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特表2024-530033レーザ指示ポッド(LDP)の改良およびそれに関する改良
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  • 特表-レーザ指示ポッド(LDP)の改良およびそれに関する改良 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レーザ指示ポッド(LDP)の改良およびそれに関する改良
(51)【国際特許分類】
   F41G 3/16 20060101AFI20240806BHJP
   F41G 7/26 20060101ALN20240806BHJP
   F41G 3/32 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
F41G3/16
F41G7/26
F41G3/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507147
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 GB2022052015
(87)【国際公開番号】W WO2023012464
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】2111359.2
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】21275105.1
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、ベン・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】リーズ、アドリアン・ダンカン
(57)【要約】
レーザ指示ポッド(LDP)保護システムであって、LDP保護システムは、保護フード(10)と、所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたときに信号を生成するために保護フード(10)内に配置されたレーザ検出器(110)と、生成された信号を記録するためのコンピューティングデバイス(140)とを備える、レーザ指示ポッド(LDP)保護システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ指示ポッド(LDP)保護システムであって、前記LDP保護システムは、
保護フード(10)と、
所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたときに信号を生成するために前記保護フード(10)内に配置されたレーザ検出器(110)と、
前記生成された信号を記録するためのコンピューティングデバイス(140)と
を備える、システム。
【請求項2】
前記レーザ検出器(110)および前記コンピューティングデバイス(140)は、物理的に分離され、前記レーザ検出器(110)は、前記保護フード(10)内で使用するために配置され、前記コンピューティングデバイス(140)は、前記保護フード(10)の外側で使用するために配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レーザ検出器(110)および前記コンピューティングデバイス(140)は、ケーブル(120)を用いて電気的に接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
電力は、携帯型バッテリパック、主電源からDCへのコンバータ、またはパワーオーバーイーサネット、PoEを用いて前記システムに提供される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザ検出器(110)には、前記所定の波長範囲内の波長で動作可能であり、自己テストモードで機能するように配置された光エミッタ(D1、D2)が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記レーザ検出器(110)には、前記システムの電源オン状態を示すために、前記所定の波長範囲外の波長で発光するように配置されたさらなる光エミッタ(D3)が設けられている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステムを備えるレーザ指示ポッド(LDP)(1)。
【請求項8】
前記所定の波長範囲は、前記LDP(1)内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、請求項7に記載のLDP(1)。
【請求項9】
前記システムは、前記LDP(1)内の前記レーザが発射されたこと、および前記レーザが前記所定の波長範囲内で動作していることを示すように配置される、請求項8に記載のLDP(1)。
【請求項10】
前記システムは、複数の所定の波長範囲を検出するように構成され、前記複数の所定の波長範囲の各々は、前記LDPの動作モードに対応し、各動作モードは、所定の波長の離散的範囲を備える、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のLDP(1)。
【請求項11】
前記所定の波長範囲は、前記LDPの3つの動作モードに対応し、前記動作モードは、
