(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】零交差検出を用いた小規模電力網の切り替え
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
H02J3/38 180
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506952
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022032699
(87)【国際公開番号】W WO2023033894
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520268997
【氏名又は名称】サバント システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Savant Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マドンナ,ロバート,ピー
(72)【発明者】
【氏名】カラン,ウィルソン,ディー
(72)【発明者】
【氏名】マグヌッセン,ヨン,アール
(72)【発明者】
【氏名】エッシュホルツ,ジーグマル,ケイ
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HA24
(57)【要約】
技術は零交差検出を用いて小規模電力網の切り替えを可能にする。フレキシブルな負荷管理システムは、零交差を識別するために1つ又は複数の負荷に供給される電力を検知するように構成されたコンパニオン・モジュールと協働してブレーカを利用する仮想臨界負荷パネル(vCLP)を含む。事前設定された数の連続したミス零交差が検出される場合、コンパニオン・モジュールは、潜在的な主電力喪失に関して警告され、局所的電力の下での動作前に負荷調整のために仮想臨界負荷(vCL)モードへ移行する。主電力喪失の検出時、コンパニオン・モジュールは、局所的電力の下で動作している際に、各負荷をオン状態またはオフ状態に構成する1つ又は複数のvCLビットの状態によって負荷の活性化(又は非活性化)のために構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電力が停電した際に、主電源からの主電力を切り離し且つ二次電源からの二次電力を供給するように構成された自動切り替えスイッチ(ATS)と、
負荷センター内に設置され且つ前記ATSを介して前記二次電源に接続された1つ又は複数のコンパニオン・モジュールであって、各コンパニオン・モジュールは、前記負荷センターの個々の分岐回路への電力を制御し、前記個々の分岐回路上の電圧に対する零交差検出器を含み、各コンパニオン・モジュールは、前記個々の零交差検出器に接続されたプロセッサ及びメモリを含む、1つ又は複数のコンパニオン・モジュールと、を含み、前記プロセッサは、
停電した主電源から、事前設定された数の連続したミス零交差を検出することに応じて、前記二次電力が前記二次電源から供給される際に、前記メモリに格納された情報に基づいて、前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定するように構成されている、装置。
【請求項2】
各コンパニオン・モジュールは、前記主電源からの前記主電力の供給から、前記二次電源からの前記二次電力の供給への移行時間中に、個々の前記プロセッサに電力供給するためのコンデンサを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定することは、前記主電源からの前記主電力の供給から、前記二次電源からの前記二次電力の供給への移行時間中に生じる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記連続したミス零交差の前記事前設定された数は、4のデフォルト値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、前記個々の分岐回路への電力をターンオフためのデフォルト状態を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、前記二次電力で動作している際の負荷の活性化をフィルタリングして取り除くために、前記主電力が前記主電源から供給されている間の前記個々の分岐回路への電力供給の事前の状態を隠すために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、臨界負荷に関するモバイルアプリケーションを用いて構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、前記個々の分岐回路への電力供給の状態をフィルタリングするためのマスク、及び前記二次電力が前記二次電源から供給されている際に前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定するための臨界負荷パネル状態を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各コンパニオン・モジュールの前記プロセッサは、起動後に前記個々の分岐回路への電力供給をターンオフするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
