(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20240808BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240808BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/20
A24F40/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506968
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2022072683
(87)【国際公開番号】W WO2023020966
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー,ゴードン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC13
4B162AC22
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD12
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル基材を含む消耗品を受け入れるための容器と、エアロゾル基材を加熱するための加熱機構と、コントローラとを含む。コントローラは、エアロゾル基材の加熱中にエアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視するための監視ユニットと、監視された観測量に基づいて、水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出するための検出ユニットと、検出された兆候に基づいて、デバイスの動作を中断するための制御信号を生成するための信号ユニットとを含む。エアロゾル生成デバイスを制御するための方法、及びコンピュータプログラム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイスであって、
エアロゾル基材を含む消耗品を受け入れるための容器と、
前記エアロゾル基材を加熱するための加熱機構と、
コントローラであって、
前記エアロゾル基材の加熱中に前記エアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視するための監視ユニットと、
前記監視された観測量に基づいて、前記水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出するための検出ユニットと、
前記検出された兆候に基づいて、前記デバイスの動作を中断するための制御信号を生成するための信号ユニットと
を含む、コントローラと
を含む、エアロゾル生成デバイス。
【請求項2】
前記監視ユニットは、前記エアロゾル基材の前記加熱中の複数の時点の各時点で前記観測量の値を取得することによって前記観測量を監視するように配置される、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項3】
前記加熱機構の温度を測定するための温度センサを更に含み、
前記監視ユニットは、前記加熱機構の前記温度を示す信号を前記温度センサから取得するように配置される、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項4】
前記検出ユニットは、対応する所定のプロファイルからの前記観測量の偏差に基づいて前記兆候を検出するように配置され、
前記観測量は、所定の熱プロファイル、所定の水分プロファイル、及び所定の電気エネルギープロファイルにそれぞれ対応する、前記デバイスの熱プロファイル、前記エアロゾル基材に関する水分プロファイル、及び前記デバイスの電気エネルギープロファイルのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項5】
前記観測量は、前記デバイスの前記熱プロファイルを含み、
前記所定の熱プロファイルは、第1の所定の時間長さにわたる第1の所定値から第2の所定値への、前記エアロゾル基材の前記加熱についての温度変化に関する情報を含み、
前記検出ユニットは、
前記監視された熱プロファイルが、前記所定の熱プロファイルと所定の熱閾値以上異なる場合、及び
前記監視された熱プロファイルが、基準時間長さ未満の間に前記第1の所定値から前記第2の所定値に変化し、前記基準時間長さが、前記第1の所定の時間長さ以下である場合の少なくとも一方の場合に前記兆候を検出するように配置される、
請求項4に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項6】
前記第1の所定値は、周囲温度、前記エアロゾル基材の初期温度、及び前記加熱機構の初期温度のうちの1つであり、
前記第2の所定値は、エアロゾル又は蒸気が前記エアロゾル基材から生成される前記デバイスの温度である、
請求項5に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項7】
前記監視ユニットは、前記エアロゾル基材の前記加熱中の複数の時点の各時点で前記デバイス及び前記エアロゾル基材の一方に関連する温度を示す温度値を取得することによって前記熱プロファイルを監視するように配置され、
前記検出ユニットは、前記温度値の少なくとも1つが基準値の対応する1つと前記所定の熱閾値以上異なる場合に前記兆候を検出するように配置され、前記基準値は、前記温度変化の前記情報に基づいて決定される、
請求項5又は6に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項8】
前記監視ユニットは、各温度値に対して、前記エアロゾル基材の前記加熱が開始された時間と前記温度値によって示される前記温度に達した時間との間の関連する時間の測定値を取得するように配置され、
前記検出ユニットは、各温度値に対して、前記関連する時間の測定値に基づいて前記第1の所定の時間長さにおける時点を決定し、前記決定された時点での前記温度変化に関する前記情報によって特定された前記温度として前記基準値を決定するように配置される、
請求項7に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項9】
前記監視ユニットは、
前記エアロゾル基材の前記加熱中に前記デバイス内の電力を示す値を測定し、
前記エアロゾル基材の前記加熱中に前記電力を示す前記値を積算することによって前記電気エネルギープロファイルを監視する
ように配置され、
前記所定の電気エネルギープロファイルは、所定の積算電力値を示す情報を含み、
前記検出ユニットは、前記電力を示す前記積算値が前記所定の積算電力値と所定の電気エネルギー閾値以上異なる場合に前記兆候を検出するように配置される、
請求項4~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項10】
前記監視ユニットは、前記デバイスに結合された又は前記デバイス内の電池から出力された電流と前記加熱機構に提供された電流の少なくとも一方に基づいて前記電力を示す前記値を測定するように配置される、請求項9に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項11】
前記エアロゾル生成デバイスは、パルス幅変調を用いて少なくとも1つのスイッチング要素を制御することによって前記加熱機構の温度を制御するように配置され、
前記監視ユニットは、前記パルス幅変調によって前記少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にされる時間長さに基づいて前記エアロゾル基材の前記加熱に使用される電気エネルギーの量を算出することによって前記電気エネルギープロファイルを監視するように配置される、
請求項4~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項12】
前記監視ユニットは、前記少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にある累積時間長さを算出し、前記累積時間長さに基づいて電気エネルギーの前記量を算出するように配置される、請求項11に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項13】
エアロゾル基材を含む消耗品を受け入れるための容器と、前記エアロゾル基材を加熱するための加熱機構とを含むエアロゾル生成デバイスを制御するための方法であって、
前記エアロゾル基材の加熱中に前記エアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視することと、
前記監視された観測量に基づいて、前記水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出することと、
前記検出された兆候に基づいて、前記デバイスの動作を中断するための制御信号を生成することと
を含む、方法。
【請求項14】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、請求項13に記載の方法を前記1つ以上のプロセッサに行わせる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における例示的な態様は、消耗品からのエアロゾルの生成に関し、特に、エアロゾル生成デバイス、エアロゾル生成デバイスを制御するための方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルを生成する目的でエアロゾル化可能物質を加熱又は加温するために使用されるデバイスが知られている。例えば、アトマイザ、気化器、電子タバコ、eタバコ、シガライクなどの既知のタイプを含む、エアロゾル生成デバイスは、リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスとして従来のタバコ製品からエアロゾル化可能物質を加熱するために使用される。
【0003】
一般的に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル生成デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を含むエアロゾル基材を熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。
【0004】
典型的には、エアロゾル化可能物質は、消耗品に含まれるエアロゾル基材として提供され、デバイスは、消耗品がデバイスに結合されたときに、基材を加熱又は加温してエアロゾルを生成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなエアロゾル生成デバイス用に適合された消耗品は、概して、例えばエアロゾル基材が使い果たされるまでの、特定の使用量に合わせて設計される。タバコスティックは、使用が限られるか又は使い捨てであるように設計された消耗品の一例であり、これは、タバコスティックが一度加熱された後にタバコスティックを廃棄すべきであることを意味する。
【0006】
使用目的を超えて、エアロゾル基材の水分含有量が低減されるにつれて弱化することに少なくとも部分的に起因して、消耗品の構造的完全性をもはや確保することができず、消耗品が破損するリスクがある。これによって、例えば破損した消耗品が電気的短絡又は炎を生じさせた場合(例えば、破損した消耗品がデバイス内の加熱要素に接触した場合)に、エアロゾル生成デバイスが停止され得るか又は安全上の問題が生じ得る。
【0007】
追加的に、タバコスティックの場合、(エアロゾル基材である)タバコが完全に乾燥し、味が悪くなることにつながる。同様の問題は、タバコを含有しないエアロゾル基材でも発生する。
【0008】
