(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】多層構造を有する光学フィルム及びそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 1/10 20150101AFI20240808BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20240808BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240808BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240808BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240808BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240808BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240808BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240808BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240808BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240808BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G02B1/10
G02B1/14
H10K59/10
H10K50/844
B32B7/023
B32B27/18 A
B32B27/20 A
B32B27/00 101
B32B27/00 103
C09D5/00 D
C09D201/00
C09D183/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505472
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 KR2022010177
(87)【国際公開番号】W WO2023054866
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128669
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】アン,ビョン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】アン,サン-ヒョン
【テーマコード(参考)】
2K009
3K107
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
2K009AA15
2K009CC24
2K009CC35
2K009CC42
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107EE21
3K107EE46
3K107FF00
3K107FF06
3K107FF14
3K107FF15
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK49A
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK52B
4F100AK52C
4F100AK53B
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4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CA07B
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4F100JN01A
4F100YY00B
4J038DL031
4J038GA07
4J038KA04
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4J038KA12
4J038MA09
4J038PA07
4J038PA17
4J038PB08
4J038PC08
(57)【要約】
本発明は、光透過性基材;及びプライマー層;を含み、耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下であり、黄変度(ΔY.I)が5.5以下であり、全光線透過率が優秀である光学フィルム及びそれを含む表示装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材;及び
プライマー層;を含み、
耐光性試験前の黄色度(Y
0)が5.0以下であり、
黄変度(ΔY.I)が5.5以下である、
光学フィルム:
ここで、前記黄変度(ΔY.I)は、耐光性試験後の黄色度(Y
1)と前記耐光性試験前の黄色度(Y
0)の差(Y
1-Y
0)であり、
前記耐光性試験は、UV条件[0.8W/m
2, @420nm(863.4kJ/m
2, 30
oC/30RH%のチャンバー(Chamber), 55
oC ブラックパネル(Black Panel)×300hr)]で行う。
【請求項2】
前記黄変度(ΔY.I)、耐光性試験前後の色差(ΔE
ab)、及び全光線透過率の差(ΔT)が、下記式1を満たす、
請求項1に記載の光学フィルム:
[式1]
(ΔY.I-ΔE
ab)/[(ΔT)×(ΔE
ab+|ΔT|)]≧1
ここで、前記ΔE
abは、耐光性試験前後の色差であり、
前記ΔTは、耐光性試験後の全光線透過率(T
1)と耐光性試験前の全光線透過率(T
0)との差(T
1-T
0)であるが、前記ΔTが0以下の場合は、前記ΔTを0.1にして式1を計算し、前記|ΔT|は、前記ΔTが0以下の場合でも0.1ではなく本来のΔTの値で式1を計算する。
【請求項3】
前記プライマー層は、
硬化性樹脂;
紫外線吸収剤;及び
顔料;を含み、
前記硬化性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシロキサン系樹脂の中から選択される少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記硬化性樹脂は、下記化学式1で表されるアルコキシシラン及び下記化学式2で表されるアルコキシシランを含んで重合されたシロキサン系樹脂を含む、
請求項3に記載の光学フィルム。
[化学式1]
R
1
nSi(OR
2)
4-n
前記化学式1において、R
1は、エポキシ又はアクリルが置換されたC1~C10の直鎖状、枝分かれ状又は脂環状アルキル基であり、R
2は、C1~C8の直鎖状、枝分かれ状又は脂環状アルキル基であり、nは、1ないし3の整数である。
[化学式2]
Si(OR
3)
4
前記化学式2において、R
3は、C1~C4の直鎖状又は枝分かれ状のアルキル基である。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤は、前記硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部を含み、
