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特表2024-530112光学積層体及びその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車及び建物用建具
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  • 特表-光学積層体及びその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車及び建物用建具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】光学積層体及びその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車及び建物用建具
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240808BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240808BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240808BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240808BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240808BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20240808BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20240808BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240808BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240808BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240808BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/1343
G02F1/1339 500
E06B3/66 E
E06B5/00 D
B60J1/00 H
C09D7/61
C09D201/00
B32B27/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501601
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2022009598
(87)【国際公開番号】W WO2023287090
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0091642
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-フィ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ゴ-サン
【テーマコード(参考)】
2E016
2H088
2H092
2H149
2H189
2H291
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016EA05
2H088EA34
2H088HA02
2H088HA16
2H088HA17
2H088HA18
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2H092RA10
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(57)【要約】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層と前記第2透明導電層との間に備えられる液晶層と、前記透明導電層の内側面上に形成される配向層と、を含み、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または前記第2偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光板及び前記第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、偏光子及び前記偏光子と透明導電層との間に備えられるコーティング層を含み、前記コーティング層は、ナノ粒子を含む透過率可変光学積層体及びその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車及び建物用建具に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光板と、
前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、
前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、
前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、
前記第1透明導電層と前記第2透明導電層との間に備えられる液晶層と、
前記透明導電層の内側面上に形成される配向層と、を含み、
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または前記第2偏光板と直接接触して形成され、
前記第1偏光板及び前記第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、偏光子及び前記偏光子と透明導電層との間に備えられるコーティング層を含み、
前記コーティング層は、ナノ粒子を含む、透過率可変光学積層体。
【請求項2】
前記ナノ粒子は、シリカ粒子を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項3】
前記ナノ粒子は、50nm以下の粒径を有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項4】
前記コーティング層は、3~10μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項5】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または第2偏光板との間に別途の基材を含まず、前記偏光板と直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項6】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または第2偏光板との間に易接着層を含み、前記偏光板と直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項7】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク及びナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項8】
前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、可視光に対する透過率が50%以上である、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、保護フィルム及び光学機能フィルムの少なくとも一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)及び環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含む、透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、30μm~200μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)及びカラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1μm~10μmである、請求項12に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%~10%である、請求項12に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項15】
前記屈折率が1.4~2.6の屈折率調節層をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体の製造方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項18】
