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特表2024-530022液圧式の非人力ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きする方法
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  • 特表-液圧式の非人力ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きする方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】液圧式の非人力ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きする方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/00 20060101AFI20240806BHJP
   F04B 23/02 20060101ALI20240806BHJP
   B60T 8/42 20060101ALI20240806BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60T17/00 A
F04B23/02 C
B60T8/42
B60T13/138 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506861
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022069570
(87)【国際公開番号】W WO2023016739
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021208783.3
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】フォレルト,ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】キンダー,ラルフ
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
3H071
【Fターム(参考)】
3D048BB14
3D048BB55
3D048HH14
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH50
3D048HH66
3D048HH68
3D048HH75
3D048RR06
3D048RR11
3D049BB10
3D049BB35
3D049CC02
3D049HH12
3D049HH20
3D049HH47
3D049HH48
3D049KK19
3D049RR04
3D049RR05
3D246BA02
3D246GA16
3D246GB01
3D246GB02
3D246GB04
3D246GB37
3D246HA45A
3D246LA15Z
3D246LA33Z
3D246LA57Z
3D246LA61Z
3D246LA63Z
3D246LA73Z
3D246LA80Z
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC42
3H071DD03
3H071DD07
3H071DD22
3H071DD73
(57)【要約】
自動車用の液圧式の非人力ブレーキ装置(1)の非人力ブレーキ圧力発生器(3)のピストン-シリンダ-ユニット(4)のシリンダ(8)を空気抜きすべく、本発明は、ピストン(5)をシリンダ(8)内で前進ポジションから戻すように基本ポジションへ摺動させ、続いて再び前に摺動させることを提案する。ピストン(5)の戻り摺動時、接続弁(9)は、閉弁されており、その結果、ピストン(5)は、ブレーキ液体をブレーキ液体容器(10)から吸引し、ブレーキ液体は、第1のピストンシール(26)としての、正圧弁のように作用するリップシールを越流する。前進行程時、ピストン(5)は、ブレーキ液体を、このときは開いた接続弁(9)を通してブレーキ液体容器(10)内に押し退ける。場合によってはシリンダ(8)内に含まれる空気は、ブレーキ液体とともにシリンダ(8)から押し退けられ、ブレーキ液体容器(10)内でブレーキ液体から抜ける。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の非人力ブレーキ装置(1)の非人力ブレーキ圧力発生器(3)のピストン-シリンダ-ユニット(4)のシリンダ(8)を空気抜きする方法であって、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)は、プランジャ弁(11)により前記非人力ブレーキ装置(1)のブレーキ回路に接続され、かつ接続弁(9)によりブレーキ液体容器(10)に接続されており、かつ前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)のピストン(5)は、前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内で第1のピストンシール(26)により封止されており、前記第1のピストンシール(26)は、前記ブレーキ液体容器(10)内の圧力に関して前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内が負圧のとき、正圧弁のように前記ブレーキ液体容器(10)から前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内に越流可能である、
