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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レニウム金属合金を含む医療機器
(51)【国際特許分類】
   C22C 27/00 20060101AFI20240806BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20240806BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20240806BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20240806BHJP
   A61L 27/42 20060101ALI20240806BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20240806BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20240806BHJP
   C22C 27/04 20060101ALI20240806BHJP
   C22C 30/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
C22C27/00
A61L31/02
A61L31/12
A61L31/14
A61L27/42
A61L27/04
A61L27/50
C22C27/04 102
C22C30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505222
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022014054
(87)【国際公開番号】W WO2023009175
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,270
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524035782
【氏名又は名称】ミルス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ノア
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB34
4C081AC09
4C081CG08
(57)【要約】
少なくとも部分的にレニウム金属合金で形成された医療機器。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、前記モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%である、
レニウム金属合金。
【請求項2】
前記合金化金属は、クロムを含む、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項3】
前記合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項4】
前記合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
請求項2に記載のレニウム金属合金。
【請求項5】
前記クロムの原子比率対ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項3に記載のレニウム金属合金。
【請求項6】
前記クロムの原子比率対ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項4に記載のレニウム金属合金。
【請求項7】
前記合金化金属は、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項8】
前記合金化金属は、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
請求項2~6のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項9】
前記クロムの原子比率対ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項7に記載のレニウム金属合金。
【請求項10】
前記クロムの原子比率対ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項8に記載のレニウム金属合金。
【請求項11】
前記合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項12】
前記合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項2~10のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項13】
前記合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項14】
前記合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項2~12のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項15】
前記レニウム金属合金は、0.1重量%未満の金属及び不純物を含む、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項16】
前記レニウム金属合金は、0.1重量%未満の金属及び不純物を含む、
請求項2~14のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項17】
レニウム対前記合金化金属の総含有量の原子比率は0.8:1~1.25:1である、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項18】
レニウム対前記合金化金属の総含有量の原子比率は0.8:1~1.25:1である、
請求項2~16のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項19】
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金中の微小亀裂を低減するために制御された量の窒素、酸素及び炭素を有し、前記レニウム金属合金中の窒素含有量は、前記レニウム金属合金中の酸素と炭素との合計含有量よりも少なく、前記レニウム金属合金は、少なくとも約1.2:1の酸素対窒素の原子比率を有し、前記レニウム金属合金は、少なくとも約2:1の炭素対窒素の原子比率を有する、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項20】
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金中の微小亀裂を低減するために制御された量の窒素、酸素及び炭素を有し、前記レニウム金属合金中の窒素含有量は、前記レニウム金属合金中の酸素と炭素との合計含有量よりも少なく、前記レニウム金属合金は、少なくとも約1.2:1の酸素対窒素の原子比率を有し、前記レニウム金属合金は、少なくとも約2:1の炭素対窒素の原子比率を有する、
請求項2~18のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項21】
請求項1に記載のレニウム金属合金から少なくとも部分的に形成された医療機器。
【請求項22】
請求項2~20のいずれか1項に記載のレニウム金属合金から少なくとも部分的に形成された医療機器。
【請求項23】
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの生物剤及び/又は少なくとも1つのポリマーを含む、
請求項21に記載の医療機器。
【請求項24】
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの生物剤及び/又は少なくとも1つのポリマーを含む、
請求項22に記載の医療機器。
【請求項25】
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含み、前記少なくとも1つのポリマーは、前記少なくとも1つの生物剤に少なくとも部分的にコーティング、封入又はそれらの組み合わせを施す、
請求項23に記載の医療機器。
【請求項26】
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含み、前記少なくとも1つのポリマーは、前記少なくとも1つの生物剤に少なくとも部分的にコーティング、封入又はそれらの組み合わせを施す、
請求項24に記載の医療機器。
【請求項27】
前記医療機器の外表面上に少なくとも1つの微小構造体をさらに含む、請求項21に記載の医療機器。
【請求項28】
前記医療機器の外表面上に少なくとも1つの微小構造体をさらに含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の医療機器。
【請求項29】
前記少なくとも1つの微小構造体は、ポリマー、エージェント又はそれらの組み合わせからなる材料から少なくとも部分的に形成される、それらを含む、又は、それらの組み合わせである、
請求項27に記載の医療機器。
【請求項30】
前記少なくとも1つの微小構造体は、ポリマー、エージェント又はそれらの組み合わせからなる材料から少なくとも部分的に形成される、それらを含む、又は、それらの組み合わせである、
請求項28に記載の医療機器。
【請求項31】
前記医療機器は、レニウム金属合金から形成された拡張可能なフレームを含み、
前記拡張可能なフレームは、複数のストラットを含み、
前記拡張可能なフレームは、圧縮状態にあるときの前記拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの前記拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成され、
前記拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後の反動が5%未満であり、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態から前記拡張状態に拡張した後の反動が5%未満であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す、
請求項21に記載の医療機器。
【請求項32】
前記医療機器は、レニウム金属合金で形成された拡張可能なフレームを含み、
前記拡張可能なフレームは、複数のストラットを含み、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態にあるときの前記拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの前記拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成され、
前記拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後の反動が5%未満であり、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態から前記拡張状態に拡張した後の反動が5%未満であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の前記身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す、
請求項22~30のいずれか1項に記載の医療機器。
【請求項33】
前記医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である、
請求項31に記載の医療機器。
【請求項34】
前記医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である、
請求項33に記載の医療機器。
【請求項35】
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%であり、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成する、
レニウム金属合金。
【請求項36】
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、前記モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示し、
前記レニウム金属合金は、前記拡張可能なフレームに形成されたとき、拡張可能なフレームが第1の圧縮プロセスを受けた後、5%未満の反動を示し、
前記レニウム金属合金は、前記拡張可能なフレームに形成されたとき、拡張可能なフレームが圧縮状態から拡張状態に拡張された後、5%未満の反動を示す、
レニウム金属合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本開示は、2021年7月28日に出願された米国仮出願第63/226,270号に対する優先権を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、医療機器及び医療機器の用途に関し、より具体的には、少なくとも部分的に生物医学的材料で形成される医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、TiAlV合金は、医療機器に使用される一般的な金属合金の一部である。これらの合金は、様々な医療機器の形成に成功しているが、いくつかの欠点がある。
【0004】
ステント、拡張可能な心臓弁などの多くの心血管機器は、患者の血管系を介して患者の体内に挿入され、治療部位で拡張される。これらの機器は、典型的には、患者に挿入する前にカテーテルに圧縮される。心臓血管機器を挿入できる心臓血管通路(例えば、血管)のサイズに制限が設定される。圧縮直径が小さいと、心臓血管機器を治療部位に挿入及び/又は配置する際に、血管及び/又は器官(例えば、心臓など)への損傷が減少する可能性がある。圧縮直径が小さいと、心臓血管機器をより小さい直径の血管(例えば、脳内に位置する血管など)に配置することもできる。
【0005】
拡張可能な心臓血管装置の圧縮直径は、心臓血管機器のフレーム、ストラットなどの厚さ及び/又はサイズを減少させることによって減少させることができる。しかし、そのようなサイズの縮小は、拡張後の心臓血管機器の強度にも影響を与える。心臓血管機器は、拡張後、治療領域で拡張した形状を維持する必要がある。そうでないと、心臓血管機器が治療領域から外れたり、治療領域を損傷したり、治療領域で適切に機能しなくなる可能性がある。そのため、ステンレス鋼(例えば、316L:17~19重量%のクロム、13~15重量%のニッケル、2~4重量%のモリブデン、最大2重量%のマンガン、最大0.75重量%のケイ素、最大0.03重量%の炭素、残部鉄)、及び、コバルト-クロム合金(例えば、MP35N:19~21重量%のクロム、34~36重量%のニッケル、9~11重量%のモリブデン、最大1重量%の鉄、最大1重量%のチタン、最大0.15重量%のマンガン、最大0.15重量%の銀、最大0.025重量%の炭素、残部コバルト)などの伝統的な材料で形成されている心臓血管機器は、圧縮された心臓血管装置によってどの程度小さい圧縮直径が得られるかを制限するフレーム及び/又はストラットのサイズ/厚さを維持する必要がある。使用されている他の種類のコバルト-クロム合金は、フィノックス及びエルジロイ合金(38~42重量%のコバルト、18~22重量%のクロム、14~18重量%の鉄、13~17重量%の5ニッケル、6~8重量%のモリブデン)と、L605合金(18~22重量%のクロム、14~16重量%のタングステン、9~11重量%のニッケル、残部コバルト)と、である。
【0006】
また、ステンレス鋼(316L)及びコバルトクロム合金(例えば、MP35N)などの従来の材料は、圧縮及び拡張後にある程度の反動がある。これは、最小圧縮直径を得るのを妨げる可能性があり、及び/又は、治療領域での拡張可能な心臓血管装置の配置に悪影響を与える可能性がある。圧縮プロセスでは、典型的には、心臓血管機器をカテーテルに圧縮するために圧縮機器が使用される。最初の圧縮プロセスの後、最小圧縮直径の9+%大きな直径に反動する。従って、カテーテルの圧縮直径をより小さくするために、心臓血管機器をカテーテル上に複数回圧縮する必要がある。しかし、心臓血管機器に複数の圧縮を施すと、心臓血管機器に損傷が生じる可能性がある(例えば、心臓血管機器のフレーム及び/又はストラットの損傷、拡張可能な心臓弁の小葉の損傷など)。同様に、心臓血管機器が治療領域で拡張されると、心臓血管機器の従来の材料は最大拡張直径の9+%反動する。従って、心臓血管機器の適切な拡張を確実にするために、カテーテル上の膨張可能なバルーンを複数回加圧して治療領域で心臓血管機器を繰り返し拡張する必要がある。しかし、心臓血管装置を複数回バルーン拡張させると、心臓血管装置の損傷(例えば、フレーム及び/又はストラットの損傷若しくは破損など)及び/又は治療領域の損傷(例えば、血管の破裂、臓器の組織の裂傷及び/又は穿刺など)が生じる可能性がある。
【0007】
医療機器が患者に挿入されるとき、患者の体内にいる間、医療機器の形成に使用される金属からの金属イオン及び/又は酸化物にさらされないようにするため、典型的には、医療機器が患者の体内にいる間のイオン化及び/又は腐食に耐えることが望ましい。医療機器からの過剰なイオン放出は、患者に悪影響を及ぼす可能性がある。ステンレス鋼(316L)及びコバルト-クロム合金(MP35Nなど)などの従来の材料は患者に挿入すると非常に安定するが、医療機器が患者の体内にあるとある程度の金属イオンの放出が発生する。
【0008】
医療機器の現在の技術水準を考慮すると、a)ステンレス鋼、コバルト-クロム合金又はTiAlV合金で形成された医療機器と比較して反動が少ない、b)ステンレス鋼、コバルト-クロム合金又はTiAlV合金で形成された医療機器と比較して、より小さな圧縮直径を形成できる、及び/又は、c)ステンレス鋼、コバルト-クロム合金又はTiAlV合金で形成された医療機器と比較して、金属イオンの放出が減少している、のような改良された医療機器が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、少なくとも部分的にレニウム金属合金で作られた医療機器に関する。医療機器は、整形外科用機器、PFO(卵円孔開存)機器、ステント、弁(例えば、心臓弁、TAVR弁、僧帽弁置換術、三尖弁の交換術、肺弁置換術、など)、脊椎インプラント、脊椎インプラントとともに使用するフレーム及びその他の構造、血管インプラント、移植、ガイドワイヤー、シース、カテーテル、針、ステントカテーテル、電気生理学用カテーテル、ハイポチューブ、ステープル、切断装置、あらゆる種類のインプラント、ペースメーカー、歯科インプラント、歯冠、歯列矯正具、医療処置で使用されるワイヤー、骨インプラント、人工椎間板、人工脊椎円板、補綴インプラント、若しくは骨(例えば、肩峰、環椎、軸、踵骨、手根骨、鎖骨、尾てい骨、上顆、上滑液、大腿骨、腓骨、前頭骨、大転子、上腕骨、腸骨、坐骨、下顎骨、上顎骨、中手、中足骨、後頭骨、肘頭、頭頂骨、膝蓋骨、指骨、橈骨、肋骨、仙骨、肩甲骨、胸骨、距骨、足根骨、側頭骨、脛骨、尺骨、頬骨、など)及び/若しくは軟骨を修復、置換及び/若しくは支持する機器、骨プレートの釘、ロッド、スクリュー、ポスト、ケージ、皿、椎弓根ネジ、キャップ、ヒンジ、ジョイントシステム、アンカー、スペーサー、軸、アンカー、ディスク、ボール、テンションバンド、ロッキングコネクタ、人間の体、動物の体、などであるが限定されない体内の構造を支持。マウント並びに/又は修復する体内で使用されるその他の構造アセンブリ、を含むことができる。一の非限定的な実施形態では、医療機器は、拡張機構(例えば、膨張可能なバルーンなど)によって半径方向外側に塑性変形できる拡張可能なフレーム(例えば、ステント、人工心臓弁など)を含む。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金は、自己膨張合金ではない。
【0010】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、部分的又は完全にレニウム金属合金で形成された医療機器が提供される。一の非限定的な実施形態では、医療機器の50~100%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)がレニウム金属合金で形成される。別の非限定的な実施形態では、少なくとも30重量%のレニウム金属合金(例えば、30~99重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、レニウムを含む。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金の少なくとも35重量%がレニウムを含む。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金の少なくとも35重量%(例えば、35~99.9重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、レニウムを含み、レニウム金属合金の0.1~65重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、モリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/又はイリジウムの内の1つ以上を含む。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金の35~60重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、レニウムを含み、レニウム金属合金の40~65重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/又はイリジウムの内の1つ以上を含む。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金の35~60重量%(例、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、レニウムを含み、レニウム金属合金の40~65重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、モリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/又はイリジウムの内の2つ以上を含む。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金の35~60重量%(例、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、レニウムを含み、レニウム金属合金の40~65重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)は、モリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/又はイリジウムの内の3つ以上を含む。
