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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】改良された液晶セル
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20240808BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G02F1/1337 515
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503344
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2022072846
(87)【国際公開番号】W WO2023021025
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】17/404,392
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520329911
【氏名又は名称】ライトスペース テクノロジーズ, エスアイエー
【氏名又は名称原語表記】LIGHTSPACE TECHNOLOGIES, SIA
【住所又は居所原語表記】Ziedleju iela 1, Marupe, 2167 Marupes novads Latvia
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】オゾルス アイナルス
(72)【発明者】
【氏名】オスマニス イルマス
(72)【発明者】
【氏名】オスマニス クリス
(72)【発明者】
【氏名】ナールス マーティンス
(72)【発明者】
【氏名】モゾレフスキー ガティス
(72)【発明者】
【氏名】ザベル ロバーツ
【テーマコード(参考)】
2H088
2H290
【Fターム(参考)】
2H088EA14
2H088GA02
2H088GA03
2H088GA17
2H088HA03
2H088KA01
2H088KA05
2H088MA06
2H290AA85
2H290BD01
2H290BD22
2H290BE03
2H290BF33
2H290CB12
2H290CB24
(57)【要約】
液晶セル(5)が開示される。この液晶セルは、光スペクトルの可視部分に対して透明な少なくとも2つの基板(10a、10b)と、基板間に封入された液晶層(18)と、基板上に形成され、基板と液晶層との間に封入された機能層のスタックとを備える。このスタックは、基板から液晶層に向かう方向において、第1の誘電体層(12a、12b)と、透明電極層(14a、14b)と、第2の誘電体層(16a、16b)とを含む。第1の誘電体層の屈折率は、基板の屈折率と透明電極層の屈折率との間にある。第2の誘電体層の屈折率は、透明電極層の屈折率と液晶層の屈折率との間にある。液晶層の屈折率は、液晶層の液晶材料のホメオトロピック配向に対応する
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルであって、
・ 光スペクトルの可視部分に対して透明な少なくとも2枚の基板と;
・ 前記少なくとも2枚の基板の間に封入される液晶層と;
・ 前記少なくとも2つの基板の上に形成され、所定の基板と前記液晶層との間に封入される、複数の機能層からなるスタックと;
を備え、前記スタックは、前記所定の基板から前記液晶層に向かう方向において、
・ 第1の誘電体層と;
・ 透明電極層と;
・ 第2の誘電体層と;
を有し、
前記第1の誘電体層の屈折率は、前記所定の基板の屈折率と前記透明電極層の屈折率との間の範囲にあり、
前記第2の誘電体層の屈折率は、前記透明電極層の屈折率と前記液晶層の屈折率との間の範囲にあり、前記液晶層の屈折率は、前記液晶層の液晶材料のホメオトロピック配向に対応する、
液晶セル。
【請求項2】
前記液晶材料が、ネマチック結晶のベースにキラルドーパントを1-10質量%添加したキラルネマチック液晶である、請求項1記載の液晶セル。
【請求項3】
少なくとも前記第2の誘電体層が酸窒化ケイ素を含む、請求項1又は2に記載の液晶セル。
【請求項4】
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層の少なくとも一方の屈折率が勾配を有するように、酸窒化ケイ素中の酸素と窒素の相対濃度が変化させられている、請求項3に記載の液晶セル。
【請求項5】
前記第1の誘電体層の厚さが50nm-200nmの範囲にある、請求項1から4のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項6】
前記第2の誘電体層の厚さが70nm-500nmの範囲にある、請求項1から5のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項7】