方法において、
プランジャ弁(11)が閉弁され、かつ接続弁(9)が閉弁されているとき、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)を前進ポジションから戻すように基本ポジションに向かって摺動させ、このとき、前記ピストン(5)は、負圧を前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内に発生させて、ブレーキ液体が前記ブレーキ液体容器(10)から吸引され、前記第1のピストンシール(26)を越流し、かつ前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内に流れるようにし、かつ続いて、接続弁(9)が開弁され、かつプランジャ弁(11)が閉弁されているとき、前記ピストン(5)を再び前に、押し退け行程の方向で前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内で摺動させ、このとき、ブレーキ液体を、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)から、開いた前記接続弁(9)を通して前記ブレーキ液体容器(10)内に押し退ける、
ことを特徴とする、液圧式の非人力ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きする方法。
【請求項2】
前記方法を繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)が、前記基本ポジションに存在している場合、前記ピストン(5)を、接続弁(9)が開いており、かつ好ましくはプランジャ弁(9)が閉弁されているとき、前記前進ポジションに摺動させ、その後、プランジャ弁(11)が閉弁され、かつ接続弁(9)が閉弁されているとき、戻すように前記基本ポジションに向かって前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内で摺動させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プランジャ弁(11)が閉弁され、かつ接続弁(9)が閉弁されているとき、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)を、前記押し退け行程の方向で摺動させ、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内の液圧を測定し、前記液圧が過度に低いとき、請求項1の方法を実施する、または繰り返すことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項または複数項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のピストンシール(26)は、リップシールを有し、前記リップシールのシールリップは、正圧弁のように作用し、前記リップシールは、前記ブレーキ液体容器(10)内の圧力に関して前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内が負圧のとき、前記ブレーキ液体容器(10)から前記シリンダ(8)内に越流可能であり、かつ前記リップシールは、前記シリンダ(8)から前記ブレーキ液体容器(10)内への、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)と前記シリンダ(8)との間の流動を封止することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項または複数項に記載の方法。
【請求項6】
前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)は、前記第1のピストンシール(26)を介して、前記接続弁(9)を介するのとは別のブレーキ管路(31)を通して前記ブレーキ液体容器(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項または複数項に記載の方法。
【請求項7】
前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)は、前記シリンダ(8)の軸方向で延びる溝(28)を、前記シリンダ(8)の、前記ピストン(5)により前記シリンダ(8)内に画定されるチャンバ(30)の内周部に有し、前記溝(28)を通して、ブレーキ液体は、前記ピストン(5)と前記シリンダ(8)との間を貫流可能であり、前記溝(28)は、前記第1のピストンシール(26)から小さな間隔を置いて終端していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項または複数項に記載の方法。
【請求項8】
前記接続弁(9)を前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)に接続するブレーキ管路(29)が、前記ピストン-シリンダ-ユニット(9)の使用位置で前記シリンダ(8)の上部に開口していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項または複数項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を備える、液圧式の非人力車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液圧式の非人力車両ブレーキ装置であって、人力操作可能な主ブレーキシリンダと、非人力ブレーキ圧力発生器とを備え、非人力ブレーキ圧力発生器は、ピストン-シリンダ-ユニットを有し、ピストン-シリンダ-ユニットのピストンは、非人力によるブレーキ圧力発生のために、電気モータによりねじ伝動機構を介してピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内で摺動可能である、液圧式の非人力車両ブレーキ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019201536号明細書