各コンパニオン・モジュールの前記プロセッサは、前記主電源からの主電力の供給から、前記二次電源からの二次電力の供給への移行時間中に、電力供給された状態のままである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
負荷センターに設置されたコンパニオン・モジュールのプロセッサで実行可能なプログラム命令を有する持続性コンピュータ可読媒体であって、
前記コンパニオン・モジュールは、主電力が停電した際に、主電源から供給される主電力を二次電源から供給される二次電力に移行するための自動切り替えスイッチに従って供給される、前記負荷センターの分岐回路への電力を制御し、前記コンパニオン・モジュールは、前記分岐回路上の電圧に対する零交差検出器を含み、前記プログラム命令は、
事前設定された数の連続したミス零交差を検出することに応じて、前記二次電力が前記二次電源から供給される際に、前記メモリに格納された情報に基づいて、前記分岐回路への電力供給の状態を設定するように構成されている、持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記分岐回路への電力供給の状態を設定することは、前記主電源からの前記主電力の供給から、前記二次電源からの前記二次電力の供給への移行時間中に生じる、請求項11に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記連続したミス零交差の前記事前設定された数は、4のデフォルト値を有する、請求項11に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、前記分岐回路への電力をターンオフするためのデフォルト状態を有する、請求項11に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、前記二次電源で動作している際の負荷の活性化をフィルタリングして取り除くために、前記主電力が前記主電源から供給されている間の前記分岐回路への電力供給の事前の状態を隠すために使用される、請求項11に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記分岐回路への電力供給の状態を設定するための前記メモリに格納された情報は、前記分岐回路への電力供給の状態をフィルタリングするためのマスク、及び電力が前記二次電源から供給されている際に前記分岐回路への電力供給の状態を設定するための臨界負荷パネル状態を含む、請求項11に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記プログラム命令は、起動後に前記分岐回路への電力供給をターンオフするように更に構成されている、請求項11に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
負荷パネルの分岐回路への電力を制御する方法であって、各分岐回路は、主電力が停電した際に、主電源から主電力を供給することから、二次電源から二次電力を供給することに移行する間に、前記負荷パネルに設置されたコンパニオン・モジュールにより制御されるものにおいて、
各分岐回路においてAC電圧の事前設定された数の連続したミス零交差を検出することに応じて、前記主電源から主電力の供給することから、前記二次電源から二次電力を供給することへの移行時間中に、各コンパニオン・モジュールのメモリに格納された情報に基づいて、個々の分岐回路への電力供給の状態を設定すること、を含む、方法。
【請求項19】
前記個々の分岐回路への電力供給の状態を設定することは、
前記主電力が前記主電源から供給されている間に、前記個々の分岐回路への電力供給の事前の状態をフィルタリングするためのマスクとして、個々のコンパニオン・モジュールの前記メモリに格納された情報を適用すること、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記個々のコンパニオン・モジュールが起動した後に、前記個々の分岐回路への電力供給をターンオフすること、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、電力の分野に関し、より具体的には、施設(premises:建物、店舗)における負荷の電力消費をフレキシブル(柔軟)に管理するためのシステム及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機および小規模電力網(マイクログリッド)のような、電力系統源は、施設の顧客またはユーザにより商業的に局所的に様々なタイプとサイズで配置されることが多い。発電機またはバッテリ(電池)のような、局所的電源の総電力容量は、住宅または事務所のような施設が消費する場合がある電力(エネルギー)の量より少ない(小さい)可能性がある。従って、電力を商用電力から局所的電源(例えば、小規模電力網)に切り替える間、当該切り替えの間の停電を最小限にしながら、局所的電源の過負荷を防止する必要がある。しかしながら、既存の負荷管理の解決策は一般に、固定のパネル構成における電力平均分配調整が、最終的に局所的電源に切り替わる際に過負荷を避けることを可能にするために、全小規模電力網を切り離す。
