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特表2024-530096通信接続の再確立のための通信ネットワークコンポーネント及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】通信接続の再確立のための通信ネットワークコンポーネント及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/14 20090101AFI20240808BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20240808BHJP
   H04W 76/19 20180101ALI20240808BHJP
【FI】
H04W36/14
H04W92/12
H04W76/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566551
(86)(22)【出願日】2023-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2023062637
(87)【国際公開番号】W WO2024017519
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】22185934.1
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】サマ,マラ レディ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツォーニ,リカルト
(72)【発明者】
【氏名】タコルスリ,スリサクル
(72)【発明者】
【氏名】巳之口 淳
(72)【発明者】
【氏名】谷口 眞人
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ティエンヤン
(72)【発明者】
【氏名】キース,ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067DD57
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ39
(57)【要約】
様々な実施形態によると、通信ネットワークコンポーネントであって、複数の基地局の各々について、前記基地局によって提供される複数の接続の各々について、前記接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成されたメモリと、無線アクセスネットワークコンポーネントから、移動端末のために前記基地局のうちの1つの基地局によって以前に提供された接続のための移動端末コンテキスト情報の要求を受信するように構成された入力インタフェースと、格納された前記移動端末コンテキスト情報のうち、前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局によって以前に提供された前記接続のための移動端末コンテキスト情報を決定するように構成された決定器と、前記移動端末のために前記基地局の前記1つによって以前に提供された前記接続のための前記移動端末コンテキスト情報を前記無線アクセスネットワークコンポーネントに送信するように構成された出力インタフェースと、を含む通信ネットワークコンポーネントが記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークコンポーネントであって、
複数の基地局の各々について、前記基地局によって提供される複数の通信接続の各々について、前記通信接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成されたメモリと、
無線アクセスネットワークコンポーネントから、移動端末のために前記基地局のうちの1つの基地局によって以前に提供された通信接続のための移動端末コンテキスト情報の要求を受信するように構成された入力インタフェースと、
格納された前記移動端末コンテキスト情報のうち、前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局によって以前に提供された前記通信接続のための移動端末コンテキスト情報を決定するように構成された決定器と、
前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局によって以前に提供された前記通信接続のための前記移動端末コンテキスト情報を前記無線アクセスネットワークコンポーネントに送信するように構成された出力インタフェースと、
を含む通信ネットワークコンポーネント。
【請求項2】
前記基地局は、第1無線アクセスネットワークの基地局であり、前記無線アクセスネットワークコンポーネントは、第2無線アクセスネットワークのコンポーネントであり、前記第1無線アクセスネットワークは、前記第2無線アクセスネットワーク以外の基地局で構成される、請求項1に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項3】
