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特表2024-530138グラデーションフォトクロミックレンズの特性測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】グラデーションフォトクロミックレンズの特性測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20240808BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20240808BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20240808BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G01M11/02 B
G02C13/00
G02C7/10
G01N21/59 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504803
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021071451
(87)【国際公開番号】W WO2023006220
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316008983
【氏名又は名称】トランジションズ オプティカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Transitions Optical Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラックバーン, フォレスト アール.
(72)【発明者】
【氏名】スティット, ジョゼフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ, コンラッド
【テーマコード(参考)】
2G059
2G086
2H006
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059DD16
2G059DD17
2G059EE01
2G059FF01
2G059FF05
2G059JJ23
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM05
2G086HH07
2H006BE02
2H006DA05
(57)【要約】
少なくとも1つのフォトクロミック材料を含むフォトクロミック光学製品の透過率を特定するように構成され、光学製品を受けるように構成された内部を画定するハウジングであって、光学製品を所定の位置に保持するための保持部材を含むハウジングと、ハウジングの内部の中に化学線を放射して、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料を活性化させるように構成された少なくとも1つの化学線源と、フォトクロミック光学製品の画像データを捕捉するように構成された少なくとも1つの画像捕捉装置と、保持部材の下に位置付けられた少なくとも1つのバックライトユニットと、少なくとも1つの画像捕捉装置及び少なくとも1つの化学線源に動作的に接続された制御ユニットと、を含む装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフォトクロミック材料を含むフォトクロミック光学製品の透過率を特定するために構成された装置であって、前記装置が、
前記光学製品を受けるように構成された内部を画定するハウジングであって、前記光学製品を所定の位置に保持するための保持部材を含むハウジングと、
前記ハウジングの前記内部へと化学線を放射して、前記フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料を活性化させるように構成された少なくとも1つの化学線源と、
前記フォトクロミック光学製品の画像データを捕捉するように構成された少なくとも1つの画像捕捉装置と、
前記保持部材の下に位置付けられて、前記画像捕捉装置に向かって及び前記光学製品を通るように光を発するための少なくとも1つのバックライトユニットと、
前記少なくとも1つの画像捕捉装置及び前記少なくとも1つの化学線源に動作的に接続された制御ユニットと、
を含み、
前記制御ユニットが、前記画像捕捉装置により捕捉された前記画像データを使って、前記フォトクロミック光学製品を通る可視光の透過率を特定するように構成される装置。
【請求項2】
前記制御ユニットが、前記少なくとも1つの画像捕捉装置を作動させて、前記フォトクロミック光学製品中の前記少なくとも1つのフォトクロミック材料の活性化の前の第1の画像データ、前記フォトクロミック光学製品中の前記少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された後の第2の画像データ、及び前記フォトクロミック光学製品中の前記少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された前又は後の何れかの、前記画像捕捉装置のシャッタ機構を閉じることによる第3の画像データのうちの少なくとも1つを捕捉するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニットが、前記フォトクロミック光学製品中の前記少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された前に前記画像捕捉装置により捕捉された第1の画像データの中の第1の部分における第1の透過率を、前記フォトクロミック光学製品中の前記少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された後に前記画像捕捉装置により捕捉された第2の画像データの中の第1の部分における第2の透過率と比較するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの化学線源と前記保持部材との間に前記画像捕捉装置と一直線上に位置付けられた少なくとも1つの紫外線フィルタをさらに含み、前記紫外線フィルタが前記化学線を含む波長の少なくとも一部を反射させる、請求項1~3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記保持部材が前記ハウジングの前記内部に画定される温度制御ボックス内に位置付けられ、前記温度制御ボックスが少なくとも1つの温度制御コンポーネントをさらに含み、
前記少なくとも1つの温度制御コンポーネントが、前記温度制御ボックス内を所定の温度に維持するように構成される、
請求項1~4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの温度制御コンポーネントに動作的に接続された温度制御ユニットをさらに含み、
前記温度制御ユニットが、前記温度制御ボックス内の所定の温度を設定し、前記少なくとも1つの温度制御コンポーネントの温度出力を設定するように構成される、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの温度制御コンポーネントが、前記温度制御ボックス内を-20℃~50℃の範囲の温度に維持するように構成される、請求項5又は請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記保持部材が、前記光学製品を固定するように構成されたセルフセンタリングチャックを含む、請求項1~7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記保持部材が、前記ハウジングの前記内部に画定された前記温度制御ボックスに出し入れ可能な引出しの中に位置付けられる、請求項5~8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの画像捕捉装置が、少なくとも1つの線形応答カメラを含む、請求項1~9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記フォトクロミック光学製品中の前記フォトクロミック材料がグラデーションパターンで存在する、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記制御ユニットが、前記フォトクロミック光学製品上で識別された複数の小領域の透過率を測定し、計算するように構成される、請求項1~11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
