(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-15
(54)【発明の名称】再生可能な油から石油代替物及びそれを含む潤滑剤への複数の生成物経路
(51)【国際特許分類】
C10G 3/00 20060101AFI20240807BHJP
C10G 50/02 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10G50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504158
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022073996
(87)【国際公開番号】W WO2023004381
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524029068
【氏名又は名称】エボルブ ルブリカンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】リー リチャード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】カーカム トーマス エル. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン エリック
(72)【発明者】
【氏名】ドイル マイケル
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA03
4H129BA11
4H129BB04
4H129BC04
4H129BC14
4H129BC37
4H129BC50
4H129CA14
4H129CA19
4H129DA13
4H129KA04
4H129KC03X
4H129KD15X
4H129KD16X
4H129KD17X
4H129KD20X
4H129KD24X
4H129KD27Y
4H129NA26
(57)【要約】
再生可能な油からの、アルファオレフィン、再生可能なディーゼル、合成ガソリン、及びアシル-グリセリドを含む、再生可能な炭化水素の生成のための方法が本明細書に記載されている。また、(a)特定の再生可能な油混合物を適切な遊離脂肪酸特徴とブレンドすることと、(b)遊離脂肪酸の酸加水分解、及びその後の、不飽和鎖及び飽和鎖の精製と、(c)飽和部分を再生可能なディーゼルへと変換することと、(d)アルファオレフィンを形成するためにエテノリシスを介して不飽和遊離脂肪酸を反応させること、次いで、グリセロリシスを介して残りの遊離脂肪酸を合成ガソリンまたはアシル-グリセロールのいずれかへと変換することと、を含む、生成のための方法も含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリグリセリドを含む再生可能な油からベースオイルを調製するための方法であって、
f)
i)飽和遊離脂肪酸及び不飽和遊離脂肪酸を含む、遊離脂肪酸混合物と、
ii)グリセリンと、
を含む混合物を生成するために、前記再生可能な油を酸性化させる工程、
g)前記脂肪酸の混合物から前記グリセリンを単離する工程、
h)前記不飽和遊離脂肪酸から前記飽和遊離脂肪酸を分離する工程、
i)
i)アルファオレフィンと、
ii)短鎖不飽和脂肪酸、任意選択的に、C6~C12またはC8~C12短鎖不飽和脂肪酸と、
を含む混合物を調製するために、前記不飽和遊離脂肪酸をエテノリシスに供する工程、ならびに
j)混合物を生成するためにa)からの前記グリセリンをd)の前記短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分と合わせる工程、及び前記混合物をグリセロリシスに供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記方法が、飽和炭化水素を生成するために、d)の前記短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分を脱炭酸させる工程を更に含み、
任意選択的に、前記脱炭酸が、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)において、前記再生可能な油が、酸性化の前に精製される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記再生可能な油を精製することが、清澄化、脱ガム化、漂白、及び/または濾過を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
a)において、前記再生可能な油を酸性化させる工程が、有機画分及び水性画分を提供するために、前記再生可能な油を水性酸及び有機溶媒と接触させることを含み、
前記有機画分が、前記遊離脂肪酸混合物を含み、前記水性画分が、前記グリセリンを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
a)において、前記再生可能な油を酸性化させる工程が、前記再生可能な油と水との混合物を好適な圧力で加熱することを含む、請求項1または5に記載の方法。
【請求項7】
以下:
i)再生可能な油対水の比が、前記再生可能な油及び水の総重量に基づいて、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲であること、
ii)前記混合物が、約100℃~約350℃、約200℃~約300℃、または約250℃~約275℃の範囲の温度まで加熱されること、ならびに
iii)前記圧力が、約500psi~約1000psi、約700psi~約900psi、または約800psi~約900psiの範囲であること、
のうちの1つ以上を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性化させる工程が、2回以上繰り返される、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、H
2SO
4、HCl、及びH
3PO
4のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機画分が、90重量%~約100重量%の遊離脂肪酸と、約0重量%~約10重量%のグリセリンと、を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記有機画分が、約90重量%の遊離脂肪酸と、約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記有機画分が、少なくとも約50~約100重量%、約60~約100重量%、約70~約100重量%、約80~約100重量%、約90~約100重量%、約60~約90重量%、または約70~約80重量%の遊離脂肪酸を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
c)において、前記不飽和脂肪酸からの前記飽和脂肪酸の前記分離が、温度依存的な溶媒抽出を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
a)の前記飽和遊離脂肪酸が、短鎖飽和遊離脂肪酸、任意選択的に、C8~12飽和遊離脂肪酸、及び長鎖飽和遊離脂肪酸、任意選択的に、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22飽和遊離脂肪酸へと分離される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記長鎖脂肪酸の脱炭酸を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記脱炭酸が、Al
2O
3上のMo、Al
2O
3上のMgO、及びAl
2O
3上のNiから選択される触媒を含み、任意選択的に、単一段階連続プロセス及び/または亜臨界水を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エテノリシスが、任意選択的に、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムから選択される、触媒を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記不飽和遊離脂肪酸が、長鎖不飽和遊離脂肪酸を含む、及び/またはそれからなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
任意選択的に、不均一触媒の存在下での、任意選択的に、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、及び/またはアルファオレフィン五量体を提供する、オリゴマー化によって、前記短鎖不飽和脂肪酸から前記アルファオレフィンを分離する工程を更に含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記不均一触媒が、金属、金属酸化物、金属塩、または有機材料(例えば、有機ヒドロペルオキシド、イオン交換体、及び酵素)から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
任意選択的に、水素の存在下で、または不活性条件下で、前記アルファオレフィンを異性化させる工程を更に含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記異性化が、Parr反応器内部で実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
異性化反応の温度条件が、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲である、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
異性化反応の圧力条件が、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲である、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記不均一触媒が、AlCl
3及びBF
3から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記グリセロリシスが、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記グリセロリシスが、塩基触媒され、任意選択的に、前記触媒が、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択されるメトキシドである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
トリグリセリドを含む再生可能な油からベースオイルを調製するための方法であって、
e)
i)飽和脂肪酸エステル及び不飽和脂肪酸エステルを含む、脂肪酸エステル混合物と、
ii)グリセリンと、
を含む混合物を生成するために、前記再生可能な油をエステル交換する工程、
f)前記脂肪酸エステル混合物から前記グリセリンを単離する工程、
g)前記不飽和脂肪酸エステルから前記飽和脂肪酸エステルを分離する工程、
h)
i)アルファオレフィンと、
ii)短鎖不飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C6~C12またはC8~C12短鎖不飽和脂肪酸エステルと、
を含む混合物を調製するために、前記不飽和脂肪酸エステルをエテノリシスに供する工程、
を含む、前記方法。
【請求項29】
a)において、前記再生可能な油が、酸性化の前に精製される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記再生可能な油を精製することが、清澄化、脱ガム化、漂白、及び/または濾過を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
a)において、前記エステル交換する工程が、前記再生可能な油を、任意選択的に触媒の存在下で、アルコール、任意選択的にメタノールと反応させることを含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
c)において、前記不飽和脂肪酸エステルからの前記飽和脂肪酸エステルの前記分離が、温度依存的な溶媒抽出を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項33】
a)の前記飽和脂肪酸エステルが、短鎖飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C8~12飽和脂肪酸エステル、及び長鎖飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22飽和脂肪酸エステルへと分離される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
i)d)の前記短鎖不飽和脂肪酸エステルの少なくとも一部分を短鎖不飽和脂肪酸へと変換する工程、及び
j)飽和炭化水素を生成するために、e)の前記短鎖不飽和脂肪酸を脱炭酸させる工程、
を更に含み、
任意選択的に、前記脱炭酸が、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、
k)前記長鎖脂肪酸エステルを長鎖脂肪酸へと変換する工程、及び
l)飽和炭化水素を生成するために、g)の前記長鎖脂肪酸の少なくとも一部分を脱炭酸させる工程、
を更に含み、
任意選択的に、前記脱炭酸が、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記脱炭酸が、Al
2O
3上のMo、Al
2O
3上のMgO、及びAl
2O
3上のNiから選択される触媒を含み、任意選択的に、単一段階連続プロセス及び/または亜臨界水を含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記エテノリシスが、任意選択的に、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムから選択される、触媒を含む、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記不飽和脂肪酸エステルが、長鎖不飽和脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれからなる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
任意選択的に、不均一触媒の存在下での、任意選択的に、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、及び/またはアルファオレフィン五量体を提供する、オリゴマー化によって、前記短鎖不飽和脂肪酸エステルから前記アルファオレフィンを分離する工程を更に含む、請求項28~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記不均一触媒が、金属、金属酸化物、金属塩、または有機材料(例えば、有機ヒドロペルオキシド、イオン交換体、及び酵素)から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
任意選択的に、水素の存在下で、または不活性条件下で、前記アルファオレフィンを異性化させることを更に含む、請求項28~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記異性化が、Parr反応器内部で実施される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記異性化反応の温度条件が、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記異性化反応の圧力条件が、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲である、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記不均一触媒が、AlCl
3及びBF
3から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、混合物を生成するためにa)からの前記グリセリンをe)の前記短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分と合わせる工程、及び前記混合物をグリセロリシスに供する工程を更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記グリセロリシスが、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記グリセロリシスが、塩基触媒され、任意選択的に、前記触媒が、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択されるメトキシドである、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記再生可能な油が、種子油、植物油、及び動物由来油から選択される1つ以上を含むか、またはそれらからなる、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記再生可能な油が、菜種油、大豆油、ヒマシ油から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記再生可能な油が、家禽、牛肉、及び魚のうちの1つ以上に由来する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか1項に記載の方法から調製される、ベースオイル。
【請求項53】
請求項1~51のいずれか1項に記載の方法から調製される、再生可能なアルファオレフィン。
【請求項54】
請求項1~51のいずれか1項に記載の方法から調製される、再生可能なディーゼル。
【請求項55】
請求項1~51のいずれか1項に記載の方法から調製される、合成ガソリン。
【請求項56】
請求項1~51のいずれか1項に記載の方法から調製される、不飽和アシルグリセリド。
【請求項57】
請求項1~51のいずれか1項に記載の方法から調製される、不飽和アシルグリセリド。
【請求項58】
潤滑剤であって、以下:
a)前記潤滑剤の総重量の約50重量%~約70重量%の範囲の量の飽和炭化水素ベースオイルであって、前記飽和炭化水素ベースオイルが、C14~C18オレフィンモノマーのオリゴマーを含み、前記オリゴマーが、29~36の範囲の平均炭素数を有する、前記飽和炭化水素ベースオイルと、
b)前記潤滑剤の総重量の約1重量%~約30重量%の範囲の量、任意選択的に、約1.4重量%、約1.80重量%、約3.2重量%、約4.13重量%、約5.2重量%、約16.25重量%、または約26重量%の量の粘度調整剤と、
c)前記潤滑剤の総重量の約10重量%~約15重量%の範囲の量、任意選択的に、約12.3重量%の量の界面活性剤と、
d)前記潤滑剤の総重量の約0.1重量%~約1重量%の範囲の量、任意選択的に、約0.3重量%の量の流動点降下剤と、
を含む、前記潤滑剤。
【請求項59】
前記オリゴマーが、二量体、三量体、四量体、及び/または五量体、任意選択的に二量体を含む、及び/またはそれからなる、請求項58に記載の潤滑剤。
【請求項60】
前記飽和炭化水素ベースオイルが、以下の特性:
a)ASTM D5800及び/またはCEC L-40-A-93によって測定されるNoack揮発性が、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、または約9%未満、任意選択的に、約7.4%であること、
b)D2710-09に従って判定される臭素指数が、約1000mgのBr
2/100gを下回るか、約500mgのBr
2/100gを下回るか、または約200mgのBr
2/100gを下回ること、
c)
1H NMRによって判定される平均分岐指数(BI)が、約22~約26の範囲にあること、
d)
13C NMRによって判定される平均パラフィン分岐近接性(BP)が、約18~約26の範囲にあること、
e)ASTM D2270に従って判定される粘度指数が、約125以上、約130以上、約135以上、または約140以上であること、
f)ASTM D97に従って判定される流動点が、約-20℃未満、約-27℃未満、約-30℃未満、約-33℃未満、約-36℃未満、約-39℃未満、または約-42℃未満であること、
g)ASTM D5293によって-35℃で測定されるコールドクランク模擬(CCS)動的粘度が、約1800cP未満、約1700cP未満、約1600cP未満、約1500cP未満、約1400cP未満、約1300cP未満、約1200cP未満、または約1100cP未満であること、ならびに
h)ASTM D445-17aによって測定されるKV(100)が、約3.7cSt~約9.7cSt、または約3.7cSt~約4.8cStの範囲にあること、
のうちの1つ以上を呈する、請求項58に記載の潤滑剤。
【請求項61】
前記飽和炭化水素ベースオイルが、前記潤滑剤の総重量の約50重量%~約60重量%の範囲の量のSynNova4、及び前記潤滑剤の総重量の約3重量%~約7重量%の範囲の量のSynNova9を含む、請求項58~60のいずれか1項に記載の潤滑剤。
【請求項62】
前記粘度調整剤が、Infineum SV603及びInfineum SV261Lのうちの1つ以上を含み、前記界面活性剤が、Infineum P6003を含み、前記流動点降下剤が、Infineum V385を含む、請求項58~61のいずれか1項に記載の潤滑剤。
【請求項63】
a)前記潤滑剤の総重量の約56重量%~約57重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約4.5重量%~約5.5重量%の範囲の量のSynNova9を含む、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)前記潤滑剤の総重量の約25.5重量%~約26.5重量%の範囲の量のInfineum SV603を含む、粘度調整剤と、
