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特表2024-530057ネトリン-1検出、コンパニオン検査及び放射線に基づく療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ネトリン-1検出、コンパニオン検査及び放射線に基づく療法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/24 20060101AFI20240806BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240806BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240806BHJP
   C07K 1/107 20060101ALI20240806BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
C07K16/24
A61K39/395 L ZNA
A61K51/10 200
A61P35/00
A61K51/10 100
A61P43/00 125
A61K47/68
C07K1/107
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529865
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2022070944
(87)【国際公開番号】W WO2023006748
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21306040.3
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】513045574
【氏名又は名称】ネトリス ファーマ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】507241492
【氏名又は名称】アンスティトゥート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシャルシュ・メディカル・(インセルム)
(71)【出願人】
【識別番号】503161615
【氏名又は名称】ウニベルシテ クロード ベルナール リヨン 1
(71)【出願人】
【識別番号】504217063
【氏名又は名称】サントル レオン ベラール
(71)【出願人】
【識別番号】511171866
【氏名又は名称】オスピス シヴィル ドゥ リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・リショー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・ヴィッシュフーゼン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド・ヌヴ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・メーラン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド・サリュ
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・ジベール
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド・クリザ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC27
4C076DD21
4C076DD49
4C076DD60
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA12
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZC711
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA21
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085HH03
4C085KA04
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB07
4C085KB09
4C085KB10
4C085KB11
4C085KB12
4C085KB15
4C085KB18
4C085KB45
4C085KB50
4C085KB56
4C085LL18
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045EA51
4H045EA54
4H045FA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ネトリン-(1)は一部の腫瘍中で特異的に成体において発現されるが、ネトリン-(1)はがん細胞の細胞周辺の細胞マトリックス中により粘着性の様式で保持されるという知見に基づく。ネトリン-(1)は腫瘍形成中の非常に早期に発現されることもまた本明細書中に示される。このことは、ネトリン-(1)を、画像法及び/又は標的化療法に対する予期せぬ非常に特異的な標的にする。したがって、本発明は、抗ネトリン-1抗体、特にNP(137)、任意で放射性同位体と会合したキレート性部分を含む化合物、及び画像法、診断、特にコンパニオン診断、又は標的化療法のいずれかにおけるその使用に関する。コンパニオン検査であり得る新規診断検査、及びコンパニオン検査と組み合わせることができる新規がん療法もまた提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、及び
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分
を含む化合物であって、前記キレート性部分は、放射性同位体と任意で会合している、化合物。
【請求項2】
前記抗体が、
- 配列番号1に示される配列を有するH-CDR1;
- 配列番号2に示される配列を有するH-CDR2;
- 配列番号3に示される配列を有するH-CDR3
を含む可変ドメインVH;
- 配列番号4に示される配列を有するL-CDR1;
- 配列YASを有するL-CDR2;
- 配列番号5に示される配列を有するL-CDR3
を含む可変ドメインVL;
又は
- 配列番号22に示される配列を有するH-CDR1;
- 配列番号23に示される配列を有するH-CDR2;
- 配列番号24に示される配列を有するH-CDR3
を含む可変ドメインVH;
- 配列番号25に示される配列を有するL-CDR1;
- 配列番号26に示される配列を有するL-CDR2;
- 配列番号5に示される配列を有するL-CDR3
を含む可変ドメインVL
を含む、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片であり、前記抗体が、以下のペア:配列番号21及び13、配列番号14及び8、配列番号15及び9、配列番号16及び10、配列番号17及び11、配列番号18及び11、配列番号19及び10、配列番号20及び11、配列番号16及び11、配列番号19及び12、配列番号15及び10から選択されるVH及びVL配列のペアを含むモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記抗体が、ヒトIgG1定常重鎖(CH)及び/又はヒトIgG1定常軽鎖(CL)を更に含む、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
前記キレート性部分が、NODAGA、NODAGA-NHS、DOTA、DOTA-NHS、p-SCN-Bn-NOTA、p-SCN-Bn-PCTA、p-SCN-Bn-オキソ-DO3A、デスフェリオキサミン-p-SCN、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、又は1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記放射性同位体が、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、123I、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At、又は225Acである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
被験体におけるネトリン-1の存在又は局在をイメージングするための方法であって、
a)請求項1から6のいずれか一項に記載の、
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分、及び
・ 前記キレート性部分に会合した放射性同位体
を含む化合物を前記被験体に投与する工程、
b)4~172時間、好ましくは24~96時間待ち、腫瘍の細胞外マトリックス中に捕捉されたネトリン-1による前記化合物の結合を得る工程;
c)インビボイメージングにより前記結合した化合物を検出又は局在化する工程
を含む、方法。
【請求項8】
工程b)での局在化が、少なくとも1箇所の身体部分、例えば、器官又は組織中での前記化合物の存在又は蓄積を強調することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記放射性同位体が、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、及び123Iからなる群より選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
内部放射線療法によるネトリン-1発現性がんの治療における使用のための、
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分、及び
・ 前記キレート性部分に会合した放射性同位体
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記放射性同位体が、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At又は225Acである、請求項10に記載の使用のための化合物。
【請求項12】
ネトリン-1発現性がんを有する患者におけるネトリン-1発現性がんの内部放射線療法処置の方法であって、十分量の請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
前記化合物が、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At及び225Acからなる群より選択される放射性同位体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ネトリン-1発現性がんを有する患者を特定及び治療する方法であって、
a)前記被験体に請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程;
b)4~172時間、好ましくは24~96時間待ち、腫瘍の細胞外マトリックス中に捕捉されたネトリン-1による前記化合物の結合を得る工程;
c)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより前記化合物を検出する工程;
d)ネトリン-1の存在又は蓄積の局在を可視化する工程;
e)前記可視化されたがんに対して前記患者を治療する工程
を含む、方法。
【請求項15】
工程a)で投与される前記化合物が、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物であり、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、及び123Iからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程e)での前記患者を治療する工程が、請求項1から6のいずれか一項に記載の有効量の化合物を前記患者に投与することを含み、前記放射性同位体が、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At及び225Acからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