光学製品の少なくとも1つの表面上にグラデーションパターンで適用された少なくとも1つのフォトクロミック特性を有する前記光学製品の透過率を特定する方法であって、前記方法が、
前記グラデーションパターンが活性化される前に、前記光学製品の少なくとも1つの表面上の前記グラデーションパターンの第1の部分の第1の画像データを少なくとも1つの画像捕捉装置により捕捉することと、
前記光学製品の前記グラデーションパターンの少なくとも前記第1の部分に少なくとも1つの化学線源からの化学線を照射して、前記少なくとも1つのフォトクロミック特性中の前記グラデーションパターンを活性化させることと、
前記グラデーションパターンが活性化された後に、前記光学製品の少なくとも1つの表面上の前記グラデーションパターンの前記第1の部分の第2の画像データを少なくとも1つの画像捕捉装置により捕捉することと、
プロセッサにより、前記第1の画像データを前記第2の画像データと比較することにより、前記光学製品の前記グラデーションパターンを通じた可視光の透過率を計算することと、
を含む方法。
【請求項14】
前記内部の中に画定された温度制御ボックスの温度を、温度制御ユニットを使って所定の温度に維持することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記画像捕捉装置を使って、前記画像捕捉装置上でシャッタ機構が閉じられたときに第3の画像データを捕捉することをさらに含む、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、光学製品の特性測定装置に関し、特に、フォトクロミックレンズ表面のグラデーションを測定するための特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁スペクトルの可視領域の電磁放射を吸収する光学素子は、眼鏡及びサングラスのための眼科レンズ等の様々な製品の中で、及びコンタクトレンズのために使用されている。電磁放射吸収眼科レンズは、装用者が物を見る際の快適さを改善し、明るい条件下での装用者の視力を向上させる。電磁放射吸収眼科レンズの例としては、固定カラー眼科レンズ及びフォトクロミック眼科レンズが含まれる。
【0003】
フォトクロミックレンズは、電磁放射の特定の波長に応答して変色する。フォトクロミックレンズは、明るい光条件にさらされると装用者の視力と快適さを改善するが、光条件が低いと非吸収又はより低吸収状態に戻る。フォトクロミックレンズは、ある範囲の照明条件にわたり、物を見る快適さと見えやすさを提供し、屋内/暗い場所と屋外/明るい場所との間で移動するときに違う眼鏡をかけなおす必要がなくなる。
【0004】
フォトクロミック眼科レンズ等の眼科レンズが透過させる光の量を試験又は定量化するための既知の方法では、実験室条件下で従来の光学ベンチを利用する。フォトクロミックレンズを、典型的には紫外線にさらすことによって活性化させ、光学ベンチに固定して試験する。光学ベンチは製品全体にわたり均一なフォトクロミック分布には十分に適しているが、このシステムはレンズ全体の透過率データを平均するように構成される。審美的特性、グラデーション、又はパターン(patternds)等の光学特性のばらつきは定量化できない。
【0005】
眼科レンズ、例えば活性化したフォトクロミック眼科レンズの光学特性を正確に特定する能力には、品質管理及びマーケティングを含む幾つかの用途がある。所定の一貫した条件下でのフォトクロミック眼科レンズの試験では、装用者が体感する快適さと信頼性に関する有益なデータが得られる。それに加えて、フォトクロミック眼科レンズ特性を正確に特定できれば、眼鏡を購入する人に、自分の地理的場所での使用のため、又は自分の所望の目的のために、様々なフォトクロミック眼科レンズの良し悪しを判断するための定量化又は定性可能な根拠が提供され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、フォトクロミック眼科レンズ等の透明製品の光学特性を定量化可能な一貫した条件下で測定するための方法及び/又はシステムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの実施形態又は態様において、少なくとも1つのフォトクロミック材料を含むフォトクロミック光学製品の透過率を特定するために構成された装置は、光学製品を受けるように構成された内部を画定するハウジングであって、光学製品を所定の位置に保持するための保持部材を含むハウジングと、ハウジングの内部へと化学線を放射して、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料を活性化させるように構成された少なくとも1つの化学線源と、フォトクロミック光学製品の画像データを捕捉するように構成された少なくとも1つの画像捕捉装置と、保持部材の下に位置付けられて、画像捕捉装置に向かって及び光学製品を通るように光を発出するための少なくとも1つのバックライトユニットと、少なくとも1つの画像捕捉装置及び少なくとも1つの化学線源に動作的に接続された制御ユニットと、を含み得て、制御ユニットは、画像捕捉装置により捕捉された画像データを使って、フォトクロミック光学製品を通る可視光の透過率を特定するように構成される。
【0008】
本開示の1つの実施形態又は態様において、制御ユニットは、少なくとも1つの画像捕捉装置を作動させて、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料の活性化の前の第1の画像データ、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された後の第2の画像データ、及びフォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された前又は後の何れかに画像捕捉装置のシャッタ機構を閉じることによる第3の画像データのうちの少なくとも1つを捕捉するように構成され得る。制御ユニットは、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された前に画像捕捉装置により捕捉された第1の画像データの中の第1の部分における第1の透過率を、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された後に画像捕捉装置により捕捉された第2の画像データの中の第1の部分における第2の透過率と比較するように構成され得る。少なくとも1つの紫外線フィルタは、少なくとも1つの化学線源と保持部材との間に画像捕捉装置と一直線上に位置付けられ得て、紫外線フィルタは化学線を含む波長の少なくとも一部を反射させる。保持部材はハウジングの内部に画定される温度制御ボックス内に位置付けられ得て、温度制御ボックスは少なくとも1つの温度制御コンポーネントをさらに含み、少なくとも1つの温度制御コンポーネントは、温度制御ボックス内を所定の温度に維持するように構成される。温度制御ユニットは、少なくとも1つの温度制御コンポーネントに動作的に接続され得て、温度制御ユニットは、温度制御ボックス内の所定の温度を設定し、少なくとも1つの温度制御コンポーネントの温度出力を設定するように構成される。少なくとも1つの温度制御コンポーネントは、温度制御ボックス内を-20℃~50℃の範囲の温度に維持するように構成され得る。保持部材は、光学製品を固定するように構成されたセルフセンタリングチャックを含み得る。保持部材は、ハウジングの内部に画定された温度制御ボックスに出し入れ可能な引出しの中に位置付けられ得る。少なくとも1つの画像捕捉装置は、少なくとも1つの線形応答カメラを含み得る。フォトクロミック光学製品中のフォトクロミック材料は、グラデーションパターンで存在し得る。制御ユニットは、フォトクロミック光学製品の表面上で識別された複数の小領域の透過率を測定し、計算するように構成され得る。
