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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】干渉レンズアライナ及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02055 20220101AFI20240806BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240806BHJP
   G01J 9/02 20060101ALI20240806BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20240806BHJP
   G01J 3/45 20060101ALI20240806BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
G01B9/02055
G01B11/24 D
G01J9/02
G01J3/02 C
G01J3/45
G02B7/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505395
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022037777
(87)【国際公開番号】W WO2023009372
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,449
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598176743
【氏名又は名称】ザイゴ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ZYGO CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リーゼナー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】タウンリー-スミス、ポール エイ.
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
2G020
2H043
【Fターム(参考)】
2F064AA15
2F064BB03
2F064DD09
2F064EE01
2F064GG22
2F064JJ01
2F064JJ15
2F065AA46
2F065CC22
2F065FF52
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065QQ01
2F065QQ03
2F065QQ16
2F065QQ21
2F065QQ24
2G020CA12
2G020CC22
2G020CD16
2H043AD03
2H043AD12
2H043AD23
(57)【要約】
マルチコンポーネントアセンブリの1つ以上の光学コンポーネントのアライメントに関する情報を求めるための方法及び装置が開示され、1つ以上の光学コンポーネントの少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面を含む少なくとも3つの光波面の組み合わせから生成される光干渉パターンを検出することと、検出された光干渉パターンから導出された情報を、選択された光学面のアライメントに対応する情報を計算的に分離するために、少なくとも2つの表面のうちの少なくとも1つの選択された光学面のモデルから導出された少なくとも1つのシミュレートされた光波面を用いて、計算処理することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコンポーネントアセンブリの1つ以上の光学コンポーネントのアライメントに関する情報を求めるための方法であって、
a.前記1つ以上の光学コンポーネントの少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面を含む少なくとも3つの光波面の組み合わせから生成される光干渉パターンを検出することと、
b.検出された前記光干渉パターンから導出された情報を、前記少なくとも2つの表面のうちの少なくとも1つの選択された光学面のモデルから導出された少なくとも1つのシミュレートされた光波面を用いて計算処理して、前記選択された光学面のアライメントに対応する情報を計算的に分離することと、を備える方法。
【請求項2】
前記計算的に分離された情報が、前記選択された光学面の相対アライメントに対応する支配的なピークを有する強度画像として表すことができる空間周波数分布に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理することが、前記支配的なピークを有する前記強度画像に対応する前記計算的に分離された情報をもたらすための空間周波数座標への変換を含み、
前記強度画像における前記支配的なピークの位置及び形状の少なくとも一方が、前記選択された光学面の前記相対アライメントに関する前記情報を提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計算的に分離された情報を使用して、前記マルチコンポーネントアセンブリの前記1つ以上の光学コンポーネントの前記アライメントが仕様公差内であるかどうかを判定することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記計算的に分離された情報に基づいて、前記マルチコンポーネント光学アセンブリ内の別のコンポーネントに対する前記選択された光学面を含む前記光学コンポーネントの位置を調整することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光干渉パターンを生成するために、前記少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる前記少なくとも2つの光波面を、共通光源から得られた参照光波面と組み合わせることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記共通光源が、前記マルチコンポーネントアセンブリにおける2つの隣接する光学面間の光学距離よりも短いコヒーレンス長を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記共通光源が、前記マルチコンポーネントアセンブリにおける2つの隣接する光学面間の光学距離よりも長く、前記マルチコンポーネントアセンブリにおける2つの隣接しない光学面間の光学距離よりも短いコヒーレンス長を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記モデルが、前記選択された光学面から反射された光波面についての位相プロファイルを推定するのに十分な情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記光干渉パターンを生成するために、前記少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる前記少なくとも2つの光波面を、共通光源から得られる参照光波面と組み合わせることをさらに備え、
前記モデルが、前記参照光波面についての位相プロファイルを推定するのに十分な情報をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの選択された光学面について既知の情報が、前記少なくとも1つの選択された光学面についての曲率半径及び任意の非球面係数に関する情報を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シミュレートされた光波面が、推定された位相プロファイルと1つの他の位相プロファイルとの間の位相差に対応する位相変化を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つの他の位相プロファイルが、参照波面の位相プロファイルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出された光干渉パターンから導出された前記情報が、空間分解強度プロファイル又は空間分解複素振幅プロファイルであり、
前記計算処理することが、
前記空間分解強度プロファイル又は前記空間分解複素振幅プロファイルに前記シミュレートされた光波面を乗算するステップと、
前記乗算するステップからの空間分解積を空間座標から空間周波数座標に変換して、前記選択された光学面に対応する支配的なピークを有する前記空間周波数座標における強度画像を取得するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記計算処理することが、前記強度画像の中心に対する前記強度画像における少なくとも前記支配的なピークの位置に基づいて、指定されたアライメントからの前記選択された表面のチルト及び偏心の少なくとも一方を推定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記計算処理することが、前記強度画像における少なくとも前記支配的なピークのぶれに基づいて、指定されたアライメントからの前記選択された表面の軸方向アライメント誤差を推定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記選択された光学面について反復的に改善されたシミュレートされた光波面を用いて前記計算処理を繰り返すことをさらに含み、
前記反復的に改善されたシミュレートされた光波面が、前記選択された光学面に関する前記モデルと、前記選択された光学面の相対アライメントに関する情報を提供する、以前に得られた計算的に分離された前記情報とから導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
複数の選択された光学面のそれぞれについて計算的に分離された前記情報を求めるために、少なくとも1つの追加の選択された光学面について前記処理を繰り返すことをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の選択された光学面の前記処理が、前記複数の選択された光学面についての前記計算的に分離された情報及び前記モデルに基づいて、前記複数の選択された光学面の前記アライメントに関する情報を同時に求めるための回帰分析を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の選択された光学面のアライメントに関する前記計算的に分離された情報に基づいて、前記複数の光学コンポーネントのそれぞれの位置を調整することをさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
互いにゼロでない角度αをなす少なくとも2つの測定ビームで前記マルチコンポーネントアセンブリを照明して、前記光干渉パターンを生成することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記計算処理することが、前記選択された表面についての計算的に分離されたホログラムにおける情報及び前記ゼロでない角度αに基づいて、前記選択された光学面についての曲率半径を求めるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
