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特表2024-530177画像ベースの認知症診断システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】画像ベースの認知症診断システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240808BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20240808BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G16H50/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506858
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 KR2022011808
(87)【国際公開番号】W WO2023018159
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0104505
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0104512
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521502757
【氏名又は名称】イモコグ インク.
【氏名又は名称原語表記】Emocog Inc.
【住所又は居所原語表記】(Bongcheon-dong,Character Greenville) 411-ho 7 Boramae-ro 5ga-gil Gwanak-gu, Seoul 08708 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ノ、ユフン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
本発明は、専門人材を利用することなく、認知症の診断を迅速かつ簡単に行えるようにし、認知症の早期診断と軽症患者の選別が迅速かつ正確に行われるようにし、画像の提示により文字を正しく認識できない高齢の対象者も容易に検診を行えるようにする、画像ベースの認知症診断システムに関し、本認知症診断システムは、検査対象者が文字を入力できる文字入力機と、診断検査のためのデータが保存されるデータ保存機と、各種画像とデータを画面に表示するディスプレイと、検査対象者が操作して項目を選択できる選択操作機と、前記文字入力機を含む諸機器に接続されてそれらを制御し、画像に基づいて記憶力を検査して認知症を判別するコントローラとを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象者が操作して文字を入力できるようにする文字入力機と、
1つの名詞形単語を画像として表現するように描かれた異なる画像からなる画像データが保存され、記憶妨害のための資料が保存され、検査対象者毎の認知症情報を保存できるデータ保存機と、
検査対象者が視認できるように、前記診断用データと検査データを画面に表示するディスプレイと、
前記ディスプレイにより画面に表示された画像データ及び資料に対する選択項目を検査対象者が操作して選択できるようにする選択操作機と、
前記文字入力機、前記データ保存機、前記ディスプレイ及び前記選択操作機に接続されてそれらを制御するコントローラとを含み、
前記コントローラは、
前記文字入力機により検査対象者が検査対象者自身の個人情報を入力する情報入力部と、
前記画像データの画像のうちの5個~15個を抽出し、抽出された画像を前記ディスプレイの画面に順次出力して検査対象者に提示する画像提示部と、
前記記憶妨害のための資料を前記ディスプレイの画面に出力して検査対象者の記憶を妨害する記憶妨害部と、
前記記憶妨害のための資料の出力が完了した後、前記提示された画像を正解とし、前記提示された画像以外の他の画像を不正解とする複数の画像をランダムに混合して検査問題項目を生成する検査問題項目生成部と、
前記生成された検査問題項目を前記ディスプレイの画面に順次出力し、前記選択操作機により、前記検査問題項目として出力された画像が、前記提示された画像と同じであると正解として選択させ、前記提示された画像と同じでないと不正解として選択させる記憶検査を実行する記憶検査実行部と、
前記記憶検査が完了した後、前記記憶検査により確認された検査問題項目の不正解率の程度に応じて認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する認知症判別部とを含むことを特徴とする、画像ベースの認知症診断システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記認知症判別部による認知症の判別が完了した後、検査対象者の診断及び検査結果を前記ディスプレイの画面に表示する結果表示部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項3】
前記情報入力部の個人情報は、
検査対象者の名前、生年月日、性別、学歴及び連絡先であり、
前記学歴は、
無学から大学院まで学年別に選択できるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
検査対象者の生まれた年度、性別及び学歴によって認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する判別基準を調整する判別基準調整部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
設定された年齢基準と前記入力された生年月日とを比較し、年齢制限により検査対象者であるか否かを確認させ、検査対象者であることが確認された場合にのみ検査を実行する対象者確認部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項6】
