(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】直接採血用の流出防止コンポーネントを備えたPIVC一体型溶血低減アクセサリ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/154 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61B5/154
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504570
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022040251
(87)【国際公開番号】W WO2023022950
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャダブ、アマールシン デェーリプラオ
(72)【発明者】
【氏名】オースティン、アビン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA01
4C038UA10
4C038UD04
(57)【要約】
流量制限デバイスは、内部流体チャネルを含む近位ハウジングと、内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、近位ハウジングと遠位ハウジングの間に介在する中間ハウジングとを含むことができる。中間ハウジングは、内部チャンバと、内部チャンバ内に往復動可能に配置されたスライダとを含むことができる。スライダは、内部流体チャネルと、内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールとを含むことができ、(i)スライダの内部流体チャネルが近位ハウジングおよび遠位ハウジングの内部流体チャネルと軸方向に整列し、流体がそれらを通って流れることを可能にする第1の位置と、(ii)スライダの内部流体チャネルが近位ハウジングおよび遠位ハウジングの内部流体チャネルと整列せず、シールが近位ハウジングと遠位ハウジングの間の流体接続を遮断する第2の位置との間で往復移動可能とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制限デバイスであって、
流体収集デバイスに結合するように構成され、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを含む近位ハウジングと、
カテーテルアセンブリに結合するように構成され、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、
前記近位ハウジングと前記遠位ハウジングの間に介在する中間ハウジングと
を備え、
前記中間ハウジングは、
内部チャンバと、
前記内部チャンバ内に往復動可能に配置されたスライダと
を備え、
前記スライダは、
前記スライダを横方向に貫通して延びる内部流体チャネルと、
前記内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールと
を備え、
前記スライダは、
(i)前記スライダの前記内部流体チャネルが前記近位ハウジングおよび前記遠位ハウジングの前記内部流体チャネルと軸方向に整列し、流体が前記遠位ハウジングから前記中間ハウジングを介して前記近位ハウジングに流れることを可能にする第1の位置と、
(ii)前記スライダの前記内部流体チャネルが前記近位ハウジングおよび前記遠位ハウジングの前記内部流体チャネルと整列せず、前記シールが前記近位ハウジングと前記遠位ハウジングの間の流体接続を遮断する第2の位置と
の間で往復移動可能になっている、流量制限デバイス。
【請求項2】
前記中間ハウジングは、前記内部チャンバの両側で横方向に貫通して延びる内部流体チャネルをさらに備える、請求項1に記載の流量制限デバイス。
【請求項3】
前記中間ハウジングは弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、前記内部チャンバ内に取り付けられ、前記スライダに結合され、常閉状態では、非圧縮の前記弾性部材が前記スライダを前記第2の位置に付勢するようになっている、請求項2に記載の流量制限デバイス。
【請求項4】
軸方向の力を受けると、前記弾性部材は圧縮して、前記スライダを前記第2の位置における前記常閉状態から前記第1の位置に移動させ、前記近位ハウジング、前記遠位ハウジング、および前記中間ハウジングの前記内部流体チャネルを通る流れを可能にする、請求項3に記載の流量制限デバイス。
【請求項5】
前記中間ハウジングはマウントをさらに備え、前記マウントは、前記内部チャンバ内に配置され、外面と、少なくとも部分的に内部を通る内腔を画定する内面とを有し、前記スライダの少なくとも一部は、前記内腔内に往復動可能に配置され、前記弾性部材は、前記マウントの前記外面の周囲に配置され、前記外面に結合される、請求項3に記載の流量制限デバイス。
【請求項6】
前記内部チャンバは、前記中間ハウジングの外面を通って前記中間ハウジングの外部まで延び、前記スライダは、ヘッド、本体、およびステムを備える、請求項5に記載の流量制限デバイス。
【請求項7】
前記第2の位置において、前記ヘッドの少なくとも一部は、前記中間ハウジングの前記外部まで延びている、請求項6に記載の流量制限デバイス。
【請求項8】
前記近位ハウジング、前記中間ハウジング、および前記遠位ハウジングの前記内部流体チャネルと、前記流体が前記遠位ハウジングから前記近位ハウジングおよび前記流体収集デバイス内に通って流れる前記スライダの前記内部流体チャネルとは、前記第1の位置において、前記流量制限デバイスを通る直線状の内部流路を画定する直線状の流体チャネルを備える、請求項2に記載の流量制限デバイス。
【請求項9】
前記遠位ハウジングから前記近位ハウジングへ、および前記流体収集デバイスへ流入する前記流体は血液を含み、前記流体収集デバイスは採血デバイスを含む、請求項1に記載の流量制限デバイス。
【請求項10】
前記採血デバイスはルアーロックアクセスデバイスを備える、請求項9に記載の流量制限デバイス。
【請求項11】
流量制限デバイスを製造する方法であって、
少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた近位ハウジングを成形するステップと、
少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた遠位ハウジングを成形するステップと、
中間ハウジングの外面を通って延びる内部チャンバを備えた、前記中間ハウジングを成形するステップと、
横方向に貫通して延びる内部流体チャネルを備えたスライダを成形するステップと、
前記内部流体チャネルを除く前記スライダの少なくとも一部の上にわたってシールをオーバーモールドするステップと、
オーバーモールドされたシールを備えた前記スライダを前記中間ハウジング内に取り付けるステップと、
前記中間ハウジングを前記近位ハウジングと前記遠位ハウジングとの間に結合するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記中間ハウジングを成形するステップは、前記内部チャンバの両端で少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた前記中間ハウジングを成形するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中間ハウジングを成形するステップは、前記内部チャンバから半径方向内側に延び、外面と、少なくとも部分的に内部を通って延びる内腔を画定する内面とを含むマウントを備えた前記中間ハウジングを成形するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
オーバーモールドされたシールを備えた前記スライダを前記中間ハウジング内に取り付けるステップは、弾性部材を前記スライダに結合するステップと、前記弾性部材が、前記マウントの前記外面を取り囲み、前記外面にさらに結合される状態で、前記スライダを少なくとも部分的に前記内腔内に取り付けるステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間ハウジングを前記近位ハウジングと前記遠位ハウジングとの間に結合するステップは、前記中間ハウジングを前記近位ハウジングおよび前記遠位ハウジングに超音波溶接するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
採血システムであって、
採血デバイスと、
カテーテルアセンブリと、
前記採血デバイスに流体結合された流量制限デバイスと
を備え、
前記流量制限デバイスは、
中間ハウジングと、
