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特表2024-530186車両ルーフのための装置及び車両ルーフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】車両ルーフのための装置及び車両ルーフ
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20240808BHJP
   B60J 7/05 20060101ALI20240808BHJP
   B60J 7/043 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B60J7/02 B
B60J7/05 A
B60J7/043
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507028
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2021072071
(87)【国際公開番号】W WO2023011736
(87)【国際公開日】2023-02-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506027147
【氏名又は名称】ヴェバスト ソシエタス エウロペア
【氏名又は名称原語表記】Webasto Societas Europaea
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ザイドル リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ロルウェス ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クネプフレ ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】カチマレク マチェイ
(72)【発明者】
【氏名】スティグラー ルートヴィヒ
(57)【要約】
ルーフ開口部102を有する車両ルーフ101のための装置であって、ガイドレール108に対して枢転可能な移動スライダー130を有する開閉レバー109を備え、開閉レバー109は、ガイドレール108への第1の連結部111と、ガイドレール108への第2の連結部112とを有し、第1の連結部111は、連結リンク114をガイドレール108に有し、連結リンク114内を案内される滑りピン15を開閉レバー109に有し、第2の連結部112は、レバー連結リンク116を開閉レバー109に有し、レバー連結リンク116内を案内される別の滑りピン117をガイドレール108に有し、第2の連結部112は、長手方向Xに第1の連結部111と移動スライダー130との間に配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフ開口部(102)を有する車両ルーフ(101)のための装置であって、前記装置は、
前記ルーフ開口部(102)を閉じるために長手方向(X)に滑動可能なカバー(103)と、
前記車両ルーフ(101)に配置されているガイドレール(108)と、
ガイドレール(108)に対して枢転可能な移動スライダー(130)を有する開閉レバー(109)であって、前記カバー(103)は前記移動スライダー(130)に連結されており、前記ルーフ開口部(102)を開くために、前記開閉レバー(109)に対して、及び前記移動スライダー(130)に対して、前記カバー(103)は長手方向(X)に滑動可能である、開閉レバー(109)と、を備え、
前記開閉レバー(109)は、前記ガイドレール(108)への第1の連結部(111)と、前記ガイドレール(108)への第2の連結部(112)とを有し、前記第1の連結部(111)と前記第2の連結部(112)とは、前記開閉レバー(109)を前記ガイドレール(108)に対して長手方向(X)に段階的に滑動できるように、構成されており、
前記第1の連結部(111)は、連結リンク(114)を前記ガイドレール(108)に有し、前記連結リンク(114)内を案内される滑りピン(115)を前記開閉レバー(109)に有し、
前記第2の連結部(112)は、レバー連結リンク(116)を前記開閉レバー(109)に有し、前記レバー連結リンク(116)内を案内される別の滑りピン(117)を前記ガイドレール(108)に有し、
前記第2の連結部(112)は、前記第1の連結部(111)と前記移動スライダー(130)との間に長手方向(X)に配置されている、
装置。
【請求項2】
前記開閉レバー(109)を枢転するための駆動キャリッジ(110)を有し、前記駆動キャリッジ(110)は前記ガイドレール(108)内を長手方向(X)に滑動可能に案内され、前記開閉レバー(109)に連結されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開閉レバー(109)は駆動連結リンク(124)を有し、前記駆動キャリッジ(110)は、前記駆動キャリッジ(110)の滑動を前記開閉レバー(109)の動きに変換するために、前記駆動連結リンク(124)内を案内される駆動ピン(125)を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記開閉レバー(109)と前記駆動キャリッジ(110)とが互いに対して長手方向(X)に剛連結されるように、前記駆動キャリッジ(110)は前記滑りピン(115)に枢転可能に連結されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記開閉レバー(109)は支持ピン(118)を有し、前記ガイドレール(108)は支持連結リンク(119)を有し、前記開閉レバー(109)が押上位置にあるとき、前記開閉レバー(109)を前記垂直方向(Z)に支持するために、前記支持ピン(118)は前記支持連結リンク(119)内に配置されている、請求項1~4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記開閉レバー(109)は第1の側面領域(122)と第2の側面領域(123)と接続領域(120)とを有し、前記接続領域(120)は、前記第1の側面領域(122)と前記第2の側面領域(123)とを互いに接続し、前記ガイドレール(108)は、前記第1の側面領域(122)と前記第2の側面領域(123)との間に部分的に配置されている、請求項1~5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記レバー連結リンク(116)は前記第1の側面領域(122)に配置され、前記支持ピン(118)は前記第2の側面領域(123)に配置されている、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記移動スライダー(130)は、前記第2の側面領域(123)に配置されている、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記レバー連結リンク(116)はコース(126)を有し、前記コース(126)は、長手方向(X)に前記移動スライダー(130)側に最初に直線領域(154)を有し、次に上昇領域(113)を有する、請求項1~8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記コース(126)は、長手方向(X)に前記移動スライダー(130)側に前記上昇領域(113)に隣接して別の直線領域(155)を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記開閉レバー(109)は、稼働可能状態において、前記長手方向(X)をそれぞれ横切って延びる横方向(Y)及び垂直方向(Z)より前記長手方向(X)の方が常に長い形状を有する、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記開閉レバー(109)は、長手方向(X)に突出範囲(128)を有し、前記突出範囲(128)は、前記カバー(109)の開位置では、固定ルーフ要素(129)の上に長手方向(X)に突出する、請求項1~11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
別の駆動キャリッジ(131)を有し、前記カバー(103)はカバー連結リンク(132)を前縁(106)に有し、前記カバー連結リンク(132)は、前記カバー(103)が閉位置にあるとき、前記開閉レバー(109)から長手方向(X)に遠くにあり、前記別の駆動キャリッジ(131)は、前記カバー(103)を長手方向(X)に滑動させるために、前記カバー連結リンク(132)に噛み合う、請求項1~12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記駆動キャリッジ(110)と前記別の駆動キャリッジ(131)とは、前記別の駆動キャリッジ(131)の滑動を前記駆動キャリッジ(110)に伝達するために、互いに連結可能であり、前記駆動キャリッジ(110)と前記別の駆動キャリッジ(131)とは、前記別の駆動キャリッジ(131)を前記駆動キャリッジ(110)に対して長手方向(X)に滑動させられるように、互いから連結解除可能である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ルーフ開口部(102)を有する車両ルーフであって、
請求項1~14の何れか一項に記載の装置(200)と、
前記可動カバー(103)と、
を有し、前記カバー(103)と前記ルーフ開口部(102)とは、前記カバー(103)によって前記カバー(102)の後端部(107)において前記ルーフ開口部(102)を閉鎖できるように、寸法決めされている、車両ルーフ。
【請求項16】
ルーフ開口部(102)を有する車両ルーフであって、
請求項1~14の何れか1項に記載の装置(200)と、
前記可動カバー(103)と、
別のカバー(129)と、
を有し、前記可動カバー(103)は、その開位置において、前記別のカバー(129)の上方に配置されており、前記カバー(103)と前記別のカバー(129)と前記ルーフ開口部(102)とは、前記カバー(103)と前記別のカバー(129)とを一緒に前記ルーフ開口部(102)に配置できるように、寸法決めされている、車両ルーフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車の車両ルーフのための装置、特に車両ルーフのルーフ開口部を閉じるために可動ルーフを動かすための装置、が提示される。さらに、自動車のための車両ルーフ、特に本願明細書に記載されているような装置を有する車両ルーフ、が提示される。
【背景技術】
【0002】
車両ルーフのための可動カバーを有する装置は、例えば特許文献1に記載されているように、所謂スポイラールーフとして構成され得る。あるいは、例えば特許文献2に記載されているように、車両ルーフを所謂外部ガイド式スライディングルーフとして構成することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許公開第102012106545(A1)号
【特許文献2】独国特許第19713347(C1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確実な稼働を可能にする、車両ルーフのための装置を提示することが望ましい。さらに、確実な稼働を可能にする車両ルーフを提示することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの実施形態によると、車両ルーフのための装置が提示される。本車両ルーフは、ルーフ開口部を有する。本装置は、
ルーフ開口部を閉じるために長手方向に滑動可能なカバーと、
車両ルーフに配置されているガイドレールと、
ガイドレールに対して枢転可能な移動スライダーを有する開閉レバーであって、カバーは移動スライダーに連結されており、ルーフ開口部を開くために、開閉レバー及び移動スライダーに対して長手方向に滑動可能である、開閉レバーと、を備え、
開閉レバーは、ガイドレールへの第1の連結部と、ガイドレールへの第2の連結部とを有し、第1の連結部及び第2の連結部は、ガイドレールに対して長手方向に段階的に滑動できるように構成されており、
第1の連結部は、連結リンクをガイドレールに有し、連結リンク内を案内される滑りピンを開閉レバーに有し、
第2の連結部は、レバー連結リンクを開閉レバーに有し、レバー連結リンク内を案内される別の滑りピンをガイドレールに有し、
第2の連結部は、第1の連結部と移動スライダーとの間に長手方向に配置されている。
【0006】
本装置は、特に所謂スポイラールーフのために設計されている。スポイラールーフにおいては、カバーの後端部をチルトアップするために、最初に開閉レバーの後端部が開方向に回転又は枢転される。ルーフ開口部を少なくとも部分的に開くために、カバーは、開閉レバーに対して開方向に滑動される。ここで、開閉レバーは、車両ルーフの残りの部分に対して静止しており、カバーと共に開方向に滑動しない。カバーが開閉レバーに対して後方に滑動されるほど、開閉レバーはより大きな力に耐える必要がある。車両が動いている場合は、カバーの振動もより大きくなる。開口幅が大きい場合でもカバーの確実な支持が以前から望まれており、本願明細書に記載の解決策によって改善され得る。
【0007】
スポイラールーフに加え、例えば、カバーの後端部において開閉レバーが、カバーと共に、車両ルーフの残りの部分に対して、開方向に滑動される所謂外部ガイド式スライディングルーフが公知である。そこでは、上記の問題は発生しない。ただし、外部ガイド式スライディングルーフをスポイラールーフの代替としては使用できない。その理由は、両者は構造的に全く異なるからである。スポイラールーフ又は外部ガイド式スライディングルーフの使用は、例えば車両ベースの適合性によって異なるからである。
【0008】
本願明細書に記載の装置の開閉レバーは、ガイドレールに対して長手方向に段階的に滑動可能である。これに加え、開閉レバーは、カバーの滑動中にカバーと共にガイドレールに対して長手方向に動かないように、ガイドレールに対してロック可能である。カバーがルーフ開口部を閉じるカバーの閉位置からカバーの後端部をチルトアップ(所謂換気位置に)するために、開閉レバーは枢転される。その後、本願明細書に記載の装置は、開閉レバーがガイドレールに対してロックされ且つカバーが開閉レバーに対してさらに開方向へ滑動される前に、開閉レバーを開方向へ所与の区間滑動させることを可能にする。これにより、開閉レバー及びガイドレールにあるカバーの支持点が改善される。本装置の、特に開かれたルーフの、固有周波数をより大きくすることが可能である。開閉レバーのガイドレール側端部の支承力をより小さくすることが可能である。
