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特表2024-530097活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品
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  • 特表-活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品 図1
  • 特表-活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品 図2
  • 特表-活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品 図3
  • 特表-活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品 図4
  • 特表-活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20240808BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20240808BHJP
   A24D 3/10 20060101ALI20240808BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20240808BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/14
A24D3/10
A24D3/02
A24D1/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570283
(86)(22)【出願日】2023-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 KR2023007484
(87)【国際公開番号】W WO2024025121
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0092547
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イック ジューン
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA43
4B045AB17
4B045BA02
4B045BA08
4B045BB01
4B045BB03
4B045BC07
4B045BD32
4B045BD34
(57)【要約】
本発明は、香味成分および活性炭を含有する加香シートであって、加香シートの重さに対して香味成分10~40重量%、および活性炭1~10重量%含む、保香性が向上した加香シートおよびその製造方法を提供し、前記加香シートを含む喫煙物品用フィルタおよび喫煙物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香味成分および活性炭を含有する加香シートであって、
前記香味成分を加香シートの重さに対して10~40重量%含む、保香性が向上した加香シート。
【請求項2】
前記活性炭を、加香シートの重さに対して1~10重量%含む、請求項1に記載の加香シート。
【請求項3】
前記香味成分は、ローズマリー、ユーカリプトール、甘草、スクロース、フルクトースシロップ、イソスイート(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモム、セロリ、フェヌグリーク、カスカリラ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、マンダリンオイル、カテキン、グレープフルーツ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カカオ、メントール、ケイヒ、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー、およびコーヒーからなる群から選択された1つ以上を含む、請求項1に記載の加香シート。
【請求項4】
前記香味成分は、メントールを含む、請求項1に記載の加香シート。
【請求項5】
前記加香シートは、セルロース系高分子を含む、請求項1に記載の加香シート。
【請求項6】
前記セルロース系高分子は、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、および寒天からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む、請求項5に記載の加香シート。
【請求項7】
1つ以上のセグメントからなる喫煙物品用フィルタであって、
前記1つ以上のセグメントの少なくとも1つが、請求項1に記載の加香シートを含む、喫煙物品用フィルタ。
【請求項8】
前記喫煙物品用フィルタは紙管を含み、
前記加香シートが前記紙管に含まれる、請求項7に記載の喫煙物品用フィルタ。
【請求項9】
タバコ媒質部およびフィルタ部を含む喫煙物品において、
前記フィルタ部は、香味成分および活性炭を含有する加香シートを含み、
前記香味成分は、加香シートの重さに対して10~40重量%含まれる、喫煙物品。
【請求項10】
前記活性炭は、加香シートの重さに対して1~10重量%含まれる、請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記喫煙物品は、燃焼式タバコまたは非燃焼式電子タバコである、請求項9または10に記載の喫煙物品。