1200~1700nmの範囲内の所定の波長を備えるトレーニングモードと、
800~1200nmの範囲内の所定の波長を備える戦闘モードと、
500~1100nmの範囲内の所定の波長を備えるマーカーモードと
を備える、請求項10に記載のLDP(1)。
【請求項12】
前記システムは、ワイヤードまたはワイヤレス接続を介してさらなるコンピューティングデバイスと通信するために配置され、前記さらなるコンピューティングデバイスは、前記LDP(1)に対してテストプロシージャを実施するためのプログラムを実行するように配置される、請求項7乃至11のいずれか一項に記載のLDP(1)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステムおよび/またはLDPを使用して、レーザ指示ポッド(1)、LDPの上に嵌合された保護フード(10)内のレーザ発射を検出する方法(200)であって、
前記保護フード内に前記レーザ検出器(110)を設けるステップ(202)と、
前記LDPに対してテストを実施するステップ(204)と、
所定の波長範囲内の発射されたレーザの存在を検出するステップ(206)と、ここにおいて、前記所定の波長範囲は、前記LDP(1)内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、
前記レーザ検出器が前記所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたことに応答して信号を生成するステップと、
コンピューティングデバイス(140)を使用して、前記生成された信号を記録するステップと
を備える、方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットを識別し、レーザ誘導爆弾のような精密誘導弾薬(PGM:precision guided munitions)をそれらのターゲットに誘導するために、対地攻撃機によって使用されるターゲット指定ツールである、レーザ指示ポッド(LDP:Laser Designator Pods)に関する。そのようなポッドは、通常、航空機に嵌合され、ターゲットにレーザビームを発射することによってターゲットを照明するために使用される。ターゲットが指示子(designator)によってそのようにマークされると、レーザ信号はターゲットから空に反射し、その反射は、PGM上の探索デバイスによって検出され、探索デバイスは、反射された信号の中心に向かって進む。
【背景技術】
【0002】
試運転中、および場合によってはその後に、LDPおよび/またはLDPが嵌合された航空機に対して電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)テストを実施することが必要である。そのテストの一部として、レーザが意図せずに発射される可能性がある。同様に、レーザを意図的に発射することを必要とするテストがあり得る。いずれの場合も、テスト環境におけるレーザの発射は、特にテスト周辺で働くスタッフにとって危険である可能性がある。
【0003】
予期および意図しない発射の場合、周辺の人員は、特に、視力を損なう可能性がある有害なレベルのレーザ放射のリスクにさらされる可能性がある。
【0004】
したがって、LDPに関連してEMCまたは他のテストが実施されるとき、通常、特別な予防措置が講じられる。そのような予防措置は、レーザ放射がフードの範囲(confines)から漏れることができないように、すなわち、フードが波長範囲、例えば、可視光に対して不透明であるように、LDPの動作部分(1つまたは複数)を覆う安全フード(safety hood)の嵌合を含む。そのような状況は、図1aおよび1bに示される。
【0005】
図1aは、LDP1および安全フード10を示す。テストを開始する前に、安全フード10は、示されるように、LDP1に嵌合される。図1bに示すように、フード10がLDP1に嵌合されると、いかなるレーザ放射も安全フードから漏れることができず、それによって周辺の人員を保護する。安全フード10の嵌合は、ボルト、ねじ、ストラップ、または他の締結具を使用して、安全フード10を所定の位置にしっかりと固定することを伴い得る。そのような締結具は、LDP自体の相補的な締結具と結合するように配置され得る。
【0006】
しかしながら、この配置の問題は、フード10がLDP1に嵌合されると、レーザがフードの範囲内で発射されたかどうかを見分けることができないことである。これは調整(rectification)を必要とする故障の程度を示すことがあり得るので、これが起こったかどうかを知ることが望ましい。
【0007】
この問題に対処するために用いられる従来技術は、Zeiss(登録商標)によって作成されるような、いわゆるレーザ検出紙(Laser Detection Paper)の使用を伴い、これは、嵌合前にフード10に嵌合される。この種の紙は、感光され、入射レーザ放射の場合にはマークを記録する。発射を検出するためには、フードを取り外し、紙を検査しなければならない。
【0008】
しかしながら、このアプローチには、最適とは言えない問題がある。紙自体はもはや入手できないと考えられており、したがって、備品を得ることは困難または不可能である。たとえ利用可能であっても、この紙は、10~20秒の範囲の比較的長いバーストのレーザ放射を記録するためにのみ有用である。したがって、レーザが10秒未満で発射する場合、そのような発射は、紙によって検出されない場合がある。さらに、そのような技術は、発射されたレーザの波長を検出することができない。