【0009】
ガイドレールの連結リンクへの第1の連結部及び開閉レバーの滑りピンは、ガイドレールに対する開閉レバーの長手方向への滑動、回転動作、及び枢転を可能にする。本開示のコンテキストにおいて、ピンは、さまざまな構成、特にさまざまな形状、を有し得る。例えば、ピン、特に滑りピン、は円筒形である。ピンは、例えば細長い。例えば、ピンは、楕円形の横断面を有する。例えば多角形又は半円形など、他の横断面も可能である。基本形態として異なる幾何学体を有する他の形状も可能である。本開示のピン、特に滑りピン、別の滑りピン、及びその他のピン、は、それぞれ対応付けられたガイド内での、例えば連結リンク内での、滑動及び保持を可能にする任意の形態を有し得る。第1の連結部は、開閉レバーとガイドレールとの間の、簡素に構成された、ひいては安価に製作可能な、接続を可能にする。また、開閉レバーにおける比較的長い支持比を可能にする。滑りピンは、特に、開閉レバーの長手方向前端に配置されている。
【0010】
更なる複数の例示的実施形態によると、第1の連結部は、連結リンクが開閉レバーに形成され、ピンがガイドレールに定置状態で配置されるように、構成されている。
【0011】
更なる複数の例示的実施形態によると、第2の連結部は、レバー連結リンクがガイドレールに形成され、別の滑りピンが開閉レバーに定置状態で配置されるように、形成されている。
【0012】
第2の連結部は、滑りピンの後ろに長手方向に形成されている。開閉レバーのレバー連結リンクとガイドレールの別の滑りピンとは、開閉レバーの長手方向への滑動、回転動作、及び枢転を可能にする。第2の連結部は、開閉レバーとガイドレールとの間の、簡素に構成された、ひいては安価に製作可能な、接続を可能にする。第2の連結部は、長い支持比により、装置の安定性に有益に寄与する。
【0013】
第2の連結部は、第1の連結部の滑りピンの後ろに、且つ移動スライダーの前に、長手方向に形成されている。第2の連結部のレバー連結リンクは、滑りピンと移動スライダーとの間に、長手方向に開閉レバーに配置されている。滑りピンは、第1の連結部の連結リンクの後ろで、ガイドレールに長手方向に配置されている。
【0014】
カバーは、例えば、本願明細書に記載の実施形態のうちの1つにより、構成されている。更なる複数の例示的実施形態によると、カバーは、別様に構成されており、例えば複数の取り付けタブを各長辺に有する。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によると、本装置は、駆動キャリッジを有する。この駆動キャリッジは、開閉レバーの枢転のために構成されている。駆動キャリッジは、ガイドレール内を長手方向に滑動可能に案内される。駆動キャリッジは、開閉レバーに連結されている。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、駆動連結リンクを有する。駆動キャリッジは、駆動ピンを有する。駆動ピンは、駆動キャリッジの滑動を開閉レバーの動きに変換するために、駆動連結リンク内を案内される。駆動キャリッジの動きは、駆動連結リンクへの駆動ピンの噛み合いによって、開閉レバーに伝達される。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によると、駆動キャリッジは、滑りピンに枢転可能に連結されるので、開閉レバーと駆動キャリッジとは、長手方向に互いに剛連結される。駆動キャリッジの動きは、開閉レバー及び駆動キャリッジの両方に取り付けられた滑りピンによって、開閉レバーに伝達される。
【0018】
駆動キャリッジは、例えば、本装置の電気モーターによって直接又は間接的に駆動される。駆動キャリッジは、開閉レバーの領域に配置されている。すなわち、カバーが閉位置にあるとき、特に、カバーの後端部に割り当てられている。駆動キャリッジは、開閉レバーを枢転させて長手方向に滑動させるために、長手方向に滑動される。枢転運動及び滑動運動の終了後、例えば、駆動キャリッジは、ガイドレールに対してロックされる。ルーフ開口部を閉じるために、駆動キャリッジは反対方向に動かされるので、開閉レバーは、カバーを閉じるために、前方に滑動され、戻り枢転される。
【0019】
「後ろ」又は「前方」などの場所情報又は方向情報は、車両の長手方向を指している。車両の長手方向は、水平方向又はX方向とも称され得る。カバーのチルトアップ又は押し開けは、ほぼ垂直方向又はZ方向又は高さ方向に行われる。「カバーの後範囲」とは、例えば、カバーの中央から車両の後部に最も近い領域を意味する。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、支持ピンを有する。ガイドレールは、支持連結リンクを有する。開閉レバーが押上位置にあるとき、開閉レバーを垂直方向に支持するために、支持ピンは支持連結リンク内に配置されている。支持連結リンクは、特に、ほぼ長手方向に向いている。例えば、支持連結リンクは、ガイドレールの後範囲に形成されている。開閉レバーの枢転後、例えば、開閉レバーの長手方向への滑動により、支持ピンは支持連結リンクに挿入される。したがって、支持連結リンクは、Z方向への力を吸収する。したがって、開閉レバーは、支持ピンによって、ガイドレールにさらに支持されている。これにより、装置全体の安定性が増し、移動スライダーを比較的後方に配置できるようになる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、第1の側面領域を有する。開閉レバーは、第2の側面領域を有する。開閉レバーは、接続領域を有する。接続領域は、第1の側面領域と第2の側面領域とを互いに接続する。第1の側面領域と第2の側面領域とは、例えば、互いから離れている。第1の側面領域及び第2の側面領域は、例えば垂直方向に、延びている。接続領域は、横方向に向いており、2つの側面領域を接続する。ガイドレールは、第1の側面領域と第2の側面領域との間に部分的に配置されている。2つの側面領域を有する開閉レバーは、第1の連結部及び第2の連結部の要素の可変配置を可能にする。したがって、例えば駆動連結リンクなどの、追加要素も開閉レバーに可変に位置付け可能である。これにより、比較的コンパクトな構成が可能になる。
【0022】
例えば、レバー連結リンクは第1の側面領域に配置され、支持領域は第2の側面領域に配置されている。代わりに、又は加えて、移動スライダーは、第2の側面領域に配置されている。代わりに、又は加えて、駆動連結リンクは、第2の側面領域に配置されている。代わりに、又は加えて、第1の連結部の滑りピンは、第1の側面領域に配置されている。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によると、レバー連結リンクは、コースを有する。このコースは、最初に移動スライダー側に長手方向に直線状に延び、次に上昇する。閉位置において、別の滑りピンは、例えば上昇領域に、配置されている。したがって、別の滑りピンが上昇領域に沿って動かされているとき、開閉レバーの滑動により、移動スライダーは、初めに、長手方向Xへの最小の動きで、Z方向に滑動される。その後、直線領域において、レバー連結リンク内の別の滑りピンの連結部は、開閉レバーを、Z方向への大きな滑動なしに、X方向に滑動させる。換気位置からのカバーの閉鎖時、動きが逆の順番で反対方向に行われる。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によると、レバー連結リンクは、コースを有する。このコースは、初めに移動スライダー側に長手方向に直線状に延び、次に上昇し、次に再び直線状に延びる。閉位置において、別の滑りピンは、例えば後部直線領域に、配置されている。したがって、カバーが閉位置にあるとき、Z方向へのロックが実現されている。開閉レバーの滑動により、別の滑りピンが後部直線領域を離れた後、別の滑りピンが上昇領域に沿って動かされているとき、最初に移動スライダーがZ方向に動かされる。次に、直線部分において、レバー連結リンク内の別の滑りピンの連結部は、開閉レバーを、Z方向への大きな滑動なしに、X方向に滑動させる。換気位置からのカバーの閉鎖により、動きが逆の順番で反対方向に行われる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、稼働可能状態において、長手方向をそれぞれ横切って延びている横方向及び垂直方向より長手方向が常に長い形態を有する。開閉レバーは、横方向及び垂直方向より長手方向が著しく長い。このことは、開位置における装置にも換気位置及び閉位置における装置にも当てはまる。これにより、換気位置において、及び開位置において、カバーのための有利な支持比が可能になる。枢転の度合いとは無関係に、開閉レバーは、特に長手方向が垂直方向より常に長い。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、長手方向に突出している範囲を有する。突出範囲は、カバーの開位置では、固定ルーフ要素の上に長手方向に突出している。突出範囲は、特に後方に突出している。突出範囲は、特に駆動連結リンクから、後方に突出している。閉位置では、突出範囲は、長手方向に固定ルーフ要素の前に配置されている。ガイドレールに対して開閉レバーを長手方向に滑動すると、固定ルーフ要素の上方への突出範囲の配置が可能になる。移動スライダーは、突出範囲の後端に配置されており、したがって固定ルーフ要素の上方に配置可能である。これにより、開閉レバーにおける大きな固有振動数及びより低い支承力、及び開閉レバーにおけるより長い支持比が可能になる。カバーから開閉レバーに伝達されるてこ力は、開閉レバーの突出範囲がより後方に延在し、結果として移動スライダーがより後方に配置されるほど、小さくなる。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によると、装置は、別の駆動キャリッジを有する。カバーは、前縁を有する。カバーの閉位置において、前縁は開閉レバーから長手方向に最も遠くにある。カバーは、カバー連結リンクを前縁に有する。例えば、カバーはカバーキャリアを有し、カバー連結リンクはカバーキャリアに形成されている。カバーを長手方向に滑動させるために、別の駆動キャリッジはカバー連結リンクに噛み合っている。別の駆動キャリッジは、例えば、駆動ケーブルに直接接続されており、電気モーターの駆動力を別の駆動キャリッジに伝達する。
【0028】
駆動キャリッジと別の駆動キャリッジとは、別の駆動キャリッジの動きが駆動キャリッジに伝達されるように、特に一時的に互いに接続される。これにより、例えば、開閉レバーの枢転及び滑動が可能になる。
【0029】
別の駆動キャリッジと駆動キャリッジとは互いから連結解除可能であるので、別の駆動キャリッジの動きは駆動キャリッジに伝達されず、ひいては開閉レバーにも伝達されない。したがって、例えばカバーを換気位置と開位置との間で滑動させるために、別の駆動キャリッジは駆動キャリッジ及び開閉レバーに対して滑動可能である。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によると、自動車のための車両ルーフは、本願明細書に記載の実施形態のうちの少なくとも1つによる装置を有する。車両ルーフは、可動カバーを備えている。ルーフ開口部をカバー単独でカバーの後端部で少なくとも後方への開方向に閉鎖できるように、カバー及びルーフ開口部は寸法決めされている。ルーフ開口部は、例えば、自動車のシートメタル製固定ルーフに設けられた開口部である。
【0031】
ルーフ開口部が可動カバーによって閉じられ、カバーの後端部が固定ルーフに直接隣接して配置されるように、ルーフ開口部のサイズとカバーのサイズとは互いに適合化されている。したがって、換気位置及び開位置において、開閉レバーの突出範囲は、車両ルーフの固定ルーフ要素の上方、すなわち、特に車両のシートメタルルーフの上方、に配置され、ルーフ開口部の上方には配置されない。
【0032】
更なる一実施形態によると、車両ルーフは、本願明細書に記載の実施形態のうちの1つによる装置を有する。車両ルーフは、可動カバーと別のカバーとを備えている。可動カバー、別のカバー、及びルーフ開口部は、例えば、閉位置において、カバーと別のカバーとをルーフ開口部に一緒に配置できるように、寸法決めされている。
【0033】
可動カバー、別のカバー、及びルーフ開口部は、例えば、ルーフ開口部をカバーと別のカバーの両方によって閉じられるように、寸法決めされている。別のカバーは、特に、稼働可能状態において、車両ルーフの残りの部分に対して不動に、ルーフ開口部に配置されている。閉位置では、可動カバーは、別のカバーの前方に、ルーフ開口部に配置されている。この2つのカバーは、一緒にルーフ開口部を閉じる。開位置では、可動カバーは、別のカバーの上方に配置されている。したがって、別のカバーは、ルーフ開口部の一部、特に後部、を依然として閉じている。したがって、開位置では、開閉レバーの突出範囲は、別のカバーの上に突出する。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によると、車両ルーフのルーフ開口部を閉じるためのカバーが提示される。複数の実施形態によると、このカバーは可動カバーであり、ルーフ開口部を随意に少なくとも部分的に開放又は閉鎖するために、開閉及び滑動装置によって車両の固定ルーフに対して滑動させることができる。例えば、このカバーは、所謂スポイラールーフに使用され、車両ルーフ用の本願明細書に記載の装置の一部である。あるいは、このカバーを他の種類の開閉及び滑動機構、例えば外部ガイド式スライディングルーフ、と共に使用することも可能である。このカバーを、ルーフ開口部に固締された、作動中に車両ルーフの残りの部分に対して動かすことができない、固定ルーフ要素として使用することも可能である。
【0035】
このカバーは、
表面に延在するパネルと、
カバー補強部と、
を備え、
カバー補強部は、接続によってパネルに固定されており、
カバー補強部は取り付けタブを有し、この取り付けタブはワンピースとして形成されており、車両ルーフへの連結のために互いに離された2つの取り付け界面と、これら取り付け界面間の細長い中間領域とを有する。
【0036】
従来のカバーとは異なり、本願明細書に記載のカバーカバー補強部は、カバーキャリアを固締するための、互いに離された、互いに独立した複数の取り付けタブを有さない。従来は、複数の取り付けタブがカバーの各長辺に設けられていた。これに対して、本願明細書に記載のカバーのカバー補強部は、長辺毎に単一の取り付けタブを有する。