それゆえ、エアロゾル生成デバイスの安全性及び信頼性を向上させるために、既に使用済みの消耗品の使用を防止し、それにより、デバイスに結合されている間に消耗品が破損してユーザ体験を低下させることを防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示する第1の例示的な態様によれば、エアロゾル生成デバイスであって、エアロゾル基材を含む消耗品を受け入れるための容器と、エアロゾル基材を加熱するための加熱機構と、コントローラであって、エアロゾル基材の加熱中にエアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視するための監視ユニットと、監視された観測量に基づいて、水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出するための検出ユニットと、検出された兆候に基づいて、デバイスの動作を中断するための制御信号を生成するための信号ユニットとを含む、コントローラとを含む、エアロゾル生成デバイスが提供される。
【0010】
よって、エアロゾル生成デバイスは、観測量から推測される水分含有量に基づいて、消耗品が新たな消耗品であるか使用済みの消耗品であるかを認識することができ、消耗品が新品とみなされない場合には、デバイスの動作を中断することができ、それにより、デバイスの安全性及び有用性を向上させる。
【0011】
好ましくは、監視ユニットは、エアロゾル基材の加熱中の複数の時点の各時点で観測量の値を取得することによって観測量を監視するように配置される。
【0012】
好ましくは、エアロゾル生成デバイスは、加熱機構の温度を測定するための温度センサを更に含み、監視ユニットは、加熱機構の温度を示す信号を温度センサから取得するように配置される。
【0013】
好ましくは、検出ユニットは、対応する所定のプロファイルからの観測量の偏差に基づいて兆候を検出するように配置され、観測量は、所定の熱プロファイル、所定の水分プロファイル、及び所定の電気エネルギープロファイルにそれぞれ対応する、デバイスの熱プロファイル、エアロゾル基材に関する水分プロファイル、及びデバイスの電気エネルギープロファイルのうちの少なくとも1つを含む(すなわち、検出ユニットは、所定の熱プロファイルからのデバイスの熱プロファイルの偏差、所定の水分プロファイルからのエアロゾル基材に関する水分プロファイルの偏差、及び/又は所定の電気エネルギープロファイルからのデバイスの電気エネルギープロファイルの偏差に基づいて兆候を検出するように配置される)。
【0014】
好ましくは、観測量は、デバイスの熱プロファイルを含み、所定の熱プロファイルは、第1の所定の時間長さにわたる第1の所定値から第2の所定値への、エアロゾル基材の加熱についての温度変化に関する情報を含み、検出ユニットは、監視された熱プロファイルが、所定の熱プロファイルと所定の熱閾値以上異なる場合、及び監視された熱プロファイルが、(予め決定され得る)基準時間長さ未満の間に第1の所定値から第2の所定値に変化し、基準時間長さが、第1の所定時間長さ以下である場合の少なくとも一方の場合に兆候を検出するように配置される。
【0015】
好ましくは、第1の所定値は、周囲温度、エアロゾル基材の初期温度、及び加熱機構の初期温度のうちの1つであり、第2の所定値は、エアロゾル又は蒸気がエアロゾル基材から生成されるデバイスの温度である。
【0016】
好ましくは、監視ユニットは、エアロゾル基材の加熱中の複数の時点の各時点でデバイス及びエアロゾル基材の一方に関連する温度を示す温度値を取得することによって熱プロファイルを監視するように配置され、検出ユニットは、温度値の少なくとも1つが基準値の対応する1つと所定の熱閾値以上異なる場合に兆候を検出するように配置され、基準値は、温度変化の情報に基づいて決定される。
【0017】
好ましくは、監視ユニットは、各温度値に対して、エアロゾル基材の加熱が開始された時間と温度値によって示される温度に達した時間との間の関連する時間の測定値を取得するように配置され、検出ユニットは、各温度値に対して、関連する時間の測定値に基づいて第1の所定の時間長さにおける時点を決定し、決定された時点での温度変化に関する情報によって特定された温度として基準値を決定するように配置される。
【0018】
好ましくは、監視ユニットは、エアロゾル基材の加熱中にデバイス内の電力を示す値を測定し、エアロゾル基材の加熱中に電力を示す値を積算することによって電気エネルギープロファイルを監視するように配置される。所定の電気エネルギープロファイルは、所定の積算電力値を示す情報を含み、検出ユニットは、電力を示す積算値が所定の積算電力値と所定の電気エネルギー閾値以上異なる場合に兆候を検出するように配置される。
【0019】
好ましくは、監視ユニットは、デバイスに結合された又はデバイス内の電池から出力された電流と加熱機構に提供された電流の少なくとも一方に基づいて電力を示す値を測定するように配置される。
【0020】
好ましくは、エアロゾル生成デバイスは、パルス幅変調を使用して少なくとも1つのスイッチング要素を制御することによって加熱機構の温度を制御するように配置され、監視ユニットは、パルス幅変調によって少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にされる時間長さに基づいてエアロゾル基材の加熱に使用される電気エネルギーの量を算出することによって電気エネルギープロファイルを監視するように配置される。
【0021】
好ましくは、監視ユニットは、少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にある累積時間長さを算出し、累積時間長さに基づいて電気エネルギーの量を算出するように配置される。
【0022】
本明細書に開示する第2の例示的な態様によれば、消耗品を受け入れるための容器であって、消耗品はエアロゾル基材を含む、容器と、エアロゾル基材を加熱するための加熱機構とを含むエアロゾル生成デバイスを制御するための方法であって、エアロゾル基材の加熱中にエアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視することと、監視された観測量に基づいて、水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出することと、検出された兆候に基づいて、デバイスの動作を中断するための制御信号を生成することとを含む、方法が提供される。
【0023】
本明細書における第3の例示的な態様によれば、1つ以上のプロセッサによって実行されると、上記の第2の例示的な態様による方法を1つ以上のプロセッサに行わせる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0024】
本明細書における更なる例示的な態様によれば、第3の例示的な態様のコンピュータプログラムを記憶する非一時的記憶媒体が提供される。
【0025】
ここで、発明概念をよりよく理解するために提示されるが、本発明を限定するものとみなされるべきではない本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】エアロゾル生成デバイス及び消耗品の一例を示す概略図である。
【
図2】エアロゾル生成デバイスの電気的構成要素の一例を示すブロック図である。
【
図3】エアロゾル基材の加熱中のデバイスの監視された熱プロファイル及び所定の熱プロファイルの一例を示す。
【
図4A】エアロゾル基材の加熱及びその後の消耗品の使用中の所定の水分プロファイルの一例を示す。
【
図4B】エアロゾル基材の加熱中の所定の電気エネルギープロファイルの一例を示す。
【
図4C】エアロゾル基材の加熱中の所定のプロファイルの一例を示す。
【
図5A】エアロゾル基材の加熱中の監視された熱プロファイル及び所定の熱プロファイルの一例を示す。
【
図5B】エアロゾル基材の加熱中の監視された熱プロファイル及び所定の熱プロファイルの一例を示す。
【
図6】エアロゾル生成デバイスの電気的構成要素の一例を示すブロック図である。
【
図7】スイッチング要素を制御するために使用される信号のデューティ比及びエアロゾル基材の加熱中の加熱機構の温度の一例を示す。
【
図8】エアロゾル生成デバイスを制御するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例示的な実施形態を以下に説明するが、本発明のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの例示的な実施形態に様々な修正が加えられ得ることは明らかであろう。よって、以下の説明及び添付の図面は、限定的なものではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0028】
以下の説明には及び添付の図面中には、様々な例示的な実施形態の理解を与えるために、多くの詳細が記載されている。しかしながら、これらの詳細なしに実施形態が実施され得ることは当業者には明らかであろう。
【0029】
図1は、例示的な実施形態によるエアロゾル生成デバイス100の一例と、エアロゾル生成デバイス100と共に使用される消耗品10とを示す概略図である。消耗品10は、エアロゾル基材12を含む。エアロゾル生成デバイス100は、消耗品10を受け入れるための容器110と、エアロゾル基材12を加熱するための加熱機構120と、コントローラ130とを含む。
【0030】
消耗品10は、使い捨て用に設計される(すなわち、エアロゾル基材を生成するために消耗品10を一度だけ加熱すべきである)。
図1に示す例では、消耗品10は、エアロゾル基材12と、更なる構造的完全性を与えてエアロゾル基材を適所に保持するために使用され得る、紙、箔、又は他の可撓性平面材料などの、材料の外層とを備えた管状領域を形成するタバコスティックである。したがって、消耗品10は、紙巻きタバコに概ね類似し得る。
【0031】
しかしながら、消耗品10は、任意の特定の形態に限定されるものではなく、消耗品10が容器110に受け入れられることを可能にする任意の形態が使用され得る。追加的に、消耗品10は、例えば、エアロゾル基材12が単独での使用に十分な構造的完全性を有し得る場合、又はエアロゾル基材12に埋め込まれた材料が所要のレベルの構造的完全性を与える場合には、材料の外層を必要としない。いくつかの設計では、フィルタ、蒸気収集領域、冷却領域、及び他の構造も消耗品10に含まれ得る。
【0032】
エアロゾル基材12は、細断された、ペレット状の、粉末状の、粒状の、ストリップ又はシート形態、任意選択的にこれらの組み合わせの固体又はペーストタイプの材料として提供され得る。同様に、エアロゾル基材は、流体(例えば、液体又はゲル)を含み得る。エアロゾル基材は、タバコを、例えば乾燥した又はキュアした形態で含み得、場合により、風味のための、又はより滑らかな若しくはより満足感を与える体験をもたらす、追加の成分を有する。エアロゾル基材に含まれる材料に応じて、消耗品は、タバコスティックとして定義され得、又はエアロゾル基材は、風味放出媒体として定義され得る。いくつかの例では、タバコなどのエアロゾル基材12は、気化剤で処理され得る。気化剤は、エアロゾル基材からの蒸気の発生を改善し得る。気化剤は、例えば、グリセロールなどのポリオール又はプロピレングリコールなどのグリコールを含み得る。場合により、エアロゾル基材は、タバコ又はニコチンさえも含まなくてもよいが、代わりに、風味、揮発性、滑らかさの改善、及び/又は他の満足感を与える効果を提供するための天然の又は人工由来の成分を含み得る。タバコなどのエアロゾル基材12は、グリコールなどの、水分を保持するための1種以上の湿潤剤を含み得る。
【0033】
使用前に、エアロゾル基材12は、その設計、形状、包装、タイプ、風味などに依存し得る、所定の水分含有量を有する。本明細書で使用される場合、水分含有量は、エアロゾル基材12中に存在し得る水及び任意の他の湿潤剤の量を指し、質量(例えば、重量含水量)によって、体積(例えば、体積含水量)によって、又はエアロゾル基材の任意の他の測定可能な物理量によって定められ得る。実際には、水分含有量が所定値と僅かに異なり得ることが理解されるであろう。それゆえ「所定値」という表現は、所定値(例えば所定値の±2%)付近に又は下限値及び上限値を用いて定められ得る、範囲を示すものと理解され得る。典型的には、使用前のタバコスティックの水分含有量(すなわち、所定の水分含有量)は、13%~14.3%の範囲内又は範囲付近の値である。使用後に、タバコスティックの水分含有量は典型的には、6%~8%の範囲内又は範囲付近の値まで低下する。しかしながら、本発明は、この態様に限定されるものではなく、所定の水分含有量は、14.3%よりも高い値、又は13%よりも低い値であり得る。
