(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】水素及び/又は合成ガスキャリアとしての液体燃料の製造及び使用
(51)【国際特許分類】
C07C 29/154 20060101AFI20240808BHJP
C07C 31/04 20060101ALI20240808BHJP
C07C 29/36 20060101ALI20240808BHJP
C07C 31/08 20060101ALI20240808BHJP
C01B 3/32 20060101ALI20240808BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
C07C29/154
C07C31/04
C07C29/36
C07C31/08
C01B3/32 A
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502526
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022000014
(87)【国際公開番号】W WO2023014397
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522402405
【氏名又は名称】インフィニウム テクノロジー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INFINIUM TECHNOLOGY,LLC
【住所又は居所原語表記】2020 L Street,Suite 120,Sacramento,CA 95811-4260(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シュツレ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シュツレ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ギャロウェイ,アーニャ,ランプレッカー
(72)【発明者】
【氏名】バッチャー,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ハロルド
【テーマコード(参考)】
4G140
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G140EA02
4G140EA06
4H006AA05
4H006AC11
4H006AC29
4H006BA05
4H006BA07
4H006BA08
4H006BA14
4H006BA24
4H006BA25
4H006BA29
4H006BA30
4H006FE11
4H039CA60
4H039CB20
4H039CL25
(57)【要約】
【要約】
本発明は、概して、生産現場にて捕捉されたCO
2及び再生可能なH
2から低炭素メタノール、エタノール、又はメタノール及びエタノールの混合物を、効率的に生成することに関する。H
2は、再生可能電力を動力とする電解装置を使用して水から生成されるか、他の低炭素H
2生成手段によって生成される。H
2及びCO
2の混合物を1段階プロセスにて合成ガスへと効率的に変換し、第2段階にてメタノールやエタノール等のアルコールを合成ガスから生成する、改良された触媒及びプロセスについて説明する。優れたH
2キャリアである液体のメタノール及びエタノールが生産現場へと輸送され、そこで別の改良された触媒及びプロセスが、それらを合成ガスへと効率的に変換する。合成ガスは、生産現場にて、低炭素燃料及び化学物質の合成又は精製された低炭素H
2の生成のために使用され得る。低炭素H
2は、生産現場にて低炭素化学製品を合成するために使用され得るか、輸送用途のために凝縮され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素キャリアを生成して、該水素キャリアを、該水素キャリアが水素及び二酸化炭素、又は合成ガスへと変換される現場へと輸送する方法であって、
a)H
2流を生成するステップと、
b)CO
2流へと変換されるCO
2を生成又は取得するステップと、
c)前記H
2流及び前記CO
2流を、低炭素合成ガスへと触媒的に変換するステップと、
d)前記低炭素合成ガスを、液体の低炭素H
2キャリアへと触媒的に変換するステップと、
e)前記低炭素H
2キャリア又はその一部を、現場へと輸送するステップと、
f)前記現場にて、前記低炭素H
2キャリアを、水素及び二酸化炭素、又は合成ガスへと触媒的に変換するステップと
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記H
2流が、低炭素電力を動力とする電解装置を使用して水から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記H
2流が、水蒸気メタン改質又は自動熱改質によって天然ガスを水素と二酸化炭素とに分解することにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記H
2流が、電気的に生じた熱を使用してメタンを熱分解することにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記低炭素電力が、風力発電所、太陽光発電所、原子力発電所、水力発電所、地熱発電所、又は、風力発電所若しくは太陽光発電所からの断続的な電力で充電された蓄電池から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CO
2が、工業プロセスによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CO
2が、周囲空気から捕捉される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記低炭素H
2キャリアが、メタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記H
2流及び前記CO
2流が、RWGS反応器内で低炭素合成ガスへと変換され、前記RWGS反応器内へと供給されるH
2のCO
2に対する比率が、2.0ml/mol~5.0mol/molであり、1,450°F~1,800°Fの温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
低炭素H
2キャリアが、エタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記低炭素H
2キャリアが、鉄道、トラック、はしけ、ボート又はパイプラインによって前記現場へと輸送される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記低炭素H
2キャリアが、水蒸気改質プロセスを使用して水素及び二酸化炭素を含有する混合物へと触媒的に変換され、前記水蒸気改質プロセスが、Pd-Ag触媒、ニッケル固溶体触媒、又は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルから選択される触媒を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記低炭素H
2キャリアが、合成ガスへと触媒的に変換され、前記合成ガスが、LFP反応器供給物として使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記工業プロセスが、燃料の燃焼、化学物質の酸化、ガス化プロセス、石油精製、セメント生成、肥料生成、エタノール生成、電力生成又は下水処理である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記CO
2の捕捉が、CO
2と1つ以上のアミン溶媒との反応を伴う、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記CO
2の捕捉が、1つ以上の有機金属フレームワーク材料によるCO
2の化学吸着又は物理吸着を伴う、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記CO
2の捕捉が、CO
2と金属酸化物材料との反応を伴う、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記CO
2の捕捉が、直接空気捕捉を使用して達成される、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
低炭素ガスが、Cu-ZnO系触媒を使用してメタノールへと変換される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項20】
前記メタノールが、水蒸気改質プロセスを使用して水素及び二酸化炭素を含有する混合物へと触媒的に変換され、前記水蒸気改質プロセスが、Pd-Ag触媒、ニッケル固溶体触媒、又は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルから選択される触媒を使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
前記メタノールが、触媒を使用して合成ガスへと触媒的に変換され、前記触媒が、金属アルミナスピネル基材であって、50m
2/g~150m
2/gの表面積を有し、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnの1つ以上で含浸され、かつ、0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含む金属アルミナスピネル基材を含み、前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
前記低炭素ガスは、タンデム反応器内において3つの触媒を使用してエタノールへと変換され、前記3つの触媒は、Cu-Zn-アルカリ、Rh-Y-アルカリ、及び、Mo-Pdである、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記エタノールが、水蒸気改質プロセスを使用して水素及び二酸化炭素を含有する混合物へと触媒的に変換され、前記水蒸気改質プロセスが、Pd-Ag触媒、ニッケル固溶体触媒、又は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルから選択される触媒を使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記エタノールが、触媒を使用して合成ガスへと触媒的に変換され、前記触媒が、金属アルミナスピネル基材であって、50m
2/g~150m
2/gの表面積を有し、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnの1つ以上で含浸され、かつ、0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含む金属アルミナスピネル基材を含み、前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記LFP反応器が、多管式固定床反応器システムである、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒が、前記金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換型固溶体を含んでいる、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記触媒が、前記金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換型固溶体を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記LFP反応器が、垂直に配向されており、ここで、前記LFP反応器供給物が、前記LFP反応器の上部から入る、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記メタノールが、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr
-1の空間速度にて、60%~95%の通過効率で合成ガスへと変換される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記エタノールが、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr
-1の空間速度にて、45%~95%の通過効率で合成ガスへと変換される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
メタノール又はエタノールを合成ガスへと変換するための触媒であって、前記触媒が、メタノール又はエタノールに結合され、前記触媒が、50m
2/g~150m
2/gの表面積を有する金属アルミナスピネル基材を含み、前記金属アルミナスピネル基材が、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnのうち1つ又は2つで含浸され、前記触媒が、さらに0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含み、前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される、触媒。
【請求項32】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにLaを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項33】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにCeを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項34】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにLaを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項35】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにCeを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項36】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにLaを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項37】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにCeを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項38】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにLaを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項39】
前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、前記金属アルミナスピネル基材が、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、前記触媒が、さらにCeを含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項40】
前記触媒が、前記金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換型固溶体を含んでいる、請求項31に記載の触媒。
【請求項41】
前記触媒が、水素と結合している、請求項31に記載の触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、分散型発電現場にて、低炭素H2及びCOから低炭素メタノール、エタノール又は他の液体を生成すること、並びに、それらの低炭素液体の化学物質生産現場及び/又は燃料生産現場、又は、低炭素水素若しくは合成ガスが必要とされる他の場所へと輸送することである。低炭素H2及びCO2から合成ガスを効率的に生成するための改良されたプロセスについて説明する。この合成ガスは、アルコール又は他の液体を触媒的に生成するために使用され、低炭素水素又は合成ガスが必要とされる1つ以上の生産現場へと輸送される。H2は、触媒的水蒸気改質又は他の改質又は部分酸化プロセスによって、生産現場にて液体から生成される。液体から合成ガスを効率的に生成するための改良された触媒及びプロセスについて説明する。この合成ガスは、様々な低炭素燃料及び化学物質を生成するために使用される。液体から生成されるH2は、燃料電池自動車、水素化分解、グリーンディーゼル生産、アンモニア生産、化学物質生産、及び、低炭素水素、ゼロカーボン水素又はカーボンネガティブ水素を必要とする他の用途を含む用途において使用できる。いくつかの用途では、液体H2キャリアからのH2の生成により生成されるCO2を隔離することによって、生産現場にて生成されるH2がカーボンネガティブH2となる。
【背景技術】
【0002】
CO2は、概して、燃料の燃焼、化学物質の酸化、ガス化プロセス、石油精製、天然ガス発電等を含む複数のプロセスによって、生成及び捕捉され得る。CO2はまた、エタノール生成及び他の生物学的プロセスを含む他の工業プロセスを通じても生成され得る。さらに、空気からCO2を捕捉する新たなアプローチ(直接空気捕捉-DACと称される)によれば、工業源に縛られることなく、世界中の任意の場所からCO2を捕捉することが可能になる(Artz et al, 2018)。
【0003】
CO2を隔離するのに適した地層が利用可能な場所は非常に少ないため、CO2から燃料及び化学製品を製造する方がはるかに適している。さらに、CO2は、低炭素燃料や化学物質を製造するための価値の高い原料である。
【0004】
低炭素電力は、電気分解によりH
2を生成するために使用され得る(式1)。低炭素電力は、風力、太陽光、原子力、水力発電、地熱、バイオマス、バイオガスなどの再生可能電源、又は低炭素電力を生成する他の方法から生成され得る。
【化1】
【0005】
電気分解反応は、低炭素電気を使用して水をH2とO2とに分解する。電解装置は、電解質によって分離されたアノードとカソードとにより構成される。H2を生成するための電気分解は、長年にわたって実用化されている技術である。しかしながら、再生可能な低炭素電力のコストの低下に伴い、電気分解への関心が高まっている(Yan et al, 2019)。
【0006】
他の形態の低炭素H2としては、炭素の捕捉及び貯蔵を採用したブルーH2(天然ガス又は再生可能ガスの改質から、H2を生成する)、ターコイズH2(天然ガス/メタンを熱分解することによって、H2、カーボンブラック又は炭素を隔離する他の製品を生成する)、及び、低炭素H2を生成する他の方法が挙げられる。
【0007】
H2は有用な低炭素燃料源であるため、H2を生産場所から使用場所へと移すことへの関心が高まっている。今日まで、H2は、主に液体H2又は圧縮H2として輸送されている(Schwartz, 2011)。
【0008】
より近年には、キャリア分子をH2で水素化することによって容易に輸送可能な液体有機化合物を取得する、液体有機H2キャリア(LOHC)が開発された(Hurskainen et al, 2020)。
【0009】
LOHCの水素化は発熱反応(熱を放出する)であり、触媒の存在下において、高圧(約30~100bar)かつ約150~250℃の温度で行われる。これによって対応する液体化合物が形成され、この液体化合物は、周囲条件下で貯蔵又は輸送され得る。LOHCのH2豊富な形態は、脱水素化されて、H2がLOHCから再び放出される。この反応は吸熱反応(熱入力が必要である)であり、典型的には、触媒の存在下において、高温(250~320℃)で生じる。H2を使用する前に、通常は、H2を精製する必要がある。このサイクルを完成させるには、通常は、LOHCをH2生産場所へと戻す必要がある(Preuster et al, 2017)。
【0010】
LOHCには、場合によっては経済的な実現可能性を制限する可能性のある、いくつかの欠点もある。顕著な特徴の1つとして、反応エンタルピーが高いことが挙げられる。これは、LOHCからH2を放出するために大量の熱が必要であることを意味する。回避不能な熱伝達損失を考慮すると、熱がH2によって提供される場合、放出されたH2の約25~30%が燃焼することが求められる。さらに、要求される温度レベルが非常に高いため、ほとんどの場合において低価値の廃熱源が使用不可能である。他の欠点の1つとしては、ほとんどの場合において水素化は追加の加圧を要求されるのに対し、脱水素化は大気圧に近い圧力で実行する必要があることが挙げられる。瓶詰めステーションやモビリティ用途等のユーザが高圧H2を必要とする場所では、圧縮のための高いエネルギー需要が生じる。H2の圧縮にはエネルギーが要求され、資本コストが追加される。
【0011】
さらに、劣化したLOHCは、H2発生源へと戻さなければならない。同じトラックが1回の移動で複数の場所にH2を配送することが求められる場合、配送チェーンが複雑になる。最後に、LOHCコンセプトには、水素化反応器及び脱水素化反応器が必要であり、それによってH2の供給コストが増加する。
【0012】
低分子量アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)及び低分子量酸(例えば、ギ酸、酢酸)は、理論的に優れたLOHCである。さらに、ナフサ、ディーゼル、灯油又は他の軽質炭化水素もまた、優れた水素キャリアとして役立つ可能性がある。H
2は、これらの低分子量アルコール、酸及び炭化水素から生成される候補となり得る(表1)。
【表1】
【0013】
メタノール、エタノール及びプロパノールにおけるH2存在量はほぼ同じであり、メタノール及びエタノールからH2を生成するために必要なエネルギーはほぼ同じであるが、プロパノールからH2を生成するのに必要なエネルギーは、メタノールより1.58倍大きい。さらに、メタノールから副生成物が生成される可能性に比べて、エタノール及びプロパノールから副生成物が生成される可能性の方が高くなる。ギ酸や及び酢酸もまたLOHC候補であるが、これらのキャリア中におけるH2存在量は、アルコール存在量よりもはるかに少ない。
【0014】
ナフサ、ディーゼル、灯油又はこれらの留分の一部又は全部の組み合わせ(e原油と称されることもある)からH2を生成するために必要なエネルギーは、メタノールの場合とほぼ同じであるが、副生成物が生成される可能性があるため、H2の収率は低くなる。
【0015】
メタノールは、式2に従って合成ガスから生成され得る。現在、メタノールは、主に天然ガス及び石炭から生産されている。まず、化石燃料が水蒸気改質されて合成ガスとなり、続いて、合成ガスからメタノールが生成される(NETL, 2021)。問題は、化石燃料から製造されるメタノールが、低炭素製品ではないことである。
【化2】
【0016】
合成ガスは、低炭素H
2と捕捉されたCO
2混合物との触媒変換から、商業的に生産され得る可能性がある。この触媒プロセスは、逆水ガスシフト(RWGS)反応又はCO
2水素化と称される(式3)(Daza et al, 2016; Vogt et al, 2019; Chen et al, 2020)。
【化3】
【0017】
この反応は室温で吸熱反応であり、進行のためには熱が必要である。コークス化(炭素形成)や時間の経過による触媒性能の劣化を最小限に抑える又は無くしつつCO2をCOへと大量に変換するには、高温及び効率的な触媒が必要となる。
【0018】
アルコールの生成に加えて、この低炭素合成ガスは、液体及び気体の炭化水素燃料、酢酸、ジメチルエーテル及び他の多くの化学製品を含む、他の幅広い化学製品を生成するための優れた原料である(Olah et al, 2009; Centi et al, 2009; Jiang et al, 2010; Fischer et al, 2016; Li et al, 2019; NAS, 2019)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
H2は、低炭素電力による水の電気分解、又は、発電所での他の低炭素H2生成源より入手可能である。CO2は、近隣の炭素捕捉施設、直接空気捕捉、CO2パイプライン、又は、他の供給源から入手可能である。生産現場における地質又は他の条件により、通常、CO2を近隣で隔離することはできない。
【0020】
生産現場又はその近隣において、捕捉されたCO2及び低炭素H2が改良された2段階プロセスで処理され、それによって液体キャリアが生成される。液体キャリアは、周囲温度及び周囲圧力にて液体である任意の化学物質又は化学物質の混合物であり得る。例えば、液体キャリアは、炭化水素若しくは炭化水素の混合物であってもよく、あるいは、液体キャリアは、メタノール若しくはエタノール等のアルコール、酸、化学物質中間体若しくは混合アルコール、又は、H2及び炭素を含有する任意の他の種類の液体キャリアであり得る。
