1つまたは複数のセンサー値を、コントローラーメモリーの中に保持されている1つまたは複数のセンサー値と比較するように構成されており、コントローラーメモリーの中に保持されているセンサー値は、電子健康記録の中に含有されている1つまたは複数の値を表している、実施形態70から87のいずれか1つに記載の装置。
89. コントローラーは、また、1つまたは複数のセンサー値を、コントローラーメモリーの中に保持されている1つまたは複数のセンサー値と比較するように構成されており、コントローラーメモリーの中に保持されているセンサー値は、装置によって1つまたは複数の薬剤を現在受け取っている患者のための薬剤オーダーの中に含有されている1つまたは複数の値を表している、実施形態70から88のいずれか1つに記載の装置。
90. コントローラーは、また、1つまたは複数のセンサー値を、コントローラーメモリーの中に保持されている1つまたは複数のセンサー値と比較するように構成されており、コントローラーメモリーの中に保持されているセンサー値は、装置によって1つまたは複数の薬剤を現在受け取っている患者のための薬剤オーダーセットの中に含有されている1つまたは複数の値を表している、実施形態70から89のいずれか1つに記載の装置。
91. コントローラーは、また、1つまたは複数の患者研究室値が利用不可能であるかまたは安全な投与値の外側にあるときに、流体ポンプが1つまたは複数の治療薬剤を投与することを防止するように構成されている、実施形態70から90のいずれか1つに記載の装置。
92. コントローラーは、また、1つまたは複数の必要な前駆薬剤が患者に投与されていないときに、流体ポンプが1つまたは複数の治療薬剤を投与することを防止するように構成されている、実施形態70から91のいずれか1つに記載の装置。
93. 装置は、電子健康記録システムへのインターフェースをさらに含む、実施形態70から92のいずれか1つに記載の装置。
94. 装置は、電子健康記録との出力モジュールインターフェースをさらに含み、インターフェースは、1つまたは複数の治療薬の送達に関係付けられる1つまたは複数の態様によって患者の電子健康記録の更新を可能にする、実施形態70から93のいずれか1つに記載の装置。
95. 装置は、電子健康記録との出力モジュールインターフェースをさらに含み、インターフェースは、1つまたは複数の緊急薬の送達に関係付けられる1つまたは複数の態様によって患者の電子健康記録の更新を可能にする、実施形態70から94のいずれか1つに記載の装置。
96. 流体ポンプは、コントローラーと通信しており、装置は、それによって、コントローラーによって受け取られるセンサーデータ、および、前記緊急薬剤の投与のための偶発的な薬剤オーダーに基づいて、緊急薬剤の投与を始めるように構成されており、前記オーダーは、電子健康記録システムの中に含有されている、実施形態93から95のいずれか1つに記載の装置。
97. 実施形態70から96のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法であって、方法は、
装置を使用する患者への治療薬剤の投与の前に、その患者からセンサーデータを収集するステップと、
コントローラーによって処理されたセンサーデータを介して、薬剤投与の前の患者の現在の状態を識別するステップと、
コントローラーおよび関連のコンピューターソフトウェアを使用して、1つまたは複数のセンサーデータを、安全な薬剤投与条件を表す1つまたは複数の所定の閾値と比較するステップと、
1つまたは複数のセンサーデータが1つまたは複数の事前定義された閾値の中にある場合には、患者への治療薬剤の投与のうちの1つをスタートし、1つまたは複数のセンサーデータが1つまたは複数の事前定義された閾値の外側にある場合には、患者への治療薬剤の投与を防止するステップと
を含む、方法。
98. 方法は、コントローラーによって決定されるような装置の状態について医療提供者に通知するステップをさらに含み、方法は、医療提供者が、コントローラーによって決定されるような薬剤投与についての推奨を受け入れるかまたは上書きするかのいずれかをするステップをさらに含む、実施形態97に記載の装置を使用するための方法。
99. 方法は、コントローラーによって決定されるような薬剤投与の安全について、装置のユーザーにアラートを提供するステップをさらに含む、実施形態97または98に記載の装置を使用するための方法。
100. 方法は、1つまたは複数のセンサー値を、治療薬剤の1つまたは複数の前の人間臨床試験から導出される所定の閾値と比較するステップをさらに含む、実施形態97から99のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法。