前記画像提示部は、
前記画像を提示する前に、検査開始を通知する検査開始通知文を画面に出力する検査開始通知部と、
前記検査開始の通知が完了した後、提示される画像の数を通知すると共に提示された画像を記憶するように要求する記憶要求通知文を画面に出力する記憶要求通知部とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項7】
前記検査問題項目生成部は、
前記画像提示部により提示された画像の数の1.5~2.5倍の検査問題項目を生成することを特徴とする、請求項1に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項8】
前記記憶検査実行部は、
前記検査問題項目を出力する前に、出力される検査問題項目の数を通知する問題項目数通知文を画面に出力する問題項目数通知部と、
前記問題項目数の通知が完了した後、問題解決方式を通知すると共に検査にかかる時間を通知する解決方式通知文を画面に出力する解決方式通知部とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項9】
前記記憶妨害部は、
前記抽出された画像の提示が完了した後、検査対象者に集中力検査の開始を通知する集中力検査通知文を画面に出力する集中力検査通知部と、
前記集中力検査の通知が完了した後、集中力検査方式を通知すると共に検査にかかる時間を通知する検査方式通知文を画面に出力する検査方式通知部と、
前記検査方式の通知が完了した後、集中力検査を実行する集中力検査実行部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項10】
前記集中力検査は、
様々な色を順次提示して特定の色を正解として選択させる色区分検査であることを特徴とする、請求項9に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項11】
前記集中力検査は、
黒色を正解とし、赤色と青色を不正解とし、10~30個の問題からなる検査であり、
前記黒色、前記赤色及び前記青色は、
同じ大きさの円で表示されることを特徴とする、請求項10に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項12】
前記記憶妨害部は、
前記集中力検査を実行する直前に、集中力検査を4~8回予め実行して集中力検査を練習する集中力検査練習部をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の画像ベースの認知症診断システム。
【請求項13】
画面に入力するように表示された個人情報入力欄に検査対象者の個人情報を入力する情報入力ステップと、
1つの名詞形単語を画像として表現するように描かれた異なる画像を複数準備する画像準備ステップと、
準備された画像のうちの5個~15個を抽出し、抽出された画像を画面に順次表示して検査対象者が記憶するように提示する画像提示ステップと、
前記画像の提示が完了した後、検査対象者の注意力を集中させる資料を画面に出力して検査対象者の記憶を妨害する記憶妨害ステップと、
前記記憶妨害のための資料の出力が完了した後、前記提示された画像を正解とし、前記提示された画像以外の他の画像を不正解とする複数の画像をランダムに混合して検査問題項目を生成する検査問題項目生成ステップと、
前記生成された検査問題項目を順次出力し、前記検査問題項目として出力された画像が、前記提示された画像と同じであると正解として選択させ、前記提示された画像と同じでないと不正解として選択させる記憶検査を実行する記憶検査実行ステップと、
前記記憶検査が完了した後、前記記憶検査により確認された検査問題項目の不正解率の程度に応じて認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する認知症判別ステップとを含むことを特徴とする、画像ベースの認知症診断方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症診断システム及び方法に関し、より詳細には、専門人材を利用することなく、認知症の診断を迅速かつ簡単に行えるようにし、認知症の早期診断と軽症患者の選別が迅速かつ正確に行われるようにし、画像の提示により文字を正しく認識できない高齢の対象者も容易に検診を行えるようにする、画像ベースの認知症診断システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、認知症とは、脳疾患によって生じる一連の症状を意味する。認知症が進むと、思考力、行動及び日常生活の遂行に影響を及ぼすが、そのような認知症の特徴は、認知能力の低下で日常的な活動能力が欠けた状態になることにある。
【0003】
通常、医者は、2つ以上の認知機能が著しく損傷された場合、認知症と診断する。そのような認知機能は、記憶力、言語機能、情報理解、空間機能、判断力及び注意力を含む。認知症患者は、問題の解決及び感情の統制が難しく、人格変化を経験することもある。
【0004】
認知症患者が経験する正確な症状は、認知症を起こした疾患により損傷された脳がどの部位であるかにかかっている。認知症は、脳の神経細胞の一部が機能を止めて他の細胞との接続が断たれて死んでいくことであるが、そのような認知症は、通常次第に進む。すなわち、認知症は、だんだん脳に広がり、患者の症状は、時間が経つにつれて悪くなる。
【0005】
認知症は、年齢に関連する代表的な神経退行性脳疾患であって、全世界的に65歳以上の老人で約5~10%の有病率を示し、ほとんどの認知症患者は、進行性認知機能障害、幻覚、妄想、生活能力喪失の症状を現す。
【0006】
認知症のうち、最も代表的なアルツハイマー病の場合、脳皮質の神経細胞内で神経線維束と脳細胞の周辺にアミロイドベータというタンパク質が凝り固まった老廃物の塊が観察され、その老廃物が神経細胞の壊死を起こすものと推定されている。