【0009】
本開示の1つの実施形態又は態様において、光学製品であって、光学製品の少なくとも1つの表面上にグラデーションパターンで適用された少なくとも1つのフォトクロミック特性を有する光学製品の透過率を特定する方法は、グラデーションパターンが活性化される前に、光学製品の少なくとも1つの表面上のグラデーションパターンの第1の部分の第1の画像データを少なくとも1つの画像捕捉装置により捕捉することと、光学製品のグラデーションパターンの少なくとも第1の部分に少なくとも1つの化学線源からの化学線を照射して、少なくとも1つのフォトクロミック材料中のグラデーションパターンを活性化させることと、グラデーションパターンが活性化された後に、光学製品の少なくとも1つの表面上のグラデーションパターンの第1の部分の第2の画像データを少なくとも1つの画像捕捉装置により捕捉することと、プロセッサにより、第1の画像データを第2の画像データと比較することにより、光学製品のグラデーションパターンを通じた可視光の透過率を計算することと、を含み得る。方法は、内部の中に画定された温度制御ボックスの温度を、温度制御ユニットを使って所定の温度に維持することをさらに含み得る。方法は、画像捕捉装置を使って、画像捕捉装置上でシャッタ機構が閉じられたときに第3の画像データを捕捉することをさらに含み得る。
【0010】
本発明は以下の項でも開示される。
【0011】
第1項:少なくとも1つのフォトクロミック材料を含むフォトクロミック光学製品の透過率を特定するために構成された装置であって、装置が、光学製品を受けるように構成された内部を画定するハウジングであって、光学製品を所定の位置に保持するための保持部材を含むハウジングと、ハウジングの内部へと化学線を放射して、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料を活性化させるように構成された少なくとも1つの化学線源と、フォトクロミック光学製品の画像データを捕捉するように構成された少なくとも1つの画像捕捉装置と、保持部材の下に位置付けられて、画像捕捉装置に向かって及び光学製品を通るように光を発するための少なくとも1つのバックライトユニットと、少なくとも1つの画像捕捉装置及び少なくとも1つの化学線源に動作的に接続された制御ユニットと、を含み、制御ユニットは、画像捕捉装置により捕捉された画像データを使って、フォトクロミック光学製品を通る可視光の透過率を特定するように構成される。
【0012】
第2項:制御ユニットは、少なくとも1つの画像捕捉装置を作動させて、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料の活性化の前の第1の画像データ、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された後の第2の画像データ、及びフォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された前又は後の何れかに画像捕捉装置のシャッタ機構を閉じることによる第3の画像データのうちの少なくとも1つを捕捉するように構成される、第1項の装置。
【0013】
第3項:制御ユニットは、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された前に画像捕捉装置により捕捉された第1の画像データの中の第1の部分における第1の透過率を、フォトクロミック光学製品中の少なくとも1つのフォトクロミック材料が活性化された後に画像捕捉装置により捕捉された第2の画像データの中の第1の部分における第2の透過率と比較するように構成される、第1項又は第2項の装置。
【0014】
第4項:少なくとも1つの化学線源と保持部材との間に画像捕捉装置と一直線上に位置付けられた少なくとも1つの紫外線フィルタをさらに含み、紫外線フィルタは化学線を含む波長の少なくとも一部を反射させる、第1~3項の何れか1項の装置。
【0015】
第5項:保持部材はハウジングの内部に画定される温度制御ボックス内に位置付けられ、温度制御ボックスは少なくとも1つの温度制御コンポーネントをさらに含み、少なくとも1つの温度制御コンポーネントは、温度制御ボックス内を所定の温度に維持するように構成される、第1~4項の何れか1項の装置。
【0016】
第6項:少なくとも1つの温度制御コンポーネントに動作的に接続された温度制御ユニットをさらに含み、温度制御ユニットは、温度制御ボックス内の所定の温度を設定し、少なくとも1つの温度制御コンポーネントの温度出力を設定するように構成される、第5項の装置。
【0017】
第7項:少なくとも1つの温度制御コンポーネントは、温度制御ボックス内を0℃~50℃の範囲の温度に維持するように構成される、第5項又は第6項の装置。
【0018】
第8項:保持部材は、光学製品を固定するように構成されたセルフセンタリングチャックを含む、第1~7項の何れか1項の装置。
【0019】
第9項:保持部材は、ハウジングの内部に画定される温度制御ボックスに出し入れ可能な引出しの中に位置付けられる、第5~8項の何れか1項の装置。
【0020】
第10項:少なくとも1つの画像捕捉装置は少なくとも1つの線形応答カメラを含む、第1~9項の何れか1項の装置。
【0021】
第11項:フォトクロミック光学製品中のフォトクロミック材料は、グラデーションパターンで存在する、第1~10項の何れか1項の装置。
【0022】
第12項:制御ユニットは、フォトクロミック光学製品の表面上で識別された複数の小領域の透過率を測定し、計算するように構成される、第1~11項の何れか1項の装置。
【0023】
第13項:光学製品の少なくとも1つの表面上にグラデーションパターンで適用された少なくとも1つのフォトクロミック特性を有する光学製品の透過率を特定する方法であって、方法は、グラデーションパターンが活性化される前に、光学製品の少なくとも1つの表面上のグラデーションパターンの第1の部分の第1の画像データを少なくとも1つの画像捕捉装置により捕捉することと、光学製品のグラデーションパターンの少なくとも第1の部分に少なくとも1つの化学線源からの化学線を照射して、少なくとも1つのフォトクロミック材料中のグラデーションパターンを活性化させることと、グラデーションパターンが活性化された後に、光学製品の少なくとも1つの表面上のグラデーションパターンの第1の部分の第2の画像データを少なくとも1つの画像捕捉装置により捕捉することと、プロセッサを使って、第1の画像データを第2の画像データと比較することにより、光学製品のグラデーションパターンを通じた可視光の透過率を計算することと、を含む。
【0024】
第14項:内部の中に画定された温度制御ボックスの温度を、温度制御ユニットを使って所定の温度に維持することをさらに含む、第13項の方法。
【0025】
第15項:画像捕捉装置を使って、画像捕捉装置上でシャッタ機構が閉じられたときに第3の画像データを捕捉することをさらに含む、第13項又は第14項の方法。
【0026】
第16項:少なくとも1つの化学線源は、ハウジングの内部の中で少なくとも1つの画像捕捉装置と一直線上に位置付けられない、第1~12項の何れか1項の装置。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の1つの非限定的な実施形態又は態様による光学製品特性測定装置の斜視図である。
図2図1の光学製品特性特定装置の内部の分離斜視図である。
図3図1の光学製品特性測定装置の温度制御ボックスの他の斜視図である。
図4図1の光学製品特性測定装置の保持部材及び引出しの斜視図である。
図5A図1の光学製品特性測定装置の内部コンポーネントの、化学線源が作動されられたときの概略図である。
図5B図1の光学製品特性測定装置の内部コンポーネントの、バックライトが作動されられたときの概略図である。
