(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】歩行補助器の操舵補助力制御方法、操舵補助力制御装置、及びメモリ
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505619
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2022074108
(87)【国際公開番号】W WO2023141833
(87)【国際公開日】2023-08-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524029574
【氏名又は名称】浙江益恒悦医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG YIHENGYUE MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】1st Floor (East side), Headquarters Base I, No. 8, Yongan Avenue, Xianju County Medical Equipment Town, Baita Town, Xianju County, Taizhou, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲デァウ▼建
(72)【発明者】
【氏名】▲グン▼茂
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA42
4C046BB07
4C046CC02
4C046DD26
4C046DD33
4C046EE03
4C046EE06
4C046FF25
4C046FF29
(57)【要約】
本発明は、歩行補助器の操舵補助力制御方法、操舵補助力制御装置、及びメモリを開示し、前記操舵補助力制御方法は、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得することと、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断することと、操舵状態にあると、第1移動速度及び第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または第1移動速度と右車輪の第2移動速度との速度差値を算出することと、操舵角度予測値または速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うこととを含み、歩行補助器の操舵時に補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器を押し動かして操舵する際に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器を使用する際により便利になり、操舵が歩行補助器の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、前記本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備える歩行補助器の操舵補助力制御方法であって、
前記左車輪の第1移動速度及び前記右車輪の第2移動速度を取得するステップと、
前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあるか否かを判断するステップと、
前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると、前記第1移動速度及び前記第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または前記第1移動速度と前記第2移動速度との速度差値を算出するステップと、
前記操舵角度予測値または前記速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うステップと、を含む
ことを特徴とする歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項2】
前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあるか否かを判断するステップは、
前記左車輪の第1移動方向及び前記右車輪の第2移動方向を取得することと、
前記第1移動方向と前記第2移動方向とがともに前進または後進であると同時に、前記第1移動速度と前記第2移動速度との差値が閾値未満であるか否かを判断することと、
前記第1移動方向と前記第2移動方向とがともに前進または後進であると同時に、前記第1移動速度と前記第2移動速度との差値が閾値未満であると、前記左車輪及び/又は右車輪が直進状態にあると判断することと、
そうではないと、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると判断することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項3】
前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると判断した後に、
前記第1移動速度、前記第1移動方向、前記第2移動速度、及び前記第2移動方向に基づいて、前記歩行補助器の操舵実行状態を判断することをさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項4】
前記第1移動速度、前記第1移動方向、前記第2移動速度、及び前記第2移動方向に基づいて、前記歩行補助器の操舵実行状態を判断することは、
前記第2移動方向が前進であると同時に、前記第2移動速度の絶対値が前記第1移動速度の絶対値以上であると、前記歩行補助器が前進左折であると判断することと、
前記第1移動方向が前進であると同時に、前記第1移動速度の絶対値が前記第2移動速度の絶対値以上であると、前記歩行補助器が前進右折であると判断することと、
前記第1移動方向が後進であると同時に、前記第1移動速度の絶対値が前記第2移動速度の絶対値よりも大きいと、前記歩行補助器が後進左折であると判断することと、
前記第2移動方向が後進であると同時に、前記第2移動速度の絶対値が前記第1移動速度の絶対値よりも大きいと、前記歩行補助器が後進右折であると判断することと、を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項5】
前記操舵角度予測値を算出することは、
前記歩行補助器が前進左折であると、前記操舵角度予測値α=-45°+V1/V2*45°を算出することと、
前記歩行補助器が前進右折であると、前記操舵角度予測値α=45°-V2/V1*45°を算出することと、
前記歩行補助器が後進左折であると、前記操舵角度予測値α=-45°-V2/V1*45°を算出することと、
前記歩行補助器が後進右折であると、前記操舵角度予測値α=45°-V1/V2*45°を算出することと、を含み、
V1は、第1移動速度であり、V2は、第2移動速度である