【0007】
そのようなアルツハイマー病は、認知症全体の約70%を占める最もありふれた疾病であり、近年、韓国では年間約60万人のアルツハイマー病患者が発生するものと推定されている。
【0008】
アルツハイマー病は、代表的な退行性認知症疾患であって、大脳神経細胞の退化による認知機能及び日常生活の低下を引き起こして死亡に至る恐ろしい疾病であり、患者だけでなく、患者を介護する家族にも大きな苦痛をもたらす。
【0009】
そのような認知症の診断は、症状に関する詳細な病歴の聴取及び評価により認知機能の障害による日常生活及び社会活動の障害を確認し、脳画像診断を活用して脳血管疾患であるか否かや脳萎縮などを調べることにより、認知症を確認することである。
【0010】
認知症の初期段階では、老人性物忘れとの区分が難しいため、記憶力だけでなく、言語能力、計算能力、時空間知覚能力、判断力などを総合的に評価する神経心理検査を施行して認知症を診断する。そのような認知症を診断するためには、患者/保護者との面談と選別検査から得られた様々な情報を基にさらなる精密検査を経なければならない。さらなる精密検査には、神経心理検査(SNSB)、血液検査や、様々な種類の脳画像検査(CT、MRI、PET)などがある。
【0011】
さらなる精密検査の一例として、MRI(magnetic resonance imaging,磁気共鳴画像)撮影は、認知症の種類を区分する上で重要な役割を果たすことができる。当該検査により、アルツハイマー病に近いか、血管性認知症に近いかを知ることができ、その他の疾患による認知症であるかを判別するのにも一部役に立つ。
【0012】
しかし、上記のような従来技術には次のような問題があった。
【0013】
アルツハイマー病などの認知症は、非可逆的な疾病であり、かつ完治可能な治療法が開発されていないので、認知症を早期に診断してその進行を遅らせる方法が最善の方法であるにもかかわらず、専門医者の詳細な病歴の聴取や評価などによる認知症の診断は、専門人材の不足で数多くの患者を迅速に診断できなくする要因となると共に、国家的な次元で全国民の中から認知症患者を選別するコストを増加させる要因となるという問題があった。
【0014】
また、従来の認知症の診断のために用いられる脳画像診断は、高価な精密機器であるにもかかわらず、脳疾患や脳萎縮が相当進んだ状態でのみ確認できるので、認知症の早期診断の目的での使用は困難であるという問題があった。
【0015】
さらに、認知症患者は、通常、高齢であり、文盲であるか又は学歴が低くて文字を正しく認識できないケースが多いので、問診表などによる検査自体が難しく、検査に多い時間と人手がかかるという問題があった。
【0016】
よって、認知症を簡単かつ迅速に早期に診断できる適切かつ画期的な技術の開発が至急である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、上記のような従来の諸問題を解消するために案出されたものであり、
【0018】
本発明の目的は、専門人材を利用することなく、認知症の診断を迅速かつ簡単に行えるようにし、認知症の早期診断と軽症患者の選別が迅速かつ正確に行われるようにし、画像の提示により文字を正しく認識できない高齢の対象者も容易に検診を行えるようにする、画像ベースの認知症診断システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記のような目的を達成するために、本発明による「画像ベースの認知症診断システム」は、検査対象者が操作して文字を入力できるようにする文字入力機と、1つの名詞形単語を画像として表現するように描かれた異なる画像からなる画像データが保存され、記憶妨害のための資料が保存され、検査対象者毎の認知症情報を保存できるデータ保存機と、検査対象者が視認できるように、前記診断用データと検査データを画面に表示するディスプレイと、前記ディスプレイにより画面に表示された画像データ及び資料に対する選択項目を検査対象者が操作して選択できるようにする選択操作機と、前記文字入力機、前記データ保存機、前記ディスプレイ及び前記選択操作機に接続されてそれらを制御するコントローラとを含み、前記コントローラは、前記文字入力機により検査対象者が検査対象者自身の個人情報を入力する情報入力部と、前記画像データの画像のうちの5個~15個を抽出し、抽出された画像を前記ディスプレイの画面に順次出力して検査対象者に提示する画像提示部と、前記記憶妨害のための資料を前記ディスプレイの画面に出力して検査対象者の記憶を妨害する記憶妨害部と、前記記憶妨害のための資料の出力が完了した後、前記提示された画像を正解とし、前記提示された画像以外の他の画像を不正解とする複数の画像をランダムに混合して検査問題項目を生成する検査問題項目生成部と、前記生成された検査問題項目を前記ディスプレイの画面に順次出力し、前記選択操作機により、前記検査問題項目として出力された画像が、前記提示された画像と同じであると正解として選択させ、前記提示された画像と同じでないと不正解として選択させる記憶検査を実行する記憶検査実行部と、前記記憶検査が完了した後、前記記憶検査により確認された検査問題項目の不正解率の程度に応じて認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する認知症判別部とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による「画像ベースの認知症診断方法」は、画面に入力するように表示された個人情報入力欄に検査対象者の個人情報を入力する情報入力ステップと、1つの名詞形単語を画像として表現するように描かれた異なる画像を複数準備する画像準備ステップと、準備された画像のうちの5個~15個を抽出し、抽出された画像を画面に順次表示して検査対象者が記憶するように提示する画像提示ステップと、前記画像の提示が完了した後、検査対象者の注意力を集中させる資料を画面に出力して検査対象者の記憶を妨害する記憶妨害ステップと、前記記憶