工程e)での前記患者を治療する工程が、請求項1から4のいずれか一項に記載される通りの有効量の抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片を前記患者に投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍においてネトリン-1を検出及び局在化又は可視化するための方法及び試薬、並びにネトリン-1の存在に基づいてがんを治療するための方法及び薬剤に関する。本発明は特に、コンパニオン検査であり得る新規診断検査、及びコンパニオン検査と組み合わせることができる新規がん療法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
外科手術、放射線療法、化学療法、標的化療法及び免疫療法をはじめとする、各種のがんを治療するために現在用いられる多数の方法がある。上首尾のがん療法は、臨床的に明らかであるか又は顕微鏡的であるかにかかわらず、原発腫瘍及び任意の転移を標的とする。
【0003】
がんの存在を可能な限り早期に特定し、且つ可能な場合にがんを局在化し、治療対象のがんのタイプを決定することは、患者にとって関心が持たれる。早期に診断されるがんは、成功裏に治療される可能性がより高い。がんが広がる場合、有効な治療はより困難になり、一般的に、生存の可能性ははるかに低い。したがって、高悪性度の(aggressive)がんの拡大を予防するために、大がかり且つ積極的な治療プロトコールをいつ直ちに用いるべきかを知ることは必須である。
【0004】
また、非常に上首尾である場合でさえ、治療プロトコールは、どこかに腫瘍細胞又は腫瘍幹細胞を残す可能性もある。これらの細胞を特定及び局在化することもまた重要である。
【0005】
抗がん標的化療法を提案できることもまた、患者にとっては関心が持たれる場合がある。しかしながら、標的化療法の場合、がんのインビボ検出及び局在化、並びにがんの一部の分子署名の決定を可能にし、それにより、適切な標的化療法を、考えられる最も早期に、又は当該治療に対して適格であるがんを有する患者のみでの補完的プロトコールとして提供することができるようにする試薬に対する深刻な必要性がある。
【0006】
ネトリン-1は、生物の発生において及び特に中枢神経系の確立において重要な役割を果たす。したがって、ネトリン-1は、交連ニューロンに対する誘引の役割を保持する。ネトリン-1は、拡散性グレードを有する分泌型分子として、神経発生において長年記載されてきた。シグナル伝達経路は、結腸直腸癌において欠失(DCC;Deleted in Colorectal Carcinoma)、非統合-5(UNC-5; uncoordinated-5)ファミリー及びネオジェニン(Neogenin)と称される受容体により伝達される。全てのその分子経路は、ネトリン-1が、多面的な多数の疾患又はシグナル伝達メカニズムにおいて作用すると記載されることを結論付ける。
【0007】
ネトリン-1はまた、多数のがんタイプ、例えば、乳、NSCLC、髄芽腫においてアップレギュレーションされることが示されてきた。腫瘍細胞によるこの過剰発現は、DCC及びUnc-5ファミリーの付属受容体活性により誘導される細胞死を遮る分子メカニズムとして作用することが提案されている。これらの受容体は、腫瘍抑制遺伝子として作用し、それらのリガンドの非存在下でアポトーシスを惹起する。この防御メカニズムに対抗するために、腫瘍細胞はネトリン-1発現を活性化し、それにより、このタンパク質の過剰発現をもたらし、例えば、化学療法後に細胞死を阻害する。したがって、この分子メカニズムを再活性化することは、腫瘍学における治療標的のようである。結果として、ネトリン-1を遮断し、且つより正確にはがん細胞の表面上でのネトリン-1とその受容体との間の相互作用を阻害するための治療戦略が開発されてきた。NP137(ヒト化モノクローナル抗体)と称され、且つUnc5-B/ネトリン-1相互作用を遮断することが可能なヒトIgG1を評価するための、第I~II相臨床試験が開始された。中間結果は、単剤としての臨床活性の有望な兆候を示す。したがって、ネトリン-1遮断は、患者のサブセットにおいて有効であるように見えるが、承認された簡潔なコンパニオン検査を用いる患者利益の予測は行われておらず、全ての生検に基づく検査は、侵襲性組織採取の誤差及び制限を受ける。
【0008】
J.Wischhusen等(Theranostics 2018;8(18):5126~5142頁)は、ネトリン-1が、ネトリン-1陽性乳房腫瘍において内皮CD31と共局在したことを開示する。ネトリン-1は、これらの腫瘍の血管内皮上に局在した。超音波分子イメージング(USMI)が、乳がんにおけるネトリン-1干渉療法に対する非侵襲的コンパニオン診断として提案された。内皮細胞の表面上で検出されるネトリン-1は、非常に短い時間(10分間程度)で画像化され、血管を構成する内皮細胞上に捕捉された(sequestered)ネトリン-1の可視化を可能にする。腫瘍取り込みに関する結果は非常に低く、図5Aにおける非常に低いバックグラウンド-取り込み比:32%対45%、すなわち、1.4×の実質増加を伴う。
【0009】
膜受容体又は表面分子を標的化するために、放射能画像法及び内部放射線療法が行われる。一般的にはより拡散性であるか又は拡散性が低いと考えられる分泌型因子又はリガンドは、これらの技術に対しては一般的に選択されない。
【0010】
J.Wischhusen等(上掲)は、がん細胞の細胞周辺で細胞マトリックス中に捕捉されるネトリン-1を開示せず、ネトリン-1が血管を構成する内皮細胞上に捕捉されるという単なる開示は、ネトリン-1検出を、ネトリン-1発現性腫瘍を検出及び局在化するための堅牢なツールとして適格にするものではない。
【0011】
分泌型タンパク質、又は血管内皮細胞の表面上に捕捉されたタンパク質として主に考えられるネトリン-1は、画像法及び/又は標的化療法に対する候補であるとは第1に考えられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第10,494,427号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0072800号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J.Wischhusen等、Theranostics 2018;8(18):5126~5142頁
【非特許文献2】M.Miederer等、Adv Drug Deliv Rev.2008;60(12):1371~1382頁
【非特許文献3】Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing社、1990年
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
ネトリン-1の腫瘍蓄積により明らかになる通り、ネトリン-1が、がん細胞の細胞周辺で細胞マトリックス中により粘着性の様式で保持されるという、予期せぬ大規模実証が本明細書中に提示される。興味深いことに、胎児期に発現されるタンパク質であるネトリン-1は、一部の腫瘍において特異的に成体で発現される。ネトリン-1が細胞外細胞マトリックス(ECM)中で腫瘍位置に保持されるという事実と併せて、このことは、ネトリン-1を画像法及び/又は標的化療法に対する予期せぬ非常に特異的な標的にする。腫瘍細胞の細胞マトリックス中のネトリン-1の捕捉は、腫瘍自体の細胞外マトリックス中に捕捉されたネトリン-1の可視化、及びしたがって、J.Wischhusen等に記載されるUSMIとは対照的に、腫瘍全体の正確且つ強力なイメージングを可能にする、長い取得時間、例えば、約24~約96時間を用いるイメージング法への道を開く。例えば、SPECT等の方法を用いるバックグラウンド-取り込み比は、4T1細胞に対して取得される通り、高く、例えば、5.8×程度であり得る。これもまた予期せぬことに、ネトリン-1は、腫瘍形成中に非常に早期に発現され、したがって、小型病変の出現前に、又は触診、例えば、乳房触診前に、非常に早くネトリン-1を発現する腫瘍細胞を検出、局在化及び/又は治療上で標的化することを可能にすることが、本明細書中に示される。
【0015】
したがって、本発明の態様は、画像法、診断、特にコンパニオン診断において、又は標的化療法において使用可能である、化合物自体に関する。抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、及び当該抗体又は断片に結合したキレート性部分を含む化合物に基づき、当該キレート性部分は、任意で放射性同位体と会合している。それに会合している同位体がまさに、画像法と標的化療法との間で、化合物の使用を方向付ける可能性がある。
【0016】
詳細な説明:
第1の態様では、本発明は、
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、及び
・ 当該抗体又は断片に結合したキレート性部分
を含む化合物であって、キレート性部分は、任意で、放射性同位体と会合している、
化合物に関する。
【0017】
典型的には、抗体又はその断片及びキレート性部分は、共有的に連結される。本実施形態に従えば、本発明の化合物はコンジュゲートである。実施形態では、キレート性部分は、抗体又はその断片のアミノ酸の側鎖、特に、リジンの側鎖残基に結合する。
【0018】
典型的には、放射性同位体は、共有結合によりキレート性部分に結合する。
【0019】
本発明の化合物は、インビボでネトリン-1に特異的に結合し、したがって、がん細胞の細胞周辺の細胞マトリックス中のネトリン-1に対する抗体の結合性により、当該がんのイメージング又はその標的化を可能にすることが可能であるので、特に有用である。このことは、がんの局在を特定し、且つ/又はがん生長若しくは退縮を追跡するために特に有利である。特に、放射性標識化合物は、様々な技術、例えば、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)及び陽電子放出断層撮影(PET)を通した流れの可視化のために用いられる。放射性標識化合物はまた、放射線療法、又は可視化及び療法の両方のためにも用いることができる。
【0020】
抗体
化合物は、好ましくはモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合性断片を含み、このとき、mAb又はその断片は、ネトリン-1に特異的に結合する。mAbは、ネズミ、キメラ型、ヒト化又は完全ヒトモノクローナル抗体であり得る。断片は、ネトリン-1に結合する全長抗体の能力を実質的に維持するmAb断片のうちのいずれかのタイプであり得、例えば、Fab又はF(ab')2であり得る。
【0021】
有用なネズミ、キメラ型及びヒト化モノクローナル抗体の例は、参照により本明細書中に組み入れられる米国特許第10,494,427号に開示される。この先行技術文献に開示され、本明細書中で用いることができる具体的実施形態は、Table 1(表1)に列挙される以下の抗体である。Table 1(表1)に列挙される最初のものはネズミ4C11 mAbに対応し、第2の列挙されるHUM00は、ヒトIgG1へのネズミ4C11 CDRの移植に対応する。10種類のmAb HUM01~HUM10は、ヒトIgGのFR領域中の特異的改変を有するHUM00から誘導されるヒト化mAbに対応する。HUM03はまた、NP137とも称される。ヒトIgG1 CHの配列は、Genbank AEL33691.1改変型R97Kに由来する。ヒトIgG1 CL(κ)の配列は、Genbank CAC20459.1に由来する。他のアロタイプを、同様に用いることができる。ネトリン-1に対する全てのこれらのmAb、Fab断片及びF(ab')2断片の特異的結合性は、米国特許出願公開第2018/0072800号において実証される。
【0022】
【表1】
【0023】
実施形態では、抗体は、
- 配列番号1に示される配列を有するH-CDR1;
- 配列番号2に示される配列を有するH-CDR2;
- 配列番号3に示される配列を有するH-CDR3
を含む可変ドメインVH;
- 配列番号4に示される配列を有するL-CDR1;
- 配列YASを有するL-CDR2;
- 配列番号5に示される配列を有するL-CDR3
を含む可変ドメインVL;
又は
- 配列番号22に示される配列を有するH-CDR1;
- 配列番号23に示される配列を有するH-CDR2;
- 配列番号24に示される配列を有するH-CDR3
を含む可変ドメインVH;
- 配列番号25に示される配列を有するL-CDR1;
- 配列番号26に示される配列を有するL-CDR2;
- 配列番号5に示される配列を有するL-CDR3
を含む可変ドメインVL
を含む、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である。
【0024】