【0034】
容器110は、使用すべき消耗品10を受け入れる(すなわち、消耗品10は、エアロゾル生成デバイス100に対して所定の位置/向きで、容器110内/上/近傍に配置される)。
【0035】
加熱機構120は、消耗品10が容器110内に受け入れられたときに消耗品10を加熱するように配置される。
【0036】
図1に示す例では、加熱機構120は、空間を形成する加熱チャンバ122(例えばオーブン)を含み、容器110は、消耗品10が挿入される加熱チャンバ122に開口を提供する。例えば、使用時に消耗品を固定するように加熱チャンバ及び/又はヒータが配置される場合には、別個の固定手段が必要でないことが理解されるであろうが、容器110は、消耗品10を適所に取り外し可能に固定するための固定手段(図示せず)を更に含む。
【0037】
しかしながら、容器110は、この形状に限定されるものではなく、容器110は、消耗品を受け入れてエアロゾル基材の加熱中に消耗品を適所に保持することが可能な任意の他の形状を有し得る。例えば、容器110及び消耗品10は、対応するコネクタ(例えば、プラグ及びソケット型の機械的コネクタ、容器110及び消耗品10内に位置する逆極性の磁石など)を含み得る。
【0038】
加熱機構120は、例えば、エアロゾル基材に接触又は近接する加熱要素を使用することによって、エアロゾル基材に接触又は近接する熱伝導要素(例えば芯)を加熱することによって、エアロゾル基材12に接触する又は熱エネルギーを放射できる消耗品10内のコイル又は他の導電物体の誘導加熱などによって、エアロゾル基材12を加熱するように配置される。加熱機構120は、これらの例に限定されるものではない、エアロゾル基材12を加熱する任意の手段を使用することができる。
【0039】
図1に示す例では、加熱機構120は、加熱チャンバを加熱し、それにより、加熱チャンバ122内に受け入れられた消耗品10のエアロゾル基材12を加熱するように加熱チャンバ122の表面に設けられたコイルを含むヒータ124を含む。しかしながら、他のタイプの加熱機構が使用され得、ヒータが任意の他の構成を有し得ることが理解されるべきである。
【0040】
更に、エアロゾル生成デバイスのユーザがエアロゾルを吸入できる、マウスピース(図示せず)などの、流出口に向けて導くことによって、生成されたエアロゾルを使用できることが理解されるであろう。非限定的な例として、消耗品10は、マウスピースとしての機能を果たす領域であって、消耗品10が容器110に受け入れられたときに容器110から突出し得る領域を含み得る。代替的に、エアロゾル生成デバイス100は、(例えば、ユーザの吸入によって又はエアロゾル生成デバイス内の通気デバイスの動作によって)エアロゾルがマウスピースに向けて導かれ得るように、加熱チャンバ122に結合された別個のマウスピースを含み得る。
【0041】
コントローラ130は、監視ユニット132と、検出ユニット134と、信号ユニット136とを含む。
【0042】
監視ユニット132、検出ユニット134、及び信号ユニット136は、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせとして実装され得る。具体的には、いくつかの例では、コントローラ130は、1つ以上のプロセッサ(例えば、シングル/マルチコアCPU、マイクロプロセッサなど)と、1つ以上の作業メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ、RAM、フラッシュメモリなど)と、コンピュータ可読命令を記憶する1つ以上の不揮発性命令ストア(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリなど)とを含み得、コンピュータ可読命令により、命令ストア内のコンピュータ可読命令を実行するプロセッサは、監視ユニット132、検出ユニット134、及び信号ユニット136として機能する。他の例では、監視ユニット132、検出ユニット134、及び信号ユニット136は、集積回路(IC)などの、別個の回路を各々含むハードウェアコンポーネントとして実装され得、この場合、各ユニットによって取得されたデータは、他のユニットがアクセス可能なメモリにデータを記憶することによって、通信チャネル(例えば、専用の信号線又はバス)を介して他のユニットに送信され得る。
【0043】
図1に示す例では、コントローラ130は、監視ユニット132、検出ユニット134、及び信号ユニット136として機能する、マイクロコントローラ(MCU)である。
【0044】
監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱中のエアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視するためのものである。ここでは、観測量は、1つ以上のセンサを介して検知/検出され(又はセンサによって取得されたデータに基づいて導出され)得る及びエアロゾル基材の水分含有量を示す、物理的特性である。
【0045】
非限定的な例として、観測量は、水分センサを用いて加熱チャンバ122内で測定される水分レベル、エアロゾル基材12の断面にわたって測定される誘電率、加熱中の所与の時点でのエアロゾル基材の温度、加熱中のエアロゾル基材の温度変化率、エアロゾル基材の加熱に使用されるエネルギー量、消耗品が容器に受け入れられたときに加熱機構120内の誘導加熱コイルによって感知される見かけの負荷、又はエアロゾル基材12中の水分含有量を示す任意の他の観測量であり得る。いくつかの例では、観測量は、監視できる複数の物理的特性(例えば、上で解説した例の組み合わせ)であり得る。
【0046】
図1に示す例では、観測量は、加熱機構120の温度を含む。具体的には、加熱機構120は、コントローラ130に通信可能に結合された温度センサ126(例えば、サーミスタ、熱電対、抵抗に基づく温度検出器など)を含み、監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱中の1つ以上の時点で、温度センサ126から温度を取得するように構成される。温度センサ126はまた、以下に更に解説するように、ヒータ124の温度を制御するために使用され得る。例えば、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱開始時に温度値を取得し、エアロゾル基材12の加熱中に定期的に(例えば毎秒)温度値を取得し得る。別の例として、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱開始に対する単一の時点(例えば7秒)での温度値を取得し得る。
【0047】
しかしながら、他の例では、温度センサ126が省略され得ることが理解されるであろう。例えば、ヒータの抵抗は、(例えば、電圧及び電流センサを用いて)決定され得、ヒータの温度は、ヒータの抵抗と温度との既知の関係に基づいて決定され得る。簡潔にするために、当業者には既知である、ヒータの抵抗を決定するための又はその抵抗に基づいてヒータの温度を決定するための方法については、ここでは説明しない。
【0048】
検出ユニット134は、監視された観測量に基づいて、水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出するためのものである。換言すれば、検出ユニット134は、監視ユニット132によって監視された観測量の値を取得し、監視された観測量の値に基づいて兆候を検出する。
【0049】
検出ユニット134は、例えば、監視された観測量の値が、監視された観測量の値の所定の範囲から外れている場合(例えば、値が第1の所定値よりも低い、値が第1の所定の閾値と第2の所定の閾値との間にない、又は値が第2の所定の閾値よりも高い場合)に、水分含有量が所定の水分含有量と異なることを検出し得る。このような例では、所定の範囲が単一の閾値(すなわち、所定の範囲を閾値以上の全ての値と定めるより低い閾値、若しくは所定の範囲を閾値以下の全ての値と定めるより高い閾値)によって又はより低い閾値とより高い閾値とによって定められ得ることが理解されるであろう。
【0050】
図1に示す例では、検出ユニット134は、エアロゾル基材12の加熱開始から13秒未満の時点で監視ユニット132によって取得された温度値が120℃以上である場合にエアロゾル基材の水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出するように配置される。以下で
図3を参照してより詳細に解説するように、これは、エアロゾル基材12の水分含有量が所定の水分含有量と異なる(この場合は、所定の水分含有量よりも少ない)ことを示す。
【0051】
しかしながら、これが兆候の検出の一例に過ぎず、本発明がこの例に限定されるものではないことが理解されるであろう。例示的な本実施形態は、本明細書で説明する又は本開示から導き出される任意の他の検出、特に以下の
図4A、
図4B、
図4C、
図5A及び
図5Bとの関連で説明する検出で使用され得る。
【0052】
信号ユニット136は、検出された兆候に基づいて、エアロゾル生成デバイス100の動作を中断するための制御信号を生成するためのものである。換言すれば、信号ユニット136は、エアロゾル基材12の水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出ユニット134が検出したときに通知を取得し、その通知によって信号ユニットに制御信号を生成させる。
【0053】
例えば、加熱機構120を停止するための信号、加熱機構120への電力の供給を中断するための電源140への信号、又はエアロゾル生成デバイス100への電力の供給を完全に停止するための電源140への信号などの、生成された制御信号は、エアロゾル基材12の加熱を中断すべきであることを示すために加熱機構120に送信され得る。制御信号は、例えば、回路遮断器をトリップさせること、又は停止すべき構成要素から離れるように電力を迂回させることによって(例えば、構成要素を短絡させることによって)、動作を中断し得る。制御信号という用語は単数形で使用されているが、この用語は、エアロゾル生成デバイス内の様々な構成要素の動作を制御し得る少なくとも1つの制御信号を指すものであると理解されるべきである。
【0054】
これらの場合の各々では、制御信号の生成によって、エアロゾル基材の加熱が中断される。
【0055】
図1に示す例では、信号ユニットは、ヒータ124を切り離すための第1の制御信号を生成し、それにより、ヒータ124がエアロゾル基材12を加熱するのを阻止する。エアロゾル生成デバイスが表示画面を含む場合、信号ユニットは、消耗品が所要の水分含有量を有していないことをエアロゾル生成デバイスのユーザに通知するメッセージを表示するように表示画面を制御するための第2の制御信号を生成し得る。しかしながら、触覚フィードバックなどの、ユーザに通知する他の手段がメッセージの表示の代わりに又はメッセージの表示に加えて使用され得ることが理解されるであろう。
【0056】
よって、不十分な水分含有量を有する消耗品の加熱が防止され、エアロゾル生成デバイスの安全性/信頼性が向上する。
【0057】
図1には図示しないが、エアロゾル生成デバイス100が、エアロゾル生成デバイスと一体の電源又は外部電源への接続部、電源からコントローラ130及び/又は加熱機構120への電力の供給を制御するための制御回路、様々な構成要素を共に保持するためのフレーム、エアロゾル生成デバイスのユーザにデバイス又は消耗品に関する情報を通知するための表示画面、ユーザがエアロゾル生成デバイスをオン/オフにすること又はエアロゾル生成デバイスを制御することを可能にするボタン又は他の制御部などの、追加の構成要素を含み得ることが理解されるであろう。
【0058】
図2を参照して、例示的な本実施形態によるエアロゾル生成デバイス100の電気的構成要素の一例を説明する。
【0059】
図2に示す例では、エアロゾル生成デバイス100は、加熱機構120と、コントローラ130(例えば、MCU)と、電源140と、充電機構150とを含む。
【0060】
電源140は、コントローラ130と加熱機構120とを含む、エアロゾル生成デバイス100の他の構成要素に電力を供給する。
【0061】