前記無線アクセスネットワークコンポーネントは、前記第2無線アクセスネットワークの基地局である、請求項2に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項4】
前記通信ネットワークコンポーネントは、前記無線アクセスネットワークコンポーネントから、前記基地局のうちの前記1つの基地局に関連付けられた識別情報と、前記通信接続を再確立すべき基地局の識別情報とを受信し、前記複数の基地局のうち、前記通信接続を再確立すべき基地局の近傍にある前記基地局のうちの前記1つの基地局に関連付けられた識別情報に合致する基地局を識別し、前記識別された基地局のために格納されている前記移動端末コンテキスト情報を、前記以前に提供された通信接続のための前記移動端末コンテキスト情報として決定することにより、前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局により以前に提供された前記通信接続のための前記移動端末コンテキスト情報を決定するよう構成される、請求項3に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項5】
前記複数の基地局のうち、前記基地局の間で通信接続を再確立すべき前記基地局に最も近い基地局を識別することにより、前記基地局のうちの前記1つの基地局の識別情報に適合し且つ前記通信接続を再確立すべき前記基地局の近傍にある基地局を識別する、請求項4に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項6】
前記複数の基地局及び/又は前記通信接続を再確立すべき前記基地局が属する無線アクセスネットワークの配置のトポロジ情報を格納し、前記トポロジ情報を用いて、前記基地局のうちの前記1つの基地局の識別情報に適合し且つ前記通信接続を再確立すべき前記基地局の近傍にある基地局を識別するよう構成される、請求項5に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項7】
前記通信接続が無線リソース制御層接続である、請求項6に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項8】
前記移動端末コンテキスト情報が、
前記通信接続を介して通信サービスを提供するネットワークスライスのネットワークスライス識別子、
前記通信接続を処理するアクセス及びモビリティ管理機能の識別子、
前記基地局のうちの前記1つの基地局と前記通信接続を処理する前記アクセス及びモビリティ管理機能との間の通信のためのアクセスポイントの識別子、
前記通信接続に関連する1つ以上のデータ無線ベアラの各々の識別子、
前記基地局のうちの前記1つの基地局の集中ユニット及び分散ユニットの識別子、
前記通信接続のセキュリティコンテキスト、
前記移動端末の識別子、
前記通信接続のトランスポート層アドレスパラメータ、
のうちの1つ以上を含む、請求項7に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項9】
前記メモリは、異なる公衆陸上移動体ネットワークによって提供される基地局によって提供される通信接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成され、各公衆陸上移動体ネットワークについて、前記公衆陸上移動体ネットワークによって提供される通信接続のために格納される移動端末コンテキスト情報が、前記公衆陸上移動体ネットワークの識別情報に関連付けられて格納される、請求項8に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項10】
前記入力インタフェースは、前記無線アクセスネットワークコンポーネントからの前記要求を、移動端末コンテキスト情報を格納する別の通信ネットワークコンポーネントを介して受信するように構成される、請求項9に記載の通信ネットワークコンポーネント。
【請求項11】
通信ネットワークであって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントを含み、及び無線アクセスネットワークコンポーネントを含み、
前記無線アクセスネットワークコンポーネントは、前記通信接続の再確立要求を受信し、前記基地局のうちの前記1つの基地局から前記移動端末コンテキスト情報を取得できるかどうかを決定し、前記基地局のうちの前記1つの基地局から前記移動端末コンテキスト情報を取得できない場合には、前記移動端末コンテキスト情報の要求を前記通信ネットワークコンポーネントに送信するよう構成される、通信ネットワーク。
【請求項12】
前記複数の基地局をさらに含み、各基地局は、前記基地局によって提供される複数の通信接続の各々について、前記通信ネットワークコンポーネントにおける前記通信接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成される、請求項11に記載の通信ネットワーク。
【請求項13】
各基地局は、前記通信接続を提供するための前記移動端末コンテキスト情報を構成し、前記移動端末コンテキスト情報を前記通信ネットワークコンポーネントにコピーし、前記通信接続を提供するための前記移動端末コンテキスト情報を維持するように構成される、請求項12に記載の通信ネットワーク。