101. 方法は、1つまたは複数のセンサー値を、装置と連動して治療薬剤の1つまたは複数の前の人間臨床試験から導出される所定の閾値と比較するステップをさらに含む、実施形態97から100のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法。
102. 方法は、1つまたは複数のセンサー値を、装置を現在使用している患者への治療薬剤の1つまたは複数の前の投与から導出される所定の閾値と比較するステップをさらに含む、実施形態97から101のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法。
103. 方法は、1つまたは複数のセンサー値を、装置によって薬剤を以前に受け取った1人または複数人の患者への治療薬剤の前の投与から集計された所定の閾値と比較するステップをさらに含む、実施形態97から102のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法。
104. 実施形態70から96のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法であって、方法は、
治療薬剤の用量のすべてまたは一部を、装置を使用する患者に投与するステップと、
コントローラーによって処理されたセンサーデータを介して、薬剤投与の間の患者の現在の状態を識別するステップと、
コントローラーおよび関連のコンピューターソフトウェアを使用して、1つまたは複数のセンサーデータを、安全な薬剤投与条件を表す1つまたは複数の所定の閾値と比較するステップと、
1つまたは複数のセンサーデータが1つまたは複数の事前定義された閾値の中にある場合には、患者への治療薬剤の投与を継続し、1つまたは複数のセンサーデータが1つまたは複数の事前定義された閾値の外側にある場合には、患者への治療薬剤の投与を停止するステップと
を含む、方法。
105. 方法は、患者への治療薬剤の投与レートを遅くするステップをさらに含む、実施形態104に記載の方法。
106. 方法は、薬剤送達のステータスについて、装置のユーザーにアラートを提供するステップをさらに含む、実施形態104または105に記載の方法。
107. 方法は、装置を使用する薬剤送達のステータスについて、医療提供者にアラートを提供するステップをさらに含む、実施形態104から106のいずれか1つに記載の方法。
108. 方法は、装置を使用する薬剤送達のステータスによって患者の電子健康記録を更新するステップをさらに含む、実施形態104から107のいずれか1つに記載の方法。
109. 実施形態70から96のいずれか1つに記載の装置を使用するための方法であって、方法は、
治療薬剤の用量のすべてまたは一部を、装置を使用する患者に投与するステップと、
コントローラーによって処理されたセンサーデータを介して、薬剤投与の間の患者の現在の状態を識別するステップと、
コントローラーおよび関連のコンピューターソフトウェアを使用して、1つまたは複数のセンサーデータを、薬剤に対するインフュージョンリアクションを示す1つまたは複数の所定の閾値と比較するステップと、
インフュージョンリアクションが起こっていることを1つまたは複数のセンサーデータが示さない場合には、患者への治療薬剤の投与を継続するステップ、または、
インフュージョンリアクションが起こっていることを1つまたは複数のセンサーデータが示す場合には、患者への治療薬剤の投与を停止するステップと
を含む、方法。
110. 方法は、治療薬剤の投与が停止されたときに、緊急薬剤を投与するステップをさらに含む、実施形態109に記載の方法。
111. 方法は、薬剤送達のステータスについて、装置のユーザーにアラートを提供するステップをさらに含む、実施形態109または110に記載の方法。
112. 方法は、装置を使用する薬剤送達のステータスについて、医療提供者にアラートを提供するステップをさらに含む、実施形態109から111のいずれか1つに記載の方法。
113. 方法は、装置を使用する薬剤送達のステータスによって患者の電子健康記録を更新するステップをさらに含む、実施形態109から112のいずれか1つに記載の方法。
114. 1つまたは複数の制御された流量において、臨床試験の間に、1つまたは複数の治験中の薬を送達するように構成されている装置であって、装置は、
1つまたは複数のリザーバーであって、1つまたは複数のリザーバーのそれぞれは、治験中の治療薬剤を含有する、1つまたは複数のリザーバーと、
リザーバーの内容物を患者の身体の中へ送達するように構成されている患者インターフェースと、
可撓性のチュービングセットであって、可撓性のチュービングセットは、可撓性のチュービングセットの近位端部においてリザーバーと流体連通しており、可撓性のチュービングセットの遠位端部において患者インターフェースと流体連通している、可撓性のチュービングセットと、
