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特表2024-530050中枢神経系に影響を及ぼす障害の改善された治療のための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】中枢神経系に影響を及ぼす障害の改善された治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/76 20150101AFI20240806BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
A61K35/76
C12N15/864 100Z
A61P25/00
A61K48/00
A61P25/28
A61P25/16
A61K31/7088
C12N15/12 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508455
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022072487
(87)【国際公開番号】W WO2023017098
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,053
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/331,614
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513200313
【氏名又は名称】キングス・カレッジ・ロンドン
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ショー
(72)【発明者】
【氏名】ヨウン ボク リー
(72)【発明者】
【氏名】ド ヨン リー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA65
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA221
4C084ZA222
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB28
4C087CA44
4C087MA65
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA15
4C087ZA16
4C087ZA22
(57)【要約】
中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有するか、または発症するリスクがある対象を治療するための方法が、本明細書に記載される。本開示の方法は、治療用タンパク質(例えば、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを投与することを含み得る。本開示のAAVベクターは、例えば、末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)における形質導入を回避しながら、CNSにおける遺伝子発現を達成する特定の量で、かつ特定の投与経路によって、投与され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす障害を治療する方法であって、前記方法が、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量で前記患者に視床内(intrathalamically)投与される、前記方法。
【請求項2】
患者のCNSに影響を及ぼす障害を有すると診断された前記患者における認知機能を改善する方法であって、前記方法が、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量で前記患者に視床内投与される、前記方法。
【請求項3】
CNSに影響を及ぼす障害を有すると診断された患者の脳(例えば、前頭皮質)において、治療用タンパク質を発現させる方法であって、前記方法が、前記治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量で前記患者に視床内投与される、前記方法。
【請求項4】
前記AAVベクターが、約1×1010vg/半球~約5×1012vg/半球の量で前記患者に投与され、任意選択で、前記AAVベクターが、約1×1010vg/半球、2×1010vg/半球、3×1010vg/半球、4×1010vg/半球、5×1010vg/半球、6×1010vg/半球、7×1010vg/半球、8×1010vg/半球、9×1010vg/半球、1×1011vg/半球、2×1011vg/半球、3×1011vg/半球、4×1011vg/半球、5×1011vg/半球、6×1011vg/半球、7×1011vg/半球、8×1011vg/半球、9×1011vg/半球、1×1012vg/半球、2×1012vg/半球、3×1012vg/半球、4×1012vg/半球、または5×1012vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記AAVベクターが、約5×1010vg/半球~約9×1011vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記AAVベクターが、約1×1010vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記AAVベクターが、約5×1010vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記AAVベクターが、約1×1011vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記AAVベクターが、前記量を含む、半球当たり単回用量で前記患者に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記AAVベクターが、ともに前記量を含む、半球当たり複数回の用量で前記患者に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記治療用タンパク質が、その欠損または活性の欠如が前記障害に関連するタンパク質である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記治療用タンパク質が、分泌タンパク質または本明細書の表5に列挙されるタンパク質である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記治療用タンパク質が、PGRNである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記障害が、神経認知障害、神経筋障害、神経変性障害、またはリソソーム蓄積障害である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記障害が、リソソーム蓄積障害である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記障害が、前頭側頭型認知症(FTD)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記導入遺伝子が、神経細胞及び/またはグリア細胞において活性であるプロモーターに動作可能に連結され、任意選択で、前記導入遺伝子が、PGRNをコードする、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記プロモーターが、シナプシンプロモーター、テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(tTA)プロモーター、逆テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(rTA)プロモーター、U1プロモーター、U6プロモーター、U7プロモーター、プリオンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、CB7プロモーター、H1プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CMV-ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIIプロモーター、チューブリンアルファIプロモーター、マイクロチューブリン関連タンパク質IB(MAP IB)プロモーター、ニューロン特異的エノラーゼプロモーター、血小板由来成長因子ベータ鎖プロモーター、ニューロフィラメント軽鎖プロモーター、ニューロン特異的VGF遺伝子プロモーター、ニューロン核(NeuN)プロモーター、大腸腺腫性ポリポーシス(APC)プロモーター、イオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba-1)プロモーター、またはホメオボックスタンパク質9(HB9)プロモーターである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロモーターが、シナプシンプロモーターである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シナプシンプロモーターが、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記シナプシンプロモーターが、前記配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、前記シナプシンプロモーターが、前記配列番号1の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シナプシンプロモーターが、前記配列番号1の核酸配列を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記治療用タンパク質が、PGRNであり、前記PGRNが、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記PGRNが、前記配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、任意選択で、前記PGRNが、前記配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記PGRNが、前記配列番号2のアミノ酸配列を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記導入遺伝子が、PGRNをコードし、PGRNをコードする前記導入遺伝子が、コドン最適化されている、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
PGRNをコードする前記導入遺伝子が、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
PGRNをコードする前記導入遺伝子が、前記配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、PGRNをコードする前記導入遺伝子が、前記配列番号3の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
PGRNをコードする前記導入遺伝子が、前記配列番号3の核酸配列を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記導入遺伝子が、ヒト成長ホルモン(hGH)イントロンに動作可能に連結され、任意選択で、(i)前記hGHイントロンが、hGHイントロン3であり、及び/または(ii)前記導入遺伝子が、PGRNをコードする、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記hGHイントロンが、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記hGHイントロンが、前記配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、前記hGHイントロンが、前記配列番号4の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記hGHイントロンが、前記配列番号4の核酸配列を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記導入遺伝子が、3’エンハンサーエレメントに動作可能に連結され、任意選択で、前記導入遺伝子が、PGRNをコードする、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記3’エンハンサーエレメントが、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記3’エンハンサーエレメントが、前記配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、前記3’エンハンサーエレメントが、前記配列番号5の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記3’エンハンサーエレメントが、前記配列番号5の核酸配列を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8、及びAAVrh.10からなる群から選択されるAAV血清型に由来するカプシドタンパク質を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記AAVが、順行性輸送AAVまたは逆行性輸送AAVである、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8、またはAAVrh.10由来の5’逆位末端反復(ITR)及び/または3’ITRを含み、任意選択で、前記AAVベクターが、AAV2由来の5’ITR及び3’ITRを含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記AAVベクターが、1つのAAV血清型由来の5’ITR及び3’ITR、ならびに異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を含む、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記AAVベクターが、AAV2/9ベクターである、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記AAVが、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%同一である核酸配列を有する、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記AAVが、前記配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記AAVが、前記配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択で、前記AAVが、前記配列番号6の核酸配列と少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記AAVが、配列番号6の核酸を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記治療用タンパク質が、PGRNであり、前記AAVベクターの投与前、前記患者が、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する運動ニューロン障害を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベルを示す、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記治療用タンパク質が、PGRNであり、前記AAVベクターの投与後、前記患者が、前記AAVベクターの投与前に得られた前記患者のPGRN発現レベルの測定値に対して、PGRN発現の増加を示す、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記PGRN発現の増加が、前記患者の視床、前頭皮質、大脳基底核、頭頂皮質、側頭皮質、頭頂及び側頭皮質、及び/または脳脊髄液(CSF)において観察される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記治療用タンパク質が、PGRNであり、前記AAVベクターの投与後、前記患者が、前記前頭皮質において、約2ng/mg~約100ng/mgのPGRN発現のレベルを示す、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記AAVベクターが、対流補助方式で前記患者に投与される、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
患者のCNSに影響を及ぼす障害を治療する方法であって、前記方法が、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、前記患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質発現のレベルを達成するのに十分な量で前記患者に投与され、前記レベルが、前記治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAV2/9ベクターの約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量での視床内投与後に前記障害を有するヒト対象において観察された治療用タンパク質発現のレベルと同等である、前記方法。
【請求項53】
患者のCNSに影響を及ぼす障害を有すると診断されたヒト患者における認知機能を改善する方法であって、前記方法が、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、前記患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質発現のレベルを達成するのに十分な量で前記患者に投与され、前記レベルが、前記治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAV2/9ベクターの約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量での視床内投与後に前記障害を有するヒト対象において観察された治療用タンパク質発現のレベルと同等である、前記方法。
【請求項54】
患者のCNSに影響を及ぼす障害を有すると診断されたヒト患者の脳(例えば、前頭皮質)において、治療用タンパク質を発現させる方法であって、前記方法が、前記治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、前記患者の前記脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質発現のレベルを達成するのに十分な量で前記患者に投与され、前記レベルが、前記治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含むAAV2/9ベクターの約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量での視床内投与後に前記障害を有するヒト対象において観察された治療用タンパク質発現のレベルと同等である、前記方法。
【請求項55】
FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害の治療を必要とするヒト患者において、それを行う方法であって、前記方法が、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、約2ng/mg~約8ng/mgまたはそれを超える前記患者の脳(例えば、前頭皮質)におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で、前記患者に投与される、前記方法。
【請求項56】
FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害を有すると診断されたヒト患者における認知機能を改善する方法であって、前記方法が、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、約2ng/mg~約8ng/mgまたはそれを超える前記患者の脳(例えば、前頭皮質)におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で、前記患者に投与される、前記方法。
【請求項57】
FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害を有すると診断されたヒト患者の脳(例えば、前頭皮質)において、PGRNを発現させる方法であって、前記方法が、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを前記患者に投与することを含み、前記AAVベクターが、約2ng/mg~約8ng/mgまたはそれを超える前記患者の前記脳(例えば、前頭皮質)におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で、前記患者に投与される、前記方法。
【請求項58】
前記治療用タンパク質が、その欠損または活性の欠如が前記障害に関連するタンパク質である、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記治療用タンパク質が、分泌タンパク質または本明細書の表5に列挙されるタンパク質である、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記治療用タンパク質が、PGRNである、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記障害が、神経認知障害、神経筋障害、神経変性障害、またはリソソーム蓄積障害である、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記障害が、リソソーム蓄積障害である、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記障害が、前頭側頭型認知症(FTD)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害である、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含む前記AAV2/9ベクターが、配列番号6の核酸配列を有する、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記患者に投与された前記AAVベクターが、順行性輸送AAVまたは逆行性輸送AAVである、請求項52~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記患者に投与された前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8、及びAAVrh.10からなる群から選択されるAAV血清型に由来するカプシドタンパク質を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記患者に投与された前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8、またはAAVrh.10由来の5’ITR及び/または3’ITRを含み、任意選択で、前記患者に投与された前記AAVベクターが、AAV2由来の5’ITR及び3’ITRを含む、請求項52~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記患者に投与された前記AAVベクターが、1つのAAV血清型由来の5’ITR及び3’ITR、ならびに異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を含む、請求項52~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者に投与された前記AAVベクターが、AAV2/9ベクターである、請求項52~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記ヒト患者が、GRN遺伝子における変異によるFTDを有すると診断される、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記AAVベクターの投与時に、10%未満の末梢組織における導入遺伝子発現の増加が観測される、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記末梢組織が、肝臓、肺、及び/または脾臓を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記導入遺伝子発現が、GAPDH発現に対して計算される、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
前記患者が、哺乳動物である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記患者が、ヒトである、請求項1~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
患者の中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす障害の治療における使用のためのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、前記AAVベクターが、治療用タンパク質をコードする導入遺伝子を含み、前記AAVベクターが、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量で前記患者に視床内投与される、前記アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
【請求項77】
前記AAVベクターが、約1×1010vg/半球~約5×1012vg/半球の量で前記患者に投与され、任意選択で、前記AAVベクターが、約1×1010vg/半球、2×1010vg/半球、3×1010vg/半球、4×1010vg/半球、5×1010vg/半球、6×1010vg/半球、7×1010vg/半球、8×1010vg/半球、9×1010vg/半球、1×1011vg/半球、2×1011vg/半球、3×1011vg/半球、4×1011vg/半球、5×1011vg/半球、6×1011vg/半球、7×1011vg/半球、8×1011vg/半球、9×1011vg/半球、1×1012vg/半球、2×1012vg/半球、3×1012vg/半球、4×1012vg/半球、または5×1012vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項78】
前記AAVベクターが、約5×1010vg/半球~約9×1011vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項79】
前記AAVベクターが、約1×1010vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項80】
前記AAVベクターが、約5×1010vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項81】
前記AAVベクターが、約1×1011vg/半球の量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項82】
前記AAVベクターが、前記量を含む、半球当たり単回用量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項83】
前記AAVベクターが、ともに前記量を含む、半球当たり複数回の用量で前記患者に投与される、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項84】
前記治療用タンパク質が、その欠損または活性の欠如が前記障害に関連するタンパク質である、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項85】
前記治療用タンパク質が、分泌タンパク質または本明細書の表5に列挙されるタンパク質である、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項86】
前記治療用タンパク質が、PGRNである、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項87】
前記障害が、神経認知障害、神経筋障害、神経変性障害、またはリソソーム蓄積障害である、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項88】
前記障害が、リソソーム蓄積障害である、請求項76に記載の使用のためのAAV。
【請求項89】
PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを含むキットであって、前記キットが、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法に従って、前記AAVベクターを前記患者に投与するように前記キットの使用者に指示する添付文書を更に含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象(例えば、ヒト対象)の中枢神経系に影響を及ぼす疾患を治療するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラニュリン(PGRN)は、成長因子シグナル伝達経路を含む、腫瘍形成、炎症、及び修復に長い間関与してきた68.5kDの糖タンパク質である。PGRNは、主に、成長因子様機能を果たし得る脳組織のミクログリア及びニューロンにおいて発現される。最近の発見は、PGRNが神経変性障害、特に、前頭側頭型認知症(FTD)に関与していることを示唆しており、GRN遺伝子の常染色体優性変異が、根本的なFTD表現型として記載されている。PGRNはまた、アルツハイマー病及び他のアミロイド関連疾患(例えば、レビー小体型認知症)におけるβアミロイドプラークと関連して、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有する患者における主な疾患関連タンパク質であるトランス活性化応答エレメントTAR DNA結合タンパク質43(TDP-43)と関連して見出されている。FTDなどのそのような神経変性疾患に対する既存の治療は、疾患の症状を改善するよう努めている。しかしながら、根本的な神経変性を標的とする療法は欠如しており、したがって、新しい治療手段の必要性が強調される。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、中枢神経系の障害、例えば、中枢神経系に悪影響を及ぼす他の障害の中でもとりわけ、神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、神経変性疾患)またはリソソーム蓄積障害を治療するために使用され得る組成物及び方法を提供する。本開示の組成物及び方法を使用して治療され得る例示的な障害には、前頭側頭型認知症(FTD)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ならびに関連する神経認知障害及び運動ニューロン障害が挙げられる。本開示の組成物及び方法を使用して、本明細書に記載の他の病態の中でとりわけ、神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害などの神経変性障害)またはリソソーム蓄積障害を有する患者(例えば、ヒト患者などの哺乳動物患者)は、治療用タンパク質(例えば、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含有するアデノ随伴ウイルス(AAV)を投与され得る。本開示の組成物及び方法と組み合わせて有用な例示的な導入遺伝子としては、本明細書に記載の他の治療用タンパク質の中でもとりわけ、プログラニュリン(PGRN)が挙げられ、いくつかの実施形態では、タンパク質発現を更に増加するために、コドン最適化された導入遺伝子の形態で送達され得る。本明細書に記載の使用方法は、特に、肝臓、肺、及び脾臓を含むがこれらに限定されない末梢組織における顕著な導入遺伝子発現を回避するため、有益である。