前記カテーテルアセンブリに結合され、少なくとも部分的に内部を通って延びる内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、
前記採血デバイスに結合され、少なくとも部分的に内部を通って延びる内部流体チャネルを含む近位ハウジングと
を備え、
前記中間ハウジングは、
内部チャンバと、
前記内部チャンバの両側に貫通して延びる内部流体チャネルと、
前記内部チャンバ内に往復動可能に取り付けられたスライダと
を備え、
前記スライダは、
横方向に貫通して延びる内部流体チャネルと、
前記内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールと
を備え、
前記スライダの非作動状態では、前記スライダの前記内部流体チャネルは、前記近位ハウジング、前記遠位ハウジング、および前記中間ハウジングの前記内部流体チャネルと整列せず、前記シールは、前記近位ハウジングと前記遠位ハウジングの間の流体接続を遮断するようになっている、採血システム。
【請求項17】
前記スライダの作動状態において、前記スライダの前記内部流体チャネルは、前記近位ハウジング、前記遠位ハウジング、および前記中間ハウジングの前記内部流体チャネルと軸方向に整列し、血液が前記遠位ハウジングから前記内部流体チャネルを介して前記近位ハウジングに流れることを可能にする、請求項16に記載の採血システム。
【請求項18】
前記内部チャンバは、前記中間ハウジングの外面を通って前記中間ハウジングの外部まで延び、前記中間ハウジングは、弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、前記内部チャンバ内に取り付けられ、前記スライダに結合され、前記非作動状態では、非圧縮の前記弾性部材が前記スライダを少なくとも部分的に前記中間ハウジングの前記外部に延びるように付勢するようになっている、請求項17に記載の採血システム。
【請求項19】
軸方向の力を受けると、前記弾性部材は圧縮して、前記スライダを前記非作動状態から前記作動状態に移動させ、前記近位ハウジング、前記遠位ハウジング、および前記中間ハウジングの前記内部流路を通って前記血液が流れることを可能にする、請求項18に記載の採血システム。
【請求項20】
前記中間ハウジングは、マウントをさらに備え、前記マウントは、前記内部チャンバ内に配置され、外面と、少なくとも部分的に貫通する内腔を画定する内面とを有し、前記スライダの少なくとも一部は、前記内腔内に往復動可能に配置され、前記弾性部材は、前記マウントの前記外面の周囲に配置され、前記外面に結合される、請求項18に記載の採血システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広く言えば、採血および患者への非経口液の投与に関するものであり、特に、血液流出を低減しながらPIVC採血における溶血を低減するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは様々な注入療法に一般的に使用される。例えば、カテーテルは、生理食塩水、様々な薬剤、および完全非経口栄養などの流体を患者に注入するために使用することができる。カテーテルは、患者から血液を採取するために使用されることもある。
【0003】
一般的なタイプのカテーテルは、オーバーザニードル末梢静脈(「IV」)カテーテル(PIVC)である。その名前が示すように、オーバーザニードルカテーテルは、鋭い遠位先端を有する導入針の上にわたって取り付けることができる。カテーテルアセンブリは、カテーテルハブと、カテーテルハブから遠位方向に延びるカテーテルと、カテーテルを通って延びる導入針とを含むことができる。カテーテルおよび導入針は、導入針の遠位先端がカテーテルの遠位先端を越えて延び、針の斜面が患者の皮膚から離れる方向を上に向けるように組み立てられ得る。カテーテルおよび導入針は一般的に、浅い角度で皮膚を通して患者の血管系に挿入される。
【0004】
導入針および/またはカテーテルが血管内に適切に配置されていることを確認するために、臨床医は一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバ内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の配置が確認されると、臨床医は、血管系内の流れを一時的に遮断して針を取り外し、将来の採血または輸液に備えてカテーテルを所定の位置に残すことができる。
【0005】
患者からの採血または血液サンプルの収集には、採血容器が使用される場合がある。採血容器は、注射器を含むことができる。あるいはまた、採血容器は、一端にゴム栓を備えた試験管を含むことができる。いくつかの例では、試験管は、空気のすべてまたは一部が試験管から除去されているため、試験管内の圧力が周囲圧力より低くなる。このような採血容器は、内部真空または真空管と呼ばれることがよくある。一般的に使用される採血容器は、Becton Dickinson&Companyから入手可能なVACUTAINER(登録商標)採血管である。
【0006】
採血容器は、カテーテルにすることができる。採血容器がカテーテルに結合されると、静脈内の圧力が採血容器内の圧力よりも高くなり、血液が採血容器内に押し込まれ、こうして採血容器が血液で満たされる。採血容器内の真空度は、採血容器が満たされるにつれて低下し、採血容器内の圧力が静脈内の圧力と等しくなり、血液の流れが停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
残念なことに、血液が採血容器に引き込まれるとき、赤血球は、高いせん断応力状態にあり、静脈と採血容器との間の高い初期圧力差により溶血を受けやすくなる。溶血により、血液サンプルは拒否され、廃棄される可能性がある。初期圧力差が大きいと、カテーテル先端の潰れ、静脈の潰れ、または採血容器への血液の充填を妨げるまたは制限するその他の合併症が発生する可能性もある。さらに、採血中および/または採血後の血液の流出がよく起こる。
【0008】
背景技術のセクションで提供される説明は、単に背景技術のセクションで言及されている、または背景技術のセクションに関連しているという理由だけで従来技術であると想定されるべきではない。背景技術のセクションには、主題技術の1つまたは複数の態様を説明する情報が含まれる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の態様は、流量制限デバイスであって、流体収集デバイスに結合するように構成され、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを含む近位ハウジングと、カテーテルアセンブリに結合するように構成され、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、近位ハウジングと遠位ハウジングの間に介在する中間ハウジングとを備え、中間ハウジングは、内部チャンバと、内部チャンバ内に往復動可能に配置されたスライダとを備え、スライダは、横方向に貫通して延びる内部流体チャネルと、内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールとを備え、スライダは、(i)スライダの内部流体チャネルが近位ハウジングおよび遠位ハウジングの内部流体チャネルと軸方向に整列し、流体が遠位ハウジングから中間ハウジングを介して近位ハウジングに流れることを可能にする第1の位置と、(ii)スライダの内部流体チャネルが近位ハウジングおよび遠位ハウジングの内部流体チャネルと整列せず、シールが近位ハウジングと遠位ハウジングの間の流体接続を遮断する第2の位置との間で往復移動可能である、流量制限デバイスを提供する。
【0010】
いくつかの例では、本開示は、流量制限デバイスを製造する方法であって、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた近位ハウジングを成形するステップと、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた遠位ハウジングを成形するステップと、中間ハウジングの外面を通って延びる内部チャンバを備えた中間ハウジングを成形するステップと、横方向に貫通して延びる内部流体チャネルを備えたスライダを成形するステップと、内部流体チャネルを除くスライダの少なくとも一部の上にわたってシールをオーバーモールドするステップと、オーバーモールドされたシールを備えたスライダを中間ハウジング内に取り付けるステップと、中間ハウジングを近位ハウジングと遠位ハウジングとの間に結合するステップとを含む、方法を提供する。
【0011】
