(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】遠心分離機及び該遠心分離機を操作する方法
(51)【国際特許分類】
B04B 1/08 20060101AFI20240808BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20240808BHJP
C07D 307/62 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
B04B1/08
A23L19/00 102B
C07D307/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501740
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022070874
(87)【国際公開番号】W WO2023016793
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021120611.1
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516362920
【氏名又は名称】ジーイーエー ウエストファリア セパレーター グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フンダートマルク, ティム
(72)【発明者】
【氏名】ストローファー, ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルグ, ヴォルフ-ディートリヒ
【テーマコード(参考)】
4B016
4D057
【Fターム(参考)】
4B016LG01
4B016LG05
4B016LP02
4D057AA01
4D057AA07
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF07
4D057BA31
4D057BA43
4D057BC05
4D057BC11
(57)【要約】
本発明は、流動性の生成物又は流動性の懸濁液を連続操作において少なくとも2つの相に分離または洗浄化する遠心分離機(1)に関し、該遠心分離機は、駆動モータによって駆動されて、金属で作られたドラムシェルと回転軸(3)を有して回転可能に取り付けられたドラム(2)を有し、該ドラム(2)は、供給パイプ(4)及び洗浄化され又は分離された液体、好ましくは固形排出物を排出するパリングディスク(8)を備えた少なくとも1つのグリッパ室(5)を備えている。ドラム(2)は、グリッパ室(5)の上に少なくとも2つの軸方向に重ね合わさるシーリング室(7、12)を有し、各シーリング室(7、12)は夫々のシーリング室(7、12)内に突出したシーリングディスク(9、14)を有し、少なくとも1つの供給チャネル(11、11')が、シーリング媒体(32)をシーリング室(7、12)の1つに供給するために設けられ、または少なくとも1つの供給チャネル(11、11')が、シーリング媒体(32)を夫々のシーリング室(7、12)に供給するために設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性の生成物又は流動性の懸濁液を連続操作において少なくとも2つの相に分離または洗浄化するための遠心分離機(1)であって、
駆動モータによって駆動されて、金属で作られたドラムシェルと垂直な回転軸(3)を有して回転可能に取り付けられたドラム(2)を有し、
該ドラム(2)は、供給パイプ(4)及び洗浄化され又は分離された液体と、好ましくは固形排出物を排出するグリッパ(8)を備えた少なくとも1つのグリッパ室(5)を備え、ドラム(2)は、グリッパ室(5)の上に少なくとも2つの軸方向に重ね合わさるシーリング室(7、12)を有し、各シーリング室(7、12)は夫々のシーリング室(7、12)内に突出したシーリングディスク(9、14)を有し、
少なくとも1つの供給チャネル(11、11')が、シーリング媒体(32)をシーリング室(7、12)の1つに供給するために設けられ、または少なくとも1つの供給チャネル(11、11')が、シーリング媒体(32)を夫々のシーリング室(7、12)に供給するために設けられることを特徴とする、遠心分離機(1)。
【請求項2】
2つのシーリング室(7、12)の間で、ドラムシェルから半径方向内側に延びる環状の中間壁(17)の周りの環状空間(19)内にガスを供給する、または、環状空間(19)からガスを排出するためのライン(24)が設けられている、請求項1に記載の遠心分離機(1)。
【請求項3】
環状空間(19)からガスを排出するための出口(25)が設けられている、請求項1又は2に記載の遠心分離機(1)。
【請求項4】
遠心分離機(1)の操作中に、空気より重いシーリングガス(13)を、2つのシーリングディスク(7、12)の間の環状空間(19)に導入する、請求項2又は3に記載の遠心分離機(1)。
【請求項5】
下側の第1のシーリング室(7)は、環状壁(16)によってグリッパ室(5)から半径方向下向きに区切られ、該環状壁(16)はドラムヘッド(29)の領域で前記ドラムシェルから半径方向内側に延び、回転軸(3)に直交し、かつ内側のシャフト装置(41)から半径方向に離間して終端し、該シャフト装置(41)は運転中にドラム(2)とともに回転しないが、ドラム(2)内に軸方向に延びる、請求項1乃至4の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項6】
第1のシーリング室(7)は、環状の中間壁(17)によって第2のシーリング室(12)から軸方向に区切られ、ドラムヘッド(29)の領域内において、回転軸(3)に直交して前記ドラムシェルから半径方向内側に延び、かつ、内側のシャフト装置(41)から半径方向に離間して終端し、該シャフト装置(41)は運転中にドラム(2)とともに回転しないが、ドラム(2)内に軸方向に延びる、請求項1乃至5の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項7】