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を備える本発明に係る方法は、このような非人力車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きすべく、設けられている。ここで、「空気抜き」とは、非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダからの空気の除去と解すべきである。各ブレーキ回路内のプランジャ弁により、車両ブレーキ装置の1つまたは複数のブレーキ回路は、非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダに接続されており、各ブレーキ回路は、1つまたは複数の液圧式のホイールブレーキを有している。液圧式の非人力車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットは、しばしばプランジャと称呼され、シリンダは、プランジャシリンダと称呼され、かつピストンは、プランジャピストンと称呼される。
【0005】
非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダは、接続弁により特に無圧のブレーキ液体容器に接続されており、ここで「無圧」は、ブレーキ液体容器内を周囲圧が支配していることを意味している。
【0006】
非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのピストンは、第1のピストンシールにより非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内で封止されている。第1のピストンシールは、正圧弁のように作用し、ブレーキ液体容器内の圧力に関してピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内の負圧が十分であるとき、ブレーキ液体をブレーキ液体容器から、ピストン-シリンダ-ユニットのピストンとシリンダとの間を、シリンダ内へ貫流させる。「負圧」は、車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内の圧力が、ブレーキ液体容器内の圧力より低いことを意味しており、このとき、記載したように、ブレーキ液体容器は、特に無圧であり、すなわち、ブレーキ液体容器内には周囲圧が支配している。反対方向で、すなわち、非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダからブレーキ液体容器に向かって、第1のピストンシールは、非人力ブレーキ圧力発生器により発生可能な最大の圧力まで、または最大で車両ブレーキ装置内を支配するブレーキ圧力まで、封止する。
【0007】
このようなピストンシールは、リップシールであり、リップシールのシールリップは、上述のように、正圧弁のように作用し、請求項5のリップシールは、車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内でピストンを封止する第1のピストンシールとして設けられている。
【0008】
必須というわけではないが、特に、車両ブレーキ装置は、手または足により筋力で操作可能な主ブレーキシリンダを有しており、主ブレーキシリンダには、1つまたは複数のブレーキ回路が、各ブレーキ回路内の第1のカット弁により接続されている。
【0009】
非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きすべく、本発明によれば、ピストン-シリンダ-ユニットのピストンを、1つまたは複数のプランジャ弁が閉弁され、かつ接続弁が閉弁されているとき、前進ポジションから戻すように基本ポジションに向かって摺動させ、その後、1つまたは複数のプランジャ弁が閉弁され、かつ接続弁が開いているとき、反対方向に押し退け押動の方向で非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内を摺動させる。基本ポジションは、非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内におけるピストンのポジションであって、ピストンがシリンダ内に閉じ込めるチャンバの容積が最大となるポジションである。ピストンが押し退け押動の方向でシリンダ内を移動するとき、ピストンは、チャンバの容積を縮小し、弁の少なくとも1つが開いていることを前提に、ブレーキ液体をシリンダから押し退ける。「前進ポジション」は、ピストンが、基本ポジションに関して押し退け押動の方向で少しシリンダ内を摺動させられていることを意味している。
【0010】