【請求項14】
通信接続の再確立のための方法であって、
複数の基地局の各々について、前記基地局によって提供される複数の通信接続の各々について、前記通信接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するステップと、
無線アクセスネットワークコンポーネントから、移動端末のために前記基地局のうちの1つの基地局によって以前に提供された通信接続のための移動端末コンテキスト情報の要求を受信するステップと、
格納された前記移動端末コンテキスト情報のうち、前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局によって以前に提供された前記通信接続のための移動端末コンテキスト情報を決定するステップと、
前記移動端末のために前記基地局の前記1つの基地局によって以前に提供された前記通信接続のための前記移動端末コンテキスト情報を前記無線アクセスネットワークコンポーネントに送信するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信接続の再確立のための通信ネットワークコンポーネント及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線アクセスネットワークの、例えば移動端末に通信接続を提供する基地局の障害の場合、通常、通信接続が迅速に再確立されることが望ましい。迅速な再確立のために、「新しい」基地局、すなわち、再確立された通信接続を提供する基地局は、セキュリティコンテキスト(例えば暗号鍵)や、再選択が再確立(実際には、以前の接続が再確立されるのではなく、新しい接続が確立されることを意味する)を遅延させる他の様々なパラメータなどの移動端末コンテキスト情報を必要とする。しかし、新しい基地局が移動端末コンテキスト情報を取得することは容易ではなく、又は可能でさえない場合がある。
【0003】
したがって、通信接続の再確立のために移動端末コンテキスト情報を取得できるアプローチが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態によると、通信ネットワークコンポーネントであって、
複数の基地局の各々について、前記基地局によって提供される複数の接続の各々について、前記接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成されたメモリと、
無線アクセスネットワークコンポーネントから、移動端末のために前記基地局のうちの1つの基地局によって以前に提供された接続のための移動端末コンテキスト情報の要求を受信するように構成された入力インタフェースと、
格納された前記移動端末コンテキスト情報のうち、前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局によって以前に提供された前記接続のための移動端末コンテキスト情報を決定するように構成された決定器と、
前記移動端末のために前記基地局の前記1つによって以前に提供された前記接続のための前記移動端末コンテキスト情報を前記無線アクセスネットワークコンポーネントに送信するように構成された出力インタフェースと、
を含む通信ネットワークコンポーネントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図中、同様の参照符号は、異なる図を通じて概して同じ部分を表す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ、本発明の原理を説明する際に概して強調される。以下の説明では、種々の態様は、以下の図面を参照して説明される。
図1】無線通信システムを示す。
図2】UE(ユーザ機器)が第1RAN(無線アクセスネットワーク)と第1UPF(ユーザプレイン機能)を介してサーバに接続されるシナリオを示す。
図3】実施形態によるRAN障害を処理するフロー図を示す。
図4】C-RAN(クラウドRAN)アーキテクチャにおけるCSF(集中ストレージ機能)の使用例を示す。
図5】実施形態による通信ネットワークコンポーネントを示す。
図6】通信接続の再確立のための方法を示すフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、図を用いて、特定の詳細及び本発明が実施される得る態様を示す添付の図面を参照する。他の態様が利用されてよく、本発明の範囲から逸脱することなく構造的、論理的、及び電気的変更が行われてよい。本開示の種々の態様は、必ずしも、相互に排他的ではなく、本開示の幾つかの態様は新しい態様を形成するために本開示の1つ以上の他の態様と結合できる。
【0007】
本開示の態様に対応する種々の例が以下に記載される。
【0008】
例1は、上述のような通信ネットワークコンポーネントである。
【0009】
例2は、前記基地局は、第1無線アクセスネットワークの基地局であり、前記無線アクセスネットワークコンポーネントは、第2無線アクセスネットワークのコンポーネントであり、前記第1無線アクセスネットワークは、前記第2無線アクセスネットワーク以外の基地局で構成される、例1に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0010】