【請求項12】
a)水とセルロース系高分子を混合するステップ;
b)アルコールに香味成分および活性炭を混合するステップ;
c)前記a)、およびb)における溶液を互いに混合し、混合した溶液を注いで広げるステップ;および
d)40~70℃の温度で乾燥させるステップ;
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の加香シートを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭を含有する加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にタバコは、ナス目ナス科の多年草を言うが、最近は、タバコの葉を紙で包み、一側にフィルタ部が構成されて、喫煙を目的に製造された製品を指す名称でもある。このようなタバコは、全世界に数千種に至り、様々な模様や形態で発売されている。
【0003】
一方、喫煙者の様々なニーズに応えて、タバコから発生するエアロゾルに様々な種類の香味を加える技術に関する研究が進んでおり、喫煙者の好みに合う特定香を発生させるために、特定の香料成分を溶液状態でタバコに噴霧して簡便に添加させ、または香料を含むシート(加香シート)を喫煙物品に添加する方法などが用いられている。
【0004】
しかしながら、香料成分をタバコに直接噴射するTJNS(Transfer Jet Nozzle System)の場合には、タバコ構成成分の周辺に捨てられる香液量が多く、加香効率が良くないだけでなく、香液噴射によるチューブフィルタの周辺の汚染問題が発生するという問題が発生する。
【0005】
また、従来の加香シートは、調液状態でシートを乾燥する場合、熱源によって香味成分がシートの外に抜け出してくるという問題を有しており、喫煙過程で、喫煙初期に香が急激に抜け出し、喫煙後半部に至っては、理論上に添加した香に対してその香含量が減少するようになり、喫煙時に香の認知程度が一定でないという短所を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記のような従来技術の問題および/または限界点を克服するために、本発明は、表面積が広く、吸着性が強い多孔性物質である活性炭を適用して、シート乾燥および加熱時に香味成分がシートの外に最大限放出されないようにし、喫煙過程で温度を加えた場合でも、香をより持続的に放出することができる加香シート、これを含むフィルタおよび喫煙物品を提供することを目的とする。
【0007】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、以上で述べた課題に限定されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当該技術分野の通常の知識を有する者に明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によると、香味成分および活性炭を含有する加香シートであって、
前記香味成分を加香シートの重さに対して10~40重量%含む、保香性が向上した加香シートを提供する。
【0009】
一側面によると、1つ以上のセグメントからなる喫煙物品用フィルタであって、
前記1つ以上のセグメントの少なくとも1つが加香シートを含むことを特徴とする、喫煙物品用フィルタを提供する。
【0010】
本発明の他の側面によると、タバコ媒質部およびフィルタ部を含む喫煙物品において、
前記フィルタ部は、香味成分および活性炭を含有する加香シートを含み、
前記香味成分は、加香シートの重さに対して10~40重量%含まれることを特徴とする、喫煙物品を提供する。
【0011】
本発明のまた別の側面によると、
a)水とセルロース系高分子を混合するステップ;
b)アルコールに香味成分および活性炭を混合するステップ;
c)前記a)、およびb)における溶液を互いに混合し、混合した溶液を注いで広げるステップ;および
d)40~70℃の温度で乾燥させるステップ;
を含むことを特徴とする、加香シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面による加香シートを含む喫煙物品を喫煙者が使用する場合、従来の喫煙物品に対して、喫煙初期により多い量の香を放出することができ、喫煙後半部に行くほどより緩く香が減少して、持続的な香放出の効果を示すことができる。
【0013】
また、本発明の一側面による加香シートは、その製造過程で、熱源によって放出される香料成分の量が減少して、より多くの香を保持できるだけではなく、喫煙者に香の認知程度がより強く感じられるようにして、加香効率にも優れている長所がある。
【0014】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるのではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載した発明の構成から推論可能なすべての効果を含むことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】SPME-GC/MSを用いて、本発明の一実施例による活性炭を含有するメントールシートと、活性炭を含有しないメントールシートの加熱回数(N)による香放出量(%)を比較したグラフである。
図2】加香シートの重さ(固形分)に対して活性炭を5重量%添加したシートを示した写真である。
図3】加香シートの重さ(固形分)に対して活性炭を10重量%添加したシートを示した写真である。