【0011】
別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金は、0~0.1重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の不純物(レニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウム以外の金属など)を含む。
【0012】
本開示の別の非限定的な態様では、レニウム金属合金を形成するために使用される金属は、少なくとも35重量%のレニウム(例えば、35~99.9重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、1つ以上の合金化エージェントを含み、合金化エージェントは、モリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/若しくはイリジウム、並びに/又は、これらの成分の内の1つ以上の合金などであるが、これらに限定されない。一の非限定的な配合では、レニウム金属合金は、40~99.9重量%のレニウムと、1つ以上のモリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/又はイリジウムと、を含む。一の非限定的な配合では、レニウム金属合金は、50~99.9重量%のレニウムと、1つ以上のモリブデン、ニオブ、タンタル、タンタル、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及び/又はイリジウムと、を含む。
【0013】
本開示の別の非限定的な態様では、レニウム金属合金を形成するために使用される金属は、レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含む。一の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上である。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合よりも大きい。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な実施形態では、合金化金属の合計重量割合は、レニウム金属合金の5~45重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、合金化金属の合計重量割合よりも大きい。別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のレニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%である。別の非限定的な実施形態では、合金金属は、クロムを含む。別の非限定的な実施形態では、合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む。別の非限定的な実施形態では、合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含み、クロムの原子比率は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される金属のそれぞれ又はすべての原子比率に対して0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な実施形態では、合金化金属は、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む。別の非限定的な実施形態では、合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、第1の金属と第2の金属とは異なり、第1の金属の原子比率は、第2の金属に対して0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な実施形態では、合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、であり、第1の金属と第2の金属とは異なり、第1の金属の原子比率は、第2の金属に対して0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0014】
本開示に従って製造することができるレニウム金属合金のいくつかの非限定的な例を、以下に説明する。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】
実施例1~36では、上記の範囲のすべてが、その範囲と上記の範囲の間にある他の範囲との間の任意の値を含むことが理解されるであろう。記号<を含む上記の値は、0から指定された値までの範囲並びにそれらの間のすべての値及び範囲を含む。
【0021】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウムの重量割合と、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの合計重量割合の重量割合と、の合計は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合よりも大きい。一の特定の非限定的な配合では、レニウムの重量割合と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの合計重量割合の重量割合と、の合計は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合よりも大きい。別の特定の非限定的な配合では、レニウムの重量割合と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの合計重量割合の重量割合と、の合計は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合よりも大きい。別の非限定的な特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ50重量%未満(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、41~58.5重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は少なくとも15~45重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの合計重量割合は、11~41重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、41~58.5重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも15~45重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの合計重量割合は、11~41重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、41~58.5重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも15~45重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のクロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの合計重量割合は、11~41重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。本発明の別の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、レニウム金属合金中のビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの合計重量割合よりも大きい。別の非限定的な特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、レニウム金属合金中のクロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの合計重量割合よりも大きい。
【0022】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウムの原子量割合は、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの組み合わせの原子量割合に対して0.7:1~1.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、典型的には、0.8:1~1.4:1であり、より典型的には、0.8:1~1.25:1であり、さらに典型的には、およそ0.9:1から1.1:1(例えば、1:1)である。一の特定の非限定的な配合では、レニウムの原子量割合は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの組み合わせの原子量割合に対して0.7:1から5.1:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、典型的には、0.8:1から1.5:1であり、より典型的には、0.8:1から1.25:1であり、さらにより典型的には、およそ0.9:1から1.1:1(例えば、1:1)である。一の特定の非限定的な配合では、レニウムの原子量割合は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの組み合わせの原子量割合に対して0.7:1~5.1:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、典型的には、0.8:1~1.5:1であり、より典型的には、0.8:1~1.25:1であり、さらにより典型的には、およそ0.9:1~1.1:1(例えば、1:1)である。
【0023】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金がビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの内の2つを含むとき、これら2つの金属の原子比率は、0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、典型的には、0.5:1~2:1である。一の特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金がビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの内の2つを含むとき、2つの金属の原子比率は、0.4:1から2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、典型的には、0.5:1~2:1である。別の特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金がクロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの内の2つを含むとき、2つの金属の原子比率は、0.4:1から2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、典型的には、0.5:1~2:1である。
【0024】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、任意で、およそ5重量%未満(例えば、0~4.999999重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の他の金属及び/又は不純物を含み、典型的には、0~1重量%であり、より典型的には、0~0.1重量%であり、さらにより典型的には、0~0.01重量%であり、さらにより典型的には、0~0.001重量%である。レニウム金属合金の純度が高いと、より均質な合金が形成され、その結果、レニウム金属合金全体の密度がより均一になり、レニウム金属合金の望ましい降伏強度と極限引張強度も得られる。一の特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデン、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの群から選択される少なくとも2つの金属と、から形成され、他の元素及び化合物を含むレニウム金属合金の含有量は、0~0.1重量%であり、典型的には、0~0.01重量%であり、より典型的には、0~0.001重量%である。別の特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデン、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの群から選択される少なくとも2つの金属と、から形成され、他の元素及び化合物を含むレニウム金属合金の含有量は、0~0.1重量%であり、典型的には、0~0.01重量%であり、より典型的には、0~0.001重量%である。別の特定の非限定的な配合では、レニウム金属合金は、レニウムと、レニウム、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの群から選択される少なくとも3つの金属と、から形成され、他の元素及び化合物を含むレニウム金属合金の含有量は、0~0.1重量%、典型的には、0~0.01重量%であり、より典型的には、0~0.001重量%である。
【0025】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、38~60重量%のRe、29重量%から50重量%未満のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、10~30重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の70~90重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの群から選択される1つ以上の金属を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0026】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、40~55重量%のRe(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、30~46重量%のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、12~20重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の80~88重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの群から選択される1つ以上の金属を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0027】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、38~60重量%のRe(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、29重量%から50重量%未満のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、10~30重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の70~90重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、クロムと、任意で、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの群から選択される1つ以上の金属を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0028】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、40~55重量%のRe(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、30~46重量%のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、12~20重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の80~88重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、クロムと、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの群から選択される1つ以上の金属と、を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0029】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、38~60重量%のRe(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)29重量%から50重量%未満のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、10~30重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の70~90重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、クロムと、任意で、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの群から選択される1つ以上の金属と、を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1である。
【0030】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、38~60重量%のRe(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、29重量%から50重量%未満のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、10~30重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の70~90重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、クロムと、ビスマス、ニオブ、タンタル、タングステン、チタン、バナジウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム、銅及びイリジウムの群から選択される1つ以上の金属と、を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0031】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器を部分的又は完全に形成するために任意に使用することができるレニウム金属合金は、38~60重量%のRe(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、29重量%から50重量%未満のMo(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、及び、10~30重量%の添加金属(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含み、Re及びMoの合計含有量は、レニウム金属合金の70~90重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、Re、Mo及び添加金属の合計含有量は、レニウム金属合金の99~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、前記金属添加剤は、クロムと、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの群から選択される1つ以上の金属と、を含み、Reの原子比率は、レニウム金属合金中の添加材料の総含有量に対して、任意で、0.8:1~1.25:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0032】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、送達カテーテル上での体内への導入のために折り畳まれた状態又は圧縮された状態まで半径方向に折り畳めるように、及び体内の所望の位置(例えば、血管、心臓、尿管、胆管、膵管、食道、肺、目、副鼻腔、経口ステントなど)での人工心臓弁の移植のために拡張状態まで半径方向に拡張可能であるように構成された医療機器(例えば、ステント、人工心臓弁など)が提供される。医療機器のフレームは、バルーンカテーテルのバルーンなどの拡張機器を使用して医療機器を送達及び拡張するために、フレームをより小さな外形に圧縮できる可塑的に拡張可能な材料で形成することができる。
