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特表2024-530068オートファジーを評価して促進するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-15
(54)【発明の名称】オートファジーを評価して促進するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20240807BHJP
   C12M 1/30 20060101ALI20240807BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/132 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/7016 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/4412 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240807BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240807BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240807BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01N1/04 G
C12M1/30
C12M1/26
A61K31/132
A61K31/05
A61K31/352
A61K31/7016
A61K31/12
A61K31/4412
A61K31/192
A61K45/00
A61P43/00 105
G01N33/50 Z
G01N33/48 S
G01N1/10 V
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024501161
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022036495
(87)【国際公開番号】W WO2023283421
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,469
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】524010099
【氏名又は名称】バイオファジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルトナー,マリー
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,イアン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
4B029
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045BA13
2G045CA25
2G045CB01
2G045DA36
2G045FB03
2G052AA28
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD12
2G052AD26
2G052AD32
2G052AD46
2G052BA02
2G052BA19
2G052BA21
2G052DA02
2G052DA12
2G052DA22
2G052DA23
2G052FD09
2G052GA27
2G052GA28
2G052GA29
2G052HB04
2G052JA02
2G052JA03
2G052JA08
2G052JA18
4B029AA09
4B029BB11
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB21
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC17
4C086EA01
4C086NA14
4C086ZB21
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA20
4C206CB14
4C206DA21
4C206FA01
4C206KA01
4C206NA14
4C206ZB21
(57)【要約】
サンプル採取キット(口腔スワブキットまたはランセットキットのいずれか)と、オートファジーを促進する1種以上の化合物とを備える、オートファジーを促進するためのシステムおよび方法。口腔スワブキットは、少なくとも1つの口腔スワブ、採取容器、保管装置、発送パッケージ、説明書一式、および少なくとも一組の手袋を含む。ランセットキットは、毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置、イソプロピルアルコールワイプまたはパッドを含む密封パケット、採取容器、保管装置、および発送パッケージを含む。本方法は、オートファジーを促進するための1種以上の化合物を、単回使用または定期購入ベースで個人に投与するステップも含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートファジーを促進するためのシステムであって、
a)サンプル採取キットと、
b)オートファジーを促進する1種以上の化合物と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記サンプル採取キットは、
a)少なくとも1つの口腔スワブと、
b)少なくとも1つの採取容器と、
c)少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
d)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式の発送パッケージと、
e)前記口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
f)少なくとも一組の手袋と、
を備える口腔スワブキットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サンプル採取キットは、
a)毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置と、
b)イソプロピルアルコールワイプまたはパッドを含む少なくとも1つの密封パケットと、
c)前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置を用いて採取された血液サンプルを受け入れるための少なくとも1つの採取容器と、
d)前記血液サンプルを含む前記採取容器を密封するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
e)さらなる処理のために企業に返送するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージと、