妨害のための資料の出力が完了した後、前記提示された画像を正解とし、前記提示された画像以外の他の画像を不正解とする複数の画像をランダムに混合して検査問題項目を生成する検査問題項目生成ステップと、前記生成された検査問題項目を順次出力し、前記検査問題項目として出力された画像が、前記提示された画像と同じであると正解として選択させ、前記提示された画像と同じでないと不正解として選択させる記憶検査を実行する記憶検査実行ステップと、前記記憶検査が完了した後、前記記憶検査により確認された検査問題項目の不正解率の程度に応じて認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する認知症判別ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上述したような本発明は、専門人材を利用することなく、認知症の診断を迅速かつ簡単に行うことができ、認知症の早期診断と軽症患者の選別が迅速かつ正確に行われ、画像の提示により文字を正しく認識できない高齢の対象者も容易に検診を行うことができ、それにより、国家的な次元で全国民の中から数十万人に至る認知症患者を迅速かつ相対的に安価なコストで簡単に選別することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による認知症診断システムを示す概略構成図である。
図2】本発明による認知症診断システムのコントローラを示す概略構成図である。
図3】本発明による認知症診断システムの情報入力部を示す例示図である。
図4】本発明による認知症診断システムの情報入力部を示す例示図である。
図5】本発明による認知症診断システムの情報入力部を示す例示図である。
図6】本発明による認知症診断システムの画像提示部を示す例示図である。
図7】本発明による認知症診断システムの画像提示部を示す例示図である。
図8】本発明による認知症診断システムの画像提示部を示す例示図である。
図9】本発明による認知症診断システムに使用される様々な画像を示す例示図である。
図10】本発明による認知症診断システムの記憶妨害部を示す例示図である。
図11】本発明による認知症診断システムの記憶妨害部を示す例示図である。
図12】本発明による認知症診断システムの記憶妨害部を示す例示図である。
図13】本発明による認知症診断システムの記憶妨害部を示す例示図である。
図14】本発明による認知症診断システムの記憶妨害部を示す例示図である。
図15】本発明による認知症診断システムの記憶妨害部を示す例示図である。
図16】本発明による認知症診断システムの記憶検査実行部を示す例示図である。
図17】本発明による認知症診断システムの記憶検査実行部を示す例示図である。
図18】本発明による認知症診断システムの記憶検査実行部を示す例示図である。
図19】本発明による認知症診断システムの結果表示部の様々な例を示す例示図である。
図20】本発明による認知症診断方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、専門人材を利用することなく、認知症の診断を迅速かつ簡単に行えるようにし、認知症の早期診断と軽症患者の選別が迅速かつ正確に行われるようにし、画像の提示により文字を正しく認識できない高齢の対象者も容易に検診を行えるようにする、画像ベースの認知症診断システムに関し、本認知症診断システムは、検査対象者が文字を入力できる文字入力機10と、診断検査のためのデータが保存されるデータ保存機20と、各種画像とデータを画面に表示するディスプレイ30と、検査対象者が操作して項目を選択できる選択操作機40と、前記文字入力機10を含む諸機器に接続されてそれらを制御し、画像に基づいて記憶力を検査して認知症を判別するコントローラ50とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照してより詳細に説明する。しかし、本発明は、多数の異なる形態で実現することができ、記述された実施形態に限定されないことを理解すべきである。
【0025】
図1図19は本発明による認知症診断システムを示す図である。同図に示すように、本発明による画像ベースの認知症診断システムは、検査対象者が文字を入力できる文字入力機10と、診断検査のためのデータが保存されるデータ保存機20と、各種画像とデータを画面に表示するディスプレイ30と、検査対象者が操作して項目を選択できる選択操作機40と、前記文字入力機10を含む諸機器に接続されてそれらを制御し、画像に基づいて記憶力を検査して認知症を判別するコントローラ50とを含む。
【0026】
前記文字入力機10は、キーボードのように文字を入力できるものであって、検査対象者が操作して文字を入力できるようにするものである。
【0027】
前記データ保存機20は、メモリやハードディスクのようにデジタルデータを保存できる保存装置であって、1つの名詞形単語を画像として表現するように描かれた異なる画像からなる画像データが保存され、記憶妨害のための資料が保存され、検査対象者毎の認知症情報を保存できるようにするものである。
【0028】
ここで、前記画像は、記憶検査のために製作し、データ化して保存されるものである。製作された画像は、図9に例として提示されているが、前記画像は、1つの名詞形単語、例えば傘、バス、教師、ラジオ、帽子、亀などの名詞形単語が1つずつ絵として表現されたものである。すなわち、前記画像は、検査対象者が目で見て1つの名詞形単語を連想できるように形成されるものである。
【0029】
前記ディスプレイ30は、モニタや液晶標示器のように、画面上にデータや画像を表示する装置であって、検査対象者が視認できるように、前記診断用データと検査データを画面に表示する役割を果たす。
【0030】
前記選択操作機40は、ボタンやタッチスクリーンのように、ユーザが指で操作して項目を選択するか又は命令を実行させることのできる装置であって、前記ディスプレイ30により画面に表示された画像データ及び資料に対する選択項目を検査対象者が操作して選択できるようにするものである。