前記第2の誘電体層が、ホメオトロピック配向以外の配向をサポートするようにエッチングされている、請求項1から6のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項8】
前記透明電極層は、酸化インジウムスズ(ITO),ZnOはアルミニウム又は水素でドープされた酸化亜鉛(ZnO),金属ナノワイヤーのメッシュのいずれかを含む、請求項1から7のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項9】
前記少なくとも2つの基板は可撓性である、請求項1から8のいずれかに記載の液晶セル。
【請求項10】
基板を製造する方法であって、
・ 基板上に第1の誘電体層を形成することと;
・ 前記第1の誘電体層の上に透明電極層を形成することと;
・ 前記透明電極層の上に第2の誘電体層を形成することと;
を含み、
前記第1の誘電体層は、前記第1の誘電体層の屈折率が、前記基板の屈折率と前記透明電極層の屈折率との間の範囲にあるように形成され、
前記第2の誘電体層は、前記第2の誘電体層の屈折率が、前記透明電極層の屈折率と液晶材料の屈折率との間の範囲にあるように形成され、前記液晶材料の屈折率は、前記液晶材料のホメオトロピック配向に対応する、
方法。
【請求項11】
少なくとも前記第2の誘電体層が酸窒化ケイ素を含み、該酸窒化ケイ素は、シリコンターゲットと、酸素、窒素及び不活性ガスの雰囲気とを用いて堆積される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
誘電体層を形成することが、酸窒化ケイ素(SiO)中の酸素と窒素の相対濃度を変化させて、第1の誘電体層と第2の誘電体層の少なくとも一方の屈折率に勾配を形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ホメオトロピック配向以外の配向をサポートするために前記第2の誘電体層をエッチングすることを更に含む、請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示事項(以下、本開示という)は液晶セルに関する。更に本開示は、液晶セルに使用する基板を製造する方法に関する。
【背景】
【0002】
典型的な三次元ボリュメトリックディスプレイ(Volumetric Display;ボリュームディスプレイや立体ディスプレイ等とも訳される)は、背面画像投影ユニットとスイッチング光拡散素子のスタックを用いて構成される。従来、光拡散素子は、ポリマーを含まないキラルネマチック液晶で満たされた液晶セルとして実装されてきた。液晶セルのホメオトロピック層はポリイミドで作られている。液晶セルの基板は、典型的には酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;ITO)ガラスである。酸化インジウムスズは透明電極層として使用され、スパッタリングされた数十ナノメートルのオーダーの二酸化ケイ素(SiO)層によってミネラルガラス基板から分離されている。ITOガラスはまた、フレキソ印刷された酸化ケイ素(SiO)の追加層で処理され、光拡散素子の絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage)を高めることで、誘電体バリアとして機能する。酸化ケイ素(SiO)の単層又は多層を、数十ナノメートルから数百ナノメートルのオーダーで透明電極層の上に形成することができる。酸化ケイ素の堆積には真空堆積法を用いることができる。
【0003】
ガラス基板と二酸化ケイ素(SiO)層の屈折率は似たような屈折率を有し、いずれも約1.5であるのに対し、ITO電極層の屈折率は通常1.9-2.1の範囲である。また、酸化ケイ素(SiO)層と液晶層の屈折率は大きく異なり、酸化ケイ素(SiO)層は約1.5であるのに対し、液晶層は約1.7である。ホメオトロピック・ポリイミド層の屈折率は、フレキソ印刷された酸化ケイ素(SiO)層と液晶層との間の屈折率のマッチングを改善しない。液晶セル内で屈折率が異なると、光が強く反射する内部界面が生じる。ディスプレイ用途に使用される場合、これは画像のコントラスト、画像の明るさ、周囲照明条件(ambient lighting condition)に対する光拡散素子の耐性に悪影響を及ぼす。
【0004】
更に、フレキソ印刷された酸化ケイ素(SiO)層の問題点は、相当数の構造欠陥、すなわち穴状の欠陥を有することであり、この欠陥は光拡散素子の誘電抵抗を局所的に低下させ、光拡散素子の絶縁破壊の原因ともなる。動作中、光拡散素子は高電圧にさらされ、セルギャップ全体で8~20MV/mの範囲の電界強度に耐える。
【0005】