を備えるランセットキットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ランセットキットは、前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置の使用方法および前記血液サンプルの前記企業への返却方法についての説明書一式をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記採取容器は、前記血液サンプルを吸収するためのろ紙または他の固形物である、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記保管装置は、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコードで事前にラベル付けされている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記1種以上の化合物は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ、オレガノ、セージ、ローズマリー、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル、亜鉛、マンガン、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンからなる群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記化合物は、スペルミジン、フィセチン、およびカフェ酸である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記化合物は、トレハロース、クルクミン、レスベラトロールである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
個人のオートファジーを促進する方法であって、
a)前記個人に少なくとも1つのサンプル採取キットを提供し、それにより前記個人がサンプルを採取するステップと、
b)前記個人のオートファジーのレベルを決定するために、前記個人によって提供される前記サンプルを検査するステップと、
c)オートファジーを促進するために、1種以上の化合物を前記個人に投与するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記サンプル採取キットは、
a)少なくとも1つの口腔スワブと、
b)少なくとも1つの採取容器と、
c)少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
c)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージと、
d)前記口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
e)少なくとも一組の手袋と、
を備える口腔スワブキットである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル採取キットは、
a)毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置と、
b)イソプロピルアルコールワイプまたはパッドを含む少なくとも1つの密封パケットと、
c)前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置を用いて採取された血液サンプルを受け入れるための少なくとも1つの採取容器と、
d)前記血液サンプルを含む前記採取容器を密封するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
e)さらなる処理のために企業に返送するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージと、
を備えるランセットキットである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ランセットキットは、前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置の使用方法および前記血液サンプルの前記企業への返却方法についての説明書一式をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記採取容器は、前記血液サンプルを吸収するためのろ紙または他の固形物である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記保管装置は、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコードで事前にラベル付けされている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記1種以上の化合物は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ、オレガノ、セージ、ローズマリー、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル、亜鉛、マンガン、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物は、スペルミジン、フィセチン、およびカフェ酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物は、トレハロース、クルクミン、レスベラトロールである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与するステップには、定期購入プログラムを介して前記化合物を投与することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
オートファジーを促進するための化合物の組み合わせであって、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ、オレガノ、セージ、ローズマリー、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル、亜鉛、マンガン、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンからなる群より選択される2種以上の化合物を含む、化合物の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2021年7月8日に出願された「オートファジーを評価して促進するためのシステムおよび方法」と題する米国仮特許出願第63/219,469号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
オートファジーは、細胞の健康を維持するために細胞から損傷/変性した物質および感染性物質を一掃する身体の方法であるが、オートファジーのレベルは、人が加齢するにつれて低下する。
【0003】
従って、オートファジーを評価して促進するシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、この必要性に対処するものである。第1の実施形態において、本発明は、オートファジーを促進するためのシステムを対象とする。このシステムは、サンプル採取キットと、オートファジーを促進する1種以上の化合物とを備える。サンプル採取キットは、口腔スワブキットまたはランセットキットであり得る。
【0005】