【0031】
前記コントローラ50は、マイクロプロセッサのような装置であって、前記文字入力機10、前記データ保存機20、前記ディスプレイ30及び前記選択操作機40に接続されてそれらを制御して、画像を提示し、記憶を妨害し、提示された画像に関する記憶検査を実行することにより、認知症を判別する役割を果たす。
【0032】
そのような前記コントローラ50は、情報入力部51と、画像提示部52と、記憶妨害部53と、検査問題項目生成部54と、記憶検査実行部55と、認知症判別部56とを含む。
【0033】
前記情報入力部51は、前記文字入力機10により検査対象者が検査対象者自身の個人情報を入力できるようにするものである。そのように入力された検査対象者の個人情報は、検査対象者を互いに区別する役割を果たす。
【0034】
前記個人情報は、図3に示すように、検査対象者の名前、生年月日、性別、学歴及び連絡先であり、それらの項目が検査対象者により入力される。
【0035】
ここで、生年月日は、検査対象者の生まれた年月日を示すものであり、性別は、男性と女性を区分するものであり、学歴は、検査対象者の学歴の程度を示すものであり、連絡先は、検査対象者に連絡できる電話番号である。
【0036】
前記学歴は、無学から大学院まで学年別に選択できるようにすることが好ましいが、それは、学歴情報を細かく区分して把握するためのものである。そのような学歴は、図4に示すように、学年別に指定された項目をスクロールして選択することができる。
【0037】
前記画像提示部52は、前記画像データの画像のうちの5個~15個を抽出し、抽出された画像を前記ディスプレイ30の画面に順次出力して検査対象者に提示することにより、検査対象者が画像を適切に記憶できるようにする(図8参照)。図8に示すように、前記画像提示部52により画像を画面上に提示する際に、提示される画像の総数や現在提示されている数などの現在の状態を画面上に表示することにより、検査対象者が現在の状態を視認できるようにすることができる。
【0038】
前記画像提示部52により提示される前記画像は、1個当たり1~3秒間画面に表示されることが好ましいが、それは、画像1個当たり画面に表示する時間が1秒より短いと、検査対象者が適切に記憶できなくなり、画像1個当たり画面に表示する時間が3秒より長くなると、あまりにも記憶しやすくなって不正解率が著しく低下するなど、弁別力が劣り得るからである。
【0039】
そのような前記画像提示部52は、前記画像を提示する前に、検査開始を通知する検査開始通知文を画面に出力する検査開始通知部521と、前記検査開始の通知が完了した後、提示される画像の数を通知すると共に提示された画像を記憶するように要求する記憶要求通知文を画面に出力する記憶要求通知部522とをさらに含む。
【0040】
前記検査開始通知部521は、図6に一例として提示されているように、「絵記憶検査を始めます。」という検査開始通知文を画面に出力することにより、検査対象者が認知できるようにするものである。
【0041】
そのような前記検査開始通知文は、前記コントローラ50に接続されるスピーカなどの音声出力機により、文字出力だけでなく、音声出力を行うことができるが、それは、字を知らないか又は字を読みにくい検査対象者も通知事項を容易に認知できるようにするためのものである。そのような前記検査開始通知文は、画面出力と音声出力を選択的に行って出力することもでき、画面出力と音声出力を同時に行って出力することもできる。
【0042】
前記記憶要求通知部522は、図7に一例として提示されているように、「10個の絵をよく見て記憶してください。(検査時間40秒)」という記憶要求通知文を画面に出力することにより、検査対象者が今後提示される画像を記憶しなければならないことを認知できるようにするものである。そのような前記記憶要求通知文は、前記コントローラ50にスピーカを接続し、画面出力と音声出力を選択的に行って出力することもでき、画面出力と音声出力を同時に行って出力することもできる。
【0043】
そのような前記検査開始を通知して記憶要求を通知した後、図8のように抽出された画像を画面に順次提示する。
【0044】
前記記憶妨害部53は、前記記憶妨害のための資料を前記ディスプレイ30の画面に出力するものであって、検査対象者の注意力を集中させて検査対象者の画像に関する記憶を妨害する役割を果たす。
【0045】
そのような前記記憶妨害部53は、前記抽出された画像の提示が完了した後、検査対象者に集中力検査の開始を通知する集中力検査通知文を画面に出力する集中力検査通知部531と、前記集中力検査の通知が完了した後、集中力検査方式を通知すると共に検査にかかる時間を通知する検査方式通知文を画面に出力する検査方式通知部532と、前記検査方式の通知が完了した後、集中力検査を実行する集中力検査実行部533とを含む。
【0046】
前記集中力検査通知部531は、図10に一例として提示されているように、「今回は集中力を確認します。」という集中力検査通知文を画面に文字で出力して別の検査が行われるかのように誘導することにより、検査対象者が画像に対する記憶妨害過程が行われることを認知できない状態で記憶妨害過程を開始できるようにするものである。
【0047】
そのような前記集中力検査通知文は、前記コントローラ50にスピーカを接続し、画面出力と音声出力を選択的に行って出力することもでき、画面出力と音声出力を同時に行って出力することもできる。
【0048】
前記検査方式通知部532は、図11及び図14に一例として提示されているように、「黒色の円が出ると選択を押し、他の色の円が出ると選択を押さないでください。(検査時間40秒)」という検査方式通知文を画面に文字で出力することにより、検査対象者が集中力検査(実際には記憶妨害過程)の実行方式を適切に認知できるようにするものである。
【0049】
そのような前記検査方式通知文は、前記コントローラ50にスピーカを接続し、画面出力と音声出力を選択的に行って出力することもでき、画面出力と音声出力を同時に行って出力することもできる。