図6図1の光学製品特性測定装置の内部コンポーネント間の電気接続の概略図である。
図7】本開示の1つの実施形態又は態様による、光学製品の透過率を解析するための、ある領域及び小領域を有する光学製品の概略図である。
図8図1の光学製品特性測定装置の使用方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面は概して、本開示のシステム及び方法の好ましい非限定的な実施形態又は態様を示している。説明文は装置の様々な実施形態又は態様を提示しているが、それは本開示を如何様にも限定しないと解釈されるべきである。さらに、当業者は、本開示の実施形態又は態様の改良、概念、及び応用が包含され、本明細書で提供される図面と説明には限定されないと理解すべきである。
【0029】
以下の説明は、当業者がそこに記載されている実施形態又は態様を本開示の実行のために製作し、使用できるようにするために提供されている。しかしながら、様々な改良、等価物、変更、及び代替案もまた、当業者であれば依然として容易に着想できる。かかる改良、変更、等価物、及び代替案は全て、本開示の主旨と範囲内に含まれるものとする。さらに、以下の説明の解釈において、「端」、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「横方向」、「長さ方向」という用語及びそれらの派生語は図面中の向きにおける本開示に関しているものとする。しかしながら、本開示は明確に別段の指定がなされていないかぎり、各種の代替的な変形及びステップシーケンスをとり得ると理解されたい。また、添付の図面に示され、本明細書中の以下において記載されている具体的な装置とプロセスは、本開示の例示的な実施形態又は態様にすぎないことも理解されたい。したがって、本明細書で開示される実施形態又は態様に関する具体的な寸法及びその他の物理的特徴は、限定的とはみなされないものとする。
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるかぎり、文脈上、明らかに他の解釈が必要な場合を除き、冠詞(a,an,the)は複数形も含む。
【0031】
「左」、「右」、「上」、「下」等の空間又は方向を指す用語は、図中に示された状態の本発明に関している。しかしながら、本発明は様々な代替的な向きをとることができ、したがって、かかる用語は限定的とはみなされないものとする。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されている全ての数は、何れの場合もおいても「約」という用語で修飾されていると理解されたい。「約」とは、明示された値のプライマスナス10パーセントの範囲を意味する。
【0033】
「等」という用語は非限定的であると理解されたい。すなわち、「等」の前に明示された要素は明示された特徴の非限定的な例と理解されたい。
【0034】
本明細書で開示される全ての範囲は、範囲の最初の値と最後の値及びその中に含まれる全ての小範囲を含む。本明細書で開示される範囲は、明示された範囲の平均値を表す。
【0035】
「~を含む(include)」という用語は「~を含む(comprise)」と同義である。
【0036】
「化学線(「actinic radiation」及び「actinic light」)」という用語は、材料内に反応を起こすことのできる、例えばフォトクロミック材料を1つの活性化状態から他の活性化状態に変換することのできる電磁放射を意味する。
【0037】
本明細書中で使用されるかぎり、「紫外線」、「紫外放射」、「紫外光」、及び「紫外線スペクトル」という用語は、100nm~415nm未満の範囲の波長を有する電磁放射を意味する。「UV」という用語は、紫外放射等の紫外線を意味する。
【0038】
本明細書で使用されるかぎり、「紫外可視光」又は「UVV」という用語は、395nm~455nm未満の範囲の波長を有する電磁放射を意味する。
【0039】
本明細書で使用されるかぎり、「フォトクロミック」という用語及びそれに類似する用語、例えば「フォトクロミック材料」、「フォトクロミック化合物」、又は「フォトクロミックコーティング」とは、少なくとも化学線の吸収に応答して変化する、少なくとも可視光に対する吸収スペクトルを有するあらゆる材料又は化合物を意味する。フォトクロミック材料は少なくとも1つのフォトクロミック化合物を含む。フォトクロミック材料又は化合物は、光学製品の少なくとも1つの表面上に堆積されるコーティング又はフィルムに組み込まれ得る。追加的又は代替的に、フォトクロミック材料又は化合物は光学製品の本体の中に、例えば光学製品の材料への含浸又はキャスティング等により組み込まれ得る。「フォトクロミックレンズ」という用語は、それに関連付けられたフォトクロミック材料を有するレンズを意味する。「フォトクロミックコーティング」及び「フォトクロミックフィルム」という用語は、熱可逆的及び非熱可逆的なフォトクロミック材料及び化合物を含む。「熱可逆的なフォトクロミック化合物/材料」という用語は、本明細書中で使用されるかぎり、化学線に応答して第1の状態、例えば「色なし状態」から第2の状態、例えば「色付き状態」に変化し、熱エネルギに応答して第1の状態に戻ることのできる化合物/材料を意味する。「非熱可逆的なフォトクロミック化合物/材料」という用語は、本明細書中で使用されるかぎり、化学線に応答して第1の状態、例えば「透明状態」から第2の状態、例えば「色付き状態」に変化し、色付き状態の吸収帯と実質的に同じ波長の化学線に応答して第1の状態に戻ることのできる化合物/材料意味する。
【0040】
「光学」という用語は、光及び/又は視力に関係する、又はこれに関連付けられることを意味する。例えば、光学製品若しくは素子又は装置は、眼科製品、素子、及び装置、表示製品、素子、及び装置、窓、ミラー、並びに能動及び受動液晶セル製品、素子、及び装置から選択できる。
【0041】
本明細書で使用されるかぎり、「眼科」という用語は眼及び視力に関係する、又はそれに関連付けられることを意味する。眼科製品又は素子の限定的な例には、セグメント化又は非セグメント化多焦点レンズ(二焦点レンズ、三焦点レンズ、及び累進レンズ等であるが、これらに限定されない)の何れでもあり得る単焦点又は多焦点レンズを含む矯正及び非矯正レンズのほか、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、及び保護レンズ又はバイザを含むがこれらに限定されない、視力を矯正、保護、又は(審美的又はそれ以外に)改善するために使用されるその他の要素が含まれる。
【0042】
本明細書で使用されるかぎり、「レンズ」という用語は、少なくとも個別のレンズ、1対のレンズ、部分的に形成された(すなわちセミフィニッシュト)レンズ、完全に形成された(すなわちフィニッシュト)レンズ、及びレンズブランクを意味し、これらを包含する。
【0043】
「活性化される」という用語は、光学製品が化学線等の条件に十分な時間にわたりさらされ、光学製品が、例えば可視光及び/又は紫外線(UV)の吸収又は線形偏光等の少なくとも1つの光学特性に関して第1の活性化状態から第2の活性化状態に遷移することを意味する。
【0044】
本発明は、本発明の下記の実施形態又は態様のあらゆる組合せを含み、それらからなり、又は基本的にそれらからなる。本発明の様々な実施形態又は態様は、添付の図面において示されている。しかしながら、これは解説及び説明をしやすくするためにすぎないと理解されたい。本発明の実践において、1つの図面に示されている本発明の1つ又は複数の実施形態又は態様は、その他の図面にうちの1つ又は複数に示されている本発明の1つ又は複数の実施形態又は態様と組み合わせることができる。
【0045】