c)前記潤滑剤の総重量の約12重量%~約13重量%の範囲の量のInfineum P6003を含む、界面活性剤と、
d)前記潤滑剤の総重量の約0.2重量%~約0.4重量%の範囲の量のInfineum V385を含む、流動点降下剤と、
を含む、請求項58~62のいずれか1項に記載の潤滑剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月21日出願の米国仮特許出願第63/224,245号及び2021年8月12日出願の同第63/232,566号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示の態様は、概して、長鎖及び短鎖アルファオレフィン、飽和炭化水素、ならびにアシル-グリセリドの形成のためのプロセスを含む、様々な産業のための複数の独自の再生可能な炭化水素生成物の単一の生成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
世界経済に関連して、再生不可能な資源の枯渇と相まったエネルギー需要の増加によって、エネルギー及び材料を作製する方式に大きなパラダイムシフトが必要であることが認識されている。環境問題への懸念は、産業がこれまで以上に代替資源を模索することを余儀なくしている。したがって、過去数十年において、石油系材料を生物由来の有機材料に置換することが、ますます多くの研究機関及び企業の焦点となっている。現在、石油源から生成されている多くの燃料タイプ及び化学物質の代替的な前駆体として、炭水化物、グリセロール、遊離脂肪酸、リグノセルロース、及びアミノ酸などの有機構成成分が研究されている。現在、高性能バイオ潤滑剤及びカーボンネガティブな選択肢が完全に不足しており、したがって、製造業者の性能仕様を満たすことが可能な非石油生成物が存在しないことに起因して、産業は、やむなく、石油潤滑剤を利用している。
【発明の概要】
【0004】
概要
態様では、本開示は、トリグリセリドを含む再生可能な油からベースオイルを調製するための方法であって、
a)
i)飽和遊離脂肪酸及び不飽和遊離脂肪酸を含む、遊離脂肪酸混合物と、
ii)グリセリンと、
を含む混合物を生成するために、再生可能な油を酸性化させる工程、
b)脂肪酸の混合物からグリセリンを単離する工程、
c)不飽和遊離脂肪酸から飽和遊離脂肪酸を分離する工程、
d)
i)アルファオレフィンと、
ii)短鎖不飽和脂肪酸、任意選択的に、C6~C12またはC8~C12短鎖不飽和脂肪酸と、
を含む混合物を調製するために、不飽和遊離脂肪酸をエテノリシスに供する工程、ならびに
e)混合物を生成するためにa)からのグリセリンとd)の短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分とを合わせる工程、及び混合物をグリセロリシスに供する工程、
を含む、方法を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、飽和炭化水素を生成するために、d)の短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分を脱炭酸させる工程を更に含み、任意選択的に、脱炭酸は、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む。いくつかの実施形態では、a)において、再生可能な油は、酸性化の前に精製される。いくつかの実施形態では、再生可能な油を精製することは、清澄化、脱ガム化、漂白、及び/または濾過を含む。いくつかの実施形態では、a)において、再生可能な油を酸性化させる工程は、有機画分及び水性画分を提供するために、再生可能な油を水性酸及び有機溶媒と接触させることを含み、有機画分は、遊離脂肪酸混合物を含み、水性画分は、グリセリンを含む。いくつかの実施形態では、a)において、再生可能な油を酸性化させる工程は、再生可能な油と水との混合物を好適な圧力で加熱することを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油及び水の総重量に基づいて、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲の再生可能な油対水の比のうちの1つ以上を含む、好適な圧力での再生可能な油対水の比の範囲であり、混合物は、約100℃~約350℃、約200℃~約300℃、または約250℃~約275℃の範囲の温度まで加熱され、圧力は、約500psi~約1000psi、約700psi~約900psi、または約800psi~約900psiの範囲である。いくつかの実施形態では、酸性化させる工程は、2回以上繰り返される。いくつかの実施形態では、酸は、H2SO4、HCl、及びH3PO4のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、90重量%~約100重量%の遊離脂肪酸と、約0重量%~約10重量%のグリセリンと、を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、約90重量%の遊離脂肪酸と、約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、少なくとも約50~約100重量%、約60~約100重量%、約70~約100重量%、約80~約100重量%、約90~約100重量%、約60~約90重量%、または約70~約80重量%の遊離脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、c)において、不飽和脂肪酸からの飽和脂肪酸の分離は、温度依存的な溶媒抽出を含む。いくつかの実施形態では、a)の飽和遊離脂肪酸は、短鎖飽和遊離脂肪酸、任意選択的に、C8~12飽和遊離脂肪酸、及び長鎖飽和遊離脂肪酸、任意選択的に、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22飽和遊離脂肪酸へと分離される。いくつかの実施形態では、方法は、長鎖脂肪酸の脱炭酸を更に含む。いくつかの実施形態では、脱炭酸は、Al2O3上のMo、Al2O3上のMgO、及びAl2O3上のNiから選択される触媒を含み、任意選択的に、単一段階連続プロセス及び/または亜臨界水を含む。いくつかの実施形態では、エテノリシスは、任意選択的に、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムから選択される、触媒を含む。いくつかの実施形態では、不飽和遊離脂肪酸は、長鎖不飽和遊離脂肪酸を含む、及び/またはそれからなる。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に、不均一触媒の存在下での、任意選択的に、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、及び/またはアルファオレフィン五量体を提供する、オリゴマー化によって、短鎖不飽和脂肪酸からアルファオレフィンを分離する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、不均一触媒は、金属、金属酸化物、金属塩、または有機材料(例えば、有機ヒドロペルオキシド、イオン交換体、及び酵素)から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に、水素の存在下で、または不活性条件下で、アルファオレフィンを異性化させる工程を更に含む。いくつかの実施形態では、異性化は、Parr反応器内部で実施される。いくつかの実施形態では、異性化反応の温度条件は、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲である。いくつかの実施形態では、異性化反応の圧力条件は、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲である。いくつかの実施形態では、不均一触媒は、AlCl3及びBF3から選択される。いくつかの実施形態では、グリセロリシスは、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成する。いくつかの実施形態では、グリセロリシスは、塩基触媒され、任意選択的に、触媒は、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択されるメトキシドである。
【0006】
態様では、本開示は、トリグリセリドを含む再生可能な油からベースオイルを調製するための方法であって、
a)
i)飽和脂肪酸エステル及び不飽和脂肪酸エステルを含む、脂肪酸エステル混合物と、
ii)グリセリンと、
を含む混合物を生成するために、再生可能な油をエステル交換する工程、
b)脂肪酸エステル混合物からグリセリンを単離する工程、
c)不飽和脂肪酸エステルから飽和脂肪酸エステルを分離する工程、
d)
i)アルファオレフィンと、
ii)短鎖不飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C6~C12またはC8~C12短鎖不飽和脂肪酸エステルと、
を含む混合物を調製するために、不飽和脂肪酸エステルをエテノリシスに供する工程、
を含む、方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、a)において、再生可能な油は、酸性化の前に精製される。いくつかの実施形態では、再生可能な油を精製することは、清澄化、脱ガム化、漂白、及び/または濾過を含む。いくつかの実施形態では、a)において、エステル交換する工程は、再生可能な油を、任意選択的に触媒の存在下で、アルコール、任意選択的にメタノールと反応させることを含む。いくつかの実施形態では、c)において、不飽和脂肪酸エステルからの飽和脂肪酸エステルの分離は、温度依存的な溶媒抽出を含む。いくつかの実施形態では、a)の飽和脂肪酸エステルは、短鎖飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C8~12飽和脂肪酸エステル、及び長鎖飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22飽和脂肪酸エステルへと分離される。いくつかの実施形態では、方法は、d)の短鎖不飽和脂肪酸エステルの少なくとも一部分を短鎖不飽和脂肪酸へと変換する工程と、e)の短鎖不飽和脂肪酸を脱炭酸させて、飽和炭化水素を生成する工程とを含み、任意選択的に、脱炭酸は、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む。いくつかの実施形態では、方法は、長鎖脂肪酸エステルを長鎖脂肪酸へと変換する工程と、飽和炭化水素を生成するために、g)の長鎖脂肪酸の少なくとも一部分を脱炭酸させる工程とを更に含み、任意選択的に、脱炭酸は、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む。いくつかの実施形態では、脱炭酸は、Al2O3上のMo、Al2O3上のMgO、及びAl2O3上のNiから選択される触媒を含み、任意選択的に、単一段階連続プロセス及び/または亜臨界水を含む。いくつかの実施形態では、エテノリシスは、任意選択的に、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムから選択される、触媒を含む。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸エステルは、長鎖不飽和脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれからなる。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に、不均一触媒の存在下での、任意選択的に、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、及び/またはアルファオレフィン五量体を提供する、オリゴマー化によって、短鎖不飽和脂肪酸エステルからアルファオレフィンを分離する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、不均一触媒は、金属、金属酸化物、金属塩、または有機材料(例えば、有機ヒドロペルオキシド、イオン交換体、及び酵素)から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に、水素の存在下で、または不活性条件下で、アルファオレフィンを異性化させる工程を更に含む。いくつかの実施形態では、異性化は、Parr反応器内部で実施される。いくつかの実施形態では、異性化反応の温度条件は、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲である。いくつかの実施形態では、異性化反応の圧力条件は、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲である。いくつかの実施形態では、不均一触媒は、AlCl3及びBF3から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、混合物を生成するためにa)からのグリセリンをe)の短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分と合わせる工程、及び混合物をグリセロリシスに供する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、グリセロリシスは、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成する。いくつかの実施形態では、グリセロリシスは、塩基触媒され、任意選択的に、触媒は、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択されるメトキシドである。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、種子油、植物油、及び動物由来油から選択される1つ以上を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、菜種油、大豆油、ヒマシ油から選択される。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、家禽、牛肉、及び魚のうちの1つ以上に由来する。
【0008】
態様では、本開示は、潤滑剤であって、
a)潤滑剤の総重量の約50重量%~約70重量%の範囲の量の飽和炭化水素ベースオイルであって、飽和炭化水素ベースオイルが、C14~C18オレフィンモノマーのオリゴマーを含み、二量体が、29~36の範囲の平均炭素数を有する、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)潤滑剤の総重量の約1重量%~約30重量%の範囲の量、任意選択的に、約1.4重量%、約1.80重量%、約3.2重量%、約4.13重量%、約5.2重量%、約16.25重量%、または約26重量%の量の粘度調整剤と、
c)潤滑剤の総重量の約10重量%~約15重量%の範囲の量、任意選択的に、約12.3重量%の量の界面活性剤と、
d)潤滑剤の総重量の約0.1重量%~約1重量%の範囲の量、任意選択的に、約0.3重量%の量の流動点降下剤と、
を含む、潤滑剤を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、以下の特性:
a)ASTM D5800及び/またはCEC L-40-A-93によって測定されるNoack揮発性が、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、または約9%未満、任意選択的に、約7.4%であること、
b)D2710-09に従って判定される臭素指数が、約1000mgのBr2/100gを下回るか、約500mgのBr2/100gを下回るか、または約200mgのBr2/100gを下回ること、
c)1H NMRによって判定される平均分岐指数(BI)が、約22~約26の範囲にあること、
d)13C NMRによって判定される平均パラフィン分岐近接性(paraffin branching proximity)(BP)が、約18~約26の範囲であること、
e)ASTM D2270に従って判定される粘度指数が、約125以上、約130以上、約135以上、または約140以上であること、
f)ASTM D97に従って判定される流動点が、約-20℃未満、約-27℃未満、約-30℃未満、約-33℃未満、約-36℃未満、約-39℃未満、または約-42℃未満であること、
g)ASTM D5293によって-35℃で測定されるコールドクランク模擬(CCS)動的粘度が、約1800cP未満、約1700cP未満、約1600cP未満、約1500cP未満、約1400cP未満、約1300cP未満、約1200cP未満、または約1100cP未満であること、ならびに
h)ASTM D445-17aによって測定されるKV(100)が、約3.7cSt~約9.7cSt、または約3.7cSt~約4.8cStの範囲にあること、
のうちの1つ以上を呈する。
【0010】
いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、潤滑剤の総重量の約50重量%~約60重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約3重量%~約7重量%の範囲の量のSynNova9を含む。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、Infineum SV603及びInfineum SV261Lのうちの1つ以上を含み、界面活性剤は、Infineum P6003を含み、流動点降下剤は、Infineum V385を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、
a)潤滑剤の総重量の約56重量%~約57重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約4.5重量%~約5.5重量%の範囲の量のSynNova9を含む、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)潤滑剤の総重量の約25.5重量%~約26.5重量%の範囲の量のInfineum SV603を含む、粘度調整剤と、
c)潤滑剤の総重量の約12重量%~約13重量%の範囲の量のInfineum P6003を含む、界面活性剤と、
d)潤滑剤の総重量の約0.2重量%~約0.4重量%の範囲の量のInfineum V385を含む、流動点降下剤と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、概して、限定ではなく例として、本明細書で論じられる様々な実施形態を示す。
【0013】
【
図1】植物油からの再生可能なアルファオレフィン、再生可能なディーゼル、合成ガソリン、及び不飽和アシル-グリセリドの形成のための非限定的な経路を示すフローチャートを示す。
【
図2】本開示の方法によって調製されたベースオイルのガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルを示す。炭素割り当て(carbon assignment)は、C16アルファオレフィン(AO)のオリゴマー化に基づく。
【
図3】大豆油を脱ガム化させるプロセスの画像を示す。
【
図9】1-デセン収率のガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルを示す。
【
図10】オレイン酸メチルのエテノリシスについてのガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルを示す。
【
図11】オレイン酸のエテノリシスについてのガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルを示す。
【
図12】グリセリンを分離し、エテノリシス前の材料を提供する方法としてエステル交換を使用した、脂肪酸エステルへの大豆の変換を伴う、植物油からの再生可能なアルファオレフィン、再生可能なディーゼル、合成ガソリン、及び不飽和アシル-グリセリドの形成のための非限定的な経路を示すフローチャートを示す。
【
図14】大豆油試料のエステル交換から生じる生成物試料のガスクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
ここで、添付の図面にその例が部分的に示されている、開示の主題のある特定の実施形態を詳細に参照する。開示の主題は、列挙される特許請求の範囲と併せて記載されるが、例示される主題は、特許請求の範囲を開示の主題に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0015】
前述の段落及び本明細書の残りの部分全体を通じて使用されるように、別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0016】
範囲形式で表される値は、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけを含むのではなく、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値または部分範囲も含むように、柔軟な様式で解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」の範囲は、ちょうど約0.1%~約5%だけでなく、個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及び示される範囲内の部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。「約X~Y」という記述は、別段示されない限り、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、別段示されない限り、「約X、Y、または約Z」という記述は、「約X、約Y、または約Z」と同じ意味を有する。