図4】加香シートの重さ(固形分)に対して活性炭を15重量%添加したシートを示した写真である。
図5】本発明の一実施例による加香シートを含む喫煙物品の概略の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかしながら、実施例には様々な変更を加えることができるので、特許出願の権利範囲はこれらの実施例によって制限または限定されない。実施例に対するすべての変更、均等物から代替物が権利範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0017】
実施例で使用された用語は、説明の目的のためだけに使用されたものであり、限定する意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、1つまたは複数の他の特徴または数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものの存在または追加の可能性を予め排除しないことを理解すべきである。
【0018】
別に定義されない限り、技術的または科学的用語を含んでここで使用されるすべての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される、辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明確に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0019】
なお、添付の図面を参照して説明するにあたり、参照符号にかかわらず同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これに対する重複説明は省略する。実施例の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不必要に不明瞭にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0020】
また、実施例の構成要素を説明する際に、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用ができる。この用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけのものであり、その用語によってその構成要素の性質、順番、順序などが限定されない。
【0021】
いずれかの実施例に含まれた構成要素と共通の機能を含む構成要素は、他の実施例において同一の名称を用いて説明することとする。断りのない限り、いずれかの実施例に記載した説明は他の実施例にも適用可能であり、重複される範囲で具体的な説明は省略する。
【0022】
明細書全体において、「喫煙物品」とは、タバコ(シガレット)、葉巻などのように、エアロゾルを発生させることができる品物を意味する。喫煙物品は、エアロゾル生成物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコなどのタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は揮発性化合物を含んでもよい。
【0023】
また、明細書全体において「上流」または「上流方向」とは、喫煙物品を吸い込むユーザの口部から遠くなる方向を意味し、「下流」または「下流方向」とは、喫煙物品を吸い込むユーザの口部から近くなる方向を意味する。例えば、図5に示された喫煙物品1において、タバコ媒質部10は、フィルタ部20の上流または上流方向に位置する。
【0024】
本発明における「エアロゾル生成システム」とは、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル生成基材を用いてエアロゾルを生成させる装置を意味する。エアロゾル生成システムは、直接的燃焼でなく電気エネルギーで間接加熱する非燃焼式タバコ物品であって、非燃焼式タバコ物品には、加熱式と非加熱式のタバコ物品が存在し、本発明の場合、加熱式タバコに用いられることが好ましい。加熱式タバコ物品の場合、電気エネルギーにより加熱された周囲の空気を吸い込んでエアロゾルを発生させ、このようなエアロゾルがユーザに吸い込まれた後に放出される方式により喫煙が行われるようにする物品であり、例えば、液状カートリッジとシガレットを共に用いるハイブリッド型エアロゾル生成装置を含み、以外にも様々なタイプのエアロゾル生成装置がさらに含まれ、本開示の範囲が先に記述した例示に限定されるものではない。
【0025】
本発明の一実施例によると、香味成分および活性炭を含有する加香シートであって、
【0026】
前記香味成分を加香シートの重さに対して10~40重量%含む、保香性が向上した加香シートが提供される。
【0027】
本発明の一側面による香味成分は、香味および/または香特性を付与し、香喫味を増進させることができ、喫煙物品などに適用可能なものであれば、制限なく適用される。その具体的な例としては、例えば、ローズマリー、ユーカリプトール、甘草、スクロース、フルクトースシロップ、イソスイート(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモム、セロリ、フェヌグリーク、カスカリラ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、マンダリンオイル、カテキン、グレープフルーツ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カカオ、メントール、ケイヒ、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー、およびコーヒーからなる群から選択された1つ以上を含み、その中で好ましい例としては、メントールを含む。