【0004】
第1の態様では、本開示は、患者の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び/または脾臓)における導入遺伝子の発現を最小限に抑え、または完全に回避しながら、患者の中枢神経系(CNS)における治療用導入遺伝子(例えば、本明細書に記載の様々な他の治療用導入遺伝子の中でとりわけ、PGRN)の発現を達成する方法を提供する。患者は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有する患者であり得、方法は、治療用導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。
【0005】
別の態様では、本開示は、治療用導入遺伝子(例えば、本明細書に記載の他の治療用導入遺伝子の中でもとりわけ、PGRN)を患者のCNSに導入することによって、認知の改善、神経変性の低減、及び/または神経筋機能の改善を必要とする患者において、それを行う方法を提供する。方法は、患者の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び/または脾臓)において、導入遺伝子の発現を最小限に抑えるか、または完全に回避し得る。患者は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有する患者であり得、方法は、治療用導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。
【0006】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)の治療を必要とするヒト患者において、それを行う方法であって、方法が、本明細書に記載の様々な他の治療用タンパク質の中でとりわけ、PGRNなどの治療用タンパク質(例えば、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。
【0007】
更なる態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有すると診断されたヒト患者における認知機能を改善する方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、本明細書に記載の様々な他の治療用タンパク質の中でとりわけ、PGRNなど、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。
【0008】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有すると診断されたヒト患者の脳(例えば、前頭皮質)において、治療用タンパク質(例えば、PGRN、または本明細書に記載の別の治療用タンパク質)を発現するか、またはその発現を回復させる方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、本明細書に記載の様々な他の治療用タンパク質の中でとりわけ、PGRNなど、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。
【0009】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1010vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量で患者に投与される。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1010vg/半球、2×1010vg/半球、3×1010vg/半球、4×1010vg/半球、5×1010vg/半球、6×1010vg/半球、7×1010vg/半球、8×1010vg/半球、9×1010vg/半球、1×1011vg/半球、2×1011vg/半球、3×1011vg/半球、4×1011vg/半球、5×1011vg/半球、6×1011vg/半球、7×1011vg/半球、8×1011vg/半球、9×1011vg/半球、1×1012vg/半球、2×1012vg/半球、3×1012vg/半球、4×1012vg/半球、5×1012vg/半球、6×1012vg/半球、7×1012vg/半球、8×1012vg/半球、または9×1012vg/半球の量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球の量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1010vg/半球の量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1010vg/半球の量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1011vg/半球の量で患者に投与される。
【0010】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、分泌タンパク質である。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、本明細書の表5に列挙されるタンパク質である。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、PGRNである。
【0011】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、障害は、神経認知障害、神経筋障害、神経変性障害、またはリソソーム蓄積障害である。いくつかの実施形態では、障害は、前頭側頭型認知症(FTD)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害である。
【0012】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターは、その量を含む、半球当たり単回用量で患者に投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、ともにその量を含む、半球当たり複数回の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)で患者に投与される。
【0014】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、導入遺伝子(例えば、本明細書に記載の他の治療用タンパク質の中でもとりわけ、PGRNをコードする導入遺伝子)は、神経細胞及び/またはグリア細胞において活性なプロモーターに動作可能に連結される。例えば、いくつかの実施形態では、プロモーターは、シナプシンプロモーター、テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(tTA)プロモーター、逆テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(rTA)プロモーター、U1プロモーター、U6プロモーター、U7プロモーター、プリオンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、CB7プロモーター、H1プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CMV-ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIIプロモーター、チューブリンアルファIプロモーター、マイクロチューブリン関連タンパク質IB(MAP IB)プロモーター、ニューロン特異的エノラーゼプロモーター、血小板由来成長因子ベータ鎖プロモーター、ニューロフィラメント軽鎖プロモーター、ニューロン特異的VGF遺伝子プロモーター、ニューロン核(NeuN)プロモーター、大腸腺腫性ポリポーシス(APC)プロモーター、イオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba-1)プロモーター、またはホメオボックスタンパク質9(HB9)プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、シナプシンプロモーターである。
【0015】
いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列を有する。
【0016】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、導入遺伝子は、PGRNをコードする。PGRNは、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、任意選択で、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子(例えば、PGRNをコードする)は、コドン最適化される。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子は、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子は、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、PGRNをコードする導入遺伝子は、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子は、配列番号3の核酸配列を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子(例えば、PGRNをコードする導入遺伝子)は、ヒト成長ホルモン(hGH)イントロンに動作可能に連結される。例えば、いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、hGHイントロン3である。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、導入遺伝子(例えば、PGRNをコードする)は、3’エンハンサーエレメントに動作可能に連結される。いくつかの実施形態では、3’エンハンサーエレメントは、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、3’エンハンサーエレメントは、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有し、任意選択で、3’エンハンサーエレメントは、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、3’エンハンサーエレメントは、配列番号5の核酸配列を有する。
【0020】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有し、任意選択で、AAVが、配列番号6の核酸配列と少なくとも96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸を有する。
【0021】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターの投与前、患者は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)またはリソソーム蓄積障害)を有しない、同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性治療用タンパク質発現レベル(例えば、内因性PGRN発現レベル)のレベルの約1%~約40%である内因性治療用タンパク質(例えば、PGRN)の発現のレベルを示す。
【0022】
いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、AAVベクターの投与前に得られた患者の治療用タンパク質発現レベルの測定に対して、治療用タンパク質(例えば、本明細書に記載の他の治療用タンパク質の中でもとりわけ、PGRN)の発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現の増加は、患者の視床、前頭皮質、大脳基底核、頭頂皮質、側頭皮質、頭頂及び側頭皮質、及び/または脳脊髄液(CSF)において観察される。
【0023】
いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約2ng/mg~約100ng/mg(例えば、3ng/mg~約99ng/mg、4ng/mg~約98ng/mg、5ng/mg~約97ng/mg、10ng/mg~約90ng/mg、20ng/mg~約80ng/mg、30ng/mg~約70ng/mg、40ng/mg~約60ng/mg、または約50ng/mg)の治療用タンパク質発現(例えば、PGRN発現)のレベルを示す。
【0024】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターは、対流補助方式で患者に投与される。
【0025】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)の治療を必要とするヒト患者において、それを行う方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、PGRN)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含み、AAVベクターが患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルが、本明細書に記載のAAVベクター(例えば、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクター)の約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量での視床内投与後に、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有するヒト対象において観測された治療用タンパク質(例えば、PGRN)の発現のレベルと同等である、方法を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有すると診断されたヒト患者における認知機能を改善する方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、PGRN)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含み、AAVベクターが患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質(例えば、PGRN)の発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルが、本明細書に記載のAAVベクター(例えば、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクター)の約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量での視床内投与後に、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有するヒト対象において観測された治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現のレベルと同等である、方法を提供する。
【0027】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有すると診断されたヒト患者の脳(例えば、前頭皮質)において、治療用タンパク質(例えば、PGRN)を発現させるか、またはその発現を回復させる方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、PGRN)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含み、AAVベクターが患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質発現(例えば、PGRN発現)のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルが、本明細書に記載のAAVベクター(例えば、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクター)の約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量での視床内投与後に、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有するヒト対象において観測された治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現のレベルと同等である、方法を提供する。
【0028】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)の治療を必要とするヒト患者において、それを行う方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、本明細書に記載の他の治療用タンパク質の中でとりわけ、PGRNなど、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2ng/mg~約8ng/mg(例えば、3ng/mg~約7ng/mg、4ng/mg~約6ng/mg、または約5ng/mg)、またはそれを超える(例えば、約9ng/mg、約10ng/mg、約15ng/mg、約20ng/mg、約30ng/mg、約40ng/mg、約50ng/mg、約60ng/mg、約70ng/mg、約80ng/mg、約90ng/mg、または約100ng/mg)の患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。
【0029】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)を有すると診断されたヒト患者における認知機能を改善する方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、PGRNなど、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含み、AAVベクターが、約2ng/mg~約8ng/mg(例えば、3ng/mg~約7ng/mg、4ng/mg~約6ng/mg、または約5ng/mg)、またはそれを超える(例えば、約9ng/mg、約10ng/mg、約15ng/mg、約20ng/mg、約30ng/mg、約40ng/mg、約50ng/mg、約60ng/mg、約70ng/mg、約80ng/mg、約90ng/mg、または約100ng/mg)の患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される、方法を提供する。
【0030】
別の態様では、本開示は、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積症)を有すると診断されたヒト患者の脳(例えば、前頭皮質)において、治療用タンパク質(例えば、PGRN)を発現させるか、またはその発現のレベルを回復させる方法であって、方法が、治療用タンパク質(例えば、PGRNなど、その欠損もしくは活性の欠如が障害に関連しているか、またはその補充が患者に利益をもたらす可能性が高い)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与することを含み、AAVベクターが、約2ng/mg~約8ng/mg(例えば、3ng/mg~約7ng/mg、4ng/mg~約6ng/mg、または約5ng/mg)、またはそれを超える(例えば、約9ng/mg、約10ng/mg、約15ng/mg、約20ng/mg、約30ng/mg、約40ng/mg、約50ng/mg、約60ng/mg、約70ng/mg、約80ng/mg、約90ng/mg、または約100ng/mg)の患者の脳(例えば、前頭皮質)における治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される、方法を提供する。
【0031】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8、及びAAVrh.10からなる群から選択されるAAV血清型に由来するカプシドタンパク質を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、AAVは、順行性輸送AAVまたは逆行性輸送AAVである。
【0033】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh74、AAVrh.8、またはAAVrh.10由来の5’逆位末端反復(ITR)及び/または3’ITRを含み、任意選択で、AAVベクターは、AAV2由来の5’ITR及び3’ITRを含む。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターは、1つのAAV血清型由来の5’ITR及び3’ITR、ならびに異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV2/9ベクターである。
【0035】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ヒト患者は、GRN遺伝子における変異によるFTDを有すると診断される。
【0036】
前述の態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、AAVベクターの投与時、末梢組織における治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現の顕著な増加がないか、または治療用タンパク質(例えば、PGRN)発現の任意のそのような増加が10%以下(例えば、9%未満、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0%)である。いくつかの実施形態では、末梢組織は、肝臓、肺、及び/または脾臓を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、PGRN導入遺伝子発現は、GAPDH発現に対して計算される。
【0037】
別の態様では、本開示は、治療用タンパク質(例えば、PGRNなどの本明細書に記載の治療用タンパク質)をコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを含むキットであって、キットが、前述の態様のうちのいずれかの方法に従って、AAVベクターを患者に投与するようにキットの使用者に指示する添付文書を更に含む、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】コドン最適化されたヒトプログラニュリン(hPGRN)遺伝子をコードするアデノ随伴ウイルス(AAV)(本明細書では「AAV9-SYN-PGRN」と略される)のマップである。陰影付きの矢印及び長方形は、5’から3’への第1のAAV2逆位末端反復(ITR)、ヒトシナプシン(hSyn)プロモーター、ヒト成長ホルモンイントロン(hGHi3)、コドン最適化されたhGRN遺伝子(PGRN-GS)、hPGRN 3’非翻訳領域(hPGRN-3’UTR)、ウシ成長ホルモンポリアデニル化(ポリ(A))シグナル、ファージ由来の複製起点(f1 ori)、citrobacter freundii ampC β-ラクタマーゼ(AmpR)プロモーター、カナマイシン選択遺伝子(KanR)、及び第2の複製起点(ori)を含む核酸分子を表す。
図2】1×1010vg/半球の低用量の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNを視床内(ITM)注入されたヒツジの皮質の6つの層にわたるプログラニュリン(PGRN)発現の顕微鏡写真である。略語:NeuN、ニューロン核;DAPI、4’、6-ジアミジノ-2-フェニルインドール。
図3】低用量(1×1010vg/半球)、中用量(5×1010vg/半球)、または高用量(1×1011vg/半球)の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたヒツジの生検組織の脳領域にわたるμg当たりのベクターゲノム(vg)を示すグラフのセットである。略語:CD/PT、尾状核被殻/頭頂側頭部。
図4】低用量(1×1010vg/半球)、中用量(5×1010vg/半球)、または高用量(1×1011vg/半球)の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたヒツジ(例えば、KCL9~KCL13)の前頭前(PF)皮質におけるhPGRN、NeuN、及びIBA1(例えば、ミクログリア活性化のマーカー)発現の顕微鏡写真のセットである。
図5】低用量(1×1010vg/半球)、中用量(5×1010vg/半球)、または高用量(1×1011vg/半球)の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたヒツジの脳領域にわたるhPGRNタンパク質レベルを示すグラフのセットである。略語:CD/PT、尾状核被殻/頭頂側頭部。
図6】1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、1×1011vg/半球、5×1011vg/半球、または5×1012vg/半球の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたヒツジにおける、それぞれ、前頭A皮質、前頭B皮質、及び視床にわたるhPGRNタンパク質レベルを示すグラフのセットである。
図7】視床におけるhPGRNタンパク質レベル発現のパーセント(%)に対して正規化された、低用量(1×1010vg/半球)、中用量(5×1010vg/半球)、または高用量(1×1011vg/半球)の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたヒツジの脳領域にわたるhPGRNタンパク質レベルを示すグラフのセットである。略語:CD/PT、尾状核被殻/頭頂側頭部。
図8】A及びBは、脳脊髄液(CSF)中のhPGRNタンパク質レベルを示すグラフのセットである。Aは、健常な対照対象と比較した、症状の発病の前後(それぞれ、症状が出る前及び症状が出た後)の前頭側頭型認知症(FTD)を有すると診断された患者のCSF中のhPGRNレベルを示すグラフである。Bは、ITM投与された低用量(1×1010vg/半球)、中用量(5×1010vg/半球)、または高用量(1×1011vg/半球)の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNの形質導入の4週間後のヒツジのCSF中のhPGRNレベルを示すグラフである。
図9】A及びBは、血清中のhPGRNタンパク質レベルを示すグラフのセットである。Aは、健常な対照対象と比較した、症状の発病の前後(それぞれ、症状が出る前及び症状が出た後)のFTDを有すると診断された患者の血清中のhPGRNレベルを示すグラフである。Bは、ITM投与された低(1×1010vg/半球)、中(5×1010vg/半球)、または高用量(1×1011vg/半球)の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNの形質導入の1週間前または4週間後のヒツジの血清中のhPGRNレベルを示すグラフである。
図10】1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、または1×1011vg/半球の用量の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNを注入されたヒツジ(例えば、KCL9~KCL13)のヘマトキシリン染色された切片のPF皮質及び視床の顕微鏡写真のセットである。
図11】1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、または1×1011vg/半球の図1に記載のAAV9-SYN-PGRNをITM形質導入されたヒツジの脳領域にわたるvg/μgに正規化されたhPGRNタンパク質レベルを示すグラフのセットである。
図12】それぞれ、1×1013図1に記載のAAV9-SYN-PGRN、またはPGRNをコードする導入遺伝子を発現するAAV9もしくはAAV1ベクター(AAV9-CB7-PGRN及びAAV1-CB7-PGRN)を大槽内(ICM)形質導入されたヒツジの小脳におけるhPGRN発現の顕微鏡写真のセットである。パネルA~Cは、PGRN、NeuN、及びDAPIのマージされた画像である。パネルD~Fは、抗hPGRN抗体単独で染色された組織を示す。パネルG~Iは、抗NeuN抗体単独で染色された組織を示す。略語:SYN:シナプシン;CB7、サイトメガロウイルスエンハンサーを有するニワトリβ-アクチンプロモーター。
図13】1×1010vg/半球または1×1013図1に記載のAAV9-SYN-PGRN、またはそれぞれhPGRNをコードする導入遺伝子を発現するAAV9もしくはAAV1ベクター(AAV9-CB7-PGRN及びAAV1-CB7-PGRN)をITM注入またはICM注入されたヒツジのそれぞれPF皮質及び視床におけるPGRN発現の顕微鏡写真のセットである。略語:CB7、サイトメガロウイルスエンハンサーを有するニワトリβ-アクチンプロモーター。
図14】1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、もしくは1×1011vg/半球の図12に記載のAAV9-SYN-PGRN、AAV1-CB7-PGRN、もしくはAAV9-CB7-PGRNをITM形質導入された、または1×1013vg/動物のAAV9-SYN-PGRN、AAV1-CB7-PGRN、もしくはAAV9-CB7-PGRNをICM形質導入されたヒツジ(例えば、KCL-9~KCL-13)にわたる生検脳組織の領域にわたるvg/μgを示すグラフのセットである。陰影の強度は、vg発現レベルを示す。
図15】それぞれ、1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、1×1011図12に記載のAAV1-CB7-PGRN、AAV9-CB7-PGRN、もしくはAAV9-SYN-PGRNをITM形質導入された、または1×1013のAAV1-CB7-PGRN、AAV9-CB7-PGRN、もしくはAAV9-SYN-PGRNをICM形質導入されたヒツジ(例えば、KCL-9~KCL-13)にわたる脳領域にわたるhPGRN発現を示すグラフのセットである。陰影の強度は、hPGRN発現レベルを示す。
図16】5×1010vg/半球のAAV9-SYN-PGRNをITM形質導入された、または1×1013vg/動物の図12に記載のAAV9-SYN-PGRN、AAV1-CB7-PGRN、もしくはAAV9-CB7-PGRNをICM形質導入されたヒツジにおける皮質脳領域にわたるhPGRN発現を示すグラフである。
図17】1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、もしくは1×1011vg/半球のAAV9-SYN-PGRNをITM形質導入された、または1×1013vg/動物の図12に記載のAAV9-SYN-PGRN、AAV1-CB7-PGRN、もしくはAAV9-CB7-PGRNをICM形質導入されたヒツジの前頭A皮質におけるhPGRN発現を示すグラフのセットである。
図18】1×1010vg/半球、5×1010vg/半球、もしくは1×1011vg/半球のAAV9-SYN-PGRNをITMもしくはICM形質導入された、または1×1013vg/動物の図12に記載のAAV9-SYN-PGRN、AAV1-CB7-PGRN、もしくはAAV9-CB7-PGRNをICM形質導入されたヒツジの前頭B皮質におけるhPGRN発現を示すグラフのセットである。