第2のシーリング室(12)は、上側に半径方向の環状壁(18)を有し、該環状壁(18)は上側を区切るとともに、半径方向に延び、回転軸(3)に直交してドラムヘッド(29)の領域内にてドラムシェルから内側に延び、かつ、内部のシャフト装置(41)から半径方向に離間して終端し、該シャフト装置(41)は運転中は動作中にドラム(2)とともに回転しないが、ドラム(2)内に軸方向に延び、環状壁(18)は半径方向内側に溢れ縁(15)を有する、請求項1乃至6の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項8】
シーリング室(7)内の各供給チャネル(11,11')の口側における半径R
M1が、中間壁(17)の半径内縁の半径R
AZよりも小さい、請求項1乃至7の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項9】
夫々のシーリング室(7、12)内の各供給チャネル(11、11')の口側における半径R
M2が、中間壁(17)の内側の縁の半径R
AZよりも大きい、請求項1乃至8の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項10】
シーリングガス(13)用のライン(24)及び/又は出口(25)に、ガスセンサが設けられている、請求項1乃至9の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項11】
シーリング媒体(32)は、遠心分離機(1)の外側に位置する貯留庫(31)から供給チャネル(11,11')に流入する、請求項1乃至10の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項12】
シーリングガス(13)は、ガス貯留庫からライン(24)を経て環状空間(19)に流入する、請求項1乃至11の何れかに記載の遠心分離機(1)。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかに記載の遠心分離機(1)を操作する方法であって、
i) 遠心分離機を提供してドラム(2)を回転させる工程と、
ii) 処理されるべき懸濁液(P)を供給し、該懸濁液を少なくとも2つの相(L、P)に分離する工程と、
iii) 2つのシーリング室の一方(7)を、該シーリング室(7)に通じる供給チャネル(11)を介して、追加の逆圧を伴わずにシーリング液で充填し、その結果、このシーリング室内のシーリングディスク(9)がシーリング液に浸漬され、他方のシーリング室(12)に溢れるまで、シーリング液を供給するための供給チャネル(11)からの出口開口部は、このシーリング室(7)内のシーリング液に浸漬されず、そのシーリングディスク(14)がシーリング液に浸漬されるように、他方のシーリング室(12)が満たされるまで連続的な充填を行う工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項1乃至12の何れかに記載の遠心分離機(1)を操作する方法であって、
i) 遠心分離機を提供してドラム(2)を回転させる工程と、
ii) 処理する懸濁液(P)を供給し、該懸濁液(P)を少なくとも2つの相(L、P)に分離する工程と、
iii) 2つのシーリングディスク(9、14)がシーリング液に浸漬されるまで、2つのシーリング室に供給圧力を充填する工程を含む、方法。
【請求項15】
遠心分離機(1)は、請求項2乃至12の何れかに記載の構成であり、さらに、
iv) 遠心分離機の遠心操作中に、環状空間(19)を加圧する工程であって、該環状空間(19)は2つのシーリングディスク(9、14)によって軸方向に規制され、かつ、中間の環状壁(7)が、ガス、特にシーリングガス(13)とともに位置する工程、又は遠心分離機の遠心操作中に環状空間(19)からガスを抜く工程を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
不活性ガスが、シーリングガス(13)として使用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
シーリングガスが、ライン(24)を通って、環状空間(19)に供給され、排出ライン(25)を通って、環状空間(19)から排出される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
環状空間(19)内へのシーリングガス(13)の供給は、遠心分離機(1)の動作中にドラム(2)の回転速度の関数として行われる、請求項15乃至17の何れかに記載の方法。
【請求項19】
前記環状空間(19)内へのシーリングガス(13)の供給および前記環状空間(19)からのシーリングガス(13)の排出が、前記環状空間(19)の充填レベルに応じて前記遠心分離機(1)の動作中に行われることを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載の方法。
【請求項20】
飲料処理及び/又は化合物、特に医薬品の化学合成における請求項1乃至12の何れかに記載の遠心分離機(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の遠心分離機及び請求項13に記載の該遠心分離機を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素と接触するとその特性を変える生成物を処理する遠心分離機(特にセパレータ)は、酸素を含む大気に対してシールされなければならない。また、シールすることにより、例えばビールの遠心分離清浄において望ましいように、生成物に溶解したガスを生成物に完全に保持することができる。