【0017】
本明細書では、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」という用語は、別段文脈が明らかにそうでないと示さない限り、1つまたは2つ以上を含むために使用される。「または」という用語は、別段示されない限り、非限定的な「または」を指すために使用される。「A及びBのうちの少なくとも1つ」という記述は、「A、B、またはA及びB」と同じ意味を有する。加えて、本明細書で用いられる用語または専門用語は、他に定義されないが、記載のみを目的とし、限定を目的としないことが理解されるものである。段落見出しの使用は、本明細書の閲読を助けることを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではなく、段落見出しに関連する情報は、その段落内または外で生じ得る。カンマは、小数点の左または右の区切り文字または桁区切り記号として使用することができ、例えば、「0.000,1」は、「0.0001」と等価である。本明細書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許文献は、参照により個々に組み込まれるように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書と、参照により組み込まれるこれらの文献との間に一貫性のない使用法がある場合、組み込まれた参考文献における使用法は、本明細書の使用法を補完するものとみなされるべきであり、相容れない矛盾については、本明細書の使用法が優先される。
【0018】
本明細書に記載の製造する方法では、時間的または操作的な順序が明示的に列挙されている場合を除き、行為は、任意の順序で実行することができる。更に、明示的な特許請求言語が、それらが別々に実行されると列挙しない限り、特定される行為は、同時に実行することができる。例えば、Xを行うことについての特許請求される行為と、Yを行うことについての特許請求される行為とは、単一の操作内で同時に行われ得、生じるプロセスは、特許請求されるプロセスの文字通りの範囲内にあるであろう。
【0019】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、記述される値または範囲の記述される限界の10%以内、5%以内、または1%以内の値または範囲における、変動の程度を可能にすることができる。
【0020】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上の大部分を指す。
【0021】
本明細書で使用される「有機基」という用語は、限定されないが、任意の炭素含有官能基を指す。例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基などの酸素含有基、カルボン酸、カルボン酸塩、及びカルボン酸エステルを含むカルボキシル基、アルキル及びアリールスルフィド基などの硫黄含有基、ならびに他のヘテロ原子含有基。有機基の非限定的な例としては、OR、OOR、OC(O)N(R)2、CN、CF3、OCF3、R、C(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)2、SR、SOR、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CH2C(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)2、OC(O)N(R)2、C(S)N(R)2、(CH2)0-2N(R)C(O)R、(CH2)0-2N(R)N(R)2、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)2、N(R)SO2R、N(R)SO2N(R)2、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)2、N(R)C(S)N(R)2、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)2、C(O)N(OR)R、またはC(=NOR)Rが挙げられ、式中、Rが、水素(他の炭素原子を含む例では)または炭素に基づく部分であり得、炭素に基づく部分は、それ自体が更に置換され得る。
【0022】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、化学物質、化合物、もしくは物質、または2つ以上のそのような化学物質、化合物、もしくは物質の混合物もしくは組み合わせを指す。
【0023】
本明細書で使用される「溶媒」という用語は、固体、別の液体、または気体を溶解させることができる液体を指す。溶媒の非限定的な例は、シリコーン、有機化合物、水、アルコール、イオン性液体、及び超臨界流体である。
【0024】
本明細書で使用される「室温」という用語は、約15℃~約28℃の温度を指す。
【0025】
本明細書で使用される「標準温度及び圧力」という用語は、20℃及び101kPaを指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「長鎖遊離脂肪酸」という用語は、加水分解されており、それらのグリセロール骨格から分離されているか、または依然としてアシル-グリセリド形態にあるかのいずれかの、未修飾の遊離脂肪酸を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「短鎖遊離脂肪酸」という用語は、アシル-グリセリドの遊離脂肪酸または遊離脂肪酸部分がエテノリシスを施されているか、または分解された分子の形態にあるかのいずれかであり、それらのグリセロール骨格から分離されている、未修飾の遊離脂肪酸を指す。
【0028】
本明細書で使用される「オレフィン」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する炭化水素を指す。例えば、本明細書に開示の態様によれば、オレフィンは、C14~C18の炭化水素鎖長を含み得、炭化水素鎖(アルファ-オレフィン)の末端(一次位置)または内部位置(内部オレフィン)に二重結合を有し得る。一実施形態では、オレフィンは、オレフィンが単一の二重結合基のみを含有することを意味するモノ-オレフィンである。
【0029】
本明細書で使用される「二量体」という用語は、化学プロセスを介した2つのモノマーの組み合わせによって形成される分子を指し、モノマーが、同じまたは異なるタイプのモノマー単位であり得る。二量体は、モノマー間の化学反応及び/または他のタイプの結合によって形成され得る。一実施形態では、二量体は、2つのオレフィンモノマー間のオリゴマー化の生成物である。
【0030】
「二量体総平均炭素数」という用語は、本明細書では、二量体中の炭素の総数を指すために使用される。したがって、本明細書で言及される「C29~C36」二量体は、29~36個の範囲の炭素原子の総平均数を有する二量体である。
【0031】
「三量体総平均炭素数」という用語は、本明細書では、三量体中の炭素の総数を指すために使用される。したがって、本明細書で言及される「C45~C52」三量体は、45~52個の範囲の炭素原子の総平均数を有する二量体である。
【0032】
「四量体総平均炭素数」という用語は、本明細書では、四量体中の炭素の総数を指すために使用される。したがって、本明細書で言及される「C61~C68」四量体は、61~68個の範囲の炭素原子の総平均数を有する二量体である。
【0033】
「五量体総平均炭素数」という用語は、本明細書では、五量体中の炭素の総数を指すために使用される。したがって、本明細書で言及される「C77~C84」五量体は、77~84個の範囲の炭素原子の総平均数を有する二量体である。
【0034】
詳細な説明
ベースオイルを調製するための方法
一態様では、本開示は、限定されないが、長鎖及び短鎖アルファオレフィン、飽和炭化水素、及びアシル-グリセリドなどの炭化水素ベースオイル、ならびにそれらを含む潤滑剤を含む、ベースオイルを調製する方法を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、長鎖アルファオレフィンを調製する方法は、長鎖アルファ及び内部オレフィンのオリゴマー化、異性化、及び水素化を含み、石油系潤滑剤の実行可能な代替物を提供する。いくつかの実施形態では、この生成物が、特定の添加剤タイプと合わせられると、生じる生成物は、潤滑剤ベース原料及び/またはベースオイルを生成する場合、合成石油系供給原料を置き換えることが可能であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、不飽和及び飽和遊離脂肪酸副生成物は、脱炭酸を介して合成ガソリンの代替物及び再生可能なディーゼルを提供する。いくつかの実施形態では、短鎖遊離脂肪酸から、合成ガソリンの代替物として有用であり得る付加価値のあるアシル-グリセリドを形成するための二次プロセスについても、全体的なプロセスと併せて記載されている。
【0037】
再生可能な油を使用するための比較的新しいアプローチの1つは、貴重な潤滑剤ベース原料を生成するための技術と、再生可能なディーゼル及び合成ガソリンのような市販の燃料とを組み合わせることである。ある割合の供給原料を、潤滑剤生成のためのアルファオレフィンのような付加価値のある副生成物へと変換し、次いで、再生可能なディーゼル及び合成ガソリンのようなバイオ燃料への更なる変換のためにある割合を選択的に分離することは、製造の多様化に役立ち得る。飽和及び不飽和遊離脂肪酸の組み合わせを含有する再生可能な油は、このプロセスの理想的な基質である。
【0038】
新規の分離技術を使用して、飽和遊離脂肪酸を隔離し、再生可能な、すなわち「グリーン」ディーゼルへと別々に処理することができる。グリーンディーゼル(再生可能な炭化水素ディーゼル、水素処理された植物油またはHVOとも称される)は、実質的に、石油由来のディーゼルと化学的に同じであるが、グリーンディーゼルは、近年、生物バイオマス(living biomass)から作製されている。エステルであり、石油ディーゼルとは異なる化学特性を有するバイオディーゼルとは異なり、グリーンディーゼルは、長鎖炭化水素で構成され、輸送燃料として使用するために任意の割合で石油ディーゼルと混合される場合がある。
【0039】
次いで、不飽和遊離脂肪酸は、アルファ及び内部オレフィンならびに合成ガソリンの両方の生成へと進められる。従来、オレフィンは、非生物由来の前駆体から生成されるが、石油系アルファオレフィンの1つの代替物は、不飽和脂肪酸の直鎖アルファオレフィンへの変換物である。これは、脂肪酸分子の炭素鎖上の二重結合と分子エチレンを反応させる「エテノリシス」と呼ばれるプロセスを通じて達成することができる。炭化水素鎖は、鎖内の最後の炭素上に末端二重結合が残っているが、遊離脂肪酸は、より小さい鎖の指定部分に変換される。オレイン酸(C18:1)の例では、副生成物は、1-デセン(1-C10)及びC10脂肪酸である。残りの脂肪酸を脱炭酸させて、別のアルファオレフィン、1-ノネン(1-C9)を形成することができ、これはその後、合成ガソリンの合成に使用することができる。
【0040】
この本開示の態様はまた、非化石系炭化水素ベースオイルを含み、石油系潤滑剤を上回る改善された特性を有する潤滑剤に関する。
【0041】
近年の特許は、燃料及び潤滑剤のための石油代替物を作製するための様々なアプローチを示している。それら各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2つの特許公開、米国特許第2020/0165538 A1号及び同第10961167 B2号は、潤滑油ベース原料を作製するためのオリゴマー化、水素化、及び異性化による、元のアルファオレフィンの変換について詳述している。いずれの特許も、石油源由来の前駆体アルファオレフィンについて記載している。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、第三の特許、米国特許第9862906 B2号は、同様のプロセス及び生成物について論じているが、供給原料としてテルペンを利用した。それらの現在の実施形態では、これらの特許は、再生可能な源由来のオレフィンを使用することについては特許請求していない。
【0042】
脂肪酸エステルに適用されるメタセシス反応であるエテノリシスは、多くの刊行物及び科学的考察で報告されており、有機化学において周知である。これは、触媒の存在下で実行され、2つのオレフィン、この場合は不飽和遊離脂肪酸及びエチレン間でアルキリデン基を交換することからなる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2006年に公開された特許公開米国特許第2006/0079704 A1号は、アルファオレフィンを生成するためのトリグリセリドに対するエテノリシスの使用について論じている。プロセスは、反応の触媒機構及び様々な副生成物について記載しているが、一次生成物アルファオレフィンまたは副生成物グリセロールの使用については論じていない。
【0043】
メチルエステル(バイオディーゼル)生成の前処理としてのグリセロール-エステル化またはグリセロリシスの使用は、過去10年間の間に一般的になっている。遊離脂肪酸が下流反応において触媒を中和するので、遊離脂肪酸レベルを0.2重量%未満まで低減するその能力は、メチルエステル生成にとって魅力的である。しかしながら、リサイクルされたグリセロールを使用する、約100重量%の遊離脂肪酸副生成物流を処理する手段としてグリセロリシスを利用することは、同じ化学機構を必要とする新しいアプローチであるが、顕著に異なる反応条件及び化学物質の充填を必要とする。
【0044】
上に論じた特許は、全体的なプロセスの炭素強度(C.I.)の低減に役立てるために、処理中に生成される副生成物のうちのいずれかを利用することには、対処していない。開示の特許による操作の順序を段階化することによって、上に参照した特許の特許請求の範囲を相乗的に改善して、これら独立した技術の、エネルギー制約及び論理的制約を低減することができる。加えて、単一のプロセスでいくつかの石油代替物を作製することによって、再生可能識別番号(RIN)、カリフォルニアの場合では低炭素燃料基準のような、政府の奨励策を請求することが可能になる。開示のプロセスを利用することによって、現時点でカリフォルニア州では、州及び連邦の優遇措置基金を集めることによって操作コストを顕著に低減し、炭素強度を処理することができる。
【0045】
再生可能な油の精製
一態様では、本開示は、再生可能な油からベースオイルを調製するための方法を提供する。本開示の方法によって調製することができるベースオイルの非限定的な例としては、長鎖及び短鎖アルファオレフィン、飽和炭化水素、ならびにアシル-グリセリドなどの炭化水素ベースオイルが挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ベースオイル及び/またはベース原料を調製するための方法は、再生可能な油の清澄化、脱ガム化、精製(purification)、及び/または精製(refining)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、限定されないが、種子及び植物油(菜種、大豆、ヒマシなど)、ならびに動物由来油(家禽、牛肉、魚など)を含む広範囲の再生可能な油を利用することができる。これらの油は、本開示の目的では、総称して「再生可能な油」として知られるであろう。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、大豆油を含む、及び/またはそれからなる。大豆油は、C16~C22脂肪酸を含むトリグリセリドを含むC16~C22脂肪酸を含み得、約20%のオレイン酸(C18:1)及び約55%のリノール酸(C18:2)を含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、精製は、濾過助材対油比を最適化するのではなく、潤滑剤プロセス全体を通して十分に高品質であり続ける油前駆体を生成する。次いで、最終的な材料は、デブリを含まず、実験室遠心分離を介して分離することが不可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、再生可能な油の精製プロセスは、限定されないが、清澄化、脱ガム化、漂白、及び濾過を含む。いくつかの実施形態では、精製は、水、不溶性物質及び/または不鹸化物質(MIU)を含まないか、または実質的に含まない再生可能な油を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態では、再生可能な油の精製(purification)及び/または精製(refining)は、脱ガム化ステップを伴う。非限定的な例では、脱ガム化ステップは、水及び酸を使用して、リン脂質及び他のガムを除去することを含む。酸の非限定的な例としては、クエン酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、酸(例えば、クエン酸)は、水中約1重量%~約10重量%、または約4重量%~約6重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、酸(例えば、クエン酸)は、水中約5重量%の濃度である。いくつかの実施形態では、脱ガム化ステップは、約50℃~約100℃、約60℃~約70℃の範囲、または約65℃の、温度で、再生可能な油、水、及び酸を含む混合物を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、遊離脂肪酸は、一般的に、水酸化ナトリウムなどの塩基を使用して中和され、これは、石鹸原料の副生成物流を生成することが可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、精製は、着色体(color-body)、ポリマー化合物、遊離脂肪酸、石鹸、及び/または微量の金属を除去するための漂白段階を含む。いくつかの実施形態では、漂白段階は、油を脱臭する、及び/または潜在的な酸化生成物を除去するために使用され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、精製は、清澄化を含む。いくつかの実施形態では、清澄化は、再生可能な源からの油から固体を分離して、清澄化された油を提供することを含む。いくつかの実施形態では、固体を分離することは、油を濾過して、微粒子を含まないか、または実質的に微粒子を含まない液体を提供することを含む。いくつかの実施形態では、濾過することは、油から不溶性構成成分(例えば、プラスチック、バイオマス微粒子、及び/または他の不純物などのデブリ)を除去する。好適なフィルタの非限定的な例としては、珪藻土、濾紙(例えば、50ミクロン)、セルロース濾過助材、フィルタ孔径の組み合わせのフィルタバッグなどの市販の濾過助材が挙げられる。
【0052】
脂肪酸エステル及びグリセロールを生成するための再生可能な油のエステル交換
一態様では、方法は、再生可能な油のエステル交換を含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、方法は、再生可能な油をエステル交換して、1)飽和脂肪酸エステル及び不飽和脂肪酸エステルを含む脂肪酸エステル混合物と、2)グリセリン及び/またはグリセロールと、を含む、混合物を生成することを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、エステル交換の前に精製される(例えば、清澄化される、及び/または脱ガム化される)。
【0053】
当業者によって理解されるであろうように、任意のエステル交換方法が、本開示によって企図される。非限定的な例では、再生可能な油は、アルコール(例えば、メタノール)に溶解され、任意選択的に、触媒条件下でエステル交換されて、グリセリン及び/またはグリセロール、ならびに脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸メチルエステル)が生成される。エステル交換に有用な触媒条件の非限定的な例としては、酸触媒(例えば、スルホン酸、硫酸、及びトリフルオロ酢酸)、塩基触媒(スルホン酸及び硫酸)、及び酵素触媒(例えば、リパーゼ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、触媒は、金属(例えば、金属カリウム)である。非限定的な例では、金属は、アルコールとともに、金属アルコキシド及び/またはアルコキシレート(例えば、カリウムメトキシレート)を形成することができる。いくつかの実施形態では、触媒は、約1%(w/vol)~約5%(w/vol)の範囲の量、または約1%(w/vol)の量で添加される。いくつかの実施形態では、エステル交換は、触媒の非存在下で実施される。アルコールの非限定的な例としては、メタノール、エタノール、及びn-プロパノールが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルコールは、メタノールを含む、及び/またはそれからなる。
【0054】