異なる波長を有する2つの測定ビームで前記マルチコンポーネントアセンブリを照明して、同じく前記異なる波長を有する対応する参照ビームを用いて前記光干渉パターンを生成することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項24】
構造化された空間プロファイルを有する測定ビームで前記マルチコンポーネントアセンブリを照明して、前記光干渉パターンを生成することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項25】
測定ビームで前記マルチコンポーネントアセンブリを照明して、参照ビームを用いて前記光干渉パターンを生成することをさらに備え、
前記参照ビームについての強度に比べて前記測定ビームの強度が増強される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
マルチコンポーネントアセンブリの1つ以上の光学コンポーネントのアライメントに関する情報を求める装置であって、前記装置は、
a.干渉光学系であって、前記1つ以上の光学コンポーネントの少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面を含む少なくとも3つの光波面の組み合わせから生成される光干渉パターンを検出する干渉光学系と、
b.1つ以上の電子プロセッサであって、前記干渉光学系に結合されており、検出された前記光干渉パターンから導出された情報を、前記少なくとも2つの表面のうちの少なくとも1つの選択された光学面のモデルから導出された少なくとも1つのシミュレートされた光波面を用いて計算処理して、選択された光学面のアライメントに対応する情報を計算的に分離するように構成された1つ以上の電子プロセッサと、を備える装置。
【請求項27】
前記検出された光干渉パターンから導出された前記情報が、空間分解強度プロファイル又は空間分解複素振幅プロファイルであり、
前記計算処理することが、
前記空間分解強度プロファイル又は前記空間分解複素振幅プロファイルに前記シミュレートされた光波面を乗算することと、
前記乗算からの空間分解積を空間座標から空間周波数座標に変換して、前記選択された光学面に対応する支配的なピークを有する前記空間周波数座標における強度画像を取得することと、を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記計算処理することが、前記強度画像の中心に対する前記強度画像における少なくとも前記支配的なピークの位置に基づいて、指定されたアライメントからの前記選択された表面のチルト及び偏心の少なくとも一方を推定することをさらに含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記計算処理することが、前記強度画像における少なくとも前記支配的なピークのぶれに基づいて、指定されたアライメントからの前記選択された表面の軸方向アライメント誤差を推定することをさらに含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記1つ以上の電子プロセッサが、前記選択された光学面について反復的に改善されたシミュレートされた光波面を用いて前記計算処理を繰り返すようにさらに構成されており、
前記反復的に改善されたシミュレートされた光波面が、前記選択された光学面に関する前記モデルと、前記選択された光学面の相対アライメントに関する情報を提供する、以前に得られた前記計算的に分離された情報とから導出される、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記1つ以上の電子プロセッサが、少なくとも1つの追加の選択された光学面について前記計算処理を繰り返し、それによって複数の選択された光学面のそれぞれについて前記計算的に分離された情報を求めるようにさらに構成されている、請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記複数の選択された光学面の前記処理が、前記計算的に分離された情報及び前記複数の選択された光学面についての前記モデルに基づいて、前記複数の選択された光学面の前記アライメントに関する情報を同時に求めるための回帰分析を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記複数の選択された光学面のアライメントに関する前記計算的に分離された情報に基づいて、前記複数の光学コンポーネントのそれぞれの位置を調整するように構成されたロボットをさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項34】
光学試験面の曲率に関する情報を求めるための方法であって、
a.全てが共通コヒーレント光源から導出された、参照波面と、少なくとも2つの測定波面とを提供することと、
b.互いに角度αをなす前記2つの測定波面で前記光学試験面を照明することと、
c.カメラ上に光干渉パターンを形成するために、前記測定波面が前記光学試験面から反射した後に、前記2つの測定波面を前記参照波面と干渉させることと、
d.前記カメラによって記録された前記光干渉パターンに関する情報を電子的に処理して、前記光学試験面の前記曲率に関する前記情報を求めることと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチコンポーネント光学アセンブリのコンポーネントを位置合わせするための干渉システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像システムの解像度を含む光学系の性能は、光学系の公称設計だけでなく、組み立て可能な精度にも依存する。例えば、標準的な焦点距離(f)100mm、直径(D)12mm、2枚構成の色消しレンズの計算上のスポットサイズは、それらの2つの素子の光軸間にわずか0.1°の傾きがある場合、2倍~5倍増加する。同様の計算は、より複雑な光学系に対して様々な性能パラメータを適用して行われ得る。機械的公差及びラッキング光学コンポーネント(racking optical component)によって適切な位置決めができる場合もあるが、より高性能なシステムには、通常、能動的な光学アライメントが必要となる。一般に、光学系の物理的アライメントパラメータをより良好に測定し、よってより良好に制御することができるほど、光学系の性能も向上する。
【0003】
回転ステージ上のレンズアセンブリでは、レンズコンポーネント同士を、ダイヤルインジケータを使用して位置合わせすることができる。しかしながら、この方法に関連する問題としては、バレル内のレンズへのアクセスの制限、光学面との機械的接触、及び測定の結果として部品にかかる横方向の力が挙げられる。
【0004】
レンズアライメントの目的で今日広く使用されている非接触方法の1つでは、オートコリメータを組み込んだ点光源顕微鏡をいわゆるヘッドレンズと共に使用して、共焦点条件を提供し、この共焦点条件では、十字線(又は点光源)によって投影され、光学系内の特定の面から垂直に反射された光が、カメラチップ上に焦点を合わせる。空気(エア)ベアリング上でレンズ系を回転させながら測定された十字線又は点光源像の半径方向のずれ(run-off)が、観察された表面のチルト又は中心合わせ(centration)に関する情報を提供する。例えば、特許文献1を参照。
【0005】
別の方法では、1つの表面から反射された光が1つの焦点を形成せずに細長い焦線を形成するように、照明経路内でアキシコン(axicon)を使用する。焦線が光軸の方向に沿って十分に遠くまで延びている場合、対象の表面に対応する複数のスポットを同時に観察し、視覚的に可能な限り最適に重なり合うようにすることができる。例えば、非特許文献1を参照。
【0006】
さらに別の方法では、試験中の光学素子の表面に入射する測定光のビームを整形するために、干渉計を選択可能なコンピュータ生成ホログラムと共に使用する。例えば、特許文献2を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9766155号明細書
【特許文献2】米国特許第7643149号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Robert E. Parks, 「Precision cementing of doublets without using a rotary table」, Proc. SPIE 11487, Optical Manufacturing and Testing XIII, 114870U(2020年8月20日)
【発明の概要】
【0009】
概して、一態様では、マルチコンポーネントアセンブリ(multi-component assembly)の1つ以上の光学コンポーネントのアライメント(alignment)に関する情報を求めるための方法が開示される。本方法は、a)1つ以上の光学コンポーネントの少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面(optical wave fronts)を含む少なくとも3つの光波面の組み合わせから生成される光干渉パターンを検出することと、b)検出された光干渉パターンから導出された情報を、少なくとも2つの表面のうちの少なくとも1つの選択された光学面(optical surface)のモデルから導出された少なくとも1つのシミュレートされた(simulated)光波面を用いて計算処理して、選択された光学面のアライメントに対応する情報を計算的に分離することと、を含む。
【0010】
本方法の実施形態は、以下の複数の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
計算的に分離された情報は、選択された光学面の相対アライメントに対応する支配的な(dominant)ピークを有する空間周波数分布に対応し得る。特定の実施形態では、空間周波数分布は強度画像によって表される。例えば、上記処理は、支配的なピークを有する強度画像に対応する計算的に分離された情報をもたらすための空間周波数座標への変換を含み得、強度画像における支配的なピークの位置及び/又は形状は、選択された光学面の相対アライメントに関する情報を提供する。
【0011】
本方法は、マルチコンポーネントアセンブリの1つ以上の光学コンポーネントのアライメントが仕様公差(specification tolerance)内であるかどうかを判定するために、計算的に分離された情報を使用することをさらに含み得る。
【0012】