【0050】
前記集中力検査実行部533は、図15に一例として提示されているように、集中力検査を実行して検査対象者に画像に対する記憶妨害が行われるようにするものである。
【0051】
ここで、前記集中力検査は、図15に一例として提示されているように、様々な色を順次提示して特定の色を正解として選択させる色区分検査であることが好ましいが、それは、検査対象者の注意力の集中を高めると共に記憶妨害のための検査を容易に実施するためのものである。
【0052】
そのような前記集中力検査は、図15に示すように、黒色を正解とし、赤色と青色を不正解とし、10~30個の問題からなる検査であるが、それは、黒色を正解とし、黒色より肉眼識別力が高い赤色と青色を不正解とすることにより、検査対象者の注意力が適切に喚起されて検査に集中できるようにするためのものである。ここで、前記黒色、前記赤色及び前記青色は、同じ大きさの円で表示されることが好ましいが、それは、検査対象者の集中力を高めるためのものである。
【0053】
一般人はそのような記憶妨害があっても前記画像を適切に思い出せるが、認知症患者は記憶妨害により前記画像を適切に思い出せなくなることにより、認知症患者の選別及び判別がより正確かつ容易に行われる。
【0054】
ここで、記憶妨害のための集中力検査は、10~30個の問題からなることが好ましいが、それは、集中力検査の問題数が10個より少ないと、記憶妨害が適切に行われなくなり、集中力検査の問題数が30個より多いと、記憶妨害が非常に過度に行われ、認知症の判別にエラーが起こり得るからである。
【0055】
図15に示すように、前記集中力検査実行部533により問題を画面上に出力する際に、出力される問題の総数や現在出力されている数などの現在の状態を画面上に表示することにより、検査対象者が現在の状態を視認できるようにすることができる。
【0056】
前記記憶妨害部53は、前記集中力検査を実行する直前に、集中力検査を4~8回予め実行して集中力検査を練習する集中力検査練習部534をさらに含む。前記集中力検査練習部534は、図11図13に一例として図示されているように、検査対象者の集中力を高め、記憶妨害時間を増加させることにより、検査対象者に対する記憶妨害がより確実かつ効果的に行われるようにするものである。
【0057】
前記検査問題項目生成部54は、前記記憶妨害のための資料の出力が完了した後、前記提示された画像を正解とし、前記提示された画像以外の他の画像を不正解とする複数の画像をランダムに混合して検査問題項目を生成する役割を果たす。
【0058】
前記検査問題項目は、前記画像提示部52により提示された画像の数の1.5~2.5倍生成することが好ましい。例えば、提示された画像の数が10個であると、検査問題項目は20個(2倍)生成されて、10個の正解問題項目と10個の不正解問題項目が生成されるようにしてもよい。
【0059】
それは、前記検査問題項目の数が前記提示された画像の数の1.5倍より少ないと、弁別力が低いため、認知症の判別が難しくなる恐れがあり、前記検査問題項目の数が前記提示された画像の数の2.5倍より多いと、検査問題項目が多すぎるため、不正解率が必要以上に高くなる恐れがあるからである。
【0060】
前記検査問題項目は、正解であると「〇」を選択し、不正解であると「×」を選択する〇×形態の問題であることが好ましいが、それは、検査対象者が正解又は不正解を容易に選択できるようにするためのものである。
【0061】
前記記憶検査実行部55は、前記生成された検査問題項目を前記ディスプレイ30の画面に順次出力し、前記選択操作機40により、前記検査問題項目として出力された画像が、前記提示された画像と同じであると正解として選択させ、前記提示された画像と同じでないと不正解として選択させる記憶検査を実行する役割を果たす(図18参照)。
【0062】
すなわち、前記画像提示部52により提示された画像と同じ画像が前記記憶検査実行部55により画面に提示されると、検査対象者は、「〇」を選択して正解として表示するが、前記画像提示部52により提示された画像を正しく思い出せないと、不正解を選択することになり、それが繰り返されて不正解率が高くなると、認知症患者と判別されるものである。
【0063】
図18に示すように、前記記憶検査実行部55により検査問題項目を画面上に出力する際に、出力される検査問題項目の総数や現在出力されている数などの現在の状態を画面上に表示することにより、検査対象者が現在の状態を視認できるようにすることができる。
【0064】
そのような前記記憶検査実行部55は、前記検査問題項目を出力する前に、出力される検査問題項目の数を通知する問題項目数通知文を画面に出力する問題項目数通知部551と、前記問題項目数の通知が完了した後、問題解決方式を通知すると共に検査にかかる時間を通知する解決方式通知文を画面に出力する解決方式通知部552とをさらに含む。
【0065】
前記問題項目数通知部551は、図16に一例として提示されているように、「これから20個の絵を見せます。」という問題項目数通知文を画面に文字で出力することにより、検査対象者が提示される検査問題項目の数を適切に認知できるようにするものである。
【0066】
そのような前記問題項目数通知文は、前記コントローラ50にスピーカを接続し、画面出力と音声出力を選択的に行って出力することもでき、画面出力と音声出力を同時に行って出力することもできる。
【0067】
前記解決方式通知部552は、図17に一例として提示されているように、「見たことのある絵であると「〇」を押し、新たな絵であると「×」を押してください。(検査時間40秒)」という解決方式通知文を画面に文字で出力することにより、検査対象者が検査問題項目の解決方式と検査時間を適切に認知できるようにするものである。
【0068】
そのような前記解決方式通知文は、前記コントローラ50にスピーカを接続し、画面出力と音声出力を選択的に行って出力することもでき、画面出力と音声出力を同時に行って出力することもできる。
【0069】