いくつかの実施形態では、エステル交換は、任意選択的に触媒の存在下で、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)をアルコール(例えば、メタノール)と反応させることを含む。いくつかの実施形態では、反応は、水及び有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、n-ヘキサン、酢酸エチル)を添加して、任意選択的に精製された(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された)再生可能な油由来の遊離脂肪酸エステルを含む有機画分、ならびにグリセリン及び/またはグリセロール(例えば、グリセリン構成成分)を含む水性画分を提供することを更に含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)のエステル交換は、任意選択的に触媒の存在下で、再生可能な油をアルコール(例えば、メタノール)と反応させることを含む。いくつかの実施形態では、反応は、水及び有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、n-ヘキサン、酢酸エチル)を添加して、有機画分及び水性画分を提供することを更に含み、有機画分が、遊離脂肪酸エステル混合物を含み、水性画分が、グリセリンを含む。いくつかの実施形態では、水性画分及び有機画分を調製するために、エステル交換が2回以上繰り返される。いくつかの実施形態では、有機画分は、水に比較的不溶性である化学物質、化合物、及び/または物質を更に含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、有機溶媒の一部分は、エステル交換後に有機画分から分離されて、油由来の遊離脂肪酸エステルが提供され得る。いくつかの実施形態では、有機溶媒の少なくとも一部分を分離することは、有機画分を少なくとも約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、もしくは約120℃の温度まで加熱すること、有機画分を約1気圧以下の圧力に曝露させること、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、有機画分からの有機溶媒の分離は、例えば、回転式蒸発または同様の技術によって達成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、有機画分は、少なくとも約90重量%の脂肪酸エステルと、約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、90重量%~約100重量%の脂肪酸エステルと、約0重量%~約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、少なくとも約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、または約90重量%の脂肪酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、約50~約100重量%、約60~約100重量%、約70~約100重量%、約80~約100重量%、約90~約100重量%、約60~約90重量%、または約70~約80重量%の脂肪酸エステルを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、再生可能な油及びアルコールは、任意選択的に触媒の存在下で、約50℃~約150℃、約100℃~約125℃の範囲、または約115℃の、温度まで、加熱される。
【0059】
いくつかの実施形態では、再生可能な油のエステル交換は、再生可能な油とアルコールとの混合物を好適な圧力で加熱することを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油対水の比は、再生可能な油及びアルコールの総重量に基づいて、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲である。いくつかの実施形態では、再生可能な油対アルコールの比は、再生可能な油及びアルコールの総重量に基づいて、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1である。
【0060】
いくつかの実施形態では、再生可能な油及びアルコールは、約100℃~約350℃、約200℃~約300℃、約250℃~約275℃の範囲、または約250℃、約255℃、約260℃、約265℃、約270℃、もしくは約275℃の、温度まで、加熱される。
【0061】
いくつかの実施形態では、再生可能な油のエステル交換は、約500psi~約1000psi、約700psi~約900psi、または約800psi~約900psiの範囲の圧力で実施される。いくつかの実施形態では、再生可能な油の酸性化(acidifying)及び/または弱酸性化(acidulating)は、約800psi、約810psi、約820psi、約830psi、約840psi、約850psi、約860psi、約870psi、約880psi、約890psi、または約900psiの圧力で実施される。
【0062】
いくつかの実施形態では、再生可能な油のエステル交換は、限定されないが、高温及び/または高圧混合反応器を含む反応容器内で実施される。いくつかの実施形態では、反応容器は、再生可能な油及び水が反応容器に添加された後、不活性気体(例えば、窒素)でパージされる。非限定的な例では、不活性気体で反応器をパージすることは、酸性化及び/または弱酸性化中の望ましくない酸化を防止する。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、脂肪酸エステルの混合物からグリセリン及び/またはグリセロールを単離することを含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、より密度の高い有機相及びより軽い有機相へと更に分離される。いくつかの実施形態では、反応から生成されたグリセリン及び/またはグリセロール相は、反応器容器の底部に重力分離され、任意選択的に、より密度の高い有機相の一部分が形成される。いくつかの実施形態では、より密度の高い有機相は、限定されないが、機械による清澄化または遠心分離などの方法を介して分離され得る。いくつかの実施形態では、より軽い有機相は、主に脂肪酸エステルで構成され、グリセリン及び/またはグリセロールを含むより密度の高い有機相から分離される。
【0064】
いくつかの実施形態では、再生可能な油、任意選択的に精製された(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された)再生可能な油をエステル交換することは、有機画分から水性画分の少なくとも一部分を分離し、その後、脂肪酸エステルの少なくとも一部分をグリセリド(例えば、アシルグリセリド)へと変換することを更に含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、及びジクロロメタンのうちの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態では、エステル交換後の分離は、有機溶媒の分離された部分をリサイクルして、再生可能な油(例えば、清澄化された再生可能な油)との接触のために使用することを更に含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、グリセリン及び/またはグリセロール、ならびに任意のアルコール(例えば、メタノール)は、グリセロリシスとして知られる下流プロセスへとリサイクルされてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、エステル交換は、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)を加熱することを含み、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)及びアルコールを加熱することを更に含む。いくつかの実施形態では、加熱することは、約1気圧~約3気圧、または約1気圧、2気圧、もしくは3気圧の圧力で行われ得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、グリセリン及び/またはグリセロールは、約50℃~約200℃、もしくは約100℃~約125℃の範囲、もしくは約115℃の、温度、及び/または約40mmHg~約100mmHg、もしくは約50mmHg~約70mmHgの範囲、もしくは約60mmHgの、圧力、及び/または約5分~約2時間、約15分~約1時間の範囲、もしくは約20分の、期間の間、乾燥される。
【0069】
いくつかの実施形態では、脂肪酸エステルは、約50℃~約200℃、もしくは約100℃~約125℃の範囲、もしくは約115℃の、温度、及び/または約40mmHg~約100mmHg、もしくは約50mmHg~約70mmHgの範囲、もしくは約60mmHgの、圧力、及び/または約5分~約2時間、約15分~約1時間の範囲、もしくは約20分の、期間の間、乾燥される。
【0070】
遊離脂肪酸及びグリセロールを生成するための再生可能な油の酸加水分解
いくつかの実施形態では、プロセスは、再生可能な油を酸加水分解(例えば、酸性化及び/または弱酸性化)することを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、トリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、方法は、再生可能な油を酸性化させて、1)飽和脂肪酸(例えば、遊離脂肪酸)及び不飽和脂肪酸(例えば、遊離脂肪酸)を含む遊離脂肪酸混合物と、2)グリセリン及び/またはグリセロールと、を含む、混合物を生成することを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油は、酸加水分解(例えば、酸性化及び/または弱酸性化)の前に精製される(例えば、酸性化及び/または脱ガム化される)。
【0071】
いくつかの実施形態では、酸性化及び/または弱酸性化させることは、再生可能な油を水性酸と接触させて、任意選択的に精製された(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された)再生可能な油由来の遊離脂肪酸を含む有機画分と、酸及びグリセロール相(グリセリン構成成分)を含有する水性画分とを提供することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)を酸性化及び/または弱酸性化させることは、再生可能な油を水性酸と接触させて、有機画分及び水性画分を形成することを含み、有機画分が、遊離脂肪酸混合物を含み、水性画分が、グリセリンを含む。いくつかの実施形態では、水性画分及び有機画分を調製するために、酸性化が2回以上繰り返される。いくつかの実施形態では、有機画分は、水に比較的不溶性である化学物質、化合物、及び/または物質を更に含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、酸は、H2SO4、HCl、H2PO4、及びH3PO4のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、酸は、約1重量%~約10重量%、または約3重量%~約5重量%で添加される。いくつかの実施形態では、酸は、約4重量%で添加される。いくつかの実施形態では、酸は、任意選択的に、約4重量%でのH2PO4である。いくつかの実施形態では、酸は、任意選択的に、約4重量%でのH2SO4である。いくつかの実施形態では、有機画分は、少なくとも約90重量%の遊離脂肪酸と、約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、90重量%~約100重量%の遊離脂肪酸と、約0重量%~約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、少なくとも約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、または約90重量%の遊離脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、約50~約100重量%、約60~約100重量%、約70~約100重量%、約80~約100重量%、約90~約100重量%、約60~約90重量%、または約70~約80重量%の遊離脂肪酸を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、再生可能な油を更に水性酸と接触させた後、混合物は、約50℃~約150℃、約100℃~約125℃の範囲、または約115℃の、温度まで、加熱される。
【0075】
いくつかの実施形態では、再生可能な油を酸性化及び/または弱酸性化させることは、再生可能な油と水との混合物を好適な圧力で加熱することを含む。いくつかの実施形態では、再生可能な油対水の比は、再生可能な油及び水の総重量に基づいて、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲である。いくつかの実施形態では、再生可能な油対水の比は、再生可能な油及び水の総重量に基づいて、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1である。
【0076】
いくつかの実施形態では、混合物は、約100℃~約350℃、約200℃~約300℃、約250℃~約275℃の範囲、または約250℃、約255℃、約260℃、約265℃、約270℃、もしくは約275℃の、温度まで、加熱される。
【0077】
いくつかの実施形態では、再生可能な油を酸性化及び/または弱酸性化させることは、約500psi~約1000psi、約700psi~約900psi、または約800psi~約900psiの範囲の圧力で実施される。いくつかの実施形態では、再生可能な油の酸性化及び/または弱酸性化は、約800psi、約810psi、約820psi、約830psi、約840psi、約850psi、約860psi、約870psi、約880psi、約890psi、または約900psiの圧力で実施される。
【0078】
いくつかの実施形態では、再生可能な油の酸性化及び/または弱酸性化させることは、限定されないが、高温及び/または高圧混合反応器を含む反応容器内で実施される。いくつかの実施形態では、反応容器は、再生可能な油及び水が反応容器に添加された後、不活性気体(例えば、窒素)でパージされる。非限定的な例では、不活性気体で反応器をパージすることは、酸性化及び/または弱酸性化中の望ましくない酸化を防止する。
【0079】
いくつかの実施形態では、方法は、脂肪酸の混合物からグリセリン及び/またはグリセロールを単離することを含む。いくつかの実施形態では、有機画分は、より密度の高い有機相及びより軽い有機相へと更に分離される。いくつかの実施形態では、反応から生成されたグリセリン及び/またはグリセロール相は、反応器容器の底部に重力分離され、任意選択的に、より密度の高い有機相の一部分が形成される。いくつかの実施形態では、より密度の高い有機相は、限定されないが、機械による清澄化または遠心分離などの方法を介して分離され得る。いくつかの実施形態では、より軽い有機相は、主に遊離脂肪酸で構成され、酸、水、及びグリセリンの混合物であるより密度の高い有機相から分離される。
【0080】
いくつかの実施形態では、再生可能な油、任意選択的に精製された(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された)再生可能な油を酸性化させることは、有機画分から水性画分の少なくとも一部分を分離し、その後、遊離脂肪酸の少なくとも一部分をグリセリド(例えば、アシルグリセリド)へと変換することを更に含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)を酸性化させることは、材料を水性酸及び有機溶媒と接触させて、遊離脂肪酸の混合物を含む有機画分、及び水性画分を提供することを含む。いくつかの実施形態では、酸性化分離後に有機画分から有機溶媒の一部分を分離して、油由来の遊離脂肪酸を含む酸性化された組成物を提供することができる。いくつかの実施形態では、有機溶媒の少なくとも一部分を分離することは、有機画分を少なくとも約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、もしくは約120℃の温度まで加熱すること、有機画分を約1気圧以下の圧力に曝露させること、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、有機画分からの有機溶媒の分離は、例えば、回転式蒸発または同様の技術によって達成することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、及びジクロロメタンのうちの少なくとも1つから選択される。有機溶媒は、先述の酸性化分離から得ることができる。いくつかの実施形態では、酸性化分離は、有機溶媒の分離された部分をリサイクルして、再生可能な油(例えば、清澄化された再生可能な油)との接触のために使用することを更に含む。いくつかの実施形態では、水性酸は、H2SO4、HCl、及びH3PO4のうちの少なくとも1つを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)を酸性化させることは、再生可能な油を水性酸、メタノール、及びグリセロールと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、メタノール及びグリセロールは、グリセロリシスとして知られる下流プロセスへとリサイクルされてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、清澄化された再生可能な油を酸性化させることは、再生可能な油(例えば、清澄化及び/または脱ガム化された再生可能な油)及び水性酸を加熱することを更に含む。いくつかの実施形態では、材料を加熱することは、約1気圧~約3気圧、または約1気圧、2気圧、もしくは3気圧の圧力で行われ得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、グリセリン及び/またはグリセロールは、約50℃~約200℃、もしくは約100℃~約125℃の範囲、もしくは約115℃の、温度、及び/または約40mmHg~約100mmHg、もしくは約50mmHg~約70mmHgの範囲、もしくは約60mmHgの、圧力、及び/または約5分~約2時間、約15分~約1時間の範囲、もしくは約20分の、期間の間、乾燥される。
【0086】
いくつかの実施形態では、脂肪酸(例えば、遊離脂肪酸)は、約50℃~約200℃、もしくは約100℃~約125℃の範囲、もしくは約115℃の、温度、及び/または約40mmHg~約100mmHg、もしくは約50mmHg~約70mmHgの範囲、もしくは約60mmHgの、圧力、及び/または約5分~約2時間、約15分~約1時間の範囲、もしくは約20分の、期間の間、乾燥される。
【0087】
飽和及び不飽和脂肪酸及び/または飽和及び不飽和脂肪酸エステルの溶媒抽出及び分離
一態様では、プロセスは、酸加水分解中に生成される脂肪酸(例えば、遊離脂肪酸)を、飽和遊離脂肪酸を含む画分及び不飽和遊離脂肪酸を含む画分へと精製及び/または分離することを含む。
【0088】
別の態様では、プロセスは、エステル交換中に生成された脂肪酸エステルを、飽和脂肪酸エステルを含む画分及び不飽和脂肪酸エステルを含む画分へと精製及び/または分離することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、限定されないが、アセトンなどの有機溶媒を使用して、飽和部分を低温で沈殿させながら、不飽和遊離脂肪酸及び/または不飽和脂肪酸エステルを可溶化させる。いくつかの実施形態では、精製の程度は、時間、温度、ならびに/または飽和遊離脂肪酸及び/もしくは飽和脂肪酸エステルに対する有機溶媒(例えば、アセトン)の化学量論的当量に依存する。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸からの飽和脂肪酸の分離及び/または不飽和脂肪酸エステルからの飽和脂肪酸エステルの分離は、温度依存的な溶媒抽出を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、反応は、約55℃、約60℃、または約65℃の温度で行われた。
【0091】
いくつかの実施形態では、温度は、沈殿反応中に摂氏-5~+5度で変動させた。
【0092】
いくつかの実施形態では、反応器混合物は、ゆっくりと撹拌される。いくつかの実施形態では、混合物は、静止状態であり、混合されない。いくつかの実施形態では、反応器混合物を、約15分間、約20分間、または約25分間撹拌した。いくつかの実施形態では、冷却及び沈殿中の時間は、不飽和遊離脂肪酸流からの飽和物及び/または不飽和脂肪酸エステル流からの飽和物の可溶性及び最終的な精製を最大化するように変動させる。いくつかの実施形態では、溶媒の量は、有機溶媒(例えば、アセトン)対飽和遊離脂肪酸の1:1の化学量論的当量比~有機溶媒(例えば、アセトン)対飽和遊離脂肪酸の最大100:1の化学量論的当量比、及び/または有機溶媒(例えば、アセトン)対飽和脂肪酸エステルの1:1の化学量論的当量比~有機溶媒(例えば、アセトン)対飽和脂肪酸エステルの最大100:1の化学量論的当量比で変動させる。
【0093】
いくつかの実施形態では、反応が完了したら、反応器の内容物は、ビーカ内で約-5℃、約-4℃、約-3℃、約-2℃、約-1℃、約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、または約5℃まで冷却される。いくつかの実施形態では、反応器の内容物は、エチレングリコール及び水浴中で冷却される。いくつかの実施形態では、反応器の内容物は、約24時間冷却される。
【0094】
いくつかの実施形態では、結果は、高度に濃縮されたレベルの飽和遊離脂肪酸及び/または飽和脂肪酸エステルを含有する固体沈殿物と、不飽和遊離脂肪酸及び/または不飽和脂肪酸エステル及びアセトンの混合物を含有する液相と、を含む、2つの相である。いくつかの実施形態では、反応から生成される固相は、限定されないが、濾過及び/または遠心分離を含む方法を通じて、液相から分離される。いくつかの実施形態では、有機溶媒(例えば、アセトン)は、任意選択的に真空下での、回転式蒸発器を使用して除去される。
【0095】
いくつかの実施形態では、飽和遊離脂肪酸は、長鎖飽和脂肪酸(例えば、長鎖飽和遊離脂肪酸)及び短鎖飽和脂肪酸(例えば、短鎖飽和遊離脂肪酸)へと更に分離される。非限定的な実施形態では、長鎖飽和脂肪酸は、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22脂肪酸を含む、及び/またはそれらからなる。非限定的な実施形態では、短鎖飽和脂肪酸は、C6~C12またはC8~C12脂肪酸を含む、及び/またはそれらからなる。
