(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-15
(54)【発明の名称】移動可能なロボットを備えるロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B61B 13/02 20060101AFI20240807BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20240807BHJP
B25J 5/02 20060101ALN20240807BHJP
【FI】
B61B13/02 C
E04G21/16
B25J5/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577103
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 DE2022100431
(87)【国際公開番号】W WO2022258113
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114914.2
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523465355
【氏名又は名称】マイク ヘルマンズ
【氏名又は名称原語表記】HERMANNS, Maik
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マイク ヘルマンズ
【テーマコード(参考)】
2E174
3C707
【Fターム(参考)】
2E174CA02
2E174CA30
2E174CA43
3C707AS21
3C707CS04
3C707CY12
3C707HS27
3C707HT19
3C707HT22
3C707JS07
3C707KS09
3C707KS20
3C707LT14
(57)【要約】
本発明は、移動可能なロボットと、移動の際に少なくとも2つのガイドでロボットをガイドする軌道と、を有するロボットシステムに関する。本発明は、軌道が、駆動歯形を有する少なくとも1つの駆動要素を備え、ロボットが、ロボットのモータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つのドライブホイールを含み、ドライブホイールが、ロボットが軌道上を移動する際に駆動歯形に係合することを特徴とする。本発明は、さらに、建設自動化システムとしてのロボットシステムの使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なロボット(2)と、移動の際に少なくとも2つのガイドで前記ロボット(2)をガイドする軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)と、を備えるロボットシステム(1)において、
前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)は、駆動歯形を有する少なくとも1つの駆動要素を備え、前記ロボット(2)は、前記ロボット(2)のモータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つのドライブホイールを含み、前記ドライブホイールが、前記ロボット(2)が軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)上を移動する際に前記駆動歯形に係合することを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットシステム(1)において、
前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)の前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)は、それぞれ、ガイド歯形(310a、320a、310b、320b)を備え、前記ロボット(2)は、前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)のそれぞれのために少なくとも1つのガイドホイール(21、22、23、24)を含み、前記ガイドホイール(21、22、23、24)は、前記ロボット(2)が前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)上を移動する際に、それぞれの前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の前記ガイド歯形(310a、320a、310b、320b、320b)に係合することを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットシステムにおいて、
前記ガイド歯形(310a、320a、310b、320b)の少なくとも1つは、それぞれの前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の、前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)の中心を向く内側に配置されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項4】
請求項2または3に記載のロボットシステム(1)において、
前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の少なくとも1つは、このガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の前記ガイド歯形(310a、320a、310b、320b)を備える丸いアーチ形状を含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項5】
請求項2~4の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の少なくとも1つは、2つのベース側部および2つの台形脚部を有する台形形状を備え、前記台形形状の前記2つのベース側部の1つは、このガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の前記ガイド歯形(310a、320a、310b、320b)を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットシステム(1)において、
前記台形形状を備える前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)は、前記2つのガイド側部の1つに対して平行でない傾斜部を備える少なくとも1つの歯間スペースを含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のロボットシステムにおいて、
前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)は、2つの脚部(301a)およびべースを有するU字形状の輪郭を備えることを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のロボットシステム(1)において、
前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)は、前記U字形状の輪郭の前記脚部(301a)に配置され、かつ/あるいは前記脚部(301a)は、それぞれ、前記ガイドの1つを備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボットシステム(1)は、前記軌道から分岐する二次軌道(5.1、5.2、5.3)を含み、前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)において前記ロボット(2)をガイドする少なくとも2つの二次ガイド(51)を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項10】
請求項9に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)は、二次駆動歯形を有する少なくとも1つの二次駆動要素を備え、前記ロボット(2)は、前記ロボット(2)の前記モータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つの二次ドライブホイールを含み、前記二次ドライブホイールは、前記ロボット(2)が前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)上を移動する際に、前記二次駆動歯形に係合し、
前記ロボット(2)は、前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)から前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)への分岐プロセスの際に、前記ドライブホイールの前記駆動歯形への係合を係合解除し、前記二次ドライブホイールを前記二次駆動歯形と係合させるように構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項11】