前記解決方式通知部552により表示される前記検査にかかる時間としては、30~50秒が通知されることが好ましいが、それは、検査対象者に記憶検査にかかる時間を予め通知して検査に適切に備えるようにするためのものである。
【0070】
前記認知症判別部56は、前記記憶検査が完了した後、前記記憶検査により確認された検査問題項目の不正解率の程度に応じて認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する役割を果たす。ここで、不正解率とは、検査問題項目全体における不正解の選択割合をいう。
【0071】
前記コントローラ50は、結果表示部57と、判別基準調整部58と、対象者確認部59とをさらに含む。
【0072】
前記結果表示部57は、前記認知症判別部56による認知症の判別が完了した後、検査対象者の診断及び検査結果を前記ディスプレイ30の画面に表示するものであり、図19に示すように、最終の検査結果を画面に表示することにより、検査対象者が検査対象者自身の現在の状態を適切に認知できるようにすると共に、より精密な認知症検査を検査対象者に誘導する役割を果たす。
【0073】
例えば、20個の検査問題項目を評価し、正解と不正解を適切に区分し、正解の数が10個以下であると「非常に心配です!」、正解の数が11~16個であると「心配です!」、正解の数が17~18個であると「上手です!」、正解の数が18~20個であると「完璧です!」のように検査結果を知らせることができる。
【0074】
前記判別基準調整部58は、検査対象者の生まれた年度、性別及び学歴によって認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する判別基準を調整するものであって、検査対象者の生まれた年度、性別及び学歴によって不正解率に応じた認知症の判別基準を調整することにより、認知症患者の選別及び判別がより正確に行われるようにするものである。
【0075】
すなわち、検査対象者の生まれた年度(入力された生年月日から確認される)が早いほど、不正解率が相対的に高くても正常と判別し、検査対象者の性別が女性である場合、同年齢の男性より認知症である確率が高いため、不正解率が相対的に低くても認知症患者と判別し、検査対象者の学歴が低いほど、認知症である確率が高いため、不正解率が相対的に低くても認知症患者と判別する。
【0076】
そのような前記判別基準の調整は、各国家又は地方で年齢別、性別及び学歴別に認知症患者の発生割合に応じて定められる。例えば、年齢別、性別及び学歴別に区分して認知症患者の発生割合が相対的に高いと、不正解率が低くても認知症患者に分類し、逆に、年齢別、性別及び学歴別に区分して認知症患者の発生割合が相対的に低いと、不正解率が非常に高い場合のみ認知症患者に分類するものである。
【0077】
前記対象者確認部59は、図4に示すように、設定された年齢基準と前記入力された生年月日とを比較し、年齢制限により検査対象者であるか否かを確認させ、検査対象者であることが確認された場合にのみ検査を実行するものであって、特定の年齢以上の人のみを検査対象者として指定し、検査が不要な人を除外することにより、より効率的に診断検査を実行できるようにするものである。例えば、年齢制限が満60歳に設定されると、入力された検査対象者の生まれた年度と比較し、満60歳より低い年齢の人は検査対象から除外され、それにより認知症診断検査を実行できなくなる。
【0078】
本認知症診断システムは、前記文字入力機10、前記データ保存機20、前記ディスプレイ30、前記選択操作機40及び前記コントローラ50がモジュール化されて一体に備えられるコンピュータ、統合認知症診断機、又はスマートフォンなどの移動通信端末機で構成されてもよく、全ての機能をプログラムで製作するか又はアプリケーションで製作し、それを端末機に搭載して使用してもよい。
【0079】
図20は本発明による認知症診断方法を示すフロー図である。
【0080】
図20に示すように、本発明による画像ベースの認知症診断方法は、検査対象者の個人情報を画面に入力する情報入力ステップ(S1)と、記憶力検査のための画像を準備する画像準備ステップ(S2)と、準備された画像から一部を抽出して画面を介して検査対象者に提示する画像提示ステップ(S3)と、検査対象者の画像に関する記憶を妨害する記憶妨害ステップ(S4)と、記憶力検査のための検査問題項目を生成する検査問題項目生成ステップ(S5)と、検査対象者に前記検査問題項目を出力して記憶検査を実行する記憶検査実行ステップ(S6)と、前記記憶検査により確認された不正解率で認知症であるか否かを判別する認知症判別ステップ(S7)と、認知症の判別で確認された検査対象者の検査結果を画面に表示する結果表示ステップ(S8)とを含み、そのようなステップを順次行うことにより認知症を診断する。
【0081】
画像ベースの認知症診断方法は、前記認知症判別ステップ(S7)の次に、認知症の判別が完了した後、検査対象者の診断及び検査結果を画面に表示する結果表示ステップ(S8)をさらに含んでもよい。
【0082】
前記情報入力ステップ(S1)において、前記個人情報は、検査対象者の名前、生年月日、性別、学歴及び連絡先であり、前記学歴は、無学から大学院まで学年別に選択できるように設定されてもよい。
【0083】
前記認知症判別ステップ(S7)は、検査対象者の生まれた年度、性別及び学歴によって認知症であるか否か及び/又は認知症の状態を判別する判別基準を調整する判別基準調整過程をさらに含んでもよい。
【0084】
前記情報入力ステップ(S1)は、設定された年齢基準と前記入力された生年月日とを比較し、年齢制限により検査対象者であるか否かを確認させ、検査対象者であることが確認された場合にのみ検査を実行する対象者確認過程をさらに含んでもよい。
【0085】
前記画像提示ステップ(S3)において、前記画像は、1個当たり1~3秒間画面に表示されることを特徴としてもよい。
【0086】