前記顔料は、前記硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部を含む、
請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤及び前記顔料は、50ないし100:1の重量比(紫外線吸収剤:顔料=50~100:1)で含む、
請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含む、
請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記顔料は、銅フタロシアニン(Cu-phthalocyanine)系化合物を含む、
請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記プライマー層は、添加剤をさらに含む、
請求項3に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記添加剤は、ポリエーテルシロキサンコポリマー(polyether siloxane Copolymer)を含む、
請求項9に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記耐光性試験前の全光線透過率(T
0)が88.0以上である、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記プライマー層は、0.1ないし10μmの厚さを有する、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記プライマー層の上にハードコート層をさらに含み、
前記光透過性基材、前記プライマー層及び前記ハードコート層は、記載された順に積層される、
請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記ハードコート層は、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂のうちの少なくとも一つを含む、
請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項15】
表示パネル;及び
前記表示パネル上に配置された、第1項ないし第14項のいずれか一項に記載の光学フィルム;を含む、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造を有する光学フィルム及びそれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、表示装置の薄型化、軽量化、フレキシブル化に伴い、カバーウィンドウとして、ガラスの代わりに高分子樹脂を含む光学フィルムを使用することが検討されている。光学フィルムが表示装置のカバーウィンドウとして使用されるためには、優れた光学的特性及び機械的特性を有しなければならない。
【0003】
一方、高分子樹脂を含む光学フィルムは、初期の黄色度が高いか、又は時間の経過とともに黄色度が著しく増加するという問題がある。
【0004】
したがって、不溶性、耐薬品性、及び耐熱性等といった機械的特性に優れており、かつ耐光性等のような光学特性に優れているフィルムの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施例は、耐スクラッチ性(硬度)及び屈曲性に優れており、耐光性に優れている光学フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の一実施例は、耐スクラッチ性(硬度)及び屈曲性に優れており、耐光性に優れている光学フィルムを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の一実施例は、光透過性基材;及びプライマー層;を含み、耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下であり、黄変度(ΔY.I)が5.5以下である、光学フィルムを提供する。
【0008】
ここで、前記黄変度(ΔY.I)は、耐光性試験後の黄色度(Y1)と、前記耐光性試験前の黄色度(Y0)との差(Y1-Y0)であり、前記耐光性試験は、UV条件[0.8W/m2, @420nm(863.4kJ/m2, 30oC/30RH% Chamber, 55oC Black Panel×300hr)]で行う。
【0009】
前記光学フィルムは、黄変度(ΔY.I)、耐光性試験前後の色差(ΔEab)及び全光線透過率の差(ΔT)が下記式1を満たしうる。
【0010】
[式1]
(ΔY.I-ΔEab)/[(ΔT)×(ΔEab+|ΔT|)]≧1
【0011】
ここで、前記ΔEabは、耐光性試験前後の色差であり、前記ΔTは、耐光性試験後の全光線透過率(T1)と、耐光性試験前の全光線透過率(T0)との差(T1-T0)であるが、前記ΔTが0以下の場合は、前記ΔTを0.1にして式1を計算し、前記|ΔT|は、前記ΔTが0以下の場合も0.1ではない本来のΔTの値で式1を計算する。
【0012】
前記プライマー層は、硬化性樹脂;紫外線吸収剤;及び顔料を含み、前記硬化性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシロキサン系樹脂の中から選択される少なくとも一つを含みうる。
【0013】
前記硬化性樹脂は、下記化学式1で表されるアルコキシシラン、及び下記化学式2で表されるアルコキシシランを含んで重合されたシロキサン系樹脂を含むことがある。
【0014】
[化学式1]
R1
nSi(OR2)4-n
【0015】
前記化学式1において、R1は、エポキシ又はアクリルが置換されたC1~C10の直鎖状、枝分かれ状又は脂環状アルキル基であり、R2は、C1~C8の直鎖状、枝分かれ状又は脂環状アルキル基であり、nは、1ないし3の整数である。
【0016】
[化学式2]
Si(OR3)4
【0017】
前記化学式2において、R3は、C1~C4の直鎖状又は枝分かれ状アルキル基である。
【0018】
前記紫外線吸収剤は、前記硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部を含みうるのであり、前記顔料は、前記硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部を含みうる。
【0019】
前記紫外線吸収剤及び前記顔料は、50ないし100:1の重量比(紫外線吸収剤:顔料=50~100:1)で含みうる。
【0020】
前記紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を含みうる。
【0021】
前記顔料は、銅フタロシアニン(Cu-phthalocyanine)系化合物を含みうる。
【0022】
前記プライマー層は、添加剤をさらに含みうる。
【0023】
前記添加剤は、ポリエーテルシロキサンコポリマー(polyether siloxane Copolymer)を含みうる。
【0024】
前記耐光性試験前の全光線透過率(T0)は、88.0以上でありうる。
【0025】
前記プライマー層は、0.1ないし10μmの厚さを有することがある。
【0026】