弁が閉弁されているときの、前進ポジションから基本ポジションに向かう、押し退け行程とは反対の戻り行程時、ピストンは、負圧を非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内に発生させる。負圧は、第1のピストンシールが越流され、ブレーキ液体が、ブレーキ液体容器から、ピストンとシリンダとの間を通って第1のピストンシールを流過し、非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内に流れる程度の大きさである。好ましくは、ピストンは、基本ポジションまで戻るようにシリンダ内を摺動されるが、基本的には、基本ポジションに向かう、それよりも短い戻り行程も可能である。戻り行程は、正圧弁として作用する第1のピストンシールが、ブレーキ液体容器から非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内へ越流される程度の大きさでなければならない。
【0011】
非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内での、押し退け行程の方向でのピストンの後続の摺動時、ピストンは、ブレーキ液体を、この摺動時には開いている接続弁を通して、ブレーキ液体容器内に押し退ける。ブレーキ液体とともに、場合によってはシリンダ内に存在する空気は、ブレーキ液体容器内に達し、ブレーキ液体容器内でブレーキ液体から抜ける。押し退け行程の方向でのピストンの摺動は、最大であってもよいし、シリンダ内でのピストンの最大の行程より短くてもよい。1つまたは複数のプランジャ弁は、押し退け行程の方向でのピストンの摺動中、または本発明に係る方法の全体の実施中、好ましくは、空気を非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダから車両ブレーキ装置のブレーキ回路のうちの1つに押し退けてしまわないように、閉弁されている。
【0012】
本方法は、すべての空気が車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダから押し退けられていて、シリンダが完全に空気抜きされていることを保証すべく、何度も繰り返されてもよい。
【0013】
非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのピストンが、本発明に係る方法の前にまたは開始時に基本ポジションに存在している場合は、ピストンを、本発明の一構成では、第1の方法ステップまたは導入の方法ステップとして、前進ポジションへ、シリンダ内を摺動させる。このとき、接続弁は、開いており、その結果、ピストンは、ブレーキ液体をシリンダからブレーキ液体容器内に押し退け、かつ1つまたは複数のプランジャ弁は、好ましくは、ブレーキ液体が、非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダから車両ブレーキ装置のブレーキ回路のうちの1つに押し退けられてしまわないように、閉弁されている。前進ポジションから、ピストンをその後、戻すように基本ポジションに向かって摺動させる。このとき、上記の通り、接続弁と、1つまたは複数のプランジャ弁とは、閉弁されているか、または閉弁される。
【0014】
本発明の一構成によれば、ピストン-シリンダ-ユニットのシリンダ内の液圧を、接続弁が閉弁され、かつ1つまたは複数のプランジャ弁が閉弁されているときにピストンがシリンダ内を押し退け行程の方向で摺動する間、測定する。弁が閉弁されているときに、ピストンが押し退け行程の方向で摺動する際に、このピストンがシリンダ内に発生させる圧力は、空気がシリンダ内に含まれていないとき、より大きくなる。過度に低い圧力または過度に弱い昇圧は、空気がシリンダ内にあることを示唆する。圧力または昇圧が過度に低い場合、本発明のこの構成は、本発明に係る方法の実施または繰り返しを計画する。
【0015】
従属請求項は、独立請求項に記載の本発明の発展形および有利な構成を対象とする。
【0016】
明細書および図面に開示するすべての特徴は、それ自体単独でも、原則任意の組み合わせでも、本発明の実施の形態をなし得る。一請求項または本発明の一実施の形態のすべての特徴を有しているのではなく、そのうちの1つまたは複数の特徴しか有していない発明の構成も、原則可能である。
【0017】
本発明について、以下に図面を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る方法を実施可能な液圧式の非人力車両ブレーキ装置の回路図である。
図2図1に示した車両ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダの横断面を簡略化して示す図である。
図3図2に示したシリンダの軸方向断面を簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す車両ブレーキ装置1は、4つの液圧式のホイールブレーキ2を有する乗用車用に設けられ、ブレーキ回路毎に2つの液圧式のホイールブレーキ2を有する2系統ブレーキ装置として構成されている。別の構成も可能であり、例えば1系統ブレーキ装置もしくは2つより多くのブレーキ回路を有する多系統ブレーキ装置および/または別の数のホイールブレーキ2および/またはブレーキ回路に対するホイールブレーキ2の別の割り当ても可能である。
【0020】
車両ブレーキ装置1は、ピストン-シリンダ-ユニット4を有する電気液圧式の非人力ブレーキ圧力発生器3を有し、ピストン-シリンダ-ユニット4のピストン5は、ブレーキ圧力を発生させるべく、電気モータ6によりねじ山伝動機構7またはその他の回転-並進-変換伝動機構を介してシリンダ8内を軸方向で摺動可能である。ピストン-シリンダ-ユニット4は、プランジャユニットとも称呼され、そしてピストン5は、プランジャピストンと称呼され得る。
【0021】