【0003】
本明細書の実施形態に関する上記の及び更なる利点は、添付図面に関連して以下の説明を参照することにより、より良く理解され得る。当該図面において、同様の参照符号は、同一の要素または機能的に類似する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】施設内のフレキシブルな負荷管理(Flexible Load Management:FLM)システムの例示的な配置を示す図である。
【
図2】FLMシステムのコンパニオン・モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概観
本明細書で説明される実施形態は、切り替えの間の停電を低減しながら、二次(局所的)電源に最終的に切り替わる際に過負荷を防止し、それにより小規模電力網を管理するための別個のコントローラへの依存またはUPSの必要性を取り除く、零交差(ゼロクロス)検出を用いた小規模電力網の切り替え技術を対象とする。フレキシブルな負荷管理(Flexible Load Management:FLM)システムは、各分岐回路用のコンパニオン・モジュール(即ち、インテリジェント・コントローラ)と協働してブレーカ(回路遮断器)を利用する仮想臨界負荷パネル(virtual Critical Load Panel:vCLP)を含み、当該コンパニオン・モジュールは、零交差を識別するために1つ又は複数の負荷に供給される電力を検知するように構成される。事前設定された数の連続したミス零交差(missed zero-crossing:零交差をしそこなった)が検出される場合、各コンパニオン・モジュールは、潜在的な主電力喪失(例えば、公共の電力系統からの不安定な電力)に関して、ひいては局所的電力の下での動作前に負荷調整のために仮想臨界負荷(virtual Critical Load:vCL)モードへの移行に関して警告する。即ち、各分岐回路への電力を別個に制御するように構成されたコンパニオン・モジュールのコントローラは、商用電力の喪失を示すミス零交差の数を検出し、それに応じて局所電源の過負荷を避けるように、低減された電力のために即座に調整する仮想臨界負荷モードへ移行する。主電力喪失の検出時、コンパニオン・モジュールは、局所的電力の下で動作している際に、各負荷をオン状態またはオフ状態に構成する1つ又は複数のvCLビットの状態によって負荷の活性化(又は非活性化)のために構成される。有利な点は、本技術のvCLビットは、主電力喪失に応じて負荷を切り替える(ターンオン/ターンオフする)ようにコンパニオン・モジュールに命令する(例えば、メッセージ交換によって)ためのパネル・ブリッジ・コントローラ(Panel Bridge Controller:PBC)の必要性を取り除き、それにより負荷のダウンタイムという結果になる場合がある(その理由は、局所的電源が過負荷になっており、そのブレーカを遮断するからである)、メッセージ交換により費やされる時間(例えば、数秒)が不要となる。更に、多数のミス零交差が生じる時間は、主電源から供給される電力の、局所的電源から供給される電力への移行時間と同時に発生する場合があり、そのためダウンタイムが著しく低減される。
【0006】
一実施形態において、vCLPは、施設内の負荷の優先的列挙(即ち、優先順位付け)であり、この場合、負荷は、それらが局所的電源により保護されるように十分に重要であると考えられる。本技術に従って、PBCは最初に、vCLビットの状態を構成(設定)し、その構成されたvCLビットをコンパニオン・モジュールへ送る。その後、vCLPは、vCLビットを用いてリアルタイムでユーザにより動的に構成可能である。主電力喪失は、連続したミス零交差に基づいて、コンパニオン・モジュールにより検出され得る。連続したミス零交差のデフォルト数は、4で構成され得るが、連続したミス零交差の任意の数が、事前設定され得る。例えば、4つの連続したミス零交差の検出時、コンパニオン・モジュールは、vCLモードに移行する場合があり、負荷に関連したvCLビットの状態に基づいて、局所的電力の下での動作前に各負荷への電力を活性化(維持)または非活性化(削減)する。そのため、局所的電力は、そのブレーカを遮断する過負荷になっている場合があり、かくして余分な負荷(単数または複数)を切り離す(即ち、過負荷状態を緩和する)ために及び局所的電力のブレーカを再設定するために手動操作を必要とする。更に、PBCは、主電力中断後にその状態を失う任意のコンパニオン・モジュールのvCLビットを再構成する場合がある。
【0007】
説明