前記画像提示ステップ(S3)は、前記画像を提示する前に、検査開始を通知する検査開始通知文を文字及び/又は音声で出力する検査開始通知過程と、前記検査開始通知過程が完了した後、提示される画像の数を通知すると共に提示された画像を記憶するように要求する記憶要求通知文を文字及び/又は音声で出力する記憶要求通知過程とをさらに含んでもよい。
【0087】
前記検査問題項目生成ステップ(S5)において、前記検査問題項目の数は、前記画像提示ステップ(S3)で提示された画像の数の1.5~2.5倍であることを特徴としてもよい。
【0088】
前記検査問題項目生成ステップ(S5)において、前記検査問題項目は、正解であると「〇」を選択し、不正解であると「×」を選択する〇×形態の問題であってもよい。
【0089】
前記記憶検査実行ステップ(S6)は、前記検査問題項目を出力する前に、出力される検査問題項目の数を通知する問題項目数通知文を文字及び/又は音声で出力する問題項目数通知過程と、前記問題項目数通知過程が完了した後問題解決方式を通知すると共に検査にかかる時間を通知する解決方式通知文を文字及び/又は音声で出力する解決方式通知過程とをさらに含んでもよい。
【0090】
前記解決方式通知過程において、前記検査にかかる時間としては、30~50秒が通知されてもよい。
【0091】
前記記憶妨害ステップ(S4)は、前記抽出された画像の提示が完了した後、検査対象者に集中力検査の開始を通知する集中力検査通知文を文字及び/又は音声で出力する集中力検査通知過程と、前記集中力検査通知過程が完了した後、集中力検査方式を通知すると共に検査にかかる時間を通知する検査方式通知文を文字及び/又は音声で出力する検査方式通知過程と、前記検査方式通知過程が完了した後、集中力検査を実行する集中力検査実行過程とを含んでもよい。
【0092】
前記記憶妨害ステップ(S4)において、前記集中力検査は、様々な色を順次提示して特定の色を正解として選択させる色区分検査であってもよい。
【0093】
前記集中力検査は、黒色を正解とし、赤色と青色を不正解とし、10~30個の問題からなる検査であり、前記黒色、前記赤色及び前記青色は、同じ大きさの円で表示されてもよい。
【0094】
前記記憶妨害ステップ(S4)は、前記集中力検査実行過程を実行する直前に、集中力検査を4~8回予め実行して集中力検査を練習する集中力検査練習過程をさらに含んでもよい。
【0095】
このように構成される本認知症診断システムは、検査対象者に画像を提示し、記憶の妨害により提示された画像を正しく思い出せない状態で画像に関する記憶検査を実行することにより、認知症を迅速かつ正確に選別できるようにする画期的な発明である。
【0096】
本発明による実施形態は、コンピュータ上で様々な構成要素により実行できるコンピュータプログラムの形態で実現することができ、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な媒体に記録することができる。ここで、媒体には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM、DVDなどの光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)などの光磁気記録媒体(magneto-optical medium)、ROM、RAM、フラッシュメモリなどのプログラム命令を記憶して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。
【0097】
一方、前記コンピュータプログラムは、本発明のために特別に設計及び構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。コンピュータプログラムの例には、コンパイラにより生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータにより実行される高級言語コードも含まれる。
【0098】
一実施形態によれば、本開示の様々な実施形態による方法は、コンピュータプログラム製品(computer program product)に含めて提供することができる。コンピュータプログラム製品は、商品として販売者と購入者との間で取引されるようにすることができる。コンピュータプログラム製品は、機器で読み取り可能な記憶媒体(例えば、compact disc read only memory(CD-ROM))の形態で配布するか、又はアプリケーションストア(例えば、プレイストアTM)を介して、もしくは2つのユーザ装置間で直接、オンラインで配布(例えば、ダウンロード又はアップロード)することができる。オンライン配布の場合、コンピュータプログラム製品の少なくとも一部は、メーカーのサーバ、アプリケーションストアのサーバ、又は中継サーバのメモリなどの機器で読み取り可能な記憶媒体に少なくとも一時的に記憶されるか、一時的に生成されるようにすることができる。
【0099】
本発明による方法を構成するステップに関して、明白な順序の記載又はそれに反する記載がなければ、上記ステップは適切な順序で行うことができる。本発明は、必ずしも上記ステップの記載順序に限定されるものではない。本発明における全ての例又は例示的な用語(例えば、など)の使用は、単に本発明を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲により限定されない限り、上記例又は例示的な用語により本発明の範囲が限定されるわけではない。また、当業者は、様々な修正、組み合わせ及び変更が加えられた特許請求の範囲又はその均等物の範疇内で設計条件及び要因に応じて構成できることを理解するであろう。
【0100】
一方、本発明の詳細な説明においては、具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない限度内で様々な変形が可能であることは当該分野における通常の知識を有する者にとって自明であるといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】