口腔スワブキットは、少なくとも1つの口腔スワブ、少なくとも1つの採取容器、少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置、少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージ、口腔スワブの使用方法についての説明書一式、および少なくとも一組の手袋を有する。保管装置には、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコードで事前にラベル付けすることができる。
【0006】
ランセットキットは、毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置と、イソプロピルアルコールワイプまたはパッドを含む密封パケットと、ランセットまたはランセット装置を使用して採取された血液サンプルを受け入れるための採取容器と、血液サンプルを含む採取容器を保管するための保管装置と、さらなる処理のために企業に返送するための事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージとを有する。
【0007】
任意選択で、両キットは、口腔スワブ、ランセットまたはランセット装置の使用方法、および企業へのサンプルの返却方法についての説明書一式を有する。血液サンプルの採取容器は、血液サンプルを吸収するためのろ紙または他の固形物である。
【0008】
保管装置は、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコードで事前にラベル付けすることができる。
【0009】
1種以上の化合物または関連天然物抽出物もしくは乾燥物質は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、ローズマリーなどであるが、これらに限定されない)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンからなる群から選択される。
【0010】
第2の実施形態において、本発明は、個人においてオートファジーを促進する方法であって、a)個人がサンプルを採取する少なくとも1つのサンプル採取キットを個人に提供するステップと、b)個人のオートファジーのレベルを決定するために、個人によって提供されたサンプルを検査するステップと、c)オートファジーを促進するために、1種以上の化合物を個人に投与するステップとを含む方法を対象とする。投与するステップは、定期購入プログラムを介して化合物を投与することを含み得る。
【0011】
第3の実施形態において、本発明は、オートファジーを促進するための化合物の組み合わせを対象としており、その組み合わせは、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、ローズマリーなどであるが、これらに限定されない。)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンからなる群から選択される2種以上の化合物または関連天然物抽出物もしくは乾燥物質を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【0013】
図1】本発明の特徴を有する口腔スワブキットの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1のキットの使用方法の描写である。
図3】本発明の特徴を有するランセットキットの斜視図である。
図4A】スペルミジン(10μM)、フィセチン(10μM)、および両化合物の組み合わせによるオートファジー促進のウェスタンブロット分析を示す。
図4B図4Aのウェスタンブロットデータのグラフ表示である。
図5A】スペルミジン(25μM)、フィセチン(25μM)、および両化合物の組み合わせによるオートファジー促進のウェスタンブロット分析である。
図5B図5Aのウェスタンブロットデータのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される場合、以下の用語およびその変形は、当該用語が使用される文脈によって明らかに異なる意味が意図されない限り、以下に示す意味を有する。
【0015】
本明細書で使用される用語「a」、「an」、および「the」、並びに類似の参照語は、文脈上の用法がそうでないことを示さない限り、単数および複数の両方をカバーするものと解釈される。
【0016】
本開示において使用される場合、用語「comprise(備える)」、および「comprising(備える)」や「comprises(備える)」などの用語の変形は、他の添加物、成分、整数成分またはステップを除外することを意図するものではない。
【0017】
本開示において指定される全ての寸法は、例示のためのものであり、限定することを意図するものではない。さらに、これらの図に示される比率は、必ずしも縮尺通りではない。本開示を参照して当業者に理解されるように、本開示に開示される任意のシステム、任意の装置または装置の一部の実際の寸法および比率は、その意図される使用によって決定される。
【0018】
オートファジーは、細胞の機能および健康を阻害する、変性し、絡み合い、凝集した物質を細胞が分解して再利用するプロセスである。これには、損傷した細胞小器官、侵入した細菌および侵入したウイルスが含まれる。
【0019】
オートファジーは、加齢とともに減少する傾向があり、多くの関連疾患、慢性病、障害を悪化させる。
【0020】
さらに、いくつかの疾患(神経疾患、炎症、メタボリック症候群、癌など)は、アンバランスな、または低下したオートファジーの機能と関連している。従って、オートファジーは、細胞の健康にとって重要である。
【0021】
ここで図1図3を参照すると、本発明は、オートファジーを評価して促進するためのシステムおよび方法を対象とする。第1の実施形態において、システムは、個人が自分自身(または別の個人)の口腔スワブ102を入手して、その個人の個人的なオートファジーのレベルを決定するための検査を行うために口腔スワブ102を提出するための、個人が使用するための口腔キット100を備える。
【0022】
個人の裁量で、または決定されたオートファジーのレベルに基づいて、個人は次に、指定された期間、オートファジーを促進するための1種以上の化合物を摂取することができ、最終的に、口腔キット100またはランセットキット300を使用して測定することができるオートファジーの個人的なレベルを増加させることができる。
【0023】
口腔キット100は、少なくとも口腔スワブ102と採取容器104とを備える。採取容器104は、試験管、バイアル、または使用済みスワブが入れられる滅菌封筒であり得る。口腔キット100は、個人からサンプルを採取し、サンプルを企業に返却するための口腔スワブ102の使用方法の説明書106、個人のサンプルを入れた採取容器104を密封するための保管装置108(個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコード110で事前にラベル付けされている)、およびさらなる処理のために企業に返送するための事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージ(封筒または箱であり得る)112を備える。任意選択で、キット100は、少なくとも一組の手袋(図示せず)も含むことができる。
【0024】