ことを特徴とする請求項4に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項6】
前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、
前記操舵角度予測値に基づいて操舵補助力補償値を算出することは、
前記操舵角度予測値及び前記第1移動速度に基づいて第1補助力補償値を算出すること、及び/又は、
前記操舵角度予測値及び前記第2移動速度に基づいて第2補助力補償値を算出することを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項7】
前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、
前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、前記第1補助力補償値は、前記第1移動速度、前記操舵角度予測値に反比例し、前記第2補助力補償値は、前記第2移動速度、前記操舵角度予測値に比例し、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、前記第1補助力補償値は、前記第1移動速度、前記操舵角度予測値に比例し、前記第2補助力補償値は、前記第2移動速度、前記操舵角度予測値に反比例する
ことを特徴とする請求項5に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項8】
前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、
前記第1補助力補償値は、P1 = K*(|α|*V1/M1)*(|α|/90+1)であり、Kは異なるギヤにおける比例パラメータであり、|α|は操舵角度予測値の絶対値であり、V1は前記第1移動速度であり、M1は左車輪速度調節比例であり、前記第2補助力補償値は、P2 = K*(|α|*V2/M2)*(|α|/90+1)であり、V2は前記第2移動速度であり、M2は右車輪速度調節比例である
ことを特徴とする請求項5に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項9】
前記歩行補助器は、前記左車輪及び/又は右車輪を駆動するためのドライバをさらに備え、
前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うステップは、
前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0- P1であり、PL0は補助力補償前の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0+P2であり、PR0は補助力補償前の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値であることと、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0+P1であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0-P2であることと、を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項10】
Kは、0.1~1であり、M1は、1~100であり、M2は、1~100である
ことを特徴とする請求項8に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項11】
前記閾値は、5rad/min以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項12】
前記左車輪の第1移動速度及び前記右車輪の第2移動速度を取得する前に、
左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があるか否かを判断することと、
左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断すると、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得することと、
そうではないと、操作を行わないことと、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項13】
前記左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があるか否かを判断することは、
前記本体フレームの積載重量が重量閾値を超えるか否かを判断することと、
前記本体フレームの積載重量が重量閾値を超えると、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断することと、
そうではないと、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要がないと判断することと、を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項14】
前記左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があるか否かを判断することは、
左車輪及び/又は右車輪と路面との間の摩擦力が抵抗閾値を超えるか否かを判断することと、
左車輪及び/又は右車輪と路面との間の摩擦力が抵抗閾値を超えると、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断することと、
そうではないと、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要がないと判断することと、を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項15】
前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、
前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、前記第1補助力補償値は、前記第1移動速度、前記速度差値に反比例し、前記第2補助力補償値は、前記第2移動速度、前記速度差値に比例し、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、前記第1補助力補償値は、前記第1移動速度、前記速度差値に比例し、前記第2補助力補償値は、前記第2移動速度、前記速度差値に反比例する
ことを特徴とする請求項4に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項16】
前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、
前記速度差値に基づいて前記操舵補助力補償値を得ることは、
前記第1補助力補償値は、P1= K*DV*N1であり、Kは異なるギヤにおける比例パラメータであり、DVは前記速度差値であり、N1は前記左車輪の差動速度補償比例であり、前記第2補助力補償値は、P2= K*DV*N2であり、ここで、N2は前記右車輪の差動速度補償比例であることを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項17】