図2に示す例では、電源140は、電池142(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、又は非充電式電池などの二次電池)と、電池保護回路と144を含む。しかしながら、(例えば、保護回路を必要としない電池を用いて)場合により電池保護回路144が省略され得ること、又は、むしろ、電源140が、エアロゾル生成デバイス100の外部の電源(例えば、主電力、DC5Vの電源など)に結合可能なコネクタであって、外部電源からエアロゾル生成デバイス100の構成要素に電力を伝送するコネクタであり得ることが理解されるであろう。
【0062】
充電機構150は、エアロゾル生成デバイスに電気的に結合された電源から、電池142を再充電するための電力を供給するためのものである。しかしながら、電源140が蓄電要素を含まない(例えば、電池142が再充電可能ではない又は省略されている)場合には、充電機構150が省略され得ることが理解されるであろう。
【0063】
図2に示す例では、充電機構150は、外部電源に結合可能なコネクタ152と、外部電源から電池142への電力の供給を制御するための充電IC154とを含み、任意選択的に、外部電源によって提供される電力の電圧/電流特性を変えるための変圧器を含む。
【0064】
図2に示す例では、加熱機構120は、変換器128と、ヒータ124と、温度センサ126と、スイッチング要素129とを含む。
【0065】
変換器128は、電源140から受け取った電力を、エアロゾル基材を加熱するのに好適な電力に変換するように配置される。例えば、変換器は、電源140から受け取った電力の電圧をより高いレベルの電圧まで上昇させるための昇圧回路であり得る。しかしながら、場合により、電源によって出力された電力が、エアロゾル基材を加熱するために変換される必要がなく、この場合には、変換器128が省略され得ることが理解されるであろう。
【0066】
図2に示す例では、変換器128は、電源140によって出力された3.3Vの電圧を3.8~4.3Vの範囲の電圧まで昇圧させる昇圧器であり、変換器128は、エアロゾル生成デバイス100のユーザがボタンを用いて制御可能である。
図2に示すように、昇圧器は、(使用可能にされたときに)昇圧された電力をヒータ124に制御可能に提供するために、コントローラ130によって使用可能にされるか又は停止され得る。しかしながら、ここで説明する電圧レベル又は範囲が例示的なものであり、昇圧器が、電源140から受ける電圧又は昇圧器(変換器128)によって出力される電圧/電圧範囲に関して限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0067】
ヒータ124は、加熱チャンバ(図示せず)を加熱するように配置される。
図2に示す例では、ヒータ124はコイルである。しかしながら、ヒータがこの形態に限定されるものではなく、伝導に基づく(コイルと芯との組み合わせなど)か対流に基づくかにかかわらず、任意の他のタイプのヒータであり得ることが理解されるであろう。
【0068】
温度センサ126は、
図1を参照して上で解説したように、加熱チャンバ122の温度をコントローラ130に提供する。
【0069】
スイッチング要素129は、コントローラ130が加熱チャンバ内の温度を制御することを可能にする。スイッチング要素129は、電界効果トランジスタ(FET)(例えば、Si MOSFET、GaN MOSFET、SiC MOSFETなど)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、又は他の既知のタイプのスイッチング要素であり得る。スイッチング要素129が単一のスイッチング要素として言及されているが、スイッチング要素129は、直列及び/又はカスケードに配置された2つ以上のスイッチング要素を含み、それゆえ、スイッチング要素129への言及は、少なくとも1つのスイッチング要素への言及として解釈されるべきである。
【0070】
図2に示す例では、スイッチング要素129は、MOSFETの状態を制御することによって、電力ループが電源とヒータ(及び変換器128などの、加熱機構120の他の構成要素を含む)との間に制御可能に形成され得るように、ヒータと電源の端子との間に直列に配置されたMOSFETである。具体的には、
図2に示す例では、コントローラ130は、温度センサ126から温度を取得する。検知された温度は、コントローラ130に実装されたPID(比例、積分、微分)制御ループに入力され、PID制御ループは、検知された温度と所望の温度との差に基づいて値を出力し、PID制御ループの出力は、パルス信号と比較され、MOSFET 129の状態を制御するためのパルス幅変調(PWM)信号に変換される(すなわち、PWM信号は、MOSFET 129のゲートに印加される)。
【0071】
簡潔にするために、当業者に知られている制御ループ及びスイッチング要素129の制御の更なる詳細は省略される。しかしながら、コントローラがPID制御ループの使用及び/又はPWM信号を用いたスイッチング要素の制御に限定されるものではなく、むしろ、スイッチング要素を制御するためのPI又はP制御ループ又は信号を含む、任意の他の既知のタイプの制御ループが実装され得ることが理解されるべきである。
【0072】
図3は、加熱機構120の、特にエアロゾル基材の加熱中の加熱チャンバ122の例示的な温度を示す。
図3には、所定の水分含有量を有するエアロゾル基材(例えば、新たな消耗品)の加熱が実線で示されており、水分含有量を全く又はほとんど有しないエアロゾル基材(例えば、既に使用済みの消耗品)の加熱が破線で示されている。
【0073】
加熱機構120は、初期(例えば周囲)温度から典型的には150℃~300℃の範囲のより高い温度にエアロゾル基材12を加熱するように配置される。エアロゾル基材の加熱中、通常は、より高い温度に達するまでエアロゾルの実質的な放出が生じない。
【0074】
そのより高い温度へのエアロゾル基材の加熱によって、基材中の粒子を揮発させ、霧化させ、及び/又は気化させた結果としてエアロゾルが放出される。
図3に示す例では、エアロゾル基材は、約230℃の温度に加熱されるが、これは非限定的な例であり、むしろ、エアロゾルが基材から生成されることを可能にする任意の温度を使用することができる。
【0075】
一旦加熱されると、エアロゾル基材は、エアロゾルの生成が継続する場合には、所望の温度又はその付近に維持され得る。場合により、この第2の段階は、予め決定され得る時間(例えば、5秒などの、所定の時間に達するまで)又は事象が発生した時点で終了する時間(例えば、ユーザが、エアロゾル生成デバイスの使用を停止するまで、エアロゾル基材が使い果たされるまでなど)にわたって続き得る。しかしながら、エアロゾル基材は、ほんの少量のエアロゾルが望ましい場合などには、より高い温度に維持される必要がない。
【0076】
図3は、エアロゾル基材の加熱と、生成されたエアロゾルをユーザが吸入し得る(セッションと呼ばれる可能性もある)消耗品の使用開始のみを示す。
図3には図示しないが、一旦加熱されると、消耗品が数分間(例えば4~5分間)にわたってより高い温度に維持され得ることが理解されるであろう。典型的には、セッションの終了(例えば、エアロゾル基材の加熱開始から270秒)に向けて、ヒータがオフにされ、セッションがその直後(例えば、エアロゾル基材の加熱開始から290秒後)に終了する。セッションの終了時に、消耗品は、エアロゾル生成デバイスから外して廃棄することができる。
【0077】
図3から明らかなように、新たな消耗品中の水分レベルによって、温度が約100℃に達する期間であって、水が蒸発している間に温度が実質的に上昇しない期間(例えば、「プラトー」)が生じる。それゆえ、より低い水分含有量を有する消耗品は、同じプラトーを有さず、100℃を超える温度により速く達する。
図3には水の例が示されているが、検出ユニット134が水の不在を検出することに限定されるものではないことを理解すべきである。例えば、エアロゾル基材12が保湿剤又は他の蒸発性物質を含む場合、エアロゾル基材12の加熱によって、温度が保湿剤/蒸発性物質の沸点付近で実質的に上昇しない追加の期間が生じ(例えば、エアロゾル基材12がプロピレングリコールを含み、温度が約188℃、プロピレングリコールの沸点に一時的に留まっている場合)、及び保湿剤/蒸発性物質のレベル低下又は不在は、差分の温度上昇率、又は温度が特定量だけ上昇するのに必要な時間長さに基づいて検出することができる。
【0078】
したがって、消耗品が新品であるか使用済みであるかは、エアロゾル基材の加熱中に、エアロゾル基材の水分含有量を示す測定情報に基づいて検出され得る。
【0079】
例示的な実施形態では、観測量は、デバイスの熱プロファイル、エアロゾル基材に関する水分プロファイル、及びデバイスの電気エネルギープロファイルのうちの少なくとも1つを含む。監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱中に、デバイスの熱プロファイル、水分プロファイル、及び電気エネルギープロファイルのうちの少なくとも1つを監視するように配置される。換言すれば、デバイスの熱プロファイル、水分プロファイル、及び電気エネルギープロファイルは、エアロゾル基材の加熱についてのプロファイルである。
【0080】
本明細書で使用される場合、プロファイルという用語は、エアロゾル基材の加熱中の1つ以上の時点での観測量の値を含む。その時間は、エアロゾル基材の加熱開始に対して、又は観測量が特定値に達した(例えば、加熱機構120又はエアロゾル基材12が特定の温度に達した)時間に対して定められ得る。よって、2つ以上の時点での観測量の値を含むプロファイルは、2つの時点間の期間にわたる観測量の値の変化を定める。プロファイルは、場合により、エアロゾル基材の加熱中の経時的な温度の関数を定め得る。
【0081】
例えば、熱プロファイルは、エアロゾル基材12自体の温度、又はエアロゾル基材の温度を示すエアロゾル生成デバイス100の構成要素の温度(例えば、
図1及び
図3を参照して上で説明したような、加熱チャンバ122の温度)などの、エアロゾル基材12の加熱中の1つ以上の時点で取得されたエアロゾル基材12に関する温度値を含み得る。
【0082】
水分プロファイルは、エアロゾル基材12の加熱中の1つ以上の時点で、エアロゾル生成デバイス100から(例えば、水分又は湿度センサを用いて)又はエアロゾル基材12から取得された水分を示す値(例えば、加熱チャンバ122内の水分レベル)を含む。
【0083】
デバイスの電気エネルギープロファイルは、エアロゾル基材12の加熱中の1つ以上の時点で取得された、エアロゾル基材12の加熱中に使用される電気エネルギーを示す値を含む。これは、例えば、エアロゾル基材を加熱するために加熱機構120若しくはヒータ124によって使用される電気エネルギーを表し得るか、又は代替的に、エアロゾル基材の加熱中のデバイスのより多くの又は全ての構成要素によって使用される電気エネルギーを表し得る。この値は、電源140(若しくは外部電源)から出力されたエネルギーを測定することによって取得され得る、又はヒータ124に提供されるエネルギーは、(例えば、ヒータ124と直列のシャント抵抗器及びシャント抵抗器と並列の電流測定回路を介して)測定され得る。監視ユニット132によって取得された値は、その時点で使用された電気エネルギー(例えば、瞬時エネルギー)を示し得るか、又は期間にわたって(例えば、エアロゾル基材12の加熱開始からその時点までに)使用された累積電気エネルギー量を示し得る。
【0084】
検出ユニット134は、対応する所定のプロファイルからの観測量の偏差に基づいて兆候を検出するように配置される。所定のプロファイルは、エアロゾル基材12が実質的に所定の水分含有量を有する場合に予測される、エアロゾル基材12の加熱中の1つ以上の時点に対する観測量の所定値を定め得る。所定のプロファイルは、例えば経時的な観測量の関数として定められ得る。所定のプロファイルは、例えば、検出ユニット134にアクセス可能であるエアロゾル生成デバイス100上のメモリに記憶され得る。
【0085】
検出ユニット134は、監視ユニット132によって取得された観測量の値と所定のプロファイルから導出された観測量の値との比較に基づいて指標を検出するように配置される。
【0086】