【0096】
いくつかの実施形態では、飽和脂肪酸エステルは、長鎖飽和脂肪酸エステル及び短鎖飽和脂肪酸エステルへと更に分離される。非限定的な実施形態では、長鎖飽和脂肪酸エステルは、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれらからなる。非限定的な実施形態では、短鎖飽和脂肪酸エステルは、C6~C12またはC8~C12脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれらからなる。
【0097】
飽和脂肪酸の脱炭酸
一態様では、方法は、飽和脂肪酸(例えば、長鎖飽和遊離脂肪酸)の脱炭酸を含む。非限定的な実施形態では、長鎖飽和脂肪酸は、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22脂肪酸を含む、及び/またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、長鎖飽和脂肪酸(例えば、長鎖飽和遊離脂肪酸)の脱炭酸は、飽和炭化水素を提供する。いくつかの実施形態では、脱炭酸された長鎖飽和脂肪酸(例えば、飽和炭化水素)は、再生可能なディーゼル前駆体として有用である。いくつかの実施形態では、プロセスは、再生可能なディーゼルを調製することを含む。いくつかの実施形態では、長鎖飽和遊離脂肪酸の飽和物の分離に続いて、プロセスは、末端カルボキシル官能(例えば、脱炭酸)基の除去を含む。いくつかの実施形態では、長鎖飽和脂肪酸(例えば、長鎖飽和遊離脂肪酸)は、脱炭酸されて、再生可能なディーゼル燃料が生成される。
【0098】
いくつかの実施形態では、飽和脂肪酸エステルは、(例えば、鹸化によって)飽和脂肪酸へと変換され、次いで脱炭酸され得る。飽和脂肪酸エステルを飽和脂肪酸へと変換するための方法の非限定的な例としては、アルカリ水溶液(例えば、NaOH)による処理が挙げられる。
【0099】
脱炭酸に有用な触媒の非限定的な例としては、Al2O3上のMo、Al2O3上のMgO、及びAl2O3上のNiが挙げられる。非限定的な例では、単一段階連続プロセスにおいて、脱炭酸内で、限定されないが、Al2O3上のMo、Al2O3上のMgO、及びAl2O3上のNiを含む触媒を使用した、及び/または亜臨界水を用いた。いくつかの実施形態では、直鎖炭化水素は、脱炭酸及び水素が添加されない水素化反応を介して得られる。Mo/Al2O3触媒は、375℃、4時間の時空、及び5:1の水対オレイン酸の体積比の最大化条件下で、他の2つの試験触媒(MgO/Al2O3、Ni/Al2O3)と比較して、より高い程度の脱炭酸及び液体収率を呈することが見出された。得られた液体生成物は、灯油(0.78~0.82kg/m3及び46.2MJ/kg)、ジェット燃料(0.78~0.84kg/m3及び43.5MJ/kg)、及びディーゼル燃料(0.80~0.96kg/m3及び44.8MJ/kg)を含む商業燃料と同様の密度(15.6℃で0.85kg/m3)及び高い発熱量(44.7MJ/kg)を有する。Mo/Al2O3触媒に対して、温度、水対供給物の体積比、及び時空を含む反応条件を最大化させた。使用済み触媒の特徴評価によって、触媒上に堆積した顕著な量の非晶質炭素は、触媒をリサイクルし再利用する空気中での単純な炭素燃焼によって除去することができることが示された。
【0100】
いくつかの実施形態では、残留溶媒は、脱炭酸及びCO2の損失の前に、真空圧力下でのフラッシュ蒸留によって除去される。
【0101】
いくつかの実施形態では、長鎖飽和遊離脂肪酸の炭素鎖長の組成は、投入される油の特徴に応じて、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22の範囲である。回収される飽和遊離脂肪酸の質量パーセントも、投入される油の特徴に依存する。
【0102】
いくつかの実施形態では、飽和遊離脂肪酸は、脱炭酸され、飽和炭素鎖から末端カルボン酸官能基が除去される。いくつかの実施形態では、反応は、Ni/C、Pt/Cなどの非貴金属触媒の存在下で実行された後、水素化が行われる。
【0103】
いくつかの実施形態では、加水分解された遊離脂肪酸(FFA)の気相脱炭酸について、温度、FFA供給速度、及びH2対FFAモル比などの反応パラメータを変化させることによって、2つの固定床反応器で調査した。大部分のC18、ならびに少しのC16、C20、C22、及びC24FFAを含有するFFAを沸騰ゾーンに供給し、蒸発させ、0.5~20ml/分の速度での水素流によって運び、反応器内で5%のPd/C触媒と反応させた。
【0104】
エテノリシス
一態様では、方法は、不飽和脂肪酸(例えば、不飽和遊離脂肪酸)及び/または不飽和脂肪酸エステルをエテノリシスに供することを含む。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸(例えば、不飽和遊離脂肪酸)のエテノリシスは、i)アルファオレフィンと、ii)短鎖不飽和脂肪酸と、を含む、混合物を提供する。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸エステルのエテノリシスは、i)アルファオレフィンと、ii)短鎖不飽和脂肪酸エステルと、を含む、混合物を提供する。いくつかの実施形態では、短鎖不飽和脂肪酸は、C8~C12短鎖不飽和脂肪酸を含む、及び/またはそれからなる。いくつかの実施形態では、短鎖不飽和脂肪酸エステルは、C8~C12短鎖不飽和脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれからなる。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸(例えば、不飽和遊離脂肪酸)は、酸性化中に調製された遊離脂肪酸混合物中の飽和遊離脂肪酸から分離される。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸エステルは、エステル交換中に調製された脂肪酸エステル混合物中の飽和脂肪酸エステルから分離される。いくつかの実施形態では、不飽和遊離脂肪酸は、長鎖不飽和遊離脂肪酸を含む、及び/またはそれからなる。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸エステルは、長鎖不飽和脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれからなる。非限定的な例では、飽和及び不飽和長鎖脂肪酸(例えば、飽和及び不飽和長鎖遊離脂肪酸)及び/または飽和及び不飽和長鎖脂肪酸エステルの分離に続いて、溶媒抽出後の液相内に含有される長鎖不飽和遊離脂肪酸及び/または不飽和長鎖脂肪酸エステルの一部分を、末端アルファオレフィン、ならびに不飽和短鎖遊離脂肪酸及び/または不飽和短鎖脂肪酸エステルへの更なる処理のために隔離した。
【0105】
一態様では、一般的にエテノリシスとして知られるオレフィンメタセシス反応は、平衡反応である。いくつかの実施形態では、オレフィンメタセシス反応は、通常、限定されないが、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムを含む、IVA~VIII族からの遷移金属に基づく、多種多様な触媒の存在下での、均一相及び/または不均一相のいずれかで生じ得る。
【0106】
この変換を実行するための様々なタイプの触媒について記載されている。いくつかの実施形態では、タングステン及びテトラアルキルスズ、例えば、WCl/SnMeaに基づく第1の系は、均質であった。いくつかの実施形態では、テトラアルキルスズによって活性化されたレニウムに基づく不均一系が、これに続いた。いくつかの実施形態では、広範囲の官能基の耐性に起因して、ルテニウムに基づく錯体それ自体が、非常に興味深いものであることが急速に証明された。いくつかの実施形態では、多くの場合、高い活性と相まったその特性は、ポリマー合成及び有機合成の分野におけるそれらの大きな発展を説明する。いくつかの実施形態では、植物油のメタセシスを触媒するためのそれらの使用は、広く研究されている。以下の参考文献を提供することができる:国際特許出願第WO-A-96/04289(R.Grubbs et al)は、オレイン酸メチルのエテノリシスについて記載している。過剰なエチレン(100psi)の存在下で、反応は、デセン(43%)、デカン酸メチルの混合物を生成する。触媒の追加の非限定的な例としては、グラブス触媒(ルテニウムカルベン錯体)及びシュロックアルキリデン触媒(モリブデン(VI)及びタングステン(VI)系触媒)が挙げられる。いくつかの実施形態では、触媒は、グラブス(I)触媒(ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-ジクロロルテニウム)及びグラブス(II)触媒(ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)である。
【0107】
いくつかの実施形態では、使用される触媒の量は、飽和脂肪酸の総重量に基づいて、約1%~約10%、約2%~約5%の範囲である。
【0108】
いくつかの実施形態では、エテノリシスは、非イオン性溶媒中で実施される。非イオン性溶媒の非限定的な例としては、ジクロロメタン、n-ヘキサン、及びイソオクタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、エテノリシスは、イオン性溶媒中で実施される。イオン性溶媒の非限定的な例としては、1,1,3,3-テトラメチルグアニジウムラクテート[TMG][L]、モノエタノールアンモニウムラクテート[MEA][L]、i-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート[BMIm][BF4]、i-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルフェート[BMIm][MeSO4]、i-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルフェート[HMIm][MeSO4]、i-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルフェート[EMIm][MeSO4]、及びi-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート[BMIm][PF6]が挙げられる。
【0109】
いくつかの実施形態では、精製された不飽和脂肪酸(例えば、不飽和遊離脂肪酸)及び/または不飽和脂肪酸エステルは、非イオン性溶媒(例えば、ジクロロ-メタンまたはn-ヘキサン)、不均一触媒、及び/または気体状エチレンと合わせられる。いくつかの実施形態では、反応温度は、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、または約50℃である。いくつかの実施形態では、反応圧力は、約5バール、約6バール、約7バール、約8バール、約9バール、約10バール、約11バール、約12バール、約13バール、約14バール、または約15バールである。
【0110】
一態様では、エテノリシスによって生じる不飽和脂肪酸(例えば、長鎖不飽和遊離脂肪酸)のメタセシスが、上のような脂肪酸の単一の鎖、例えば、オレイン酸またはリノール酸にではないが、当該脂肪酸鎖の混合物に適用される場合、生成物が植物または動物由来である場合のように、生成物の混合物が得られるであろう。一態様では、エテノリシスによって生じる不飽和脂肪酸エステル(例えば、長鎖不飽和脂肪酸エステル)のメタセシスが、脂肪酸エステルの単一の鎖、例えば、オレイン酸メチルまたはリノール酸メチルにではないが、脂肪酸エステルの混合物に適用される場合、生成物の混合物が得られるであろう。いくつかの実施形態では、したがって、得られる生成物の性質、及びそれらの量は、使用される脂肪性出発材料の脂肪酸及び/または脂肪酸エステルの組成に依存するであろう。いくつかの実施形態では、1-デセンが豊富である生成物を得ることは、オレイン酸エステル及び/またはオレイン酸が豊富である出発物質を使用することを示唆している。いくつかの実施形態では、これらの油は、少なくともそれらの脂肪酸組成、それらの不飽和脂肪酸の性質及び割合によって特徴評価される。いくつかの実施形態では、脂肪酸鎖及び/または脂肪酸エステル鎖の少なくとも約80%は、オレイン酸鎖を含み、リノール酸脂肪鎖の量は、12%を超えず、リノール酸脂肪鎖の量は、約0.3%を超えない。いくつかの実施形態では、飽和鎖、例えば、パルミチン酸またはステアリン酸の量は、約5%~約15%の範囲であるが、他のオレフィン鎖は、約0.3%超の量で当該油中に存在する。
【0111】
いくつかの実施形態では、生じる不飽和脂肪酸(例えば、長鎖不飽和遊離脂肪酸)は、少なくとも1つの非水性イオン性液体の存在下でのメタセシス反応においてエチレンと反応させて、オレフィン画分、及びモノアルコール及び短鎖遊離脂肪酸の組成物の両方が生成される。いくつかの実施形態では、生じる不飽和脂肪酸エステル(例えば、長鎖不飽和遊離脂肪酸エステル)は、少なくとも1つの非水性イオン性液体の存在下でのメタセシス反応においてエチレンと反応させて、オレフィン画分、及びモノアルコール及び短鎖遊離脂肪酸エステルの組成物の両方が生成される。
【0112】
いくつかの実施形態では、エチレンを過剰に使用した再生可能な油のメタセシスは、1つ以上の反応ステップを有する閉鎖(バッチ)系、半開放系、または連続系で実行され得る。反応性蒸留を使用して反応を実行することも可能である。激しい撹拌によって、試薬(気体及び液体)と触媒混合物との間の良好な接触が保証される。
【0113】
いくつかの実施形態では、反応温度は、約0℃~約150℃の範囲、または約20℃~約120℃の範囲、または約25℃~約50℃の範囲、または約25℃~約40℃の範囲にあり得る。操作は、媒体の融解温度を上回ってまたは下回って実行され得、分散した固体状態は、反応に対する制限ではない。圧力は、例えば、大気圧(約0.1MPa)~50MPaの範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、純粋なまま、または混合物として、またはパラフィン(不活性)で希釈されたエチレンが使用され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、反応生成物は、デカントすることによって分離され得る。いくつかの実施形態では、イオン性液体が、不揮発性であり、熱的に安定である場合、蒸留によって生成物を分離することも可能である。
【0115】
アルファオレフィンの水素異性化
一態様では、方法は、本開示のアルファオレフィンを異性化すること(例えば、水素異性化すること)を含む。いくつかの実施形態では、アルファオレフィンの異性化は、潤滑剤のベース原料及び/またはベースオイルとして有用な化合物を提供する。異性化は、異なる異性体への分子の変換として定義される。
【0116】
いくつかの実施形態では、アルファオレフィンは、短鎖遊離脂肪酸(FFA)から分離され、潤滑剤中で使用するのに望ましい構造に到達する。いくつかの実施形態では、共溶媒抽出及び/または分留が、分離に使用される。いくつかの実施形態では、2つの主要な構成成分(アルファオレフィン及び短鎖FFA)間の極性及び比重の差は、本質的な相分離を生じ得、追加の化学処理の必要性を回避する。
【0117】
いくつかの実施形態では、アルファオレフィン部分を分離した後、金属、金属酸化物、金属塩、または有機ヒドロペルオキシドなどの有機材料、イオン交換体、及び酵素から選択される1つ以上の触媒を含む不均一触媒の存在下でオリゴマー化される。いくつかの実施形態では、不均一触媒は、AlCl3またはBF3のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、オリゴマー化後の分析は、反応の程度を確認するために使用される。いくつかの実施形態では、アルファオレフィンは、オリゴマー化によって短鎖不飽和脂肪酸から分離される。いくつかの実施形態では、オリゴマー化は、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、アルファオレフィン五量体、及びそれらの混合物を提供する。いくつかの実施形態では、オリゴマー化(例えば、二量体化、三量体化、四量体化、五量体化)が公開されたレベルに達したら、材料は、異性化される準備ができている。異性化に有用な非限定的な方法としては、水素及び触媒(例えば、Pd/C)の存在、または不活性条件下が挙げられる。いくつかの実施形態では、異性化の目的は、二量体化されたアルファオレフィンへの末端分岐特徴を増加させることであり、一方、水素は、任意の残留二重結合特徴を飽和させるために使用される。いくつかの実施形態では、異性化及び水素化は、反応器内部で実施され得、任意選択的に、異性化の程度は、不均一触媒のタイプ、温度、圧力、及び滞留時間によって制御される。いくつかの実施形態では、異性化は、Parr反応器内部で実施される。
【0118】
いくつかの実施形態では、異性化反応の温度条件は、任意選択的に、触媒、例えば、不均一触媒の存在下で、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、異性化反応のための圧力条件は、任意選択的に不均一触媒の存在下で、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、触媒充填量、温度、及び/または圧力パラメータが公開されており、研究室用途用に開発することができる。
【0120】
不飽和脂肪酸の脱炭酸
一態様では、方法は、不飽和脂肪酸(例えば、長鎖不飽和遊離脂肪酸を含む不飽和遊離脂肪酸のエテノリシスから調製された短鎖不飽和脂肪酸)を脱炭酸させることを含む。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸を脱炭酸することは、飽和炭化水素を生成する。いくつかの実施形態では、長鎖不飽和遊離脂肪酸のエテノリシスの後の一次生成物は、アルファオレフィン(例えば、線状アルファオレフィン)であり、第2の副生成物は、短鎖不飽和遊離脂肪酸である。いくつかの実施形態では、不飽和長鎖脂肪酸のエテノリシスから生じる短鎖不飽和遊離脂肪酸を、二成分系蒸留を介してアルファオレフィン位置から分離した。いくつかの実施形態では、ここで、濃縮されている短鎖不飽和遊離脂肪酸は、脱炭酸され、飽和炭素鎖から末端カルボン酸官能基が除去される。いくつかの実施形態では、不飽和遊離脂肪酸の炭素鎖長の組成は、投入される油の特徴に応じて、C6~C12またはC8~C12の範囲である。いくつかの実施形態では、回収される飽和遊離脂肪酸の質量パーセントも、投入される油の特徴に依存する。
【0121】
いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸エステルは、(例えば、鹸化によって)不飽和脂肪酸へと変換され、次いで脱炭酸され得る。不飽和脂肪酸エステルを不飽和脂肪酸へと変換するための方法の非限定的な例としては、アルカリ水溶液(例えば、NaOH)による処理が挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、水素を添加しない非貴金属触媒上での脂肪酸の脱炭酸を研究した。脱炭酸に有用な触媒の非限定的な例としては、Al2O3上のMo、Al2O3上のMgO、Al2O3上のNi、及び酸化金属(例えば、硝酸銀及び過硫酸ナトリウムからインサイチュで調製することができる銀(II))が挙げられる。銀(ii)によって触媒される酸化的脱炭酸を使用する不飽和脂肪酸の脱炭酸の非限定的な例については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、van der Kils et al.,Eur.J.Lipid Sci.Tech.113:562-571(2011)を参照されたい。いくつかの実施形態では、Ni/C触媒が調製され、脱炭酸のための優れた活性及び維持を呈した。その後のいくつかの実施形態では、脂肪酸の脱炭酸に対するニッケル充填量、触媒充填量、温度、及び炭素数の影響を調査した。いくつかの実施形態では、結果は、高いニッケル充填量または触媒充填量で、生成物の接触分解が増加したことを示す。いくつかの実施形態では、温度は、ステアリン酸の変換に顕著に影響したが、選択性には影響を及ぼさなかった。いくつかの実施形態では、高い炭素数を有する脂肪酸は、この反応系で接触分解される傾向がある。いくつかの実施形態では、ステアリン酸は、370℃、5時間で、完全に変換され得、ヘプタデカンに対する選択性は、約80%であった。
【0123】
いくつかの実施形態では、脱炭酸は、限定されないが、アセトニトリルを含む有機溶媒中で実施され得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、加水分解された不飽和脂肪酸(例えば、短鎖不飽和遊離脂肪酸)の気相脱炭酸について、温度、FFA供給速度、及びH2対FFAモル比などの反応パラメータを変化させることによって、2つの固定床反応器で調査した。大部分のC8、ならびに少しのC6、C10、及びC12FFAを含有するFFAを沸騰ゾーンに供給し、蒸発させ、0.5~20ml/分の速度での水素流によって運び、反応器内で5%のPd/C触媒と反応させた。
【0125】
いくつかの実施形態では、遊離脂肪酸からの直鎖液体炭化水素の単一段階連続脱炭酸は、Al2O3上のMo、Al2O3上のMgO、及びAl2O3上のNiの群から選択される1つ以上の触媒及び/または亜臨界水を使用して実施される。いくつかの実施形態では、直鎖炭化水素は、脱炭酸及び水素が添加されない水素化反応を介して得られた。
【0126】
グリセロリシス(グリセロールエステル化)
