(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】リンゴ発酵組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240808BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240808BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240808BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20240808BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240808BHJP
C12N 9/50 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
A23L33/105
A61Q17/04
A61K8/9789
A61K8/9728
A61Q19/08
C12N9/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542803
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 KR2022019571
(87)【国際公開番号】W WO2024025050
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0094864
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ギョン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヒ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク、イェウン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウニョン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
【Fターム(参考)】
4B018MD52
4B018MD92
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF13
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083BB46
4C083CC19
4C083EE12
4C083EE17
(57)【要約】
本出願は、紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する効果を有するリンゴ発酵組成物及びその皮膚改善、皮膚光老化防止または抑制用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する効果を有する、リンゴ発酵組成物。
【請求項2】
前記コラーゲン分解酵素が、MMP-1である、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項3】
前記リンゴ発酵組成物が、リンゴ酢発酵組成物である、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項4】
前記リンゴ発酵組成物が、リンゴ酵母発酵及び酢酸菌発酵組成物である、請求項3に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項5】
前記リンゴ発酵組成物が、皮膚改善効果を有する、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項6】
前記リンゴ発酵組成物が、皮膚老化防止効果を有する、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項7】
前記老化が、光老化である、請求項6に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項8】
前記リンゴ発酵組成物が、紫外線によるコラーゲン分解を抑制する効果を有する、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項9】
前記リンゴ発酵組成物が、紫外線が照射された細胞に処理時、リンゴ発酵組成物が処理されなかった紫外線照射細胞に比べて紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を10%以上減少または抑制するものである、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項10】
前記リンゴ発酵組成物が、紫外線によるしわ生成を抑制する効果を有する、請求項1に記載のリンゴ発酵組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のリンゴ発酵組成物を含む、食品。
【請求項12】
前記食品が、皮膚健康の改善または増進用である、請求項12に記載の食品。
【請求項13】
請求項1に記載のリンゴ発酵組成物を含む、健康機能食品。
【請求項14】
前記健康機能食品が、皮膚健康の改善または増進用である、請求項13に記載の健康機能食品。
【請求項15】
請求項1に記載のリンゴ発酵組成物を含む、化粧料組成物。
【請求項16】
前記化粧料組成物が、皮膚のしわ緩和または改善用である、請求項15に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リンゴ発酵組成物及びその皮膚改善、皮膚光老化防止または抑制用途に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、皮膚の美容に関して、皮膚の老化の遅延または緩和に対する関心が増加している。特に自然老化の他、紫外線露出による光老化への関心が急増するにつれて、これを防止または抑制するための製品開発が多数行われている。