請求項10に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次ガイド(51)は、それぞれ、二次ガイド歯形を備え、前記ロボット(2)は、各前記二次ガイド(51)のために、少なくとも1つの二次ガイドホイールを備え、前記二次ガイドホイールは、前記ロボット(2)が前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)上を移動する際に、各前記二次ガイド(51)の前記二次ガイド歯形に係合し、
前記ロボット(2)は、前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)から前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)への分岐プロセスの際に、前記ガイドホイール(21、22、23、24)の各ガイド歯形(310a、320a、310b、320b)への係合を係合解除し、前記二次ガイドホイールを各前記二次ガイド歯形と係合させるように構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボット(2)は、ドライブホイール、および/またはガイドホイール(21、22、23、24)の1つ、および/または複数のガイドホイール(21、22、23、24)、および/または二次ドライブホイール、および/または二次ガイドホイールの1つ、および/または複数の二次ガイドホイールを、前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)の少なくとも1つの軌道歯形と、および/または前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)の二次歯形と、係合させ、それらを再度係合解除させるように、構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボット(2)は少なくとも1つのホイールを備え、前記ホイールは、歯形支持要素の歯形に係合するように構成された係合領域と、前記ホイールの回転運動の際に前記ホイールを前記歯形支持要素にガイドするガイド要素と、を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項14】
請求項13に記載のロボットシステム(1)において、
前記係合領域は係合領域の歯空スペースを備え、前記ガイド要素は、前記係合領域の歯間スペースと接続された貫通孔を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項15】
請求項13または14に記載のロボットシステム(1)において、
前記ホイールは、ドライブホイール、および/またはガイドホイール(21、22、23、24)の1つ、および/または二次ドライブホイール、および/または二次ガイドホイールの1つ、であることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項16】
請求項2~15の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の1つが前記駆動要素であり、このガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)のガイド歯形が駆動歯形であり、このガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)のガイド歯形に係合するガイドホイールがドライブホイールであることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項17】
請求項11に戻って参照する限りの、請求項11~16の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次ガイド(51)の1つは二次駆動要素であり、この二次ガイド(51)の二次ガイド歯形が二次駆動歯形であり、この二次ガイド(51)の二次ガイド歯形に係合する二次ガイドホイールが二次ドライブホイールであることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)はデータライン(7)を備え、前記ロボットシステム(1)は、前記データライン(7)を介して前記ロボット(2)とデータ通信するように構成された通信装置を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項19】
請求項18の記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボットシステム(1)は、前記データライン(7)を介して前記ロボット(2)に電気エネルギを供給するように構成されたエネルギ供給装置を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項20】
請求項18または19に記載のロボットシステム(1)において、
前記データライン(7)は、シールドよって完全に囲まれていないオープンデータラインセクションおよび/またはストリップラインを含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項21】
請求項18~20の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記駆動要素および/または前記駆動歯形は前記データライン(7)を含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項22】
請求項2~21の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の1つ、および/または前記ガイド(31a、32a、31b、32b、41、41a、41b)の1つの前記ガイド歯形(310a、320a、310b、320b)は、前記データライン(7)を含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項23】
請求項18~22の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボットシステム(1)は、前記データライン(7)の分岐領域(7b、7c)と電気的に接続された二次データライン(8a、8b)を含み、
前記データライン(7)の前記分岐領域(7b、7c)は分岐インピーダンスを有し、前記分岐領域(7b、7c)の前に配置された前記データライン(7)の通常領域は通常インピーダンスを有し、
前記分岐インピーダンスを前記通常インピーダンスに適合させるインピーダンス変更要素は、前記分岐領域(7b、7c)と電気的に接続されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)
【請求項24】
請求項23に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次データライン(8a、8b)は、主要部(80a、80b)と、前記主要部(80a、80b)と比較して構造的に変更された変更部(81a、81b、82a)と、を備え、前記変更部(81a、81b、82a)は、インピーダンス変更要素であることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項25】
請求項9に戻って参照する限りの、請求項23または24に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次軌道(5.1、5.2、5.3)は前記二次データライン(8a、8b)を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項26】
請求項10に戻って参照する限りの、請求項23から25の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次駆動要素および/または前記二次駆動歯形は、前記二次データライン(8a、8b)を含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項27】
請求項9に戻って参照する限りの、請求項23~26の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記二次ガイド(51)の1つ、および/または前記二次ガイド(51)の1つの前記二次ガイド歯形は、前記二次データライン(8a、8b)を含むことを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項28】
請求項18に戻って参照する限りの、請求項18~27の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボット(2)は、電気エネルギを取り込むように構成されたエネルギ供給要素を備え、前記通信装置は、データ通信のために、前記エネルギ供給要素が高周波アイドルとして作用する周波数を使用するように構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項29】
