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特表2024-530194ベンゾ環含有誘導体およびその製造方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ベンゾ環含有誘導体およびその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/79 20060101AFI20240808BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 31/661 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240808BHJP
   C07F 9/655 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C07D307/79 CSP
A61K31/343
A61K31/661
A61P23/00
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/24
A61P1/08
A61P25/06
A61P25/18
A61P25/08
A61P25/00
A61P43/00 111
A61K31/05
C07F9/655
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507187
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2022110558
(87)【国際公開番号】W WO2023011634
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110900267.6
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523134152
【氏名又は名称】シューチン バイオファーマ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523134163
【氏名又は名称】チアンスー エヌエイチダブリュエー ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】馮加権
(72)【発明者】
【氏名】鄒元海
(72)【発明者】
【氏名】万澤紅
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
4H050
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA06
4C086DA37
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA04
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZA29
4C086ZA71
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206AA04
4C206CA17
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA04
4C206ZA05
4C206ZA06
4C206ZA08
4C206ZA12
4C206ZA18
4C206ZA29
4C206ZA71
4C206ZC41
4H050AA01
4H050AB21
4H050AC40
4H050BB20
4H050BE15
(57)【要約】
本発明は、ベンゾ環含有誘導体およびその製造方法と応用に関する。特に、本発明は、一般式(Ia)で示される化合物、その製造方法、および当該化合物を含有する医薬組成物、ならびに、それがGABAA受容体アゴニストとしての中枢神経系の分野における応用、特に哺乳動物の麻酔を誘導および維持する方面における応用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(Ia)で示される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】

そのうち、
環Aは、C5-6シクロアルキル基または5~6員ヘテロシクリル基であり、
Raは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、
R1は、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基またはC1-6ハロアルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、
Yは、水素、ナトリウム、カリウム、C1-6アルキル基、または
【化2】

であり、
RAAおよびRBBは、それぞれ独立的に水素、重水素、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、プロトン化アミンまたはプロトン化アミノ酸であり、前記アルカリ金属イオンはNa+、K+またはLi+であり、前記アルカリ土類金属イオンはBe2+、Mg2+またはCa2+であり、前記プロトン化アミンはトロメタミン、トリエタノールアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンまたはN-メチルグルカミンであり、前記アミノ酸は、アルギニンまたはリジンであり、かつ
xは0~5の整数である、
化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
一般式(I)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩であって、
【化3】

そのうち、
環Aは、C5-6シクロアルキル基または5~6員ヘテロシクリル基であり、
Raは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、
R1は、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基またはC1-6ハロアルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、かつ
xは0~5の整数である、
化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
以下の条件のうちの1種または複数種を満たす:
(1)環Aは、C5-6シクロアルキル基、または1~3個のN、OもしくはS原子を含む5~6員ヘテロシクリル基であり、好ましくは、
【化4】

であり、そのうち、Mは、CRaaRbb、NRaa、O、またはSであり、好ましくはCRaaRbbまたはOであり、より好ましくはCH2またはOであり、そのうち、RaaおよびRbbは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、またはC1-6ハロアルキル基であり、好ましくは水素またはC1-6アルキル基であり、より好ましくは水素またはC1-3アルキル基であり、
(2)Yは、水素または
【化5】

であり、
(3)RAAおよびRBBは、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基、アルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオンであり、前記アルカリ金属イオンはNa+、K+またはLi+であり、前記アルカリ土類金属イオンはBe2+、Mg2+またはCa2+であり、好ましくは、アルカリ金属イオンはNa+、K+またはLi+であり、より好ましくは、Na+であり、