請求項17に記載のスマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓及び内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した、自動車。
【請求項19】
請求項17に記載のスマートウィンドウを含む、建物用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過率可変光学積層体及びその製造方法、これを含むスマートウィンドウ及びこれを適用した自動車または建物用建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両などの移動手段のガラス窓に外光遮断コーティングを施す場合が多い。しかし、従来の移動手段のガラス窓は透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には問題がない。しかし、周辺に光量が十分ではない夜間などの場合には、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認するにおいて困難性があるという問題点があった。または全体的な透過率が高く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こすことがあるという問題点があった。これにより、電圧が印加されると、光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることによって駆動されるが、現在まで開発された透過率可変光学積層体は、液晶駆動のための導電層を別途の基材上に形成した後、これを偏光板などの他の素子と結合して製作される。
【0004】
例えば、日本国特開第2018-010035号公報も、所定の厚さを有する透明なフィルム型基材などに形成された透明電極層を偏光板と貼り合わせて、透過率可変光学積層体を製造した。
【0005】
しかし、このように導電層を形成するために別途の基材を含む場合、製作工程が複雑になることによって製造費用が上昇し、積層体の厚さが厚くなり、位相差が発生することにより透過率が変化するという問題がある。
【0006】
したがって、導電層を形成するための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化し、厚さを減少させることができる透過率可変光学積層体に対する開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-010035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことによって、製作工程が簡素化した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0009】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことによって、厚さが顕著に減少した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0010】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことによって、透光モードでの透過率が向上した透過率可変光学積層体を提供することを本発明の目的とする。
【0011】
また、本発明は、偏光子と導電層との間にナノ粒子を含むコーティング層を備えることによって、偏光板と導電層との密着性を向上させることを発明の目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含むスマートウィンドウ及びこれを適用した自動車または建物用建具を提供することを発明の目的とする。
【0013】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層と前記第2透明導電層との間に備えられる液晶層と、前記透明導電層の内側面上に形成される配向層と、を含み、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または前記第2偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光板及び前記第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、偏光子及び前記偏光子と透明導電層との間に備えられるコーティング層を含み、前記コーティング層はナノ粒子を含む、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0015】
本発明は、その第1観点において、前記ナノ粒子は、シリカ粒子を含むものであってもよい。
【0016】
本発明は、その第2観点において、前記ナノ粒子は、50nm以下の粒径を有するものであってもよい。
【0017】
本発明は、その第3観点において、前記コーティング層は、3~10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0018】
本発明は、その第4観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または第2偏光板との間に別途の基材を含まず、前記偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0019】
本発明は、その第5観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または第2偏光板との間に易接着層を含み、前記偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第6観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク及びナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第7観点において、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、可視光に対する透過率が50%以上のものであってもよい。
【0022】
本発明は、第8の観点において、前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、保護フィルム及び光学機能フィルムの少なくとも一つ以上をさらに含むものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第9観点において、前記保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyetyl metacrylate;PEMA)及び環状オレフィン系ポリマー(cyclicolefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0024】
本発明は、その第10観点において、前記第1偏光板及び第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、30μm~200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0025】
本発明は、その第11観点において、前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)及びカラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0026】
本発明は、その第12観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1μm~10μmのものであってもよい。
【0027】
本発明は、その第13観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%~10%のものであってもよい。
【0028】
本発明は、その第14観点において、屈折率が1.4~2.6の屈折率調節層をさらに含むものであってもよい。
【0029】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体の製造方法に関するものである。
【0030】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウに関するものである。
【0031】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓及び内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した自動車に関するものである。