図19】非常に低用量(2.3×10vg/半球、例えば、1×1010vg/半球のヒツジの用量と同等)、低用量(1.1×10vg/半球、例えば、5×1010vg/半球のヒツジの用量と同等)、中用量(2.3×10vg/半球、例えば、1×1011vg/半球のヒツジの用量と同等)、または高用量(2.3×10vg/半球、例えば、1×1012vg/半球のヒツジの用量と同等)のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたGRN-/-マウスの視床における、リポフスチン症マーカーのサブユニットCミトコンドリアルATP合成酵素(SCMAS)によって測定される、PGRN及びリポフスチン症レベルの顕微鏡写真のセットである。PBS注射をSCMASの対照として使用した。パネルA~Eは、PGRN及びSCMASがマージされた画像である。パネルF~Jは、抗hPGRN抗体単独で染色された組織を示す。パネルK~Oは、抗SCMAS抗体単独で染色された組織を示す。
図20】GRN-/-マウスの脳において、AAV-SYN-PGRN投与によってリポフスチン症が有意に低減したことを示すグラフである。リポフスチン症は、野生型(WT)対照またはGRN-/-ホームケージ対照(「20w Hom」、例えば、ホームケージで20週間過ごした未処置マウス)と比較して、非常に低用量(2.3×10vg/半球、例えば、1×1010vg/半球のヒツジの用量と同等)、低用量(1.1×10vg/半球、例えば、5×1010vg/半球のヒツジの用量と同等)、中用量(2.3×10vg/半球、例えば、1×1011vg/半球のヒツジの用量と同等)、または高用量(2.3×10vg/半球、例えば、1×1012vg/半球のヒツジの用量と同等)でAAV-SYN-PGRNをITM注入されたGRN-/-マウスにおけるSCMAS陽性顆粒によって定量された。略語:ns、有意でない。
図21】ヒツジの脳におけるAAV9-SYN-PGRNベクターのITM投与の4週間後のヒツジの肝臓におけるベクターの生体内分布を示すグラフである。ヒツジの肝臓当たり6部位を生検し、ベクター用量当たり2匹のヒツジにベクターを投与した。
図22】AAV9-PGRNベクターのITM投与後に、血流において、PGRN発現レベルの有意な増加が最小限~観察されないことを実証するグラフである。データは、対流増強送達を使用したカニクイザルにおけるAAV9.PGRNの単回両側ITM注射から得られた(低用量:2.5×1010vg/半球、高用量:2.5×1011vg/半球)。血液試料を、0日目、2、4、8、及び12週目に採取し、ELISAによってPGRNタンパク質について分析した。(注:非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)における2.5×1011vg/半球は、ヒトにおける4×1012vg/半球と同等である。)
図23】AAV9-PGRNベクターのITM投与後に、非神経組織において、PGRNの有意な発現が観察されないことを実証する表である。データは、対流増強送達を使用したカニクイザルにおけるAAV9.PGRNの単回両側ITM注射から得られた(低用量:2.5×1010vg/半球、高用量:2.5×1011vg/半球)。12週目での末端生検を主要な非神経系器官から採取し、qPCRによってhPGRN RNAのレベルについてアッセイした。(注:非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)における2.5×1011vg/半球は、ヒトにおける4×1012vg/半球と同等である。)
【0039】
定義
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、記載されている値から10%以内で上回るかまたは下回る値を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語には、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、及び現在知られているか、または後で発見される任意の他のAAVが含まれるが、これらに限定されない。例えば、Fields et al.Virology,4th ed.Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,1996を参照されたい。追加のAAV血清型及びクレードが最近特定されている。(例えば、Gao et al.J.Virol.78:6381(2004)、Moris et al.Virol.33:375(2004)を参照されたい。様々な血清型のAAVのゲノム配列、ならびに天然のITR、Repタンパク質、及びカプシドサブユニットの配列は、当該技術分野で既知である。そのような配列は、文献またはGenBankなどの公的データベースにおいて見出され得る。例えば、GenBankアクセッション番号NC-002077、NC-001401、NC-001729、NC-001863、NC-001829、NC-001862、NC-000883、NC-001701、NC-001510、NC-006152、NC-006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、AY631966、AX753250、EU285562、NC-001358、NC-001540、AF513851、AF513852、及びAY530579を参照されたく、これらの開示は、AAVの核酸及びアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み込まれる。また、例えば、Bantel-Schaal et al.J.Virol.73:939(1999)、Chiorini et al.J.Virol.71:6823(1997)、Chiorini et al.J.Virol.73:1309(1999)、Gao et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:11854(2002)、Moris et al.Virol.33:375(2004)、Muramatsu et al.Virol.221:208(1996)、Ruffing et al.J.Gen.Virol.75:3385(1994)、Rutledge et al.J.Virol.72:309(1998)、Schmidt et al.J.Virol.82:8911(2008)、Shade et al.J.Virol.58:921(1986)、Srivastava et al.J.Virol.45:555(1983)、Xiao et al.J.Virol.73:3994(1999)、WO00/28061、WO99/61601、WO98/11244、及びUS6,156,303を参照されたく、これらの開示は、AAVの核酸及びアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「AAV」という用語は、順行性輸送AAV及び/または逆行性輸送AAVを包含する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「筋萎縮性側索硬化症」及び「ALS」という用語は、ルーゲーリッグ病とも呼ばれ、皮質、脳幹、及び脊髄の運動ニューロンに影響を及ぼす致命的な疾患を指す。本発明の文脈では、「ALS」という用語には、古典的(シャルコー)ALS、ルーゲーリッグ病、運動ニューロン疾患(MND)、進行性延髄性麻痺(PBP)、進行性筋萎縮症(PMA)、原発性側索硬化症(PLS)、延髄発病ALS、脊髄発病ALS、及び多系統関与を有するALSの名前で知られる神経変性障害の範囲が含まれる(Wijesekera L C and Leigh P N.Amyotrophic lateral sclerosis.Orphanet J.Rare Dis.2009,4:3)。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アルツハイマー病」及び「AD」とは、認知機能低下、短期及び長期記憶喪失、注意欠陥、言語特異的な問題、見当識障害、衝動制御、社会的離脱、無快感症、及び他の症状として提示される遅発性神経変性障害を指す。AD患者の脳組織は、アミロイドβタンパク質の細胞外凝集体及び高リン酸化微小管関連タウタンパク質の神経原線維のもつれなどの神経病理学的特徴を示す。これらの凝集体の蓄積は、大脳皮質の前頭葉、側頭葉、及び頭頂葉、ならびに基底前脳コリン作動系及び脳幹内の青斑核のような皮質下構造を含む多くの脳領域におけるニューロン損失及び萎縮と関連している。ADはまた、反応性グリオーシス及び炎症促進性サイトカインレベルの上昇によって特徴付けられる神経炎症の増加と関連している。
【0043】
本明細書で使用される「カプシドタンパク質」は、AAV8及びAAV9を含む、AAVウイルス粒子の構成要素であるAAVカプシドタンパク質のうちのいずれかを指す。
【0044】
本明細書で使用される「コドン」という用語は、特定のアミノ酸または翻訳のための開始もしくは停止シグナルを指定する、所与のメッセンジャーRNA分子、またはDNAのコード鎖における3つの連続したヌクレオチド塩基の任意の群を指す。コドンという用語はまた、DNA鎖における塩基トリプレットを指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化」は、コードDNAにおける同義コドン(例えば、同じアミノ酸をコードするコドン)の出現の頻度が異なる種において偏るという原則に従って、核酸配列を修飾するプロセスを指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によってコードされることを可能にする。このように修飾された配列は、本明細書において「コドン最適化」と称される。このプロセスは、発現または安定性を増強させるために、本明細書に記載の配列のうちのいずれでも実施され得る。コドン最適化は、例えば、米国特許第7,561,972号、同第7,561,973号、及び同第7,888,112号に記載されているような、当該技術分野で公知の任意の方法によって実施され得、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。翻訳開始部位の周囲の配列は、既知の方法に従ってコンセンサスKozak配列に変換され得る。例えば、Kozak et al,Nucleic Acids Res.15(20): 8125-8148を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。複数の停止コドンが組み込まれ得る。
【0046】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」という語句、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載されている整数または整数の群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数の群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0047】
本明細書で使用される場合、「保存的変異」、「保存的置換」、及び「保存的アミノ酸置換」という用語は、極性、静電荷、及び立体体積などの同様の物理化学的特性を示す1つ以上の異なるアミノ酸での1つ以上のアミノ酸の置換を指す。これらの特性は、以下の表1に20個の天然に存在するアミノ酸の各々について要約されている。


【表1】
【0048】
この表から、保存的アミノ酸ファミリーには、例えば、(i)G、A、V、L、I、P、及びM、(ii)D及びE、(iii)C、S、及びT、(iv)H、K、及びR、(v)N及びQ、ならびに(vi)F、Y、及びWが含まれ、したがって、保存的変異または置換は、1つのアミノ酸を同じアミノ酸ファミリーのメンバーに置換することである(例えば、SerのThrとの置換またはLysのArgとの置換)ことが理解される。
【0049】
「CpG部位」とは、その長さに沿ってヌクレオチドの線状核酸配列においてグアニンヌクレオチドの隣にシトシンヌクレオチドが存在する、例えば、-C-ホスフェート-G-、シトシン及びグアニンは、1つのホスフェートのみによって分離されるか、またはグアニンヌクレオチドに対してシトシン5’のDNAの領域を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)」及び「レビー小体型認知症(Lewy body dementia)」という用語は、変動する認知障害、特定の詳細な事象が繰り返し現れる幻覚、及び/またはパーキンソニズムの認知症症状を含む障害を指すために交換的に使用される。
【0051】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載のAAVベクターの「有効量」、「治療有効量」、及び「十分な量」という用語は、哺乳動物、例えばヒトを含む対象に投与される場合、臨床結果を含む、有益または所望の結果を達成するのに十分な量を指す。したがって、「有効量」、またはその類義語は、適用される状況に依存する。例えば、神経認知障害または神経筋障害を治療するという文脈において、それは、AAVベクターを投与せずに得られた応答と比較して、治療応答を達成するのに十分なAAVベクターの量である。そのような量に対応する本明細書に記載の所与のAAVベクターの量は、例えば、薬学的製剤、対象の属性(例えば、年齢、性別、体重)などの様々な因子に応じて変化するであろうが、それにもかかわらず、当業者によって日常的に決定され得る。また、本明細書で使用される場合、本開示のAAVベクターの「治療有効量」は、対照と比較して、対象における有益または所望の結果をもたらす量である。本明細書で定義される場合、本開示のAAVベクターの治療有効量は、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量を含み得る。
【0052】
本明細書中で使用する場合、「内因性」という用語は、特定の生体(例えば、ヒト)または生体内の特定の場所(例えば、器官、組織または細胞、例えば、ヒト細胞)に自然に見出される分子(例えば、ポリペプチド、核酸または補因子)を表す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「前頭側頭型認知症」及び「FTD」という用語は、脳の前頭葉の変性及び側頭葉に延在し得る変性によって引き起こされる障害を指す。FTDは前頭側頭葉変性によって引き起こされる3つの症候群のうちの1つであり、ADに次いで早期認知症の2番目に多い一般的な原因である。ルンド・マンチェスター基準による診断基準には、発病及び漸進的な進行、早期の社会的対人行動の低下、早期の個人行動の制御の障害、早期の感情的鈍化、及び早期の洞察の喪失が含まれる。FTDの症状は、約45~約65歳(例えば、50~約60歳)の年齢の間に出現する可能性がある。本明細書で使用される場合、「FTD」は、疾患の全ての病期(前臨床段階など)及びサブタイプを含むことが意図される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「GC含有量」という用語は、DNAまたはRNAポリヌクレオチドなどの特定の核酸分子中のヌクレオシドの量を指し、それは、核酸分子中に存在するヌクレオシドの総量に対するグアノシン(G)またはシチジン(C)のいずれかである。GC含有量は、例えば、以下の式に従って、割合として表され得る:
GC含有量=((グアノシンヌクレオシドの総量)+(シチジンヌクレオシドの総量)/(ヌクレオシドの総量))×100
【0055】
本明細書で使用される場合、「GRN変異」または「GRN関連FTD」に罹患している患者は、FTDを有すると診断されており、またGRN遺伝子において有害な変異を含有する患者である。GRN遺伝子において、70個超の病原性変異が報告されており、その大部分は、早期終止コドン及び切断GRN mRNAの無意味な介在の崩壊をもたらす。GRN変異は、Gijselinck et al.,Hum.Mutat.29(12),1373-1386,(2012)及びPottier et al.,J.Neurochem.138(Suppl.1),32:53,(2016)に記載されており、これらの開示は、ヒトGRN変異に関連する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「イントロン」という用語は、そのヌクレオチド配列が、対応するタンパク質のアミノ酸配列に翻訳されない遺伝子のコード領域内の領域を指す。イントロンという用語はまた、遺伝子から転写されたRNAの対応する領域も指す。いくつかの実施形態では、遺伝子は、例えば、少なくとも2つのイントロンを含み得、その各々が2つのエクソン間の介在配列を形成する。イントロンは、mRNA前駆体に転写されるが、プロセシング中に除去され、成熟mRNAには含まれない。
【0057】
「ITR」は、回文核酸、例えば、逆位末端反復であり、約120ヌクレオチド~約250ヌクレオチド長であり、ヘアピンを形成することができる。「ITR」という用語には、パルボウイルスタンパク質(例えば、Rep78/68)によって認識及び結合され得るウイルスゲノム複製の部位が含まれる。ITRは、任意のアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来し得、血清型2が好ましい。ITRは、複製タンパク質結合エレメント(RBE)及び末端分解配列(TRS)を含む。「ITR」という用語は、ITRがウイルスパッケージング、複製、統合、及び/またはプロウイルスレスキューなどを媒介するように機能する限り、野生型パルボウイルスITRを必要としない(例えば、野生型核酸配列は、挿入、欠失、切断、またはミスセンス変異によって変更されてもよい)。「5’ITR」は、核酸分子の5’境界に位置するパルボウイルスITRを意味することが意図され、「3’ITR」という用語は、核酸分子の3’境界に位置するパルボウイルスITRを意味することが意図される。
【0058】
本明細書で使用される場合、「修飾されたヌクレオチド」という用語は、1つ以上の酵素または合成化学変換によって変化させられたヌクレオチドまたはその部分(例えば、アデノシン、グアノシン、チミジン、シチジン、またはウリジン)を指す。本明細書に記載または当該技術分野で既知の修飾されたヌクレオチドにおいて観察される例示的な変化には、2-デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの1つ以上の位置(例えば、2’、3’、及び/または5’位)に、ハロ、チオ、アミノ、アジド、アルキル、アシル、または他の官能基などの化学置換基の導入が含まれる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「運動ニューロン障害」及び「運動ニューロン疾患」という用語は、互換的に、歩行、呼吸、発話、及び嚥下などの骨格筋活動を制御する細胞である、運動ニューロンを破壊する進行性神経学的障害の群を指す。例示的な非限定的な運動ニューロン障害としては、ALS、進行性延髄性麻痺、原発性側索硬化症、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、ケネディ病、及びポリオ後症候群が挙げられる。上記のリストが、全てを網羅するものではないことを理解されたい。
【0060】
本明細書で使用する場合、「変異」という用語は、遺伝子(例えば、GRN)のヌクレオチド配列における変化、またはタンパク質(例えば、PGRN)のポリペプチド配列における変化を指す。遺伝子またはタンパク質における変異は、例えば、DNA複製、DNA修復、照射、及び発がん物質への曝露における誤りの結果として自然に生じ得、または変異は、変異体遺伝子を発現する導入遺伝子の投与の結果として誘導され得る。変異は、単一または複数のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換から生じ得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「神経認知障害」(NCD)という用語は、一次臨床欠陥が、例えば、複雑な注意、実行機能、学習及び記憶、言語、知覚運動機能、ならびに社会的認知の欠陥などの認知機能である、一連の臨床障害または症候群を指す。NCDは、発達性の病態ではなく、後天性の病態として特徴付けられる。例えば、NCDは、認知障害が出生時または非常に早い時期から明らかではなかった病態であり、したがって、NCDにおける認知機能が以前に取得されたレベルから低下したことが必要である。NCDは、NCDが中核の欠陥が認知機能である障害のみを含むという点で、患者が認知障害を呈する他の障害と区別される。NCDは、「重大なNCD」または「軽度のNCD」であり得る。重大なNCDは、個人の独立性及び正常な日常機能を妨げる著しい認知機能低下によって特徴付けられ、せん妄または他の精神障害によるものではない。軽度のNCDは、個人の独立性及び正常な日常機能を妨げない中等度の認知機能低下によって特徴付けられ、せん妄または他の精神障害によるものではない。また、重大及び軽度のNCDは、上記の特定の認知機能のうちのいずれか1つにわたる定量的認知試験に基づいて区別され得る。例えば、重大なNCDは、参照集団の平均スコア(例えば、一般集団の平均スコア)から2超の標準偏差離れているNCDを有するか、またはそれを発症するリスクがあると特定された対象による認知試験で得られるスコア、または参照集団のスコアの分布の3パーセンタイルにあるスコアによって特徴付けられ得る。軽度のNCDは、参照集団の平均スコアから1~2標準偏差離れているNCDを有するか、またはそれを発症するリスクがあると特定された対象による認知試験で得られたスコア、または参照集団のスコアの分布の3~16パーセンタイルの間にあるスコアによって特徴付けられ得る。重大または軽度のNCDのいずれかを有するとしてNCD患者を分類するために使用され得る認知試験の非限定的な例には、AD8、AWV、GPCOG、HRA、MIS、MMSE、MoCA、SLUMS、及び短いIQCODEが挙げられる。更に、NCDは、例えば、FTD、AD、またはレビー小体型認知症などのNCDの特定の病因学的起源を示す症候群サブタイプを含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「神経変性障害」及び「神経変性疾患」という用語は、互換的に、ニューロンの数(例えば、細胞死による)、構造、及び/または機能の進行性の喪失によって特徴付けられる障害を指す。いくつかの事例では、神経認知障害または神経筋障害(例えば、神経変性疾患)は、遺伝子欠陥(例えば、GRN遺伝子における変異)タンパク質の誤った折り畳み、タンパク質分解における欠陥、プログラムされた細胞死、膜損傷、または他のプロセスに関連付けられ得る。例示的な非限定的な神経変性障害としては、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、ルーゲーリッグ病、MND、PBP、PMA、PLS、延髄発病ALS、脊髄発病ALS、及び多系統関与を有するALS、ならびに関連する運動ニューロン障害が挙げられる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「神経筋障害」という用語は、関連する筋肉の活動を制御する1つ以上のニューロンの能力を損なう疾患を指す。神経筋障害の例としては、とりわけ、パーキンソン病(PD)、ALS、先天性筋無力症候群、先天性ミオパチー、けいれん線維束性攣縮(cramp fasciculation)症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、糖原病II型、遺伝性痙性対麻痺、封入体筋炎、アイザック症候群、カーンズ・セイヤー(Kearns-Sayre)症候群、ランバート・イートン筋無力症候群、ミトコンドリアミオパチー、筋ジストロフィー、重症筋無力症、筋強直性ジストロフィー、末梢神経障害、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、スティッフパーソン症候群、トロイヤー症候群、及びギラン・バレー症候群が挙げられる。
【0064】
上記のリストは、全てを網羅しているわけではなく、障害または疾患は様々な分類に収まり得ることを理解されたい。例えば、ADは、神経認知障害、及び神経変性疾患とみなされ得る。同様に、PDは、神経筋障害及び神経変性疾患とみなされ得る。
【0065】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、本明細書で交換可能に使用される場合、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。
【0066】
本明細書で使用される場合、「動作可能に連結された」という用語は、第1の分子が第2の分子に結合されることを指し、ここで、分子は、第1の分子が第2の分子の機能に影響を与えるように配置される。2つの分子は、単一の連続する分子の一部である場合もあればそうでない場合もあり、隣接している場合もあればそうでない場合もある。例えば、プロモーターが細胞内の目的の転写可能なポリヌクレオチド分子の転写を調節する場合、プロモーターは転写可能なポリヌクレオチド分子に動作可能に連結される。更に、転写調節エレメントの2つの部分は、一方の部分の転写活性化機能が他方の部分の存在によって悪影響を受けないように結合されている場合、互いに動作可能に連結される。2つの転写調節エレメントは、リンカー核酸(例えば、介在する非コード核酸)を介して互いに動作可能に連結されてもよく、または介在するヌクレオチドが存在せずに互いに動作可能に連結されてもよい。
【0067】
参照ポリヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列に対する「配列同一性の割合(%)」とは、配列を並べ、必要に応じてギャップを導入して、最大の配列同一性の割合を達成した後、参照ポリヌクレオチド配列または参照ポリペプチド配列における核酸またはアミノ酸と同一である候補配列における核酸またはアミノ酸の割合として定義される。核酸またはアミノ酸配列同一性の割合を決定する目的のアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、またはMegalignソフトウェアなどの、公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の能力の範囲内の様々な方法で達成され得る。当業者は、比較されている配列の完全長にわたる最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列を並べるのに適切なパラメータを決定し得る。例えば、配列同一性の割合の値は、配列比較コンピュータプログラムBLASTを使用して生成されてもよい。一例として、所与の核酸配列またはアミノ酸配列Bに対する(to)、それとの(with)、それに対する(against)所与の核酸配列またはアミノ酸配列Aの配列同一性の割合(これは代替的に、所与の核酸配列またはアミノ酸配列Bに対する(to)、それとの(with)、それに対する(against)ある特定の割合の配列同一性を有する所与の核酸配列またはアミノ酸配列Aと言い換えることができる)は、以下のように計算される:
100×(分数X/Y)
[式中、Xは、AとBとのプログラムのアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラム(例えば、BLAST)によって同一の一致としてスコアリングされたヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、Yは、Bの核酸の総数である]。核酸またはアミノ酸配列Aの長さが核酸またはアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの配列同一性割合は、Aに対するBの配列同一性割合と等しくないことが理解されるであろう。
【0068】
「ポリアデニル化シグナル」、「ポリアデニル化部位」、及び「pA」という用語は、本明細書では互換的に、細胞内で発現されるRNA分子へのポリアデノシンリボ核酸の付加を指向するのに十分な核酸配列を意味するために使用される。
【0069】
本明細書で使用される場合、「プラスミド」という用語は、追加のDNAセグメントが連結され得る染色体外環状二本鎖DNA分子を指す。プラスミドは、ベクターの一種であり、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ある特定のプラスミドは、それらが導入された宿主細胞において自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌プラスミド及びエピソーム哺乳動物プラスミド)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに統合されることができ、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。特定のプラスミドは、それらが動作可能に連結された遺伝子の発現を指向することができる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「プログラニュリン」及び「PGRN」という用語は、分泌された栄養因子及びグラニュリンの前駆体ペプチドを指す。この遺伝子は染色体17q21.31上に位置し、GRNとして知られている。「プログラニュリン」及び「PGRN」という用語はまた、野生型PGRNペプチドのアミノ酸配列(例えば、配列番号2)と少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%の同一性、またはそれを超える)を有するバリアントタンパク質、または野生型GRN遺伝子の核酸配列(例えば、配列番号7)と少なくとも85%の配列同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%の同一性、またはそれを超える)を有するポリヌクレオチドなど、野生型プログラニュリンペプチドのバリアント及びそれをコードする核酸を指し、ただし、コードされたPGRN類似体が、野生型PGRNの治療機能を保持していることを条件とする。「プログラニュリン」及び「PGRN」という用語はまた、天然の分泌シグナルペプチドが存在するPGRNタンパク質を指し得る。本明細書で使用される場合、当業者によって理解されるように、「PGRN」は、ペプチドを指すが、「GRN」は、このタンパク質をコードする遺伝子を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「パーキンソン病」及び「PD」という用語は、運動及び非運動症状によって特徴付けられる神経変性疾患を指す。運動症状には、主にジスキネジア、筋緊張低下、硬直、及び進行が含まれ、運動ジスキネジアには、運動誘導性弛緩、及び更には貧血が含まれる。非運動症状には、疼痛、便秘、胃排出遅延、うつ病、及び睡眠障害が含まれる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが結合するDNA上の認識部位を指す。ポリメラーゼは、導入遺伝子の転写を駆動する。本明細書に記載の組成物及び方法との使用に好適な例示的なプロモーターは、例えば、Sandelin et al.,Nat Rev.Genet.8:424(2007)に記載されており、この開示は、核酸調節エレメントに関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー応答及び他の問題となる合併症を生じることなく、合理的な利益/リスク比に見合った、哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象の組織との接触に好適な化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「分泌シグナルペプチド」という用語は、前駆体タンパク質内の短い(通常は16~60アミノ酸)ペプチド領域を指し、前駆体タンパク質の分泌を宿主の細胞質から細胞膜周辺腔または細胞外空間に指向する。そのような分泌シグナルペプチドは、概して、前駆体タンパク質のアミノ末端に位置する。いくつかの実施形態では、分泌シグナルペプチドは、アミノ末端に連結される。典型的には、分泌シグナルペプチドは、細胞分泌経路を介して輸送中に切断される。分泌タンパク質が所望の活性を保持する限り、切断は必須ではない。例示的な分泌シグナルペプチドとしては、PGRN分泌シグナルペプチドが挙げられる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「治療用タンパク質」という用語は、(i)その欠損または活性の欠如が障害(例えば、本明細書に記載の神経障害)に関連するタンパク質、ならびに(ii)患者において必ずしも欠損していないが、それにもかかわらず、その補充が患者に対して有益な効果を有するであろうタンパク質を指す。本開示の組成物及び方法と組み合わせて有用な例示的な治療用タンパク質を、本明細書の表5に記載する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「トランスフェクション」という用語は、原核宿主細胞または真核宿主細胞への外因性DNAの導入のために一般的に使用される多種多様な技術のうちのいずれか、例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、カルシウム-リン酸沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション、ヌクレオフェクション、スクイーズ-ポレーション、ソノポレーション、光トランスフェクション、マグネトフェクション、インパレフェクションなどを指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子」という用語は、遺伝子産物(例えば、PGRN)をコードする組換え核酸(例えば、DNAまたはcDNA)を指す。遺伝子産物は、RNA、ペプチド、またはタンパク質であり得る。遺伝子産物のコード領域に加えて、導入遺伝子は、プロモーター、エンハンサー(複数可)、不安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)、及び/または他の機能エレメントなどの、発現を促進または強化するための1つ以上のエレメントを含むか、またはそれらに動作可能に連結され得る。本開示の実施形態は、任意の既知の好適なプロモーター、エンハンサー(複数可)、不安定化ドメイン(複数可)、応答エレメント(複数可)、レポーターエレメント(複数可)、インスレーターエレメント(複数可)、ポリアデニル化シグナル(複数可)、及び/または他の機能エレメントを利用し得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)を指す。本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、FTDまたはGRN関連の神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有すると診断された対象、またはこれらの病態のうちの1つ以上を発症するリスクのある対象であり得る。診断は、当該技術分野で既知の任意の方法または技術によって実施され得る。当業者は、本開示に従って治療される対象が、標準的な検査に供されている場合があるか、または検査なしで、疾患もしくは病態に関連する1つ以上のリスク因子の存在によりリスクにさらされている対象として特定されている場合があることを理解するであろう。