(4)Raは、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基、またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは、水素、C1-3アルキル基、またはC3-5シクロアルキル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、またはシクロプロピル基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基であり、
(5)R1は、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素、フッ素、塩素または臭素であり、より好ましくは水素、フッ素または塩素であり、
(6)R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、より好ましくは水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、さらに好ましくはメチル基またはシクロプロピル基であり、
(7)xは、0、1、または2である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
【化6】


【化7】

である、
ことを特徴とする請求項3に記載の化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(Ia)は、さらに一般式(IIa)で示される:
【化8】

そのうち、
R4、R4'、R5、およびR5'は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、または3~6員ヘテロシクリル基であり、好ましくは水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、より好ましくは水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、さらに好ましくは水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、
R1、R2、R3およびYは、請求項1、3および4のいずれか一項に記載のとおりである、
ことを特徴とする請求項1、3および4のいずれか一項に記載の一般式(Ia)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
一般式(I)は、さらに一般式(II)で示される:
【化9】

そのうち、
R4、R4'、R5、およびR5'は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、または3~6員ヘテロシクリル基であり、好ましくは水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、より好ましくは水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、さらに好ましくは水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、
R1、R2およびR3は、請求項2~4のいずれか一項に記載のとおりである、
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の一般式(I)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
以下の条件のうちの1種または複数種を満たす:
(1)R4およびR4'は、それぞれ独立的に水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基であり、
(2)R5およびR5'は、それぞれ独立的に水素またはメチル基である、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記化合物は、
【化10】

のいずれか1つの構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記化合物は、
【化11】

のいずれか1つの構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
一般式(Ia)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、前記製造方法は、以下のいずれか1つの方法である:
方法1は、溶媒中、式Ia-1で示される化合物を、脱ヒドロキシル化試薬および酸の存在下で、脱ヒドロキシル化反応させて、式Iaで示される化合物を得るステップを含み、
【化12】

そのうち、環A、R1、R2およびR3、Ra、Yおよびxの定義は、請求項1、3および4のいずれか一項に記載のとおりであり、
方法2は、溶媒中、式Iで示される化合物をX2-Yおよび塩基の存在下で置換反応させて、式Iaで示される化合物を得るステップを含み、
【化13】

そのうち、環A、R1、R2およびR3、Ra、Yおよびxの定義は、請求項1、3および4のいずれか一項に記載のとおりであり、Yの定義にはHは含まれず、X2はハロゲンである、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項11】
一般式(I)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、溶媒中、式I-1で示される化合物を、脱ヒドロキシル化試薬および酸の存在下で、脱ヒドロキシル化反応させて、式Iで示される化合物を得るステップを含み、
【化14】

そのうち、環A、R1、R2およびR3、Raおよびxの定義は、請求項2~4のいずれか一項に記載のとおりである、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項12】
治療有効量の請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体または薬学的に許容される塩、および1種または複数種の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、
医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩、あるいは請求項12に記載の医薬組成物の、GABAA受容体アゴニスト薬物の製造における、
応用。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩、あるいは請求項12に記載の医薬組成物の、中枢神経系の分野における薬物の製造における、
応用。
【請求項15】
前記中枢神経系の分野における薬物は、哺乳動物の麻酔を誘導および維持し、哺乳動物の鎮静や催眠を促進し、不安、うつ病、不眠症、吐き気、嘔吐、片頭痛、統合失調症、けいれん、またはてんかんを治療および/または予防するための薬物である、
ことを特徴とする請求項14に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2021年8月6日の中国特許出願2021109002676の優先権を主張する。上記中国特許出願の全文は、本願に援用されている。
【0002】
技術分野
本発明は、医薬化学の分野に属し、特にベンゾ環含有誘導体およびその製造方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
GABAA受容体は、中枢神経系における主要な抑制性神経伝達物質受容体である。GABAA受容体は、膜貫通ポリペプチドサブユニットの五量体で構成され、19種の異なるサブユニットが複数種の異なるGABAA受容体サブタイプを構成する。GABAA受容体は、麻酔、うつ病、不安、てんかん、記憶障害、薬物依存などの複数種の疾患の発症機序および診断治療に関与する。したがって、GABAA受容体は薬理学的および臨床的に重要な薬物作用の標的である。プロポフォールおよびその誘導体は、GABAAを標的とする重要な化合物の一種である。
【0004】