前記光学フィルムは、前記プライマー層の上部にハードコート層をさらに含み、前記光透過性基材、前記プライマー層及び前記ハードコート層は、記載された順に積層されうる。
【0027】
前記ハードコート層は、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂のうちの少なくとも一つを含みうる。
【0028】
本発明の他の一実施例は、表示パネル;及び前記表示パネル上に配置された、前記光学フィルム;を含む、表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によれば、新規なプライマー層を含むことにより、耐光性に優れている光学フィルムを提供することができる。
【0030】
本発明の他の一実施例によれば、耐光性に優れている光学フィルムを含む表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施例による光学フィルム(100)の断面図である。
【
図2】ハードコート層(130)をさらに含む光学フィルム(101)の断面図である。
【
図3】本発明の他の一実施例による表示装置(200)の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示的な目的で提示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、数等は例示的なものであるため、本発明が図面に示した事項に限定されるものではない。明細書全体にわたり、同一の構成要素は同一の参照符号によって指し示されうる。本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本明細書で言及された「含む」、「有する」、「行われる」等が使用される場合、「~のみ」という表現が使用されない限り、他の部分が追加されることがある。構成要素が単数で表現された場合、特に明示的な記載がない限り、複数を含む。また、構成要素を解釈するにあたり、別途の明示的な記載がなくても誤差の範囲を含むものと解釈する。
【0035】
位置関係に関する説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~傍に」等で二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」又は「直接」という表現が使用されない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置することがある。
【0036】
空間において相対的な位置を表す用語である「下(below, beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」等は、図面に示されているように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するために使用されうる。空間において相対的な位置を表す用語は、図面に示されている方向に加え、使用時又は動作時における素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下(below)」又は「下(beneath)」と記述された素子は、他の素子の「上(above)」に配置されうる。したがって、例示的な用語である「下」は、下と上の両方向を含みうる。同様に、例示的な用語である「上」は、上と下の両方向を含みうる。
【0037】
時間関係に関する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~の次に」、「~前に」等で時間的前後関係が説明される場合、「すぐ」又は「直接」という表現が使用されない限り、連続的でない場合も含みうる。
【0038】
第1、第2等は、様々な構成要素を記述するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想の範囲内において第2構成要素でありうる。
【0039】
「少なくとも一つ」の用語は、一つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されるべきである。例えば、「第1項目、第2項目及び第3項目のうち少なくとも一つ」の意味は、第1項目、第2項目又は第3項目のそれぞれのみならず、第1項目、第2項目及び第3項目のうち二つ以上から提示可能なすべての項目の組み合わせを意味しうる。
【0040】
本発明の様々な実施例の各特徴は、部分的に又は全体的に互いに結合する又は組み合わさることが可能で、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに独立して実施されることもあり、関連関係として一緒に実施されうる。
【0041】
以下に本発明を詳細に説明するに先立ち、本明細書で使用される用語は、特定の実施例を記述するためのものであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものではないことを理解しなければならない。本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、他に言及がない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同一の意味を有する。
【0042】
また、以下、本明細書及び請求の範囲に使用された用語や単語を解釈するにあたり、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、必ずしも一般的又は辞書的な意味のみに限定して解釈するものではなく、本明細書に記載されていることに従って本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈しなければならない。
【0043】
本発明の一実施例は、光学フィルム(100)を提供する。
図1は、本発明の一実施例による光学フィルム(100)の断面図である。
【0044】
図1に示すように、本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、光透過性基材(110);及びプライマー層(120);を含む。
【0045】
本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下であり、黄変度(ΔY.I)が5.5以下である。黄変度(ΔY.I)は、耐光性試験後の黄色度(Y1)と耐光性試験前の黄色度(Y0)との差(Y1-Y0)であり、耐光性試験は、UV条件で行う。耐光性試験前の黄色度(Y0)は、色差計を用いて測定することができる。具体的には、光学フィルム(100)を50mm×50mmにカットして、色差計、例えば、KONICA MINOLTA社の色差計(モデル名:CM-3600A)を用い、ASTM D1925に基づいてD65光源、視野角2度、透過モードで、黄色度を5回測定し、5回測定した黄色度の平均値を計算して耐光性試験前の黄色度(Y0)を測定することができる。耐光性試験後の黄色度(Y1)は、耐光性試験を行った後、前記耐光性試験前の黄色度(Y0)の測定方法と同一の方法で測定することができる。
【0046】