例3は、前記無線アクセスネットワークコンポーネントは、前記第2無線アクセスネットワークの基地局である、例2に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0011】
例4は、前記通信ネットワークコンポーネントは、前記無線アクセスネットワークコンポーネントから、前記基地局のうちの前記1つの基地局に関連付けられた識別情報と、前記通信接続を再確立すべき基地局の識別情報とを受信し、前記複数の基地局のうち、前記通信接続を再確立すべき基地局の近傍にある前記基地局のうちの前記1つの基地局に関連付けられた識別情報に合致する基地局を識別し、前記識別された基地局のために記憶されている前記移動端末コンテキスト情報を、前記以前に提供された接続のための前記移動端末コンテキスト情報として決定することにより、前記移動端末のために前記基地局のうちの前記1つの基地局により以前に提供された前記接続のための前記移動端末コンテキスト情報を決定するよう構成される、例1~3のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0012】
例5は、前記複数の基地局のうち、前記基地局の間で通信接続を再確立すべき前記基地局に最も近い基地局を識別することにより、前記基地局のうちの前記1つの基地局の識別情報に適合し且つ前記通信接続を再確立すべき前記基地局の近傍にある基地局を識別する、例4に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0013】
例6は、前記複数の基地局及び/又は前記通信接続を再確立すべき前記基地局が属する無線アクセスネットワークの配置のトポロジ情報を格納し、前記トポロジ情報を用いて、前記基地局のうちの前記1つの基地局の識別情報に適合し且つ前記通信接続を再確立すべき前記基地局の近傍にある基地局を識別するよう構成される、例5に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0014】
例7は、前記接続が無線リソース制御層接続である、例1~6のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0015】
例8は、前記移動端末コンテキスト情報が、
前記通信接続を介して通信サービスを提供するネットワークスライスのネットワークスライス識別子、
前記通信接続を処理するアクセス及びモビリティ管理機能の識別子、
前記基地局のうちの前記1つの基地局と前記通信接続を処理する前記アクセス及びモビリティ管理機能との間の通信のためのアクセスポイントの識別子、
前記通信接続に関連する1つ以上のデータ無線ベアラの各々の識別子、
前記基地局のうちの前記1つの基地局の集中ユニット及び分散ユニットの識別子、
前記通信接続のセキュリティコンテキスト、
前記移動端末の識別子、
前記通信接続のトランスポート層アドレスパラメータ、
のうちの1つ以上を含む、例1~7のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0016】
例9は、前記メモリは、異なる公衆陸上移動体ネットワークによって提供される基地局によって提供される接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成され、各公衆陸上移動体ネットワークについて、前記公衆陸上移動体ネットワークによって提供される接続のために格納される移動端末コンテキスト情報が、前記公衆陸上移動体ネットワークの識別情報に関連付けられて格納される、例1~8のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0017】
例10は、前記入力インタフェースは、前記無線アクセスネットワークコンポーネントからの前記要求を、移動端末コンテキスト情報を格納する別の通信ネットワークコンポーネントを介して受信するように構成される、例1~9のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントである。
【0018】
例11は、通信ネットワークであって、
例1~10のいずれか一項に記載の通信ネットワークコンポーネントを含み、及び前記無線アクセスネットワークコンポーネントを含み、
前記無線アクセスネットワークは、前記通信接続の再確立要求を受信し、前記基地局のうちの前記1つの基地局から前記移動端末コンテキスト情報を取得できるかどうかを決定し、前記基地局のうちの前記1つの基地局から前記移動端末コンテキスト情報を取得できない場合には、前記移動端末コンテキスト情報の要求を前記通信ネットワークコンポーネントに送信するよう構成される、通信ネットワークである。
【0019】
例12は、前記複数の基地局をさらに含み、各基地局は、前記基地局によって提供される複数の接続の各々について、前記通信ネットワークコンポーネントにおける前記接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成される、例11に記載の通信ネットワークである。
【0020】
