(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置
(51)【国際特許分類】
A62C 31/24 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A62C31/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507848
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 KR2022004192
(87)【国際公開番号】W WO2023013838
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101361
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0036501
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524047899
【氏名又は名称】エスピーアンドイー、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SP&E CO. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンウ
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189CF00
(57)【要約】
本発明は、回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置に関する。これは、外部から供給される水を噴射するノズルと、前記ノズルに回転可能に支持された状態でノズルから噴射される水を入口部を通して受け入れて通過させるものであって、水が通過する間にベンチュリ効果による負圧を生成して周辺のガスを吸気し、吸気されたガスを水と混合させて排出するベンチュリケーシングと、ベンチュリケーシングの内部に固定され、水の運動エネルギーを受けてベンチュリケーシングに回転力を伝達する回転羽根と、ベンチュリケーシングの上流側端部に位置し、ベンチュリケーシングの回転時、周辺のガスを引いてベンチュリケーシングの内部に圧入する圧入羽根とを備える。上記のように構成される本発明の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置は、火災時、水を噴射すると同時に周辺の煙および有毒ガスを吸い込んで除去することで早い時間内に有毒ガスの致死量を安全な範囲内に最大限に抑え、可視距離を確保させることで人命被害を最小化できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される水を噴射するノズルと、
前記ノズルに回転可能に支持された状態でノズルから噴射される水を入口部を通して受け入れて通過させるものであって、水が通過する間にベンチュリ効果による負圧を生成して周辺のガスを吸気し、吸気されたガスを水と混合させて排出するベンチュリケーシングと、
ベンチュリケーシングの内部に固定され、水の運動エネルギーを受けてベンチュリケーシングに回転力を伝達する回転羽根と、
ベンチュリケーシングの上流側端部に位置し、ベンチュリケーシングの回転時、周辺のガスを引いてベンチュリケーシングの内部に圧入する圧入羽根とを備える、
回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項2】
前記圧入羽根を介在させてベンチュリケーシングの上流側端部に固定されるものであって、リングの形状を取り、ノズルを取り囲んだ状態でノズルに回転可能に係止されて支持されるノズル係止リングがさらに含まれる、
請求項1に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項3】
前記ベンチュリケーシングの外周面には、ベンチュリケーシング周辺のガスを、ベンチュリケーシングの入口部側に誘導するプッシュアップ羽根がさらに設けられている、
請求項1に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項4】
前記ベンチュリケーシングは、
相互結合する上部ケースおよび下部ケースで組み立て構成された、
請求項1に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項5】
前記下部ケースは、上部ケースの内部に部分的に収容され、水の噴射時、水圧の作用によって上部ケースの外部に拡張される、
請求項4に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項6】
