IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーシカゴ アーゴン,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特表-効率的な制動放射コンバータ 図1
  • 特表-効率的な制動放射コンバータ 図2
  • 特表-効率的な制動放射コンバータ 図3A
  • 特表-効率的な制動放射コンバータ 図3B
  • 特表-効率的な制動放射コンバータ 図4
  • 特表-効率的な制動放射コンバータ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】効率的な制動放射コンバータ
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/08 20060101AFI20240806BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G21K5/08 R
G21K5/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505158
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022038763
(87)【国際公開番号】W WO2023244254
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】17/392,803
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518132226
【氏名又は名称】ユーシカゴ アーゴン,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ロッチュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・エー・ノレン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソク・ソン
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・ディー・ケメリソフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス・エル・ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ティー・ケイマック
(57)【要約】
電子ビームから光子を発生させるためのコンバータが提供される。コンバータは、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において、連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを含み得る。第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成され得る。更に、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し得、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームから光子を発生させるためのコンバータであって、
複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)前記複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、前記複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、前記軸に沿った方向において連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを備え、
前記第1のコンバータプレートが、前記軸に沿った前記方向において進む電子ビームを受容するように構成されており、
前記第1のコンバータプレートが、前記最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さが、前記軸に沿って測定される、コンバータ。
【請求項2】
前記複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つが、前記軸に沿った前記方向において厚さの昇順に位置決めされている、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項3】
前記複数のコンバータプレートのうちの前記少なくとも3つの各々が、異なる厚さを有する、請求項2に記載のコンバータ。
【請求項4】
前記最後のコンバータプレートの前記厚さが、前記複数のコンバータプレートの最大厚さである、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項5】
前記軸に沿った前記方向において、前記第1のコンバータプレートの後、かつ前記最後のコンバータプレートの前に位置決めされた第2のコンバータプレートの厚さが、前記第1のコンバータプレートの前記厚さよりも小さい、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項6】
前記複数のコンバータプレートのうちの少なくとも2つが、(i)前記軸に沿って前記第2のコンバータプレートの後に位置決めされており、(ii)前記軸に沿った前記方向において厚さの昇順に位置決めされている、請求項5に記載のコンバータ。
【請求項7】
前記複数のコンバータプレートを支持するように適合されたコンバータキャリアであって、コンバータハウジングと摺動可能に連通するように適合された、コンバータキャリアを更に備える、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項8】
前記複数のコンバータプレートの隣接するコンバータプレートが、前記軸に沿って0.5ミリメートル~1.5ミリメートル離間している、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項9】
前記複数のコンバータプレートの各々が、0.1ミリメートル~2ミリメートルの厚さを有する、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項10】
前記複数のコンバータプレートの厚さの合計に等しい総厚さが、1ミリメートル~10ミリメートルである、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項11】
前記コンバータが、前記複数のコンバータプレートの隣接するコンバータプレート間で冷却剤流体を受容するように適合されている、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項12】
前記複数のコンバータプレートの各々が、72以上の原子番号を有する材料を含む、請求項1に記載のコンバータ。
【請求項13】
放射性同位体を生成するためのシステムであって、
電子ビームから光子を発生させるためのコンバータであって、
複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)前記複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、前記複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、前記軸に沿った方向において連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを備え、
前記第1のコンバータプレートが、前記軸に沿った前記方向において進む電子ビームを受容するように構成されており、
前記第1のコンバータプレートが、前記最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さが、前記軸に沿って測定される、コンバータと、
標的ハウジングであって、前記電子ビームを使用して前記コンバータによって生成された光子が前記標的ハウジングを照射するように、前記軸に沿った前記方向において、前記コンバータの下流に位置決めされている、標的ハウジングと、を備える、システム。
【請求項14】
前記標的ハウジングが、前記光子による照射に応答して前記放射性同位体を生成する標的を支持する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記標的ハウジングが、前記光子による照射に応答して前記放射性同位体を生成する標的を支持する標的キャリアを備え、