【0009】
レオナルド(登録商標)によって採用されたさらなるアプローチは、フード10に接続された光ファイバの使用を伴う。しかしながら、このアプローチは特定の波長および/または入射角での発射を常に検出できるとは限らないことが、試験によって示唆されている。これは、この状況においてレーザのあらゆる意図しない発射をうまく登録することができないことを意味する。
【0010】
本発明の実施形態の目的は、本明細書で言及されているか否かにかかわらず、従来技術の欠点に対処することである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様によれば、レーザ指示ポッド(LDP)保護システムが提供され、LDP保護システムは、保護フードと、所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたときに信号を生成するために保護フード内に配置されたレーザ検出器と、生成された信号を記録するためのコンピューティングデバイスとを備える。
【0012】
好ましくは、システムは、LDPの上に嵌合するのに適している。好ましくは、コンピューティングデバイスは、ラズベリーパイ(Rasberry Pi)(登録商標)コンピューティングデバイスである。
【0013】
有利なことに、システムは、LDPのテスト中に有害なレーザ放射からユーザを保護し、LDP内のレーザが正しく発射されたというインジケーションを提供する。さらに、システムは、レーザが所定の波長範囲内で正しく発射されたというインジケーションを提供する、すなわち、システムは、LDPのレーザが正しい所望の波長で動作しているという肯定的確認を提供する。本発明者らは、このシステムが、LDPをテストするための、小型で、複雑性が低く、低コストの解決策を提供し、RFテストチャンバ内の専門の機器を必要とせずに、LDPがその場でテストされることを可能にすることを見出した。
【0014】
一構成では、レーザ検出器およびコンピューティングデバイスは、物理的に分離され、レーザ検出器は、フード内で使用するために配置され、コンピューティングデバイスは、フードの外側で使用するために配置される。
【0015】
有利なことに、これにより、コンピューティングデバイスを、レーザ検出器からある程度離れた距離に、例えば、あまり制限されていない空間またはオフィス環境に設置することが可能になる。
【0016】
一構成では、レーザ検出器およびコンピューティングデバイスは、ケーブルを用いて電気的に接続される。有利なことに、ケーブルによる接続は、追加の可能性のあるEM干渉源を回避するのを支援し得る。好ましくは、レーザ検出器およびコンピューティングデバイスは、EMCシールドケーブルによって電気的に接続される。
【0017】
一構成では、電力は、携帯型バッテリパック、主電源からDCへのコンバータ、またはパワーオーバーイーサネット(登録商標)、PoEを用いてシステムに提供される。
有利なことに、バッテリパックは、従来の主電源によって、または主電源が利用できない場合には、航空機整備環境においてより容易にアクセス可能であり得るDC電力またはPoEのような低電力源によって、システムが便利に電力供給されることを可能にする。
【0018】
一構成では、レーザ検出器には、所定の波長範囲内の波長で動作可能であり、自己テストモードで機能するように配置された光エミッタが設けられている。
【0019】
一構成では、レーザ検出器には、システムの電源オン状態を示すために、所定の波長範囲外の波長で発光するように配置されたさらなる光エミッタが設けられている。
【0020】
第2の態様によれば、第1の態様のシステムを備えるレーザ指示ポッドが提供される。
一構成では、第1の態様の所定の波長範囲は、LDP内のレーザによって放出される波長範囲に対応する。
【0021】
一構成では、第1の態様のシステムは、LDP(1)内のレーザが発射されたこと、およびレーザが所定の波長範囲内で動作していることを示すように配置される。
【0022】
一構成では、システムは、複数の所定の波長範囲を検出するように構成され、複数の所定の波長範囲の各々は、LDPの動作モードに対応し、各動作モードは、所定の波長の離散的範囲を備える。
【0023】
有利なことに、この配置は、LDPが正しい動作モードで動作しているかどうかをシステムが検出することを可能にする。
【0024】
一構成では、所定の波長範囲は、LDPの3つの動作モードに対応し、動作モードは以下を備える:
1200~1700nmの範囲内の所定の波長を備えるトレーニングモードと、
800~1200nmの範囲内の所定の波長を備える戦闘モードと、
500~1100nmの範囲内の所定の波長を備えるマーカーモード。
【0025】
有利なことに、この配置は、LDPが正しい動作モードで動作しているかどうかをシステムがより良く検出することを可能にする。
【0026】