【0021】
キャリアは、生産現場で入手可能な捕捉されたCO2及び再生可能なH2から生成される。前述したように、メタノール又はエタノールは、優れたH2キャリア候補である。
【0022】
メタノールは、Cu-ZnO系触媒による、約50bar、275℃で運転される固定床管型反応器内におけるH
2とCOとの触媒的反応から商業的に生成される(式4)。この生成物は、メタノール(97%)、エタノール(2%)、メタン(1%)及び酢酸(1%)である(Hurley, Schuetzle et al, 2010))。
【化4】
【0023】
別の方法は、式5に従ってCO
2とH
2とからメタノールを生成することである。
【化5】
【0024】
エタノールは、生産現場にて、タンデム反応器内において3つの触媒[#1:Cu-Zn-アルカリ、#2:Rh-Y-アルカリ、#3(Mo-Pd)]による、約50bar、275℃で運転される固定床管型反応器のH
2とCOとの発熱反応によっても生成され得る。この生成物は、エタノール(72%)、メタノール(6%)、メタン(20%)及び酢酸(2%)である(Hurley, Schuetzle et al, 2010)(式6)。
【化6】
【0025】
さらに、次節においで要約するように、現在まで、メタノール又はエタノールを脱水素化することによって合成ガス又はH2を生成する市販の触媒の開発には成功していない。
【0026】
メタノールの接触改質-メタノールは液体であるため、第2の現場である変換現場へと容易に輸送され得る。変換現場でH
2を利用することのみを目的とする場合、式7に従う吸熱プロセスであるメタノールの接触水蒸気改質によって、H
2が生成され得る(Palo et al, 2007; lulianelli et al, 2014; Dalena et al, 2018)。
【化7】
【0027】
改質に使用される触媒は、メタノール転化率と生成物(CO2、H2及びCO)の比率を決定する。種々異なる助触媒を備えたVIII~XIII族金属(主にCu、Pd及びZn)は、より高いH2収率を生じさせるために、メタノール水蒸気改質に広く利用されている。CuO/ZnO/Al2O3触媒によるメタノールの接触水蒸気改質の反応速度の半経験的モデルが開発されている(Amphlett et al, 1994)。
【0028】
モル濃度比1.0~1.5/1.0である水とメタノールとの混合物は、約20barに加圧されて蒸発され、250~360℃の温度に加熱される。生成されたH2は、圧力スイング吸着又はH2透過膜を使用して分離される(Dalena et al, 2018; Ranjekar and Yadav, 2021)。
【0029】
いずれの設計によっても、生成ガス(ラフィネート)から全てのH2が除去されるわけではない。残りのガス混合物は、未だにある程度の化学エネルギーを含有しているため、空気と混合されて燃焼させられ、それによって追加の熱を吸熱改質反応に提供することがよくある。
【0030】
CO2が排出され(式7)、このCO2が、生成されるH2のライフサイクル温室効果ガス値を低下させる。CO2を変換現場にて隔離又は商業利用することができれば、ライフサイクル温室効果ガスの影響が軽減され得る。
【0031】
H2の一部は、発電用の燃料として、又は、燃料や化学物質の製造に使用され得る。H2はまた、製油所、グリーンディーゼル施設、燃料電池車、水素化分解、アンモニア生産、化学物質生産、及び、低炭素、ゼロカーボン又はカーボンネガティブ水素を要求する他の用途における水素化処理用途にも使用されることがある。
【0032】
メタノールをCO及びH
2に変換することは、CO
2が生成されないため、好ましい。このH
2及びCOは、分離され得るか、H
2/COの比が理想的な化学量論(1.5~2.5/1.0)を有するため、低炭素燃料及び低炭素化学物質の製造に使用され得る(Schuetzle et al, 2010 and 2016)。CO及びH
2の生成は、式8に与えられる吸熱反応に従って、メタノールから触媒的に変換され得る。メタノールからH
2への変換は、典型的には、メタノールの脱水素化と称される。
【化8】
【0033】
低炭素メタノールから生成されるH2及びCOは、低炭素生成物である。したがって、H2とCOとを分離し、COを生成プロセスのエネルギー資源として使用すれば、CO2は低炭素排出となる。
【0034】
メタノールを合成ガスに改質するために、いくつかの触媒候補が合成されて試験されている。遷移金属触媒は、通常、メタノール脱水を含むガス-固体不均質系内における炭化水素の脱水中に、コークス耐性の低下を被ることが判明している。
【0035】
Han et al (2020) は、窒素ドープ炭素シート内に原子的に分散されたNiサイトからなる触媒を合成して試験した。彼らは、2種類の触媒を合成した。触媒#1の組成は、Ni18.3重量%を担持する窒素ドープ炭素であり、触媒#2は、Niを9.3重量%まで減少させる触媒#1の酸エッチングによって生成された。これらの触媒を、15psig、16,000h-1の空間速度及び350℃の温度でのメタノールのCO及びH2への変換について試験した。触媒#1及び触媒#2は、24時間後に、それぞれ44%及び2%の活性の低下が生じた。結論として、これらの炭素系触媒は合成が難しく、非常に壊れやすく、経時的な性能の低下が許容できない。
【0036】
Carraro et al (2018) は、CeO25重量%を担持するPd触媒を合成して、300℃でのメタノールの合成ガスへの変換について試験した。メタノールの変換効率は、変換の最初の5時間については95%であったが、15時間後には約85%まで低下した。触媒の表面分析により、この性能の低下は、触媒表面の炭素形成の結果であることが実証された。
【0037】
Matsumurakoji et al (2000)は、10重量%Niを担持するシリカ触媒を使用し、350℃でのメタノールのCO及びH2への分解についての性能を研究した。彼らは、30時間後に炭素が触媒上に堆積し、触媒効率が大幅に低下させることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0038】
メタノール及びエタノールの触媒的改質
改良された触媒及びプロセスが開発され、本明細書にて説明される。この触媒は、貴金属を全く又はほとんど含有せず、低コストかつ容易に豊富に存在する金属より構成されている。
【0039】
1つの好ましい触媒は、Pd-Ag触媒である。別の好ましい触媒は、ニッケル固溶体触媒である。別の触媒は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルである。
【0040】
この触媒は、約50m2/gを超える表面積を有する金属アルミナスピネル基材又は他のアルミナ基材であって、組み合わされた濃度が最大15重量部の以下の(Cu、Mg、Ni及びZn)元素の1つ以上と、最大5重量%のLa又はCeとで含浸させられている金属アルミナスピネル基材又は他のアルミナ基材からなり、この金属アルミナスピネルは、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる群より選択される。該触媒は、1つ以上の置換型固溶体を担持する、金属が含浸された金属アルミナスピネルより構成される。
【0041】
この改良された触媒は、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr-1の空間速度にて、それぞれ60%及び45%を超える通過効率で、メタノール又はエタノールを合成ガスへと変換する。アルコールから生成される合成ガスのH2/CO比は、1.8~2.2/1.0である。
【0042】
メタノール及びエタノールは本質的に酸性であるため、メタノールについて式9に示すように、豊富なヒドロキシ(M-OH)基を有するこの触媒の塩基性表面と容易に反応し、それによってHCOO-MとH
2とを形成する。
【化9】
【0043】
COはその後、式10に示すように、触媒運転温度にて錯体から速やかに放出される。
【化10】
【0044】
したがって、式9及び式10のプロセスを組み合わせることによって、H2/CO比が2.0/1.0の合成ガスが生成される。さらに、元の触媒表面M-OHが再生される。
【0045】
前述したように、ギ酸(HCOOH)もまた、可能なH
2キャリアである。ギ酸(HCOOH)はまた、式11に示すように、豊富なヒドロキシ(OH)基を有する触媒の塩基性表面(M)と容易に反応し、それによってギ酸塩(HCOO-M)を形成する。
【化11】
【0046】
COは、式10に従って、触媒運転温度にて錯体から速やかに放出される。したがって、式10及び式11のプロセスを組み合わせることによって、H2/CO比が1.0/1.0の合成ガスが生成される。
【0047】
エタノールは、メタノールと同様に塩基性触媒表面と反応し、それによってH2/CO比が2.0/1.0の合成ガスを生成する。これまでに表1に示したように、メタノール及びエタノールは、それぞれ6.25モル%及び6.50モル%のH2を含有している。しかしながら、エタノールの触媒的脱水素反応は、メタノールの場合よりも高い触媒運転温度を必要とする。
【0048】
メタノールは、各キャリア分子に対して2倍のH2を生成するため、ギ酸よりも優れたH2キャリアである。利点として、メタノールやエタノール等の液体H2キャリアが生産現場にて完全に利用されて、典型的にはLOHCにおいて使用される固体材料が生産現場へと戻される必要がないことが挙げられる。
【0049】
メタノール、エタノール、ナフサ、ディーゼル及び他の液体キャリア等のH2キャリアの輸送は、トラック、鉄道、はしけ、及び、今日において広く使用されている液体燃料の輸送形態を含む、既存の輸送インフラを使用可能であるため、よく知られている。液体H2キャリアの輸送コストは、圧縮されたH2をチューブトレーラーで輸送したり、液体H2を取り扱うための専用トラックで輸送したりするコストよりも大幅に低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、生産現場(100)と変換現場(200)との接続を示す全体プロセスを示す。
【
図2】
図2は、生産現場(100)にて実行される、いくつかの可能なプロセスを示す。ブロック101は、電解装置ブロック又は低炭素H
2生成ブロックである。ブロック102は、CO
2及びH
2を合成ガス(一酸化炭素及びH
2)へと変換する逆水ガスシフト(RWGS)反応器システムである。ブロック103は、液体H
2キャリア(例えば、メタノール)(流4)を生成する変換ブロックである。
【
図3】
図3は、変換現場(200)にて実行される、いくつかの可能なプロセスを示す。ブロック201は、液体H
2キャリアをH
2及びCO
2へと、又は、H
2及びCOへと変換するためのシステムである。ブロック202は、発電ブロックである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1において、生産現場は、ブロック100として示される。生産現場は、少なくとも3つの入力流を有している。流1は、風力や太陽光等の再生可能資源、原子力発電所、水力発電所又は地熱発電所から生成可能な低炭素電力を含む入力流である。一実施形態では、低炭素電力は、風力発電所又は太陽光発電(PV)アレイからの断続的な電力で充電された蓄電池から得られるものであり得る。ブロック100は、ブルーH
2、ターコイズH
2、又は、他の形態の低炭素H
2等の低炭素H
2を生成する、他のプロセスを表していてもよい。
【0052】
流2は、高純度水を含む流である。この水は、種々異なる電気分解システムのために要求される水質仕様を満たしている任意の供給源からのものであり得、又は、生成システムからのリサイクル水であってもよい。
【0053】
流3は、CO2を含む流である。CO2は、近隣の炭素捕捉施設、二酸化炭素パイプライン又は周囲空気から入手可能である。CO2は、概して、燃料の燃焼、化学物質の酸化、ガス化プロセス、石油精製、セメント生産等を含むいくつかのプロセスによって生成及び捕捉され得る。例えば、肥料用のアンモニアを生成する工業的生産工場では、大量のCO2が生成される。トウモロコシ又は小麦をエタノールへと変換するエタノール工場は、発酵によって大量のCO2を生成する。様々な炭素資源から電気を生み出す発電所は、大量のCO2を生成する。汚泥の好気性消化及び嫌気性消化を使用する都市下水処理システムは、大量のCO2を生成する。これら全てのCO2源は、本発明において使用可能である。
【0054】
流3(
図1)内のCO
2は、アミン溶媒の使用を含む標準的な手段によって捕捉され得る。本明細書に記載されるCO