上部ケースには、螺旋状に延びた螺旋溝が形成され、
下部ケーシングには、前記螺旋溝に嵌合した状態で螺旋溝に沿って移動可能な溝挿入突起が形成された、
請求項5に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項7】
外部から供給される水を噴射するノズルと、
前記ノズルに支持され、ノズルから噴射される水を通過させ、水が通過する間にベンチュリ効果による負圧を生成して周辺のガスを吸気し、吸気されたガスを水に混合させて排出するものであって、前記ノズルに固定され、ガスを受け入れる流入口を提供する固定ケースと、固定ケースに回転可能に結合する回転ケースとを有するベンチュリケーシングと、
回転ケースの内側に固定され、ノズルから噴射された水の運動エネルギーを受けて回転ケースを回転させる回転羽根とを含む、
回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項8】
前記固定ケースの外周面には、固定ケースの円周方向に沿って延びた回転リングが形成され、
回転ケーシングの内周面には、前記回転リングを収容し、回転リングから支持力を受けるリング収容溝が設けられた、
請求項7に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【請求項9】
前記ノズルの内部には、
ノズルを通過する水の流れを渦巻き状に旋回させる渦流誘導体が内蔵された、
請求項1または7に記載の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙および有毒ガス同時除去型スプリンクラーに関し、より詳しくは、火災時に噴射される水の運動エネルギーを用いて周辺の煙および有毒ガスを吸気して水に溶解させると同時に噴射して、消火と有毒ガスの除去を一度に行うことができる、回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年建築される建物には、強化された建築消防法に定められた基準を満たす様々な消防用設備の設置が義務付けられる。このような消防用設備には、消火設備、警報設備、避難設備、消防用水設備、消火活動関連設備などが含まれ、最近は、より性能が良く誤動作がない除煙設備やスプリンクラー装置などが開発および適用されている。消防設備は、火災を早期探知および鎮圧して人命被害を最小化することを共通の目的とする。
【0003】
前記様々な設備のうち、スプリンクラーは、火災発生時に消火用水を噴出する自動消火設備であって、通常、建物の天井に配置され、立上管と枝管を通して供給される水を放射方向に噴射することで火災を鎮圧する。
【0004】
スプリンクラーには多様な種類があり、その中には、閉鎖型と開放型も含まれる。閉鎖型は、感熱部が設けられたタイプであって、平常時噴射ノズルが閉鎖されている構造を有し、開放型は、感熱部がなく噴射ノズルも開放された構成を有する。また、閉鎖型には、溶融型と破裂型とが含まれる。溶融型は、ヒューズメタルが作動温度に溶けながら脱落して水が散水され、破裂型は、作動温度にガラスバルブが割れることで脱落して水を散水する。
【0005】
一方、火災位置で発生する煙および有毒ガスは、熱による浮力を得て天井に集まり、次第に気流を形成する。いわば、天井面に沿って、圧力の低い方向であるより熱くない方向へ広がって次第に厚い層をなし、やがて室内にいっぱいになる。煙および流動ガスの移動の原因は、熱気と圧力である。
【0006】
火災によって発生した高温の煙はその浮力によって持続的に上昇し、運ばれて上層部の圧力を高め、圧力の低い所へ煙(未燃焼可燃性ガス)が移動し、輻射熱によって一定の臨界点で着火するフラッシュオーバー(FLASH OVER)現象により火災は拡散する。
【0007】
ところが、従来の一般的なスプリンクラーは、(水を噴射するので)火炎はある程度消火できるが、煙および有毒ガスの除去は困難である。その理由は、水を噴射すれば、室内上層部の高温の煙および有毒ガスが水によって冷却されて濃縮しながら下降するからである。下降する煙および有毒ガスは窒息環境を作り、なおかつ脱出口を探せないように視野を完全に遮断して、いわゆる、スモークロギング現象(Smoke Logging)の環境を作る。底に集まる濃縮された有毒ガスは要救助者をわずか数秒内に窒息させ、視野を遮断することにより脱出をほとんど不可能にする。
【0008】
図1は、火災時に発生するスモークロギング現象を説明するための図である。
【0009】
図1のA)およびB)に示すように、火災初期には、高温の煙、有毒ガスが室内空間の上層部に持続的に上昇して集まりながら圧力を高め、煙、有毒ガス(未燃焼可燃性ガス)は圧力の低い方向に広がって着火し、フラッシュオーバー(Flashover)現象により火災は周辺に拡散する。