一構成では、システムは、ワイヤードまたはワイヤレス接続を介してさらなるコンピューティングデバイスと通信するために配置され、さらなるコンピューティングデバイスは、LDPに対してテストプロシージャを実施するためのプログラムを実行するように配置される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様によるシステムを使用して、レーザ指示ポッド、LDPの上に嵌合された保護フード内のレーザ発射を検出する方法であって、フード内にレーザ検出器を設けるステップと、LDPに対してテストを実施するステップと、所定の波長範囲内の発射されたレーザの存在を検出するステップと、ここにおいて、所定の波長範囲は、LDP内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、レーザ検出器が所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたことに応答して信号を生成するステップと、コンピューティングデバイスを使用して、生成された信号を記録するステップとを備える、方法が提供される。
【0028】
このテストは、LDP内でレーザを発射することと、LDP保護システムを介して、LDPが所定の波長範囲内で正しく動作しているかどうかを検出することとを備える。有利なことに、システムは、LDPのテスト中に有害なレーザ放射からユーザを保護し、LDP内のレーザが正しく発射されたというインジケーションを提供する。さらに、システムは、レーザが所定の波長範囲内で正しく発射されたというインジケーションを提供する、すなわち、システムは、LDPのレーザが正しい所望の波長で動作しているという肯定的確認を提供する。
【0029】
本発明の一態様によれば、レーザ指示ポッド(LDP)の上に嵌合された保護フード内のレーザ発射を検出するためのデバイスであって、所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたときに信号を生成するようにフード内に配置されたレーザ検出器と、信号を記録し、それによって、LDP内のレーザが発射されたことを示すコンピューティングデバイスとを備える、デバイスが提供される。
【0030】
一実施形態では、レーザ検出器およびコンピューティングデバイスは、物理的に分離され、レーザデバイスは、フード内で使用するために配置され、コンピューティングデバイスは、フードの外側で使用するために配置される。
【0031】
一実施形態では、レーザ検出器およびコンピューティングデバイスは、ケーブルを用いて電気的に接続される。
【0032】
一実施形態では、電力は、携帯型バッテリパック、主電源からDCへのコンバータ、またはパワーオーバーイーサネット、PoEを用いてデバイスに提供される。
【0033】
一実施形態では、所定の波長範囲は、LDPの複数の動作モードと実質的に整合される。
【0034】
一実施形態では、範囲は、実質的に500nm~1700nmである。
【0035】
一実施形態では、レーザ検出器には、所定の波長範囲内の波長で動作可能であり、自己テストモードで機能するように配置された光エミッタが設けられている。
【0036】
一実施形態では、レーザ検出器には、デバイスの電源オン状態を示すために、所定の波長範囲外の波長で発光するように配置されたさらなる光エミッタが設けられている。
【0037】
一実施形態では、デバイスは、LDPに対してテストプロシージャを実施するためのプログラムを実行するように配置されたさらなるコンピューティングデバイスと通信するために配置される。
【0038】
本発明の別の態様によれば、レーザ指示ポッド(LDP)の上に嵌合された保護フード内のレーザ発射を、前記したいずれかのデバイスを使用して検出する方法であって、フード内にレーザ検出器を設けるステップと、LDPに対してテストを実施するステップと、発射されたレーザの存在を監視するステップとを備える、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
次に、本発明の実施形態が、図面を参照して、単なる例として説明される。
図1a図1aおよび1bは、LDPおよび安全フードを含む従来技術の配置を示す。
図1b図1aおよび1bは、LDPおよび安全フードを含む従来技術の配置を示す。
図2図2は、本発明の一実施形態によるシステムを示す。
図3図3は、本発明の一実施形態による図2のシステムの回路図を示す。
図4図4は、本発明の一実施形態による方法のフローチャートを示す。
【詳細な説明】
【0040】
図2は、本発明の一実施形態によるシステム100を示す。システム100は、フード10の内側に部分的にインストールされ、フード内のレーザ発射の任意のインスタンスを報告するために外部コンピュータと通信するように配置される。
【0041】
図3は、システム100の様々な特徴の回路図を示し、図2および3の両方が以下の説明において参照される。
【0042】
より詳細には、システム100は、フード10の内部内に配置されたレーザ検出器110を備える。レーザ検出器は、透過波長(wavelength of transmission)のレーザ放射に感度が高い光センサD4を備える。光センサD4においてレーザ放射を受信すると、集積回路U1の入力に電圧が与えられ(presented)、集積回路U1は、1msパルスを生成するように動作可能であり、1msパルスは、ケーブル120によって、フード10の外側に位置するコンピューティングデバイス140に送信される。
【0043】
U1は、「単安定マルチバイブレータ」(品番74LVC1G123DP)である。3.0Vと3.6Vとの間の電源から電力供給されるとき、U1が(R4にわたって)検出することが保証される最短パルスは、3nsである。R4にわたってD4によって生成される電気パルスの持続時間は、以下に依存する:
i.検出器に入射する光のパワー(より大きいパワー=U1をトリガするのに必要なより短い光パルス)
ii.入射光パルスの持続時間
iii.入射光パルスの波長(より短い波長=U1をトリガするのに必要なより長い光パルス)
iv.回路キャパシタンス(より高いキャパシタンス=U1をトリガするのに必要なより長い光パルス)
v.R4の抵抗(より高い抵抗=U1をトリガするのに必要なより短い光パルス)。
【0044】
光検出器D4は、500nm~1700nmの範囲内の波長に感度が高いフォトダイオードである。この波長範囲内のレーザからの光が検出器D4に当たると、これにより電流が抵抗器R4に流れる。これは、U1のピン2によって検知される電圧を作り出す。この電圧が約2Vよりも大きい場合、U1は、抵抗器R5およびコンデンサC3によって設定された持続時間(約1ms)を有する単一の3V3パルスを出力する。このパルスは、後述するように、コンピューティングデバイス140への割り込みを設定するために使用される。
【0045】
D4に当たる光は、U1のピン2の電圧が約1V未満になるレベルまで除去され、その後、U1に別のパルスを出力させるために再び印加されなければならない。したがって、コンピューティングデバイス140は、新しい光パルスが検出されるたびに中断される。コンピューティングデバイス140に接続された外部コンピュータ(図示せず)上で実行されるソフトウェアは、その後、マーカと、LDPの異なる動作モードを表す戦闘用または訓練用レーザのいずれかとを区別するために、連続パルス間の時間を測定することができる。戦闘用および訓練用レーザのパルス繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)が互いに十分に異なる場合、コンピューティングデバイス140は、それらを区別することができる。
【0046】
レーザ検出器110は、フード10の本体を通り、マルチコネクタリボンケーブルのような、ある長さの電気ケーブル120を介して、ラズベリーパイのようなコンピューティングデバイス140に接続される。コンピューティングデバイスは、汎用入力/出力(GPIO:General Purpose Input/Output)ピンにおいて、レーザ検出器110によって生成された1msパルスを受信する。このパルスの受信は、コンピューティングデバイス140に接続されたさらなる外部コンピューティングデバイス(図示せず)によって登録および処理されることができるハードウェア割込みをトリガする。コンピューティングデバイス140からさらなる外部コンピュータデバイスへの接続は、イーサネット(登録商標)、光ファイバのような、さらなるワイヤード接続によって、または可能な場合には、Wi-Fiのようなワイヤレス接続を介して達成され得る。
【0047】
電力は、携帯型バッテリパック、主電源からDCへのコンバータ、またはパワーオーバーイーサネット(PoE)を介してシステム100に提供され得る。
【0048】
LDPの進行中のテストに関連するソフトウェアを実行するように配置されたさらなる外部コンピュータデバイスは、したがって、フード10の内部への物理的アクセスがない場合であっても、LDP内のレーザの発射について警告される。そのような発射は意図的である場合もあり、そうでない場合もあるが、確実に検出および記録され得るという事実は、オペレータが必要とされ得る任意の修正動作を行うことを可能にする。修正動作は、さらなるテストおよび/または是正措置(remedial action)を伴い得る。
【0049】
コンピューティングデバイス140のGPIO出力16が高く設定されると、トランジスタQ1がオンになり、赤外線IRエミッタD1およびD2を発光させる。D1およびD2からの光は、その後、D4を照明し、LDPによって作成されるレーザ光をシミュレートする。これにより、コンピューティングデバイス140のソフトウェアは、組み込みテストを実施することができる。D1およびD2は、900nm~1000nmの波長で発光する。これらのデバイスは目に安全であり、したがって、これらがフード10の範囲の外側で使用される場合には、人員に対するリスクはない。
【0050】
D3は、可視スペクトルで発光する「電源オン」LEDである。青色LEDは、そのスペクトル(400nm~600nm)がD4によって検出されず、したがって、システム100の通常動作を妨げないように使用されることが好ましい。1つのテスト設定では、LDPの一部を形成する可視光カメラが青色光を見ることができ、したがって、電力がシステム100に供給されていることを確認する。
【0051】
一実施形態では、レーザ検出器110は、フードの真に一体的な部分(truly integral part)であるように、フードの製造時にフード10の内側に嵌合される。あるいは、レーザ検出器110は、既存のフード10に後付けされ得る。
【0052】
フードの内側のレーザ検出器110の正確な場所は、レーザ放射が典型的には周囲を反射して、内部全体を効果的に照明するため、比較的重要ではない。したがって、レーザ検出器は、任意の便利な場所に位置し得る。最適な位置を見つけるためには、多少の試行錯誤が必要となる。しかしながら、レーザが検出器に直接入射する必要はない。
【0053】
