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特表2024-530142ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 5/00 20060101AFI20240808BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20240808BHJP
   D21H 17/24 20060101ALI20240808BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20240808BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C08L5/00
A47K10/16 Z
D21H17/24
C08K5/053
C08L33/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505262
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2021130869
(87)【国際公開番号】W WO2023005065
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110851959.6
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524036756
【氏名又は名称】北京華熙海御科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BLOOMAGE HYINGC AND TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.570 Xiazhuang Yanxi County Huairou District,Beijing 101407,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】521282033
【氏名又は名称】ブルーメイジ バイオテクノロジー コーポレイション リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】劉▲吉▼
(72)【発明者】
【氏名】楊娟
【テーマコード(参考)】
2D135
4J002
4L055
【Fターム(参考)】
2D135AA07
2D135AA21
2D135AB06
2D135AD06
2D135BA08
2D135BA11
2D135DA10
4J002AB051
4J002BG012
4J002EC056
4J002EP016
4J002FD202
4J002FD206
4J002GK04
4J002HA04
4L055AG34
4L055AG35
4L055BE08
4L055EA30
4L055EA32
(57)【要約】
ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物及びその使用である。前記組成物の水分活性が0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムが組成物中の質量百分率で0.01~5%である。この組成物は、ヒアルロン酸ナトリウム及び水分活性調節剤を含む。水分活性を制御することにより、この組成物は鋳鉄設備の腐食のリスクを軽減し、紙製品のコーティングの均一性を確保し、紙製品の柔軟性を改善し、紙製品に一定のエモリエント特性を与えることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物であって、前記組成物の水分活性が0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムが組成物中の質量百分率で0.01~5%である、組成物。
【請求項2】
前記組成物が水分活性調節剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が、1000~300w Da、好ましくは20w~40w Daである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水分活性調節剤が、水と水素結合を形成し得る物質であり、好ましくは水酸基、カルボニル基、またはアルデヒド基を含む物質であり、より好ましくはグリセロール、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸ナトリウムモノマー、フルクトース、キシリトール、マンノース、アラビノース、またはポリアクリル酸ナトリウムである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記水分活性調整剤が、組成物中の質量百分率で10~95%、好ましくは45~90%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の紙仕上げにおける使用。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物を含む紙仕上げ液。
【請求項8】
さらに添加剤を含有する、請求項7に記載の紙仕上げ液。
【請求項9】
請求項7または8に記載の紙仕上げ液を含有する、紙製品。
【請求項10】
前記紙仕上げ液の塗布量が1~50重量%である、請求項9に記載の紙製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品製造の技術分野に関し、特にヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般的なペーパータオルに比べて、肌を拭く際に肌バリアを傷つけにくい超軟紙が市場で人気を集めている。
【0003】
通常、超軟紙は、一般的なペーパータオルにある種の仕上げ液を塗布することによって得られた。
【0004】
超軟紙の肌へのやさしさをさらに向上させるために、本研究では仕上げ液の配合にヒアルロン酸ナトリウムポリマーを加えることを試みた。しかし、ヒアルロン酸ナトリウムポリマーは強電解質であるため、水ベースの仕上げ液を添加すると、鋳鉄を含む製造装置に電気化学腐食が発生し、腐食した黄褐色の錆水がペーパータオル製品を汚染してしまう。