一態様では、方法は、混合物を生成するためにグリセリン及び/またはグリセロール(例えば、再生可能な油の酸性化から生成されるグリセリン及び/またはグリセロール)を不飽和脂肪酸(例えば、不飽和脂肪酸(例えば、不飽和遊離脂肪酸)のエテノリシスから調製された短鎖不飽和脂肪酸の一部分)と合わせることと、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成するために混合物をグリセロリシスに供することと、を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、脂肪酸エステル(例えば、不飽和脂肪酸エステル及び飽和脂肪酸エステル)は、(例えば、鹸化によって)脂肪酸へと変換され、次いで脱炭酸され得る。不飽和脂肪酸エステルを不飽和脂肪酸へと、及び飽和脂肪酸エステルを飽和脂肪酸へと変換するための方法の非限定的な例としては、アルカリ水溶液(例えば、NaOH)による処理が挙げられる。
【0128】
グリセロールエステル化または「グリセロリシス」は、酸、メタノール、または真空ストリッピングを使用せずに低級油中のFFAを低減するために使用されている。いくつかの実施形態では、「酸-加水分解」及び/または酸性化中に生成されるグリセリンが、およそ238℃の温度で短鎖不飽和遊離脂肪酸と合わせられると、遊離脂肪酸は、グリセリンと反応して、アシルグリセロールまたはグリセリドと水とが形成されるであろう。いくつかの実施形態では、次いで、グリセロリシス中に形成される生じるグリセリドは、塩基触媒されるエステル交換を介して、バイオディーゼルに直接変換され得る。いくつかの実施形態では、グリセロリシスは、そのような高温で行われるので、形成される任意の水は、窒素パージを介して直ちに排出される。いくつかの実施形態では、窒素パージを介して、プロセス全体を通して水を連続的に除去することは、複数の理由から重要である。いくつかの実施形態では、0.5%を下回る水分レベルまで再生可能な油を乾燥させることは、塩基触媒されるエステル交換中の過剰な石鹸の形成、及び生じ得るデカント問題を回避する。いくつかの実施形態では、系から水をパージすることはまた、反応平衡を生成物側にシフトさせ、遊離脂肪酸濃度を0.2%未満まで低下させる。これは、平衡状態の系を変化(すなわち、低濃度の水の除去)に供すると、系は、変化の影響に対抗するために自身を再調整し、新しい平衡を確立すると記述している、Le Chatelierの原理、または「平衡法則」の結果である。いくつかの実施形態では、パージ中に、水とともに、揮発性有機化合物及び/または軽質カルボン酸が除去される。いくつかの実施形態では、これらの化合物は、有機酸化の結果であり、非常に悪臭を有し得る。いくつかの実施形態では、系を窒素で覆うことによって、高温での油構成成分の任意の更なる酸化を回避する。
【0129】
いくつかの実施形態では、酸性化された組成物中の遊離脂肪酸の少なくとも一部分をアシル-グリセリドへと変換することは、遊離脂肪酸のエステル化を含む。本明細書で使用される場合、グリセリシスという用語は、不活性環境で遊離脂肪酸とグリセロールとを合わせることによるアシル-グリセリドの形成を指す。
【0130】
いくつかの実施形態では、酸性化された組成物中の遊離脂肪酸の少なくとも一部分をグリセリドへと変換することは、酸性化された組成物中の遊離脂肪酸をグリセロールと接触させることを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、酸性化された組成物中の遊離脂肪酸をグリセロールと接触させることは、約175℃~260℃、200℃~255℃、220℃~250℃、230℃~245℃、もしくは約235℃~240℃、または約175℃、200℃、225℃、230℃、235℃、238℃、245℃、250℃、もしくは約260℃の温度で行われる。
【0132】
いくつかの実施形態では、酸性化された組成物中の遊離脂肪酸の少なくとも一部分をグリセリドへと変換することは、酸触媒される。
【0133】
いくつかの実施形態では、酸性化された組成物中の遊離脂肪酸の少なくとも一部分をグリセリドへと変換することは、塩基触媒される。
【0134】
いくつかの実施形態では、塩基触媒されるエステル化、エステル交換、及びそれらの組み合わせは、遊離脂肪酸をメトキシドで処理することを含み、メトキシドは、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0135】
持続可能な潤滑剤
一態様では、本開示は、持続可能な植物バイオマス由来の非化石炭化水素分子構造を含む、新規の非化石の、高性能の持続可能な潤滑剤を提供する。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、1つ以上のベースオイル(例えば、炭化水素ベースオイル)を含む。本開示に有用なベースオイルの非限定的な例としては、長鎖及び短鎖アルファオレフィン、飽和炭化水素、ならびにアシル-グリセリドが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の潤滑剤は、従来の高性能の合成石油生成物よりも性能が優れており、合成油に対するコスト競争力があり、現在の系との直接のドロップイン互換性を有し、19の適用可能な米国石油協会(API)認証を満たすかもしくはそれを上回り、かつ/または質の劣った石油系潤滑剤に対する実行可能な代替物である。
【0136】
いくつかの実施形態では、本開示の潤滑剤は、本開示の方法を使用して調製されたベースオイル(例えば、炭化水素ベースオイル)を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、ベースオイルは、C14~C18オレフィンモノマー(例えば、C14~C18アルファオレフィンモノマー)の二量体、三量体、四量体、及び/または五量体を含む。いくつかの実施形態では、オレフィンモノマーは、C16オレフィンモノマー(例えば、C16アルファオレフィンモノマー)である。いくつかの実施形態では、ベースオイルは、C14~C18オレフィンモノマー(例えば、C14~C18アルファオレフィンモノマー)のC28~C36二量体、C14~C18オレフィンモノマー(例えば、C14~C18アルファオレフィンモノマー)のC42~C54三量体、C14~C18オレフィンモノマー(例えば、C14~C18アルファオレフィンモノマー)のC56~C72四量体、及び/またはC14~C18オレフィンモノマー(例えば、C14~C18アルファオレフィンモノマー)のC70~C90五量体を含む。いくつかの実施形態では、ベースオイルは、C16オレフィンモノマー(例えば、C16アルファオレフィンモノマー)のC32二量体、C48三量体、C64四量体、及び/またはC80五量体を含む。
【0138】
一態様では、本開示は、潤滑剤であって、
a)潤滑剤の総重量の約50重量%~約70重量%の範囲の量の飽和炭化水素ベースオイルであって、飽和炭化水素ベースオイルが、C14~C18オレフィンモノマーのオリゴマーを含み、二量体が、29~36の範囲の平均炭素数を有する、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)潤滑剤の総重量の約1重量%~約30重量%、または約20重量%~約30重量%の範囲(例えば、約1.4重量%、約1.80重量%、約3.2重量%、約4.13重量%、約5.2重量%、または約16.25重量%、約26重量%)の量の粘度調整剤と、
c)潤滑剤の総重量の約10重量%~約15重量%の範囲(例えば、約12.3重量%)の量の界面活性剤と、
d)潤滑剤の総重量の約0.1重量%~約1重量%の範囲(例えば、約0.3重量%)の量の流動点降下剤と、
を含む、潤滑剤を提供する。
【0139】
一態様では、潤滑剤は、飽和炭化水素ベースオイルを含む。いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、C14~C18オレフィンモノマーのオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体、及び/または五量体)を含む。いくつかの実施形態では、二量体は、29~36の範囲の平均炭素数を有する。いくつかの実施形態では、二量体部分は、約422~約510の範囲の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、三量体は、42~55の範囲の平均炭素数を有する。いくつかの実施形態では、四量体は、56~72の範囲の平均炭素数を有する。いくつかの実施形態では、五量体は、70~90の範囲の平均炭素数を有する。好適な飽和炭化水素ベースオイルの非限定的な例としては、SynNova4及びSynNova9が挙げられる。それらの各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2020/0165538号及び米国特許第2020/0216772号も参照されたい。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の潤滑剤は、約1%~約30%、約1%~約6%、約1%~約17%、または約205~約30%の範囲(例えば、約1.4%、約1.80%、約3.2%、約4.13%、約5.2%、または約16.25%、約26%)の粘度指数を含む。非限定的な例では、潤滑剤は、Euro 0W40であり、約20%~約30%、または約25%~約27%の範囲、または約26%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。非限定的な例では、潤滑剤は、5W30であり、約1%~約6%、または約3%~約4%の範囲、または約3.2%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。非限定的な例では、潤滑剤は、5W20であり、約1%~約6%、または約1%~約2%の範囲、または約1.4%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。非限定的な例では、潤滑剤は、5W40であり、約1%~約6%、または約4%~約5%の範囲、または約5.2%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。非限定的な例では、潤滑剤は、ISO32であり、約1%~約17%、または約1%~約2%の範囲、または約1.80%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。非限定的な例では、潤滑剤は、ISO46であり、約1%~約17%、または約4%~約5%の範囲、または約4.13%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。非限定的な例では、潤滑剤は、ISO68であり、約1%~約17%、または約16%~約17%の範囲、または約16.25%の、粘度指数を含む、及び/または呈する。
【0141】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約50重量%~約70重量%、約55重量%~約65重量%、約58重量%~約60重量%、または約59重量%~約60重量%の範囲の量の飽和炭化水素ベースオイルを含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約59重量%、約59.1重量%、約59.2重量%、約59.3重量%、約59.4重量%、約59.5重量%、約59.6重量%、約59.7重量%、約59.8重量%、約59.9重量%、または約60重量%の量の飽和炭化水素ベースオイルを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、2つ以上の異なる飽和炭化水素ベースオイルを含む混合物またはブレンドである。いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、2つの異なる飽和炭化水素ベースオイルを含む。非限定的な例では、飽和炭化水素ベースオイルは、SynNova4及びSynNova9を含む。いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、潤滑剤の総重量の約50重量%~約60重量%、約52重量%~約58重量%、約55重量%~約57重量%、または約56重量%~約57重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約3重量%~約7重量%、約4重量%~約6重量%、または約4.5重量%~約5.5重量%の範囲の量のSynNova9を含む。いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、潤滑剤の総重量の約56重量%、約56.1重量%、約56.2重量%、約56.3重量%、約56.4重量%、約56.5重量%、約56.6重量%、約56.7重量%、約56.8重量%、約56.9重量%、または約57重量%の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、または約5.5重量%の量のSynNova9を含む。
【0143】
一実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、ベースオイル組成物の主な重量パーセントとして二量体を含む。いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、潤滑剤の総重量の約50重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、または約99重量%以上の量の二量体を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、二量体を含む飽和炭化水素ベースオイルには、いかなる1-デセンも実質的に存在しない。例えば、ベースオイルの実施形態は、モノマー、二量体、または三量体、更にはより高いオリゴマー形態のいずれかの形態の1-デセンを、5重量%未満、たとえば、3重量%未満、あるいは1重量%未満、含み得る。いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイルは、模擬蒸留試験ASTM D2887に従って、単一分岐異性体を含有する、約10%未満、約5%未満、または約1%未満の二量体を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、飽和炭化水素ベースオイル、または飽和炭化水素ベースオイルが2つ以上の異なる飽和炭化水素ベースオイルを含む場合の各飽和炭化水素ベースオイルは、以下の特性:
a)ASTM D5800及び/またはCEC L-40-A-93によって測定されるNoack揮発性が、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、または約9%未満(例えば、約7.4%)であること、
b)D2710-09に従って判定される臭素指数が、約1000mgのBr2/100gを下回るか、約500mgのBr2/100gを下回るか、または約200mgのBr2/100gを下回ること、
c)1H NMRによって判定される平均分岐指数(BI)が、約22~約26の範囲にあること、
d)13C NMRによって判定される平均パラフィン分岐近接性(BP)が、約18~約26の範囲にあること、
e)ASTM D2270に従って判定される粘度指数が、約125以上、約130以上、約135以上、または約140以上であること、
f)ASTM D97に従って判定される流動点が、約-20℃未満、約-27℃未満、約-30℃未満、約-33℃未満、約-36℃未満、約-39℃未満、または約-42℃未満であること、
g)ASTM D5293によって-35℃で測定されるコールドクランク模擬(CCS)動的粘度が、約1800cP未満、約1700cP未満、約1600cP未満、約1500cP未満、約1400cP未満、約1300cP未満、約1200cP未満、または約1100cP未満であること、及び/または
h)ASTM D445-17aによって測定されるKV(100)が、約3.7cSt~約9.7cSt、または約3.7cSt~約4.8cStの範囲にあること、
のうちの1つ以上を呈する。
【0146】
平均パラフィン分岐近接性(BP)は、以下の式による二量体部分における繰り返しメチレン基の含有量の尺度であり:
パラフィン分岐近接性(BP)=(ε炭素基の数/炭素基の総数)*100
式中、ε炭素基が、任意の末端炭素原子基から分離されたα炭素基、または少なくとも4つの炭素基によって分岐する炭素基として定義される。
【0147】
分岐指数は、分岐の程度の尺度であり、以下の式に従って決定することができる:
分岐指数(BI)=(メチル基水素の総含有量/水素の総含有量)*100。
【0148】
一態様では、潤滑剤は、粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、低温での潤滑剤粘度を最小限に抑え、産業性能基準を満たし、低処理速度で優れた剪断安定性を有し、低温性能を保持し、高温で粘度制御を提供するために使用される。当業者によって理解されるであろうように、任意の粘度調整剤が、本開示によって企図される。粘度調整剤の非限定的な例としては、Infineum SV603及びInfineum SV261Lが挙げられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約20重量%~約30重量%、約21重量%~約29重量%、約22重量%~約28重量%、約23重量%~約27重量%、約25重量%~約27重量%、または約25.5重量%~約26.5重量%の範囲の量の粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約25重量%、約25.1重量%、約25.2重量%、約25.3重量%、約25.4重量%、約25.5重量%、約25.6重量%、約25.7重量%、約25.8重量%、約25.9重量%、約26重量%、約26.1重量%、約26.2重量%、約26.3重量%、約26.4重量%、約26.5重量%、約26.6重量%、約26.7重量%、約26.8重量%、約26.9重量%、または約27重量%の量の粘度調整剤を含む。
【0150】
一態様では、潤滑剤は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、酸性ブローバイ気体を中和し、錆を制御し、ラッカーを低減し、ピストンなどのエンジン構成要素上の堆積を防止するために使用される。当業者によって理解されるであろうように、任意の界面活性剤が、本開示によって企図される。界面活性剤の非限定的な例としては、Infineum P6003が挙げられる。
【0151】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約10重量%~約15重量%、約11重量%~約14重量%、または約12重量%~約13重量%の範囲の量の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約12重量%、約12.1重量%、約12.2重量%、約12.3重量%、約12.4重量%、約12.5重量%、約12.6重量%、約12.7重量%、約12.8重量%、約12.9重量%、または約13重量%の量の界面活性剤を含む。
【0152】
一態様では、潤滑剤は、流動点降下剤を含む。いくつかの実施形態では、流動点降下剤は、潤滑剤中のワックス結晶が、低減された周囲温度で凝集または融合するのを防止するために使用される。いくつかの実施形態では、流動点降下剤は、流動性改善剤としても有用である。当業者によって理解されるであろうように、任意の流動点降下剤が、本開示によって企図される。流動点降下剤の非限定的な例としては、Infineum V385が挙げられる。
【0153】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約0.1重量%~約1重量%、0.1重量%~約0.5重量%、または0.2重量%~約0.4重量%の範囲の量の流動点降下剤を含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、潤滑剤の総重量の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、または約1重量%の量の流動点降下剤を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、1つ以上の添加剤を更に含む。添加剤の非限定的な例としては、耐摩耗添加剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、耐摩耗添加剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)を含む。ZDDPを含む添加剤の非限定的な例としては、Infineum D3337、Infineum P5920、及びInfineum P6003が挙げられる。
【0155】
一実施形態では、潤滑剤は、
a)潤滑剤の総重量の約56重量%~約57重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約4.5重量%~約5.5重量%の範囲の量のSynNova9を含む、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)潤滑剤の総重量の約25.5重量%~約26.5重量%の範囲の量のInfineum SV603を含む、粘度調整剤と、
c)潤滑剤の総重量の約12重量%~約13重量%の範囲の量のInfineum P6003を含む、界面活性剤と、
d)潤滑剤の総重量の約0.2重量%~約0.4重量%の範囲の量のInfineum V385を含む、流動点降下剤と、
を含む。
【0156】
一実施形態では、潤滑剤は、
a)潤滑剤の総重量の約56.4重量%の量のSynNova4と、
b)潤滑剤の総重量の約5重量%の量のSynNova9と、
c)潤滑剤の総重量の約26重量%の量のInfineum SV603と、
d)潤滑剤の総重量の約12.3重量%の量のInfineum P6003と、
e)潤滑剤の総重量の約0.3重量%の量のInfineumV385と、
を含む。
【0157】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されているが、そのような実施形態は、単に例として提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、本開示の記載の実施形態に対する様々な代替案が、実際に用いられ得る。
【実施例】
【0158】