【0033】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、複数の角度的に離間したポスト、垂直に延びるポスト又はストラットを含むフレームを含む医療機器が提供される。ポストは、円周方向に延びるストラットの下列と円周方向に延びるストラットの上列を介して相互接続することができる。ストラットは、様々なパターン(例えば、ジグザグパターン、鋸歯パターン、三角形パターン、多角形パターン、楕円形パターンなど)で配置することができる。1つ以上のポスト及び/又はストラットは、同じ又は異なる厚さ及び/又は断面形状及び/又は断面積を有することができる。
【0034】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、ポリマー材料(例えば、シリコーン、PTFE、ePTFE、ポリウレタン、ポリオレフィン、ヒドロゲル、生物学的材料(例えば、心膜、又は、コラーゲン、ゼラチン若しくはヒアルロン酸誘導体などの生物学的ポリマー)で任意にコーティングすることができるフレームを含む医療機器が提供される。コーティングは、フレーム上のストラットを部分的又は完全に封入するため、及び/又は、ストラット間の開口部を埋めるために使用することができる。
【0035】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様によれば、医療機器の少なくとも一部を形成するために使用されるレニウム金属合金は、1つ以上の改善された特性(例えば、強度、耐久性、硬度、生体安定性、曲げ性、摩擦係数、ラジアル強度、柔軟性、引張強度、引張伸び、縦方向伸び、応力-ひずみ特性、反動低減、放射線不透過性、熱感受性、生体適合性、疲労寿命の向上、亀裂耐性、亀裂伝播抵抗、磁化率の低下など)、曲げ時の追従性の向上、反動の低減、降伏強度の増加、疲労延性の向上、耐久性の向上、疲労寿命の向上、組織有害反応の減少、金属イオン放出の減少、腐食の減少、アレルギー反応の減少、親水性の改善、毒性の減少、金属構成要素の厚さの減少、骨融合の改善、及び/又は、組織へのイオン放出の減少を有する。レニウム金属合金のこれらの1つ以上の改良された物理的特性は、医療機器の嵩、体積及び/又はは重量を増加させることなく、医療機器内で達成することができ、ときによっては、たとえ従来のステンレス鋼、チタン合金、又は、コバルト及びクロムの合金材料から少なくとも部分的に形成された医療機器と比較して、医療機器の体積、嵩及び/又は重量が減少するときでも、これらの改善された物理的性質が得られる。
【0036】
従って、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用されるレニウム金属合金は、1)医療機器の放射線不透過性を高める、2)医療機器の半径方向の強度を増加する、3)医療機器の降伏強度及び/若しくは極限引張強度を増加させる、4)医療機器の応力-ひずみ特性を改善する、5)医療機器の圧縮特性及び/若しくは拡張特性を改善する、6)医療機器の屈曲性及び/若しくは柔軟性を向上させる、7)医療機器の強度及び/若しくは耐久性を向上させる、8)医療機器の硬度を増加させ、9)医療機器の反動特性を改善する、10)医療機器の生体安定性及び/若しくは生体適合性特性を改善する、11)医療機器の耐疲労性を向上させる、12)医療機器の亀裂を防ぎ、亀裂の伝播を防ぐ、13)より小型、薄型及び/若しくは軽量の医療機器の製造が可能になる、14)圧縮された医療機器の外径を小さくする、15)医療機器が治療領域内で使用及び/若しくは拡張されるときに、医療機器の治療領域の形状への追従性を向上させる、16)医療機器が治療領域内で拡張されるとき、治療領域の形状に対する医療機器の反動の量を低減する、17)医療機器の降伏強度を増加する、18)医療機器の疲労延性を向上させる、18)医療機器の耐久性を向上させる、19)医療機器の疲労寿命を向上させる、20)医療機器の移植後の有害な組織反応を軽減する、21)医療機器の移植後の金属イオンの放出を低減する、22)医療機器の移植後の医療機器の腐食を軽減する、23)医療機器の移植後のアレルギー反応を軽減する、24)医療機器の親水性を向上させる、25)医療機器の金属構成要素の厚さを低減する、26)医療機器との骨癒合を改善する、27)医療機器から組織へのイオン放出を低下させる、28)患者に埋め込まれた医療機器の磁化率を低下させる、並びに/又は、29)医療機器の移植後の医療機器の毒性を軽減する。
【0037】
医療機器には、任意で、1つ以上の製造プロセスが適用される。これらの製造プロセスは、拡張、レーザー切断、エッチング、圧縮、焼きなまし、引き抜き、ピルジリング、電気メッキ、電解研磨、機械加工、プラズマコーティング、3Dプリントコーティング、化学蒸着、化学研磨、洗浄、酸洗、イオンビーム蒸着又は注入、スパッタコーティング、真空蒸着などを含むが、これらに限定されない。
【0038】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用されるレニウム金属合金は、任意で、レニウム金属合金全体にわたってほぼ均一な密度を有し、また、レニウム金属合金の所望の降伏及び極限引張強さをもたらす。レニウム金属合金の密度は、概して少なくとも約5gm/cc(例えば、5gm/cc~21gm/cc、並びにそれらの間のすべての値及び範囲、10~20gm/ccなど)であり、典型的には、少なくとも約11~19gm/ccである。このレニウム金属合金の実質的に均一な高密度により、レニウム金属合金の放射線不透過性が著しく改善される。
【0039】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、任意で一定量の炭素及び酸素を含むが、これは必須ではない。これら2つの元素は、レニウム金属合金の成形特性と脆性に影響を与えることが分かっている。また、レニウム金属合金の炭素と酸素との制御された原子比率は、レニウム金属合金を少なくとも部分的に医療機器に形成する際、並びに/又は、体内での医療機器の使用中及び/若しくは拡張中に、レニウム金属合金が微小亀裂を形成する傾向を最小限に抑える。レニウム金属合金中の炭素と酸素との原子比率を制御することにより、レニウム金属合金を少なくとも部分的に医療機器に形成する際、並びに/又は、体内での医療機器の使用中及び/若しくは拡張中に、レニウム金属合金中の酸素の再分布が可能となり、レニウム金属合金に微小亀裂が発生する傾向を最小限に抑えることができる。レニウム金属合金中の炭素と酸素との原子比率は、レニウム金属合金の微小亀裂の傾向を最小限に抑えることを促進し、レニウム金属合金の伸びの程度を改善すると考えられており、これらはいずれも、医療機器の形成及び/又は使用に有用若しくは望ましいレニウム金属合金の1つ以上の物理的特性に影響を与える可能性がある。炭素対酸素の原子比率は、約0.2:1(例えば、0.2:1から50:1、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)程度に低くすることができる。一の非限定的な配合では、レニウム金属合金中の炭素対酸素の原子比率は、概して少なくとも約0.3:1である。典型的には、レニウム金属合金の炭素含有量は約0.1重量%未満(例えば、0~0.0999999重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、より典型的には、0~0.01重量%である。炭素含有量が多すぎると、レニウム金属合金の物理的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。概して、酸素含有量は、非常に低いレベルに維持される。一の非限定的な配合では、酸素含有量はレニウム金属合金の約0.1重量%未満(例えば、0~0.0999999重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、典型的には、0~0.01重量%である。レニウム金属合金は、その中の酸素含有量が一定量超過したとき酸素に対する炭素の比率を厳密に制御することにより、医療機器の形成中及び医療機器が患者に挿入された後に、微小亀裂を形成する傾向が非常に低いと考えられている。一の非限定的な構成では、レニウム金属合金中の酸素含有量が約100ppmより大きいとき、レニウム金属合金中の炭素対酸素の原子比率は少なくとも約2.5:1である。
【0040】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、任意に、制御された量の窒素を含むが、これは必須ではない。レニウム金属合金中に大量の窒素が含まれると、レニウム金属合金の延性に悪影響を及ぼす可能性がある。これは、レニウム金属合金の伸び特性に悪影響を与える可能性がある。レニウム金属合金中の窒素含有量が高すぎると、レニウム金属合金の延性が許容できないほど低下し始め、その結果、医療機器の形成及び/又は使用に有用若しくは望ましいレニウム金属合金の1つ以上の物理的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。一の非限定的な配合では、レニウム金属合金は、約0.001重量%未満の窒素(例えば、0重量%~0.0009999重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含む。レニウム金属合金中の窒素含有量は、炭素又は酸素の含有量よりも少なくなるべきと考えられている。一の非限定的な配合において、炭素対窒素の原子比率は少なくとも約1.5:1(例えば、1.5:1~400:1、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な配合では、酸素対窒素の原子比率は少なくとも約1.2:1(例えば、1.2:1~150:1、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0041】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器は、概して、少なくとも約5重量%(例えば、5~100重量%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)のレニウム金属合金を含むように設計される。本開示の一の非限定的な実施形態では、医療機器は、少なくとも約50重量%のレニウム金属合金を含む。本開示の別の非限定的な実施形態では、医療機器は、少なくとも約95重量%のレニウム金属合金を含む。一の特定の構成では、医療機器が拡張可能なフレームを含むとき、拡張可能なフレームは、50~100重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)のレニウム金属合金で形成され、典型的には、レニウム金属合金の75~100重量%である。
【0042】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、医療機器の全部又は一部を形成するために使用され、1)任意で、別の金属上にクラッド、金属を溶射、メッキ及び/若しくは成形(例えば、冷間加工、熱間加工など)しない、又は、2)任意で、レニウム金属合金上に別の金属又は金属合金金属を溶射、メッキ、クラッド及び/若しくは形成しない。
【0043】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器は、任意で、高融点金属のチューブ若しくはロッドから形成することができ、又は、医療機器の最終的な正味形状の少なくとも80%の形状に形成することができる。
【0044】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、医療機器が少なくとも部分的に本開示のレニウム金属合金で形成されるとき、医療機器にプラスの影響を与えるいくつかの物理的特性を有する。本開示の一の非限定的な実施形態では、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用される本開示のレニウム金属合金の平均ビッカース硬度は、任意で少なくとも約150ビッカース(例えば、150~300ビッカース、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、典型的には、160~240ビッカースであるが、これは必須ではない。本開示のレニウム金属合金は、概して、ステンレス鋼よりも高い平均硬度を有する。本開示の別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、本開示のレニウム金属合金の平均極限引張強さは任意で少なくとも約125ksi(例、125~300ksi並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であるが、これは必須ではない。本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、本開示のレニウム金属合金の平均降伏強さは任意で少なくとも約100ksi(例、100~275ksi並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であるが、これは必須ではない。本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用される本開示のレニウム金属合金の平均粒径は、任意で約4ASTM以下(例えば、ASTM E112を使用した4ASTM~20ASTM、並びにそれらの間のすべての値及び範囲、例えば、0.35ミクロン~90ミクロン並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。本開示のレニウム金属合金の粒径が小さいことにより、医療機器は、医療機器の形成、圧縮及び/又は拡張を可能にするのに有用な所望の伸び及び延性特性を有することができる。
【0045】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用される本開示のレニウム金属合金の平均引張伸びは、任意で少なくとも約25%(例えば、25~50%、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。レニウム金属合金の平均引張伸びが少なくとも25%であると、医療機器が身体の治療領域に配置されたときに適切に拡張するのを容易にするのに有用である。少なくとも約25%の平均引張伸びを有さない医療機器は、医療機器の形成、圧縮及び/又は拡張中に微小亀裂及び/又は破損がより形成されやすい可能性がある。本開示のレニウム金属合金における金属の独特の組み合わせと、合金の所望の純度及び組成及びレニウム金属合金の所望の粒径の達成と、を組み合わせると、1)ほぼ室温で所望の高い延性を有する医療機器、2)所望の量の引張伸びを有する医療機器、3)高い放射線不透過性を有するレニウム金属合金の均一溶液若しくは固溶体、4)医療機器を形成するためにチューブのサイズを調整及び/若しくは切断する際の、本開示のレニウム金属合金チューブの微小亀裂の形成及び/若しくは破壊の低減若しくは防止、5)医療機器が圧縮されているときの医療機器の微小亀裂の形成及び/若しくは破損の減少若しくは防止、6)医療機器が体内で曲げられる及び/若しくは拡張されるときの医療機器の微小亀裂の形成及び/若しくは破損の低減若しくは防止、7)所望の極限引張強さと降伏強さを有する医療機器、8)非常に薄い壁厚を有し、かつ拡張時に医療機器を開いた状態に保持するのに必要な所望の半径方向の力を依然として有する医療機器、9)医療機器が送達システム上に圧縮されるとき、及び/若しくは、体内で拡張されるときに、反動が少ない医療機器、10)医療機器が体内で拡張されたときに、体内の治療領域の形状への追従性が向上する医療機器、11)改善された疲労延性を示す医療機器、並びに/又は、12)耐久性を向上させた医療機器、をもたらす。
【0046】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、任意で少なくとも部分的にスエージング加工によって形成されるが、これは必須ではない。一の非限定的な実施形態では、医療機器の1つ以上の部分の最終寸法を少なくとも部分的又は完全に達成するために、レニウム金属合金にスエージングが実行される。スエージングダイは、医療機器の最終寸法に適合する形状にすることができるが、これは必須ではない。医療機器に中空構造のアンダーカットがあるとき(これは必須ではない)、別個の金属片をアンダーカットに配置して、ギャップを少なくとも部分的に埋めることができる。別個の金属片(使用時)は、後でアンダーカットから取り外せるように設計できるが、これは必須ではない。スエージング操作は、硬化する領域の医療機器に対して実行できる。医療機器の丸い部分又は湾曲した部分の場合、スエージングは回転式にすることができる。医療機器の非円形部分の場合、医療機器の非円形部分のスエージングは、非回転のスエージングダイスによって実行することができる。ダイスは、回転の代わりに又は回転に加えて、任意に半径方向及び/又は長手方向に振動するように作成することができる。医療機器は、任意で、医療機器の所望の位置及び/又は方向の硬度を達成するために、単一の操作又は複数の操作で複数の方向にスエージング加工することができる。特定のレニウム金属合金のスエージング温度は、様々である。レニウム金属合金の場合、スエージングが空気又は酸化環境中で行われるとき、スエージング温度は室温(RT)(例えば、10~27℃並びにそれらの間のすべての値及び範囲)から約400℃(例えば、10~400℃並びにそれらの間のすべての値及び範囲)まで可能である。スエージング加工が制御された中性又は非還元環境(例えば、不活性環境)で行われるとき、スエージング温度は約1500℃(例えば、10~1500℃並びにそれらの間のすべての値及び範囲)まで上昇させることができる。スエージング加工は、医療機器の硬化箇所を所望のスエージング温度で繰り返しハンマーで叩くことによって行うことができる。一の非限定的な実施形態では、スエージング加工中に、ホウ素及び/又は窒素のイオンが、レニウムを含むレニウム金属合金中のレニウム原子に衝突して、ReB、ReN及び/又はReNを形成することができるが、これは必須ではない。ReB、ReN及び/又はReNは、超硬質化合物であることが分かっている。一の非限定的なプロセスでは、金属があまり硬化していない状態にあるときに、医療機器用の金属を機械加工して医療機器に成形することができる。従って、原材料を最初に焼きなましして軟化させてから、金属を所望の形状に機械加工することができる。レニウム金属合金を成形した後、レニウム金属合金を再硬化することができる。医療機器のレニウム金属合金の硬化により、医療機器の耐摩耗性及び/又は形状保持性が向上する。医療機器のレニウム金属合金は、概して焼きなましによる再硬化ができないため、特別な再硬化処理が必要となる。このような再硬化は、本開示のスエージング加工によって達成することができる。