次に図2を参照すると、口腔キット100の使用方法200が示されている。キット100を使用するため、個人は、スワブ102を内頬202の内側に対して、前から後ろへ、および後ろから前へと上下の動きでしっかりと押し当て、回転させる。細胞を採取するため、スワブ102に対して少なくとも30秒間このぬぐい取り動作を行うべきである。最大の粘膜表面からサンプルを採取することが重要であり、複数のスワブを使用してもよい。一旦採取されると、スワブ102は次に採取容器104に入れられ、検査のために、前払い式の事前にラベル付けされた発送パッケージ(封筒または箱)112に入れられて企業に返送される、事前にラベル付けされた保管装置108に入れられる。
【0025】
任意選択で、個人は、その人が検査対象者であれば、自分以外の人の内頬202をぬぐい取ることができる。
【0026】
第2の実施形態において、システムは、ランセットキット300を備えていてもよい。ランセットキット300は、毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置302と、イソプロピルアルコールワイプまたはパッド304を含む密封パケットと、ランセットまたはランセット装置302を使用して採取された血液308を受け入れるための採取容器306(この採取容器306は、血液308を吸収するためのろ紙または他の乾燥物質であり得る)と、血液308を含む採取容器306を密封するための保管装置310(個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコード312で事前にラベル付けされている)と、さらなる処理のために企業に返却するための事前にラベル付けされた発送パッケージ(封筒または箱)314とを備える。ランセットキット300はまた、ランセットまたはランセット装置302を使用する方法および血液サンプル308を企業に返却する方法についての説明書一式316を含み得る。
【0027】
ランセットキット300を使用する方法は、a)イソプロピルアルコールワイプまたはパッド304を用いて指先または他の身体部位の皮膚を洗うステップと、b)ランセットまたは自動ランセット装置302を用いて皮膚を刺して、毛細血管血液308の滴が形成されるようにするステップと、c)血液308を採取容器306(血液308が吸収されるろ紙または他の固体テンプレート材)上に沈着させるステップと、d)採取容器306上で血液308が乾燥した後、血液サンプル308/採取容器306を事前にラベル付けされた保管装置310に入れるステップと、e)前払い式の事前にラベル付けされた発送パッケージ(封筒または箱)314を使用して保管装置310を企業に郵送するステップと、を含む。
【0028】
キット100、300のいずれかまたは両方を注文すると、顧客/個人は事前登録を行い、連絡先情報を含む秘密ポータルサイトを設定する。顧客がキット100、300を受け取る際、顧客はまた、顧客に固有であり、顧客の名前、連絡先およびその他の情報を含むバーコード110、312を有する、サンプル返送用の保管装置108/112、310/314を受け取る。返送用発送資材112, 314は前払い式であり、サンプルを企業に返送するための配送先住所が印刷されたラベルが事前に付けられている。一旦分析されると、その結果は顧客のポータルサイトに掲載され、企業の分析結果と共にすぐに入手することができる。
【0029】
オートファジーマーカーは、ウェスタンブロット、イムノブロット、自動蛍光顕微鏡、質量分析法、クロマトグラフィー技術と組み合わせた質量分析法、mRNAまたは他の核酸検出技術、画像ベースの細胞計数、フローサイトメトリー、および本出願のために考案され得る他の適切な方法を含むが、これらに限定されない様々な技術を用いて、測定することができる。
【0030】
ウェスタンブロット(口腔キット100を用いた使用に限定される)は、タンパク質の混合物の中から特定のタンパク質分子を検出するために使用される検査手法である。この混合物は、特定の組織または細胞型に関連する全てのタンパク質を含み得る。ウェスタンブロットは、目的のタンパク質の大きさを評価するため、およびタンパク質の発現量を測定するためにも使用することができる。ウェスタンブロットによる定量は、オートファジーマーカーp62およびLC3-IIもしくは他の適切なマーカー、またはオートファジーのフラックスの検出と定量を含む。データは、チューブリンまたは別の一般的な細胞マーカーのレベルに対して正規化される。
【0031】
ウェスタンブロットの最初のステップは、タンパク質を直鎖状に展開させて負電荷でコーティングする洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)と混合することによって、タンパク質サンプルを調製することである。次に、ゲル電気泳動と称される方法で、タンパク質分子を大きさに応じて分離する。分離後、タンパク質は、ゲルからブロッティング膜に移される。
【0032】
タンパク質の移動が完了すると、膜には、ゲル上に元々あった全てのタンパク質のバンドがある。次に膜は、ブロッキングと呼ばれる処理にかけられ、非特異的反応が起こるのを防ぐ。次に膜は、特に目的のタンパク質に結合する一次抗体と呼ばれる抗体を使って培養される。培養後、結合していない一次抗体は洗い流され、膜は再度培養されるが、今度は、一次抗体を特に認識して結合する二次抗体を使って培養される。二次抗体は、色または光を発するレポーター酵素と結合しているため、容易に検出して画像化することができる。これらのステップにより、タンパク質の混合物の中から特定のタンパク質を検出することができる。オートファジーのマーカータンパク質は、正規化され、細胞マーカー(または細胞計数の他の方法)の機能として報告され、サンプルで得られた細胞の数に基づいてオートファジー活性の程度を決定する。
【0033】
ウェスタンブロット法の結果の一例は、図4A図4B図5A、および図5Bに見ることができる。
【0034】
クロマトグラフィー技術は、イムノアフィニティークロマトグラフィーを含むことができ、このクロマトグラフィーでは、所望のマーカーに対する抗体を含むカラムが存在するため、所望のマーカーのみを保持することができる。次いで、これらのマーカーは、カラムから排除され、例えば、高速液体クロマトグラフィーおよび/または質量分析法を使用してさらに分離されて検出され得る。
【0035】
タンパク質混合物がクロマトグラフィーで分離された後、質量分析法によってマーカーを同定する、質量分析法と組み合わせた液体クロマトグラフィー(LC-MS)を用いてマーカーを定量することもできる。具体的な手法には、液体クロマトグラフィー/トリプル四重極質量分析法(LC-MS/MS)、液体クロマトグラフィー/高分解能質量分析法(LC-HRMS)、液体クロマトグラフィー/マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(LC-MALDI-TOF)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
オートファジーの促進および/またはフラックスに関連する特異的メッセンジャーRNAは、別の利用可能なマーカーである。検出技術には、ノーザン分析、ヌクレアーゼ保護アッセイ、およびポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCRおよびQPCRを含む)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、クロマトグラフィーおよび質量分析法を、mRNAの検出に適用することもできる。