EMCテストを受けるとき、LDPは非常にデリケートな環境に位置するので、EMCの観点から、システム100の設計および製造には注意が必要である。したがって、無線リンクよりも、遮蔽された(screened)接続およびワイヤード接続が好ましく、主電源よりも、バッテリ電力が好ましい。そのようなステップは、追加の可能性のあるEM干渉源を回避するのを支援することができる。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態による方法200のステップを図示するフローチャートを示す。202において、レーザ検出器110を備えるフード10が設けられる。レーザ検出器は、フードと一体的に形成され得る、または後の時間に後付けされ得る。
【0055】
204において、LDPまたは航空機に対してEMCテストが実施される。206において、コンピューティングデバイス140は、フード内の発射されたレーザを示す、パルス信号が生成されたかどうかを決定するために、レーザ検出器を継続的に監視する。監視プロセスの一部として、オペレータは、テストを完了すべきか終了すべきか、および何らかの是正措置が必要であるか否かを判断することができる。
【0056】
上述の実施形態100を用いて、テスト、特にEMCテストを受けるときに、LDP1に嵌合された保護フード10の内部空間を監視することが可能である。そのような配置は、意図的であるか否かにかかわらず、レーザアクティビティの信頼できる監視を可能にし、それによって、LDPが許容限度内で動作していることを保証する。
図1a
図1b
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ指示ポッド(LDP)保護システムであって、前記LDP保護システムは、
保護フード(10)と、
所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたときに信号を生成するために前記保護フード(10)内に配置されたレーザ検出器(110)と、
前記生成された信号を記録するためのコンピューティングデバイス(140)と
を備える、システム。
【請求項2】
前記レーザ検出器(110)および前記コンピューティングデバイス(140)は、物理的に分離され、前記レーザ検出器(110)は、前記保護フード(10)内で使用するために配置され、前記コンピューティングデバイス(140)は、前記保護フード(10)の外側で使用するために配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レーザ検出器(110)および前記コンピューティングデバイス(140)は、ケーブル(120)を用いて電気的に接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
電力は、携帯型バッテリパック、主電源からDCへのコンバータ、またはパワーオーバーイーサネット、PoEを用いて前記システムに提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザ検出器(110)には、前記所定の波長範囲内の波長で動作可能であり、自己テストモードで機能するように配置された光エミッタ(D1、D2)が設けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記レーザ検出器(110)には、前記システムの電源オン状態を示すために、前記所定の波長範囲外の波長で発光するように配置されたさらなる光エミッタ(D3)が設けられている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムを備えるレーザ指示ポッド(LDP)(1)。
【請求項8】
前記所定の波長範囲は、前記LDP(1)内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、請求項7に記載のLDP(1)。
【請求項9】
前記システムは、前記LDP(1)内の前記レーザが発射されたこと、および前記レーザが前記所定の波長範囲内で動作していることを示すように配置される、請求項8に記載のLDP(1)。
【請求項10】
前記システムは、複数の所定の波長範囲を検出するように構成され、前記複数の所定の波長範囲の各々は、前記LDPの動作モードに対応し、各動作モードは、所定の波長の離散的範囲を備える、請求項7に記載のLDP(1)。
【請求項11】
前記所定の波長範囲は、前記LDPの3つの動作モードに対応し、前記動作モードは、
1200~1700nmの範囲内の所定の波長を備えるトレーニングモードと、
800~1200nmの範囲内の所定の波長を備える戦闘モードと、
500~1100nmの範囲内の所定の波長を備えるマーカーモードと
を備える、請求項10に記載のLDP(1)。
【請求項12】
前記システムは、ワイヤードまたはワイヤレス接続を介してさらなるコンピューティングデバイスと通信するために配置され、前記さらなるコンピューティングデバイスは、前記LDP(1)に対してテストプロシージャを実施するためのプログラムを実行するように配置される、請求項7に記載のLDP(1)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステムおよび/またはLDPを使用して、レーザ指示ポッド(1)、LDPの上に嵌合された保護フード(10)内のレーザ発射を検出する方法(200)であって、
前記保護フード内に前記レーザ検出器(110)を設けるステップ(202)と、