【0010】
この状態でスプリンクラーが作動して消防用水が噴射されると、
図1のC)に示すように、有毒ガスが消防用水によって冷却および濃縮されて下降し始める。これによって、D)に示すように、室内空間の上層部と下層部を問わず全部暗黒の状態になり、なおかつ火災で停電した状態で時間が経つほど毒(Poison)ガスの濃度は濃くなり、一寸先が見えない真っ暗な状況で、要救助者はパニックに陥って呼吸が3倍以上速くなり、有毒ガスの吸入速度が速くなって、判断力を失い、絡まり合って脱出できずに窒息死してしまう。参照として、火災毒ガスに10~15秒露出時は意識不明の状態になり、火災時に多量発生するシアン化水素(HCN)ガスは一、二口でも死亡する。
【0011】
また、有毒ガスを排気させる排気装置を駆動するとしても、建物の内部を満たしている煙、有毒ガスを排気させ、呼吸できる程度とするまでには(人が息を止められる時間よりはるかに)長い時間がかかるので、人々が安全に避難できるゴールデンタイムを守ることができない。
【0012】
室内の有毒ガス自体を除去する装置により早い時間内に有毒ガスの致死量を安全な範囲以下に抑える努力が要求されているのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題点を解消すべくなされたものであって、火災時、水を噴射すると同時に周辺の煙および有毒ガスを吸い込んで除去することで早い時間内に有毒ガスの致死量を安全な範囲内に最大限に抑え、可視距離を確保させることで人命被害を最小化できる、回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための課題の解決手段としての、本発明の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置は、外部から供給される水を噴射するノズルと、前記ノズルに回転可能に支持された状態でノズルから噴射される水を入口部を通して受け入れて通過させるものであって、水が通過する間にベンチュリ効果による負圧を生成して周辺のガスを吸気し、吸気されたガスを水と混合させて排出するベンチュリケーシングと、ベンチュリケーシングの内部に固定され、水の運動エネルギーを受けてベンチュリケーシングに回転力を伝達する回転羽根と、ベンチュリケーシングの上流側端部に位置し、ベンチュリケーシングの回転時、周辺のガスを引いてベンチュリケーシングの内部に圧入する圧入羽根とを備える。
【0015】
また、前記圧入羽根を介在させてベンチュリケーシングの上流側端部に固定されるものであって、リングの形状を取り、ノズルを取り囲んだ状態でノズルに回転可能に係止されて支持されるノズル係止リングがさらに含まれる。
【0016】
そして、前記ベンチュリケーシングの外周面には、ベンチュリケーシング周辺のガスを、ベンチュリケーシングの入口部側に誘導するプッシュアップ羽根がさらに設けられている。
【0017】
また、前記ベンチュリケーシングは、相互結合する上部ケースおよび下部ケースで組み立て構成される。
【0018】
また、前記下部ケースは、上部ケースの内部に部分的に収容され、水の噴射時、水圧の作用によって上部ケースの外部に拡張される。
【0019】
これとともに、上部ケースには、螺旋状に延びた螺旋溝が形成され、下部ケーシングには、前記螺旋溝に嵌合した状態で螺旋溝に沿って移動可能な溝挿入突起が設けられる。
【0020】
また、上記の目的を達成するための課題の解決手段としての、本発明の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置は、外部から供給される水を噴射するノズルと、前記ノズルに支持され、ノズルから噴射される水を通過させ、水が通過する間にベンチュリ効果による負圧を生成して周辺のガスを吸気し、吸気されたガスを水に混合させて排出するものであって、前記ノズルに固定され、ガスを受け入れる流入口を提供する固定ケースと、固定ケースに回転可能に結合する回転ケースとを有するベンチュリケーシングと、回転ケースの内側に固定され、ノズルから噴射された水の運動エネルギーを受けて回転ケースを回転させる回転羽根とを含む。
【0021】
そして、前記固定ケースの外周面には、固定ケースの円周方向に沿って延びた回転リングが形成され、回転ケーシングの内周面には、前記回転リングを収容し、回転リングから支持力を受けるリング収容溝が設けられる。
【0022】
また、前記ノズルの内部には、ノズルを通過する水の流れを渦巻き状に旋回させる渦流誘導体が内蔵される。
【発明の効果】
【0023】