前記標的キャリアが、前記標的ハウジングによって取り外し可能に受容されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンバータが、前記複数のコンバータプレートを支持するように適合されたコンバータキャリアを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
キャリアハウジングを更に備え、前記コンバータキャリアが、前記キャリアハウジングによって取り外し可能に受容されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つが、前記軸に沿った前記方向において、厚さの昇順に位置決めされている、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数のコンバータプレートのうちの前記少なくとも3つの各々が、異なる厚さを有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
放射性同位体を生成するための方法であって、
電子ビームを軸に沿ってコンバータに向かって方向付けることであって、前記コンバータが、前記電子ビームを光子に変換するように構成されており、前記コンバータが、
複数のコンバータプレートであって、(i)前記軸に垂直に位置決めされており、(ii)前記複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、前記複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、前記軸に沿った方向において連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを備え、
前記第1のコンバータプレートが、前記軸に沿った前記方向において進む前記電子ビームを受容するように構成されており、
前記第1のコンバータプレートが、前記最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さが、前記軸に沿って測定される、方向付けることと、
標的を支持する標的ハウジングを、前記標的が前記コンバータによって生成された前記光子によって照射されるように、前記軸に沿った前記方向において、前記コンバータの下流に位置決めすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援の研究又は開発に関する声明
本発明は、米国エネルギー省によってアルゴンヌ国立研究所を運営するUChicago Argonne,LLCに授与された契約番号DE-AC02-06CH11357の下で政府の支持を受けてなされた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
本開示は、放射性同位体を生成するための方法及びシステムに関し、具体的には、電子ビームを電磁放射線に変換するためのコンバータ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
放射性同位体は、核医学、生物医学研究、及び航空宇宙技術などの様々な用途で使用されている。そのような放射性同位体を生成するために、電子加速器によって発生された電子ビームを、高い原子番号(Z)を有する材料で構成されたコンバータに方向付けることができる。電子ビームの高エネルギー電子とコンバータ材料の原子核との相互作用は、制動放射と呼ばれる現象において高エネルギー光子を生成する。次に、コンバータによって生成された光子は、コンバータの下流に配置された標的材料を照射し、そこで、標的材料中の光核反応が放射性同位体を生成する。
【0004】
電子とコンバータとの間の光子生成相互作用はまた、コンバータにおいてかなりの量の熱を堆積させる。結果として、コンバータは冷却されなければならない(例えば、コンバータの表面にわたって水又はガスを通過させることによって)。しかしながら、コンバータ上に堆積する熱は、コンバータを効果的に冷却するための冷却機構の能力を超える可能性がある。過度の加熱は、コンバータを劣化させる可能性があり、及び/又は冷却剤を沸騰させる可能性があり、冷却剤の有効性を更に低減する。したがって、放射性同位体の収率を低減することなく効果的に冷却することができる改善されたコンバータが必要である。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態では、電子ビームから光子を発生させるためのコンバータが提供される。コンバータは、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において、連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを含み得る。第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成され得る。更に、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し得、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される。
【0006】
別の例示的な実施形態では、放射性同位体を生成するためのシステムが提供される。システムは、電子ビームから光子を発生させるためのコンバータを含み得る。コンバータは、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において、連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを含み得る。第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成され得る。更に、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し得、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される。システムはまた、標的ハウジングであって、電子ビームを使用してコンバータによって生成された光子が標的ハウジングを照射するように、軸に沿った方向において、コンバータの下流に位置決めされている、標的ハウジングを含み得る。
【0007】
更なる例示的な実施形態では、放射性同位体を生成するための方法が提供される。方法は、電子ビームを軸に沿ってコンバータに向かって方向付けることであって、コンバータは、電子ビームを光子に変換するように構成されている、方向付けることを含み得る。コンバータは、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において、連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを含み得る。第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成され得る。更に、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し得、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される。方法は、標的を支持する標的ハウジングを、標的がコンバータによって生成された光子によって照射されるように、軸の方向において、コンバータの下流に位置決めすることも含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下に説明される図は、図において開示されるシステム及び方法の種々の態様を図示する。各図は、開示されるシステム及び方法の特定の態様の例を図示し、図の各々は、その可能な例に一致することが意図されることを理解されたい。更に、可能な限り、以下の説明は、以下の図に含まれる参照符号を参照し、以下の図では、複数の図に図示される特徴は、一貫した参照符号で示される。
【0009】
図面には、目下考察される配置が示されるが、本発明の例は、示されている正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0010】
図1】いくつかの実施形態による、放射性同位体を生成するための例示的なシステムの断面図である。
図2図1のシステムに含まれ得る、例示的なコンバータの断面図である。