好ましくは、抗体は、以下のペア:配列番号21及び13、配列番号14及び8、配列番号15及び9、配列番号16及び10、配列番号17及び11、配列番号18及び11、配列番号19及び10、配列番号20及び11、配列番号16及び11、配列番号19及び12、配列番号15及び10から選択されるVH及びVL配列のペアを含むモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である。より好ましくは、抗体は、VH及びVL配列のペア:配列番号16及び10を含むモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である。
【0025】
抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片は、ヒトIgG1定常重鎖(CH)及び/又はヒトIgG1定常軽鎖(CL)を更に含んでもよい。実施形態では、ヒトIgG1 CHの配列は、Genbank AEL33691.1改変型R97Kに由来する。ヒトIgG1 CL(κ)の配列は、Genbank CAC20459.1に由来する。実施形態では、mAbはNP137であり、VH、それぞれVL配列、並びに特異的IgG1 CH及びCLとして、配列番号16及び10を含む。
【0026】
【表2-1】
【0027】
【表2-2】
【0028】
【表2-3】
【0029】
用いることができる抗ネトリン-1抗体として、ヒトネトリン-1に対して、又は生物種間で非常に相同である動物ネトリン-1に対して開発された、他の抗体、特に、モノクローナル抗体、又はそれらの抗原結合性断片を引用することができる。Abcam社抗体ab126729、ab122903、ab201324、ab39370;AF1109、AF6419、AF128を引用することができる。
【0030】
キレート性部分:
「キレート性部分」又は「キレート剤」又は「キレーター」とは、本明細書中で用いる場合、放射性同位体のうちのいずれかをキレートすることが可能である化合物を意味する。キレート性部分は、一般的には水溶液から対応する遊離放射性同位体を捕捉し、したがって、当該同位体を具体的な生物学的応用へと適用することを可能にする。当該キレート性部分は、二官能性キレーターである。「二官能性キレーター」又は「二官能性キレート剤」とは、本明細書中で用いる場合、金属結合性部分官能基及び抗体への結合を可能にする化学的に反応性の官能基を保持する化合物を意味する。
【0031】
多数の二官能性キレーターが、当技術分野において公知である。これらのうちの多数は、実際には市販されており、且つPET造影剤として日常的に用いられてきた。二官能性キレート剤の例は:NODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1-グルタル酸-4,7-二酢酸)、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、p-SCN-Bn-NOTA、p-SCN-Bn-PCTA、p-SCN-Bn-オキソ-DO3A、デスフェリオキサミン-p-SCN、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)である。NOTA(4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸。
【0032】
二官能性キレーターは、好ましくは、これらのキレート剤のエステルである。好ましくは、キレーターは、NODAGA-NHS(NODAGA N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)又はDOTA-NHS(DOTA N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)である。
【0033】
放射性同位体:
「放射性同位体」は、本明細書中で用いる場合、不安定原子核を有し、且つより安定な又は安定な形態へのその放射性崩壊中に放射線を放出する化学元素の1つのバージョンである。本発明の化合物の放射性同位体は、画像法又は放射性核種療法において利用されるものであり得る。
【0034】
本発明において有用な放射性同位体は、特に、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、123I、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At、225Acを含む。
【0035】
画像法に関して、特に、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、123Iに言及することができる。
【0036】
療法に関して、放射性核種は、細胞傷害性の金属誘導剤である、内部放射線療法において用いられるものから特に選択することができる。β線放出放射性核種、例えば、ルテチウム-177(177Lu)、イットリウム-90(90Y)、及びヨウ素-131(131I)を用いることができる。α線放出放射性核種、例えば、ビスマス-213(213Bi)、ビスマス-212(212Bi)、アスタチン-211(211At)及びアクチニウム-225(225Ac)もまた用いることができる。
【0037】
これらの放射性同位体は、好ましくは、インビボ用途、例えば、PET/SPECTイメージング又は標的化放射線療法に関してそれらを特に好適にする、好ましくは長いそれらの半減期を考慮して選択される。
【0038】
化合物及び組成物:
1個又は数個、例えば、2~10個のキレーター又はキレート性部分が、1個の抗体に結合することができる。したがって、本発明の化合物は:
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、及び
・ 当該抗体又は断片に結合した1個又は数個、特に、2~10個のキレート性部分であって、任意で放射性同位体と会合している、当該キレート性部分
を含んでもよい。実施形態では、キレート性部分のうちの1つ又は複数が、放射性同位体に会合している。抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片は、上記のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のうちのいずれかであり得る。詳細な実施形態では、抗体は、NP137である。
【0039】
本発明の別の態様は、
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、及び
・ 当該抗体又は断片に結合した1個又は数個、特に、2~10個のキレート性部分であって、放射性同位体と会合している、当該キレート性部分
を含むそのような化合物、
及び薬学的に許容されるビヒクル
を含む組成物である。実施形態では、抗体に結合した1つ又は複数のキレート性部分は、放射性同位体に会合している。
【0040】
実施形態では、組成物は、それに対してキレート性部分が結合していない、抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片を含んでもよい。
【0041】
これらの化合物及び組成物は、周知の方法、例えば、本明細書中に開示されるものを用いて調製することができる。
【0042】
これらの組成物は、薬学的に許容される担体又はビヒクルを更に含んでもよい。
【0043】
化合物の調製:
別の態様では、本発明は、本発明の化合物を調製する方法を提供する。当該方法は:
・ a)キレート性部分を抗体又はその断片へとコンジュゲート化する工程;及び
・ b)抗体又はその断片とキレーターとのコンジュゲートを回収する工程
を含む。
【0044】
コンジュゲート化は、アミン反応性キレート性部分を抗体又はその断片と共にインキュベートすることにより得られる。インキュベーションは、キレート化を得るために十分な持続時間にわたって行われる。典型的には、持続時間は、約5分間~約2時間である。インキュベーションは、抗体又はその断片に対して変性的でない温度で行われる。温度は、典型的には約35~約42℃、好ましくは約37~約40℃に含まれ得る。
【0045】
本明細書中に記載される放射性同位体に関するアミン反応性キレート構造は、市販されており、例えば、DOTA-NHS及びNODAGA-NHSエステル等である。ペプチドを用いて起こる場合、NHSエステル(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)は、抗体のN末端又はリジン(Lys、K)アミノ酸残基の側鎖中の第1級アミンと反応すると考えられる。したがって、結合性は、本明細書中で詳述する必要はない。
【0046】
1個又は数個、例えば、2~10個のキレーター部分が、多数のリジンアミノ酸を含む1個の抗体に結合することができる。
【0047】
好ましくは、本発明の化合物を調製する方法は:
・ c)抗体又はその断片とキレーターとのコンジュゲートを補完的放射性同位体と共にインキュベートし;
したがって、本発明の化合物を生成する工程
を更に含む。その後、化合物を回収し、且つ医薬担体又はビヒクル中に製剤化することができる。
【0048】
インキュベーションc)は、放射性同位体結合を確実にするために十分な持続時間にわたって行われる。典型的には、持続時間は、約5分間~約2時間である。インキュベーションは、抗体又はその断片に対して変性的でない温度で行われる。温度は、典型的には約35~約42℃、好ましくは約37~約40℃に含まれ得る。
【0049】
イメージング
別の態様では、本発明は、有効量の化合物を生物(動物、特に哺乳動物、特にヒト)に投与する工程であって、化合物はイメージングに対して好適な金属同位体を含む工程により、被験体におけるネトリン-1の存在若しくは局在をイメージングするか、又は器官若しくは組織中でのネトリン-1の存在若しくは蓄積をイメージングするか、又はネトリン-1発現性がんをイメージングする方法を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、がんのインビボイメージングにおける使用のための、抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、当該抗体又は断片に結合したキレート性部分、及びキレート性部分に会合した放射性同位体を含む化合物に関する。有利には、ネトリン-1は、ネトリン-1が蓄積しているがん細胞の周辺の細胞マトリックス中で検出される。
【0051】
実施形態では、イメージングは、本発明の化合物のおかげで、検出領域(例えば、器官又は組織)中でのネトリン-1の存在又は発現の相対的レベルに関する情報を与える。
【0052】
「ネトリン-1の蓄積」とは、特に、がん性細胞周辺の細胞マトリックス中でのネトリン-1の蓄積を意味する。したがって、ネトリン-1は、がん細胞又は腫瘍の近傍又は周囲環境中の組織又は器官において存在及び蓄積する場合がある。
【0053】
イメージングは、検出及び/又は可視化、とりわけ、特にCTスキャナー(コンピュータ断層撮影)に連結されたPET又はSPECTを可能にする、当業者に公知のいずれかの好適な技術により行うことができる。放射性核種、例えば、サイクロトロン又は発生器のいずれかから生成されるものが、放射性トレーサー、例えばSPECT又はPET放射性トレーサーを形成する生物学的に活性な分子に連結される。この場合、分子は、抗体又はその断片及びキレーターからつくられる化合物であり、且つ放射性核種のそれに対する結合性が放射性トレーサーを構成する。放射性トレーサーは、続いて、好ましくは、注入、例えば、静脈内(IV)注入により、患者へと導入される。
【0054】
本発明の態様に従えば、被験体におけるネトリン-1の存在又は局在のイメージング(例えば、可視化)のための方法であって、
・ a)当該被験体に、本明細書中に記載される化合物を投与、好ましくは注入する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより、当該化合物を検出又は局在化する工程
を含む、方法が提供される。
【0055】
本発明の態様に従えば、被験体におけるがん検出及び局在化のための方法であって、
a)
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、
・ 当該抗体又は断片に結合したキレート性部分、及び
・ キレート性部分に会合した放射性同位体
を含む化合物を当該被験体に投与する工程、
b)がん細胞の周辺の細胞マトリックスにおいて、インビボイメージングにより当該がんを検出及び局在化する工程
を含む、方法が提供される。
【0056】