プロポフォールは、複数種のGABAA受容体サブタイプを活性化することができ、短時間作用型の静脈内全身麻酔薬であり、作用発現が速く、明らかな蓄積がなく、覚醒が速く完全であるという利点を有し、その注射液は全身麻酔の導入と維持に臨床的に使用されている。しかしながら、プロポフォールはすでに臨床的に成熟した静脈麻酔薬であり、広く使用されているが、水溶性が低いため、適切な製剤に調製することが難しく、臨床において乳剤の形式で注射投与せざるを得ないという、明らかな制限および欠点もある。これにより、従来のプロポフォール薬物は、1.物理的安定性が低く、2.油滴サイズが比較的大きいため血管塞栓を引き起こす可能性があり、3.約70%の患者がプロポフォールを注射する時にある程度の痛みや不快感を有し、4.投与前に少数の注射可能な製品のみと選択的に混合することができ、5.乳剤は細菌が繁殖しやすく、6.心臓に対する毒性副作用を起こしやすく、7.収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧を低下させる可能性があるため、臨床的には低血圧を引き起こし、8.呼吸抑制などの有害作用などを引き起こしやすい、という欠点を有する。これらの欠点は、プロポフォールの臨床における応用を大きく制限する。
【0005】
したがって、従来技術の不足に基づいて、巨大な市場の需要を満たすために、より良好な安定性、より良好な薬力学的特性およびより良好な安全性を有し、かつ比較的低い薬物の有害作用および副作用を有するGABAA受容体アゴニスト薬物を開発することが急務となっている。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明が解決しようとする技術問題は、ベンゾ環含有誘導体およびその製造方法と応用を提供することである。
【0007】
本発明は、一般式(Ia)で示される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を提供することを目的とする:
【0008】
【化1】
【0009】
そのうち、
環Aは、C5-6シクロアルキル基または5~6員ヘテロシクリル基であり、
Raは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、
R1は、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基またはC1-6ハロアルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、
Yは、水素、ナトリウム、カリウム、C1-6アルキル基、または
【0010】
【化2】
【0011】
であり、
RAAおよびRBBは、それぞれ独立的に水素、重水素、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、プロトン化アミンまたはプロトン化アミノ酸であり、上記アルカリ金属イオンはNa+、K+またはLi+であり、上記アルカリ土類金属イオンはBe2+、Mg2+またはCa2+であり、上記プロトン化アミンはトロメタミン、トリエタノールアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンまたはN-メチルグルカミンであり、上記アミノ酸は、アルギニンまたはリジンであり、かつ
xは0~5の整数である。
【0012】
ある好ましい実施形態において、環Aは、C5-6シクロアルキル基、または1~3個のN、OもしくはS原子を含む5~6員ヘテロシクリル基である。
【0013】
ある好ましい実施形態において、環Aは、好ましくは
【0014】
【化3】
【0015】
であり、
そのうち、
Mは、CRaaRbb、NRaa、OまたはSであり、好ましくはCRaaRbbまたはOであり、より好ましくはCH2またはOであり、
RaaおよびRbbは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、またはC1-6ハロアルキル基であり、好ましくは水素またはC1-6アルキル基であり、より好ましくは水素またはC1-3アルキル基である。
【0016】
ある好ましい実施形態において、Raは、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは、水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基である。
【0017】
ある好ましい実施形態において、R1は、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素、フッ素、塩素または臭素であり、より好ましくは水素、フッ素または塩素である。
【0018】
ある好ましい実施形態において、R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基、またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは、水素、C1-3アルキル基、またはC3-5シクロアルキル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、またはシクロプロピル基であり、さらに好ましくは、メチル基またはシクロプロピル基である。
【0019】
ある好ましい実施形態において、Yは水素または
【0020】
【化4】
【0021】
である。
ある好ましい実施形態において、RAAおよびRBBは、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであり、上記アルカリ金属イオンはNa+、K+またはLi+であり、上記アルカリ土類金属イオンはBe2+、Mg2+またはCa2+である。RAAおよびRBBは、好ましくはアルカリ金属イオンであり、より好ましくはNa+である。
【0022】
ある好ましい実施形態において、xは0、1または2である。
【0023】
ある好ましい実施形態において、
【0024】
【化5】
【0025】
は、
【0026】
【化6】
【0027】
である。
本発明は、一般式(I)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩をさらに提供する:
【0028】
【化7】
【0029】
そのうち、
環Aは、C5-6シクロアルキル基または5~6員ヘテロシクリル基であり、
Raは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、
R1は、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基またはC1-6ハロアルキル基であり、
R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基または3~6員ヘテロシクリル基であり、かつ
xは0~5の整数である。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施例において、環Aは、C5-6シクロアルキル基、または1~3個のN、OもしくはS原子を含む5~6員ヘテロシクリル基である。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施例において、環Aは、好ましくは
【0032】
【化8】
【0033】
であり、
そのうち、
Mは、CRaaRbb、NRaa、OまたはSであり、好ましくはCRaaRbbまたはOであり、より好ましくはCH2またはOであり、
RaaおよびRbbは、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、またはC1-6ハロアルキル基であり、好ましくは水素またはC1-6アルキル基であり、より好ましくは水素またはC1-3アルキル基である。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施例において、Raは、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは、水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基である。