前記歩行補助器は、前記左車輪及び/又は右車輪を駆動するためのドライバをさらに備え、
前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うステップは、
前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0- P1であり、PL0は補助力補償前の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0+P2であり、PR0は補助力補償前の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値であることと、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0+P1であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0-P2であることと、を含む
ことを特徴とする請求項16に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項18】
Kは、0.1~1であり、N1は、0~1であり、N2は、0~1である
ことを特徴とする請求項16に記載の歩行補助器の操舵補助力制御方法。
【請求項19】
本体フレームと、前記本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備える歩行補助器の操舵補助力制御装置であって、
前記左車輪の第1移動速度及び前記右車輪の第2移動速度を取得し、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあるか否かを判断し、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると、前記第1移動速度及び前記第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または前記第1移動速度と前記第2移動速度との速度差値を算出し、前記操舵角度予測値または前記速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得るためのプロセッサと、;
前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うためのコントローラと、を備える
ことを特徴とする操舵補助力制御装置。
【請求項20】
プログラムデータが記憶されており、前記プログラムデータが実行されると、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の操舵補助力制御方法が実現される
ことを特徴とするメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、特に、歩行補助器の操舵補助力制御方法、操舵補助力制御装置、及びメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行補助器とは、機器の支持により、足が不便である高齢者、患者、さらには歩行能力を失った人でも、健常者のように外出して歩けることができるようにしたものである。一方、使用者は、歩行中に不可避的に操舵などの操作を行う必要がある。
【0003】
現在、歩行補助器の操舵は、完全に使用者の力によって実現されているが、操舵時は直線走行時よりも抵抗が大きくなるが、歩行補助器の使用者は一般的に力が弱い特殊な人々であるため、操舵抵抗が大きくなると不便を感じ、使用者の走行に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、使用者が歩行補助器を使用して操舵する際に抵抗が大きくなって使用者に不便を与えるという従来技術の技術的問題を解決するために、歩行補助器の操舵補助力制御方法、操舵補助力制御装置、及びメモリを提供する。
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用した1つの技術的解決手段は、歩行補助器の操舵補助力制御方法を提供し、前記歩行補助器は、本体フレームと、前記本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備え、前記操舵補助力制御方法は、
前記左車輪の第1移動速度及び前記右車輪の第2移動速度を取得するステップと、
前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあるか否かを判断するステップと、
前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると、前記第1移動速度及び前記第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または前記第1移動速度と前記右車輪の第2移動速度との速度差値を算出するステップと、
前記操舵角度予測値または前記速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うステップと、を含む。
【0006】
具体的な一実施例において、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあるか否かを判断するステップは、
前記左車輪の第1移動方向及び前記右車輪の第2移動方向を取得することと、
前記第1移動方向と前記第2移動方向とがともに前進または後進であると同時に、前記第1移動速度と前記第2移動速度との差値が閾値未満であるか否かを判断することと、
前記第1移動方向と前記第2移動方向とがともに前進または後進であると同時に、前記第1移動速度と前記第2移動速度との差値が閾値未満であると、前記左車輪及び/又は右車輪が直進状態にあると判断することと、
そうではないと、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると判断することと、を含む。
【0007】
具体的な一実施例において、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると判断した後に、
前記第1移動速度、前記第1移動方向、前記第2移動速度、及び前記第2移動方向に基づいて、前記歩行補助器の操舵実行状態を判断することをさらに含む。
【0008】
具体的な一実施例において、前記第1移動速度、前記第1移動方向、前記第2移動速度、及び前記第2移動方向に基づいて、前記歩行補助器の操舵実行状態を判断することは、
前記第2移動方向が前進であると同時に、前記第2移動速度の絶対値が前記第1移動速度の絶対値以上であると、前記歩行補助器が前進左折であると判断することと、
前記第1移動方向が前進であると同時に、前記第1移動速度の絶対値が前記第2移動速度の絶対値以上であると、前記歩行補助器が前進右折であると判断することと、
前記第1移動方向が後進であると同時に、前記第1移動速度の絶対値が前記第2移動速度の絶対値よりも大きいと、前記歩行補助器が後進左折であると判断することと、