非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8は、接続弁9により無圧のブレーキ液体容器10に接続されている。
【0022】
非人力ブレーキ圧力発生器3、厳密にいえば、この非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8には、ホイールブレーキ2が、ここではプランジャ弁11と称呼される弁と、第1のカット弁12と、ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ13とを介して接続されている。両ブレーキ回路への分配のために、2つのプランジャ弁11が液圧的に並列に配置され、2つの第1のカット弁12が液圧的に同じく並列に配置され、かつそれぞれ1つのプランジャ弁11と1つの第1のカット弁12とが、液圧的に直列に配置されている。ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ13を介して、それぞれ2つのホイールブレーキ2が、1つのプランジャ弁11と1つの第1のカット弁12とを介して非人力ブレーキ圧力発生器3に接続されている。
【0023】
ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ13は、各ホイールブレーキ2のために1つの入口弁14と1つの出口弁15とを有している。入口弁14を介して、ホイールブレーキ2は、第1のカット弁12に接続されている。具体的には、各ブレーキ回路において、2つのホイールブレーキ2が、それぞれ1つの入口弁14でもって、1つの第1のカット弁12に接続されている。出口弁15を介して、ホイールブレーキ2は、液圧ポンプ16の吸込側に接続されており、これらの液圧ポンプ16は、1つの共通の電気モータ17により駆動可能である。各ブレーキ回路に1つの液圧ポンプ16が存在しており、これらの液圧ポンプ16の吸込側には、それぞれのブレーキ回路のホイールブレーキ2が、出口弁15を介して接続されている。
【0024】
出口弁15と液圧ポンプ16との間には、液圧アキュムレータ18が、液圧ポンプ16の吸込側に、ブレーキ圧力コントロールおよび/またはスリップコントロール中に出口弁15が開弁したときにホイールブレーキ2から流出するブレーキ液体を中間貯蔵すべく、接続されている。
【0025】
入口弁14と出口弁15とは、ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ13を形成し、ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ13により、各ホイールブレーキ2内のホイールブレーキ圧力は、個々にコントロールされ得る。液圧ポンプ16とともに、スリップコントロール、特にアンチロックコントロール、トラクションコントロールおよび/またはビークルダイナミクスコントロールが可能である。これらのスリップコントロールに対して、ABS、ASRおよび/またはFDRの略称が慣用されている。ビークルダイナミクスコントロールは、一般に横滑り防止装置とも称呼される。このようなスリップコントロールは、それ自体公知であり、本明細書においてこれ以上説明することはしない。
【0026】
付加的に、液圧ポンプ16の吸込側は、それぞれ1つのチェック弁19と1つの吸引弁20とを介してブレーキ液体容器10に接続されており、その結果、液圧ポンプ16は、ブレーキ液体をブレーキ圧力発生またはブレーキ圧力上昇のためにブレーキ液体容器10から吸引することができる。チェック弁19は、ブレーキ液体容器10の方向から吸引弁20および液圧ポンプ16の方向で貫流可能である。
【0027】
車両ブレーキ装置1は、ブレーキペダル21により操作可能な2系統主ブレーキシリンダ22を人力ブレーキ圧力発生器として有し、2系統主ブレーキシリンダ22には、ホイールブレーキ2が、各ブレーキ回路において、それぞれ1つの第2のカット弁23と、上記第1のカット弁12と、ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ13の上記入口弁14とを介して接続されており、その結果、車両ブレーキ装置1は、人力でも操作可能である。第2のカット弁23と、第1のカット弁12と、入口弁14とは、液圧的に直列に配置されている。2系統主ブレーキシリンダ22は、図示しないブレーキ力倍力装置を有していてもよく、この場合、補助力ブレーキ圧力発生器と称呼され得る。
【0028】
基本的には、車両ブレーキ装置1の操作は、非人力により行われ、ブレーキ圧力は、電気液圧式の非人力ブレーキ圧力発生器3により発生される。電気液圧式の非人力ブレーキ圧力発生器3の異常または失陥時、ブレーキ圧力発生は、スリップコントロールの液圧ポンプ16により、または選択的に主ブレーキシリンダ22により可能である。主ブレーキシリンダ22自体は、電気液圧式の非人力ブレーキ圧力発生器3が機能している場合は、ホイールブレーキ2内に設定すべきホイールブレーキ圧力のための目標値設定器として用いられる。
【0029】
両ブレーキ回路のうちの一方のブレーキ回路内には、ペダルストロークシミュレータ24が、シミュレータ弁25を介して主ブレーキシリンダ22に接続されている。ペダルストロークシミュレータ24は、ばね付勢式の液圧アキュムレータであり、ペダルストロークシミュレータ24内には、シミュレータ弁25の開弁時、ブレーキ液体が主ブレーキシリンダ22から押し退けられることができ、その結果、第2のカット弁23が閉弁される非人力制動時、ピストンは、主ブレーキシリンダ22内で摺動可能であり、ブレーキペダル21は、車両操縦者に対していつも通りのペダルフィールを与えるために、可動である。