【0035】
本発明のさらに好ましい実施例において、R1は、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素、フッ素、塩素または臭素であり、より好ましくは水素、フッ素または塩素である。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施例において、R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基、またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは、水素、C1-3アルキル基、またはC3-5シクロアルキル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、またはシクロプロピル基であり、さらに好ましくは、メチル基またはシクロプロピル基である。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施例においては、xは0、1または2である。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施例において、
【0039】
【化9】
【0040】
は、
【0041】
【化10】
【0042】
である。
本発明のさらに好ましい実施例において、一般式(Ia)は、さらに一般式(IIa)で示される:
【0043】
【化11】
【0044】
そのうち、
R4、R4'、R5、およびR5'は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、または3~6員ヘテロシクリル基であり、好ましくは水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、より好ましくは水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、さらに好ましくは水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、特に好ましくは水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基であり、
R1、R2、R3およびYの定義は、それぞれ上記一般式(Ia)に記載したとおりである。
【0045】
ある好ましい実施形態において、R4およびR4'は、それぞれ独立的に水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基である。
【0046】
ある好ましい実施形態において、R5およびR5'は、それぞれ独立的に水素またはメチル基である。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施例において、一般式(I)は、さらに一般式(II)で示される:
【0048】
【化12】
【0049】
そのうち、
R4、R4'、R5、およびR5'は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキル基、C1-6重水素化アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、または3~6員ヘテロシクリル基であり、好ましくは水素、C1-6アルキル基またはC3-6シクロアルキル基であり、より好ましくは水素、C1-3アルキル基またはC3-5シクロアルキル基であり、さらに好ましくは水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはシクロプロピル基であり、特に好ましくは水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基であり、
R1、R2、およびR3の定義は、それぞれ上記一般式(I)に記載したとおりである。
【0050】
ある好ましい実施形態において、R4およびR4'は、それぞれ独立的に水素、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基である。
【0051】
ある好ましい実施形態において、R5およびR5'は、それぞれ独立的に水素またはメチル基である。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施例において、R1は、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素、フッ素、塩素または臭素であり、さらに好ましくは水素、フッ素または塩素である。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施例において、R2およびR3は、それぞれ独立的に水素、C1-6アルキル基、またはC3-6シクロアルキル基であり、好ましくは、水素、C1-3アルキル基、またはC3-5シクロアルキル基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、またはシクロプロピル基であり、特に好ましくは、メチル基またはシクロプロピル基である。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施例において、上記一般式(Ia)、一般式(I)、一般式(IIa)または一般式(II)に記載した化合物は、以下の化合物、
【0055】
【化13】
【0056】
を含まない。
本発明のさらに好ましい実施例において、上記化合物は、
【0057】
【化14】
【0058】
のいずれか1つの構造である。
ある実施形態において、上記化合物は、
【0059】
【化15】
【0060】
のいずれか1つの構造であってもよい。
本発明は、以下のいずれか1つの化合物である化合物をさらに提供する(ただし-OBnは-オキシベンジルである):
【0061】
【化16】
【0062】
である。
本発明は、以下のいずれか1つの化合物である化合物をさらに提供する:
(1)以下の条件下で保持時間が5.976 minの化合物
【0063】
【化17】
【0064】
(以下、キラル中間体A1と略称する)または保持時間が9.428 minの化合物
【0065】
【化18】
【0066】
(以下、キラル中間体A2と略称する):クロマトグラフィーカラム:DAICEL CHIRALPAK(登録商標)IG、250*25 mm 10 μm;移動相:n-ヘキサン/エタノール=80/20;流速:30 mL/min;検出波長:254 nm、
(2)以下の条件下で保持時間が1.956 minの化合物
【0067】
【化19】
【0068】
(以下、キラル中間体B1と略称する)または保持時間が2.224 minの化合物
【0069】
【化20】
【0070】
(以下、キラル中間体B2と略称する):クロマトグラフィーカラム:DAICEL CHIRALCEL(登録商標)OJ、250*25 mm 10 μm;移動相:超臨界CO2/MeOH(MeOHには、0.1%の7.0 mol/Lのアンモニアが含まれる)=80/20;流速:120 mL/min;検出波長:214 nm、
そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0071】
ある実施形態において、化合物10A1
【0072】
【化21】
【0073】
は、上記のキラル中間体A1、Pd/CおよびNa2CO3の脱ベンジル反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0074】
ある実施形態において、化合物10A2
【0075】
【化22】
【0076】