本方法は、計算的に分離された情報に基づいて、マルチコンポーネント光学アセンブリ内の別のコンポーネントに対する選択された光学面を含む光学コンポーネントの位置を調整することをさらに含み得る。さらに、いくつかのそのような実施形態では、マルチコンポーネント光学アセンブリ内の他のコンポーネントは、光干渉パターンの検出前に光学アセンブリ内の取り付け位置から取り外され、光干渉パターンの検出後に取り付け位置において光学アセンブリ内に再挿入される。例えば、本方法は、他のコンポーネントを光学アセンブリから取り外す前に、他のコンポーネントの位置を測定することをさらに含み得、選択された光学面を含む光学コンポーネントの位置の調整は、計算的に分離された情報及び他のコンポーネントについて測定された位置に基づき得る。光干渉パターンを検出することは、時間の関数として光干渉パターンを検出するステップを含み得る。例えば、光干渉パターンを検出するステップは、経時変化する光干渉パターンを生成するために、3つの光波面のうちの少なくとも1つを位相シフトさせるステップを含み得る。
【0013】
マルチコンポーネントアセンブリは、レンズ及びレンズホルダ(lens holder)を含んでもよく、3つの光波面は、レンズの前面及び後面、ならびに光干渉パターンを生成するために使用される干渉アセンブリの参照面のそれぞれからの反射によって引き起こされる。
【0014】
マルチコンポーネントアセンブリは、複数の光学コンポーネントを含んでもよく、1つ以上の光学コンポーネントの少なくとも2つの光学面は、異なる光学コンポーネントからの少なくとも2つの光学面を含む。
【0015】
本方法は、光干渉パターンを生成するために、少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面を、共通光源から導出される参照光波面と組み合わせることをさらに含み得る。例えば、本方法は、共通光源からの光を、光干渉パターンを生成するために使用される干渉アセンブリの参照面から反射させることによって、参照光波面を生成することをさらに含み得る。また、共通光源は、マルチコンポーネントアセンブリにおける2つの隣接する光学面間の光学距離よりも短いコヒーレンス長を有し得る。例えば、コヒーレンス長は、約1.5mm未満であってもよい。あるいは、例えば、コヒーレンス長は、マルチコンポーネントアセンブリにおける2つの隣接する光学面間の光学距離よりも長く、マルチコンポーネントアセンブリにおける2つの隣接しない光学面間の光学距離よりも短くてもよい。例えば、コヒーレンス長は、約2mm~約50mmであり得る。
【0016】
光干渉パターンを検出するステップは、光干渉パターンについての空間分解強度プロファイルを記録するステップを含む。さらに、いくつかの実施形態では、光干渉パターンを検出するステップは、光干渉パターンについての空間分解振幅及び空間分解位相プロファイルを記録するステップを含み得る。
【0017】
モデルは、選択された光学面から反射された光波面についての位相プロファイルを推定するのに十分な情報を含み得る。例えば、本方法は、光干渉パターンを生成するために、少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面を、共通光源から導出される参照光波面と組み合わせることをさらに含み得、モデルは、参照光波面についての位相プロファイルを推定するのに十分な情報をさらに含む。また、例えば、少なくとも1つの選択された光学面は、2つの選択された光学面を含み得、モデルは、2つの選択された光学面からそれぞれ反射された光波面についての位相プロファイルを推定するための情報を含む。少なくとも1つの選択された光学面に関して既知の情報は、少なくとも1つの選択された光学面についての曲率半径及び任意の非球面係数に関する情報を含み得る。例えば、シミュレートされた光波面は、推定された位相プロファイルと1つの他の位相プロファイル(例えば、平坦な波面などの参照波面の位相プロファイル)との間の位相差に対応する位相変化を含み得る。
【0018】
本方法の特定の実施形態では、検出された光干渉パターンから導出された情報が、空間分解強度プロファイル又は空間分解複素振幅プロファイルであり、計算処理することが、空間分解強度プロファイル又は空間分解複素振幅プロファイルにシミュレートされた光波面を乗算するステップと、乗算するステップからの空間分解積を空間座標から空間周波数座標に変換して、選択された光学面に対応する支配的なピークを有する空間周波数座標における強度画像を取得するステップと、を含む。例えば、変換するステップは、二次元フーリエ変換を含み得る。計算処理することは、強度画像の中心に対する強度画像における少なくとも支配的なピークの位置に基づいて、指定されたアライメントからの選択された表面のチルト及び/又は偏心を推定するステップをさらに含み得る。また、計算処理することは、強度画像における少なくとも支配的なピークのぶれ(blurring)に基づいて、指定されたアライメントからの選択された表面の軸方向アライメント誤差を推定するステップをさらに含み得る。
【0019】
本方法は、選択された光学面について反復的に改善されたシミュレートされた光波面を用いて前記処理を繰り返すことをさらに含み、反復的に改善されたシミュレートされた光波面は、選択された光学面に関するモデルと、選択された光学面の相対アライメントに関する情報を提供する、以前に得られた計算的に分離された情報とから導出される。
【0020】
さらに、本方法は、複数の選択された光学面のそれぞれについて計算的に分離された情報を求めるために、少なくとも1つの追加の選択された光学面について前記処理を繰り返すことをさらに含み得る。例えば、複数の選択された光学面の処理は、複数の選択された光学面についての計算的に分離された情報及びモデルに基づいて複数の選択された光学面のアライメントに関する情報を同時に求めるための回帰分析を含み得る。次いで、本方法は、複数の選択された光学面のアライメントに関する計算的に分離された情報に基づいて、複数の光学コンポーネントのそれぞれの位置を調整することをさらに含み得る。
【0021】
本方法は、互いにゼロでない角度をなす少なくとも2つの測定ビームでマルチコンポーネントアセンブリを照明して、光干渉パターンを生成することをさらに含み得る。さらに、計算処理することは、選択された表面についての計算的に分離されたホログラムにおける情報及びゼロでない角度αに基づいて、選択された光学面についての曲率半径を求めるステップをさらに含み得る。
【0022】
本方法は、異なる波長を有する2つの測定ビームでマルチコンポーネントアセンブリを照明して、同じく異なる波長を有する対応する参照ビームを用いて光干渉パターンを生成することをさらに含み得る。
【0023】
本方法は、構造化された空間プロファイルを有する測定ビームでマルチコンポーネントアセンブリを照明して、光干渉パターンを生成することをさらに含み得る。
本方法は、測定ビームでマルチコンポーネントアセンブリを照明して、参照ビームを用いて光干渉パターンを生成することをさらに含み得、参照ビームについての強度に比べて測定ビームの強度が増強される。
【0024】
別の態様では、マルチコンポーネントアセンブリの1つ以上の光学コンポーネントのアライメントに関する情報を求めるための装置が開示される。本装置は、a)干渉光学系であって、1つ以上の光学コンポーネントの少なくとも2つの表面からの反射によって引き起こされる少なくとも2つの光波面を含む少なくとも3つの光波面の組み合わせから生成される光干渉パターンを検出するための干渉光学系と、b)1つ以上の電子プロセッサであって、干渉光学系に結合されており、検出された光干渉パターンから導出された情報を、少なくとも2つの表面のうちの少なくとも1つの選択された光学面のモデルから導出された少なくとも1つのシミュレートされた光波面を用いて計算処理して、選択された光学面のアライメントに対応する情報を計算的に分離するように構成された1つ以上の電子プロセッサと、を含む。
【0025】
本装置の実施形態は、対応する方法について上述した複数の特徴のいずれかのうちの1つ以上を含み得る。
概して、別の態様では、光学試験面の曲率に関する情報を求めるための方法が開示される。本方法は、a)全てが共通のコヒーレント光源から導出された、参照波面と、少なくとも2つの測定波面とを提供することと、b)互いに角度αをなす2つの測定波面で光学試験面を照明することと、c)カメラ上に光干渉パターンを形成するために、測定波面が光学試験面から反射した後に、2つの測定波面を参照波面と干渉させることと、d)カメラによって記録された光干渉パターンに関する情報を電子的に処理して、光学試験面の曲率に関する情報を求めることと、を含む。
【0026】
本方法の実施形態は、以下の複数の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
光干渉パターンに関する情報を電子的に処理することは、参照波面と、光学試験面から反射された2つの測定波面の各々とによって形成される2セットの円形縞の中心の間の距離sを求めるステップを含み得る。
【0027】
例えば、光干渉パターンに関する情報を電子的に処理することは、求められた距離sと、光学試験面を照明する2つの測定波面間の角度αに関する既知の情報とに基づいて、曲率に関する情報を求めるステップをさらに含み得る。例えば、光干渉パターンに関する情報を電子的に処理することは、式:
【0028】
【数1】
【0029】
に基づいて光学試験面の曲率半径(ROC)を求めるステップを含み得る。
あるいは、光干渉パターンに関する情報を電子的に処理することは、試験面のモデルから導出された少なくとも第1のシミュレートされた光波面を用いて光干渉パターンに関する情報を計算処理して、第1の測定波面のみで照明された試験面に対応する情報を計算的に分離するステップと、次いで、その試験面のモデルから導出された少なくとも第2のシミュレートされた光波面を用いて光干渉パターンに関する情報を計算処理して、第2の測定波面のみで照明された試験面に対応する情報を計算的に分離するステップと、を含んでもよい。
【0030】
さらに、試験面は、複数の表面を含む試験対象物の一部であってもよく、光干渉パターンに関する情報を電子的に処理することは、試験面のモデルから導出された少なくとも1つのシミュレートされた光波面を用いて光干渉パターンに関する情報を計算処理して、試験対象物の他の表面に対して試験面に対応する情報を計算的に分離するステップをさらに含んでもよい。
【0031】
1つ以上の光ファイバを使用して、測定波面の一方又は両方をコヒーレント光源から試験面に送達してもよい。また、光ファイバを使用して、コヒーレント光源からカメラに向けて参照波面を送達してもよい。
【0032】
別の態様では、光学試験面の曲率に関する情報を求める装置が開示される。本装置は、a)干渉光学系であって、全てが共通コヒーレント光源から導出された、参照波面と、少なくとも2つの測定波面とを提供し、互いに角度αをなす2つの測定波面で光学試験面を照明し、カメラ上に光干渉パターンを形成するために、測定波面が光学試験面から反射した後に、2つの測定波面を参照波面と干渉させる干渉光学系と、b)カメラによって記録された光干渉パターンに関する情報を処理して、光学試験面の曲率に関する情報を求める1つ以上の電子プロセッサと、を含む。
【0033】
本装置の実施形態は、対応する方法について上述した複数の特徴のいずれかのうちの1つ以上を含み得る。
本明細書で言及される全ての文書は、その全体が参照により組み込まれる。本開示と、参照により組み込まれる任意の文書とが矛盾する場合は、本開示が優先される。