【0032】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む建物用建具に関するものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、従来の光学積層体の形成のために基材上に導電層を形成し、これを他部材と貼り合わせるなどの工程を省略することができ、従来の光学積層体に対して製造工程を簡素化することができる。
【0034】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことによって、従来の光学積層体に対して厚さを顕著に減少させることができる。
【0035】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことによって、従来の光学積層体に対して透光モードでの透過率を向上させることができる。
【0036】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光子と導電層との間にナノ粒子を含むコーティング層を備えることによって、偏光子を保護し、偏光板と導電層との密着性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を展開して示す図である。
図3図3は、本発明の他の一実施例に係る屈折率調節層がさらに含まれた透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
図4図4は、本発明の他の一実施例に係る粘接着剤が一面に形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
図5図5は、本発明の他の一実施例に係るシーラントが形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、偏光板の一面上に液晶駆動のための導電層を直接形成することにより、導電層の形成のための別途の基材を含まず、偏光子と導電層との間にナノ粒子を含むコーティング層を備えることにより、偏光板と導電層との密着性をさらに向上させることができる透過率可変光学積層体に関するものである。
【0039】
より詳細には、第1偏光板と、前記第1偏光板の内側面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の内側面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層と前記第2透明導電層との間に備えられる液晶層と、前記透明導電層の内側面上に形成される配向層と、を含み、前記第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板または前記第2偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光板及び前記第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、偏光子及び前記偏光子と透明導電層との間に備えられるコーティング層を含み、前記コーティング層はナノ粒子を含む、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0040】
本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に適しており、例えば、スマートウィンドウ(smart window)に用いることができる。
【0041】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気信号の印加によって光の透過性を変化させて通過される光または熱の量を制御する窓を意味する。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明の状態に変化できるように備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラスまたはスマートガラス(smart glass)などとも呼ばれる。
【0042】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両及び建築物の内部空間の区画用またはプライバシー保護用仕切りに活用されるか、建築物の開口部に配置された採光窓に活用されてもよく、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンに活用されてもよく、自動車、バス、航空機、船舶または汽車の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0043】
本発明の透過率可変光学積層体も、前述の様々な技術分野のスマートウィンドウ(smart window)に活用可能であるが、透明導電層が偏光板に直接形成されることによって、透明導電層の形成のための別途の基材を含まないため、厚さが薄く屈曲特性に有利で、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に適切に用いることができる。一または複数の実施形態において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、自動車の前面窓、背面窓、側面窓及びサンルーフ窓、または建物用建具などに用いることができ、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用またはプライバシー保護用にも用いることができる。
【0044】
以下、図面を参考にして、本発明の実施形態をより具体的に説明することにする。ただし、本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであって、前述の発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役目を果たすものであるので、本発明は、これらの図面に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【0045】
本明細書で使用される用語は、実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文具で特に言及しない限り複数形も含む。
【0046】
明細書で使用される含む(comprises)及び/または含む(comprising)は言及された構成要素、ステップ、動作及び/または素子以外の一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない意味として使用される。明細書全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0047】
本明細書において、「内側面」は、積層体の外部層に対応する内部層方向の面を指すことができ、一例として、液晶層方向の面を指すことができるが、これに限定されるものではない。
【0048】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように、一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は他の素子の「上」に置かれることもある。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は他の方向にも配向することができ、これにより、空間的に相対的な用語は配向に応じて解釈することができる。
【0049】
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示す図であり、図2は、前記本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を展開して示す図である。
【0050】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体100、200は、液晶層110、第1偏光板120-1、第2偏光板120-2、第1透明導電層130-1、第2透明導電層130-2及び配向層140-1、140-2を含むものであってもよく、前記第1偏光板120-1は、第1保護フィルム121-1と第1偏光子122-1及び第1コーティング層123-1を含むものであってもよい。第2偏光板120-2も、前記第1偏光板120-1のように、それぞれ保護フィルム121-2、偏光子122-2及びコーティング層123-2を含むものであってもよい。
【0051】