【0003】
このような遠心分離機では、1つ以上の液体相が、いわゆる定常グリッパが配置された出口を通して引き出されることが多い。グリッパ(パリングディスクとも呼ばれる)は、求心ポンプの原理に従って作動する。
【0004】
このような遠心分離機のドラム内には、回転する室で囲まれる、いわゆるシーリングディスクがヘッド内に存在する。室には、シーリングディスクが浸されるシーリング液が充填され、そこにて、サイフォンのようなシールが形成される。これにより、グリッパとドラム室がシールされ、周囲の大気との接触がなくなる。このような構造は、ドイツ公開公報196 31 226号から知られている。それにもかかわらず、この単純なシールでは、酸素の一部がシーリング液を通って拡散するので、一定量の酸素吸収が依然として観察される。この効果は脱気水でも起こる。このため、現行の遠心分離機は、CO2のような不活性ガスによって、回転シーリング室または気密室の上方に酸素大気をさらに移動させる必要がある。
【0005】
さらに、ロータがシャフトおよびメカニカルシールで大気に対してシールされる、いわゆる完全密封遠心分離機が知られている。さらに、シール点の領域は、例えば、米国特許3126338号に記載されているように、外部から酸素が浸透しないように加圧される。これらのシーリングシステムは、かなり高価で、メンテナンスに労力が多く、例えば、不均衡及び放電パルスに対して傷つき易い。シールが失われると、遠心分離機の回転システムに望ましくない酸素が入り込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の先行技術に基づき、本発明の目的は、遠心分離機及びこの遠心分離機を操作するための方法を提供することであり、本発明はは、酸素が豊富な大気に対してドラム内での生成物の封止が改善されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1の特徴を有する遠心分離機によって、この目的を解決する。従って、遠心分離機は、流動性の生成物または流動性の懸濁液を、連続的な操作で遠心場内にて少なくとも2つの相に分離または清浄化するために提供され、遠心分離機は、回転可能に取り付けられたドラムを有し、該ドラムは駆動モータによって駆動され、垂直な回転軸を有する金属で作られたドラムシェルを有する。ドラムは、更に供給パイプおよび少なくとも1つのグリッパ室を含み、該グリッパ室は清浄化または分離された液体と、好ましくは固体排出物を排出するためのグリッパを備え、ドラムは、グリッパ室の上に少なくとも2つの軸方向に重ねられたシーリング室を含み、各シーリング室は、夫々のシーリング室内に突出するシーリングディスクを有し、シーリング媒体を1つのシーリング室に供給するために、少なくとも1つの供給チャネルが提供され、又はシーリング媒体を各シーリング室内に供給するために少なくとも1つの供給チャネルが提供される。
【0008】
これにより、非常に良好な擬似二重「流体密閉」シールされたドラムが生成される。
【0009】
本発明による遠心分離機は、摩耗しやすいメカニカルシールがないため、完全に気密に構成された遠心分離機よりも、より堅牢である。
【0010】
特に好ましい変形例によれば、2つのシーリング室の間でドラムシェルから半径方向内側に延びる中間の環状壁の周りの環状空間内にガスを供給するため、または環状空間からガスを排気するために、特にラインが設けられる。
【0011】
1つの変形例によれば、次いで、環状空間からガスを排出するために排出ラインが設けられることが更に好ましい。
【0012】
好ましくは、空気より重いシーリングガスが、2つのシーリングディスク間の環状空間に導入される。遠心分離機の動作中、空気よりも重いのが好ましいシーリングガスは、次いで、2つのシーリングディスクの間の環状空間内に位置する。
【0013】
これにより、ドラム内の生成物と(フード室内の)一般的に酸素が豊富な環境との間に、特に改良されたバリアまたはシーリングを有する遠心分離機が生成される。シーリング室間の環状空間内に保持されるシーリングガスの量は、特に、このさらなる最適化されたシーリングに貢献する。
【0014】
本発明による遠心分離機は、望ましくない酸化工程を回避するために、可能な限り酸素の排除が有利である全ての遠心工程に特に適している。
【0015】
これは、例えば果汁やビールなどの飲料を処理する場合に当てはまる。例えば、かんきつ果実やその他の果実や野菜から出るビタミンCは、酸素と反応する。他の天然の生成物もまた酸化されて、その色と味を変える。
【0016】
本発明の特に好ましい構成では、第1のシーリング室が、下側の環状壁によって、グリッパが挿入されるグリッパ室から半径方向下方に区切られるようにすることができる。これにより、有用な位置でドラムの流体密閉が可能になる。さらに、グリッパ室の壁をシーリング室の壁として使用して、設置スペースを節約することもできる。
【0017】
本発明のさらに別の好適な構成では、第1のシーリング室が中間壁によって第2のシーリング室から分離されてもよい。これにより、第1のシーリング室の半径方向上方に、第2のシーリング室を省スペースで配置する結果となる。さらに、本発明の別の特に好適な実施形態では、遠心分離機が、シーリング液を夫々のシーリング室に供給するための少なくとも1つの供給チャネルを有してもよい。その結果、2つのチャネルが存在する場合、各シーリング室は、他のシーリング室とは別個に充填することができる。これにより、一方または両方のシーリング室に圧力なしで、または背圧をかけて充填することが可能になる。これにより、現在の流体密閉の要件に応じて柔軟に、シーリング室をシーリング液で充填することができる。
【0018】
同様に、本発明のさらに別の好適な実施形態の場合には、シーリング室内の各々の供給チャネルの口部における半径RM1が、中間ウォールの外縁の半径RAZよりも小さいことが提供され得る。これにより、構造的に単純で、シーリング液によるシーリング室の無圧力充填が容易に実現でき、これは形状のみに依存する。