【0034】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】試験中のマルチコンポーネント光学アセンブリの異なる表面のアライメントを測定するための干渉光学系の一実施形態の概略図である。
図2A】試験中のマルチコンポーネント光学アセンブリの表面が位置合わせされていない場合(図2A)の図1の光学系によって生成される干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図2B】試験中のマルチコンポーネント光学アセンブリの表面が位置合わせされている場合(図2B)の図1の光学系によって生成される干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図3図1のような干渉光学系によって測定された干渉パターンを処理する方法の一実施形態を示すフローチャートの概略図である。
図4図1のような干渉光学系によって測定された干渉パターンを処理する方法の別の実施形態を示すフローチャートの概略図である。
図5】試験中のマルチコンポーネント光学アセンブリの異なる表面のアライメントを測定するための干渉光学系の別の実施形態の概略図である。
図6】試験中のマルチコンポーネント光学アセンブリの異なる表面のアライメントを測定するための干渉光学系のさらに別の実施形態の概略図である。
図7A】マルチコンポーネント光学アセンブリの図6の光学系によって生成された、測定ビームと参照ビーム間の光路長差の異なる値についての干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図7B】マルチコンポーネント光学アセンブリの図6の光学系によって生成された、測定ビームと参照ビーム間の光路長差の異なる値についての干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図7C】マルチコンポーネント光学アセンブリの図6の光学系によって生成された、測定ビームと参照ビーム間の光路長差の異なる値についての干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図8】試験面の曲率半径(ROC)を求めるための試験面のマルチビーム照明を説明する、図5の干渉光学系に対する変更の概略図である。
図9A】試験面の曲率半径(ROC)を求めるための試験面のマルチビーム照明を実証するために、図5図9A)の光学系によって生成された1つの試験面の干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図9B】試験面の曲率半径(ROC)を求めるための試験面のマルチビーム照明を実証するために、図8図9B)の光学系によって生成された1つの試験面の干渉強度パターンのシミュレートされたカメラ画像である。
図10図1のような干渉光学系によって測定された干渉パターンを処理する方法の別の実施形態を示すフローチャートの概略図である。
図11A】選択された表面の相対アライメントを示すピークを有する強度画像によって表される空間周波数分布を生成する数値処理ステップの概略図であり、図11Aは、数値処理の第1の反復を示す。
図11B】選択された表面の相対アライメントを示すピークを有する強度画像によって表される空間周波数分布を生成する数値処理ステップの概略図であり、図11Bは、第1の反復からの改善された推定値に基づく数値処理の第2の反復を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
本明細書に開示される実施形態は、マルチコンポーネント光学アセンブリの複数のコンポーネントを互いに位置合わせするため方法及びシステムであって、例えば、多素子のレンズ系の異なる複数の光学素子を位置合わせするための方法及びシステムに関する。本システムは、1つ以上の光学コンポーネント(レンズ又はミラーなど)からなる光学アセンブリを照明するように構成されたコヒーレント光源と、同じ光源から参照光を生成するための任意選択の手段と、光学アセンブリにおける1つ以上の光学コンポーネントの様々な表面から反射された光と任意選択の参照光との重ね合わせから生じる強度パターンを記録するための検出器と、を含む。電子プロセッサは、アルゴリズムを実行して、検出器で生成された干渉強度パターン(本明細書では「ホログラム(hologram)」とも呼ばれる)を分析し、ライトフィールドシミュレーション(light field simulations)を使用して、1つ以上の光学コンポーネントの表面のうちの2つ以上に対応する光パターンを特定し、例えば、1つ以上の光学コンポーネントの表面の互いに対する相対的チルト(relative tilt)又は偏心を含む、1つ以上の光学コンポーネントのアライメントの程度を求める。
【0037】
図1は、それぞれが対応する反射又は部分反射(以下、単に「反射」と呼ぶ)面120a、120b、及び120cを有する複数のコンポーネントを備える光学アセンブリ120を光学的に照明するための光学系100の概略図である。光学系100は、マイケルソン型干渉計に基づいているが、他の実施形態は、以下にさらに説明される追加の実施形態を含むがこれに限定されない、異なるタイプの干渉システムを含んでもよい。
【0038】
光学系100は、照明光112を生成するためのコヒーレント光源(coherent light source)110を含む。例えば、コヒーレント光源は、発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、シングルモードレーザ、マルチモードレーザ、白熱電球、又はコヒーレンス長を決定する発光スペクトル帯域幅及び/又は光源形状を有する任意の他の光源のいずれかであり得る。コヒーレント光源のコヒーレンス長は、試験中の光学アセンブリの対象の表面の全てに対応する干渉縞を生成するのに十分な長さとなるように選択される。対象の1つの表面のみを分離するためのより短いコヒーレンス長に基づく追加の実施形態については、さらに以下の実施形態で説明する。
【0039】
さらに図1を参照すると、コリメーション光学部品114が、光源110からの照明光112をコリメートし、その照明光は、次いで、ビームスプリッタ116によって、光学アセンブリ120に向けられる測定光117と、平坦な参照ミラー118に向けられる参照光122とに分離される。測定光117は、光学アセンブリの複数の表面120a、120b、及び120cのそれぞれによって部分的に反射されて、対応する測定波面130a、130b、及び130cを生成し、これらの測定波面は、ビームスプリッタ116によってカメラ140に向けて反射される。参照光122は、平坦な参照ミラー118によって反射され、ビームスプリッタ116によってカメラ140に向かって透過され、カメラ140において名目上平坦な(nominally flat)参照波面132を形成する。電子プロセッサ150は、カメラ140に結合されており、このカメラ140は、測定波面130a、130b、及び130cと参照波面132との重ね合わせによって生成される強度パターンを測定し、この干渉強度パターンの測定値に対応する電子情報を、分析のために電子プロセッサ150に供給する。カメラ140は、通常、CCDカメラ、CMOSカメラ、又はCIDカメラなどの感光性集積回路素子に基づく多素子検出器である。
【0040】
通常、マルチコンポーネント光学アセンブリ120の光学面120a、120b、120cはそれぞれ、設計公差内の既知の曲率を有する球面である。作業課題は、これら光学面が互いに適切に位置合わせされ、位置決めされることを確実にすることであり、例えば、アセンブリ全体の共通光軸に沿ってそのような各光学面を位置合わせすることが含まれる。この実施形態における光学系100はまた、干渉システムの残りの部分に対して光学アセンブリ120を位置決めするための回転可能かつ移動可能なステージ121を含む。例えば、ステージ121は、ビームスプリッタ116及び参照面118に対して光学アセンブリを位置合わせすることができるため、光学面から反射した測定波面130a、130b、及び130cのうちのいずれか1つと参照波面132との干渉によって生成される干渉縞は、所与の光学アセンブリについて可能な限りの放射対称性を伴ってカメラ140上の中心に配置される。複数の円形縞の間隔は、光学アセンブリ120の対応する光学面の曲率、干渉光学系を通る伝搬、及び参照面118の名目上平坦な面の形状に依存する。
【0041】
図2A及び図2Bは、表面120a、120b、120cの異なるアライメントについて光学系100によって測定された光学アセンブリ120の干渉強度パターンの2つのシミュレートされたカメラ画像である。図2Aは、異なる複数の表面120a、120b、120cが互いに位置合わせされていないときの干渉強度パターンに対応する。位置がずれた、複数セットのほぼ円形の縞が見えており、各セットは、カメラにおいて干渉している異なる波面の対に対応する。図2Bは、異なる表面120a、120b、120cが互いに位置合わせされ、ステージ121を介して、像全体をカメラ上の中心に置くように干渉計軸とも位置合わせされたときの干渉強度パターンに対応する。これで、干渉強度パターン全体が放射対称(radially symmetric)になり、干渉波面の各対に対応する縞が互いに位置合わせされる。残念ながら、このようなカメラ画像の目視検査のみに基づいて光学アセンブリの異なる表面同士を互いに位置合わせすることが多くの用途に対して十分な精度を提供するとは期待されない。したがって、本明細書で提供される実施形態は、電子プロセッサ150による記録された干渉強度画像のさらなる電子分析を提供する。
【0042】
数学的には、カメラ140上の様々な波の重ね合わせは、(下付き文字rによって示される)参照波面及び(i及びその後もjでインデックス付けされ、両方とも1からN個まであり、これは寄与するレンズ面の数である)全ての測定波面からの光学フィールドfの和として以下のように表すことができる。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、aは振幅、φは位相であり、これらは両方とも、カメラ上の異なる空間位置に対応する座標(x,y)で示されるように、フィールド依存性(field dependent)である。ここからは、表現を容易にするため、明示的なフィールド依存性は削除する。カメラによって測定される対応する強度Iは、以下のようにフィールドの大きさの2乗である。
【0045】
【数3】
【0046】
古典的なホログラフィでは、強度を物理的に記録して、次いで、元の参照波(
【0047】
【数4】
【0048】
との乗算と数学的に等価)で照明されて、N個の測定波のレプリカ(replicas)を含む多数の波、つまりホログラムの再構成が生成されることになる。しかしながら、本発明の少なくともいくつかの実施形態の目的のためには、及びその好ましい実施形態においては、記録された強度パターンは、一度に1つのiについて複素項
【0049】
【数5】
【0050】
を用いてソフトウェアにおいて乗算され、この複素項には、参照波位相
【0051】
【数6】
【0052】
及びN個の測定波位相
【0053】
【数7】
【0054】
の推定値が含まれており、ここでも多くの項(N=3の場合、13項)が得られるが、今回は以下の試験項が含まれている。