例えば、検出ユニット134は、監視ユニット132によって取得された値と所定のプロファイルにおける対応する値との差が所定の閾値以上である場合に、兆候を検出するように配置され得、所定の閾値は、全ての時点に対して同一であり得るか、又は各時点に対して異なるように設定され得る。
【0087】
【0088】
図3に示す実線は、エアロゾル基材12の加熱中の加熱チャンバ122の温度の変化を定める、所定の熱プロファイルの一例である。しかしながら、所定の熱プロファイルが、エアロゾル基材12自体の温度などの、エアロゾル基材12の温度、消耗品10の温度、又は加熱機構120若しくはエアロゾル生成デバイス100の別の構成要素の温度を示す任意の温度であり得るので、加熱チャンバ122の温度に限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0089】
図4Aは、エアロゾル基材12の加熱中及びその後の消耗品の使用中の加熱チャンバ122内の所定の水分レベルを定める所定の水分プロファイルの一例を示す。しかしながら、本発明は、加熱チャンバ内の水分レベルを定める所定の水分プロファイルに限定されるものではない。むしろ、所定の水分プロファイルは、(例えば、消耗品が容器110に受け入れられたときにエアロゾル基材12に接触する水分センサによって測定されると予測される水分レベルに相当する)エアロゾル基材12自体における水分レベルを定めることができる。
【0090】
図4Aに示すように、水分レベルは、初期値(例えば、約13%)で始まり、エアロゾル基材12中の水及び任意の保湿剤及び他の物質が蒸発するにつれて、エアロゾル基材の加熱中により低い値(例えば10%)まで低下するように予め決定される。エアロゾルが生成されるより高い温度までエアロゾル基材12が加熱された後に、水分レベルは、消耗品の使用中に低下し続ける。
【0091】
図4Bは、エアロゾル基材12の加熱中に使用される累積エネルギー量を定める、所定の電気エネルギープロファイルの一例を示す。
図4Bに示す例では、電源140から出力された累積エネルギー量は、加熱の最初の10秒間は実質的に一定の速度で約180ジュールの値まで増加し、その後、比較的低い速度で増加するように予め決定される。上で解説したように、所定の電気エネルギープロファイルは、電源140から出力される累積電気エネルギーを定めることに限定されるものではなく、むしろ、異なる時点でヒータ124に提供される瞬時エネルギーなどであり得る。
【0092】
例示的な本実施形態では、監視ユニット132は、
図3に示す熱プロファイルなどの熱プロファイル、
図4Aに示す水分プロファイルなどの水分プロファイル、及び
図4Bに示す電気エネルギープロファイルなどの電気エネルギープロファイルのうちの1つ以上を監視するように配置され得る。検出ユニット134は、対応する所定のプロファイルからのこれらのプロファイルの1つに存在する偏差に基づいて兆候を検出するように配置され、又は監視されたプロファイルの2つ又は全てにそれぞれの偏差が存在する場合に兆候を検出するように配置され得、各プロファイルにおいて検出された偏差は、エアロゾル基材中の水分含有量が所定の水分含有量と異なることを示す。
【0093】
例えば、監視ユニット132が、
図3に示す熱プロファイルを監視するように配置される場合、監視ユニット132は、t=100秒での監視された温度が130℃よりもかなり高い場合に兆候を検出し得、監視ユニット132が、
図4Aに示す水分プロファイルを監視するように配置される場合、監視ユニット132は、t=0秒での監視された水分含有量が10%未満である場合に兆候を検出し得、及び/又は監視ユニット132が、
図4Bに示す電気エネルギープロファイルを監視するように配置される場合、監視ユニット132は、t=10秒での監視された累積エネルギーが160J未満である(エアロゾル基材12中の水及び/又は他の湿潤剤を蒸発させるために使用されているエネルギーが全くない/より少ないことを示す)場合に兆候を検出し得る。
【0094】
代替的に、所定のプロファイルは、代わりに、1つ以上の関連付けを含み得、各関連付けは、例えば
図4Cに示すように、時点とその時点での観測量の所定値との関連付けである。
【0095】
これらの場合、検出ユニット134は、各時点で監視ユニット132によって取得された値を関連する所定値と比較するように配置される。
【0096】
図4Cは、所定のプロファイルを表形式で示しているが、この表形式が例示を目的としたものであり、関連付けが任意の他の適切な形式であり得ることが理解されるであろう。
【0097】
図4Cに示す例では、所定の温度プロファイルは、時点t=5秒と温度の所定値100℃との第1の関連付け、時点t=8秒と所定値150℃との第2の関連付け、時点t=13秒と所定値230℃との第3の関連付け、並びに、各々が所定値230℃に関連付けられる、時点t=100秒、150秒、200秒、270秒、及び290秒に対する関連付けなどを定める。同様に、所定の水分プロファイルは、時点と水分レベルの所定値との関連付けを定める(時点t=0秒と13%、時点t=5秒と12%、時点t=8秒と11%、時点t=13秒と10%、時点t=100秒と9%、時点t=150秒と8%、時点t=200秒と7%、時点t=270秒と6%、及び時点t=290秒と6%)。所定の電気エネルギープロファイルは、時点と電気エネルギーの所定値との関連付けを定める(時点t=0秒と0J、時点t=5秒と90J、時点t=8秒と150J、時点t=13秒と185J、時点t=100秒と405J、時点t=150秒と530J、時点t=200秒と660J、時点t=270秒と840J、及び時点t=290秒と840J)。
【0098】
図4Cに示す例における各所定のプロファイルは複数の関連付けを定めるが、その代わりに、所定のプロファイルの1つ以上が関連付けを1つだけを含み得ることが理解されるであろう。例えば、所定の電気エネルギープロファイルは、t=13秒と185Jなどの、時点と電気エネルギーの所定値との単一の関連付けを定め得る。加えて、所定のプロファイルの2つ以上は、
図4Cに示す例と同様に、同じ時点に対する関連付けを定め得るが、その代わりに、所定のプロファイルの各々は、相互排他的な時点を用いて1つ以上の関連付けを定め得る(例えば、第1の所定のプロファイルは、時点t=t1を用いて関連付けを定め得、第2の所定のプロファイルは、第2の時点t=t2を用いて関連付けを定め得る。ここで、t2はt1と異なる)。
【0099】
図4Cに示す例示的な所定のプロファイルは、エアロゾル基材の加熱中の、及びその後の消耗品の使用中(その間、エアロゾル基材は、エアロゾル基材が生成される温度に維持される)の時点に対する関連付けを含む。しかしながら、エアロゾル基材がより高い温度に達した瞬間を過ぎた時点に対するいかなる関連付けも所定のプロファイルが含む必要がないことが理解されるであろう。例えば、エアロゾル基材はt=13秒で230℃の温度に達すると予測されるので、時点t=100秒、150秒、200秒、270秒、及び290秒に対する所定のプロファイルで定められた関連付けは省略され得る。
【0100】
任意選択的に、検出ユニット134は、監視ユニット132が、関連する所定値を有しない時点の値を取得したときに、回帰分析(例えば内挿/外挿)、カーブフィッティングなどによって、所定のプロファイルで定められた関連付けに基づいて対応する値を決定するように配置され得る。
【0101】
よって、所定のプロファイルを維持するために必要なリソースを低減する一方で、エアロゾル基材12が所定の水分含有量を有していないという兆候がより正確に検出され得る。
【0102】
例示的な実施形態では、観測量は、デバイスの熱プロファイルを含む。したがって、監視ユニット132は、デバイスの熱プロファイルを監視するように配置される。観測量はまた、任意選択的に、本明細書で説明する水分プロファイル及び/又は電気エネルギープロファイルを含み得る。
【0103】
例示的な本実施形態では、所定の熱プロファイルは、第1の所定の時間長さにわたる第1の所定値から第2の所定値への、エアロゾル基材の加熱についての温度変化に関する情報を含む。第1の所定値は、例えば、第1の所定値は、周囲温度(すなわち、エアロゾル生成デバイス100周囲の環境の温度)、エアロゾル基材の初期温度、又は加熱機構120(例えば、加熱チャンバ122又はヒータ124)の初期温度のうちの1つであり得る。第2の所定値は、例えば、エアロゾル又は蒸気がエアロゾル基材から生成される温度であり得る。代替的に、第1の所定値は、典型的な周囲温度(例えば50℃)よりも高く、それゆえ、エアロゾル基材の異なる周囲温度/初期温度に起因するばらつきの影響が低減される値であり得る。同様に、第2の所定値は、エアロゾル又は蒸気がエアロゾル基材から生成される温度(例えば170℃)よりも低く、それゆえ、消耗品10がその構造的完全性を加熱に起因して失うリスクが低減される値であり得る。
【0104】
例示的な本実施形態では、検出ユニット134は、監視された熱プロファイルが、所定の熱プロファイルと所定の熱閾値以上異なる場合、及び/又は監視された熱プロファイルが、所定の基準時間長さ未満の間に第1の所定値から第2の所定値に変化し、所定の基準時間長さが、第1の所定時間長さ以下である場合に兆候を検出するように配置される。
【0105】
換言すれば、監視ユニット132によって取得された値の1つ以上と所定のプロファイルで定められた対応する値との差が、所定の熱閾値よりも大きい場合、検出ユニット134は兆候を検出する。ここでは、所定の閾値は、度数(例えば、2℃、3.5℃、5℃など)又は所定値のパーセンテージ(例えば、1.0%、3%、5.5%)であり得る。
【0106】
しかしながら、監視された熱プロファイルで取得された値の少なくとも2つ以上が所定の熱プロファイルから導出された対応する値と異なる場合に兆候を検出するように検出ユニット134が配置され得ることは明らかであろう。より多くの比較に依存することによって、エアロゾル基材12が所定の水分含有量を含まないという誤検出のリスクが低減され得る。同様に、監視された熱プロファイルにおける両方の個々の値が、所定の熱プロファイルにおける対応する値と(すなわち、所定の熱閾値以上)実質的に異なることと、監視された熱プロファイルの変化が、所定の閾値プロファイルの変化よりも実質的に速く(すなわち、対応する基準時間長さ未満の間に)起こることを必要とすることによって、エアロゾル基材12が所定の水分含有量を含まないという誤検出が回避され得る。
【0107】
追加的に又は代替的に、第1の時点で取得された温度値と第2の時点で取得された温度値との差が第2の所定値と第1の所定値との差以上であり、第1の時点と第2の時点との間の時間長さが所定の基準時間長さ以下であると監視ユニット132が判定した場合に、検出ユニット134は、エアロゾル基材12が所定の水分含有量を有していないことを検出する。
【0108】
ここで
図5Aを参照して、例示的な本実施形態による所定の熱プロファイル及び監視された熱プロファイル(監視ユニット132によって取得された値に基づく)の一例を説明する。
【0109】
図5Aに示す例では、所定の熱プロファイルは、4つの関連付け、すなわち、t=0秒と20℃、t=6秒と100℃、t=9秒と102℃、及びt=18秒と230℃を定める。追加的に、所定の熱プロファイルは、所定の熱プロファイルにおける第1の時点と最後の時点とによって定められた0~18秒の間隔に対して、15.5秒の基準時間長さを定める。
【0110】
しかしながら、所定の熱プロファイルで定められた関連付けの数及び時点/値は例示的なものであり、所定の熱プロファイルは、任意の数(例えば、1、3、10、又はそれ以上)の関連付けを定め得る。追加的に、所定の熱プロファイルに及ぶ間隔全体に対して単一の基準時間長さが定められるのではなく、むしろ、所定の熱プロファイルは、所定の熱プロファイルにおける関連する値を有する対の時点によって定められた1つ以上の部分間隔に対してそれぞれの所定の基準時間長さを定め得る。例えば、代わりに、以下の基準時間長さ、すなわち、間隔0~9秒に対して7秒の基準時間長さ、間隔6~9秒に対して2秒の基準時間長さ、及び間隔6~18秒に対して10秒の基準時間長さを定めることができる。
【0111】
図5Aの例では、所定の熱プロファイルは、7秒の所定の時間長さにわたる所定値20℃から所定値90℃へのエアロゾル基材の加熱についての温度変化に関する情報を含む。追加的に、