【0047】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、任意に窒化することができるが、これは必須ではない。レニウム金属合金上の窒化層は、医療機器を部分的又は完全に形成する際のレニウム金属合金の任意の引き抜き中に潤滑表面として機能することができる。レニウム金属合金が窒化された後、典型的には、レニウム金属合金は、洗浄されるが、これは必須ではない。窒化処理中に、レニウム金属合金の表面は窒素の存在によって改質される。窒化処理は、ガス窒化、塩浴窒化又はプラズマ窒化によって行うことができる。ガス窒化では、窒素がレニウム金属合金の表面に拡散し、窒化層が形成される。得られる窒化層の厚さと相構成を選択し、必要な特定の特性に合わせて処理を最適化することができる。ガス窒化中、レニウム金属合金は、概して、窒素ガス又は窒素ガス混合物(例えば、90~99%体積%のN及び1~10体積%のHなど)の存在下で、少なくとも約400℃の温度(例えば、400~1000℃、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)で少なくとも10秒間窒化される。一の非限定的な窒化処理では、レニウム金属合金は、窒素又は窒素と水素の混合物の存在下で少なくとも400℃、概して約400~800℃(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の温度まで、少なくとも10秒間(例えば、10秒から60分、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、概して約1~30分間、加熱される。塩浴窒化では、シアン化物塩などの窒素含有塩が使用される。塩浴窒化中、レニウム金属合金は、概して約520~590°Cの温度にさらされる。プラズマ窒化では、典型的には、プラズマ窒化に使用されるガスは純窒素である。プラズマ窒化は、物理蒸着(PVD)処理と組み合わせて行われることがよくあるが、これは必須ではない。プラズマ窒化は、概して220~630℃(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の温度で起こる。レニウム金属合金を洗浄及び/又は予熱するために、窒化処理の前に、レニウム金属合金を任意にアルゴン及び/又は水素ガスに曝露することができる。これらのガスは、任意で、レニウム金属合金の表面から酸化物層及び/又は溶媒を除去するために使用できる。窒化処理中に、レニウム金属合金の表面での酸化物の形成を抑制又は防止するために、レニウム金属合金を水素ガスに任意に曝露することができる。窒化された表面層の厚さは、約1mm未満である。一の非限定的な実施形態では、窒化物表面層の厚さは、少なくとも約50ナノメートルかつ約1mm未満(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。別の非限定的な実施形態では、窒化表面層の厚さは少なくとも約50ナノメートルかつ約0.1mm未満である。概して、窒化表面層中の窒素の重量割合は、0.0001~5重量%の窒素(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。一の非限定的な実施形態では、窒化表面層中の窒素の重量割合は、概してレニウム金属合金の主成分の1つよりも少なく、典型的には、レニウム金属合金の2つの主成分のそれぞれよりも少ない。例えば、レニウム金属合金が窒化されるとき、窒化された表面層中の窒素の重量割合は、窒化された表面層中のレニウムの重量割合よりも少ない。レニウム金属合金(例えば、47~55重量%のレニウム、10~46重量%のモリブデン、0.1~30重量%の追加の金属合金化エージェント)上の窒化表面層の非限定的な組成では、窒化表面層は、少なくとも40重量%のレニウム、少なくとも8重量%のモリブデン、及び、0.0001~5重量%の窒素(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を含む。本開示の一の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金の表面は、レニウム金属合金の少なくとも1つの引き抜き工程の前に窒化される。本開示の別の非限定的な態様では、レニウム金属合金が焼きなましされた後、レニウム金属合金は、引き抜き前に窒化される。別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金を焼きなましする前に、レニウム金属合金を洗浄して、レニウム金属合金の表面上の窒化物化合物を除去する。窒化物化合物は、グリットブラスト、研磨などの様々な手順で除去できるが、これらに限定されない。レニウム金属合金を焼きなましした後、レニウム金属合金を1つ以上の引き抜き工程の前に再度窒化することができるが、これは必須ではない。理解され得るように、レニウム金属合金の外表面全体を窒化することも、レニウム金属合金の外表面の一部を窒化することもできる。レニウム金属合金の外表面の選択された部分のみを窒化することにより、レニウム金属合金の異なる表面特性を得るために使用することができるが、これは必須ではない。理解され得るように、最終的に形成されたレニウム金属合金は、窒化された外表面を含むことができる。レニウム金属合金のための窒化処理は、医療機器の表面硬度及び/若しくは耐摩耗性を高めるために、並びに/又は、レニウム金属合金の変色(例えば、酸化による変色など)を抑制又は防止するために使用することができる。例えば、窒化処理は、医療機器に使用されるレニウム金属合金の関節面の耐摩耗性又は表面摩耗を向上させ、医療機器の寿命を延ばすため、及び/又は、医療機器(例えば、膝、腰、肩などの関節インプラントのポリエチレンライナー)の接合面の摩耗寿命を延ばすため、及び/又は、医療機器の使用による粒子の発生を低減するため、及び/又は、医療機器のレニウム金属合金の外表面の外観を維持するため、使用することができる。
【0048】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、所望の医療機器に部分的又は完全に形成される直前又は直後に、レニウム金属合金の最終加工のために、任意で、洗浄、研磨、滅菌、窒化などを行うことができる。本開示の一の非限定的な実施形態では、レニウム金属合金は、電解研磨される。この実施形態の一の非限定的な態様では、レニウム金属合金は、研磨溶液にさらされる前に洗浄されるが、これは必須ではない。洗浄処理(使用時)は、1)溶媒(例えば、アセトン、メチルアルコールなど)を使用し、キムワイプ若しくは他の適切なタオルでレニウム金属合金を拭く、及び/又は、2)レニウム金属合金を溶媒に少なくとも部分的に浸漬させ(dipping)若しくはイマーシング(immersing)し、次にレニウム金属合金を超音波洗浄することによる、のような様々な技術によって実行できるが、これらに限定されない。理解され得るように、レニウム金属合金は、他の方法又は追加の方法で洗浄することができる。この実施形態の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、研磨溶液は、1つ以上の酸を含むことができる。この実施形態のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金を水及び/又は溶剤ですすぎ、乾燥させてレニウム金属合金上の研磨液を除去する。
【0049】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器を部分的又は完全に形成するためのレニウム金属合金を使用すると、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して、医療機器の強度及び/又は硬度及び/又は耐久性を高めるために使用することができる。従って、異なる金属で形成された医療機器と比較して、同等の強度を達成するために、より少ない量のレニウム金属合金を医療機器に使用することができる。従って、レニウム金属合金を使用することにより、医療機器の強度と耐久性を犠牲にすることなく、得られる医療機器をより小さく、かさばらないようにすることができる。このような医療機器は、より小さな外形を有することができるため、より小さな領域、開口部及び/又は通路に挿入することができる。レニウム金属合金は、医療機器の半径方向の強度も高めることができる。例えば、医療機器の壁及び/又は医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用されるワイヤーの厚さを薄くすることができ、ステンレス鋼、チタン合金又はコバルトとクロムの合金で形成されたより厚い壁の医療機器と比較して、同等又は向上した半径方向強度を達成することができる。医療機器の応力-ひずみ特性、曲げ性、柔軟性を向上させることができるため、医療機器の寿命を延ばすことができる。例えば、医療機器は、医療機器が曲げられるべき領域で使用することができる。レニウム金属合金による医療機器の物理的特性の向上により、このような頻繁な曲げ環境における医療機器の耐破壊性が向上した。追加又は代替として、レニウム金属合金の使用による医療機器の屈曲性及び可撓性の向上により、医療機器を身体の様々な領域により容易に挿入することが可能になる。レニウム金属合金は、また、医療機器の圧縮及び/又は拡張中の反動の程度を低減することもできる。例えば、医療機器は、レニウム金属合金の使用により、その圧縮形状をよりよく維持し、及び/又は、拡張後の拡張形状をよりよく維持する。従って、医療機器が圧縮されるときに医療機器が送達機器上に取り付けられるとき、医療機器は、身体の様々な領域への医療機器の挿入中にそのより小さな外形をよりよく維持する。また、医療機器は、拡張後にその拡張された外形をよりよく維持し、治療領域での医療機器の成功を促進する。レニウム金属合金の使用による医療機器の物理的特性の向上に加えて、レニウム金属合金は、ステンレス鋼又はコバルト-クロム合金などの標準的な材料と比較して放射線不透過性が向上しているため、医療機器上にマーカー材料を使用する必要性が軽減又は排除される。例えば、レニウム金属合金は、ステンレス鋼又はコバルト-クロム合金と比較して、少なくとも約10~20%放射線不透過性が高いと考えられている。
【0050】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器は、医療機器及び/又は治療領域の成功を促進する1つ以上のエージェントを任意に含有し、及び/又は、それでコーティングすることができる。「エージェント」という用語は、物質、医薬品、生物学的製剤、動物用製品、薬剤と、1つ以上の臨床的及び/又は生物学的事象を予防、阻害、及び/又は、治療するため、及び/又は、治癒を促進するために、別の方法で処方及び/又は設計された類似体若しくは誘導体と、を含むが、これらに限定されない。1つ以上のエージェントによって対処できる臨床事象の非限定的な例は、ウイルス、真菌及び/若しくは細菌感染、血管疾患及び/若しくは障害、消化器疾患及び/若しくは障害、生殖器疾患及び/若しくは障害、リンパ系疾患及び/若しくは障害、癌、インプラント拒絶、痛み、吐き気、腫れ、関節炎、骨の疾患及び/若しくは障害、臓器不全、免疫疾患及び/若しくは障害、コレステロールの問題、血液疾患及び/若しくは障害、肺疾患及び/若しくは障害、心臓疾患及び/若しくは障害、脳疾患及び/若しくは障害、神経痛及び/若しくは障害、腎臓疾患及び/若しくは障害、潰瘍、肝臓疾患及び/若しくは障害、腸疾患及び/若しくは障害、胆嚢疾患及び/若しくは障害、膵臓疾患及び/若しくは障害、精神障害、呼吸器疾患及び/若しくは障害、腺疾患及び/若しくは障害、皮膚疾患及び/若しくは障害、聴覚疾患及び/若しくは障害、口腔疾患及び/若しくは障害、鼻疾患及び/若しくは障害、目の疾患及び/若しくは障害、疲労、遺伝性疾患及び/若しくは障害、火傷、瘢痕化及び/若しくは傷跡、外傷、体重疾患及び/若しくは障害、中毒性疾患及び/若しくは障害、脱毛、けいれん、筋けいれん、組織修復、神経修復、神経再生、並びに/又は、同様のものを含むが、これらに限定されない。医療機器に含まれる、及び/又は、医療機器にコーティングされるエージェントの種類及び/又は量は、変動し得る。2つ以上のエージェントが医療機器に含まれる及び/又は医療機器上にコーティングされるとき、2つ以上のエージェントの量は同じであっても異なっていてもよい。1つ以上のエージェントは、スプレー(例えば、噴霧スプレー技術など)、火炎スプレーコーティング、粉末堆積、浸漬コーティング、フローコーティング、浸漬スピンコーティング、ロールコーティング(ダイレクト及びリバース)、超音波処理、ブラッシング、プラズマ蒸着、蒸着による堆積、MEMS技術及び回転モールド蒸着などの様々な機構によって医療機器上にコーティングする、及び/又は、医療機器内に含浸させることができるが、これらに限定されない。本開示の別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、医療機器上に、医療機器内に、及び/又は、医療機器とともに含まれるエージェントの種類及び/又は量は、概して、1つ以上の医療処置の治療のために選択される。医療機器上、医療機器内、及び/又は、医療機器とともに使用される2つ以上のエージェントの量は、同じであっても異なっていてもよい。1つ以上のエージェントは、医療機器上及び/又は医療機器内で使用されるとき、任意に制御された方法で放出され、治療対象の領域に持続期間にわたって所望の用量のエージェントが提供される。理解され得るように、医療機器上での1つ以上のエージェントの制御された放出は、必ずしも必要ではなく、及び/又は、望ましいわけではない。従って、医療機器上及び/又は医療機器内の1つ以上のエージェントが、治療領域への医療機器の挿入中及び/又は挿入後に医療機器から制御不能に放出される可能性がある。医療機器上及び/又は医療機器内の1つ以上のエージェントは、医療機器から制御可能に放出でき、医療機器上及び/又は医療機器内の1つ以上のエージェントは、医療機器から制御不能に放出できることも理解され得る。また、医療機器の1つの領域上及び/又は医療機器の1つの領域内の1つ以上のエージェントは、医療機器から制御可能に放出でき、医療機器上及び/又は医療機器内の1つ以上のエージェントは、医療機器の別の領域から制御不能に放出できることも理解され得る。従って、医療機器は、1)医療機器上及び/若しくは医療機器内のすべてのエージェントが制御可能に放出される、2)医療機器上及び/若しくは医療機器内のエージェントの一部は制御可能に放出される、医療機器上のエージェントの一部は制御不能に放出される、又は、3)医療機器上及び/若しくは医療機器内のエージェントは制御可能に放出されない、ように設計できる。医療機器は、また、医療機器からの1つ以上のエージェントの放出速度が同じであるか、又は、異なるように設計することもできる。医療機器は、また、医療機器上の1つ以上の領域からの1つ以上のエージェントの放出速度が同じであるか、又は、異なるように設計することもできる。医療機器からの1つ以上のエージェントの放出を制御するために使用できる非限定的な構成は、1)1つ以上のエージェントを1つ以上のポリマーで少なくとも部分的にコーティングすること、2)1つ以上のエージェントを1つ以上のポリマーに、及び/若しくは、1つ以上のポリマーとともに少なくとも部分的に組み込む、及び/若しくは、少なくとも部分的に封入すること、並びに/又は、3)医療機器の細孔、通路、空洞などに1つ以上のエージェントを挿入し、そのような細孔、通路、空洞などを1つ以上のポリマーで少なくとも部分的にコーティングする若しくは覆うこと、を含む。理解され得るように、医療機器からの1つ以上のエージェントの放出を制御するために、他の又は追加の構成を使用することができる。1つ以上のポリマーは、医療機器からの1つ以上のエージェントの放出を少なくとも部分的に制御するために使用されるとき、多孔質であっても非多孔質であってもよい。1つ以上のエージェントは、医療機器上の1つ以上の表面構造体及び/若しくは微小構造体に挿入及び/若しくは適用することができ、並びに/又は、医療機器上の1つ以上の表面構造体及び/若しくは微小構造体を少なくとも部分的に形成するために使用することができる。従って、医療機器上の1つ以上のエージェントは、1)医療機器の1つ以上の表面領域にコーティングされる、2)医療機器の1つ以上の表面構造体及び/若しくは微小構造体などに挿入及び/若しくは含浸される、並びに/又は、3)医療機器の構造の少なくとも一部を形成するか、若しくは、医療機器の構造の少なくとも一部に含まれる。1つ以上のエージェントが医療機器上にコーティングされると、1つ以上のエージェントは、1)医療機器の1つ以上の表面に直接コーティングされる、2)1つ以上のコーティングポリマー若しくは他のコーティング材料と混合され、その後、医療機器の1つ以上の表面上に少なくとも部分的にコーティングされる、3)医療機器上に少なくとも部分的にコーティングされた別のコーティング材料の表面に少なくとも部分的にコーティングされる、並びに/又は、4)a)医療機器の表面若しくは領域と1つ以上の他のコーティング材料、及び/若しくは、b)2つ以上の他のコーティング材料、の間で少なくとも部分的に封入される。理解され得るように、他の多くのコーティング構成を追加又は代替として使用することができる。1つ以上のエージェントが、医療機器の1つ以上の内部構造、表面構造体及び/又は微小構造体に任意に挿入及び/又は含浸されるとき、1)1つ以上の他のコーティング材料を、医療機器の1つ以上の内部構造、表面構造体及び/若しくは微小構造体の上に少なくとも部分的に適用することができる、並びに/又は、2)1つ以上のポリマーを1つ以上のエージェントと組み合わせることができる。従って、1つ以上のエージェントは、1)医療機器の構造に埋め込まれ得る、2)医療機器の1つ以上の内部構造に配置され得る、3)2つのポリマーコーティングの間に封入され得る、4)ベース構造とポリマーコーティングの間に封入され得る、5)少なくとも1つのポリマーコーティングを含む医療機器の基本構造に混合され得る、又は、6)1、2、3、4及び/若しくは5の1つ以上の組み合わせ、で含まれ得る。追加又は代替として、医療機器上の1つ以上のポリマーの1つ以上のコーティングは、1)非多孔質ポリマーの1つ以上のコーティング、2)1つ以上の多孔質ポリマーと1つ以上の非多孔質ポリマーとの組み合わせからなる1つ以上のコーティング、3)多孔質ポリマーの1つ以上のコーティング、又は、4)オプション1、2及び3の1つ以上の組み合わせ、を含むことができる。
【0051】
理解され得るように、異なるエージェントは、任意で、異なるポリマーコーティング層の中、及び/又は、それらの間、及び/又は、医療機器の構造上に配置することができる。また、理解され得るように、多くの他の及び/又は追加のコーティングの組み合わせ及び/又は構成を使用することができる。1つ以上のエージェントの濃度、ポリマーの種類、医療機器の内部構造の種類及び/若しくは形状、並びに/又は、1つ以上のエージェントのコーティングの厚さを使用して、放出時間、放出速度及び/又は1つ以上のエージェントの投与量を制御できるが、他の組み合わせ又は追加の組み合わせも使用できる。従って、エージェントとポリマーシステムの組み合わせと医療機器上の位置は数多くある。また、理解され得るように、1つ以上のエージェントを医療機器の上面に堆積させて、1)1つ以上の非多孔性ポリマーを含むポリマー系の1つ以上の層を介した1つ以上のエージェントの制御された放出、及び/又は、2)ポリマー系の1つ以上の層を介した1つ以上のエージェントの制御されない放出、の前に、1つ以上のエージェントの初期の制御されないバースト効果を提供することができる。1つ以上のエージェント及び/又はポリマーは、スプレー(例えば、噴霧スプレー技術など)、浸漬コーティング、ロールコーティング、超音波処理、ブラッシング、プラズマ蒸着、及び/又は、蒸着による堆積などの様々な機構によって医療機器上にコーティングすることができるが、これらに限定されない。
【0052】
本開示のさらなる及び/又は代替の態様では、様々なポリマーを任意で医療機器上にコーティングすることができ、及び/又は、医療機器の少なくとも一部を形成するために使用することができる。1つ以上のポリマーは、1)医療機器の一部を形成すること、2)医療機器の物理的特性を改善すること(例えば、強度の改善、耐久性の改善、生体適合性の改善、摩擦の低減など)、3)医療機器上の1つ以上の表面構造体に保護コーティングを形成すること、4)医療機器上に1つ以上の表面構造体を少なくとも部分的に形成すること、及び/又は、5)医療機器からの1つ以上のエージェントの放出速度を少なくとも部分的に制御すること、のような様々な理由で医療機器に使用できるが、これらに限定されない。理解され得るように、1つ以上のポリマーは、医療機器上で他の用途又は追加の用途を有してもよい。1つ以上のポリマーは、多孔質、非多孔質、生体安定性、生分解性(すなわち、体内で溶解、分解、吸収若しくはそれらの組み合わせをもたらす)、及び/又は、生体適合性であってもよい。医療機器が1つ以上のポリマーでコーティングされているとき、ポリマーは、1)非多孔質ポリマーの1つ以上のコーティング、2)1つ以上の多孔質ポリマーと1つ以上の非多孔質ポリマーとの組み合わせからなる1つ以上のコーティング、3)1つ以上の多孔質ポリマーの1つ以上のコーティング及び1つ以上の非多孔質ポリマーの1つ以上のコーティング、4)多孔質ポリマーの1つ以上のコーティング、又は、5)オプション1、2、3及び4の1つ以上の組み合わせ、を含み得る。1つ以上のポリマー層の厚さは、同じであっても異なっていてもよい。1つ以上のポリマー層が医療機器の少なくとも一部分の上にコーティングされるとき、1つ以上のコーティングは、蒸着及び/又はプラズマ蒸着、スプレー、浸漬コーティング、ロールコーティング、超音波処理、霧化、ブラッシングなどの様々な技術によって塗布することができるが、これらに限定されず、他の又は追加のコーティング技術を使用することもできる。医療機器上にコーティングすることができる、及び/又は、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用することができる1つ以上のポリマーは、生分解性、生体再吸収性若しくは生体侵食性があると考えられるポリマー、生体安定性があると考えられているポリマー、並びに/又は、修正により生分解性及び/若しくは生体再吸収性にすることができるポリマーである。各ポリマー層の厚さは、概して少なくとも約0.01μmであり、概して約150μm未満(例えば、0.01μm~150μm、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であるが、他の厚さを使用することもできる。一の非限定的な実施形態において、ポリマー層及び/又はエージェントの層の厚さは、約0.02~75μmであり、より具体的には、約0.05~50μmであり、さらにより具体的には、約1~30μmである。理解され得るように、他の厚さを使用することもできる。
【0053】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器は、1つ以上のエージェントを含み、及び/又は、1つ以上のエージェントでコーティングされるとき、1つ以上のエージェントを含み、及び/又は、1つ以上のエージェントでコーティングすることができ、これらは、医療機器の異なる領域で同じか若しくは異なり、並びに/又は、医療機器の異なる領域で異なる量及び/若しくは濃度を有する。 例えば、医療機器は、1)医療機器の少なくとも一部分が1つ以上の生物学的製剤でコーティングされており、及び/若しくは、それを含んでおり、医療機器の少なくとも別の部分がエージェントでコーティングされておらず、及び/若しくは、それを含んでいない構成、2)医療機器の少なくとも別の部分にある1つ以上の生物学的製剤とは異なる、医療機器の少なくともある部分にある1つ以上の生物学的製剤でコーティングされ、及び/若しくは、それを含む構成、並びに/又は、3)医療機器の少なくとも別の部分における1つ以上の生物学的物質の濃度とは異なる、医療機器の少なくともある部分にある1つ以上の生物学的物質の濃度でコーティングされる、及び/若しくは、それを含み得る構成、であってもよい。
【0054】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器の1つ以上の部分は、任意で、1)同じ若しくは異なるエージェントを含む、2)同じ量若しくは異なる量の1つ以上のエージェントを含む、3)同じ若しくは異なるポリマーコーティングを含む、4)1つ以上のポリマーコーティングの同じ若しくは異なるコーティング厚さを含む、5)医療機器の1つ以上の部分が、1つ以上のエージェントを制御可能に放出及び/若しくは制御不能に放出する、並びに/又は、6)医療機器の1つ以上の部分が1つ以上のエージェントを制御可能に放出し、医療機器の1つ以上の部分が1つ以上のエージェントを制御不能に放出する。