【0037】
この取り付けタブは、細長く、長辺の大部分にわたって延在する。例えば、この取り付けタブは、カバーの長辺の少なくとも半分にわたって長手方向に延在する。
【0038】
互いに離された少なくとも2つの取り付け界面がこのワンピース型取り付けタブに形成されている。これら取り付け界面は、従来はさまざまな間隔で複数の取り付けタブで構成されていたが、本カバー補強部では、このワンピース型取り付けタブに一緒に形成されている。
【0039】
取り付け界面には、車両ルーフへの接続部を形成でき、例えば他の機械的要素による間接接続部、又は、例えばねじによって、取り付けタブが車両のボディに直接取り付けられる直接接続部、を形成できる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によると、接続部はプラスチックを備える、又はプラスチック製である。このプラスチックは、例えば、ポリウレタン又は別の、特に発泡性の、プラスチックを備えている。製作のために、プラスチックは、カバー補強部及びパネルへの付着のために、例えば発泡成形される。例えば、接続部は、発泡成形部を備える、又は発泡成形部として構成されている。発泡体は、サラウンド発泡成形部とも称され得る。発泡成形部は、カバー補強部をパネルに取り付けるために、パネルに付着し、カバー補強部を部分的に取り囲む。
【0041】
一例示的実施形態によると、カバー補強部は、シートメタルを備えている。カバー補強部は、さまざまな製作及び成形工程によって、特にシートメタルから形成されている。例えば、カバー補強部は、深絞り成形された部品である。特に、カバー補強部は、深絞り成形されたシートメタルを備えている。カバーは、シートメタルの2つの長辺の各々を曲げることによって、シートメタルから形成されている。
【0042】
例えば、取り付けタブは、10cm超且つ60cm未満の長さを有する。取り付けタブの長さを60cm超にすることも可能である。取り付けタブの長さを30cm超にすることも可能である。取り付けタブの長さは、カバーの長辺の大部分にわたって延在するように、事前に規定されており、2つの取り付け界面は、車両ルーフへのカバーの確実で安定した固締を可能するために、互いから十分に離されている。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によると、車両ルーフ用のカバー装置は、本願明細書に記載のカバーを備えている。このカバー装置は、カバーキャリアを備えている。このカバーキャリアは、取り付け界面への連結及び車両ルーフへの連結のために構成されている。カバーキャリアは、取り付けタブの取り付け界面に固締されている。例えば、カバー装置は、2つのカバーキャリアを備えている。2つのカバーキャリアの各々は、カバーの2つの長辺のうちの1つに割り当てられている。精確に一方のカバーキャリアが、例えば精確に一方の取り付けタブに接続されている。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によると、ルーフ開口部を有する車両ルーフは、本願明細書に記載のカバー装置を備えている。車両ルーフは、ルーフ開口部に対してカバーを動かすための移動機構を有する。移動機構は、例えば、開閉レバーを有する車両ルーフ用の本願明細書に記載の装置を有する。
【0045】
カバーキャリアは、カバーを車両ルーフに連結するために、移動機構に、例えば開閉レバー及びガイドレールに、連結されている。
【0046】
カバーキャリアは、カバーを開位置に滑動させるために、カバーキャリアと開閉レバーとの間の相対滑動が可能であるように、例えば開閉レバーに連結されている。
【0047】
カバーキャリアと後部開閉レバーとをロータリージョイントによって接続することも可能である。この場合、ロータリージョイントは、開閉レバーに対してカバーキャリアを相対滑動させない。車両ルーフに対してカバーを開位置に滑動させるために、後部開閉レバーは、車両ルーフの残りの部分に対して、カバーと共に進む。
【0048】
特に、本願明細書に記載のカバー、又は本願明細書に記載のカバー装置、が車両ルーフ用の本願明細書に記載の装置と共に使用されると、確実な作動を可能にする、且つ所要設置スペースが比較的小さい、安定した車両ルーフが実現される。
【0049】
添付の図と併せて説明されている以下の例から更なる利点、特徴、及び改良形態が明らかになる。同じ又は同様の要素、又は同じ効果を有する要素、は、全ての図にわたって同じ参照符号を有し得る。
【0050】
図面には、以下の図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】一例示的実施形態による車両の概略図を示す。
図2】一例示的実施形態による装置又は装置部分の1つの姿勢の概略図を示す。
図3】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図4】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図5】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図6】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図7】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図8】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図9】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図10】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図11】一例示的実施形態によるカバーのためのカバー補強部の概略図を示す。
図12】一例示的実施形態によるカバーの概略図を示す。
図13】一例示的実施形態によるカバー装置の概略図を示す。
図14】更なる一例示的実施形態による装置又は装置部分の概略図を示す。
図15】更なる一例示的実施形態による装置又は装置部分の概略図を示す。
図16】更なる一例示的実施形態による装置又は装置部分の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、車両100の車両ルーフ101の概略図を示す。車両ルーフ101は、特に、自動車100の一部、例えば乗用車の一部、である。車両ルーフ101は、装置200を有する。装置200は、カバー103を有する。カバー103は、ルーフ開口部102を閉じるために使用される。長手方向Xへのカバー103の滑動によって、ルーフ開口部102を閉じることも、少なくとも部分的に開くこともできる。このために、カバー103は、車両ルーフ101の固定ルーフ要素129に対してX方向に滑動可能である。
【0053】
図1は、カバー103をその閉位置で示している。閉位置において、カバー103はルーフ開口部102を閉じている。ルーフ開口部102を少なくとも部分的に開くために、カバー103はその閉位置から垂直方向Zにチルトアップ可能であり、且つ長手方向Xに滑動可能である。
【0054】
装置200は、特にスポイラールーフのように構成されている。例えば図2図10に模式的に示されているように、装置200は開閉レバー109を有する。これは、後部開閉レバー109とも称され得る。開閉レバー109は、カバー103の後端部107をチルトアップ及びプルダウンするために使用される。後端部107は、長手方向Xにカバー103の前縁106の反対側に配置されている。カバーの前縁106は、車両100のフロントウインドウ104に最も近い。
【0055】
開閉レバー109は、ガイドレール108に支持されている。ガイドレール108は、長手方向Xに配置されており、横方向Yにルーフ開口部102に隣接して車両100のボディ105に接続されている。移動機構151とも称され得る開機構が対応付けられたガイドレール108がルーフ開口部102の両側に配置されている(図2)。開機構151又は装置200は、両側で同じであり、相互に対応して形成されている。以下においては、片側のみを説明する。この説明は、ルーフ開口部102の反対側にも相応に当てはまる。
【0056】
開閉レバーは、移動スライダー130をX方向の後端に有する。移動スライダー130は、開閉レバー109に対して回転可能である。移動スライダー130は、カバー103に、特にカバー103のカバーキャリア140に、連結されている。カバーキャリアは、例えば、カバー103のカバー補強部141(図11)にねじ止めされている。
【0057】
カバー103が移動スライダー130に対してX方向に滑動可能であるように、カバー103又はカバーキャリア104は、移動スライダー130に保持されている。また、開閉レバー109と移動スライダー130とによって、カバーの後端部107において、カバー103を、特にカバーの後範囲を、垂直方向Zにチルトアップ及びプルダウンさせることができる。
【0058】
開閉レバー109は、レバー連結リンク(eine Hebelkulisse、a lever slotted track)116を有する。レバー連結リンクは、移動スライダー130の前方にX方向に配置されている。開閉レバー109の突出範囲128が移動スライダー130とレバー連結リンク116との間にX方向に形成されている。滑りピン115がレバー連結リンク116のX方向前方に開閉レバー109に形成されている。滑りピン115(開閉レバーに固定のピン)は、開閉レバーから横方向Yに突出している。したがって、滑りピン115は、開閉レバー109の長手方向Xの前端に形成されている。この後方に、レバー連結リンク116が形成されている。移動スライダー130は、開閉レバー109の後端で後続の突出範囲128に配置されている。
【0059】
滑りピン(einen Gleitpin、a sliding pin)115は、連結リンク(eine Kulisse、a slotted track)114に噛み合う。連結リンク114は、ガイドレール108に形成されている。連結リンク114と滑りピン115とは、一緒に第1の連結部111を開閉レバー109とガイドレール108との間に形成している。第1の連結部111は、開閉レバー109とガイドレール108との間の第2の連結部112より、カバーの前縁106に近い。
【0060】
ガイドレール108は、別の滑りピン(ガイドレールに固定のピン)117を有する。別の滑りピン117は、レバー連結リンク116内を案内される。レバー連結リンク116と別の滑りピン117とは、一緒に第2の連結部112を形成する。第2の連結部112は、滑りピン115と移動スライダー130との間に形成される。
【0061】
レバー連結リンク116は、コース126を有する。レバー連結リンク116は、長手方向Xに前方から後方に、最初に直線コース154を有する。コース126は、上昇領域113をレバー連結リンク116の後端に有する。上昇領域113は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、ほぼ垂直方向Zに延びている。直線領域154は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、ほぼ長手方向Xに延びている。閉位置(図2図5図10)において、別の滑りピン117は上昇領域113に配置されている。
【0062】
開閉レバー109及びカバー103は、閉位置から最初に換気位置(図3図6)に枢転可能である。その後、カバー103を開閉レバー109に対して開位置(図4図7図9)に滑動できる。
【0063】
開閉レバー109の枢転及び滑動のために、装置200は駆動キャリッジ110を有する。駆動キャリッジ110は、例えば図5図7に明示されている。駆動キャリッジ110は、開閉レバー109を動かすために使用される。駆動キャリッジ110は、例えば、別の駆動キャリッジ131(図5図6)への連結部によって駆動される。別の駆動キャリッジ131は、駆動ケーブル134によって、例えば良好な圧縮強度及び引張強度を有するスレッドケーブルによって、電気モーターに接続されている。作動中、駆動ケーブル134は、別の駆動キャリッジ131を長手方向Xに滑動する。カバー103の閉位置からのこの滑動は、ロッキング要素127(図5図6図7)によって、駆動キャリッジ110に伝達される。したがって、駆動キャリッジ110も長手方向Xに後方に滑動される。駆動キャリッジ114は、ガイドレール108を案内される。
【0064】
図2図10の例示的実施形態において、駆動キャリッジ110は、駆動連結リンク124を有する。駆動連結リンク124は、長手方向Xに最初に直線コースを有し、次にほぼ垂直方向Zに延びる領域を有する(図8)。
【0065】
図2図10の例示的実施形態において、駆動キャリッジ110は、駆動ピン125を有する。駆動ピン125は、駆動連結リンク124に噛み合う。駆動ピン125が駆動連結リンク124の直線領域に配置されているとき、駆動キャリッジ110は、開閉レバー109に対して長手方向Xに滑動可能である。開閉レバー109は、駆動連結リンク124の直線領域への駆動ピンの噛み合いによって、不測の動きに対して垂直方向Zに固定及びロックされる。
【0066】
駆動ピン125が駆動連結リンク124の垂直領域に配置されるや否や、長手方向Xへの駆動キャリッジ110の滑動が開閉レバー109の長手方向Xへの動きに変換される。したがって、駆動キャリッジ110は、開閉レバー109をガイドレール108に対して長手方向Xに滑動させることができる。
【0067】
ガイドレール108に対する開閉レバー109の滑動は、第2の連結部112及びレバー連結リンク116のコース126の故に、開閉レバー109の枢転をもたらす。この枢転の回転軸は、特に滑りピン115に配置されている。
【0068】
ガイドレール108のレバー連結リンク116及び連結リンク114の両方の直線領域の故に、枢転された開閉レバー109は、ガイドレールに対して長手方向Xに滑動可能である。したがって、移動スライダー130は、換気位置から固定ルーフ要素129の上をさらに後方に滑動可能である。
【0069】
この滑動中、及び開位置において、開閉レバーを確実にガイドレール108上に垂直方向Zに支持するために、支持ピン118が開閉レバー109に形成されている(図5図6図7図8)。この支持ピンは、横方向Yに突出しており、支持連結リンク119(図3図4図10)と連携するように構成されている。支持連結リンク119は、ガイドレール108の後範囲に形成されている。