前記液晶層110は、電界によって駆動されることを特徴とする。前記液晶層110は、前記光学積層体100の光制御領域に位置する第1偏光板120-1と第2偏光板120-2との間に位置してもよい。一実施例において、前記液晶層110は、光制御領域で、第1偏光板120-1と第2偏光板120-2との間に備えられるシーラント(図示せず)及びスペーサー(図示せず)によって提供される空間内に位置してもよい。また、前記液晶層110は、第1透明導電層130-1または第2透明導電層130-2との間に形成される電場によって外部光源から入射する光の透過度を調節することができる。
【0052】
前記液晶層110は、従来または以後に開発される液晶挙動方式によって駆動することができ、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードなどを用いてもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態に係る前記液晶層110は、ボールスペーサー(Ball spacer)及びカラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上のスペーサー(spacer)を含んでもよく、特にボールスペーサー(Ball spacer)であることが好ましい。前記ボールスペーサー(Ball spacer)は一つ以上であってもよく、直径が1~10μmであることが好ましい。また、平面方向から見たとき、前記ボールスペーサー(Ball spacer)が液晶層(110;すなわち、光調節領域)内に占める面積は、ユーザの視認性及び透光モードでの透過率の改善の面で、液晶層110の面積に対して0.01~10%であることが好ましい。
【0054】
前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2は、前記液晶層110を挟んで両面に対向して位置してもよい。また、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2は、散発的に降り注ぐ光を一方向に伝達し、前記偏光板120の偏光特性を用いて通過する光の量を調節し、光学積層体の透過率を調節するためのものであってもよい。
【0055】
前記第1偏光板120-1は、第1保護フィルム121-1、第1偏光子122-1及び第1コーティング層123-1を含むものであってもよく、例えば、第1透明導電層130-1の上面上に第1コーティング層123-1、第1偏光子122-1及び第1保護フィルム121-1が順次積層されるものであってもよい。前記第2偏光板120-2は、前記第1偏光板120-1と実質的に同一なものであってもよく、例えば、前記第2透明導電層130-2の下面上に第2コーティング層123-2、第2偏光子122-2及び第2保護フィルム121-2が順次積層されたものであってもよい。
【0056】
前記保護フィルム121-1、121-2は、後工程及び外部環境から偏光子122-1、122-2及びコーティング層123-1、123-2などを保護するためのものであってもよい。
【0057】
前記保護フィルム121-1、121-2は、図1及び図2に示されているように、偏光子122-1、122-2の一面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、前記保護層は、一つ以上の保護層が連続的に積層された複層構造として用いられてもよく、他の部材の上面上に形成されるものであってもよい。
【0058】
一または複数の実施形態において、前記保護フィルム121-1、121-2は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)などのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロース系樹脂;ポリカーボネート(polycarbonate;PC)樹脂;ポリエチレン(polyethylene;PE)樹脂;ポリプロピレン(polypropylene;PP)樹脂;ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)などのアクリル系樹脂;環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0059】
本発明の他の実施形態に係る光学積層体は、光学機能フィルムをさらに含むものであってもよい。前記光学機能フィルムは、光学積層体の光学特性を補完するためのものであり、位相差フィルムなどの形態で具現されてもよく、従来または以後に開発される位相差フィルムなどを用いてもよい。例えば、光の位相を遅延させるために、四分の一波長板(1/4波長板)または半波長板(1/2波長板)などを用いてもよく、これらを単独または組み合わせて用いてもよい。
【0060】
前記光学機能フィルムは、偏光子の一面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではなく、例えば、偏光子、保護フィルム及び光学機能フィルムが順次積層されるものであってもよい。
【0061】
前記光学機能フィルムは、延伸により光学異方性を付与することができる高分子フィルムを適切な方式で延伸した高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムを用いてもよい。
【0062】
一実施例において、前記高分子延伸フィルムは、ポリエチレンポリエチレン(polyethylene;PE)またはポリプロピレン(polypropylene;PP)などのポリオレフィン、ポリノルボルネン(polynorbornene)などの環状オレフィンポリマー(COP:cyclo olefin polymer)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリスルホン(polysulfone;PSU)、アクリル樹脂(acryl resin)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)などのポリエステル、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl acholol;PVA)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロースエステル系ポリマーであるが、前記ポリマーを形成する単量体中で2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を用いてもよい。
【0063】
前記高分子延伸フィルムを得る方法は、特に制限されず、例えば、前記高分子材料をフィルム状に成形した後、延伸することにより得られる。前記フィルム状への成形方法は特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形などの公知の方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの二次加工成形法を用いてもよい。そのなかでも、押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。このとき、例えば、Tダイ、円形ダイなどが取り付けられた押出機などを用いて未延伸フィルムを押出成形することができる。押出成形により成形品を得る場合には、予め各種の樹脂成分、添加剤などを溶融混練した材料を用いることもできれば、押出成形時に溶融混練を経て成形することもできる。また、各種の樹脂成分に共通する溶媒、例えば、クロロホルム、二塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種の樹脂成分を溶解した後、キャスト乾燥固化することにより、未延伸フィルムをキャスト成形してもよい。
【0064】
前記高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向または長手方向)に一軸延伸、機械的流れ方向の横の方向(TD;Transverse Direction、横方向または幅方向)に一軸延伸してもよく、またロール延伸とテンター延伸の順次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などにより延伸することにより、二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0065】
前記液晶重合フィルムは、反応性液晶化合物を重合した状態で含むことができる。前記反応性液晶化合物は、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、さらに重合性官能基を一つ以上含む化合物を意味することができる。このような反応性液晶化合物は、所謂RM(Reactive Mesogen)という名称で様々に公知されている。前記反応性液晶化合物は、光または熱によって重合されて液晶配列を維持しながら高分子ネットワークが形成された硬化膜を構成することができる。
【0066】