例13は、各基地局は、前記接続を提供するための前記移動端末コンテキスト情報を構成し、前記移動端末コンテキスト情報を前記通信ネットワークコンポーネントにコピーし、前記接続を提供するための前記移動端末コンテキスト情報を維持するように構成される、例12に記載の通信ネットワークである。
【0021】
例14は、図6に示すような通信接続の再確立のための方法である。
【0022】
留意すべきことに、上述の例のうちのいずれかの特徴のうちの1つ以上は、他の例のうちのいずれか1つと欠お具されてよい。特に、装置の文脈で記載された例は、方法についても同様に有効である。
【0023】
更なる実施形態によると、コンピュータにより実行されると該コンピュータに上述の例のうちのいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム及び命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0024】
以下では、種々の例が、より詳細に説明される。
【0025】
図1は、例えば3GPP(登録商標)(第3世代パートナシッププロジェクト)により指定されるような5G(第5世代)、つまり例えば5GSに従い構成される、無線通信システム100を示す。
【0026】
無線通信システム100は、UE(user equipment、ユーザ機器)、ナノ機器(nano equipment (NE))、等のようなモバイル無線端末装置102を含む。モバイル無線端末装置102は、加入者端末とも呼ばれ、端末側を形成する。一方で、以下に記載される無線通信システム100の他のコンポーネントは、モバイル無線通信ネットワーク側の部分、つまり、モバイル無線ネットワーク(例えば、公衆陸上移動体ネットワーク(Public Land Mobile Network PLMN))の部分である。
【0027】
更に、無線通信システム100は、複数の無線アクセスネットワークノード、つまり、5G(第5世代)無線アクセス技術(5G新無線(New Radio))に従い無線アクセスを提供するよう構成される基地局を含む無線アクセスネットワーク103を含む。留意すべきことに、無線通信システム100は、LTE(Long Term Evolution)又は別のモバイル無線通信標準に従い構成されてもよいが、本願明細書では5Gが例として使用される。各無線アクセスネットワークノード103は、無線インタフェースを介してモバイル無線端末装置102との無線通信を提供してよい。留意すべきことに、無線アクセスネットワーク103は、任意の数の無線アクセスネットワークノードを含んでよい。
【0028】
無線通信システム100は、RAN103に接続されるアクセス及びモビリティ管理機能(Access and Mobility Management Function (AMF))101と、統合データ管理(Unified Data Management (UDM))104と、を含むコアネットワーク(CN、ここでは5GC)108を更に含む。ここで及び以下の例では、UDMは、例えばUDR(Unified Data Repository)として知られてる実際のUEのサブスクリプションデータベースを更に含んでよい。コアネットワーク108は、AUSF(認証サーバ機能、Authentication Server Function)109、及び1つ以上のPCF(ポリシ制御機能、Policy Control Function)、本例では第1PCF106及び第2PCF107、を更に含む。
【0029】
コアネットワーク108は、複数のセッション管理機能(Session Management Function (SMF))、本例では第1セッション管理機能(SMF)110及び第2セッション管理機能(SMF)112、及び複数のユーザプレイン機能(User Plane Function (UPF))、本例では第1ユーザプレイン機能(UPF)111及び第2ユーザプレイン機能(UPF)113を更に含む。SMF110、112は、PDU(プロトコルデータユニット、Protocol Data Unit)セッションを処理するため、つまり、PDUセッションを生成し、更新し、及び削除し、ユーザプレイン機能(UPF)によりセッションコンテキストを管理するためのものである。
【0030】
コアネットワーク108は、アプリケーション機能(AF)105を更に含む。AF105は、SMF110、112及びPCF106、107に直接接続されるように示されるが、特にAF105が第3者により維持される場合には、それらにNEF(ネットワークエクスポージャ機能、Network Exposure Function)を介して接続されてもよい。
【0031】
AF105は、アプリケーションが、5Gシステム100に、該アプリケーションのために通信サービスを提供するためにPDUセッションを確立するUE102について特定のQoS(サービス品質、Quality of Service)ポリシをサポートするよう要求することを可能にする。
【0032】