2の利用又は変換には、典型的には、CO
2が主要成分でないガス流(例えば、排気煙道ガス)からCO
2を分離及び精製することが含まれる。典型的には、アルキルアミンがガス流からCO
2を除去するために使用される。このプロセスで使用されるアルキルアミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノエトキシエタノール又はそれらの組み合わせが含まれる。有機金属フレームワーク(MOF)材料は、化学吸着又は物理吸着を使用して希薄流からCO
2を分離する手段としても使用されている。凝縮されたCO
2を収集する他の方法には、循環する金属酸化物材料が燃焼プロセス中に生成されたCO
2を捕捉するケミカルループ燃焼が含まれる。CO
2は、直接空気捕捉(DAC)と称される方法において、大気からも回収され得る。CO
2を捕捉するためのプロセスには、多くの場合、捕捉材料を再生することが含まれる。アルキルアミンは、典型的には低圧蒸気によって加熱することによって再生される。
【0055】
図1において、ブロック100は、液体キャリアを生成するための多段階プロセス全体である。これは、本発明における生産現場である。ブロック100における生成物の少なくとも1つは、液体キャリアを含む流である流4として示される。
【0056】
液体キャリアの少なくとも一部である流4は、
図1においてブロック200として示される本発明の変換現場と称される別の場所へと輸送される。液体キャリアは、多くの異なる手段によって変換部位へと移動又は輸送され得る。これらの手段には、鉄道、トラック、はしけ若しくはボート、パイプライン、又は、液体燃料、液体炭化水素若しくは他の液体製品を輸送するための他の方法が含まれる。変換現場200では、液体キャリア4がいくつかの生成物候補へと変換される。
【0057】
図1は、ブロック200から出る流5として表示されている低炭素電気を含む流を示す。
図1はまた、変換現場であるブロック200を出る流7として表示されている合成ガスを含む流を示す。流6として示されているH
2を含む流は、変換現場であるブロック200の生成物の1つである。H
2又は合成ガスのいずれかが、対象となる主な生成物であってもよい。
【0058】
図2は、生産現場(100)で実行され得る、いくつかの可能なプロセスを示す。ブロック100は、ボックス101,102及び103を囲む破線のボックスとして示される。ブロック101は、電気分解を使用する低炭素H
2生成ブロックである。低炭素電力である流1及び精製水を含む流である流2は、低炭素H
2生成ブロック101への入力である。低炭素H
2生成ブロックは、電解質によって分離されたアノード及びカソードを備えた電解装置101を利用してもよい。電解装置が異なれば、機能も若干異なる。本発明では、アルカリ電解、膜電解及び高温電解を含む種々異なる電解装置の設計が使用され得る。液体KOHやNaOHを含む種々異なる電解質が使用され得、活性化化合物を有していても有していなくてもよい。活性化化合物は、電解質の安定性を向上させるために、電解質へと添加され得る。ほとんどのH
2発生反応用のイオン活性化剤は、エチレンジアミン系金属塩化物錯体とNa
2MoO
4又はNa
2WO
4とにより構成されている。電極上には、ラネーニッケルアルミニウムのような種々異なる金属と酸化物との組み合わせを含む種々異なる電極触媒が使用され得、この電極触媒は、コバルト又はモリブデンを合金へと添加することによって強化され得る。
【0059】
Pt2Mo、Hf2Fe、TiPt等の遷移金属のいくつかの組み合わせがカソード材料として使用されており、これらは従来技術の電極よりも大幅に高い電極触媒活性を示している。
【0060】
アノードにおける水は、外部回路からの電子と結合することによって、酸素ガス、正に帯電したH2イオン、及び、電子を形成する。H2イオンは膜を通過し、カソードにて外部回路からの電子と結合することによって、H2ガスを形成する。このようにして、H2及びO2の両方が、電解装置内で生成される。本発明の一実施形態では、複数の電解装置が並列に運転される。
【0061】
電解装置は、少なくとも2つの生成物流である、H
2流21(
図2)と、酸素流(
図2には示されない)とを生成する。
【0062】
図2のブロック102は、RWGS反応器システムである。本発明の一実施形態では、生産現場100にて液体キャリアを生成するための多段階プロセスには、最初にCO
2がCOへと変換されるRWGS反応器が含まれる。RWGS反応器は、これまでに式3で表した吸熱反応によって、流3及び電解装置H
2、流21からの二酸化炭素をRWGS反応器生成物へと変換するために使用される。
【0063】
RWGS反応器供給物流である流21と流3とは、ブロック102においてブレンドされる。RWGS供給物流中におけるH2/CO2の比は、2.0mol/mol~5.0mol/molであり、より好ましくは3.0mol/mol~4.0mol/molである。混合されたRWGS反応器原料は、RWGS運転条件にまで加熱される必要がある。一実施形態では、RWGS供給物流は、RWGS供給物加熱器を使用して、1450°Fを超える(例えば、1,450~1,800°F)反応温度まで、又は、好ましくは1,550°Fを超える(例えば、1,550~1,750°F)反応温度まで加熱される。一実施形態では、RWGS供給物加熱器は、空気と共に燃焼して水と熱とを生成する燃料ガスとして、流21から取られたH2の燃焼を使用する加熱器である。この熱は、RWGS供給物流の温度を上昇させるために使用される。
【0064】
別の実施形態では、電気加熱器内にて低炭素電気を使用して、RWGS供給物の温度を上昇させる。この加熱器は電気的に加熱され、間接熱交換を通じて供給ガスの温度を1,550°Fを超える(例えば、1,550~1,750°F)まで上昇させる。
【0065】
加熱されたRWGS反応器供給ガスは、主RWGS反応器へと供給される。主反応器の容器は、断熱又はほぼ断熱であり、熱損失を最小限とするように設計されている。主反応器の容器には、熱が加えられない。
【0066】
RWGS主反応容器(102)から出た生成物流は、CO、未反応H2、未反応CO2及びH2Oからなる。さらに、生成物流には、副反応として生成された少量のメタン(CH4)が含まれていてもよい。
【0067】
生成物流は、
図2において流22として示される。流22は、該プロセスのこの時点にて、様々な方法で使用可能である。生成ガスは冷却及び圧縮されて、下流プロセスにおいて燃料及び化学物質を生成するために使用され得る(Tan et al, 2018)(Schuetzle et al 特許, 2010-2019)。生成物流は、冷却、圧縮され、予熱器へと送り返されて、主反応器の容器へと戻され得る。生成物流は、第2の電気予熱器内にて再加熱されて、CO
2からCOへの追加の変換が行われる第2の反応容器へと送られ得る。
【0068】
COが変換ブロック103で使用されない他の実施形態では、ブロック102は、RWGS反応器システムとして機能せず、
図2に流22として記載されているブロック103のための供給物を混合及び加熱するようにのみ機能する。これらの実施形態では、変換ブロック103は、CO
2を直接水素化し、それによって生成物流4を生成することを含んでいる。
【0069】
図2のブロック103は、液体生成物(流4)を生成する変換ブロックである。一実施形態では、この変換ブロックは、流22中の一酸化炭素及びH
2が液体炭化水素、アルコール又は他の液体水素キャリアの混合物へと直接変換される、液体燃料製造(LFP)反応器システムを含んでいる。
【0070】
RWGS生成ガスの少なくとも一部は、液体燃料製造(LFP)反応器供給物として使用される。また、RWGS反応器の運転圧力はLFPの運転圧力よりも低いことがあるため、生成された合成ガスは、LFP入口圧力にまで圧縮されることが要求されることがある。LFPは、炭化水素合成ステップとしても知られている。LFP反応器は、CO及びH2を、液体燃料や化学物質として使用可能なC5-C24炭化水素へと変換し、この場合、液体キャリアである流4を生成する。理想的には、LFP反応への供給物中のH2対CO比は、1.9~2.2mol/molであるが、液体流の組成を変更するため、必要に応じて1.9未満であってもよく、2.2を超えてもよい。LFP反応器は、多管式固定床反応器システムである。LFP反応器管の外形は、円形、楕円形、平坦、ねじれている、又は、他のバリエーションであり得る。LFP反応器は、概して、LFP反応器供給物がLFP反応器の上部から入るように垂直に配向される。しかしながら、いくつかの状況では、反応器を水平に配向させることが可能であり、高さ制限のあるいくつかの状況では、反応器を斜めに設置することも有利であることがある。LFP反応管の長さの大部分は、LFP触媒で満たされている。また、LFP触媒は、LFP反応器管内への、及び、LFP反応器管を通過するLFP反応器供給物の分配を補助するために、シリカ又はアルミナ等の希釈剤もまたブレンドされてもよい。
【0071】
一実施形態におけるLFP反応器は、150~450psigの圧力で運転される。該反応器は、350°F~460°Fの温度範囲で運転され、より典型的には、約410°Fで運転される。LFP反応は発熱性であり、ここで、LFP反応器管の外側に沸騰水(boiling water)が存在する熱交換器内に反応管束が配置されることによって、LFP反応管内において反応器の温度が維持される。ボイラ水(boiler water)の温度はLFP反応温度よりも低い温度であるため、熱はLFP反応器管からより低い温度の水に流れる。シェル水の温度は、精製される蒸気の圧力を制御することによって維持される。この蒸気は、概して飽和蒸気である。別の実施形態では、触媒LFP反応器は、スラリー反応器、マイクロチャネル反応器、流動床反応器又は当技術分野にて知られる他のタイプの反応器であり得る。
【0072】
LFP反応器におけるCO転化率は、パス毎につき30~80mol%のCO転化率に維持される。未変換のガスは、追加の変換のためにリサイクルされ得るか、追加のLFP反応器まで下流へと送られ得る。複数のLFP反応器もまた、直列又は並列で使用されてもよい。
【0073】
一実施形態では、一連の精留塔を使用して、引火点が調整可能な高セタン価ディーゼル燃料と、安定化ナフサ(ガソリンブレンドストック又は化学原料の候補)又はブレンドされたe原油を生成する。高セタン価ディーゼル燃料は、液体キャリアとして使用され得る(
図2、流4)。LFP反応器からの未分画の液体炭化水素(e原油)もまた、液体キャリアとして使用され得る。
【0074】
別の実施形態では、アルコール合成反応器が、ブロック103の変換装置として使用される(
図2)。この実施形態では、RWGS反応器生成物からの合成ガス(H
2及びCO)が、アルコールを含む生成物へと変換される。メタノールは、合成ガスから生成可能な一般的なアルコールであり、いくつかの実施形態では、液体H
2キャリアとして使用され得る。
【0075】
図3は、変換現場で実行されるいくつかのプロセスを示している。ブロック201は、変換プロセスがCO
2を生成する場合のCO
2分離ブロックである。ブロック202は、発電ブロックである。
【0076】
CO2分離ブロック(ブロック201)は、最低限、CO2を含む流(流7)と、流23として示される電気を生成する手段とが、流4である液体キャリアの化学変換から生成される手段を含んでいる。任意選択で、ブロック201では、流6として示されるH2を含む流が生成され得る。ブロック201は、変換のための複数のステップ又はプロセスを含んでいてもよい。
【0077】
CO2分離ブロックは、水蒸気改質を含むいくつかの手段によって達成され得る。一実施形態では、液体キャリアは、液体キャリア4が蒸気と反応することによってH2及びCO2の生成物混合物を生成するシステムを含み、この生成物混合物は、それぞれ流6及び流7へと分離され得る。別の実施形態では、式7に示すように、液体キャリアを水蒸気改質することによって、H2及びCOの混合物が生成され得る。水蒸気改質器の生成物中のH2は、分離されて流6となり得る。
【0078】
モル濃度比(水/メタノール)1.0~1.5である水とメタノールとの混合物は、約300psigに加圧されて蒸発され、250~360℃の温度に加熱される。生成されたH2は、圧力スイング吸着(PSA)、H2透過膜又はパラジウム合金を使用して分離される。このプロセスを実行するには、2つの基本的な方法がある。
【0079】
水とメタノールとの混合物は、管状反応器に導入され、該管状反応器にて触媒と接触する。続いて、後のチャンバにおいて、PSAにより、又は、H2の大半が通過する膜を使用することにより、H2が他の反応物及び生成物から分離される。
【0080】