態様では、検出又は局在化工程の前に、工程a)とb)との間の時間差が考慮され、これは、細胞外マトリックス中に捕捉されたネトリン-1による当該化合物の結合を可能にする、時間又は取得時間、例えば、約4~約172時間、特に約12~約172時間、好ましくは約24~約96時間、又は約24~約48時間である。より正確には、これは、投与された化合物が、血液循環を離れ、1つ又は複数の腫瘍に浸透し、且つ腫瘍細胞マトリックス中に捕捉されたネトリン-1に到達することを可能にするために十分な時間である。このことは、インビボイメージングにより当該結合した化合物を検出又は局在化する後続の工程を可能にする。
【0057】
工程b)又は「のための使用」において、インビボイメージングは、少なくとも1箇所の身体部分、例えば、器官又は組織中での化合物の存在又は蓄積を検出又は強調する。この存在又は蓄積は、化合物が当該身体部分へと蓄積したネトリン-1に結合するという意味において特異的である。化合物投与とイメージングとの間に時間差がある場合、これは特異的である。
【0058】
投与と検出との間の潜時又は時間差は、検出又はイメージングが、抗体又はその断片がネトリン-1に特異的に結合する時点で行われるように選択される。実際には、投与後に、身体及びその器官中での化合物の拡散の段階があり、幾分かの時間の後にのみ、器官又は身体の一部分中での化合物の存在が、ネトリン-1の存在及びそれに対する化合物の結合性に特異的である。時間差は、約4時間~約168時間;典型的には、約4時間~約96時間程度であり得る。実務上、保持される時間差は、放射性同位体の半減期に適合し、その逆も同じである。
【0059】
したがって、本発明の別の態様に従えば、イメージング放射性同位体化合物としての使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物が提供される。この使用は、上記で説明される通り、被験体におけるネトリン-1の存在又は局在をイメージングすることに対して特に意図される。化合物は、特に、インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにおける使用のためのものである。
【0060】
実施形態では、方法又は使用は、身体の一部分の画像、特に、器官若しくは組織又はその下位部分(例えば、肺、膵臓、膀胱、脾臓、腎臓、胃、結腸、小腸、腸、食道、筋肉、皮膚、脳)及び任意で周囲組織又は器官の画像を提供する。
【0061】
実施形態では、方法又は使用は、身体の解剖学的な一部分の画像、特に、脚、腕、胸部、腹部、頭部、及びそれらの下位部分の画像を提供する。
【0062】
実施形態では、方法又は使用は、全身の画像を提供する。
【0063】
PETにおいては、システムは、放射性トレーサー上の、身体へと導入されている放射性核種(トレーサー)により間接的に放出されるγ線のペアを検出する。続いて、身体内でのトレーサー濃縮の三次元画像が、コンピュータ解析により構築される。現代のPET-CTスキャナーにおいては、三次元イメージングは、しばしば、同じ機器において、同じセッション中に患者に対して行われるCT X線スキャンを活用して遂行される。
【0064】
PETにおいては、観察領域(例えば、組織又は器官)中でのトレーサーの定量化を得ることを可能にする、標準的取り込み値を算出することができる。このことは、観察領域中でのネトリン-1の存在又は発現の確実な定量化をもたらすことができる場合がある。代案として、放射線科医は、単純な観察により領域中でのトレーサーの蓄積に気付く技能を有し、この蓄積は、バックグラウンドノイズとは区別可能である。これは、本明細書中で「陽性蓄積検出」と称される。
【0065】
単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)は、PETに類似する核医学イメージング技術である。この技術はまた、放射性標識トレーサーも用い、且つγ線の検出に基づく。PETとは対照的に、SPECTにおいて用いられる放射性標識は、直接的に測定されるγ線を放出する。CTスキャナーと組み合わせて、SPECT-CTは、三次元イメージングを同様に提供する。
【0066】
SPECTイメージングは、観察領域(例えば、組織又は器官)と肝臓との間での比較を用いて活用することができる。これは、肝臓レベルよりも高いか、等しいか又はより低いと規定される結果を生じることを可能にし得る。放射線科医は、単純な観察により領域中でのトレーサーの蓄積に気付く技能を有し、この蓄積は、バックグラウンドノイズとは区別可能である。これは、本明細書中で「陽性蓄積検出」と称される。
【0067】
大多数の陽電子放出放射性同位体の短い半減期に起因して、放射性トレーサーは、PET又はSPECTイメージング施設にごく近接したサイクロトロンを用いて従来から生成されてきた。フッ素-18の半減期は、フッ素-18を用いて標識された放射性トレーサーを、現場から離れた場所で商業的に製造し、且つイメージング施設へと輸送することができるために十分に長い。他方では、68Gaは、発生器において生成可能であり、したがって、サイクロトロンの必要性を除外する。加えて、ガリウム-68の半減期は、18Fのものと近く、このことは、この放射性核種を、PETイメージングに対して特に有用にする。
【0068】
実施形態では、111Inが放射性核種として用いられる。その放射性崩壊の間に、111Inは、低エネルギーガンマ(γ)光子を放出し、その半減期は2.8日間である。111Inは、一般的に、サイクロトロンにおいて生成される。その半減期は、それを用いて標識された放射性トレーサーを、現場から離れた場所で商業的に製造し、且つイメージング施設へと輸送することができるために十分に長い。
【0069】
イメージング法は、がん性組織、がん性器官又はがんの被験体の身体においてネトリン-1を検出及び局在化するために好適である。本明細書中で用いる場合、用語「がん」とは、制御されない細胞増殖により典型的に特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を意味するか又は記載する。用語「がん」及び「がん性」は、本明細書中で用いる場合、疾患の全てのステージを包含することが意図される。「がん」は、本明細書中で用いる場合、生物中での正常に機能しない細胞の望ましくない生育、浸潤、及び特定の条件下での転移から生じるいずれかの悪性新生物である。がんを生じさせる細胞は、遺伝学的に障害されており、且つ通常は、細胞分裂、細胞移動挙動、分化状態及び/又は細胞死機構を制御するその能力を失っている。がんは、一般的に、原発部位で形成され、原発がんを生じる。局所的に、又は身体の離れた部分へと広がるがんは、転移と称される。本明細書中のイメージング法は、ネトリン-1を発現する、いずれかのステージでのそれらの固形がんを検出及び局在化するであろう。
【0070】
本発明の化合物はまた、患者においてがんを診断するためにも有用である。本態様に従えば、本発明は、
・ a)当該被験体に本明細書中に記載される通りの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより、当該化合物を検出又は局在化する工程;及び
・ c)工程b)に基づいて、がんを診断する工程
を含む、患者におけるがんの診断の方法を提供する。
【0071】
工程b)では、インビボイメージングは、少なくとも1箇所の身体部分、例えば、器官又は組織中での化合物の存在又は蓄積を検出又は強調する。この存在又は蓄積は、化合物が当該身体部分へと蓄積したネトリン-1に結合するという意味において特異的である。上記で開示される通り、化合物投与とイメージングとの間に時間差がある場合、これは特異的である。
【0072】
したがって、本発明の別の態様に従えば、イメージング診断用放射性同位体化合物としての使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物が提供される。この使用は、上記で説明される通り、被験体におけるネトリン-1の存在又は局在をインビボイメージングすることに対して意図される場合がある。これは、がんの診断を行うことを助けることができる。化合物は、特に、インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにおける使用のためのものである。
【0073】
本発明の抗体又はその断片は、ネトリン-1にのみ結合する。したがって、PET又はSPECTイメージングにおいて検出されるいずれかのシグナルは、ネトリン-1が存在することを示す。がん性細胞周辺の細胞マトリックス中でのネトリン-1の蓄積及び本発明の放射性標識化合物の感度によって、患者の身体内でがん性細胞を特定し、したがって、がんを診断し、がんを確認し、がんを局在化し、且つ/又はがんのタイプを特定することが可能である。がんのタイプは、がん性である器官又は組織の名称を含む。
【0074】
別の態様では、本発明は、患者におけるがんの予後診断の方法であって、
・ a)当該被験体に本明細書中に記載される通りの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより、当該化合物を検出する工程;及び
・ c)工程c)の検出に基づいて、がんを予後診断する工程
を含む、方法に関する。
【0075】
工程b)では、インビボイメージングは、少なくとも1箇所の身体部分、例えば、器官又は組織中での化合物の存在又は蓄積を検出又は強調する。この存在又は蓄積は、化合物が当該身体部分へと蓄積したネトリン-1に結合するという意味において特異的である。上記で開示される通り、化合物投与とイメージングとの間に時間差がある場合、これは特異的である。
【0076】
この方法は、例えば、抗がん療法に従って治療されているか又は治療されたことがある患者において、医学的予後診断を行う更なる工程を含む。
【0077】
したがって、本発明の別の態様に従えば、イメージング予後診断用放射性同位体化合物としての使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物が提供される。この使用は、上記で説明される通り、被験体におけるネトリン-1の存在又は局在をインビボイメージングし、且つがんを予後診断することに対して特に意図される。化合物は、特に、インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにおける使用のためのものである。
【0078】
「予後診断」とは、本明細書中で用いる場合、疾患からの回復の尤度又は疾患の考えられる進行若しくは転帰の予測を意味する。例えば、工程b)において検出されるシングル(single)が大きい程、患者身体中のがん性腫瘤が大きく、予後が悪い。
【0079】
また別の態様では、本発明は、それを必要とする被験体におけるがんの局在を決定する方法であって、
・ a)当該被験体に本明細書中に記載される通りの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより、当該化合物を検出する工程;及び
・ c)ネトリン-1の存在又は蓄積の局在を可視化する工程
を含む、方法を提供する。
【0080】
工程b)では、インビボイメージングは、工程c)で可視化される少なくとも1箇所の身体部分、例えば、器官又は組織中での化合物の存在又は蓄積を強調する。工程c)では、身体部分、例えば、器官又は組織が可視化され、ネトリン-1の存在又は蓄積を含むと決定される。この身体部分におけるネトリン-1の可視化された存在又は蓄積がある場合、その中でのがんが強く推測される。これは、当該患者におけるがんの発見、若しくは身体のがん性部分の特定、又は同時にその両方であり得る。この存在又は蓄積は、化合物が当該身体部分へと蓄積したネトリン-1に結合するという意味において特異的である。上記で開示される通り、化合物投与とイメージングとの間に時間差がある場合、これは特異的である。
【0081】
したがって、本発明の別の態様に従えば、イメージング放射性同位体化合物としての使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物が提供される。この使用は、上記で説明される通り、被験体におけるネトリン-1の存在又は局在をインビボイメージングすることに対して特に意図される。化合物は、特に、インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにおける使用のためのものである。がん細胞の細胞周辺の細胞マトリックス中でネトリン-1を検出することが意図される。
【0082】
この方法又は使用は、所与の組織若しくは器官中、又は数種類の組織及び/若しくは器官中でのがんの存在を評価する工程を更に含むことができ、存在は、ネトリン-1の存在又は蓄積から明らかである。
【0083】
本発明はまた、最も早期にがんの局在を特定することも可能にすることが、当業者には即座に明らかであろう。とりわけ、本発明は、それ以外の方法で検出されるには小さ過ぎるがんの部位を特定するために特に有用である。