酸化ケイ素(SiO)を使用するもう一つの問題は、酸化ケイ素が不定比な二酸化ケイ素(SiO)であり、酸素ダングリングボンドを有することである。従ってこれを、酸素雰囲気中でアニール処理することによって不動態化しなければならない。そうしないと、光拡散素子は、空気中の揮発性有機化合物や水分を吸着して、欠陥を形成したり絶縁破壊を起こしたりしやすくなる。このため、アニールという追加の処理工程が必要となり、かなり時間がかかる(通常、数時間かかる)。
【0006】
光拡散素子の総面積に応じて、ITO電極層は、液晶層内に伝導チャネルが形成された場合に局所電流を制限し、それによって完全な絶縁破壊を防止するように、パターニングすることができる。例えば櫛形状にパターニングすることができる。しかし、このようなパターニングは、光拡散素子の内部表面に散乱を生じされる部分を導入することになり、使用中の知覚される画質に悪影響を及ぼす。
【0007】
液晶セルで使用する基板を製造するための従来のプロセスは、多段階プロセスであり、誘電抵抗とスイッチング特性を提供するが、代償として光学性能を損なう。このため、高駆動電圧に対する耐性を向上させ、また光学性能を向上させるという点で、光拡散素子を改良する必要性が存在する。
【摘要】
【0008】
本開示は、改良された液晶セルに関する。また、本開示は、液晶セルに使用する基板を製造するための改良された方法に関する。更に、本開示は、従来の液晶セルの既存の問題に対する解決策も提供しようとするものである。
【0009】
第1の捉え方によれば、本開示の実施形態は、次のような液晶セルを提供する。この液晶セルは、
・ 光スペクトルの可視部分に対して透明な少なくとも2枚の基板と;
・ 前記少なくとも2枚の基板の間に封入される液晶層と;
・ 前記少なくとも2つの基板の上に形成され、所定の基板と前記液晶層との間に封入される、複数の機能層からなるスタックと;
を備え、前記スタックは、前記所定の基板から前記液晶層に向かう方向において、
・ 第1の誘電体層と;
・ 透明電極層と;
・ 第2の誘電体層と;
を有し、前記第1の誘電体層の屈折率は、前記所定の基板の屈折率と前記透明電極層の屈折率との間の範囲にあり、
前記第2の誘電体層の屈折率は、前記透明電極層の屈折率と前記液晶層の屈折率との間の範囲にあり、前記液晶層の屈折率は、前記液晶層の液晶材料のホメオトロピック配向に対応する。
【0010】
第2の捉え方によれば、本開示の実施形態は、基板を製造するための方法を提供する。この方法は、
・ 基板上に第1の誘電体層を形成することと;
・ 前記第1の誘電体層の上に透明電極層を形成することと;
・ 前記透明電極層の上に第2の誘電体層を形成することと;
を含み、前記第1の誘電体層は、前記第1の誘電体層の屈折率が、前記基板の屈折率と前記透明電極層の屈折率との間の範囲にあるように形成され、
前記第2の誘電体層は、前記第2の誘電体層の屈折率が、前記透明電極層の屈折率と液晶材料の屈折率との間の範囲にあるように形成され、前記液晶材料の屈折率は、前記液晶材料のホメオトロピック配向に対応する。
【0011】
本開示の実施形態は、従来技術における前述の問題を実質的に除去するか、又は少なくとも部分的に対処し、異なる層の間の内部界面からの望ましくない反射を最小限に抑えることによって、液晶セルの光学効率を向上させる。
【0012】
本願に開示されるものの更なる側面や利点、特徴及び目的は、添付の特許請求の範囲と共に解釈される、添付図面及び例示的実施形態の詳細説明によって明らかにされよう。
【0013】
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み合わせることが可能であることも理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上記の摘要、及び例示的な実施形態に関する以下の詳細説明は、添付の図面と併せて読むとより良く理解される。本開示を説明する目的で、本開示の例示的構成を図面に示す。ただし本開示は、本明細書に開示される特定の方法及び装置に限定されるものではない。また、図面の縮尺は正しいものではない。同様の要素は可能な限り同一の番号で示されている。
以下、本開示の実施形態を、例として次の図面を参照しながら説明する。
図1A】本開示の様々な実施形態による液晶セルの断面の概略図である。
図1B】本開示の様々な実施形態による液晶セルの断面の概略図である。
図2】酸窒化ケイ素(SiO)から作られた、ある誘電体層の屈折率(n)が、スパッタリングに使用される混合ガス中の窒素濃度(雰囲気%)によってどのように変化するかを示している。
図3】ある誘電体層の屈折率(n)が、混合ガス中の酸素と窒素の相対濃度(すなわち分圧比)によってどのように変化するかを示している。
図4】本開示の一実施形態による、基板を製造する方法の工程を示す。 添付の図面において、下線付きの番号は、その番号が位置している場所のアイテム又はその番号に隣接するアイテムを表わすために使用される。下線無しの番号は、当該番号から延びる線によって特定されるアイテムに関連付けられる。番号に下線が無く矢印を伴って書かれている場合、その番号は矢印が示す汎用アイテムを特定するために使用される。