【0079】
本明細書で使用される場合、「形質導入」及び「形質導入する」という用語は、細胞内にウイルスベクター構築物またはその一部を導入し、細胞内でベクター構築物またはその一部によるコードされた導入遺伝子のその後の発現の方法を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「治療」及び「治療すること」は、有益な、または所望の結果、例えば、臨床結果を得るためのアプローチを指す。有益な、または所望の結果としては、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、1つ以上の症状または病態の緩和または改善;疾患または病態の程度の軽減;疾患、障害、または病態の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと);疾患または病態の蔓延の予防;疾患または病態の進行の遅延または減速;疾患または病態の改善または緩和;及び、(部分的または完全)寛解が挙げられ得るが、これらに限定されない。疾患または病態を「改善すること」または「緩和すること」とは、治療の非存在下の程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または病態の程度及び/または望ましくない臨床症状が減少し、及び/または進行の時間経過が減速もしくは延長されることを意味する。「治療」はまた、治療を受けない場合に予想される生存と比較して、生存を延長することも意味し得る。治療を必要とする者には、すでに病態もしくは障害を有している者、ならびに病態もしくは障害を有する傾向がある者、または病態もしくは障害を予防する必要がある者が含まれる。
【0081】
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、核酸ベクター、例えば、プラスミドなどのDNAベクター、RNAベクター、ウイルス、または他の好適なレプリコン(例えば、ウイルスベクター)を含む。外因性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に送達するために、様々なベクターが開発されている。そのような発現ベクターの例は、例えば、WO1994/011026に開示されており、目的の遺伝子の発現に好適なベクターに関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物及び方法との使用に好適な発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、ならびに、例えば、タンパク質の発現及び/または哺乳動物細胞のゲノムへのこれらのポリヌクレオチド配列の統合に使用される追加の配列エレメントを含有する。本明細書に記載のPGRNの発現に使用され得るある特定のベクターとしては、遺伝子転写を指向する、プロモーター及びエンハンサー領域などの調節配列を含有するプラスミドが挙げあれる。PGRNの発現のための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、または遺伝子転写から得られるmRNAの安定性または核外排出を改善するポリヌクレオチド配列を含有する。これらの配列エレメントとしては、例えば、発現ベクター上に担持される遺伝子の効率的な転写を指向するための、5’及び3’非翻訳領域、IRES、及びポリアデニル化シグナル部位が挙げられる。本明細書に記載の組成物及び方法との使用に好適な発現ベクターはまた、そのようなベクターを含有する細胞の選択のためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含み得る。好適なマーカーの例は、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ノーセオスリシン、またはゼオシンなどの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
詳細な説明
対象(例えば、哺乳動物対象、例えば、ヒト)における中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害)、またはリソソーム蓄積障害)の治療のための組成物及び方法が本明細書に記載される。本明細書に記載の組成物及び方法は、その欠損または活性の欠如が対象の障害に関連するタンパク質、または患者において必ずしも欠損していないが、その補充が患者に有益な効果を有する可能性が高いタンパク質などの治療用タンパク質の発現を刺激するのに有用である。本開示の例示的な治療用タンパク質は、ヒトプログラニュリン(PGRN)タンパク質であり、これは、FTDなどのプログラニュリン遺伝子(GRN)における変異に関連する障害を治療するのに特に有用である。本明細書に記載の組成物及び方法は、神経認知障害及び/または神経筋障害、ならびにリソソーム蓄積障害に罹患している患者を改善し得るか、またはそうでなければ利益をもたらし得る様々な他の治療用タンパク質の発現を刺激するのにも有用である。本開示の組成物及び方法と組み合わせて有用な例示的な治療用タンパク質を、以下の表5に記載する。
【0083】
本明細書に記載の組成物は、治療用タンパク質をコードするアデノ随伴ウイルス(AAV)を含む。そのようなタンパク質をコードするために使用され得る治療用導入遺伝子には、例えば、細胞におけるPGRNタンパク質の発現に有用である、ヒトGRNまたはそのコドン最適化されたヒトGRNが含まれる。本明細書に記載のAAVは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量で患者に視床内投与され得る。機序に限定されるものではないが、本明細書に記載の組成物は、治療用タンパク質(例えば、本明細書に記載の中でとりわけ、PGRN)の発現を効果的に刺激することによって、中枢神経系に影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知障害もしくは運動ニューロン障害など)、またはリソソーム蓄積障害)に関連する病理を改善し得る。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、本明細書に記載のAAVを投与することによって、上記の障害のうちの1つ以上を治療し得る。
【0084】
本発明は、少なくとも部分的に、治療用タンパク質(例えば、PGRN)をコードする導入遺伝子を含むAAVの視床内送達が、(例えば、AAVの順行性及び/または逆行性輸送によって)皮質を形質導入する、及び皮質において治療用タンパク質(例えば、PGRN)の発現を誘導する驚くほど優れた能力をもたらすという発見に基づいている。PGRN遺伝子療法の文脈では、この特性は、大脳皮質の前頭葉及び側頭葉における神経変性によって特徴付けられる障害である、FTDを有するヒト患者のゲノムなどの哺乳動物ゲノムにおけるGRN遺伝子の変異の有病率を考慮すると、特に有益である。本発明はまた、少なくとも部分的に、視床内送達後の皮質における治療用タンパク質(例えば、PGRN)の当該発現を達成するための最適な投与範囲の特定に基づいている。送達方法と組み合わせた最適な投与範囲は、末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)に対して、CNSにおける非常に特異的な形質導入及びその後の形質導入遺伝子発現をもたらす。末梢組織におけるPGRN発現の上昇は、限定されないが、がん増殖及び炎症関連有害反応を含むがこれらに限定されないある特定の有害作用と関連付けられているため、この特異性は、非常に望ましい。したがって、末梢組織における導入遺伝子発現がほとんどないか、または全くないことを保証する送達方法は、非常に有利である。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、例えば、重要で健常なGRN、またはそのコドン最適化されたバリアントの発現、及びそれらのコードされたPGRNタンパク質産物は、皮質において有効に増強され得る。
【0085】
以下のセクションでは、CNSに影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害、神経筋障害、もしくは神経変性障害(FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、ALS、または関連する神経認知もしくは運動ニューロン障害)またはリソソーム蓄積障害)を治療するために使用され得る方法を提供するために、投与レジメン及びそのような構築物をコードするAAVベクターと組み合わせて使用され得る、コドン最適化された治療用導入遺伝子(例えば、ヒトGRN)を産生するための例示的なコドン最適化及びその産生方法の説明を提供する。
【0086】
神経認知障害及び神経筋障害
神経認知障害は、コア症状として認知障害を特徴とし、かつ発達障害ではなく、以前のより高いレベルの認知に対して認知低下(例えば、後天性障害)を示す障害の集合として定義され、一方、神経筋障害は、進行性の筋力低下によって特徴付けられる。神経認知障害は、その病因学的起源に基づいて分類され得る。例えば、神経認知障害の非限定的な例としては、ADによる神経認知障害、レビー小体を伴う神経認知障害(例えば、レビー小体型認知症)、PDによる神経認知障害、前頭側頭神経認知障害(例えば、FTD)、白質ジストロフィーによる神経認知障害(例えば、PLOSL)、血管神経認知障害、外傷性脳損傷による神経認知障害、HIV感染による神経認知障害、物質/薬物誘導性神経認知障害、ハンチントン病による神経認知障害、プリオン病による神経認知障害、別の医学的病態による神経認知障害、複数の病因による神経認知障害、及び不特定の神経認知障害が挙げられ得る。神経筋障害の非限定的な例としては、PD、ALS、先天性筋無力症候群、先天性ミオパチー、けいれん線維束性攣縮症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、糖原病II型、遺伝性痙性対麻痺、封入体筋炎、アイザック症候群、カーンズ・セイヤー(Kearns-Sayre)症候群、ランバート・イートン筋無力症候群、ミトコンドリアミオパチー、筋ジストロフィー、重症筋無力症、筋強直性ジストロフィー、末梢神経障害、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、スティッフパーソン症候群、トロイヤー症候群、及びギラン・バレー症候群、ならびに関連する運動ニューロン障害が挙げられる。本明細書に開示される組成物及び方法は、神経認知障害及び/または神経筋障害の治療に有用である。
【0087】
GRN変異に関連する神経認知障害及び神経筋障害
FTDは、大脳皮質の前頭葉及び側頭葉における進行性神経変性によって特徴付けられる臨床症候群である。FTDの臨床症状は、複雑かつ不均一であるが、進行性失語症、認知の低下(例えば、作業記憶及び実行機能の低減)、衝動制御の減少、永続的行動の出現、失行症、無関心、及び/または社会的離脱として現れる場合がある。FTD患者の脳におけるニューロンの喪失は、GRN遺伝子における変異、タウ陽性ニューロン及びグリア封入体の存在、またはユビキチン(ub)陽性及びTAR DNA結合タンパク質43(TDP43)陽性であるが、タウ陰性の封入物を含む、異なる神経病理に関連する。これらの神経病理は、FTDの病因において重要であり、また、AD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、及び関連する運動ニューロン障害などの他の神経変性疾患においても役割を果たすために、PGRNが相互作用すると考えられる他のタンパク質のいくつかを強調すると考えられる。例えば、PGRNの低減とTDP-43の蓄積との間には既知の関係があり、TDP-43は、ALSを有する患者の死後組織の細胞質凝集体における一次構成要素であることが示されているタンパク質である。更に、FTD患者のほぼ半数は、認知症、ALS、またはPDを有する一親等家族を有し、疾患の原因への強い遺伝的関連を示唆し、染色体17q21におけるいくつかの変異は、FTDの提示に関連している。
【0088】
染色体17q21とFTDとの間の関連を調査する研究は、PGRN遺伝子、GRNにおいて、多くのFTD関連の変異を見出した。これらの変異は、多くの場合、FTD患者の脳におけるub陽性、TDP43陽性、タウ陰性の神経病理学的封入物の凝集及び蓄積をもたらす。PGRNは、いくつかの成熟グラニュリンタンパク質への分泌前駆体ペプチドであり、主に神経栄養成長因子として機能し、神経細胞の分化及び生存を促進すると考えられている。PGRNはまた、抗炎症及び神経保護機能を果たすことが実証されている。PGRNは、遍在して発現するが、FTDとの関連の結果として、多くの注目が中枢神経系(CNS)に向けられ、PGRNは、神経細胞、グリア細胞、及び内皮細胞を含む複数の細胞型において発現される。GRN遺伝子における70個超の機能喪失変異がFTDにおいて特定されており、その大部分は、ハプロ不全及び血清PGRNレベルの50%超の低減をもたらす。GRN変異は、Gijselinck et al.,Hum.Mutat.29(12),1373-86(2008)に記載されており、この開示は、ヒトGRN変異に関連する場合、参照により本明細書に組み込まれる。機能的なPGRNタンパク質を完全に欠くホモ接合患者は、CLN11ニューロンセロイドリポフスチン症(NCL)として知られるリソソーム蓄積疾患を発症するため、GRN変異の影響は、用量依存的であり、正常なリソソーム機能におけるこのタンパク質の更なる役割を示唆する。神経変性、認知症、及び早期認知機能低下も、NCL症状の特徴である。
【0089】
神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の臨床管理は、疾患症状を改善するために主に用いられている。例えば、FTDでは、臨床管理への現在のアプローチは、多くの場合、FTDに伴う感情及び行動の変化を管理するために、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び抗精神病薬を用いる。しかしながら、この戦略は、その発達及び進行に対処することなく、疾患の症状を改善することを目的とする。これらの治療とは異なり、本明細書に記載の組成物及び方法は、PGRN関連病理の発症の根底にある可能性のある異なる生化学的現象を治療するという利益を提供する。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法は、その疾患の生理学的原因を標的とし、潜在的な根治療法を表す。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを視床内投与することによって、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を治療し得る。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、任意の病因、例えば、遺伝子変異、環境毒素、または散発性を有する、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を治療し得る。これらの組成物及び方法もまた、GRN関連FTDを有する患者を治療するために使用され得る。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、低減したPGRN活性及び/または発現(例えば、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN活性及び/または発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベル)を有する患者、またはGRN変異状態及び/またはPGRN活性レベルが未知である患者を治療し得る。神経認知障害または神経筋障害を有しないヒト対象のCNSにおいて、2~10ng/mLのPGRNの健常な生理学的レベルが観察される。本明細書に記載の組成物及び方法はまた、神経認知障害もしくは神経筋障害を発症するリスクがある患者、低減したPGRN活性及び/または発現(例えば、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN活性及び/または発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベル)を有する患者、またはGRN遺伝子に変異を有する患者に予防的治療として投与され得る。
【0090】
本明細書に記載の方法によれば、患者は、以下の配列番号2のアミノ酸配列をコードする導入遺伝子、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または配列番号2に対して1つ以上の保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の保存的アミノ酸置換)を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、以下の配列番号3を発現するAAVベクターを投与され得、ただし、コードされたPGRN類似体が、野生型PGRNの治療機能を保持していることを条件とする。いくつかの実施形態では、野生型PGRNをコードするポリヌクレオチドは、以下に詳細に記載されるように、コドン最適化ポリヌクレオチドであり得る。
【0091】
野生型ヒトPGRN(GenBankアクセッション番号:NP_002078.1)は、以下のアミノ酸配列を有する:
MWTLVSWVALTAGLVAGTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL
(配列番号2)
【0092】
野生型ヒトGRN(GenBankアクセッション番号:NM_002087.3)は、以下の核酸配列を有する:
ATTCTCCAATCACATGATCCCTAGAAATGGGGTGTGGGGCGAGAGGAAGCAGGGAGGAGAGTGATTTGAGTAGAAAAGAAACACAGCATTCCAGGCTGGCCCCACCTCTATATTGATAAGTAGCCAATGGGAGCGGGTAGCCCTGATCCCTGGCCAATGGAAACTGAGGTAGGCGGGTCATCGCGCTGGGGTCTGTAGTCTGAGCGCTACCCGGTTGCTGCTGCCCAAGGACCGCGGAGTCGGACGCAGGCAGACCATGTGGACCCTGGTGAGCTGGGTGGCCTTAACAGCAGGGCTGGTGGCTGGAACGCGGTGCCCAGATGGTCAGTTCTGCCCTGTGGCCTGCTGCCTGGACCCCGGAGGAGCCAGCTACAGCTGCTGCCGTCCCCTTCTGGACAAATGGCCCACAACACTGAGCAGGCATCTGGGTGGCCCCTGCCAGGTTGATGCCCACTGCTCTGCCGGCCACTCCTGCATCTTTACCGTCTCAGGGACTTCCAGTTGCTGCCCCTTCCCAGAGGCCGTGGCATGCGGGGATGGCCATCACTGCTGCCCACGGGGCTTCCACTGCAGTGCAGACGGGCGATCCTGCTTCCAAAGATCAGGTAACAACTCCGTGGGTGCCATCCAGTGCCCTGATAGTCAGTTCGAATGCCCGGACTTCTCCACGTGCTGTGTTATGGTCGATGGCTCCTGGGGGTGCTGCCCCATGCCCCAGGCTTCCTGCTGTGAAGACAGGGTGCACTGCTGTCCGCACGGTGCCTTCTGCGACCTGGTTCACACCCGCTGCATCACACCCACGGGCACCCACCCCCTGGCAAAGAAGCTCCCTGCCCAGAGGACTAACAGGGCAGTGGCCTTGTCCAGCTCGGTCATGTGTCCGGACGCACGGTCCCGGTGCCCTGATGGTTCTACCTGCTGTGAGCTGCCCAGTGGGAAGTATGGCTGCTGCCCAATGCCCAACGCCACCTGCTGCTCCGATCACCTGCACTGCTGCCCCCAAGACACTGTGTGTGACCTGATCCAGAGTAAGTGCCTCTCCAAGGAGAACGCTACCACGGACCTCCTCACTAAGCTGCCTGCGCACACAGTGGGGGATGTGAAATGTGACATGGAGGTGAGCTGCCCAGATGGCTATACCTGCTGCCGTCTACAGTCGGGGGCCTGGGGCTGCTGCCCTTTTACCCAGGCTGTGTGCTGTGAGGACCACATACACTGCTGTCCCGCGGGGTTTACGTGTGACACGCAGAAGGGTACCTGTGAACAGGGGCCCCACCAGGTGCCCTGGATGGAGAAGGCCCCAGCTCACCTCAGCCTGCCAGACCCACAAGCCTTGAAGAGAGATGTCCCCTGTGATAATGTCAGCAGCTGTCCCTCCTCCGATACCTGCTGCCAACTCACGTCTGGGGAGTGGGGCTGCTGTCCAATCCCAGAGGCTGTCTGCTGCTCGGACCACCAGCACTGCTGCCCCCAGGGCTACACGTGTGTAGCTGAGGGGCAGTGTCAGCGAGGAAGCGAGATCGTGGCTGGACTGGAGAAGATGCCTGCCCGCCGGGCTTCCTTATCCCACCCCAGAGACATCGGCTGTGACCAGCACACCAGCTGCCCGGTGGGGCAGACCTGCTGCCCGAGCCTGGGTGGGAGCTGGGCCTGCTGCCAGTTGCCCCATGCTGTGTGCTGCGAGGATCGCCAGCACTGCTGCCCGGCTGGCTACACCTGCAACGTGAAGGCTCGATCCTGCGAGAAGGAAGTGGTCTCTGCCCAGCCTGCCACCTTCCTGGCCCGTAGCCCTCACGTGGGTGTGAAGGACGTGGAGTGTGGGGAAGGACACTTCTGCCATGATAACCAGACCTGCTGCCGAGACAACCGACAGGGCTGGGCCTGCTGTCCCTACCGCCAGGGCGTCTGTTGTGCTGATCGGCGCCACTGCTGTCCTGCTGGCTTCCGCTGCGCAGCCAGGGGTACCAAGTGTTTGCGCAGGGAGGCCCCGCGCTGGGACGCCCCTTTGAGGGACCCAGCCTTGAGACAGCTGCTGTGAGGGACAGTACTGAAGACTCTGCAGCCCTCGGGACCCCACTCGGAGGGTGCCCTCTGCTCAGGCCTCCCTAGCACCTCCCCCTAACCAAATTCTCCCTGGACCCCATTCTGAGCTCCCCATCACCATGGGAGGTGGGGCCTCAATCTAAGGCCTTCCCTGTCAGAAGGGGGTTGTGGCAAAAGCCACATTACAAGCTGCCATCCCCTCCCCGTTTCAGTGGACCCTGTGGCCAGGTGCTTTTCCCTATCCACAGGGGTGTTTGTGTGTGTGCGCGTGTGCGTTTCAATAAAGTTTGTACACTTTCTTAAAAAAAAAAAA
(配列番号10)
【0093】
治療方法
本開示は、少なくとも部分的に、本明細書に記載の投与経路(例えば、視床内投与)及び本明細書に記載の投与量によって、患者に送達されるPGRNをコードするAAVベクターが、2桁のng/mLのオーダーで患者のCNSにおけるPGRN発現レベルを達成することができるという発見に基づいている(例えば、以下に記載の実施例を参照されたい)。健常なヒト対象のCNSにおけるPGRNタンパク質の生理学的レベルが(患者の脳脊髄液中で測定される)2~6ng/mLのオーダーにあるため、この発見は、重要である。したがって、本明細書に記載のPGRNコード組成物は、ヒト対象のCNSにおいて生理学的PGRN発現レベルを生じさせることができる。この発見に導かれて、本発明者らは、多種多様な他の治療用タンパク質も、CNSにおいて最大2桁のng/mLのオーダーの健常な濃度レベルを有するため、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、他の治療用タンパク質を生理学的に関連する量で送達し得ることを見出した。以下の表は、本開示の例示的な治療用タンパク質及びCNSにおけるそれらの対応する生理学的発現レベルのリストを提供する。
【表2】
【0094】
本明細書に記載の治療され得る例示的な対象は、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、もしくは関連する運動ニューロン障害などの神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、神経変性障害)を有するか、またはそれを発症するリスクがある対象である。FTDのタイプは、GRN関連FTD、散発性FTD、環境毒素、例えば、除草剤または農薬によって引き起こされるFTD、または非GRN変異、例えば、FTDに関連する遺伝子のうちの1つ以上における変異に関連するFTDであり得る。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、低減したPGRN活性及び/または発現(例えば、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベル)を有する患者、またはGRN変異状態及び/またはPGRN活性レベルが未知である患者を治療し得る。本明細書に記載の組成物及び方法はまた、神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を発症するリスクがある患者、例えば、GRN変異を有する患者、低減したPGRN活性及び/または発現(例えば、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベル)を有する患者、神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)に関連する遺伝子のうちの1つ以上において変異を有する患者、または神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)に関連する環境毒素に曝露された患者に予防的治療として投与され得る。神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)のリスクがある患者は、治療が施される場合に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の初期症状を示していてもよく、またはまだ症候性でなくてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、例えば、フレームシフト変異(例えば、p.C31LfsX35、p.C31LfsX35、p.S82VfsX174、p.L271LfsX174、及び/またはp.T382NfsX32変異)、ミスセンス変異(p.C521Y、p.A9D、p.P248L、p.R432C、p.C139R、p.C521Y、及び/またはp.C139R変異)、ナンセンス変異(例えば、p.Q125X変異)、挿入変異(例えば、c.1145insA変異)、及び/またはトランスバージョン変異(例えば、p.0(IVS1+5G>C変異)を含むGRN変異を有する患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、GRN遺伝子において任意の他の病原性変異を担持する患者に投与され得る。例えば、GRN遺伝子における病原性変異は、Gijselinck et al.,Human Mutation 29(12),1373-1386,(2012)において論述された変異のうちのいずれかであり得、この開示は、ヒトGRN変異に関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の治療を必要とするヒト患者において、それを行う方法を提供する。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有すると診断されたヒト患者における認知機能を改善する方法を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示は、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有すると診断されたヒト患者の脳(例えば、前頭皮質)において、PGRNを発現させるか、またはその発現を回復させる方法を提供する。
【0099】
PGRNをコードするポリヌクレオチド
PGRN活性は、FTDを有する患者において低減している。本明細書に記載の組成物及び方法は、PGRNをコードする導入遺伝子を発現するAAVベクターを投与することによって、この機能障害を標的とする。そのような構築物は、当業者に周知の方法を使用して産生され得る。
【0100】
哺乳動物RNAポリメラーゼによるPGRNをコードするポリヌクレオチドの認識及び結合は、遺伝子発現にとって重要である。したがって、RNAポリメラーゼを動員し、転写開始部位での転写複合体の集合を促進する転写因子に対して高い親和性を示す配列エレメントをポリヌクレオチド内に含め得る。そのような配列エレメントには、例えば、哺乳動物プロモーターが含まれ、その配列は、特定の転写開始因子、及び最終的にRNAポリメラーゼによって認識され、結合され得る。哺乳動物プロモーターの例は、Smith et al.,Mol.Sys.Biol.,3:73,online publicationに記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