【0028】
前記香味成分は、先に言及したように、加香シートの重さに対して10重量%~40重量%、または10~30重量%、10~20重量%で含まれ、前記香味成分の含量が前記範囲内で含まれる場合は、喫煙時に移行される香および/またはタバコ味の持続性を提供することができ、高濃度の適用が可能であるだけでなく、添加される濃度によって香および/または香味の強度を調節することができる。
【0029】
一方、香味成分の含量が10重量%未満の場合には、加香効果が少なく、喫煙時に香味成分の認知程度が低く、活性炭による期待効果があまり得られないこともある。
【0030】
また、香味成分の含量が40重量%を超える場合には、加香シート調液を乾燥した場合、シートの物性が良くないため、完全なシートが生成されない可能性があり、投入された活性炭およびシートの香味成分捕集可能な量に限界があり、香味成分の発現程度が喫煙時の初期にパフにより強く発現し、その後は急激に減少して、全体喫煙時に香認知程度の差が大きくなる。
【0031】
したがって、総合的に、全体的な加香シートの原料の配合による適切な量の香味成分(例えば、加香シートの重さに対して10重量%~40重量%)を添加したときに、香発現およびシートの物理性により肯定的な影響を与えられる。
【0032】
一方、前記加香シートは、香味成分の他に活性炭も含むものであり、前記活性炭の含量は、加香シートの重さに対して1~10重量%を含むことが好ましい。従来の加香シートは、その製造工程中で、シート乾燥時に熱源によって香味成分がシートの外に出て損失される問題が発生したため、本発明者は、表面積が広く、吸着性が強い多孔性物質である活性炭を前記加香シートの製造時に一定量添加して、香味成分がシートの外に流出されず、喫煙の後半部まで持続的な香放出ができるようにして、向上した保香性を有するようになった。
【0033】
一方、活性炭の含量が加香シートの重さに対して1重量%未満である場合には、活性炭添加の効果が少なく、優れた保香性を得るのが困難であり、10重量%を超す場合には、図4に示したように、10重量%以下で活性炭を含有する加香シートに比べて、シート形状が大きく収縮する問題が発生するようになるので、喫煙物品用のフィルタに含まれるシートとしての役割が難しいことがある。
【0034】
一方、本発明の一実施例による加香シートは、前記香味成分の保香が可能であり、フレキシブルであり、シート形状を形成できる高分子マトリックスを提供するバインダー素材で構成可能であり、例えば、セルロース系高分子を含むことができる。
【0035】
前記セルロース系高分子の種類としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、および寒天からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含むものであり、好ましくは、メチルセルロース(MC)、および/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に該当するものである。
【0036】
さらに、前記加香シートを構成するセルロース系高分子は、加香シートの重さに対して約20~60重量%で含まれ、前記セルロース系高分子の含量が20重量%未満であれば、シート形成自体が難しくなる。
【0037】
一方、60重量%を超える場合には、製造されたシートに欠けや割れが発生して、シート内の香味成分の香発現がよく行われず、向上した保香性を得にくい。また、シート内のセルロース系高分子の含量の増加は、他の香味成分の含量減少にもつながり、これによっても香発現程度が低くなる。
【0038】
他にも、本発明の一実施例による加香シートは、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、バルキング剤、その他の添加剤などを含み、前記可塑剤の例としては、グリセリン、プロピレングルコール(PG)などが挙げられ、バルキング剤としては、デキストリンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の一実施例による加香シートは、約1mm以下の厚さを有し、例えば、0.1mm~1mm、0.2mm~0.8mm、0.3~0.5mmである。前記加香シートの厚さが1mmを超える場合には、厚肉のためシート内の香味成分の香発現がよく行われず、シートの特性の具現が困難であり、喫煙物品用フィルタに使用することが難しい。また、前記加香シートは、単一層だけでなく、複数層で構成することができる。
【0040】
本発明の他の実施例によると、1つ以上のセグメントからなる喫煙物品用フィルタであって、
【0041】
前記1つ以上のセグメントの少なくとも1つが加香シートを含む、喫煙物品用フィルタが提供される。
【0042】
一方、本発明の一実施例による喫煙物品用フィルタは、複数のセグメントの1つとして冷却フィルタを含み、前記冷却フィルタは、その一例として紙管フィルタに該当する。
【0043】
この場合、前記加香シートは、前記紙管に含まれ、より具体的には、前記紙管の内面または外面などに位置して、冷却効果とともに香発現効果を同時に表すこともできる。
【0044】
また、前記喫煙物品用フィルタは、紙管フィルタの他にも、チューブフィルタや、多孔性マトリックス構造のセルロースアセテートフィルタなどを含む。