請求項1~28の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボットシステム(1)は、前記ロボットシステム(1)の内部の前記ロボット(2)の位置を決定するように構成された位置決定装置を備え、
前記位置決定装置は、前記ロボット(2)が静止している際に、前記ロボット(2)の位置を決定するように構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項30】
請求項18に戻って参照する限りの、請求項29に記載のロボットシステム(1)において、
前記位置決定装置は、前記データライン(7)を介して前記ロボット(2)の位置を決定するように構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項31】
請求項1~30の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記軌道(3、4、4.1、4.2、4.3、4.4)は、複数の相互接続された軌道モジュール(3a、3b)から構成されるモジュール構造を備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項32】
請求項31に記載のロボットシステム(1)において、
前記軌道モジュール(3a、3b)は、伸縮可能に、および/または折り畳み可能に相互接続されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項33】
請求項31または32に記載のロボットシステム(1)において、
前記位置決定装置は、前記軌道モジュール(3a、3b)の少なくとも1つの軌道モジュール位置を決定するように構成されていることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項34】
請求項1~33の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボットシステム(1)および/または前記ロボット(2)は、前記ロボットシステム(1)の調整エラーを検出するように、および/または前記ロボットシステム(1)および/または前記ロボット(2)の構成要素の摩耗を検出するように構成されたセンサを備えることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項35】
請求項34に記載のロボットシステム(1)において、
前記センサは、レーザ距離測定センサ、および/または力センサ、および/または歪センサ、および/または慣性センサ、および/またはレーザ位置センサであることを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項36】
請求項1~35の何れか一項に記載のロボットシステム(1)において、
前記ロボットシステム(1)は、前記ロボット(2)に加えて更なる追加ロボットを含み、前記ロボット(2)は、移動の際に少なくとも2つの追加ガイドで前記追加ロボットをガイドする追加軌道を備え、
前記追加軌道は、追加駆動歯形を有する少なくとも1つの追加駆動要素を備え、前記追加ロボットは、前記追加ロボットの追加モータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つの追加ドライブホイールを含み、前記追加ドライブホイールは、前記追加ロボットが前記追加軌道上を移動する際に前記追加駆動歯形に係合することを特徴とする、ロボットシステム(1)。
【請求項37】
請求項1~36の何れか一項に記載のロボットシステム(1)の建設自動化システムとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能なロボットと、移動の際に少なくとも2つのガイドでロボットをガイドする軌道と、を有するロボットシステムに関する。
【0002】
本発明はまた、建設自動化システムとしてのロボットシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
移動可能なロボットを有するロボットシステムは、DE102007005029A1から既知である。このロボットシステムにおいて、ロボットは、ロボットアームに加えて、ロボットアームが搭載された自走式のワークピースキャリアを備える。ワークピースキャリアは、ガイドローラを備えるレールシステム上でガイドされている。これによって、ロボットは、レールシステム上でXY方向に移動することができる。既知のロボットシステムは、ロボットのロボットアームを用いて、Z方向に動作することもできる。しかしながら、既知のロボットシステムの欠点は、システムがZ方向に、すなわち垂直方向に動作できる範囲が制限されることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、改善されたロボットシステム、特に垂直方向において著しく改善された動作能力を有するロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の上位概念に記載の特徴と組み合わされて、軌道が、駆動歯形を有する少なくとも1つの駆動要素を備え、ロボットが、ロボットのモータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つのドライブホイールを含み、ドライブホイールが、ロボットが軌道上を移動する際に駆動歯形に係合することによって、解決される。
【0007】
好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
更なる独立請求項は、建設自動化システムとしての本発明によるロボットシステムの使用を対象とする。
【0009】
したがって、本発明によるロボットシステムでは、ロボットは、垂直方向にも上昇することができ、したがって、例えば、建物の壁を上がることができる。換言すると、つまり、軌道を、少なくとも部分的に、または完全に垂直に配向することもできて、これによってロボットシステムの機能が制限されることがない。少なくとも部分的に垂直に配向する場合、軌道は、必ずしも垂直方向に走る必要はなく、傾斜を有する。これに対して、軌道が完全に垂直に配向される場合、軌道は垂直方向に走る。
【0010】
本発明によるロボットシステムのロボットは、これによって、従来技術から既知のシステムの場合のように、Z方向すなわち垂直方向に動作可能とするために、もはや、ロボットアームを必ずしも備える必要がない。むしろ、本発明によるシステムのロボットは、本発明によるロボットの設計および本発明による軌道の設計によって、少なくとも部分的に、または完全に垂直に配向された軌道に沿って容易に走行することもできるため、ロボットアームなしでも、Z方向に動作することができる。
【0011】
したがってロボットは、本発明では、例えば、ワークピースを搬送するように構成された搬送ロボットであってもよい。しかしながら、これに対して追加的または代替的に、ロボットは、材料加工ツールおよび/または材料塗布ツール、および/またはロボットアームなどのツールも備えることができる。駆動要素は、本発明では、例えば歯付ラックおよび/または歯付ベルトを含むことができる、または歯付ラックまたは歯付ベルトとすることができる。
【0012】
本発明によるロボットシステムのロボットは、部分的に、または完全に垂直に配向された軌道に沿って容易に走行することもできるため、従来から既知のシステムと比較して、垂直方向に著しく改善された動作能力を有する。垂直方向の動作能力を同時に維持しながら別個のロボットアームを省略可能であるために、本発明によるロボットシステムに必要とされる設計の労力もまた、既知のシステムと比較して、著しく低減され最小限に抑えられる。したがって、本発明によるロボットシステムは、より費用効率を高めて製造可能であり、またメンテナンスの労力が著しく低減されることを特徴とする。
【0013】
極めて一般的に、本発明によるロボットシステムは、当然ながら複数の、好適には、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、および/または少なくとも25の、本発明によるロボットを備えることもできる。
【0014】
ロボットシステムは、たとえば、面ポータル(Flachenportal)とも称されるX‐Yテーブルとして構成された2軸システムを備えることもできる、またはその2軸システムとすることもできる。ここで、例えば、2軸システムの軸の1つは、少なくとも部分的に、または完全に垂直に配向することができる。好適には、ロボットシステムのロボットは、2軸システムの軸駆動装置の1つである、または2軸システムの軸駆動装置のうちの1つがロボットシステムのロボットを含む。ロボットシステムが本発明による複数のロボットを備える限り、この場合、例えば、2軸システムの各軸駆動装置も、それぞれ、本発明によるロボットを備えることができる、または本発明によるロボットであり得る。
【0015】
ロボットシステムは、例えば、空間ポータル(Raumportal)とも称されるX‐Y‐Zテーブルとして構成された3軸システムを備えることもできる、またはその3軸システムとすることもできる。ここで、例えば、3軸システムの軸の1つは、少なくとも部分的に、または完全に垂直に配向することができる。好適には、ロボットシステムのロボットは、3軸システムの軸駆動装置の1つである、または3軸システムの軸駆動装置の1つがロボットシステムのロボットを含む。ロボットシステムが本発明による複数のロボットを備える限り、この場合、例えば、3軸システムの各軸駆動装置も、それぞれ、本発明によるロボットを備えることができる、または本発明によるロボットであり得る。