【0055】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器の1つ以上の表面を任意に処理して、医療機器上にコーティングされる1つ以上のエージェント及び1つ以上のポリマーの所望のコーティング特性を達成することができる。このような表面処理技術は、洗浄、バフ研磨、平滑化、窒化、焼きなまし、スエージング、冷間加工、エッチング(化学エッチング、プラズマエッチングなど)などを含むが、これらに限定されない。理解され得るように、医療機器の表面上に1つ以上のエージェント及び/又はポリマーをコーティングする前に、他の又は追加の表面処理プロセスを使用することができる。
【0056】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器は、医療機器を体通路内に適切に配置することを容易にするマーカー材料を任意に含むことができる。マーカー材料は、典型的には、電磁波(例えば、X線、マイクロ波、可視光、赤外線、紫外線など)、音波(例えば、超音波など)、磁気波(例えば、MRIなど)、及び/又は、他の種類の電磁波(例えば、マイクロ波、可視光、赤外線、紫外線など)に対して可視となるように設計されている。マーカー材料は、医療機器の全部若しくは一部を形成することができ、並びに/又は、医療機器の1つ以上の部分(フレア部分及び/若しくは本体部分、医療機器の端部、本体部分及びフレア部分の移行部若しくはその付近など)にコーティングすることができる。マーカー材料の位置は、医療機器上の1つ以上の位置にある。マーカー材料を含む1つ以上の領域のサイズは、同じであっても異なっていてもよい。マーカー材料は、所定の距離を互いに離間させて医療機器上に定規状のマーキングを形成し、身体通路内での医療機器の位置決めを容易にすることができる。マーカーの材料は、硬い材料でも柔軟な材料でもよい。マーカー材料は、生体安定性材料又は生分解性材料であってもよい。
【0057】
本開示のさらなる及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器又は医療機器の1つ以上の領域は、任意で、1つ以上の微小電気機械製造(MEMS)技術(例えば、マイクロマシニング、レーザーマイクロマシニング、マイクロモールディングなど)の使用によって構築され得るが、他の又は追加の製造技術を使用することもできる。
【0058】
医療機器は、任意に、1つ以上の表面構造体(例えば、細孔、チャネル、ピット、リブ、スロット、ノッチ、バンプ、歯、針、ウェル、穴、溝など)を含むことができる。これらの構造は、MEMS(例えば、マイクロマシニングなど)技術及び/又は他の種類の技術によって少なくとも部分的に形成することができる。
【0059】
医療機器は、任意で、医療機器の表面にある1つ以上の微小構造体(例えば、微小針、微小孔、微小円柱、微小円錐、微小ピラミッド、微小チューブ、微小平行六面体、微小プリズム、微小半球、歯、リブ、リッジ、ラチェット、ヒンジ、ジッパー、結束バンドのような構造など)を含むことができる。本明細書で定義される「微小構造体」とは、少なくとも1つの寸法(例えば、平均幅、平均直径、平均高さ、平均長さ、平均深さなど)が約2mm以下であり、典型的には、約1mm以下の構造体である。理解され得るように、医療機器が1つ以上の表面構造体を含むとき、1)すべての表面構造体は微小構造体であってもよい、2)すべての表面構造体が非微小構造体であってもよい、又は、3)表面構造体の一部は微小構造体であってもよく、一部は非微小構造体であってもよい。典型的には、微小構造体(形成されるとき)は、外表面から又は外表面内に、約400ミクロン(0.01~400ミクロン、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)以下、より典型的には、約300ミクロン未満、より典型的には、約15~250ミクロン延在するが、他のサイズも使用できる。微小構造体は、一緒にクラスター化することも、医療機器の表面全体に分散させることもできる。同様の形状及び/若しくはサイズの微小構造体及び/若しくは表面構造体を使用することができ、又は、異なる形状及び/若しくはサイズの微小構造体を使用することができる。1つ以上の表面構造体及び/若しくは微小構造体が医療機器の表面から延在するように設計されるとき、1つ以上の表面構造体及び/若しくは微小構造体は、延在位置に形成されることができ、並びに/又は、治療領域での医療機器の展開中及び/若しくは展開後に医療機器から延在するように設計することができる。微小構造体及び/又は表面構造体は、通路、空洞などを含む、及び/又は、通路、空洞などに流体接続されるように設計することができるが、これは必須ではない。1つ以上の表面構造体及び/又は微小構造体は、医療機器が患者上及び/又は患者内に配置されると、周囲の組織又は器官に係合及び/又は貫通するために使用することができるが、これは必須ではない。1つ以上の表面構造体及び/又は微小構造体は、医療機器の形状の形成及び維持を容易にするために使用することができる。一の非限定的な実施形態では、1つ以上の表面構造体及び/又は微小構造体は、少なくとも部分的にエージェントで形成され、及び/又は、ポリマーで形成され得る。表面構造体及び/又は微小構造体の内の1つ以上は、1つ以上の材料(例えば、エージェント、ポリマーなど)を含むことができる1つ以上の内部通路を含むことができるが、これは必須ではない。医療機器の1つ以上のコーティング、並びに/又は、1つ以上の表面構造体及び/若しくは微小構造体は、1)1つ以上のエージェント、接着剤、マーカー材料及び/若しくはポリマーの医療機器への結合及び/若しくは接着を増加させること、2)医療機器の外観若しくは表面特性を変更すること、並びに/又は、3)1つ以上のエージェントの放出速度を制御すること、のような様々な目的に使用することができるが、これらに限定されない。1つ以上の微小構造体及び/又は表面構造体は、生体安定性、生分解性などであってもよい。医療機器又は医療機器の1つ以上の領域は、医療機器の1つ以上の領域、及び/又は、1つ以上の微小構造体、及び/又は、医療機器の表面構造体を損傷から少なくとも部分的に保護するために、保護材料で少なくとも部分的に覆われ、及び/又は、充填され得る。保護材料は、上記で既に特定した1つ以上のポリマーを含み得る。保護材料は、1)生体安定性及び/若しくは生分解性、並びに/又は、2)多孔質及び/若しくは非多孔質、であってもよい。
【0060】
本開示のさらに別の及び/又は代替の態様では、医療機器は、任意で、他の機器(例えば、バルーンなど)を使用することによって拡張できる拡張可能な機器であってもよい。拡張可能な医療機器は、形状記憶特性を全く又は実質的に持たない材料から製造されることができる。
【0061】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器のフレーム又は他の金属構成要素のためのニアネットプロセスが任意で提供される。本開示の一の非限定的な実施形態では、材料を粉末プレスし、追加の冷間加工を施すことによって焼結後の強度を高める方法が提供される。一の非限定的な実施形態では、グリーンパート(green part)はプレスされ、その後焼結される。その後、冷間加工を加えて機械的強度を高めるために、焼結した部品を再度プレスして、プレスされ焼結された部品にする。概して、焼結処理後のプレス加工中の温度は、20~100℃(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、典型的には、20~80℃、より典型的には、20~40℃である。本明細書で定義されるように、冷間加工は、150℃以下の温度(例えば、10~150℃、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)で起こる。最終部品(プレス、焼結、再プレス)が最終成形部品の寸法要件を満たすように、再プレスされた焼結後部品の形状の変化を決定する必要がある。レニウム金属合金の場合、1~300tsi(1平方インチあたり1トン)(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)のプリプレス圧力を使用した後、少なくとも1600℃(例えば、1600~2600℃並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の焼結処理、及び、少なくとも20℃(例えば、20~100℃並びにそれらの間のすべての値及び範囲、20~40℃など)の温度で、1~300tsi(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の圧力の後焼結プレスを使用することができる。焼結後の部品を再プレスして材料に追加の冷間加工を加え、それによってその機械的強度を高めることによって、プレスされた金属部品の機械的強度を高めるプロセスも提供される。金属粉末を使用してニアネット又は最終部品に粉末プレスするプロセスも提供される。一の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、最低40重量%のレニウム及び少なくとも25重量%のモリブデンを含み、残部は、タングステン、タンタル、クロム、ニオブ、ジルコニウム、イリジウム、チタン、ビスマス及びイットリウムの内の1つ以上の元素を任意に含むことができる。別の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、40~60重量%のレニウム(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、ニオブ、ジルコニウム、イリジウム、チタン、ビスマス及びイットリウムの内の2つ以上の元素を含む。別の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、40~60重量%のレニウム(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、ニオブ、ジルコニウム、イリジウム、チタン、ビスマス及びイットリウムの内の3つ以上の元素を含む。別の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、41~58.5重量%のレニウム(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、18~45重量%のモリブデン(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、タンタル、クロム、ニオブ、ジルコニウム、イリジウム、チタン、ビスマス及びイットリウムの内の1つ以上の追加元素を含む。別の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、41~58.5重量%のレニウム(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、18~45重量%のモリブデン(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、タンタル、クロム、ニオブ、ジルコニウム、イリジウム、チタン、ビスマス及びイットリウムの内の2つ以上の追加元素を含む。別の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、41~58.5重量%のレニウム(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、18~45重量%のモリブデン(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、タンタル、クロム、ニオブ及びジルコニウムの内の1つ以上の元素を含み、1つ以上の追加元素の合計重量割合は、11~41重量%である。別の非限定的な実施形態では、ニアネット又は最終部品を形成するために使用される金属粉末は、41~58.5重量%のレニウム(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、18~45重量%のモリブデン(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)、並びに、タンタル、クロム、ニオブ及びジルコニウムの内の2つ以上の元素を含み、2つ以上の追加元素の合計重量割合は、11~41重量%である。
【0062】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、ニアネット又は完成部品複合材のプレスが任意で提供される。金属をプレスして完成部品のニアネットにするプロセスは十分に確立されているが、複雑な部品形状及び発泡体状構造を作成する目的で、金属粉末とポリマーで形成された複合構造をプレスすることは新規である。同様に、プレス加工を使用して特定の生物学的物質を金属マトリックスに付与することも新規である。一の非限定的な実施形態では、事前に定義された空隙を備えた金属部品を作成し、金属とポリマー粉末とを混合して構成される小柱又は発泡構造を作成することと、粉末を完成部品又は半完成のグリーンパートに押し込むことと、その後、ポリマーの熱分解処理を通じてポリマーが金属を残す条件下で部品を焼結することと、のプロセスが提供される。得られた部品は、ポリマー粒子のサイズに関連した多孔性と、焼結前のプレス時の混合物の均質性に関連している。別の非限定的な実施形態では、熱分解後にポリマーの残留物が金属基板上に残されるプロセスが提供され、ポリマー残留物は何らかの所望の生物学的影響(例えば、封入による身体からの金属のマスキング、細胞の付着と成長の促進)を有する。ポリマーと金属の粉末は、複数の空隙を作成するために様々なサイズにすることができる-細胞成長のための経路を作成するためにいくつかは大きく、細胞の付着を促進するため、ラフ表面を作成するための小さいものもある。
【0063】
理解され得るように、ポリマーは、金属粉末とともに均一又は不均一に分散することができる。例えば、最終成形部品が均一な密度と細孔構造を持つ必要があるとき、ポリマー材料と金属粉末を一緒に固めてプレスする前に、ポリマー材料を金属粉末とともに均一に分散させ、その後、金属粉末を一緒に焼結して、金属構成要素又は医療機器を形成する。あるいは、形成された金属部品又は医療機器が、形成された部品又は医療機器の内部及び/若しくはその外表面上に、1つ以上のチャネル、通路及び/又は空隙を有することになるとき、ポリマーの少なくとも一部は金属粉末とともに均一に分散されてないが、その代わり成形部品又は医療機器の内部及び/若しくはその外表面上の、1つ以上のチャネル、通路及び/若しくは空隙になることとなる領域全体に集中しているか、又はそれを形成しており、その結果、ポリマーと金属粉末とが焼結されると、ポリマーの一部又はすべてが分解され、部品又は医療機器から除去され、それによって、そのような1つ以上のチャネル、通路及び/又は空隙を、形成された部品又は医療機器の外表面上及び/若しくは内部に形成する。従って、ポリマーを金属粉末と組み合わせて使用し、その後のプレス及び焼結を使用して、医療機器又は医療機器のニアネットフォームの新規かつカスタマイズされた形状を形成することができる。概して、ポリマーは、焼結工程前の固化及びプレスされた材料の約0.1~70体積%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を構成し、典型的には、ポリマーは、焼結工程前の固化及びプレスされた材料の約1~60体積%を構成し、より典型的には、ポリマーは、焼結工程前の固化及びプレスされた材料の約2~50体積%を構成し、さらにより典型的には、ポリマーは、焼結工程前の固化及びプレスされた材料の約2~45体積%を構成する。従って、焼結工程前にポリマーが固化及びプレスされた材料の約5体積%を構成し、焼結工程後にポリマーの少なくとも99%が分解されて部品又は医療機器から除去されるとき、その部品は、部品又は医療機器内に最大約5体積%の空洞及び/又は通路を含む可能性があるであろう。
【0064】
ポリマーの種類及び金属粉末の種類は、限定されない。ポリマー及び金属粉末は、細胞増殖のための経路を作成するために使用できる複数の空隙/通路/チャネルを作成するため、細胞の付着を促進するためのラフ表面を作成するため、空隙/通路/チャネルの1つ以上に生物剤(biological agent)を挿入するため、空隙/通路/チャネルなどの1つ以上に生物学的材料を挿入するため、に様々なサイズにすることができる。一の非限定的な実施形態では、ポリマーの平均粒径は金属粉末の平均粒径よりも大きい。
【0065】
本開示の別の非限定的な態様では、焼結処理後、ポリマーの少なくとも98体積%が熱分解され、及び/又は、焼結材料から除去され、典型的には、ポリマーの少なくとも99体積%が熱分解され、及び/又は、焼結材料から除去され、より典型的には、ポリマーの少なくとも99.5体積%が熱分解され、及び/又は、焼結材料から除去され、さらにより典型的には、ポリマーの少なくとも99.9体積%が熱分解され、及び/又は、焼結材料から除去され、さらにより典型的には、ポリマーの少なくとも99.95体積%が熱分解され、及び/又は、焼結材料から除去される。得られる部品又は医療機器は、ポリマー粒子のサイズに関連した多孔性と、焼結前のプレス時の混合物の均質性を有する。
【0066】
本開示の別の非限定的な態様では、焼結処理後、ポリマーの一部が医療機器の焼結部分に残る。医療機器の焼結部分に残っているポリマーは、任意に、何らかの所望の生物学的影響(例えば、封入による身体からの金属のマスキング、細胞の付着及び成長の促進)を有することができる。残りのポリマーには、焼結処理後も活性を維持する1つ以上の生物剤を任意に含めることができる。一の非限定的な実施形態では、焼結処理後、約5~97.5体積%のポリマー(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)が熱分解され、及び/又は、焼結材料から除去され、典型的には、ポリマーの約10~95体積%が熱分解されて焼結材料から除去され、より典型的には、ポリマーの約10~80体積%が熱分解されて焼結材料から除去される。
【0067】
本開示のさらなる及び/又は代替の非限定的な態様では、医療機器を少なくとも部分的に形成するために使用されるレニウム金属合金は、最初にブランク、ロッド、チューブなどに形成され、次に、1つ以上の仕上げプロセスによって最終形状に仕上げられる。レニウム金属合金のブランク、ロッド、チューブなどは、1)レニウム金属合金及び/若しくはレニウム金属合金を形成する金属を溶解し(例えば、真空アーク溶解など)、その後、レニウム金属合金をブランク、ロッド、チューブなどに押し出し及び/若しくは鋳造すること、2)レニウム金属合金及び/若しくはレニウム金属合金を形成する金属を溶解し、金属ストリップを形成し、次いでストリップを圧延及び溶接してブランク、ロッド、チューブなどにすること、又は、3)レニウム金属合金の金属粉末及び/若しくはレニウム金属合金を形成する金属の金属粉末をブランク、ロッド、チューブなどに固めること、のような様々な技術によって形成できるが、これらに限定されない。レニウム金属合金をブランクに成形するとき、ブランクの形状及びサイズは限定されない。一の非限定的なプロセスでは、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどを、金属又はレニウム金属合金の1つ以上のインゴットから形成することができる。一の非限定的なプロセスでは、アーク溶解処理(例えば、真空アーク溶解処理など)を使用して、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどを形成することができる。別の非限定的なプロセスでは、レニウム粉末及びタングステン粉末と、任意で、モリブデン粉末と、をるつぼ(例えば、シリカるつぼなど)に入れ、制御された雰囲気(例えば、真空環境、一酸化炭素環境、水素及びアルゴン環境、ヘリウム、アルゴンなど)下で誘導溶解炉によって加熱、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどを成形することができる。他のプロセス又は追加のプロセスを使用してレニウム金属合金を形成できることが理解されよう。一の非限定的な実施形態では、金属粉末の平均粒径は、約230メッシュ未満(例えば、63ミクロン未満)である。別の及び/又は代替の非限定的な実施形態では、金属粉末の平均粒径は約2~63ミクロン、より具体的には約5~40ミクロンである。理解され得るように、より小さな平均粒径を使用することができる。金属粉末の純度は、金属粉末に含まれる炭素、酸素、窒素のレベルが非常に低くなるように選択する必要がある。概して、レニウム金属合金を形成するために使用される金属粉末の炭素含有量は約100ppm未満、酸素含有量は約50ppm未満、窒素含有量は約20ppm未満である。典型的には、レニウム金属合金を形成するために使用される金属粉末は、少なくとも99.9、より典型的には、少なくとも約99.95の純度グレードを有する。次に、金属粉末の混合物を一緒にプレスして、レニウム金属合金の固溶体を形成し、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどを形成する。典型的には、プレス加工は静水圧プロセス(つまり、金属粉末のすべての側面から均一な圧力が加えられる)によって行われるが、他のプロセスを使用することもできる。金属粉末を静水圧的に一緒にプレスするとき、典型的には、冷間静水圧プレス(CIP)を使用して金属粉末を固めるが、これは必須ではない。プレス加工は、不活性雰囲気下で行われ得る。酸素還元雰囲気下(例えば、水素、アルゴン及び水素混合物など)及び/又は真空下で行うことができるが、これは必須ではない。金属粉末を一緒にプレスすることによって達成されるニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの平均密度は、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの最終平均密度の約80~95%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、又は、レニウム金属合金の最小理論密度の約70~96%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。少なくとも約300MPaのプレス圧力が、概して使用される。概して、プレス圧力は、約400~700MPaであるが、他の圧力も使用できる。金属粉末を一緒にプレスした後、プレスされた金属粉末は、少なくとも1600℃(例えば、1600~3500℃、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)の温度で焼結され、金属粉末を同時に部分的又は完全に融合させて、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどに形成される。固化金属粉末の焼結は、酸素還元雰囲気中(例えば、ヘリウム、アルゴン、水素、アルゴンと水素の混合物など)、及び/又は、真空下で行うことができるが、これは必須ではない。高い焼結温度では、高水素雰囲気により、形成されたニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの中の炭素と酸素の量が両方とも減少する。焼結金属粉末は、概して、レニウム金属合金の最小理論密度の約90~99%の焼結したままの平均密度を有する。典型的には、焼結レニウム金属合金は、少なくとも約5gm/ccの最終平均密度を有し、典型的には、少なくとも約8.3gm/ccであり、最大約16gm/cc又はそれ以上になる可能性があるが、これは必須ではない。形成されたニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの密度は、概して、使用されるレニウム金属合金の種類によって異なる。