【0070】
換気位置への開閉レバー109の押上げ後、支持ピン118は、垂直方向Zに支持連結リンク119と同じ平面に配置される。X方向への開閉レバー109の滑動により、支持ピン118は支持連結リンク119に入る。支持連結リンク119は、X方向に直線状に形成されている。したがって、支持ピン118は、支持連結リンク119の、特に垂直方向Zに底部及び最上部側の、壁に載ることができる。したがって力、特に垂直方向Zへの力、を開閉レバー109からガイドレール108に伝達できる。したがって、開閉レバー109は、特に開位置において、支持ピン118によっても支持される。
【0071】
開閉レバー109は、第1の側面領域122を有する。第1の側面領域122は、XZ平面に位置合わせされている。開閉レバー109は、第2の側面領域123を有する。第2の側面領域123もZX平面に位置合わせされている。第1の側面領域122と第2の側面領域123とは、横方向Yに互いに離れている。開閉レバー109は、横方向Yに接続領域120を有する。この接続領域は、XY平面に配置されている。接続領域120は、2つの側面領域122、123を接続する。
【0072】
ガイドレール108の複数部分が2つの側面領域122、123の間に配置され得る。特に、側面領域122は、ガイドレール108の片側に配置され、第2の側面領域123は、ガイドレール108の反対側に、又はガイドレール108の中間領域に、配置されている。
【0073】
例えば、滑りピン115及びレバー連結リンク116は、開閉レバー109の第1の側面領域122に形成されている。例えば、駆動連結リンク124、支持ピン118、及び移動スライダー130は、開閉レバー109の第2の側面領域123に配置されている。したがって、連結部111、112のさまざまな要素と駆動、滑動、及び連結のための更なる要素とを開閉レバー109のさまざまな領域に、及びガイドレール108のさまざまな側面領域に、配置可能である。これにより、設置スペースの効率的使用が可能になる。
【0074】
カバー103の前縁106を垂直方向Zにチルトアップ及びプルダウンするために、カバー103に、特にカバーキャリア140に、カバー連結リンク132が形成されている。別の駆動キャリッジ131は、カバー連結リンク132に噛み合う。したがって、別の駆動キャリッジ131は、カバー103及びカバーキャリア140に対して段階的に動くことができる。別の駆動キャリッジ131がカバー連結リンク132の端部に配置されているとき、別の駆動キャリッジ131のX方向への動きがカバーキャリア140及びカバー103に伝達される。
【0075】
カバーキャリア140は、フロントウインドウ104に最も近いその前端にカバースライダー133を有する。カバースライダー133は、カバーキャリア140に取り付けられているので、例えば、カバーキャリア140に対して枢転又は滑動不能である。カバースライダー133をカバーキャリア140に対して、横方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能にすることも可能である。ただし、この例示的実施形態におけるカバースライダー133は、カバーキャリア140に対して、長手方向X及び/又は垂直方向Zに不動である。カバースライダー133は、ガイドレール108内を案内され、カバーの前縁のチルトアップ及び滑動のために使用される。
【0076】
突出範囲128は、開閉レバー109の後側に形成されている。突出範囲128は、特に、駆動連結リンク124から移動スライダー130まで長手方向Xに後方に延在する。カバー103が換気位置にあるとき、この突出範囲128は、例えば、固定ルーフ要素(別のカバーとも称する)129の前方に依然として配置されている。
【0077】
カバー103の換気位置から開位置まで、開閉レバーは、ガイドレール108に対してX方向に滑動されるので、突出範囲128は垂直方向Zに固定ルーフ要素129の上方に配置される。開閉レバー109の突出範囲128は、固定ルーフ要素129の上を後方に突出する。開閉レバー109はX方向に前方に直線状に延在し、滑りピン115と、比較的前方の別の滑りピン117とに載り、さらに支持ピン118によって保持される。
【0078】
ロッキング要素127によって、駆動キャリッジ110は、別の駆動キャリッジ131から連結解除され、ガイドレール108に対してX方向にロックされる。例えば、ロッキング要素は、開閉レバー109から遠いその端部において、ガイドレール108の対応するロック連結リンクに噛み合う。
【0079】
カバー103をさらに開くために、その後、カバー103を開閉レバー109に対してX方向に後方に滑動させる。したがって、開位置において、カバー103を垂直方向Zに第1のルーフ要素129の上方に配置できる。
【0080】
カバー103が全開位置にあるとき、開閉レバー109の滑りピン115は、例えば、別の駆動キャリッジ131の長手方向X前方に配置されている。全開位置において、カバー連結リンク132は、長手方向Xに滑りピン115の後方に配置されている。したがって、カバー103が全開位置にあるとき、開閉レバー109は、長手方向Xにカバー103の前縁106の前方に延在する。カバー103が全開位置にあるとき、カバー103の前縁106は、長手方向Xに滑りピン115と移動スライダー130との間に配置されている。
【0081】
カバーが全開位置にあるとき、別の駆動キャリッジ131は、長手方向Xに滑りピン115と移動スライダー130との間に配置されている。カバー103が全開位置にあるとき、別の駆動キャリッジ131は、横方向Yに開閉レバー109に隣接して配置されている。カバー103が開位置にあるとき、開閉レバー109は、カバー103の閉位置に比べ、カバー103に対して枢転されている。開閉レバー109の枢転は、固定ルーフ要素129に対して後端部107をチルトアップさせる。
【0082】
開閉レバー109は、カバー103の何れの位置においても、垂直方向Z又は横方向Yより長手方向Xに常に長いので、カバーキャリア140を比較的後方に、特に固定ルーフ要素129の上方に、支持できる。カバー103の閉位置において、及び換気位置において、開閉レバー109は、カバー103の長手伸展範囲121に沿って延在する。カバーの長手伸展範囲121は、前縁106と後端部107との間に長手方向Xに延在する。カバー103が閉鎖されているとき、及びカバー103が換気位置に配置されているとき、開閉レバー109は、フロントウインドウ104の方向に、長手方向Xに、例えば、カバー103の長手伸展範囲121の5分の1、4分の1、3分の1以上、例えば最大2分の1又は最大3分の2、に沿って前方に延在する。
【0083】
カバーキャリア140を長手方向Xにできる限り後方に支持すると、カバーキャリア140を介して滑りピン115及び別の滑りピン117に作用するてこ力が減る。特に、カバー13が開いているとき、移動スライダー130は、固定ルーフ要素129の上方に配置されている。滑りピン115によって開閉レバー109の前端をX方向にできる限り前方に支持すると、好ましいてこ力ももたらされるので、カバー103をはるか後方に滑動させたときでも、開閉レバー109が確実に支持される。支持ピン118による支持は、本装置をさらに安定化させる。したがって、全体として、ルーフ開口部107の大きな開口サイズを実現できる。その理由は、カバー103を相対的にはるか後方に滑動させられる一方で、カバー103を依然として開閉レバー109によって確実に支持及び保持できるからである。
【0084】
固定ルーフ要素129は、例えば、ルーフ開口部102に配置される別のカバーである。固定ルーフ要素129を、車両のボディ105の一部に、又は車両ルーフ101を形成してルーフ開口部を取り囲むパネルに、することも可能である。装置200は、カバー103を全開させるために、装置200の諸要素と更なる機構要素とが固定ルーフ要素129の下を通過する必要がないように、構成されている。特に、別の駆動キャリッジ131は、固定ルーフ要素129の前部までしか進まない。
【0085】
装置200は、良好な支持比、ひいては高い固有剛性、を有する。Z方向に比較的小さなスペースを占める一方で、開閉レバー109の安定的な支持が、特に支持ピン118によって、実現される。滑りピン115上の開閉レバー109の旋回点に近い、第2の連結部112による開閉レバー109の制御は、後端におけるZ方向への大きな上昇を小さな回転角度で可能にする。このために、特に、追加の開閉レバー又は連結レバーは必要ない。
【0086】
図11は、装置200において特に有利に使用可能な、カバー補強部141を示す。ただし、更なる複数の例示的実施形態によると、カバー補強部141は、他の装置でも有利に使用可能である。カバー補強部141は、例えば、外部ガイド式スライディングルーフ又は、例えば固定ルーフ要素129を有する、他の何れかの種類のカバー103、にも使用可能である。
【0087】
カバー補強部141は、特に、例えばシートメタル製の、深絞り成形された部品である。図示の例示的実施形態において、カバー補強部141は、フレームとして配置されている。カバー補強部141を部分領域にのみ、例えば、長手方向Xに前縁106と後端部107との間にカバー103の2辺に沿ってのみ、形成することも可能である。
【0088】
カバー補強部141は、X方向に延びる両長辺152、153に取り付けタブ143を有する。2つの取り付けタブ143は、同様であり、互いに対応して形成されている。以下においては、単一の取り付けタブ143について説明する。もう一方の取り付けタブ143も同様に構成されている。
【0089】
取り付けタブ143は、長手方向Xに細長く、互いに距離を置いて配置された2つの取り付け界面144、145を有する。カバー装置150を形成するために、カバーキャリア140を取り付け界面144、145(図13)に取り付けることができる。例えば、カバーキャリア140は、ねじによって、取り付け界面144、145に取り付けられる。
【0090】
取り付け界面144、145は、互いに距離148を置いて配置されている。この距離148は、例えば10cm以上であり、例えば、距離148は、20cm~50cm、又は20cm~40cm、の範囲内の値を有する。
【0091】
取り付けタブ143は、2つの取り付け界面144、145の間にワンピースとして形成されている。取り付けタブ143は、取り付け界面144、145の間に形成された中間領域149を有する。取り付けタブ143の中間領域149は、カバー補強部141の材料を備えている。
【0092】
製作中、取り付けタブ143は、取り付けタブ143が垂直方向Zに向くように、その全長にわたってカバー補強部141からワンピースとして曲げられる。したがって、取り付けタブ143は、XZ平面に延在する。
【0093】
2つの取り付け界面144、145は、それぞれ別個の要素としては形成されず、共通の単一の取り付けタブ143の一部である。取り付けタブ143は、その全長146にわたってワンピースとして形成され、カバー補強部141の材料から形成されている。
【0094】
2つの取り付け界面144、145は、取り付けタブ143の中間領域149によって互いに接続されている。中間領域149は、特に、2つの取り付け界面144、145の間で力を伝達するように構成されている。
【0095】
全長146にわたってワンピースとして延在する取り付けタブ143は、2つの取り付け界面144、145の間に大きな断面二次モーメントを可能にする。カバー補強部141のシートメタルの成形は、取り付け界面144と取り付け界面145との間で連続的である。したがって、カバー補強部141の、ひいてはカバー103の、剛性が増す。例えば、各長辺上に複数の取り付けタブを有する従来のカバー補強部に比べ、約1Hzの固有振動数が増加する。
【0096】
図12は、カバー補強部141を有するカバー103を示す。カバー補強部141は、接続部142によってカバー103のパネル147に取り付けられている。パネル147は、例えば、表面的に延在するガラスパネル又は表面的に延在するプラスチックパネル、又は別の材料製のパネル、である。カバー補強部141は、運転中に車両100の内部に面するパネル147の側面に取り付けられる、特に発泡成形される。接続部142は、例えば、パネル147に付着するプラスチックを備え、カバー補強部141を取り付ける。例えば、接続部142は、PUフォーム又は別のプラスチックフォームを備える。
【0097】
図13は、カバー補強部141とカバーキャリア140とを備えたカバー装置150を示す。稼働可能状態で、カバーキャリア140も取り付け界面144、145によってカバー補強部141の第2の長辺135に取り付けられている。
【0098】
図14図16は、更なる一例示的実施形態による装置200の概略図を示す。図14図16の例示的実施形態による装置200は、図2図10の例示的実施形態にほぼ相当する。図2図10の例示的実施形態とは異なり、図14図16の例示的実施形態における装置200は、開閉レバー109と駆動キャリッジ110との間に異なる連結部を有する。また、レバー連結リンク116は、異なるコース126を有する。図14図16の例示的実施形態には、駆動連結リンク124と駆動ピン125とが存在しない。他の点では、例えば、開閉レバー109、別の駆動キャリッジ131、ロッキング要素127、及びカバーキャリア140のそれぞれの実施形態は、上記の実施形態に相当する。
【0099】
図14図16の例示的実施形態においては、駆動キャリッジ110と開閉レバー109との間に一切の滑動が発生しないように、駆動キャリッジ110と開閉レバー109とは、互いに接続されている。ガイドレール108に対する駆動キャリッジ110の滑動は、ガイドレール108に対する開閉レバー109の対応する滑動を常にもたらす。
【0100】
駆動キャリッジ110と開閉レバー109とは、滑りピン115によって互いに連結されている。滑りピン115は、ガイドレール108を通って連結リンク114内に横方向Yに延在する。横方向Yにおいて、開閉レバー109は、特に開閉レバー109の側面領域122は、滑りピン115の片側に配置されている。滑りピン115の横方向Yの反対側で、滑りピン115は駆動キャリッジ110に取り付けられている。駆動キャリッジは、例えば、2つの側面領域122、123の間に横方向Yに配置されている。駆動キャリッジは、例えば、垂直方向Zに接続領域120の下に配置されている。
【0101】