前記第2移動方向が後進であると同時に、前記第2移動速度の絶対値が前記第1移動速度の絶対値よりも大きいと、前記歩行補助器が後進右折であると判断することと、を含む。
【0009】
具体的な一実施例において、前記操舵角度予測値を算出することは、
前記歩行補助器が前進左折であると、前記操舵角度予測値α=-45°+V1/V2*45°を算出することと、
前記歩行補助器が前進右折であると、前記操舵角度予測値α=45°-V2/V1*45°を算出することと、
前記歩行補助器が後進左折であると、前記操舵角度予測値α=-45°-V2/V1*45°を算出することと、
前記歩行補助器が後進右折であると、前記操舵角度予測値α=45°-V1/V2*45°を算出することと、を含み、
ここで、V1は、第1移動速度であり、V2は、第2移動速度である。
【0010】
具体的な一実施例において、前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、前記操舵角度予測値に基づいて操舵補助力補償値を算出することは、
前記操舵角度予測値及び前記第1移動速度に基づいて第1補助力補償値を算出すること、及び/又は、
前記操舵角度予測値及び前記第2移動速度に基づいて第2補助力補償値を算出することを含む。
【0011】
具体的な一実施例において、前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、前記第1補助力補償値は、前記第1移動速度、前記操舵角度予測値に反比例し、前記第2補助力補償値は、前記第2移動速度、前記操舵角度予測値に比例し、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、前記第1補助力補償値は、前記第1移動速度、前記操舵角度予測値に比例し、前記第2補助力補償値は、前記第2移動速度、前記操舵角度予測値に反比例する。
【0012】
具体的な一実施例において、前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、前記第1補助力補償値は、P1 = K*(|α|*V1/M1)*(|α|/90+1)であり、ここで、Kは異なるギヤにおける比例パラメータであり、αは操舵角度予測値の絶対値であり、V1は前記第1移動速度であり、M1は左車輪速度調節比例であり、前記第2補助力補償値は、P2 = K*(|α|*V2/M2)*(|α|/90+1)であり、ここで、V2は前記第2移動速度であり、M2は右車輪速度調節比例である。
【0013】
具体的な一実施例において、前記歩行補助器は、前記左車輪及び/又は右車輪を駆動するためのドライバをさらに備え、前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うステップは、
前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0-P1であり、ここで、PL0は補助力補償前の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0+P2であり、ここで、PR0は補助力補償前の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値であることと、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0+P1であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0-P2であることと、を含む。
【0014】
具体的な一実施例において、Kは、0.1~1であり、M1は、1~100であり、M2は、1~100である。
【0015】
具体的な一実施例において、前記歩行補助器は、前記左車輪及び/又は右車輪を駆動するためのドライバをさらに備え、前記補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、前記速度差値に基づいて前記操舵補助力補償値を得、前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うステップは、
前記第1補助力補償値は、P1= K*DV*N1であり、ここで、Kは異なるギヤにおける比例パラメータであり、DVは前記速度差値であり、N1は前記左車輪の差動速度補償比例であり、前記第2補助力補償値は、P2= K*DV*N2であり、ここで、N2は前記右車輪の差動速度補償比例であることと、
前記歩行補助器が前進左折または後進右折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0- P1であり、ここで、PL0は補助力補償前の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0+P2であり、ここで、PR0は補助力補償前の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値であることと、
前記歩行補助器が前進右折または後進左折であると、補助力補償後の前記左車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PL1=PL0+P1であり、補助力補償後の前記右車輪に対する前記ドライバのトルク値は、PR1=PR0-P2であることと、を含む。
【0016】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用した別の技術的解決手段は、歩行補助器の操舵補助力制御装置を提供し、前記歩行補助器は、本体フレームと、前記本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備え、前記操舵補助力制御装置は、
前記左車輪の第1移動速度及び前記右車輪の第2移動速度を取得し、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあるか否かを判断し、前記左車輪及び/又は前記右車輪が操舵状態にあると、前記第1移動速度及び前記第2移動速度に基づいて操舵角度予測値を算出し、前記操舵角度予測値または前記速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得るためのプロセッサと、
前記操舵補助力補償値に基づいて前記左車輪及び/又は前記右車輪に対して補助力補償を行うためのコントローラと、を備える。
【0017】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用した別の技術的解決手段は、プログラムデータが記憶されているメモリを提供し、前記プログラムデータが実行されると、上記のような操舵補助力制御方法が実現される。
【0018】