【0019】
さらに、本発明のさらに別の好ましい構成では、各シーリング室内の各々の供給チャネルの口部における半径RM2が、中間壁の外縁の半径RAZよりも大きいことが提供され得る。これは、幾何学的形状のみに依存するので、構造的に単純で容易に生産可能な能力をもたらし、シーリング室に逆圧力でシーリング液を充填する。
【0020】
本発明のさらに特に好ましい構成では、シーリングガスがラインを通って2つのシーリング室の間の空間に流入し、シーリングガス用の出口を通ってこの空間から流出するようにしてもよい。これにより、シーリングガスの構造的に単純な交換が生じる。
【0021】
さらに、本発明の別の特に好適な実施形態では、ガスセンサ、特にCO2センサを、シーリングガスのライン上及び/又は出口上に設けることができる。このように、空間におけるシーリングガスの一種の充填レベル調整の必要条件は構造的に単純であり、したがって有利な方法で作り出される。
【0022】
また、本発明は、本発明に係る遠心分離機を操作する方法によって、目的を解決する。
【0023】
この方法の特徴は、2つのシーリング室の間の空間が、遠心分離機の操作中に不活性のシーリングガスで連続的に洗い流され、その結果、フード下の空間から第2のシーリング室内のシーリング液を通って浸透していた可能性のあるあらゆる空気または酸素が、洗い流されるということである。
【0024】
シーリング室からシーリングガスを連続的に交換することにより、ドラムが確実に密閉される。
これにより、生成物内への不要な酸素が吸収されることが大幅に減少する。
【0025】
本発明による遠心分離機は、完全に密閉して構成された遠心分離機よりも、摩耗しやすいメカニカルシールがないため、より堅牢である。ガスをシールする必要性は、遠心分離機全体を不活性化するか、シーリング室の上方の空間を不活性にするかに比べて、かなり低い。また、ロータ全体が、空気よりも密度が高い不活性ガス中で回転しなくなるので、遠心分離機を駆動するための動力所要量も減少する。CO2が逃げ出し、遠心分離機の外側の空間を汚染する危険性も軽減される。
【0026】
もう1つの応用分野は、例えば医薬品のような化学合成で起こりうる酸素感受性反応である。典型的には、その用途は、不活性ガス下での様々な反応を含む。特にアルゴンはその化学的不活性のために、CO2の代わりにここで使用することができる。
【0027】
本発明はまた、本発明による遠心分離機、特にセパレータを操作するための有利な方法を提供する。
【0028】
従って、この方法は、請求項1乃至12の何れかに記載の遠心分離機を操作するための特に簡単な方法を提供し、
i) 遠心分離機を提供してドラムを回転させる工程と、
ii) 処理されるべき懸濁液を供給し、該懸濁液を少なくとも2つの相に分離する工程と、
iii) 2つのシーリング室の一方を、該シーリング室に通じる供給チャネルを介して、追加の逆圧を伴わずにシーリング液で充填し、その結果、このシーリング室内のシーリングディスクがシーリング液に浸漬され、他方のシーリング室に溢れるまで、シーリング液を供給するための供給チャネルからの出口開口部は、このシーリング室内のシーリング液に浸漬されず、そのシーリングディスクがシーリング液に浸漬されるように、他方のシーリング室が満たされるまで連続的な充填を行う工程を含む。
この方法は簡単であり、シーリング液で両シーリング室を有利に充填することになる。
【0029】
ii)とiii)の工程は、ここで、また他の変形例でも順次実行することができるが、同時に実行することもできる。
2つのシーリング室の代わりに、他の変形例では、2つ以上のシーリング室を設けることができ、シーリング室は、他のシーリング室の上方に直接軸方向に位置する。
【0030】
一方、請求項14によれば、請求項1乃至12の何れかに記載の遠心分離機を操作するための方法が提供され、この方法は、
i) 遠心分離機を提供してドラムを回転させる工程と、
ii) 処理する懸濁液を供給し、該懸濁液を少なくとも2つの相に分離する工程と、
iii) 2つのシーリングディスクがシーリング液に浸漬されるまで、2つのシーリング室を供給圧力で充填する工程を含む。
【0031】
また、この方法は簡単であり、シーリング液で両シーリング室を有利に充填することになる。
ii)とiii)の工程は、ここで、また他の変形例でも順次実行することができるが、同時に実行することもできる。
【0032】
2つのシーリング室の代わりに、他の変形例では、2つ以上のシーリング室を設けることができ、シーリング室は、他のシーリング室の上方に直接軸方向に位置する。
【0033】
以下の更なる工程iv)は、
iv) 遠心分離機の遠心操作中に、環状空間を加圧する工程であって、該環状空間は2つのシーリングディスクによって軸方向に規制され、かつ、中間の環状壁が、ガス、特にシーリングガスとともに位置する工程、又は
遠心分離機の遠心操作中に環状空間からガスを抜く工程を備える。
このようにして、軸方向に配置された2つのシーリング室と、周囲の空気の進入に対するグリッパ室のシーリングの効果は、著しく最適化される。
【0034】
最後に、本発明は、飲料加工及び/又は化合物、特に医薬品の生成物において、請求項1乃至12の何れかに記載の遠心分離機の使用も提供する。
【0035】
他の従属項では、さらに有利な構成が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、図面を参照して本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する以下の説明から見ることができる。当業者は、また、図面、明細書、及び従属項において組み合わせて開示された特徴を有用に考慮し、それらを組み合わせることによって、さらに有用な組み合わせを形成するであろう。
【
図1】セパレータとして構成された遠心分離機の全部分における概略図である。
【