滑りピン115は、駆動キャリッジ110に堅固に、長手方向Xに不動に、連結されている。駆動キャリッジ110の動きは、滑りピン115によって、開閉レバー109に伝達される。したがって、ガイドレール108に対する駆動キャリッジ110のロックが、滑りピン115によって、開閉レバー109伝達される。開閉レバー109は、駆動キャリッジ110に対して回転軸を中心に枢転可能である。この回転軸は横方向に向いており、例えば滑りピン115によって、事前に規定されている。駆動キャリッジ110に対する枢転によって、移動スライダー130を垂直方向Zに動かすことができる。
【0102】
駆動キャリッジ110は、ガイドレール108内に滑動可能に保持及び案内され、長手方向Xに直線状に延在する。滑りピン115は、移動スライダー130から遠い、駆動キャリッジの端部に配置されている。移動スライダー130に最も近い、駆動キャリッジの反対側の端部において、駆動キャリッジはロッキング要素127に接続されている。
【0103】
レバー連結リンク116は、コース126を有する。コース126は、長手方向Xにレバー連結リンク116の直線領域154と別の直線領域155との間に、上昇領域113を有する。長手方向Xの前方から後方に、レバー連結リンク116は、初めに直線コース154を有し、その後に上昇領域113を有する。コース126は、レバー連結リンク116の後端に、別の直線領域155を有する。
【0104】
直線領域154及び別の直線領域155の各々は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、ほぼ長手方向Xに延び、垂直方向Zに互いにずれている。上昇領域113は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、長手方向X及び垂直方向Zにずらして配置されている直線領域154と別の直線領域155とを互いに接続するために、例えば垂直方向Zに対して斜めに、且つ長手方向Xに対して斜めに、延びている。
【0105】
図14図16の例示的実施形態によると、例えば、支持ピン118と移動スライダー130とは、開閉レバー109の第2の側面領域123に配置されている。駆動キャリッジ110の滑動を開閉レバー109に伝達するために、駆動キャリッジ110は、滑りピン115において駆動キャリッジ110に連結されているので、図1図10の例示的実施形態において第2の側面領域123に設けられている駆動連結リンク124を省くことができる。
【0106】
閉位置において、別の滑りピン117は、別の直線領域155に配置されている。閉位置において、開閉レバー109は、レバー連結リンク116の別の直線領域155への別の滑りピン117の噛み合いによって固定され、垂直方向Zへの不測の動きに対してロックされている。上昇領域113に沿った滑りピン117の動きは、ガイドレール108に対する開閉レバー109の枢転をもたらす。
【0107】
記載の移動機構151を有する装置200では、細長い開閉レバー109がガイドレール108上に確実に支持され、突出範囲128によって固定ルーフ要素129の上方に相対的に後方にも配置可能であり、細長いワンピース型取り付けタブ143を有するカバー補強部141からの追加の安定性は、開位置において後方へのカバー103の滑動、ひいてはルーフ開口部102の大きな開口、を可能にする。カバー103の良好な安定性、開閉レバー109の良好な支持、及び移動スライダー130を比較的後方に配置できるという事実の故に、開位置におけるカバー103のはるか後方への位置付けが確実に可能である。このために必要な設置スペースは比較的小さい。
【符号の説明】
【0108】
100 自動車
101 車両ルーフ
102 ルーフ開口部
103 カバー
104 フロントウインドウ
105 ボディ
106 前縁
107 後端部
108 ガイドレール
109 開閉レバー
110 駆動キャリッジ
111 第1の連結部
112 第2の連結部
113 上昇領域
114 連結リンク
115 滑りピン(開閉レバーに固定のピン)
116 レバー連結リンク
117 別の滑りピン(ガイドレールに固定のピン)
118 支持ピン
119 支持連結リンク
120 接続領域
121 カバーの長手伸展範囲
122 側面領域
123 側面領域
124 駆動連結リンク
125 駆動ピン
126 コース
127 ロッキング要素
128 突出範囲
129 固定ルーフ要素(別のカバー)
130 移動スライダー
131 別の駆動キャリッジ
132 カバー連結リンク
133 カバースライダー
134 駆動ケーブル
140 カバーキャリア
141 カバー補強部
142 接続部
143 取り付けタブ
144、145 取り付け界面
146 長さ
147 パネル
148 距離
149 中間領域
150 カバー装置
151 移動機構
152、153 長辺
154 直線領域
155 別の直線領域
200 装置

X 長手方向
Y 横方向
Z 垂直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車の車両ルーフのための装置、特に車両ルーフのルーフ開口部を閉じるために可動ルーフを動かすための装置、が提示される。さらに、自動車のための車両ルーフ、特に本願明細書に記載されているような装置を有する車両ルーフ、が提示される。
【背景技術】
【0002】
車両ルーフのための可動カバーを有する装置は、例えば特許文献1に記載されているように、所謂スポイラールーフとして構成され得る。あるいは、例えば特許文献2に記載されているように、車両ルーフを所謂外部ガイド式スライディングルーフとして構成することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許公開第102012106545(A1)号
【特許文献2】独国特許第19713347(C1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確実な稼働を可能にする、車両ルーフのための装置を提示することが望ましい。さらに、確実な稼働を可能にする車両ルーフを提示することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの実施形態によると、車両ルーフのための装置が提示される。本車両ルーフは、ルーフ開口部を有する。本装置は、
ルーフ開口部を閉じるために長手方向に滑動可能なカバーと、
車両ルーフに配置されているガイドレールと、
ガイドレールに対して枢転可能な移動スライダーを有する開閉レバーであって、カバーは移動スライダーに連結されており、ルーフ開口部を開くために、開閉レバー及び移動スライダーに対して長手方向に滑動可能である、開閉レバーと、を備え、
開閉レバーは、ガイドレールへの第1の連結部と、ガイドレールへの第2の連結部とを有し、第1の連結部及び第2の連結部は、ガイドレールに対して長手方向に段階的に滑動できるように構成されており、
第2の連結部は、レバー連結リンクを開閉レバーに有し、レバー連結リンク内を案内される滑りピンをガイドレールに有し、
第2の連結部は、第1の連結部と移動スライダーとの間に長手方向に配置されている。
例えば、第1の連結部は、連結リンクをガイドレールに有し、別の滑りピンを開閉レバ ーに有し、これにより、別の滑りピンは連結リンク内を案内される。第1の連結部の他の 構成も可能である。
【0006】
本装置は、特に所謂スポイラールーフのために設計されている。スポイラールーフにおいては、カバーの後端部をチルトアップするために、最初に開閉レバーの後端部が開方向に回転又は枢転される。ルーフ開口部を少なくとも部分的に開くために、カバーは、開閉レバーに対して開方向に滑動される。ここで、開閉レバーは、車両ルーフの残りの部分に対して静止しており、カバーと共に開方向に滑動しない。カバーが開閉レバーに対して後方に滑動されるほど、開閉レバーはより大きな力に耐える必要がある。車両が動いている場合は、カバーの振動もより大きくなる。開口幅が大きい場合でもカバーの確実な支持が以前から望まれており、本願明細書に記載の解決策によって改善され得る。
【0007】
スポイラールーフに加え、例えば、カバーの後端部において開閉レバーが、カバーと共に、車両ルーフの残りの部分に対して、開方向に滑動される所謂外部ガイド式スライディングルーフが公知である。そこでは、上記の問題は発生しない。ただし、外部ガイド式スライディングルーフをスポイラールーフの代替としては使用できない。その理由は、両者は構造的に全く異なるからである。スポイラールーフ又は外部ガイド式スライディングルーフの使用は、例えば車両ベースの適合性によって異なるからである。
【0008】
本願明細書に記載の装置の開閉レバーは、ガイドレールに対して長手方向に段階的に滑動可能である。これに加え、開閉レバーは、カバーの滑動中にカバーと共にガイドレールに対して長手方向に動かないように、ガイドレールに対してロック可能である。カバーがルーフ開口部を閉じるカバーの閉位置からカバーの後端部をチルトアップ(所謂換気位置に)するために、開閉レバーは枢転される。その後、本願明細書に記載の装置は、開閉レバーがガイドレールに対してロックされ且つカバーが開閉レバーに対してさらに開方向へ滑動される前に、開閉レバーを開方向へ所与の区間滑動させることを可能にする。これにより、開閉レバー及びガイドレールにあるカバーの支持点が改善される。本装置の、特に開かれたルーフの、固有周波数をより大きくすることが可能である。開閉レバーのガイドレール側端部の支承力をより小さくすることが可能である。
【0009】
ガイドレールの連結リンクへの第1の連結部及び開閉レバーの別の滑りピンは、ガイドレールに対する開閉レバーの長手方向への滑動、回転動作、及び枢転を可能にする。本開示のコンテキストにおいて、ピンは、さまざまな構成、特にさまざまな形状、を有し得る。例えば、ピン、特に別の滑りピン、は円筒形である。ピンは、例えば細長い。例えば、ピンは、楕円形の横断面を有する。例えば多角形又は半円形など、他の横断面も可能である。基本形態として異なる幾何学体を有する他の形状も可能である。本開示のピン、特に滑りピン、別の滑りピン、及びその他のピン、は、それぞれ対応付けられたガイド内での、例えば連結リンク内での、滑動及び保持を可能にする任意の形態を有し得る。第1の連結部は、開閉レバーとガイドレールとの間の、簡素に構成された、ひいては安価に製作可能な、接続を可能にする。また、開閉レバーにおける比較的長い支持比を可能にする。 の滑りピンは、特に、開閉レバーの長手方向前端に配置されている。
【0010】
更なる複数の例示的実施形態によると、第1の連結部は、連結リンクが開閉レバーに形成され、ピンがガイドレールに定置状態で配置されるように、構成されている。
【0011】
更なる複数の例示的実施形態によると、第2の連結部は、レバー連結リンクがガイドレールに形成され、滑りピンが開閉レバーに定置状態で配置されるように、形成されている。
【0012】
第2の連結部は、別の滑りピンの後ろに長手方向に形成されている。開閉レバーのレバー連結リンクとガイドレールの滑りピンとは、開閉レバーの長手方向への滑動、回転動作、及び枢転を可能にする。第2の連結部は、開閉レバーとガイドレールとの間の、簡素に構成された、ひいては安価に製作可能な、接続を可能にする。第2の連結部は、長い支持比により、装置の安定性に有益に寄与する。
【0013】
第2の連結部は、第1の連結部の別の滑りピンの後ろに、且つ移動スライダーの前に、長手方向に形成されている。第2の連結部のレバー連結リンクは、別の滑りピンと移動スライダーとの間に、長手方向に開閉レバーに配置されている。別の滑りピンは、第1の連結部の連結リンクの後ろで、ガイドレールに長手方向に配置されている。
【0014】
カバーは、例えば、本願明細書に記載の実施形態のうちの1つにより、構成されている。更なる複数の例示的実施形態によると、カバーは、別様に構成されており、例えば複数の取り付けタブを各長辺に有する。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によると、本装置は、駆動キャリッジを有する。この駆動キャリッジは、開閉レバーの枢転のために構成されている。駆動キャリッジは、ガイドレール内を長手方向に滑動可能に案内される。駆動キャリッジは、開閉レバーに連結されている。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、駆動連結リンクを有する。駆動キャリッジは、駆動ピンを有する。駆動ピンは、駆動キャリッジの滑動を開閉レバーの動きに変換するために、駆動連結リンク内を案内される。駆動キャリッジの動きは、駆動連結リンクへの駆動ピンの噛み合いによって、開閉レバーに伝達される。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によると、駆動キャリッジは、滑りピンに枢転可能に連結されるので、開閉レバーと駆動キャリッジとは、長手方向に互いに剛連結される。駆動キャリッジの動きは、開閉レバー及び駆動キャリッジの両方に取り付けられた別の滑りピンによって、開閉レバーに伝達される。
【0018】
駆動キャリッジは、例えば、本装置の電気モーターによって直接又は間接的に駆動される。駆動キャリッジは、開閉レバーの領域に配置されている。すなわち、カバーが閉位置にあるとき、特に、カバーの後端部に割り当てられている。駆動キャリッジは、開閉レバーを枢転させて長手方向に滑動させるために、長手方向に滑動される。枢転運動及び滑動運動の終了後、例えば、駆動キャリッジは、ガイドレールに対してロックされる。ルーフ開口部を閉じるために、駆動キャリッジは反対方向に動かされるので、開閉レバーは、カバーを閉じるために、前方に滑動され、戻り枢転される。
【0019】
「後ろ」又は「前方」などの場所情報又は方向情報は、車両の長手方向を指している。車両の長手方向は、水平方向又はX方向とも称され得る。カバーのチルトアップ又は押し開けは、ほぼ垂直方向又はZ方向又は高さ方向に行われる。「カバーの後範囲」とは、例えば、カバーの中央から車両の後部に最も近い領域を意味する。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、支持ピンを有する。ガイドレールは、支持連結リンクを有する。開閉レバーが押上位置にあるとき、開閉レバーを垂直方向に支持するために、支持ピンは支持連結リンク内に配置されている。支持連結リンクは、特に、ほぼ長手方向に向いている。例えば、支持連結リンクは、ガイドレールの後範囲に形成されている。開閉レバーの枢転後、例えば、開閉レバーの長手方向への滑動により、支持ピンは支持連結リンクに挿入される。したがって、支持連結リンクは、Z方向への力を吸収する。したがって、開閉レバーは、支持ピンによって、ガイドレールにさらに支持されている。これにより、装置全体の安定性が増し、移動スライダーを比較的後方に配置できるようになる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、第1の側面領域を有する。開閉レバーは、第2の側面領域を有する。開閉レバーは、接続領域を有する。接続領域は、第1の側面領域と第2の側面領域とを互いに接続する。第1の側面領域と第2の側面領域とは、例えば、互いから離れている。第1の側面領域及び第2の側面領域は、例えば垂直方向に、延びている。接続領域は、横方向に向いており、2つの側面領域を接続する。ガイドレールは、第1の側面領域と第2の側面領域との間に部分的に配置されている。2つの側面領域を有する開閉レバーは、第1の連結部及び第2の連結部の要素の可変配置を可能にする。したがって、例えば駆動連結リンクなどの、追加要素も開閉レバーに可変に位置付け可能である。これにより、比較的コンパクトな構成が可能になる。