【発明の概要】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物を提供し、前記組成物は紙製品の仕上げに使用され、前記組成物の水分活性を制御することで鋳鉄設備の腐食のリスクを軽減し、紙製品のコーティングの均一性を確保することができる。
【0006】
本発明の具体的な技術案は以下の通りである。
【0007】
1.ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物であって、前記組成物の水分活性が0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムが組成物中の質量百分率で0.01~5%である、組成物。
2.前記組成物が水分活性調節剤をさらに含む、項1に記載の組成物。
3.前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が、1000~300w Da、好ましくは20w~40w Daである、項1または2に記載の組成物。
4.前記水分活性調節剤が、水と水素結合を形成し得る物質であり、好ましくは水酸基、カルボニル基、またはアルデヒド基を含む物質であり、より好ましくはグリセロール、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸ナトリウムモノマー、フルクトース、キシリトール、マンノース、アラビノース、またはポリアクリル酸ナトリウムである、項1または2に記載の組成物。
5.前記水分活性調整剤が、質量百分率で組成物中に10~95%、好ましくは45~90%である、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
6.項1~5のいずれか一項に記載の組成物の紙仕上げにおける使用。
7.項1~5のいずれか一項に記載の組成物を含む紙仕上げ液。
8.さらに添加剤を含有する、項7に記載の紙仕上げ液。
9.項7または8に記載の紙仕上げ液を含有する、紙製品。
10.前記紙仕上げ液の塗布量が1~50重量%である、項9に記載の紙製品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって提供される組成物は、前記組成物の水分活性を制御することによって、鋳鉄設備の腐食のリスクを低減し、紙製品のコーティングの均一性を確保することができる。
【0009】
本発明の組成物は、ヒアルロン酸ナトリウム含有量と水分活性値の2つの要素を制御することにより、紙製品にコーティングされることで、鋳鉄設備の腐食速度を低減し、紙製品のコーティングの均一性を確保し、紙製品の柔軟性を改善し、紙製品に一定のエモリエント特性を持たせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の特定の実施形態を示したが、本発明は様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本発明のより完全な理解を可能にし、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供されている。
【0011】
なお、明細書及び特許請求の範囲では、特定の構成要素を指すために特定の用語が使用されていることに留意されたい。当業者であれば、同じ構成要素を指すのに異なる名詞を使用する可能性があることを理解するであろう。本明細書及び特許請求の範囲は、構成要素を区別する方法として名詞の違いを使用せず、むしろ区別の基準として構成要素の機能の違いを使用する。明細書及び特許請求の範囲全体にわたって言及される「含有する」または「含む」という言葉が開放式の用語であるので、それらは「含むがそれに限定されない」と解釈されるべきである。以下の説明は、本発明を実施するための好適な実施形態であるが、これは明細書の一般原則を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【0012】
本発明は、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物であって、水分活性が0.330~0.930であり、組成物中の質量百分率で前記ヒアルロン酸ナトリウムが0.01~5%である組成物を提供する。
【0013】
例えば、前記組成物の水分活性は、0.330、0.400、0.500、0.600、0.700、0.800、0.900、0.930などであり得る。
【0014】
前記ヒアルロン酸ナトリウムは、組成物中に質量百分率で0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%などである。
【0015】
前記組成物の水分活性とは、水を加えた後に測定される水分活性を指し、水を加えた後の組成物と水の合計量中の水の含有量が質量百分率で5~60%となる。
【0016】
一実施形態では、水分活性調節剤をさらに含有する。
【0017】
一実施形態では、前記水分活性調節剤は、組成物中に質量百分率で10~95%、好ましくは45~90%である。
【0018】
例えば、前記水分活性調節剤は、組成物中に質量百分率で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%などである。
【0019】
一実施形態では、前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は、1000~300w Da、好ましくは20w~40w Da、さらに好ましくは35w Daである。
【0020】
例えば、前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は、1000Da、5000Da、10w Da、20w Da、25w Da、30w Da、35w Da、40w Da、50w Da、100w Da、200w Da、300w Daなどであり得る。
【0021】
一実施形態において、前記水分活性調節剤は、水と水素結合を形成し得る物質であり、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基を有する低分子物質、マクロ分子物質または高分子物質であってもよく、好ましくはグリセロール、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸ナトリウムモノマー、フルクトース、キシリトール、マンノース、アラビノース、またはポリアクリル酸ナトリウムである。