図5Aに示す所定の熱プロファイルはまた、18秒の所定の時間長さにわたる所定値20℃から所定値230℃へのエアロゾル基材の加熱についての温度変化に関する情報を含む。第2の例では、第1の所定値(20℃)は、加熱チャンバ122の所定の初期温度であり、第2の所定値(230℃)は、エアロゾル基材からエアロゾル又は蒸気が生成されたときのデバイスの温度である。
【0112】
図5Aには示されていないが、所定の閾値は、この例では5.5℃に設定される。
【0113】
図5Aの最右列は、エアロゾル基材12の加熱開始から3秒間隔で監視ユニット132によって取得された例示的な温度値を示す。
【0114】
よって、
図5Aの例では、検出ユニット134は、
i)取得値がt=9秒で135℃であり、所定値102℃と所定の熱閾値5℃を超えて異なり、及び/又は
ii)監視された温度プロファイルが、基準時間長さ15.5秒未満(時点間の差が僅か15秒である)で値20℃~値230℃に変化する(実際には19℃~230℃へのより大きな変化である)
ので、エアロゾル基材12中の水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出する。
【0115】
したがって、検出ユニット134は、エアロゾル生成デバイス100の動作を中断するための制御信号を生成する、信号ユニット136に通知する。
【0116】
上記の説明では、全ての時点に対して同じ閾値(5℃)が使用されているが、所定値の1つ以上は、それぞれの所定の熱閾値を有し得る。追加的に、下限閾値及び上限閾値は、許容値の範囲を定めるために、所定値の1つ以上に対して異なるように設定され得る(すなわち、閾値は、所定値付近の最小値と最大値を定める)。
【0117】
修正形態による熱プロファイル及び監視された熱プロファイルで定められた閾値の一例について、
図5Bを参照して説明する。
【0118】
図5Bに示すように、時点t=0秒に対して10℃の閾値が設定され、最小温度値~最大温度値は10℃~30℃である。t=7秒の時点に対して88℃の最小値及び93℃の最大値が設定される(これは90℃の値に対して-2℃~+3℃の閾値を設定することに相当することに留意されたい)。同様に、時点t=12秒に対して最小値/最大値125℃/135℃及び時点t=17秒に対して228℃/135℃が設定される。
【0119】
よって、
図5Bの例では、検出ユニット134は、t=7において監視ユニット132によって取得された値が88℃未満である又は93℃を超える場合に兆候を検出する。
【0120】
したがって、より正確に検出が行われ得る。
【0121】
最小値と最大値が設定されると、最小値と最大値とによって定められた範囲内に監視値が収まるかどうかを検出ユニット134が判定するので、対応する所定の温度値(第2の列に示す20℃、90℃、130℃、及び230℃)は、省略され得ることが理解されるであろう。
【0122】
例示的な実施形態では、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱中の複数の時点の各時点でエアロゾル生成デバイス100及びエアロゾル基材12の一方に関連する温度を示す温度値を取得することによって熱プロファイルを監視するように配置される。
【0123】
検出ユニット134は、温度値の少なくとも1つが基準値の対応する1つと所定の熱閾値以上異なる場合に兆候を検出するように配置され、基準値は、温度変化の情報に基づいて決定される。
【0124】
より具体的には、検出ユニット134は、監視ユニット132によって取得された温度値の1つ以上に対して、所定の閾値プロファイルに含まれる温度変化に関する情報に基づいてそれぞれの基準値を決定するように配置される。基準値は、監視ユニット132が値を取得した任意の時点であって、所定の熱プロファイルが所定値を定めない任意の時点に対して決定され得る。基準値は、例えば、回帰分析又はカーブフィッティングを用いることによって決定され得る。
【0125】
次に、検出ユニット134は、監視ユニット132によって取得された各値と、決定された対応する基準値とを比較するように構成される。比較値間の差が、監視ユニット132によって取得された値のいずれかについて所定の熱閾値以上である場合、検出は、エアロゾル基材12中の水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出する。
【0126】
検出ユニット134は、上で説明したように、監視された熱プロファイルで取得された値の2つ以上が対応する基準値と異なる場合にのみ兆候を検出するように配置され得る。これによって、不正確な検出のリスクが低減され得る。追加的に又は代替的に、所定の熱閾値は、上で説明したように、全ての時点に対して同一に設定される必要はない。
【0127】
よって、所定のプロファイルを維持するために必要なリソースを低減する一方で、検出がより正確に行われ得る。
【0128】
ここで
図5Aを参照して、例示的な本実施形態の一例を説明する。
【0129】
この例では、監視ユニット132は、時点t=3秒に対して50℃、時点t=12秒に対して175℃、時点t=15秒に対して230℃の値を取得する。所定の熱閾値はこれらの時点に対する所定値を定めないので、検出ユニット134は、時点t=3秒、12秒、及び15秒に対する基準値を決定する。
【0130】
検出ユニット134は、時点t=0秒及びt=6秒、すなわち、所定値が定められる時点t=3秒の前後の時点に対する所定値の線形回帰を用いて基準値を決定する。
【0131】
よって、検出ユニット134は、(3秒-0秒)/(6秒-0秒)×(98℃-20℃)+20℃=59℃という基準値を決定する。よって、検出ユニット134は、監視された熱プロファイルにおける50℃の値が時点t=3秒の設定された所定の熱閾値を超えて59℃の基準値と異なる場合に兆候を検出する。
【0132】
時点t=12秒及び15秒に対して、検出ユニット134は、時点t=6秒、9秒、及び18秒における所定値に基づいて二次補間を使用して基準値を取得するように配置され、この二次補間によって、方程式T=148-14.778・t+1.074・t2が得られる(tは時点であり、Tは温度の基準値である)。よって、検出ユニット134は、時点t=12秒に対して148-14.77778×12+1.074074×12^2=125.33℃の基準値を、及び時点t=15秒に対して168℃の基準値を決定する。次いで、検査ユニット134は、監視された熱プロファイルにおける175℃の値が、時点t=12秒の設定された所定の熱閾値を超えて125.33℃の基準値と異なる場合、及び/又は監視された熱プロファイルにおける230℃の値が、時点t=15秒の設定された所定の熱閾値を超えて168℃の基準値と異なる場合に、兆候を検出する。
【0133】
検出ユニット134は監視ユニット132によって取得された各値に対応する基準値を決定する必要がないことが理解されるであろう。監視ユニット132によって取得された値のいくつかは、監視された熱プロファイルの変化が所定の熱プロファイルの変化よりも実質的に速く起こるかどうかを判定するために依然として使用され得るが、基準値と比較されない場合がある。例えば、上で説明した例を続けると、20℃から230℃への監視された熱プロファイルの変化が、所定の熱プロファイルの変化よりも著しく速く起こることを示しており、それ自体が兆候の検出をトリガーし得るので、時点t=15秒に対する基準値を決定する必要がない。
【0134】
例示的な実施形態では、監視ユニット132は、各温度値に対して(すなわち、1つ以上の温度値に対して)、エアロゾル基材の加熱が開始された時間と温度値によって示される温度に達した時間との間の関連する時間の測定値を取得するように配置される。
【0135】
換言すれば、監視ユニット132が温度値を取得するときに、監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱開始時から経過した時間の測定値も取得し、この時間の測定値を取得された温度値に関連付けるように配置される。
【0136】
第1の例として、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱が開始されたときにタイマーを開始し、温度値が取得されるたびに関連付けられる時間の測定値としてタイマーによって示される経過時間を取得するように配置され得る。
【0137】
第2の例として、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱が開始されたときに始まる一定間隔で(例えば、0.5秒ごとに)温度値を取得するように配置され得る。この場合、監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱開始時に取得された第1の温度値が0になるように取得する。次いで、後続の各温度値に対して、監視ユニット132は、値を0.5秒ずつ増加させることによって、関連する時間の測定値を取得する。
【0138】
例示的な本実施形態では、検出ユニット134は、各温度値に対して、関連する時間の測定値に基づいて第1の所定の時間長さにおける時点を決定し、決定された時点での温度変化に関する情報によって特定された温度として基準値を決定するように配置される。
【0139】
図3の実線で示す例示的な所定の熱プロファイルについて、検出ユニット134は、監視ユニット132によって取得された時間の測定値に対して、時間の測定値に対応する所定の熱プロファイルにおける温度値を基準値として決定するように配置され得る。
【0140】
例えば、監視ユニット132が105℃の温度値と8秒の関連する時間の測定値とを取得した場合、検出ユニット134は、所定の熱プロファイルにおける8秒に対応する温度値が102℃であることを基準値として決定する。所定の熱プロファイルを連続関数として示す
図3の例を説明してきたが、検出ユニット134が、代わりに、例えば上で説明した関連付けとして、多数の離散値を有する所定の熱プロファイルを使用し得ることを理解すべきである。
【0141】
例示的な実施形態では、監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱中にエアロゾル生成デバイス100内の電力を示す値を測定するように配置される。
【0142】
例えば、監視ユニット132は、1つ以上のセンサを介して、電源によって出力される瞬時電力の値、エアロゾル生成デバイス100を通って流れる電流の値、エアロゾル生成デバイスの特定の構成要素(例えば、加熱機構120)に提供される電流の値を測定するように配置され得る。
【0143】
例示的な本実施形態では、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱中に電力を示す値を積算することによって電気エネルギープロファイルを監視するように配置される。
【0144】
換言すれば、監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱中の複数の時点で取得された電力を示す値を合計して累積電力値(すなわち、電力を示す第1の値が取得された瞬間、例えばエアロゾル基材12の加熱開始から生成又は使用された電力の量を示す値)を取得するように配置される。
【0145】
例示的な本実施形態では、所定の電気エネルギープロファイルは、所定の積算電力値を示す情報を含み、検出ユニット134は、電力を示す積算値が所定の積算電力値と所定の電気エネルギー閾値以上異なる場合に兆候を検出するように配置される。
【0146】
図6を参照して、例示的な本実施形態によるエアロゾル生成デバイス100の電気的構成要素の一例を説明する。
【0147】
簡潔にするために、電気的構成要素120~150についての説明は、電気的構成要素120~150が
図2との関連で既に説明されているので、ここでは省略する。
【0148】
図6に示す例では、エアロゾル生成デバイス100は、加熱機構120に提供される電流を測定するための電流測定機構160を含む。電流測定機構160は、加熱機構120と直列に配置された(具体的には、電池142の正端子及びコントローラ130に結合されたノードBと変換器128との間に)シャント抵抗器162を含む。電流測定機構160はまた、シャント抵抗器162と並列の電流測定要素164を含み、電流測定要素164は、シャント抵抗器162を通って流れる電流の値を検出するように配置される。具体的には、電流測定要素164は、シャント抵抗器162の端子間電圧を測定するように配置される。