図1~5Bに関して、本開示の1つの実施形態又は態様による特性測定装置2が示され、説明される。特性測定装置2は光学製品3の透過率を特定するように構成され得て、光学製品3は、光学製品3の少なくとも1つの表面上にグラデーションパターンで適用された少なくとも1つのフォトクロミック材料を有する。本開示の1つの実施形態又は態様において、光学製品3は、グラデーションパターンを含んで化学線により活性化させられ得るフォトクロミック材料を有するレンズであり得る。しかしながら、何れのフォトクロミック光学製品もこの装置で測定できると理解されたい。この装置2を使って、欠陥をマッピングでき、又はフォトクロミック挙動の不均一性を検出できると想定される。フォトクロミック光学製品3は、活性化されるとグラデーションパターンを示し得るが、それはコーティングの形態である必要はない。光学製品3は、コーティング、含浸、又は光学製品3との積層を含め、グラデーションパターンで存在する少なくとも1つのフォトクロミック材料を含むことができる。
【0046】
本開示の1つの実施形態又は態様において、特性測定装置2はハウジング4を含み得て、これは内部6を画定し、そこに光学製品3を受けるように構成された温度制御ボックス41が含まれる。本開示の1つの態様において、ハウジング4は上壁部材8、少なくとも4つの側壁部材10、12、14、16、及び底壁部材18を含み得て、これらは相互に動作的に接続されてハウジング4を形成する。他の実施形態では、ハウジング4は光がハウジング4の内部に入るのを防止するように構成された何れのかのチャンバ又はボックスである。1つの実施形態又は態様において、壁部材8~18は不透過性材料で製作され、それによって外部の光源は壁部材8~18を貫通してハウジング4の内部に入ることができない。壁部材8~18は無反射である。壁部材8~18は相互に動作的に接続されて、ハウジング4の内部6を形成する。フレーム部材20は、壁部材8~18を相互に動作的に接続するために提供され得る。
【0047】
図1~5Bに示されるように、本開示の1つの実施形態又は態様において、ハウジング4は引出し22を含み得て、これはハウジング4の内部6の中に収容される温度制御ボックス41から出し入れされるように構成される。引出し22は、光学製品3を受けて温度制御ボックス41の内部に挿入するように構成され得る。オペレータは、引出し22に動作的に接続されたハンドル24を引いて、引出し22を温度制御ボックス41の内部から引き出し得る。引出し22がハウジング4から引き出されたところで、光学製品3が引出し22上に位置付けられ得る。その後、オペレータは引出し22を温度制御ボックス41内に押し戻して、光学製品3をハウジング4の内部6の中に画像捕捉装置36と一直線上に位置付け得る(詳しくは後述する)。引出し22は、引出し22がハウジング4の内部6に出し入れできるようにするのに十分な何れの方法でもハウジング4に動作的に接続され得て、これにはスライディングブラケット、ローラ、及びこれに類する機械的構成が含まれると理解されたい。
【0048】
本開示の1つの実施形態又は態様において、保持部材26は引出し22に動作的に接続されて引出し22上に光学製品3を保持し得る。保持部材26は、光学製品3をハウジング4の内部6の中に固定するために提供され得て、その間に光学製品3の透過率が特定される。本開示の1つの実施形態又は態様において、保持部材26は光学製品3を引出し22上に保持し、固定するように構成される3爪チャックであり得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、保持部材26はセルフセンタリングチャックであり得る。3爪チャックは、光学製品3を3爪チャック内にセットできる開位置とチャックの爪が光学製品3を3爪チャック内に固定する閉位置との間で動かされ得る。保持部材26は、特性測定装置2の中に、光学製品3がハウジング4の内部6の中の引出し22上に保持されるときに、少なくとも1つのフォトクロミック材料のグラデーションパターンが確実に所定の位置に保持されるようにするために提供され得る。後でより詳しく説明するように、保持部材26により、光学製品3はハウジング4内の一貫した所定の場所に保持されることが確実となり、それによって光学製品3上のフォトクロミック材料が有効に活性化されることが確実となる。したがって、保持部材26を使用することにより、光学製品3はハウジング内で常に所望の位置及び向きに位置付けられ、それによって光学製品3をハウジング4内で確実に正しく位置付けるために必要な時間と労力が縮小される。
【0049】
図1~5Bに示されるように、本開示の1つの実施形態又は態様において、特性測定装置2はまた、ハウジング4の内部6内に少なくとも1つの化学線源を含み得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、化学線源28は静止状態に保持されて、化学線源28は、光学製品3を固定する保持部材26に関して常に同じ位置に向けられる。
【0050】
本開示の1つの実施形態又は態様において、1つの化学線源28がハウジング4の内部6の中に提供されて、光学製品3の表面上のフォトクロミック材料のグラデーションパターンを活性化させる。しかしながら、追加の化学線源28がハウジング4の内部6の中に提供され得ることも想定される。本開示の1つの実施形態又は態様において、化学線源28は紫外光源である。特性測定装置2の中では他の化学線源が使用され得ることも想定され、これは例えば紫外可視光(UVV)であり、それによって光学製品3のフォトクロミック材料の表面上のグラデーションパターンが活性化させられ得る。化学線源28は特性測定装置2の中に、ハウジング4の内部6の中で化学線を供給し、生成して、光学製品3のフォトクロミック材料中のフォトクロミック化合物を活性化させて、光学製品3の表面上のグラデーションパターンを活性化させるために提供される。本開示の1つの実施形態又は態様において、化学線源28は365~415nmの範囲内の電磁放射を発出する。本開示の1つの実施形態又は態様において、化学線源28は共焦点紫外LEDアレイであり得、それによって特性測定装置2の使用中の過剰な振動を排除し、また、本来であればUV光源を画像捕捉装置36の経路から出し入れするために、ある程度の自動化が必要となるが、可動部品の必要性が排除される。
【0051】
本開示の1つの実施形態又は態様において、特性測定装置2はまた、化学線源28により供給された化学線を保持部材26上に保持された光学製品3に向かって方向付けるように構成された紫外線フィルタ32も含み得る。紫外線フィルタ32は、反射カットオフフィルタであり得る。紫外線フィルタ32は、紫外線スペクトル内の、例えば395nmまで、410nmまで、又は420nmまでの全ての波長を反射するように構成され得る。紫外線フィルタ32は、特性測定装置2内に、化学線源28により提供される化学線を反射して、化学線がフォトクロミック材料を活性化させるために光学製品3に確実に供給されるようにするために提供され得る。紫外線フィルタ32は特性測定装置2のために、光学製品3に適用されるフォトクロミック材料に基づいて選択され得る。本開示の1つの実施形態において、紫外線フィルタ32は化学線を光学製品3に向かって方向付け、それによってバックライトユニット43からの光が紫外線フィルタ32を通って画像捕捉装置36に向かうことができるようにするように構成され得る(図5A及び5B参照)。光学製品3の表面上の特定のフォトクロミック材料に応じて、フォトクロミック材料中のフォトクロミック化合物を活性化させるために、光学製品3に異なる波長の化学線を供給する必要があり得る。紫外線フィルタ32が希望に応じて光学製品3に関して別の角度に位置付けられ得ることも想定される。本開示の1つの実施形態又は態様において、保持部材26と、したがって光学製品3は紫外線フィルタ32の下に、光学製品3が化学線源28と一直線上に配置されないように位置付けられる。光学製品3は、化学線源28と一直線上に位置付けられなくてよい。そうではなく、紫外線フィルタ32は、化学線源28からの化学線を保持部材26上に保持される光学製品3へと方向付けるように構成される。
【0052】