【0022】
例えば、レバー連結リンクは第1の側面領域に配置され、支持領域は第2の側面領域に配置されている。代わりに、又は加えて、移動スライダーは、第2の側面領域に配置されている。代わりに、又は加えて、駆動連結リンクは、第2の側面領域に配置されている。代わりに、又は加えて、第1の連結部の別の滑りピンは、第1の側面領域に配置されている。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によると、レバー連結リンクは、コースを有する。このコースは、最初に移動スライダー側に長手方向に直線状に延び、次に上昇する。閉位置において、滑りピンは、例えば上昇領域に、配置されている。したがって、滑りピンが上昇領域に沿って動かされているとき、開閉レバーの滑動により、移動スライダーは、初めに、長手方向Xへの最小の動きで、Z方向に滑動される。その後、直線領域において、レバー連結リンク内の滑りピンの連結部は、開閉レバーを、Z方向への大きな滑動なしに、X方向に滑動させる。換気位置からのカバーの閉鎖時、動きが逆の順番で反対方向に行われる。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によると、レバー連結リンクは、コースを有する。このコースは、初めに移動スライダー側に長手方向に直線状に延び、次に上昇し、次に再び直線状に延びる。閉位置において、滑りピンは、例えば後部直線領域に、配置されている。したがって、カバーが閉位置にあるとき、Z方向へのロックが実現されている。開閉レバーの滑動により、滑りピンが後部直線領域を離れた後、滑りピンが上昇領域に沿って動かされているとき、最初に移動スライダーがZ方向に動かされる。次に、直線部分において、レバー連結リンク内の滑りピンの連結部は、開閉レバーを、Z方向への大きな滑動なしに、X方向に滑動させる。換気位置からのカバーの閉鎖により、動きが逆の順番で反対方向に行われる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、稼働可能状態において、長手方向をそれぞれ横切って延びている横方向及び垂直方向より長手方向が常に長い形態を有する。開閉レバーは、横方向及び垂直方向より長手方向が著しく長い。このことは、開位置における装置にも換気位置及び閉位置における装置にも当てはまる。これにより、換気位置において、及び開位置において、カバーのための有利な支持比が可能になる。枢転の度合いとは無関係に、開閉レバーは、特に長手方向が垂直方向より常に長い。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によると、開閉レバーは、長手方向に突出している範囲を有する。突出範囲は、カバーの開位置では、固定ルーフ要素の上に長手方向に突出している。突出範囲は、特に後方に突出している。突出範囲は、特に駆動連結リンクから、後方に突出している。閉位置では、突出範囲は、長手方向に固定ルーフ要素の前に配置されている。ガイドレールに対して開閉レバーを長手方向に滑動すると、固定ルーフ要素の上方への突出範囲の配置が可能になる。移動スライダーは、突出範囲の後端に配置されており、したがって固定ルーフ要素の上方に配置可能である。これにより、開閉レバーにおける大きな固有振動数及びより低い支承力、及び開閉レバーにおけるより長い支持比が可能になる。カバーから開閉レバーに伝達されるてこ力は、開閉レバーの突出範囲がより後方に延在し、結果として移動スライダーがより後方に配置されるほど、小さくなる。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によると、装置は、別の駆動キャリッジを有する。カバーは、前縁を有する。カバーの閉位置において、前縁は開閉レバーから長手方向に最も遠くにある。カバーは、カバー連結リンクを前縁に有する。例えば、カバーはカバーキャリアを有し、カバー連結リンクはカバーキャリアに形成されている。カバーを長手方向に滑動させるために、別の駆動キャリッジはカバー連結リンクに噛み合っている。別の駆動キャリッジは、例えば、駆動ケーブルに直接接続されており、電気モーターの駆動力を別の駆動キャリッジに伝達する。
【0028】
駆動キャリッジと別の駆動キャリッジとは、別の駆動キャリッジの動きが駆動キャリッジに伝達されるように、特に一時的に互いに接続される。これにより、例えば、開閉レバーの枢転及び滑動が可能になる。
【0029】
別の駆動キャリッジと駆動キャリッジとは互いから連結解除可能であるので、別の駆動キャリッジの動きは駆動キャリッジに伝達されず、ひいては開閉レバーにも伝達されない。したがって、例えばカバーを換気位置と開位置との間で滑動させるために、別の駆動キャリッジは駆動キャリッジ及び開閉レバーに対して滑動可能である。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によると、自動車のための車両ルーフは、本願明細書に記載の実施形態のうちの少なくとも1つによる装置を有する。車両ルーフは、可動カバーを備えている。ルーフ開口部をカバー単独でカバーの後端部で少なくとも後方への開方向に閉鎖できるように、カバー及びルーフ開口部は寸法決めされている。ルーフ開口部は、例えば、自動車のシートメタル製固定ルーフに設けられた開口部である。
【0031】
ルーフ開口部が可動カバーによって閉じられ、カバーの後端部が固定ルーフに直接隣接して配置されるように、ルーフ開口部のサイズとカバーのサイズとは互いに適合化されている。したがって、換気位置及び開位置において、開閉レバーの突出範囲は、車両ルーフの固定ルーフ要素の上方、すなわち、特に車両のシートメタルルーフの上方、に配置され、ルーフ開口部の上方には配置されない。
【0032】
更なる一実施形態によると、車両ルーフは、本願明細書に記載の実施形態のうちの1つによる装置を有する。車両ルーフは、可動カバーと別のカバーとを備えている。可動カバー、別のカバー、及びルーフ開口部は、例えば、閉位置において、カバーと別のカバーとをルーフ開口部に一緒に配置できるように、寸法決めされている。
【0033】
可動カバー、別のカバー、及びルーフ開口部は、例えば、ルーフ開口部をカバーと別のカバーの両方によって閉じられるように、寸法決めされている。別のカバーは、特に、稼働可能状態において、車両ルーフの残りの部分に対して不動に、ルーフ開口部に配置されている。閉位置では、可動カバーは、別のカバーの前方に、ルーフ開口部に配置されている。この2つのカバーは、一緒にルーフ開口部を閉じる。開位置では、可動カバーは、別のカバーの上方に配置されている。したがって、別のカバーは、ルーフ開口部の一部、特に後部、を依然として閉じている。したがって、開位置では、開閉レバーの突出範囲は、別のカバーの上に突出する。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によると、車両ルーフのルーフ開口部を閉じるためのカバーが提示される。複数の実施形態によると、このカバーは可動カバーであり、ルーフ開口部を随意に少なくとも部分的に開放又は閉鎖するために、開閉及び滑動装置によって車両の固定ルーフに対して滑動させることができる。例えば、このカバーは、所謂スポイラールーフに使用され、車両ルーフ用の本願明細書に記載の装置の一部である。あるいは、このカバーを他の種類の開閉及び滑動機構、例えば外部ガイド式スライディングルーフ、と共に使用することも可能である。このカバーを、ルーフ開口部に固締された、作動中に車両ルーフの残りの部分に対して動かすことができない、固定ルーフ要素として使用することも可能である。
【0035】
このカバーは、
表面に延在するパネルと、
カバー補強部と、
を備え、
カバー補強部は、接続によってパネルに固定されており、
カバー補強部は取り付けタブを有し、この取り付けタブはワンピースとして形成されており、車両ルーフへの連結のために互いに離された2つの取り付け界面と、これら取り付け界面間の細長い中間領域とを有する。
【0036】
従来のカバーとは異なり、本願明細書に記載のカバーカバー補強部は、カバーキャリアを固締するための、互いに離された、互いに独立した複数の取り付けタブを有さない。従来は、複数の取り付けタブがカバーの各長辺に設けられていた。これに対して、本願明細書に記載のカバーのカバー補強部は、長辺毎に単一の取り付けタブを有する。
【0037】
この取り付けタブは、細長く、長辺の大部分にわたって延在する。例えば、この取り付けタブは、カバーの長辺の少なくとも半分にわたって長手方向に延在する。
【0038】
互いに離された少なくとも2つの取り付け界面がこのワンピース型取り付けタブに形成されている。これら取り付け界面は、従来はさまざまな間隔で複数の取り付けタブで構成されていたが、本カバー補強部では、このワンピース型取り付けタブに一緒に形成されている。
【0039】
取り付け界面には、車両ルーフへの接続部を形成でき、例えば他の機械的要素による間接接続部、又は、例えばねじによって、取り付けタブが車両のボディに直接取り付けられる直接接続部、を形成できる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によると、接続部はプラスチックを備える、又はプラスチック製である。このプラスチックは、例えば、ポリウレタン又は別の、特に発泡性の、プラスチックを備えている。製作のために、プラスチックは、カバー補強部及びパネルへの付着のために、例えば発泡成形される。例えば、接続部は、発泡成形部を備える、又は発泡成形部として構成されている。発泡体は、サラウンド発泡成形部とも称され得る。発泡成形部は、カバー補強部をパネルに取り付けるために、パネルに付着し、カバー補強部を部分的に取り囲む。
【0041】
一例示的実施形態によると、カバー補強部は、シートメタルを備えている。カバー補強部は、さまざまな製作及び成形工程によって、特にシートメタルから形成されている。例えば、カバー補強部は、深絞り成形された部品である。特に、カバー補強部は、深絞り成形されたシートメタルを備えている。カバーは、シートメタルの2つの長辺の各々を曲げることによって、シートメタルから形成されている。
【0042】
例えば、取り付けタブは、10cm超且つ60cm未満の長さを有する。取り付けタブの長さを60cm超にすることも可能である。取り付けタブの長さを30cm超にすることも可能である。取り付けタブの長さは、カバーの長辺の大部分にわたって延在するように、事前に規定されており、2つの取り付け界面は、車両ルーフへのカバーの確実で安定した固締を可能するために、互いから十分に離されている。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によると、車両ルーフ用のカバー装置は、本願明細書に記載のカバーを備えている。このカバー装置は、カバーキャリアを備えている。このカバーキャリアは、取り付け界面への連結及び車両ルーフへの連結のために構成されている。カバーキャリアは、取り付けタブの取り付け界面に固締されている。例えば、カバー装置は、2つのカバーキャリアを備えている。2つのカバーキャリアの各々は、カバーの2つの長辺のうちの1つに割り当てられている。精確に一方のカバーキャリアが、例えば精確に一方の取り付けタブに接続されている。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によると、ルーフ開口部を有する車両ルーフは、本願明細書に記載のカバー装置を備えている。車両ルーフは、ルーフ開口部に対してカバーを動かすための移動機構を有する。移動機構は、例えば、開閉レバーを有する車両ルーフ用の本願明細書に記載の装置を有する。
【0045】
カバーキャリアは、カバーを車両ルーフに連結するために、移動機構に、例えば開閉レバー及びガイドレールに、連結されている。
【0046】
カバーキャリアは、カバーを開位置に滑動させるために、カバーキャリアと開閉レバーとの間の相対滑動が可能であるように、例えば開閉レバーに連結されている。
【0047】
カバーキャリアと後部開閉レバーとをロータリージョイントによって接続することも可能である。この場合、ロータリージョイントは、開閉レバーに対してカバーキャリアを相対滑動させない。車両ルーフに対してカバーを開位置に滑動させるために、後部開閉レバーは、車両ルーフの残りの部分に対して、カバーと共に進む。
【0048】
特に、本願明細書に記載のカバー、又は本願明細書に記載のカバー装置、が車両ルーフ用の本願明細書に記載の装置と共に使用されると、確実な作動を可能にする、且つ所要設置スペースが比較的小さい、安定した車両ルーフが実現される。
【0049】
添付の図と併せて説明されている以下の例から更なる利点、特徴、及び改良形態が明らかになる。同じ又は同様の要素、又は同じ効果を有する要素、は、全ての図にわたって同じ参照符号を有し得る。
【0050】
図面には、以下の図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】一例示的実施形態による車両の概略図を示す。
図2】一例示的実施形態による装置又は装置部分の1つの姿勢の概略図を示す。
図3】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図4】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図5】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図6】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図7】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図8】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図9】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図10】一例示的実施形態による装置又は装置部分の別の姿勢の概略図を示す。