【実施形態の詳細説明】
【0015】
以下の詳細説明は、本開示の実施形態及びそれらが実施され得る方法を例示する。本開示を実施するための形態をいくつか開示したが、当業者であれば、本開示を実施するための他の形態も実現可能であることを認識するであろう。
【0016】
第1の捉え方によれば、本開示の実施形態は、次のような液晶セルを提供する。この液晶セルは、
・ 光スペクトルの可視部分に対して透明な少なくとも2枚の基板と;
・ 前記少なくとも2枚の基板の間に封入される液晶層と;
・ 前記少なくとも2つの基板の上に形成され、所定の基板と前記液晶層との間に封入される、複数の機能層からなるスタックと;
を備え、前記スタックは、前記所定の基板から前記液晶層に向かう方向において、
・ 第1の誘電体層と;
・ 透明電極層と;
・ 第2の誘電体層と;
を有し、前記第1の誘電体層の屈折率は、前記所定の基板の屈折率と前記透明電極層の屈折率との間の範囲にあり、
前記第2の誘電体層の屈折率は、前記透明電極層の屈折率と前記液晶層の屈折率との間の範囲にあり、前記液晶層の屈折率は、前記液晶層の液晶材料のホメオトロピック配向に対応する。
【0017】
第2の捉え方によれば、本開示の実施形態は、基板を製造するための方法を提供する。この方法は、
・ 基板上に第1の誘電体層を形成することと;
・ 前記第1の誘電体層の上に透明電極層を形成することと;
・ 前記透明電極層の上に第2の誘電体層を形成することと;
を含み、前記第1の誘電体層は、前記第1の誘電体層の屈折率が、前記基板の屈折率と前記透明電極層の屈折率との間の範囲にあるように形成され、
前記第2の誘電体層は、前記第2の誘電体層の屈折率が、前記透明電極層の屈折率と液晶材料の屈折率との間の範囲にあるように形成され、前記液晶材料の屈折率は、前記液晶材料のホメオトロピック配向に対応する。
【0018】
上述の液晶セルは、従来技術の液晶セルと比較して、光学特性及び誘電特性が改善されている。第1の誘電体層及び第2の誘電体層の屈折率は、それぞれの隣接層(すなわち、それらが挟まれた層)の屈折率の間に位置するように調整されている。第1の誘電体層及び第2の誘電体層は、基板から透明電極層、更には液晶層内部へと、遊離イオンや不純物が移動することを妨げるバリアとしても機能するが、それに加えて、屈折率を整合させるための層としても機能する。つまり、液晶セル内のある層から別の層へと屈折率が急激に変化することがない。これにより、異なる層の間の内部界面からの不要な反射を最小限に抑えることができ、液晶セルの光学効率が向上する。
【0019】
前述の液晶セルは、画像再生に応用できる。一例として、液晶セルは、固体ボリュメトリック三次元ディスプレイの光拡散素子(すなわち過渡光シャッター)として実用化され得る。一例として、ボリュメトリック三次元ディスプレイは、このような光拡散素子のスタックと共に背面画像投影ユニットを採用することができる。これにより、ボリュメトリック三次元ディスプレイは多焦点表示アーキテクチャを有することができ、機器により補助されていない人間の目にも見える三次元画像を形成することができる。
【0020】
実施形態によっては、前記少なくとも2つの基板は可撓性である。この点に関して、前記少なくとも2つの基板は、実施形態によっては光学的に透明な有機材料で作られる。一例として、基板は、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)などで作られたシート又はフィルムとして実装され得る。このようなフレキシブル基 板を液晶セルに採用する技術的利点は、従来の硬質ガラス基板を採用した液晶セルと比較して、液晶セルを薄く、軽量にし、破損のし易さが大幅に低下した堅牢なものにし、耐久性を高くすることである。
【0021】
あるいは、上記少なくとも2枚の基板をミネラルガラスで作ることもできる。ミネラルガラスは、ディスプレイ用ガラス、ソーダ石灰ガラス、石英、又は他の類似のガラス材料であり得る。
【0022】
実施形態によっては、上記少なくとも2つの基板は、光スペクトルの赤外線部分に対しても透明である。
【0023】
実施形態によっては、少なくとも上記第2の誘電体層は酸窒化ケイ素(SiO)を含む。実施形態によっては、上記第1の誘電体層も酸窒化ケイ素(SiO)を含む。実施形態によっては、第1の誘電体層は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化ケイ素(SiO)のいずれかで作られる。
【0024】