本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法は、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得することと、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断することと、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあると、第1移動速度及び第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または第1移動速度と右車輪の第2移動速度との速度差値を算出することと、操舵角度予測値または速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、操舵補助力補償値に基づいて左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うこととを含み、歩行補助器の操舵時に歩行補助器の左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器を押し動かして操舵する際に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器を使用する際により便利になり、操舵が歩行補助器の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明において使用する必要のある図面を簡単に紹介するが、以下の説明における図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては、これらの図面に基づいて、創作的な労力を要することなく、他の図面を得ることができることは明らかである。
【
図1】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法の一実施例の流れ模式図である。
【
図2】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例の流れ模式図である。
【
図3】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例の一部のステップの流れ模式図である。
【
図4】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例の一部のステップの流れ模式図である。
【
図5】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例の一部のステップの流れ模式図である。
【
図6】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例の流れ模式図である。
【
図7】本発明の歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例の一部のステップの流れ模式図である。
【
図8】本発明の歩行補助器の実施例の概略構造図である。
【
図9】本発明の歩行補助器の実施例の操舵補助力制御装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例における図面と併せて、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明した実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。当業者が本発明の実施例に基づいて創作的な労力を要することなく得た他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
本発明における「第1」及び「第2」という用語は、説明の目的のみに使用され、相対的な重要性を示す又は暗示するものとして理解されるものではなく、また、示された技術的特徴の数を暗黙に指定するものでもない。本発明の説明において、「複数」とは、明示的かつ具体的に限定されない限り、2つ、3つなどの少なくとも2つを意味する。加えて、「含む」及び「備える」という用語並びにそれらのすべての変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、一連のステップまたはユニットを含んだ過程、方法、システム、製品または装置は、列挙されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、選択的に、列挙されていないステップ又はユニットも含むか、又は選択的に、過程、方法、製品又は装置に固有の他のステップ又はユニットも含む。一方、"及び/又は "という用語は、単に関連するオブジェクトの関連関係の説明であり、3つの関係が存在する可能性があることを示し、例えば、A及び/又はBは、A単独、AとBの両方、及びB単独と表すことができる。また、本明細書における「/」という記号は、一般的に前後の関連オブジェクトが「又は」の関係にあることを示す。
【0022】
図1を参照すると、本発明の歩行補助器は、本体フレームと、本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備え、歩行補助器の操舵補助力制御方法の一実施例は、以下のステップを含む。
【0023】
S110において、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得する。
【0024】
本実施例において、左車輪及び/又は右車輪の単位時間当たりの回転数、回転速度などに基づいて、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得することができる。
【0025】
S120において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断する。
【0026】
本実施例において、第1移動速度及び/又は第2移動速度に基づいて、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断することができる。
【0027】
他の実施例において、左車輪及び/又は右車輪を駆動するドライバの駆動力、駆動方向などに基づいて、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断することができる。また、左車輪及び/又は右車輪の画像を検出する方法によって、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断することができ、ここでは限定されない。
【0028】
S130において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあると、第1移動速度及び第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または第1移動速度と第2移動速度との速度差値を算出する。
【0029】
S140において、操舵角度予測値または速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、操舵補助力補償値に基づいて左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行う。
【0030】