図3A】典型的なコンバータ及び図2のコンバータなどの本開示の技術に従って構成されたコンバータについて、電子ビーム源からの様々な距離での熱流束を示す例示的なグラフである。
図3B】ビーム出力の関数としてのコンバータプレートの温度を示す例示的なグラフである。
図4図1に示されるシステムであり得る、放射性同位体を生成するための例示的なモジュラーシステムの断面図である。
図5】放射性同位体を生成するための例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、コンバータ内の熱分布及び全体的な放射性同位体の収率の両方を改善するコンバータ設計を対象とする。コンバータは、一般的に、冷却剤が流れることができるコンバータの表面積を増加させるために、一連の整列された平行なコンバータプレートに分割されている。しかしながら、従来のコンバータでは、これらのコンバータプレートは、等しい厚さを有する。本開示のコンバータ設計は、異なる厚さのコンバータプレートを含む。特に、コンバータプレートの厚さは、入射電子ビームに起因して各プレートに堆積したピーク熱密度がほぼ等しくなるように最適化される。そのような最適化は、コンバータ全体に熱をより均等に分配し、等しい厚さのコンバータプレートと比較して、コンバータの最高温度及び平均温度の両方を低減する。更に、コンバータ設計は、コンバータプレートの総厚さに応じて、標的(コンバータの下流)に到達する電子をより少なくすることができ、したがって、標的における熱を低減し、標的の存続を改善する。本開示のコンバータ設計は、主に図2図3Bを参照して参照される。図1及び図4は、本開示のコンバータが動作することができるシステムを示すために含まれている。
【0012】
図を参照すると、図1は、放射性同位体を生成するための例示的なシステム100の断面図である。システム100は単なる例であり、代替又は追加の構成要素が想定されることを認識されたい。放射性同位体標的ステーションとも呼ばれ得るシステム100は、コンバータ104と、空洞106を有する標的カプセル108と、を含む。空洞106は、標的カプセル108が標的をカプセル化するように、標的を受容するように適合されている。標的は、適切なエネルギーの光子に曝されると、放射性同位体を生成し得る材料である。したがって、システム100は、電子ビーム102がコンバータ104に衝突するように位置決めされており、電子ビーム102内の電子とコンバータ104との相互作用によって生成される光子は、標的を照射して放射性同位体を生成する。生成され得る例示的な放射性同位体としては、Cu-67、Ac-225、Sc-47、Re-186、Re-188、Re-189、As-76、As-77、Lu-177、Rh-105、Au-196、Pt-195m、及びそれらの組み合わせが挙げられる。このように、本開示の技術は、所望の標的放射性同位体に到達するために、様々な異なる標的材料とともに使用することができる。
【0013】
電子ビーム102は、直線加速器(linac)などの粒子加速器によって生成され得る。電子ビーム102が沿って進むラインは、本開示では、電子ビーム軸103と呼ばれ得る。システム100は、システム100によって画定されるトンネルが電子ビーム軸103と同軸であるように、粒子加速器のビームラインに沿って位置決めされ得る。電子ビーム102は、トンネルの上流端部110でシステム100に入る。次いで、電子ビーム102は、ビーム入口窓118を通過する。ビーム入口窓118は、例えば、0.1ミリメートル~2ミリメートルの厚さであり得る。異なる材料、又は窓の厚さ若しくは形状を利用して、熱伝達を最大限に高めることができる。例示的な材料としては、アルミニウム、チタン、銅、ベリリウム、及び鋼が挙げられる。ビーム入口窓118を通過した後、電子はコンバータ104に入射する。
【0014】
コンバータ104は、複数のコンバータプレート120を含む。コンバータプレート120は、コンバータキャリア116によって支持され得る。例えば、コンバータキャリア116は、複数のスロットを有し得、各スロットは、コンバータプレート120を受容する。本明細書で使用される場合、コンバータ104は、コンバータプレート120及びコンバータキャリア116を含む。システム100は、コンバータキャリア116を支持するコンバータハウジング114を含む。図4に示されるように、いくつかの実施形態では、コンバータキャリア116は、コンバータハウジング114によって取り外し可能に受容されており、その結果、コンバータキャリア116を、(例えば、コンバータキャリア116をコンバータハウジング114の下側から摺動させて出すことによって)コンバータハウジング114から取り外すことができる。他の実施形態では、コンバータキャリア116は、コンバータハウジング114内に恒久的に固定されているか、又はコンバータハウジング114の一部である。
【0015】
コンバータプレート120は、電子ビーム102の経路に垂直に(すなわち、電子ビーム軸103に垂直に)配設されている。更に、コンバータプレート120は、電子ビーム軸103に沿って連続的に配設されており、互いに平行である。コンバータプレート120は、電子ビーム軸103に沿って互いに整列されており、同じ高さ及び幅(すなわち、電子ビーム軸103に垂直な平面で測定される寸法)を有し得る。コンバータプレート120の厚さ及び相対的な位置決めは、電子ビーム軸103に沿ってコンバータプレート120の厚さが測定される図2に関して、以下で更に詳細に考察される。コンバータプレート120の各々は、高い原子番号(Z)(すなわち、72以上のZ)を有する材料で構成され得る。コンバータプレート120のための例示的な材料としては、タングステン(W)、タンタル(Ta)、金(Au)、鉛(Pb)、又は高Z材料の組み合わせが挙げられる。種々の実施形態では、いくつかのコンバータプレート120は、他のコンバータプレート120とは異なる材料で構成され得る。他の実施形態では、各コンバータプレート120は、同じ材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンバータプレート120は、合金又は他の非元素材料で構成され得る。
【0016】
電子ビーム102がコンバータプレート120を通って進むとき、電子は、高Zコンバータ材料の核と相互作用して、光子を発生させる。電子がコンバータプレート120によって減速されると、電子の減速は、制動放射線と呼ばれる電磁放射線を生成する。実装形態に応じて、コンバータ104は、完全停止コンバータ又は非完全停止コンバータであり得る。完全停止コンバータは、コンバータ内の全ての電子を停止させる(すなわち、入射電子の運動エネルギーの実質的に全てが光子エネルギーに変換される)。逆に、非完全停止コンバータは、電子がコンバータを通過することを可能にする。コンバータ104は、特定の用途に応じて、完全停止コンバータ又は非完全停止コンバータであり得る。一般的に言えば、完全停止コンバータは、非完全停止コンバータよりも大きいコンバータ材料の総厚さ(すなわち、複数のコンバータプレート120の総厚さ)を含む。コンバータプレート120は、実装形態に応じて、互いに接触していてもよく、又は接触していなくてもよい。しかしながら、一般的に言えば、コンバータプレート120の少なくともいくつかは、冷却剤(後述する冷却剤通路126によってコンバータハウジング114に提供される)がコンバータプレート120間を流れることを可能にするために、互いに相対的に配設される。
【0017】
コンバータ104によって生成された光子は、空洞106に向かって進み、空洞106は、標的カプセル108を受容するように適合されており、標的カプセル108は更に、標的(図示せず)を支持することができ、標的は、光核反応が生じて放射性同位体を生成する材料を含む。したがって、標的は、発生した光子によって照射され、これは、放射性同位体を生成する標的において光核反応を誘導する。標的は、実装形態に応じて、ミリグラムから100グラムを超える範囲の材料量を含み得る。更に、標的材料は、所望の放射性同位体に応じて選択され得る。例えば、標的材料は、銅(Cu)-67放射性同位体を生成し得る、亜鉛(Zn)-68であり得る。任意の残りの光子、電子、又は他の粒子は、下流端部112でトンネルを出るか、又はトンネルに沿って散乱する。
【0018】
標的カプセル108は、標的キャリア124によって支持されており、標的キャリア124は更に、標的ハウジング122によって支持され得る。標的カプセル108は、標的カプセル108の長手方向軸が電子ビーム軸103と同軸であるように、標的キャリア124内に受容されている。すなわち、標的ハウジング122(並びに標的キャリア124及び標的カプセル108を含む標的ハウジング122によって支持される構成要素)は、標的(空洞106内の空間を占有する)が電子ビーム軸103と同軸のトンネル内に保持されるように構成されている。標的カプセル108、標的キャリア124、及び標的ハウジング122については、図4を参照して更に考察する。