【0084】
イメージングのための医薬組成物又はその単位剤型は、有効量の上記の化合物を含む。本発明の組成物又は単位剤型は、薬学的に許容される担体と組み合わせた、約5~約3GBq、特に10~500MBqの上記の放射性核種標識イメージング化合物を含有することができる。上記で言及される使用の方法は、約0.1mCi~約100mCiの上記の放射性核種標識イメージング化合物を含む組成物又は単位剤型の、患者、特にヒト患者への投与を含んでもよい。
【0085】
治療
別の態様に従えば、それを必要とする被験体におけるネトリン-1発現性がんを治療するための方法であって、当該被験体に治療有効量の本明細書中に記載される通りの化合物を投与する工程を含む、方法が提供される。この方法は、内部放射線療法に適格であり得る。
【0086】
別の態様に従えば、被験体でのネトリン-1発現性がんの治療における使用のための、本明細書中に記載される通りのそのような化合物が提供される。
【0087】
化合物は、それに対して放射性核種が会合されているキレーター部分にコンジュゲート化された、ネトリン-1に特異的に結合する抗体又はその断片を含む。放射性核種は、細胞傷害性の金属誘導剤である、内部放射線療法において常用されるものから選択することができる。常用されるβ線放出放射性核種、例えば、ルテチウム-177(177Lu)、イットリウム-90(90Y)、及びヨウ素-131(131I)を用いることができる。α線放出放射性核種、例えば、ビスマス-213(213Bi)、ビスマス-212(212Bi)、アスタチン-211(211At)及びアクチニウム-225(225Ac)もまた用いることができる。
【0088】
別の態様に従えば、被験体におけるネトリン-1発現性がんを治療するための、本明細書中に記載される通りのそのような化合物が提供される。
【0089】
実施形態では、177Luが放射性核種として用いられる。177Luはγ線及びβ線放射体であり、その半減期は6.7日間である。177Luは、一般的に、サイクロトロンにおいて生成される。その半減期は、それを用いて標識された放射線療法剤を、現場から離れた場所で商業的に製造し、且つ治療施設へと輸送することができるために十分に長い。
【0090】
実施形態では、225Acが放射性核種として用いられる。225Acは、α粒子放出放射性核種であり、安定な209Biへの短い崩壊系列において、4個の正味α粒子同位体を生成し、それにより、α粒子ナノ生成体として記載することができる。225Acは、10日間の半減期を有する。より多くの情報に関して、当業者は、M.Miederer等、Adv Drug Deliv Rev.2008;60(12):1371~1382頁を参照することができる。
【0091】
化合物は、慣用の経路により、好ましくは非経口経路により、例えば注入により、患者に送達される。
【0092】
実施形態では、方法又は使用は、ネトリン-1を発現するがんに関して陽性であると特定された患者を治療するために用いられる。特に、患者は、本明細書中に開示されるイメージング法を用いて特定された。
【0093】
療法のための医薬組成物又はその単位剤型は、有効量の本明細書中に記載される化合物を含む。本発明の組成物又は単位剤型は、薬学的に許容される担体と組み合わせた、約5~約1000MBq、特に10~500MBqの上記の放射性核種標識イメージング化合物を含有することができる。
【0094】
イメージング(診断)及び治療:
適切な場合、「イメージング」及び「治療」に関して既に提示された特徴は、「イメージング及び治療」に当てはまる。
【0095】
別の態様に従えば、ネトリン-1とがん細胞の表面上のその受容体との相互作用を阻害することができるモノクローナル抗体又はその断片を用いる治療に対して適格であるがんを有する患者を特定する方法であって、
・ a)当該被験体に本明細書中に記載される通りの化合物を投与する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより当該化合物を検出する工程;
・ c)ネトリン-1の存在又は蓄積の局在を可視化する工程;
・ d)可視化されたがんに対して当該患者を治療する工程
を含む、方法が提供される。
【0096】
別の態様に従えば、標的化放射線療法を用いる治療に対して適格であるがんを有する患者を特定する方法であって、好ましくは:
・ a)当該被験体に本明細書中に記載される通りの化合物を投与する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより当該化合物を検出する工程;
・ c)ネトリン-1の存在又は蓄積の局在を可視化する工程;
・ d)可視化されたがんに対して当該患者を治療する工程
を含む、方法が提供される。
【0097】
別の態様に従えば、ネトリン-1を発現するがんを治療する方法であって、
・ a)当該被験体に本明細書中に記載される通りの画像法のための化合物を投与する工程;
・ b)インビボイメージング、好ましくはPET又はSPECTイメージングにより当該化合物を検出する工程;
・ c)ネトリン-1の存在又は蓄積の局在を可視化する工程;
・ d)可視化されたがんに対して当該患者を治療する工程
を含む、方法が提供される。
【0098】
これらの方法において、上記で言及された取得時間、特に4~172時間、好ましくは24~96時間を待つ工程、腫瘍の細胞外マトリックス中に捕捉されたネトリン-1による当該化合物の結合を得る工程を含む、工程a)とb)との間の更なる工程がある。
【0099】
これらの異なる態様では、工程a)で投与される化合物は、インビボイメージングのための本明細書中に記載される通りの化合物のうちの1つである。
【0100】
これらの異なる態様では、工程d)での治療は、既存の抗がん治療を用いて行うことができる。しかしながら、好ましい実施形態では、治療は、ネトリン-1発現性がんを特異的に標的化するであろう治療を用いて行われる。したがって、この治療は、米国特許第10,494,427号に開示される通りの有効量の抗ネトリン-1抗体を投与することにより行うことができる。抗体は、table 1(表1)中で本明細書中に開示されるモノクローナル抗体のうちの1つ、特に、いわゆるNP137であり得る。方法は、治療有効量の当該mAb又はその断片を投与する工程を含む。それらの抗体の投与に関して、当業者は、言及された米国特許を参照することができる。
【0101】
実施形態では、療法は、上記に開示される通りの内部放射線療法である。したがって、療法は、当該被験体に治療有効量の本明細書中に記載される通りの化合物を投与する工程を含む。化合物は、それに対して放射性核種が会合されているキレーター部分にコンジュゲート化された、ネトリン-1に特異的に結合する抗体又はその断片を含む。当該抗体は、table 1(表1)中で本明細書中に開示されるモノクローナル抗体のうちの1つ、特に、いわゆるNP137であり得る。抗体又は断片は、本明細書中で説明及び詳述される通り、それ自体が放射性核種に結合しているキレート性部分にコンジュゲート化されている。化合物は、細胞マトリックス中に捕捉されたネトリン-1をはじめとする、腫瘍中のネトリン-1に結合することが意図され、放射線療法は、周囲の腫瘍細胞又は腫瘍全体に対してその作用を発揮し得る。
【0102】
実施形態では、イメージングのための化合物と会合した放射性核種として、111Inが用いられる。
【0103】
実施形態では、内部放射線療法のための化合物と会合した放射性核種として、177Lu又は225Acが用いられる。
【0104】
イメージング化合物及び療法化合物の放射線量は、上記に開示される通りである。
【0105】
製剤化
本発明の組成物は、本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物として製剤化することができる。「薬学的に許容される担体」とは、生物学的に又はそれ以外に望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、材料は、いかなる望ましくない生物学的作用も引き起こさずに、又はそれが含有される医薬組成物の他の成分のうちのいずれとも有害な様式で相互作用せずに、被験体に投与することができる。担体は、当業者には周知であろう通り、有効成分のいかなる分解も最小化し、且つ被験体におけるいかなる有害副作用も最小化するために、必然的に選択されるであろう。薬学的に許容される担体及び医薬組成物の他の成分の考察に関して、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing社、1990年を参照されたい。一部の好適な医薬担体は、当業者には明らかであり、且つ、例えば、水(無菌及び/又は脱イオン水を含む)、好適なバッファー(PBS等)、生理食塩液、細胞培養培地(DMEM等)、人工脳脊髄液等が挙げられる。
【0106】
本開示の組成物に関する投与量は、単位剤型であり得る。用語「単位剤型」とは、本明細書中で用いる場合、動物(例えば、ヒト)被験体に対して単位投与量として好適な物理的に分離した単位を意味し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、又はビヒクルと協働して所望の作用を生じるために十分な量で算出された、既定量の本発明の化合物を含有する。当業者は、個別の患者において所望の有効量又は薬剤の有効濃度を達成するために、用いられる組成物の実際の製剤に関する適切な用量、スケジュール、及び投与方法を容易に決定することができる。
【0107】
画像法に関して、動物、特にヒトに投与される本明細書中に記載される組成物の用量は、合理的な時間枠にわたって、個体における少なくとも検出可能な量の診断的応答を生じるために十分であるべきである。用量の大きさは、利用される特定の薬剤、又はその組成物に付随し得るいずれかの有害副作用の存在により決定されるであろう。可能な場合はいつでも、有害副作用を最小限に維持することが一般的に望ましい。
【0108】
療法に関して、動物、特にヒトに投与される本明細書中に記載される組成物の用量は、合理的な時間枠にわたって、個体における少なくとも検出可能な量のがん細胞の細胞傷害性、がん細胞死、がん生長低減又は退縮を生じるために十分であるべきである。用量の大きさは、利用される特定の薬剤、又はその組成物に付随し得るいずれかの有害副作用の存在により決定されるであろう。可能な場合はいつでも、有害副作用を最小限に維持することが一般的に望ましい。
【0109】
医薬組成物又は放射線医薬組成物は、非経口的に、すなわち、注入により投与することができ、最も好ましくは水溶液である。「薬学的に許容される担体」とは、無菌性、pH、等張性、安定性等に関して正当に配慮されている生体適合性溶液を意味し、いずれか及び全ての溶媒、希釈剤(無菌生理食塩液、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸リンゲル液及び他の水性緩衝溶液を含む)、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張化剤等が挙げられる。薬学的に許容される担体はまた、当業者に周知である安定化剤、保存料、抗酸化剤、若しくは他の添加剤、又は当技術分野で公知の通りの他のビヒクルを含有することもできる。
【0110】
ここで、本発明は、図面を参照して、非限定的な例を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1】ネトリン-1が、細胞外マトリックスに結合し、且つ細胞外マトリックス内に留まることを示す図である。バイオレイヤー干渉法アッセイによる、細胞外マトリックス成分:組み換えマウスラミニン(m-ラミニン)、組み換えヒトフィブロネクチン(h-フィブロネクチン)及び組み換えヒトビトロネクチン(h-ビトロネクチン)に対するh-ネトリン-1(ヒト組み換えネトリン-1)の結合性の分析。
図2】断片コンジュゲートの特性決定を示す図である。a.金属のキレート化のために用いられるDOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)-HSエステル及びNODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン,1-グルタル酸-5,7酢酸)-HSエステル分子の化学的表示。b.NODAGA又はDOTAキレートにコンジュゲート化された全長抗ネトリン-1(NP137)、F(ab)'2及びFabの表示。c.NP137)、F(ab)'2及びFabコンジュゲートは、合成及び酵素的切断により生成され、変性又は非変性条件での電気泳動に供されている。d.NODAGAを用いるキレート化後のNP137)、F(ab)'2及びFabのバイオレイヤー干渉法分析。数字は、NP137-NODAGA、F(ab)'2-NODAGA及びFab-NODAGAの濃度を示す。