【0068】
本開示のさらなる及び/又は代替の非限定的な態様では、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどは、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどが形成された後に、任意に洗浄及び/又は研磨することができるが、これは必須ではない。典型的には、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどは、さらに加工される前に洗浄及び/又は研磨されるが、これは必須ではない。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどのサイズ変更及び/又は焼きなましが行われるとき、サイズ変更及び/又は焼きなましされたニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどは、典型的には、変更又は焼きなましプロセスの各々の前及び/若しくは後に、又は、一連のサイズ変更並びに/又は焼きなましプロセスの後に、洗浄及び/又は研磨されるが、これは必須ではない。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの洗浄及び/又は研磨は、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの表面から不純物及び/又は汚染物質を除去するために使用される。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの加工中に、不純物及び汚染物質がレニウム金属合金に混入する可能性がある。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどに不純物及び汚染物質が不用意に混入すると、レニウム金属合金中に望ましくない量の炭素、窒素、及び/又は酸素、及び/又はその他の不純物が生じる可能性がある。レニウム金属合金に不純物及び汚染物質が含まれると、レニウム金属合金の早期の微小亀裂の発生、及び/又は、レニウム金属合金の1つ以上の物理的特性に対する悪影響(例えば、引張伸びの減少、延性の増加、脆性の増加など)の可能性がある。レニウム金属合金の洗浄は、1)溶剤(例えば、アセトン、メチルアルコールなど)を使用し、キムワイプ若しくはその他の適切なタオルでレニウム金属合金を拭くこと、2)レニウム金属合金を溶媒に少なくとも部分的にディッピング若しくはイマーシングし、次にレニウム金属合金を超音波洗浄することによる、及び/又は、3)レニウム金属合金を酸洗い溶液に少なくとも部分的にディッピング若しくはイマーシングすることによる、のような様々な技術によって行うことができるが、これらに限定されない。理解され得るように、レニウム金属合金は、他の方法又は追加の方法で洗浄することができる。レニウム金属合金を研磨するとき、レニウム金属合金は、概して、典型的には、酸溶液を含む研磨溶液を使用して研磨されるが、これは必須ではない。
【0069】
本開示のさらにさらなる及び/又は代替の非限定的な態様では、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどは、医療機器の所望の寸法にサイズ変更することができる。一の非限定的な実施形態では、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの断面積又は直径は、単一のステップ又は一連のステップによって、最終的なニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの寸法まで縮小される。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの外側断面積又は直径の縮小は、センタレス研削、旋削、電解研磨、引き抜き加工、研削、レーザー切断、シェービング、研磨、放電加工などによって得られる。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの外側断面積又は直径サイズは、1つ以上の引き抜き加工を使用することによって縮小できるが、これは必須ではない。引き抜き加工中、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの外側の断面積又は直径の縮小中に、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどに微小亀裂が形成されないように注意する必要がある。
【0070】
本開示のさらなる及び/又は代替の非限定的な態様では、引き抜き加工中にニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどを任意で窒化することができるが、これは必須ではない。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの窒化層は、引き抜き加工中に潤滑面として機能し、ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどの引き抜きを容易にすることができる。ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどは、典型的には、窒素又は窒素混合物の存在下で窒化される。
【0071】
本開示のさらに別の及び/又は代替の非限定的な態様では、レニウム金属合金ニアネット医療機器、ブランク、ロッド、チューブなどは、所望の医療機器に形成された後、医療機器の最終加工のため、洗浄、研磨、滅菌、窒化処理などを施されることができる。本開示の一の非限定的な実施形態では、医療機器は、電解研磨される。この実施形態の一の非限定的な態様では、医療機器は、研磨溶液にさらされる前に洗浄されるが、これは必須ではない。洗浄処理(使用時)は、1)溶剤を使用し、キムワイプ若しくはその他の適切なタオルで医療機器を拭くこと、及び/又は、2)医療機器を溶媒に少なくとも部分的にディッピング若しくはイマーシングし、次いで医療機器を超音波洗浄することによる、のような様々な技術によって実行できるが、これらに限定されない。理解され得るように、医療機器は、他の方法又は追加の方法で洗浄することができる。
【0072】
医療機器の全部又は一部を形成するためにレニウム金属合金を使用すると、他の材料で形成された医療機器と比較していくつかの利点が得られる。これらの利点には以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
・レニウム金属合金は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して強度及び/又は硬度が高いため、医療機器で使用されるレニウム金属合金の量が少なくても、異なる金属で形成された医療機器と比較して同様の強度を達成できる。従って、レニウム金属合金を使用することにより、医療機器の強度と耐久性を犠牲にすることなく、得られる医療機器をより小さく、よりかさばらないようにすることができる。医療機器は、より小さな外形を有することもできるため、より小さな領域、開口部及び/又は通路に挿入することができる。医療機器のフレーム又は他の部分を形成するためのレニウム金属合金のより薄いストラットは、ステンレス鋼、クロムコバルト合金又はチタン合金で形成されるときでは医療機器のより厚いストラット又は他の構造が必要となるであろう強度を有する、医療機器のフレーム又は他の部分を形成するために使用されることができる。
【0074】
・レニウム金属合金の強度の増加により、医療機器の半径方向の強度も増加する。例えば、医療機器の壁の厚さは、ステンレス鋼、コバルトとクロムの合金、又は、チタン合金で形成された厚い壁の医療機器と比較して、より薄くすることができ、同様又は向上した半径方向強度を達成することができる。
【0075】
・レニウム金属合金は、ステンレス鋼又はクロム-コバルト合金と比較して、医療機器の応力歪み特性、曲げ特性、伸び特性及び/又は柔軟性特性が向上しているため、医療機器の寿命が長くなる。例えば、医療機器は、医療機器が繰り返し曲げられるべき領域で使用することができる。レニウム金属合金による医療機器の物理的特性の向上により、このような頻繁な曲げ環境における医療機器の耐破壊性が向上する。これらの改善された物理的特性は、少なくとも部分的には、レニウム金属合金の組成、レニウム金属合金の粒径、レニウム金属合金の炭素、酸素及び窒素の含有量、並びに/又は、レニウム金属合金の炭素/酸素比に起因する。
【0076】
・レニウム金属合金は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して、医療機器の圧縮及び/又は拡張時の反動の度合いが軽減される。レニウム金属合金で形成された医療機器は、レニウム金属合金の使用により、その圧縮形状をよりよく維持し、及び/又は、拡張後のその拡張形状をよりよく維持する。従って、医療機器が圧縮されるときに医療機器が送達機器上に取り付けられることになるとき、医療機器は、体内通路への医療機器の挿入中にそのより小さな外形をよりよく維持する。また、医療機器は、拡張後にその拡張された外形をよりよく維持し、治療領域での医療機器の成功を促進する。
【0077】
・医療機器にレニウム金属合金を使用すると、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金で形成された医療機器と比較して、身体通路内で拡張されたときに不規則な形状の身体通路に医療機器がよりよく適合する。
【0078】
・レニウム金属合金は、ステンレス鋼又はコバルト-クロム合金などの標準的な材料と比較して放射線不透過性が向上しているため、医療機器にマーカー材料を使用する必要性が軽減又は不要になる。例えば、レニウム金属合金は、ステンレス鋼又はコバルト-クロム合金と比較して、少なくとも約10~20%放射線不透過性が高い。
【0079】
・レニウム金属合金では、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金、チタン合金の冷間加工と比較して、冷間加工を受けたときの疲労延性が向上する。
【0080】
・レニウム金属合金では、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金、チタン合金と比較して耐久性が向上する。
【0081】
・レニウム金属合金は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金、チタン合金と比較して親水性が向上する。
【0082】
・レニウム金属合金では、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して、体内通路でのイオン放出が減少する。
【0083】
・レニウム金属合金では、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金と比較して身体への刺激が少ないため、炎症を軽減し、治癒を早め、医療機器の成功率を高めることができる。医療機器が体の通路内で拡張すると、通路の内部にいくつかの軽度の損傷が発生する可能性がある。身体がそのような軽度の損傷を治癒し始めるとき、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金などの他の金属と比較して、レニウム金属合金の存在に対する身体の悪影響は少なくなる。
【0084】
少なくとも部分的にレニウム金属合金で形成された拡張可能な金属フレームを含む医療機器は、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金及びTiAlV合金で形成された拡張可能なフレームと比較して、反動量の減少、曲げ追従性の向上、及び、半径方向の強度の向上を示し、これにより、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金又はTiAlV合金で形成された拡張可能なフレームと比較して、以下の非限定的な利点が得られる。1)より薄いポスト、ストラット及び/若しくはストラットジョイントを備えた医療機器用のフレームの形成、その結果、i)医療機器を体の通路を通って治療領域に挿入する際の、より安全な血管アクセス、及び/若しくは、ii)医療機器が治療領域に送達されるとき、及び/若しくは、治療領域で拡張されるとき、出血及び/若しくは身体通路及び/若しくは治療領域への損傷のリスクの減少、2)医療機器の治療領域へのより容易な送達、その結果、i)治療領域での医療機器の挿入及び/若しくは拡張中の身体通路(例えば、血管、大動脈弓の外傷など)への外傷の減少、及び/若しくは、ii)神経合併症-脳卒中のリスクの減少ができる、3)反動が少なくなり、その結果、i)縮小された圧縮特性サイズ、ii)治療領域での拡張後の、拡張された医療機器の治療領域での適合性の向上、iii)治療領域での拡張後の医療機器のフレームの半径方向の強度の増加、iv)医療機器をバルーンカテーテル若しくは他の種類の送達機器上で圧縮するのに必要な圧縮サイクルが1回だけである、v)医療機器の圧縮、拡張及び操作中に、医療機器の構成要素(例えば、ストラット、ポスト、ストラットジョイント及び/若しくは拡張可能なフレームの他の構成要素、リーフレット、スカート、コーティングなど)への損傷の発生率の減少、vi)医療機器の拡張後の医療機器の有効オリフィス面積(EOA)の増大、vi)治療領域での医療機器の拡張後の肺動脈弁逆流(PVR)の減少、及び/若しくは、vii)医療機器を完全に拡張するには、バルーンカテーテル若しくはその他の拡張機構上のバルーンの拡張に必要なサイクルが1回だけである、並びに/又は、4)i)医療機器上若しくはその周りの組織の接着及び/若しくは成長を改善するため、ii)医療機器による有害な組織反応を軽減するため、iii)医療機器の毒性を軽減するため、iv)医療機器の寿命中に弁内血栓症を減少させる可能性があるため、及び/若しくは、v)医療機器の寿命中の感染の発生率を低減するため、優れた材料生物学的特性を備えた医療機器を作成すること。
【0085】
本開示によるレニウム金属合金を含む拡張可能医療機器(例えば、拡張可能心臓弁、ステントなど)などの医療機器は、コバルト-クロム合金、TiAlV合金及びステンレス鋼で形成される拡張可能医療機器に存在する、いくつかの満たされていないニーズを克服する。本開示による医療機器によって対処される、そのような満たされていないニーズは、以下を含む。1)圧縮された医療機器を心房血管若しくは他の血管に最初に挿入する際に、太い動脈若しくは他の血管に大きな穴を形成する必要がないため、治療中の致死的出血の発生率が減少すること、2)コバルト-クロム合金、TiAlV合金及びステンレス鋼で形成された医療機器よりも小さく、圧縮特性が低減された医療機器(例えば、ステント、人工心臓弁など)を作成することにより、心臓弁における石灰化及び/若しくは動脈血管における石灰化及び/若しくはプラークに起因する、異常な形状の心臓弁内若しくは異常な形状の動脈血管を通して、医療機器を送達及び移植させることを可能にすること、3)コバルト-クロム合金、TiAlV合金及びステンレス鋼で形成された従来技術の人工心臓弁と比較して、人工心臓弁の拡張時に異常な形状の心臓弁オリフィスの形状によりよく追従する、レニウム金属合金で形成されたフレームを使用することにより、医療機器が治療領域内で拡張されるとき、埋め込まれた医療機器の周囲の弁周囲の漏れ及び/若しくは他の種類の漏れの発生率を低減させ、それにより、脳卒中の発生率が減少し、及び/若しくは、移植された医療機器の成功率が増加すること、4)拡張可能なフレーム内の拡張されたストラット、ポスト及び/若しくはストラットジョイントの半径方向の強度、及び、医療機器の拡張後の拡張可能なフレーム自体の強度を改善すること、5)医療機器の拡張可能なフレームの圧縮及び/若しくは拡張中の拡張可能なフレームの反動の量を低減すること、6)恒久的なペースメーカーを備えた心臓で医療機器を使用できるようにすること、7)治療領域での医療機器の挿入及び操作中の軽度の脳卒中の発生率を低減すること、8)冠動脈口損傷の発生率を低減させること、9)短縮化を改善すること、10)医療機器の移植後のさらなる大動脈弁石灰化及び/若しくは血管内の石灰化を軽減すること、11)医療機器をカテーテル若しくは他の種類の送達システムに挿入する際に、複数回の圧縮サイクルの必要性を軽減すること、12)医療機器の圧縮及び/若しくは拡張中のフレーム/ステントの破損の発生率を低減すること、13)医療機器の埋め込み後のバイオフィルム心内膜炎の発生率を低減すること、14)医療機器の移植後の医療機器に対するアレルギー反応を軽減すること、15)医療機器の親水性を改善して、埋め込まれた医療機器上及び/若しくはその周りの組織成長を改善すること、16)医療機器の磁化率を低減すること、17)医療機器の毒性を軽減すること、18)医療機器から放出される金属イオンの量を低減すること、並びに/又は、19)医療機器の挿入後の小葉及び/若しくはステント/フレーム及び/若しくは医療機器の他の構成要素の寿命を延ばすこと。
【0086】
本開示の一の非限定的な目的は、医療機器を部分的又は完全に形成するために使用できる、本開示によるレニウム金属合金を提供することである。
【0087】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、部分的又は完全に本開示のレニウム金属合金で形成され、処置の成功率が向上した医療機器を提供することである。
【0088】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金の加工中に微小亀裂の形成を抑制又は防止する、本開示によるレニウム金属合金を形成するための方法及びプロセスを提供することである。
【0089】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、本開示に従って部分的又は完全にレニウム金属合金で形成された医療機器を提供することであり、医療機器は、改善された物理的特性を有する。
【0090】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、本開示によるレニウム金属合金で少なくとも部分的に形成される医療機器を提供することであり、医療機器は、強度及び/又は硬度が増加している。
【0091】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、本開示によるレニウム金属合金を少なくとも部分的に含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金により、従来の医療機器と比較して医療機器の強度を犠牲にすることなく、より少ない材料で医療機器を形成することができる。
【0092】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を医療機器に加工する際に発生する、レニウム金属の加工中の微小亀裂の形成を抑制又は防止するため、本開示に従ってレニウム金属合金を形成するための方法及びプロセスを提供することである。
【0093】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金の亀裂伝播及び/又は疲労破壊を抑制又は防止する、本開示によるレニウム金属合金を形成するための方法及びプロセスを提供することである。
【0094】
レニウム金属合金の外表面上に窒化層を形成する窒化処理を有するレニウム金属合金を含む医療機器を提供することである。
【0095】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、耐火物合金は、スエージング加工を受けている。
【0096】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、耐火物合金は、冷間加工プロセスを受けている。
【0097】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して強度及び/又は硬度が増大したレニウム金属合金を含む医療機器を提供することである。
【0098】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、それにより、異なる金属で形成された医療機器と比較して、同様の強度を達成するのに必要なレニウム金属合金の量が少ない。
【0099】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、異なる金属で形成された医療機器と比較して、より小さな圧縮形状を有する。
【0100】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することである。医療機器は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金で形成された厚い壁の医療機器と比較して、より薄い壁を有していても、同様の又は向上した半径方向強度を達成する。