図2】2つのシーリング室を備える第1の構成に従って、遠心分離機のドラムのヘッド領域を詳細に表示し、シーリング室は第1の代替方法に従って、充填される。
【
図3】2つのシーリング室を備える第1の構成に従って、遠心分離機のドラムのヘッド領域を詳細に表示し、、シーリング室は第2の代替方法に従って充填される。
【
図4】種々の構成形態に従って遠心分離機のドラムのヘッド領域を詳細に表示し、シーリング室は、代替方法に従って充填される。
【
図5】種々の構成形態に従って遠心分離機のドラムのヘッド領域を詳細に表示し、シーリング室は、代替方法に従って充填される。
【
図6】種々の構成形態に従って遠心分離機のドラムのヘッド領域を詳細に表示し、シーリング室は、代替方法に従って充填される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、遠心場において流動性の生成物または流動性の懸濁液Pを少なくとも2つの相L、Sに分離しまたは清浄化するためのセパレータとして設計された遠心分離機1を示している。
【0038】
遠心分離機1は、回転可能なスピンドル30の上に回転可能に配置されたドラム2を備えた回転システムを有する。スピンドル30は、垂直に整列させることが好ましく、直接的に又は例えば駆動ベルトを介して、間接的に駆動することができる。駆動部は、遠心分離機(図示せず)の駆動モータ、特に電気モータによって実現されることが望ましい。
【0039】
ドラム2、特にドラムシェルは、多種多様な材料から作ることができる。本明細書の文脈では、ドラム2またはドラムシェルは金属製である。ドラム2は、垂直な回転軸3を有することができる。ドラム2は連続操作用に構成することができる。ドラム2は、本質的に単一又は二重の円錐形構成とすることができる。
【0040】
ドラム2は、先ず入口を有する。入口は、中央に配置された供給パイプ4を有することができ、該供給パイプは、遠心分離機1の動作中に静止し、供給パイプを介して、ドラム2の分配器23に、そしてそこから分離室26に、生成物Pを供給することができる。供給パイプ4は、シャフト装置41の一部を形成し、該シャフト装置41は運転中には回転せず、ドラムの外側の場所からドラム2内に軸方向に延びるが、運転中はドラムと共には回転しない。したがって、シャフト装置41とドラム2とは、半径方向に離間して配置される。入口も別の方法で構成することができる。例えば、供給パイプ4は、回転するように構成され、及び/又はドラム2の下端に設けることができる(図示せず)。
【0041】
処理される生成物Pは、供給パイプ4を通ってドラム2内に供給され、供給パイプ4の端部から出て、ドラム2と共に回転する分配器23を通って流れた後、実際の分離室26に入る。この場合、液体相Lと固体相Sの少なくとも2つの相に分離され、
図1に示す例示的な実施形態では、開始する生成物、すなわち、処理される生成物Pから固体相Sが分離されている。このために、処理される生成物Pは分離室26内の分離プレート積層体27に入る。
【0042】
図1の左部には、ピストンスライド22が排出ノズル20を閉塞する閉塞位置、右部には排出ノズル20が開いた位置が概略的に示されている。
【0043】
その後、ドラム2は固体を排出する。ドラムは、ピストンスライド22と複数の排出開口20とを備えることができ、排出開口20は固体相Sの不連続出口として設けられた。ドラム2は、遠心分離機1の動作中にドラム2とともに回転する少なくとも1つのグリッパ室5を備え、且つ遠心分離機1が動作している間にグリッパ8(技術用語ではパリングディスクとも呼ばれる)が挿入される。
【0044】
グリッパ8は求心ポンプの原理に従って作動する。したがって、1つの液体相Lは、排出パイプ82を通ってグリッパ8内の1つ以上の排出チャネル81を通ってドラム2から排出される。また、2つの液体相を排出させるために、2つのグリッパ8および一方の上方に軸方向に配置されたグリッパ室5を設けることもできる。次いで、ドラム2は、2つの液体相と1つの固体相(図示せず)とに分離するように構成されることが好ましい。
【0045】
グリッパ室5の上方には、ドラム2の周囲を走行する第1のシーリング室7が設けられている。第1のシーリング室7は、第1の流体密封シールを形成するのに役立つ。
【0046】
遠心分離機1の動作中にドラム2とともに回転する第1のシーリング室7では、この目的のために第1のシーリングディスク9が配置されており、これは、シャフト装置41に直接的に、または更なる要素を経由してしっかりと連結することができ、したがって、遠心分離機1の動作中に回転しない。シーリングディスク9は、回転軸3に直交してシーリング室7内へ半径方向外方に延びる。
【0047】
第1のシーリング室7は回転軸3に直交して形成される。ドラムヘッド29は、完全に円筒状であってもよく、または、外側ドラム壁またはドラムシェルが本質的に円筒状である上側部分を有してもよい。
【0048】
第2のシーリング室12は、第1のシーリング室7の上に軸方向に配置される。第2のシーリングディスク14が第2のシーリング室12に挿入され、このシーリングディスクはまたシャフト装置41にしっかりと接続されているので、遠心分離機1の運転中も回転しない。このシーリングディスク14はまた、内側から外側に向けて半径方向に延びている。それらは回転軸3に垂直に形成される。
【0049】
2つのシーリング室7、12は夫々、環状壁16、17、18によって軸方向に境界付けされ、該環状壁16、17、18はドラムヘッド29のドラムシェルの内周から始まる回転軸3に垂直な半径方向内側に延びる。環状壁16、17、18は、内側の非回転のシャフト装置41またはシャフトアセンブリから半径方向に間隔を空けて配置され、該シャフトアセンブリは供給パイプ4と、パリングディスクまたはドラム2のグリッパ8からの少なくとも1つの軸方向グリッパチャネル81とを備える。シーリング室7、12は夫々、ドラムシェルによって半径方向外側に境界付けされる。
【0050】