1つまたは複数のリザーバーのそれぞれから可撓性のチュービングセットを通して患者インターフェースの中へ1つまたは複数の治験中の治療薬剤を排出するための流体ポンプと、
少なくとも1つのセンサーであって、少なくとも1つのセンサーは、コントローラーと通信しており、患者の生理学的な態様および装置の物理的な態様のうちの少なくとも1つを検出するように構成されている、少なくとも1つのセンサーと、
コントローラーであって、コントローラーは、センサーからデータを受け取るように構成されており、また、センサーから受け取られたデータに応答して、患者への治療薬剤の送達をスタートする、ストップする、遅くする、速くする、または継続するのうちの1つまたは複数を行うように構成されている、コントローラーと
を含み、
可撓性のチュービングセットは、所定の長さおよび一貫した内部直径の内部ルーメンを提供されており、それを通過する治療薬剤の特質に基づいて、特定の較正された流量を提供し、特質は、粘度、剪断減粘挙動、剪断増粘挙動、患者への所望の送達時間、および、それらの組み合わせからなる群から選択される、装置。
115. 装置は、1つまたは複数の流量にそれぞれ対応する1つまたは複数の可撓性のチュービングセットをさらに含み、流量は、1つまたは複数の臨床試験条件に対応している、実施形態114に記載の装置。
116. コントローラーは、臨床試験データ管理システムへのインターフェースをさらに含む、実施形態114または115に記載の装置。
117. コントローラーは、患者の生理学的な態様および装置の物理的な態様のうちの少なくとも1つのステータスによって、臨床試験データ管理システムを更新するようにさらに構成されている、実施形態114から116のいずれか1つに記載の装置。
118. コントローラーは、治験中の治療薬剤の投与の前に、その間に、およびその後に、患者の生理学的な態様および装置の物理的な態様のうちの少なくとも1つのステータスによって臨床試験データ管理システムを更新するようにさらに構成されている、実施形態117に記載の装置。
119. コントローラーは、装置を使用する患者に関する臨床試験条件について、臨床試験データ管理システムから情報を受け取るようにさらに構成されている、実施形態114から118のいずれか1つに記載の装置。
120. コントローラーは、治験中の治療薬剤の投与を始める前に、臨床試験条件に基づいて、装置の中の治験中の治療薬剤およびチュービングセットが正しいことを検証するようにさらに構成されている、実施形態119に記載の装置。
121. コントローラーは、装置の中の治験中の治療薬剤またはチュービングセットのいずれかが誤っている場合には、治験中の治療薬剤の投与を防止するようにさらに構成されている、実施形態120に記載の装置。
122. 個々の患者の臨床試験条件に対応する選択された可撓性のチュービングセットは、流体ポンプに事前に組み立てられている、実施形態114から121のいずれか1つに記載の装置。
123. 1つまたは複数の既知の、事前選択された、および制御された流量において、単一のポンプユニットによって送達される実質的に非ニュートン性の特質を示す治療薬剤を患者に送達するための最適化されたチュービングセットを提供する方法であって、方法は、
治療薬剤の所望の薬物動態に基づいて、患者への投与のための治療薬剤の1つまたは複数の所望の流量を識別するステップと、
治療薬剤の送達が起こることとなる1つまたは複数の温度を識別するステップと、
調節可能な拘束具をチュービングセットに適用するステップであって、チュービングセットは、その中に位置する1つまたは複数の薬剤ルーメンを備えている、ステップと、
拘束具およびその中に介在されるチュービングを第1の位置まで圧縮するステップと、
治療薬剤の送達が起こることとなる1つまたは複数の温度において、そのように拘束されたチュービングセットの入口部を通して治療薬剤を注ぎ込むステップと、
そのように拘束されたチュービングセットの出口部において流量を測定するステップと、
出口部における流量をチュービングの中の所望の流量と比較するステップと、
出口部におけるテストされた流量が所望の流量よりも小さい場合には、拘束具およびその中に介在されるチュービングを第1の位置をさらに越えて第2の位置まで圧縮するか、または、出口部におけるテストされた流量が所望の流量に等しい場合には、治療薬剤をディスペンスするために必要とされる流体ポンプパワーを実験的に決定するステップと、
患者への送達のための医薬品製剤の中の治療薬剤の温度、粘度、および濃度の間の関係を識別するために、試験を実行するステップと
を含む、方法。
124. 治療薬剤は、ダイラタント流体または剪断増粘流体である、実施形態123に記載の方法。
125. 治療薬剤は、擬塑性流体または剪断減粘流体である、実施形態123に記載の方法。
126. 治療薬剤は、実質的に非線形の濃度-温度-粘度関係を示す、実施形態123に記載の方法。