本実施例は、歩行補助器の操舵時に歩行補助器の左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器を押し動かして操舵する際に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器を使用する際により便利になり、操舵が歩行補助器の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【0031】
他の実施例において、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得する前に、
左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があるか否かを判断することと、
左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断すると、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得することと、
そうではないと、操作を行わないことと、をさらに含んでもよい。
【0032】
ここで、本体フレームの積載重量及び/又は路面状況に基づいて、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があるか否かを判断することができる。例えば、本体フレームの積載重量を取得し、本体フレームの積載重量が重量閾値(例えば20kg、25kgなど)を超えるか否かを判断し、本体フレームの積載重量が重量閾値を超えると、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断し、そうではないと、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要がないと判断する。また、例えば、左車輪及び/又は右車輪と路面との間の摩擦力を取得し、摩擦力が抵抗閾値を超えるか否かを判断し、左車輪及び/又は右車輪と路面との間の摩擦力が抵抗閾値を超えると、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断し、そうではないと、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要がないと判断する。また、例えば、歩行補助器が上り坂状態にあるか否か、かつ、傾斜角度が角度閾値以上であるか否かを判断し、歩行補助器が上り坂状態にあり、かつ、傾斜角度が角度閾値以上であると、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要があると判断し、そうではないと、左車輪及び/又は右車輪に対して操舵補助力補償を行う必要がないと判断する。
【0033】
図2を参照すると、本発明の歩行補助器は、本体フレームと、本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備え、歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例は、以下のステップを含む。
【0034】
S210において、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得する。
【0035】
本実施例において、第1移動速度及び第2移動速度を取得する方法は、上記の歩行補助器の操舵補助力制御方法の実施例を参照すればよく、ここでは繰り返して説明しない。
【0036】
S220において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断する。
【0037】
本実施例において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断する方法は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0038】
S221において、左車輪の第1移動方向及び右車輪の第2移動方向を取得する。
【0039】
本実施例において、左車輪及び右車輪の移動方向を前進及び後進の2方向に分け、左車輪及び右車輪の回転方向を検出することにより、左車輪及び右車輪の移動方向を判断することができる。例えば、左視状態において、左車輪及び右車輪の回転方向が時計回り方向であると、左車輪及び右車輪の移動方向は後進であり、左車輪及び右車輪の回転方向が反時計方向であると、左車輪及び右車輪の移動方向は前進である。
【0040】
S222において、第1移動方向と第2移動方向とがともに前進または後進であると同時に、第1移動速度と第2移動速度との差値が閾値未満であるか否か判断する。
【0041】
第1移動方向と第2移動方向とがともに前進または後進であると同時に、第1移動速度と第2移動速度との差値が閾値未満であると、左車輪及び/又は右車輪は直進状態である。
【0042】
そうではないと、左車輪及び/又は右車輪は、操舵状態である。
【0043】
道路状況や歩行補助器自身の精度などにより、直進中に歩行補助器の第1移動速度と第2移動速度が常に一致するわけではない。閾値を設定することで、第1移動速度と第2移動速度との差値が誤差の範囲内にあると、歩行補助器が直進状態にあると判断することにより、誤判定の確率を低減することができる。
【0044】
本実施例において、閾値は、5rad/min以下であり、例えば2rad/min、3rad/min、または5rad/minなどであってもよい。
【0045】
S230において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあると、第1移動速度、第1移動方向、第2移動速度、及び第2移動方向に基づいて、歩行補助器の操舵実行状態を判断する。
【0046】
図3を参照すると、本実施例において、歩行補助器の操舵実行状態を判断する方法は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0047】
S231において、第2移動方向が前進であると同時に、第2移動速度の絶対値が第1移動速度の絶対値以上であると、歩行補助器が前進左折であると判断する。
【0048】
S232において、第1移動方向が前進であると同時に、第1移動速度の絶対値が第2移動速度の絶対値以上であると、歩行補助器が前進右折であると判断する。
【0049】
S233において、第1移動方向が後進であると同時に、第1移動速度の絶対値が第2移動速度の絶対値よりも大きいと、歩行補助器が後進左折であると判断する。
【0050】
S234において、第2移動方向が後進であると同時に、第2移動速度の絶対値が第1移動速度の絶対値よりも大きいと、歩行補助器が後進右折であると判断する。
【0051】
歩行補助器の運行状態を直進、前進左折、前進右折、後進左折、及び後進右折に分け、状態を区別することで、その後の操舵角度予測値や操舵補助力補償値の取得精度を高めることができる。
【0052】
再び
図2を参照すると、S240において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にいないと、操作を行わない。
【0053】
S250において、第1移動速度及び第2移動速度に基づいて操舵角度予測値を算出する。
【0054】