シーリング室7、12は、液体シーリング媒体32-特に水、またはそれ自体が処理される生成物P-で加圧され得る。次に、夫々のシーリング室7、12の外側に液体リング/シリンダが半径方向に形成される。これは、シーリングディスク9、14が遠心分離機1の動作中にシーリング媒体32に半径方向に浸透するようにされ、二重の水密性シールが形成されるように寸法付けられる。
【0051】
この目的のために、少なくとも1つの供給チャネル11が提供され、または複数の供給チャネル11、11が提供され得る。夫々の供給チャネル11、11'は、好ましくは、ドラム2の外側の位置からシャフト装置41を通って夫々のシーリング室7及び/又は12の中に延びている。シーリング媒体32は、例えば、遠心分離機の外側に位置する貯留庫31から、供給チャネル11、11'に流入することができる。
【0052】
例えば、下側のシーリング室7(
図2又は
図3)の中に延びることができる供給チャネル11は1つだけである。しかしながら、1つの供給チャネル11、11'が、夫々の場合において、シーリング室7、12の各々に延びることも可能である(
図4、
図5又は
図6)。
【0053】
動作中、液体のシーリング媒体32は、夫々の供給チャネル11、11'を通ってシーリング室7、12に供給され、この液体シーリング媒体32は、2つのシーリング室7および12内に、外側のドラムの回転中に生じる遠心力の結果として集まり、そこに液体リングを形成する。
【0054】
シーリングディスク9、14が内側から夫々のシーリング室7、12内の夫々の液体リングに放射状に浸漬される場合、シーリングディスク9、14と夫々のシーリング室7、12の液体リングとの相互作用によって、流体シールが、グリッパ室5とフードの内部またはフード21内のドラム2の周囲空間との間に形成される。
【0055】
これは、様々な構成の変形例及び/又は処理技術の代替案により特に有利に達成される。
例えば、水または処理されるべき生成物をシーリング媒体32として使用することができる。他のシーリング媒体も考えられる。
【0056】
第1のシーリング室7は、グリッパ室5から下側の環状壁16によって半径方向下方に区切られており、その中にグリッパ8が挿入される。さらに、第1のシーリング室7は、中間の環状壁17によって第2のシーリング室12から分離されている。第2のシーリング室12は、頂部に環状壁18を放射状に有し、この環状壁は、上側を区切って内側に溢れ縁15を放射状に有し、そこで液体は回転システムからフード室21内に逃げることができる。
【0057】
第2図は、第1の設計構成に従って、遠心分離機1のドラム2のドラムヘッド29を詳細に表現しており、第1の代替案に従ってシーリング液の供給が行われる。
【0058】
この構成によれば、供給チャネル11が、ドラム2の外側の領域から、軸方向に延在する非回転の内側のシャフト装置41を通って、下側のシーリング室7の領域内に延在する。供給チャネル11は、ここでは下側の第1のシーリング室7内の下側のシーリングディスク9の上方で軸方向に終端する。ここには、半径方向に整列した出口がある。これは、第1のシーリングディスク9の外縁よりも半径方向内側にさらに位置している。
【0059】
一方、上側の第2のシーリング室12は、それ自体の供給チャネルを有しておらず、存在する場合、これは使用されない。
この構成では、第1の処理工学的な代替案によれば、上側のシーリング室12は、従って下側のシーリング室7を介して、すなわち、下側のシーリング室7内に開口する供給チャネルを介して、シーリング媒体32で満たされる。
【0060】
セパレータの動作を制御するための制御ユニットが設けられている。これは、運転中にシーリング室7、12の充填を制御または調整するためにも使用され得る。
これは以下のように実行される。
【0061】
まず、特に
図1に示すような遠心分離機1、特に
図2に示すようなドラムヘッド29を備えた遠心分離機1が提供される。そして、ドラム2は、駆動部(ここでは図示せず)によって回転状態に設定される。
【0062】
下側の第1のシーリング室7は、次に、供給チャネル11を介してシーリング液で充填される。
シーリング液を供給するための供給チャネル11からの出口開口部は、第1のシーリング室7内のシーリング液に浸漬せず-この場合、
図2において選択された配置に起因して、逆圧なしで追加される。
【0063】
これは、シーリング室7内の供給チャネル11の口部における半径RM1が、中間の環状壁17の半径方向の内縁の半径RAZよりも小さいために起こり得る。
【0064】
第1のシーリング室7が溢れた後、第1のシーリング室7とグリッパ室5との間の下側の環状壁16が2つのシーリング室7、12の間の中間の環状壁17よりもさらに半径方向内方に延在するので、上側の第2のシーリング室12が充填される。
上側の第2のシーリング室12が溢れると、溢れ縁15を介してフード21内部のフード空間内をシーリング液が通過する。
【0065】
或いは、上側のシーリング室12も充填することができ、これが下側のシーリング室7に溢れる。次いで、供給チャネル11'は上側のシーリング室12に流入する。
何れのシーリング室7、12も、各々が供給チャネル11を備えることができる。この場合、上述の2つの方法のいずれかに従い、充填には1つの供給チャネルが使用されない。
【0066】
第3図は、
図2の第1の構成に従って、遠心分離機1のドラム2のドラムヘッド29を詳細に示し、第2の処理工学的な代替案に従ってシーリング液の供給が行われる。
【0067】
まず、例えば
図1に示すようなドラム2を備え、
図3に示すようなドラムヘッド29を備えた遠心分離機が提供される。そして、ドラム2は、駆動部(ここでは図示せず)によって回転状態に設定される。
第1のシーリング室7は、今度は、供給チャネル11を通ってシーリング液で満たされる。シーリング液を供給するための供給チャネル11は、第1のシーリング室7内のシーリング液に浸され、必要な供給圧力が加えられている。