【符号の説明】
【0156】
101 患者
102 上大静脈
103 カテーテル
104 患者インターフェース[ルアーコネクター]
105 患者
106 上大静脈
107 カテーテル
108 患者インターフェース[ルアーコネクター]
109 上大静脈
113 患者の腕
114 末梢静脈
115 カテーテル
116 患者インターフェース[ルアーコネクター]
120 カテーテル
121 患者
122 チュービングセット
123 患者皮膚
124 ポートアクセス[Huber]針
125 患者インターフェース(患者皮膚の下方の植え込まれたポート)
126A ポートセプタム
126B 患者インターフェース(患者皮膚123の下方の植え込まれたポートハウジング127のポートセプタム)
127 植え込まれたポートハウジング
128 カテーテル
129 針進入ポイント(ポートセプタムの中心)
130 患者、介護者、または医療提供者の手
140 SC針アッセンブリ
141 患者皮膚
142 SC針カニューレ
143 SC針ポイント(中空)
144 針挿入グリップアフォーダンス
145 チュービングセット
146 患者表皮
147 患者真皮
148 患者皮下組織
149 患者筋肉組織
150 患者、介護者、または医療提供者の手
151 IM針アッセンブリ
152 患者皮膚
153 針挿入グリップアフォーダンス
154 チュービングセット
155 IM針カニューレ
156 IM針ポイント(中空の)
157 患者、介護者、または医療提供者の手
158 SC針アッセンブリ
159 患者皮膚
160 角度付きのSC針カニューレ
170 SC針ポイント(中空)
171 針挿入グリップアフォーダンス
172 チュービングセット
173 患者表皮
174 患者真皮
175 患者皮下組織
176 患者筋肉組織
180 患者、介護者、または医療提供者の手
181 2パーツのSC針アッセンブリ(軟質のカニューレおよびリジッドのインサーター針)
182 患者皮膚
183 軟質の可撓性のSC投与カニューレ
184 リジッドのカニューレインサーター針
185 軟質の可撓性のSC投与カニューレ先端部(中空)
186 針挿入グリップアフォーダンスおよびインサーター針除去手段
187 チュービングセット
188 患者、介護者、または医療提供者の手
189 SC針アッセンブリの除去された第1のパーツ
190 除去されたリジッドのカニューレインサーター針
191 SC針アッセンブリの保たれた第2のパーツ
192 保たれた軟質の可撓性のSC投与カニューレ
193 患者皮下組織
194 軟質の可撓性のSC投与カニューレ先端部(中空の)
195 患者筋肉組織
197 チュービングセット
208 薬剤リザーバー
209 薬剤リザーバー
210 薬剤リザーバー
211 流体接続部
212 流体接続部
213 流体接続部
215 チュービング
216 患者インターフェース
217 患者
218 流体ポンプ
219 外側ハウジング
220 治療薬剤
221 治療薬剤
222 治療薬剤
224 薬剤リザーバー
225 薬剤リザーバー
226 薬剤リザーバー
227 前薬剤
228 治療薬剤
229 後薬剤
230 流体接続部
231 流体接続部
232 流体接続部
233 流体ポンプ
234 チュービング
235 患者インターフェース
236 患者
240 外側ハウジング
241 薬剤リザーバー
242 薬剤リザーバー
243 薬剤リザーバー
244 薬剤リザーバー
245 前投与フラッシュ溶液
246 治療薬剤
247 第1の後投与フラッシュ溶液
248 流体接続部
249 流体接続部
250 流体接続部
251 流体接続部
252 流体ポンプ
253 チュービング
254 患者インターフェース
255 患者
256 第2の後投与フラッシュ溶液
271 時間遅延
272 時間遅延
273 時間遅延
274 時間遅延
275 時間遅延
276 時間遅延
277 シーケンシャルな投与
278 同時の投与
279 時間遅延スタートを伴うシーケンシャルな投与
280 1つまたは複数の薬剤の間の時間遅延を伴うシーケンシャルな投与
281 1つまたは複数の薬剤の間の時間遅延を伴う同時のおよびシーケンシャルな投与
282 投与の始まり
283 投与の終了
285 外側ハウジング
286 薬剤リザーバー
287 関心の治療薬剤
288 薬剤リザーバー
289 緊急薬剤
290 流体接続部
291 流体接続部
292 流体ポンプ
293 単一のルーメンチュービング
293' ダブルルーメンチュービング
294 患者インターフェース
295 患者
297 第1の薬剤ルーメン
298 第2の薬剤ルーメン
318 いいえ;追加的なフェーズ2研究が必要とされる
319 1つまたは複数の投薬レジメンによって所望の有効性信号が実現されたか?