【0003】
光老化とは、紫外線により皮膚細胞に生成された活性酸素種(Reactive oxygen species;ROS)によって真皮層のコラーゲンが分解される現象である。紫外線刺激によって生成されたROSが細胞内に浸透してコラーゲン分解酵素であるMMP-1(Matrix metalloproteinase-1)の発現を誘導すると、過発現したMMP-1が皮膚真皮層のコラーゲンを分解して皮膚は弾力を失い、老化する。したがって、光老化を防止または抑制するためには、MMP-1発現を効果的に抑制できる物質の開発が必要である。
【0004】
一方、リンゴは、バラ科(the family of Rosaceae)リンゴ属(the genus of Malus)に属する多年生植物であるリンゴ木の果実で、糖分、ビタミンA、ビタミンC及び無機塩類の含量が高い。リンゴに多量含有されたビタミンCは、皮膚のケラチンとコラーゲンの結合を堅固にすることで損傷した皮膚細胞を再生するのに優れた効果がある。さらに、リンゴ抽出物は皮膚の鎮静と保湿効果があることが知られており、リンゴとリンゴジュースにはリンゴ酸とスズ酸、酵素であるアミラーゼが含まれており、皮膚の角質除去効果があると知られている。
【0005】
現在、リンゴを利用した様々な食品及び化粧料組成物が開発されているが、光老化を防止または抑制して皮膚状態を改善することができる組成物の国内外需要が増加するにつれて、光老化防止または抑制効果がより優れた新しい組成物の開発が求められているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、リンゴ発酵組成物及びその皮膚改善、皮膚光老化防止または抑制用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の1つの目的は、紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する効果を有するリンゴ発酵組成物を提供することである。
本出願の他の目的は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む食品を提供することである。
【0008】
本出願のまた他の目的は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む健康機能食品を提供することである。
本出願のまた他の目的は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む化粧料組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0009】
本出願のリンゴ発酵組成物は、紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する効果を有するため、皮膚改善、皮膚光老化の予防または抑制用途を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】UVBが照射されたHaCaT細胞に濃度別リンゴ発酵組成物またはリンゴ濃縮液を処理して、MMP-1(Matrix metalloproteinase-1)発現量を確認した結果である。
*はp<0.05、
**はp<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これを具体的に説明すると以下の通りである。一方、本出願で開示された各説明及び実施形態は、他の各説明及び実施形態にも適用することができる。言い換えれば、本出願で開示された様々な要素のすべての組み合わせが、本出願のカテゴリに属する。また、下記記載される具体的な記述によって本出願のカテゴリが制限されると見ることはできない。さらに、本明細書全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として参照により本明細書に組み込まれ、本出願が属する技術分野のレベル及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0012】
本出願の一様態は、紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する効果を有するリンゴ発酵組成物を提供する。
本出願のリンゴ発酵組成物は、精製水及びリンゴ濃縮液を含んでもよい。
【0013】
本出願において、用語「リンゴ濃縮液」は、リンゴを濃縮して収得した液体を意味し、製造したものまたは市販のものなどを制限なく用いてもよい。一例として、前記リンゴ濃縮液はリンゴ100%濃縮液であってもよいが、これに制限されない。また、前記リンゴ濃縮液は、糖度が屈折糖度計の基準糖度60ブリックス以上であってもよいが、これに制限されない。さらに、前記リンゴ濃縮液は酸度が6%以下であってもよいが、これに制限されない。
【0014】
一具現例では、本出願のリンゴ発酵組成物において、前記リンゴ濃縮液は発酵前に含まれる成分を意味してもよい。具体的には、本出願のリンゴ発酵組成物において、前記リンゴ濃縮液は前記リンゴ発酵組成物の総体積対比1~50%(v/v)、1~30%(v/v)、1~25%(v/v)、5~50%(v/v)、5~30%(v/v)、5~25%(v/v)、10~50%(v/v)、10~30%(v/v)、10~25%(v/v)、15~50%(v/v)、15~30%(v/v)または15~25%(v/v)で含まれてもよい。
【0015】
本出願において、用語「リンゴ発酵組成物」は、リンゴ濃縮液を発酵した発酵物を意味する。
本出願において、用語「発酵」は、通常、微生物が自分が持っている酵素を用いて有機物を分解し代謝産物を転換して蓄積する現象またはその過程を意味する。
【0016】
本出願において、用語「発酵物」は、本出願の発酵によって産生された物質、そのろ過液、その希釈液、その濃縮液、その粗精製物、またはその精製物などをすべて含むものと包括的に解釈してもよいが、これに制限されない。
【0017】