は、上記のキラル中間体A2、Pd/CおよびNa2CO3の脱ベンジル反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0077】
ある実施形態において、化合物10B1
【0078】
【化23】
【0079】
は、上記のキラル中間体B1、Pd/CおよびNa2CO3の脱ベンジル反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0080】
ある実施形態において、化合物10B2
【0081】
【化24】
【0082】
は、上記のキラル中間体B2、Pd/CおよびNa2CO3の脱ベンジル反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0083】
ある実施形態において、化合物11A1
【0084】
【化25】
【0085】
は、上記のキラル中間体A1と塩酸のプロトン化反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0086】
ある実施形態において、化合物11A2
【0087】
【化26】
【0088】
は、上記のキラル中間体A2と塩酸のプロトン化反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0089】
ある実施形態において、化合物11B1
【0090】
【化27】
【0091】
は、上記のキラル中間体B1と塩酸のプロトン化反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0092】
ある実施形態において、化合物11B2
【0093】
【化28】
【0094】
は、上記のキラル中間体B2と塩酸のプロトン化反応によって製造され、そのうち、「*」付きの炭素原子は不斉炭素原子であり、(R)または(S)単一エナンチオマーとして存在する。
【0095】
本発明は、一般式(I)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩の製造方法をさらに提供する。上記製造方法は、市販の原料を用いて公知の方法により合成することができる。
【0096】
ある実施形態において、上記製造方法は、好ましくは、溶媒中、式I-1で示される化合物を、脱ヒドロキシル化試薬および酸の存在下で、脱ヒドロキシル化反応させて、式Iで示される化合物を得るステップを含み、
【0097】
【化29】
【0098】
そのうち、環A、R1、R2とR3、Raとxの定義は、すべて上記のとおりである。
【0099】
ある実施形態において、上記脱ヒドロキシル化反応の条件は、当分野においてそのような反応のための通常の条件であり得る。
【0100】
ある実施形態において、上記溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素溶媒、好ましくはジクロロメタンである、当分野においてそのような反応のための通常の溶媒であり得る。
【0101】
ある実施形態において、上記脱ヒドロキシル化試薬は、例えば、シラン系脱ヒドロキシル化試薬、好ましくはトリエチルシランである、当分野においてそのような反応のための通常の脱ヒドロキシル化試薬であり得る。
【0102】
ある実施形態において、上記酸は、例えば、有機強酸、好ましくはトリフルオロ酢酸である、当分野においてそのような反応のための通常の酸であり得る。
【0103】
ある実施形態において、上記製造方法は、溶媒中、式I-2で示される化合物をグリニャール試薬R3-MgX1の存在下で置換反応させて、式I-1で示される化合物を得るステップをさらに含んでもよく、
【0104】
【化30】
【0105】
そのうち、R3の定義は、上記のとおりであり、X1はハロゲンである。
【0106】
ある実施形態において、上記置換反応の条件は、当分野においてそのような反応のための通常の条件であり得る。
【0107】
ある実施形態において、上記ハロゲンは、グリニャール試薬における通常のハロゲン、例えば、Cl、BrまたはI、好ましくはBrであり得る。
【0108】
ある実施形態において、上記溶媒は、例えば、エーテル溶媒、好ましくはテトラヒドロフランである、当分野においてそのような反応のための通常の溶媒であり得る。
【0109】
本発明は、一般式(Ia)で示される化合物、その立体異性体、またはその薬学的に許容される塩の製造方法をさらに提供する。上記製造方法は、市販の原料を用いて公知の方法により合成することができる。
【0110】
ある実施形態において、上記製造方法は、好ましくは、以下のいずれか1つの方法である:
【0111】
方法1は、溶媒中、式Ia-1で示される化合物を、脱ヒドロキシル化試薬および酸の存在下で、脱ヒドロキシル化反応させて、式Iaで示される化合物を得るステップを含み、
【0112】
【化31】
【0113】
そのうち、環A、R1、R2およびR3、Ra、Yおよびxの定義は、すべて上記のとおりであり、
方法2は、溶媒中、式Iで示される化合物をX2-Yおよび塩基の存在下で置換反応させて、式Iaで示される化合物を得るステップを含み、
【0114】
【化32】
【0115】
そのうち、環A、R1、R2およびR3、Ra、Yおよびxの定義は、すべて上記のとおりであり、Yの定義にはHは含まれず、X2はハロゲンである。
【0116】
ある実施形態において、上記方法1では、上記脱ヒドロキシル化反応の条件は、当分野においてそのような反応のための通常の条件であり得る。
【0117】
ある実施形態において、上記方法1では、上記溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素溶媒、好ましくはジクロロメタンである、当分野においてそのような反応のための通常の溶媒であり得る。
【0118】
ある実施形態において、上記方法1では、上記脱ヒドロキシル化試薬は、例えば、シラン系脱ヒドロキシル化試薬、好ましくはトリエチルシランである、当分野においてそのような反応のための通常の脱ヒドロキシル化試薬であり得る。
【0119】
ある実施形態において、上記方法1では、上記酸は、例えば、有機強酸、好ましくはトリフルオロ酢酸である、当分野においてそのような反応のための通常の酸であり得る。
【0120】
ある実施形態において、上記方法2では、上記置換反応の条件は、当分野においてそのような反応のための通常の条件であり得る。
【0121】
ある実施形態において、上記方法2では、上記ハロゲンは、例えば、F、Cl、BrまたはI、好ましくはClである、当分野においてそのような反応のための通常のハロゲンであり得る。
【0122】
ある実施形態において、上記方法2では、上記溶媒は、例えば、アミド系溶媒、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドである、当分野においてそのような反応のための通常の溶媒であり得る。
【0123】
ある実施形態において、上記方法2では、上記塩基は、例えば、アルカリ金属水素化物、好ましくはNaHである、当分野においてそのような反応のための通常の塩基であり得る。
【0124】
ある実施形態において、上記方法1は、溶媒中、式Ia-2で示される化合物をグリニャール試薬R3-MgX1の存在下で置換反応させて、式Ia-1で示される化合物を得るステップをさらに含んでもよく、
【0125】
【化33】
【0126】
そのうち、R3の定義は、上記のとおりであり、X1はハロゲンである。
【0127】
ある実施形態において、上記置換反応の条件は、当分野においてそのような反応のための通常の条件であり得る。
【0128】
ある実施形態において、上記ハロゲンは、グリニャール試薬における通常のハロゲン、例えば、Cl、BrまたはI、好ましくはBrであり得る。
【0129】
ある実施形態において、上記溶媒は、例えば、エーテル溶媒、好ましくはテトラヒドロフランである、当分野においてそのような反応のための通常の溶媒であり得る。
【0130】