以下、本明細書に包含される実施形態について、以下の実施例を参照して記載する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、本明細書に包含される本開示は、決してこれらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる、ありとあらゆる変形を包含すると解釈されるべきである。
【0159】
実施例1:再生可能な油ベース原料の例示的な調製
再生可能な油からベースオイル/ベース原料を調製するための方法の非限定的な例を、
図1及び
図12に示す。
【0160】
油の前処理
第1のステップは、およそ7.8L(2ガロン)の選択された再生可能な油前駆体、この場合、大豆油を前処理することである。前処理する油の初期サイズは、限定されないが、予期しない試料損失、アッセイ試験開発を必要とする複数の反応シナリオ、及び全てのユニット操作を網羅する研究室規模の機器制限を含む、複数の要因に依存する。
【0161】
市販の濾過助材(珪藻土、セルロース濾過助材、フィルタ孔径の組み合わせのフィルタバッグ)を使用して、油濾過方法を確立することができる。この段階の目的は、濾過助材対油比を最適化することではなく、潤滑剤プロセス全体を通して十分に高品質であり続ける油前駆体を生成することである。最終的な材料は、デブリを含まず、実験室遠心分離を介して分離することが不可能であるはずである。
【0162】
【0163】
再生可能な油の酸加水分解
前処理段階からの濾過した油を収集し、およそ7.5Lの油に対して2つの単一段階酸-加水分解反応を実施する。非限定的な実施形態では、好適な温度(還流約100℃、または加圧下120℃)で、蒸気または機械的撹拌のいずれかによって混合するための対策をとり、脂肪または油の間で反応を実行する。加えて、少量の鉱酸(油に対して1重量%の硫酸)、または「鹸化剤」、「乳化剤」、「分解剤」などとして知られる有機スルホン酸硫酸など。スルホン酸(97重量%)及びメチルスルホン酸(MSA)の2つの酸タイプを使用すると、ある程度の性能の最適化が可能である。試験比較の結果は、開発した設備の全体的な操作コストに顕著な影響を有する。
【0164】
プロセスでは、油を加熱し、化学量論的に過剰な水(4倍)の存在下で所望の温度まで撹拌する。その温度になったら、選択した酸を、大気圧の還流容器及び/または正圧及び高温(120℃)下のオートクレーブ反応器のいずれかに充填する。反応混合物を1時間激しく撹拌し、その後、反応を停止させ、分液漏斗に移す。相分離後、上部の遊離脂肪酸層を試験し、反応速度を確立する。分析結果に応じて、遊離脂肪酸相層を再度加水分解するか、または次の段階に転送してもよい。全ての重量、データ、及び反応パラメータを、後の分析のために記録する。
【0165】
【0166】
遊離脂肪酸の化学分離
グリセロールから遊離脂肪酸を分離した後、上部相を撹拌しながら5L丸底反応器に移す。2Lの体積で、2つの加水分解試行をアセトン抽出反応に供する。エチレングリセロール及び水(50重量%)を凝縮器媒体として使用して冷却還流下で、1:1の油対溶媒の比を使用して、60℃で20分間混合物を撹拌する。反応が完了したら、反応器の内容物を、エチレングリコール及び水浴中で、蓋を閉じた4つの個々の1.0Lビーカに移して、0℃まで冷却する。完全な飽和を保証するために、液体の不飽和遊離脂肪酸から固体の飽和遊離脂肪酸を分離する前にビーカを24時間冷却する。非限定的な実施形態では、液体部分のみが、潤滑剤ベース原料を生成するための目的のものである。遊離脂肪酸の飽和部分を分析し、再生可能なディーゼル生成に有用な基質を提供することを目的として、その特徴(すなわち、ヨウ素値、不活性物質含有量%、FFAプロファイルなど)を判定する。液体の不飽和部分を回転子蒸発器に移し入れ、アセトン溶媒の大部分を低温で蒸発させる。大部分の溶媒を除去した後、抽出された不飽和FFAを含有するビーカを真空チャンバ内に置いて、微量の溶媒を除去し、その後、次のユニット操作に進む。
【0167】
【0168】
不飽和遊離脂肪酸のエテノリシス
最終段階中に精製された不飽和遊離脂肪酸を使用して、およそ0.5Lの材料を1LのParr反応器(温度制御及び混合を伴うシリーズ4843)に充填する。以前の研究に基づく以前に公開された充填量で、非イオン性溶媒(ジクロロ-メタンまたはn-ヘキサン)、不均一触媒(以下に引用する複数のタイプ)、及び気体状エチレンを油とともに反応器内で合わせる。反応条件を、およそ40℃及び10バールの圧力で10時間以上保持する。非限定的な例では、結果は、所望の仕様を有する潤滑ベース原料を得るための公開された結果を再現している。
【0169】
生成物構成成分を定量的に決定し、公開された収率を満たしたら、反応が完了したとみなす。これが確立されたら、回転子蒸発を介して、気体状構成成分及び溶媒構成成分から油相を分離する。研究の規模に起因して、この段階では気体回収系の溶媒は実装されていない。自然蒸発を介して大部分の溶媒を除去した後、抽出されたアルファオレフィン及び新しく形成された短鎖遊離脂肪酸を含有するビーカを真空チャンバ内に置いて、微量の溶媒を除去し、その後、次のユニット操作に進む。
【0170】
【0171】
潤滑剤ベース原料へのアルファオレフィンの水素異性化
生じた混合物のアルファオレフィン部分を所望の形態へと変換するには、まず、短鎖FFAから分離する必要があった。これは、限定されないが、共溶媒抽出から分留までを含む、いくつかの異なる抽出技術を使用して達成することができる。生じた実験室混合物の特徴に応じて、分離アプローチは、必要性に基づいて決定する。理論によって制限されることを望まないが、2つの主要な構成成分(アルファオレフィン及び短鎖FFA)間の極性及び比重の差は、本質的な相分離を生じ得、追加の化学処理の必要性を回避する。
【0172】
アルファオレフィン部分を分離した後、それを不均一触媒(AlCl3及びBF3)の存在下でオリゴマー化させた。反応は、Parr反応器(連続混合を伴うシリーズ4843)で実行する。反応の程度を確認するために、オリゴマー化後の分析が必要である。オリゴマー化(例えば、二量体化)が、公開されたレベルに達したら、材料は、水素の存在下または不活性条件下のいずれかで異性化させる準備ができている。異性化の目的は、オリゴマー化された(例えば、二量体化された)アルファオレフィンへの末端分岐特徴を増加させることであり、一方、水素は、任意の残留二重結合特徴を飽和させるために使用される。異性化及び水素化は、parr反応器内部で実施され得、異性化の程度は、不均一触媒のタイプ、温度、圧力、及び滞留時間によって制御される。異性化反応のための反応条件は、AlCl3及びBF3などの不均一触媒の存在下での200℃超及び2,000psi超の範囲であり得る。触媒充填量、温度、及び圧力パラメータが公開されており、研究室用途用に開発することができる。
【0173】
【0174】
実施例2:潤滑剤0W-40
表1に示される以下の構成成分を含む潤滑剤0W-40を調製した。
【0175】
【0176】
分析は、ASTM試験手順に従って実施し、偏差なくかつ修正せずに使用した。これらの試験結果の精度は、参照した試験手順に記述されているものと一致するはずである。試験結果を、以下の表2及び3に示す。
【0177】
【0178】
【0179】
実施例3:油精製-濾過及び脱ガム化
材料
2Lの大豆油(購入したオレイン酸(Carolina Chemical)TAN(D974))、5L丸底フラスコ、分液漏斗、クエン酸、飲料水、濾材(珪藻土)、濾紙(50ミクロン)、及び適用可能なガラス器具を備えたフィルタ装置。
【0180】
方法
図3に示されるように、精製された大豆油を購入し、脱ガム化して、トリグリセリド純度を確実にした。2000グラムの大豆油を、400g(20重量%)の水及びクエン酸溶液(水中5重量%のクエン酸)と150°Fで30分間混合した。反応後、混合物を分液漏斗内で1時間沈降させ、その後デカントした。上部油相を、120°Fでフィルタ媒体(珪藻土)及び濾紙(50ミクロン)に通して濾した。濾過後に、1995gの大豆油を回収した。20gの試料を、遊離脂肪酸プロファイル分析のための第三者分析的分析に送った。
【0181】
供給油の酸加水分解(Twitchell分解)
試行#1-大気還流
材料
2Lの脱ガム化させた大豆油、5L丸底フラスコ、5Lフラスコガラス撹拌器、上部ガラス断熱材を備えた5Lフラスコ加熱マントル、冷却したグリコール循環浴を備えた還流濃縮器、硫酸(97%重量%)、分液漏斗。
【0182】
方法#2
図4に示されるように、精製された大豆油(1653g)を5L丸底フラスコ内で150°Fまで加熱した。加水分解のための計算された水の化学量論的当量は、34.5gの水に等しいが、実際の充填量は、10倍の化学量論的量(345g)であった。硫酸(98%)を、大豆油(66gの硫酸)に対して4重量%で混合物に添加した。混合物を、5L丸底フラスコ内で、235°Fで12時間還流させた。凝縮器温度を15°Fに維持し、全ての水蒸気が反応器に戻ったことを保証した。プロセスにおける酸加水分解を、
図5に示す。反応が完了した後、混合物を室温まで冷却させ、その後、分液漏斗に充填した。60分間の沈降後に、より下部の水/グリセリン相(460g)を除去した。上部油相(1630g)を取り出し、秤量し、分析試験のために試料採取した。油と水/グリセリンのこれらの層を、
図6に示す。その後の試験は、遊離脂肪酸へのトリグリセリドの変換は、より低い温度では20%しか得られなかったことを示した。
【0183】
試行#2-高圧/高温反応器
材料
2Lの脱ガム化された大豆油、1L高温高圧ステンレス鋼混合反応器、窒素気体、分液漏斗。
【0184】
方法#2
試行#1に応じて、酸加水分解のための反応条件を修正して、より高い反応温度を達成した。精製した大豆油(500g)を水(250g)と混合し、その後、高温高圧混合反応器に充填する。反応器の蒸気空間を窒素気体でパージして、望ましくない酸化を回避する。反応器を500°Fまで加熱しながら、内部圧力を870psiに上昇させる。撹拌しながら3時間、反応条件を維持する。完了後、反応器を室温まで冷却し、過剰な圧力を解放する。分液漏斗内で2時間、反応器の内容物を沈降させ、密度の高いグリセリン及び過剰の水相を収集し、分液漏斗を介して除去する。20分間条件を維持しながら、グリセリンを240°F及び60mmHgで真空乾燥させる。より密度の低い遊離脂肪酸構成成分を、グリセリンと同じ条件で乾燥させ、およそ89重量%の遊離脂肪酸が得られると予想される。
【0185】
不飽和及び飽和遊離脂肪酸の化学分離
材料
遊離脂肪酸(FFA)相、二重ジャケット付きのガラスで内張りされた反応器、5Lフラスコガラス撹拌器、冷却したエチレングリコール浴、分液漏斗、ACSグレードのアセトン、適用可能なガラス器具を備えたフィルタ装置、溶媒真空ポンプ、溶媒回収用の回転式蒸発器。
【0186】
方法
酸-加水分解(試験#1)中に生成された遊離脂肪酸(1630g)を、ACSグレードのアセトン(1:1.5、油対溶媒)と合わせた。2つの構成成分を混合し、その後、冷却した循環浴を使用して、24時間0°Fまで冷却した。混合物を過冷却した後、冷却した系から取り出した際にすぐに内容物を濾過した。固相の結晶化した遊離脂肪酸を保持することができる冷却した多孔質の布に通して、材料を濾過した。液体濾液を秤量し、その後、真空下(100mmHg)の回転式蒸発器を使用して残留アセトンを蒸発させた。生じた油(8.2重量%)を試料採取し、不飽和度及び遊離脂肪酸プロファイルを確認するために試験した。酸-加水分解(試験#1)の試験結果は、遊離脂肪酸変換の欠如が低抽出収率の原因であることを示した。試行#2の方法を使用して酸-加水分解プロセスを繰り返すことによって、抽出中の収率が改善されると予想される。
【0187】
実施例4:脱炭酸及びエテノリシス
過硫酸ナトリウムの作用によって銀(+1)から生成される銀(+2)を触媒として使用して、脂肪酸を脱炭酸させる。反応は、還流温度(約78℃)での20分間の反応時間で、アセトニトリル+水溶媒系中で行う。
【0188】
オレイン酸の酸化的脱炭酸
反応物:
●1.9874グラムのオレイン酸(Carolina Biological Supply Co.-研究室グレード カタログ#87-8340)
●50mlの脱イオン水で希釈した1.31グラムの硝酸銀(MCB-試薬グレード カタログ#SX205)
●90mlのアセトニトリル(EMD-HPLCグレード>99.99% カタログ#AX0142-1)
●40mlの脱イオン水で希釈した3.70グラムの過硫酸ナトリウム(Sigma-Aldrich->98% カタログ#216232)
【0189】
装置:
●水冷凝縮器を備えた250cc3口沸騰フラスコ、SSタイプK TC、1/8インチ
●テフロン液体添加チューブ及び磁気撹拌棒。反応混合温度を調節するために、加熱マントル及び電力制御を使用する。沸騰フラスコ及び加熱マントルを磁気撹拌器の上に置き、実験中に絶えず撹拌する。定速シリンジポンプを使用して、50ccシリンジから過硫酸ナトリウム溶液を反応混合物に送達する。この実験設定の例を、
図7に示す。
【0190】
手順:
オレイン酸、硝酸銀溶液、及びアセトニトリルを沸騰フラスコに入れる。凝縮器の冷却水を開始し、加熱マントルに電力供給する。反応混合物が約78℃に達した後、いくつかの沸騰作用及び/または凝縮器の基部での還流が目視されるはずである。この時点で、過硫酸ナトリウムのゆっくりとした添加(4ml/分)を開始する。過硫酸塩溶液を全て添加した後(10分)、反応を更に10分間継続する。反応期間の終わりに加熱マントルを取り外し、氷浴に置き換えることによって、反応混合物を室温まで素早く冷却する。
【0191】
生成物の回収:
冷却後、反応混合物に0.877グラムのnC16を添加し、よく混合する。反応混合物を250cc分液漏斗に移し、エチルエーテルで3回洗浄する。各々のエチルエーテル洗浄で250cc反応フラスコを洗い流し、反応混合物に添加する。3回分のエチルエーテル抽出物を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄する。
【0192】
分析:
2mlの最終エチルエーテル抽出物(0.45um)を2mlバイアルへと濾過し、GCによって分析する。
【0193】
GCの設定:
●カラム-100M×0.25mm×1um RT×-5
●Temp Prog-100℃-2分-6℃/分-300℃最終-20分
●注入-300℃で100:1 1ul分解
●キャリアガス-水素、46psig
●検出器-FID、300℃
【0194】
結果:
図9に示されるように、C17モノ-オレフィン(MSによるID)収率=約32重量%。
【0195】
脂肪酸、エステル、または内部オレフィンのエテノリシス
エチレン及び不飽和脂肪エステルまたは内部オレフィンによるオレフィンメタセシスは、短鎖アルファ-オレフィンとメチルエステルとの混合物を生じる。非限定的な例では、イオン性液体を反応溶媒として使用することができ、これによって、高価なGrubbs触媒を複数回再使用することが可能になる。この実施例は、当初の脂肪エステル及び供給原料としての脂肪酸のエテノリシスでの、イオン性液体よりも低コストの溶媒の使用を実証する。
【0196】
実験#1-オレイン酸メチル(FAME)のエテノリシス
反応物:
●0.0425グラムのHG2(Grubbs(II))触媒
●1.0544グラムのオレイン酸メチル
●20mlの乾燥イソオクタン-5A MSで乾燥
●エチレン気体>100psig->99%純度
【0197】
装置:
160ccのParr SSオートクレーブにガラスの内張りを装着して、反応体積を約50ccまで低減した。反応器に、SSタイプK TC、マグドライブ内部撹拌器、N2パージ用の複数のポート、エチレン添加、圧力検知、及びN2パージ下での乾燥溶媒のシリンジ注入部を装着する。下部反応器セクションは、取り外し可能な外部ヒータで加熱することができる。この実験設定の例を、
図8に示す。
【0198】
手順:
実験の前に、内張り及びオートクレーブの高温(225~250°F)N2パージを一晩実施し、完全に冷却させる。オートクレーブを素早く開き、ガラス内張りを取り外し、N2パージしたデシケータに入れる。オートクレーブを部分的に再度組み立て、充填した内張りを挿入する準備ができるまで、乾燥N2パージを維持する。分析天秤のドラフトカバーに約30分間のN2パージを設定し、その後、反応物を秤量する。液体供給物を使用してHG2触媒粉末を覆って酸化を防止しながら、素早く作業し、必要なHG2触媒及び液体供給物を秤量する。充填した内張りをN2パージしたデシケータ内のオートクレーブに移し戻す。再び、素早く作業し、オートクレーブを短時間開き、充填した内張りを再度設置し、オートクレーブを閉じ、密閉状態までオートクレーブ閉鎖部を締めながら乾燥N2パージを再度確立する。100psigまでの乾燥N2で、オートクレーブの漏れを確認する。HG2触媒の乾燥N2パージを続け、1時間供給し、その後、N2パージ中に乾燥イソオクタンを反応器に導入する。10分間ゆっくりとN2パージを続け、その後、気体流をエチレンに切り替え、20~30psigで3~4回の加圧-減圧サイクルを素早く実施し、その後、最後にエチレンで系を100psigまで加圧する。反応器内のエチレン圧が安定するまで、エチレン圧及び反応温度を監視し続ける。反応時間は、8時間であり、温度は、29~36℃に変動させた。
【0199】
生成物の回収:
反応器をゆっくりと減圧させ、エチレンを乾燥窒素に置き換えて、反応器を不活性化させ、その後、開ける。反応器の内容物を、少量の乾燥イソオクタンを3回フラッシュした小さなボトルにピペットする。ボトルに数滴の水を添加し、よく振盪させて、触媒を失活させる。0.4954グラムのnC14(IS)を添加し、よく混合する。
【0200】
分析:
2mlの反応生成物(0.45um)を2mlバイアルへと濾過し、GCによって分析する。
【0201】
GCの設定:
●カラム-100M×0.25mm×1um RT×-5
●Temp Prog-100℃-2分-6℃/分-300℃最終-20分
●注入-300℃で100:1 1ul分解
●キャリアガス-水素、46psig
●検出器-FID、300℃
【0202】
結果:
1-デセン収率(オレイン酸メチル重量に基づく) 約41重量%。オレイン酸メチル変換率 約99重量%。
図10は、これらの結果を示すクロマトグラムを示す。
【0203】
実験#2-オレイン酸のエテノリシス
反応物:
●0.0450グラムのHG2触媒
●0.9986グラムのオレイン酸
●20mlの乾燥イソオクタン-5A MSで乾燥
●エチレン気体>100psig->99%純度
【0204】
装置:
160ccのParr SSオートクレーブにガラスの内張りを装着して、反応体積を約50ccまで低減した。反応器に、SSタイプK TC、マグドライブ内部撹拌器、N2パージ用の複数のポート、エチレン添加、圧力検知、及びN2パージ下での乾燥溶媒のシリンジ注入部を装着する。下部反応器セクションは、取り外し可能な外部ヒータで加熱することができる。この実験設定の例を、
図8に示す。
【0205】
手順:
実験の前に、内張り及びオートクレーブの高温(225~250°F)N2パージを一晩実施し、完全に冷却させる。オートクレーブを素早く開き、ガラス内張りを取り外し、N2パージしたデシケータに入れる。オートクレーブを部分的に再度組み立て、充填した内張りを挿入する準備ができるまで、乾燥N2パージを維持する。分析天秤のドラフトカバーに約30分間のN2パージを設定し、その後、反応物を秤量する。液体供給物を使用してHG2触媒粉末を覆って酸化を防止しながら、素早く作業し、必要なHG2触媒及び液体供給物を秤量する。充填した内張りをN2パージしたデシケータ内のオートクレーブに移し戻す。再び、素早く作業し、オートクレーブを短時間開き、充填した内張りを再度設置し、オートクレーブを閉じ、密閉状態までオートクレーブ閉鎖部を締めながら乾燥N2パージを再度確立する。100psigまでの乾燥N2で、オートクレーブの漏れを確認する。HG2触媒の乾燥N2パージを続け、1時間供給し、その後、N2パージ中に乾燥イソオクタンを反応器に導入する。10分間ゆっくりとN2パージを続け、その後、気体流をエチレンに切り替え、20~30psigで3~4回の加圧-減圧サイクルを素早く実施し、その後、最後にエチレンで系を100psigまで加圧する。反応器内のエチレン圧が安定するまで、エチレン圧及び反応温度を監視し続ける。反応時間は、8時間であり、温度は、29~36℃に変動させた。
【0206】
生成物の回収:
反応器をゆっくりと減圧させ、エチレンを乾燥窒素に置き換えて、反応器を不活性化させ、その後、開ける。反応器の内容物を、少量の乾燥イソオクタンを3回フラッシュした小さなボトルにピペットする。ボトルに数滴の水を添加し、よく振盪させて、触媒を失活させる。0.4954グラムのnC14(IS)を添加し、よく混合する。
【0207】
分析:
2mlの反応生成物(0.45um)を2mlバイアルへと濾過し、GCによって分析する。
【0208】
GCの設定:
●カラム-100M×0.25mm×1um RT×-5
●Temp Prog-100℃-2分-6℃/分-300℃最終-20分
●注入-300℃で100:1 1ul分解
●キャリアガス-水素、46psig
●検出器-FID、300℃
【0209】
結果:
1-デセン収率 約22%、実験#1で観察されなかった他の化合物 およそ10%またははるかに高いレベル。残留オレイン酸を測定することが可能ではなかったので、変換率を計算することはできなかった。これらの結果を示す
図11を参照されたい。
【0210】
実施例5:ベースオイルの分析
ベースオイル試料をガスクロマトグラフィーによって分析した。ベースオイルは、C32(二量体)、C48(三量体)、C64(四量体)、及びC80(五量体)を含むことが見出された。
図2は、ガスクロマトグラフィートレースを示す。炭素割り当ては、C16アルファオレフィン(AO)のオリゴマー化に基づく。沸点分布を、以下の表Aに示す。
【0211】
【0212】
実施例6:オレイン酸プロセス供給物
大豆系オレイン酸の試料を、ガスクロマトグラフィー(最高オーブン温度380℃)及びまたGC/MS(最高オーブン温度355℃)によって分析した。
【0213】
ガスクロマトグラフィーによる分析は、材料のごくわずか(0.08%)が、トリグリセリドの形態であり、1.14%のジグリセリド含有量を有することを示した。残りの材料(98.79%)は、本質的に全てが脂肪酸であり、これは、