320 製剤開発(物理的形態、濃度、体積、粘度、安定性、賦形剤)
321 薬物動態モデリング(インビトロ研究および/または動物研究)
322 フェーズ1臨床試験設計のためのチュービングセットの決定
323 仮定された用量範囲
324 用量を変化させた人間での初期使用研究(フェーズ1臨床研究)
325 所望の臨床試験条件に対応するために試験の間に使用される適当なチュービングセット
326 臨床的な薬物動態評価および用量範囲決定
327 フェーズ2臨床研究のための投薬レジメン改良
328 単一の投薬レジメン(固定用量)
329 フェーズ2臨床試験設計のためのチュービングセットの決定
330 単一用量による早期の有効性の人間での使用研究(フェーズ2)
331 所望の臨床試験条件に対応するために提供される単一のチュービングセット構成
332 複数の可能な投薬レジメン(用量バンディング、体重に基づく投薬)
333 フェーズ2臨床試験設計のためのチュービングセットの決定
334 複数の用量による早期の効率の人間での使用研究(フェーズ2)
335 所望の臨床試験条件に対応するために単一のチュービングセットまたは複数のチュービングセットのいずれかが提供される
336 用量1
337 用量2
338 用量n
339 用量1
340 はい、ポジティブ信号;薬剤は、1つまたは複数の用量で効果的であると思われる
341 フェーズ3臨床試験設計のためのチュービングセットの決定
342 所望の投薬レジメンによる人間でのピボタル使用研究(フェーズ3)
344 臨床試験の外側のさまざまな使用環境における(家庭における;診療所における)承認および商業的使用
360 製剤特質(濃度、体積、粘度、安定性、賦形剤)
361 薬物動態モデリング
362 所望の臨床試験条件
363 Hagen-Pouiselleまたは他のモデルを使用する公称計算
364 初期設計およびコンポーネント選択
365 初期設計および処方された薬物製品による流量の機械的な試験
366 所望の送達プロファイルとの比較
367 改良された設計およびコンポーネント選択
368 製造、薬物製剤を用いた機械的な検証試験および分析
369 臨床試験のために使用される最終的なセット
380 P=薬物圧力(必要とされる駆動力)。L=チュービング長さ。u=粘度。D=チュービング内部直径、公称(または、公差)。T=送達時間。V=体積。
391 チュービング長さ
392 チュービング内部直径公差
393 チュービング公称内部直径
401 薬物送達システム
402 治療薬剤
403 コントローラー
403a プロセッサー
403b メモリー
403c 入力/出力デバイス
403d インフュージョンリアクション検出/応答アルゴリズム
404 患者
405 チュービング
406 患者インターフェース
407 センサー
408 患者データ
410 センサーデータ
411 流体接続部
412 流体フロー制御
413 流体フロー制御
414 流体フロー制御
415 流体ポンプ
416 緊急薬剤
417 流体接続部
501 薬剤投与
502 生理学的センサーデータ
503 患者条件の対面のまたは遠隔の観察
504 センサーサンプリング
505 センサーデータ前処理
506 センサーデータ
507 患者の観察
508 患者対話、患者の問診
509 HCP評価、明確化
510 ヒューリスティックおよび臨床的判断
511 データ統合
512 インフュージョンリアクションが疑われるか?
513 いいえ
514 以前のレートで投与を継続する
515 はい
516 投与を休止またはストップする
517 適当なデータをHCPに通知する(エスカレーション)
518 患者およびデータのHCP評価
519 輸液を再スタートするのに安全か?