光学フィルム(100)の黄変度(ΔY.I)は、具体的には、耐光性試験後の光学フィルム(100)の黄色度(Y0)を測定し、耐光性試験装置、例えば、ATLAS社の耐光性試験装置(モデル名:Ci3000)を用いて0.8W/m2, @420nm(863.4kJ/m2, 30oC/30RH% Chamber, 55oC Black Panel×300hr)の条件で光学フィルム(100)の耐光性試験を行う。耐光性試験を行った光学フィルム(100)の黄色度(Y1)を再度測定する。このように測定した耐光性試験後の黄色度(Y1)から耐光性試験前の黄色度(Y0)を引いた値が黄変度(黄色度の差;ΔY.I)である。
【0047】
光学フィルム(100)の耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下であり、黄変度(ΔY.I)が5.5以下の場合、光学フィルム(100)のUV耐光性が優秀であるため、表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに適している。光学フィルム(100)の光透過性基材(110)が含む高分子樹脂は、多量の芳香環を有しているため、紫外線(UV)波長の光にさらされる場合、黄色を帯びることとなる。したがって、時間の経過に伴って光学フィルム(100)の黄色度も増加する。一方、UV耐光性に優れている光学フィルム(100)は、紫外線(UV)波長の光にさらされても黄色度の増加量が少ない。本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、光透過性基材(110)上にプライマー層(120)が配置され、UV耐光性が向上し、黄変度(ΔY.I)が5.5以下になる。
【0048】
本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、下記式1を満たしうる。
【0049】
[式1]
(ΔY.I-ΔEab)/[(ΔT)×(ΔEab+|ΔT|)]≧1
【0050】
ここで、ΔEabは、耐光性試験の前後の色差であり、ΔTは、耐光性試験後の全光線透過率(T1)と、耐光性試験前の全光線透過率(T0)との差(T1-T0)であるが、前記ΔTが0以下の場合は、前記ΔTを0.1にして式1を計算し、前記絶対値ΔT(|ΔT|)は、前記ΔTが0以下の場合にも0.1ではなく本来のΔTの値で式1を計算する。
【0051】
耐光性試験前後の色差(ΔEab)は、光学フィルム(100)についての耐光性試験の前と後とのL*、a*、b*の差を用いて、下記式2により算出される。
【0052】
[式2]
ΔEab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0053】
式2において、ΔL*は、耐光性試験後のL*と耐光性試験前のL*との差であり、Δa*は、耐光性試験後のa*と耐光性試験前とのa*の差であり、Δb*は、耐光性試験後のb*と耐光性試験前のb*との差である。
【0054】
光学フィルム(100)のL*、a*、b*は、色差計を用いて測定することができる。具体的には、光学フィルム(100)を50mm×50mmにカットして色差計、例えば、KONICA MINOLTA社の色差計(モデル名:CM-3600A)を用いて、D65光源、視野角2度、透過モードで、L*、a*、b*を5回測定し、5回測定したL*、a*、b*の平均値を計算して光学フィルム(100)のL*、a*、b*とする。
【0055】
耐光性試験前の全光線透過率(T0)は、ヘイズメーターを用いて測定することができる。具体的には、光学フィルム(100)を50mm×50mmにカットし、ヘイズメーター、例えば、MURAKAMI社のヘイズメーター(モデル名:HM-150)を用い、ASTM D1003に基づいて全光線透過率を5回測定し、5回測定した全光線透過率の平均値を計算することで、耐光性試験前の全光線透過率(T0)を測定することができる。耐光性試験後の全光線透過率(T1)は、耐光性試験を行った後、前記耐光性試験前の全光線透過率(T1)の測定方法と同一の方法で測定することができる。
【0056】
本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、前記式1を満たしうる。本発明の発明者は、光学フィルム(100)の実験評価の結果、光学フィルム(100)の耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下の場合、光学フィルム(100)の黄変度(ΔY.I)と色差(ΔEab)との差が、耐光性試験前後の全光線透過率の差(ΔT)に比べて大きいほど、耐光性が優秀である傾向を示すことを確認した。特に、耐光性試験の前後の全光線透過率の差(ΔT)に、「色差(ΔEab)と|ΔT|の和」をかけた値より、黄変度(ΔY.I)と色差(ΔEab)との差が大きいほど、より大きな傾向を示すことを確認した。ただし、ΔTが負の数の場合は、数式全体の値が負の数になって傾向性に反する結果が現れるため、ΔTが負の数の場合は、0.1として計算した。これにより、光学フィルム(100)が前記式1を満たす場合、すなわち光学フィルム(100)の黄変度(ΔY.I)から光学フィルム(100)の色差(ΔEab)を引いた値が、色差(ΔEab)と全光線透過率との差の絶対値(|ΔT|)を足した値に全光線透過率の差(ΔT)をかけた値よりも大きいか同じであれば、初期の黄色度及び耐光性試験の前後の黄色度、初期の全光線透過率及び耐光性試験前後の全光線透過率、及び、耐光性試験前後の色差が優れている。
【0057】
本発明の一実施例によれば、光学フィルム(100)は、耐光性試験前の全光線透過率(T0)が88.0以上でありうる。
【0058】
本発明の一実施例の光透過性基材(110)は、高分子樹脂を含みうる。高分子樹脂は、屈曲特性及び耐衝撃性等に優れているため、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウとして使用するのに適している。
【0059】
高分子樹脂は、フィルムに、固形分粉末の形態、溶液に溶解している形態、溶液に溶解した後固化したマトリックス形態等、様々な形状及び形態で含まれうるのであり、本発明と同一の繰り返し単位を含む樹脂であれば、形状及び形態を問わず、いずれも本発明の高分子樹脂と同一のものとみることができる。一般的に、フィルム内における高分子樹脂は、高分子樹脂溶液を塗布した後、乾燥させて固化したマトリックス形態として存在することがある。
【0060】