前記反応性液晶化合物は、単官能性または多官能性反応性液晶化合物であってもよい。前記単官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であり、多官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。
【0067】
一または複数の実施例において、前記光学機能フィルムの厚さは、高分子延伸フィルムの場合には10μm~100μmであってもよく、液晶重合フィルムの場合には0.1μm~5μmであってもよい。
【0068】
前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板は、従来または以後に開発される偏光子を用いてもよく、例えば、延伸型偏光子またはコーティング型偏光子などを用いてもよい。
【0069】
一実施例において、前記延伸型偏光子は、延伸されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂を含んでもよい。前記ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化して得たポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル以外に、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記の他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフィン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などであってもよい。また、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は変性されたものを含み、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマルまたはポリビニルアセタールであってもよい。
【0070】
一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成されてもよく、このとき、前記液晶コーティング用組成物は反応性液晶化合物及び異色性染料などを含んでもよい。
【0071】
前記反応性液晶化合物は、前述の光学機能フィルムの反応性液晶化合物に関する内容が同様に適用できる。
【0072】
前記異色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれ、偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向での吸光度と短軸方向での吸光度が異なる性質を有する。前記異色性染料は、従来または以後に開発される異色性染料を用いてもよく、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素、アントラキノン色素などを含んでもよく、これらを単独または組み合わせて用いてもよい。
【0073】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物及び前記異色性染料を溶解させることができる溶剤をさらに含んでもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)及びクロロホルム(chloroform)などを用いてもよい。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレベリング剤、重合開始剤などをさらに含んでもよい。
【0074】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物及び前記異色性染料を溶解させることができる溶剤をさらに含んでもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)及びクロロホルム(chloroform)などを用いてもよい。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレベリング剤、重合開始剤などをさらに含んでもよい。
【0075】
前記コーティング層は、弾性率が10MPa以上であってもよく、好ましくは、10~10MPaであってもよい。コーティング層の弾性率が前記範囲を満たす場合、優れた密着力及び屈曲性などを示すことができる。
【0076】
一実施例において、前記コーティング層は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性コーティング層形成用組成物から形成されるものであってもよい。
【0077】
前記光重合性化合物は、コーティング層が前述の弾性率範囲を示すようにするものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル系モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、オキセタン系モノマーなどを用いてもよく、弾性率の向上の面で、好ましくは、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、オキセタン系モノマーを用いてもよい。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0078】
前記アクリル系モノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ウレタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールのモノε-カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールのジε-カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールのモノβ-メチル-δ-バレロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールのジβ-メチル-δ-バレロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0079】
前記のエポキシ系モノマーとしては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが挙げられる。
【0080】
前記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジクリシジルエーテル、フェノキシグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0081】
前記脂環族エポキシ化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、リモネンジオキシド、4-ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどが挙げられる。
【0082】
前記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0083】
前記ビニルエーテル系モノマーは、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0084】
オキセタン系モノマーは、例えば、2-エチルヘキシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]ベンゼンなどが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0085】
前記光重合開始剤は、当業界で通常用いられるカチオン開始剤、ラジカル開始剤などを用いてもよく、前記カチオン開始剤は、例えば、オニウム塩化合物、鉄-アレーン錯体などが挙げられる。
【0086】
前記オニウム塩化合物は、例えば、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレートなどの芳香族ジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどの芳香族ヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジフェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、7-[ジ(p-トルイル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7-[ジ(p-トルイル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムのリン酸塩などの芳香族スルホニウム塩;などが挙げられる。