具体的には、本出願の発酵物は酢酸発酵物または酢であってもよい。より具体的には、本出願の発酵物は酵母及び酢酸菌発酵物であってもよい。さらに具体的には、本出願の発酵物は酵母発酵の後に酢酸菌発酵した発酵物であってもよい。
【0018】
一例として、本出願のリンゴ発酵組成物は、リンゴを酢酸菌で発酵させたリンゴ酢酸発酵組成物、リンゴ酢酸発酵物またはリンゴ酢であってもよい。また、本出願のリンゴ発酵組成物は、リンゴを酵母及び酢酸菌で発酵したリンゴ酵母発酵及び酢酸菌発酵組成物であってもよい。さらに、本出願のリンゴ発酵組成物は、リンゴを酵母発酵後に酢酸菌発酵したリンゴ酵母発酵後酢酸菌発酵した組成物であってもよい。
【0019】
本出願において、本出願のリンゴ発酵組成物は、紫外線によるコラーゲン分解を抑制する効果を有するものであってもよい。
前記コラーゲン分解抑制は、一例として、コラーゲン分解酵素の発現の減少または抑制によって達成することができる。
【0020】
本出願のコラーゲン分解酵素は、MMP-1(Matrix metalloproteinase-1)、MMP-2またはMMP-9であってもよく、当業界で知られているコラーゲン分解酵素であれば、本出願の範囲に含まれてもよい。一具現例として、前記コラーゲン分解酵素はMMP-1であってもよい。
【0021】
本出願のリンゴ発酵組成物は、紫外線が照射された細胞に処理時、リンゴ発酵組成物が処理されなかった紫外線照射細胞に比べて紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制することができる。
【0022】
その例として、前記リンゴ発酵組成物は紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を10%以上、15%以上、20%以上、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、26%以上、27%以上、28%以上、29%以上、及び29.1%以上から選択された1つの下限線及び/または100%以下、50%以下、40%以下及び35%以下から選択された1つの上限線で構成される範囲に減少または抑制することができるが、これに制限されない。
【0023】
本出願において、本出願のリンゴ発酵組成物は皮膚改善効果を有するものであってもよい。
本出願において、本出願のリンゴ発酵組成物は皮膚老化防止効果を有するものであってもよい。
【0024】
本出願において、用語「皮膚改善」は、皮膚老化防止効果による皮膚状態の改善を意味する。あるいは、皮膚健康状態の改善または増進を意味してもよい。
前記老化は光老化であってもよい。より具体的には、前記老化は紫外線による皮膚老化であってもよい。
【0025】
前記皮膚改善または皮膚老化防止は、一例として、コラーゲン分解抑制及び/またはコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制によって達成することができ、これについては前述の通りである。
【0026】
本出願において、本出願のリンゴ発酵組成物は紫外線によるしわ生成を抑制する効果を有するものであってもよい。
前記しわ生成抑制は、一例として、コラーゲン分解抑制及び/またはコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制によって達成することができ、これについては前述の通りである。
【0027】
本出願の他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む食品を提供する。
前記リンゴ発酵組成物は前述の通りである。
本出願において、本出願の食品は皮膚健康の改善または増進効果を有するものであってもよい。前記皮膚健康の改善または増強は、コラーゲン分解抑制及び/またはコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制によって達成することができ、これについては以前様態の「皮膚改善」で前述した通りである。
【0028】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む健康機能食品を提供する。
前記リンゴ発酵組成物は前述の通りである。
【0029】
本出願において、本出願の健康機能食品は皮膚健康改善または増進効果を有するものであってもよい。前記皮膚健康改善または増進は、コラーゲン分解抑制及び/またはコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制によって達成することができ、これについては以前様態の「皮膚改善」で前述した通りである。
【0030】
本出願の「食品」は、一般食品、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)及び食品添加物(food additives)などの任意の形態を含み得る。
【0031】
前記タイプの食品は、当業界に公知の通常的な方法に従って様々な形態で製造することができる。
前記食品は、丸剤、粉末、顆粒、浸剤、錠剤、カプセル、散剤または液剤などの形態を含み、本出願の組成物を添加できる食品としては、例えば、各種食品類、例えば、米、食用穀粉(食用穀物粉)、穀物スープ、丼、麺類、クッパ、即席米、調味料、お弁当、乾燥調理されたご飯、パン、食用糖類、餅、ビビンジャン、ソース、香辛料、食用塩、調味料、調味料粉、加工処理、冷凍、乾燥及び調理された果物と野菜、ゼリー、ジャム、砂糖漬けの果実、卵、牛乳及びその他の乳製品、食用油脂、コーヒー、ココアと代用コーヒー、タピオカ、穀粉及び穀物調製品、ラーメン、うどん、麺、カルグクス、冷麺、お粥、スープ、スープ料理、インスタント食品、冷凍食品、即席食品、レトルト食品、その他の飲料、ガム、お茶、ビタミン複合体、健康補助食品類などがあるが、これに制限されない。
【0032】
本出願の食品に含まれてもよい成分として、通常の食品のように様々な生薬抽出物、食品補助添加剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。また、前記食品補助添加剤は、当業界で通常的な食品補助添加剤、例えば、香味剤、風味剤、着色剤、充填剤、安定化剤などを含んでもよい。