【0019】
冷却剤通路126は、コンバータハウジング114に冷却剤を提供し、冷却剤通路128は、標的ハウジング122に冷却剤を提供する。断面図のために図示されていないが、システム100はまた、システム100から冷却剤を除去するために、冷却剤通路126、128の各々のための出口通路を含んでもよい。したがって、冷却剤は、冷却剤通路126を通って、コンバータ104を通って流れ、出口通路(図示せず)を介して出ることができる。同様に、冷却剤は、冷却剤通路128を通って、標的ハウジング122を通って流れ、出口通路(図示せず)を介して出ることができる。冷却剤は、コンバータハウジング及び標的ハウジングの両方を連続して又は個別に通過し得る。冷却剤が冷却剤通路126からコンバータハウジング114で受容された後、冷却剤は、コンバータ104を冷却するために、流体チャネルを介してコンバータ104の構成要素を通して送られ得、その後、出口通路を介してコンバータハウジング114から流れ出る。特に、冷却剤は、隣接するコンバータプレート120の間の間隔を通って方向付けられ得る。冷却剤は、コンバータプレート120と直接接触し得る。同様に、冷却剤が標的ハウジング122で受容された後、冷却剤は、流体チャネルを介して標的ハウジング122の構成要素を通して送られ得、その後、出口通路を介して標的ハウジング122から流れ出る。例えば、標的カプセル108は、冷却剤と直接接触し得る。
【0020】
冷却剤は、一般に、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせなどの流体である。冷却剤通路126によって運ばれる冷却剤は、実装形態に応じて、冷却剤通路128によって運ばれる冷却剤とは異なり得る。一般に、冷却剤は、ハウジング114、122の温度を冷却剤の沸点未満及び/又はハウジング114、122の最低融点成分の融点未満に維持するために、ある速度及び温度でコンバータハウジング114及び標的ハウジング122を横断する。例えば、水を冷却剤として使用する場合、水が100℃未満に保たれるように温度が維持される。コンバータハウジング114又は標的ハウジング122がアルミニウムで構成されている場合、アルミニウムが660℃で溶けることを考えると、コンバータハウジング114又は標的ハウジング122の温度は、約600℃未満に維持される。コンバータハウジング114及び標的ハウジング122の各々のための冷却剤の速度、温度、及びタイプは、各それぞれのハウジング114、122の所望の温度に応じて、異なり得る。代替的に又は加えて、システム100の一部は、加圧ヘリウムなどの加圧ガスを冷却剤として受容するように適合され得る。例えば、いくつかの実装形態では、コンバータプレート120は、コンバータプレート120を横切って高速で移動するガスによって冷却されてもよい。
【0021】
ここで図2を参照すると、本開示のコンバータ設計が考察される。図2は、図1のシステム100に含まれ得る、例示的なコンバータ200の断面図である。したがって、図2は、図1のコンバータ104の拡大図を表し得る。それにもかかわらず、コンバータ200は、システム100を参照して説明されるが、コンバータ200は、粒子ビームを光子に変換するためのコンバータを含む任意のシステムに含まれ得ることを理解されたい。
【0022】
図2はまた、図2に示されるコンバータ200の構成要素を構成し得る例示的な材料を示すインデックス201を含む。水を含むものとして示されたセクション(例えば、通路230、232、234)の場合、そのセクションは、水などの冷却剤が流れることができるシステム100の構成要素によって画定された通路であり得る。同様に、ヘリウム及び窒素を含むものとして示されたセクションの場合、そのセクションは、ヘリウム又は窒素などの加圧ガスが存在し得る通路であり得る。インデックス201によって示されるように、コンバータキャリア116、コンバータハウジング114、及び標的キャリア124は、アルミニウム(Al)を使用して構成及び/又は遮蔽され得る。ビーム入口窓118も、Alで遮蔽されてもよい。標的カプセル108は、セラミックで構成され得る。他の実施形態では、標的カプセル108は、標的を冷却剤から分離するか又は単に標的を収容するために好適な別の材料で構成され得る。
【0023】
図2は、電子ビーム軸103に沿って厚さが測定される、センチメートル単位の例示的な構成要素の厚さを示す横軸を更に含む。したがって、図2の横軸は、電子ビーム軸103と平行である。図2はまた、センチメートル単位の例示的な構成要素の高さを示す縦軸を含む。縦軸上では、電子ビーム102の中心は、およそ0cmの高さに位置する。
【0024】
図2は、コンバータ200及びシステム100の他の構成要素の両方を示し、他の構成要素は、コンバータ200をシステム100の文脈で見ることができるように示されている。コンバータ200は、コンバータプレート120と、コンバータプレート120を支持するコンバータキャリア116と、を含む。図2において水に相当する冷却剤は、ビーム入口窓118と通路230内のコンバータ200との間、通路232内のコンバータプレート120の間、並びに標的キャリア124及び標的カプセル108によって画定される前方流れチャネル234内を流れ得る。
【0025】
図2に図示された例では、第1のコンバータプレート(最も上流であり、ビーム入口窓118に最も近いコンバータプレート)が参照符号120Aでラベル付けされ、第2のコンバータプレートが参照番号120Bでラベル付けされるといった具合に、120Aから120Rまでラベル付けされた18のコンバータプレートがある。最後から2番目のコンバータプレートは、参照番号120Qでラベル付けされており、最後のコンバータプレート(最も下流であり、標的カプセル108に最も近いコンバータプレート)は、参照番号120Rでラベル付けされている。コンバータプレート120A~120Rは、電子ビーム軸103に垂直に配設されており、電子ビーム102の電子は、図2において左から右に水平に進む。コンバータプレート120は、およそ1mm(すなわち、1mm+/-0.5mm)の距離だけ分離されている。いくつかの実施形態では、コンバータプレート120のうちの少なくともいくつかの間の間隔は、異なり得る。他の実施形態では、コンバータプレート120の間の間隔は、同じである。
【0026】
電子ビーム102は、ビーム入口窓118を通過し、第1のコンバータプレート120Aによって受容される。電子ビーム102は、残りのコンバータプレート120B~120Rを通って進み続ける。電子ビーム102がコンバータプレート120を通過するとき、電子は、光子に変換される電子の運動エネルギーのために停止される。光子は、下流に進み、標的カプセル108、また更に標的カプセル108の空洞106内の標的を照射する。図2の例では、標的は、亜鉛で構成されている。
【0027】
上で簡潔に考察されたように、従来、コンバータプレートは同じ厚さである。しかしながら、この結果、電子ビーム102が第1の、すなわち最も上流のコンバータプレートで最も狭いため、最初のいくつかのコンバータプレート上に大量の熱が堆積する。この影響は、図3Aに示される、本出願人によって実施されたシミュレーションによって示される。図3Aでは、熱流束(1平方センチメートル当たりのワット数)は、構成要素番号の関数としてプロットされ、熱流束は、電子ビームの結果として構成要素(すなわち、コンバータプレート)上に堆積した熱を表す。コンバータが効果的に動作するためには、この熱は、プレート間を流れる冷却剤によってコンバータプレートから運び去られるべきである。ただし、過度の熱は、冷却剤の能力を超える可能性があり、コンバータ内に熱が蓄積し、冷却剤の沸騰、コンバータプレートの破壊、及び/又はコンバータハウジングの破壊をもたらす可能性がある。
【0028】
図3Aにおいて、構成要素番号は、下流方向に増加する。したがって、ビーム入口窓118は、構成要素ゼロに対応し、コンバータプレートを配置することができる第1のスロット(すなわち、コンバータキャリア116内の第1のスロット)は、構成要素1に対応する、といった具合である。コンバータプレートを配置することができる第18のスロットは、構成要素18に対応し、標的キャリア124への入口は、構成要素19に対応し、標的カプセル108は、構成要素20に対応する。
【0029】