【0087】
前記の鉄-アレーン錯体としては、例えば、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)-トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタニドなどが挙げられる。
【0088】
前記ラジカル開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、トリアジン系化合物などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0089】
前記アセトフェノン系化合物は、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン及び2-ヒドロキシ2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0090】
前記ベンゾイン系化合物は、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0091】
前記ベンゾフェノン系化合物は、例えば、ベンゾフェノン、メチルo-ベンゾイルベンゾエート、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0092】
前記チオキサントン化合物は、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0093】
前記トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0094】
光重合開始剤の含有量は特に限定されず、例えば、光重合性化合物100重量部に対して0.1~10重量部で含まれてもよい。含有量が前記範囲内である場合、適正水準に硬化して前記弾性率範囲を示すコーティング層を形成することができる。
【0095】
一または複数の実施形態において、コーティング層の厚さは3~10μmであってもよく、より好ましくは、3~7μmであってもよい。前記コーティング層の厚さが3μm未満であると、凝集力及び弾性率が低くなるか、密着力を発現し難く、特に偏光子とコーティング層との密着性が低下し、偏光子保護の機能が低下することがある。また、前記コーティング層の厚さが10μmを超えると、位相差が発生して透過率制御が容易ではなく、特に導電層とコーティング層との密着性が低下し、導電層の形成が容易でないことがある。
【0096】
一実施例において、前記コーティング層は、コーティング層の硬度及び密着性を向上させるためにナノ粒子を含むものであってもよい。
【0097】
前記ナノ粒子は、コーティング層の硬度及び密着性を向上させ、偏光板上に導電層の形成を容易にし、形成された導電層を安定化できるものであれば、特に制限されず、例えば、シリカ粒子を含んでもよい。
【0098】
一または複数の実施形態において、前記ナノ粒子は、粒径が50nm以下のものであってもよく、好ましくは、10~50nmであってもよい。前記ナノ粒子の粒径が50nmを超えると、偏光割れにより光学積層体に光漏れ現象が生じることがあり、遮光モードでの遮光性が低下することがある。
【0099】
一実施例において、前記ナノ粒子は、有機溶媒に分散してコロイド状のナノ粒子分散体として存在してもよい。前記有機溶媒は、本発明の目的を損なわない範囲で適切に選択されてもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン類などが用いられてもよい。前記ナノ粒子分散体に含まれるナノ粒子の含有量は特に制限されないが、分散体の総重量に対して、10~60重量%で含まれるものであってもよい。
【0100】
前記ナノ粒子分散体は、当業界で通常用いられる方法によって製造されてもよく、市販の市販品を購入して用いてもよい。前記市販品は、本発明の目的を達成できるものであれば、特に制限されず、例えば、「MA-ST(日産化学、粒径10~15nm)」、「MA-ST-M(日産化学、粒径20~25nm)」、「MA-ST-L(日産化学、粒径40~50nm)」、「IPA-ST(日産化学、粒径10~15nm)」、「IPA-ST-L(日産化学、粒径45~50nm)」、「IPA-ST-ZL(日産化学、粒径70~100nm)」、「IPA-ST-UP(日産化学、粒径9~15nm)などを用いてもよい。これらはそれぞれ単独または2以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0101】
前記ナノ粒子分散体は、前記コーティング層形成用組成物の総重量に対して、10~80重量%であってもよく、好ましくは、40~75重量%であってもよく、さらに好ましくは、50~70重量%であってもよい。ナノ粒子分散体の含有量が前記範囲を満たす場合、コーティング層の硬度、密着性、透過率を向上させることができる。
【0102】
一実施例において、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板は、30~200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30~170μmであってもよく、より好ましくは、50~150μmのものであってもよい。この場合、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板が光学特性を維持しながらも、薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0103】
前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板は、曲面を有する光学積層体の製造のために湾曲した形状を含んでもよく、例えば、液晶層110の両面に積層された互いに異なる2つの偏光板120-1、120-2のうち、いずれか一つの偏光板側に湾曲した形態で形成されるものであってもよい。
【0104】
前記透明導電層130-1、130-2は、前記第1偏光板120-1の一面上に備えられる第1透明導電層130-1及び前記第2偏光板120-2の一面上に備えられる第2透明導電層130-2を含むものであってもよい。
【0105】
前記第1透明導電層130-1及び前記第2透明導電層130-2の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板と直接接触して形成されるものであってもよく、例えば、第1透明導電層130-1は、第1偏光板120-1と直接接触して形成されてもよく、第2透明導電層130-2は、第2偏光板120-2と直接接触して形成されてもよい。
【0106】
一実施例において、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板と直接接触して形成される第1透明導電層130-1及び/または前記第2透明導電層130-2は、前記第1偏光板120-1及び/または第2偏光板120-2と接触面を共有し、別途の基材を含まず、前記偏光板上に形成されることを意味する。例えば、第1透明導電層130-1及び/または前記第2透明導電層130-2が前記第1偏光板120-1及び/または第2偏光板120-2に形成されたコーティング層の上面上に蒸着して形成されるものであってもよい。このとき、第1透明導電層130-1及び/または前記第2透明導電層130-2は、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板との接着力の向上のために、偏光板の一面上にコロナ処理やプラズマ処理などの前処理を施した後、前記偏光板の前処理を施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来または以後に開発される前処理工程を用いてもよい。
【0107】
本発明の他の実施例において、前記第1偏光板120-1及び第2偏光板120-2の少なくとも一つの偏光板と直接接触して形成される第1透明導電層130-1及び/または前記第2透明導電層130-2は、偏光板との接着力の向上のために、偏光板の一面上に備えられる易接着層(図示せず)を挟んで、偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0108】
前記第1透明導電層130-1及び前記第2透明導電層130-2の少なくとも一つの透明導電層は、可視光に対する透過率が50%以上であることが好ましく、例えば、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク及びナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいが、これに限定されるものではなく、従来または以後に開発される透明導電層の材料が用いられてもよい。
【0109】