図1は、事務所または住宅のような施設内のフレキシブルな負荷管理(FLM)システム100の例示的な配置を示す。FLMシステム100は、1つ又は複数の仮想臨界負荷パネル(vCLP)を利用し、それらの各々は、フェイルオーバーとして施設の二次(局所的)電源102による保護を保証する及び/又は電力可用性を補うために十分に重要であると考えられる負荷の優先順位付けを行う。本明細書で説明されるように、FLMシステム100は、時刻、季節により又は動的にでさえも施設内の負荷の優先順位付けを変更するために、コンパニオン・モジュール200(即ち、インテリジェント・コントローラ)と協働して回路遮断器またはブレーカ122を利用する。
【0008】
1つ又は複数の実施形態において、施設用の局所的電源102は、発電機またはバッテリ・インバータである場合があり、当該バッテリ・インバータは、バッテリからの直流(DC)を高電圧の交流(AC)に変換する。しかしながら、例示的な実施形態において、居所的電源102は、例えば、非常に多くの異なるタイプの負荷に電力供給するのに十分である5キロワット(kW)~30kWの範囲内の十分な電力を発生するように構成された小規模電力網(マイクログリッド)である場合がある。
【0009】
小規模電力網コントローラ106は、FLM100において電力消費および/または他の高レベル制御機能(例えば、どの負荷を活性化(電力供給)するべきかを判断する)を管理(操作)するように構成される。その目的を達成するために、小規模電力網コントローラ106は、ソフトウェア及びデータ構造を格納するための記憶場所を有するメモリ(例えば、持続性メモリ又は揮発性メモリ)に維持されるソフトウェアを実行し且つデータ構造を操作するように構成されたプロセッサを含む場合がある。データ構造は、構成要素/デバイスの構成を記述するために並びに他のタイプの情報を維持するために、FLMシステム100における構成要素/デバイスの状態を利用する場合がある状態(ステート)センターを含む場合がある。また、小規模電力網コントローラ106は、これら構成要素/デバイスと接続および通信するのに必要な機械的、電気的および信号伝達の回路を内蔵するインターフェースも含む場合がある。一実施形態において、小規模電力網コントローラ106は、サバント システムズ,エルエルシー(Savant Systems, LLC)から市販されている小規模電力網コントローラに基づいて、実現され得る。
【0010】
パネル・ブリッジ・コントローラ(PBC)108が、イーサネット(登録商標)のようなローカルエリア・ネットワーク(LAN)110を介して小規模電力網コントローラ106に接続する。PBC108は、LAN110を介して小規模電力網コントローラ106から受け取ったコマンドをメッセージに変換するように構成され、当該メッセージは、ブルートゥース(登録商標)のような無線メッセージング・プロトコルに従って無線LAN(WLAN)112を介して負荷センターに提供される。LAN110及びWLAN112を介して小規模電力網コントローラ106から受け取ったコマンドは、負荷センター120のコンパニオン・モジュール200を制御するように構成される。本明細書で更に説明されるように、コンパニオン・モジュール200は、負荷の電圧と電流(電力)を監視(検知)し且つ(ブルートゥースを介して)PBC108に無線連絡して、(例えば、ユーザのモバイル機器で実行している)モバイルアプリケーションからのコンパニオン・モジュールの遠隔制御を可能にする。
【0011】
負荷センター120は、通常動作中、例えば、公共の電力系統140から200アンペア(A)の供給を提供される1つ又は複数の電気パネルを含む場合がある。一実施形態において、負荷センター120は、主給電線132及び自動切り替えスイッチ(Automatic Transfer Switch:ATS)130(局所的電源から供給される電力に切り替えるための切り替え時間を有する)を介して当該電力系統140から給電線136を介して電力を受け取り且つ電気パネル内に収容されたブレーカ122を介して施設の分岐回路に電力(即ち、電流)を分配するように構成される。実例として、電気パネルは、個々のブレーカの活性化/非活性化を制御するためにブレーカ122と配線で接続(例えば、直列に)されたコンパニオン・モジュール200を含めることにより、vCLP125として具現化される。コンパニオン・モジュール200及び関連したブレーカ122は、負荷センター120内の別個の電気ボックス(例えば、主電気パネル及びコンパニオン・モジュール・パネル)内に位置する場合がある。
【0012】
一実施形態において、ATS130は、公共の電力系統140からの電力がダウン(即ち、停電または利用できなくなる)した際に、公共の電力系統140の主給電線132から自動的に切り離して、局所的電源102の局所的給電線134に接続するように構成されたマイクロプロセッサベースのコントローラを有するインテリジェント電力切り替えデバイスである。実例として、ATS130は、公共の電力系統140からの電力が無い時に局所的電源102の開始を起動(トリガ)するように構成された小規模電力網コントローラと連絡する低電圧制御135を含む。公共の電力系統140からの電力が下がる(終了する)際、小規模電力網コントローラは、切り替え時間中に局所的電源102を開始するために、制御135を介してATSに信号を送る(図示せず)。次いで、電力は、局所的給電線134を介して、ATS130を介して、及び給電線136を介して負荷センター120に供給される。