【0022】
一実施形態では、前記ヒアルロン酸ナトリウムモノマーの分子量は380Daである。
【0023】
一実施形態では、前記組成物の水分活性は0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムは組成物中に質量百分率で0.01~5%であり、前記組成物は水分活性調節剤をさらに含む。
【0024】
一実施形態では、前記組成物の水分活性は0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムは組成物中に質量百分率で0.01~5%であり、前記組成物は水分活性調節剤をさらに含み、前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は1000~300w Daであり、好ましくは20w~40w Daである。
【0025】
一実施形態では、前記組成物の水分活性は0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムは組成物中に質量百分率で0.01~5%であり、前記組成物は水分活性調節剤をさらに含み、前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は1000~300w Daであり、好ましくは20w~40w Daであり、前記水分活性調節剤は、水と水素結合を形成し得る物質であり、好ましくは水酸基、カルボニル基、またはアルデヒド基を含む物質であり、より好ましくはグリセロール、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸ナトリウムモノマー、フルクトース、キシリトール、マンノース、アラビノース、またはポリアクリル酸ナトリウムである。
【0026】
一実施形態では、前記組成物の水分活性は0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムは組成物中に質量百分率で0.01~5%であり、前記組成物は水分活性調節剤をさらに含み、前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は1000~300w Daであり、好ましくは20w~40w Daである。前記水分活性調節剤は、水と水素結合を形成し得る物質であり、好ましくは水酸基、カルボニル基、またはアルデヒド基を含む物質であり、より好ましくはグリセロール、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸ナトリウムモノマー、フルクトース、キシリトール、マンノース、アラビノース、またはポリアクリル酸ナトリウムであり、前記水分活性調節剤は、組成物中に質量百分率で10~95%、好ましくは45~90%である。
【0027】
本発明は、上記の組成物によれば、水分活性調節剤を使用して前記組成物の水分活性を制御し、また、ヒアルロン酸ナトリウムを使用して、鋳鉄設備の腐食のリスクを低減し、紙製品のコーティングの均一性を確保することができる。
【0028】
本発明は、紙製品の仕上げにおける上記組成物の使用を提供する。
【0029】
上述の組成物の使用により、紙製品の製造プロセス中に紙製品のコーティングの均一性を確保し、使用される鋳鉄設備の腐食のリスクを低減することができる。
【0030】
本発明は、上記組成物を含む紙仕上げ液を提供する。
【0031】
一実施形態では、前記紙仕上げ液は添加剤をさらに含む。
【0032】
前記添加剤は、当該技術分野において周知のものであり、例えば、粘度調整剤、防腐剤、ポリマー(カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー)、塩類、脂質、界面活性剤またはエマルション、香料、シリコーンオイル、鉱物油、植物油などであってもよい。
【0033】
上記の紙仕上げ液をオンラインスプレーに使用する場合、紙仕上げ液の水分活性が0.330未満であると、紙上での紙仕上げ液の均一性(塗布量の分布)が影響を受けてしまい、すなわち、スプレー後の溶液の拡散性が低下することが実験により明らかになっている。
【0034】
また、上記紙仕上げ液の鋳鉄設備に対する腐食性を鉄片浸漬実験により調査し、浸漬液の変色時間により腐食性の程度を評価した。製造サイクル(すなわち、生産ラインの1サイクルは8時間である)では、変色時間が8時間以上であれば、腐食性は許容範囲内であると考えられる。研究によると、仕上げ液の水分活性が0.930未満の場合、変色時間は8時間以上であることが分かった。
【0035】
本発明は、上述の紙仕上げ液を使用して、その水分活性を0.330~0.930の範囲内に制御することにより、紙製品を均一にコーティングすることができるだけでなく、鋳鉄設備の腐食のリスクを低減することもできる。
【0036】
本発明は、ヒアルロン酸ナトリウム及び水分活性調節剤を水、好ましくは脱イオン水に溶解して、紙仕上げ液を得るステップを含む、紙仕上げ液の製造方法を提供する。
【0037】
本発明は、上記の紙仕上げ液を含有する紙製品を提供する。
【0038】
一実施形態において、前記紙仕上げ液の塗布量は1~50重量%である。
【0039】
本発明の組成物は、ヒアルロン酸ナトリウム及び水分活性調節剤を使用しているため、組成物の水分活性を0.330~0.930の範囲に制御することができ、得られた紙仕上げ液を紙に塗布すると、紙製品を均一にコーティングすることができる。また、鉄片が錆びるまでの時間が(発錆時間)8時間以上であるため、紙製品の製造に使用される鋳鉄設備の腐食のリスクを軽減でき、得られる紙製品は高い柔軟性と一定のエモリエント特性を備えている。
【実施例
【0040】
本発明は、試験に使用した材料及び試験方法について一般的及び/または具体的に説明する。以下の実施例において、特に断りのない限り、%は重量%、すなわち重量百分率を意味する。使用した試薬や機器の製造元が示されていない場合、それらはすべて市販されている従来の試薬製品である。
【0041】
実施例1