本開示の1つの実施形態又は態様において、シャッタ機構34もまた特性測定装置2内に、化学線源28と共に使用するように提供され得る。シャッタ機構34は、化学線源28からの化学線がハウジング4の内部6内に保持される光学製品3に向かってどのように方向付けられるかを制御するために提供され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、シャッタ機構34は、シャッタ機構34が持ち上げられて化学線が光学製品3に向かって方向付けられるのをブロックしない位置と、シャッタ機構34が下げられて、化学線が光学製品3に向かって方向付けられるのをブロックする位置との間で移動され得る。本開示の他の実施形態又は態様において、シャッタ機構34は、シャッタ機構34が開いて化学線がシャッタ機構34を通って光学製品3へと到達できるようにする位置と、シャッタ機構34が閉じて化学線が光学製品3に向かって方向付けられるのを阻止する位置との間で移動され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、化学線源28、紫外線フィルタ32、及びシャッタ機構34は、ハウジング4の内部6の中で相互に一直線上に位置付けられる。
【0053】
図1~5Bに示されるように、本開示の1つの実施形態又は態様において、画像捕捉装置36もまた特性測定装置2の中に提供される。本開示の1つの実施形態又は態様において、画像捕捉装置36は線形応答カメラであり得る。しかしながら、別の種類のカメラが画像捕捉装置36として使用され得ることも想定される。画像捕捉装置36は、ハウジング4の内部6の中でハウジング4に動作的に接続され得る。画像捕捉装置36は、ハウジング4の内部6の中でブラケット上に保持され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、画像捕捉装置36は、ハウジング4の内部6のある部分の画像又は動画データを捕捉するように構成され得る。特に、画像捕捉装置36は、ハウジング4の内部6の中に位置付けられたときに、光学製品3の画像又は動画データを捕捉するように構成され得る。後でより詳しく説明するように、画像捕捉装置36は、光学製品3の表面上のフォトクロミック材料の活性化プロセス中の異なる時点において光学製品3の画像又は動画データを捕捉するように構成される。画像捕捉装置36により捕捉される画像又は動画データは、光学製品3の表面上のグラデーションパターンの透過率を特定するために使用され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、画像捕捉装置36はハウジング4の内部6の中の静止位置に保持され得る。本開示の他の実施形態又は態様において、画像捕捉装置36はハウジング4の内部6の中で、画像捕捉装置36がハウジング4内に保持される光学製品3に関して異なる位置に移動させられ得るように調整可能であり得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、画像捕捉装置36はハウジング4内に保持される光学製品3と一直線上に位置付けられ得て、それによって画像捕捉装置36は光学製品3の真上に位置付けられる。
【0054】
図1~5Bに示されるように、本開示の1つの実施形態又は態様において、特性測定装置2はまた、特性測定装置2のハウジング4の温度制御ボックス41の中の温度を調整するための温度制御コンポーネント38も含み得る。温度制御コンポーネント38は、少なくとも1つの温度制御ユニット40を含み得る。温度制御ユニット40は温度制御ボックス41に動作的に接続され得て、温度制御ユニット40は温度制御ボックス41内に保持された空気の温度を調整して、温度制御ボックス41内に保持される光学製品3の表面上のフォトクロミック材料を活性化させるときに最適な結果が得られることが確実になるようにし得る。本開示の1つの実施形態において、温度制御コンポーネント38は、温度制御ボックス41内を0℃~50℃の範囲の温度に維持するように構成される。本開示の1つの実施形態において、温度制御ユニット40はペルティエデバイスであり得る。温度制御ボックス41は、引出し22に動作的に接続され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、保持部材26は引出し22上及び温度制御ボックス41内に位置付けられ得る。温度制御コンポーネント38は、温度制御ボックス41内の所定の温度を維持するようにプログラムされ、構成され得る。本開示の1つの実施形態において、温度制御ボックス41は、保持部材26の下に位置付けられたバックライトユニット43、保持部材26、引出し22、温度制御ユニット40、及び温度制御ボックス41の温度を測定するためのサーモカップル又はサーミスタを含み得る。バックライトユニット43は、制御ユニット42に動作的に接続され得る。1つの実施形態において、引出し22の底部分は透明であるか開放し得て、引出し22が閉じられたときに光学製品3の真下のバックライトユニットは遮蔽されない。1つの実施形態において、温度制御ボックス41は画像捕捉装置36/光学製品3/バックライトユニット43と一直線上の水晶の窓45を含み得て、それを通して画像捕捉装置36は温度制御ボックス41の内部を見る。バックライトユニット43の非限定的な例には、布又はプラスチックのバックライトシート、又はLEDアレイが含まれる。バックライトユニット43は散光で照明され得る。例示的なバックライトユニット43は、散光白色LEDシステムを含み得る。バックライトユニット43は装置2の唯一の光源であり得る。しかしながら、装置2はバックライトユニット43を含まない追加の光源を含み得ると理解されたい。
【0055】
本開示の1つの実施形態又は態様において、温度制御コンポーネント38は、ハウジング4の温度制御ボックス41内の所定の温度を設定し、次に、温度制御ユニットの温度出力を設定して、この所定の温度が温度制御ボックス41に提供されるように構成され得る。しかしながら、ハウジング4内に保持されるフォトクロミックレンズの種類に応じて温度制御コンポーネント38が別の温度範囲を使用し得ることも想定される。1つの実施形態において、特性測定装置2は、温度制御ボックス41が所望の温度に到達するまで光学製品3に関する特性測定手順が実行されないように構成される。
【0056】
図1~5Bに関して、本開示の1つの実施形態又は態様において、特性測定装置2はまた、特性測定装置2の様々なコンポーネントを動作させるために提供された制御ユニット42も含み得る。本開示の1つの実施形態において、制御ユニット42は、制御ユニット42に下記の動作を実行させるためのソフトウェアを実行するプロセッサを有するコンピュータであり得る。制御ユニット42は、画像捕捉装置36から受け取ったデータを記憶するように構成され得る。制御ユニット42は、保持部材26、化学線源28、シャッタ機構34、画像捕捉装置36、バックライトユニット43、及び温度制御コンポーネント38のうちの少なくとも1つに動作的に接続されて、これらのコンポーネントの各々の動作を開始させ、及び/又は無効にし得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、制御ユニット42は、保持部材26、化学線源28、シャッタ機構34、画像捕捉装置36、バックライトユニット43、及び温度制御コンポーネント38の全てに動作的に接続される。
【0057】
本開示の1つの実施形態又は態様において、制御ユニット42は、保持部材26、化学線源28、シャッタ機構34、画像捕捉装置36、及び温度制御コンポーネント38の各々に直接有線接続され、これらのコンポーネントの動作を実行させ得る。本開示の他の実施形態又は態様において、制御ユニット42は保持部材26、化学線源28、シャッタ機構34、画像捕捉装置36、バックライトユニット43、及び温度制御コンポーネント38に無線で接続されて、これらのコンポーネントの動作を実行させ得る。制御ユニット42は、オペレータが使用するように特性測定装置2のハウジング4上に位置付けられ得るか、代替的に、制御ユニット42はオペレータが遠隔で特性測定装置2を作動させ、作動停止させることができるように特性測定装置2から離れた場所に位置付けられ得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、制御ユニット42は特性測定装置2から離れたリモート(図示せず)を使って作動させられ得る。特性測定装置2の動作中の制御ユニット42の使用については、以下においてさらに詳しく説明する。