【0030】
ピストン5は、非人力ブレーキ装置1の非人力ブレーキ圧力発生器9のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内で、2つのピストンシール26,27、すなわち、第1のピストンシール26または高圧シールと、第2のピストンシール27または漏れシールとにより封止されている。
【0031】
第1のピストンシール26は、本実施例では、正圧弁のように作用するリップシール(図3)である。(本実施例では無圧の)ブレーキ液体容器10に関して非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内の負圧が十分に高いとき、ブレーキ液体は、第1のピストンシール26を越流し、ピストン5とシリンダ8との間をシリンダ8内へ流れる。反対方向、すなわち、シリンダ8から出る方向では、第1のピストンシール26は、シリンダ8内の可能な最も高い圧力まで、または車両ブレーキ装置1内の最大のブレーキ圧力まで、すなわち、第1のピストンシール3の機能不全まで、封止する。「負圧」は、非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内の圧力が、ブレーキ液体容器10内より低いことを意味する。リップシールとして構成される第1のピストンシール26が、シリンダ8に向かって越流されるように、シリンダ8内の圧力と、ブレーキ液体容器10内の圧力との間には、第1のピストンシール26の越流のために必要な圧力差が支配していなければならない。
【0032】
非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内の負圧が十分であるときに第1のピストンシール26を越流するブレーキ液体の、ピストン5とシリンダ8との間の貫流を容易にするために、シリンダ8は、図2および3に看取可能であるように、シリンダ8の長手方向で延びる溝28を内周部に有し、溝28は、第1のピストンシール26の近傍まで達している。本実施例では、溝28は、軸線平行に延びているが、シリンダ8の軸方向平面に対して角度をなして、例えば波形または螺旋形に延びていてもよい。
【0033】
第2のピストンシール27は、例えばOリングである。第1のピストンシール26と、第2のピストンシール27との間には、ここでは漏れ管路29と称呼されるブレーキ管路が、非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内に開口しており、漏れ管路29は、シリンダ8を無圧のブレーキ液体容器10に接続している。
【0034】
ブレーキ装置1の、説明し、図示した実施の形態では、第1のカット弁12、入口弁14および第2のカット弁23は、その非通電の基本位置で開いている2ポート2位置方向制御ソレノイド弁であり、そして接続弁9、プランジャ弁11、出口弁15、吸引弁20およびシミュレータ弁25は、その非通電の基本位置で閉弁される2ポート2位置方向制御ソレノイド弁である。非人力ブレーキ圧力発生器3、主ブレーキシリンダ22、ペダルストロークシミュレータ24、シミュレータ弁25、チェック弁19、プランジャ弁11および第2のカット弁23は、ここでは圧力発生モジュール34と称呼される第1のモジュールにまとめられ、そして液圧ポンプ16を含めた電気モータ17、第1のカット弁12、吸引弁20、入口弁14および出口弁15は、ここでは圧力調整モジュール35と称呼される第2のモジュールにまとめられている。
【0035】
非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8を空気抜きすべく、すなわち、場合によってはシリンダ8内に含まれる空気をシリンダ8から除去すべく、本発明に係る方法によれば、ピストン5を、任意の前進ポジションから戻すように基本ポジションに向かって摺動させ、その後、反対方向に押し退け行程の方向でシリンダ8内を摺動させる。基本ポジションは、戻り行程または吸込行程の方向で最も遠くシリンダ8内を摺動させたピストン5のポジションである。この基本ポジションにおいて、ピストン5がシリンダ8内に画定するチャンバ30の容積は、最大である。戻り行程とは反対の、前進行程または仕事行程とも称呼され得る押し退け行程時、ピストン5は、シリンダ8内のチャンバ30の容積を縮小し、接続弁9が開弁されているとき、ブレーキ液体をシリンダ8からブレーキ液体容器10内に押し退ける。上記前進ポジションにおいて、ピストン5は、基本ポジションから押し退け行程の方向で少しシリンダ8内を摺動させられている。
【0036】
ピストン5を前進ポジションから戻すように基本ポジションに向かって摺動させるとき、両プランジャ弁11および接続弁9は、閉弁されている。これによりピストン5は、基本ポジションに向かって摺動する際、負圧をシリンダ8内に発生させる。基本ポジションに向かうピストン5の摺動距離は、シリンダ8内に発生される負圧が、ブレーキ液体が、正圧弁のように機能する第1のピストンシール26を越流するのに十分である、すなわち、ブレーキ液体が、ブレーキ液体容器10から漏れ管路29を通して非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内に流動するのに十分であるような長さである。ピストン5は、基本ポジションまで摺動されてもよいし、基本ポジションまでは摺動されなくてもよい。ピストン5の摺動距離は、記載したように、シリンダ8内に発生される負圧が、ブレーキ液体容器10からシリンダ8内への第1のピストンシール26の越流を引き起こすような長さでなければならない。
【0037】