【0045】
本発明の一実施例によると、タバコ媒質部およびフィルタ部を含む喫煙物品において、
【0046】
前記フィルタ部は、香味成分および活性炭を含有する加香シートを含み、
【0047】
前記香味成分は、加香シートの重さに対して10~40重量%含まれることを特徴とする、喫煙物品が提供される。
【0048】
ここで、前記活性炭は、加香シートの重さに対して1~10重量%含まれ、前記喫煙物品は、燃焼式タバコまたは非燃焼式電子タバコに該当する。
【0049】
本発明のまた別の実施例によると、
a)水とセルロース系高分子を混合するステップ;
b)アルコールに香味成分および活性炭を混合するステップ;
c)前記a)、およびb)における溶液を互いに混合し、混合した溶液を注いで広げるステップ;および
d)40~70℃の温度で乾燥させるステップ;
を含むことを特徴とする、加香シートの製造方法が提供される。
【0050】
前記乾燥温度は、40~70℃に限定されず、例えば、40~60℃、好ましくは50℃に該当する。
【0051】
上述した喫煙物品用フィルタ、喫煙物品、および加香シートの製造方法における加香シートは、先に詳しく述べた加香シートと実質的に同一であると見なされ、これに対する具体的な説明は、繰り返しを避けるために省略する。
【0052】
以下、実施例と比較例により本発明の構成およびそれによる効果をより詳しく説明する。しかしながら、本実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
<実施例>
-実施例1(活性炭メントールシートの製造)
本発明者は、下記1)~5)の方法で実験を行って、加香シートを製造した。
【0054】
1)水が入ったビーカーにデキストリンを入れ、デキストリンが溶けるまでかき混ぜる。
【0055】
2)その後、前記溶液にメチルセルロースを入れ、メチルセルロースが完全に溶解されるまでかき混ぜる。
【0056】
3)酒精が入った別のビーカーにメントールを入れて溶かした後、活性炭を入れて、約5~10分間に活性炭にメントールが捕集されるようにかき混ぜる。
【0057】
4)前記メチルセルロースが入った溶液に活性炭が入った溶液をゆっくり入れながら、十分に混合されるようにかき混ぜる。
【0058】
5)前記4)ステップで混合した溶液を離型紙に適量注き、アプリケータ(Applicator)で薄く調液を押し広げた後、約50℃のオーブンに入れて1時間ほど乾燥して、活性炭含有メントール加香シートを得る。
【0059】
-比較例1(メントールシートの製造)
本発明者は、活性炭を添加しないことを除き、前記実施例1(活性炭メントールシートの製造方法)と同様に実施して、メントールシートを得た。
【0060】
-加熱回数による香放出量の測定
上記で製造した実施例1、および比較例1の加香シートを以て、SPME-GC/MSを用いてそれぞれ20回ずつ加熱してメントールが放出される程度を確認し、その結果を図1に示した。
【0061】
これにより、活性炭を添加しない比較例1のメントールシートは、初期にメントールの量が急激に減少する傾向があり、後半部に行くほどその量が著しく減少する傾向があることが認められた。
【0062】
これに対し、実施例1の活性炭を添加したメントールシートは、活性炭を添加しない比較例1のメントールシートに比べ、初期により多い量のメントールが放出され、後半部に行くほど持続的に緩く減少する傾向があることが分かった。
【0063】
このような結果から、活性炭を添加したメントールシートは、シート製作過程中、調液を乾燥する過程で、熱源によってメントールがシートの外に放出されることを活性炭が防ぐ効果を示し、これは、加香シートに製造した場合、より多い量のメントールを保持するだけでなく、喫煙時に喫煙者に初期に感じられる香認知の程度が活性炭によりさらに強く感じられることが期待できる。
【0064】
-活性炭含量によるシートの物理性把握
前記実施例1の方法によって、加香シート(固形分)の重さに対する活性炭をそれぞれ5重量%、10重量%、および15重量%含むメントールシートを製造し、その結果を図2図4に示した。
【0065】
図2図4に示したように、15重量%の活性炭を添加したシート(図4)が、活性炭5重量%、および/または10重量%を添加したシート(図2、および/または図3)に比べて、シート形状がより多く収縮された様子を示し、これは、活性炭が10重量%を超えてその含量が増加するほど、セルロース、デキストリンなどの他の固形分の含量が減ってシートの形状が完全ではないことを意味し、つまり、活性炭を10重量%以下で添加することが加香シートの製造には好ましいことが分かった。
【0066】
以上のように、実施例が限定された図面によって説明されたが、該技術分野で通常の知識を有する者であれば上記に基づいて多様な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる手順で行われ、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形で結合または組み合わされ、他の構成要素または均等物によって対置されるか置き換えされても、適切な結果を達成することができる。
【0067】
よって、他の具現例、他の実施例および特許請求の範囲と等しいものなども、後述の特許請求の範囲の範囲に属する。
【符号の説明】
【0068】
1:喫煙物品
10:タバコ媒質部
20:フィルタ部
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】