いくつかの例では、本開示は、採血システムであって、採血デバイスと、カテーテルアセンブリと、採血デバイスに流体結合された流量制限デバイスとを備え、流量制限デバイスは、中間ハウジングと、カテーテルアセンブリに結合され、少なくとも部分的に内部を通って延びる内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、採血デバイスに結合され、少なくとも部分的に内部を通って延びる内部流体チャネルを含む近位ハウジングとを備え、中間ハウジングは、内部チャンバと、内部チャンバの両側に貫通して延びる内部流体チャネルと、内部チャンバ内に往復動可能に取り付けられたスライダとを備え、スライダは、横方向に貫通して延びる内部流体チャネルと、内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールとを備え、スライダの非作動状態では、スライダの内部流体チャネルは、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流体チャネルと整列せず、シールは、近位ハウジングと遠位ハウジングの間の流体接続を遮断する、採血システムを提供する。
【0012】
主題技術の他の構成は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかとなり、主題技術の様々な構成が例示として示され説明されることが理解される。理解されるように、主題技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて主題技術の範囲から逸脱することなく、他の様々な点で変更することができる。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものとしてみなされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきではない。
【0013】
以下の図は、実施形態の特定の態様を説明するために含まれており、排他的な実施形態として見なされるべきではない。開示された主題は、当業者が思いつき、本開示の恩恵を受けるであろうように、形態および機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、および均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスを含む末梢静脈カテーテル(PIVC)アセンブリを含む血管アクセスデバイスを示す。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの斜視図を示す。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態に係る、
図2Aの流量制限デバイスの断面図を示す。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの近位ハウジングの斜視図を示す。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態に係る、
図3Aの近位ハウジングの断面図を示す。
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの遠位ハウジングの斜視図を示す。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態に係る、
図4Aの遠位ハウジングの断面図を示す。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの中間ハウジングの斜視図を示す。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態に係る、
図5Aの中間ハウジングの断面図を示す。
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスのスライダの斜視図を示す。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態に係る、
図6Aのスライダの断面図を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る、スライダの非作動状態における流量制限デバイスの断面図を示す。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る、スライダの作動状態における流量制限デバイスの断面図を示す。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態に係る、流体吸引の完了後にスライダの非作動状態に戻った流量制限デバイスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に記載される詳細な説明は、主題技術の様々な構成を説明するものであり、主題技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明には、主題技術の完全な理解を提供する目的で、特定の詳細が含まれている。したがって、寸法は、非限定的な例として特定の態様に関して提供され得る。しかしながら、当業者には、主題技術がこれらの特定の詳細なしで実施することができることが明らかであろう。場合によっては、主題技術の概念が不明瞭になるのを避けるために、よく知られている構造および構成要素がブロック図形式で示されている。
【0016】
本開示は、主題技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解すべきである。ここで、主題技術の様々な態様を、特定の非限定的な例に従って開示する。本開示で説明される様々な実施形態は、所望の用途または実装に従って、様々な方法および変形で実行することができる。
【0017】
血管アクセスデバイスを介した採血は、静脈穿刺による従来の採血方法と比較して、針刺しが最小限に抑えられ、操作効率が向上するため、ますます注目を集めている。末梢静脈カテーテル(PIVC)を使用した現在の採血にはいくつかの課題があり、最も重要な点の1つは、溶血関連の血液の質である。特に、現在市場にある既存のPIVC製品では、標準的な接続(短い延長セットおよび無針コネクタなど)および採血デバイス(バキュテイナーなど)と共に、血球にかかるせん断応力は、溶血寸前になる傾向がある。
【0018】
本開示の様々な実施形態は、PIVCに予め取り付けられ、溶血のリスクを低減するための流量制限器として機能する溶血低減アクセサリ(本明細書では流量制限デバイスとも呼ばれる)を用いてPIVC採血における溶血に対処するシステムおよび方法を提供することを目的とする。溶血低減アクセサリは、有利なことには、PIVCの留置と互換性があり、既存の操作を変更する必要がない。本明細書に記載の様々な実施形態の溶血低減アクセサリは、様々なPIVC製品に潜在的に適用可能であり、既存の採血デバイスおよび輸液使い捨て製品と互換性がある。
【0019】
本開示の様々な実施形態は、血球が通過するときに流体経路全体の全体の流量を調節するアドオンの溶血低減アクセサリ(本明細書では流量制限デバイスとも呼ばれる)を用いた効果的な流量制限に焦点を当てている。流量制限デバイスは、PIVCと組み合わせるか、PIVCと同時パッケージ化することができる。このように、デバイスには血液のフラッシュバックを可能にする通気腔があるため、カテーテルの留置中に追加の操作はない。臨床医は、採血デバイスをアクセサリのポートに接続することがき、その後、目的の量まで血液を採取することができる。採血後、臨床医は、流量制限デバイスと採血デバイスを一緒に取り外して廃棄することができる。このように、この流量制限デバイスは、単回採血用にも、留置期間中を通してインラインに留置することもできる。
【0020】
いくつかの実施形態では、流量制限デバイスは、近位ハウジング、遠位ハウジング、およびスライダアセンブリが内部に取り付けられた中間ハウジングを含むことができる。スライダアセンブリは、内部流体チャネルを有するスライダと、内部流体チャネルを除くスライダの外面の少なくとも一部を覆うシールと、中間ハウジング内でスライダを支持する弾性部材とを含むことができる。使用者がスライダを押圧する、さもなければ押すことによって軸方向の力を加えると、その力によってスライダが変位するか、下方に移動し、それによって弾性部材が圧縮される。軸方向の力Fが加えられ続けると、スライダは、非作動状態の初期位置から、スライダの内部流体チャネルが、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流体チャネルと軸方向に整列することができる第1の位置まで変位し続けることができる。したがって、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングとスライダとの間に流体連通が確立され、流体が遠位ハウジングから中間ハウジングを介して近位ハウジングに流れることを可能にすることができる。整列した内部流体チャネルは共に、流量制限デバイスを貫通する直線状の内部流路を画定することができる。このように、患者からの採血中に、血液が患者の静脈から流量制限デバイスの内部流路を介して採血デバイスに流れることができる。