押し退け行程の方向でのピストン5の後続の摺動時、プランジャ弁11は、空気を含んでいる可能性のあるブレーキ液体が、非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8からブレーキ回路内に押し退けられてしまわないように、閉弁されたままである。接続弁9は、開弁され、その結果、ピストン5は、ブレーキ液体をシリンダ8からブレーキ液体容器10内に押し退ける。場合によってはシリンダ8内に存在する空気は、ブレーキ液体とともにシリンダ8からブレーキ液体容器10内に押し退けられ、ブレーキ液体容器10においてブレーキ液体から抜ける。
【0038】
非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8を接続弁9に接続するブレーキ管路31は、場合によってはシリンダ8内に存在する空気が、押し退け行程の方向でのピストン5の摺動時、ブレーキ管路31と、開いた接続弁9とを通して、シリンダ8からブレーキ液体容器10内に押し退けられるように、非人力ブレーキ圧力発生器9およびそのシリンダ8の所定の組込位置または使用位置で、この空気が集まるシリンダ8の上部に開口している。
【0039】
本方法は、場合によっては非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内に存在するすべての空気をシリンダ8から確実に除去すべく、複数回繰り返されてもよい。
【0040】
ピストン5が基本ポジションに存在しているとき、ピストン5は、非人力ブレーキ装置1の非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8を空気抜きすべく、前進ポジションに摺動され、その後、前進ポジションから再び戻されるように基本ポジションに向かって摺動される。ピストン5が基本ポジションから前進ポジションに摺動されるとき、プランジャ弁11は、好ましくは、空気を含んでいる可能性のあるブレーキ液体が、非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8から非人力ブレーキ装置1のブレーキ回路内に押し退けられてしまわないように、閉弁されたままであるか、または閉弁される。接続弁9は、ピストン5が、ブレーキ液体をシリンダ8からブレーキ液体容器10内に押し退けることができるように、開弁される。ピストン5が戻るように基本ポジションに向かって摺動されるとき、プランジャ弁11は、上述のように閉弁されたままであり、かつ接続弁9は、閉弁される。
【0041】
非人力ブレーキ装置1の非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8の本発明に係る空気抜きは、例えば決められた時点で、定められた時間間隔で、または別の基準に応じて実施され得る。
【0042】
本発明により、非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内のブレーキ液体の「弾性試験」も可能である。このためにピストン5を、プランジャ弁11が閉弁され、かつ接続弁9が閉弁されているとき、押し退け行程の方向でシリンダ8内を摺動させる。シリンダ8内のブレーキ液体が空気を含んでいなければ、ブレーキ液体は、略非圧縮性であり、これにより、シリンダ8内の圧力は、ピストン5の摺動時、迅速にかつ高い値に上昇する。このとき、ピストン5の摺動は、短い。シリンダ8内の圧力あるいは昇圧が、シリンダ8に接続される圧力センサ32により、かつピストン5の摺動距離の代わりに、電気モータ6の回転が、回転角度センサ33により測定され得る。昇圧が弱く、かつピストン5が大きくシリンダ8内で摺動されるようであれば、シリンダ8内に空気があることを想定すべきである。この場合、シリンダ8は、上述のように空気抜きされる。
【0043】
非人力ブレーキ圧力発生器3のピストン-シリンダ-ユニット4のシリンダ8内のブレーキ液体の、説明した弾性試験は、空気抜きサイクル後に、つまり、基本ポジションに向かうピストン5の摺動と、押し退け行程の方向でのピストン5の後続の摺動との後に実施されてもよく、ブレーキ液体が引き続き圧縮性を示すときは、さらなる空気抜きサイクルが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 車両ブレーキ装置
2 液圧式のホイールブレーキ
3 電気液圧式の非人力ブレーキ圧力発生器
4 ピストン-シリンダ-ユニット
5 ピストン
6 電気モータ
7 ねじ山伝動機構
8 シリンダ
9 接続弁
10 ブレーキ液体容器
11 プランジャ弁
12 第1のカット弁
13 ブレーキ圧力調整弁アッセンブリ
14 入口弁
15 出口弁
16 液圧ポンプ
17 電気モータ
18 液圧アキュムレータ
19 チェック弁
20 吸引弁
21 ブレーキペダル
22 2系統主ブレーキシリンダ
23 第2のカット弁
24 ペダルストロークシミュレータ
25 シミュレータ弁
26 第1のピストンシール
27 第2のピストンシール
28 溝
29 漏れ管路
30 チャンバ
31 ブレーキ管路
32 圧力センサ
33 回転角度センサ
34 圧力発生モジュール
35 圧力調整モジュール