RAN103が故障し、そのために通信サービス、例えばアプリケーションサーバへの接続が中断されることがある。このような場合、速やかに代替接続を構築することが望ましい。これは、特に、URLLC(Ultra Reliable Low Latency Communications)トラフィックのように、高い信頼性及び/又は低い遅延を必要とする(又は提供すべき)トラフィックの場合にあてはまる。これは、RAN103の完全な故障ではなく、サービス品質、例えば遅延又はスループットの大きな損失のような他の異常な状態がある場合にも望ましいことに留意されたい。したがって、第2RANを使用して代替接続を確立することができる。
【0033】
図2は、UE201が第1RAN202及び第1UPF203を介してサーバ204(ここではE1と表記されるエッジサーバ)に接続されるシナリオを示す。
【0034】
第1RAN202に障害(又はその他の異常状態)が発生した場合、UE201がサーバ204に接続するために使用できる第2RAN205が利用可能である。
【0035】
第1RAN202を使用してサーバ204に接続する場合、UE201は、第1RAN202の「古いgNB」(故障前に使用されているため)として示される第1基地局(5GではgNodeB又はgNB)206と無線通信を行う。具体的には、UE201は、古いgNB206が提供する無線セル(「古い」無線セルと表す)を使用する。第2RAN205を使用してサーバ204に接続する場合、UE201は、第2RAN205の「新しいgNB」又は「ターゲットgNB」(故障後に使用されるため)として示される第2基地局207と無線通信を行う。具体的には、UE201は、新しいgNB207が提供する無線セル(「新しい」無線セルと表す)を使用する。
【0036】
UE201は、通信サービスの迅速な再確立を達成するために、第1RAN202が故障した場合に、RRC(Radio Resource Control)再確立を新しいgNB207に要求する。
【0037】
UE201は、RRC再確立要求メッセージ中の古い無線セルのPCI(physical cell identifier、物理セル識別子)を新しいgNB207に提供する。UE201は、C-RNTI(cell radio network temporary identity、セル無線ネットワーク一時識別子)も提供する。現在のシナリオでは、UEコンテキストはローカルで利用できないため、新しいgNB207は、UEコンテキストを要求するために古いgNB206を発見しようとする。このために、新しいgNB207は、PCIをNCIにマッピングするNCRT(neighbour cell relation table、隣接セル関係テーブル)を、PCIとNCI(新しい無線セルID)についてチェックし、古いgNB206を決定する。
【0038】
この方法で古いgNB206を発見すると、新しいgNB207は古いgNB206からUEコンテキストをフェッチする。古いgNB206が見つからない場合、新しいgNB207は、RRC接続再確立要求に応答して、RRC拒否メッセージをUE201に送信する。
【0039】
これは、新しいgNB207が古いgNB206を発見できない場合(つまり、古いgNB206に接続できず、障害の生じた接続のUEコンテキストを取得できない場合)、UE201は新しいgNB207から新しいRRC接続の確立を要求する必要があることを意味する。
【0040】
UE201が新しいRRC接続の確立要求を送信すると、新しいgNB207はAMF101と通信して、新しいgNB207に新しいUEコンテキストを確立する。
【0041】
したがって、古いgNBに障害(例えば、ハードウェア障害又はソフトウェア障害)が生じた(従って、利用不可能である)場合、新しいgNB207は、NCRT/NRT(Neighbor Relation Table)情報に基づいて古いgNB206を見つけようとするが、古いgNBが利用不可能であるため、新しいgNB206は古いgNB206を見つけることができず、UEの要求を拒否してしまう。
【0042】
さらに、新しいgNB207が古いgNB206を見つけることは容易ではない場合がある(古いgNB207自体に障害がない場合でも)。これは、PCIは古いgNB206を識別するためのある情報を保持するが、NR(new radio、新無線)の1008個の値のうちの1つしか持つことができず、グローバルに一意ではなく、第2RAN205が第1RAN204のNRT情報を持たないことがあるためである。
【0043】
NRセル識別情報(NR Cell Identity(NCI))は、36ビットの合計サイズを持ち、一意である。NRセルグローバル識別子(NR Cell Global Identifier(NCGI))は、NRセルをグローバルに識別するために使用される。NRセル識別情報(NR Cell Identity(NCI))は、SIB#1(system information block number 1、システム情報ブロック番号1)内でブロードキャストされる。ただし、(EN-DC構成における)NSA(non-standalone、非スタンドアロン)配置では、NR基地局はSIB#1情報のNCIをブロードキャストしないため、UEはCGI(cell global identity、セルグローバル識別情報)情報を復号し及び報告できない。
【0044】