【0068】
これは、シーリング室7内の供給チャネル11の口部における半径RM2が、中間壁17の内側半径の半径RAZよりも大きいために起こり得る。
シーリング液の充填レベルは、入口圧力を介して調整することができる。
これは、制御ユニット(ここには示されていない)で自動的に行うことが好ましい。
【0069】
第1のシーリング室7が溢れた後、第2のシーリング室12は満杯となる。第2のシーリング室12が溢れると、シーリング液がフード空間に侵入する。
このように、フード空間とグリッパ室5との間の優れたシールは、複数のシーリング室の構成-この場合には、2つの軸方向に隣接するシーリング室7及び12を有する二重シーリング室の構成-によって達成される。
【0070】
幾ばくかの酸素がシーリング液中に拡散すると、生成物P及び/又は排出される液体相Lの非常に低い酸素取り込みが生じる可能性が依然としてある。
液体相の排出口が密閉された遠心分離機では、大気の酸素をCO2などの不活性ガスで置換することができる。
【0071】
第4図は、第2の構成に従った遠心分離機1のドラム2のドラムヘッド29の詳細な図であり、第1の代替例に従ってシーリング液の供給が行われる。
ドラムヘッド29とは別に、例えば
図1と同様にドラム2を構成することができる。
【0072】
2つの軸方向に重ね合わされたシーリング室7、12も設けられている。
シーリング室及びその環状壁16、17、18の構成は、
図2又は
図3に示すように構成することができる。
夫々のシーリング室7、12へのシーリング液の導入は、異なる方法で解決される。
【0073】
2つのシーリング室7、12は、
図4に示されるように、シーリング液によって完全に別々に充填される。この目的のために、別々の供給チャネル11、11'が2つのシーリング室7、12の各々に開口する。夫々のシーリング室7、12によって、シーリング液は、ドラム2の外側の領域から、夫々の供給チャネル11、11'を通って、夫々のシーリング室7、12の中に別個に供給され得る。
【0074】
このようにして、様々な充填処理を実現することができる。
まず、
図4に示す第1の代替例、次に
図5に示す第2の代替例を説明する。
まず、
図2に示すドラムヘッド29を備えた
図1に示す遠心分離機が、
図4に示す方法で提供される。次に、ドラム2は駆動部(ここでは図示せず)で回転するように設定される。
【0075】
次いで、シーリング液は、供給チャネル11、11'を経て2つのシーリング室7、12に供給され、その結果、チャネル11、11'は、夫々のシーリング室7、12内のシーリング液中に、半径方向及び全体的に浸漬されていない。この代替案によれば、シーリング液は背圧なしで追加される。
【0076】
これは、夫々のシーリング室7、12内の夫々の供給チャネル11、11'の口部における半径RM1が、中間壁17の外縁の半径RAZよりも小さいために起こり得る。
上側のシーリング室12内への供給チャネル11'の出口は、この上側のシーリング室12内の(軸方向上側の)シーリングディスク14の上方に配置されるのが好ましい。
下側のシーリング室7内への供給チャネル11の出口は、下側のシーリング室12内の(軸方向下側の)シーリングディスク9の上方に位置することが好ましい。
【0077】
シーリング液の量は、シーリング液がフード空間に溢れないように制御デバイスによって注入されることが好ましい。
適切な制御と負荷により、2つのシーリングディスク9、14間の中間の環状壁17の周囲にさらに環状空間19を形成することができる。
【0078】
更なるライン24がこの環状空間内に開口し、ガスのような流体が回転システムの外側の位置から環状空間19内に供給されることができる。このライン24はまた、非回転シャフト装置41を通って延びてもよく、または非回転シャフト装置41と共に延びてもよい。
適切な制御と負荷により、2つのシーリングディスク9、14間の中間の環状壁17の周囲にさらに環状空間19を形成することができる。この環状空間19は、中間の環状壁17の自由端の周りにU字形の断面を形成する。
【0079】
環状空間19は、遠心分離機1の動作中に不活性のシーリングガス13で連続的に洗い流され、その結果、フード21の下方の空間から第2のシーリング室12内のシーリング液を通って浸透していた可能性のあるあらゆる空気または酸素が、洗い流される。環状空間19を離れたシーリングガス13の逃がしは、フード21の外側で行なわれる。シーリングガス13は、2つのシーリングディスク9、14によって環状空間19内に保持される。環状空間19内の圧力は、制御デバイスによって比較的自由に設定することができ、過圧と低圧の両方が可能である。
【0080】
また、環状空間19は、シーリングガス13だけで充填することもできる。この場合、2つのシーリング室7、12は、シーリング液で充填されない。
不活性のシーリングガス13はCO2であることが好ましい。シーリングガス13は、ガス貯蔵庫(ここでは図示せず)からライン24を経て環状空間19内に供給されることができる。さらに、環状空間19からシーリングガス13のための出口25を設けることができる。
【0081】
CO2は、空気又は酸素より重いので、遠心分離機1の運転中、回転する環状空間19の外側に押し出される。その結果、環状空間19内に侵入した空気または酸素は、環状空間19から追い出される。これにより、ドラム2内への空気、ひいては酸素のさらなる侵入に対する効果的な障壁が形成される。
【0082】
シーリングガス13は、制御ユニットによって制御されるアクチュエータ(ここでは図示せず)、例えばバルブによって、環状空間19に供給されて、環状空間19へのガス供給が調整される。
【0083】
第5図は、第2の構成に従った、遠心分離機1のドラム2のドラムヘッド29の詳細な図であり、第1の代替例に従ってシーリング液の供給も行われる、
2つのシーリング室7、12は、別々にシーリング液で充填される。チャネル11、11'は、夫々のシーリング室7、12内のシーリング液に浸透されず、シーリング液は背圧なしで追加される。