本発明の一実施例による高分子樹脂は、光透過性樹脂であればいずれでもよい。例えば、シクロオレフィン系誘導体、セルロース系ポリマー、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリアミドイミド系ポリマー、ポリエーテルイミド系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリメチルペンテン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマー、ポリエーテルケトン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリメチルメタアクリレート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート系ポリマー、ポリブチレンテレフタレート系ポリマー、ポリエチレンナフタレート系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー及びエポキシ系ポリマーの中から選択される少なくとも一つ以上を含みうる。好ましくは、本発明の一実施例による高分子樹脂は、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー及びポリアミドイミド系ポリマーのうちの少なくとも一つを含みうる。特に、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー及びポリアミドイミド系ポリマーは、熱的特性、硬度、耐摩耗性、屈曲性等の物理的特性だけでなく、光透過率、ヘイズ等のような光学的特性も優れているため、表示装置のカバーウィンドウとして使用される光学フィルム(100)の光透過性基材(110)として、ポリイミド系ポリマー、ポリアミド系ポリマー及びポリアミドイミド系ポリマーのうち少なくとも一つを含むことが望ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
本発明の一実施例によれば、光透過性基材(110)は、イミド繰り返し単位及びアミド繰り返し単位のうちの少なくとも一つ以上を含む高分子樹脂を含むことがある。光透過性基材(110)は、ポリイミド系基材、ポリアミド系基材及びポリアミドイミド系基材のいずれかでありうる。しかし、本発明の一実施例は、これに限定されるものではなく、光透過性を有する基材であれば、本発明の一実施例による光透過性基材(110)になりうる。
【0062】
本発明の一実施例のプライマー層(120)は、硬化性樹脂;紫外線吸収剤;及び顔料を含みうる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、硬化性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシロキサン系樹脂の中から選択される少なくとも一つを含みうる。硬化性樹脂は、光透過性基材(110)の種類、光学フィルム(100)の物性に応じて、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びシロキサン系樹脂のいずれか一つを選択して含みうる。好ましくは、硬化性樹脂は、シロキサン系樹脂を含みうる。
【0064】
本発明の一実施例のシロキサン系樹脂は、水酸化基の存在下で有機物を含むアルコキシシラン同士の加水分解と縮合反応を通じて製造されうる。具体的には、本発明の一実施例のシロキサン系樹脂は、下記化学式1で表されるアルコキシシラン及び下記化学式2で表されるアルコキシシランを含むモノマーを重合させて製造されうる。
【0065】
[化学式1]
R1
nSi(OR2)4-n
【0066】
前記化学式1において、R1は、エポキシ又はアクリルが置換されたC1~C10の直鎖状、枝分かれ状又は脂環状アルキル基であり、R2は、C1~C8の直鎖状、枝分かれ状又は脂環状アルキル基であり、nは、1ないし3の整数である。
【0067】
[化学式2]
Si(OR3)4
【0068】
前記化学式2において、R3は、C1~C4の直鎖状又は枝分かれ状アルキル基である。
【0069】
前記の加水分解と縮合反応は、常温で行われうるのであるが、反応を促進するために、50ないし120oCで1時間から120時間の間、メカニカルスターラーを用いて100rpmで攪拌することができ、これに限定されない。前記反応の際、本発明では、触媒として水酸化ナトリウムを使用したが、加水分解と縮合反応を行うための塩酸、酢酸、フッ化水素、硝酸、硫酸、ヨウ素酸等の酸触媒、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化バリウム、イミダゾール等の塩基触媒及びアンバーライト(AmberLite)等のイオン交換樹脂を使用されうる。また、これらの組み合わせからなる群から選択して使用されうる。触媒の量は特に限定されないが、0.0001ないし約10重量部を添加しうるものの、これに限定されない。前記加水分解と縮合反応を行う際、副産物である水又はアルコールが生成されるが、これらを除去することで逆反応を減らし、正反応をより速く行うことができるのであり、このことによる反応速度の調整が可能である。また、反応終了後、前記副産物は、減圧しながら熱を加えることで除去することができる。
【0070】
本発明の一実施例によれば、シロキサン系樹脂の粘度を制御して加工性をさらに容易にすると同時に、コーティング膜の厚さを調整するために、有機溶媒を添加しうるが、これに限定されない。有機溶媒の添加量は特に限定されない。使用可能な有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、又はメチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、又はエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メタノール等のアルコール類、又はジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、又はノルマルヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類等からなる溶媒から選択される1種以上を含みうるが、これに限定されない。
【0071】
本発明の一実施例によれば、シロキサン系樹脂は、重合反応に起因する酸化反応を抑制するために酸化防止剤を含みうるが、これに限定されない。
【0072】
本発明の一実施例によれば、シロキサン系樹脂組成物は、レベリング剤又はコーティング助剤を追加で含みうるが、これに限定されない。
【0073】
本発明の一実施例によれば、前記重合は、光照射又は加熱の段階を含みうるが、これに限定されない。
【0074】
本発明の一実施例によれば、前記シロキサン系樹脂組成物を用いてコーティング、キャスティング、モールディング等の成形後、光重合、熱重合によって高硬度コーティング硬化物を製造することができる。光重合の場合、光照射前の熱処理により均一な表面を得ることができ、これは40oC以上約300oC以下の温度で行うことができるが、これに限定されない。また、光照射量の場合、50mJ/cm2以上20000mJ/cm2以下の条件で行うことができるが、これに限定されない。
【0075】
本発明の一実施例によれば、前記シロキサン系樹脂の重合のために開始剤を追加で含みうるのであり、例えば、オニウム塩、有機金属塩等の光重合開始剤と、アミン、イミダゾール等の熱重合開始剤を使用しうるが、これに限定されない。開始剤の添加量は特に限定されないが、シロキサン系樹脂100重量部に対して約0.5ないし3.0重量部を添加しうるものの、これに限定されない。
【0076】
本発明の一実施例によれば、プライマー層(120)は、硬化性樹脂、紫外線吸収剤及び顔料を含みうる。プライマー層(120)は、硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部の紫外線吸収剤を含みうるのであり、硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部の顔料を含むことができる。
【0077】