もう1つのプロセスは、反応チャンバ及び分離膜が一体化された膜反応器を特徴とする。反応チャンバは、高温のH2透過膜を含有するように作製されており、このH2透過膜は、高融点金属、パラジウム合金、又は、Pd/Agでコーティングされたセラミックで形成され得る。これによって、H2は、反応が進行するにつれて反応チャンバから分離される。これによりH2が精製され、反応が続くにつれて、反応速度及び抽出されるH2の量の両方が増加する。
【0081】
いずれの設計によっても、生成ガスから全てのH2が除去されるわけではない。残りのガス混合物は、未だにかなりの量の化学エネルギーを含有しているため、空気と混合させて燃焼させることによって、吸熱改質反応のための熱が提供され得る。
【0082】
一実施形態では、水蒸気改質システムは、熱損失が制限された断熱反応器を含んでいる。水蒸気改質器の供給原料は、水蒸気改質器の加熱器内で加熱される。一実施形態では、水蒸気改質器の加熱器は、低炭素電力によって電気加熱器を通じて所定の温度まで加熱される。別の実施形態では、水蒸気改質器の加熱器は、H2の燃焼によって、又は、H2、CO及び未変換の気化された液体キャリアの組み合わせの燃焼によって、所定の温度まで加熱される。別の実施形態では、水蒸気改質器は、ほぼ等温条件で運転され、水蒸気改質器の供給原料は、加熱器の火室内にある複数の管を通じて供給される。別の実施形態では、水蒸気改質は、変換現場における工業施設又はコロケーション施設からの廃熱を使用して実行される。H2の燃焼によって、又は、H2、CO及び未変換の気化された液体キャリアの組み合わせの燃焼によって、反応熱が発生する。一実施形態では、水蒸気改質器の供給原料は、水蒸気改質器の生成物との相互交換、及び、発電ブロックであるブロック202からの追加の熱によって加熱される。
【0083】
別の実施形態では、CO2変換ブロック201は、液体キャリアである流4がほぼ純粋な酸素と反応することによってCO2及びH2Oを含む流を生成する、酸素燃焼システムを含んでいる。酸素燃焼器の生成物流が分離されることによって、CO2が豊富な流である流7が生成され得る。酸素は、空気分離ユニットによって生成されるか、パイプラインによって入手可能である。
【0084】
別の実施形態では、CO2変換ブロック201は部分酸化システムを含み、この部分酸化システムでは、液体キャリアである流4が、H2及びCOを含む部分酸化生成物への部分酸化を達成する速度にて、ほぼ純粋なO2と反応する。Cに対するO2の比率は、モルベースで約0.50~0.55に制御されることによって、完全燃焼ではなく部分酸化が可能になる。この部分酸化流は、PSA又は他の手段によって分離することによって、H2を含むほぼ純粋な流である流6を生成し得る。COは、水性ガスシフトを通じて又はさらなる酸化を通じてCO2に変換され得、それによってCO2を含む流である流7が生成される。
【0085】
酸素燃焼及び部分酸化の実施形態はいずれも、通常の運転下では発熱し、水蒸気改質の実施形態とは異なり、供給ガスを完全な運転温度まで加熱するために追加の外部熱を必要としない。
【0086】
CO2変換反応器では、多くの場合、生成物の温度が高くなる。一実施形態では、生成ガスの温度を下げるために、熱回収システムが使用され得る。ガスを冷却する際には、蒸気が発生する。本実施形態においてそのように生成された蒸気は、流23であり、発電ブロック202における発電のための原動力を提供する。他の実施形態では、CO2変換反応器から搬送される高温の熱及び生成ガスの一部は、発電ブロック202の一実施形態としての固体酸化物燃料電池への供給ガスとして機能する流23であり得る。
【0087】
発電ブロック202は、任意の数の発電システムであり得る。これらのシステムには、以下に限定されないが、蒸気タービンシステム、燃料電池システム、ガスタービンシステム、有機ランキンサイクルシステム、又はスターリングエンジンシステムが含まれていてもよい。
【実施例】
【0088】
実施例1:H
2及び二酸化炭素キャリアとしてのメタノール
CO
2を含む流は、工業プロセスによって生成されるか、周囲空気から捕捉される。このCO
2流は、CO
2捕捉施設へと供給される。CO
2捕捉施設では、吸着塔内においてメチルジエタノールアミン(MDEA)を使用しており、それによってCO
2を捕捉する。比較的純粋なCO
2(
図1、流3)が、加熱によってMDEAから再生される。
【0089】
風力発電所、太陽光発電所、原子力発電所、又は、他の低炭素電源からの低炭素電力は、炭素捕捉施設の敷地内で利用可能である。高純度の水は、現地で入手可能な水から生成される。低炭素H2は、精製水から電気分解によって生成される。
【0090】
本反応では、低炭素電気を使用して水をH
2とO
2へと分解する。本実施例の電解装置は、PEM電解装置であり、これは
図2のブロック101である。電解装置は、H
2(
図2、流2)及び位O
2(流は図示されない)の2つの流を生成する。
【0091】
生産現場100にて、改良された触媒及び触媒反応器(
図2、ブロック102)は、捕捉されたCO
2流及び再生可能なH
2流を生成物流22へと変換するために使用される。本実施例では、低炭素電力である流12を使用して電力を電気加熱器へと供給し、この電気加熱器によって、RWGS供給物流を約1650°Fにまで上昇させる。本実施例では、H
2とCO
2との比は3.4/1.0であり、圧力は300psigであり、空間速度は20,000hr
-1である。実施例1では、改良されたRWGS触媒についての、温度とCO
2のCOへの変換率(%)との関係を提供する。CO
2の変換率は、これらの条件下では約82%である。
【0092】
生成物流である流22(
図2)は、約50気圧まで凝縮され、それによってメタノール供給物流を生成する。本実施例における変換ブロック103は、メタノール反応器システムである。H
2及びCOは、約275℃で運転される固定床反応器内にて、Cu-ZnO系触媒を使用してメタノールへと変換される。
【0093】
合成ガスをメタノールとする反応器内にて生成されるメタノールの少なくとも一部は、液体キャリアである流4であり、鉄道、トラック又は他の適切な手段によって、第2の現場200(
図3)へと輸送される。
【0094】
変換現場では、輸送されたメタノールは、水蒸気改質プロセス201(
図3)によって、H
2及びCO
2の流へと変換される。輸送されたメタノールは、まず、貯蔵タンク内に貯蔵される。このメタノールは、貯蔵タンクからポンプで汲み出され、水と混合されて、間接熱交換によって約275℃にまで加熱される(この場合、改質器熱交換器の少なくとも1つが、改質器供給物と生成物との相互交換の熱交換器である)。水とメタノールとの混合物における蒸気と炭素の比率は、モル基準で1.5に制御される。加熱されたメタノール-水の混合物は、改質器反応器へと供給され、この改質器反応器において、メタノールが式12で示す水蒸気改質反応によって反応し、それによってCO
2及びH
2が生成される。
【化12】
【0095】
本実施例では、改質器内における触媒は、Pd-Ag触媒である。別の実施形態では、触媒は、ニッケル固溶体触媒であり、さらに別の実施形態では、触媒は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルである。
【0096】
この反応器は断熱固定床反応器であり、反応器及び触媒床全体にわたる圧力降下は、25psig未満である。改質器供給原料中のメタノールの95%以上(すなわち、95%~100%)が、CO2及びH2へと変換される。
【0097】
メタノール改質器生成物中には、ある程度の水及び一酸化炭素もまた存在する。メタノール改質器生成物は、改質器供給物流との相互交換によって冷却される。本実施例のメタノール改質器生成物は、圧力スイング吸着(PSA)ユニット内にてさらに処理され、それによってH2が回収される。PSAユニットの前に、改質器生成物流中の水の大部分が、ノックアウト容器内にて除去される。ノックアウト容器の塔頂留出物は、PSAユニットへの供給源となる。大部分が水であるノックアウト容器の塔底液はリサイクルされて、メタノール改質器供給物流を生成するためにメタノール流とブレンドされる水の一部として使用される。圧力スイング吸着ユニットは、H2が豊富なメタノール改質器生成物流から不純物を分離するための固体吸着剤の床を含んでいる。改質器生成物及びPSA供給物流内における高圧H2が、この吸着剤上に吸着される。この吸着床は、不純物を吸着する運転と脱着する運転との間で「スイング」する。これにより、176psigの圧力にて95体積%を超えるH2の組成を有する高圧PSA生成物流が得られる。低圧PSA生成物はテールガスと称され、圧力は20psig、モル組成は約22%H2、71%CO2、5%CO及び2%水である。全体として、PSAユニットを通じて、改質器生成物流内におけるH2の90%が、高圧PSA生成物流である流6内へと至る。
【0098】
低圧PSA生成物流は、依然として、H2、CO及び発電に使用可能な少量の未変換の蒸発液体キャリアを有している(流23)。
【0099】
実施例2:CO
2キャリアとしてのエタノール
CO
2を含む流は、工業プロセスによって生成されるか、周囲空気から捕捉される。このCO
2流は、CO
2捕捉施設へと供給される。CO
2捕捉施設では、吸着塔内においてメチルジエタノールアミン(MDEA)を使用しており、それによってCO
2を捕捉する。比較的純粋なCO
2(
図1、流3)が、加熱によってMDEAから再生される。
【0100】
風力発電所、太陽光発電所、原子力発電所、又は、他の低炭素電源からの低炭素電力は、炭素捕捉施設の敷地内で利用可能である。高純度の水は、現地で入手可能な水から生成される。低炭素H2は、精製水から電気分解によって生成される。
【0101】
本反応では、低炭素電気を使用して水をH
2とO
2とに分解する。本実施例の電解装置は、PEM電解装置であり、これは
図2のブロック101である。電解装置は、H
2(
図2、流2)及び位O
2(流は図示されない)の2つの流を生成する。
【0102】
生産現場100にて、改良された触媒#1及び触媒反応器(
図2、ブロック102)は、捕捉されたCO
2流及び再生可能なH
2流を生成物流22へと変換するために使用される。本実施例では、低炭素電力である流12を使用して電力を電気加熱器へと供給し、この電気加熱器によって、RWGS供給物流を約1650°Fにまで上昇させる。本実施例では、H
2とCO
2との比は3.4/1.0であり、圧力は300psigであり、空間速度は20,000hr
-1である。実施例1では、改良された触媒#1についての、温度とCO
2のCOへの変換率(%)との関係を提供する。CO
2の変換率は、これらの条件下では約82%であり、CH
4選択率は0.50%未満である。
【0103】
生成物流である流22(
図2)は、約50気圧まで凝縮され、それによってエタノール供給物流を生成する。本実施例における変換ブロック103は、エタノール反応器システムである。H
2とCOは、タンデム反応器内における3つの触媒[#1:Cu-Zn-アルカリ、#2:Rh-Y-アルカリ、#3(Mo-Pd)]を使用して、エタノールへと変換される。この生成物は、エタノール(72%)、メタノール(6%)、メタン(20%)及び酢酸(2%)である(Hurley, Schuetzle et al, 2010)。
【0104】
合成ガスをエタノールとする反応器内にて生成されるエタノールの少なくとも一部は、液体キャリアである流4(
図2)であり、第2の現場200(
図3)へと輸送される。本実施例では、この液体は、鉄道、トラック又は他の適切な手段によって、変換現場200へと輸送される。
【0105】
輸送されたエタノールは、まず、貯蔵タンク内に貯蔵される。このエタノールは、200psigにて貯蔵タンクからポンプで汲み出され、水と混合されて、間接熱交換によって260℃にまで加熱される(この場合、改質器熱交換器の少なくとも1つが、改質器供給物と生成物との相互交換の熱交換器である)。水とエタノールとの混合物における蒸気と炭素の比率は、モル基準で1.5に制御される。加熱されたエタノール-水の混合物は、触媒反応器へと供給され、この触媒反応器において、エタノールが式13で示す水蒸気改質反応によって、H
2及びCO
2の流201(
図3)へと変換される。
【化13】
【0106】
本実施例では、改質器内における触媒は、Pd-Ag触媒である。別の実施形態では、触媒は、ニッケル固溶体触媒であり、さらに別の実施形態では、触媒は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属スピネルである。
【0107】
この反応器は断熱固定床反応器であり、反応器及び触媒床全体にわたる圧力降下が14psigである。改質器供給原料中のエタノールの99%以上(すなわち、99%~100%)が、H2及びCO2へと変換される。