様々な実施形態によれば、RANのUEコンテキストを処理するRAN障害の簡素化は、集中機能に格納され、新しいRRC接続の確立ではなくRRCの再確立が可能になるため(古いgNBが利用できないか、又は新しいgNBによって識別できない場合でも)、RAN障害の場合のUEのサービス中断を減らすことができる。このために、RANノード(基地局)内の対応するロジックを持つ関数及び/又はパラメータを、Xnインタフェースに追加することができる。
【0045】
具体的には、様々な実施形態によれば、RAN(例えば、第1RAN202)がUEを受け入れ(つまり、UE Initial Accessがある)、及び/又はPDUセッションが確立されるたびに、RAN202は、UEコンテキスト記憶コンポーネント208、すなわち集中記憶機能(centralized storage function (CSF))に格納されたRANのUEコンテキストを作成又は更新する。
【0046】
CSF208は、UEコンテキストを更新又は廃棄するために第1RAN202によって使用され、例えば第1RAN202の障害の場合に、新しいgNB207によって参照され得る(例えば標準化された)インタフェースを公開することによって、第1RAN202の障害の処理をサポートする。
【0047】
CSF208は、gNB-CU(centralized unit、集中ユニット)の一部とすることができる。この場合、関連するすべてのgNB-DU(distributed unit、分散ユニット)は、CSF208にコンテキストを格納する。或いは、CSF208をスタンドアロン機能とすることもできる。この場合、すべてのgNB-CU及び/又はgNB-DUはCSF208にコンテキストを格納する。
【0048】
表1は、CSF208に格納され得るUEコンテキストの例示的な要素を示す。
表1
【表1】
【0049】
図3は、実施形態によるRAN障害を処理するフロー図300を示す。
【0050】
UE201に対応するUE301、第1RAN202に対応する第1RAN302、CSF208に対応するCSF303、及び第2RAN205に対応する第2RAN304が、フローに関与する。
【0051】
305で、UEは第1RAN302とRRC接続を確立する。
【0052】
306で、第1RAN302(例えば、古いgNB206)は、CSF303に、第1UE301が使用する古いgNBのID及び第1RAN302のセルのPCI IDに関連付けてUEのコンテキストを格納する。
【0053】
307で、第1RAN302の障害が存在すると仮定される。障害は、例えば、ハードウェア障害、ソフトウェア障害、無線リンク障害、再構成障害、整合性チェック障害などである。
【0054】
(長い)サービス中断を避けるために、UE301は、308で、第2RAN304からRRC再確立を要求し、これは第1RAN302への接続の(「古い」)PCI IDとC-RNTIを示す。
【0055】
第2RAN304は、例えば、古いgNB206が利用できないため、又は、新しいgNB207がPCI ID+C-RNTIによって古いgNBを(又は第1RAN207さえも)識別できないため、第1RAN307からUEコンテキストを検索できないと想定される。
【0056】
したがって、310において、第2RAN304(例えば具体的には、新しいgNB207)は、UEコンテキスト検索要求をCSF303に送信する。UEコンテキスト検索要求には、308においてUE301によって提供された新しいgNBのIDと「古い」PCI ID及びC-RNTIが含まれる。古いPCIIDは、古いgNBに関連付けられた識別情報と考えることができる。
【0057】
311において、CSF303は、第2RAN202(すなわち、310の要求の送信側)の新しいgNBと近隣関係を持ち(例えば、隣接しているか、又は、重複若しくは隣接しているカバレッジ領域を有する)、古いPCIに関連付けられたセルを提供するgNB(すなわちRANノード)を探す。次に、CSF303は、PCIの下に格納され、見つかったgNBのC-RNTIに対応する情報(すなわち、UEコンテキスト)を抽出する。
【0058】
312において、CSF303は、UEコンテキストを第2RAN304に提供する。
【0059】
次に、第2RAN304(具体的には新しいgNB307)は、313で、RRC接続を再確立し、UE301に1つ以上のDRB(data radio bearer、データ無線ベアラ)を割り当てる。
【0060】
古いgNBと新しいgNBは、グローバルRANノードID(RAN ID)を用いて、各々306と310で示すことができる。
【0061】
311では、CSF303は、例として表2に示すような第1RAN307と第2RAN304のトポロジ情報を使用することができる。
表2
【表2】
【0062】
なお、CSF303を複数のPLMN(Public Land Mobile Network、公衆陸上移動体ネットワーク)間で共有することも可能である。この場合、古いgNBと新しいgNBは、コンテキスト記憶又は検索プロセス中にPLMNID(PLMN識別子)を含むことができる。さらに、CSFは非公衆ネットワーク(non-public network (NPN))にも展開でき、PLMNとNPN間で共有することもできる。
【0063】