プライマー層(120)は、硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部の紫外線吸収剤を含みうる。紫外線吸収剤が硬化性樹脂100重量部に対して5.00重量部を超える場合、耐光性試験前の光学フィルム(100)の黄色度(Y0)が5.0を超えうる。耐光性試験前の光学フィルム(100)の黄色度(Y0)が5.0を超えると、表示装置のカバーウィンドウとして使用するには不適である。その反面、紫外線吸収剤が硬化性樹脂100重量部に対して0.01重量部未満の場合、紫外線を十分に吸収できないため、光学フィルム(100)の耐光性向上が低調であることから黄変度(ΔY.I)が5.5を超えることになり、また、前記式1を満たせなくなる。
【0078】
プライマー層(120)は、硬化性樹脂100重量部に対して0.01ないし5.00重量部の顔料を含みうる。顔料が硬化性樹脂100重量部に対して5.00重量部を超える場合、光学フィルム(100)の透過率が減少し、光学フィルム(100)の視認性が低下する。その反面、顔料が硬化性樹脂100重量部に対して0.01重量部未満の場合、耐光性試験前の光学フィルム(100)の黄色度(Y0)が増加し、表示装置のカバーウィンドウとして使用するには不適である。
【0079】
本発明の一実施例によれば、紫外線吸収剤と顔料とは、50ないし100:1の重量比(紫外線吸収剤:顔料=50~100:1)で含むことができる。
【0080】
前記の紫外線吸収剤及び顔料の重量比よりも顔料が多く含まれる場合、光学フィルム(100)の透過率が減少し、光学フィルム(100)の視認性が低下する。その反面、前記紫外線吸収剤及び顔料の重量比より顔料が少なく含まれる場合、耐光性試験前の光学フィルム(100)の黄色度(Y0)が増加し、表示装置のカバーウィンドウとして使用するには不適である。
【0081】
本発明の一実施例によれば、紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニルトリアジン(hydroxyphenyl-triazine)系化合物を含みうる。具体的には、紫外線吸収剤は、2-ヒドロキシフェニル-s-トリアジン(2-hydroxyphenyl-s-triazine)又はヒドロキシフェニル-s-トリアジン(hydroxyphenyl-s-triazine)を含みうる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物の他に別の紫外線吸収剤を使用することもできる。
【0082】
本発明の一実施例によれば、顔料は、銅フタロシアニン(Cu-phthalocyanine)系化合物を含みうる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、銅フタロシアニン系化合物の他に別の顔料を使用することもありうる。
【0083】
本発明の一実施例によれば、プライマー層(120)は、添加剤をさらに含みうる。添加剤は、プライマー層の表面エネルギーを上昇させ、追加の機能性表面処理の際に密着力を向上させる役割をする添加剤を含みうる。プライマー層(120)が添加剤を含む場合、水接触角が90度以下の表面特性を実現して密着力を向上させることができる。
【0084】
本発明の一実施例によれば、添加剤は、ポリエーテルシロキサンコポリマー(polyether siloxane Copolymer)を含みうる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリエーテルシロキサンコポリマーの他に別の添加剤を使用することもできる。
【0085】
本発明の一実施例によれば、プライマー層(120)は、硬化性樹脂100重量部に対して0.1ないし0.5重量部の添加剤を含みうる。硬化性樹脂100重量部に対して0.5重量部を超える場合、光学フィルム(100)の耐候性が低下し、表示装置のカバーウィンドウとして使用するには不適である。その反面、添加剤が硬化性樹脂100重量部に対して0.1重量部未満の場合、光学フィルム(100)の表面エネルギー増加効果が薄いため、上面に追加の機能性表面処理の際に密着力が低下しうる。
【0086】
本発明の一実施例によれば、プライマー層(120)は、開始剤をさらに含みうるのであり、例えば、オニウム塩、有機金属塩等の光重合開始剤と、アミン、イミダゾール等の熱重合開始剤を含みうるが、これに限定されない。開始剤は特に限定されないが、硬化性樹脂100重量部に対して約0.5ないし3.0重量部で含みうるものの、これに限定されない。
【0087】
本発明の一実施例によれば、光学フィルム(100)は、光透過性及びフレキシブル特性を有しうる。例えば、本発明の一実施例による光学フィルムは、曲げ(bending)特性、折り畳み(folding)特性及び巻き(rollable)特性を有することがある。
【0088】
本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、シロキサン系機能性コーティング、アクリル系機能性コーティング、又はウレタン系機能性コーティングの後も、5B以上の密着力を有しうる。
【0089】
本発明の一実施例によれば、プライマー層(120)は、0.1ないし10μmの厚さを有しうる。好ましくは、プライマー層(120)は、1ないし5μmの厚さを有しうる。
【0090】
プライマー層(120)の厚さが10μmを超える場合、光学フィルム(100)の屈曲性が低下しうる。プライマー層(120)の厚さが0.1μm未満の場合、光学フィルム(100)の耐光性が低下しうる。
【0091】
本発明の一実施例によれば、光学フィルム(101)は、プライマー層(120)の上にハードコート層(130)をさらに含みうる。
図2は、ハードコート層(130)をさらに含む光学フィルム(101)の断面図である。
【0092】
図2に示すように、ハードコート層(130)をさらに含む光学フィルム(101)は、光透過性基材(110)、プライマー層(120)、ハードコート層(130)の順に積層されうる。
【0093】
ハードコート層(130)は、光学フィルム(101)と、光学フィルム(101)が取り付けられた被着体とを外部環境から保護する層であって、本発明の一実施例によれば、ハードコート層(130)は、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂のうちの少なくとも一つを含みうる。
【0094】
本発明の一実施例によれば、ハードコート層(130)は、1ないし10μmの厚さを有しうるのであり、好ましくは、1ないし5μmの厚さを有しうる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、表示装置に適用され、表示パネルの表示面を保護しうる。本発明の一実施例による光学フィルム(100)は、表示パネルを保護するのに十分な程度の厚さを有しうる。例えば、光学フィルム(100)は、20ないし120μmの厚さを有しうる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0096】
以下、
図3及び
図4を参照して、本発明の一実施例による光学フィルム(100)が使用された表示装置について説明する。
【0097】
図3は、本発明の他の一実施例による表示装置(200)の一部を示す断面図であり、
図4は、