本発明はさらに、治療有効量のいずれか1つで示される化合物、その立体異性体または薬学的に許容される塩、および1種または複数種の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0131】
本発明はさらに、いずれか1つで示される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物の、GABAA受容体アゴニスト薬物の製造における応用に関する。
【0132】
本発明はさらに、いずれか1つで示される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物の、中枢神経系の分野における薬物の製造における応用に関する。
【0133】
本発明のさらに好ましい実施形態において、中枢神経系の分野における薬物は、哺乳動物の麻酔を誘導および維持し、哺乳動物の鎮静や催眠を促進し、不安、うつ病、不眠症、吐き気、嘔吐、片頭痛、統合失調症、けいれん、またはてんかんを治療および/または予防するための薬物である。
【0134】
本発明はさらに、いずれか1つで示される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物の、哺乳動物の麻酔を誘導および維持し、哺乳動物の鎮静や催眠を促進し、不安、うつ病、不眠症、吐き気、嘔吐、片頭痛、統合失調症、けいれん、またはてんかんを治療および/または予防するための薬物の製造における応用に関する。
【0135】
本発明はさらに、哺乳動物の麻酔を誘導および維持し、哺乳動物の鎮静や催眠を促進し、不安、うつ病、不眠症、吐き気、嘔吐、片頭痛、統合失調症、けいれん、またはてんかんなどの疾患を治療および/または予防する方法であって、治療有効量のいずれか1つで示される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物を上記哺乳動物に投与することを含む方法に関する。
【0136】
発明の詳細な説明
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が存在する場合、本願で提供される定義が優先される。本明細書に商品名が現れる場合、その対応する商品またはその活性成分を指すことを意図する。本明細書で引用されるすべての特許、すでに公開された特許出願、および刊行物は、すべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
用語「アルキル基」とは、単結合によって分子の残りの部分に連結している、炭素原子および水素原子からなる直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。「アルキル基」は、1~8個またはそれ以上の炭素原子を有してもよく、すなわち「C1~C8アルキル基」、例えばC1-4アルキル基、C1-3アルキル基、C1-2アルキル基、C3アルキル基、C4アルキル基、C1-6アルキル基、C3-6アルキル基である。アルキル基の非限定的な実例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基または1,2-ジメチルブチル基など、あるいはそれらの異性体を含むが、これらに限定されない。アルキル基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記アルキル基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0138】
用語「シクロアルキル基」とは、飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式の環状炭化水素置換基を指し、シクロアルキル基は3~20個の炭素原子を含み、好ましくは3~12個の炭素原子を含み、より好ましくは3~6個の炭素原子を含み、最も好ましくは3~5個の炭素原子または5~6個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクチル基などを含み、多環式シクロアルキル基は、スピロ環、縮合環および架橋環のシクロアルキル基を含む。
【0139】
用語「スピロシクロアルキル基」とは、5~20員の単環同士が1つの炭素原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式基を指し、それは、1つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。環と環の間で共有されるスピロ原子の数により、スピロシクロアルキル基をモノスピロシクロアルキル基、ビススピロシクロアルキル基またはポリスピロシクロアルキル基に分けられ、好ましくは、モノスピロシクロアルキル基、またはビススピロシクロアルキル基であり、より好ましくは、3員/6員、3員/5員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または5員/6員のモノスピロシクロアルキル基である。モノスピロシクロアルキル基とヘテロシクリルアルキル基がスピロ原子を共有するスピロヘテロシクリルアルキル基も含まれる。
【0140】
用語「縮合シクロアルキル基」とは、5~20員で、系内の各環が系内の他の環と、隣接する1対の炭素原子を共有する全炭素多環式基を指し、そのうち、1つまたは複数の環は1つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。構成する環の数によって二環式、三環式、四環式または多環式の縮合シクロアルキル基に分けられ、好ましくは二環式または三環式の縮合シクロアルキル基であり、より好ましくは5員/5員または5員/6員の二環式アルキル基である。
【0141】
用語「架橋シクロアルキル基」とは、5~20員で、任意の2つの環が直接連結されていない2つの炭素原子を共有する全炭素多環式基を指し、そのうち、1つまたは複数の二重結合を含むが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。構成する環の数によって二環式、三環式、四環式または多環式の架橋シクロアルキル基に分けられ、好ましくは二環式、三環式または四環式の架橋シクロアルキル基であり、より好ましくは二環式または三環式の架橋シクロアルキル基である。
【0142】
上記シクロアルキル基は、すべてアリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロシクロアルキル基環に縮合されてもよく、そのうち、親構造に連結された環はシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記シクロアルキル基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0143】
用語「ヘテロシクリル基」とは、飽和または不飽和の単環式または多環式の環状炭化水素置換基を指し、それは3~20個の環原子を含み、そのうち、1つまたは複数の環原子は、窒素、酸素およびS(O)m(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であるが、-O-O-、-O-S-または-S-S-の環部分を含まず、残りの環原子は炭素である。好ましくは、3~12個の環原子を含み、そのうち1~4個のヘテロ原子を含み、より好ましくは、3~6個の環原子を含み、そのうち1~3個のヘテロ原子を含み、さらに好ましくは、1~3個のN、OおよびS原子から選ばれる5~6員ヘテロシクリル基を含む。
【0144】