さらに、通信ネットワークでは、例えば、異なる場所に複数のCSF303を展開することも可能である。この場合、これらのCSFは相互に接続され、格納された情報を交換する。例えば、UEは古いgNBをアタッチした位置情報を提供し、新しいgNBは新しいCSFに転送する。新しいCSFは、この位置情報を使用して古いCSFを発見し、コンテキストを抽出する。この場合、複数のCSFは、(複数のCSFのような)分散方式で実装されたUEコンテキスト情報の通信ネットワークコンポーネントとして見ることができ、又はRANコンポーネントの移動端末コンテキスト情報の要求は、別のCSFを介して受信することが分かる。
【0064】
図4は、C-RAN(Cloud RAN、クラウドRAN)アーキテクチャにおけるCSFの使用例を示す。
【0065】
この場合、第1gNB403及び第2gNB404のCU-CP401、402は、サービスベースインタフェース406、407を介して、CSF405に接続されてもよい。
【0066】
纏めると、種々の実施形態によると、通信ネットワークコンポーネントは、図5に示されるように提供される。
【0067】
図5は、実施形態による通信ネットワークコンポーネント500を示す。
【0068】
通信ネットワークコンポーネント500(上記の例ではCSF)は、複数の基地局の各々について、基地局によって提供される複数の接続の各々について、接続のための移動端末コンテキスト情報を格納するように構成されたメモリ501を含む。
【0069】
さらに、通信ネットワークコンポーネント500は、無線アクセスネットワークコンポーネントから、移動端末のための基地局のうちの1つの基地局によって以前に提供された接続のための移動端末コンテキスト情報の要求を受信するように構成された入力インタフェース502を含む。
【0070】
通信ネットワークコンポーネント500は、格納された移動端末コンテキスト情報のうち、移動端末のために基地局のうちの1つの基地局により以前に提供された接続のための移動端末コンテキスト情報を決定するように構成される決定器503と、移動端末のために基地局のうちの1つの基地局により以前に提供された接続の移動端末コンテキスト情報を無線アクセスネットワークコンポーネントに送信するように構成される出力インタフェース504と、を更に含む。
【0071】
種々の実施形態によれば、換言すれば、移動端末(例えばUE)コンテキストのために集中記憶機能が導入され、RANの障害の処理を可能にする、すなわち、UEコンテキストが通信システムの集中記憶に維持される。
【0072】
図5のアプローチは、RAN障害シナリオを処理するために、RANからのUEコンテキストの迅速な回復を可能にする。ネットワーク内でUEコンテキストを管理及び維持することにより、UEへの影響を回避し、高い信頼性を達成することができる。
【0073】
通信ネットワークコンポーネント(移動端末コンテキスト情報記憶コンポーネントとも考えられる)は、複数の基地局から接続のための移動端末コンテキスト情報を受信し、受信するとそれらを格納するように(例えば、その入力インタフェースを)構成することができる。
【0074】
通信ネットワークコンポーネントは、例えば、図6に示すような方法を実行する。
【0075】
図6は、通信接続の再確立のための方法を示すフロー図600を示す。
【0076】
601で、複数の基地局の各々について、基地局によって提供される複数の接続の各々について、接続のための移動端末コンテキスト情報が格納される。
【0077】
602で、無線アクセスネットワークコンポーネントから、移動端末のために基地局のうちの1つの基地局により予め提供された接続のための移動端末コンテキスト情報の要求が受信される。
【0078】
603は、格納された移動端末コンテキスト情報の中から、移動端末のために基地局のうちの1つの基地局により予め提供された接続のための移動端末コンテキスト情報が決定される。
【0079】
604で、無線アクセスネットワークコンポーネントへ、移動端末のために基地局のうちの1つの基地局により予め提供された接続のための移動端末コンテキスト情報が送信される。
【0080】
通信ネットワークコンポーネントの構成要素(例えば、決定器及びインタフェース)は、例えば、1つ以上の回路により実装されてよい。「回路」は、メモリに格納されたソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組合せを実行する専用回路又はプロセッサであってよい任意の種類のロジック実装エンティティとして理解されてよい。従って、「回路」は、プログラマブルプロセッサ、例えばマイクロプロセッサのようなハード結線論理回路又はプログラマブル論理回路であってよい。「回路」は、ソフトウェア、例えば任意の種類のコンピュータプログラムを実行するプロセッサであってもよい。上述の各々の機能の任意の他の種類の実装は、「回路」として理解されてもよい。
【0081】
特定の態様が説明されたが、当業者は、形式及び詳細事項の種々の変更が、添付の特許請求の範囲に定められるような本開示の態様の精神及び範囲から逸脱することなく行われてよいことを理解する。範囲は、従って、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等な意味及び範囲内に含まれる全ての変更が包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】