質量の異なるヒアルロン酸ナトリウムと水分活性調節剤を脱イオン水に溶解して紙仕上げ液を得た。紙仕上げ液におけるヒアルロン酸ナトリウム、水分活性調節剤、及び脱イオン水の配合量は表1のとおりであり、番号は1~12である。
【0042】
比較例1
質量の異なるヒアルロン酸ナトリウムと水分活性調節剤を脱イオン水に溶解して紙仕上げ液を得た。紙仕上げ液におけるヒアルロン酸ナトリウム、水分活性調節剤、及び脱イオン水の配合量は表1のとおりであり、番号は13~27である。
【0043】
【表1】
【0044】
試験例1 ヒアルロン酸ナトリウム含有量の測定
紙仕上げ剤中のヒアルロン酸ナトリウムの含有量を特許CN109298112Aの方法を参考にして測定し、その結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実験例2 水分活性の測定
「スイスROTRONIC Hygrolab-C1-SET卓上水分活性器」または同等の機器を使用した。
【0047】
実施例1及び比較例1で得られた異なる紙仕上げ液10mlを水分活性検出用のサンプルセルに入れ、テストプローブでサンプルセルを密閉し、25℃+/-2℃の環境に1時間静置し、水分活性が安定した値に達してから水分活性を記録し、各サンプルを3回測定し、その平均値を求め、その結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
実験例3 鋳鉄設備の腐食
容器として、容積100mlの清潔なPP製蓋付きボトルを使用した。
2cm*4cm*0.5cmの鋳鉄材鉄片を使用した。
鉄片をテストする前に、サンドペーパーを使用して表面の錆を取り除き、界面活性剤を使用して表面の油汚れや汚染物質を徹底的に洗浄し、洗浄後、脱イオン水で界面活性剤を洗い流し、ペーパータオルで乾かした。次に、1分以内に鉄片を容器に入れ、実施例1及び比較例1の紙仕上げ液各90mlを用いて鉄片を完全に浸し、蓋を掛けて密閉した。
浸漬混合物(鉄片+紙仕上げ液)を25℃+/-2℃の恒温オーブンに置き、30分ごとに溶液の色を観察した。
浸漬液の色が無色から肉眼で識別できる黄色(錆色)に変化したときの変色時間を記録し、その結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
実験例4 紙製品のコーティングの均一性
実施例1及び比較例1に記載の紙仕上げ液を噴霧した後、紙製品の基材をロール状に巻き、PEフィルムで包み、3日間放置して熟成させた。熟成完了後、ロール紙の最外10層を剥がし、サンプルを採取した。
【0052】
ロール紙のCD方向(紙がコーティングされるときの移動方向に対して垂直な方向)に沿って均等に30枚の5cm*5cmの紙サンプルを切り取り、25℃+/-2℃の環境下で30分以内に化学天秤を用いてそれぞれの重量を量り、M1、M2、M3、M4、...M30として記録した。
【0053】
これら30のサンプルを105℃のオーブンに30分間置いてからすぐに取り出し、25℃+/-2℃の環境で化学天秤でそれぞれの重量を量り、N1、N2、N3、...N30として記録した。
【0054】
各サンプルの質量損失D1、D2、D3…D30を計算した。
Di=Mi-Ni
平均質量損失として、DN=(D1+D2+…+D30)/30;
D1~D30の標準偏差STDを計算し、
次に、相対標準偏差RSD=STD/DNを計算した。
【0055】
RSDが5%以下の場合、紙製品のコーティングは均一であると考えられ、測定結果を表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
以上によって、本発明の組成物はヒアルロン酸ナトリウム及び水分活性調節剤を含有するので、紙仕上げ液に調製された後、紙製品のコーティングの均一性を確保し、鋳鉄設備の腐食リスクを低減することができる。また、紙製品の柔軟性を改善するだけでなく、紙製品に一定のエモリエント特性を持たせることもできる。
【0058】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を他の形態に限定することを意図するものではなく、当業者であれば、上記に開示した技術内容を利用して、同等の実施形態に同等の変更を加えた変更または修正を行うことができる。しかしながら、本発明の技術案の内容から逸脱することなく、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施形態に対して行われたあらゆる単純な変更、等価な変更、及び修正は、依然として本発明の技術案の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物であって、前記組成物の水分活性が0.330~0.930であり、前記ヒアルロン酸ナトリウムが組成物中の質量百分率で0.01~5%である、組成物。
【請求項2】
前記組成物が水分活性調節剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が、1000~300w Da、好ましくは20w~40w Daである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記水分活性調節剤が、水と水素結合を形成し得る物質であり、好ましくは水酸基、カルボニル基、またはアルデヒド基を含む物質であり、より好ましくはグリセロール、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸ナトリウムモノマー、フルクトース、キシリトール、マンノース、アラビノース、またはポリアクリル酸ナトリウムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記水分活性調整剤が、組成物中の質量百分率で10~95%、好ましくは45~90%である、請求項~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の紙仕上げにおける使用。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物を含む紙仕上げ液。
【請求項8】
さらに添加剤を含有する、請求項7に記載の紙仕上げ液。
【請求項9】
請求項7または8に記載の紙仕上げ液を含有する、紙製品。
【請求項10】
前記紙仕上げ液の塗布量が1~50重量%である、請求項9に記載の紙製品。
【国際調査報告】