図3の「P」部分を示す拡大断面図である。
【0098】
図3を参照すると、本発明の他の一実施例による表示装置(200)は、表示パネル(501)、及び表示パネル(501)上の光学フィルム(100)を含む。
【0099】
図3及び
図4を参照すると、表示パネル(501)は、基板(510)、基板(510)上の薄膜トランジスタ(TFT)、及び、薄膜トランジスタ(TFT)と接続された有機発光素子(570)を含む。有機発光素子(570)は、第1電極(571)、第1電極(571)上の有機発光層(572)、及び、有機発光層(572)上の第2電極(573)を含む。
図3及び
図4に開示されている表示装置(200)は、有機発光表示装置である。
【0100】
基板(510)は、ガラス又はプラスチックで作られうる。具体的には、基板(510)は、ポリイミド系樹脂といったプラスチックで作られうる。図示されていないが、基板(510)上にバッファ層が配置されうる。
【0101】
薄膜トランジスタ(TFT)は、基板(510)上に配置される。薄膜トランジスタ(TFT)は、半導体層(520)、半導体層(520)と絶縁されて半導体層(520)の少なくとも一部と重なるゲート電極(530)、半導体層(520)と接続されたソース電極(541)、及び、ソース電極(541)から離間して半導体層(520)と接続されたドレイン電極(542)を含む。
【0102】
図4を参照すると、ゲート電極(530)と半導体層(520)との間にゲート絶縁膜(535)が配置される。ゲート電極(530)上に層間絶縁膜(551)が配置されており、層間絶縁膜(551)上にソース電極(541)及びドレイン電極(542)が配置されうる。
【0103】
平坦化膜(552)は、薄膜トランジスタ(TFT)上に配置され、薄膜トランジスタ(TFT)の上部を平坦化する。
【0104】
第1電極(571)は、平坦化膜(552)上に配置される。第1電極(571)は、平坦化膜(552)に設けられたコンタクトホールを介して、薄膜トランジスタ(TFT)と接続される。
【0105】
バンク層(580)は、第1電極(571)の一部及び平坦化膜(552)の上に配置され、画素領域又は発光領域を画定(定義)する。例えば、バンク層(580)が複数の画素間における境界領域にマトリックス構造で配置されることで、バンク層(580)によって画素領域が画定(定義)されうる。
【0106】
有機発光層(572)は、第1電極(571)上に配置される。有機発光層(572)は、バンク層(580)上にも配置されうる。有機発光層(572)は、一つの発光層を含むこともあり、上下に積層された二つ以上の発光層を含むこともありうる。このような有機発光層(572)から、赤、緑及び青のいずれか一つの色を有する光が放出されうるのであり、白色(White)光が放出されることもありうる。
【0107】
第2電極(573)は、有機発光層(572)上に配置される。
【0108】
第1電極(571)、有機発光層(572)及び第2電極(573)が積層されて、有機発光素子(570)が構成されうる。
【0109】
図示されていないが、有機発光層(572)が白色(White)光を発光する場合、個々の画素は、有機発光層(572)から放出される白色(White)光を波長別にフィルタリングするためのカラーフィルタを含みうる。カラーフィルタは、光の移動経路上に形成される。
【0110】
第2電極(573)上に薄膜封止層(590)が配置されうる。薄膜封止層(590)は、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を含みうるのであり、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が交互に配置されうる。
【0111】
以上に説明した積層構造を有する表示パネル(501)上に、光学フィルム(100)が配置される。
【0112】
以下、例示的な実施例及び比較例を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下に説明する実施例及び比較例によって、本発明が限定されるものではない。
【0113】
[製造例1:光透過性基材の製造]
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながらDMAc(N,N-ジメチルアセトアミド;N,N-Dimethyl acetamide)776.655gを充填した後、反応器の温度を25oCに合わせた後、TFDB 54.439g(0.17mol)を溶解してこの溶液を25oCに維持した。ここにBPDA 15.005g(0.051mol)を加え、3時間攪拌してBPDAを完全に溶解した後、6FDA 22.657g(0.051mol)を加えて完全に溶解した。反応器の温度を10oCに下げた後、TPC 13.805g(0.068mol)を加えた後、25oCで12時間反応して固形分の濃度が12重量%のポリマー溶液を得た。
【0114】
得られたポリマー溶液にピリジン17.75g、無水酢酸22.92gを投入して30分間攪拌した後、再び70oCで1時間攪拌して常温に冷やし、得られたポリマー溶液にメタノール20Lを加えて固形分を沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、再びメタノール2Lで洗浄した後、100oCの真空で6時間乾燥させて、粉末状態のポリイミド系ポリマー固形分を得た。ここで製造されたポリイミド系ポリマー固形分は、ポリアミドイミドポリマーの固形分である。
【0115】
1Lの反応器に550gのDMAcを充填した後、反応器の温度を10oCに維持したまま一定時間攪拌した。その後、製造されたポリイミド系ポリマー固形分の粉末75gを投入した後、1時間攪拌した後、25oCに昇温させて液状のポリイミド系樹脂溶液を製造した。
【0116】
得られたポリイミド系樹脂溶液をガラス基板にアプリケーターで塗布した後に、130oCの熱風で30分間乾燥させることでフィルムを製造した後、製造されたフィルムをガラス基板から剥離してフレームにピンで固定した。
【0117】
フィルムが固定されているフレームを真空オーブンに入れ、100oCから300oCまで、2時間にわたって、ゆっくりと加熱した後、徐々に冷却してフレームから分離し、ポリイミド系光透過性基材を得た。再びポリイミド系光透過性基材を250oCで5分間熱処理し、厚さ50μmのポリイミド系光透過性基材を製造した。
【0118】
[製造例2:硬化性樹脂の製造]
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(2-(3,4-Epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane)(TCI社)、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル;Tetraethyl orthosilicate, Sigma-Aldrich社)、H2Oを747.66mL:38.28mL:93.88mLの割合で混合して1500mLのフラスコに入れた後、水酸化ナトリウム0.1gを触媒として加えて60oCで10時間攪拌した。その後、0.45μmのテフロン(登録商標)フィルターを用いて濾過し、エポキシ系シロキサン樹脂を得た。
【0119】