上記のように構成される本発明の回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置は、火災時、水を噴射すると同時に周辺の煙および有毒ガスを吸い込んで除去することで早い時間内に有毒ガスの致死量を安全な範囲内に最大限に抑え、可視距離を確保させることで人命被害を最小化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】火災時、既存のスプリンクラーが作動する時に発生するスモークロギング(Smoke-Logging)現象を説明するための図である。
【
図2】
図2a~
図2cは、本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3a~
図3cは、本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置の変形例を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置に装着されるノズルの装着構造を説明するための図である。
【
図5】
図5aおよび
図5bは、本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置の他の変形例を示す図である。
【
図6】
図6aおよび
図6bは、
図5Aに示したスプリンクラーヘッド装置の使用例を示す図である。
【
図7】
図7a~
図7dは、本発明の第2実施例によるスプリンクラーヘッド装置の構成を説明するための図である。
【
図8】
図7aに示したスプリンクラーヘッド装置の動作を説明するための図である。
【
図9】
図9a~
図9fは、本発明の第1、第2実施例によるスプリンクラーヘッド装置に適用可能なノズルの内部構成を示す図である。
【
図10】
図9に示した渦流誘導体の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明による一つの実施例を、添付した図面を参照してより詳細に説明する。
【0026】
図2a~
図2cは、本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置の構成を示す図である。
図2aは、ヘッド装置10の斜視図であり、
図2bは、底面図である。また、
図2cは、底面斜視図である。
【0027】
図示のように、本実施例による回転式ベンチュリを備えた煙および有毒ガス除去型スプリンクラーヘッド装置10は、ノズル31と、ノズル係止リング12と、ベアリング21と、ベンチュリケーシング16と、第1、第2回転羽根18、19と、圧入羽根14と、プッシュアップ羽根17とを備える。
【0028】
ノズル31は、外部から供給された水を通過させて下部に噴射する役割をする。水を噴出する機能を行う以上、ノズルの種類は多様である。仮に、閉鎖型スプリンクラーのノズルや、開放型スプリンクラーのノズルがすべて本説明におけるノズルに含まれるのである。
【0029】
本実施例と後述する第2実施例の説明のための図面においては、便宜上、ノズルを開放型スプリンクラーのノズルで示した。しかし、閉鎖型スプリンクラーのノズルも適用可能であることは言うまでもない。
【0030】
参照として、閉鎖型スプリンクラーのノズルは、感熱部が設けられたタイプであって、平常時ノズルが閉鎖されている構造を有し、開放型スプリンクラーのノズルは、感熱部がなくノズルも開放された構成を有する。火災発生時、閉鎖型スプリンクラーのノズルに設けられる感熱部は、ノズルを通した水の水圧によって破砕されて、破片がベンチュリケーシングの下部へ直に抜ける。
【0031】
ノズル31は、消防用配管の端部に連結され、配管を通して供給された水を通過させて下向き噴射する。ノズル31は、結合ねじ部31aと、トルク入力部31cとを有する。結合ねじ部31aは、消防配管にねじ式で結合する部分であり、トルク入力部31cは、ノズル31を固定する時、締結工具に噛み合う六角部分である。トルク入力部31cの六角角部は、結合ねじ部31aより半径方向に突出している。これによって、
図4に示すように、ノズル係止リング12をトルク入力部31cに支持させることができる。
【0032】
ノズル31の内部には渦流誘導体33が内蔵される。渦流誘導体33は、ノズル31を通過する水の流れを渦巻き状に旋回させる。すなわち、水のストリームラインを螺旋状に作るのである。このようにする理由は、噴出される水を広く拡散させることで水とガスとの混合効率を向上させるためである。
【0033】
図9a~
図9fは、ノズル31およびノズル31内に渦流誘導体33が装着された様子を示す図である。
【0034】