【0149】
図6に示す例では、監視ユニット132は、電流測定要素164によってシャント抵抗器162の両端で測定された電圧の値を取得するように、シャント抵抗器162の抵抗値に基づいてシャント抵抗器162を通って流れる電流の値を導出するように配置される。次いで、シャント抵抗器162を通って流れる電流の値に基づいて、監視ユニット132は、加熱機構120に提供される電流を示す値を取得するように配置される。例えば、監視ユニット132は、加熱機構120の等価抵抗又はヒータ124の予め定められた等価抵抗の値を使用し、それに応じて加熱機構120に提供される電力を算出し得る。
【0150】
監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱中に、電力を示す値を蓄積するように配置される。例えば、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱開始時に第1の値を取得し、その後、エアロゾル基材の加熱中に第2の値を取得し得る。監視ユニット132は、第1の値が取得された時点と第2の値が取得された時点との間に加熱機構120に提供される電力を示す積算電力値として第1及び第2の値を加算し得る。次いで、監視ユニット132が新たな値を取得するたびに、監視ユニット132は、新たな値を積算電力値に加算する。
【0151】
更に
図6に示す例では、検出ユニット134は、監視ユニット132から積算電力値を取得する。検出ユニット134は、所定の電気エネルギープロファイルに含まれる情報に基づいて、対応する所定の積算電力値を決定し、その積算電力値と所定の積算電力値とを比較する。比較値が異なる(例えば、所定の閾値以上異なる)場合、検出ユニット134は、エアロゾル基材12中の水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出する。
【0152】
電流測定機構を備えたエアロゾル生成デバイス100の具体的な構成について上で説明してきたが、本発明が、この具体的な機構に限定されるものではなく、
図6に示す回路内の電流測定機構160の異なる構成及び/又は電流測定機構160の異なる配置も可能であることが理解されるであろう。例えば、(同じ又は異なる構成を有する)電流測定機構は、電源140から出力された電流、又は
図6のA及びBという符号が付されたノード間の電流を測定し得るように、コントローラ130と加熱機構120の両方に提供される電流を測定できるように、電源140と直列に配置され得る。エアロゾル基材12の加熱中にエアロゾル生成デバイス100内で生成され及び/又は使用された電力を示す値を監視ユニット132が取得することを可能にする電流測定機構160のための他の位置も可能であることが理解されるであろう。
【0153】
追加的に、(同じ又は異なる構成の)2つ以上の複数の電流測定機構が、エアロゾル生成デバイス100内に設けられることがあり、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、第1の機構は、デバイスに結合された又はデバイス内の電池から出力された電流を測定するために設けられ得、第2の機構は、加熱機構120に提供された電流を測定するために設けられ得る。
【0154】
例示的な実施形態では、コントローラは、パルス幅変調を用いて少なくとも1つのスイッチング要素を制御することによって加熱機構の温度を制御するように配置される。
【0155】
例えば、コントローラ130は、(
図1との関連で説明した温度センサ126などの1つ以上の温度センサを介して、又はヒータ124の抵抗から取得され得る)加熱機構の現在の温度と、加熱機構の所望の温度とに基づいて、加熱機構の温度を上昇させるべきか、低下させるべきか、又は現在のレベルに維持するべきかを判定するように配置され得る。判定に基づいて、コントローラ130は、加熱機構の温度を上昇させるか、低下させるか、又は維持するために少なくとも1つのスイッチング要素のデューティ比を決定し、少なくとも1つのスイッチング要素のそれぞれの状態を制御するためにパルス幅変調方式を用いて1つ以上の制御信号を生成することができる。
【0156】
少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態に制御されたときに、電流が加熱機構を通って流れることが可能となり、少なくとも1つのスイッチング要素がオフ状態に制御されたときに、電流が加熱機構を通って流れることが防止される。よって、少なくとも1つのスイッチング要素がオフ状態に制御されたときには、加熱機構120に電気エネルギーは提供されない。したがって、少なくとも1つのスイッチング要素の状態は、エアロゾル基材の加熱中に使用される電気エネルギーの量を決定するために使用することができる。換言すれば、スイッチング要素を制御するために使用される制御信号のデューティ比は、エアロゾル基材を加熱するために使用される電気エネルギーに比例する。
【0157】
本発明はこの態様に限定されるものではないので、各スイッチング要素は、任意の既知のタイプのスイッチング要素(例えば、上記の
図2との関連で説明したタイプ)であり得る。
【0158】
本発明はこの態様に限定されるものではないので、コントローラは、
図2との関連で説明した制御(例えば、PID、PI、又はP制御ループ)などの任意のタイプの制御を使用して温度を制御するように配置され得る。
【0159】
例示的な本実施形態では、監視ユニット132は、パルス幅変調によって少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にされる時間長さに基づいてエアロゾル基材の加熱に使用される電気エネルギーの量を算出することによって電気エネルギープロファイルを監視するように配置される。
【0160】
例えば、監視ユニット132は、少なくとも1つのスイッチング要素の状態を制御するために生成された制御信号を取得し、少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にあるサイクルの一部の間に加熱機構によって使用される電気エネルギーの量を決定し得る。次に、エアロゾル基材12の加熱中に(例えば、加熱の全期間又はその一部の間に)使用される電気エネルギーの量は、決定された量の電気エネルギーを各サイクル中に蓄積することによって取得することができる。
【0161】
よって、例示的な本実施形態におけるコントローラは、電流測定機構160などの追加の感知/測定構成要素を必要とせずに、エアロゾル基材の水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出し、エアロゾル生成デバイスの動作を中断する信号を生成することができる。
【0162】
ここで
図2及び
図7を参照して、例示的な本実施形態によるエアロゾル生成デバイス100の一例を説明する。
【0163】
図2に示すように、加熱機構120は、本例ではMOSFETである、スイッチング要素129を含むが、スイッチング要素が故障した場合の安全性を向上させ得るので2つ以上のスイッチング要素が提供され得ることと、代わりに様々なタイプのスイッチング要素を提供できるので、ここで説明するスイッチング要素のタイプが例示的であることが理解されるであろう。
【0164】
例示的な本実施形態では、コントローラ130は、MOSFET 129のゲートに提供されるパルス幅変調制御信号を生成する。制御信号は、MOSFET 129のドレインとソースとの間を電流が流れることをMOSFET 129に可能にさせるための高電圧レベルと、MOSFET 129のドレインとソースとの間を流れる電流をMOSFET 129に遮断させるための低電圧レベルとの間で変化するように制御される。簡潔にするために、当業者にはよく知られている、MOSFET 129の状態の制御の詳細な説明は、明確にするために省略される。
【0165】
MOSFET 129がヒータ124に直列に接続される(具体的には、MOSFET 129のドレイン端子及びソース端子がヒータ124に直列に接続される)ので、コントローラ130は、MOSFET 129の状態を制御することによって、電流がヒータ124を通って流れることを可能にすべき否かを制御することができる。
【0166】
図7は、MOSFET 129の状態と、エアロゾル基材12の加熱中のヒータ124の温度とを制御するための制御信号を生成するために使用される、コントローラ130によって決定されたデューティ比の一例を示す。
【0167】
図7に示すように、エアロゾル基材12の加熱を開始する目的で、MOSFET 129は、ヒータ124の温度を(例えば200~230℃の範囲の)所望の温度まで上昇させるために、約100%のデューティ比で、オン状態に制御される。ヒータの温度が約150℃に近づくと、コントローラ130は、ヒータの温度が上昇する速度を低減すべきであると判定するので、それに応じてデューティ比を低減する。その結果、
図7に示すように、9秒後にデューティ比が低下し、ヒータの温度が低い速度で上昇する。次いで、コントローラ130は、エアロゾル又は蒸気が生成されることを可能にする所望の範囲内になるようにMOSFET 129のデューティ比を制御することによってヒータの温度を調整する。
【0168】
よって、例えばエアロゾル基材12の水分含有量が所定の水分含有量よりも低い場合、エアロゾル基材を加熱するために必要とされる電気エネルギーがより少なくなる(例えば、水又は他の保湿剤の含有量が所定量よりも低い場合)。エアロゾル基材12を加熱するために使用される電気エネルギーのこの差は、エアロゾル基材中の水分含有量が所定の水分含有量よりも低いという兆候として検出することができる。
【0169】
コントローラ130は、少なくとも1つのスイッチング要素を制御して加熱機構120の温度を制御するものであるように説明されているが、代替的に、コントローラ130とは別体である第2のコントローラ(
図6には図示せず)が、代わりに加熱機構120の温度を制御するように配置され得る。これらの場合、監視ユニット132は、加熱機構120の温度を示す値、少なくとも1つのスイッチング要素の制御のために決定されたデューティ比を示す値、又はスイッチング要素の状態を制御するために第2のコントローラによって生成された制御信号を示す値を取得するように配置され得る。
【0170】
したがって、エアロゾル生成デバイス100は、パルス幅変調を使用して少なくとも1つのスイッチング要素を制御することによって加熱機構の温度を制御するように配置された第2のコントローラを含み得、監視ユニットは、第2のコントローラが用いるパルス幅変調によって少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態に制御される時間長さに基づいてエアロゾル基材の加熱に使用される電気エネルギーの量を算出することによって電気エネルギープロファイルを監視するように配置され得る。
【0171】
監視ユニットは、少なくとも1つのスイッチング要素がオン状態にある累積時間長さを算出し、累積時間長さに基づいて電気エネルギーの量を算出するように説明されているが、代替的に、監視ユニットは、エアロゾル基材の加熱に使用される電気エネルギーの平均(算術平均、加重平均など)量を算出するように配置され、算出された平均量が所定の平均量と異なる場合にエアロゾル基材の水分含有量が所定の水分含有量と異なると判定し得る。2つ以上の値の積、2つ以上の値の比などを含む組み合わせなどの、スイッチング要素の状態を制御するために使用される制御信号のデューティ比を示す値の他の組み合わせが、平均値の代わりに算出され得る。
【0172】
特定の例示的な実施形態が、エアロゾル基材を含む消耗品を受け入れるための容器と、エアロゾル基材を加熱するための加熱機構とを含むエアロゾル生成デバイスを制御するための方法を行うことが、上記の説明から分かるであろう。
【0173】
図8を参照すると、ステップ802では、エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル基材の加熱中にエアロゾル基材の水分含有量を示す観測量を監視する。