図3】腫瘍中のSPECT/Ct分析及びネトリン-1検出を示す図である。a.4T1及び67NR細胞株上でのQ-RT-PCRによるネトリン-1発現の定量化。b.NP137-NODAGA-111InのIV注入の4時間後、24時間後;48時間後及び72時間後での、左から右へと取得された、4T1腫瘍(ネトリン-1に関して陽性)を保有するBalb/cマウスの全身の断層撮影シンチグラフィー及びX線CTの最大値投影。c.NP137-NODAGA-111InのIV注入の24時間後;48時間後及び72時間後での、左から右へと取得された、67NR(ネトリン-1に関して陰性)腫瘍を保有するBalb/cマウスの全身の断層撮影シンチグラフィー及びX線CTの最大値投影。
図4】放射能蓄積の測定を示す図である。24時間、48時間、72時間及び96時間での4T1異種移植片(ネトリン-1に関して陽性)及び67NR異種移植片(ネトリン-1に関して陰性)を保有するBalb/cJマウスでのa.111In-NODAGA-NP137-Fab、b.111In-NODAGANP137-F(ab)'2及びc.-111In-NODAGA-NP137の腫瘍生体内分布比。放射能取り込みは、腫瘍のグラム当たりの注入線量のパーセンテージにより定量化される。d.48時間、72時間及び96時間での、全ての器官に関して測定された、4T1異種移植片を保有するBalb/cJマウスにおける111In-NODAGA-NP137の生体内分布特性。放射能取り込みは、器官のグラム当たりの注入線量のパーセンテージにより定量化される。
図5】放射能蓄積の測定を示す図である。a.NP137-NODAGA-111Inの注入の24時間後;48時間後及び72時間後での、左から右へと取得された、乳房腫瘍を発達させるように遺伝子改変されたMMTV/neuTマウス腫瘍の全身の断層撮影シンチグラフィー及びX線CTの最大値投影。b.マウスにおける10箇所の乳腺の模式的表示及び局在。c.72時間での腫瘍及び全てのマウス器官に関して測定された、MMTV/NeuTマウスにおける111In-NODAGA-NP137の生体内分布特性。放射能取り込みは、器官のグラム当たりの注入線量のパーセンテージにより定量化される。
図6】新規抗がん療法を示す図である。a.100万個の細胞の皮下注入により、Balb/cJマウスにEMT6細胞を移植した。5日間後、動物を、PBS;DOTA-NP137(抗ネトリン1);DOTA-NP137-177LuのIV注入により処置した。PBS及びDOTA-NP137に関してn=9動物/群;DOTA-NP137-177Luに関してn=12動物/群;PBSとDOTA-NP137-177Luとの間及びDOTA-NP137とDOTA-NP137-177Luとの間でp<0.0001。b.DOTA-NP137-177Luは、EMT6細胞株を移植されたマウス(Aを参照されたい)の生存率を増強する。NP137を用いて処置されたか又はされていないマウス生存率のカプラン-マイヤー生存曲線解析。マンテル-コックス検定;PBS及びDOTA-NP137に関してn=9動物/群;DOTA-NP137-177Luに関してn=12動物/群;PBSとDOTA-NP137-177Luとの間及びDOTA-NP137とDOTA-NP137-177Luとの間でp<0.0001。c.100万個の細胞の皮下注入により、Balb/cマウスに4T1細胞を移植した。8日間後、動物を、PBS;DOTA-NP137(抗ネトリン-1);DOTA-NP137-177LuのIV注入により処置した。PBS及びDOTA-NP137に関してn=5動物/群;DOTA-NP137-177Luに関してn=6動物/群。d.DOTA-NP137-177Luは、4T1細胞株を移植されたマウス(cを参照されたい)の生存率を増強する。NP137を用いて処置されたか又はされていないマウス生存率のカプラン-マイヤー生存曲線解析。マンテル-コックス検定;PBS及びDOTA-NP137に関してn=5動物/群;DOTA-NP137-177Luに関してn=6動物/群;PBSとDOTA-NP137-177Luとの間及びDOTA-NP137とDOTA-NP137-177Luとの間でp<0.0001。e.500万個の細胞の皮下注入により、NMRIヌードマウスにSY01細胞を移植した。8日間後、動物を、PBS;DOTA-NP137(抗ネトリン-1);DOTA-NP137-177LuのIV注入により処置した。PBS及びDOTA-NP137に関してn=9動物/群;DOTA-NP137-177Luに関してn=12動物/群;PBSとDOTA-NP137-177Luとの間及びDOTA-NP137とDOTA-NP137-177Luとの間でp<0.0001。f.H358細胞を移植されたマウスのNP137-177Lu生存率。DOTA-NP137を用いて処置されたか又はされていないマウスのカプラン-マイヤー生存曲線。マンテル-コックス検定;PBS及びDOTA-NP137に関してn=8動物/群;NP137-177Luに関してn=9動物/群;PBSとNP137-177Luとの間及びDOTA-NP137とNP137-177Luとの間でp=0.025。
図7】ヘパリンを用いて処理されたか又はされていない細胞由来の濃縮上清中のネトリン-1の定量化を示す図である。
図8】NP137-NODAGA-111InのIV注入の24時間後;48時間後、72時間後及び96時間後に取得された、H358(ネトリン-1陽性)腫瘍を保有するNMRIヌードマウスの全身の断層撮影シンチグラフィー及びX線CTの最大値投影。
【発明を実施するための形態】
【0112】
材料及び方法
腫瘍細胞株
4T1及び67NRネズミ乳癌細胞は、ATCCから取得し、10%胎児ウシ血清(FBS、Gibco社)及び抗生物質(ストレプトマイシン及びペニシリン)を添加したRPMI-1640(ATCC)培地中で培養した。EMT-6ネズミ乳癌細胞は、ATCCから取得し、10%胎児ウシ血清(FBS、Gibco社)及び抗生物質(ストレプトマイシン及びペニシリン)を添加したイーグル最小必須培地(EMEM、ATCC)中で培養した。H358ヒト肺腺癌H358細胞は、ATCCから取得し、10%BBS(Gibco社)及び抗生物質を添加したRPMI-1640培地(ATCC)中で培養した。細胞を、20%O2及び5%CO2から構成される加湿雰囲気下、37℃で培養中に維持した。
【0113】
ウエスタンブロット:
コンフルエント細胞を、冷却PBSを用いて洗浄し、溶解バッファー(Tris 10mM pH7.6;SDS 5;グリセロール10%;Triton X-100 1%、DTT 100mM)中に廃棄した。超音波破砕後、Pierce 660nmタンパク質アッセイ試薬(Thermo Fisher Scientific社)を用いてタンパク質をアッセイし、SDS 4~15%ポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad社)へとロードした後、トランスブロットTurboトランスファー(Bio-Rad社)を用いてニトロセルロースメンブレンにトランスファーした。ネトリン-1に関して5%脱脂粉乳及び5%BSAを用いて、室温で1時間メンブレンをブロッキングした。一次抗体:ネトリン-1抗体(Ab126729、Abcam社)を用いて、一晩染色を行った。洗浄後、メンブレンを、二次抗体であるHRPと結合させた抗ヤギウサギ抗体と共に、室温で1時間インキュベートした。West Dura(Pierce社)化学発光システムを、シグナルを増強するために用いた。イメージングは、Chemidoch Touch(Bio-Rad社)を用いて行った。
【0114】
細胞マトリックス中のネトリン-1の結合性に関して、1×106細胞を100mm3培養ディッシュに入れた。24時間後、4mLのFBS不含培地中に希釈した200μg/mLのブタ腸粘膜由来ヘパリンナトリウム塩(H3147-100KU、Sigma社)を用いて細胞を処理した。一晩のインキュベーション後、上清を回収した。Centricons遠心分離フィルターを用いて、回収した上清中のタンパク質を濃縮した。続いて、Pierce 660nmタンパク質アッセイ試薬(22660、Thermofisher scientific社)を用いてタンパク質の濃度を決定し、30μgのタンパク質を免疫ブロット上にロードした。
【0115】
インビボ前臨床モデル:
NP137(抗ネトリン-1、HUM03)に対するヒトモノクローナル抗体は、Netris Pharma社(Lyon、France)により快く供与された。雌性Balbc/Jマウス8週齢は、Janvier Laboratories社(Le Genest-Saint-Isle、France)から入手した。全ての同系乳がん細胞:1×106 EMT-6;5×105 4T1及び1×106 67-NRを、8週齢雌性Balbc/Jマウスの背側側腹へと皮下的に移植した。マウスを特定病原体不含条件下で維持し(Anican社、Lyon - France及びImthernat施設、HCL Lyon、France)、フィルター蓋を有する滅菌ケージ中で保管した。それらのケア及び順応は、現地のCECCAP倫理委員会により規定される通りの欧州及び仏国機関ガイドラインに従った。ヒト細胞株H358(1×106細胞)又はSKBR7(2×106細胞)を8週齢雌性NMRI免疫不全マウスへと移植し、同じ条件下で維持した。
【0116】
週3回、キャリパーを用いて2つの直交する腫瘍直径を測定することにより、腫瘍体積を評価した。個々の腫瘍体積は、以下の通りに算出した:V=(a*b2)/2、aは最大直径であり、bは最小直径である。腫瘍が200~400mm3の体積に達した時点で、マウスを動物の群へと無作為に分け、111In-NODAGA-NP137、111In-NODAGA-NP137-Fab、111In-NODAGA-NP137-F(ab')2又は177Lu-DOTA-NP137のいずれかを用いる処置に供し、且つ画像法/療法を受けさせた。全ての実験に関して、ガスプロトコール(イソフルラン/酸素(2.5%/2.5%))を用いてマウスを麻酔した。
【0117】
コンジュゲート化:
1mLの抗ネトリン1モノクローナル抗体-NP137(又は適切な場合にはその断片、それらの全てに関して同じ条件)をAmicon Ultra-15 50k(UFC905096)に添加する。1.2g/LのChelex 100を含有する0.1Mリン酸バッファー(pH8)に対する透析を行う。この工程を、各洗浄間の4900rpmでの25分間の遠心分離を伴って、10mLの0.1Mリン酸バッファー(pH8)溶液を用いて7回繰り返す。続いて、nanodropを用いて、抗ネトリン-1抗体濃度を算出する。続いて、50μMになるように抗体の濃度を調整する。DOTA-NHSエステル/NODAGA(1,4,7-トリアザシクロノナン,1-グルタル酸-5,7酢酸)-HSエステル(CheMatech社(C084))のストック溶液を、10mg/mL(=13.13mM)の濃度で超純水中に溶解させる。50μMの抗ネトリン1抗体を、1:25の比率でNODAGA-NHS溶液の必要とされるDOTA-NHSと併せる。反応を室温で4時間行い、一晩の連続的回転混合のために、4℃に移す。PBS(Chelex)に対する透析を行う。この工程を、各洗浄間の4900rpmでの25分間の遠心分離を伴って、10mLのPBS(Chelex)を用いて7回繰り返す。続いて、nanodropを用いて、DOTA/NODAGA-抗ネトリン1抗体濃度を算出する。
【0118】
放射性標識:
NODAGA-NP137、NODAGA-NP137-Fab又はNODAGA-NP137-F(ab')2(40~70μL、5mg/mL)を、400μLの100mM酢酸バッファーpH5及び40~400MBqの高純度111In塩化物(Covidien社、Petten、The Netherlands)を添加することにより放射性標識した。混合物を、37℃で30分間インキュベートした。100μLのDTPAの1mM溶液を用いて反応を停止させた。PD-10カラムを用いて、遊離111Inを除去した。15mLの0.1M酢酸バッファーを用いて最初にカラムを洗浄し、続いて、標識された混合物をカラム上にロードし、酢酸バッファーを用いて溶出した。111In-NODAGA-NP137、111In-NODAGA-NP137-Fab又は111In-NODAGA-NP137-F(ab')2が最初に溶出された。放射化学的純度(RCP)の各0.5mLの画分を、ITLC-SG(Biodex社、Tec-control black)及び移動相として50mMクエン酸バッファー(pH5)を用いて評価した。放射性標識されたNP-137は原点に留まるが、未結合111Inは0.9~1のRfで移動した。最高放射化学的純度画分をプールした。