一または複数の実施形態において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フロリンスズ酸化物(FTO)及び亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びこれらの少なくとも一つを含有する合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含んでもよい。前記炭素系物質は、カーボンナノチューブ(CNT)及びグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、前記伝導性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ピドット(PEDOT)及びポリアニリン(polyaniline)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合されたインクであってもよく、ナノワイヤは、例えばシルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。
【0110】
また、前記第1透明導電層130-1及び前記第2透明導電層130-2の少なくとも一つの透明導電層は、前記物質を組み合わせて2層以上の構造で形成されてもよい。例えば、入射光の反射率を下げ、透過率を高めるように金属層及び透明導電性酸化物層を含む2層構造で形成されてもよい。
【0111】
前記配向層140-1、140-2は、前記透明導電層の内側面上に形成されるものであってもよく、具体的には、前記第1透明導電層130-1及び前記第2透明導電層130-2の少なくとも一つの透明導電層の内側面上に形成されるものであってもよく、好ましくは、前記第1透明導電層130-1及び第2透明導電層130-2のそれぞれ内側面上に形成されるものであってもよい。
【0112】
液晶層110に含まれる液晶化合物に配向性を付加するためのものであって、例えば、液晶層110の両面上に形成されるものであってもよい。
【0113】
前記配向層140-1、140-2は、従来または以後に開発される配向膜の製造方法によって製造されてもよく、例えば、配向性高分子、光重合開始剤及び溶剤を含む配向膜コーティング組成物を塗布及び硬化することにより製作されてもよい。前記配向性高分子は、特に限定されないが、ポリアクリレート系樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリイミド系樹脂、シンナメート基を含む高分子などを用いてもよく、従来または以後に開発される配向性を示すことができる高分子を用いてもよい。
【0114】
図3は、本発明の他の一実施例に係る屈折率調節層がさらに含まれた透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【0115】
図3を参照すると、本発明の他の一実施例に係る透過率可変光学積層体300は、液晶層110、偏光板120、透明導電層130、配向層140及び屈折率調節層150をさらに含むものであってもよい。
【0116】
前記屈折率調節層150は、前記透明導電層130による光学積層体の透過率差を補償するために備えられるものであり、屈折率差を減少させることにより視認特性などを改善するための役目を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調節層150は、前記透明導電層130に起因する色を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記透明導電層130がパターンを有する場合には、前記屈折率調節層150を通じて前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されていない非パターン領域間の透過率差を補償することができる。
【0117】
具体的には、前記透明導電層130は、これと屈折率が異なる他の部材(例えば、偏光板120など)と隣接して積層され、隣接する他層との屈折率差によって光透過率の差が誘発されることがある。特に、透明導電層130にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域とを区分できるように視認されるという問題が発生し得る。したがって、前記屈折率調節層150は、前記偏光板120と前記透明導電層130との間に位置することにより屈折率を補償するようにし、光学積層体の光透過率の差を減少できるようにして、特に透明導電層130にパターンが形成された場合には、パターン領域と非パターン領域とが区分され視認されないようにする。
【0118】
前記屈折率調節層150の屈折率は、前記偏光板120に含まれたコーティング層の屈折率より大きく、前記透明導電層130の屈折率以下に定まるように予め設定されてもよい。前記屈折率は、偏光板120及び透明導電層130の材料によって適切に選択されてもよいが、1.4~2.6であることが好ましく、さらに好ましくは、1.4~2.4であってもよい。屈折率調節層150の屈折率が前記範囲を満たす場合、前記偏光板120と前記透明導電層130間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。
【0119】
前記屈折率調節層150は、偏光板120と透明導電層130間の急激な屈折率差を防止できるものであれば、特に制限されず、従来または以後に開発される屈折率調節層の形成に用いられる化合物を用いてもよく、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調節層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0120】
図4は、本発明の他の一実施例に係る粘接着剤が一面に形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【0121】
図4を参照すると、本発明の他の一実施例に係る透過率可変光学積層体400は、一側面上に粘接着剤層126をさらに含むものであってもよい。
【0122】
前記粘接着剤126は、接着剤または粘着剤を用いて形成されてもよく、光学積層体400の取り扱い時に剥離、気泡などが発生しないように適切な粘接着力を有するとともに、透明性及び熱安定性を有することが好ましい。
【0123】
前記接着剤は、従来または以後に開発された接着剤を用いてもよく、例えば、光硬化性接着剤を用いてもよい。
【0124】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)など活性エネルギー線を受けて架橋及び硬化され、強い接着力を示すもので、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などから構成されてもよい。
【0125】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決める重要な成分であって、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0126】
前記反応性モノマーは、前述の反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役目を果たし、接着特性に影響を与える。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0127】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカル或いはカチオンを生成させて光重合を開始する役目を果たすものであり、光重合樹脂によって適切なものを選択して用いてもよい。
【0128】
前記粘着剤は、従来または以後に開発される粘着剤を用いてもよく、一または複数の実施形態において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いてもよい。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性とを有するものであれば、特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤及び溶剤などを含むものであってもよい。
【0129】
前記架橋剤は、従来または以後に開発される架橋剤を用いてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0130】
前記溶剤は、樹脂組成物分野で用いられる通常の溶媒を含んでもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒が用いられてもよい。これらは単独或いは2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0131】