誘電体層に酸窒化ケイ素(SiO)を使用することには多くの技術的利点があるが、その1つは、誘電体層に孔のような構造欠陥がないことであり、その結果、酸化ケイ素(SiO)から作られる誘電体層と比較して、誘電体層の絶縁耐力が大幅に向上することである。実際、フレキソ印刷SiOの特徴として孔状の構造欠陥がある。SiO(SiO)をスパッタリングした場合、品質は向上するが、酸素ダングリングボンドに悩まされ、不動態化処理としてアニールが必要となる。酸窒化ケイ素(SiO)の誘電率は、その中の酸素と窒素の比率に依存する。酸窒化ケイ素(SiO)の誘電率は6-10の範囲にあるが、酸化ケイ素(SiO)の誘電率ははるかに小さく、3.3-4.4の範囲にあり、従来の液晶ディスプレイで使用されている典型的なポリイミドの誘電率は約3.6である。酸化ケイ素(SiO)には多くのダングリング酸素ボンドがあり、これが液晶材料の分子と相互作用して、酸化ケイ素(SiO)を使用した液晶セルのスイッチング特性を望ましくない方向に変化させる可能性がある。この点、酸窒化ケイ素に窒素を含ませることで、このようなダングリングボンドがなくなり、それによって、誘電体層が湿気や揮発性有機化合物の影響を受けにくくなる。また、酸化ケイ素(SiO)を含む誘電体層の場合のように、酸素雰囲気中で熱アニールを行う必要もない。その結果、液晶セル内の多くの不純物を最小限に抑えることができるため、早期故障率を最小限に抑え、セルの故障を防止することができる。更に、少なくとも第2の誘電体層には穴のような構造欠陥がなく、液晶セルの全体的な絶縁耐力が向上するため、局所電流を制限するために透明電極層をパターニングする必要がない。スクライブラインやアブレーションラインが液晶セルに存在しないため、不要な光散乱が発生しない。その結果、液晶セルの透明性が向上する。従って、液晶セルの光学特性が大幅に改善される。
【0025】
前述のように、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の屈折率は、それぞれの隣接層(すなわち、これらを挟む層)の屈折率の間に位置するように調整されている。この点、酸窒化ケイ素(SiO)を用いると、第1の誘電体層と第2の誘電体層の屈折率を、広い範囲で調整することが可能になる。例えば1.5-1.8、あるいはそれ以上の範囲で調整することが可能になる。一例として、第1の誘電体層の屈折率を1.6から1.7の範囲になるように調整することができる。酸化ケイ素(SiO)の場合、酸窒化ケイ素(SiO)に比べて屈折率を調整することが可能な程度は低い。しかしそれでも、酸化ケイ素(SiO)を第1の誘電体層として使用することは可能である。
【0026】
実施形態によっては、第1の誘電体層及び第2の誘電体層は、適切なプラズマ堆積(PVD)プロセスを用いて基板上に形成される。PVDプロセスの一例は、反応性スパッタリングプロセス(reactive sputtering process)であり、反応性雰囲気内で導電性又は半導電性スパッタリングターゲットを用いる。本開示の実施形態に適合する、好ましいスパッタリングプロセスは、マグネトロンイオンスパッタリングとしても知られる中周波(MF)マグネトロン反応性スパッタリングである。スパッタリングを用いて酸窒化ケイ素(SiO)を堆積させることの技術的利点は、内部応力が低くなることであり、その結果、従来のシリコン酸化物層と比較して、基板の反りが低減されることである。そしてその結果、ファブリペロー効果(Fabri-Perrot effect)による選択反射に伴う光学的欠陥が最小限に抑えられる。また、マグネトロンイオンスパッタリングは高い歩留まりを提供するため、大規模な製造に適している。更に、実施形態によっては、第1の誘電体層と第2の誘電体層を原子層堆積法で形成することもできる。しかし、PVDは、コスト、成膜速度、品質、プロセス制御の面で、原子層堆積法より優れている。
【0027】
酸窒化ケイ素(SiO)を成膜して誘電体層を形成する場合、酸素と窒素を混合したキャリアガスとしてアルゴンを使用し、半導電性スパッタリングターゲットとしてシリコンを使用することができる。スパッタリングターゲットは、平面シリコンターゲット又は回転シリコンターゲットとすることができる。混合ガス中の反応性成分として酸素と窒素を使用する特定のケースでは、第1の誘電体層と第2の誘電体層の形成に同じスパッタリングターゲットを使用することが可能である。第1の誘電体層及び第2の誘電体層が、それぞれ酸化ケイ素(SiO)又は酸窒化ケイ素(SiO)の堆積によって形成される場合、少なくとも2つの異なるスパッタリングターゲットが必要であることが理解されよう。このため、これらの誘電体層を形成する工程が若干複雑になる。
【0028】
実施形態によっては、酸窒化ケイ素(SiO)中の酸素と窒素の相対濃度を変化させて、第1の誘電体層と第2の誘電体層の少なくとも一方の屈折率に傾きをつける。酸窒化ケイ素(SiO)中の酸素と窒素の相対濃度は、モル比、体積比、スパッタリング工程が行われる真空チャンバ内の酸素と窒素の分圧のいずれかに依存する。一例として、ある誘電体層を、複数の薄い連続したサブ層(例えば、3層、4層、5層又はそれ以上)を形成することによって作成することができる。異なるサブ層を形成する際には、異なる相対濃度(酸素と窒素の相対濃度)が用いられる。このようにして形成された誘電体層の屈折率は勾配を有するように変化する。実施形態によっては、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の少なくとも一方の厚さに亘って屈折率が直線的に変化するように、酸素と窒素の相対濃度がリアルタイムで変化させられる(すなわち調整される)。