【0021】
本明細書に記載される様々な実施形態の流量制限デバイスは、現在存在する採血システムよりも有利である。例えば、現在既存の採血デバイスを用いた採血中、血球は、遠位ハウジングから近位ハウジングに流れる際、せん断応力を受ける可能性がある。最大せん断応力は、血球の壁に沿ったものであり、しばしば壁せん断応力と呼ばれる。血球に対する壁せん断応力は、血球の溶血を引き起こす血球への機械的損傷の主な原因と考えられている。いくつかの実施形態では、最小直径を有する直線状の内部流路は、血管アクセスシステム内の流れ抵抗の増加を促進して、圧力差を分散させ、血液の赤血球が受けるせん断応力を低減することができる。例えば、内部流路の直径が最小化されると、血液の流れに対する抵抗が増加し、それによって、流動抵抗デバイス内の血流速度を減少させることができる。血流速度の減少により、血液の赤血球が受けるせん断応力が減少するため、採血中の溶血の危険性が有利に減少する可能性がある。
【0022】
採血が完了し、使用者がスライダを解放することにより軸方向の力を取り除くと、弾性部材がスライダを初期の非作動位置(すなわち、閉位置または第2の位置)に向かって上方に押し戻す。スライダが上方に移動すると、スライダの内部流体チャネルが近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流体チャネルと整列しなくなるか、位置がずれることがあり得る。したがって、閉位置または第2の位置では、スライダの外面を覆うシールが、近位ハウジングと遠位ハウジングとの間の流体接続を遮断する可能性がある。
【0023】
内部流体チャネルが内部流体チャネルと整列しておらず、シールが近位ハウジングと遠位ハウジングとの間の流体接続を遮断する流量制限デバイスの前述の構成は、採血デバイスから取り外されている間に流量制限デバイスからの血液の流出を防止できるという点で他の採血システムよりも有利である。例えば、他の採血システムの場合、推奨される採血手順では、採血手順の完了後に採血コネクタを採血デバイス(例えば、ルアーロックアクセスデバイス(LLAD))から取り外すべきではないと規定している。採血コネクタが採血デバイスから取り外される場合、採血コネクタが採血デバイスから外されたときに採血コネクタのチャネルから血液が流出する可能性がある。対照的に、内部流体チャネルが内部流体チャネルと整列しておらず、シールが近位ハウジングと遠位ハウジングとの間の流体接続を遮断する、本明細書に記載の様々な実施形態の流量制限デバイスは、血液がスライダの内部流体チャネル内に含まれることを可能にし、それによって、流量制限デバイスが廃棄のために採血デバイスから取り外されるとき、血液の流出を防止する。
【0024】
本明細書に記載される様々な実施形態の流量制限デバイスおよび関連する採血システムは、さらに、現在存在する採血システムに勝るさらなる利点を提供する。例えば、本明細書に記載のアドオン流量制限デバイスにより、溶血低減機能をPIVC採血に一体化することが可能になる。さらに、本明細書に記載の流量制限デバイスは、PIVCの留置に適合し、挿入時にシームレスな採血を可能にする。さらに、流量制限デバイスは、既存のPIVCに変更を加えることなく簡単に組み込むことができるアドオンであるため、臨床設定および運用への影響は最小限に抑えられる。
【0025】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイス110を含む末梢静脈カテーテル(PIVC)アセンブリ50を含む血管アクセスデバイス100を示す。流量制限デバイス110は、血管アクセスデバイス100を使用した採血中の溶血の可能性を低減するように構成することができる。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイス100は、カテーテルアセンブリ50を含むことができる。カテーテルアセンブリ50は、カテーテルハブ52を含むことができ、カテーテルハブ52は、遠位端54、近位端56、および遠位端および近位端を通って延びる内腔を含むことができる。カテーテルアセンブリ50は、カテーテル58をさらに含むことができ、カテーテル58は、カテーテルハブ52内に固定することができ、カテーテルハブ52の遠位端54から遠位方向に延びることができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ50は、末梢静脈カテーテル(PIVC)とすることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ50は、任意の適切なカテーテルアセンブリ50を含むか、またはそれに対応することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ50は、一体化されて、延長チューブ60を含むことができ、延長チューブ60は、カテーテルハブ52の側部ポート59から延び、それと一体化することができる。一体型カテーテルアセンブリの非限定的な例は、Becton Dickinson and Companyから入手可能なBD NEXIVA(商標名)クローズドIVカテーテルシステムである。いくつかの実施形態では、延長チューブ60の近位端は、例えばYアダプタ70などのアダプタに結合することができる。いくつかの実施形態では、流量制限デバイス110は、Yアダプタ70に流体結合することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ50は、一体化されていなくてもよく、延長チューブ60を含まなくてもよい。これらのおよび他の実施形態では、流量制限デバイス110は、カテーテルハブ52の近位端56またはカテーテルアセンブリ50の別の適切な部分に結合するように構成することができる。いくつかの実施形態では、流量制限デバイス110は、カテーテルアセンブリ50に直接結合されてもよく、これにより延長チューブ60が省略され、コンパクトなカテーテルシステムが提供される。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、流量制限デバイス110は、採血デバイス40に結合するように構成することができる。例えば、流量制限デバイス110は、採血デバイス40の雄ルアーコネクタと結合することができる雌ルアーコネクタ(例えば、近位ハウジング112)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、採血デバイス140は、ルアーロックアクセスデバイス(LLAD)であってもよい。
【0029】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイス110の斜視図を示す。
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、
図2Aの流量制限デバイス110の断面図を示す。
図2Aおよび
図2Bに示されるように、いくつかの実施形態では、流量制限デバイス110は、採血デバイス40に結合するように構成された近位ハウジング112を含むことができる。例えば、近位ハウジング112は、採血デバイス40と一体化されていてもよいし、単一のユニットとして採血デバイス40とモノリシックに形成されていてもよい。別の一例として、近位ハウジング112は、採血デバイス40の雄ルアーコネクタと結合することができる雌ルアーコネクタを含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、流量制限デバイス110は、近位ハウジング112から遠位ハウジング116まで延びる円筒体の形態であり、中間ハウジングが近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間に介在することができる。
【0031】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの近位ハウジングの斜視図を示す。
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、
図3Aの近位ハウジングの断面図を示す。いくつかの実施形態では、近位ハウジング112は、採血デバイス40の雄ルアー部分に結合するための第1の端部129と、中間ハウジング116に結合するための第2の端部131とを有する近位コネクタまたは雌ルアーコネクタの形態であってもよい。近位ハウジング112は、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネル118を含むことができる。