【0055】
【数8】
【0056】
これは、(図1の例に示されるように)十分に位置合わせされた平坦な参照波の場合、以下のように簡略化される。
【0057】
【数9】
【0058】
cは未知の位相オフセットである。言い換えれば、特定の測定波面の推定値が完全に正しい場合、対応する試験項は、参照波振幅と測定波振幅との積に複素定数を掛けたものになる。後続のフーリエ変換で、周波数空間の中心に高いピークが生成される。
【0059】
ただし、一般的には、特にレンズのアライメントパラメータがまだ推定値に過ぎないプロセスの開始時においては、推定された
【0060】
【数10】
【0061】
と実際のφとの間には不一致が存在する。小さなチルト及び偏心アライメント(tilt and decenter alignment)一次誤差が、位相の不一致を引き起こし、その位相の不一致は、以下のように位相の傾き(tilt)として非常に厳密に表現することができる。
【0062】
【数11】
【0063】
フーリエ変換の結果、ピークは非常に範囲限定されたものになったが、正確には中心にはない。フーリエ領域におけるオフセンターピーク(off-center peak)の座標(量c及びcに対応する)は、光学系内の1つ以上のコンポーネントの偏心又はチルトのずれを測定するものである。位置ずれパラメータに対するスポット位置の感度がわかっている場合は、定量的なチルト及び偏心の補正を導出してレンズのモデルに適用することができ、その結果、アルゴリズムの次の反復において中心にはるかに近いピークが得られる。干渉システムに最も近い表面については、観察された位相の傾きと表面の偏心又はチルトとの関係は、比較的単純な解析式として表すことができる。例えば、ゼロでないcは、xにおける距離
【0064】
【数12】
【0065】
だけの偏心から生じるか、又はxにおける角度
【0066】
【数13】
【0067】
だけのチルト(y軸周り)から生じ、ここで、kは光源の波数であり、Rは表面の曲率半径であり、Dは表面とカメラとの間の距離である。最初の表面以外の表面については、観察された位相の傾きが、当該表面からの反射の前後に透過した全ての表面に依存するので、関係は著しく複雑になる。偏心及びチルトは、観察された位相の傾きに同じように影響を及ぼすため、この2つを区別するには、多くの場合、レンズ素子の両面の測定に加えて、そのレンズ素子の曲率半径、中心厚さ、及び屈折率などの追加パラメータを知る必要がある。
【0068】
選択した表面の軸方向アライメント誤差(つまり、共通の光伝播軸に沿った表面の位置の誤差)は、式(4)の試験項の2次近似に以下のように放物線位相誤差を導入し、係数cによって特徴付けられる。
【0069】
【数14】
【0070】
フーリエ変換により、ぼけたスポット(blurred spot)が明らかになり、このことは、フーリエスポットをより良好に範囲限定するためにはレンズのモデルを補正する必要があることを示す。具体的には、ゼロでない係数cに対応し、線形比例する軸方向調整が必要となる。軸方向調整の大きさは、最初の表面について
【0071】
【数15】
【0072】
であり、前と同様に、最初以外の面については、式が著しく複雑になる。項の複雑さと、方法をできるだけ一般的に保ちたいという要望とを考慮すると、光学シミュレーションによって数値的に関係を求める方がより現実的である。
【0073】
特定の実施形態では、分析ステップは、図3のフローチャートに記載されるように要約され得る。ステップ510において、光学系100などの干渉装置を用いてマルチコンポーネント光学アセンブリ120を照明して、異なる複数の波面の重ね合わせから生じる干渉強度パターンを生成する。ステップ512において、電子プロセッサは、干渉強度パターンを、光学アセンブリの選択された表面に関する既知の情報から導出された、シミュレートされた光波面と干渉強度パターンを乗算することによって処理する。例えば、これにより、上記の式(3)及び(4)におけるような項を有する積が得られる。ステップ514において、電子プロセッサはこの積をフーリエ変換し、これが支配的なピークを生成することになるが、それは、シミュレートされた波面の推定値がより正確であればあるほど、式(3)及び(4)における位相項が、ヌルからゼロに位相定数を加えた値に近くなるためである。ステップ516において、電子プロセッサは、フーリエ変換パターンを分析して、支配的なピークを特定し、支配的なピークの位置及び/又はぶれ(blurring)を定量化する。例えば、ステップ518において、フーリエ変換パターンの空間周波数座標におけるピークの位置の分析により、式(5)に記載されるように、選択された表面のチップ(tip)及び/又は偏心を示す係数c及びcの値が得られる。同様に、例えば、ステップ520において、フーリエ変換パターンにおける支配的なピークのぶれの分析が、係数cを推定するために定量化され、係数cは、式(6)によって示されるように、選択された表面の軸方向位置決めにおける誤差に線形比例する。ステップ522において、ステップ518及びステップ520から導出された推定値を使用して、マルチコンポーネント光学アセンブリの異なる複数の表面のアライメント及び位置決めを表すモデルを更新する。
【0074】
ステップ524において、同じ選択された表面に対してステップ512~522を繰り返すことによって、しかしながら偏心及び/又はチルト及び/又は軸方向のずれの推定値を含むシミュレートされた波面を使用して、フィールド全体の位相変化がさらに少ない積における項を生成し、それによってフーリエ変換パターンにおいて、さらに鋭い、より中心にあるピークを生成することによって、選択された表面の推定値を任意選択でさらに改善することができる。このピークの偏心及びぶれをさらに推定することで、モデルにさらなる反復補正がもたらされる。そうでない場合、ステップ526において、ステップ512~524を、光学アセンブリの1つ以上の追加の選択された表面について任意選択で繰り返して、それらの1つ以上の追加の選択された表面に関する情報を提供する。このようにして分析が連続的に行われる場合、最初に選択された表面は、通常、干渉計に最も近い表面であるため、分析及びシミュレートされた波面の生成は、任意の介在表面、及びそのような表面のアライメント及び位置決めに関する不完全な情報によって複雑になることはない。次いで、干渉計からの距離を増加しながら後続の選択表面が選択され、分析及びシミュレートされた波面の生成では、前の分析の結果得られた任意の介在表面についてのより正確なモデリングを使用する。次いで、ステップ530において、光学アセンブリの異なる複数の表面のアライメント(例えば、チップ/チルト、偏心、及び軸方向誤差)に関して導出された情報に基づいて、ユーザ及び/又は電子プロセッサは、光学アセンブリが設計公差内にあるかどうかを判定することができ、光学アセンブリが設計公差内にない場合、オペレータ又は自動マニピュレータ(又はロボット)は、1つ以上のコンポーネントを物理的に調整してアライメントを改善することができる。
【0075】
さらに別の実施形態では、異なる選択された複数の表面同士の分析は、大域的最適化プロセス(global optimization process)の一部として、並行して実行することができる。例えば、特定の実施形態では、最適化プロセスの最初の反復又は各反復において、電子プロセッサが、光学モデリング(例えば、光線追跡(ray tracing))を使用して、アライメントパラメータの変化に関する全ての可観測値(observables)(x及びyにおけるスポット位置、ならびに上述のフーリエ変換後のスポットぼけの数値表現など)の偏導関数を含むヤコビ行列(Jacobian matrix)Jを求める。以下の式において、可観測値は、m要素ベクトルsの要素によって表され、アライメントパラメータは、レンズ面のチップ/チルト/Z位置であるか、又は必要もしくは所望に応じて、レンズ要素(それぞれ2つの面によって画定される)のx/y/z/チップ/チルト値であり、n要素ベクトルeによって表される。ヤコビ行列Jは、次のように表すことができる。
【0076】
【数16】
【0077】
それによってパラメータ推定値を変更する必要がある値を表すベクトルeは、以下の方程式系のeを解くことによって導出される。
【0078】
【数17】
【0079】
モデルm(ベクトルであり、その要素は現在のモデルパラメータを表す)は、新しい推定値を用いて更新される。
【0080】
【数18】
【0081】
このプロセスは、数回の繰り返しの後にパラメータ推定値が安定するまで繰り返される。
この大域的最適化プロセスは、図4のフローチャートによって例示される。コア測定手順610は、ステップ612~622を含む。ステップ612において、マルチコンポーネント光学アセンブリ120(「レンズ」)を、複数の表面から反射された波と参照波面とがカメラ上で干渉するように、測定ハードウェア(例えば、干渉光学系100)の前に配置する。ステップ614において、パラメータのセット(公称素子位置及び角度(nominal element positions and angles))が、光学アセンブリのモデルmを定義する。また、個々の素子の設計曲率及び屈折率も典型的には既知である。ステップ616において、カメラは、干渉パターン(すなわち、「ホログラム」)を記録する。ステップ620において、電子プロセッサは、例えば、以下にさらに説明するステップ650~660によって記載されるように、ホログラムを処理して、素子の位置及び角度についての改善された推定値を提供する。この処理に基づいて、ステップ622において、モデルmは更新され、測定された素子位置及び角度のより正確な評価を提供する。ステップ624において、ユーザ又は電子プロセッサは、測定されたパラメータが許容範囲内にあるかどうかを判定する。測定されたパラメータが許容範囲内ではない場合、ステップ626において、オペレータ又はロボットが、少なくとも1つのレンズ素子の物理的調整を行う。測定されたパラメータが許容範囲内である場合、ステップ628において、アライメントプロセスが完了し、素子を(例えば、接着剤又は他の締結具によって)永久的に一緒に固定することができる。
【0082】
ステップ620におけるホログラムの処理には、以下のステップが含まれる。最初に、ステップ650において、光学アセンブリに関する既知の推定された情報を光学モデリング(例えば、レイトレーシング(光線追跡 : ray-tracing)ソフトウェアに提供して、感度行列(sensitivity matrix)Jを求める。具体的には、現在のパラメータが与えられると、この行列は、選択された複数の光学面に対応するフーリエ変換積において複数のスポットが、選択された素子のパラメータ変化の関数として、x/y/z(zはスポットぼけの尺度)においてどれだけ移動するかを示す。例えば、挿入部660によって示されるように、感度行列Jの要素
【0083】
【数19】
【0084】