【0119】
安定性試験のために、放射性標識された111In-NODAGA-NP137、111In-NODAGA-NP137-Fab又は111In-NODAGA-NP137-F(ab')2のアリコートを、2mLリン酸緩衝生理食塩液(pH7.4)中、37℃でインキュベートし、放射性標識化合物の放射化学的純度(RCP)を、ITLC-SG及び移動相としての0.1Mクエン酸バッファーpH5を用いて評価した。
【0120】
同じプロトコールを、111In-DOTA-NP137、111In-DOTA-NP137-Fab又は111In-DOTA-NP137-F(ab')2に関して適用することができる。
【0121】
同じプロトコールを用いて、DOTA-NHSによって177Lu-DOTA-NP137を生成した。
【0122】
生体内分布研究
100μLの最大体積中の1~10MBqの放射性標識111In-NODAGA-NP137、111In-NODAGA-NP137-Fab若しくは111In-NODAGA-NP137-F(ab')2又は111In DOTA-NP137を、腫瘍保有マウスへと静脈内注入した(各群に関してn=3又は4)。頸椎脱臼により、注入後の規定された時間にマウスを屠殺した:4時間、24時間、48時間、72時間及び96時間。対象となる組織(血液、心臓、肺、脾臓、腎臓、筋肉、脳及び皮膚)を取り出し、重量を測定し、放射能を、ガンマシンチレーションカウンター(Wizard(登録商標)ガンマカウンター、Perkin Elmer社、USA)において5分間カウントした。尿及び糞便を、飼育及びカウントのために、個別の代謝ケージにおいて収集した。組織分布を、グラム当たりの注入線量のパーセンテージとして表した(%ID/g)。腎及び肝胆汁排出を、注入された総活性に基づいて累積放射能として表した。
【0123】
イメージング:
小動物に関して、ナノSPECT/CTシステム(Bioscan社、Washington、DC、USA)を用いて、取得を行った。このシステムは、交換可能なマルチピンホール開口部が装着された4個の検出器(215×230mm2 NaI、33PMT)からなる。SPECT/CT取得は、異なる時点:24時間、48時間、72時間及び96時間での5~15MBq(メガベクレル)の放射性標識分子のIV注入後に行った。CT(55kVp管電圧、500ms曝露時間及び180投影)及びSPECT/CT取得は、体温を維持するために、温度制御された台(Minerve社、Esternay、France)(37℃に設定)に置かれた仰臥位の腫瘍保有マウスにおいて行った。取得は、111Inの2つのピーク171keV及び245keVを中心とする2つの15%ウインドウを用いて、40分間行った。全ての画像データを、InVivo-Scope(Bioscan社、Washington、DC、USA)を用いて再構築及び解析した。
【0124】
Fab及びF(ab')2断片の生成並びにDOTA及びNODAGA-免疫コンジュゲートの合成
NP137のタンパク質分解断片を、製造業者の説明書に従って、Pierce(商標)Fab及びF(ab')2調製キットを用いて生成させた。表面リジン残基へのDOTA又はNODAGAのコンジュゲート化のために、NP137及びその断片を、Chelex 100樹脂を用いて調製された金属不含バッファー中のDOTA-NHS-エステル又はNODAGA-NHSエステル(Chematech社、Dijon、France)を用いて、25:1のキレート:抗体のモル比でコンジュゲート化した。簡潔には、50μMの抗体を、0.1Mリン酸バッファー(pH8)に対する透析により交換し、続いて、回転器上、25℃で4時間にわたって、1.25mM DOTA-NHS-エステル又はNODAGA-NHSエステルと反応させた。反応物を、一晩の連続的回転混合のために、4℃に移した。過剰のキレーターを、PBSに対する透析により除去した。免疫コンジュゲートを、4℃で保存した。
【0125】
抗体親和性決定
ネトリン-1に対する抗体断片の親和性を、PBS、0.02%Tween-20、0.1%BSA(BB)中、1000rpmで一定に振盪しながら、30℃でのOctetRed96システム(ForteBio社)を用いるバイオレイヤー干渉法により決定した。簡潔には、組み換えヒトネトリン-1(R&D社)コーティングHIS1Kバイオセンサーを、抗体又は断片の濃度系列と共にインキュベートし、会合を5分間観察した。続いて、バイオセンサーを更に5分間BB中でインキュベートして、複合体の解離を観察した。結合反応速度論を、1:1結合モデルを用いてForteBio Octet RED評価ソフトウェア6.1によって評価して、kon値、koff値、及びKD値を導出した。
【0126】
結果
ネトリン-1はあまり拡散しないマトリックス結合性タンパク質である:
免疫組織化学(IHC)は、長年にわたって、がんにおける標的発現の特性決定に対する参照であった。しかしながら、この方法論は、患者内で標的発現と応答との間に強い矛盾があるので、免疫チェックポイント阻害剤について取得された最近のデータにより、近年疑問視されてきている。つまり、PDL-1抗体に応答する患者が、IHCにおいてPDL-1の発現に関して陰性である場合があり、その逆もまた同じであった。標的発現が経時的に安定でないこと、並びにIHCが原発腫瘍の診断に伴って取得されたパラフィンブロックを用いて行われること、及び標的発現は転移においては異なることを仮定することができる。したがって、全身規模でリアルタイムに標的発現を分析し、腫瘍及び転移内でのタンパク質発現における全ての変動を強調するために、新規診断戦略が開発されるべきである。
【0127】
本発明者等は、軸索誘導生育モデルを説明する場合に考えられた通り、ネトリン-1が腫瘍細胞中で拡散性でないことを見出した。本発明者等は、子宮内膜及び卵巣ヒト腫瘍パラフィン包埋腫瘍切片におけるネトリン-1免疫組織化学画像を取得した(示していない)。ヒト腫瘍中のネトリン-1は、IHC染色後に細胞の基底膜中に存在することが見出され、このことは、細胞の細胞外マトリックス内での蓄積を示唆した。この新規知見を完成及び確認するために、本発明者等は、マトリックス成分内でのネトリン-1の分子パートナーを特性決定した。バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイを用いるマトリックスタンパク質とのネトリン-1の相互作用のスクリーニングを実現した。結果として、ネトリン-1は、フィブロネクチン、ラミニン及びビトロネクチンに強く結合することができる(図1)。
【0128】
ヘパリンは、プラスチック材料へのネトリン-1の相互作用を遮断する。ヘパリン非処理条件では、ネトリン-1発現性4T1/EMT6細胞由来の馴化培地中でネトリン-1は検出されなかったが、ヘパリンを添加した場合、ネトリン-1が検出された(図7)。
【0129】
全てのこれらの要素は、ネトリン-1が、拡散性ではなく、がん細胞の細胞外マトリックス中に捕捉されることを暗示する。
【0130】
ネトリン-1リアルタイム検出のための新規コンパニオン検査の特性決定:
断片(Fab又はF(ab')2)のNP137が、SPECT/Ct分子イメージングにより検出される対象であるインジウム111(111In)に融合された化合物を生成した(図2a)。形成された3種類の分子は、インビボで異なる分子活性を有すると考えられ、全長抗体は血流中で比較的長い半減期を有し、Fabは腫瘍へと比較的迅速に浸透することができ、F(ab')2は中間的な形態である(図2b)。より正確には、抗体又はその断片は、抗体又はその断片のリジン残基に結合する金属キレーター(DOTA又はNODAGA)にコンジュゲート化され;且つキレーターは、インジウム同位体に会合又は結合して、放射性トレーサーを完成させる。立体排除クロマトグラフィー精製後、98%を超過する放射化学的純度(RCP)を有する放射性標識されたNP-137、Fab及びF(ab')2を取得した。放射化学的収率は、111In-NODAGA-NP137に関して70%、111In-NODAGA-NP137-Fabに関して60%及び111In-NODAGA-NP137-F(ab')2に関して65%であった。インキュベーション後5日間で、RCPはリン酸緩衝生理食塩液(pH7.4)中で95%超のままであり、このことは、インビトロ及びインビボ実験を行うために好適な動力学的安定性を示す。本発明者等は、同位体に結合するために必須であるこの化学的修飾が、バイオレイヤー干渉法により、ネトリン-1に結合する3種類の形態の能力を妨げなかったことを示す(図2d)。
【0131】
図2dに提示される実験のバイオレイヤー干渉法分析後のKD算出は、以下の通りの高親和性KDを示す:
NP137-NODAGA:1.72 E-10
F(ab)'2-NODAGA:1.51 E-10
Fab-NODAGA:1.52 E-10。
【0132】
インビボでネトリン-1を検出するこれらの分子の能力を分析するために、本発明者等は、腫瘍の2種類の同系モデルを用いた:ネトリン-1発現に関して陽性の4T1細胞及び陰性対照としてのネトリン-1に関して陰性の67NR。
【0133】
第1に、4T1及び67NR細胞株に対するQ-RT-PCRによるネトリン-1発現の定量化を行った。図3aに関する結果は、4T1細胞のみにネトリン-1発現が見られることを確認する。
【0134】
第2に、111In-NODAGA-NP137-F(ab)'2111In-NODAGA-NP137-Fab、又は111In-NODAGA-NP137のIV注入の24時間後;48時間後;72時間後及び96時間後に取得した、4T1(ネトリン-1に関して陽性)腫瘍を保有するBalb/cJマウスの全身の断層撮影シンチグラフィー及びX線CTの最大値投影を取得した。同様に、111In-NODAGA-NP137-F(ab)'2111In-NODAGA-NP137-Fab、又は111In-NODAGA-NP137のIV注入の24時間後;48時間後及び72時間後に取得した、67NR(ネトリン-1に関して陰性)腫瘍を保有するBalb/cマウスの全身の断層撮影シンチグラフィー及びX線CTの最大値投影を取得した。
【0135】
強い腫瘍取り込みが111In-NODAGA-NP137群において4T1腫瘍中で検出可能であったが(図3b)、一方で、よりゆっくりとした取り込みが、111In-NODAGA-NP137-F(ab)'2群及び111In-NODAGA-NP137-Fab群において検出可能であった(データは示していない)。興味深いことに、67NR保有マウスでは、全ての分子に関して取り込みを検出することができず、このことは、腫瘍取り込みは、腫瘍内ネトリン-1に特異的であることを暗示した(図3B図3Cとを比較されたい)。局在化された腫瘍取り込みは、図8ではH358腫瘍中でも見て取れる。
【0136】
本発明者等は、67NR細胞と4T1細胞との間での取り込み比のエクスビボ定量化を行い、これは、最良の特異的取り込みは処置の48時間後に検出されることを暗示した(図4a図4c)。これらのデータは、腫瘍取り込みが、他の形態よりも全長抗体で良好であることを確認した。
【0137】
48時間、72時間及び96時間での4T1異種移植片を保有するBalb/cJマウスにおける111In-NODAGA-NP137の生体内分布特性を、全ての器官について測定した。放射能取り込みは、器官のグラム当たりの注入線量のパーセンテージにより定量化される。注入線量(ID)の25%に近い強い腫瘍取り込みを、示される時間差後に腫瘍中で検出した。他の器官内での取り込みは、非特異的結合性を明らかにしなかった(図4d)。
【0138】
新規診断ツール
内因性レベルのネトリン-1を発現する乳房ルミナール乳がんMMTV-NeuT(20)のトランスジェニックモデルにおいて、更なる試験を行った。図5aは、111In-NODAGA-NP137の注入の24時間後、48時間後及び72時間後での、左から右への経時的な放出を示す。
【0139】
脂肪体組織において強い染色が検出され、動物の10個の乳腺において観察された(図5bを参照されたい)。
【0140】
一部の腫瘍は、乳房触診により検出される前でさえも可視化されたことを注記することは非常に興味深く、このことは、ネトリン-1発現性腫瘍に関する早期検出ツールとしてのこのトレーサーの関連性を補強する。この結果は予期せぬものであった。注入線量(ID)の8%に近い強い腫瘍取り込みが、全ての腫瘍において腫瘍取り込み測定後に検出可能であり得、このことは、111In-NODAGA-NP137が、腫瘍体積に関して小さな病変の出現時に、ネトリン-1の発現を描写するための良好な診断ツールであり得ることの論拠を示した(図5c)。
【0141】