【0033】
前記天然炭水化物の例は、単糖類、例えば、グルコース、フルクトースなど;二糖類、例えば、マルトース、スクロースなど;及び多糖類、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。前術の以外に、香味剤として天然香味剤(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど)及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いてもよい。また、味と栄養を補う目的で用いられる通常の食品添加物、例えば、核酸、アミノ酸、有機酸などを添加してもよい。
【0034】
前記の他、本出願の食品は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含有してもよい。他に、天然フルーツジュース及びフルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。これらの成分は独立的または組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本出願の食品は、当業界で通常的に用いられる方法によって製造可能であり、前記製造においては、当業界で通常添加される原料及び成分を添加して製造してもよい。また、前記食品の剤形も食品と認められる剤形であれば、制限なく製造されうる。
【0036】
また、本出願の食品が健康機能食品として用いられる場合、本出願の食品は様々な形態の剤形で製造することができ、一般薬品とは異なり、食品を原料として薬品の長期服用時に発生可能性のある副作用などがないという利点があり、携帯性に優れ、本出願の食品は補助剤で摂取可能である。
【0037】
一方、本出願の食品は、食品添加剤としても分類できる香味剤、風味剤、着色剤、充填剤、安定化剤及び調味素材も含み得る。
本出願の用語「調味素材(flavor)」は、食品の風味を促進するために添加される素材であってもよい。前記調味素材は、食品が優れた精米性を有するようにする素材であってもよい。
【0038】
前記調味素材は味の成分に応じて分けることができる。すなわち、風味に応じて、ニュートラル(neutral)調味素材、牛肉(beef)風味調味素材、鶏肉(chicken)調味素材、豚肉(pork)調味素材、コク味(kokumi)調味素材などに分けることができる。
【0039】
「コク味調味素材(kokumi flavor)」は、コク味を出す調味素材を意味するもので、前記「コク味」は日本語に由来する単語であり、英語圏では「mouthfulness」、「continuity」、「thickness」、「heartiness」とも表現され、韓国語では「濃い味」、「厚い味」、「口の中にいっぱいの味」、「濃厚な味」、「真の味」などで表現される味を意味することができる。「ニュートラル調味素材(neutral flavor)」は、うま味(umami)を最大化し、その他の風味を最小限に抑えることで、純粋ですっきりとした風味を出す調味素材を意味するもので、例えば、オイルの中からカノーラ油やブドウ種油などのオイルをニュートラルな風味を有すると呼ぶことができる。「精米性」は、酸味、甘味、塩味、苦味、うま味などを持つことを意味することができるが、これに制限されない。
【0040】
本出願の食品は、CJ第一製糖(株)のリンゴ酢またはフルーツ発酵飲用酢製品であってもよく、その例として、プチッチェルミチョ(商標)またはミチョ(登録商標)製品であってもよいが、これに制限されない。本出願の食品は、全食品体積に対して本出願のリンゴ発酵組成物を1~50%(v/v)、1~30%(v/v)、5~50%(v/v)、5~30%(v/v)または10~30%(v/v)の濃度で含まれたものであってもよいが、これに制限されない。
【0041】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む化粧料組成物を提供する。
前記リンゴ発酵組成物は前述した通りである。
【0042】
本出願において、本出願の化粧料組成物は、皮膚のしわ緩和または改善効果を有するものであってもよい。前記しわの緩和または改善は、コラーゲン分解抑制及び/またはコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制によって達成することができ、これについては以前様態の「しわ生成の抑制」で前述した通りである。
【0043】
本出願において、本出願の化粧料組成物は、皮膚改善または皮膚老化防止効果を有するものであってもよい。前記皮膚改善または皮膚老化防止は、コラーゲン分解抑制及び/またはコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制によって達成することができ、これについては以前様態で前述した通りである。
【0044】
本出願の「化粧料組成物」は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、日焼け止めクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーからなる群から選択される剤形に製造することができるが、これに制限されない。
【0045】
前記化粧料組成物は、一般皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容可能な担体を1種以上さらに含んでもよく、通常の成分として、例えば、油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適宜配合することができるが、これに制限されるものではない。本出願の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容可能な担体は化粧料組成物の剤形に応じて当業者が適宜選択することができる。
【0046】