【0037】
微小管結合タンパク質1A/1B軽鎖3(LC3)は、オートファゴソームおよびオートリソソームの形成に関与するマーカータンパク質であり、通常、蛍光タンパク質タグ付きLC3プローブ(fluorescent protein-tagged LC3 probes:FP-LC3)を用いた蛍光顕微鏡法によって特徴付けられ、モニターされる。オートファジーの点は、自動顕微鏡技術を用いて数えられる。これは、流れ作業方式、例えば、画像分析ソフトウェアを用いて分析される画像を得るために、デジタルカメラ(CMOSまたはCCD)と組み合わされた明視野顕微鏡または蛍光顕微鏡を利用することができる画像ベースの細胞カウンタを構成する。これらの自動細胞カウンタは、自己完結型(内部PC)であるか、または外部コンピューターに接続されている。サンプルは、毎回同じ量が確実に分析される使い捨ての消耗品(スライドまたはカートリッジ)に収納され、正確な量のカウントが可能となる。消耗品は、計数システムの不可欠な部分であり、その性能は、結果の精度に影響する。明視野ベースの細胞カウンタは、細胞生存率分析に比色色素(例えば、トリパンブルー)を使用するのに対し、蛍光細胞カウンタは、生存率分析に蛍光色素を使用する。
【0038】
フローサイトメーターは、光が一度に1つの細胞または1つの粒子に集光される測定点を通過するフローシステムで送られる個々の細胞や粒子の特性を測定するために使用される。その後、散乱光および異なる波長の蛍光シグナルが記録される。フローサイトメーターの中には、正確な容量ポンプを使用し、数のカウントを提供できるものもある。容量ポンプを使用しないサイトメーターを使用して絶対数を得るため、ユーザーは、数のカウントを決定するために調整手段(典型的にはビーズ(beads))を導入しなければならない。
【0039】
オートファジーマーカーの大量スクリーニングを行うために、上述の技術と組み合わせて、あるいは独立して、多数の蛍光法を適応させることができる。
【0040】
口腔キット100に関して、個人の口腔スワブ102(ヒト上皮細胞と白血球(数種類)の混合物を含む)から抽出した物質を用いて、オートファジーの基礎レベルを、上述の方法の1つ以上を用いて選択したマーカーを測定することにより決定する。
【0041】
ランセットキット300に関して、採取容器306の個人の血液サンプル308から抽出された物質を用いて、オートファジーの基礎レベルを、上述の方法の1つ以上を用いて選択したマーカーを測定することにより決定する。
【0042】
この初期オートファジー活性のレベルを決定すると、オートファジー促進剤のカスタム組み合わせ(オートファジー組み合わせ製品、ACP)を顧客の治療のために選び、使用説明書とともに顧客に送る。
【0043】
ACPの処方は、1つ以上のオートファジーレポーター細胞株(例えば、ヒーラ細胞)を用いて、いくつかのオートファジー促進剤およびその相乗的/付加的組み合わせの相対的効力を評価する試験管内実験に基づいて予め決定する。薬剤の組み合わせは、それぞれの作用機序と、オートファジー経路の異なるポイントで相互作用することによってオートファジーフラックスを促進する際に、それらがどのように異なり、どのように補完しあうかとに基づいて合理的に選択する。このようにして、最小限の副作用で最大の促進が達成される。
【0044】
個人におけるオートファジーの基礎レベルに応じて、オートファジー促進剤(ACP)の画一化された組み合わせまたはカスタムの組み合わせのいずれかを設計することができる。
【0045】
オートファジー促進化合物の組み合わせ(ACP)は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、またはローズマリーなどであるが、これらに限定されない)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンのうちの1種以上の化合物または関連天然物抽出物(すなわち、化合物(複数可)を含む抽出物または乾燥物質)を含み得るが、これらに限定されない。
【0046】
ACPはまた、吸収または他の生物学的特性を改善するために、不活性賦形剤または他の化合物と組み合わせることができる。不活性賦形剤の例には、スクロース、マンニトール、クエン酸、アスコルビン酸、セルロース、キシリトール、ポリ(エチレングリコール)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0047】
処方選定の前に、化合物および組み合わせの毒性を評価する。許容可能な細胞毒性スクリーニングの例には、色素排除(例えば、トリパンブルー、ホルマザン)、プロテアーゼバイオマーカー、CellTiter-Glo luminescent cell viability assayまたは他の方法を用いたATP含量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
選択したACP薬剤を予め決められた期間(3ヶ月以上、6ヶ月、1年、2年)服用した後、個人のオートファジーのレベルが変化したかどうかを判定するために、個人は追加の口腔スワブ/ランセット検査を受ける。
【0049】
個人は、ACPプログラムを継続することができ、オートファジーのレベルが上昇したままであることを確実にするために、必要に応じて自動的に次の化合物を個人に郵送する定期購入を通じて、選択された化合物を服用する。これは、化合物の摂取に失敗すると、オートファジーのレベルおよび関連する健康上の利益が低下する可能性があるために理想的であり、したがって、再注文を忘れないようにする必要のない定期購入プログラムを通じてこれらの化合物を個人に提供することは理想的である。発送品には、定期購入の期間中、オートファジー活性をモニタリングするための1つ以上の口腔スワブ検査キット100またはランセットキット300を含めることができる。
【0050】
ACP定期購入は任意であるが、定期購入者には、定期購入者自身のオートファジーレベルをモニターできるユーザーインターフェース/ウェブポータルサイトが割り当てられる。基準値となる初期測定値と、ACP促進剤の組み合わせの長期間利用および/またはライフスタイルの変更後のオートファジーレベルとを比較するグラフィカルな分析を提供することができる。定期購入者は、個人の健康に適用される自分のデータの応用を、最新のオートファジー研究と比較して確認することができる。このサイトでは、オートファジー検査キット100、300、または追加のACP用品を注文する手段も提供する。個別カウンセリングも提供することができる。
【0051】
本発明の方法は、オートファジーを促進するために1種以上の化合物を個人に投与することにより、個人のオートファジーを促進する方法である。任意選択的に、本方法は、以下の付加的ステップを含む。
【0052】
a)個人にサンプル採取キットを提供するステップ、
【0053】
b)個人からサンプルを得るステップ、
【0054】
c)個人のオートファジーのレベルを決定するためにサンプルを検査するステップ、および
【0055】
d)オートファジーを促進するために1種以上の化合物を個人に投与するステップ。
【0056】