【0108】
エタノール改質器生成物中には、ある程度のH2O及びCOもまた存在する。エタノール改質器生成物は、改質器供給物流との相互交換によって冷却される。本実施例のエタノール改質器生成物は、圧力スイング吸着(PSA)ユニット内にてさらに処理され、それによってH2が回収される。PSAユニットの前に、改質器生成物流中のH2Oの大部分が、ノックアウト容器内にて除去される。ノックアウト容器の塔頂留出物は、PSAユニットへの供給源となる。大部分が水であるノックアウト容器の塔底液はリサイクルされて、エタノール改質器供給物流を生成するためにエタノール流とブレンドされる水の一部として使用される。圧力スイング吸着ユニットは、H2が豊富なエタノール改質器生成物流から不純物を分離するための固体吸着剤の床を含んでいる。改質器生成物及びPSA供給物流内における高圧H2が、この吸着剤上に吸着される。この吸着床は、不純物を吸着する運転と脱着する運転との間で「スイング」する。これにより、176psigの圧力にて99体積%を超えるH2の組成を有する高圧PSA生成物流が得られる。低圧PSA生成物はテールガスと称され、圧力は20psig、モル組成は約22%H2、71%CO2、5%CO及び2%H2Oである。全体として、PSAユニットを通じて、改質器生成物流内におけるH2の90%が、高圧PSA生成物流である流6内へと至る。
【0109】
低圧PSA生成物流は、依然として、H2、CO及び発電に使用可能な少量の未変換の蒸発液体キャリアを有している(流23)。
【0110】
様々なプロセス及び触媒
本発明は、様々なプロセス及び触媒を提供する。一態様では、本発明は、生産現場にて捕捉された二酸化炭素を利用するためのプロセス「A」を提供する。プロセスAには、以下が含まれる:低炭素電力を動力源とする電解装置を使用して、水から水素流を生成するステップ;炭素捕捉施設又は二酸化炭素パイプラインからの二酸化炭素流を利用するステップ;水素流を二酸化炭素流と共に触媒的に変換することによって、低炭素合成ガス(例えば、H2及びCOの混合物)を生成するステップ;低炭素合成ガスを液体の低炭素H2キャリアへと触媒的に変換するステップ;液体の少なくとも一部(例えば、10%~100%)を生産現場に輸送するステップ;液体の低炭素H2キャリアをH2又は合成ガスへと触媒的に変換するステップ。
【0111】
プロセスAの液体H2キャリアから生成されるH2は、以下の用途に使用され得る:車両の燃料として;化学物質の生成のため;電力の生成のため;グリーンディーゼルの生成のため;低炭素液体燃料を直接生成するため;低炭素化学物質を直接生成するため;低炭素ディーゼル、ナフサ、ジェット燃料の生成に;低炭素かつ高価値の化学製品の生成のため;電力を生成するため。
【0112】
プロセスAにおいて生成される液体水素キャリアは、メタノール、エタノール、プロパノール、メタノール/エタノール混合物、メタノール/プロパノール混合物、エタノール/プロパノール混合物、メタノール/エタノール/プロパノール混合物、炭化水素ナフサを含む、任意の適切なキャリアであり得る。
【0113】
別の態様では、本発明は、水素キャリアを生成して、該水素キャリアを、該水素キャリアが水素と二酸化炭素、又は合成ガスへと変換される現場へと輸送するためのプロセス「B」を提供する。プロセスBには、以下が含まれる:H2流を生成するステップ;CO2流へと変換されるCO2を生成又は取得するステップ;H2及びCO2流を、低炭素合成ガスへと触媒的に変換するステップ;低炭素合成ガスを、液体の低炭素H2キャリアへと触媒的に変換するステップ;低炭素H2キャリア又はその一部を、現場へと輸送するステップ;現場にて、低炭素H2キャリアを、水素及び二酸化炭素、又は合成ガスへと触媒的に変換するステップ。
【0114】
プロセスBのH2流は、典型的には、低炭素電力を動力とする電解装置を使用して水から生成される。所定の場合には、H2流は、水蒸気メタン改質又は自動熱改質によって天然ガスを水素と二酸化炭素とに分解することにより生成される。他の場合には、H2流は、電気的に生成された熱を使用してメタンを熱分解することにより生成される。
【0115】
プロセスBにて参照される低炭素電力は、任意の適切な方法で生成され得る。この低炭素電力は、例えば、風力発電所、太陽光発電所、原子力発電所、水力発電所、地熱発電所、又は、風力発電所若しくは太陽光発電所からの断続的な電力で充電された蓄電池から生成され得る。
【0116】
プロセスBにおいてCO2流へと変換される二酸化炭素は、工業プロセスによるCO2の生成や、周囲空気からのCO2の捕捉等、様々な方法にて生成及び/又は捕捉され得る。工業プロセスの非限定的な例には、燃料の燃焼、化学物質の酸化、ガス化プロセス、石油精製、セメント生成、肥料生成、エタノール生成、電力生成又は下水処理が含まれる。周囲空気からのCO2の回収は、CO2と1つ以上のアミン溶媒との反応、1つ以上の有機金属フレームワーク材料によるCO2の化学吸着又は物理吸着、又は、CO2と金属酸化物材料との反応を伴い得る。
【0117】
いくつかの場合では、プロセスBにて参照されるH2及びCO2流は、RWGS反応器内で低炭素合成ガスへと変換される。RWGS反応器へと供給されるCO2に対するH2の比率は、2.0ml/mol~5.0mol/molの間であり、1,450°F~1,800°Fの温度まで加熱される。
【0118】
多くの場合、プロセスBの低炭素H2キャリアは、メタノール又はエタノールである。低炭素ガスは、例えば、Cu-ZnO系触媒を使用して、メタノールへと変換され得る。また、低炭素ガスは、例えば、タンデム反応器内において3つの触媒を使用して、エタノールへと変換され得る。これら3つの触媒は、Cu-Zn-アルカリ、Rh-Y-アルカリ、及び、Mo-Pdである。低炭素H2キャリアは、任意の適切な手段を使用して別の現場へと輸送され得る。そのような手段には、以下に限定されないが、鉄道、トラック、はしけ、ボート又はパイプラインが含まれる。
【0119】
所定の場合では、プロセスBの低炭素Hキャリアは、水蒸気改質プロセスを使用して、水素及び二酸化炭素を含有する混合物へと触媒的に変換される。この水蒸気改質プロセスは、Pd-Ag触媒、ニッケル固溶体触媒、又は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルから選択される触媒を使用する。
【0120】
他の場合では、プロセスBの低炭素H2キャリアは、触媒を使用して合成ガスへと触媒的に変換される。該触媒は、金属アルミナスピネル基材であって、50m2/g~150m2/gの表面積を有し、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnの1つ以上で含浸された金属アルミナスピネル基材を含んでいる。該触媒はさらに、0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含んでいる。金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される。該触媒は、典型的には、金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換固溶体を含んでいる。H2キャリアがメタノールである場合、メタノールは、多くの場合、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr-1の空間速度にて、60%~95%の通過効率で合成ガスへと変換される。H2キャリアがエタノールである場合、エタノールは、多くの場合、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr-1の空間速度にて、45%~95%の通過効率で合成ガスへと変換される。
【0121】
所定の場合では、プロセスBにおけるH2キャリアは、合成ガスへと触媒的に変換され、その後、LFP反応器供給物として使用される。LFP反応器は、垂直に配向された多管式固定床反応器システムであり、ここで、LFP反応器供給物は、LFP反応器の上部から入る。
【0122】
別の態様では、本発明は、メタノール又はエタノールを合成ガスへと変換するための触媒「C」を提供する。該触媒は、メタノール又はエタノールに結合され、該触媒は、50m2/g~150m2/gの表面積を有する金属アルミナスピネル基材を含む。金属アルミナスピネル基材は、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnのうち1つ又は2つで含浸されている。該触媒は、さらに0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含み、金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される。
【0123】
所定の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにLaを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにCeを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにLaを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Cu、Mgのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにCeを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにLaを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにCeを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにLaを含んでいる。他の場合では、触媒Cの金属アルミナスピネル基材は、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム又はアルミン酸ナトリウムであり、金属アルミナスピネル基材は、Ni、Znのいずれか又は両方で含浸されており、該触媒は、さらにCeを含んでいる、該触媒Cは、金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換固溶体を含み得る。該触媒Cはまた、水素と結合され得る。
【0124】
米国特許出願書類
2003/0113244 A1 06/2003 DuPont et al
米国特許文献
7,718,832 B1 05/2010 Schuetzle et al
8,394,862 B1 03/2013 Schuetzle et al
8,741,001 B1 06/2014 Schuetzle et al
9,090,831 B2 07/2015 Schuetzle et al
9,476,002 B1 10/2016 Schuetzle et al
9,611,145 B1 04/2017 Schuetzle et al
9,631,147 B1 04/2017 Schuetzle et al
10,478,806 B1 11/2019 Schuetzle et al
【0125】
外国特許文献
GB 1995/2279583 A 11/995 Iwanani et al
AU 2015/203898 B2 7/2015 Landau et al
【0126】
他の出版物
Amphlett, J.C., Mann, R.F., Peppley, B.A.: The steam reforming of methanol: mechanism and kinetics compared to the methanol synthesis process(メタノールの水蒸気改質:メタノール合成プロセスと比較したメカニズム及び速度論): Studies in Surface Science and Catalysis, 81, 409-411 (1994).
Artz, J., Muller, T.E., Thenert, K., Kleinekorte, J., Meys, R., Sternberg, A., Bardow, A, Leitner, W: Sustainable conversion of carbon dioxide: An integrated review of catalysis and life cycle assessment(二酸化炭素の持続可能な変換:触媒作用及びライフサイクル寿命の統合レビュー). Chemical Reviews, 1 18, 434-504 (2018).