は、y座標軸の周りの素子1の回転の関数として、フーリエ変換積のy空間周波数座標における表面3のスポットの動きに対応する。ステップ652において、電子プロセッサは、個々の表面の曲率に関する既知の情報及びモデルmからのアライメント推定値を使用して、ホログラムに寄与する全ての光学面について予想波面をシミュレートする。ステップ654において、電子プロセッサは、全てのそのような光学面について、記録されたホログラムをそれぞれの予想波面と乗算し、フーリエ変換を実行し、全てのそのような面の出現スポットの位置(X/Y/Z)を求め、それによってベクトルsの要素を提供する。ステップ656において、電子プロセッサは、回帰分析を実施して、観察されたスポット位置ずれを最もよく説明するパラメータ誤差eを求める。例えば、回帰では、最小二乗分析を使用して、一次方程式J・e=sのeを解くことができる。ステップ658において、電子プロセッサは、パラメータ誤差eを除去することによって、モデルmについての以前のパラメータのセットを補正する。
【0085】
上記の処理方法の利点には、波面が(例えば、レイトレーシングの助けを借りて)正確にモデル化され得る限り、フーリエ領域内の信号が範囲限定されたスポットになることが含まれるが、一方で、例えば、最新式の点光源顕微鏡及びヘッドレンズを用いた従来技術の方法において見られるスポットは、局在化が損なわれる可能性のある収差スポットを生成する可能性がある。
【0086】
さらなる実施形態は、異なる処理方法を含む。例えば、ホログラムによって捕捉されたライトフィールドは、計算によって(例えば、フレネル伝播(Fresnel propagation)又は角スペクトル伝播(angular spectrum propagation)を使用して)焦点に伝播させることができ、その座標が、解析モデルが予測することになる座標と比較される。また、空間周波数変換なしで、他の空間処理技術を積に対して使用することができる。例えば、円形縞パターンの中心は、2D自己相関(autocorrelation)を使用して求めることができる。概して、実施形態は、個々の素子に関する既知の情報を利用して、対応するシミュレートされた波面を用いてホログラムを処理して、集合アセンブリにおける複数の素子の互いのアライメントに関する情報を抽出することになる。
【0087】
上記の実施形態のいずれにおいても、マルチコンポーネント光学アセンブリの異なるコンポーネントのアライメントは、複数のサブコンポーネント(sub-components)の複数のアライメント手順に分割されてもよい。例えば、1つ以上のコンポーネントを、1つ以上の他のコンポーネントが存在しない間に測定して、それにより測定されたコンポーネントについての光干渉パターンの分析を簡略化することができる。その後、測定されたコンポーネントは、取り外されることができるが、他のコンポーネントが挿入され測定された後に測定された位置に容易に再挿入されることができるように、取り付けることができる。ダブレット(doublet)のアライメントの場合、例えば、手順は、図10のフロー図によって概略的に示されるように以下のステップを含んでもよい。まず、第1の素子を光学アセンブリ用の固定具に挿入する(ステップ1010)。次いで、その位置を、測定し(ステップ1012)、後のステップにおいてその直前に求められた位置に戻すことができるように、適切なステージング又は固定具を用いて記録する(ステップ1014)。次いで、第1の素子を取り外し(ステップ1016)、第2の素子を挿入する(ステップ1018)。次いで、第2の素子についての光干渉パターンを測定して、その位置を求め、次いで、この測定値及び第1の素子の測定位置に基づいて、第2の素子を再位置決めする(ステップ1020)。その後、2つの素子が互いに適切に位置合わせされるように第1の素子がその取り付け位置に再挿入される(ステップ1022)。この手順は、複数の素子から反射された波面の曲率を区別することが難しく、したがって当該表面の測定が損なわれる場合に適切であり得る。
【0088】
さらなる実施形態はまた、光学アセンブリの複数の表面からホログラムを生成及び記録するために、様々に異なるタイプの光学系を使用することを含む。例えば、図5は、参照ミラー118が使用されないことを除いて光学系100と同様である、光学アセンブリ120のホログラムを生成するための干渉光学系200の概略図である。代わりに、光源200が、光ファイバ212及び218をそれぞれ介して測定波面及び参照波面の両方のために両方の光を供給し、参照コリメートレンズ215が、光ファイバ218から出現する参照光122をコリメートするために使用される。さらに別の実施形態では、光ファイバ減衰器又はファイバスプリッタ(fiber splitter)が、参照光122と測定光112との相対強度を様々に変更するために組み込まれてもよい。
【0089】
さらに別の実施形態では、ホログラムを生成するための干渉光学系は、その複素フィールド振幅(complex field amplitude)に直接対応するが、その強度(この複素フィールド振幅の絶対二乗に相当する)には対応しないホログラムの干渉パターンを測定するように適合させることができる。例えば、これは、当該技術分野において周知である位相シフト干渉法技術を使用することによって行われることができ、この技術は、例えば、参照ビームの増分位相シフトを伴う多くのカメラフレームを記録することを含む。他の干渉技術では、1つのカメラフレームしか必要としない。例えば、J. D. Tobiason and K. W. Atherton, 「Interferometer using integrated imaging array and high-density phase-shifting array」、米国特許第6847457号明細書(2005年1月25日)を参照。あるいは、例えば、これは、1つのカメラ画像に基づく位相及び振幅の計算を可能にするために、カメラの画素の前に様々な向きにある画素サイズの偏光子を含む偏光カメラであるカメラを使用することによって行われてもよい。例えば、J. E. Millerd, N. J. Brock, J. B. Hayes, M. B. North-Morris, M. Novak, J. C. Wyant, 「Pixelated phase-mask dynamic interferometer」, Interferometry XII: Techniques and Analysis, Proc. SPIE 5531 pp.304-314(2004)を参照。
【0090】
いずれにしても、光学系が強度パターンだけでなく、
【0091】
【数20】
【0092】
のように複素フィールドを直接測定するようになっている実施形態では、試験項tiに至るまでに電子プロセッサによって適用される計算は、生成される全ての項に関してはるかに単純になる。具体的には、式(2)に
【0093】
【数21】
【0094】
を乗算する代わりに、式(10)に同じ
【0095】
【数22】
【0096】
を乗算し、その結果、N+N+1個の複素項の代わりにN個の複素項が得られ、そのうちの1つだけが、式(3)又は式(4)に示される形式の対象の試験項である。実際には、それは、対象の信号が、より少数の信号と競合する(competes)ことを意味し、それらの信号は、そうでなければ測定結果に誤差を導入する可能性を有する。
【0097】
図11A及び図11Bは、実際の例を使用して、それぞれ第1の反復及び第2の反復における上記実施形態の数値処理ステップを示す。ダブレットの3つの反射面があり、測定される。1列目の記録されたホログラム(そのフィールド分布(field distribution)には実数部のみが示されており、3つの位置の周囲には同心円状の複数のリングパターンがあり、そのうちの真ん中のリングパターンは視覚的に全く不明瞭である)から始まり、2列目に測定波の位相推定値が示される。強度画像で表される、フィールド(field)と推定測定波との積の空間周波数分布が3列目に示される。図11A(第1の反復)では、ピークは両方とも中心から外れてぼやけているが、図11B(第2の反復)では、ピークは中心にあり、はるかに小さく、画像ではほとんど見えなくなる程度に達していることに留意されたい。両方の図における4列目は、第1の反復に対する第2の反復の改善を強調するために、ピークを拡大して中心に配置したバージョンを示す。この測定の間、ダブレットを~約6.7mradだけ傾けた。2つのレンズ素子間の測定されたチルトは、0.112mradであった。
【0098】
さらに別の実施形態では、数学項の数を低減する別の方法は、干渉計内で参照光を生成する光学コンポーネントを除去することによって、又は干渉計内で参照光を単に遮断することによって、参照波面なしで干渉計を動作させることである。参照波面が存在しないため、カメラで観測される干渉強度は、以下のようになる。
【0099】
【数23】
【0100】
強度Iは、2つの波面の推定値から形成された複素項
【0101】
【数24】
【0102】
で乗算することができるようになり、その結果、i≠jであるi及びjの全ての組み合わせについて、N2-N+1個の項(N2+N+1個から減少)となり、これは、以下の試験項を含む。
【0103】
【数25】
【0104】
そうでない場合、処理は上記の実施形態と同様に継続する。具体的には、電子プロセッサは、フーリエ領域におけるピークの位置及び焦点を評価し、シミュレーションからアライメントパラメータに対するピークの位置及び焦点の感度を知ることで、アライメントパラメータ自体を導出することができる。しかしながら、参照がないため、レンズの数学的モデルは、以前よりも制約が小さくなる可能性がある。この場合、複数のレンズ面のうちの少なくとも1つのレンズ面の絶対位置を画定する物理的制約が有用であり得る。
【0105】
さらに別の実施形態では、低コヒーレンス光源を使用するように干渉光学系を変更して、特定の干渉波面の対を他の干渉波面の対と識別することを可能にしてもよい。上述の処理において、電子処理アルゴリズムは、いくつかの干渉波を含むホログラムから特定の表面に関する情報を抽出し、場合によっては、対象の信号は、現在対象ではない別の信号と競合する状況につながる。例えば、試験中の特定の光学アセンブリの場合、2つの異なる表面が、ほぼ同じ曲率半径を有し、良好なアライメントの場合には同じチルトも有する球面波面を、カメラ上に生成することができる。
【0106】
例えば、図6は、光学アセンブリ120のホログラムを生成するための干渉光学系300の概略図であり、この干渉光学系300は、光学系200と同様であるが、低コヒーレンス光源310を使用する。具体的には、光学系300は、光源310に結合された2×2光ファイバビームスプリッタ310と、最終的に参照光122及び測定光112をそれぞれ生成する参照光ファイバ318及び測定光ファイバ312とを含む。光ファイバビームスプリッタ310は、コリメートレンズ326と、再帰反射器328と、移動ステージ324とを含む、可変光遅延線(variable optical delay line)330にさらに結合される。参照光は、光ファイバビームスプリッタ310を介して参照光ファイバ318に到達する前に、可変光遅延線330を通って往復移動する。可変光遅延線は、電子プロセッサ150に接続され、光源310のコヒーレンス長よりも大きい範囲にわたる、典型的には、光学アセンブリ120の表面のいくつか又は全ての表面間の往復光路間隔よりも大きい範囲にわたる、測定光と参照光との間の光路長差を導入するように動作可能である。
【0107】