単環式ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、オキセタニル基、チエタニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロイミダゾリル基、ジヒドロフリル基、ジヒドロピラゾリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、1,3-ジオキソシクロペンチル基、2,2-ジフルオロ-1,3-ジオキソシクロペンチル基、またはアゼパニル基などを含む。多環式ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、スピロ環、縮合環および架橋環のヘテロシクリル基を含み、そのうち、関与するスピロ環、縮合環および架橋環のヘテロシクリル基は、任意選択的に他の基と単結合によって連結され、または環上の任意の2つまたは2つ以上の原子によって他のシクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、およびヘテロアリール基とさらに環連結される。
【0145】
用語「スピロヘテロシクリル基」とは、5~20員の単環同士が1つの炭素原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、そのうち、1つまたは複数の環原子は、窒素、酸素またはS(O)m(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。それは、1つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。環と環の間で共有されるスピロ原子の数により、スピロヘテロシクリル基をモノスピロヘテロシクリル基、ビススピロヘテロシクリル基またはポリスピロヘテロシクリル基に分けられ、好ましくは、モノスピロヘテロシクリル基、またはビススピロヘテロシクリル基であり、より好ましくは、3員/6員、3員/5員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または5員/6員のモノスピロヘテロシクリル基である。
【0146】
用語「縮合ヘテロシクリル基」とは、5~20員で、系内の各環が系内の他の環と、隣接する1対の原子を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、そのうち、1つまたは複数の環原子は窒素、酸素またはS(O)m(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素であり、そのうち、1つまたは複数の環は1つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。構成する環の数によって二環式、三環式、四環式または多環式の縮合ヘテロシクリル基に分けられ、好ましくは二環式または三環式の縮合ヘテロシクリル基であり、より好ましくは5員/5員または5員/6員の二環式縮合ヘテロシクリル基である。
【0147】
用語「架橋ヘテロシクリル基」とは、5~20員で、任意の2つの環が直接連結されていない2つの原子を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、そのうち、1つまたは複数の環原子は窒素、酸素またはS(O)m(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素であり、そのうち、1つまたは複数の二重結合を含むが、完全に共役したπ電子系を有する環は1つもない。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員である。構成する環の数によって二環式、三環式、四環式または多環式の架橋ヘテロシクリル基に分けられ、好ましくは二環式、三環式または四環式の架橋ヘテロシクリル基であり、より好ましくは二環式または三環式の架橋ヘテロシクリル基である。
【0148】
上記ヘテロシクリル基は、すべてアリール基、ヘテロアリール基、またはシクロアルキル基環に縮合されてもよく、そのうち、親構造に連結された環はヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記ヘテロシクリル基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0149】
用語「アリール基」とは、共役したπ電子系を有する6~14員の全炭素単環式または縮合多環式基を指し、好ましくは6~12員であり、例えば、フェニル基またはナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。上記アリール基はヘテロアリール基、ヘテロシクリル基またはシクロアルキル基環に縮合されてもよく、そのうち、親構造に連結された環はアリール基環であり、ベンゾ5~10員ヘテロアリール基、ベンゾ3~8員シクロアルキル基、およびベンゾ3~8員ヘテロシクリル基を含み、好ましくはベンゾ5~6員ヘテロアリール基、ベンゾ3~6員シクロアルキル基、およびベンゾ3~6員ヘテロシクリル基を含む。アリール基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記アリール基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0150】
用語「ヘテロアリール基」とは、1~4個のヘテロ原子、5~14個の環原子を含むヘテロ芳香族系を指し、そのうち、ヘテロ原子は酸素、硫黄および窒素などから選ばれる。ヘテロアリール基は、好ましくは5~12員、より好ましくは5~6員、例えばピロリル基、イミダゾリル基、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基などである。上記ヘテロアリール環は、アリール基、シクロアルキル基またはヘテロシクリル基環に縮合されてもよく、そのうち、親構造に連結された環はヘテロアリール基環である。ヘテロアリール基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記ヘテロアリール基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0151】
用語「アルコキシ基」とは、-O-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記のとおりである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などを含む。アルコキシ基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記アルコキシ基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0152】
用語「アルキルチオ基」とは、-S-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記のとおりである。アルキルチオ基の非限定的な実例は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などを含む。アルキルチオ基は、任意選択的に置換または非置換であってもよく、置換される場合、置換基は任意の使用可能な結合点で置換されてもよく、上記置換基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、オキソ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基またはヘテロアリール基から独立的に選ばれる1つまたは複数の基である。上記アルキルチオ基が置換基で置換される場合、上記置換基はさらに置換されない。
【0153】
用語「ハロ」または「ハロゲン」または「ハロゲン化」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)原子、好ましくはフッ素、塩素、臭素原子を意味すると理解されるべきである。
【0154】
用語「重水素化アルキル基」とは、1つまたは複数の重水素で置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義されたとおりである。
【0155】