【0029】
第1の誘電体層及び第2の誘電体層は、好ましくは、従来の液晶セルと比較して厚くされる。実施形態によっては、第1の誘電体層の厚さは50nmから200nmの範囲にある。第1の誘電体層の厚さは、50nm、55nm、60nm又は65nmから、80nm、100nm、140nm又は200nmまでとすることができる。一例として、第1の誘電体層の厚さは60nmから80nmの範囲にある。実施形態によっては、第2の誘電体層の厚さは70nmから500nmの範囲にある。第2の誘電体層の厚さは、70nm、120nm、150nm又は175nmから、150nm、200nm、250nm、350nm又は500nmまでとすることができる。一例として、第2の誘電体層の厚さは150nmから250nmの範囲にある。
【0030】
第2の誘電体層に酸窒化ケイ素(SiO)を使用する更なる技術的利点は、液晶材料の分子のホメオトロピック配向を容易にすることである。本開示を通じて、「ホメオトロピック配向」という用語は、液晶材料の棒状分子が所定の基板に対して垂直に配向する状態を表す。言い換えれば、「液晶材料のホメオトロピック配向」とは、液晶層が光学的に透明である状態に関係する、液晶材料の分子の配向である。第2の誘電体層を形成するために酸窒化ケイ素(SiO)を堆積する場合、ホメオトロピック配向を促進するためにホメオトロピック・ポリイミドを堆積する必要がないため、追加の材料や追加の処理工程が不要になる。第2の誘電体層(酸窒化ケイ素(SiO)製)と直接接触するか、その近傍にある液晶材料の分子は、ホメオトロピックに整列する。更に、酸窒化ケイ素(SiO)を用いた場合、従来のホメオトロピック・ポリイミド層に比べて、液晶セルのスイッチング速度(液晶セルが第1の光学状態から第2の光学状態に切り替わる速度)が向上する。ここで、第1の光学状態及び第2の光学状態は、それぞれ、液晶セルが光学的に拡散した状態及び光学的に透明である状態であってもよい。光学的に拡散した状態は液晶材料のフォーカルコニック状態に対応し、光学的に透明な状態は液晶材料のホメオトロピック配向に対応する。
【0031】
実施形態によっては、第2の誘電体層は、ホメオトロピック配向以外の配向をサポートするようにエッチングされる。このようなエッチングは、例えば、斜め入射イオンエッチング(angled ion etching)として実施することができる。一例として、このようなエッチングにより、液晶材料の分子において60度から89度の範囲にある配向を達成することができる。このようなオフホメオトロピック配向(ホメオトロピックからずれた配向,off-homeotropic alignment)を利用することで、第1の光学状態から第2の光学状態へのスイッチングと、第2の光学状態から第1の光学状態へのスイッチングとの間の有用そうな妥協点を得ることができる。ホメオトロピック配向の利用は、第2の光学状態から第1の光学状態への(すなわち、透明状態から拡散状態への)スイッチング速度と比較して、第1の光学状態から第2の光学状態への(すなわち、拡散状態から透明状態への)スイッチング速度を速くすることが理解されよう。一方、オフホメオトロピック配向は、全スイッチングサイクルに必要な合計時間の短縮を達成する目的に適合しており、そのような液晶セルでの画像出力の実用化において重要である。
【0032】
実施形態によっては、透明電極層は、酸化インジウムスズ(ITO),ZnOはアルミニウム又は水素でドープされた酸化亜鉛(ZnO),金属ナノワイヤーのメッシュのいずれかを含む。
【0033】
酸化インジウムスズ(ITO)を含む透明電極層のシート抵抗は、40オーム/平方から150オーム/平方である。
【0034】
透明電極層は、PVDプロセスを用いて成膜されることもできる。一例として、酸化インジウムスズ(ITO)をDCマグネトロンスパッタリングで成膜することができる。この場合、平面状の酸化インジウムスズ(ITO)ターゲットを採用することができる。
【0035】
実施形態によっては、液晶材料は、ポリマーを含まないコレステリック液晶である。実施形態によっては、液晶材料はキラルネマチック液晶である。キラルネマチック液晶は、ネマチック結晶のベースと、1-10質量%添加されたキラルドーパント(例として、5グラムのキラルドーパントと95グラムのネマチック結晶のベース)とを含む。キラルドーパントの濃度は、キラルドーパントのらせんねじれ力に依存する。高いねじり力(twisting power)を有するキラルドーパントの場合、実施形態によっては、キラルドーパントの濃度は1-4質量%の範囲にある。実施形態によっては2-2.5質量%の範囲にある。低いねじり力を有するキラルドーパントの場合、実施形態によっては、キラルドーパントの濃度は4-10質量%の範囲にある。実施形態によっては8-8.5質量%の範囲にある。実用的な用語では、「質量%」は、一般に、液晶材料全体の質量(x+y)グラム中のドーパントの質量(x)グラム、すなわちx/(x+y)%を表す。