図3Aの実行1は、典型的なコンバータプレート、すなわち、同じ厚さを有するコンバータプレートのシミュレートされたデータに対応する。実行1では、アルミニウムプレートをスロット1~6に配置した。低Zを有するアルミニウムは、ほとんどの電子が多くの相互作用なしに通過することを可能にし、したがって、最小限の熱が堆積される。アルミニウムは、全てのプレート間の冷却剤の等しい流れを維持するために配置した。したがって、最も上流のコンバータプレートは、スロット7に位置する。図3Aにおいて分かるように、この最も上流のコンバータプレートは、大きい熱流束(100W/cm2を超える)を有する。熱流束は、各連続するコンバータプレートとともに増加し、スロット10に配置されたコンバータプレートでピークに達する。その後、熱流束は、残りのコンバータプレートに関しては低下する。
【0030】
しかしながら、図2に戻ると、従来のコンバータプレートとは対照的に、コンバータプレート120の少なくとも一部分は、異なる厚さを有する。更に、コンバータプレート120の厚さは、同じエネルギー密度が各コンバータプレート120上に堆積されるように最適化されている。したがって、各コンバータプレート120について、隣接するコンバータプレート120間の間隔で流れる冷却剤は、同じ量の熱を除去する。
【0031】
概して、本開示の最適化されたコンバータ設計は、最後のコンバータプレートよりも小さい厚さを有する第1のコンバータプレートを含む。したがって、第1のコンバータプレート120Aは、コンバータプレート120Rよりも小さい厚さを有する。しかしながら、コンバータプレート120B~120Qは、必ずしも厚さが一定に増加するわけではない。電子シャワーとして知られている効果のために、最高量のエネルギーが必ずしも第1のコンバータプレート120Aに堆積されるわけではない。電子が第1のコンバータプレート120Aに当たると、衝突する電子は、追加の電子又は粒子を生成し得、これは、下流に進み、第2のコンバータプレート120Bに当たる。この効果を相殺するために、第2のコンバータプレート120Bは、第1のコンバータプレート120Aよりも小さい厚さを有し得る。同様に、第3のコンバータプレート120Cは、第2のコンバータプレート120Bよりも小さい厚さを有し得る。第3のコンバータプレート120C~第6のコンバータプレート120Fの厚さは、同じ厚さを有し得る。第7のコンバータプレート120Gの厚さは、第2のコンバータプレート120Bの厚さと同じであり得る(したがって、第6のコンバータプレート120Fの厚さよりも大きい)。第8のコンバータプレート120Hの厚さは、第1のコンバータプレート120Aの厚さと同じであり得る。第9のコンバータプレート120Iの厚さは、第8のコンバータプレート120Hの厚さよりも大きくてもよい。第10のコンバータプレート120Jから第18のコンバータプレート120Rまでの厚さは、サイズが昇順であり得る(すなわち、第18のコンバータプレート120Rの厚さ>第17のコンバータプレート120Qの厚さ>第16のコンバータプレート120Pの厚さ>…>第11のコンバータプレート120Kの厚さ>第10のコンバータプレート120Jの厚さ)。
【0032】
図3Aに戻ると、実行2は、最適化されたプレート、すなわち、コンバータプレート120のシミュレートされたデータに対応する。実行1とは対照的に、18のスロットの各々にコンバータプレートがある。したがって、第1のコンバータプレート120Aは、構成要素番号1である。実行1においては実行2よりも少ないコンバータプレートがあるが(実行1では実行2よりも少ないスロットが使用されるため)、総コンバータ厚さは、実行1及び実行2において実質的に同じである。実行1とは対照的に、1平方センチメートル当たりの熱流束は、コンバータプレートの大部分にわたって実質的に一定である。電子がコンバータプレート120を通過するときの電子エネルギーの低下に起因して、第16のコンバータプレート120Pの後に熱流束密度が減少する。有利には、一定のままの熱流束密度に加えて、最適化されたプレートの最大熱流束密度も、従来のプレートよりも低い。加えて、図3Aはまた、従来のプレートと比較して、より少ない電子がコンバータプレート120を通過可能であることを示す。結果として、コンバータプレート120の標的カプセル108(構成要素番号20)における熱流束密度は、従来のプレートよりも低い。標的の加熱は、標的の分解又は溶融を引き起こし、生成される放射性同位体の収率をより低くする可能性がある。従来のプレートと比較して、最適化されたプレートは、より低い最大熱流束密度、より低い平均熱流束密度、及びより均等に分布する熱流束密度を有し、したがって、より効率的に冷却されることができる。更に、最適化されたプレートは、コンバータに損傷を与えることなく、より高い電子束がコンバータに衝撃を与えることを可能にすることによって、放射性同位体の収率を向上させる。
【0033】
更に、図3Bを参照すると、コンバータプレート120の最適化された設計はまた、従来のプレートと比較して、利用可能な最大ビーム出力を増加させる。図3Bは、コンバータプレート120上に配置された熱電対を使用して本出願人によって収集された実験データを示す。横軸はビーム出力(kW)、縦軸は温度(℃)である。プロットは、コンバータプレート120のうちのあるコンバータプレートの最高表面温度に対応する。124℃とマークされた飽和温度は、所望の温度に対する上限に対応する。この上限は、特定の冷却剤、この場合は水に対して選択されている。更に、上限は、コンバータプレート120に堆積されるエネルギー、及び、冷却剤の流量に依存する、冷却剤によって除去されることができる熱量の推定に基づいて選択される。この上限を下回ると、コンバータプレート120を通過して移動する冷却剤の初期沸騰が回避される。この上限を超えると、冷却剤が沸騰する可能性がある。冷却剤及び特定の用途の耐熱性に基づいて、異なる上限を選択することができる。
【0034】
図3Bは、3つの異なるビーム幅(半値全幅(FWHM)として測定される):10mm、8mm及び5mmを有する電子ビームのビーム出力の関数として、コンバータプレート120の表面温度に対応する3つのデータセットを示す。コンバータプレート120の温度は、コンバータプレート120上に熱電対を配置することによって測定することができる。図3Bに示されるように、最適化されたコンバータプレート120の使用は、8mm及び10mmのビーム幅に関して、少なくとも20kWまでのビーム出力の使用を可能にする。20kWでも、8mm及び10mmのビーム幅の場合、コンバータプレートの表面温度は、飽和温度未満のままである。6mmのビーム幅の場合、コンバータプレートの表面温度は、およそ13.5kWのビーム出力まで飽和温度未満のままである。コンバータプレート120の最適化された性質のために、従来のプレートよりも高いビーム出力を使用することができ、これにより、放射性同位体の収率がより高くなる。
【0035】
表1は、コンバータプレート120の例示的な厚さ測定値を提供する。厚さは、電子ビーム102の特性に応じて変わり得る。特に、完全停止コンバータを有するためには、異なる量の総コンバータ厚さ(すなわち、個々のコンバータプレートの厚さの合計)が、異なるビームエネルギーに対して必要とされる。すなわち、より大きいビームエネルギーの場合、より小さいビームエネルギーの場合よりも大きい総コンバータ厚さが必要である。例示的な総コンバータ厚さは、ビームエネルギーに応じて、1mm~10mmであり得、例示的な個々のコンバータプレート厚さは、プレートの総数に応じて、0.1mm~2mmであり得る。40MeV電子ビーム及び35MeV電子ビームの例示的なコンバータプレート厚さ測定値を以下の表1に示す。
【表1】
【0036】
表1:コンバータプレートの例示的な厚さ
表1の第1の列に示される例示的な厚さは、Cu-67放射性同位体を生成する目的で、タンタル(Ta)で構成された18のコンバータプレート、40MeVのエネルギーを有する電子ビーム、及びZn-68の標的材料に関して最適化された厚さである。第2の列に示される例示的な厚さは、電子ビームが35MeVのエネルギーを有することを除き、同じ実験パラメータのセットに関して最適化された厚さである。35MeV電子ビームの厚さは、40MeV電子ビームの厚さに7/8(すなわち、ビームエネルギーの比、35MeV/40MeV)を掛けることによって導出することができる。したがって、表1に与えられた例示的な測定値に基づいて、他の例示的な測定値を、他のビームエネルギーに関して導出することができる。
【0037】