本明細書に記載の組成物及び方法との使用に好適なポリヌクレオチドはまた、哺乳動物プロモーターの下流にPGRNをコードするものも含む。哺乳動物細胞におけるGRNの発現に有用なプロモーターとしては、例えば、シナプシンプロモーター、テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(tTA)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、逆テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(rTA)プロモーター、U1プロモーター、U6プロモーター、U7プロモーター、プリオンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、CB7プロモーター、H1プロモーター、CMV-ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIIプロモーター、チューブリンアルファIプロモーター、マイクロチューブリン関連タンパク質IB(MAP IB)プロモーター、ニューロン特異的エノラーゼプロモーター、血小板由来成長因子ベータ鎖プロモーター、ニューロフィラメント軽鎖プロモーター、ニューロン特異的VGF遺伝子プロモーター、ニューロン核(NeuN)プロモーター、大腸腺腫性ポリポーシス(APC)プロモーター、イオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba-1)プロモーター、またはホメオボックスタンパク質9(HB9)プロモーター、伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーター、CD68分子(CD68)プロモーター(Dahl et al.,Mol.Ther.23:835(2015)、GRNを発現するためのPGK及びCD68プロモーターの使用に関する場合、本明細書に組み込まれる)、C-X3-Cモチーフケモカイン受容体1(CX3CR1)プロモーター、インテグリンサブユニットアルファM(ITGAM)プロモーター、同種移植炎症因子1(AIF1)プロモーター、プリン作動性受容体P2Y12(P2Y12)プロモーター、膜貫通タンパク質119(TMEM119)プロモーター、及びコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)プロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロモーターは、シナプシンプロモーターである。
【0102】
いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子は、神経細胞(例えば、シナプシン)及び/またはグリア細胞において活性であるプロモーターに動作可能に連結される。
【0103】
本明細書に記載の組成物及び方法における使用のためのポリヌクレオチドに含まれ得る他のDNA配列エレメントは、エンハンサー配列である。エンハンサーは、DNAが転写開始部位での転写因子及びRNAポリメラーゼの結合に有利な三次元配向を選ぶような、目的の遺伝子を含有するポリヌクレオチドの立体構造変化を誘導する別のクラスの調節エレメントを表す。したがって、本明細書に記載の組成物及び方法における使用のためのポリヌクレオチドは、PGRNをコードするものを含み、加えて、哺乳動物エンハンサー配列を含む。現在、多くのエンハンサー配列が、哺乳動物遺伝子から知られており、例としては、哺乳動物グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリンをコードする遺伝子由来のエンハンサーである。本明細書に記載の組成物及び方法における使用のためのエンハンサーにはまた、真核細胞に感染することができるウイルスの遺伝物質に由来するエンハンサーも含まれる。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100~270bp)、CMV初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーである。真核生物遺伝子の転写の活性化を誘導する追加のエンハンサー配列は、Yaniv et al.,Nature 297:17(1982)に開示されている。
【0104】
例示的PGRN
一アプローチでは、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するPGRNを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも87%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも88%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも89%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも91%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも92%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも93%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも94%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と同一であるタンパク質をコードする。
【0105】
分泌シグナルペプチド
PGRNをコードするポリヌクレオチドは、分泌シグナルペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。分泌シグナルペプチドは、5~30残基長のアミノ酸配列を有し得、PGRNをコードするポリヌクレオチドの上流(すなわち、5’から)に位置し得る。これらの分泌シグナルペプチドは、ERへの転座、輸送小胞へのパッケージング、及び最終的な分泌をもたらすシグナル認識粒子による合成中の新生ポリペプチドの認識を可能にする。タンパク質分泌のための例示的な分泌シグナルペプチドは、PGRN、IGF-II、アルファ1抗トリプシン、IL-2、IL-6、CD5、免疫グロブリン、トリプシノーゲン、血清アルブミン、プロラクチン、エラスチン、組織プラスミノーゲン活性化因子シグナルペプチド(tPA-SP)、及びインスリンからのものである。いくつかの実施形態では、分泌型のPGRNを発現する多能性細胞(例えば、ESC、iPSC、またはCD34+細胞)は、欠落タンパク質を血流に注入することによってタンパク質欠損(例えば、PGRN)を矯正するための治療戦略として利用され得る。血液が患者の組織を灌流するため、PGRNは細胞に取り込まれ、その作用部位に輸送される。
【0106】
コドン最適化
本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、例えば、特定の細胞型におけるPGRNの発現の増強を達成するように、GRNの核酸配列またはPGRNをコードするそのRNA等価物を最適化し得る。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、遺伝子及びそのRNA等価物は、PGRNなどのコードされたタンパク質の組織特異的発現のために最適化され得る。本明細書に記載の組成物及び方法を使用して最適化された遺伝子及びそのRNA等価物は、化学合成技術によって合成され得、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく増幅方法を使用するか、または外因性核酸を複製することができる細菌細胞もしくは哺乳動物細胞などの細胞への遺伝子のトランスフェクションによって増幅され得る。
【0107】
本明細書に記載の遺伝子及びRNA等価物は、重要な臨床有用性を有し得る。例えば、FTDは、天然PGRNタンパク質の欠損の現れである。遺伝子療法の出現により、標的細胞(例えば、ヒト細胞)への外因性タンパク質コード核酸の導入のための、広範なベクター及び遺伝子送達技術が開発されている。しかしながら、目的の細胞におけるタンパク質の堅牢かつ安定した発現を達成するために、PGRNをコードする外因性導入遺伝子の配列を最適化するために、従うことができる統一された一連のガイドラインの必要性が残っている。
【0108】
コードされたタンパク質のアミノ酸配列を保存する単一ヌクレオチド変異は、例えば、National Center for Biotechnology Information,Bethesda,Maryland,USAによってまとめられた、以下の表3に表される標準的な遺伝コードによって知らせることができる。
【表3】
【0109】
コドン最適化プロセスは、反復して実施され得る。例えば、当業者は、野生型遺伝子配列(例えば、イントロンDNAを除く)から開始し、かつ標的細胞内で発現される遺伝子(例えば、発現レベルが、意図される標的細胞における遺伝子発現レベルの上位1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれを超える中にある遺伝子)に対して、遺伝子の配列同一性を低減する置換をこの配列に導入し得る。このプロセスは、目的の遺伝子内の全てのコドンが、標的細胞内で高レベルで発現される遺伝子に対して、配列同一性を低減させ得る単一ヌクレオチド置換を導入する機会について評価されるまで繰り返され得る。代替的には、例えば、野生型配列に対して遺伝子のGC含有量を増加させる、及び/または遺伝子のCpG含有量を低減させるコドン置換を組み込むことによって、遺伝子の野生型配列に対して先に修飾された遺伝子配列から開始することができる。結果として得られた遺伝子の配列は、その後、所望の標的細胞において発現される遺伝子(例えば、発現レベルが、意図される標的細胞における遺伝子発現レベルの上位1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれを超える中にある遺伝子)のコード鎖に並べられ、標的細胞内で高レベルで発現される遺伝子に関して、先に修飾された遺伝子の配列同一性を最小限に抑えるために、遺伝子全体を通して反復コドン置換が導入され得る。
【0110】
コドン最適化された遺伝子の調製
設計されると、最終的なコドン最適化された遺伝子は、例えば、当該技術分野で既知の固相核酸手順によって調製され得る。例えば、DNA、RNAなどの核酸分子の化学合成を実施するために、ホスホラミダイト法を使用した固相合成プロセスが用いられ得る。この手順によれば、核酸は、概して、以下のステップによって合成される。
【0111】
まず、合成される核酸の3’末端に生じる5-OH保護ヌクレオシドは、ヌクレオシドを切断可能なリンカーに付加することによって、3’-OH機能を介して固体支持体にエステル化される。次いで、ヌクレオシドが固定されている固相合成用の支持体を、反応カラムに配置することができ、それは、次いで、自動核酸合成機にセットされる。
【0112】
その後、以下のステップを含む反復合成プロセスが、自動核酸合成機の合成プログラムに従って反応カラム内で実施され得る:
・(1)保護された固定化ヌクレオシドの5’-OH部分の脱保護のステップ(例えば、ジクロロメタン溶液中のトリクロロ酢酸などの酸を用いて、酸不安定性ヒドロキシル保護基を除去する)、
・(2)活性化剤(例えば、テトラゾールなど)の存在下で、5-OH保護されたヌクレオシドホスホラミダイトを、固定化されたヌクレオシドの脱保護された5’-OH基とカップリングさせるステップ、
・(3)3’末端ヌクレオシドの未反応の5’-OH基を(例えば、無水酢酸などで)キャッピングするステップ、及び
・(4)固定化されたホスファイト置換基を(例えば、ヨウ素水溶液などで)酸化するステップ。
【0113】
上記のプロセスを繰り返して、必要に応じて3’から5’方向に核酸を伸長させ得る。5’末端方向が促進され、所望の配列を有する核酸が合成される。
【0114】
最後に、切断可能なリンカーを(例えば、アンモニア水溶液、メチルアミン溶液などで)加水分解して、合成された核酸を固相支持体から切断する。核酸の化学合成のための前述などの手順は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,835,656号に記載されており、その開示は、核酸分子の合成のためのプロトコルに関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
更に、調製された遺伝子は、例えば、本明細書に記載、または当該技術分野で既知のPCRに基づく技術を使用して、及び/または設計された遺伝子を含有するプラスミドを用いたDH5α E.coliの形質転換によって増幅され得る。細菌は、その後、その中のDNAを増幅するために培養され得、遺伝子は、当該技術分野で既知のプラスミド精製技術によって単離され得、任意選択で、続いて、同一性コドン最適化遺伝子を検証するために、プラスミドの制限消化及び/または配列決定が行われ得る。
【0116】
例示的なコドン最適化されたPGRN
一アプローチでは、本発明は、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有するコドン最適化されたPGRNを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と同一であるタンパク質をコードする。
【0117】
PGRNを標的細胞に送達するためのAAV
ウイルスゲノムは、目的の遺伝子を標的細胞(例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞)のゲノムに効率的に送達するために使用することができるベクターの豊富な供給源を提供する。ウイルスゲノムは、そのようなゲノム内に含有されるポリヌクレオチドが、典型的に、一般化された形質導入または特殊化された形質導入によって標的細胞のゲノムに組み込まれるため、特に有用な遺伝子送達用ベクターである。これらのプロセスは、天然のウイルス複製サイクルの一部分として生じ、遺伝子統合を誘導するために追加のタンパク質または試薬を必要としない。ウイルスベクターの例としては、AAVが挙げられる。
【0118】
本明細書に記載の組成物及び方法の核酸は、細胞へのそれらの導入を容易にするために、組換えAAV(rAAV)ベクター及び/またはビリオンに組み込まれ得る。AAVベクターは、中枢神経系において使用され得、適切なプロモーター及び血清型は、Pignataro et al.,J Neural Transm (2017),epub ahead of printに論述され、その開示は、CNS遺伝子療法において有用なプロモーター及びAAV血清型に関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物及び方法において有用なrAAVベクターは、(1)発現される異種配列(例えば、PGRNをコードするポリヌクレオチド)及び(2)異種遺伝子の統合及び発現を容易にするウイルス配列を含む組換え核酸構築物である。ウイルス配列は、DNAの複製及びビリオンへのパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされるAAVの配列を含み得る。そのようなrAAVベクターはまた、マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子を含有し得る。有用なrAAVベクターは、全体的または部分的に欠失しているが、機能的な隣接ITR配列を保持しているAAV WT遺伝子のうちの1つ以上を有する。AAV ITRは、特定の用途に好適な任意の血清型のものであり得る。rAAVベクターを使用するための方法は、例えば、Tai et al.,J.Biomed.Sci.7:279(2000)、及びMonahan and Samulski,Gene Delivery 7:24(2000)に記載されており、これらの各々の開示は、遺伝子送達のためのAAVベクターに関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
本明細書に記載の核酸及びベクターは、細胞内への核酸またはベクターの導入を容易にするために、rAAVウイルス粒子内に組み込むことができる。AAVのカプシドタンパク質は、ビリオンの外側の非核酸部分を構成し、AAV cap遺伝子によってコードされる。cap遺伝子は、ビリオン集合に必要とされる3つのウイルスコートタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードする。rAAVビリオンの構築は、例えば、US5,173,414、US5,139,941、US5,863,541、US5,869,305、US6,057,152、及びUS6,376,237、ならびにRabinowitz et al.,J.Virol.76:791(2002)及びBowles et al.,J.Virol.77:423(2003)に記載されており、その各々の開示は、遺伝子送達のためのAAVベクターに関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて有用なrAAVビリオンとしては、AAV1、2、3、4、5、6、7、8、9、10及びrh74を含む様々なAAV血清型に由来するものが挙げられる。中枢神経系に位置するか、または中枢神経系に送達される細胞を標的とするために、AAV2、AAV9、及びAAV10は、特に有用であり得る。異なる血清型のAAVベクター及びAAVタンパク質の構築及び使用は、例えば、Chao et al.,Mol.Ther.2:619(2000)、Davidson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3428(2000)、Xiao et al.,J.Virol.72:2224(1998)、Halbert et al.,J.Virol.74:1524(2000)、Halbert et al.,J.Virol.75:6615(2001)、及びAuricchio et al.,Hum.Molec.Genet.10:3075(2001)に記載されており、その各々の開示は、遺伝子送達のためのAAVベクターに関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
また、本明細書に記載の組成物及び方法と組み合わせて有用なものは、偽型rAAVベクターである。偽型ベクターには、所与の血清型以外の血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8など)に由来するカプシド遺伝子で偽型化された所与の血清型(例えば、AAV9)のAAVベクターが含まれる。例えば、代表的な偽型ベクターは、AAV血清型2に由来するカプシド遺伝子で偽型化された治療用タンパク質(例えば、フラタキシン)をコードするAAV8またはAAV9ベクターである。偽型rAAVビリオンの構築及び使用を伴う技術は、当該技術分野で既知であり、例えば、Duan et al.,J.Virol.75:7662(2001)、Halbert et al.,J.Virol.74:1524(2000)、Zolotukhin et al.,Methods,28:158(2002)、及びAuricchio et al.,Hum.Molec.Genet.10:3075(2001)に記載されている。
【0122】
ビリオンカプシド内に変異を有するAAVビリオンは、変異していないカプシドビリオンよりも効果的に特定の細胞型に感染するために使用することができる。例えば、好適なAAV変異体は、AAVを特定の細胞型に標的化することを容易にするためにリガンド挿入変異を有し得る。挿入変異体、アラニンスクリーニング変異体、及びエピトープタグ変異体を含むAAVカプシド変異体の構築及び特徴は、Wu et al.,J.Virol.74:8635(2000)に記載されている。本明細書に記載の方法において使用され得る他のrAAVビリオンとしては、ウイルスの分子育種によって、及びエクソンシャッフリングによって生成されるカプシドハイブリッドが挙げられる。例えば、Soong et al.,Nat.Genet.,25:436(2000)及びKolman and Stemmer,Nat.Biotechnol.19:423(2001)を参照されたい。
【0123】
例示的なAAVベクター
本明細書に記載のように、例示的なAAVベクター構成要素は、プロモーター、イントロン、PGRNもしくはそのコドン最適化されたPGRNをコードするポリヌクレオチド、3’エンハンサーエレメント、及び/またはウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化部位(pA)を含み得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、AAVは、シナプシンプロモーター、テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(tTA)プロモーター、逆テトラサイクリン制御トランスアクチベータータンパク質(rTA)プロモーター、U1プロモーター、U6プロモーター、U7プロモーター、プリオンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、CB7プロモーター、H1プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CMV-ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIIプロモーター、チューブリンアルファIプロモーター、マイクロチューブリン関連タンパク質IB(MAP IB)プロモーター、ニューロン特異的エノラーゼプロモーター、血小板由来成長因子ベータ鎖プロモーター、ニューロフィラメント軽鎖プロモーター、ニューロン特異的VGF遺伝子プロモーター、ニューロン核(NeuN)プロモーター、大腸腺腫性ポリポーシス(APC)プロモーター、イオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba-1)プロモーター、またはホメオボックスタンパク質9(HB9)プロモーターを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、プロモーターは、シナプシンプロモーターである。いくつかの実施形態では、PGRNは、神経細胞及び/またはグリア細胞において活性なプロモーターに動作可能に連結される。
【0125】
いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、シナプシンID番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、シナプシンプロモーターは、配列番号1の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0126】
いくつかの実施形態では、PGRNは、ヒト成長ホルモン(hGH)イントロンに動作可能に連結される。例えば、いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、hGHイントロン3である。
【0127】
いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、ID番号1の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、hGHイントロンは、配列番号4の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0128】
いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するPGRNを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも87%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも88%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも89%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも91%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも92%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも93%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも94%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号2のアミノ酸配列と同一であるタンパク質をコードする。
【0129】
いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号3の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有するコドン最適化されたPGRNを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PGRNは、配列番号3の核酸配列と同一であるタンパク質をコードする。
【0130】
いくつかの実施形態では、PGRNは、3’エンハンサーエレメントに動作可能に連結される。いくつかの実施形態では、3’エンハンサーエレメントは、ヒトPGRN 3’非翻訳領域(UTR)である。
【0131】
いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトPGRN 3’UTRは、配列番号5の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、PGRNは、bGH pAに動作可能に連結される。
【0133】
いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、bGH pAは、配列番号8の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0134】
AAVに組み込まれ得る例示的な核酸を、以下の表4に記載する。
【表4】
【0135】
いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)同一である核酸配列を有する。例えば、いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも86%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも87%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも89%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも90%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも91%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも92%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも93%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも94%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも95%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも96%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも97%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と少なくとも99%同一である核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、配列番号6の核酸配列と同一である核酸配列を有する。
【0136】
本明細書に記載のように、配列番号6の核酸配列を有する例示的なAAVを以下に示す:
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCACGCGTTGCAAAGATGGATAAAGTTTTAAACAGAGAGGAATCTTTGCAGCTAATGGACCTTCTAGGTCTTGAAAGGAGTGGGAATTGGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAGCGCACATCGCCCACAGTCCCCGAGAAGTTGGGGGGAGGGGTCGGCAGCAAATGGTTAATTAATCTAGACTGCAGAGGGCCCTGCGTATGAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGTCGAGAGGATCCGTGAGTGGATGCCTTCTCCCCAGGCGGGGATGGGGGAGACCTGTAGTCAGAGCCCCCGGGCAGCACAGCCAATGCCCGTCCTTCCCCTGCAGACCGGTGCCACCATGTGGACTCTGGTCTCCTGGGTCGCTCTGACCGCTGGCCTGGTCGCTGGGACAAGATGCCCCGATGGACAGTTTTGCCCCGTCGCTTGCTGTCTGGACCCAGGAGGAGCCAGCTACTCCTGCTGTCGGCCACTGCTGGATAAGTGGCCCACCACACTGTCCCGCCACCTGGGAGGACCATGCCAGGTGGACGCACACTGTTCCGCCGGACACTCTTGCATCTTCACAGTGTCTGGCACCAGCTCCTGCTGTCCATTTCCTGAGGCAGTGGCATGCGGCGACGGACACCACTGCTGTCCCAGGGGCTTCCACTGTAGCGCCGATGGCAGGTCCTGCTTTCAGAGAAGCGGCAACAATTCCGTGGGCGCCATCCAGTGTCCTGACAGCCAGTTCGAATGCCCAGATTTTTCCACCTGCTGCGTGATGGTGGACGGCTCTTGGGGCTGCTGTCCAATGCCACAGGCCAGCTGCTGTGAGGACAGGGTGCACTGCTGTCCTCACGGAGCCTTCTGTGATCTGGTGCACACACGCTGCATCACCCCCACAGGCACCCACCCTCTGGCCAAGAAGCTGCCAGCACAGAGGACCAACAGGGCAGTGGCCCTGAGCAGCAGCGTGATGTGCCCCGACGCCAGGTCTAGATGCCCTGATGGCAGCACCTGCTGTGAGCTGCCAAGCGGCAAGTACGGCTGCTGTCCTATGCCAAACGCCACATGCTGTTCCGACCACCTGCACTGCTGTCCTCAGGACACCGTGTGCGATCTGATCCAGTCTAAGTGCCTGAGCAAGGAGAATGCCACCACAGACCTGCTGACAAAGCTGCCTGCCCACACCGTGGGCGACGTGAAGTGTGATATGGAGGTGTCCTGCCCAGATGGCTATACATGCTGTAGGCTGCAGTCTGGAGCATGGGGATGCTGTCCCTTCACCCAGGCCGTGTGCTGTGAGGACCACATCCACTGCTGTCCTGCCGGCTTTACATGTGATACCCAGAAGGGCACATGCGAGCAGGGCCCTCACCAGGTGCCATGGATGGAGAAGGCACCAGCACACCTGTCCCTGCCCGACCCTCAGGCCCTGAAGAGAGACGTGCCTTGTGATAACGTGTCTAGCTGCCCATCCTCTGATACATGCTGTCAGCTGACCTCTGGCGAGTGGGGCTGCTGTCCAATCCCCGAGGCCGTGTGCTGTAGCGACCACCAGCACTGCTGTCCTCAGGGCTATACCTGCGTGGCAGAGGGACAGTGCCAGAGGGGCTCCGAGATCGTGGCAGGCCTGGAGAAGATGCCAGCCAGGAGAGCCTCTCTGAGCCACCCCAGAGACATCGGCTGTGATCAGCACACAAGCTGCCCAGTGGGACAGACCTGCTGTCCATCCCTGGGAGGCTCTTGGGCATGCTGTCAGCTGCCTCACGCCGTGTGCTGTGAGGATAGGCAGCACTGCTGTCCAGCCGGCTACACATGCAATGTGAAGGCCAGATCCTGCGAGAAGGAGGTGGTGTCTGCCCAGCCAGCCACCTTCCTGGCACGCAGCCCTCACGTGGGCGTGAAGGACGTGGAGTGTGGCGAGGGCCACTTTTGCCACGACAACCAGACATGCTGTAGGGATAATAGACAGGGCTGGGCCTGCTGTCCATATAGGCAGGGCGTGTGCTGTGCAGATCGGCGCCACTGCTGTCCAGCAGGCTTTCGGTGCGCAGCCAGGGGCACCAAGTGCCTGCGCAGAGAAGCCCCCCGGTGGGACGCCCCCCTGCGAGACCCCGCCCTGAGACAGCTGCTGTGAGTCGCTGGTTTAAACGGGACAGTACTGAAGACTCTGCAGCCCTCGGGACCCCACTCGGAGGGTGCCCTCTGCTCAGGCCTCCCTAGCACCTCCCCCTAACCAAATTCTCCCTGGACCCCATTCTGAGCTCCCCATCACCATGGGAGGTGGGGCCTCAATCTAAGGCCTTCCCTGTCAGAAGGGGGTTGTGGCAAAAGCCACATTACAAGCTGCCATCCCCTCCCCGTTTCAGTGGACCCTGTGGCCAGGTGCTTTTCCCTATCCACAGGGGTGTTTGTGTGTGTGCGCGTGTGCGTTTCGCTAGCCTCGAGAGATCGATCTGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGACACGTGCGGACCGAGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGGGGCGCCACTAGTTGATGCGGTATTTTCTCCTTACGCATCTGTGCGGTATTTCACACCGCATACGTCAAAGCAACCATAGTACGCGCCCTGTAGCGGCGCATTAAGCGCGGCGGGTGTGGTGGTTACGCGCAGCGTGACCGCTACACTTGCCAGCGCCCTAGCGCCCGCTCCTTTCGCTTTCTTCCCTTCCTTTCTCGCCACGTTCGCCGGCTTTCCCCGTCAAGCTCTAAATCGGGGGCTCCCTTTAGGGTTCCGATTTAGTGCTTTACGGCACCTCGACCCCAAAAAACTTGATTTGGGTGATGGTTCACGTAGTGGGCCATCGCCCTGATAGACGGTTTTTCGCCCTTTGACGTTGGAGTCCACGTTCTTTAATAGTGGACTCTTGTTCCAAACTGGAACAACACTCAACCCTATCTCGGGCTATTCTTTTGATTTATAAGGGATTTTGCCGATTTCGGCCTATTGGTTAAAAAATGAGCTGATTTAACAAAAATTTAACGCGAATTTTAACAAAATATTAACGTTTACAATTTTATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATGCCGCATAGTTAAGCCAGCCCCGACACCCGCCAACACCCGCTGACGCGCCCTGACGGGCTTGTCTGCTCCCGGCATCCGCTTACAGACAAGCTGTGACCGTCTCCGGGAGCTGCATGTGTCAGAGGTTTTCACCGTCATCACCGAAACGCGCGAGACGAAAGGGCCTCGTGATACGCCTATTTTTATAGGTTAATGTCATGATAATAATGGTTTCTTAGACGTCAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGCGCGGAACCCCTATTTGTTTATTTTTCTAAATACATTCAAATATGTATCCGCTCATGAGACAATAACCCTGATAAATGCTTCAATAATATTGAAAAAGGAAGAGTATGAGCCATATTCAACGGGAAACGTCGAGGCCGCGATTAAATTCCAACATGGATGCTGATTTATATGGGTATAAATGGGCTCGCGATAATGTCGGGCAATCAGGTGCGACAATCTATCGCTTGTATGGGAAGCCCGATGCGCCAGAGTTGTTTCTGAAACATGGCAAAGGTAGCGTTGCCAATGATGTTACAGATGAGATGGTCAGACTAAACTGGCTGACGGAATTTATGCCTCTTCCGACCATCAAGCATTTTATCCGTACTCCTGATGATGCATGGTTACTCACCACTGCGATCCCCGGAAAAACAGCATTCCAGGTATTAGAAGAATATCCTGATTCAGGTGAAAATATTGTTGATGCGCTGGCAGTGTTCCTGCGCCGGTTGCATTCGATTCCTGTTTGTAATTGTCCTTTTAACAGCGATCGCGTATTTCGTCTCGCTCAGGCGCAATCACGAATGAATAACGGTTTGGTTGATGCGAGTGATTTTGATGACGAGCGTAATGGCTGGCCTGTTGAACAAGTCTGGAAAGAAATGCATAAACTTTTGCCATTCTCACCGGATTCAGTCGTCACTCATGGTGATTTCTCACTTGATAACCTTATTTTTGACGAGGGGAAATTAATAGGTTGTATTGATGTTGGACGAGTCGGAATCGCAGACCGATACCAGGATCTTGCCATCCTATGGAACTGCCTCGGTGAGTTTTCTCCTTCATTACAGAAACGGCTTTTTCAAAAATATGGTATTGATAATCCTGATATGAATAAATTGCAGTTTCATTTGATGCTCGATGAGTTTTTCTAATAAC