本出願の化粧料組成物は、全体化粧料組成物体積対比で本出願のリンゴ発酵組成物を0.001~2%(v/v)、0.005~1.9%(v/v)、0.02~1.8%(v/v)、0.025~1.75%(v/v)、0.03~1.7%(v/v)、0.035~1.65%(v/v)、0.04~1.6%(v/v)、0.045~1.55%(v/v)または0.05~1.5%(v/v)の濃度で含むものであってもよい。一具現例として、前記化粧料組成物は、全体化粧料組成物体積対比で本出願のリンゴ発酵組成物を0.05~1.5%(v/v)の濃度で含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0047】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を投与する段階を含む紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する方法を提供する。
前記コラーゲン分解酵素はMMP-1であってもよいが、これに制限されない。これについては前述の通りである。
【0048】
前記リンゴ発酵組成物は、紫外線が照射された細胞に処理時、リンゴ発酵組成物が処理されなかった紫外線照射細胞に比べて紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を10%以上減少または抑制するものであってもよいが、これに制限されない。これについては前述の通りである。
【0049】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を投与する段階を含む皮膚改善方法を提供する。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を投与する段階を含む皮膚老化防止方法を提供する。
【0050】
前記老化は光老化であってもよいが、これに制限されない。これについては前述の通りである。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を投与する段階を含む紫外線によるしわ生成抑制方法を提供する。
【0051】
本出願において、用語「投与」は、任意の適切な方法で炎症性サイトカインが過剰に発現されるか、腸炎が疑われる個体に本出願の組成物を導入することを意味する。
本出願の薬学組成物は、紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制するか、皮膚を改善したり、皮膚老化を防止したり、紫外線によるしわ生成を抑制することを目的とする個体であれば特に限定されず、いかなる個体にも適用可能である。例えば、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギなどの非ヒト動物、鳥類及び魚類のいずれも使用することができる。
【0052】
本出願の組成物は、紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現減少または抑制に有効な量で投与してもよく、皮膚改善に有効な量で投与してもよく、皮膚老化防止に有効な量で投与してもよく、または紫外線によるしわ生成抑制に有効な量で投与してもよい。本出願の組成物の好ましい投与量は、個体の状態及び体重、疾患の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者によって適切に選択することができる。
【0053】
また、本出願の組成物は、目的の組織に到達することができる限り、経口または非経口の様々な経路を介して投与することができる。例えば、経口、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、直腸または静脈、筋肉、子宮内硬膜または脳血管内注射で投与することができ、局所治療のために、必要に応じて病変内投与を含む適切な方法によって投与することができる。しかし、これに制限されるものではない。
【0054】
一具現例では、前記リンゴ発酵組成物は、それを含む食品組成物の形態で投与するものであってもよい。この場合、前記投与は経口投与であってもよい。
また他の一具現例では、前記リンゴ発酵組成物は、それを含む健康機能食品組成物の形態で投与するものであってもよい。この場合、前記投与は経口投与であってもよい。
【0055】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を皮膚に塗布する段階を含む紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する方法を提供する。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を皮膚に塗布する段階を含む皮膚改善方法を提供する。
【0056】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を皮膚に塗布する段階を含む皮膚老化防止方法を提供する。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を皮膚に塗布する段階を含む紫外線によるしわ生成抑制方法を提供する。
【0057】
本出願において、用語「塗布」は、任意の適切な方法で個体の皮膚に本発明の前記組成物を接触させることを意味し、それによって当該組成物を皮膚内部に吸収させることを目的とするあらゆる行為を含むが、これに制限されない。
【0058】
一具現例として、前記リンゴ発酵組成物は、それを含む化粧料組成物の形態で皮膚に塗布することであってもよい。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物の紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を減少または抑制する用途を提供する。
【0059】
前記コラーゲン分解酵素はMMP-1であってもよいが、これに制限されない。これについては前述の通りである。
前記リンゴ発酵組成物は、紫外線が照射された細胞に処理時、リンゴ発酵組成物が処理されなかった紫外線が照射細胞に比べて紫外線によるコラーゲン分解酵素の発現を10%以上減少または抑制するものであってもよいが、これに制限されない。これについては前述の通りである。