コンバータプレート120の厚さは、任意の実験設定のために最適化することができ、実装形態(例えば、電子ビームの強度及びサイズ、標的材料、所望の放射性同位体、コンバータ材料、冷却材料/方法などのようなパラメータ)に応じて変わり得る。一例として、コンバータキャリア116(又はコンバータプレートを受容する他の好適な装置)において18を超えるスロットが利用可能である場合、18を超えるプレートが存在し得る。逆に、コンバータキャリア116(又はコンバータプレートを受容する他の好適な装置)において18未満のスロットが利用可能である場合、18未満のプレートが存在し得る。したがって、コンバータプレート120の厚さは、より多いか又は少ないプレート120に対して調整することができ、総コンバータ厚さは一定に保たれる(例えば、用途に応じて、完全停止コンバータとして機能するのに十分な厚さ)。これらの例では、第1のコンバータプレート120は、最後のコンバータプレート120よりも依然として厚さが小さい。第2のコンバータプレート120は、第1のコンバータプレート120よりも小さい厚さを有し得る。18を超えるプレートが存在する場合、第3のコンバータプレート120は、第2のコンバータプレート120よりも小さい厚さを有してもよく、第4のコンバータプレート120は、第3のコンバータプレート120よりも小さい厚さを有してもよい。1つ以上のコンバータプレート120(例えば、第4のコンバータプレート120から始まる)は、同じ厚さを有し得る。18を超えるプレートが存在する場合、第3のコンバータプレート120は、第2のコンバータプレート120よりも小さい厚さを有してもよいか、又は第2のコンバータプレート120と同じ厚さを有してもよい。1つ以上のコンバータプレート120(例えば、第2又は第3のコンバータプレート120から始まる)は、同じ厚さを有し得る。いずれの例でも(すなわち、18より多いか又は少ない)、最後のコンバータプレート120のうちの2つ以上は、最後のコンバータプレート120が最大の厚さを有するように、昇順の厚さを有し得る。
【0038】
別の例として、上記の考察は主に完全停止コンバータに焦点を当てているが、本開示のコンバータ設計はまた、非完全停止コンバータを提供するように適合させることができる。例えば、所望の数の電子がコンバータを通過することができるまで、下流プレートを除去するか、又は低Z材料(すなわち、アルミニウム)で置き換えることができる。
【0039】
一般的に言えば、本開示のコンバータ設計によれば、各コンバータプレートに堆積されるエネルギー密度(又は平方センチメートル当たりの熱流束)が同じであるように、コンバータプレートが最適化される。この最適化により、最後のコンバータプレートよりも小さい厚さを有する第1のコンバータプレートが得られる。第2のコンバータプレートは、第1のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し得る。第2のコンバータプレートの下流の1つ以上のプレート(例えば、第3のコンバータプレートから第6のコンバータプレート)は、第2のプレートの厚さよりも小さくてもよい、同じ厚さを有してもよい。第6のコンバータプレートの後、最後のコンバータプレートがコンバータプレートの最大厚さを有するように、コンバータプレートの厚さが増加し得る。
【0040】
図4は、放射性同位体を生成するための例示的なシステム400の断面図である。システム400は、図1に示されるシステム100であってもよいが、図4は、システム100のより詳細な図を提供するために、図1に加えて提供される。システム400は、本開示のコンバータ設計(すなわち、図2を参照して説明されたコンバータ設計)を利用することができる1つの例示的な放射性同位体標的ステーションである。しかしながら、本開示のコンバータ設計は、任意の好適なシステム、すなわち、入射粒子ビームを電磁放射線に変換するように構成されたコンバータを有する任意の好適なシステムにおいて利用することができることを理解されたい。例えば、例示的なシステム400は、それぞれのハウジングと摺動可能に連通する標的キャリア及びコンバータキャリアを有するモジュラーシステムであるが、本開示のコンバータ設計は、非モジュラーシステムにおいても容易に利用することができる。前述したように、システム400は、システム400によって画定されるトンネル402が電子ビーム軸103と同軸であるように、粒子加速器のビームラインに沿って位置決めされ得る。電子ビーム102は、トンネル402の上流端部110でシステム400に入り、ビーム入口窓118を通過し、コンバータプレート120によって受容され、コンバータプレート120は、電子ビーム102を、標的カプセル108内の標的を照射する光子に変換する。任意の残りの光子、電子、又は他の粒子は、下流端部112でトンネル402を出るか、又はトンネル402に沿って散乱する。
【0041】
図4に図示されるモジュラーシステム400では、標的キャリア124及びコンバータキャリア116は、それぞれ、標的ハウジング122及びコンバータハウジング114によって取り外し可能に受容されるように構成されている。モジュラー設計は、システム400が変化する発射及びビームライン構成に適合されることを可能にする。異なる用途のために、標的キャリア124及び/又はコンバータキャリア116は、それぞれ標的ハウジング122及び/又はコンバータハウジング114から取り外され、所望の実験目的に従って構成されることができる。
【0042】
標的キャリア124は、例えば、標的カプセル108を回収するために、標的ハウジング122から取り外すことができる。電子ビームがコンバータハウジング114に入ることを可能にする狭い間隙を含むビーム入口窓118を除いて、標的ハウジング122及びコンバータハウジング114は、遮蔽されている。遮蔽は、標的カプセル108(及びその中で支持される標的)の回収中の作業者へのいずれの潜在的な放射線量も最小限に抑える。更に、いくつかの実施形態では、標的キャリア124は、標的キャリア124を標的ハウジング122から遮蔽された移送キャスク内に持ち上げる機械的アームの遠隔作動によって回収することができる。そのような実施形態では、作業者は、標的又はコンバータ104によって引き起こされる直接照射環境に曝されない。
【0043】
標的キャリア124は、標的キャリア124が標的ハウジング122の上部部分を介して標的ハウジング122に摺動して出入りできるように、標的ハウジング122と摺動可能に連通し得る。上部装填構成は、照射された標的を新しい標的に対して「ホットスワップ」することを可能にし、照射された標的はその後、標準的なホットセル内に配置することができる。標的キャリア124は、標的カプセル108を受容するように適合されている。
【0044】
標的キャリア124は、標的ハウジング122と気密に封止され得る。例えば、いくつかの実施形態では、標的キャリア124は、環状溝430を含んでもよく、環状溝430は、Oリング432を受容するように適合され得る。Oリング432は、標的ハウジング122の内側に面する表面と摩擦係合するように適合され得る。他の実施形態では、標的キャリア124は、雄雌ねじ及び溝構成を介して標的ハウジング122と封止し得る。
【0045】
標的キャリア124の上端部429が、開口部434を形成する領域を備えた上向きに突出する舌部431を画定し得る。開口部434は、標的キャリア124を標的ハウジング122から取り外す、又は標的キャリア124を標的ハウジング122に挿入するためのクレーン又は他の手段の把持点として機能してもよい。
【0046】
標的キャリア124は、概して、冷却剤が標的カプセル108にわたって流れるときに、電子ビーム軸103に対して標的カプセル108(及び標的カプセル108内の標的材料)を安定化するように構成されている。標的カプセル108は、締結手段を介して標的キャリア124内に取り外し可能に固定され得る。締結手段は、冷却動作中に、標的キャリア124内の標的カプセル108のがたつきを防止するためのものである。好適な締結手段は、雄雌のねじ付き構成であり、それによって、例えば、標的カプセル108の円周面が、標的キャリア124の内側に面する表面によって螺合可能に受容される。
【0047】
図1及び図4に別個の構成要素として示されているが、いくつかの実装形態では、コンバータハウジング114及び標的ハウジング122は、一体部品として一体的に成形されてもよい。標的キャリア124及びコンバータキャリア116は、次に、そのような部品によって取り外し可能に受容され得る。
【0048】