【0016】
垂直方向の動作能力をさらに改善させるために、本発明の好適な実施形態では、軌道のガイドは、それぞれ、ガイド歯形を備え、ロボットは、ガイドのそれぞれのために少なくとも1つのガイドホイールを含む。ガイドホールは、ロボットが軌道上を移動する際に、それぞれのガイドのガイド歯形に係合する。これによって、ロボットは、部分的に、または完全に垂直方向に移動する際に、有利には、意図しない軌道からの落下に対して追加的に保護される。さらに、ガイドホイールを、例えばロボットを作業位置に固定するために使用することができる。例えば、1つまたは複数の適切な電気モータを用いて、ガイドホイールを、それぞれのガイドまたはそれぞれのガイドのガイド歯形に対して摩擦結合的に付勢することによって、これを行う。
【0017】
このために、特に有利には、本発明の更なる好適な実施形態におけるように、ガイド歯形の少なくとも1つは、それぞれのガイドの、軌道の中心に配向された内側に配置されている。
【0018】
本発明の更なる好適な実施形態では、ガイドの少なくとも1つは、このガイドのガイド歯形を備える丸いアーチ形状を含む。もちろん、軌道のガイドも、それぞれ、そのような丸いアーチ形状を備えることができる。
【0019】
この実施形態では、有利には、これによって、例えば既述の摩擦結合的な付勢のために、対応するガイドホイールが、特に不所望に引っかかるリスクなく、特に容易に、ガイド歯形に係合し、再び係合解除もされる。1つまたは複数のガイドホイールは、例えば、それぞれのガイドホイール形への係合を係合解除した後に、例えば、ロボットのハウジング内に沈むこともできる、および/または、係合が確立する前にロボットのこのハウジング/別のハウング内に配置することができる。
【0020】
本発明の更なる好適な実施形態では、ガイドホイールの係合の確立および解除は、ガイドの少なくとも1つが、2つのベース側部および2つの台形脚部を有する台形形状を備え、台形形状の2つのベース側部の1つが、このガイドのガイド歯形を備えることによって、更に改善される。もちろん、軌道のガイドは、それぞれ、そのような台形形状を備えることができる。
【0021】
発明者は、さらに、本発明の更なる好適な実施形態におけるように、台形形状を備えるガイドが、2つのガイド側部の1つに対して平行でない傾斜部を備える少なくとも1つの歯間スペースを含む場合に、ロボットシステムに必要とされるメンテナンスの労力を更に大幅に低減できることを見出した。好適には、この場合、このガイドのガイド歯形が、この歯間スペースを備える。これによって、動作中に通常はガイドに蓄積する汚染物、例えば摩耗物または埃が、特にガイドのガイド歯形に集まることが防止される。むしろ、これらの汚染物は、この実施形態において本発明によって提供される傾斜部によって、ロボットが移動する際にガイド歯形またはガイドから押し出される。これによって、ロボットシステムが、有利には、動作中にそれ自体を洗浄する。これによって、メンテナンスが、ひいてはダウンタイムが最小限に抑えられる。
【0022】
特に好適には、歯間スペースは、異なる方向に延びる少なくとも2つの傾斜部を備える。これによって、記載された自己洗浄効果を、有利には、更に増加させることができる。追加的または代替的に、歯間スペースは、貫通孔も備えることができる。これによって、汚泥を、貫通孔を通して歯間スペースから押し出すことができる。これによって、有利には、汚染物質が不所望に堆積するリスクが、また更に低減され最小限に抑えられる。
【0023】
本発明によるロボットシステムは、追加的または代替的に、更なる手段によって不所望な汚染から保護することができる。例えば、軌道および/または二次軌道および/またはガイドの少なくとも1つおよび/または二次ガイドの少なくとも1つは、少なくとも1つの孔を備えることができる。汚染物質は、この孔を通して、ロボットの駆動運動を用いて、軌道および/または少なくとも1つのガイドおよび/または少なくとも1つの二次ガイドから、移動可能である。孔は、好適には貫通孔である。追加的または代替的に、ロボットは、洗浄装置を含むことができる。洗浄装置は、例えば、ダストワイパーリングおよび/または箒、特にひし形の箒を備えることができる。追加的または代替的に、このために、洗浄装置は、少なくとも部分的に、または完全に、例えば、ロボットのホイールの少なくとも1つに、特にホイールの下側に、および/またはロボットの摺動接触部に配置することができる。
【0024】
本発明の更なる好適な実施形態では、軌道は、2つの脚部およびべースを有するU字形状の輪郭を備える。ベースは、この場合、例えば、軌道の軌道床を含むことができる、またはベースの軌道床とすることができる。軌道のU字形状の輪郭は、これによって、軌道の構造設計だけでもこれがロボットにとって既に良好なガイド特性を備えるため、有利である。
【0025】
ここで、特に好適には、本発明の更なる好適な実施形態におけるように、ガイドは、U字形状の輪郭の脚部に配置されている、および/または脚部は、それぞれ、ガイドの1つを備える。
【0026】
軌道は、本発明では、例えば、曲線で、および/または直線で延びることができる。曲線の軌道の場合、ロボットは、好適には、ガイドのうちの第1ガイドのために、少なくとも1つのガイドホイールを備える。このガイドホイールは、ロボットが軌道上を移動する際に、このガイドのガイド歯形に係合する。またロボットは、他の第2ガイドのために、少なくとも2つのガイドホイールを備える。これら少なくとも2つのガイドホイールは、ロボットが軌道上を移動する際に、この第2ガイドのガイド歯形に係合する。第1ガイドおよび第2ガイドのためのロボットのガイドホイールの数は、相互に異なる、および/または、第2ガイドのためのロボットのガイドホイールの数は、第1ガイドのためのホイールの数よりも多い。これに対して追加的または代替的に、ロボットは、例えば、第2ガイドのために、第1ガイドのための2倍の数のホイールを備えることができる。および/または、第1ガイドは厳密に1つのガイドホイールを備え、および/または第2ガイドは厳密に2つのガイドホイールを備える。これによって、ロボットは、特に曲線の軌道を特に良好に移動することができる。
【0027】
しかしながら、ロボットを、軌道から、軌道から分岐する二次軌道に曲がるように構成することも可能である。好適な実施形態では、例えば、ロボットシステムは、軌道から分岐する二次軌道を含み、二次軌道においてロボットをガイドする少なくとも2つの二次ガイドを備える。
【0028】
二次軌道は、例えば、軌道に対応して構造的に設計することができる。更なる好適な実施形態では、例えば、二次軌道は、二次駆動歯形を有する少なくとも1つの二次駆動要素を備える。ロボットは、ロボットのモータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つの二次ドライブホイールを含む。この二次ドライブホイールは、ロボットが二次軌道上を移動する際に二次駆動歯形に係合する。ロボットは、軌道から二次軌道への分岐プロセスの際に、ドライブホイールの駆動歯形への係合を係合解除し、二次ドライブホイールを二次駆動歯形と係合させるように構成されている。
【0029】
ロボットシステムは、複数の、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25の本発明による二次軌道を備えることもできる。これに対して追加的または代替的に、ロボットシステムは、例えば複数の、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25の本発明による軌道を備えることもできる。好適には、少なくとも1つの、複数の、または全ての軌道は、二次軌道のうちの少なくとも1つに直交して延びる。
【0030】
更なる好適な実施形態では、二次ガイドは、それぞれ、二次ガイド歯形を備え、ロボットは、各二次ガイドのために、少なくとも1つの二次ガイドホイールを備える。この二次ガイドホイールは、ロボットが二次軌道上を移動する際に、各二次ガイドの二次ガイド歯形に係合する。ロボットは、軌道から二次軌道への分岐プロセスの際に、ガイドホイールの各ガイド歯形への係合を係合解除し、二次ガイドホイールを各二次ガイド歯形と係合させるように構成されている。
【0031】
既に説明したように、1つまたは複数のガイドホイールは、有利には、例えば既述の摩擦結合的な付勢のために、各ガイドのガイド歯形と結合させることができる。しかしながら、この本発明によるコンセプトは、もちろん、1つまたは複数のガイドホイールに限定されるのではなく、有利には、本発明のロボットの他のホイールにおいても使用することができる。
【0032】
本発明の更なる好適な実施形態では、したがって、ロボットは、ドライブホイール、および/またはガイドホイールの1つ、および/または複数のガイドホイール、および/または二次ドライブホイール、および/または二次ガイドホイールの1つ、および/または複数の二次ガイドホイールを、軌道の少なくとも1つの軌道歯形と、および/または二次軌道の二次歯形と、係合させ、それらを再度係合解除させるように、構成されている。