図11】一例示的実施形態によるカバーのためのカバー補強部の概略図を示す。
図12】一例示的実施形態によるカバーの概略図を示す。
図13】一例示的実施形態によるカバー装置の概略図を示す。
図14】更なる一例示的実施形態による装置又は装置部分の概略図を示す。
図15】更なる一例示的実施形態による装置又は装置部分の概略図を示す。
図16】更なる一例示的実施形態による装置又は装置部分の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、車両100の車両ルーフ101の概略図を示す。車両ルーフ101は、特に、自動車100の一部、例えば乗用車の一部、である。車両ルーフ101は、装置200を有する。装置200は、カバー103を有する。カバー103は、ルーフ開口部102を閉じるために使用される。長手方向Xへのカバー103の滑動によって、ルーフ開口部102を閉じることも、少なくとも部分的に開くこともできる。このために、カバー103は、車両ルーフ101の固定ルーフ要素129に対してX方向に滑動可能である。
【0053】
図1は、カバー103をその閉位置で示している。閉位置において、カバー103はルーフ開口部102を閉じている。ルーフ開口部102を少なくとも部分的に開くために、カバー103はその閉位置から垂直方向Zにチルトアップ可能であり、且つ長手方向Xに滑動可能である。
【0054】
装置200は、特にスポイラールーフのように構成されている。例えば図2図10に模式的に示されているように、装置200は開閉レバー109を有する。これは、後部開閉レバー109とも称され得る。開閉レバー109は、カバー103の後端部107をチルトアップ及びプルダウンするために使用される。後端部107は、長手方向Xにカバー103の前縁106の反対側に配置されている。カバーの前縁106は、車両100のフロントウインドウ104に最も近い。
【0055】
開閉レバー109は、ガイドレール108に支持されている。ガイドレール108は、長手方向Xに配置されており、横方向Yにルーフ開口部102に隣接して車両100のボディ105に接続されている。移動機構151とも称され得る開機構が対応付けられたガイドレール108がルーフ開口部102の両側に配置されている(図2)。開機構151又は装置200は、両側で同じであり、相互に対応して形成されている。以下においては、片側のみを説明する。この説明は、ルーフ開口部102の反対側にも相応に当てはまる。
【0056】
開閉レバーは、移動スライダー130をX方向の後端に有する。移動スライダー130は、開閉レバー109に対して回転可能である。移動スライダー130は、カバー103に、特にカバー103のカバーキャリア140に、連結されている。カバーキャリアは、例えば、カバー103のカバー補強部141(図11)にねじ止めされている。
【0057】
カバー103が移動スライダー130に対してX方向に滑動可能であるように、カバー103又はカバーキャリア104は、移動スライダー130に保持されている。また、開閉レバー109と移動スライダー130とによって、カバーの後端部107において、カバー103を、特にカバーの後範囲を、垂直方向Zにチルトアップ及びプルダウンさせることができる。
【0058】
開閉レバー109は、レバー連結リンク(eine Hebelkulisse、a lever slotted track)116を有する。レバー連結リンクは、移動スライダー130の前方にX方向に配置されている。開閉レバー109の突出範囲128が移動スライダー130とレバー連結リンク116との間にX方向に形成されている。滑りピン115がレバー連結リンク116のX方向前方に開閉レバー109に形成されている。滑りピン115(開閉レバーに固定のピン)は、開閉レバーから横方向Yに突出している。したがって、滑りピン115は、開閉レバー109の長手方向Xの前端に形成されている。この後方に、レバー連結リンク116が形成されている。移動スライダー130は、開閉レバー109の後端で後続の突出範囲128に配置されている。
【0059】
滑りピン(einen Gleitpin、a sliding pin)115は、連結リンク(eine Kulisse、a slotted track)114に噛み合う。連結リンク114は、ガイドレール108に形成されている。連結リンク114と滑りピン115とは、一緒に第1の連結部111を開閉レバー109とガイドレール108との間に形成している。第1の連結部111は、開閉レバー109とガイドレール108との間の第2の連結部112より、カバーの前縁106に近い。
【0060】
ガイドレール108は、別の滑りピン(ガイドレールに固定のピン)117を有する。別の滑りピン117は、レバー連結リンク116内を案内される。レバー連結リンク116と別の滑りピン117とは、一緒に第2の連結部112を形成する。第2の連結部112は、滑りピン115と移動スライダー130との間に形成される。
【0061】
レバー連結リンク116は、コース126を有する。レバー連結リンク116は、長手方向Xに前方から後方に、最初に直線コース154を有する。コース126は、上昇領域113をレバー連結リンク116の後端に有する。上昇領域113は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、ほぼ垂直方向Zに延びている。直線領域154は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、ほぼ長手方向Xに延びている。閉位置(図2図5図10)において、別の滑りピン117は上昇領域113に配置されている。
【0062】
開閉レバー109及びカバー103は、閉位置から最初に換気位置(図3図6)に枢転可能である。その後、カバー103を開閉レバー109に対して開位置(図4図7図9)に滑動できる。
【0063】
開閉レバー109の枢転及び滑動のために、装置200は駆動キャリッジ110を有する。駆動キャリッジ110は、例えば図5図7に明示されている。駆動キャリッジ110は、開閉レバー109を動かすために使用される。駆動キャリッジ110は、例えば、別の駆動キャリッジ131(図5図6)への連結部によって駆動される。別の駆動キャリッジ131は、駆動ケーブル134によって、例えば良好な圧縮強度及び引張強度を有するスレッドケーブルによって、電気モーターに接続されている。作動中、駆動ケーブル134は、別の駆動キャリッジ131を長手方向Xに滑動する。カバー103の閉位置からのこの滑動は、ロッキング要素127(図5図6図7)によって、駆動キャリッジ110に伝達される。したがって、駆動キャリッジ110も長手方向Xに後方に滑動される。駆動キャリッジ114は、ガイドレール108を案内される。
【0064】
図2図10の例示的実施形態において、駆動キャリッジ110は、駆動連結リンク124を有する。駆動連結リンク124は、長手方向Xに最初に直線コースを有し、次にほぼ垂直方向Zに延びる領域を有する(図8)。
【0065】
図2図10の例示的実施形態において、駆動キャリッジ110は、駆動ピン125を有する。駆動ピン125は、駆動連結リンク124に噛み合う。駆動ピン125が駆動連結リンク124の直線領域に配置されているとき、駆動キャリッジ110は、開閉レバー109に対して長手方向Xに滑動可能である。開閉レバー109は、駆動連結リンク124の直線領域への駆動ピンの噛み合いによって、不測の動きに対して垂直方向Zに固定及びロックされる。
【0066】
駆動ピン125が駆動連結リンク124の垂直領域に配置されるや否や、長手方向Xへの駆動キャリッジ110の滑動が開閉レバー109の長手方向Xへの動きに変換される。したがって、駆動キャリッジ110は、開閉レバー109をガイドレール108に対して長手方向Xに滑動させることができる。
【0067】
ガイドレール108に対する開閉レバー109の滑動は、第2の連結部112及びレバー連結リンク116のコース126の故に、開閉レバー109の枢転をもたらす。この枢転の回転軸は、特に滑りピン115に配置されている。
【0068】
ガイドレール108のレバー連結リンク116及び連結リンク114の両方の直線領域の故に、枢転された開閉レバー109は、ガイドレールに対して長手方向Xに滑動可能である。したがって、移動スライダー130は、換気位置から固定ルーフ要素129の上をさらに後方に滑動可能である。
【0069】
この滑動中、及び開位置において、開閉レバーを確実にガイドレール108上に垂直方向Zに支持するために、支持ピン118が開閉レバー109に形成されている(図5図6図7図8)。この支持ピンは、横方向Yに突出しており、支持連結リンク119(図3図4図10)と連携するように構成されている。支持連結リンク119は、ガイドレール108の後範囲に形成されている。
【0070】
換気位置への開閉レバー109の押上げ後、支持ピン118は、垂直方向Zに支持連結リンク119と同じ平面に配置される。X方向への開閉レバー109の滑動により、支持ピン118は支持連結リンク119に入る。支持連結リンク119は、X方向に直線状に形成されている。したがって、支持ピン118は、支持連結リンク119の、特に垂直方向Zに底部及び最上部側の、壁に載ることができる。したがって力、特に垂直方向Zへの力、を開閉レバー109からガイドレール108に伝達できる。したがって、開閉レバー109は、特に開位置において、支持ピン118によっても支持される。
【0071】
開閉レバー109は、第1の側面領域122を有する。第1の側面領域122は、XZ平面に位置合わせされている。開閉レバー109は、第2の側面領域123を有する。第2の側面領域123もZX平面に位置合わせされている。第1の側面領域122と第2の側面領域123とは、横方向Yに互いに離れている。開閉レバー109は、横方向Yに接続領域120を有する。この接続領域は、XY平面に配置されている。接続領域120は、2つの側面領域122、123を接続する。
【0072】
ガイドレール108の複数部分が2つの側面領域122、123の間に配置され得る。特に、側面領域122は、ガイドレール108の片側に配置され、第2の側面領域123は、ガイドレール108の反対側に、又はガイドレール108の中間領域に、配置されている。
【0073】
例えば、滑りピン115及びレバー連結リンク116は、開閉レバー109の第1の側面領域122に形成されている。例えば、駆動連結リンク124、支持ピン118、及び移動スライダー130は、開閉レバー109の第2の側面領域123に配置されている。したがって、連結部111、112のさまざまな要素と駆動、滑動、及び連結のための更なる要素とを開閉レバー109のさまざまな領域に、及びガイドレール108のさまざまな側面領域に、配置可能である。これにより、設置スペースの効率的使用が可能になる。
【0074】
カバー103の前縁106を垂直方向Zにチルトアップ及びプルダウンするために、カバー103に、特にカバーキャリア140に、カバー連結リンク132が形成されている。別の駆動キャリッジ131は、カバー連結リンク132に噛み合う。したがって、別の駆動キャリッジ131は、カバー103及びカバーキャリア140に対して段階的に動くことができる。別の駆動キャリッジ131がカバー連結リンク132の端部に配置されているとき、別の駆動キャリッジ131のX方向への動きがカバーキャリア140及びカバー103に伝達される。
【0075】
カバーキャリア140は、フロントウインドウ104に最も近いその前端にカバースライダー133を有する。カバースライダー133は、カバーキャリア140に取り付けられているので、例えば、カバーキャリア140に対して枢転又は滑動不能である。カバースライダー133をカバーキャリア140に対して、横方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能にすることも可能である。ただし、この例示的実施形態におけるカバースライダー133は、カバーキャリア140に対して、長手方向X及び/又は垂直方向Zに不動である。カバースライダー133は、ガイドレール108内を案内され、カバーの前縁のチルトアップ及び滑動のために使用される。
【0076】
突出範囲128は、開閉レバー109の後側に形成されている。突出範囲128は、特に、駆動連結リンク124から移動スライダー130まで長手方向Xに後方に延在する。カバー103が換気位置にあるとき、この突出範囲128は、例えば、固定ルーフ要素(別のカバーとも称する)129の前方に依然として配置されている。
【0077】
カバー103の換気位置から開位置まで、開閉レバーは、ガイドレール108に対してX方向に滑動されるので、突出範囲128は垂直方向Zに固定ルーフ要素129の上方に配置される。開閉レバー109の突出範囲128は、固定ルーフ要素129の上を後方に突出する。開閉レバー109はX方向に前方に直線状に延在し、滑りピン115と、比較的前方の別の滑りピン117とに載り、さらに支持ピン118によって保持される。
【0078】
ロッキング要素127によって、駆動キャリッジ110は、別の駆動キャリッジ131から連結解除され、ガイドレール108に対してX方向にロックされる。例えば、ロッキング要素は、開閉レバー109から遠いその端部において、ガイドレール108の対応するロック連結リンクに噛み合う。
【0079】
カバー103をさらに開くために、その後、カバー103を開閉レバー109に対してX方向に後方に滑動させる。したがって、開位置において、カバー103を垂直方向Zに第1のルーフ要素129の上方に配置できる。
【0080】
カバー103が全開位置にあるとき、開閉レバー109の滑りピン115は、例えば、別の駆動キャリッジ131の長手方向X前方に配置されている。全開位置において、カバー連結リンク132は、長手方向Xに滑りピン115の後方に配置されている。したがって、カバー103が全開位置にあるとき、開閉レバー109は、長手方向Xにカバー103の前縁106の前方に延在する。カバー103が全開位置にあるとき、カバー103の前縁106は、長手方向Xに滑りピン115と移動スライダー130との間に配置されている。
【0081】
カバーが全開位置にあるとき、別の駆動キャリッジ131は、長手方向Xに滑りピン115と移動スライダー130との間に配置されている。カバー103が全開位置にあるとき、別の駆動キャリッジ131は、横方向Yに開閉レバー109に隣接して配置されている。カバー103が開位置にあるとき、開閉レバー109は、カバー103の閉位置に比べ、カバー103に対して枢転されている。開閉レバー109の枢転は、固定ルーフ要素129に対して後端部107をチルトアップさせる。