前記LDPに対してテストを実施するステップ(204)と、
所定の波長範囲内の発射されたレーザの存在を検出するステップ(206)と、ここにおいて、前記所定の波長範囲は、前記LDP(1)内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、
前記レーザ検出器が前記所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたことに応答して信号を生成するステップと、
コンピューティングデバイス(140)を使用して、前記生成された信号を記録するステップと
を備える、方法(200)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
上述の実施形態100を用いて、テスト、特にEMCテストを受けるときに、LDP1に嵌合された保護フード10の内部空間を監視することが可能である。そのような配置は、意図的であるか否かにかかわらず、レーザアクティビティの信頼できる監視を可能にし、それによって、LDPが許容限度内で動作していることを保証する。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
レーザ指示ポッド(LDP)保護システムであって、前記LDP保護システムは、
保護フード(10)と、
所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたときに信号を生成するために前記保護フード(10)内に配置されたレーザ検出器(110)と、
前記生成された信号を記録するためのコンピューティングデバイス(140)と
を備える、システム。
[C2]
前記レーザ検出器(110)および前記コンピューティングデバイス(140)は、物理的に分離され、前記レーザ検出器(110)は、前記保護フード(10)内で使用するために配置され、前記コンピューティングデバイス(140)は、前記保護フード(10)の外側で使用するために配置される、C1に記載のシステム。
[C3]
前記レーザ検出器(110)および前記コンピューティングデバイス(140)は、ケーブル(120)を用いて電気的に接続される、C2に記載のシステム。
[C4]
電力は、携帯型バッテリパック、主電源からDCへのコンバータ、またはパワーオーバーイーサネット、PoEを用いて前記システムに提供される、C1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
[C5]
前記レーザ検出器(110)には、前記所定の波長範囲内の波長で動作可能であり、自己テストモードで機能するように配置された光エミッタ(D1、D2)が設けられている、C1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
[C6]
前記レーザ検出器(110)には、前記システムの電源オン状態を示すために、前記所定の波長範囲外の波長で発光するように配置されたさらなる光エミッタ(D3)が設けられている、C5に記載のシステム。
[C7]
C1乃至6のいずれか一項に記載のシステムを備えるレーザ指示ポッド(LDP)(1)。
[C8]
前記所定の波長範囲は、前記LDP(1)内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、C7に記載のLDP(1)。
[C9]
前記システムは、前記LDP(1)内の前記レーザが発射されたこと、および前記レーザが前記所定の波長範囲内で動作していることを示すように配置される、C8に記載のLDP(1)。
[C10]
前記システムは、複数の所定の波長範囲を検出するように構成され、前記複数の所定の波長範囲の各々は、前記LDPの動作モードに対応し、各動作モードは、所定の波長の離散的範囲を備える、C7乃至9のいずれか一項に記載のLDP(1)。
[C11]
前記所定の波長範囲は、前記LDPの3つの動作モードに対応し、前記動作モードは、
1200~1700nmの範囲内の所定の波長を備えるトレーニングモードと、
800~1200nmの範囲内の所定の波長を備える戦闘モードと、
500~1100nmの範囲内の所定の波長を備えるマーカーモードと
を備える、C10に記載のLDP(1)。
[C12]
前記システムは、ワイヤードまたはワイヤレス接続を介してさらなるコンピューティングデバイスと通信するために配置され、前記さらなるコンピューティングデバイスは、前記LDP(1)に対してテストプロシージャを実施するためのプログラムを実行するように配置される、C7乃至11のいずれか一項に記載のLDP(1)。
[C13]
C1乃至12のいずれか一項に記載のシステムおよび/またはLDPを使用して、レーザ指示ポッド(1)、LDPの上に嵌合された保護フード(10)内のレーザ発射を検出する方法(200)であって、
前記保護フード内に前記レーザ検出器(110)を設けるステップ(202)と、
前記LDPに対してテストを実施するステップ(204)と、
所定の波長範囲内の発射されたレーザの存在を検出するステップ(206)と、ここにおいて、前記所定の波長範囲は、前記LDP(1)内のレーザによって放出される波長範囲に対応する、
前記レーザ検出器が前記所定の波長範囲内のレーザ放射にさらされたことに応答して信号を生成するステップと、
コンピューティングデバイス(140)を使用して、前記生成された信号を記録するステップと
を備える、方法(200)。
【国際調査報告】