520 はい(フォールスアラーム、問題なし)
521 はい、慎重に進める
522 低減されたレートで投与を継続する
523 いいえ
524 1つまたは複数の緊急薬剤を投与する
525 緊急医療サービスを呼び出す
526 緊急医療サービスを呼び出し、ジオロケーションサービスを介して特定の住所に誘導する
527 条件の患者自己報告
528 患者履歴、人口統計学、併用薬剤、および疾患特質
529 患者研究室測定、テレメーター測定、電気生理学的測定、および放射線測定
530 はい
531 輸液を開始させない
532 適当なデータをHCPに通知する(エスカレーション)
533 患者およびデータのHCP評価
534 輸液を開始させるのに安全であるか?
535 はい(利益がリスクよりも高いと見なされる)
536 いいえ
537 HCPによる投与およびフォローアップを防止する
549 条件の患者自己報告
550 異なるタイプのインフュージョンリアクションのための代替的なフロー
551 インフュージョンリアクションの可能性が高いか?
552 いいえ
553 計画通りに輸液を開始させる
554 異なるタイプのインフュージョンリアクションのための代替的なフロー
601 フィルター膜
602 望ましくない微粒子
603 潜在的な微粒子を伴う流入薬剤
604 微粒子の除去された流出薬剤
605 流入薬剤
606 乱流およびタンパク質剪断を防止するための平滑化された入口部
607 工学的なフロー制限器
608 低減されたレートにおける流出
609 チュービング外径(OD)
610 チュービング内径(ID)
640 チュービング
640' チュービング
641 薬剤ルーメン
642 チュービング
642' チュービングプロファイル
643 ルーメン
644 ルーメン
645 ルーメン
646 チュービング
646' チュービングプロファイル
647 バリアコーティング
648 ルーメン
775 外側ハウジング
776 治験中の治療薬剤
776' 薬剤リザーバー
777 流体接続部
778 流体ポンプ
779 コントローラー
780 チュービング
781 通信手段
782 センサー
783 患者
784 臨床研究チーム
785 恒久的なデータストレージ
786 恒久的なストレージへのデータリンク
787 データ検索および分析
788 患者インターフェース
794 プロセッサー
801 外側ハウジング
803 コントローラー
804 プロセッサー
805 メモリー
806 入力/出力デバイス
807 治療薬剤
807' リザーバー
808 治療薬剤
808' リザーバー
809 流体接続部
810 流体接続部
811 流体ポンプ
812 チュービングセット
813 患者インターフェース
814 患者
815 連結されたセンサー
816 患者データ
817 インフュージョンリアクション予測/検出/応答アルゴリズム
1000 電子健康記録システム(EHR)
1001 (代表的な)薬剤オーダー
1002 関心の治療薬剤
1003 患者名
1004 患者識別子
1005 薬剤オーダー識別子
1006 関心の治療薬剤のためのディスペンシングおよび検証インストラクション
1007 関心の治療薬剤のための投与パラメーター
1008 関心の治療薬剤のための投与時間および日付
1009 薬剤処方者
1010 医療提供者
1011 リザーバー、オーダーに対する薬剤の医療提供者検証
1012 バーコードスキャニングを介したオーダーに対する薬物送達デバイスの医療提供者検証
1013 研究室値
1020 薬物送達デバイス(本発明)
1021 EMRインターフェース
1022 バーコード
1023 プロセッサー
1024 メモリー
1025 入力/出力デバイス
1026 コントローラー
1027 治療薬剤
1027' 薬剤リザーバー
1028 流体接続部
1029 流体ポンプ
1029a チュービング
1029b 患者インターフェース
1029c 患者
1030 関心の治療薬剤に関係付けられる(代表的な)オーダーセット
1031 関心の治療薬剤の投与の前に与えられる薬剤
1032 関心の治療薬剤
1033 関心の治療薬剤の後投与にまたは緊急時に与えられる薬
1034 必要とされる研究室および患者モニタリングインストラクション
1035 看護のための条件付きインストラクション
1036 投与禁忌
1037 患者アセスメントインストラクション
1038 投与進行状況の医療提供者観察
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B-1】
図2B-2】
図2B-3】
図2B-4】
図2B-5】
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
【国際調査報告】