前記粘接着剤層の厚さは、粘接着剤の役目を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などによって適切に決められてもよい。一実施例において、前記粘接着剤層は、十分な粘接着力を確保し、光学積層体の厚さを最小化するために、0.01μm~50μmであってもよく、好ましくは、0.05μm~20μm、さらに好ましくは、0.1μm~10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0132】
図5は、本発明の他の一実施例に係るシーラントが形成された透過率可変光学積層体の積層構造を示す図である。
【0133】
図5を参照すると、本発明の他の一実施例に係る透過率可変光学積層体500は、液晶層(図示せず)の外郭に形成されたシーラント160をさらに含んでもよい。前記シーラントは、互いに異なる2つの偏光板を結合するためのものであって、互いに異なる2つの偏光板の間で、非活性領域に位置するものであってもよい。また、前記シーラントはスペーサーとともに、互いに異なる2つの偏光板の間に前記液晶層が備えられる空間を確保することができる。
【0134】
前記シーラントは、ベース樹脂として硬化性樹脂を含んでもよい。前記ベース樹脂としては、当業界でシーラントに用いられるものと公知された紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いてもよい。前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性単量体の重合体であってもよい。前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性単量体の重合体であってもよい。
【0135】
前記シーラントのベース樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂または前記樹脂の混合物を用いてもよい。一実施例において、前記ベース樹脂はアクリレート系樹脂であってもよく、前記アクリレート系樹脂はアクリル系単量体の重合体であってもよい。前記アクリル単量体は、例えば、多官能性アクリレートであってもよい。他の実施例において、前記シーラントは、ベース樹脂に単量体成分をさらに含んでもよい。前記単量体成分は、例えば、単官能性アクリレートであってもよい。本明細書において、単官能性アクリレートは、アクリル基を1個有する化合物を意味することができ、多官能性アクリレートは、アクリル基を2個以上有する化合物を意味することができる。前記硬化性樹脂は、紫外線の照射及び/または加熱によって硬化されてもよい。前記紫外線照射条件または加熱条件は、本出願の目的を損なわない範囲で適切に行われてもよい。前記シーラントは、必要に応じて開始剤、例えば、光開始剤または熱開始剤をさらに含んでもよい。
【0136】
さらに、前記シーラント160は、当業界で通常用いられる方法によって形成されてもよく、例えばノズルを備えるディスペンサーを用いてシーラントを前記液晶層の外郭(すなわち、非活性領域)にドローイングして形成されてもよい。その後、他の光学積層体などを合着及び硬化して、本発明の光学積層体を製作してもよく、前記シーラントの硬化は、紫外線の照射及び/または加熱などの方式によって行われるものであってもよい。
【0137】
本発明は、前記透過率可変光学積層体に加えて、これを含むスマートウィンドウを含む。また、本発明は、前記スマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓及び内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した自動車及び前記スマートウィンドウを含む建物用建具を含む。
【0138】
以下、具体的に本発明の実施例を記載する。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現されてもよく、単に本実施形態は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【実施例
【0139】
製造例:コーティング層形成用組成物の製造
下記表1を参照して、製造例1~3のコーティング層形成用組成物を製造した。
【0140】
【表1】
【0141】
実施例及び比較例:光学積層体の製作
実施例1
PVA偏光子の上面上に前記製造例1のコーティング層形成用組成物を塗布し、乾燥、硬化して3μm厚さを有するコーティング層を形成した。その後、前記コーティング層の上面上にITOを蒸着して第1積層部材を製作し、これと同様に第2積層部材を製作した。
【0142】
その後、前記第1積層部材の前記ITO上面に配向層及びシーラントを形成し、液晶注入工程を通じて液晶層を形成し、これを前記第2積層部材と結合して、光学積層体を製作した。
【0143】
このとき、前記液晶層は、TN(Twisted Nematic)モードで駆動され、前記第1及び第2積層部材に含まれた互いに異なる2つの偏光子の吸収軸は互いに垂直配向となるように接合した。
【0144】
実施例2
製造例2のコーティング層形成用組成物を用いたことと、コーティング層の厚さが5μmであることを除いては、前記実施例1の光学積層体と同様に、実施例2の光学積層体を製作した。
【0145】
実施例3
製造例3のコーティング層形成用組成物を用いたことと、コーティング層の厚さが5μmであることを除いては、前記実施例1の光学積層体と同様に、実施例3の光学積層体を製作した。
【0146】
実施例4
コーティング層の厚さが7μmであることを除いては、前記実施例1の光学積層体と同様に、実施例4の光学積層体を製作した。
【0147】
実施例5
コーティング層の厚さが11μmであることを除いては、前記実施例1の光学積層体と同様に、実施例5の光学積層体を製作した。
【0148】
比較例1
比較製造例1のコーティング層形成用組成物を用いたことを除いては、前記実施例1の光学積層体と同様に、比較例1の光学積層体を製作した。
【0149】
比較例2
厚さ50μmのPETフィルムの一面上に厚さ50nmのITO層を蒸着してPET/ITOフィルムを製作し、前記PETフィルムの他面上にPVA偏光子を接合して、それぞれ第1及び第2積層部材を製作したことを除いては、実施例1の光学積層体と同様に、比較例2の光学積層体を製作した。
【0150】
実験例
(1)密着力評価
クロスカットテープ法(JIS K54008.5.2(1990))によって、コーティング層と偏光子間、及びコーティング層とITO導電層間の密着性を評価した。
それぞれコーティング層またはITO導電層の表面にナイフで直交する11個ずつの平行な直線を引き(幅1mm)、正方形が100個(各、1mm×1mm)となった格子型評価サンプルを製作した。前記格子型のコーティング層またはITO導電層の表面にセロハン粘着テープを貼り付けて剥がした後、残っている正方形の数を評価し、下記表2に示した。
【0151】
(2)遮光モードでの遮光性の評価
前記実施例1~5及び比較例1~2の光学積層体に電圧を印加した後、遮光モードでの光学積層体の遮光性を評価した。
<遮光性評価基準>
○:周囲の物が識別されない
△:周囲の物が識別されるが、境界が曖昧
X:周囲の物が明瞭に識別される
【0152】
【表2】
【0153】
前記表2を参照すると、ナノ粒子を含む実施例1~5の光学積層体が偏光子とコーティング層間の密着性、及びコーティング層と導電層間の密着性がいずれも優れていることが分かる。これに対し、ナノ粒子を含まない比較例1の光学積層体は、コーティング層と導電層間の密着性が不良であり、実質的に光学積層体として用いられないことが分かる。
【0154】
また、実施例1~5の光学積層体は、遮光モードでいずれも良好な遮光性を示すが、導電層の形成のために別途のPET基材を含む比較例2の光学積層体は、PETフィルムの位相差により遮光モードでの遮光性が不良であることが分かる。
【0155】
また、実施例1~5の光学積層体のうち、コーティング層の厚さが3~7μmである実施例1~4の光学積層体が、コーティング層の厚さが11μmである実施例5の光学積層体に対してコーティング層と導電層間の密着性がより優れる点に照らしてみると、コーティング層の厚さが3~10μmであることがコーティング層の密着性、特にコーティング層と導電層間の密着性向上の面でメリットがあることが分かる。
【0156】
また、実施例1~5の光学積層体のうち、ナノ粒子の平均粒径が10~50nmである実施例1、2、4及び5の光学積層体が、ナノ粒子の平均粒径が70~100nmである実施例3の光学積層体に対して遮光性に優れる点に照らしてみると、ナノ粒子の平均粒径が50nm以下であることが遮光モードでの遮光性向上の面でメリットがあることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】