【0013】
電力系統変圧器(Voltage Transformer:VT)142は、安全に局所的電源102をターンオン(活性化)するように、電圧が十分に下がる(例えば、零交差の近く)時を判断するように公共の電力系統の電圧を(例えば、電圧監視分岐回路を介して)監視するように構成される。一実施形態において、電力系統VT142は、商用電力の線間電圧(例えば、240V)をデジタル・サンプリングに適した低電圧に変換して絶縁する。パネルVT146は、負荷センター120に供給される電圧を監視するように構成された変圧器である。一実施形態において、また、FLMシステム100は、負荷センター120に供給される公共の電力系統140からの電流を監視するように構成された1つ又は複数の変流器(Current Transformer:CT)も含む場合がある。
【0014】
スマートエネルギー・モニタ(Smart Energy Monitor:SEM)144は、変圧器からの、並びに施設内の他の負荷(例えば、空調機器)からの電圧および電流を監視(測定)するように構成される。実例として、SEM144は、VT/CTからの電圧/電流を受け取ってサンプリングするアナログ・デジタル(AD)変換器として具現化される。電圧および電流は好適には、電源(電力)管理計算のための、例えば、力率、皮相電力/有効電力などに向けられた動作(即ち、演算)を実施するSEM144により、高データレート(例えば、1kHz)でサンプリングされる。次いで、本明細書で説明される実施形態に従って、サンプリングされたデータは、FLMシステムの電力容量レベルを判断するために、制御およびデータ信号線148を介して小規模電力網コントローラ106に供給される。
【0015】
図2は、コンパニオン・モジュール200のブロック図である。一実施形態において、コンパニオン・モジュールは、1つ又は複数のリレー(継電器)(例えば、1つの30A/240VAC回路または実例として、2つの15A/240VAC回路)をサポートする(例えば、ターンオン(及びターンオフ)する)ように動作する。電力測定デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)202が、オンボード無線(ブルートゥース(登録商標))トランシーバと共にプロセッサを有するブレーカ・コントローラ204に結合される。また、電力測定DSP202は、電圧検知線206及び電流検知線208にも結合される。本明細書で更に説明されるように、ブレーカ・コントローラ204は、PBC108により構成可能な仮想臨界負荷(virtual Critical Load:vCL)ビットを格納するように適合されたメモリ225(例えば、RAM及び/又はフラッシュ)も含む。
【0016】
一対のリレー210がそれぞれ、一対のネジ端子212と一対の電流(例えば、ホール効果)センサ214との間に結合される。リレー210は、電力を分岐回路に伝えるようにノーマルオープン(NO)であり、一対のネジ端子212のそれぞれに結合され、一対のネジ端子212のそれぞれは、手動で活性化されることができる従来の15A/120VACブレーカ122(例えば、アーク故障ブレーカ)に対する接続ポイントとして機能する。代案として、各リレー210は、適切な安全性を提供すると同時に従来のブレーカの必要性を取り除く機械作動スイッチとして具現化され得る。一対のネジ端子216のそれぞれは、所望の負荷(図示せず)に対する接続ポイントとして機能する。AC-DC電源218は、コンパニオン・モジュール200に電力供給するために+12VDC及び+3.3VDCを出力する。検出される電圧および電流がほぼ零になる際にパルスを出力するために電力測定DSP202を用いる代案として、零交差検出回路220が、線222を介してブレーカ・コントローラ204に結合される方形波出力信号を生成するために使用され得る。
【0017】
一実施形態において、電力測定DSP202は、幾つかある値の中で特に、ネジ端子216に接続された各負荷に関する別個の瞬時電力消費、並びに所定の時間期間にわたる平均電力消費量、及びピーク電力消費量を計算することができる。また、電力測定DSP202は、電流および電圧がほぼ零になった際に、線205を介してパルスをブレーカ・コントローラ204に出力するようにも構成され得る。電流および電圧の零交差が発生している時を知ることにより、ブレーカ・コントローラ204は、リレー210が1つ又は複数の零交差の発生と同時にのみ切り替えられる(即ち、開または閉)ことを確実にする。この利点は、アーク放電を低減し、リレー210の耐用年数を長くする傾向がある。
【0018】