サンプル採取キットは、口腔スワブキット100またはランセットキット300であり得る。口腔スワブキット100は、i)少なくとも1つの口腔スワブ102、ii)少なくとも1つの採取容器104、およびiii)少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置108であって、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコード110で事前にラベル付けされた保管装置108、口腔スワブ102を含む保管装置108を返送するための前払い式で事前にラベル付けされた発送封筒または箱112を備える。任意選択的に、口腔スワブキット100は、口腔スワブ102の使用方法についての説明書一式106および少なくとも一組の手袋(図示せず)を含むことができる。
【0057】
ランセットキット300は、a)毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置302、b)イソプロピルアルコールワイプまたはパッド304を有する密封パケット、c)ランセットまたはランセット装置302を用いて得られた血液308を受け入れるための採取容器306、d)血液308を含む採取容器306を保存するための保管装置310であって、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコード312で事前にラベル付けされている保管装置310、およびe)さらなる処理のために企業に返却するための事前にラベル付けされた発送パッケージ(封筒または箱)314を備える。ランセットキット300はまた、ランセットまたはランセット装置302を使用する方法およびサンプル308を企業に返却する方法についての説明書一式316を含むことができる。任意選択的に、採取容器306は、血液308を吸収するためのろ紙または他の固形物とすることができる。
【0058】
上述したように、ACP化合物は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、ローズマリーなどであるが、これらに限定されない)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンのうちの1種以上の化合物または関連天然物抽出物もしくは乾燥物を含み得る。
【0059】
投与するステップは、1種以上の化合物を個人に経口的または局所的に投与することを含むことができ、化合物は、定期購入プログラムを介して個人に定期的に届けることができる。
【0060】
任意選択的に、個人は、化合物を利用するために定期購入プログラムに参加する必要はない。
実施例
【0061】
実施例1: オートファジー促進の決定
実験の詳細:ヒーラ細胞を、処理24時間前に6cm皿に播種し(100万細胞/皿)、翌日、コントロール溶媒(DMSO)とともに異なる化合物で処理した。化合物(スペルミジン、フィセチン)は、バフィロマイシンA1(100ng/ml)の非存在下と存在下の両方において添加した。後者のデータのみを図4A-5Bに示す。サンプルは4時間の培養後に採取した。
【0062】
ウェスタンブロットのプロトコル:細胞培養物から培地を吸引し、細胞を1X PBSで洗浄した。洗浄後、培地を再度吸引し、PBSを再度加えた。次に、細胞をプレートから掻き取り、遠心管に移し、3000rpmで5分間遠心分離機にかけた。次に、上澄みを捨て、得られた沈殿物を、プロテアーゼ阻害剤を含む溶解バッファーに溶解した。次に、溶解した沈殿物を溶解バッファー中で30~45分間培養し、12000rpmで10分間遠心分離機にかけた。遠心分離後、上澄みを清潔な管に移し(沈殿物には、膜や細胞破片が残っていた)、BCA(ビシンコニン酸アッセイ)法でタンパク質濃度を測定した。次に、サンプルを95~100℃で5分間加熱した後、冷却した。次に、必要量のタンパク質を、予め染色した分子量マーカーとともにSDS-PAGEゲルにロードし、ニトロセルロース膜に電解転写した。この膜をブロッキングバッファー内で、室温で1時間培養し、TBST(トリス緩衝生理食塩水とポリソルベート20の混合液)15mlを用いて5分間ずつ3回洗浄した。次に、膜と一次抗体を10mlの一次抗体希釈バッファー中で穏やかに攪拌しながら4℃で一晩培養した。次に、膜を15mlのTBSTを用いて5分間ずつ3回洗浄した。次に、10mlのブロッキングバッファー内で、二次抗体が結合したHRP結合色素または蛍光色素とともに、室温で1時間穏やかに攪拌しながら膜を培養した。その後、膜を15mlのTBSTを用いて5分間ずつ3回洗浄し、検出を行った。
【0063】
図4Aは、スペルミジン(10μM)、フィセチン(10μM)、および両化合物の組み合わせによるオートファジー促進のウェスタンブロット分析を示す。
【0064】
図4Bは、図4Aのウェスタンブロットデータのグラフ表示である。
【0065】
図5Aは、スペルミジン(25μM)、フィセチン(25μM)、および両化合物の組み合わせによるオートファジー促進のウェスタンブロット分析である。
【0066】
図5Bは、図5Aのウェスタンブロットデータのグラフ表示である。
【0067】
結論:これらのACP化合物は、オートファジー促進カスケードにおいて異なる位置で機能する。スペルミジンは、elF5Aレベルで作用し、直接結合を増加させ、オートファジー遺伝子の発現につながる転写因子EB(TFEB)を促進する。その一方、フィセチンは、別の段階、すなわちmTORの抑制に作用し、それによりTFEBが活性化する。これらの予備データは、化合物がオートファジーを促進するのに付加的または相乗的な効果を持つことを示しており、現在市販されている製品よりも有利である可能性がある。
【0068】
本発明には以下の利点がある。
【0069】
個人のオートファジーのレベルを確認し、希望するならオートファジーのレベルを向上するのに必要な化合物(単数または複数)を個人が受け取ることができる単純で容易な方法を提供する。
【0070】
個人がオートファジーのカスケードにおける異なるポイントで作用するオートファジー促進剤の有効性をモニターし、カスタマイズされたポータルを通じてオートファジーの専門家から指導を受けることを可能にする、便利な家庭用評価技術を提供する。
【0071】
健康志向の個人は、オートファジー添加剤と評価資料を受け取るための長期モニタリングプログラムに加入することができる。
【0072】
医師の承認は必要ない。
【0073】
結果と分析結果は、迅速に返却される。
【0074】
結果は、デジタル機器で利用可能である。
【0075】
オートファジー研究についての最新情報が消費者/個人に直接届けられる。
【0076】
本発明を、特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明してきたが、他の実施形態も可能である。例えば、本方法について開示されたステップは、限定することを意図するものではなく、また、各ステップが方法にとって必ずしも必須であることを示すことを意図するものでもなく、代わりに例示的なステップにすぎない。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示に含まれる好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。本明細書において引用される全ての参考文献は、参照により組み込まれる。
【0077】
本発明の特徴は以下の通りである。
1.口腔スワブキットは、
a)少なくとも1つの口腔スワブと、