【0101】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、チタン鋼又はクロム-コバルト合金で形成された医療機器と比較して、改善された応力歪み特性、曲げ特性、伸び特性及び/又は柔軟性特性を有する。
【0102】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、チタン鋼又はクロム-コバルト合金で形成された医療機器と比較して寿命が長い。
【0103】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して、医療機器の圧縮及び/又は拡張中の反動の度合いが低い。
【0104】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金で形成された医療機器と比較して、身体通路内で拡張されたときに不規則な形状の身体通路によく適合する。
【0105】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金の冷間加工と比較して、冷間加工を受けたときの疲労延性が向上している。
【0106】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して耐久性が向上している。
【0107】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して改善された親水性を有する。
【0108】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、クロム-コバルト合金又はチタン合金と比較して、体内通路内でのイオン放出が低減されている。
【0109】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、医療機器は、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金と比較して身体への刺激が少ないため、炎症が軽減され、治癒が早くなり、医療機器の成功率が向上する。
【0110】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含む。
【0111】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含み、前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上である。
【0112】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、合金化金属の合計重量割合は、レニウム金属合金の5~45重量%であり、前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上である。
【0113】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、合金化金属の合計重量割合よりも大きい。
【0114】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金中のレニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%である。
【0115】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、クロムを含む。
【0116】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属とを含む。
【0117】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、1つ以上の合金化エージェントは、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つの金属と、を含み、クロムの原子比率は、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属の原子比率に対して0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0118】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、1つ以上の合金化エージェントは、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む。
【0119】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、第1の金属と第2の金属とは異なる。
【0120】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、第1の金属と第2の金属とは異なり、第1の金属対第2の金属の原子比率は、0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0121】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデンと、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、第1の金属対第2の金属の原子比率は、0.4:1~2.5:1(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0122】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウムと、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金は、0.1重量%未満の金属及び不純物を含む。
【0123】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金は、レニウム金属合金中の微小亀裂を低減するために制御された量の窒素、酸素及び炭素を有し、レニウム金属合金中の窒素含有量は、レニウム金属合金中の酸素と炭素との合計含有量よりも少なく、レニウム金属合金は、少なくとも約1.2:1の酸素対窒素の原子比率を有し、レニウム金属合金は、少なくとも約2:1の炭素対窒素の原子比率を有する。
【0124】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの生物剤を含む。
【0125】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含む医療機器の少なくとも1つの領域を含む。
【0126】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含み、少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの生物剤に少なくとも部分的にコーティング、封入又はそれらの組み合わせを施す。
【0127】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器の少なくとも1つの領域は、医療機器の外表面に少なくとも1つの微小構造体を含む。
【0128】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器の少なくとも1つの領域は、医療機器の外表面に少なくとも1つの微小構造体を含み、少なくとも1つの微小構造体は、ポリマー、エージェント又はそれらの組み合わせからなる材料から少なくとも部分的に形成され、その材料を含み、又は、それらの組み合わせの構成である。
【0129】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器は、拡張可能なフレームを含む。
【0130】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器は、拡張可能なフレームを含み、拡張可能なフレームは、複数のストラットを含む。
【0131】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器は、拡張可能なフレームを含み、拡張可能なフレームは、圧縮状態にあるときの拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成される。
【0132】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器は、拡張可能なフレームを含み、拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後の反動が5%未満である。
【0133】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器は、拡張可能なフレームを含み、拡張可能なフレームは、圧縮状態から拡張状態に拡張された後の反動が5%未満である。
【0134】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金は、親水性を有し、レニウム金属合金の表面上の水滴の接触角は、25~45°(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)である。
【0135】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入又は埋め込まれたときに、レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量が1日当たり0.5μg/cm以下であり、レニウム合金の主成分は、レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成するレニウム合金中の金属である。
【0136】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入又は埋め込まれてから50日以内の医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す。
【0137】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である。
【0138】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、1つ以上の合金化金属は、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択され、レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、合金化金属の合計重量割合は、レニウム金属合金の5~45重量%であり、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、合金化金属の合計重量割合より大きく、レニウム金属合金中のレニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%である。
【0139】
本開示の別の及び/又は代替の非限定的な目的は、レニウム金属合金を含む医療機器を提供することであり、レニウム金属合金は、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含み、レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入又は埋め込まれたときに、レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量が1日当たり0.5μg/cm以下であり、レニウム合金の主成分は、レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成するレニウム合金中の金属である。
【0140】
これら及び他の利点は、この説明を読んで以下に読むことにより当業者には明らかになるであろう。
【0141】
明確にするために、以下の説明では特定の用語が使用されるが、これらの用語は、図面で説明するために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を定義又は制限することを意図するものではない。図面及び以下の説明において、同様の番号指定は同様の機能の構成要素を指すことが理解される。
【0142】
単数形「a」「an」「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0143】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む」という用語には、「からなる」及び「本質的にからなる」実施形態を含むことができ、本明細書で使用される「備える」、「含む」、「有している」、「有する」、「できる」、「有する」という用語及びその変形は、指定された成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を許容する、無制限の移行句、用語又は単語であることを意図している。しかし、そのような説明は、組成物又はプロセスを、列挙された成分/ステップ「からなる」及び「本質的にからなる」とも記載しているものと解釈されるべきであり、これにより、結果として生じる可能性のある不可避的不純物とともに、指定された成分/ステップのみが存在することが許容され、他の成分/ステップは除外される。
【0144】
本出願の明細書及び特許請求の範囲における数値は、同じ有効数字に換算したときに同じ数値、及び、値を決定するために本出願に記載されている型の従来の測定技術の実験誤差未満で記載された数値と異なる数値を含むものと理解されるべきである。
【0145】
本明細書に開示されるすべての範囲は、列挙された終点を含み、独立して組み合わせることができる(例えば、「2グラムから10グラムまで」の範囲は、終点、2グラム及び10グラム、並びに、すべての中間値を含む)。
【0146】
「約」及び「およそ」という用語は、その値の基本的な機能を変更することなく変化する可能性のある任意の数値を含むために使用できる。範囲とともに使用されるとき、「約」及び「およそ」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲も開示し、例えば、「約2から約4」は、「2から4まで」の範囲も開示する。概して、「約」及び「およそ」という用語は、示された数値のプラス又はマイナス10%を指してもよい。
【0147】
別段の明示的な記載がない限り、元素のパーセンテージは、記載された元素の重量割合であると想定されるべきである。
【0148】
本開示の一の非限定的な目的では、レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金が提供される。
【0149】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上である。
【0150】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、合金化金属の合計重量割合は、レニウム金属合金の5~45重量%である。
【0151】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、合金化金属の合計重量割合よりも大きい。
【0152】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金中のレニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%である。
【0153】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、合金化金属は、クロムを含む。
【0154】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つの金属と、を含む。
【0155】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、クロムの原子比率は、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属の原子比率に対して0.4:1~2.5:1である。
【0156】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、合金化金属は、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む。
【0157】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、クロムの原子比率は、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属の原子比率に対して0.4:1~2.5:1である。
【0158】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、第1の金属と第2の金属とは異なり、第1の金属の原子比率は、第2の金属に対して0.4:1~2.5:1である。
【0159】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、第1の金属と第2の金属とは異なり、第1の金属の原子比率は、第2の金属に対して0.4:1~2.5:1である。
【0160】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、0.1重量%未満の金属及び不純物を含む。
【0161】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、Reの原子比率は、合金化金属の総含有量に対して0.8:1~1.25:1である。
【0162】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、レニウム金属合金中の微小亀裂を低減するために制御された量の窒素、酸素及び炭素を有し、レニウム金属合金中の窒素含有量は、レニウム金属合金中の酸素と炭素との合計含有量よりも少なく、レニウム金属合金は、少なくとも約1.2:1の酸素対窒素原子比率を有し、レニウム金属合金は、少なくとも約2:1の炭素対窒素原子比率を有する。
【0163】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用される。
【0164】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用され、医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの生物剤を含む。
【0165】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用され、医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含む。
【0166】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用され、医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含み、少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの生物剤に、少なくとも部分的にコーティング、封入又はそれらの組み合わせを施す。
【0167】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用され、少なくとも1つの微小構造体が、医療機器の外表面に配置され、少なくとも1つの微小構造体は、任意で、ポリマー、エージェント又はそれらの組み合わせからなる材料から少なくとも部分的に形成されるか、それらを含むか、又は、それらの組み合わせの構成である。
【0168】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用され、医療機器は、レニウム金属合金で形成された拡張可能なフレームを含み、拡張可能なフレームは、複数のストラットを含み、拡張可能なフレームは、任意で、圧縮状態にあるときの拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成され、拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後、任意で5%未満の反動(例えば、0.1~4.99、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を有し、拡張可能なフレームは、圧縮状態から拡張状態に拡張された後、任意で5%未満の反動(例えば、0.1~4.99、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)を有し、レニウム金属合金は、任意で親水性を有し、レニウム金属合金の表面上の水滴の接触角は、25~45°(例えば、0.1~4.99、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金は、任意で、患者の身体の上又は内部に挿入又は移植されたときに、1日当たり0.5μg/cm以下(例えば、1日あたり0.001~0.5μg/cm、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)のレニウム金属合金の主成分の最大イオン放出を有し、主成分は、レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、レニウム金属合金は、任意で、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内の、医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す。
【0169】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、少なくとも部分的に医療機器を形成するために使用され、医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である。