【0033】
特に有利には、軌道から二次軌道への分岐プロセスの際に、ドライブホイールの係合位置に存在するドライブホイールの駆動歯形への係合を、ドライブホイールをドライブホイールの係合位置から、ドライブホイールの係合位置の上方および/または側方にオフセットされた位置にあるドライブホイールの保管位置に移動させることによって、係合解除させる。ドライブホイールの保管位置において、ドライブホイールは、例えば、少なくとも部分的に、好適には完全に、ロボットのハウジングの内部に配置することができる。ドライブホイールの保管位置に移動すること、またはハウジングの内部に配置することによって、有利には、もはや駆動歯形と係合していないドライブホイールが、分岐プロセスを、例えば軌道または二次軌道に不所望に接触することによって、中断または妨げさえすることが防止される。
【0034】
ドライブホイールは、例えば、ドライブホイール係合位置からドライブホイールの保管位置まで、直線的に移動させることができる。しかしながら、好適には、本発明では、ドライブホイールは、ドライブホイールの係合位置からドライブホイールの保管位置まで、螺旋状に移動する。このために、ドライブホイールは、例えば、螺旋状の雄ねじを有するピンに偏心して配置することができる。ピンは、例えばロボットのハウジングが備えることができる対応する螺旋状の雌ねじと共に、合致する一対のねじ山を形成する。この構成では、ピンを一方向、例えば時計回りに回転させることによって、ドライブホイールを、ドライブホイールの係合位置からドライブホイールの保管位置まで、螺旋状に移動させることができる。これによって、ドライブホイールの駆動歯形への係合が、係合解除される。ピンを反対方向、例えば反時計回りに回転させることによって、今度は、ドライブホイールを、ドライブホイールの保管位置から再びドライブホイールの係合位置へ螺旋状に移動させることができ、これによってドライブホイールを駆動歯形と再び係合させることができる。「螺旋状(schraubenformig)」という用語には、同義語であるスパイラル状(wendelformig)またはヘリカル状(helixformig)という用語が使用されることが多い。しかしながら、この本発明によるコンセプトも、もちろん、ドライブホイールに限定されるのではなく、追加的または代替的に、本発明によるロボットの1つまたは複数の他のホイールにおいても使用することができる。例えば、本発明によるこのコンセプトは、例えばガイドホイールの1つ、および/または複数のガイドホイール、および/または二次ドライブホイール、および/または二次ガイドホイールの1つ、および/または複数の二次ガイドホイールに対しても、適宜対応して適用することができる。
【0035】
例えば、本発明では、同様に有利には、軌道から二次軌道への分岐プロセスの際に、ガイドホイールの係合位置に存在するガイドホイールの各ガイド歯形への係合を、ガイドホイールをガイドホイールの係合位置から、ガイドホイールの係合位置の上方および/または側方にオフセットされた位置にあるガイドホイールの保管位置に移動させることによって、係合解除させる。ガイドホイールの保管位置において、ガイドホイールは、例えば、少なくとも部分的に、好適には完全に、ロボットのハウジングの内部に配置することができる。ガイドホイールの保管位置に移動すること、またはハウジングの内部に配置することによって、有利には、もはや各ガイド歯形と係合していないガイドホイールが、分岐プロセスを、例えば軌道または二次軌道に不所望に接触することによって、中断または妨げさえすることが防止される。
【0036】
ガイドホイールは、例えば、ガイドホイール係合位置からガイドホイールの保管位置まで、直線的に移動させることができる。しかしながら、好適には、本発明では、ガイドホイールは、ガイドホイールの係合位置からガイドホイールの保管位置まで、螺旋状に移動する。このために、ガイドホイールは、例えば、螺旋状の雄ねじを有するピンに偏心して配置することができる。ピンは、例えばロボットのハウジングが備えることができる対応する螺旋状の雌ねじと共に、合致する一対のねじ山を形成する。この構成では、ピンを一方向、例えば時計回りに回転させることによって、ガイドホイールを、ガイドホイールの係合位置からガイドホイールの保管位置まで、螺旋状に移動させることができる。これによって、ガイドホイールのガイド歯形への係合が、係合解除される。ピンを反対方向、例えば反時計回りに回転させることによって、今度は、ガイドホイールを、ガイドホイールの保管位置から再びガイドホイールの係合位置へ螺旋状に移動させることができ、これによってガイドホイールを駆動歯形と再び係合させることができる。
【0037】
さらに、有利には、ロボットの1つまたは複数のホイールもまた、それらの構造設計によって、軌道または二次軌道の内部でのロボットの安定したガイドに寄与する。したがって、本発明の更なる好適な実施形態では、ロボットは少なくとも1つのホイールを備える。このホイールは、歯形支持要素の歯形に係合するように構成された係合領域と、ホイールの回転運動の際に、ホイールを歯形支持要素にガイドするガイド要素と、を備える。
【0038】
既に説明したように、摩耗物または埃などの汚染物は、これによって必要とされるロボットシステムのメンテナンスおよびダウンタイムの点で、不利な影響を与える。したがって、本発明の更なる好適な実施形態では、ロボットの1つまたは複数のホイールは、有利には、動作の間にそれ自体を洗浄できるように、係合領域は係合領域の歯空スペースを備え、ガイド要素は、係合領域の歯間スペースと接続された貫通孔を備える。これによって、汚染物は、貫通孔を通して、動作の間に係合領域の歯間スペースから押し出される。これによって、ロボットシステムは、有利には、動作の経過の間に、それ自体を洗浄する。
【0039】
本発明の更なる好適な実施形態では、例えば、そのような貫通孔を備えるホイールは、ドライブホイール、および/またはガイドホイールの1つ、および/または二次ドライブホイール、および/または二次ガイドホイールの1つ、である。
【0040】
本発明では、ガイドおよび駆動要素は、もちろん、別個の構成部品とすることができる。しかしながら、有利には、これらの構成部品の特性は、二重機能の範疇において、ガイドおよび駆動要素の少なくとも1つの機能を実行する構成部品においても、組み合わせることができる。これによって、全体として、ロボットに必要とされる部品がより少なくなる。したがって、ロボットシステムは、よりコンパクトであり、構造的により単純な構造を有し、より費用効率を高めて製造可能である。したがって、好適な実施形態では、ガイドの1つが駆動要素であり、このガイドのガイド歯形が駆動歯形であり、このガイドのガイド歯形に係合するガイドホイールがドライブホイールである。
【0041】
この原理は、追加的または代替的に、二次ガイドの少なくとも1つに対しても適用可能である。したがって、本発明の更なる好適な実施形態では、二次ガイドの1つは二次駆動要素であり、この二次ガイドの二次ガイド歯形が二次駆動歯形であり、この二次ガイドの二次ガイド歯形に係合する二次ガイドホイールが二次ドライブホイールである。
【0042】
基本的に、本発明によるロボットシステムのロボットは、例えば、無線データ通信および/または無線によるエネルギの取り込み用に構成することができる。無線によるエネルギの取り込みは、例えば、誘導的に、特に軌道および/または二次軌道から行うことができる。しかしながら、発明者は、まさに産業分野で使用される場合、多数の干渉信号がロボットシステムにおける無線データ通信を著しく妨害することを見出した。したがって、本発明の好適な実施形態では、軌道はデータラインを備え、ロボットシステムは、データラインを介してロボットとデータ通信するように構成された通信装置を備える。データ通信装置および/またはデータラインは、本発明では、例えば、高周波データ通信用に構成されている。データラインとロボットとの間のデータ通信は、例えば、アンテナ、近接場カプラ、および/またはロボットの方向性結合器要素を用いて、無線で行うことができる。方向性結合器要素は、例えば、データラインと共に構成できる。
【0043】
ここで、本発明の更なる好適な実施形態におけるように、有利には、ロボットシステムは、データラインを介してロボットに電気エネルギを供給するように構成されたエネルギ供給装置を備える。換言すると、この実施形態では、データラインは、データラインおよびエネルギラインとしての、すなわち二重機能を有する。好適には、データラインでは、データ信号と、ロボットのエネルギ供給のための、例えばそのモータ駆動ユニットおよび/またはツールのための電気エネルギと、が、データラインの共通の導電体を介して搬送される。
【0044】
本発明では、データラインは、例えば、本発明の好適な実施形態におけるように、シールドよって完全に囲まれていないオープンデータラインセクションおよび/またはストリップラインを含むことができる。データラインは、例えば、漏洩波導体として設計されている場合、シールドによって完全に囲まれていない複数のオープンデータラインセクションを有する。ストリップラインは、この実施形態では、例えば1つまたは複数の導電体を、例えば誘電体に適用される導電性ストリップの形態で備えることができる。誘電体は、例えば、接着剤などの化学的固定剤であり得る。好適には、ストリップラインは、マイクロストリップラインである。マイクロストリップラインでは、1つまたは複数の導電体が、誘電体によって導電性接地面から分離されている。