【0082】
開閉レバー109は、カバー103の何れの位置においても、垂直方向Z又は横方向Yより長手方向Xに常に長いので、カバーキャリア140を比較的後方に、特に固定ルーフ要素129の上方に、支持できる。カバー103の閉位置において、及び換気位置において、開閉レバー109は、カバー103の長手伸展範囲121に沿って延在する。カバーの長手伸展範囲121は、前縁106と後端部107との間に長手方向Xに延在する。カバー103が閉鎖されているとき、及びカバー103が換気位置に配置されているとき、開閉レバー109は、フロントウインドウ104の方向に、長手方向Xに、例えば、カバー103の長手伸展範囲121の5分の1、4分の1、3分の1以上、例えば最大2分の1又は最大3分の2、に沿って前方に延在する。
【0083】
カバーキャリア140を長手方向Xにできる限り後方に支持すると、カバーキャリア140を介して滑りピン115及び別の滑りピン117に作用するてこ力が減る。特に、カバー13が開いているとき、移動スライダー130は、固定ルーフ要素129の上方に配置されている。滑りピン115によって開閉レバー109の前端をX方向にできる限り前方に支持すると、好ましいてこ力ももたらされるので、カバー103をはるか後方に滑動させたときでも、開閉レバー109が確実に支持される。支持ピン118による支持は、本装置をさらに安定化させる。したがって、全体として、ルーフ開口部107の大きな開口サイズを実現できる。その理由は、カバー103を相対的にはるか後方に滑動させられる一方で、カバー103を依然として開閉レバー109によって確実に支持及び保持できるからである。
【0084】
固定ルーフ要素129は、例えば、ルーフ開口部102に配置される別のカバーである。固定ルーフ要素129を、車両のボディ105の一部に、又は車両ルーフ101を形成してルーフ開口部を取り囲むパネルに、することも可能である。装置200は、カバー103を全開させるために、装置200の諸要素と更なる機構要素とが固定ルーフ要素129の下を通過する必要がないように、構成されている。特に、別の駆動キャリッジ131は、固定ルーフ要素129の前部までしか進まない。
【0085】
装置200は、良好な支持比、ひいては高い固有剛性、を有する。Z方向に比較的小さなスペースを占める一方で、開閉レバー109の安定的な支持が、特に支持ピン118によって、実現される。滑りピン115上の開閉レバー109の旋回点に近い、第2の連結部112による開閉レバー109の制御は、後端におけるZ方向への大きな上昇を小さな回転角度で可能にする。このために、特に、追加の開閉レバー又は連結レバーは必要ない。
【0086】
図11は、装置200において特に有利に使用可能な、カバー補強部141を示す。ただし、更なる複数の例示的実施形態によると、カバー補強部141は、他の装置でも有利に使用可能である。カバー補強部141は、例えば、外部ガイド式スライディングルーフ又は、例えば固定ルーフ要素129を有する、他の何れかの種類のカバー103、にも使用可能である。
【0087】
カバー補強部141は、特に、例えばシートメタル製の、深絞り成形された部品である。図示の例示的実施形態において、カバー補強部141は、フレームとして配置されている。カバー補強部141を部分領域にのみ、例えば、長手方向Xに前縁106と後端部107との間にカバー103の2辺に沿ってのみ、形成することも可能である。
【0088】
カバー補強部141は、X方向に延びる両長辺152、153に取り付けタブ143を有する。2つの取り付けタブ143は、同様であり、互いに対応して形成されている。以下においては、単一の取り付けタブ143について説明する。もう一方の取り付けタブ143も同様に構成されている。
【0089】
取り付けタブ143は、長手方向Xに細長く、互いに距離を置いて配置された2つの取り付け界面144、145を有する。カバー装置150を形成するために、カバーキャリア140を取り付け界面144、145(図13)に取り付けることができる。例えば、カバーキャリア140は、ねじによって、取り付け界面144、145に取り付けられる。
【0090】
取り付け界面144、145は、互いに距離148を置いて配置されている。この距離148は、例えば10cm以上であり、例えば、距離148は、20cm~50cm、又は20cm~40cm、の範囲内の値を有する。
【0091】
取り付けタブ143は、2つの取り付け界面144、145の間にワンピースとして形成されている。取り付けタブ143は、取り付け界面144、145の間に形成された中間領域149を有する。取り付けタブ143の中間領域149は、カバー補強部141の材料を備えている。
【0092】
製作中、取り付けタブ143は、取り付けタブ143が垂直方向Zに向くように、その全長にわたってカバー補強部141からワンピースとして曲げられる。したがって、取り付けタブ143は、XZ平面に延在する。
【0093】
2つの取り付け界面144、145は、それぞれ別個の要素としては形成されず、共通の単一の取り付けタブ143の一部である。取り付けタブ143は、その全長146にわたってワンピースとして形成され、カバー補強部141の材料から形成されている。
【0094】
2つの取り付け界面144、145は、取り付けタブ143の中間領域149によって互いに接続されている。中間領域149は、特に、2つの取り付け界面144、145の間で力を伝達するように構成されている。
【0095】
全長146にわたってワンピースとして延在する取り付けタブ143は、2つの取り付け界面144、145の間に大きな断面二次モーメントを可能にする。カバー補強部141のシートメタルの成形は、取り付け界面144と取り付け界面145との間で連続的である。したがって、カバー補強部141の、ひいてはカバー103の、剛性が増す。例えば、各長辺上に複数の取り付けタブを有する従来のカバー補強部に比べ、約1Hzの固有振動数が増加する。
【0096】
図12は、カバー補強部141を有するカバー103を示す。カバー補強部141は、接続部142によってカバー103のパネル147に取り付けられている。パネル147は、例えば、表面的に延在するガラスパネル又は表面的に延在するプラスチックパネル、又は別の材料製のパネル、である。カバー補強部141は、運転中に車両100の内部に面するパネル147の側面に取り付けられる、特に発泡成形される。接続部142は、例えば、パネル147に付着するプラスチックを備え、カバー補強部141を取り付ける。例えば、接続部142は、PUフォーム又は別のプラスチックフォームを備える。
【0097】
図13は、カバー補強部141とカバーキャリア140とを備えたカバー装置150を示す。稼働可能状態で、カバーキャリア140も取り付け界面144、145によってカバー補強部141の第2の長辺135に取り付けられている。
【0098】
図14図16は、更なる一例示的実施形態による装置200の概略図を示す。図14図16の例示的実施形態による装置200は、図2図10の例示的実施形態にほぼ相当する。図2図10の例示的実施形態とは異なり、図14図16の例示的実施形態における装置200は、開閉レバー109と駆動キャリッジ110との間に異なる連結部を有する。また、レバー連結リンク116は、異なるコース126を有する。図14図16の例示的実施形態には、駆動連結リンク124と駆動ピン125とが存在しない。他の点では、例えば、開閉レバー109、別の駆動キャリッジ131、ロッキング要素127、及びカバーキャリア140のそれぞれの実施形態は、上記の実施形態に相当する。
【0099】
図14図16の例示的実施形態においては、駆動キャリッジ110と開閉レバー109との間に一切の滑動が発生しないように、駆動キャリッジ110と開閉レバー109とは、互いに接続されている。ガイドレール108に対する駆動キャリッジ110の滑動は、ガイドレール108に対する開閉レバー109の対応する滑動を常にもたらす。
【0100】
駆動キャリッジ110と開閉レバー109とは、滑りピン115によって互いに連結されている。滑りピン115は、ガイドレール108を通って連結リンク114内に横方向Yに延在する。横方向Yにおいて、開閉レバー109は、特に開閉レバー109の側面領域122は、滑りピン115の片側に配置されている。滑りピン115の横方向Yの反対側で、滑りピン115は駆動キャリッジ110に取り付けられている。駆動キャリッジは、例えば、2つの側面領域122、123の間に横方向Yに配置されている。駆動キャリッジは、例えば、垂直方向Zに接続領域120の下に配置されている。
【0101】
滑りピン115は、駆動キャリッジ110に堅固に、長手方向Xに不動に、連結されている。駆動キャリッジ110の動きは、滑りピン115によって、開閉レバー109に伝達される。したがって、ガイドレール108に対する駆動キャリッジ110のロックが、滑りピン115によって、開閉レバー109伝達される。開閉レバー109は、駆動キャリッジ110に対して回転軸を中心に枢転可能である。この回転軸は横方向に向いており、例えば滑りピン115によって、事前に規定されている。駆動キャリッジ110に対する枢転によって、移動スライダー130を垂直方向Zに動かすことができる。
【0102】
駆動キャリッジ110は、ガイドレール108内に滑動可能に保持及び案内され、長手方向Xに直線状に延在する。滑りピン115は、移動スライダー130から遠い、駆動キャリッジの端部に配置されている。移動スライダー130に最も近い、駆動キャリッジの反対側の端部において、駆動キャリッジはロッキング要素127に接続されている。
【0103】
レバー連結リンク116は、コース126を有する。コース126は、長手方向Xにレバー連結リンク116の直線領域154と別の直線領域155との間に、上昇領域113を有する。長手方向Xの前方から後方に、レバー連結リンク116は、初めに直線コース154を有し、その後に上昇領域113を有する。コース126は、レバー連結リンク116の後端に、別の直線領域155を有する。
【0104】
直線領域154及び別の直線領域155の各々は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、ほぼ長手方向Xに延び、垂直方向Zに互いにずれている。上昇領域113は、特に開閉レバー109が押上げられたとき、長手方向X及び垂直方向Zにずらして配置されている直線領域154と別の直線領域155とを互いに接続するために、例えば垂直方向Zに対して斜めに、且つ長手方向Xに対して斜めに、延びている。
【0105】
図14図16の例示的実施形態によると、例えば、支持ピン118と移動スライダー130とは、開閉レバー109の第2の側面領域123に配置されている。駆動キャリッジ110の滑動を開閉レバー109に伝達するために、駆動キャリッジ110は、滑りピン115において駆動キャリッジ110に連結されているので、図1図10の例示的実施形態において第2の側面領域123に設けられている駆動連結リンク124を省くことができる。
【0106】
閉位置において、別の滑りピン117は、別の直線領域155に配置されている。閉位置において、開閉レバー109は、レバー連結リンク116の別の直線領域155への別の滑りピン117の噛み合いによって固定され、垂直方向Zへの不測の動きに対してロックされている。上昇領域113に沿った滑りピン117の動きは、ガイドレール108に対する開閉レバー109の枢転をもたらす。
【0107】
記載の移動機構151を有する装置200では、細長い開閉レバー109がガイドレール108上に確実に支持され、突出範囲128によって固定ルーフ要素129の上方に相対的に後方にも配置可能であり、細長いワンピース型取り付けタブ143を有するカバー補強部141からの追加の安定性は、開位置において後方へのカバー103の滑動、ひいてはルーフ開口部102の大きな開口、を可能にする。カバー103の良好な安定性、開閉レバー109の良好な支持、及び移動スライダー130を比較的後方に配置できるという事実の故に、開位置におけるカバー103のはるか後方への位置付けが確実に可能である。このために必要な設置スペースは比較的小さい。
【符号の説明】
【0108】
100 自動車
101 車両ルーフ
102 ルーフ開口部
103 可動カバー
104 フロントウインドウ
105 ボディ
106 前縁
107 後端部
108 ガイドレール
109 開閉レバー
110 駆動キャリッジ
111 第1の連結部
112 第2の連結部
113 上昇領域
114 連結リンク
115 滑りピン(開閉レバーに固定のピン)
116 レバー連結リンク
117 滑りピン(ガイドレールに固定のピン)
118 支持ピン
119 支持連結リンク
120 接続領域
121 カバーの長手伸展範囲
122 側面領域
123 側面領域
124 駆動連結リンク
125 駆動ピン
126 コース
127 ロッキング要素
128 突出範囲
129 固定ルーフ要素(別のカバー)
130 移動スライダー
131 別の駆動キャリッジ
132 カバー連結リンク
133 カバースライダー
134 駆動ケーブル
140 カバーキャリア
141 カバー補強部
142 接続部
143 取り付けタブ
144、145 取り付け界面
146 長さ
147 パネル
148 距離
149 中間領域
150 カバー装置
151 移動機構
152、153 長辺
154 直線領域
155 別の直線領域
200 装置

X 長手方向
Y 横方向
Z 垂直方向
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項4】
前記開閉レバー(109)と前記駆動キャリッジ(110)とが互いに対して長手方向(X)に剛連結されるように、前記駆動キャリッジ(110)は前記開閉レバー(109 )の滑りピン(115)に枢転可能に連結されている、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
ルーフ開口部(102)を有する車両ルーフであって、
請求項1~14の何れか1項に記載の装置(200)と、
前記可動カバー(103)と、
別のカバー(129)と、
を有し、前記可動カバー(103)は、その開位置において、前記別のカバー(129)の上方に配置されており、前記可動カバー(103)と前記別のカバー(129)と前記ルーフ開口部(102)とは、前記可動カバー(103)と前記別のカバー(129)とを一緒に前記ルーフ開口部(102)に配置できるように、寸法決めされている、車両ルーフ。
【国際調査報告】