【0170】
本開示の別の非限定的な目的では、レニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属を含むレニウム金属合金が提供され、レニウム金属合金は、医療機器を少なくとも部分的に形成するために任意に使用され、1つ以上の合金化金属は、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択され、レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、任意で、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、合金化金属の合計重量割合は、レニウム金属合金の5~45重量%(並びにそれらの間のすべての値及び範囲)であり、レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、合金化金属の合計重量割合よりも任意に大きく、レニウム金属合金中のレニウム、モリブデン及び1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%であり、レニウム金属合金は、任意で、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたときに、1日あたり0.5μg/cm以下(例えば、1日あたり0.001~0.5μg/cm、並びにそれらの間のすべての値及び範囲)のレニウム金属合金の主成分の最大イオン放出を有し、主成分は、レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成する。
【0171】
前述の説明から明らかとなった目的のうち、上記の目的が効果的に達成されることが分かるであろう。また、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、説明した構造に特定の変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることを意図している。本開示は、好ましい実施形態及び代替実施形態を参照して説明された。修正及び変更は、本明細書に提供される開示の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者には明らかになるであろう。本開示は、本開示の範囲内にある限り、そのような修正及び変更をすべて含むものとする。また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された開示の一般的及び特定の特徴のすべて、並びに、用語の問題として、それらの間にあると言われる開示の範囲のすべての記述を網羅することを意図していることも理解されるべきである。
【0172】
(付記)
(付記1)
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、前記モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%である、
レニウム金属合金。
【0173】
(付記2)
前記合金化金属は、クロムを含む、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0174】
(付記3)
前記合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0175】
(付記4)
前記合金化金属は、クロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
付記2に記載のレニウム金属合金。
【0176】
(付記5)
前記クロムの原子比率対ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記3に記載のレニウム金属合金。
【0177】
(付記6)
前記クロムの原子比率対ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記4に記載のレニウム金属合金。
【0178】
(付記7)
前記合金化金属は、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0179】
(付記8)
前記合金化金属は、クロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
付記2~6のいずれか1つに記載のレニウム金属合金。
【0180】
(付記9)
前記クロムの原子比率対ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記7に記載のレニウム金属合金。
【0181】
(付記10)
前記クロムの原子比率対ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記8に記載のレニウム金属合金。
【0182】
(付記11)
前記合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0183】
(付記12)
前記合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記2~10のいずれか1つに記載のレニウム金属合金。
【0184】
(付記13)
前記合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0185】
(付記14)
前記合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
付記2~12のいずれか1つに記載のレニウム金属合金。
【0186】
(付記15)
前記レニウム金属合金は、0.1重量%未満の金属及び不純物を含む、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0187】
(付記16)
前記レニウム金属合金は、0.1重量%未満の金属及び不純物を含む、
付記2~14のいずれか1つに記載のレニウム金属合金。
【0188】
(付記17)
レニウム対前記合金化金属の総含有量の原子比率は0.8:1~1.25:1である、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0189】
(付記18)
レニウム対前記合金化金属の総含有量の原子比率は0.8:1~1.25:1である、
付記2~16のいずれか1つに記載のレニウム金属合金。
【0190】
(付記19)
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金中の微小亀裂を低減するために制御された量の窒素、酸素及び炭素を有し、前記レニウム金属合金中の窒素含有量は、前記レニウム金属合金中の酸素と炭素との合計含有量よりも少なく、前記レニウム金属合金は、少なくとも約1.2:1の酸素対窒素の原子比率を有し、前記レニウム金属合金は、少なくとも約2:1の炭素対窒素の原子比率を有する、
付記1に記載のレニウム金属合金。
【0191】
(付記20)
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金中の微小亀裂を低減するために制御された量の窒素、酸素及び炭素を有し、前記レニウム金属合金中の窒素含有量は、前記レニウム金属合金中の酸素と炭素との合計含有量よりも少なく、前記レニウム金属合金は、少なくとも約1.2:1の酸素対窒素の原子比率を有し、前記レニウム金属合金は、少なくとも約2:1の炭素対窒素の原子比率を有する、
付記2~18のいずれか1つに記載のレニウム金属合金。
【0192】
(付記21)
付記1に記載のレニウム金属合金から少なくとも部分的に形成された医療機器。
【0193】
(付記22)
付記2~20のいずれか1つに記載のレニウム金属合金から少なくとも部分的に形成された医療機器。
【0194】
(付記23)
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの生物剤及び/又は少なくとも1つのポリマーを含む、
付記21に記載の医療機器。
【0195】
(付記24)
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの生物剤及び/又は少なくとも1つのポリマーを含む、
付記22に記載の医療機器。
【0196】
(付記25)
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含み、前記少なくとも1つのポリマーは、前記少なくとも1つの生物剤に少なくとも部分的にコーティング、封入又はそれらの組み合わせを施す、
付記23に記載の医療機器。
【0197】
(付記26)
前記医療機器の少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのポリマーを含み、前記少なくとも1つのポリマーは、前記少なくとも1つの生物剤に少なくとも部分的にコーティング、封入又はそれらの組み合わせを施す、
付記24に記載の医療機器。
【0198】
(付記27)
前記医療機器の外表面上に少なくとも1つの微小構造体をさらに含む、付記21に記載の医療機器。
【0199】
(付記28)
前記医療機器の外表面上に少なくとも1つの微小構造体をさらに含む、付記22~26のいずれか1つに記載の医療機器。
【0200】
(付記29)
前記少なくとも1つの微小構造体は、ポリマー、エージェント又はそれらの組み合わせからなる材料から少なくとも部分的に形成される、それらを含む、又は、それらの組み合わせである、
付記27に記載の医療機器。
【0201】
(付記30)
前記少なくとも1つの微小構造体は、ポリマー、エージェント又はそれらの組み合わせからなる材料から少なくとも部分的に形成される、それらを含む、又は、それらの組み合わせである、
付記28に記載の医療機器。
【0202】
(付記31)
前記医療機器は、レニウム金属合金から形成された拡張可能なフレームを含み、
前記拡張可能なフレームは、複数のストラットを含み、
前記拡張可能なフレームは、圧縮状態にあるときの前記拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの前記拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成され、
前記拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後の反動が5%未満であり、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態から前記拡張状態に拡張した後の反動が5%未満であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す、
付記21に記載の医療機器。
【0203】
(付記32)
前記医療機器は、レニウム金属合金で形成された拡張可能なフレームを含み、
前記拡張可能なフレームは、複数のストラットを含み、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態にあるときの前記拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの前記拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成され、
前記拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後の反動が5%未満であり、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態から前記拡張状態に拡張した後の反動が5%未満であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の前記身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す、
付記22~30のいずれか1つに記載の医療機器。
【0204】
(付記33)
前記医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である、
付記31に記載の医療機器。
【0205】
(付記34)
前記医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である、
付記33に記載の医療機器。
【0206】
(付記35)
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%であり、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成する、
レニウム金属合金。
【0207】
(付記36)
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、前記モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示し、
前記レニウム金属合金は、前記拡張可能なフレームに形成されたとき、拡張可能なフレームが第1の圧縮プロセスを受けた後、5%未満の反動を示し、
前記レニウム金属合金は、前記拡張可能なフレームに形成されたとき、拡張可能なフレームが圧縮状態から拡張状態に拡張された後、5%未満の反動を示す、
レニウム金属合金。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レニウムと、モリブデンと、ビスマス、クロム、銅、ハフニウム、イリジウム、マンガン、ニオブ、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、テクネチウム、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の合金化金属と、を含むレニウム金属合金であって、
前記レニウム金属合金中のレニウムと合金金属との合計重量割合は、前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合以上であり、
前記レニウム金属合金中のモリブデンの重量割合は、少なくとも10重量%かつ60重量%未満であり、
前記レニウム金属合金中のレニウムの重量割合は、35~60重量%であり、
前記合金化金属の合計重量割合は、前記レニウム金属合金の5~45重量%であり、
前記レニウム金属合金中の前記レニウムの重量割合は、前記合金化金属の前記合計重量割合よりも大きく、
前記レニウム金属合金中の前記レニウム、前記モリブデン及び前記1つ以上の合金化金属の合計重量割合は、少なくとも99.9重量%であり、
前記クロムの原子比率対ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
レニウム金属合金。
【請求項2】
前記合金化金属は、少なくとも1重量%のクロムと、ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項3】
前記クロムの原子比率対ビスマス、ジルコニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン及びイットリウムからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.5:1~2:1である、
請求項に記載のレニウム金属合金。
【請求項4】
前記合金化金属は、少なくとも1重量%のクロムと、ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される1つ以上の金属と、を含む、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項5】
前記クロムの原子比率対ジルコニウム、ニオブ及びタンタルからなる群から選択される前記1つ以上の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項に記載のレニウム金属合金。
【請求項6】
前記合金化金属は、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項7】
前記合金化金属は、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第1の金属と、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムからなる群から選択される第2の金属と、を含み、
前記第1の金属と前記第2の金属とは異なり、
前記第1の金属対前記第2の金属の原子比率は0.4:1~2.5:1である、
請求項1に記載のレニウム金属合金。
【請求項8】
レニウム対前記合金化金属の総含有量の原子比率は0.8:1~1.25:1である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のレニウム金属合金。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の金属合金を含む医療機器であって、
前記金属合金は、少なくとも35重量%のレニウムと、少なくとも1重量%のクロムと、ビスマス、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選択される1つ以上の添加剤と、を含み、
前記金属合金は、0~0.1重量%の二次材料を含み、
前記二次材料は、a)レニウム、ビスマス、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム及びイリジウム以外の金属、b)炭素、c)酸素、並びに、d)窒素、からなる群から選択される、
医療機器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の金属合金を含む医療機器であって、
前記金属合金は、少なくとも35重量%のレニウムと、少なくとも1重量%のクロムと、ビスマス、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、イットリウム及びジルコニウムからなる群から選択される1つ以上の添加剤と、を含み、
前記金属合金は、0~0.1重量%の二次材料を含み、
前記二次材料は、a)レニウム、ビスマス、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、イットリウム及びジルコニウム以外の金属、b)炭素、c)酸素、並びに、d)窒素、からなる群から選択される、
医療機器。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の金属合金を含む医療機器であって、
前記医療機器は、少なくとも部分的にレニウム金属合金から形成されたフレーム又は本体を含み、
前記医療機器は、前記フレームを含む心臓弁、前記本体を含むステントであり、
前記フレーム又は前記本体は、圧縮状態から拡張可能であり、
前記レニウム金属合金は、少なくとも35重量%のレニウムと、少なくとも1重量%のクロムと、ビスマス、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム及びイリジウムからなる群から選択される1つ以上の添加剤と、を含み、
前記レニウム金属合金は、0~2重量%の二次材料を含み、
前記二次材料は、a)レニウム、ビスマス、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ハフニウム、オスミウム及びイリジウム以外の金属、b)炭素、c)、酸素、並びに、d)窒素からなる群から選択され、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれた場合、1日あたり0.5μg/cm 以下の最大イオン放出量を有し、
前記レニウム金属合金から少なくとも部分的に形成された前記フレーム又は前記本体は、前記フレーム又は前記本体が前記可能なフレームが第1の圧縮プロセスを受けてから拡張された後、5%未満の反動を示し、
前記レニウム金属合金は、拡張可能なフレームに形成されたとき、前記圧縮状態から前記拡張状態まで拡張した後に5%未満の反動を示す、
医療機器。
【請求項12】
前記レニウム金属合金は、モリブデン、ビスマス、クロム、イリジウム、ニオブ、タンタル、チタン、イットリウム及びジルコニウムの群から選択される少なくとも2つの添加剤を含み、
前記二次金属は、前記レニウム金属合金の0~0.1重量%を構成する、
請求項11に記載の医療機器。
【請求項13】
前記レニウム金属合金は、モリブデン、クロム、ニオブ、タンタル及びジルコニウムの群から選択される少なくとも3つの金属を含み、
前記二次金属は、前記レニウム金属合金の0~0.1重量%を構成する、
請求項11に記載の医療機器。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載の金属合金を含む医療機器であって、
前記医療機器は、レニウム金属合金から形成された拡張可能なフレームを含み、
前記拡張可能なフレームは、複数のストラットを含み、
前記拡張可能なフレームは、圧縮状態にあるときの前記拡張可能なフレームの最大外径が、拡張状態まで完全に拡張したときの前記拡張可能なフレームの最大外径よりも小さくなるように、圧縮状態に圧縮されるように構成され、
前記拡張可能なフレームは、第1の圧縮プロセスを受けた後の反動が5%未満であり、
前記拡張可能なフレームは、前記圧縮状態から前記拡張状態に拡張した後の反動が5%未満であり、
前記レニウム金属合金は、前記レニウム金属合金の表面上における水滴の接触角が25~45°である親水性を有し、
前記レニウム金属合金は、患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれたとき、1日当たり0.5μg/cm以下の前記レニウム金属合金の主成分の最大イオン放出量を有し、
前記主成分は、前記レニウム金属合金の少なくとも2重量%を構成し、
前記レニウム金属合金は、前記患者の身体の上又は内部に挿入され又は埋め込まれてから50日以内に、前記医療機器の周囲の組織におけるレニウム金属合金の用量当たりのイオン放出の絶対的な増加を示す、
療機器。
【請求項15】
前記医療機器は、拡張可能なステント又は拡張可能な人工心臓弁である、
請求項14に記載の医療機器。
【国際調査報告】