b)少なくとも1つの採取容器および事前にラベル付けされた保管装置と、
c)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式の発送パッケージ(封筒または箱)と、
d)口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
e)少なくとも一組の手袋と、
を備える。
2.オートファジーを促進するためのシステムは、
a)口腔スワブキットであって、
i)少なくとも1つの口腔スワブと、
ii)少なくとも1つの採取容器および事前にラベル付けされた保管装置と、
iii)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式の発送パッケージ(封筒または箱)と、
iv)口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
v)少なくとも一組の手袋と、
を備える口腔スワブキットと、
b)オートファジーを促進する1種以上の化合物と、
を備える。
3.特徴2のシステムであって、ACP化合物は、関連する天然物抽出物または乾燥物質を含む、以下の一般薬または他のオートファジー促進剤のうちの少なくとも2つを含み得るものであり、一般薬または他のオートファジー促進剤は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、ローズマリーなどであるが、これらに限定されない)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンである。
4.個人のオートファジーを促進する方法は、
a)個人に、
i)少なくとも1つの口腔スワブと、
ii)少なくとも1つの採取容器および事前にラベル付けされた保管装置と、
iii)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式の発送パッケージ(封筒または箱)と、
iv)口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
v)少なくとも一組の手袋と、
を備えた口腔スワブキットを提供するステップと、
b)個人のオートファジーのレベルを決定するために、個人から提供された口腔スワブサンプルを検査するステップと、
c)オートファジーを促進するために1種以上の化合物を投与するステップと、
を含む。
5.特徴4の方法において、ステップc)の化合物であるACP化合物は、関連する天然物抽出物または乾燥物質を含む、以下の一般薬または他のオートファジー促進剤のうちの少なくとも2つを含み得るものであり、一般薬または他のオートファジー促進剤は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、ローズマリーなどであるが、これらに限定されない)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンである。
6.特徴4の方法において、投与するステップは、定期購入プログラムを介して化合物を投与することを含む。
7.オートファジーを促進するための化合物であって、ACP化合物は、関連する天然物抽出物または乾燥物質を含む、以下の一般薬または他のオートファジー促進剤のうちの少なくとも2つを含み得るものであり、一般薬または他のオートファジー促進剤は、レスベラトロール、クルクミン/ターメリック、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ケルセチン、ジンジャー、ルチン、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ(例えば、オレガノ、セージ、ローズマリーなどであるが、これらに限定されない)、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、高麗人参、アニス、ミネラル(例えば、亜鉛、マンガンなどであるが、これらに限定されない)、ブドウ種子抽出物、R-αリポ酸、大豆脂質抽出物、トレハロース、カフェ酸、およびサリシンである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートファジーを促進するためのシステムであって、
a)少なくとも1つの口腔スワブを備える家庭用サンプル採取キットと、
b)オートファジーを促進する1種以上の化合物と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記サンプル採取キットは、
)少なくとも1つの採取容器と、
)少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式の発送パッケージと、
)前記口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
)少なくとも一組の手袋と、
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ランセットキットを備える、オートファジーを促進するためのシステムであって、
前記ランセットキットは、
a)毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置と、
b)イソプロピルアルコールワイプまたはパッドを含む少なくとも1つの密封パケットと、
c)前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置を用いて採取された血液サンプルを受け入れるための少なくとも1つの採取容器と、
d)前記血液サンプルを含む前記採取容器を密封するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
e)さらなる処理のために企業に返送するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージと、
f)オートファジーを促進する1種以上の化合物と、
を備える、システム。
【請求項4】
前記ランセットキットは、前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置の使用方法および前記血液サンプルの前記企業への返却方法についての説明書一式をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記採取容器は、前記血液サンプルを吸収するためのろ紙または他の固形物である、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記保管装置は、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコードで事前にラベル付けされている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記1種以上の化合物は、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ジンジャー、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ、オレガノ、セージ、ローズマリー、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、アニス、ミネラル、亜鉛、マンガン、ブドウ種子抽出物、大豆脂質抽出物、カフェ酸、およびサリシンからなる群より選択される、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項8】