Bahmanpour, A.M., Heroguel, F., Kilic, M., Baranowski, C.J., Artiglia, L.: Cu-Al spinel as a highly active and catalyst for the reverse water gas shift reaction(逆水性ガスシフト反応のための高活性触媒としてのCu-Alスピネル). ACS Catal., 9, 6243-6251 (2019).
Carraro, F., Fapohunda, A., Paganini, M.C. Agnoli, S.: Morphology and size effect of ceria nanostructures on the catalytic performances of Pd/CeO2 catalysts for methanol decomposition to syngas(合成ガスへのメタノール分解のためのPd/CeO2触媒の触媒性能に対するセリアナノ構造の形態とサイズの影響), ACS Appl. Nano Mater, 1 (4) 1492-1501 (2018).
Centi, G., Perathoner, S.: Opportunities and prospects in the chemical recycling of carbon dioxide to fuels(二酸化炭素の燃料へのケミカルリサイクルにおける機会及び展望). Catalysis Today, 148, 191-205 (2009).
Chen, X., Chen, Y., Song, C., Ji, P., Wang, N., Wang, W., Cui, L.: Recent advances in supported metal catalysts and oxide catalysts for the reverse water-gas shift reaction(逆水性ガスシフト反応のための担持された金属触媒及び酸化物触媒の最近の進歩), Front. Chem., 8, 1-21 (2020)
Choi (2017).
Daza, Y.A., Kuhn, J.N.: CO2 conversion by reverse water gas shift catalysis: Comparison of catalysts, mechanisms, and their consequences for CO2 conversion to liquid fuels(逆水性ガスシフト触媒によるCO2変換:CO2の液体燃料への変換における触媒、メカニズム及びそれらの結果の比較), Royal Society of Chemistry Advances, 6, 49, 675-49,691 (2016).
Dalena, F., Senatore, A., Basile, M., Knani, S., Basile, A., lulianelli, A.: Advances in methanol production and utilization, with particular emphasis toward H2 generation via membrane reactor technology(特に膜反応器技術によるH2生成に重点を置いた、メタノールの生産及び利用の進歩), Membranes, 8, 1-27 (2018)
Fischer, N., Claeys, M., Van Steen, E., Niemantsverdriet, H., Vosloo, M.: Syngas convention - fuels and chemicals from synthesis gas(合成ガス大会-合成ガスからの燃料及び化学薬品): state of the art, 2, 1-200 (2016).
Gumber, S., Gurumoorthy, A.V.P.: Methanol economy versus H2 economy(メタノール経済及びH2経済), in Methanol: Science and Engineering. Basile, A., Dalena, F., editors. Elsevier; Amsterdam, The Netherlands 661-674 (2018).
Han, J.-T., Xue, Z.H., Zhang, K., Wang, H.H., Li, X.H., Chen, J.S.: Atomically dispersed Ni-based anti-coking catalysts for methanol dehydration in a fixed-bed reactor(固定床反応器でのメタノール脱水のための原子分散ニッケルベースのコーキング防止触媒), ACS Catalysis, 10 (21), 12569-12574 (2020).
Hepburn, C., Adlen, E., Beddington, J., Carter, E.A., Fuss, S., Dowell, N.M., Minx, J. C., Smith, P., Williams, C.K.: The technological and economic prospects for CO2 utilization and removal(CO2の利用及び除去についての技術的及び経済的見通し), Nature, 575, 87-97 (2019).
Hurskainen, M., Ihonen, J.: Techno-economic feasibility of road transport of H2 using liquid organic H2 carriers(液体有機H2キャリアを使用したH2道路輸送の技術経済的な実現可能性), International Journal of H2 Energy, 45 (56), 32098-32112 (2020).
Jiang, Z., Xiao, T., Kuznetsov, V.L., Edwards, P.P.: Turning carbon dioxide into fuel(二酸化炭素の燃料への変換). Phil. Trans. R. Soc. A, 368, 3343-3364 (2010).
Lulianelli, A., Ribeirinha, P., Mendes, A., Basile, A.: Methanol steam reforming for H2 generation via conventional and membrane reactors(従来型の膜反応器によるH2生成のためのメタノール水蒸気改質): A review, Renewable and Sustainable Energy Reviews, 29, 355-368 (2014).
Li, W., Wang, H., Jiang, X., Zhu, J., Liu, Z., Guo, X., Song, C.: A short review of recent advances in CO2 hydration to hydrocarbons over heterogeneous catalysts(不均一系触媒による炭化水素へのCO2水和における最近の進歩についての短いレビュー), RSC Adv., 8, 7651 (2018). (2019?)
Lortie, M.: Reverse water gas shift reaction over supported Cu-Ni nanoparticle catalysts(担持されたCu-Niナノ粒子触媒上における逆水性ガスシフト反応), Department of Chemical and Biological Engineering M.S. Thesis, University of Ottawa, Ottawa, Canada (2014).
Matsumurakoji, Y., Tanaka, N., Tode, Tetsuo, Y., Masatake, H.: Catalytic methanol decomposition to carbon monoxide and H2 over nickel supported on silica(ニッケルを担持するシリカによるメタノールの一酸化炭素及びH2への触媒的分解), Journal of Molecular Catalysis A: Chemical, 152, 157-165 (2000)
National Academy of Sciences, Chemical Utilization of CO2 into Chemicals and Fuels, Gaseous Carbon Waste Streams Utilization: Status and Research Needs(CO2の化学物質及び燃料への化学的利用、ガス状炭素廃棄物流の利用:状況及び研究のニーズ), National Academies Press, Washington D.C. (2019).
National Energy Technology Laboratory: Syngas conversion to methanol(合成ガスのメタノールへの変換), www.netl.doe.gov) (2021).
Olah, G. A., Goeppert, A., Surya Prakash, G. K.: Chemical recycling of carbon dioxide to methanol and dimethyl ether - from greenhouse gas to renewable, environmentally carbon neutral fuels and synthetic hydrocarbons(二酸化炭素からメタノール及びジメチルエーテルへのケミカルリサイクル-温室効果ガスから再生可能な環境に優しいカーボンニュートラル燃料及び合成炭化水素まで). J. Org. Chem., 74, 487-498 (2009).
Palo, D.R., Dagle, R.A., Holladay, J.D.: Methanol Steam Reforming for H2 Production(H2生成のためのメタノール水蒸気改質),
Chemical Reviews, 107 (10) 399-4021 (2007).
Preuster, P., Papp, C., Wasserscheid, P.: Liquid organic H2 carriers (LOHC’s): toward a H2-free H2 economy(液体有機H2キャリア(LOHC):H2フリーH2経済に向けて), Accounts of Chemical Research 50 (1), 74-5 (2017).
Ranjekar, A.M., Yadav, G.D.: Steam reforming of methanol for H2 production: A critical analysis of catalysis, processes and scope(H2生成のためのメタノールの水蒸気改質:触媒作用、プロセス及び範囲の重要な分析), Ind. Eng. Chem. Res, 60 (1), 89-1 13 (2021).
Schuetzle, D., Tamblyn, G., Caldwell, M., Schuetzle, R.: Solar reforming of carbon dioxide to produce diesel fuel(ディーゼル燃料を生成するための二酸化炭素の太陽光改質). U.S. Department of Energy report #DE-FE0002558 (2010).
Schuetzle, D., Tamblyn, G., Caldwell, M., Hanbury, O., Schuetzle, R., Rodriquez, R., Johnson, A., Deichert, F., Jorgensen, R., Struble, D: Demonstration of a pilot integrated biorefinery for the efficient, direct conversion of biomass to diesel fuel(バイオマスをディーゼル燃料へと効率的かつ直接変換するためのパイロット統合バイオリファイナリーのデモンストレーション). DOE Technical Report #DE-EE0002876, U.S. Department of Energy Bioenergy Technologies Office (DOE-BTO), Golden, CO, 1-261 (May 2015) (www.researchgate.net)
Schuetzle, D.: Historical and predicted global climate changes and some potential accelerated climate moderation approaches(過去及び予測される地球規模の気候変動と、加速された気候緩和アプローチの候補), 2018 Global Climate Action Summit, San Francisco, CA, 1-42 (2020) (www.researchgate.net).
Shukla, P.R. et al: Climate Change and Land: an IPCC special report on climate change, desertification, land degradation, sustainable land management, food security, and greenhouse gas fluxes in terrestrial ecosystems(気候変動及び土地:気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸上生態系における温室効果ガスフラックスに関するIPCC特別報告書), 2019 Intergovernmental Panel on Climate Change (2019) (www.ipcc.ch)
Sun, F-M., Yan, C-F., Wang, Z-D., Guo, C-Q., Huang, S-L.: Ni/Ce on Zr-0 catalyst for high CO2 conversion during reverse water gas shift reaction (RWGS)(逆水性ガスシフト反応(RWGS)中における高いCO2変換率のためのNi/Ceを担持するZr-0触媒), International Journal of H2 Energy, 40 (46), 15985-15993 (2015)
Tan, E.C.D., Schuetzle, D., Zhang, Y., Hanbury, O., Schuetzle, R.: Reduction of greenhouse gas and criteria pollutant emissions by direct conversion of associated flare gas to synthetic fuels at oil wellheads(石油井頭における関連フレアガスの合成燃料への直接変換による温室効果ガス及び基準汚染物質排出量の削減), International Journal of Energy and Environmental Engineering, 9: 305-321 (2018)
Vogt, C., Monai, M., Kramer, G.J., Weckhuysen, B.M.: The renaissance of the Sabatier reaction and its applications on Earth and in space(サバティエ反応の復興とその地球及び宇宙での応用), Nature Catalysis, 2, 188-197 (2019).
Wang, Y., Liu, T., Lei, L., Chen, F.: High temperature solid oxide H2O/CO2 coelectrolysis for syngas production(合成ガスを生成するための高温固体酸化物H2O/CO2共電解), Fuel Processing Technology, 161 (2016).
Williamson, D., Herdes, C., Torrente-Murciano, L., Jones, M., Mattia, D.: N-doped Fe for combined RWGS-FT CO2 hydration(複合RWGS-FTCO2水和のためのN-ドープFe), 7, 7395-7402, ACS Sustainable Chem. Engineering (2019).