冷却剤通路126から受容された冷却剤は、コンバータハウジング114内のチャネルを通って流れ得る。例えば、冷却剤は、ビーム入口窓118とコンバータプレート120の第1のコンバータプレートとの間、コンバータプレート120の間、及び/又は最後のコンバータプレートとコンバータキャリア116又はコンバータハウジング114との間を流れ得る。前方流れチャネル234及び標的ハウジングチャネル428は、標的ハウジング122内に形成され得、冷却剤通路128によって提供される冷却剤を運び得る。図4によって示されていない場合がある他の通路(ラベル付けされていない)が、システム400を通して冷却剤を運ぶために、ハウジング114、122内に存在してもよい。
【0049】
コンバータプレート120は、コンバータキャリア116によって形成された台座上に位置決めされ得る。電子ビームの動作中、コンバータキャリア116は、1つ又は複数のOリング436(例えば、アルミニウム(Al)又は金(Au)のOリングなどの金属Oリング)によってコンバータハウジング114に封止され得る。Oリング436は、コンバータキャリア116内に形成された環状溝によって受容され得る。横方向開口部442が、コンバータキャリア116の領域に形成され、コンバータハウジング114の依存する表面と整合し得る。横方向開口部442は、コンバータキャリア116をコンバータハウジング114に締結するねじなどの締結具440を受容するように適合され得る。
【0050】
コンバータキャリア116は、コンバータハウジング114によって取り外し可能に受容され得る。したがって、コンバータキャリア116は、コンバータハウジング114から取り外されてもよく、コンバータキャリア116によって保持されたコンバータプレート120は、置き換え、取り外し、交換、又は移動されてもよい。前述したように、コンバータキャリア116は、コンバータプレート120を受容するスロットを有し得る。スロットのうちのいくつかは、実装形態に応じて、コンバータプレート120によって占有されなくてもよい。更に、コンバータキャリア116自体は、コンバータハウジング114から取り外され、異なるコンバータプレートを有する異なるコンバータキャリアに置き換えられ得る。コンバータキャリア116は、コンバータハウジング114を通って流れる冷却剤の利点を受容するように、コンバータハウジング114と熱連通していてもよい。代替的に又は加えて、コンバータキャリア116は、冷却剤のための通路を画定し得る。
【0051】
図5は、放射性同位体を生成するための例示的な方法500のフロー図である。ブロック502において、方法500は、電子ビーム(例えば、電子ビーム102)を、軸(例えば、電子ビーム軸103)に沿って、電子ビームを光子に変換するように構成されたコンバータ(例えば、コンバータ104)に向かって方向付けることを含む。コンバータは、複数のコンバータプレート(例えば、コンバータプレート120)であって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレート(例えば、コンバータプレート120A)から、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレート(例えば、コンバータプレート120R)まで、軸に沿った方向において、連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを含む。第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成されている。更に、第1のコンバータプレート(例えば、コンバータプレート120A)は、最後のコンバータプレート(例えば、コンバータプレート120R)の厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さは、軸に沿って測定される。
【0052】
いくつかの実装形態では、複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つは、軸に沿った方向において厚さの昇順に位置決めされている(例えば、表1の例示的な測定値におけるコンバータプレート120P~R)。複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つの各々は、異なる厚さを有し得る。いくつかの実装形態では、最後のコンバータプレートの厚さは、複数のコンバータプレートの最大厚さである。
【0053】
種々の実装形態では、軸に沿った方向において、第1のコンバータプレートの後(すなわち、下流)、かつ最後のコンバータプレートの前に位置決めされた第2のコンバータプレートの厚さは(例えば、コンバータプレート120B又はコンバータプレート120A)、第1のコンバータプレートの厚さよりも小さい。そのような実装形態では、複数のコンバータプレートのうちの少なくとも2つは、(i)軸に沿って第1のコンバータプレートの後に位置決めされ、(ii)軸に沿った方向において厚さの昇順に位置決めされ得る。
【0054】
コンバータは、複数のコンバータプレートを支持するように適合されたコンバータキャリア(例えば、コンバータキャリア116)を更に含み得る。コンバータキャリアは、コンバータハウジング(例えば、コンバータハウジング114)によって取り外し可能に受容され得る。例えば、コンバータキャリアは、コンバータハウジングと摺動可能に連通し得る。
【0055】
実装形態に応じて、複数のコンバータプレートの隣接するコンバータプレートは、軸に沿って0.5mm~1.5mm離間され得る(例えば、隣接するコンバータプレートは、およそ1mm離間され得る)。コンバータは、複数のコンバータプレートの隣接するコンバータプレートの間に、水などの冷却剤流体を受容するように適合され得る。複数のコンバータプレートの各々は、実装形態に応じて、及びコンバータプレートが複数のコンバータプレートのうちの他のコンバータプレートに対してどのくらい上流又は下流に位置するかに応じて、0.1mm~2mmの厚さを有し得る。複数のコンバータプレートの厚さの合計に等しい総厚さは、およそ1~10mmであり得る。更に、複数のコンバータプレートの各々は、W、Ta、Au、Pb、又はこれらの元素の組み合わせなど、72以上の原子番号内の材料を含み得る。
【0056】
ブロック504において、方法は、標的(例えば、標的カプセル108によってカプセル化された標的材料)を支持する標的ハウジング(例えば、標的ハウジング122)を、標的がコンバータによって生成された光子によって照射されるように、軸に沿った方向において、コンバータの下流に位置決めすることを含む。標的は、光子による照射に応答して放射性同位体を生成する。いくつかの実装形態では、標的ハウジングは、標的を支持する標的キャリア(例えば、標的キャリア124)を含む。標的キャリアは、標的ハウジングによって取り外し可能に受容され得る。標的キャリアは、例えば、標的ハウジングと摺動可能に連通し得る。
【0057】
態様
以下の態様のリストは、本出願によって明示的に企図される様々な実施形態を反映する。当業者は、以下の態様が、本明細書に開示される実施形態を限定するものでも、又は上記の開示から考えられる全ての実施形態を網羅するものでもなく、代わりに本質的に例示的であることを意味することを容易に認識するであろう。
【0058】
態様1.電子ビームから光子を発生させるためのコンバータであって、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを備え、第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成されており、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される、コンバータ。
【0059】
態様2.複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つが、軸に沿った方向において厚さの昇順に位置決めされている、態様1に記載のコンバータ。
【0060】
態様3.複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つの各々が、異なる厚さを有する、態様2に記載のコンバータ。
【0061】
態様4.最後のコンバータプレートの厚さは、複数のコンバータプレートの最大厚さである、態様1に記載のコンバータ。
【0062】
態様5.軸に沿った方向において、第1のコンバータプレートの後、かつ最後のコンバータプレートの前に位置決めされた第2のコンバータプレートの厚さが、第1のコンバータプレートの厚さよりも小さい、態様1に記載のコンバータ。
【0063】
態様6.複数のコンバータプレートのうちの少なくとも2つが、(i)軸に沿って第2のコンバータプレートの後に位置決めされており、(ii)軸に沿った方向において厚さの昇順に位置決めされている、態様5に記載のコンバータ。