図2を引き続き参照しながら、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、第2の端部131は、中間ハウジング116が少なくとも部分的に挿入され得るチャンバ119を画定することができる。したがって、内部流体チャネル118は、中間ハウジング116の第1の端部で中間ハウジング116の内部流体チャネル140に結合され、流体接続することができる。
【0032】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの遠位ハウジングの斜視図を示す。
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、
図4Aの遠位ハウジングの断面図を示す。いくつかの実施形態では、遠位ハウジング114は、遠位ハウジング114をカテーテルアセンブリ50に流体結合するための雄ルアー部分を備えた第1の端部129と、中間ハウジング116に結合するための第2の端部133とを有する遠位コネクタまたは雄ルアーコネクタの形態とすることができる。近位ハウジング112と同様に、遠位ハウジング114は、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネル120を含むことができる。
図2Bを引き続き参照しながら、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、第2の端部133は、中間ハウジング116の第2の端部で中間ハウジング116の内部流体チャネル140に結合される。したがって、内部流体チャネル120は、中間ハウジング116の第2の端部で中間ハウジング116の内部流体チャネル140と流体接続することができる。
【0033】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、流量制限デバイスの中間ハウジングの斜視図を示す。
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、
図5Aの中間ハウジングの断面図を示す。いくつかの実施形態では、中間ハウジング116は、近位ハウジング112に結合された第1の端部116と、中間ハウジング116に結合された第2の端部117とを有する円筒体の形態とすることができる。近位ハウジング112および遠位ハウジング114と同様に、中間ハウジング116は、内部チャンバ122の両側で横方向に貫通して延びる内部流体チャネル140を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、中間ハウジング116は、内部チャンバ122と、内部チャンバ122内に往復動可能に配置されたスライダ124とを含むことができる。チャンバ122は、中間ハウジング116の外面を通ってその外部まで延びることができる。例えば、いくつかの実施形態では、中間ハウジングは、チャンバから中間ハウジングの外面125を通って延びる開口部123を含むことができる。開口部123は、内部チャンバ122と中間ハウジング116の外部とを流体接続することができる。したがって、スライダ124の非作動位置では、スライダ124の少なくとも一部は、開口部123を介して中間ハウジング116の外部まで延びることができる。したがって、使用者は、中間ハウジング116の外部からスライダ124に容易にアクセスして作動させることができる。
【0035】
本開示の様々な実施形態によれば、スライダ124は、横方向に貫通して延びる内部流体チャネル126も含むことができる。以下に説明するように、内部流体チャネル118、120、126、および140はそれぞれ、流量制限デバイス110を通る直線状の内部流路170を共に画定する直線状の流体チャネルとすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、スライダ124は、スライダ124の外面130の少なくとも一部を覆うシール128をさらに含むことができる。
図6Bに示されるように、シール128は、スライダ124の内部流体チャネル126を覆うことなく、外面130を覆ってもよい。例えば、図示されるように、シール128は、内部流体チャネル126の入口ポート176および出口ポート178の上にわたって重ねられなくてもよい。したがって、内部流体チャネル126への流れは、シール128によって遮断されたり、さもなければ妨害されたりすることはない。いくつかの実施形態では、シールは、ゴムシールとすることができる。しかしながら、本開示の様々な実施形態は、上述の構成に限定されず、シールは、シールして漏れを防止するのに適した他の材料で形成されてもよい。
【0037】
図7~
図9に関して以下でさらに詳細に説明するように、スライダ124は、(
図8に示される)第1の位置と(
図9に示される)第2の位置との間で往復移動可能とすることができる。第1の位置では、スライダ124の内部流体チャネル126は、近位ハウジング112、遠位ハウジング114、および中間ハウジング116の内部流体チャネル118、120、および140と軸方向に整列して、遠位ハウジング114から中間ハウジング116を介して近位ハウジング112へ流体が流れることができるようにすることができる。第2の位置では、スライダ124の内部流体チャネル126は、近位ハウジング112、遠位ハウジング114、および中間ハウジング116の内部流体チャネル118、120、および140と整列しておらず、シール128は、近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間の流体接続を遮断する。
【0038】
さらに図示されるように、いくつかの実施形態では、中間ハウジング116は、マウント152をさらに含むことができ、マウント152は、チャンバ122内に配置され、チャンバ122内には、スライダ124が往復動可能に取り付けられる。図示されているように、マウント152は、外面154と、少なくとも部分的に内部を通って延びる内腔158を画定する内面156とを有することができる。スライダ124の少なくとも一部は、マウント152の内腔158内に往復動可能に配置され、支持され得る。例えば、いくつかの実施形態では、中間ハウジング116は、弾性部材150をさらに含むことができ、弾性部材150は、チャンバ122内に取り付けられ、マウント152の内腔158内でスライダを支持するためにスライダ124に結合される。図示されるように、弾性部材150は、内腔158内でスライダ124を支持するために、マウント152の外面154の周囲に配置され、これに結合することができる。いくつかの実施形態では、弾性部材150は、シリコンバネ、シリコンベローズ、ゴムバネ、またはゴムベローズとすることができる。
【0039】
本開示の様々な実施形態によれば、スライダは、ヘッド162と、ステム168と、ヘッド部分162とステム部分168との間に配置された本体164とを含むことができる。常閉位置(
図7に示される)および第2の位置(
図9に示される)では、スライダ124のヘッド162は、中間ハウジング116の外部まで延びることができる。前述の構成は、使用者が流量制限デバイス110の外部からスライダ124に容易にアクセスできるという点で有利である。
【0040】
本開示の様々な実施形態によれば、流量制限デバイスを製造する方法は、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネル118を備えた近位ハウジング112を成形するステップと、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネル120を備えた遠位ハウジング114を成形するステップと、中間ハウジングの外面を通って延びる内部チャンバ122を備えた中間ハウジング116を成形するステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、中間ハウジングを成形するステップは、チャンバ122の両端で少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネル140を備えた中間ハウジング116を成形するステップをさらに含むことができる。中間ハウジング116を成形するステップは、チャンバ122から半径方向内側に延び、外面154と、少なくとも部分的に内部を通って延びる内腔158を画定する内面156とを含むマウント152を備えた中間ハウジング116を成形するステップをさらに含むことができる。
【0041】
この方法は、内部流体チャネル126が横方向に貫通して延びるスライダ124を成形するステップと、内部流体チャネル126を除くスライダ124の少なくとも一部の上にわたってシール128をオーバーモールドするステップとをさらに含むことができる。