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の非人力ブレーキ装置(1)の非人力ブレーキ圧力発生器(3)のピストン-シリンダ-ユニット(4)のシリンダ(8)を空気抜きする方法であって、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)は、プランジャ弁(11)により前記非人力ブレーキ装置(1)のブレーキ回路に接続され、かつ接続弁(9)によりブレーキ液体容器(10)に接続されており、かつ前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)のピストン(5)は、前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内で第1のピストンシール(26)により封止されており、前記第1のピストンシール(26)は、前記ブレーキ液体容器(10)内の圧力に関して前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内が負圧のとき、正圧弁のように前記ブレーキ液体容器(10)から前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内に越流可能である、
方法において、
プランジャ弁(11)が閉弁され、かつ接続弁(9)が閉弁されているとき、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)を前進ポジションから戻すように基本ポジションに向かって摺動させ、このとき、前記ピストン(5)は、負圧を前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内に発生させて、ブレーキ液体が前記ブレーキ液体容器(10)から吸引され、前記第1のピストンシール(26)を越流し、かつ前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内に流れるようにし、かつ続いて、接続弁(9)が開弁され、かつプランジャ弁(11)が閉弁されているとき、前記ピストン(5)を再び前に、押し退け行程の方向で前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内で摺動させ、このとき、ブレーキ液体を、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)から、開いた前記接続弁(9)を通して前記ブレーキ液体容器(10)内に押し退ける、
ことを特徴とする、液圧式の非人力ブレーキ装置の非人力ブレーキ圧力発生器のピストン-シリンダ-ユニットのシリンダを空気抜きする方法。
【請求項2】
前記方法を繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)が、前記基本ポジションに存在している場合、前記ピストン(5)を、接続弁(9)が開いており、かつ好ましくはプランジャ弁(11)が閉弁されているとき、前記前進ポジションに摺動させ、その後、プランジャ弁(11)が閉弁され、かつ接続弁(9)が閉弁されているとき、戻すように前記基本ポジションに向かって前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内で摺動させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プランジャ弁(11)が閉弁され、かつ接続弁(9)が閉弁されているとき、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)を、前記押し退け行程の方向で摺動させ、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内の液圧を測定し、前記液圧が過度に低いとき、請求項1の方法を実施する、または繰り返すことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のピストンシール(26)は、リップシールを有し、前記リップシールのシールリップは、正圧弁のように作用し、前記リップシールは、前記ブレーキ液体容器(10)内の圧力に関して前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)内が負圧のとき、前記ブレーキ液体容器(10)から前記シリンダ(8)内に越流可能であり、かつ前記リップシールは、前記シリンダ(8)から前記ブレーキ液体容器(10)内への、前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記ピストン(5)と前記シリンダ(8)との間の流動を封止することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)は、前記第1のピストンシール(26)を介して、前記接続弁(9)を介するのとは別のブレーキ管路(29)を通して前記ブレーキ液体容器(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)は、前記シリンダ(8)の軸方向で延びる溝(28)を、前記シリンダ(8)の、前記ピストン(5)により前記シリンダ(8)内に画定されるチャンバ(30)の内周部に有し、前記溝(28)を通して、ブレーキ液体は、前記ピストン(5)と前記シリンダ(8)との間を貫流可能であり、前記溝(28)は、前記第1のピストンシール(26)から小さな間隔を置いて終端していることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記接続弁(9)を前記非人力ブレーキ圧力発生器(3)の前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の前記シリンダ(8)に接続するブレーキ管路(31)が、前記ピストン-シリンダ-ユニット(4)の使用位置で前記シリンダ(8)の上部に開口していることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【国際調査報告】