Yan, Z., Hitt, J.L., Turner, J.A., Mallouk, T.E.: Renewable electricity storage using electrolysis(電気分解を使用した再生可能電力貯蔵), Proceedings of the National Academy of Sciences, 117 (23), 12558-12563 (2019).
Xu, X., Shuai, K., Xu, B.: Review on copper and palladium-based catalysts for methanol steam reforming to produce H2(H2を生成するメタノール水蒸気改質用の銅及びパラジウムベースの触媒に関するレビュー). Catalysts, 7:183 (2017).
Zhu, Q.: Developments on CO2-utilization technologies(CO2利用技術の発展), Clean Energy, 3, 85-100 (2019).
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素キャリアを生成して、該水素キャリアを、該水素キャリアが水素及び二酸化炭素、又は合成ガスへと変換される現場へと輸送する方法であって、
a)H
2流を生成するステップと、
b)CO
2流へと変換されるCO
2を生成又は取得するステップと、
c)前記H
2流及び前記CO
2流を、低炭素合成ガスへと触媒的に変換するステップと、
d)前記低炭素合成ガスを、液体の低炭素H
2キャリアへと触媒的に変換するステップと、
e)前記低炭素H
2キャリア又はその一部を、現場へと輸送するステップと、
f)前記現場にて、前記低炭素H
2キャリアを、水素及び二酸化炭素、又は合成ガスへと触媒的に変換するステップと
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記H
2流が、低炭素電力を動力とする電解装置を使用して水から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記H
2流が、水蒸気メタン改質又は自動熱改質によって天然ガスを水素と二酸化炭素とに分解することにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記H
2流が、電気的に生じた熱を使用してメタンを熱分解することにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記低炭素電力が、風力発電所、太陽光発電所、原子力発電所、水力発電所、地熱発電所、又は、風力発電所若しくは太陽光発電所からの断続的な電力で充電された蓄電池から生成される、請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記CO
2が、工業プロセスによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CO
2が、周囲空気から捕捉される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記低炭素H
2キャリアが、メタノール
又はエタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記H
2流及び前記CO
2流が、RWGS反応器内で低炭素合成ガスへと変換され、前記RWGS反応器内へと供給されるH
2のCO
2に対する比率が、2.0m
ol/mol~5.0mol/molであり、1,450°F~1,800°Fの温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記低炭素H
2キャリアが、水蒸気改質プロセスを使用して水素及び二酸化炭素を含有する混合物へと触媒的に変換され、前記水蒸気改質プロセスが、Pd-Ag触媒、ニッケル固溶体触媒、又は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルから選択される触媒を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記低炭素H
2キャリアが、合成ガスへと触媒的に変換され、前記合成ガスが、LFP反応器供給物として使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記CO
2の捕捉が、CO
2と1つ以上のアミン溶媒との反応を伴う、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記CO
2の捕捉が、1つ以上の有機金属
構造体材料によるCO
2の化学吸着又は物理吸着を伴う、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記CO
2の捕捉が、CO
2と金属酸化物材料との反応を伴う、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記CO
2の捕捉が、直接空気捕捉を使用して達成される、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記低炭素
合成ガスが、Cu-ZnO系触媒を使用してメタノールへと変換される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項17】
前記
低炭素H
2
キャリアが、水蒸気改質プロセスを使用して水素及び二酸化炭素を含有する混合物へと触媒的に変換され、前記水蒸気改質プロセスが、Pd-Ag触媒、ニッケル固溶体触媒、又は、1つ以上の第1族元素及び第2族元素で含浸された金属アルミナスピネルから選択される触媒を使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記
低炭素H
2
キャリアが、触媒を使用して合成ガスへと触媒的に変換され、前記触媒が、金属アルミナスピネル基材であって、50m
2/g~150m
2/gの表面積を有し、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnの1つ以上で含浸され、かつ、0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含む金属アルミナスピネル基材を含み、前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記低炭素
合成ガス
が、タンデム反応器内において3つの触媒を使用してエタノールへと変換され、前記3つの触媒は、Cu-Zn-アルカリ、Rh-Y-アルカリ、及び、Mo-Pdである、請求項
8に記載の方法。
【請求項20】
前記LFP反応器が、多管式固定床反応器システムである、請求項
11に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒が、前記金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換型固溶体を含んでいる、請求項
18に記載の方法。
【請求項22】
前記LFP反応器が、垂直に配向されており、ここで、前記LFP反応器供給物が、前記LFP反応器の上部から入る、請求項
20に記載の方法。
【請求項23】
前記低炭素H
2
キャリアが、メタノールであり、前記メタノールが、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr
-1の空間速度にて、60%~95%の通過効率で合成ガスへと変換される、請求項
21に記載の方法。
【請求項24】
前記低炭素H
2
キャリアが、エタノールであり、前記エタノールが、100~450psig、400~550°F、及び、5,000~25,000hr
-1の空間速度にて、45%~95%の通過効率で合成ガスへと変換される、請求項
21に記載の方法。
【請求項25】
メタノール又はエタノールを合成ガスへと変換するための触媒であって、前記触媒が、メタノール又はエタノールに結合され、前記触媒が、50m
2/g~150m
2/gの表面積を有する金属アルミナスピネル基材を含み、前記金属アルミナスピネル基材が、1重量部~15重量部の濃度のCu、Mg、Ni及びZnのうち1つ又は2つで含浸され、前記触媒が、さらに0.1重量%~5重量%のLa又はCeを含み、前記金属アルミナスピネル基材が、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる基材の群より選択される、触媒。
【請求項26】
前記触媒が、前記金属が含浸された金属アルミナスピネル上に、1つ又は2つの置換型固溶体を含んでいる、請求項
25に記載の触媒。
【請求項27】
前記触媒が、水素と結合している、請求項
25に記載の触媒。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
LOHCには、場合によっては経済的な実現可能性を制限するおそれのある、いくつかの欠点もある。顕著な特徴の1つとして、反応エンタルピーが高いことが挙げられる。これは、LOHCからH2を放出するために大量の熱が必要であることを意味する。回避不能な熱伝達損失を考慮すると、熱がH2によって提供される場合、放出されたH2の約25~30%が燃焼することが求められる。さらに、要求される温度レベルが非常に高いため、ほとんどの場合において低価値の廃熱源が使用不可能である。他の欠点の1つとしては、ほとんどの場合において水素化は追加の加圧を要求されるのに対し、脱水素化は大気圧に近い圧力で実行する必要があることが挙げられる。瓶詰めステーションやモビリティ用途等のユーザが高圧H2を必要とする場所では、圧縮のための高いエネルギー需要が生じる。H2の圧縮にはエネルギーが要求され、資本コストが追加される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
この反応は室温で吸熱反応であり、進行のためには熱が必要である。コークス化(炭素形成)又は時間の経過による触媒性能の劣化を最小限に抑える又は無くしつつCO2をCOへと大量に変換するには、高温及び効率的な触媒が必要となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
Han et al (2020) は、窒素ドープ炭素シート内に原子的に分散されたNiサイトを備えた触媒を合成して試験した。彼らは、2種類の触媒を合成した。触媒#1の組成は、Ni18.3重量%を担持する窒素ドープ炭素であり、触媒#2は、触媒#1の酸エッチングによって生成され、それによって、Niは9.3重量%まで減少した。これらの触媒を、15psig、16,000h
-1
の空間速度及び350℃の温度でのメタノールのCO及びH2への変換について試験した。触媒#1及び触媒#2は、24時間後に、それぞれ44%及び2%の活性の低下が生じた。結論として、これらの炭素系触媒は合成が難しく、非常に壊れやすく、経時的な性能の低下が許容できない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
Carraro et al (2018) は、CeO25重量%を担持するPd触媒を合成して、300℃でのメタノールの合成ガスへの変換について試験した。メタノールの変換効率は、変換の最初の5時間については95%であったが、15時間後には約85%まで低下した。触媒の表面分析により、この性能の低下は、触媒表面上における炭素形成の結果であることが実証された。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
Matsumurakoji et al (2000)は、10重量%Niを担持するシリカ触媒を合成し、350℃でのメタノールのCO及びH2への分解についての性能を研究した。彼らは、30時間後に炭素が触媒上に堆積し、触媒効率が大幅に低下させることを発見した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
この触媒は、約50m2/gを超える表面積を有する金属アルミナスピネル基材又は他のアルミナ基材であって、組み合わされた濃度が最大15重量部の以下に示す(Cu、Mg、Ni及びZn)元素の1つ以上と、最大5重量%のLa又はCeとで含浸させられている金属アルミナスピネル基材又は他のアルミナ基材からなり、この金属アルミナスピネルは、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸ナトリウムからなる群より選択される。該触媒は、1つ以上の置換型固溶体を担持する、金属が含浸された金属アルミナスピネルより構成される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
流3(
図1)内のCO
2は、アミン溶媒の使用を含む標準的な手段によって捕捉され得る。本明細書に記載されるCO
2の利用又は変換には、典型的には、CO
2が主要成分でないガス流(例えば、排気煙道ガス)からCO
2を分離及び精製することが含まれる。典型的には、アルキルアミンがガス流からCO
2を除去するために使用される。このプロセスで使用されるアルキルアミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノエトキシエタノール又はそれらの組み合わせが含まれる。有機金属
構造体(MOF)材料は、化学吸着又は物理吸着を使用して希薄流からCO
2を分離する手段としても使用されている。凝縮されたCO
2を収集する他の方法には、循環する金属酸化物材料が燃焼プロセス中に生成されたCO
2を捕捉するケミカルループ燃焼が含まれる。CO
2は、直接空気捕捉(DAC)と称される方法において、大気からも
捕捉され得る。CO
2を捕捉するためのプロセスには、多くの場合、捕捉材料を再生することが含まれる。アルキルアミンは、典型的には低圧蒸気によって加熱することによって再生される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0116
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0116】
プロセスBにおいてCO2流へと変換される二酸化炭素は、工業プロセスによるCO2の生成や、周囲空気からのCO2の捕捉等、様々な方法にて生成及び/又は捕捉され得る。工業プロセスの非限定的な例には、燃料の燃焼、化学物質の酸化、ガス化プロセス、石油精製、セメント生成、肥料生成、エタノール生成、電力生成又は下水処理が含まれる。周囲空気からのCO2の捕捉は、CO2と1つ以上のアミン溶媒との反応、1つ以上の有機金属構造体材料によるCO2の化学吸着又は物理吸着、CO2と金属酸化物材料との反応、又は、直接空気捕捉を伴い得る。
【国際調査報告】