【0042】
この方法は、オーバーモールドされたシール128を備えたスライダ124を中間ハウジング116内に取り付けるステップと、近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間に中間ハウジング116を結合するステップとをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、オーバーモールドされたシールを備えたスライダを中間ハウジング内に取り付けるステップは、弾性部材150をスライダ124に結合するステップと、弾性部材150がマウント152の外面154を取り囲み、外面154にさらに結合された状態で、スライダ124を少なくとも部分的に内腔内158に取り付けるステップとをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間に中間ハウジング116を結合するステップは、中間ハウジング116を近位ハウジング112および遠位ハウジング114に超音波溶接するステップを含むことができる。
【0043】
流量制限デバイス110の動作については、
図7~
図9を参照して以下に説明する。
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係る、スライダ124の非作動状態にある流量制限デバイス110の断面図を示す。
図7に示されるように、スライダ124に軸方向の力が加えられていない場合、弾性部材150は、スライダの少なくとも一部が中間ハウジングの外部に配置される位置にスライダ124を維持する。例えば、
図7に示されるように、軸方向の力Fが加えられていない場合、スライダ124は、ヘッド162の少なくとも一部が中間ハウジング116の外部に配置された状態で中間ハウジング116内に配置される。非作動状態では、弾性部材150は、内部流体チャネル126が近位ハウジング112、遠位ハウジング114、および中間ハウジング116の内部流体チャネル118、120、および140と整列しない最上部位置までスライダを付勢する。採血が行われ、血液がカテーテルアセンブリ150から採血デバイス40に流れるために、使用者は、スライダ124を押圧するか、さもなければ下方に押すことによってスライダ124を作動させることができる。
【0044】
図8は、本開示のいくつかの実施形態に係る、スライダ124の作動状態にある流量制限デバイス110の断面図を示す。使用者がスライダ124(例えば、スライダ124のヘッド162)を押圧するか、さもなければ押すことによって軸方向の力Fを加えると、力Fは、スライダ124を変位させるか、さもなければマウント152に向かって下方に移動させ、それによって弾性部材150を圧縮する。軸方向の力Fが加えられ続けると、スライダ124は、非作動状態の初期位置から第1の位置まで変位し続けることができる。図示されるように、第1の位置では、スライダ124の内部流体チャネル126は、近位ハウジング112、遠位ハウジング114、および中間ハウジング116の内部流体チャネル118、120、および140と軸方向に整列することができる。したがって、近位ハウジング112、遠位ハウジング114、および中間ハウジング116とスライダ124との間に流体連通が確立されて、流体が遠位ハウジング114から中間ハウジング116を介して近位ハウジング112に流れることができる。整列した内部流体チャネル118、120、126、および140は、共に、流量制限デバイス110を通る直線状の内部流路170を画定することができる。いくつかの実施形態では、直線状の内部流路170は、システム100の他の様々な内腔または流体経路と比較して最小の直径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、直線状の内部流路170は、約0.02インチ~0.03インチの範囲、いくつかの例では約0.022インチ~0.028インチの範囲、より典型的には約0.024インチ~0.026インチの範囲、いくつかの実施形態では約0.025インチの直径を有することができる。特定の範囲に関して記載されているが、この全範囲または具体的に記載された任意の範囲内には、すべての中間範囲または特定の角度を含む、下限の最低値から上限の最高値までのすべての範囲が含まれることが理解されるであろう。
【0045】
いくつかの実施形態では、直線状の内部流路170は、約0.5インチ~3インチの範囲、いくつかの例では約0.7インチ~2インチの範囲、より典型的には約0.9インチ~1.5インチの範囲、いくつかの実施形態では約1インチの長さを有することができる。特定の範囲に関して記載されているが、この全範囲または具体的に記載された任意の範囲内には、すべての中間範囲または特定の角度を含む、下限の最低値から上限の最高値までのすべての範囲が含まれることが理解されるであろう。
【0046】
このように、患者からの採血中に、血液80は、患者の静脈からカテーテルアセンブリ50に流れ、延長チューブ60を通って、近位ハウジング114の入口流路127を介して流量制限デバイス110の内部流路170に入り、近位ハウジング112の出口流路121を介して流量制限デバイス110から出て、採血デバイス40に入ることができる。したがって、患者からの採血中に、血液80は、最小直径を有する内部流路170を介して採血デバイス40に流入することができる。本明細書に記載される様々な実施形態の流量制限デバイス110は、現在存在する採血システムよりも有利である。例えば、現在既存の採血デバイスを用いた採血中、血球は、流量制限デバイス110の遠位ハウジング114から近位ハウジング112に流れる際にせん断応力を受ける可能性がある。最大せん断応力は、血球の壁に沿ったものであり、しばしば壁せん断応力と呼ばれる。血球に対する壁せん断応力は、血球の溶血を引き起こす血球への機械的損傷の主な原因と考えられている。いくつかの実施形態では、最小直径を有する直線状の内部流路170は、血管アクセスシステム100内の流れ抵抗の増加を促進して、圧力差を分散させ、血液80の赤血球が受けるせん断応力を低減することができる。例えば、内部流路170の直径が最小化されると、血液80の流れに対する抵抗が増加し、それによって、流動抵抗デバイス110内の血流速度を減少させることができる。血流速度の減少により、血液80の赤血球が受けるせん断応力が減少するため、採血中の溶血の危険性が有利に減少する可能性がある。
【0047】
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る、流体(例えば、血液)の採取の完了後にスライダ124の非作動状態に戻った流量制限デバイス110の断面図を示す。採血が完了し、使用者がスライダ124を解放することにより軸方向の力Fを取り除くと、弾性部材150がスライダ124を初期の非作動位置(すなわち、閉位置または第2の位置)に向かって上方に押し戻す。スライダ124が上方に移動すると、スライダ124の内部流体チャネル126が近位ハウジング112、遠位ハウジング114、および中間ハウジング116の内部流体チャネル118、120、および140と整列しなくなるか、位置がずれることがあり得る。したがって、閉位置または第2の位置では、スライダ124の外面130を覆うシール128が、近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間の流体接続を遮断する。
【0048】
内部流体チャネル126が内部流体チャネル118、120、および140と整列しておらず、シール128が近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間の流体接続を遮断する流量制限デバイス110の前述の構成は、採血デバイス40から取り外されている間に流量制限デバイス110からの血液の流出を防止できるという点で他の構成よりも有利である。例えば、他の採血システムの場合、推奨される採血手順では、採血手順の完了後に採血コネクタを採血デバイス(例えば、ルアーロックアクセスデバイス(LLAD))から取り外すべきではないと規定している。採血コネクタが採血デバイスから取り外される場合、採血コネクタが採血デバイスから取り外されたときに採血コネクタのチャネルから血液が流出する可能性がある。対照的に、内部流体チャネル126が内部流体チャネル118、120、および140と整列しておらず、シール128が近位ハウジング112と遠位ハウジング114との間の流体接続を遮断する、本明細書に記載の様々な実施形態の流量制限デバイス110は、血液がスライダ124の内部流体チャネル126内に含まれることを可能にし、それによって、流量制限デバイス110が廃棄のために採血デバイス40から取り外されるとき、血液の流出を防止する。
【0049】