TGTCAGACCAAGTTTACTCATATATACTTTAGATTGATTTAAAACTTCATTTTTAATTTAAAAGGATCTAGGTGAAGATCCTTTTTGATAATCTCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTTTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGGCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCAGGCCTACATGT
【0137】
追加の治療用導入遺伝子及びタンパク質
本明細書に記載のAAVは、CNSに悪影響を及ぼす他の障害の中でもとりわけ、CNSに影響を及ぼす障害(例えば、神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、神経変性疾患)またはリソソーム蓄積障害の治療に有用な治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み得る。本開示の組成物及び方法と組み合わせて有用な例示的な治療用タンパク質を、以下の表5に示す。
【表5】
【0138】
表5に記載のタンパク質をコードする導入遺伝子をコードする例示的なAAVは、神経認知障害または神経筋障害を有しない健常なヒト対象のCNSにおける当該タンパク質の健常な生理学的濃度を発現または回復させるのに有用である。例えば、GDNFの健常な生理学的濃度は、CNSにおいて10ng/mL未満である。BDNFの健常な生理学的濃度は、脳脊髄液(CSF)中で50pg/mL以下であり、前頭前皮質において最大約25pg/mLである。ApoEの健常な生理学的濃度は、CSF中で4.5ng/mLである。GCaseの健常な生理学的濃度は、CSF中で0.02~0.14ng/mLである。
【0139】
本明細書に記載のAAVは、リソソーム蓄積障害に関連するCNSタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み得る。例示的なタンパク質としては、α-ガラクトシダーゼa、α-1-イズロニダーゼ、イズロ酸スルファターゼ、リソソーム酸α-グルコシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、ヘキソサミニダーゼA(HexA)、ヘキソサミニダーゼB(HexB)、アリールスルファターゼA(ARSA)、リソソーム酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、α-フコシダーゼ、α-、β-マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミニダーゼ、ノイラミダーゼ(neuramidase)、ヘパラン-N-スルファターゼ、N-アセチル-α-グルコサミニダーゼ、アセチル-CoA:α-グルコサミドN-アセチルトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミン-6-硫酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ、アリールスルファターゼB(ARSB)、及びβ-グルクロニダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。リソソーム蓄積障害に関連するタンパク質をコードする導入遺伝子をコードする例示的なAAVは、神経認知障害または神経筋障害を有しない健常なヒト対象のCNSにおける当該タンパク質の健常な生理学的濃度を発現または回復させるのに有用である。例えば、ARSAの健常な生理学的濃度は、CNSにおいて100ng/mgである。HexAの健常な生理学的濃度は、血漿中で20ng/mLであり、HexBの健常な生理学的濃度は、血漿中で40ng/mLである。
【0140】
投与の経路
本明細書に記載のAAVは、FTDを有する対象に視床内投与され得る。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、対流補助方式で患者に投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、投与は、例えば、Bobo et al.PNAS.91:6(1994): 2076-2080に記載されるものなどの対流補助投与を含み得、この開示は、対流補助投与に関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
投与レジメン
本開示の組成物及び方法を使用して、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有する患者は、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球の量で、PGRN(例えば、コドン最適化されたPGRN)をコードする導入遺伝子を含有するAAVベクターを視床内投与され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、1×10vg/半球~約5×1012vg/半球、2×10vg/半球~約4×1012vg/半球、3×10vg/半球~約3×1012vg/半球、4×10vg/半球~約2×1012vg/半球、5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、1×1010vg/半球~約9×1011vg/半球、2×1010vg/半球~約8×1011vg/半球、3×1010vg/半球~約7×1011vg/半球、4×1010vg/半球~約6×1011vg/半球、5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×10vg/半球~約4×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×10vg/半球~約3×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×10vg/半球~約2×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1010vg/半球~約9×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×1010vg/半球~約8×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×1010vg/半球~約7×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×1010vg/半球~約6×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。
【0144】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1010vg/半球~約1×1012vg/半球(例えば、1×1010vg/半球~約1×1012vg/半球、2×1010vg/半球~約9×1011vg/半球、3×1010vg/半球~約8×1011vg/半球、4×1010vg/半球~約7×1011vg/半球、5×1010vg/半球~約6×1011vg/半球、6×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、7×1010vg/半球~約4×1011vg/半球、8×1010vg/半球~約3×1011vg/半球、9×1010vg/半球~約2×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量で患者に視床内投与される。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×1010vg/半球~約9×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×1010vg/半球~約8×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×1010vg/半球~約7×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1010vg/半球~約6×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約6×1010vg/半球~約5×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約7×1010vg/半球~約4×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約8×1010vg/半球~約3×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約9×1010vg/半球~約2×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。
【0145】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球(例えば、5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球、6×1010vg/半球~約9×1010vg/半球、または7×1010vg/半球~約8×1010vg/半球)の量で患者に視床内投与される。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約6×1010vg/半球~約9×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約7×1010vg/半球~約8×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。
【0146】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約6×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約7×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約8×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約9×10vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約6×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約7×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約8×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約9×1010vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約6×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約7×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約8×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約9×1011vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約1×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約2×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約3×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約4×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、約5×1012vg/半球の量で患者に視床内投与される。
【0147】
例えば、いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、1×10vg/半球~約5×1012vg/半球、2×10vg/半球~約4×1012vg/半球、3×10vg/半球~約3×1012vg/半球、4×10vg/半球~約2×1012vg/半球、5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、1×1010vg/半球~約9×1011vg/半球、2×1010vg/半球~約8×1011vg/半球、3×1010vg/半球~約7×1011vg/半球、4×1010vg/半球~約6×1011vg/半球、5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約1×1011vg/半球)の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約2×10vg/半球~約4×1012vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約3×10vg/半球~約3×1012vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約4×10vg/半球~約2×1012vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約1×1010vg/半球~約9×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約2×1010vg/半球~約8×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約3×1010vg/半球~約7×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約4×1010vg/半球~約6×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約5×1010vg/半球~約5×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与され、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約1×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。
【0148】
いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、約2ng/mg~約8ng/mg(例えば、3ng/mg~約7ng/mg、4ng/mg~約6ng/mg、または約5ng/mg)、またはそれを超える(例えば、約9ng/mg、約10ng/mg、約15ng/mg、約20ng/mg、約30ng/mg、約40ng/mg、約50ng/mg、約60ng/mg、約70ng/mg、約80ng/mg、約90ng/mg、または約100ng/mg)の患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。例えば、いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約2ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約3ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約4ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約5ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約6ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約7ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約8ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約9ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約10ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約11ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約12ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約13ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約14ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約15ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約16ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約17ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約18ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約19ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約20ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約21ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約22ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約23ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約24ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約25ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約26ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約27ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約28ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約29ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約30ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約31ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約32ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約33ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約34ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約35ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約36ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約37ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約38ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約39ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約40ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約41ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約42ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約43ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約44ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約45ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約46ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約47ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約48ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約49ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約50ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約51ng/
mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約52ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約53ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約54ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約55ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約56ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約57ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約58ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約59ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約60ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約61ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約62ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約63ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約64ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約65ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約66ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約67ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約68ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約69ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約70ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約71ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約72ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約73ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約74ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約75ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約76ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約77ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約78ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約79ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約80ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約81ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約82ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約83ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約84ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約85ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約86ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約87ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約88ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約89ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約90ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約91ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約92ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約93ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約94ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約95ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約96ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約97ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約98ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約99ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約98ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、PGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターは、前頭皮質における約100ng/mgの患者の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを達成するのに十分な量で患者に投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、その量を含む、半球当たり単回用量で患者に投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、ともにその量を含む、半球当たり複数回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)の用量で患者に投与される。