図示のように、ノズル31の内部に多様な形状の渦流誘導体33が設けられている。上記に言及したように、渦流誘導体33は、ノズル31を通過する水を渦巻き状に旋回させる。このような役割を果たせる限り、渦流誘導体33の形状や材質はいくらでも多様に実現可能である。
【0035】
仮に、
図10aおよび10bに示すように、渦流誘導体33自体をスクリューの形状に製作できるのである。渦流誘導体の材質は、合成樹脂や金属であってもよい。
【0036】
ベンチュリケーシング16は、ノズルの下部に設けられ、上下に開放された円筒状部材であって、入口部16aと、加速部16cと、出口部16eとを有する。入口部16aは、上部へ広がった部分であり、加速部16cは、括れて形成された部分である。また、出口部16eは、下部へ広がった部分である。
【0037】
加速部16cの内径は、入口部16aおよび出口部16eの内径に比べて小さい。加速部16cは、ベンチュリケーシング16において、流動断面積が最も小さい部分を含む。したがって、ノズル31から噴射された水は、加速部を通過して加速される。水が加速されることにより、ベンチュリ原理によって負圧が生成されることはもちろんである。
【0038】
すなわち、ベンチュリケーシング16は、ノズル係止リング12および圧入羽根14を介して、ノズル31に回転可能に係止された状態で、ノズルから噴射される水を通過させてベンチュリ効果による負圧を生成するのである。生成された負圧は、周辺の大気圧より低い圧力であって、周辺のガスがベンチュリケーシング16に吸い込まれるようにする。
【0039】
ノズル係止リング12は、
図4に示すように、ノズル31のトルク入力部31cに係止されるリング状部材であって、係止溝12aを有する。係止溝12aは、トルク入力部31cの上部角部を収容する溝である。これとともに、係止溝12aの内部にはベアリング21が設けられる。ベアリング21は、合成樹脂で製作されたリング状部材であって、ノズル31とノズル係止リング12との間の摩擦を防止する。ベアリング21は、アセタールで製作可能である。
【0040】
ノズル係止リング12とベンチュリケーシング16の上端部との間には複数の圧入羽根14が位置する。圧入羽根14は、ノズル係止リング12を中心において対称をなす。圧入羽根14は、ベンチュリケーシング16の回転時、周辺のガスを引いてベンチュリケーシングの内部に圧入する役割と、ノズル係止リング12とベンチュリケーシング16とを連結する役割とを兼ねる。ベンチュリケーシング16が圧入羽根14を介してノズル係止リング12に連結されるのである。
【0041】
第1、第2回転羽根18、19は、ベンチュリケーシング16の下端部の内側に固定される複数の羽根部材であって、水の運動エネルギーを受けてベンチュリケーシングに回転力を伝達する。第1回転羽根18は、第2回転羽根19に比べて広い面積の羽根であって、ベンチュリケーシング16の円周方向に等角配置される。第2回転羽根19は、第1回転羽根18の間に位置し、第1回転羽根18の間を通過した水と衝突する。第1、第2回転羽根18、19は、ベンチュリケーシング16を通過する水と衝突し、水の運動エネルギーを受けてベンチュリケーシング16を回転させる。
【0042】
プッシュアップ羽根17は、ベンチュリケーシング16の外周面に固定された翼片であって、ベンチュリケーシングの回転時、ベンチュリケーシング周辺のガスをベンチュリケーシングの入口部16aの上部に上昇させる役割をする。いわば、ベンチュリケーシング16の周辺に停滞しているガスを、ベンチュリケーシングより高く上昇させて、ガスが入口部16aにより迅速に吸い込まれるようにするのである。
【0043】
図3a~
図3cは、本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置の変形例を示す図である。
【0044】
以下、上記の図面符号と同一の図面符号は、同じ機能の同じ部材を指す。
【0045】
図面を参照すれば、ベンチュリケーシング16が、上部ケース16gと、下部ケース16mとで組み立て構成されることが分かる。上部ケース16gの下端部と下部ケース16mの上端部とは当接した状態で、結合フランジ16h、16nを介して結合する。このように上下部ケース16g、16mを組み立て方式で実現することにより、上部ケース16gと下部ケース16mとの組み合わせを多様に実現することができる。いわば、多様なサイズの下部ケースを確保し、上部ケース16gに結合する下部ケース16mを取替運用することができるのである。
【0046】
図5aおよび
図5bは、本発明の第1実施例によるスプリンクラーヘッド装置の他の変形例を示す図であり、
図6aおよび
図6bは、
図5aに示したスプリンクラーヘッド装置の使用例を示す図である。