【0058】
図1~5B及び8に関して、本開示の1つの実施形態又は態様による特性測定装置2の動作と使用を詳しく説明する。特性測定装置2は、特性測定装置2に導入された光学製品3の表面上のフォトクロミック材料を通じた可視光の透過率を特定するために使用され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、フォトクロミック材料は、フォトクロミック材料の異なる部分が異なる透過率を有するグラデーションパターンを含み得る。
【0059】
光学製品3が特性測定装置2の中にセットされる前に、画像捕捉装置36のための露光が既知の透過率の標準を使ってバックライトユニット43の強度に較正され得る。制御ユニット42は、温度制御ボックス41の特定の温度が確実に設定されるように温度制御コンポーネント38を作動させるために使用され得る。この動作を光学製品3が特性測定装置2の中に導入される前に実行することにより、オペレータは、ハウジング4の内部6が確実に所望の温度に設定されるようにすることができ、光学製品3が特性測定装置2の中に導入された後で光学製品3を所定の温度と平衡状態にするのに必要な時間が最小化される。しかしながら、温度制御ボックス41の温度は、光学製品3が特性測定装置2に導入された後でも設定され得ることも想定される。本開示の1つの実施形態又は態様において、制御ユニット42により、温度制御コンポーネント38は特性測定装置2の動作全体を通じて温度制御ボックス41内を所定の温度に確実に維持することができる。
【0060】
特性測定装置2の動作が開始される前に、引出し22はオペレータによってハウジング4から引き出され、光学製品3が保持部材26上に固定される。本開示の1つの実施形態又は態様において、保持部材の3爪チャックは、光学製品3が保持部材26上に保持されていないときには開位置に保持され得る。光学製品3が保持部材26上にセットされた後、3爪チャックは閉位置に移動させられて、爪が相互に近付き、保持部材26上の光学製品3と係合して固定し得る。光学製品3が保持部材26に固定されると、光学製品3は保持部材26上の所定の位置に、光学製品3が画像捕捉装置36及び化学線源28に関して所望の位置及び向きに位置付けられるように位置付けられる。光学製品3が保持部材26に固定された後、引出し22はオペレータによってハウジング4に押し戻されて、光学製品3が光学製品3のフォトクロミック材料の活性化のために位置付けられ得る。一直線上のコンポーネントは全て、動作中に固定された位置にある(引出し22は閉じられると光学製品3を固定位置に設置する)。可動部品がないことにより、振動がなくなり、全ての画像が鮮明でピントの合ったものとなり、一連の画像を位置が画定された状態で比較できる。紫外線フィルタ32は画像捕捉装置36と一直線上にあり、同じく固定され得て、不要な振動、ノイズ等に寄与しない。
【0061】
光学製品3がハウジング4の内部6の中に位置付けられると、制御ユニット42は画像捕捉装置36を作動させて、保持部材26上に保持された光学製品3の画像又は動画を捕捉させるために使用され得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、光学製品3の表面上のフォトクロミック材料が化学線源28により活性化される前に少なくとも1つの画像が画像捕捉装置36により捕捉される。フォトクロミック材料が光学製品3の表面上で活性化される前に、フォトクロミック材料は光学製品3を通る第1の透過率を有する。バックライトユニット43は可視光を発し、これはすると、光学製品3を第1の(活性化)状態及び第2の(非活性化)状態のどちらにおいても透過する。
【0062】
光学製品3の第1の画像が画像捕捉装置28によって捕捉された後、制御ユニット42は、化学線が光学製品3に向けられて、フォトクロミック材料を活性化させるように化学線源28を作動させるために使用され得る。本開示の1つの実施形態において、光学製品3の活性化は、フォトクロミック材料を完全に活性化させるのに十分な長さの時間、例えば3分間にわたり得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、化学線は紫外線フィルタ32を通じて、保持部材26上に保持される光学製品3に向かって方向付けられる。化学線が光学製品3の表面上のフォトクロミック材料と接触すると、フォトクロミック材料の少なくとも1つのフォトクロミック化合物が活性化し、それによって光学製品3の表面上のグラデーションパターンが活性化する。フォトクロミック材料が光学製品3の表面上で活性化した後、制御ユニット42は保持部材26上に保持される光学製品3の画像又は動画データを捕捉するように画像捕捉装置36を作動させるために使用され得る。したがって、特性測定装置2のこの動作時点では、フォトクロミック材料が活性化する前の光学製品3の少なくとも1つの画像が画像捕捉装置36によって捕捉されており、フォトクロミック材料が活性化した後の光学製品3の少なくとも1つの画像が画像捕捉装置36により捕捉されている。
【0063】
画像捕捉装置36は、露光量及び持続時間を制御するように構成されたシャッタ機構を含み得る。後で詳しく説明するダーク画像は、第1及び/又は第2の画像の何れかが捕捉される前又は後に捕捉され得る。ダーク画像は、画像捕捉装置36のシャッタ機構を閉じて画像を捕捉することにより生成される。
【0064】
少なくとも3つの画像が画像捕捉装置36によって捕捉された後、制御ユニット42は、フォトクロミック材料が活性化された後に撮影された光学製品3の少なくとも1つの画像とフォトクロミック材料が活性化された後に撮影された光学製品3の少なくとも1つの画像の各々から読み取られた暗電流を除去して、画像捕捉装置36により捕捉された背景干渉があればそれを除去するように構成される。図7に示されるように、暗電流が画像から排除されると、制御ユニット42は光学製品3上の関心対象領域44を分離するようにプログラム及び構成される。制御ユニット42は、関心対象領域44を、光学製品3のフォトクロミック材料全体にわたる複数の分割された小領域46に細分し得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、制御ユニット42は、少なくとも幅5ミリメートル、高さ5ミリメートルのフォトクロミック材料の小領域46を識別するようにプログラムされ、構成される。各小領域46は正方形又は長方形であり得る。フォトクロミック光学製品3の関心対象領域44内の各小領域46は、他の小領域46とは異なると透過率を有し得る。さらに、フォトクロミック材料の対応する小領域の各々は、フォトクロミック材料が活性化する前に撮影された光学製品3の画像とフォトクロミック材料が活性化した後に撮影された光学製品3の画像とでは異なる透過率を有し得る。本開示の1つの実施形態又は態様において、活性化したフォトクロミック光学製品3の上のフォトクロミック材料は、フォトクロミック光学製品の上部が光学製品3の上部において最も暗く、光学製品3の底部において最も明るい線形グラデーションを有し得る。
【0065】
本開示の1つの実施形態又は態様において、フォトクロミック光学製品3の表面上のフォトクロミック材料の透過率を特定する方法は、2020年6月25日に出願された米国特許出願公開第2021/0055217号明細書において開示されており、その開示の全体を参照によって援用する。所望の波長範囲の電磁放射の強度の測定は、画像捕捉装置36によって光学製品3の1つ又は複数の関心対象領域44で行われ得る。1つ又は複数の関心対象領域44はランダムに選択され得るか、又は光学製品3の、そこを通る光の透過率の測定が望まれる部分に対応し得る。
【0066】