前記1種以上の化合物は、スペルミジン、フィセチン、およびカフェ酸である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1種以上の化合物は、スペルミジンである、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
個人のオートファジーを促進する方法であって、
a)サンプルを採取するために前記個人に少なくとも1つのサンプル採取キットを提供するステップと、
b)前記個人のオートファジーのレベルを決定するために、前記個人によって提供された前記サンプルを検査するステップと、
c)前記個人のオートファジーのレベルに基づいて前記個人のオートファジーを促進するため1種以上の化合物の処方をカスタマイズするステップと、
d)オートファジーを促進するために前記個人に前記処方を投与するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記サンプル採取キットは、
a)少なくとも1つの口腔スワブと、
b)少なくとも1つの採取容器と、
c)少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
c)少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージと、
d)前記口腔スワブの使用方法についての説明書一式と、
e)少なくとも一組の手袋と、
を備える口腔スワブキットである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプル採取キットは、
a)毛細血管採血用の少なくとも1つの滅菌ランセットまたは自動ランセット装置と、
b)イソプロピルアルコールワイプまたはパッドを含む少なくとも1つの密封パケットと、
c)前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置を用いて採取された血液サンプルを受け入れるための少なくとも1つの採取容器と、
d)前記血液サンプルを含む前記採取容器を密封するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた保管装置と、
e)さらなる処理のために企業に返送するための、少なくとも1つの事前にラベル付けされた前払い式発送パッケージと、
を備えるランセットキットである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ランセットキットは、前記滅菌ランセットまたは前記自動ランセット装置の使用方法および前記血液サンプルの前記企業への返却方法についての説明書一式をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記採取容器は、前記血液サンプルを吸収するためのろ紙または他の固形物である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記保管装置は、個々の顧客および他の関連情報を指定するバーコードまたはQRコードで事前にラベル付けされている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記1種以上の化合物は、スペルミジン、フィセチン、ベベリン、ジンジャー、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ、オレガノ、セージ、ローズマリー、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、アニス、ミネラル、亜鉛、マンガン、ブドウ種子抽出物、大豆脂質抽出物、カフェ酸、およびサリシンからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記1種以上の化合物は、スペルミジン、フィセチン、およびカフェ酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1種以上の化合物は、スペルミジンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与するステップには、定期購入プログラムを介して前記化合物を投与することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
オートファジーを促進するための化合物の組み合わせであって、ペルミジン、フィセチン、ベベリン、ジンジャー、ブラックペッパー、オリドニン、エボジアミン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、テアニン、シトラスベルガモット、ハーブ、オレガノ、セージ、ローズマリー、イソリキリチゲニン、α-マンゴスチン、ウォゴニン、ボスウェリア、ルテオリン、ピペルロングミン、プテロスチルベン、小麦胚芽抽出物、ブラダーラック抽出物、アニス、ミネラル、亜鉛、マンガン、ブドウ種子抽出物、大豆脂質抽出物、カフェ酸、およびサリシンからなる群より選択される2種以上の化合物を含む、化合物の組み合わせ。
【請求項21】
前記サンプルを検査するステップには、p62、LC3-II、および微小管結合タンパク質1A/1B軽鎖3からなる群より選択される1つ以上のマーカーを測定することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上のマーカーは、チューブリンのレベルに対して正規化される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1種以上の化合物は、スペルミジン、レスベラトロール、およびルテオリンである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項24】
前記1種以上の化合物は、トレハロース、レスベラトロール、およびルテオリンである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項25】
前記1種以上の化合物は、クルクミン、トレハロース、およびピペルロングミンである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項26】
前記1種以上の化合物は、スペルミジン、カフェ酸、およびピペルロングミンである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項27】
前記1種以上の化合物は、フィセチン、クルクミン、およびレスベラトロールである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項28】
前記1種以上の化合物は、クルクミンおよびケルセチンである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項29】
前記1種以上の化合物は、フィセチンおよびウォゴニンである、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項30】
前記1種以上の化合物は、スペルミジンおよびカフェ酸である、請求項1または3に記載のシステム。
【国際調査報告】