光学遅延線は、干渉縞が一度に1つの測定波に対してのみ生成されるように、参照の光路長を試験中のレンズの各面の光路長に対して調整することを可能にする。それぞれの他の測定波もカメラを照明するが、それらの光路長は参照波の光路長と実質的に異なるため、それらは実質的に背景強度に寄与するだけである。光源のコヒーレンス長は、典型的には、近くの表面からの測定波が同時に干渉しないように十分に短く(例えば、<1mm)、また、対象の測定波からの縞がカメラの大部分を占めることができるように十分に長く(例えば、>0.25mm)選択される。
【0108】
図7A図7B、及び図7Cは、遅延線の様々に異なる位置について光学系300によってカメラ140で測定された干渉強度パターンであって、図2Aにおいて光学系100で干渉強度パターンを生成したものと同じ光学アセンブリ120について、測定波面130a、130b、130cのそれぞれによって干渉縞を参照波面132を用いて分離した干渉強度パターンを示す。この構成では、全ての必要な情報を一度に記録することができるという本来の利便性は失われるが、光路長の変化を注意深く監視すれば、軸方向に間隔が空いた複数の面を直接測定することができるという追加の利点もある。例えば、特定の実施形態では、ステージ324及び再帰反射器328の連続的な機械的運動が、エンコーダ又は距離測定干渉計を用いて測定され、一方で、連続的に記録された干渉信号が、コヒーレンス走査干渉法において一般的に使用される方法(例えば、光軸に沿った変調最大値の局在化)で評価される。光源に関しては、特定の実施形態では、より短いコヒーレンス光は、(レーザと比較して)より広いスペクトルを有する光源の使用によって達成され、他の実施形態では、構造化され得る(例えば、リング形状)又は動的(例えば、事実上、高速移動する点源)であり得る拡張された光源を有する代替ハードウェア設定によって達成されることができる。例えば、C. Salsbury and A. G. Olszak, 「Spectrally controlled interferometry for measurements of flat and spherical optics」, in SPIE Optifab, Proc. SPIE 10448 pp.7(SPIE,2017)、およびK. Hotate and T. Saida, 「Phase-modulating optical coherence domain reflectometry by synthesis of coherence function」, 10th Optical Fibre Sensors Conference, 2360 pp. 4(SPIE,1994)を参照。
【0109】
さらに別の実施形態では、上記の実施形態は、複数の異なる波長で照明を提供する光源を含むように変更することができる(又は複数の異なる光源を使用して複数の異なる波長を提供することができる)。このような複数の波長を使用すると、複数のZ位置及び/又は曲率半径に関してより多くの情報を収集するための方法がもたらされる。例えば、2つの隣接する波長λ及びλを使用すると、いわゆる合成波長
【0110】
【数26】
【0111】
の生成が可能になり、これは、測定された位相を明確に求めることができる距離を定義している。例えば、表面の軸方向位置が、上記のような1つの波長を使用する方法で、Λ/2よりも小さい数分の1mmまで求めることができる場合、λ及びλの両方の絶対位相が導出可能であるため、測定距離の干渉精度が達成される。特定の実施形態では、結果として得られる干渉縞パターンは概ね区別可能であるため、複数の波長が同時に使用される。複数の波長信号を分離するには、複数の波長を連続的に使用する(一度に1つの波長で複数回の測定を行う)、又は角度によって測定波もしくは参照波を分離するなど、様々な方法が考えられる。
【0112】
上記提案された実施形態の利便性は、光軸に沿って連続的に調整されるヘッドレンズを用いる最先端の方法とは対照的に、コンポーネントを調整することなく試験中のレンズの表面を測定する能力にある。しかしながら、この利便性は、光強度、ひいては信号強度を損なう場合がある。例えば、対象の表面によって反射された光は、広範囲の程度で発散することがある。例えば、図2Aの例では、カメラセンサに到達する光は、カメラセンサよりも、それぞれ3.7倍、6.1倍、及び1.8倍小さい、第1、第2、及び第3の表面上の領域から来る。その結果、多くの光が失われ、第2の表面からの信号は、はるかに強い第3の表面からの信号と競合する。ARコーティング又は屈折率が一致した接合剤の使用により表面の反射率が大きく変化する場合、信号強度はさらに弱まる可能性があり、差がさらに顕著になる可能性がある。記録されたホログラムから位置ずれ情報を抽出するための本提案の数学的手順は、場合によっては人間の目には見えない驚くほど低い変調レベルで機能することができる。それでもやはり、他の場合では、1つ以上の表面からの非常に弱い信号は、使用可能な結果を生成しないこともある。表面上の小さな領域しかカメラへの干渉に寄与しないことがあることのもう一つの悪影響は、その表面の角度及び位置の変化に対する感度が低くなることである。感度が低いと、影響を受けた表面に関連するレンズパラメータの測定不確実性が高くなる。カメラセンサに到達する1つ以上の波面が以下の通りである場合にも問題が発生する可能性がある:大きく湾曲しているため、結果として生じる干渉縞は、記録された画像の小さな部分にわたってのみ分解されることができる;全く湾曲していないため、典型的には平坦な参照波と混同され易く、競合する;近焦点であるか又は完全焦点(fully focused)であるため、カメラがセンサの小さな領域にわたって飽和する;コースティック(caustic)である、すなわち、フィールドが、x及びyの関数として説明することができない方法で折り畳まれている;及び/又はほとんど区別できない、すなわち非常に類似した曲率半径を有する。
【0113】
このような問題の軽減を促進するために、特定の実施形態では、図5の実施形態に関連して説明したように、参照強度5と測定強度5との相対強度(relative intensities of the reference and measurement intensities 5)を調整することができる(例えば、測定チャネルにおける光損失を補償するために、参照チャネルに比べて測定チャネルにおける強度を増強する)。また、有用な場合には、全体の光強度を増強させることもできる。さらに、他の実施形態では、ホログラムの形成に関与する波面の変更を行って、より良好に処理することができる(よりバランスのとれた/より強い/カメラセンサ一面により良好に分散された/より良好に区別可能な)信号を生成することができる。例えば:試験中のレンズアセンブリを、単に別の軸方向位置に移動する、及び/又は傾けることができる;レンズアセンブリ121を、測定ハードウェアに対して意図的にある角度で位置決めすることができる(これは、ビームを傾けるのと同様の効果を有する);レンズアセンブリを、発散又は収束測定ビームで照明することができる(これにより、最終的には、一方の表面信号が他方の信号よりも優先され得る);発散又は収束参照ビームを使用することができる(これにより、センサ上の少なくとも1つの表面に関連する縞密度を低減することができる);1つ以上の光学部品(例えば、レンズ)が、ビームスプリッタとカメラとの間に挿入されてもよい;及び/又は、1つ以上の光学部品(例えば、レンズ)が、試験中にビームスプリッタとレンズとの間に挿入されてもよい(挿入されたレンズは、事実上、測定されたレンズ系の一部になるであろう)。
【0114】
軽減にはまた、複数の参照ビーム及び/又は測定ビームの使用も含まれ得る。これにより、区別される必要がある全体的な波の数が増加するが、これは、表面の信号を十分に高めることができるため、測定可能性に対する正味の効果はプラスになる。複数の発光体(例えば、光ファイバ端部)、ビームスプリッタ、又は回折素子を使用することによって、参照経路又は測定経路内の複数のビームを提供することができる。複数のビームの生成は、以下のような干渉計の様々な位置で起こり得る:参照ビーム又は測定ビームの照明区間(illumination leg)内;試験中のビームスプリッタとレンズとの間の空間内;ビームスプリッタとカメラとの間。さらに、特定の実施形態では、複数の参照ビーム又は測定ビームを連続的に又は組み合わせて使用してもよい。これにより、同時にあまりに多くの追加の波を生成することによる欠点が軽減される。例えば、特定の実施形態では、干渉測定システムは、各構成において少なくとも1つの信号を高める多くの切り替え可能なツール構成を含んでもよい。その目標は、結果として得られる波面を十分に理解した上で、複数のビームを繰り返し可能に生成することである。これを可能にするために、較正、剛性の絞り(ストップ:stops)(キネマティックマウント(kinematic mounts)など)、又は高度に繰り返し可能にスイッチングするコンポーネントを使用することができる。例示的なハードウェアコンポーネントとしては以下が挙げられる:複数の軸方向又は半径方向位置で光を放出する複数の光ファイバ;例えばキネマティックマウントなどの剛性の絞りに対して位置合わせすることができる、屈折レンズのセット及び/又はフレネルレンズのセットを含む、回折素子、反射素子、又は屈折素子;及び/又は切り替え可能な回折素子、反射素子、又は屈折素子。このような切り替え可能な素子としては以下が挙げられる:液体レンズ、エレクトロウェッティング(electrowetting)及び他の現象によって可能になる適応技術;ディフォーマブルミラー(deformable mirrors):自由にプログラム可能な(freely programmable)波面を(SLMの解像度の制限内で)符号化することができる空間光変調器;及び/又は、2つの波面のうちの1つを選択するために偏光を制御すべく液晶と組み合わせたパンチャラトナムベリーレンズ(Pancharatnam-Berry lenses)。
【0115】
ホログラムを生成するための干渉光学系に対する簡単な変更の一例が図8に示される。上述の具体的なシステム及びアルゴリズムは、横方向アライメントパラメータ(チルト及び偏心)及び軸方向アライメントパラメータを導出することができるが、モデリングでは、素子の表面曲率半径が既知であると想定している。これは、曲率半径の変化及びレンズ素子の軸方向位置の変化の両方によって、測定波面のほとんど区別できない曲率変化を導入する可能性があるためである。干渉光学系800は、光源810が2つの測定光ファイバ812a及び812bに結合され、コリメートレンズ114の光軸115からそれぞれ等しくずらされた測定ビーム822a及び822bをそれぞれ提供する点を除いて、図5の光学系200と同様である。それにより、これらのビームは、互いに角度α(2つの光ファイバ812aと812bとの間の間隔及びコリメートレンズ114の焦点距離に対応する)をなして試験光学部品の1つの試験面820を照明し、反射測定ビーム823a及び823bと、カメラにおける対応する測定波面830a及び830bを生成し、これらはそれぞれ、カメラ140上の参照波面132と干渉して、干渉強度パターンを生成する。他の実施形態では、複数のビームを生成する他の方法には、ビーム分割光学コンポーネント又は回折格子が含まれる。