【0045】
更なる好適な実施形態では、駆動要素および/または駆動歯形はデータラインを含む。ここで、駆動要素または駆動歯形は、有利には、本発明によるデータラインとしても機能する。この二重機能によって、データラインは、もはや別個に駆動要素および/または駆動歯形のために提供される必要がない。例えば、この実施形態における駆動要素は、ストリップライン構造を有する変更された歯付ベルトおよび/または変更された歯付ラックであり得る。このために、例えば、導電体を、誘電体として機能する歯付ベルトにミリングすることができる。任意選択的に、この場合、導電性接地面を、歯付ベルトの下に配置することもできる。その結果、そのように変更された歯付ベルトは、マイクロストリップ構造を有する。対応して、例えば、ガイドの1つ、および/またはガイドの1つのガイド歯形は、同時に、本発明によるデータラインとしても機能する。
【0046】
したがって、更なる好適な実施形態では、ガイドの1つ、および/またはガイドの1つのガイド歯形は、データラインを備える。
【0047】
発明者は、本発明によるデータラインがどのように構造的に設計されているかにかかわらず、データラインから分岐する1つの二次データライン、またはデータから分岐する複数の二次データラインでは、特にデータ信号では、これらの分岐において信号損失が生じることを見出した。発明者は、これらの信号損失は、二次データラインの分岐、または分岐における二次データラインが、それぞれの分岐におけるインピーダンスの変化をもたらすことに起因する、と判断した。発明者は、本発明の更なる実施形態では、以下によってこの問題を解決した。すなわち、ロボットシステムは、データラインの分岐領域と電気的に接続された二次データラインを含み、データラインの分岐領域は分岐インピーダンスを有し、分岐領域の前に配置されたデータラインの通常領域は通常インピーダンスを有し、分岐インピーダンスを通常インピーダンスに適合させるインピーダンス変更要素は、分岐領域と電気的に接続されている。通常領域は、例えば、回路的に通信装置と分岐領域との間に配置されている。
【0048】
インピーダンス変更要素は、この場合、例えば、コイルおよび/またはコンデンサなどの1つまたは複数の個別の構成部品を含むことができる、またはそれらからなる。しかしながら、この場合、個別の構成部品を例えばはんだ付けする必要があるため、インピーダンス変更要素の分岐領域との電気的接続を確立することは複雑である。しかしながら、発明者は、基本的に個別の構成部品の使用を排除する解決策を見出した。
【0049】
したがって、更なる好適な実施形態では、二次データラインは、主要部と、主要部に比較して構造的に変更された変更部と、を備える。変更部は、インピーダンス変更要素である。発明者は、すなわち、分岐部で必要とされるインピーダンスの変更を、個別の構成部品に代わって、二次データライン自体の構造設計を介して実現できることを見出した。このために、二次データラインの変更部は、例えば、ラムダクオーター変圧器(Lambda-Viertel Transformator)として構成された、主要部と比較してより細く構成されたラインとすることができる。より細い構成によって、変更部も、同時により高い抵抗を有する。これに対して追加的または代替的に、変更部は、ウィルキンソンスプリッタ(Wilkinsonsplitter)としても既知であるウィルキンソンカプラ(Wilkinsonkoppler)、および/または分岐線カプラとして構成することもできる。
【0050】
本発明では、データライン、および/またはデータラインの少なくとも1つ、および/または二次データライン、および/または二次データラインの少なくとも1つは、例えば、最終抵抗によって終端される。最終抵抗は、コンデンサを用いて、それぞれのラインに印加される電源電圧から切り離されている。
【0051】
本発明の更なる好適実施形態では、二次軌道は二次データラインを備える。この実施形態では、特に本発明の更なる好適な実施形態と関連して、有利には、二次駆動要素および/または二次駆動歯形は、二次データラインを含む。ここで、二次駆動要素または二次駆動歯形は、有利には、本発明による二次データラインとしても機能するので、二重機能を有する。したがって、ロボットシステムに必要とされる構成要素がより少なくなり、それによって、その構成が単純化される。したがって、有利には、その製造コストを低減することができる。
【0052】
同じことが、本発明の更なる好適な実施形態にも当てはまる。すなわち、二次ガイドの1つ、および/または二次ガイドの1つの二次ガイド歯形は、二次データラインを備える。
【0053】
本発明によるロボットシステムの1つまたは複数のロボットは、既に説明したように、好適には、データラインを介して電気エネルギを供給される。エネルギ供給は、この場合、例えば、ロボットのエネルギ供給要素を介して非接触で、および/またはエネルギ供給要素とデータラインとの接触を通して、実行できる。エネルギ供給要素は、例えばカーボンブラシであり得るロボットの摺動接触部として実現することができる。しかしながら、好適には、ロボットのホイールの1つが、例えば、ドライブホイール、および/またはガイドホイールの1つ、および/または二次ドライブホイール、および/または二次ガイドホイールの1つが、エネルギ供給要素である。
【0054】
エネルギ供給要素がどのように構造的に設計されているかにかかわらず、本発明の更なる好適な実施形態では、ロボットは、電気エネルギを取り込むように構成されたエネルギ供給要素を備え、通信装置は、データ通信のために、エネルギ供給要素が高周波アイドルとして作用する周波数を使用するように構成されている。この実施形態では、有利には、上述のように、ロボットのホイールの1つでもあり得るエネルギ供給要素が、高周波アイドルとして作用する。
【0055】
エネルギ供給要素は、このために、例えば、ラムダクオーター変圧器とすることができる。これは、例えば、このために適したホイール形状を選択することによって実現することができる。換言すると、この実施形態では、したがって、エネルギ供給要素が、高周波アイドルとして、またはラムダクオーター変圧器として作用するように、エネルギ供給要素の幾何学的形状がデータ通信に使用される周波数に対して調整される。これによって、エネルギ供給要素がデータラインを介して行われるデータ通信を妨げないために、これが特に有利である。もちろん、本発明では、データラインを介する通信装置とロボットとのデータ通信は、エネルギ供給装置を介して、例えばエネルギ供給要素の追加の分離点を介して行うこともできる。
【0056】
本発明では、ロボットシステムは、ロボットシステムの内部のロボットの位置を決定するように構成された位置決定装置を備えることができる。位置決定装置は、例えば、ロボットが移動する際に、および/またはロボットが静止している際に、ロボットの位置を決定するように構成することができる。
【0057】
本発明の更なる好適な実施形態では、ロボットシステムは、ロボットシステムの内部のロボットの位置を決定するように構成された位置決定装置を備える。位置決定装置は、ロボットが静止している際にロボットの位置を決定するように構成されている。これによって、ロボットシステムが低温で始動される際に、ロボットが、軌道または二次軌道に取り付けられたリミットスイッチを複雑に探索する必要がなくなる。むしろ、この実施形態では、有利には、1つまたは複数のロボットの位置は、低温での始動の際に直接に検出することができる。1つまたは複数のロボットの位置は、例えばRFIDトランスポンダを介して光学的に、例えばカメラを介して、および/またはバーコード、QRコード、および/または磁気コードを有する磁気バンドなどである軌道および/または二次軌道に取り付けられたマーキングを介して、実現される。
【0058】
しかしながら、好適には、本発明では、更なる好適な実施形態におけるように、位置決定装置は、データラインを介してロボットの位置を決定するように構成されている。ここで、有利には、データラインを介した位置決定は、比較的干渉を受けにくい。例えば、この場合の位置決定は、UWBレーダ測定(超広帯域レーダ測定)、狭帯域レーダ測定、および/またはデータラインを介した通過時間測定を介して行うことができる。これに対して追加的または代替的に、位置決定は、例えば、アクティブおよび/またはパッシブレーダトランスポンダを用いて行うことができる。好適には、本発明では、測定信号および/または識別信号を受信し、それを少なくとも1つの電子構成部品で処理し、応答信号を送信するアクティブレーダトランスポンダが使用される。
【0059】