図4を参照すると、本実施例において、左車輪及び右車輪の半径方向が前後方向と平行であるときの左車輪及び右車輪の操舵角度を0と定義し、左車輪及び右車輪を軸方向が前後方向と直交する位置まで左回転させたときの左車輪及び右車輪の操舵角度を-90°と定義し、左車輪及び右車輪向を軸方向が前後方向と直交する位置まで右回転させたときの左車輪及び右車輪の操舵角度を90°と定義し、操舵角度予測値を算出する方法は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0055】
S251において、歩行補助器が前進左折であると、操舵角度予測値α=-45°+V1/V2*45°を算出し、ここで、V1は、第1移動速度であり、V2は、第2移動速度である。
【0056】
S252において、歩行補助器が前進右折であると、操舵角度予測値α=45°-V2/V1*45°を算出する。
【0057】
S253において、歩行補助器が後進左折であると、操舵角度予測値α=-45°-V2/V1*45°を算出する。
【0058】
S254において、歩行補助器が後進右折であると、操舵角度予測値α=45°-V1/V2*45°を算出する。
【0059】
再び
図2を参照すると、S260において、操舵角度予測値に基づいて操舵補助力補償値を得、操舵補助力補償値に基づいて左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行う。
【0060】
図5を参照すると、本実施例において、補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、操舵角度予測値に基づいて操舵補助力補償値を算出する方法は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0061】
S261において、操舵角度予測値及び第1移動速度に基づいて第1補助力補償値を算出する。具体的に、第1補助力補償値は、P1 = K*(|α|*V1/M1)*(|α|/90+1)であり、ここで、Kは、異なるギヤにおける比例パラメータであり、|α|は、操舵角度予測値の絶対値であり、V1は、第1移動速度であり、M1は、左車輪速度調節比例である。及び/又は、以下のステップを含んでもよい。
【0062】
S262において、操舵角度予測値及び第2移動速度に基づいて第2補助力補償値を算出する。具体的に、第2補助力補償値は、P2 = K*(|α|*V2/M2)*(|α|/90+1)であり、ここで、V2は、第2移動速度である、M2は、右車輪速度調節比例である。
【0063】
本実施例において、使用者の必要に応じて、人為的または自動的に歩行補助器の速度ギヤを設定することができる。各ギヤは、1つのKの値に対応する。Kは、0.1、0.6、または1などの0.1~1の値であってもよい。他の実施例において、Kは、0.5、0.8または1などの固定値であってもよい。
【0064】
本実施例において、左車輪速度調節比例は、人為的または自動的に設定することができる。M1は、1、55または100などの1~100の値であってもよい。
【0065】
本実施例において、右車輪速度調節比例は、人為的または自動的に設定することができる。M2は、1、55または100などの1~100の値であってもよい。
【0066】
本実施例において、歩行補助器は、左車輪及び/又は右車輪を駆動するためのドライバをさらに備え、歩行補助器が前進左折または後進右折であると、第1補助力補償値は、第1移動速度、操舵角度予測値に反比例し、第2補助力補償値は、第2移動速度、操舵角度予測値に比例する。すなわち、左車輪に対するドライバのトルクを減少させ、右車輪に対するドライバのトルクを増加させる必要がある。これにより、歩行補助器の操舵を補助することで、操舵の力を省けることができる。同様に、歩行補助器が前進右折または後進左折であると、第1補助力補償値は、第1移動速度、操舵角度予測値に比例し、第2補助力補償値は、第2移動速度、操舵角度予測値に反比例する。すなわち、左車輪に対するドライバのトルクを増加させ、右車輪に対するドライバのトルクを減少させる必要がある。これにより、歩行補助器の操舵を補助することで、操舵の力を省けることができる。
【0067】
本実施例において、ドライバは、左車輪及び右車輪をそれぞれ駆動するための少なくとも2つの駆動部材を含む。他の実施例において、ドライバは、左車輪及び右車輪を駆動するための1つの駆動部材のみを含んでもよい。
【0068】
図5を参照すると、本実施例において、操舵補助力補償値に基づいて左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行う方法は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0069】
S263において、歩行補助器が前進左折または後進右折であると、補助力補償後の左車輪に対するドライバのトルク値は、PL1=PL0-P1であり、ここで、PL0は、補助力補償前の左車輪に対するドライバのトルク値であり、補助力補償後の右車輪に対するドライバのトルク値は、PR1=PR0+P2であり、ここで、PR0は、補助力補償前の右車輪に対するドライバのトルク値である。
【0070】
S264において、歩行補助器が前進右折または後進左折であると、補助力補償後の左車輪に対するドライバのトルク値は、PL1=PL0+P1であり、補助力補償後の右車輪に対するドライバのトルク値は、PR1=PR0-P2である。
【0071】
本実施例は、歩行補助器の操舵時に歩行補助器の左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器を押し動かして操舵する際に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器を使用する際により便利になり、操舵が歩行補助器の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【0072】
図6を参照すると、本発明の歩行補助器は、本体フレームと、本体フレームの底部にそれぞれ設けられた左車輪及び右車輪とを備え、歩行補助器の操舵補助力制御方法のもう一実施例は、以下のステップを含む。
【0073】
S310において、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得する。
【0074】
S320において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断する。
【0075】
S330において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあると、第1移動速度、第1移動方向、第2移動速度、及び第2移動方向に基づいて、歩行補助器の操舵実行状態を判断する。
【0076】
S340において、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にいないと、操作を行わない。
【0077】
本実施例において、S310~S340の具体的な方法は、上記の歩行補助器の操舵補助力制御方法の実施例におけるS210~S240を参照すればよく、ここでは繰り返して説明しない。