本明細書に記載の様々な実施形態の流量制限デバイスおよび関連する採血システムは、さらに、他の採血システムに勝るさらなる利点を提供する。例えば、本明細書に記載のアドオン流量制限デバイスは、溶血低減機能をPIVC採血に一体化することを可能にし、溶血を大幅に低減する。さらに、本明細書に記載の流量制限デバイスは、PIVCの留置に適合し、挿入時にシームレスな採血を可能にする。さらに、流量制限デバイスは、既存のPIVCに変更を加えることなく簡単に組み込むことができるアドオンであるため、臨床設定および運用への影響は最小限に抑えられる。また、本明細書に記載の流量制限デバイスは、採血デバイスからの取り外し中の血液の流出の危険性を最小限に抑えるか、さもなければ排除する。さらに、本明細書に記載の流量制限デバイスは、他の採血システムと比較してプライミング量が少ないため、血液の無駄が少ない。また、本明細書に記載の流量制限デバイスは、現在存在する採血システムと比較して必要な充填時間が短い。
【0050】
主題技術は、例えば、以下に説明する様々な態様に従って例示される。主題技術の態様の様々な例は、便宜上、番号を付けた条項(1、2、3など)として説明される。これらは例として提供されており、主題技術を限定するものではない。従属条項のいずれも、任意の組み合わせで組み合わせることができ、それぞれの独立条項(例えば、条項1または条項5)内に配置できることに留意されたい。他の条項も同様の方法で提示できる。
【0051】
(条項1) 流量制限デバイスであって、流体収集デバイスに結合するように構成され、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを含む近位ハウジングと、カテーテルアセンブリに結合するように構成され、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、近位ハウジングと遠位ハウジングの間に介在する中間ハウジングとを備え、中間ハウジングは、内部チャンバと、内部チャンバ内に往復動可能に配置されたスライダとを備え、スライダは、横方向に貫通して延びる内部流体チャネルと、内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールとを備え、スライダは、(i)スライダの内部流体チャネルが近位ハウジングおよび遠位ハウジングの内部流体チャネルと軸方向に整列し、流体が遠位ハウジングから中間ハウジングを介して近位ハウジングに流れることを可能にする第1の位置と、(ii)スライダの内部流体チャネルが近位ハウジングおよび遠位ハウジングの内部流体チャネルと整列せず、シールが近位ハウジングと遠位ハウジングの間の流体接続を遮断する第2の位置との間で往復移動可能である、流量制限デバイス。
【0052】
(条項2) 中間ハウジングは、内部チャンバの両側で横方向に貫通して延びる内部流体チャネルをさらに備える、条項1に記載の流量制限デバイス。
【0053】
(条項3) 中間ハウジングは、弾性部材をさらに備え、弾性部材は、内部チャンバ内に取り付けられ、スライダに結合され、常閉状態では、非圧縮の弾性部材がスライダを第2の位置に付勢する、条項2に記載の流量制限デバイス。
【0054】
(条項4) 軸方向の力を受けると、弾性部材は圧縮して、スライダを第2の位置における常閉状態から第1の位置に移動させ、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流体チャネルを通る流れを可能にする、条項3に記載の流量制限デバイス。
【0055】
(条項5) 中間ハウジングは、マウントをさらに備え、マウントは、内部チャンバ内に配置され、外面と、少なくとも部分的に内部を通る内腔を画定する内面とを有し、スライダの少なくとも一部は、内腔内に往復動可能に配置され、弾性部材は、マウントの外面の周囲に配置され、外面に結合される、条項3に記載の流量制限デバイス。
【0056】
(条項6) 内部チャンバは、中間ハウジングの外面を通って中間ハウジングの外部まで延び、スライダは、ヘッド、本体、およびステムを備える、条項5に記載の流量制限デバイス。
【0057】
(条項7) 第2の位置において、ヘッドの少なくとも一部は、中間ハウジングの外部まで延びている、条項6に記載の流量制限デバイス。
【0058】
(条項8) 弾性部材は、シリコンバネ、シリコンベローズ、ゴムバネ、またはゴムベローズのうちの少なくとも1つを備える、条項3に記載の流量制限デバイス。
【0059】
(条項9) 近位ハウジング、中間ハウジング、および遠位ハウジングの内部流体チャネルと、流体が遠位ハウジングから近位ハウジングおよび流体収集デバイス内に通って流れるスライダの内部流体チャネルは、第1の位置において、流量制限デバイスを通る直線状の内部流路を画定する直線状の流体チャネルを備える、条項2に記載の流量制限デバイス。
【0060】
(条項10) シールは、ゴムシールを含む、条項1に記載の流量制限デバイス。
【0061】
(条項11) 遠位ハウジングから近位ハウジングへ、および流体収集デバイスへ流入する流体は、血液を含み、流体収集デバイスは、採血デバイスを含む、条項1に記載の流量制限デバイス。
【0062】
(条項12) 採血デバイスは、ルアーロックアクセスデバイスを備える、条項11に記載の流量制限デバイス。
【0063】
(条項13) 流量制限デバイスを製造する方法であって、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた近位ハウジングを成形するステップと、少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた遠位ハウジングを成形するステップと、中間ハウジングの外面を通って延びる内部チャンバを備えた中間ハウジングを成形するステップと、横方向に貫通して延びる内部流体チャネルを備えたスライダを成形するステップと、内部流体チャネルを除くスライダの少なくとも一部の上にわたってシールをオーバーモールドするステップと、オーバーモールドされたシールを備えたスライダを中間ハウジング内に取り付けるステップと、中間ハウジングを近位ハウジングと遠位ハウジングとの間に結合するステップとを含む、方法。
【0064】
(条項14) 中間ハウジングを成形するステップは、内部チャンバの両端で少なくとも部分的に内部を通って横方向に延びる内部流体チャネルを備えた中間ハウジングを成形するステップをさらに含む、条項13に記載の方法。
【0065】
(条項15) 中間ハウジングを成形するステップは、内部チャンバから半径方向内側に延び、外面と、少なくとも部分的に内部を通って延びる内腔を画定する内面とを含むマウントを備えた中間ハウジングを成形するステップをさらに含む、条項13に記載の方法。
【0066】
(条項16) オーバーモールドされたシールを備えたスライダを中間ハウジング内に取り付けるステップは、弾性部材をスライダに結合するステップと、弾性部材が、マウントの外面を取り囲み、外面にさらに結合される状態で、スライダを少なくとも部分的に内腔内に取り付けるステップとを含む、条項15に記載の方法。
【0067】
(条項17) 中間ハウジングを近位ハウジングと遠位ハウジングとの間に結合するステップは、中間ハウジングを近位ハウジングおよび遠位ハウジングに超音波溶接するステップを含む、条項13に記載の方法。
【0068】
(条項18) 採血システムであって、採血デバイスと、カテーテルアセンブリと、採血デバイスに流体結合された流量制限デバイスとを備え、流量制限デバイスは、中間ハウジングと、カテーテルアセンブリに結合され、少なくとも部分的に内部を通って延びる内部流体チャネルを含む遠位ハウジングと、採血デバイスに結合され、少なくとも部分的に内部を通って延びる内部流体チャネルを含む近位ハウジングとを備え、中間ハウジングは、内部チャンバと、内部チャンバの両側に貫通して延びる内部流体チャネルと、内部チャンバ内に往復動可能に取り付けられたスライダとを備え、スライダは、横方向に貫通して延びる内部流体チャネルと、内部流体チャネルを除くスライダ外面を覆うシールとを備え、スライダの非作動状態では、スライダの内部流体チャネルは、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流体チャネルと整列せず、シールは、近位ハウジングと遠位ハウジングの間の流体接続を遮断する、採血システム。
【0069】
(条項19) スライダの作動状態において、スライダの内部流体チャネルは、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流体チャネルと軸方向に整列し、血液が遠位ハウジングから内部流体チャネルを介して近位ハウジングに流れることを可能にする、条項18に記載の採血システム。
【0070】