本発明では、例えば、ロボットシステムの、1つまたは複数のロボット、および/または軌道、および/または二次軌道、および/または軌道の少なくとも一部分、および/または二次軌道の少なくとも一部分は、アクティブおよび/またはパッシブレーダトランスポンダを備えることができる。特に好適には、本発明では、少なくとも1つのロボットと、軌道の少なくとも1つまたは軌道および/または二次軌道の少なくとも1つまたは二次軌道とが、それぞれ、少なくとも1つのアクティブおよび/またはパッシブレーダトランスポンダを備える。ここで、特に好適には、アクティブトランスポンダの少なくとも1つは、更なる第2位置決定装置を備える。これによって、第2位置決定装置によって決定されたこれらの位置データを、有利には、第1位置決定装置の位置データにおける位置の曖昧性を解決するために、または一般的にロボットシステムの第1位置決定装置によって決定された位置データを補正するために、使用することができる。第2位置決定装置は、この場合、第1位置決定装置のように、例えば、測定信号および/または識別信号を受信し、それを少なくとも1つの電子構成部品において処理し、応答信号を送信するアクティブおよび/またはパッシブデータトランスポンダ、好適にはアクティブデータトランスポンダとすることができる。
【0060】
本発明の更なる好適な実施形態では、軌道は、複数の相互接続された軌道モジュールから構成されるモジュール構造を備える。ここで、有利には、軌道は特定の場所の実勢条件または必要に応じて変化する条件に容易に適合できる、または軌道は必要に応じて容易に延長できる。これは、例えば、本発明によるロボットシステムが建設自動化システムとして使用される場合に有利である。この場合、ロボットシステムは、例えば、材料加工および/または材料塗布のために構成することができる。例えば、ロボットシステムは、建物の壁に塗料を塗布するために、建物の壁の上に配置することができる。したがって、極めて一般的に、本発明によるロボットシステムは、好適には、建物の壁を加工するように構成されている。
【0061】
極めて一般的に、本発明によるロボットシステムは、例えば、建設自動化システムとして使用することができる。したがって、独立請求項は、建設自動化システムとしての本発明によるロボットシステムの使用を対象とする。
【0062】
本発明の更なる好適な実施形態では、軌道モジュールは、伸縮可能に、および/または折り畳み可能に相互接続されている。ここで、有利には、ロボットシステムは、新たな設置場所での実勢条件に容易に適合させることができる。
【0063】
本発明の更なる好適な実施形態では、位置決定装置は、軌道モジュールの少なくとも1つの軌道モジュール位置を決定するように構成されている。ここで、有利には、位置決定装置は、例えば、低温での始動の際に、ロボットに加えて軌道モジュールの位置も決定することができる。これによって、位置決定装置は、例えば、有利には、ロボットシステムが解体されて、新たな設置場所で新たに組み立てられた後などに、1つまたは複数の軌道モジュールが誤った位置にある場合に、例えばどの軌道モジュールが誤った位置にあるかユーザに指摘するなどの警告を発することができる。1つまたは複数の軌道モジュールの位置を決定するために、位置決定装置は、例えば、1つまたは複数のロボットの位置を決定するために既述したのと同じやり方を使用することができる。
【0064】
本発明の更なる好適な実施形態では、ロボットシステムおよび/またはロボットは、ロボットシステムの調整エラーを検出するように、および/またはロボットシステムおよび/またはロボットの構成要素の摩耗を検出するように構成されたセンサを備える。これは、これによって調整エラーおよび摩耗を検出することができ、したがってこれらの要因に起因する事故を事前に防止することができるため、特に安全面に関して有利である。ロボットシステムは、例えば、調整エラーおよび/または摩耗が検出されると、調整エラーまたは摩耗の修正のための、および/または緊急シャットダウンのための警告信号および/またはメッセージを発するように構成することができる。
【0065】
本発明の更なる好適な実施形態では、センサは、レーザ距離測定センサ、および/または力センサ、および/または歪センサ、および/または慣性センサ、および/またはレーザ位置センサである。この実施形態では、有利には、例えば、レーザベースのセンサは、同時に1つまたは複数のロボットの位置を決定するためにも使用することもできて、荷重および/または取り付けに依存する軸の偏向を補正できる。ここで、ロボットシステムは、例えば、これらの荷重および/または取り付けに依存する偏向を自動的に、好適にはその検出の直後に、補正するように構成することができる。
【0066】
本発明の更なる好適な実施形態では、ロボットシステムは、ロボットに加えて更なる追加ロボットを含み、ロボットは、移動の際に少なくとも2つの追加ガイドで追加ロボットをガイドする追加軌道を備える。追加軌道は、追加駆動歯形を有する少なくとも1つの追加駆動要素を備える。追加ロボットは、追加ロボットの追加モータ駆動ユニットと動作可能に接続された少なくとも1つの追加ドライブホイールを含む。追加ドライブホイールは、追加ロボットが追加軌道上を移動する際に追加駆動歯形に係合する。この実施形態では、有利には、ロボット自体が、追加ロボットのための追加軌道のキャリアである。これによって、ロボットを用いてロボットの内部の任意の位置に、追加軌道を移動させることができる。換言すると、この実施形態では、ロボットの移動を介して、追加ロボットのための軌道の進路を柔軟に変更することができる。
【0067】
ロボットシステムが複数のロボットを有する限り、もちろん、複数のロボット、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、および/または少なくとも25のロボットは、それぞれ、本発明による追加軌道を備える。追加ロボットは、この実施形態では、例えば、追加軌道なしで、しかしながらその他の点では構造的にロボットと同一に設計することができる。しかしながら、基本的に、追加ロボットがロボットと同一であるように設計され、したがって同様に本発明による追加軌道を備えることも可能である。したがって、換言すると、この実施形態では、追加軌道は、軌道に対して、および/または二次軌道に対して、および/または軌道の一部に対して、および/または二次軌道の一部に対して、構造的に同様に構成することもできる。
【0068】
本発明によるロボットシステムは、移動可能なロボットおよび/または追加ロボットに加えて、例えば、少なくとも1つの静止ロボットを備えることができる。静止ロボットは、例えば、ロボットアームを備える、および/またはワークピースを搬送するように構成することができる。これに対して追加的または代替的に、静止ロボットは、例えば材料加工ツールおよび/または材料塗布ツールのようなツールを備えることもできる。
【0069】
静止ロボットは、本発明の意味において、軌道および/または二次軌道および/または追加軌道と、例えば解除可能な接続を用いて接続することができる。および/または、静止ロボットは、本発明の意味において、軌道および/または二次軌道および/または追加軌道との解除可能な接続を形成するように構成することができる。これによって、静止ロボットを、解除可能な接続を解除することによって、有利には、必要な場合に、ロボットシステムの内部の別の位置に特に簡単に移動することができて、そこで対応する新しい解除可能な接続を構成することによって新たに固定できる。解除可能な接続は、相互接続された構成要素を損傷することなく再び解除することができる接続である。本発明において、解除可能な接続は、例えば、摩擦結合的な接続および/または形状結合的な接続である。静止ロボットは、例えば、付勢を用いて、特に少なくとも1つのそのホイールを介して実現される付勢を用いて、軌道および/または二次軌道および/または追加軌道と、本発明の意味において接続することができる。および/または、静止ロボットは、ロボットシステムの軌道および/または二次軌道および/または追加軌道と、そうした解除可能な接続を形成するように構成することができる。例えば、移動可能なロボットのために既に説明された摩擦結合的な付勢の可能性を、本発明の範囲で、対応して静止ロボットにおいて使用することができる。
【0070】
本発明によるロボットシステムの1つの構成部品に関する説明および開示は、これらが更なる構成部品の具体的な説明および開示と矛盾しない限り、本発明によるロボットシステムの全ての更なる構成部品にも準用される。例えば、本発明による軌道に関する説明および開示は、これらが二次軌道または追加軌道に関連してなされた具体的な説明および開示と矛盾しない限り、二次軌道または追加軌道にも準用される。例えば、駆動要素に関する開示および説明についても同様である。また同様のことが、それらが、ガイド、二次ガイド、追加ガイド、二次駆動要素、または追加駆動要素に関連してなされた具体的な説明および開示と矛盾しない限り、ガイド、二次ガイド、追加ガイド、二次駆動要素、または追加駆動要素についてもあてはまる。
【0071】
さらに、本発明の主題に関する説明および開示は、本発明による更なる主題の具体的な説明および開示と矛盾しない限り、全ての更なる本発明による主題にも準用される。例えば、本発明によるロボットシステムに関する説明および開示は、本発明による使用に関連してなされた具体的な説明および開示と矛盾しない限り、本発明による使用にも準用される。
【0072】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の具体的な説明および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、本発明によるロボットシステム1の第1実施形態を示す。ロボットシステム1は、ロボット2と、軌道3と、を備える。軌道3はモジュール構造を有する。モジュール構造は、相互に押し込まれ、形状結合的に相互接続された2つの軌道モジュール3a、3bからなる。矢印Aによって示されるように、軌道モジュール3aを軌道モジュール3bから引き出し、再び軌道モジュール3bに押し戻すことができる。これによって、軌道モジュール3aおよび3bが、伸縮可能に相互接続されている。