動作に関して、コンパニオン・モジュール200は、vCLPにより提供される負荷の優先順位付けに従って、局所的電源102(例えば、小規模電力網)によりサポート可能である、施設内の負荷の適切な電力量を保証するために負荷をターンオン(及びターンオフ)するように構成される。言い換えれば、コンパニオン・モジュール200は、優先順位付けに基づいて、ターンオン及びターンオフ(活性化/非活性化)するようにコンピュータ上で配線(命令)される。特に、vCLP125のコンパニオン・モジュールは、モバイル機器(図示せず)上で実行しているモバイルアプリケーションを通してユーザにより構成され得る。電気技師による設置後、当該モバイルアプリケーションは、サポート可能な負荷の制限に到達するまで、局所的電源102によりサポート可能な仮想臨界負荷(vCL)の「バケット」を構成するように実行され得る。vCLバケットに対して負荷を変更(即ち、追加)するために、ユーザは、当該バケットから他の負荷を取り除く必要がある。これにより、ユーザが、当該モバイルアプリケーションを通して臨界負荷を変更することが可能になり、これは、臨界負荷を配線接続した従来の臨界負荷パネルの手法(配線接続された負荷は容易に変更されることができない)からの改善である。
【0019】
しかしながら、コンパニオン・モジュール200の従来の配置は、公共の電力系統が停電した際にコンパニオン・モジュールに電力供給するための無中断の電源(Uninterrupted Power Supply:UPS)により提供されるバックアップ電源(電力)を含んでいた。電力が喪失した場合、コンパニオン・モジュールによる電力平均分配調整が、当該モジュール用のUPS電力に即座に切り替えることを通して、実行され得る。本発明は、UPSユニットの必要性を取り除き、それによりコストを低減し、信頼性を向上させ、ATSが局所的電源から供給される電力に移行する間(例えば、移行時間中)に負荷調整の実施を可能にすることにより、主電力の喪失時にコンパニオン・モジュールに伝達する/コンパニオン・モジュールを構成する(かくして、主電力の喪失時に、過負荷状態を有する局所的電源およびダウンタイムを回避する)ための、UPSを動力源としたコントローラの複雑性を低減する。
【0020】
本明細書で説明される実施形態は、切り替え中の停電を低減すると同時に二次(局所的)電源に最終的に切り替わる際に過負荷を防止する、零交差検出を用いる小規模電力網の切り替えの技術に向けられ、それにより小規模電力網を管理するための別個のコントローラへの依存またはUPSの必要性が取り除かれる。各コンパニオン・モジュール200は、零交差を識別するために負荷に供給される電力を検知する。事前設定された数の連続したミス零交差(missed zero-crossing)が検出される場合、コンパニオン・モジュールは、潜在的な主電力喪失(例えば、公共の電力系統140からの不安定な電力)に関して、ひいては局所的電源102(例えば、小規模電力網)の下での動作前に負荷調整のために仮想臨界負荷(virtual Critical Load:vCL)モードへの移行に関して警告する。即ち、各分岐回路への電力を別個に制御するように構成されたコンパニオン・モジュールの(ブレーカ)コントローラ204は、商用電力の喪失を示すミス零交差の数を検出し、それに応じて局所電源の過負荷を避けるように、低減された電力を目的として即座に調整する仮想臨界負荷モードへ移行する。主電力喪失の検出時、コンパニオン・モジュールは、例えば、局所的電力の下で動作している際に、各負荷をオン状態またはオフ状態に構成する1つ又は複数のvCLビット250の状態によって負荷の活性化(又は非活性化)のために構成される。本技術に従って、PBC108は、構成されたvCLビットをコンパニオン・モジュール200に送信する前に、vCLビット250の状態を最初に構成(設定)する。その後、vCLP125は、vCLビット250を用いてリアルタイムでユーザにより動的に構成可能である場合がある。有利な点は、本技術のvCLビットは、主電力喪失に応じて負荷を切り替える(ターンオン/ターンオフする)ようにコンパニオン・モジュール200に命令する(例えば、メッセージ交換によって)ためのPBC108の必要性を取り除き、それにより負荷のダウンタイムという結果になる場合がある、メッセージ交換により費やされる時間(例えば、数秒)が不要となる。更に、多数のミス零交差が生じる時間は、主電源から供給される電力の、局所的電源から供給される電力への移行時間と同時に発生する場合があり、そのためダウンタイムが著しく低減される。
【0021】
局所的電源(以降、小規模電力網102)は、境界を越えた周波数レベルまたは電圧レベルを迅速に検出するように構成される。境界を越えたレベルの検出時、(例えば、ATS動作に類似した)切り替えイベントが発生し、この場合、電力は、移行時間(例えば、70ミリ秒)の間に「水平になる」。この水平になるイベントは、コンパニオン・モジュール200に送信された信号として機能し、この場合、モジュールは、連続したミス零交差に基づいて主電力喪失を検出する場合がある。一実施形態において、連続したミス零交差のデフォルト数は、4で構成され得るが、様々なATS130のために調整を可能にするように、連続したミス零交差の任意の数が事前設定され得る(例えば、2~8個のミス零交差)。例えば、4個の連続したミス零交差の検出時に、コンパニオン・モジュール200は、vCLモードに移行し、負荷に関連したvCLビット250の状態に基づいて、局所的電力の下での動作前に各負荷に対する電力を活性化(維持)または非活性化(削減)する場合がある。それに応じて、コンパニオン・モジュールのリレー210は、それらの個々のブレーカ122を適宜に開く/閉じるように命令される。電力が70ミリ秒のうちに回復する場合、小規模電力網102に過負荷は存在しない。