【0060】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物の皮膚改善用途を提供する。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物の皮膚老化防止用途を提供する。
【0061】
前記老化は光老化であってもよいが、これに制限されない。これについては前述の通りである。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物の紫外線によるしわ生成を抑制する用途を提供する。
【0062】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む食品の皮膚健康改善または増進用途を提供する。
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む健康機能食品の皮膚健康改善または増進用途を提供する。
【0063】
本出願のまた他の一様態は、本出願のリンゴ発酵組成物を含む化粧料組成物の皮膚しわ緩和または改善用途を提供する。
ここで使用される用語は、前の様態で前述した通りである。
【実施例】
【0064】
以下、本出願を実施例によりより詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は本出願を例示するための好ましい実施様態に過ぎず、したがって本出願の権利範囲をこれに制限することを意図するものではない。一方、本明細書に記載されていない技術的事項は、本出願の技術分野または類似技術分野で熟練した通常の技術者であれば十分に理解し、容易に実施することができる。
【0065】
製造例1:リンゴ発酵組成物の製造
リンゴ濃縮液はリンゴを100%濃縮した市販品で、屈折糖度計の基準糖度60ブリックス以上、酸度6%以下の中国産リンゴ濃縮液を蒸留水で4倍(w/w)希釈して約20ブリックスで製造して使用した。
【0066】
リンゴ発酵組成物は市販のリンゴ酢(酵母及び酢酸菌発酵物、精製水及びリンゴ濃縮液20.86%含有、酸度6~8%;CJ第一製糖(株)健康発酵リンゴ酢)を使用した。
リンゴ発酵組成物及びリンゴ濃縮液から微生物を除去するために、0.2μmフィルターを用いて濾過した。
【0067】
実施例1:in vitroでの光老化抑制能の評価
リンゴ発酵組成物及びリンゴ濃縮液の光老化抑制能をUVBが照射されてコラーゲン分解酵素であるMMP-1(Matrix metalloproteinases-1)過発現が誘導されたHaCaT細胞を用いて分析した。
【0068】
具体的には、HaCaT細胞株(韓国細胞株銀行)をFBS含有DMEM(FBS-contained DMEM)培地(Gibco,米国)で、37℃、CO
2 5%条件で培養して、8~12継代(passage)の間の細胞を収得した。収得したHaCaT細胞をFBS含有DMEM培地で0.7×10
5cells/wellとなるように希釈して24ウェルプレートにシーディングした後、37℃、CO
2 5%条件で2日間培養した。前記細胞に飢餓(Starvation)条件を与えるために、FBSフリーDMEMで培地を交替した後、1日間培養した(
図1、NCで示す)。その後、前記細胞をPBS(Phosphate-Buffered Saline,Gibco)で2回洗浄した後、ウェルにPBS 500mlを入れ、UVB20mJ/cm
2を照射してMMP-1過発現を誘導し、PBSで2回さらに洗浄した(
図1、CONで示す)。実験群として、前記製造例1のリンゴ発酵組成物及びリンゴ濃縮液をそれぞれFBSフリーDMEMに1%(v/v)濃度に希釈して前記細胞(CON)に処理した後、1日間培養した。培養後、上清液を取り、4℃、13,000rpmで3分間遠心分離して細胞を除いた上清液を収得した。その後、上清液内の残留菌体を除去するために0.2μmフィルターを用いて濾過した。
【0069】
収得した上清液をELISAアッセイで分析し、MMP-1の濃度を測定した。
具体的には、ELISAアッセイはHuman Total MMP-1 DuoSet ELISA(R&D systems)を用いて製造社の指示に従って以下のように行った。まず、96ウェルプレートの各ウェルに捕捉抗体(Capture antibody)を一晩付着した。洗浄バッファーで3回洗浄した後、試薬希釈剤(Reagent diluent)を1時間処理した。その後、洗浄バッファーで3回さらに洗浄した後、各実験群及び対照群(NC、CON)別に上清液と標準溶液を各ウェルに入れ、2時間培養した。これを洗浄した後、検出抗体(Detection antibody)を入れて2時間付着した。さらなる洗浄後、各ウェルにストレプトアビジン-HRP B(Streptavidin-HRP B)を20分間処理した。反応停止溶液(Stop Solution)を処理して反応を停止させた後、450nmで吸光度を測定し、4パラメータロジスティック(4 parameter logistic)を用いてMMP-1濃度を計算した。
【0070】
その結果、リンゴ発酵組成物とリンゴ濃縮液ともに1%(v/v)濃度でMMP-1を有意的に減少させ、リンゴ濃縮液(11.5%)に比べてリンゴ発酵組成物(29.1%)がMMP-1減少率がより高かった(
図1及び表1)。
【0071】
これにより、リンゴ発酵組成物とリンゴ濃縮液ともに光老化抑制能を示し、特にリンゴ発酵組成物はリンゴ濃縮液に比べて光老化抑制能に優れることを確認した。
【0072】
【0073】
以上の説明から、本出願の属する技術分野の当業者は、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。これに関連して、以上で技術した実施例はすべての面で例示的なものであり、制限的なものではないと理解しなければならない。本出願の範囲は、前記詳細な説明より後述する特許請求の範囲の意味と範囲及び請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【国際調査報告】