【0036】
このような液晶材料を使用する技術的利点は、ポリマーを含む液晶材料とは対照的に、光重合の工程が不要なため、製造工程が緩和されることである。これにより、製造工程の歩留まりと再現性が向上する。電気光学的観点からは、安定性を与えるネットワークポリマーがないため、電界の印加又は除去に伴う液晶セルの前述の光学状態間の切り替えの応答時間が速くなる。
【0037】
実施形態によっては、液晶セルは、少なくとも2つの基板間に配置される複数のスペーサーを更に含む。液晶層の厚さは、スペーサーのサイズに依存する。このようなスペーサーを使用することにより、液晶セルの均一な厚みが保証される。その結果、液晶セルの全領域に亘って均一な光学特性が得られる。実施形態によっては、上記複数のスペーサーの屈折率は、第2の光学状態、すなわち光学的に透明な状態における液晶層の屈折率に対応するように選択される。これにより、複数のスペーサーと液晶材料との間の内部界面からの不要な反射を最小限に抑えることができ、液晶セルの光学効率が向上する。
【0038】
実施形態によっては、液晶セルは、少なくとも2つの基板間の液晶層をシールする、ポリマー材料の封止外郭部も含んでいる。封止外郭部は、液晶材料を空気やほこり(周囲雰囲気)から保護し、従って、液晶セルの信頼性の高い動作を保証する。少なくとも2枚の基板を押し付ける際に液晶セルの周囲にポリマー材料を堆積させ、その後重合させて、封止外郭部を形成することができる。
【0039】
液晶材料を充填する際、少なくとも2枚の基板のうち少なくとも1枚は、複数のスペーサーの塗布が施される。液晶材料は様々な技術を用いて充填することができる。その一つは、真空チャンバ内で毛細管現象を採用する技術であり、液晶セルはポートを残すように密閉され、毛細管現象によって液晶材料が充填される。これらの技術のもう1つは、ODF(ワン・ドロップ・フィル)プロセスである。このプロセスは直接充填プロセスであり、少なくとも2つの基板を圧着して液晶セルを封止する前に、(機能層のスタックで処理された)少なくとも2つの基板の一方に液晶材料の液滴を直接吐出する。液晶材料の液滴を直接吐出するには、精密なマイクロディスペンサを必要とする。
【0040】
本開示はまた、上述の方法にも関する。本方法は、液晶セルを組み立てる前に実施される。前述の第1の捉え方に関して上に開示された様々な実施形態及び変形例は、本方法に準用される。
【0041】
実施形態によっては、この方法において、少なくとも第1の誘電体層と第2の誘電体層は、マグネトロンイオンスパッタリングを用いて基板上に形成される。
【0042】
実施形態によっては、本方法において、少なくとも第2の誘電体層は酸窒化ケイ素(SiO)を含む。これに関して、酸窒化ケイ素は、シリコンターゲットと、酸素、窒素及び不活性ガスによる雰囲気を用いて堆積される。実施形態によっては、上記第1の誘電体層は酸窒化ケイ素(SiO)を含む。
【0043】
実施形態によっては、誘電体層を形成するステップは、酸窒化ケイ素(SiO)中の酸素と窒素の相対濃度を変化させて、第1の誘電体層と第2の誘電体層の少なくとも一方の屈折率に勾配を形成することを含む。一例として、ある誘電体層を、複数の薄い連続したサブ層を形成することによって作成することができる。異なるサブ層を形成する際には、異なる相対濃度(酸素と窒素の相対濃度)が用いられる。その結果、所定の誘電体層の屈折率は傾斜的に変化する。実施形態によっては、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の少なくとも一方の厚さに亘って屈折率が直線的に変化するように、酸素と窒素の相対濃度がリアルタイムで変化させられる(すなわち調整される)。更に実施形態によっては、nx=(n2-n1)/2の屈折率又はそれに近い(±10%の範囲の)屈折率を有する層を使用することができる。ここで、n1とn2はマッチングが必要な屈折率である。
【0044】
有益なことに、前述の方法は、単一の一体化されたプロセスとして実行され得る。説明のためにのみ、第1の誘電体層及び第2の誘電体層が酸窒化ケイ素(SiO)を堆積することによって形成される例示的な実装形態を検討する。このような実装形態では、本願の方法は、酸窒化ケイ素(SiO)が堆積される第1の堆積ゾーンと、例えば酸化インジウムスズ(ITO)が堆積される第2の堆積ゾーンとで実施されてもよい。この実装形態では、本願の方法は、真空チャンバを離れる必要なく基板上で実施される。汚染が除去された基板は次のように処理される。
・ 第1の堆積ゾーンで第1の誘電体層を形成する。
・ 第2の堆積ゾーンへと基板を場所移動させる。
・ 第2の堆積ゾーンで透明電極層を形成する。
・ 基板を第1の堆積ゾーンに戻す。
・ 第1の堆積ゾーンで第2の誘電体層を形成する。
【0045】