【0151】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、各々個別にその量を含む、半球当たり2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)の用量で患者に投与される。
【0152】
いくつかの実施形態では、半球当たりの2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)の用量は、互いに1年以上(例えば、1年、1年及び1日、1年及び1か月、1年及び6か月、2年、3年、4年、または5年)離される。
【0153】
いくつかの実施形態では、半球当たりの2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)の用量は、互いの約12か月(例えば、約12か月、約11か月、約10か月、約9か月、約8か月、約7か月、約6か月、約5か月、約4か月、約3か月、約2か月、または約1か月)以内に患者に投与される。
【0154】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、表5に記載のタンパク質などの、神経認知障害、神経筋障害、またはリソソーム蓄積障害に関連するタンパク質をコードする導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、α-ガラクトシダーゼa、α-1-イズロニダーゼ、イズロ酸スルファターゼ、リソソーム酸α-グルコシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、ヘキソサミニダーゼA、ヘキソサミニダーゼB、アリールスルファターゼA、リソソーム酸リパーゼ、酸セラミダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、α-フコシダーゼ、α-、β-マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミニダーゼ、ノイラミダーゼ(neuramidase)、ヘパラン-N-スルファターゼ、N-アセチル-α-グルコサミニダーゼ、アセチル-CoA:α-グルコサミドN-アセチルトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミン-6-硫酸スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-硫酸スルファターゼ、アリールスルファターゼA、アリールスルファターゼB、及びβ-グルクロニダーゼなどのリソソーム蓄積障害に関連するタンパク質をコードする導入遺伝子を含む。
【0155】
本明細書に記載のAAVは、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)における1つ以上の病理学的特徴を改善するのに十分な量で投与され得る。本明細書に記載のAAVの投与は、対象の認知能力を改善し、前頭皮質における導入遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を回復させ(例えば、約2ng/mg~約8ng/mg(例えば、3ng/mg~約7ng/mg、4ng/mg~約6ng/mg、または約5ng/mg)、またはそれを超える(例えば、約9ng/mg、約10ng/mg、約15ng/mg、約20ng/mg、約30ng/mg、約40ng/mg、約50ng/mg、約60ng/mg、約70ng/mg、約80ng/mg、約90ng/mg、または約100ng/mg))、対象の運動機能を改善し、α-シヌクレインタンパク質レベル、タウ陽性神経細胞封入物レベル、及び/または対象の脳組織におけるTAR DNA結合タンパク質43(TDP-43)陽性封入物レベルを低減させ得る。認知及び運動機能は、治療前及び治療後の標準的な神経学的試験を使用して評価され得、タンパク質レベル(例えば、PGRN)は、ELISAを使用して、血漿及び脳脊髄液(CSF)中で検出され得る。神経変性は、F18-フルオロデオキシグルコースPETスキャンまたはMRIスキャンを使用して評価され得る。患者は、AAVの投与の1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後以上に評価され得る。評価の結果に応じて、患者は追加の治療を受けてもよい。
【0156】
医薬組成物
本明細書に記載のAAVは、インビボでの投与に好適な生物学的に適合する形態で、神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を呈するか、またはそのリスクがあるヒト患者などの患者に投与するための医薬組成物に製剤化され得る。例えば、本明細書に記載のPGRNをコードする1つ以上の導入遺伝子を含むAAVを含有する医薬組成物は、典型的には、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む。医薬組成物は、例えば、滅菌生理食塩水溶液及び核酸を含み得る(例えば、それらからなる)。滅菌生理食塩水は、典型的には、医薬品グレードの生理食塩水である。医薬組成物は、例えば、滅菌水及び核酸を含み得る(例えば、それらからなる)。滅菌水は、典型的には、医薬品グレードの水である。医薬組成物は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び核酸を含み得る(例えば、それらからなる)。滅菌PBSは、典型的には、医薬品グレードのPBSである。
【0157】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の組成物または核酸分子と、1つ以上の賦形剤と、を含む。ある特定の実施形態では、賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0158】
ある特定の実施形態では、核酸分子は、医薬組成物または製剤の調製のために、薬学的に許容される活性物質及び/または不活性物質と混合され得る。組成物及び医薬組成物を製剤化するための方法は、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含むがこれらに限定されない、いくつかの基準に依存する。
【0159】
ある特定の実施形態では、核酸分子を含む医薬組成物は、阻害剤の任意の薬学的に許容される塩、阻害剤のエステル、またはそのようなエステルの塩を包含する。ある特定の実施形態では、核酸分子を含む医薬組成物は、対象(例えば、ヒト)に投与されると、生物学的に活性な代謝産物またはその残渣を(直接的にまたは間接的に)もたらすことが可能である。したがって、例えば、本開示はまた、阻害剤の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的等価物にも引き出される。好適な薬学的に許容される塩には、ナトリウム及びカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、プロドラッグは、核酸分子に結合した1つ以上のコンジュゲート基を含み、コンジュゲート基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0160】
脂質部分は、核酸療法に様々な方法で使用されてきた。ある特定のそのような方法では、核酸は、カチオン性脂質及び中性脂質の混合物で作られた予め形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入される。ある特定の方法では、モノまたはポリカチオン性脂質とのDNA複合体は、中性脂質の存在なしで形成される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、特定の細胞または組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、脂肪組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、筋肉組織への医薬品の分布を増加させるように選択される。
【0161】
特定の実施形態では、医薬組成物は、送達系を含む。送達系の例としては、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の送達系は、疎水性化合物を含むものを含む特定の医薬組成物を調製するのに有用である。ある特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどのある特定の有機溶媒が使用される。
【0162】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、本発明の1つ以上の医薬品を特定の組織または細胞型に送達するように設計された1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、ある特定の実施形態では、医薬組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0163】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、共溶媒系を含む。そのような共溶媒系の確信には、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水相が含まれる。ある特定の実施形態では、そのような共溶媒系は、疎水性化合物に使用される。そのような共溶媒系の非限定的な例は、VPD共溶媒系であり、これは、3%w/vのベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)、及び65%w/vのポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒系の割合は、それらの溶解性及び毒性特性を著しく変えることなく大幅に変化され得る。更に、共溶媒構成要素の同一性は、変化する場合もあり、例えば、ポリソルベート80(商標)の代わりに他の界面活性剤が使用されてもよく、ポリエチレングリコールの分割量が変化されてもよく、他の生体適合性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンが、ポリエチレングリコールに置き換わってもよく、他の糖またはポリサッカライドがデキストロースと置換されてよい。
【0164】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、視床内投与のために調製される。そのような実施形態では、医薬組成物は、担体を含み得、水またはハンクス溶液、リンガー溶液、または生理学的生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液などの水溶液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、他の成分(例えば、溶解性を助けるか、または防腐剤として機能する成分)が含まれる。いくつかの実施形態では、注射可能な懸濁液は、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用して調製される。ある特定の注射用医薬組成物は、単位剤形として、例えば、アンプル中または複数用量容器中で提供される。ある特定の注射用医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンであり、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。注射用医薬組成物における使用に好適なある特定の溶媒には、ゴマ油などの親油性溶媒及び脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、ならびにリポソームが含まれるが、これらに限定されない。
【0165】
有効性の監視
臨床有効性は、他の方法の中でとりわけ、バイオマーカーを使用して監視され得る。有効性を監視するための測定可能なバイオマーカーとしては、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の身体症状のうちの1つ以上を監視することを含むが、これらに限定されない。これらには、振戦、筋肉の痙攣または筋力低下(例えば、腕、脚、首または横隔膜に影響を与える)、こわばり(例えば、こわばった筋肉)、調整及び/またはバランスの不良、咀嚼または嚥下の困難、劇的な過食による体重増加、こわばった筋肉、歩行時にすり足及び引きずる足、椅子から立つまたは椅子に座るのに問題がある、疲労、膀胱を制御するのに問題がある、発作、制御不能な収縮(例えば、腕、脚、肩、または舌の線維束性攣縮)、動作緩慢、姿勢の低下、自動運動の喪失、発話の変化、書き方の変化、身体機能の調節不良(例えば、自律神経系)、睡眠障害、不器用、つまずき、不明瞭な発話、または筋肉の消耗が含まれ得る。1つ以上の症状の安定化、改善、及び/または逆転の観察は、治療または予防レジームが有効であることを示す。1つ以上の症状の進行、増加、または増悪の観察は、治療または予防レジームが有効でないことを示す。神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の治療を評価するための好ましいバイオマーカーは、PGRNのレベルである。このマーカーは、好ましくはタンパク質レベルで評価されるが、PGRNをコードするmRNAの測定をまた、PGRN発現のサロゲート測定として使用することもできる。そのようなレベルは、血液試料中で測定され得る。そのようなレベルは、疾患のない個体の対照集団に対して、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有する対象において低減する(例えば、患者は、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベルを示す)。したがって、レベルの増加は、好ましい治療応答の指示を提供し、一方、変化していないか、または減少しているレベルは、好ましくないか、または少なくとも最適でない治療応答の指示を提供する。
【0166】
ある特定の実施形態では、監視方法は、本明細書に記載のAAVの投薬量を投与する前に、対象における測定可能なバイオマーカーまたは疾患パラメータのベースライン値を決定すること、及び治療経過後の同じ測定可能なバイオマーカーまたはパラメータの値と比較することを必然的に伴い得る。
【0167】
他の方法では、測定可能なバイオマーカーまたはパラメータの対照値(すなわち、平均値及び標準偏差)は、対照集団に対して決定される。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与前に、患者は、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しない同じ年齢、性別、及び/または体格指数のヒト対象において観察された内因性PGRN発現のレベルの約1%~約40%である内因性PGRNの発現のレベルを示す。ある特定の実施形態では、対照集団の個体は、事前の治療を受けておらず、かつ神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有しておらず、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を発症するリスクがない。そのような場合、測定可能なバイオマーカーまたは臨床パラメータの値が対照値に近づく場合、したがって、治療は有効であるとみなされる。他の実施形態では、対照集団の個体は、事前の治療を受けておらず、かつ神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)と診断されている。このような場合、測定可能なバイオマーカーまたは臨床パラメータの値が対照値に近づく場合、したがって、治療は効果がないとみなされる。
【0168】
他の方法では、現在治療を受けていないが、以前の治療過程を受けたことがある対象は、治療の再開が必要かどうかを決定するために、バイオマーカーまたは臨床パラメータのうちの1つ以上について監視される。対象におけるバイオマーカーまたは臨床パラメータのうちの1つ以上の測定値は、以前の治療経過後に対象において以前に達成された値と比較され得る。代替的には、対象における測定値は、治療の経過を受けた後の対象の集団において決定された対照値(平均プラス標準偏差)と比較され得る。代替的には、対象における測定値は、疾患の症状がないままである予防的に処置された対象の集団、または疾患特性の改善を示す治療的に処置された対象の集団における対照値と比較され得る。そのような場合、測定可能なバイオマーカーまたは臨床パラメータの値が対照値に近づく場合、したがって、治療は有効であるとみなされ、再開する必要はない。これらの場合の全てにおいて、対照レベルに対して有意な差(すなわち、標準偏差を超える)は、対象において治療が再開される必要があることの指標である。
【0169】
いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、AAVベクターの投与前に得られた患者のPGRN発現レベルの測定に対して、PGRN発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、PGRN発現の増加は、患者の視床、前頭皮質、大脳基底核、頭頂皮質、側頭皮質、頭頂及び側頭皮質、及び/またはCSFにおいて観察される。
【0170】
いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約2ng/mg~約100 ng/mg(例えば、3ng/mg~約99ng/mg、4ng/mg~約98ng/mg、5ng/mg~約97ng/mg、10ng/mg~約90ng/mg、20ng/mg~約80ng/mg、30ng/mg~約70ng/mg、40ng/mg~約60ng/mg、または約50ng/mg)のPGRN発現のレベルを示す。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約3ng/mg~約99ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約4ng/mg~約98ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約5ng/mg~約97ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約10ng/mg~約90ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約20ng/mg~約80ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約30ng/mg~約70ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約40ng/mg~約60ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約50ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。
【0171】
いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約2ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約3ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約4ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約5ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約6ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約7ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約8ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約9ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約10ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約11ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約12ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約13ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約14ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約15ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約16ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約17ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約18ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約19ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約20ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約21ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約22ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約23ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約24ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約25ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約26ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約27ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約28ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約29ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約30ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約31ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約32ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約33ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約34ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約35ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約36ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約37ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約38ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約39ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約40ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約41ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約42ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約43ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約44ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約45ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約46ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約47ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約48ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約49ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約50ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約51ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約52ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約53ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約54ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約55ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約56ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約57ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約58ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約59ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約60ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約61ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約62ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約63ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約64ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約65ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約66ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約67ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約68ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約69ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約70ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約71ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約72ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約73ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約74ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約75ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約76ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約77ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約78ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約79ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約80ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約81ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約82ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約83ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約84ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約85ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約86ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、
前頭皮質において、約87ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約88ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約89ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約90ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約91ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約92ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約93ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約94ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約95ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約96ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約97ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約98ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約99ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約98ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質において、約100ng/mgのPGRN発現のレベルを示す。
【0172】
いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質においてPGRN発現レベルを示し、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球、約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球、または約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球)の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質においてPGRN発現レベルを示し、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約5×10vg/半球~約1×1012vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質においてPGRN発現レベルを示し、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約1×1010vg/半球~約5×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、前頭皮質においてPGRN発現レベルを示し、そのレベルは、配列番号6の核酸配列を有するAAV2/9ベクターの約5×1010vg/半球~約1×1011vg/半球の量での視床内投与後に、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有するヒト対象において観察されたPGRN発現のレベルと同等である。
【0173】
いくつかの実施形態では、AAVベクターのITM投与後、患者は、1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)において、約10%未満(例えば、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満、0%など)の増加など、PGRNの発現の顕著な増加を示さない。例えば、いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約9%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約8%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約7%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約6%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約5%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約4%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約3%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約2%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、約1%未満の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す。いくつかの実施形態では、AAVベクターの投与後、患者は、0%の1つ以上(例えば、2、3、4個、またはそれを超える)の末梢組織(例えば、肝臓、肺、及び脾臓)におけるPGRNの発現の増加を示す
【0174】
いくつかの実施形態では、末梢組織は、肝臓、肺、及び脾臓を含むが、これらに限定されない。
【0175】
いくつかの実施形態では、PGRNの発現は、GAPDHの発現に対して測定される。
【0176】
キット
本明細書に記載の組成物は、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の治療における使用のためのキットにおいて提供され得る。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の本明細書に記載のAAVを含み得る。キットは、本明細書に記載の方法のうちのいずれか1つを実施するために当該技術分野の医師などのキットの使用者に指示する添付文書を含み得る。キットは、任意選択で、組成物を投与するための注射器または他のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の追加の治療剤を含み得る。
【実施例
【0177】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法をどのように使用し、評価し得るかについての説明を当業者に提供するために提示され、本発明の純粋な例示であることが意図されるものであり、本発明者らが発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。
【0178】
実施例1.プログラニュリンの有効な皮質発現のためのコドン最適化されたヒトプログラニュリン構築物の開発
ヒトプログラニュリン(hPGRN)の有効なタンパク質発現のためのGRN遺伝子のコドン最適化
イントロンDNAを除くヒトGRN遺伝子配列は、以下のとおりである:
ATTCTCCAATCACATGATCCCTAGAAATGGGGTGTGGGGCGAGAGGAAGCAGGGAGGAGAGTGATTTGAGTAGAAAAGAAACACAGCATTCCAGGCTGGCCCCACCTCTATATTGATAAGTAGCCAATGGGAGCGGGTAGCCCTGATCCCTGGCCAATGGAAACTGAGGTAGGCGGGTCATCGCGCTGGGGTCTGTAGTCTGAGCGCTACCCGGTTGCTGCTGCCCAAGGACCGCGGAGTCGGACGCAGGCAGACCATGTGGACCCTGGTGAGCTGGGTGGCCTTAACAGCAGGGCTGGTGGCTGGAACGCGGTGCCCAGATGGTCAGTTCTGCCCTGTGGCCTGCTGCCTGGACCCCGGAGGAGCCAGCTACAGCTGCTGCCGTCCCCTTCTGGACAAATGGCCCACAACACTGAGCAGGCATCTGGGTGGCCCCTGCCAGGTTGATGCCCACTGCTCTGCCGGCCACTCCTGCATCTTTACCGTCTCAGGGACTTCCAGTTGCTGCCCCTTCCCAGAGGCCGTGGCATGCGGGGATGGCCATCACTGCTGCCCACGGGGCTTCCACTGCAGTGCAGACGGGCGATCCTGCTTCCAAAGATCAGGTAACAACTCCGTGGGTGCCATCCAGTGCCCTGATAGTCAGTTCGAATGCCCGGACTTCTCCACGTGCTGTGTTATGGTCGATGGCTCCTGGGGGTGCTGCCCCATGCCCCAGGCTTCCTGCTGTGAAGACAGGGTGCACTGCTGTCCGCACGGTGCCTTCTGCGACCTGGTTCACACCCGCTGCATCACACCCACGGGCACCCACCCCCTGGCAAAGAAGCTCCCTGCCCAGAGGACTAACAGGGCAGTGGCCTTGTCCAGCTCGGTCATGTGTCCGGACGCACGGTCCCGGTGCCCTGATGGTTCTACCTGCTGTGAGCTGCCCAGTGGGAAGTATGGCTGCTGCCCAATGCCCAACGCCACCTGCTGCTCCGATCACCTGCACTGCTGCCCCCAAGACACTGTGTGTGACCTGATCCAGAGTAAGTGCCTCTCCAAGGAGAACGCTACCACGGACCTCCTCACTAAGCTGCCTGCGCACACAGTGGGGGATGTGAAATGTGACATGGAGGTGAGCTGCCCAGATGGCTATACCTGCTGCCGTCTACAGTCGGGGGCCTGGGGCTGCTGCCCTTTTACCCAGGCTGTGTGCTGTGAGGACCACATACACTGCTGTCCCGCGGGGTTTACGTGTGACACGCAGAAGGGTACCTGTGAACAGGGGCCCCACCAGGTGCCCTGGATGGAGAAGGCCCCAGCTCACCTCAGCCTGCCAGACCCACAAGCCTTGAAGAGAGATGTCCCCTGTGATAATGTCAGCAGCTGTCCCTCCTCCGATACCTGCTGCCAACTCACGTCTGGGGAGTGGGGCTGCTGTCCAATCCCAGAGGCTGTCTGCTGCTCGGACCACCAGCACTGCTGCCCCCAGGGCTACACGTGTGTAGCTGAGGGGCAGTGTCAGCGAGGAAGCGAGATCGTGGCTGGACTGGAGAAGATGCCTGCCCGCCGGGCTTCCTTATCCCACCCCAGAGACATCGGCTGTGACCAGCACACCAGCTGCCCGGTGGGGCAGACCTGCTGCCCGAGCCTGGGTGGGAGCTGGGCCTGCTGCCAGTTGCCCCATGCTGTGTGCTGCGAGGATCGCCAGCACTGCTGCCCGGCTGGCTACACCTGCAACGTGAAGGCTCGATCCTGCGAGAAGGAAGTGGTCTCTGCCCAGCCTGCCACCTTCCTGGCCCGTAGCCCTCACGTGGGTGTGAAGGACGTGGAGTGTGGGGAAGGACACTTCTGCCATGATAACCAGACCTGCTGCCGAGACAACCGACAGGGCTGGGCCTGCTGTCCCTACCGCCAGGGCGTCTGTTGTGCTGATCGGCGCCACTGCTGTCCTGCTGGCTTCCGCTGCGCAGCCAGGGGTACCAAGTGTTTGCGCAGGGAGGCCCCGCGCTGGGACGCCCCTTTGAGGGACCCAGCCTTGAGACAGCTGCTGTGAGGGACAGTACTGAAGACTCTGCAGCCCTCGGGACCCCACTCGGAGGGTGCCCTCTGCTCAGGCCTCCCTAGCACCTCCCCCTAACCAAATTCTCCCTGGACCCCATTCTGAGCTCCCCATCACCATGGGAGGTGGGGCCTCAATCTAAGGCCTTCCCTGTCAGAAGGGGGTTGTGGCAAAAGCCACATTACAAGCTGCCATCCCCTCCCCGTTTCAGTGGACCCTGTGGCCAGGTGCTTTTCCCTATCCACAGGGGTGTTTGTGTGTGTGCGCGTGTGCGTTTCAATAAAGTTTGTACACTTTCTTAAAAAAAAAAAA (配列番号10)。
【0179】
ヒトPGRNアミノ酸配列は、以下のとおりである:
MWTLVSWVALTAGLVAGTRCPDGQFCPVACCLDPGGASYSCCRPLLDKWPTTLSRHLGGPCQVDAHCSAGHSCIFTVSGTSSCCPFPEAVACGDGHHCCPRGFHCSADGRSCFQRSGNNSVGAIQCPDSQFECPDFSTCCVMVDGSWGCCPMPQASCCEDRVHCCPHGAFCDLVHTRCITPTGTHPLAKKLPAQRTNRAVALSSSVMCPDARSRCPDGSTCCELPSGKYGCCPMPNATCCSDHLHCCPQDTVCDLIQSKCLSKENATTDLLTKLPAHTVGDVKCDMEVSCPDGYTCCRLQSGAWGCCPFTQAVCCEDHIHCCPAGFTCDTQKGTCEQGPHQVPWMEKAPAHLSLPDPQALKRDVPCDNVSSCPSSDTCCQLTSGEWGCCPIPEAVCCSDHQHCCPQGYTCVAEGQCQRGSEIVAGLEKMPARRASLSHPRDIGCDQHTSCPVGQTCCPSLGGSWACCQLPHAVCCEDRQHCCPAGYTCNVKARSCEKEVVSAQPATFLARSPHVGVKDVECGEGHFCHDNQTCCRDNRQGWACCPYRQGVCCADRRHCCPAGFRCAARGTKCLRREAPRWDAPLRDPALRQLL (配列番号2)。
【0180】
配列番号10の分析により、遺伝子全体を通して様々なアミノ酸についての特定のコドンの優先傾向が明らかになる。コドン頻度の調査により、ある特定のアミノ酸については、特定のコドンが主であり、一方、他のコドンはそれほど頻繁に使用されないか、または全く使用されないことが明らかになる。当業者は、例えば、米国特許第7,561,972号、同第7,561,973号、及び同第7,888,112号などに記載されているものなどの方法など、当該技術分野で既知の任意の方法でコドン最適化を実施することができ、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0181】
最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を示し得る。例えば、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示し得る。別の例では、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号3の核酸配列と同一である核酸配列を有し得る。
【0182】
設計されると、最終的なコドン最適化された遺伝子は、例えば、当該技術分野で既知の固相核酸手順によって調製され得る。ポリヌクレオチドの固相合成技術は、当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第5,541,307号に記載されており、その開示は、固相ポリヌクレオチドの合成及び精製に関する場合、参照により本明細書に組み込まれる。更に、調製された遺伝子は、例えば、当該技術分野で既知のPCRに基づく技術を使用して、及び/または設計された遺伝子を含有するプラスミドを用いたDH5α E.coliの形質転換によって増幅され得る。細菌は、その後、その中のDNAを増幅するために培養され得、遺伝子は、当該技術分野で既知のプラスミド精製技術によって単離され得、任意選択で、続いて、同一性コドン最適化遺伝子を検証するために、プラスミドの制限消化及び/または配列決定が行われ得る。
【0183】
コドン最適化されたヒトPGRN構築物
PCRプライマーは、培養細胞から単離されたゲノムDNAからのGRN核酸配列に結合し、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅するように設計された。上記のコドン最適化方法を使用して、単離されたGRNを部位指向変異誘発によって修飾した。得られた修飾された増幅産物をゲル精製し、当該技術分野で既知の方法によって配列決定した。
【0184】
偽型アデノ随伴ウイルス(AAV)2/9(AAV2/9)親ベクターを、コドン最適化されたヒトPGRN(hPGRN)の目的ベクターとして使用した。親ベクターは、以下の構成要素を有する核酸分子を含有する:第1のAAV2逆位末端反復、ヒトシナプシン(hSyn)プロモーター、ヒト成長ホルモンイントロン(hGHi3)、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化部位(pA)、第2のAAV2 ITR(ITR2)、ファージ由来の複製起点(f1 ori)、citrobacter freundii ampC β-ラクタマーゼ(AmpR)プロモーター、カナマイシン選択遺伝子(KanR)、及び第2の複製起点(ori)。コドン最適化されたhPGRNを親ベクターにクローニングした(図1、本明細書では「AAV9-SYN-PGRN」と称される)。
【0185】
実施例2.毒性副作用を回避しながら、皮質におけるhPGRNの治療的発現を確立すること
目的
この研究の目的は、皮質におけるPGRNの救出された発現について、成体ヒツジにおける実施例1に記載のAAV9-SYN-PGRNの全身毒性及び/または発現とともに、順行性及び/または逆行性の輸送を評価することであった。更に、この研究は、皮質脳組織におけるPGRNの超生理学的レベルによって特定されるAAV9-SYN-PGRNの有効な投与範囲を洗練するように設計された。
【0186】
材料及び方法
成体(約2歳)の野生型ヒツジ(n=2/用量)に、1×1010vg/半球(本明細書では「低用量」と称される)、5×1010vg/半球(本明細書では「中用量」と称される)、または1×1011vg/半球(本明細書では「高用量」と称される)のAAV9-SYN-PGRN(250μL/視床)を、それぞれ約90分にわたって視床内(ITM)注入(例えば、対流補助投与)した。ITM投与の28日後、動物を屠殺し、脳生検を収集した。脳、脳脊髄液(CSF)、及び血清を、hPGRNタンパク質発現及びvgレベルについて分析し、一方、脳の免疫蛍光画像化を実施して、ウイルスベクターに対するhPGRN発現及び潜在的な炎症応答(例えば、炎症マーカーの発現)を評価した。
【0187】
結果
結果として、視床に注入された本明細書に記載のベクター調製物は、低用量でさえも皮質において正常から超生理学的レベルのhPGRNで、効果的に皮質を形質導入したことが観察された(図2)。更に、全ての脳領域においてhPGRNレベルの用量依存的増加及び高い動物対動物の一貫性が観察された(図3)。この効果は、全てのヒツジの前頭前(PF)皮質全体にわたって観察され、IBA1の発現レベルによって測定される、反応性ミクログリアの証拠は観察されなかった(図4)。皮質領域(例えば、前頭A皮質(皮質の前部から採取された冠状スライス)、前頭B皮質(皮質の後部から採取された冠状スライス)、尾状核被殻/頭頂側頭部(CD/PT)皮質)、大脳基底核(例えば、尾状核及び被殻)、視床、及び海馬にわたる用量発現応答の評価において、試験された最も低い用量でさえ、基底レベルを上回るhPGRNタンパク質発現を上昇させたことが観察された(図5及び6)。更に、このデータを視床におけるhPGRN発現の割合に対して正規化すると、低用量は、皮質への相対的なhPGRN送達がより大きくなる傾向があることが観察された(図7)。CSFでは、中用量及び高用量は、hPGRNレベルを上昇させ、10~30ng/mlの範囲で超生理学的ヒトCSF PGRNレベルを達成し、修復効果を示した(図8)。当該それぞれのヒツジの血清中に、hPGRNの検出可能な発現は観察されなかった(図9)。組織病理学に対処する研究では、ヘマトキシリン及びエオシン染色により、全ての動物が、用量投与中に引き起こされた損傷と一致して、脳白質及び/または視床に片側または両側の局所炎症性病変を示したことが明らかとなった。hPGRN発現の部位に特異的な組織病理学的変化の証拠はなかった(図10)。グリオーシスは、いくつかの動物において観察されたが、その最小限の局所的性質、及び異なる領域における白質及び灰白質の両方における散発的な発生を考慮して、hPGRNの発現とは無関係であると考えられた。これは、投与及び/または自発的なバックグラウンド変化にも関連していた可能性が高い。まとめると、これらのデータは、全ての用量レベルで、AAV9-SYN-PGRNが効果的に皮質を形質導入し、AAVベクターに対する免疫学的応答を誘発することなく、皮質hPGRN発現レベルの上昇を媒介したことを実証した。
【0188】
実施例3.皮質におけるhPGRNの投与効率の確立
目的
この研究の目的は、成体ヒツジにおけるAAV9-SYN-PGRNのITM投与による皮質形質導入の効率を調査することであった。
【0189】
材料及び方法
材料及び方法は、実施例1及び2に記載される。
【0190】
結果
図11は、それぞれ、低用量、中用量、または高用量でITM投与された野生型ヒツジにおける脳領域にわたる、AAV9-SYN-PGRNの定量されたvg/μgによって正規化されたhPGRNの発現レベル(図3)を示す。低用量が、概して、hPGRNを皮質に送達することにおいてより効率的であることが観察された。
【0191】
実施例4.中央投与経路にわたる皮質におけるhPGRN形質導入の効率の比較
目的
この研究の目的は、成体ヒツジにおけるhPGRN導入遺伝子をコードするウイルスベクターのITMまたは大槽内(ICM)投与による皮質形質導入の効率を比較することであった。
【0192】
材料及び方法
成体(約2歳)の野生型ヒツジ(それぞれ、n=2/用量または2/ベクター)に、それぞれ、1×1010(約90分にわたって250μL/視床)vg/半球のAAV9-SYN-PGRNまたはサイトメガロウイルスエンハンサーを有するニワトリβ-アクチンプロモーター(CB7、それぞれAAV1-CB7-PGRN及びAAV9-CB7-PGRN)に動作可能に連結されたhPGRN導入遺伝子をコードするAAV1もしくはAAV9または対照オムニパークをITM注入(例えば、対流補助投与)するか、あるいは1×1013vg(CSF交換で約1分にわたって2mL)の上記AAV9-SYN-PGRNまたはAAV1もしくはAAV9または対照オムニパークをICM注入した。脳由来の領域を生検し、hPGRNタンパク質発現及びvgレベルについて分析し、一方、脳の免疫蛍光画像化を実施して、hPGRN発現を評価した。
【0193】
結果
hPGRNについての小脳切片の初期評価は、ICM投与が成功したことを裏付ける(図12)。全ての動物は、小脳においてhPGRNを示したが、差異が観察された。AAV1-CB7-PGRNは、強力で表面的でほぼ排他的にグリア染色を示した。AAV9-SYN-PGRN及びAAV9-CB7-PGRNの両方は、hPGRNの小脳組織へのより良い浸透を示し、AAV9-CB7-PGRNは、グリア細胞においてより広まっており、AAV9-SYN-PGRNは、ニューロンにおいてより広まっていた。PF皮質及び視床において、ICM投与は、どのAAVベクターを使用したかにかかわらず、ほとんど発現を媒介しなかった(図13)。対照的に、この比較研究は、ITM投与がPF皮質におけるhPGRNの強力な発現を媒介することを強調した。ICM投与と比較して、ITM投与が増強された形質導入をもたらしたという点で、脳領域にわたって同様の結果を得た(図14)。
【0194】
hPGRNタンパク質発現のレベルの評価において、同様のパターンの結果が観察された。具体的には、ICM処置されたヒツジの皮質及び皮質下において検出されたレベルは、対照(未処置ヒツジ)において検出されたバックグラウンドレベル内であったが、5×1010vg/半球のAAV9-SYN-PGRNをITM注入されたヒツジは、AAV9-SYN-PGRNまたはAAV1-CB7-PGRNまたはAAV9-CB7-PGRNベクターをICM投与されたヒツジと比較して、hPGRNのよりも高い皮質レベルを示した(図15~18)。ICM注入された動物の皮質では、ICM処置されたヒツジの視床及び頭頂/側頭皮質において検出されたhPGRNの小さいポケットに範囲が及ぶ、無視できるhPGRNレベルを観察した。
【0195】
まとめると、これらの結果は、ICM投与は、皮質の不良な形質導入をもたらすが、一方で、ITM投与は、優れた皮質形質導入を達成することを示す。
【0196】
実施例5.成体ヒツジにおけるhPGRN導入遺伝子をコードするウイルスベクターのITM投与を介したAAV送達後の末梢組織と比較した皮質組織におけるhPGRNの組織発現の評価
目的
この研究の目的は、成体ヒツジにおけるhPGRN導入遺伝子をコードするウイルスベクターのITM投与後、末梢組織(例えば、肝臓、脾臓、及び肺)と比較して、中枢神経系(CNS)におけるhPGRN発現を評価することであった。
【0197】
材料及び方法
成体(約2歳)の野生型ヒツジ(それぞれn=2/用量または2/ベクター、及び1匹の対照ヒツジ)に、それぞれ、1×1010、5×1010、または1×1011(約90分にわたって250μL/視床)vg/半球のAAV9-SYN-PGRN、またはサイトメガロウイルスエンハンサーを有するニワトリβ-アクチンプロモーター(CB7、それぞれAAV1-CB7-PGRN及びAAV9-CB7-PGRN)に動作可能に連結されたhPGRN導入遺伝子をコードするAAV1もしくはAAV9、または対照オムニパークをITM注入(例えば、対流補助投与)した。脳、肝臓、脾臓、及び肺由来の領域を生検し、hPGRNタンパク質発現及びvgレベルについて分析し、一方、脳、肝臓、脾臓、及び肺の免疫蛍光画像化を実施して、hPGRN発現を評価した。
【0198】
結果
実施例4で論述されるように、hPGRN導入遺伝子をコードするAAV9ベクターのITM投与は、視床、前頭皮質、頭頂/側頭皮質、後頭皮質、被殻、尾状核、海馬、及び左右の半球からの血清を含む、脳におけるhPGRNの強力な発現を媒介した。hPGRNタンパク質発現のレベルの評価において、(ウイルスDNAによって評価される)hPGRNの有意な発現は、肝臓(図21)、肺、及び脾臓を含む末梢組織において観察されなかった。
【0199】
特に、同様の結果がカニクイザルにおいて得られている(例えば、図22及び23を参照されたい)。
【0200】
まとめると、これらの結果は、このベクターのITM投与がhPGRNのCNS特異的発現を達成することを示す。
【0201】
実施例6.前頭側頭型認知症モデルにおけるリポフスチン症に対するコドン最適化されたヒトPGRNの有効性
目的
前頭側頭型認知症(FTD)は、大脳皮質の前頭葉及び側頭葉における進行性神経変性によって特徴付けられる臨床症候群である。GRN遺伝子における70個超の機能喪失変異がFTDにおいて特定されており、その大部分は、ハプロ不全及び血清PGRNレベルの低減をもたらす。
【0202】
この研究の目的は、早期疾患(例えば、FTD)のマウスモデルにおけるAAV9-SYN-PGRNの有効性を実証することであった。
【0203】
材料及び方法
前頭側頭型認知症マウスモデル
GRNの欠失についてのホモ接合マウス(例えば、GRN-/-マウス)を、FTDのモデルとして使用した。6~8週齢で、実施例1に記載のように、マウスにAAV9-SYN-PGRNを注入し、ウイルス発現のために12週を許容した。
【0204】
免疫蛍光
生検された脳組織を10%ホルマリンで一晩固定し、次いで、70%エタノールで保存した。組織をパラフィンに包埋し、5μmの切片に切断した。
【0205】
免疫蛍光分析のために、組織を透過化し、スライドを洗浄し、5%ウサギ血清で30分間ブロッキングした。切片を、それぞれ、抗hPGRN、抗Iba1、抗CD68、及び抗サブユニットCミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)の一次抗体とともに、室温で1時間インキュベーションした。スライドを二次抗体とともに30分間インキュベーションした。評価には、SCMAS免疫反応性の詳細な定量が含まれる。
【0206】
結果
結果として、反応性ミクログリア(例えば、CD68及びIBA1陽性、アメーバ型細胞)標識がhPGRNレベルと相関していることが観察された。図19は、リポフスチンのSCMAS標識が、低レベルのhPGRN発現の領域でさえも低減することを示す。この傾向は、AAV9-SYN-PGRNの全ての用量にわたって明らかであり、局所発現(例えば、視床におけるhPGRN陽性発現)と相関した。定量すると、低用量のAAV9-SYN-PGRNが、SCMAS免疫反応性によって検出される、リポフスチン症を有意に改善することが明らかとなった(図20)。まとめると、これらの結果は、コドン最適化されたhPGRNをコードする例示的なAAV2/9プラスミドの有効性がFTDのマウスモデルのPF皮質、海馬、及び視床におけるリポフスチン症を改善したことを実証している。
【0207】
実施例7.神経認知障害または神経筋障害の治療のためのコドン最適化されたGRN遺伝子の使用
PGRNをコードする遺伝子は、本明細書に記載の手順を使用して(例えば、上記の実施例1に記載されるように)コドン最適化され得る。例えば、最終的なコドン最適化されたGRN遺伝子は、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を示し得る。例えば、最終的なコドン最適化されたGRN遺伝子は、配列番号3の核酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示し得る。別の例では、最終的なコドン最適化された遺伝子は、配列番号3の核酸配列と同一である核酸配列を有し得る。
【0208】
遺伝子は、その後、AAV2/9ベクターなどのプラスミドに組み込まれ得、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性疾患)に罹患する患者に投与され得る。例えば、FTD、GRN遺伝子における変異に関連する障害、またはAD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害に罹患している患者は、ニューロンなどのヒト細胞における発現のための好適なプロモーターの制御下で、コドン最適化されたGRN遺伝子を含有するAAV2/9ベクターを投与され得る。例えば、ベクターの5’及び3’逆位末端反復の間にコドン最適化されたGRN遺伝子を組み込むAAV2/9ベクターなどのAAVベクターが生成され得、遺伝子は、シナプシン(Syn)プロモーターなどのニューロン特異的プロモーターの制御下に置かれ得る。AAVベクターは、対象にITM投与され得る。
【0209】
当業者は、様々な方法によって、コドン最適化されたGRN遺伝子の発現を監視し得る。例えば、当業者は、患者のニューロンにおけるコドン最適化された遺伝子の発現をモデル化するために、培養ニューロンをコドン最適化された遺伝子でトランスフェクションし得る。コードタンパク質の発現は、その後、例えば、qPCR、RNA-Seq、ELISA、または免疫ブロット手順などの本明細書に記載の発現アッセイを使用して監視され得る。遺伝子発現アッセイから得られるデータに基づいて、例えば、mRNA転写産物中のCpG含有量及びホモポリマー含有量を更に減少させるために、コドン最適化手順の更なる反復が実施され得る。インビトロで最適な発現パターンを有する候補遺伝子配列は、その後、好適なAAVベクターへの組み込み、及び神経認知障害もしくは神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、もしくは関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)の動物モデルなどの哺乳動物対象、またはヒト患者への投与のために調製され得る。
【0210】
実施例8.ヒトPGRNの視床内投与によるヒト患者における神経認知障害または神経筋障害の治療
本開示の組成物及び方法を使用して、神経認知障害または神経筋障害(例えば、FTD、AD、PD、レビー小体型認知症、関連する神経認知障害、ALS、または関連する運動ニューロン障害などの神経変性障害)を有する患者は、ヒトPGRNをコードする核酸配列を含むAAV(例えば、偽型AAV2/9)ベクターをITM投与(例えば、対流補助投与)され得る。ヒトPGRN配列は、コドン最適化され得、及び/またはSynプロモーター、例えば、配列番号6の核酸を有するAAVベクターに動作可能に連結され得る。AAVは、例えば、約1×10vg/半球~約9×1012vg/半球(例えば、5×10vg/半球~約5×1012vg/半球、1×1010vg/半球~約5×1012vg/半球、1×1011vg/半球~約5×1012vg/半球、1×1012vg/半球~約5×1012vg/半球、または1×1013vg/半球~約5×1012vg/半球)の量で投与され得る。例えば、AAVベクターは、約1×1010vg/半球、約5×1010vg/半球、または約1×1011vg/半球の量で患者に投与される。
【0211】
hPGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与すると、患者はPGRNレベルの変化を示す。例えば、患者は、hPGRNをコードする核酸配列を含むAAVベクターの患者への投与後、前頭皮質においてPGRN発現の回復を示す。例えば、患者は、約2ng/mg~約8ng/mg(例えば、3ng/mg~約7ng/mg、4ng/mg~約6ng/mg、または約5ng/mg)、またはそれを超える(例えば、約9ng/mg、約10ng/mg、約15ng/mg、約20ng/mg、約30ng/mg、約40ng/mg、約50ng/mg、約60ng/mg、約70ng/mg、約80ng/mg、約90ng/mg、または約100ng/mg)の前頭皮質におけるPGRN発現のレベルを示す。加えて、または代替的に、例えば、hPGRNをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターを患者に投与すると、患者は認知機能の改善を示す。
【0212】
他の実施形態
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が参照により本明細書に援用されることが具体的かつ個別に示される場合と同様に、参照により本明細書に援用される。
【0213】
特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明は、更なる変更が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従った本発明のあらゆる変形、使用、または適合を含むことが意図され、本発明が属する技術分野における既知のまたは慣習的な実施の範囲内であり、かつ本明細書に前述される本質的な特徴に適用され得る本発明からの逸脱を含み、特許請求の範囲の範囲に従うものであることが理解される。
【0214】
他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
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【配列表】
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【国際調査報告】