【0064】
態様7.複数のコンバータプレートを支持するように適合されたコンバータキャリアであって、コンバータハウジングと摺動可能に連通するように適合された、コンバータキャリアを更に備える、態様1に記載のコンバータ。
【0065】
態様8.複数のコンバータプレートの隣接するコンバータプレートが、軸に沿って0.5ミリメートル~1.5ミリメートル離間している、態様1に記載のコンバータ。
【0066】
態様9.複数のコンバータプレートの各々が、0.1ミリメートル~2ミリメートルの厚さを有する、態様1に記載のコンバータ。
【0067】
態様10.複数のコンバータプレートの厚さの合計に等しい総厚さが、1ミリメートル~10ミリメートルである、態様1に記載のコンバータ。
【0068】
態様11.コンバータは、複数のコンバータプレートの隣接するコンバータプレート間で冷却剤流体を受容するように適合されている、態様に記載のコンバータ。
【0069】
態様12.複数のコンバータプレートの各々が、72以上の原子番号を有する材料を含む、態様1に記載のコンバータ。
【0070】
態様13.放射性同位体を生成するためのシステムであって、電子ビームから光子を発生させるためのコンバータであって、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを備え、第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成されており、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される、コンバータと、標的ハウジングであって、電子ビームを使用してコンバータによって生成された光子が標的ハウジングを照射するように、軸に沿った方向において、コンバータの下流に位置決めされている、標的ハウジングと、を備える、システム。
【0071】
態様14.標的ハウジングが、光子による照射に応答して放射性同位体を生成する標的を支持する、態様13に記載のシステム。
【0072】
態様15.標的ハウジングは、光子による照射に応答して放射性同位体を生成する標的を支持する標的キャリアを備え、標的キャリアは、標的ハウジングによって取り外し可能に受容されている、態様13に記載のシステム。
【0073】
態様16.コンバータは、複数のコンバータプレートを支持するように適合されたコンバータキャリアを更に備える、態様13に記載のシステム。
【0074】
態様17.キャリアハウジングを更に備え、コンバータキャリアは、キャリアハウジングによって取り外し可能に受容されている、態様16に記載のシステム。
【0075】
態様18.複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つが、軸に沿った方向において厚さの昇順に位置決めされている、態様13に記載のシステム。
【0076】
態様19.複数のコンバータプレートのうちの少なくとも3つの各々が、異なる厚さを有する、態様18に記載のシステム。
【0077】
態様20.放射性同位体を生成するための方法であって、電子ビームを軸に沿ってコンバータに向かって方向付けることであって、コンバータは、電子ビームを光子に変換するように構成されており、コンバータは、複数のコンバータプレートであって、(i)軸に垂直に位置決めされており、(ii)複数のコンバータプレートのうちの第1のコンバータプレートから、複数のコンバータプレートのうちの最後のコンバータプレートまで、軸に沿った方向において連続的に配設されている、複数のコンバータプレートを備え、第1のコンバータプレートは、軸に沿った方向において進む電子ビームを受容するように構成されており、第1のコンバータプレートは、最後のコンバータプレートの厚さよりも小さい厚さを有し、特定のコンバータプレートの厚さが、軸に沿って測定される、方向付けることと、標的を支持する標的ハウジングを、標的がコンバータによって生成された光子によって照射されるように、軸に沿った方向において、コンバータの下流に位置決めすることと、を含む、方法。
【0078】
追加の考慮事項
以下の追加の考慮事項が、上記の考察に適用される。本明細書全体を通して、複数の事例が、単一の事例として説明される機能、構成要素、動作、又は構造を実装し得る。1つ以上の方法の個々の機能及び命令が別個の動作として例示及び説明されるが、個々の動作のうちの1つ以上が同時に実施されてもよく、示された順序で動作が実施される必要はない。例示的な構成内で別個の構成要素として提示された構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示された構造及び機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。これらの及び他の変形、修正、追加、及び改善は、本明細書の主題の範囲内にある。
【0079】
本明細書で使用される場合、「いくつかの実施形態」、又は「一実施形態」、又は「実施形態」への任意の言及は、その実施形態に関連して説明される特定の要素、特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の種々の箇所における「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているとは限らない。
【0080】
いくつかの実施形態は、「結合された」及び「接続された」という表現をそれらの派生語とともに使用して説明され得る。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が物理的又は電気的に直接接触していることを示すために「結合された」という用語を使用して説明され得る。しかしながら、「結合された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも互いに協働又は相互作用することも意味し得る。実施形態は、この文脈において限定されるものではない。
【0081】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形例は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、要素のリストを含む機能、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明白に列挙されていないか、又はそのようなプロセス、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を含み得る。更に、明白に反対の記載がない限り、「又は」は、排他的な又はではなく、包括的な又はを指す。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(又は存在する)かつBは偽(又は存在しない)、Aは偽(又は存在しない)かつBは真(又は存在する)、並びにA及びBの双方が真(又は存在する)である。
【0082】
加えて、「a」又は「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、かつ説明の一般的な意味を与えるために行われる。この記述は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、別の意味であることが明らかでない限り、単数形は複数形も含む。
【0083】
また更に、図は、例示のみを目的として、システム100の好ましい実施形態を図示する。当業者は、以下の考察から、本明細書で説明される原理から逸脱することなく、本明細書に例示される構造及び方法の代替的な実施形態が用いられ得ることを容易に認識するであろう。
【0084】
本開示を読めば、当業者は、本明細書に開示された原理を通じて放射性同位体を生成するための方法及びシステムのための更に追加の代替的な構造及び機能設計を認識するであろう。したがって、特定の実施形態及び適用が例示及び説明されているが、開示された実施形態は、本明細書に開示される正確な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者に明らかであろう種々の修正、変更、及び変形が、添付の特許請求の範囲で規定される趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される方法及び装置の配置、動作、及び詳細において行われ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】