【0116】
図示されたシステムは、第1の表面の軸方向位置、チップ/チルト、及び曲率半径を測定することができるが、1つのビーム照明では、軸方向位置か又は曲率半径のいずれかを提供することになる。光学コンポーネントの曲率半径を決定することは、光学部品製造において非常に一般的な作業である。この方法は、図9A及び図9Bに示すように、1回の測定(例えば、1つのカメラフレームですらある)の後に即座にフィードバックを提供し、このフィードバックは、光学系200を使用した1つの測定ビーム(図9A)と、光学系800を使用した2つの測定ビーム(図9B)と、を使用して1つの表面820についての干渉強度パターンを示す。図9Bに示される2つの測定ビームの場合、光学系800は、2セットの準円形縞(quasi circular fringes)を生成することになり、それらの縞の分離が、1つの測定ビームの場合と比較して追加の情報がもたらす。具体的には、(図9Bに描かれているような)2セットの円形縞の分離sは、以下の式を通して表面820の曲率半径(ROC : radius of curvature)に直接関係する:
【0117】
【数27】
【0118】
ここで、αは、上述したように2つの照明ビーム間の角度である。曲率半径を知ることにより、測定装置からの表面の距離は、円形縞の間隔から導出することができる。電子プロセッサ150による記録された干渉強度パターンの単純な画像処理を使用して、この分離sを抽出し、ビーム角度αの先験的知識を用いてROCを求める。これは、波面との乗算ではなく画像処理方法に依存するホログラム評価方法の良い例であるが、前者も同様に適用可能である。
【0119】
一方、特定の実施形態は、それでもなお、前の実施形態と同様のシミュレートされた波面との乗算を含む分析を実装してもよい。例えば、この2ビームの実施形態では、光干渉パターンに関する情報は、第1の測定波面のみで照明された試験面に対応する情報を計算的に分離するために、試験面のモデルから導出された少なくとも第1のシミュレートされた光波面を用いて計算処理されてもよく、次いで、第2の測定波面のみで照明された試験面に対応する情報を計算的に分離するために、試験面のモデルから導出された少なくとも第2のシミュレートされた光波面を用いて光干渉パターンを計算処理されてもよい。
【0120】
また、複数のビームを使用すると、Z位置及び/又は曲率半径を求める必要がある複数面レンズ又は複数要素レンズにおいても利点をもたらすことができる。さらに、特定の実施形態では、データ取得中の信号分離を簡素化するために、複数のビームによる測定値の収集が連続的に(すなわち、一度に1つの測定ビームずつ)行われ、その後、複数の測定値が一緒に処理される。
【0121】
デジタル実装形態
本明細書で説明されるデータ処理の特徴は、デジタル電子回路、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせで実装することができる。それらの特徴は、プログラム可能プロセッサによる実行のために、例えば、機械可読記憶デバイスなどの情報キャリアに実体的に具現化されるコンピュータプログラム製品に実装されることができ、特徴は、入力データに対して動作し、出力を生成することによって、記載された実装形態の機能を実行するための命令のプログラムを実行するプログラム可能プロセッサによって実行することができる。記載された特徴は、1つ以上のコンピュータプログラムにおいて実装されることができ、このコンピュータプログラムは、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイスからデータ及び命令を受信し、ならびに少なくとも1つの出力デバイスにデータ及び命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを含むプログラム可能システム上で実行可能である。コンピュータプログラムは、特定の動作を実行するために、又は特定の結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接又は間接的に使用され得る命令のセットが含む。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなど、任意の形態で展開することができる。
【0122】
命令プログラムの実行に適したプロセッサとしては、例として、任意の種類のコンピュータの複数のプロセッサのうちの1つである、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサとの両方が挙げられる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータは、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリとを含む。一般に、コンピュータはまた、データファイルを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイスを含むか、又はそれと通信するように動作可能に結合されることになる;そのようなデバイスとしては、以下が挙げられる;内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;光ディスク。コンピュータプログラム命令及びデータを実体的に具現化するのに適した記憶デバイスとしては、あらゆる形態の不揮発性メモリが挙げられ、例としては、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;CD-ROM及びDVD-ROMディスクがある。プロセッサ及びメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補完され得るか、又はASICに組み込まれ得る。特徴は、1つのプロセスで実装することもできるし、1つ又は多数の場所にある複数のプロセッサ間で分散させることもできる。例えば、特徴は、データ転送、記憶、及び/又は分析のためにクラウド技術を採用することができる。
【0123】
範囲
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、例えば「単一の(single)」という用語が使用される場合など、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含むことに注意されたい。
【0124】
本明細書で使用される場合、「適合された」及び「構成された」という用語は、素子、コンポーネント、又は他の主題が、所与の機能を実行するように設計及び/又は意図されることを意味する。したがって、「適合された」及び「構成された」という用語の使用は、所与の素子、コンポーネント、又は他の主題が、単に所与の機能を実行することが「できる」ことを意味すると解釈されるべきではない。
【0125】
本明細書で使用される場合、2つ以上のエンティティからなるリストに関して、「のうちの少なくとも1つ」及び「のうちの1つ以上」という語句は、エンティティのリスト内の任意の1つ以上のエンティティを意味し、エンティティのリスト内に具体的に列挙された1つ1つのエンティティのうちの少なくとも1つに限定されない。例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は等価的に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は等価的に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、A単独、B単独、又は、A及びBの組み合わせを指し得る。
【0126】
本明細書で使用される場合、第1のエンティティと第2のエンティティとの間に配置される用語「及び/又は」は、(1)第1のエンティティ、(2)第2のエンティティ、ならびに(3)第1のエンティティ及び第2のエンティティ、のうちの1つを意味する。「及び/又は」で列挙された複数のエンティティは、同じように、すなわち、そのように結合されたエンティティの「1つ以上」と解釈されたい。「及び/又は」節によって具体的に特定されるエンティティ以外の他のエンティティが、具体的に特定されるエンティティに関連するか関連しないかにかかわらず、任意選択で存在してもよい。
【0127】
本明細書には、多くの特定の実装の詳細が含まれているが、これらはいずれの発明の範囲又は特許請求され得る対象の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。
【0128】
本明細書において別個の実施形態に関連して説明される特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、1つの実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、又は任意の好適な部分的な組み合わせで実装することもできる。
【0129】
さらに、特徴が、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、最初にそのように特許請求された場合でも、特許請求された組み合わせからの1つ以上の複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除されることができ、また特許請求された組み合わせは、部分的な組み合わせ又は部分的組み合わせの変形形態を対象とすることがある。
【0130】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序でもしくは連続的な順序で実行されること、又は図示された全ての動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスキング及び並列処理が好都合であり得る。さらに、上述した実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてそのような分離が必要であると理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネント及びシステムは、概して、1つのソフトウェア製品に一緒に統合されることも、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化されることも可能であることを理解されたい。
【0131】
以上、本発明の特定の実施形態について説明した。他の実装形態も、以下の特許請求の範囲内である。場合によっては、特許請求の範囲に列挙されているアクションを、異なる順序で実行しても、依然として望ましい結果を達成することができる。加えて、添付の図面に描写されるプロセスは、所望の結果を達成するために、必ずしも示されている特定の順序又は連続的な順序を必要とするわけではない。特定の実装形態では、マルチタスキング及び並列処理が好都合であり得る。
【0132】
本発明の多くの実施形態を説明した。とはいえ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実装形態も、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
【国際調査報告】