[実施例1]
前記製造例2のように製造されたエポキシ系シロキサン樹脂にMEK(メチルエチルケトン;Methyl Ethyl Ketone):MIBK(メチルイソブチルケトン;Methyl Isobutyl Ketone)を2:8の割合で希釈して600mLを加えた後、光開始剤としてIRGACURE 250(BASF社)を前記製造されたエポキシ系シロキサン樹脂100重量部に対して3重量部加えてから、紫外線吸収剤であるTinuvin 477(固形分80wt%, BASF社)を固形分基準で前記エポキシ系シロキサン樹脂100重量部に対して2.5重量部、紫外線吸収剤のTinuvin 479(固形分100wt%, Basf社)を固形分基準で前記エポキシ系シロキサン樹脂100重量部に対して2.5重量部、顔料であるTerasol P-Blue-10(固形分10wt%, AMTE社)を固形分基準で前記エポキシ系シロキサン樹脂100重量部に対して0.05重量部を加え、さらに、添加剤であるGlide 406(固形分50wt%, TEGO社)を固形分基準で前記エポキシ系シロキサン樹脂100重量部に対して0.25重量部加えることで、プライマー層コーティング組成物を得た。
【0120】
前記プライマー層コーティング組成物を、前記製造例1のように製造されたポリイミド系光透過性基材の上面に、バー(Bar)を用いて塗布した後、100℃/10分乾燥させた。
【0121】
その後、315nm波長の紫外線ランプで1J/cm2露光し、1μm厚さのプライマー層を有する光学フィルムを製造した。
【0122】
[実施例2ないし6]
実施例1と同様の方法において、紫外線吸収剤、顔料、添加剤の種類及びその含有量、プライマー層の厚さ及び基材を変えることで、実施例2ないし6の光学フィルムを製造した。
【0123】
実施例2ないし6の、具体的な紫外線吸収剤、顔料、添加剤の種類及びその含有量、プライマー層の厚さ及び基材は、下記表1のとおりである。
【0124】
[比較例1ないし6]
実施例1と同様の方法において、紫外線吸収剤、顔料、添加剤の種類及びその含有量、プライマー層の厚さ及び基材を変えることで、比較例1ないし6の光学フィルムを製造した。
【0125】
比較例1ないし6の、具体的な紫外線吸収剤、顔料、添加剤の種類及びその含有量、プライマー層の厚さ及び基材は、下記表1のとおりである。
【0126】
【0127】
Tinuvin 477(BASF社):hydroxyphenyl-s-triazine
Tinuvin 479(BASF社):2-hydroxyphenyl-s-triazine
Terasol P-Blue-10(AMTE社):銅フタロシアニン(Cu-phthalocyanine)系化合物
Glide 406(TEGO社):ポリエーテルシロキサンコポリマーの溶液(solution of a polyether siloxane copolymer)
H33L(KOLON Industries社, 製品名_ASTROLL, Type_H33L):厚さ50μmのPET基材
【0128】
[測定例]
実施例1ないし6及び比較例1ないし6で製造された光学フィルムに対し、以下のような測定を行った。下記測定例のうち、黄色度、色差、全光線透過率は、耐光性試験前に測定し、耐光性試験後に再度測定した。
【0129】
耐光性試験は、耐光性試験装置チャンバー(ATLAS社, Ci3000)に入れ、UV条件0.8W/m2, @420nm, チャンバー条件30oC/30%で300時間行った。
【0130】
1)耐光性試験の前の黄色度(Y0)及び、後の黄色度(Y1)
実施例及び比較例によって製造された光学フィルムを50mm×50mmにカットし、KONICA MINOLTA社の色差計(モデル名:CM-3600A)を用い、ASTM D1925に基づいて、D65光源、視野角2度、透過モードで黄色度を5回測定し、5回測定した黄色度の平均値を計算することで、耐光性試験の前と後の黄色度(Y0, Y1)を測定した。
【0131】
2)耐光性試験前後の色差(ΔEab)
耐光性試験前後の色差(ΔEab)は、実施例及び比較例によって製造された光学フィルムについての耐光性試験の前後のL*、a*、b*の差を用いて、下記式2により算出した。
【0132】
[式2]
ΔEab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
【0133】
式2において、ΔL*は、耐光性試験後のL*と耐光性試験前のL*との差であり、Δa*は、耐光性試験後のa*と耐光性試験前のa*の差であり、Δb*は、耐光性試験後のb*と耐光性試験前のb*の差である。
【0134】
光学フィルムのL*、a*、b*は色差計を用いて測定した。具体的には、光学フィルムを50mm×50mmにカットし、KONICA MINOLTA社の色差計(モデル名:CM-3600A)を用いて、D65光源、視野角2度、透過モードでL*、a*、b*を5回測定し、5回測定したL*、a*、b*の平均値を計算して光学フィルムのL*、a*、b*とした。
【0135】
3)耐光性試験後の全光線透過率(T1)と耐光性試験前の全光線透過率(T0)
実施例及び比較例によって製造された光学フィルムを50mm×50mmにカットし、ヘイズメーターを用い、例えば、MURAKAMI社のヘイズメーター(モデル名:HM-150)を用い、ASTM D1003に基づいて全光線透過率を5回測定し、5回測定した全光線透過率の平均値を計算することで、耐光性試験の前と後の全光線透過率(T0, T1)を測定した。
【0136】
4)式1の値
前述で測定した、耐光性試験の前の黄色度(Y0)と後の黄色度(Y1)、耐光性試験の前と後との色差(ΔEab)、耐光性試験後の全光線透過率(T1)と耐光性試験前の全光線透過率(T0)を、下記式1に代入することで、式1の値を算出した。
【0137】
[式1]
(ΔY.I-ΔEab)/[(ΔT)×(ΔEab+|ΔT|)]
【0138】
測定結果は次の表2のとおりである。
【0139】
【0140】
前記表2の測定結果に開示されているように、本発明の実施例1ないし6の光学フィルムは、いずれも耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下であり、黄変度(ΔY.I)が5.5以下であり、また、式1により算出された値が1以上であった。
【0141】
しかし、比較例1ないし6の光学フィルムは、耐光性試験前の黄色度(Y0)が5.0以下であるか、黄変度(ΔY.I)が5.5を超えるか、又は式1により算出された値が1未満であった。
【0142】
前述の各実施例で例示されている特徴、構造、効果等は、実施例が属する分野の当業者によって他の実施例に対しても組み合わせ又は変形されて実施可能である。したがって、このような組み合わせと変形に関係する内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0143】
100, 101:光学フィルム
110:光透過性基材
120:プライマー層
130:ハードコート層
200:表示装置
501:表示パネル
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記耐光性試験前の全光線透過率(T
0)が88.0以上である、
請求項
2に記載の光学フィルム。
【国際調査報告】