【0047】
図5aおよび
図5bのスプリンクラーヘッド装置10は、ベンチュリケーシング40が、上部ケース41と、下部ケース43とで構成される。ベンチュリケーシング40の入口部40aには周辺のガスが吸気され、出口部40eを通しては水および水と混合されたガスが排出される。
【0048】
図示のように、下部ケース43は、上部ケース41の内部に部分的に収容可能な構成を有する。すなわち、
図6aに示すように、下部ケース43の一部が、上部ケース41の内部に収容された状態で待機し、水の噴出時、水圧の作用によって上部ケース41の下部へ抜けながら拡張されるのである。このために、上部ケース41の下端部の内径が、下部ケース43の上端部の外径より大きくなければならないことはもちろんである。
【0049】
また、下部ケース43を上部ケース41に支持させるために、上部ケース41の内周面には螺旋溝41aが形成されており、下部ケース43の外周面には溝挿入突起43aが設けられている。
【0050】
螺旋溝41aは、上部ケース41の内周面に螺旋状に延びた溝であって、2つが相互対向するように形成される。溝挿入突起43aは、下部ケース43の外周面に固定されている突起であって、螺旋溝41aに収容された状態で螺旋溝の長手方向に沿って移動可能である。したがって、
図6aに示すように、上部ケース41に挿入されている下部ケース43は、水圧作用時、下降すると同時に回転する。
【0051】
このように螺旋溝41aを適用し、下部ケース43が下降しながら回転するように設計した理由は、下部ケース43が直線に抜ける場合、上部ケースから完全に離脱しかねないからでもある。
【0052】
これとともに、下部ケース43の内側には第1、第2回転羽根43c、43eが設けられている。第1、第2回転羽根43c、43eは、ノズル31を通して噴射される水の運動エネルギーを受けてベンチュリケーシング40を回転させる。
【0053】
図面符号42は、プッシュアップ羽根である。プッシュアップ羽根42は、
図2aにより説明したプッシュアップ羽根(
図2aの17)と同じ役割をする。
【0054】
図7a~
図7dは、本発明の第2実施例によるスプリンクラーヘッド装置の構成を説明するための図であって、
図7aは、一部切除斜視図、
図7bは、一部切除された状態のヘッド装置の平面図、
図7cおよび
図7dは、一部切除された状態のヘッド装置の正面図および側面図である。また、
図8は、第2実施例によるスプリンクラーヘッド装置の作動状態を概略的に示す図である。
【0055】
図示のように、第2実施例によるスプリンクラーヘッド装置10は、ノズル31と、ベンチュリケーシング50と、第1、第2回転羽根55e、55fとを含んで構成される。
【0056】
ノズル31は、内部に渦流誘導体33を有するものであって、それに関する説明は上記の通りである。
【0057】
ベンチュリケーシング50は、ノズル31に係止されて支持され、ノズルから噴射される水を通過させ、水が通過する間にベンチュリ効果による負圧を生成して周辺のガスを吸気し、吸気されたガスを水に混合させて排出する役割をする。
【0058】
このようなベンチュリケーシング50は、固定ケース51と、回転ケース55とで構成される。固定ケース51は、ノズル31に固定され、ガスを受け入れる流入口51fを提供する。
【0059】
固定ケース51は、ノズル支持リング51cと圧入羽根51bとを介してノズル31に結合しているが、回転はしない。ただし、流入口51fを通してガスを下向き通過させるとともに、回転ケース55を回転可能に支持する。ノズル支持リング51cと圧入羽根51bの構成は、
図2aにより説明したノズル支持リング12および圧入羽根14と同じである。
【0060】
このために、固定ケースの外周面には回転リング51eが備えられる。回転リング51eは、固定ケース51の円周方向に沿って延びたリング状部材である。回転リング51eは、延長方向に沿って一定の断面形状を有する。
【0061】
回転ケース55は、固定ケース51に回転可能に結合する部材であって、内周面にリング収容溝55bを備える。リング収容溝55bは、回転リング51eを収容する円形溝である。回転ケース55は、回転リング51eを収容した状態で軸回転可能である。これとともに、回転ケース55の下端部の内側には第1、第2回転羽根55e、55fが設けられている。第1、第2回転羽根55e、55fは、ノズルから噴出される水の流動エネルギーを受けて回転ケース55を回転させる。
【0062】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定せず、本発明の技術的思想の範囲内で通常の知識を有する者によって様々な変形が可能である。
【国際調査報告】