図8は、ネトリン-1陽性ヒト異種移植片ネズミモデルH358(ヒト非小細胞肺がんモデル)におけるNP137-NODAGA-111Inの強い蓄積を示す。同様の結果(示していない)が、EMT6(ネズミ乳癌細胞株)を用いて得られた。両方のモデルにおける腫瘍取り込みは、ID/g(注入線量/器官重量グラム)の10%超であった。
【0142】
NP137-DOTA-177Lu、耐性腫瘍を標的化するための新規治療用化合物
本発明者等は、がん細胞を効果的に損傷させるβ線を放出するであろう、ルテチウム177に融合された抗体(図6上でDOTA-NP137-177Luと称される)を開発した。ルテチウムは、標的化療法と組み合わせた場合には高い特異度を伴って、1.8mmの範囲内での強い線量の放射線を放出するであろう。
【0143】
本発明者等は、4T1及びEMT6細胞株を治療するために最初にこの分子を用いる。これらの細胞株は、単剤としてのNP137に対して耐性であり、且つ最も高悪性度の前臨床モデルに属することが公知である。それにもかかわらず、PBS又はDOTA-NP137のいずれかを用いる対照群と比較して、NP137-DOTA-177Luの単回10MBq線量を用いて処置した場合に、腫瘍生長が減少した(図6a図6c及び図6e)。結果として、NP137-DOTA-177Lu処置群ではマウスの生存率が増加した(図6b及び図6d)。これらの結果は、この新規分子が、ネトリン-1を発現する腫瘍におけるインビボでの抗腫瘍活性をもたらし得たことを示す。NP137-177Luの治療効率をヒト肺がん異種移植片モデルH358において更に評価し、処置はここでも腫瘍生長の速度を有意に低減させ、このことは、明らかな抗腫瘍作用を補強する(p<0.001)(図6f)。
【0144】
考察
本研究において、本発明者等は、核医学SPECT/CTによるネトリン-1のインビボ検出のための新規コンパニオン検査を記載した。ネトリン-1は、臨床的アッセイにおいて現在評価されるがんのうちの数種類における治療標的として特徴付けられているが、慣用の検査におけるアッセイの欠如(すなわち、ELISAアッセイを用いる血清検出、質量分析、FFPEサンプル中でネトリン-1を明らかにする病理学の堅牢性)に起因して、本発明者等は、がん細胞においてインビボでネトリン-1の高発現を検出するための、革新的で簡潔且つ堅牢なコンパニオン検査を開発した。本発明者等の結果に基づいて、本発明者等は、ネトリン-1陰性腫瘍モデル67NRでのRCPにより明らかとなる通り、本発明者等の前臨床モデルにおいて検出された111In-NODAGA-NP137又は111In-DOTA-NP137の非特異的結合がないか又は非常に低いことを述べることができる。これらの結果は、ネトリン-1が、成体レベルでは広く発現されないことを示し、且つ腫瘍組織に対する高い特異度を示す。したがって、腫瘍形成中に再発現される発生期ネトリン-1遺伝子の標的化は、腫瘍イメージングの特異度を改善するための重要な解決策であると思われる。
【0145】
SPECT又はPETイメージングに対する最良の分子を特定するために、本発明者等は、臨床的に用いられるヒト抗ネトリン-1 NP137モノクローナル抗体に基づく3種類の異なる薬剤を設計した:NP137-IgG1全長、NP137-F(ab')2及びNP137-Fab。これらの分子の全部が、ネトリン-1に対して強く結合することができる。腫瘍特異性を有するインビボでの最良の蓄積が、全長NP137-IgG1及びNP137-Fabを含有する放射性トレーサーに関して観察され;最良のものは全長抗体を含有する放射性トレーサーであった。全長NP137-IgG1は、腫瘍内での最良の蓄積及び外来診療所内での移行に対する最も有望な結果を示した。この移行は、分子イメージングのために用いられる全ての金属及び化合物に伴って仮定することができた。
【0146】
より基礎的な研究に関して、ネトリン-1は、拡散性勾配を有する分泌型分子として、神経発生において長年記載されてきた。ネトリン-1はリガンドであり、したがって、画像法又は内部放射線療法の標的としての第1選択ではない。
【0147】
更に、且つこの実証された腫瘍取り込みに基づいて、本発明者等は、本発明者等がNP137-DOTA-177Luを形成させるためにNP137-DOTAをルテチウム177と融合させた新規分子を設計する。結果として、この分子もまた、ネトリン-1を発現する腫瘍内に特異的に蓄積した。ルテチウム177は、腫瘍組織内の1.8mmの範囲において強い線量の放射線を送達することができるβ線放射体である。結果として、本発明者等は、腫瘍を保有するマウスに関するより良好な生存率と相関する、腫瘍生長における顕著な減少を指摘する。これらの腫瘍タイプが、単剤としてのNP137に対して完全に耐性であったことを注記することは注目に値する。生存率研究は、この化合物を用いる処置が、マウス腫瘍モデル及びヒト腫瘍モデルにおいて、対照に対してマウス寿命を2倍に増加させたことを実証する。NP137は、単剤としてのその安全性が証明されており、線量177Luは十分に特性決定されているので、この分子は、簡潔な様式で腫瘍を治療するために移行することができる。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7
図8
【配列表】
2024530057000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、及び
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分
を含む化合物であって、前記キレート性部分は、放射性同位体と任意で会合している、化合物。
【請求項2】
前記抗体が、
- 配列番号1に示される配列を有するH-CDR1;
- 配列番号2に示される配列を有するH-CDR2;
- 配列番号3に示される配列を有するH-CDR3
を含む可変ドメインVH;
- 配列番号4に示される配列を有するL-CDR1;
- 配列YASを有するL-CDR2;
- 配列番号5に示される配列を有するL-CDR3
を含む可変ドメインVL;
又は
- 配列番号22に示される配列を有するH-CDR1;
- 配列番号23に示される配列を有するH-CDR2;
- 配列番号24に示される配列を有するH-CDR3
を含む可変ドメインVH;
- 配列番号25に示される配列を有するL-CDR1;
- 配列番号26に示される配列を有するL-CDR2;
- 配列番号5に示される配列を有するL-CDR3
を含む可変ドメインVL
を含む、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片であり、前記抗体が、以下のペア:配列番号21及び13、配列番号14及び8、配列番号15及び9、配列番号16及び10、配列番号17及び11、配列番号18及び11、配列番号19及び10、配列番号20及び11、配列番号16及び11、配列番号19及び12、配列番号15及び10から選択されるVH及びVL配列のペアを含むモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記抗体が、ヒトIgG1定常重鎖(CH)及び/又はヒトIgG1定常軽鎖(CL)を更に含む、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記キレート性部分が、NODAGA、NODAGA-NHS、DOTA、DOTA-NHS、p-SCN-Bn-NOTA、p-SCN-Bn-PCTA、p-SCN-Bn-オキソ-DO3A、デスフェリオキサミン-p-SCN、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、又は1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記放射性同位体が、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、123I、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At、又は225Acである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記キレート性部分が、NODAGA、NODAGA-NHS、DOTA、DOTA-NHS、p-SCN-Bn-NOTA、p-SCN-Bn-PCTA、p-SCN-Bn-オキソ-DO3A、デスフェリオキサミン-p-SCN、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、又は1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)を含み、前記放射性同位体が、 68 Ga、 64 Cu、 89 Zr、 186 Re、 188 Re、 153 Sm、 111 In、 99m Tc、 123 I、 177 Lu、 90 Y、 131 I、 213 Bi、 212 Bi、 211 At、又は 225 Acである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
被験体におけるネトリン-1の存在又は局在をイメージングするための方法であって、
a)請求項1から4のいずれか一項に記載の、
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分、及び
・ 前記キレート性部分に会合した放射性同位体
を含む化合物を前記被験体に投与する工程、
b)4~172時間待ち、腫瘍の細胞外マトリックス中に捕捉されたネトリン-1による前記化合物の結合を得る工程;
c)インビボイメージングにより前記結合した化合物を検出又は局在化する工程
を含む、方法。
【請求項9】
工程b)での局在化が、少なくとも1の身体部分における前記化合物の存在又は蓄積を強調することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記放射性同位体が、68Ga、64Cu、89Zr、186Re、188Re、153Sm、111In、99mTc、及び123Iからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
インビボイメージングが、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)及び陽電子放出断層撮影である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分、及び
・ 前記キレート性部分に会合した放射性同位体
を含む化合物であって、
前記化合物が、内部放射線療法によるネトリン-1発現性がんを治療するための、請求項1から4のいずれか一項に記載のものである、化合物
【請求項13】
前記放射性同位体が、177Lu、90Y、131I、213Bi、212Bi、211At又は225Acである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記キレート性部分が、NODAGA、NODAGA-NHS、DOTA、DOTA-NHS、p-SCN-Bn-NOTA、p-SCN-Bn-PCTA、p-SCN-Bn-オキソ-DO3A、デスフェリオキサミン-p-SCN、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、又は1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)を含む、請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項15】
・ 抗ネトリン-1抗体又はその抗原結合性断片、
・ 前記抗体又は断片に結合したキレート性部分、及び
・ 前記キレート性部分に会合した放射性同位体
を含む化合物であって、
前記化合物が、ネトリン-1発現性がんを有する患者の特定又は患者でのがんの局在化における使用のための、請求項1から4のいずれか一項に記載のものである、化合物。
【請求項16】
前記化合物が、 68 Ga、 64 Cu、 89 Zr、 186 Re、 188 Re、 153 Sm、 111 In、 99m Tc、及び 123 Iからなる群より選択される放射性同位体を含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記キレート性部分が、NODAGA、NODAGA-NHS、DOTA、DOTA-NHS、p-SCN-Bn-NOTA、p-SCN-Bn-PCTA、p-SCN-Bn-オキソ-DO3A、デスフェリオキサミン-p-SCN、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、又は1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)を含む、請求項15又は16に記載の化合物。
【国際調査報告】