【0078】
S350において、第1移動速度及び第2移動速度に基づいて第1移動速度と第2移動速度との速度差値を算出する。
【0079】
S360において、速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、操舵補助力補償値に基づいて左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行う。
【0080】
図7を参照すると、本実施例において、歩行補助器は、左車輪及び/又は右車輪を駆動するためのドライバをさらに備え、補助力補償値は、第1補助力補償値及び/又は第2補助力補償値を含み、速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得、操舵補助力補償値に基づいて左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行う方法は、具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0081】
S361において、第1補助力補償値は、P1= K*DV*N1であり、ここで、Kは、異なるギヤにおける比例パラメータであり、DVは、第1移動速度V1と第2移動速度V2との速度差値であり、N1は、左車輪の差動速度補償比例である。
【0082】
S362において、第2補助力補償値は、P2= K*DV*N2であり、ここで、N2は、右車輪の差動速度補償比例である。
【0083】
本実施例において、使用者の必要に応じて、人為的または自動的に歩行補助器の速度ギヤを設定することができ、各ギヤは、1つのKの値に対応する。Kは、0.1、0.6、または1などの0.1~1の値であってもよい。他の実施例において、Kは、0.5、0.8または1などの固定値であってもよい。
【0084】
本実施例において、左車輪速度調節比例は、人為的または自動的に設定することができる。N1は、0、0.5または1などの0~1の値であってもよい。
【0085】
本実施例において、右車輪速度調節比例は、人為的または自動的に設定することができる。N2は、0、0.5または1などの0~1の値であってもよい。
【0086】
本実施例において、歩行補助器が前進左折または後進右折であると、第1補助力補償値は、第1移動速度、速度差値に反比例し、第2補助力補償値は、第2移動速度、速度差値に比例する。すなわち、左車輪に対するドライバのトルクを減少させ、右車輪に対するドライバのトルクを増加する必要がある。これにより、歩行補助器の操舵を補助することで、操舵の力を省けることができる。同様に、歩行補助器が前進右折または後進左折であると、第1補助力補償値は、第1移動速度、速度差値に比例し、第2補助力補償値は、第2移動速度、速度差値に反比例する。すなわち、左車輪に対するドライバのトルクを増加させ、右車輪に対するドライバのトルクを減少させる必要がある。これにより、歩行補助器の操舵を補助することで、操舵の力を省けることができる。
【0087】
S363において、歩行補助器が前進左折または後進右折であると、補助力補償後の左車輪に対するドライバのトルク値は、PL1=PL0- P1であり、ここで、PL0は、補助力補償前の左車輪に対するドライバのトルク値であり、補助力補償後の右車輪に対するドライバのトルク値は、PR1=PR0+P2であり、ここで、PR0は、補助力補償前の右車輪に対するドライバのトルク値である。
【0088】
S364において、歩行補助器が前進右折または後進左折であると、補助力補償後の左車輪に対するドライバのトルク値は、PL1=PL0+P1であり、補助力補償後の右車輪に対するドライバのトルク値は、PR1=PR0-P2である。
【0089】
本実施例は、歩行補助器の操舵時に歩行補助器の左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器を押し動かして操舵する際に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器を使用する際により便利になり、操舵が歩行補助器の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【0090】
図8及び
図9を参照すると、本発明の歩行補助器10は、本体フレーム100と、本体フレーム100の底部にそれぞれ設けられた左車輪200及び右車輪300とを備え、歩行補助器10の操舵補助力制御装置400の実施例は、プロセッサ410とコントローラ420とを備える。プロセッサ410は、左車輪の第1移動速度及び右車輪の第2移動速度を取得し、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあるか否かを判断し、左車輪及び/又は右車輪が操舵状態にあると、第1移動速度及び第2移動速度に基づいて操舵角度予測値または第1移動速度と第2移動速度との速度差値を算出し、操舵角度予測値または速度差値に基づいて操舵補助力補償値を得る。コントローラは、操舵補助力補償値に基づいて対左車輪200及び/又は右車輪300補助力補償を行う。
【0091】
本実施例は、歩行補助器10の操舵時に歩行補助器10の左車輪200及び/又は右車輪300に対して補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器10を押し動かして操舵する時に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器10を使用する際により便利であり、操舵が歩行補助器10の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器10の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【0092】
図10を参照すると、本発明のメモリ500にはプログラムデータ510が記憶されており、プログラムデータ510が実行されると、上記のような歩行補助器の操舵補助力制御方法の実施例における操舵補助力制御方法が実現される。
【0093】
本実施例において、メモリ500は、Uディスク、光ディスクなどの携帯型記憶媒体であってもよいし、端末、サーバなどであってもよい。
【0094】
本実施例は、歩行補助器の操舵時に歩行補助器の左車輪及び/又は右車輪に対して補助力補償を行うことによって、使用者が歩行補助器を押し動かして操舵する際に力が省けることができ、力の弱い使用者が歩行補助器を使用する際により便利になり、操舵が歩行補助器の走行速度に与える影響を軽減し、歩行補助器の正常な走行を確保し、操舵抵抗の増加による突然の停止を回避し、安全性を向上させることができる。
【0095】
上記は本発明の実施形態に過ぎず、本発明の特許範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面の内容を用いてなされた同等の構造または同等のプロセス変換、または他の関連技術分野に直接的または間接的に適用される同等の構造または同等のプロセス変換は、すべて同様に本発明の特許保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】