(条項20) 内部チャンバは、中間ハウジングの外面を通って中間ハウジングの外部まで延び、中間ハウジングは、弾性部材をさらに備え、弾性部材は、内部チャンバ内に取り付けられ、スライダに結合され、非作動状態では、非圧縮の弾性部材がスライダを少なくとも部分的に中間ハウジングの外部に延びるように付勢する、条項19に記載の採血システム。
【0071】
(条項21) 軸方向の力を受けると、弾性部材は圧縮して、スライダを非作動状態から作動状態に移動させ、近位ハウジング、遠位ハウジング、および中間ハウジングの内部流路を通って血液が流れることを可能にする、条項20に記載の採血システム。
【0072】
(条項22) 中間ハウジングは、マウントをさらに備え、マウントは、内部チャンバ内に配置され、外面と、少なくとも部分的に貫通する内腔を画定する内面とを有し、スライダの少なくとも一部は、内腔内に往復動可能に配置され、弾性部材は、マウントの外面の周囲に配置され、外面に結合される、条項20に記載の採血システム。
【0073】
(条項23) 弾性部材は、シリコンバネ、シリコンベローズ、ゴムバネ、またはゴムベローズのうちの少なくとも1つを備える、条項20に記載の採血システム。
【0074】
(条項24) シールは、ゴムシールを含む、条項18に記載の採血システム。
【0075】
本開示は、当業者が本明細書に記載された様々な態様を実施できるようにするために提供される。本開示は、主題技術の様々な例を提供し、主題技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、他の態様に適用してもよい。
【0076】
単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「1つおよび1つだけ」を意味することを意図しているものではなく、「1つまたは複数」を意味することを意図している。特に断りのない限り、「いくつか」という用語は、1つまたは複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の(his))には、女性形と中性形(例えば、彼女の(her)およびそれの(its))が含まれ、逆もまた同様である。見出しおよび小見出しは、もしあれば、便宜上のみ使用され、本発明を限定するものではない。
【0077】
「例示的」という単語は、本明細書では、「例または例示として役立つこと」を意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載されている任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。一態様では、本明細書で説明される様々な代替構成および操作は、少なくとも均等であると見なすことができる。
【0078】
本明細書で使用される場合、一連の項目の前にある「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、任意の項目を区切る「または(or)」という用語とともに、リストの各々の項目ではなくリスト全体を修飾する。「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、少なくとも1つの項目を選択する必要はなく、むしろ、この表現は、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、および/または項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または項目の各々の少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、またはCのみ、あるいはA、B、およびCの任意の組み合わせを指すことができる。
【0079】
「態様」などの語句は、そのような態様が主題技術に不可欠であること、またはそのような態様が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一態様に関する開示は、すべての構成、または1つまたは複数の構成に適用することができる。一態様は、1つまたは複数の例を提供することができる。一態様などの語句は、1つまたは複数の態様を指すことができ、その逆も同様である。「実施形態」などの語句は、そのような実施形態が主題技術に不可欠であること、またはそのような実施形態が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または1つまたは複数の実施形態に適用することができる。一実施形態は、1つまたは複数の例を提供することができる。一実施形態のような語句は、1つまたは複数の実施形態を指すことができ、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が主題技術に不可欠であること、またはそのような構成が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。構成に関する開示は、すべての構成、または1つまたは複数の構成に適用することができる。一構成は、1つまたは複数の例を提供することができる。このような一構成のような語句は、1つまたは複数の構成を指すことができ、逆もまた同様である。
【0080】
一態様では、別段の記載がない限り、すべての測定値、値、評価、位置、大きさ、サイズ、および以下の特許請求の範囲を含む本明細書に記載されているその他の仕様は概算であり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関係する機能およびそれらが関係する技術分野で通例のものと一致する合理的な範囲を有することを意図している。
【0081】
開示されるプロセスまたは方法におけるステップ、または操作の特定の順序または階層は、例示的なアプローチの例示であることが理解される。実装形態の好みまたはシナリオに基づいて、ステップ、操作、またはプロセスの特定の順序または階層を再配置できることが理解される。ステップ、操作、またはプロセスのうちの一部は、同時に実行され得る。一部の実装形態の好みまたはシナリオでは、特定の操作が実行される場合と実行されない場合がある。ステップ、操作、またはプロセスの一部またはすべては、使用者の介入なしに自動的に実行され得る。添付の方法請求項は、様々なステップ、操作、またはプロセスの要素をサンプルの順序で示しており、提示された特定の順序または階層に限定されることを意味するものではない。
【0082】
当業者に知られている、または後に知られるようになる、本開示を通じて説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されたものは、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関係なく、一般に公開されることを意図したものではない。クレーム要素は、その要素が「ための手段(means for)」という語句を用いて明示的に述べられていないか、方法クレームの場合には「ためのステップ(step for)」という語句を用いて述べられていない限り、35 U.S.C.§112(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。さらに、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が使用される範囲において、そのような用語は、「備える(comprise)」が請求項において転換語として採用される場合に解釈されるときの「備える(comprise)」と同様の方法で包括的であることを意図している。
【0083】
本開示の名称、背景、概要、図面の簡単な説明、および要約は、本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な例として提供される。それらは、請求項の範囲または意味を制限するために使用されないことを理解して提出される。また、詳細な説明では、説明が例示的な例を提供し、開示を簡素化する目的で、様々な構成が様々な実施形態にまとめられていることがわかる。この開示方法は、特許請求された主題が、各々の請求項で明示的に記載されているよりも多くの構成を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、開示された単一の構成または操作のすべての構成よりも少ない構成にある。以下の請求項は、詳細な説明に組み込まれ、各々の請求項は別々に請求される主題として独立している。
【0084】
請求項は、本明細書に記載された態様に限定されることを意図したものではなく、文言上の請求項と一致する完全な範囲が与えられ、すべての法的均等物を包含するものである。それにもかかわらず、いずれの請求項も、35 U.S.C.§101、§102、または§103の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、またそのように解釈されるべきでもない。
【国際調査報告】