図1において同様に見られるように、軌道モジュール3aは、それぞれのガイド歯形310a、320aを有する2つのガイド31a、32aを備え、軌道モジュール3bは、それぞれのガイド歯形310b、320bを有する2つのガイド31b、32bを備える。ロボット2のそれぞれのガイドホイール21、22、23、および24は、ガイド歯形310a、320a、310b、320bに係合する。
図1において、ロボット2がハウジング28を備え、2つの電気モータ29aおよび29bから構成されるモータ駆動ユニットがハウジング28内に配置されていることも示される。ガイドホイール21および22は電気モータ29aと動作可能に接続され、ガイドホイール23は電気モータータ29bと動作可能に接続されている。これに対して、ガイドホイール24は、ハウジング28に回転可能に取り付けられているのみであって、モータ駆動ユニットの電気モータ29a、29bの1つと動作可能に接続されていない。したがって、ガイドホイール21、22、23は、同時にロボット2の駆動ホイールでもある。この例示的な実施形態では、したがって、ガイド31a、31bは、同時に軌道3の駆動要素でもある。
【0075】
図1において、さらに、軌道モジュール3bが第1U字形状の輪郭を備えることが分かる。ここで、軌道モジュール3bの軌道床300bは、この第1U字形状の輪郭のベースを構成し、ガイド31bおよび32bは、この第1U字形状の輪郭の脚部を形成する。したがって、この実施形態において、第1U字形状の輪郭の脚部は、ガイド31bおよび32bを備える。軌道モジュール3aは、
図1に示される実施形態において、2つの脚部301aおよび軌道モジュール3aの軌道床300aによって構成されたベースを有する第2U字形状の輪郭を備える。ガイド31a、32aは、それぞれ、脚部301aに配置されている。
【0076】
図1に示される実施形態では、ガイド31aおよび31bは、ストリップラインとして構成されている。ガイド歯形310aおよび310bは、そのために、それぞれアルミニウム製であり、それぞれのストリップラインの導電体を構成する。さらに、ストリップラインは、それぞれ、この実施形態では同様にアルミニウム製である接地面312a、312bを備える。誘電性プラスチック層311aは、ガイド歯形310aと接地面312aとの間に配置されている。対応して、誘電性プラスチック層311bも、ガイド歯形310bと接地面312bとの間に配置されている。
【0077】
ストリップラインとして構成されたそれぞれのガイド31aおよび31bは、
図1に示される実施形態では、それぞれ、ロボットシステム1の通信装置およびエネルギ供給装置と電気的に接続されている。ただし、分かり易くするために、通信装置およびエネルギ供給装置は、
図1には示されていない。
【0078】
ガイドホイール21、22、23は、この実施形態ではステンレス鋼製であり、電気モータ29aおよび29bと電気的に接続されている。電気モータ29aおよび29bには、ガイド歯形310aおよび310bを介して、またガイドホイール21、22、および23を介して、エネルギ供給装置によって電気エネルギが供給される。同時に、ストリップラインとして構成されたそれぞれのガイド31aおよび31bは、それぞれ、ロボットシステム1のデータラインとして機能する。このために、エネルギ供給装置に加えて、通信装置も、導体として機能するガイド歯形310aおよび310bそれぞれと電気的に接続されている。この実施形態では、エネルギ供給装置は電源ユニットである。電源ユニットは、分かり易くするために同様に示されていない電流供給スイッチを介して、ガイド歯形310aおよび310bに直流電圧を供給する。
【0079】
通信装置は、電流供給スイッチの結合コンデンサを介して直流電圧から分離され、結合コンデンサを介して、導体として構成されたガイド歯形310aおよび310bを介して、ならびにガイドホイール21、22、23を介して、ハウジング28の内部に配置されたロボット2の電子制御ユニットと通信する。電子制御ユニットは、分かり易くするために、
図1には示されていない。データ通信のために、通信装置は、この実施形態では、2.4ギガヘルツ(GHz)の周波数を使用する。ガイドホイール21、22、および23の幾何学的形状は、それらがデータ通信に関してラムダクオーター変圧器として作用するように選択されている。それによって、ガイドホイール21、22、および23は、データ通信に対して干渉する位置をもたらさない。
【0080】
図2において、本発明の第2実施形態が示される。
図2においては、分かり易くするために、ロボットシステム1のロボットの表示が放棄された。
図2に見られるロボットシステムは、複数の軌道4、4.1、4.2、4.3、および4.4を備える。軌道4は、軌道4.1、4.2、4.3、および4.4よりも幅広に構成されている。軌道4.1は、それぞれのガイド歯形を有する8つのガイド41、41aを備える。ここで、ガイド41は、同時に軌道4のガイドでもある。軌道4のガイド41bは、この実施形態では軌道床または二次軌道床としての役割を果たすアルミニウム板6上に、ねじ410bでねじ留めされている。分かり易くするために、
図2においては、2つのねじ410bのみに参照番号が付されている。二次軌道5.1、5.2、および5.3も、それぞれ複数の二次ガイドを備える。分かり易くするために、
図2の二次軌道5.1の二次ガイド51のみに参照番号が付されている。同じ理由でから、
図2の軌道4、4.2、4.3、および4.4の更なるガイドには参照番号が付されていない。
【0081】
図2において同様に見られるように、データライン7は軌道4および軌道4.2に配置され、二次データライン8a、8bはそれぞれ、二次軌道5.2および5.3に配置されている。
図2において、データライン7および二次データライン8a、8bの導体のみがそれぞれ示されている。データライン7および二次データライン8a、8bは、この実施形態では、それぞれストリップラインとして構成されている。対応する導体は、この実施形態では、それぞれ、誘電体によってアルミニウム板6から分離されている。アルミニウム板6は、この場合、全てのストリップラインのための共通の接地面として機能する。給電点7.1において、データライン7は、
図2には示されていない通信装置および図示されていないエネルギ供給装置と接続されている。これらは、それぞれ、データライン7の導体を介して、または二次データライン8a、8bの導体を介して、ロボットシステム1のロボットと通信する、またはそれに電気エネルギを供給する。
【0082】
二次データライン8aは、主要部80aと、主要部80aと比較して構造的に変形されてブランチライン結合器として構成された変更部81aと、を備える。さらに、
図2において、二次データライン8bも、主要部80bと、主要部80bと比較して構造的に変形された変更部81bと、を備えることが同様に示される。変更部81bは、この場合、ウィルキンソンカプラとして構成されている。さらに
図2において、二次データライン8aが更なる変更部82aを備えることが分かる。変更部81a、81bによって、データライン7の分岐領域7b、7cにおけるインピーダンスは、分岐領域7b、7cの手前に配置された通常領域7aにおけるインピーダンスに対応する。
【0083】
図2に示す実施形態では、データラインは、軌道4、4.1、4.2、4.3、および4.4のそれぞれに配置され、二次データラインは、二次軌道5.1、5.2、および5.3のそれぞれに配置されている。これらは、それぞれ、相互に電気的に接続されている。これによって、ロボットは、全ての、軌道4、4.1、4.2、4.3、および4.4、ならびに二次軌道5.1、5.2、および5.3に沿って走行することができる。例えば、ロボットが分岐領域7bで軌道4.2から二次軌道5.2に分岐することによって、通信装置は、対応するデータラインまたは二次データラインを介して、ロボットの任意の位置でロボットと通信できる。
【0084】
もちろん、特定の説明で議論され、図に示される実施形態は、本発明の例示的な実施形態のみを表す。当業者には、本明細書の開示に照らして、広範囲の可能な変形の可能性が提供される。
【0085】
図中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を示す。
【符号の説明】
【0086】
1 ロボットシステム
2 ロボット
3 軌道
3a、3b 軌道モジュール
4、4.1、4.2、4.3、4.4 軌道
5.1、5.2、5.3 二次軌道
6 アルミニウム板
7 データライン
7a 通常領域
7b、7c 分岐領域
7.1 給電点
8a、8b 二次データライン
21、22、23、24 ガイドホイール
28 ハウジング
29a、29b 電気モータ
31a、32a、31b、32b ガイド
41、41a、41b ガイド
51 二次ガイド
80a、80b 主要部
81a、81b、82a 変更部
300a、300b 軌道床
301a 脚部
310a、320a、310b、320b ガイド歯形
311a、311b 誘電性プラスチック層
312a、312b 接地面
410b ねじ
A 矢印
【国際調査報告】