【0084】
これは、チャネル11,11'の夫々のシーリング室7,12内への開口における半径RM1が、中間壁17の外縁の半径RAZよりも小さいために起こり得る。
シーリング液の量は、シーリング液がフード21の下の空間に溢れないように制御デバイスによって注入される。
【0085】
2つのシーリングディスク9、14の間の環状空間19は、遠心分離機1の動作中に不活性のシーリングガス13で連続的に洗い流されるので、フード21の下方の空間から第2のシーリング室12内のシーリング液を通って侵入した可能性のある空気や酸素を洗い流すことができる。
環状空間19を出るシーリングガス13の逃がしは、フード21の内部で行なわれる。シーリングガス13は、2つのシーリングディスク9、14によって環状空間19内に保持される。環状空間19内の圧力は、制御デバイスによって比較的自由に設定することができ、過圧と低圧の両方が可能である。
【0086】
図6は、第2の構成による遠心分離機1のドラム2のドラムヘッド29の詳細図を示しており、第2の代替案に従ったシーリング液の供給が行われる。
2つのシーリング室7、12は、別々にシーリング液で充填される。チャネル11、11'は、夫々のシーリング室7、12内のシーリング液に浸透され、シーリング液は逆圧力で追加される。
【0087】
これは、チャネル11,11'のシーリング室7,12への開口における半径RM2が、中間壁17の外縁の半径RAZよりも大きいために起こり得る。
シーリング液の容量は、シーリング液がフード21の下方の空間に溢れないように制御デバイスによって注入される。
【0088】
2つのシーリングディスク9、14の間の環状空間19は、遠心分離機1の動作中に不活性のシーリングガス13で連続的に洗い流されるので、フード21の下方の空間から第2のシーリング室12内のシーリング液を通って浸透していた可能性のある任意の空気または酸素を洗い流すことができる。環状空間19を出るシーリングガス13の逃がしは、フード21の内部または外部で行うことができる。シーリングガス13は、2つのシーリングディスク9、14によって所定の位置に保持される。環状空間19内の圧力は、制御装置によって比較的自由に設定することができ、過圧と低圧の両方が可能である。
【0089】
第1のシーリング室7の下方のグリッパ室5内における生成物の流れとシーリングガス13との混合は、殆どまたは全くない。もしそうであれば、これは生成物に悪影響を及ぼさない、なぜなら、CO2は一般的に飲料産業でも使用されているからである。CO2に代わるものとして、空気より重い他のガスも、空気、ひいては大気中の酸素が置換するように利用することができる。理想的には、これもアルゴンのような不活性ガスであるべきである。
【0090】
ガスは、液体とは異なり、圧縮性であるので、環状空間19内のガス量は、ドラム2の回転速度または速度が増加するにつれて減少すると仮定することができる。したがって、ドラム2の動作中のシーリングガス13の供給24は、回転速度または速度の関数として、あるいはそれに代えて検出されることができる。
【0091】
ガスセンサ、特にCO2センサをも、ライン24上及び/又はシーリングガス13の出口25上に設けることができ、従って、アクチュエータを制御する制御ユニットによって一種の「レベル制御」を行うことができる。また、例えば、制御ユニットのデータメモリ内にデータ記録の形で入手可能な経験値に戻ることも可能である。回転速度を上げると、それに応じてより多くのシーリングガス13を供給することができる。また、適当な回転速度で必要な供給量を決定するために、センサを備えた本発明の遠心分離機1のプロトタイプのみを備えることも可能である。そして、これは、速度の関数としてシーリングガス13の供給量の適切な次元設定のためのデータ記録として、一連の生成物のデータメモリに記憶され得る。
【0092】
生成物への望ましくない酸素吸収は、本発明によって大幅に減少する。本発明の遠心分離機1は、完全に密閉された構成の遠心分離機よりも、摩耗しやすい機械的シールが存在しないため、より堅牢である。ガス13をシールする必要は、遠心分離機全体の不活性化、またはシーリング室7、12の上方の空間の不活性化に比べて著しく低い。また、ロータ全体が不活性ガス中でもはや回転しなくなるため、遠心分離機1の駆動に必要な動力も減少する。CO2が脱出し、遠心分離機1の外側の空間が汚染される危険性も軽減されまる。
【0093】
本発明のセパレータまたは遠心分離機1は、望ましくない酸化工程を回避するために、酸素の排除が有利である全ての処理作業に適している。
【0094】
これは、例えば果汁やビールなどの飲料を加工する場合に当てはまる。例えば、かんきつ果実やその他の果実や野菜から出るビタミンCは、酸素と反応する。他の天然物もまた酸化されると、その色と味を変える。他の用途は、例えば医薬品のような化学合成で起こりうる酸素感受性反応である。典型的には、用途は、不活性ガス下での様々な反応を含む。特にアルゴンはその化学的不活性故に、CO2の代わりにここで使用することができる。
【符号の説明】
【0095】
符号のリスト
1 遠心分離機
2 ドラム
3 回転軸
4 供給パイプ
41 シャフト装置
5 グリッパ室
7 第1のシーリング室
8 グリッパ
81 排出チャネル
82 排出パイプ
9 第1のシーリングディスク
11, 11'供給チャネル
12 第2のシーリング室
13 シーリングガス
14 第2のシーリングディスク
15 溢れ縁
16 下側の環状壁
17 中間の環状壁
18 上側の環状壁
19 環状空間
20 排出ノズル
21 フード
22 ピストンスライド
23 分配器空間
24 ライン
25 出口
26 分離空間
27 分離プレート層
29 ドラムヘッド
30 スピンドル
31 貯蔵庫
32 シーリング媒体
P 懸濁液
L 液体相
S 固体相
RM1 半径
RM2 半径
RAZ 半径
【国際調査報告】