第2の堆積ゾーンは、相互汚染の可能性が生じないやり方で、第1の堆積ゾーンから遮断されている。
【0046】
実施形態によっては、本願の方法は、ホメオトロピック配向以外の配向をサポートするために第2の誘電体層をエッチングすることを更に含む。このようなエッチングは、反応性イオンエッチングを用いて行ってもよい。エッチングのステップは、真空条件を解除することなく、実施例で例示した前述のステップに続いて実施してもよい。あるいは、エッチングのステップは、別の真空チャンバ内で独立したステップとして実行してもよい。
【0047】
[実験結果]
【0048】
酸窒化ケイ素(SiO)を堆積して形成する場合、第1の誘電体層の好ましい厚さは60nm-80nm(例えば70nm)の範囲にあり、第2の誘電体層の好ましい厚さは175nm-225nm(例えば200nm)の範囲にあることが実験的に観察されている。また、酸窒化ケイ素(SiO)を用いると、従来のホメオトロピック・ポリイミド層を用いた液晶セルと比較して、液晶セルのスイッチング速度が向上することが実験的に観察されている。従来のホメオトロピック・ポリイミド層を用いた液晶セルと比較して、スイッチング速度の平均向上率は2~5%の範囲である。
【0049】
[図面の詳細説明]
【0050】
図1A及び図1Bは、本開示の様々な実施形態による液晶セル5の断面の概略図である。液晶セル5は、
・ 要素10a及び10bとして描かれている少なくとも2枚の基板と;
・ 基板10a、10bのそれぞれに形成された機能層のスタックと;
・ 要素12a及び12bとして描かれている第1の誘電体層と;
・ 要素14a及び14bとして描かれている透明電極層と;
・ 要素16a及び16bとして描かれている第2の誘電体層と;
・ 少なくとも2枚の基板10a,10bの間に位置する液晶層18と;
を備える。
【0051】
図1Bを参照すると、実施形態によっては、液晶セル5は更に、
・ 要素20a及び20bとして描かれている複数のスペーサーと;
・ 要素22a及び22bとして描かれている封止外郭部と;
を備える。
【0052】
当業者であれば、図1A及び図1Bは、明確化のために、液晶セル5の簡略化された構造を描いていることを理解するだろう。これらの図は、本明細書における特許請求の範囲を不当に制限すべきではない。当業者は、本開示の実施形態の多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。
【0053】
図2は、酸窒化ケイ素(SiO)から作られた、ある誘電体層の屈折率(n)が、スパッタリングに使用される混合ガス中の窒素濃度(雰囲気%)によってどのように変化するかを示している。
【0054】
一方、図3は、ある誘電体層の屈折率(n)が、混合ガス中の酸素と窒素の相対濃度(すなわち分圧比)によってどのように変化するかを示している。
【0055】
図2及び図3から、誘電体層の屈折率が、混合ガス中の窒素濃度によって直線的に変化しうることを見ることができる。
【0056】
図4には、本開示の一実施形態による、基板を製造する方法の工程が示されている。ステップS4.1では、基板上に第1の誘電体層が形成される。ステップS4.2では、第1の誘電体層上に透明電極層が形成される。ステップS4.3で、透明電極層の上に第2の誘電体層が形成される。本方法では、第1の誘電体層は、その屈折率が、基板の屈折率と透明電極層の屈折率との間の範囲にあるように形成される。
【0057】
一方、第2の誘電体層は、その屈折率が、透明電極層の屈折率と液晶材料の屈折率との間の範囲にあるように形成される。ここで液晶材料の屈折率は、液晶材料のホメオトロピック配向に対応する。
【0058】
上述のステップは単なる例示であって、代替的なステップも含むことができる。すなわち、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ又は複数のステップを加えたり、1つ又は複数のステップを除いたり、1つ又は複数のステップを別の順序で実行したりすることができる。
【0059】
添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、前述の本開示の実施形態を変更することが可能である。本開示を説明及び請求するために使用される「含む」、「備える」、「組み込む」、「有する」、「である」などの表現は、非排他的に解釈されることを意図しており、すなわち、明示的に記載されていない項目や部品、構成要素が存在することを許容する。要素が複数であることを明示しなかったとしても、当該要素が複数存在することを妨げない。本明細書で使用される「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、順序や量、重要性を示すものではなく、ある要素を他の要素と区別するために使用されているに過ぎない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【国際調査報告】