図13及び表Bに示されるGC/MSに詳述されている。脂肪酸の大部分はC18であり、C18:1(オレイン酸)が、ピーク面積によって全試料のおよそ79.19%を構成する。他の化合物は、直ちに検出されなかった。いくつかのピークは、脂肪酸であるように思われるが、機器によって決定的には同定されなかった(表Bでは、「その他」として報告する)。全遊離脂肪酸構成成分のパーセントとして表される個々の遊離脂肪酸の別途の内訳を、表Cに示す。全ての構成成分は、全試料のパーセンテージとして表され、ピーク面積によって決定する。結果は、およそのものとみなされるべきである。
【0214】
【0215】
【0216】
実施例7:大豆油エステル交換
大豆油の試料を、エステル交換によってメチルエステルへと変換し、結果を、ガスクロマトグラフィー(最大オーブン温度380℃)及びGC/MS(最大オーブン温度355℃)によって分析した。
【0217】
1%(w/vol)のカリウムを触媒として用い、6:1のメトキシル酸カリウム対大豆油のモル比を使用して、エステル交換を実施した。反応物を、グリセリン分離のために一晩放置し、続いて、エステル層を遠心分離して、試料を更に清澄化した。ガスクロマトグラフィーによる分析は、3%未満のジグリセリド及びトリグリセリドが残留している状態でエステル交換が成功したことを示した。
図14に示されるGC/MS図は、検出されたメチルエステル及び他の化合物を詳述しており、メチルエステル組成は表Dに詳述されている。個々のメチルエステルは、総メチルエステル含有量のパーセントとして表される。結果は、およそのものとみなされるべきである。
【0218】
【0219】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、
a)潤滑剤の総重量の約56重量%~約57重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約4.5重量%~約5.5重量%の範囲の量のSynNova9を含む、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)潤滑剤の総重量の約25.5重量%~約26.5重量%の範囲の量のInfineum SV603を含む、粘度調整剤と、
c)潤滑剤の総重量の約12重量%~約13重量%の範囲の量のInfineum P6003を含む、界面活性剤と、
d)潤滑剤の総重量の約0.2重量%~約0.4重量%の範囲の量のInfineum V385を含む、流動点降下剤と、
を含む。
[本発明1001]
トリグリセリドを含む再生可能な油からベースオイルを調製するための方法であって、
f)
i)飽和遊離脂肪酸及び不飽和遊離脂肪酸を含む、遊離脂肪酸混合物と、
ii)グリセリンと、
を含む混合物を生成するために、前記再生可能な油を酸性化させる工程、
g)前記脂肪酸の混合物から前記グリセリンを単離する工程、
h)前記不飽和遊離脂肪酸から前記飽和遊離脂肪酸を分離する工程、
i)
i)アルファオレフィンと、
ii)短鎖不飽和脂肪酸、任意選択的に、C6~C12またはC8~C12短鎖不飽和脂肪酸と、
を含む混合物を調製するために、前記不飽和遊離脂肪酸をエテノリシスに供する工程、ならびに
j)混合物を生成するためにa)からの前記グリセリンをd)の前記短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分と合わせる工程、及び前記混合物をグリセロリシスに供する工程、
を含む、前記方法。
[本発明1002]
前記方法が、飽和炭化水素を生成するために、d)の前記短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分を脱炭酸させる工程を更に含み、
任意選択的に、前記脱炭酸が、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む、
本発明1001の方法。
[本発明1003]
a)において、前記再生可能な油が、酸性化の前に精製される、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記再生可能な油を精製することが、清澄化、脱ガム化、漂白、及び/または濾過を含む、本発明1003の方法。
[本発明1005]
a)において、前記再生可能な油を酸性化させる工程が、有機画分及び水性画分を提供するために、前記再生可能な油を水性酸及び有機溶媒と接触させることを含み、
前記有機画分が、前記遊離脂肪酸混合物を含み、前記水性画分が、前記グリセリンを含む、
本発明1001の方法。
[本発明1006]
a)において、前記再生可能な油を酸性化させる工程が、前記再生可能な油と水との混合物を好適な圧力で加熱することを含む、本発明1001または1005の方法。
[本発明1007]
以下:
i)再生可能な油対水の比が、前記再生可能な油及び水の総重量に基づいて、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲であること、
ii)前記混合物が、約100℃~約350℃、約200℃~約300℃、または約250℃~約275℃の範囲の温度まで加熱されること、ならびに
iii)前記圧力が、約500psi~約1000psi、約700psi~約900psi、または約800psi~約900psiの範囲であること、
のうちの1つ以上を含む、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記酸性化させる工程が、2回以上繰り返される、本発明1005~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記酸が、H
2
SO
4
、HCl、及びH
3
PO
4
のうちの少なくとも1つを含む、本発明1005~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記有機画分が、90重量%~約100重量%の遊離脂肪酸と、約0重量%~約10重量%のグリセリンと、を含む、本発明1005~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記有機画分が、約90重量%の遊離脂肪酸と、約10重量%のグリセリン及び/またはグリセロールと、を含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記有機画分が、少なくとも約50~約100重量%、約60~約100重量%、約70~約100重量%、約80~約100重量%、約90~約100重量%、約60~約90重量%、または約70~約80重量%の遊離脂肪酸を含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
c)において、前記不飽和脂肪酸からの前記飽和脂肪酸の前記分離が、温度依存的な溶媒抽出を含む、本発明1012の方法。
[本発明1014]
a)の前記飽和遊離脂肪酸が、短鎖飽和遊離脂肪酸、任意選択的に、C8~12飽和遊離脂肪酸、及び長鎖飽和遊離脂肪酸、任意選択的に、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22飽和遊離脂肪酸へと分離される、本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記長鎖脂肪酸の脱炭酸を更に含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
前記脱炭酸が、Al
2
O
3
上のMo、Al
2
O
3
上のMgO、及びAl
2
O
3
上のNiから選択される触媒を含み、任意選択的に、単一段階連続プロセス及び/または亜臨界水を含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記エテノリシスが、任意選択的に、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムから選択される、触媒を含む、本発明1001~1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記不飽和遊離脂肪酸が、長鎖不飽和遊離脂肪酸を含む、及び/またはそれからなる、本発明1017の方法。
[本発明1019]
任意選択的に、不均一触媒の存在下での、任意選択的に、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、及び/またはアルファオレフィン五量体を提供する、オリゴマー化によって、前記短鎖不飽和脂肪酸から前記アルファオレフィンを分離する工程を更に含む、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記不均一触媒が、金属、金属酸化物、金属塩、または有機材料(例えば、有機ヒドロペルオキシド、イオン交換体、及び酵素)から選択される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
任意選択的に、水素の存在下で、または不活性条件下で、前記アルファオレフィンを異性化させる工程を更に含む、本発明1001~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記異性化が、Parr反応器内部で実施される、本発明1021の方法。
[本発明1023]
異性化反応の温度条件が、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲である、本発明1021または1022の方法。
[本発明1024]
異性化反応の圧力条件が、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲である、本発明1021~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記不均一触媒が、AlCl
3
及びBF
3
から選択される、本発明1019の方法。
[本発明1026]
前記グリセロリシスが、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成する、本発明1001~1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
前記グリセロリシスが、塩基触媒され、任意選択的に、前記触媒が、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択されるメトキシドである、本発明1026の方法。
[本発明1028]
トリグリセリドを含む再生可能な油からベースオイルを調製するための方法であって、
e)
i)飽和脂肪酸エステル及び不飽和脂肪酸エステルを含む、脂肪酸エステル混合物と、
ii)グリセリンと、
を含む混合物を生成するために、前記再生可能な油をエステル交換する工程、
f)前記脂肪酸エステル混合物から前記グリセリンを単離する工程、
g)前記不飽和脂肪酸エステルから前記飽和脂肪酸エステルを分離する工程、
h)
i)アルファオレフィンと、
ii)短鎖不飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C6~C12またはC8~C12短鎖不飽和脂肪酸エステルと、
を含む混合物を調製するために、前記不飽和脂肪酸エステルをエテノリシスに供する工程、
を含む、前記方法。
[本発明1029]
a)において、前記再生可能な油が、酸性化の前に精製される、本発明1028の方法。
[本発明1030]
前記再生可能な油を精製することが、清澄化、脱ガム化、漂白、及び/または濾過を含む、本発明1029の方法。
[本発明1031]
a)において、前記エステル交換する工程が、前記再生可能な油を、任意選択的に触媒の存在下で、アルコール、任意選択的にメタノールと反応させることを含む、本発明1001~1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
c)において、前記不飽和脂肪酸エステルからの前記飽和脂肪酸エステルの前記分離が、温度依存的な溶媒抽出を含む、本発明1012の方法。
[本発明1033]
a)の前記飽和脂肪酸エステルが、短鎖飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C8~12飽和脂肪酸エステル、及び長鎖飽和脂肪酸エステル、任意選択的に、C13~C22、C15~C19、またはC16~C22飽和脂肪酸エステルへと分離される、本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1034]
i)d)の前記短鎖不飽和脂肪酸エステルの少なくとも一部分を短鎖不飽和脂肪酸へと変換する工程、及び
j)飽和炭化水素を生成するために、e)の前記短鎖不飽和脂肪酸を脱炭酸させる工程、
を更に含み、
任意選択的に、前記脱炭酸が、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む、
本発明1028の方法。
[本発明1035]
前記方法が、
k)前記長鎖脂肪酸エステルを長鎖脂肪酸へと変換する工程、及び
l)飽和炭化水素を生成するために、g)の前記長鎖脂肪酸の少なくとも一部分を脱炭酸させる工程、
を更に含み、
任意選択的に、前記脱炭酸が、触媒または気相脱炭酸、任意選択的に、Ni/C触媒または酸化的金属触媒(例えば、銀(II))を含む、
本発明1033の方法。
[本発明1036]
前記脱炭酸が、Al
2
O
3
上のMo、Al
2
O
3
上のMgO、及びAl
2
O
3
上のNiから選択される触媒を含み、任意選択的に、単一段階連続プロセス及び/または亜臨界水を含む、本発明1034または1035の方法。
[本発明1037]
前記エテノリシスが、任意選択的に、タングステン、モリブデン、レニウム、及びルテニウムから選択される、触媒を含む、本発明1028~1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
前記不飽和脂肪酸エステルが、長鎖不飽和脂肪酸エステルを含む、及び/またはそれからなる、本発明1037の方法。
[本発明1039]
任意選択的に、不均一触媒の存在下での、任意選択的に、アルファオレフィン二量体、アルファオレフィン三量体、アルファオレフィン四量体、及び/またはアルファオレフィン五量体を提供する、オリゴマー化によって、前記短鎖不飽和脂肪酸エステルから前記アルファオレフィンを分離する工程を更に含む、本発明1028~1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記不均一触媒が、金属、金属酸化物、金属塩、または有機材料(例えば、有機ヒドロペルオキシド、イオン交換体、及び酵素)から選択される、本発明1039の方法。
[本発明1041]
任意選択的に、水素の存在下で、または不活性条件下で、前記アルファオレフィンを異性化させることを更に含む、本発明1028~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
前記異性化が、Parr反応器内部で実施される、本発明1041の方法。
[本発明1043]
前記異性化反応の温度条件が、約100℃~約500℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、または約400℃~約500℃の範囲である、本発明1041または1042の方法。
[本発明1044]
前記異性化反応の圧力条件が、約1,000psi~約3,000psi、約1,000psi~約2,000psi、約2,000psi~約3,000psi、または約1,500psi~約2,500psiの範囲である、本発明1041~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記不均一触媒が、AlCl
3
及びBF
3
から選択される、本発明1044の方法。
[本発明1046]
前記方法が、混合物を生成するためにa)からの前記グリセリンをe)の前記短鎖不飽和脂肪酸の少なくとも一部分と合わせる工程、及び前記混合物をグリセロリシスに供する工程を更に含む、本発明1034の方法。
[本発明1047]
前記グリセロリシスが、短鎖不飽和アシル-グリセリドを生成する、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記グリセロリシスが、塩基触媒され、任意選択的に、前記触媒が、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、亜鉛メトキシド、カルシウムメトキシド、トリブチルスズメトキシド、マグネシウムメトキシド、タンタル(V)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、アンチモン(III)メトキシド、ゲルマニウムメトキシド、銅(II)メトキシド、及びそれらの組み合わせから選択されるメトキシドである、本発明1046または1047の方法。
[本発明1049]
前記再生可能な油が、種子油、植物油、及び動物由来油から選択される1つ以上を含むか、またはそれらからなる、本発明1001~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
前記再生可能な油が、菜種油、大豆油、ヒマシ油から選択される、本発明1049の方法。
[本発明1051]
前記再生可能な油が、家禽、牛肉、及び魚のうちの1つ以上に由来する、本発明1049の方法。
[本発明1052]
本発明1001~1051のいずれかの方法から調製される、ベースオイル。
[本発明1053]
本発明1001~1051のいずれかの方法から調製される、再生可能なアルファオレフィン。
[本発明1054]
本発明1001~1051のいずれかの方法から調製される、再生可能なディーゼル。
[本発明1055]
本発明1001~1051のいずれかの方法から調製される、合成ガソリン。
[本発明1056]
本発明1001~1051のいずれかの方法から調製される、不飽和アシルグリセリド。
[本発明1057]
本発明1001~1051のいずれかの方法から調製される、不飽和アシルグリセリド。
[本発明1058]
潤滑剤であって、以下:
a)前記潤滑剤の総重量の約50重量%~約70重量%の範囲の量の飽和炭化水素ベースオイルであって、前記飽和炭化水素ベースオイルが、C14~C18オレフィンモノマーのオリゴマーを含み、前記オリゴマーが、29~36の範囲の平均炭素数を有する、前記飽和炭化水素ベースオイルと、
b)前記潤滑剤の総重量の約1重量%~約30重量%の範囲の量、任意選択的に、約1.4重量%、約1.80重量%、約3.2重量%、約4.13重量%、約5.2重量%、約16.25重量%、または約26重量%の量の粘度調整剤と、
c)前記潤滑剤の総重量の約10重量%~約15重量%の範囲の量、任意選択的に、約12.3重量%の量の界面活性剤と、
d)前記潤滑剤の総重量の約0.1重量%~約1重量%の範囲の量、任意選択的に、約0.3重量%の量の流動点降下剤と、
を含む、前記潤滑剤。
[本発明1059]
前記オリゴマーが、二量体、三量体、四量体、及び/または五量体、任意選択的に二量体を含む、及び/またはそれからなる、本発明1058の潤滑剤。
[本発明1060]
前記飽和炭化水素ベースオイルが、以下の特性:
a)ASTM D5800及び/またはCEC L-40-A-93によって測定されるNoack揮発性が、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、または約9%未満、任意選択的に、約7.4%であること、
b)D2710-09に従って判定される臭素指数が、約1000mgのBr
2
/100gを下回るか、約500mgのBr
2
/100gを下回るか、または約200mgのBr
2
/100gを下回ること、
c)
1
H NMRによって判定される平均分岐指数(BI)が、約22~約26の範囲にあること、
d)
13
C NMRによって判定される平均パラフィン分岐近接性(BP)が、約18~約26の範囲にあること、
e)ASTM D2270に従って判定される粘度指数が、約125以上、約130以上、約135以上、または約140以上であること、
f)ASTM D97に従って判定される流動点が、約-20℃未満、約-27℃未満、約-30℃未満、約-33℃未満、約-36℃未満、約-39℃未満、または約-42℃未満であること、
g)ASTM D5293によって-35℃で測定されるコールドクランク模擬(CCS)動的粘度が、約1800cP未満、約1700cP未満、約1600cP未満、約1500cP未満、約1400cP未満、約1300cP未満、約1200cP未満、または約1100cP未満であること、ならびに
h)ASTM D445-17aによって測定されるKV(100)が、約3.7cSt~約9.7cSt、または約3.7cSt~約4.8cStの範囲にあること、
のうちの1つ以上を呈する、本発明1058の潤滑剤。
[本発明1061]
前記飽和炭化水素ベースオイルが、前記潤滑剤の総重量の約50重量%~約60重量%の範囲の量のSynNova4、及び前記潤滑剤の総重量の約3重量%~約7重量%の範囲の量のSynNova9を含む、本発明1058~1060のいずれかの潤滑剤。
[本発明1062]
前記粘度調整剤が、Infineum SV603及びInfineum SV261Lのうちの1つ以上を含み、前記界面活性剤が、Infineum P6003を含み、前記流動点降下剤が、Infineum V385を含む、本発明1058~1061のいずれかの潤滑剤。
[本発明1063]
a)前記潤滑剤の総重量の約56重量%~約57重量%の範囲の量のSynNova4、及び潤滑剤の総重量の約4.5重量%~約5.5重量%の範囲の量のSynNova9を含む、飽和炭化水素ベースオイルと、
b)前記潤滑剤の総重量の約25.5重量%~約26.5重量%の範囲の量のInfineum SV603を含む、粘度調整剤と、
c)前記潤滑剤の総重量の約12重量%~約13重量%の範囲の量のInfineum P6003を含む、界面活性剤と、
d)前記潤滑剤の総重量の約0.2重量%~約0.4重量%の範囲の量のInfineum V385を含む、流動点降下剤と、
を含む、本発明1058~1062のいずれかの潤滑剤。
【国際調査報告】