米国特許出願公開第2021/0055217号明細書に記載されているように、画像捕捉装置36は光学製品3を透過する電磁放射の画像データを捕捉する。画像捕捉装置36は強度検出装置であり、光学製品3の1つ又は複数の部分を透過する電磁放射の強度を測定する。位置に応じた強度データは、画像捕捉装置36により撮影された画像データに含めることができる。画像捕捉装置36は、光学製品3を透過する電磁放射の強度を測定するために高い解像度を有する必要はない。しかしながら、画像捕捉装置36が良好な測光線形を有することが好ましい。さらに、画像捕捉装置36が高いダイナミックレンジを有することが好ましい。画像捕捉装置36の例には、デジタルカメラ、電荷結合素子(CCDs)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、フォトダイオードアレイ、光電子増倍管アレイ、又は何れかのある面積に焦点を合わせる光学系を有するシングルセンサ(1回1アレイ)が含まれる。画像捕捉装置36のその他の例はハイパスペクトルイメージャであり、この場合、各ピクセルにおけるイメージセンサは、フィルタにより狭められた帯域だけでなく、可視光のスペクトル全体にわたるデータを取得し得る。画像捕捉装置36は、カラー又は白黒の画像を撮影し得る。強度測定装置として機能するのに好適な画像捕捉装置36の例は、ペンシルバニア州エクストンのAllied Vision Technologiesから市販されているモデルAVT F-145B/Cスティングレイカメラである。ハイダイナミックレンジ(“HDR”)機能を使って撮影された画像もまた使用され得るが、露光時間とダーク値がわかっていることが条件であり、露光時間と測定された強度値との関係が線形であることが前提とされる。
【0067】
画像データは、光の強度及び位置に関するデータを含め、画像捕捉装置36の内部メモリに保存できる。代替的に、画像データはリムーバブル若しくは外付けメモリに、又は当業界で知られている他の何れかの方法で保存できる。
【0068】
画像捕捉装置36は、電磁放射の1つ以上の選択された波長又は1つ以上の波長範囲の強度データを含む画像データを撮影するように構成され得る。例えば、画像捕捉装置36は、1nm~1,000nmの範囲内の電磁放射の1つ以上の選択された波長又は1つ以上の波長範囲の強度データを含む画像データを撮影するように構成できる。例えば、画像捕捉装置36は、可視光の1つ以上の選択された波長又は1つ以上の波長範囲の強度データを含む画像データを撮影するように構成できる。例えば、画像捕捉装置36は、赤、緑、及び青範囲の電磁放射の強度に関するデータを取得し得る。代替的又は追加的に、画像捕捉装置36はシアン、黄、緑、及び/又はマゼンタの範囲の電磁放射の強度データを取得し得る。その他の波長範囲も使用され得る。当業者であれば、メーカ及びイメージングデバイスごとに規定されるこれらの色範囲が異なり、各色の特定の波長又は波長範囲及び幾つかの範囲は重複し得ることがわかるであろう。赤、緑、及び青の例示的範囲はそれぞれ、635±20nm、555±20nm、及び460±20nmである。約380~780nmの波長を含む、可視光スペクトル内の何れの波長範囲又は波長範囲の組合せも使用され得る。
【0069】
光学製品3がフォトクロミック特性を有する場合、第1の強度測定は光学製品3が第1の状態とされて行われ得る。第1の状態は非活性化状態とすることができる。第2の強度測定はフォトクロミック光学製品3が第2の状態のときに画像捕捉装置36により行うことができる。第2の状態は活性化状態とすることができる。
【0070】
画像捕捉装置36で画像を捕捉する際、測定された強度値の幾つかは画像捕捉装置36上の暗電流に部分的に起因し得る。暗電流は、画像捕捉装置36の温度に依存する可能性がある。画像捕捉装置36のメーカは、暗電流による画像捕捉装置36の強度値の表又はプロットを提供するかもしれない。様々な温度での暗電流による強度は、シャッタが閉じているときに画像捕捉装置36で1つ又は複数の測定を行うことによって特定できる。温度測定は、温度測定装置によって、第1及び第2の強度値の測定と同時に行うことができる。画像捕捉装置36は温度測定装置を含み得るか、他は外部の温度測定装置が使用され得る。
【0071】
画像捕捉装置36が光学製品3の表面積の全部又は少なくとも一部の画像を捕捉する際、光学製品3の異なる場所からの強度値を比較できる。このような比較は、それによって光学製品3の場所による温度差を識別できるため、有益である。この構成によれば、ユーザは、フォトクロミックのグラデーションを有する光学製品3の透過率の勾配をマッピングできる。このように状況において、関心対象領域44は大きさにおいて光学製品3の測定対象の所望の面積に対応し得る。
【0072】
同様に、光学製品3を透過した電磁放射、例えば可視光の強度の第2の測定が、画像捕捉装置36により行われる。第2の測定には同じ関心対象領域44にわたる強度データが含まれる。第1の測定及び第2の測定のための測定波長又は波長範囲は同じであることが好ましい。
【0073】
第1の測定と第2の測定との間で強度データを比較するために、小領域46上の位置データが特定される。2つの強度測定間の小領域46上のある位置は、各画像内の小領域46の形状を比較することにより特定され得る。これは、画像を視覚的に比較して、各画像内の解析すべき座標範囲を選択することによって行われ得る。追加的又は代替的に、参照表面がx-y座標等の座標又は、小領域46の形状がそれ以外に均一である実施形態又は態様においては第1及び第2の測定間で画像データを比較することによって位置を特定するのに役立ち得るその他の識別マークと重ねられ得る。画像捕捉装置36のメモリ内、制御ユニット42内、又は外部のコンピューティングデバイス内に記憶されたソフトウェアは、プロセッサにより適用され、画像が自動的に比較されて解析すべき小領域46が特定され得る。プロセッサは、画像捕捉装置36の中又は制御ユニット42の中に配置され得るか、又は外部のプロセッサが使用され得る。
【0074】
前述のように、測定された強度値の幾つかは暗電流に部分的に起因し得る。暗電流は、画像捕捉装置36の温度を含め、ハウジング4内の温度に依存する可能性がある。本開示の1つの実施形態又は態様において、様々な温度において暗電流に起因する強度は、シャッタ機構34が閉じている間に画像捕捉装置36で1つ又は複数の測定を行うことによって特定できる。温度測定は、温度測定装置によって、第1及び第2の強度値の測定と同時に行うことができる。画像捕捉装置36は温度測定装置を含み得るか、外部の温度測定装置が使用され得る。
【0075】
第1及び第2の測定において、強度データはある波長範囲にわたり、又は特定の波長について取得され得る。2つの測定のデータを比較する際、以下の等式が適用され得る:
【数1】
式中、
Measは光学製品3を通る電磁放射の透過率であり、
は第1の強度測定値(すなわち、非活性化状態)であり、
は第2の強度の測定値(すなわち、活性化状態)、であり、
dは強度測定装置上の暗電流に起因する強度値である。
【0076】
光学製品3の測定された吸収率AMeas
【数2】
として定義される。
【0077】
所望の波長範囲の光を透過させる関心対象領域44の例では、TMeasの計算により光学製品3の透過率の正確な値が得られると理解されたい。TMeasは、光学製品3の表面上のフォトクロミック材料の非活性化及び活性化状態間の透過率の差の測定値である。
【0078】
制御ユニット42が強度データを解析するのに使用され得る例示的なソフトウェアには、WaveMetricsが開発したIgor Pro、国立保健研究所が開発したImage J、National Instrumentsが開発したLabVIEW、OriginLabが開発したOrigin及びOriginPro、Microsoft Corporationが開発したMicrosoft Excelが含まれる。当業界で知られているように、その他のソフトウェアは強度データの解析を行い得る。
【0079】
以上の説明の中で本開示の様々な例が提供されているが、当業者であれば、本開示の範囲と主旨から逸脱することなく、これらの例に改良及び変更を加え得る。したがって、以上の説明は、限定的ではなく例示的であるものとする。上で説明された本開示は、付属の特許請求項により定義され、特許請求項の意味及びその等価物の範囲に含まれる本開示への全ての変更は、その範囲内に包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】