【0174】
ステップ804では、エアロゾル生成デバイスは、監視された観測量に基づいて、水分含有量が所定の水分含有量と異なるという兆候を検出する。
【0175】
ステップ806では、エアロゾル生成デバイスは、検出された兆候に基づいて、デバイスの動作を中断するための制御信号を生成する。
【0176】
変更
上で説明した例示的な実施形態に多くの修正及び変更を加えることができる。
【0177】
上で説明した例示的な実施形態では、監視ユニット132は、エアロゾル基材12の加熱の開始からの観測量を監視する。しかしながら、監視ユニット132はまた、消耗品が容器に受け入れられる前に又はエアロゾル基材の加熱が開始される前に観測量(例えば、水分レベル、温度、瞬時電力、又は任意の他のタイプの観測量)の値を取得し得る。例えば、監視ユニット132は、消耗品が挿入されたこと又はエアロゾル基材が加熱されるべきであることの検出などの、所定の事象がエアロゾル基材12の加熱前に発生したときに観測量の値を取得するように配置され得る。
【0178】
次に、この観測量の値は、エアロゾル生成デバイス100の環境を表す基準値として使用され得る。検出ユニット134は、この環境基準値を取得し、例えば、エアロゾル基材の加熱中に予測される観測量の値を増加又は減少させること、観測量の値に関連する時点を変更することなどによって、環境基準値に基づいて所定のプロファイルを適合させ得る。
【0179】
例えば、所定の熱プロファイルが、初期値としての20℃の値と、エアロゾル基材12の加熱開始後3秒の時間の測定値に関連する50℃の値とを記憶する一方で、周囲温度が30℃であることを監視ユニット132が検出した場合、検出ユニット134は、50℃の値を(例えば55℃まで)増加させ得、及び/又は関連する時間の測定値を(例えば2.7秒まで)減少させ得、それにより、環境が所定の熱プロファイルによって示される環境と異なることが考慮される。同様に、消耗品が受け入れられる前の容器110内の水分レベルは、環境基準値として取得され得、及び/又はエアロゾル基材を加熱する前にデバイスで使用される瞬時電力が取得され得る。環境基準値の同じ取得及び使用が任意の他のタイプの観測量に対して用いられ得ることが理解されるであろう。
【0180】
上で説明した例示的な実施形態では、監視ユニット132は、エアロゾル基材の加熱中の1つ以上の時点で観測量の値を取得し、検出ユニット134は、監視ユニット132から観測量の各値を取得する。しかしながら、監視ユニット132は、代替的に、前回の出力値に対して絶対的又は相対的であり得る、特定量を超えて観測量が変化したこと(例えば、前回の出力値の少なくとも2%の変化)を示す値のみを検出ユニット134に提供するように配置され得る。したがって、検出ユニット134は、新たな値が出力されるまで、観測量の値が実質的に変化していないと仮定する可能性があり、それにより、検出ユニット134での処理が低減される。
【0181】
当然ながら、当業者であれば、上で説明した修正以外の修正を加えることができることを認識するであろう。
【0182】
特に、上で説明した例示的な実施形態が組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【0183】
前述の説明では、いくつかの例示的な実施形態を参照して、例示的な態様を説明した。よって、本明細書は、限定的なものではなく、例示的なものとみなされるべきである。同様に、例示的な実施形態の機能及び利点を強調する、図面に示す図は、例示のみを目的として提示される。例示的な実施形態のアーキテクチャは、添付の図に示す以外の方法で利用され得るように十分に柔軟且つ構成可能である。
【0184】
本明細書に提示する例のソフトウェア実施形態は、例示的な一実施形態では、機械アクセス可能媒体若しくは機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶デバイスなどの、製品に含まれるか又は記憶される、命令又は一連の命令を有する1つ以上のプログラムなどの、コンピュータプログラム、又はソフトウェアとして提供され得、これらの各々は、非一時的なものとすることができる。非一時的機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶デバイス上のプログラム又は命令は、コンピュータシステム又は他の電子デバイスをプログラムするために使用され得る。本明細書で説明する技術は、任意のソフトウェア構成に限定されるものではない。これらの技術は、いずれのコンピューティング環境又は処理環境においても適用可能性を見出し得る。本明細書で使用される「コンピュータ可読」、「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、「命令ストア」、及び「コンピュータ可読記憶デバイス」という用語は、機械、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサによる実行のための命令又は一連の命令を記憶、符号化、又は送信することが可能である任意の媒体であって、本明細書で説明した方法のいずれか1つを機械/コンピュータ/コンピュータプロセッサに行わせる任意の媒体を含むものとする。更に、当技術分野では、何らかの形(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、論理など)で、アクションを行うもの又は結果を生じさせるものとしてソフトウェアについて言及することが一般的である。このような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行によってプロセッサがアクションを行って結果をもたらすことを示す簡単な方法に過ぎない。
【0185】
また、いくつかの実施形態は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイを用意することによって、又は従来のコンポーネント回路の適切なネットワークを相互接続することによって実現され得る。
【0186】
いくつかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含む。コンピュータプログラム製品は、本明細書で説明した例示的な実施形態の手順のいずれかをコンピュータ若しくはコンピュータプロセッサに行わせるために、又はこれらの手順のいずれかを行うようにコンピュータ若しくはコンピュータプロセッサを制御するために使用できる、命令がそれらの上に又はそれらの中に記憶された、1つ以上の記憶媒体、命令ストア(複数可)、又は記憶デバイス(複数可)であり得る。記憶媒体/命令ストア/記憶デバイスは、一例として、非限定的に、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、リモートデータストレージ/アーカイブ/保管、並びに/或いは、命令及び/又はデータを記憶するのに好適な任意の他のタイプのデバイスを含み得る。
【0187】
1つ以上のコンピュータ可読媒体、命令ストア(複数可)、又は記憶デバイス(複数可)のいずれか1つに記憶される、いくつかの実施態様は、エアロゾル生成デバイスのハードウェアを制御するとともに、本明細書で説明した例示的な実施形態に従ってエアロゾル生成デバイス又はマイクロプロセッサが動作することを可能にするための、ソフトウェアを含む。そのようなソフトウェアは、非限定的に、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及びユーザアプリケーションを含む。最終的に、かかるコンピュータ可読媒体又は記憶デバイスは、上で説明したように、本発明の例示的な態様を実行するためのソフトウェアを更に含む。
【0188】
エアロゾル生成デバイスのプログラミング及び/又はソフトウェアには、本明細書で説明する手順を実行するためのソフトウェアモジュールが含まれる。本明細書におけるいくつかの例示的な実施形態では、モジュールは、ソフトウェアを含むが、本明細書における他の例示的な実施形態では、モジュールは、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含む。
【0189】
本発明の様々な例示的な実施形態を上で説明してきたが、これらの実施形態が一例として提示されており、限定的なものでないことが理解されるべきである。そのような実施形態において形態及び詳細の様々な変更がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、上で説明した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその等価物のみに従って定義されるべきである。
【0190】
更に、要約の目的は、特許庁及び一般の人々、特に特許又は法的用語若しくは表現に精通していない当技術分野の科学者、技術者及び実務家が、大まかな検査から本出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に判断できるようにすることである。要約は、本明細書に提示した例示的な実施形態の範囲に関して限定することを決して意図するものではない。特許請求の範囲に列挙した任意の手順が、提示した順序で行われる必要がないことも理解されたい。
【0191】
本明細書は多くの具体的な実施形態の詳細を含むが、これらの実施形態は、発明の範囲又は特許請求され得るものの制限として解釈されるべきではなく、本明細書で説明した特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態に関連して本明細書で説明する特定の特徴を単一の実施形態において組み合わせて実現することもできる。逆に、単一の実施形態に関連して説明する様々な特徴を複数の実施形態において別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで実現することもできる。その上、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上で説明され、最初にそのように請求項に記載されることさえあるが、請求項に記載された組み合わせからの1つ以上の特徴を、場合により組み合わせから削除することができ、請求項に記載された組み合わせは、部分的組み合わせ又は部分的組み合わせの変形を対象とすることもある。
【0192】
特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利である場合がある。その上、上で説明した実施形態における様々な構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではない。
【0193】
ここで、いくつかの例示的な実施形態及び実施形態を説明してきたが、前述の内容が、例示的であり、限定的ではなく、一例として提示されていることは明らかである。特に、本明細書に提示した例の多くは、装置又はソフトウェア要素の具体的な組み合わせを含むが、これらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされることがある。一実施形態との関連のみで述べた作用、要素、及び特徴は、他の実施形態又は実施形態の同様の役割から排除されるように意図されていない。
【0194】
本明細書で説明する装置は、本発明の特徴から逸脱することなく他の具体的な形態で具現化され得る。したがって、本明細書で説明する装置の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び同等の範囲内に入る変更がそこに含まれる。
【符号の説明】
【0195】
10 消耗品
12 エアロゾル基材
100 エアロゾル生成デバイス
110 容器
120 加熱機構
122 加熱チャンバ
124 ヒータ(例えば、コイル)
126 温度センサ
128 変換器
129 スイッチング要素(例えば、MOSFET)
130 コントローラ(例えば、MCU)
132 監視ユニット
134 検出ユニット
136 信号ユニット
140 電源
142 電池
144 電池保護回路
150 充電機構
152 コネクタ(例えば、USBコネクタ)
154 充電IC
160 電流測定機構
162 シャント抵抗器
164 電流測定要素
【国際調査報告】