【0022】
本質的に、移行時間は、ATSが切り替わる典型的な時間である「切り替え」時間期間(例えば、70ミリ秒)を表わす。本明細書で説明される技術は、各コンパニオン・モジュール200が電源を投入されており(生きている)、且つ切り替え時間期間の満了前にその切り替えを実行することができることを保証する。ここで留意すべきは、コンパニオン・モジュールは、コンパニオン・モジュールがその時間期間中に動作することができるように、電力移行中にブレーカ・コントローラ204に電力供給するための1つ又は複数のコンデンサ(図示せず)による十分な残留エネルギーを含む。その目標に向かって、コンパニオン・モジュール200がその切り替えを実行するのに必要な時間は、(1)電力喪失を検出するための時間(例えば、4個の連続したミス零交差)、及び(2)それらのブレーカ122をオンにする/オフにするためにリレー210に命令するための時間を含む。一実施形態において、4個の連続したミス零交差は、60Hzの2.0サイクルを消費し、この場合、(i)各零交差は、半サイクルであり、(ii)1サイクルは16ミリ秒であり、及び(iii)各零交差は8ミリ秒である。かくして、電力喪失を検出するための時間は、32ミリ秒であり、リレーに命令するための時間は、最大限でも70ミリ秒-32ミリ秒=38ミリ秒を必要としなければならない。
【0023】
切り替えが70ミリ秒を超える場合、コンパニオン・モジュール200は、電力を喪失し(即ち、コンデンサの電力が十分なレベルより下の電圧になる)、それらのリレー/回路が自動的に開く。その後、再起動/リセットの間に、コンパニオン・モジュールは、それらのvCLビットを検査して、それらの個々の負荷の状態を知る。特に、コンパニオン・モジュール200が起動し、それらが臨界(電力)モードにあると仮定すれば、PBC108は、公共の電力系統の主電力に関する情報を(例えば、電力系統VT信号伝達を通して)入手できるので、当該モジュールが通常モード(即ち、設置中の最初の構成モードに類似した)の動作を担うべきである時を当該モジュールに知らせる。例えば、負荷がvCLP125内にあることを可能にされる場合、コンパニオン・モジュール200は、当該負荷がオンであるべきであると仮定する。当該負荷の通常の状態がオフである場合、その後、PBC108は、当該負荷をターンオフするように当該モジュールに命令する。ここで留意すべきは、オン状態にあることに関する2つの態様が存在し、即ち(i)負荷がvCLP125に列挙されていること、及び(ii)ユーザがvCLビットを介して負荷をターンオンしたことである。
【0024】
臨界モードの状態の時、負荷は、関連したvCLビット250を有する場合、ターンオンされるだけであることができる。一実施形態において、ユーザは、負荷を活性化するために、必要に応じてモバイルアプリケーションからvCLビットをターンオンすることができる。当該技術に従って、vCLビット250は、局所的電力で動作している際にユーザがオンにしたくないこれら負荷を本質的にフィルタリングして取り除くために、通常動作中にターンオンされた負荷を隠すために使用される。実例として、vCLビット250は、負荷のオン/オフ状態を隠す(マスクする)働きをする。
【0025】
要するに、コンパニオン・モジュール200は、バッテリ電力を超える場合に、局所的電源(例えば、バッテリ/発電機)内のブレーカを遮断させる(ブレーカが落ちる)ことを避けるために、迅速に臨界モードへ移行(入る)ように「自己判断」する。迅速に臨界モードに入ることにより、コンパニオン・モジュールは、局所的電源102に過負荷をかけることを回避するために、迅速に余分な負荷を減らす場合がある。特に、コンパニオン・モジュールを臨界モードに移行することは、局所的電源への切り替え前に、生じるべきである。その目的を達成するために、コンパニオン・モジュールは、局所的電力への切り替え前に余分な負荷を減らすように構成される。
【0026】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態に向けられている。しかしながら、明らかになるように、他の変形および変更が、それらの利点の幾つか又は全ての達成と共に、説明された実施形態になされ得る。例えば、本発明の教示が、コンピュータ上で実行しているプログラム命令を有するコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして具現化され得ることが特に企図さている。従って、本説明は、単なる一例として解釈されるべきであり、そうでなくて本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。かくして、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の思想および範囲内に入るように、係る変形および変更の全てを網羅することである。
【国際調査報告】