用語「ハロアルキル基」とは、1つまたは複数のハロゲンで置換されたアルキル基であり、そのうち、アルキル基は上記に定義されたとおりである。
【0156】
用語「ハロアルコキシ基」とは、1つまたは複数のハロゲンで置換されたアルコキシ基であり、そのうち、アルコキシ基は上記に定義されたとおりである。
【0157】
用語「アルケニル基」とは、アルケン基とも称するアルケニル基を指し、そのうち、上記アルケンは、他の関連する基でさらに置換され得る。
【0158】
用語「アルキニル基」とは、(CH≡C-)を指し、そのうち、上記アルキニル基は、他の関連する基でさらに置換され得る。
【0159】
「ヒドロキシ基」とは、-OHを指す。
「アミノ基」とは、-NH2を指す。
【0160】
「シアノ基」とは、-CNを指す。
「ニトロ基」とは、-NO2を指す。
【0161】
「メルカプト基」とは、-SHを指す。
「カルボニル基」とは、-C(O)-を指す。
【0162】
「カルボキシル基」とは、-C(O)OHを指す。
「オキソ基」とは、=Oを指す。
【0163】
「NBS」とは、N-ブロモスクシンイミドを指す。
「DCM」とは、ジクロロメタンを指す。
【0164】
「Pd(dppf)Cl2」とは、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムを指す。
「NCS」とは、N-クロロスクシンイミドを指す。
【0165】
「DMF」とは、N,N-ジメチルホルムアミドを指す。
「DIEA」とは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指す。
【0166】
「MOM」とは、メトキシメチルエーテルを指す。
「THF」とは、テトラヒドロフランを指す。
【0167】
「TFA」とは、トリフルオロ酢酸を指す。
「AIBN」とは、アゾビスイソブチロニトリルを指す。
【0168】
「PE」とは、石油エーテルを指す。
「EA」とは、酢酸エチルを指す。
【0169】
用語「含む」、「包含する」、「有する」、「含有する」、または「関与する」およびそれらの本明細書における他の変形は、包括的または開放的であり、かつ言及されていない他の要素または方法ステップを排除しない。当業者は、「含む」などの上記の用語が「からなる」の意味を包含することを理解するべきである。
【0170】
用語「1つ(種)または複数(種)」または類似の表現「少なくとも1つ(種)」は、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ(種)または複数(種)を意味し得る。
【0171】
数値範囲の下限および上限が開示される場合、その範囲内にある任意の数値および任意の包含される範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示される値の各取り得る値の範囲は、より広い範囲を包含する各値および範囲を意味すると理解されるべきである。
【0172】
本明細書において、「Z」および「-Z-」は、いずれも同じ特定の基を表し、これらは、互換的に使用され得る。
【0173】
本明細書で使用される表現m~nとは、mからnの範囲、およびその中の各ポイント値からなるサブスコープ、ならびに各ポイント値を指す。例えば、「C2~C8」または「C2-8」という表現は、2~8個の炭素原子の範囲を包含し、その中の任意のサブスコープおよび各ポイント値、例えば、C2~C5、C3~C4、C2~C6、C3~C6、C4~C6、C5~C6、C4~C7、C4~C8など、およびC2、C3、C4、C5、C6、C7、C8なども包含すると理解されるべきである。例えば、「C3~C10」または「C3-10」という表現も類似の方式で理解されるべきであり、例えば、その中に含まれる任意のサブスコープおよび各ポイント値、例えば、C3~C9、C6~C9、C6~C8、C6~C7、C7~C10、C7~C9、C7~C8、C8~C9など、およびC3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10などを包含し得る。また例えば、「C1~C6」または「C1-6」という表現は、1~6個の炭素原子の範囲を包含し、かつその中の任意のサブスコープおよび各ポイント値、例えば、C2~C5、C3~C4、C1~C2、C1~C3、C1~C4、C1~C5、C1~C6など、およびC1、C2、C3、C4、C5、C6なども包含すると理解されるべきである。また例えば、「3員~10員」という表現は、その中の任意のサブスコープおよび各ポイント値、例えば、3員~5員、3員~6員、3員~7員、3員~8員、4員~5員、4員~6員、4員~7員、4員~8員、5員~6員、5員~7員、5員~8員、6員~7員、6員~8員、9員~10員など、および3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員などを包含すると理解されるべきである。本明細書中の他の類似の表現も類似の方式で理解されるべきである。
【0174】
本明細書で使用される表現「XはA、BまたはCから選ばれる」、「XはA、BおよびCから選ばれる」、「XはA、BまたははCである」、「XはA、BおよびCである」などの異なる用語は、いずれも同じ意味を表し、すなわち、XがA、B、Cのいずれか1種または複数種であってもよいことを表す。
【0175】
用語「任意選択」または「任意選択的に」とは、その後に説明されるイベントまたは状況が起こり得る、または起こり得ないことを指し、当該説明は、記載されるイベントまたは状況が発生する場合と、発生しない場合とを含む。例えば、「任意選択(的)にアルキル基で置換されたシクロアルキル基」とは、アルキル基が存在してもよいが、必ずしもそうであるとは限らないことを意味し、当該説明にはシクロアルキル基がアルキル基で置換される場合とシクロアルキル基がアルキル基で置換されない場合が含まれる。
【0176】
用語「置換」および「置換された」とは、指定された原子上の1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ)の水素が、指摘された基から選ばれるもので置換されることを指し、その条件は、指定された原子の現在の状況での通常の原子価を超えなく、かつ上記置換により安定な化合物が形成されることである。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を形成する場合にのみ許容される。ある置換基が存在しないと記載される場合、その構造が化合物を安定な状態にすることができる限り、当該置換基は1つまたは複数の水素原子であってもよいことが理解されるべきである。基内の各炭素原子が任意選択的にヘテロ原子で置換されてもよいと記載される場合、その条件は、基内のすべての原子の現在の状況での通常の原子価を超えなく、かつ安定な化合物が形成されることである。
【0177】
置換基が「任意選択的に…で置換される」と記載される場合、置換基は、非置換でも置換でもよい。ある原子または基が、任意選択的に置換基リストのうちの1つまたは複数で置換されると記載される場合、当該原子または基上の1つまたは複数の水素は、独立的に選ばれる、任意選択の置換基で置き換えられてもよい。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、2つの水素原子が置き換えられることを意味する。本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、置換基の結合点は、置換基の任意の適切な位置からであってもよい。
【0178】
置換基の結合が環内の2つの原子を連結する結合を貫通することを示す場合、そのような置換基は、当該置換可能な環内のいずれか1つの環構成原子に結合してもよい。
【0179】
任意の変数(例えばR)および標識付きの変数(例えばR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7など)が化合物の組成または構造内で1回以上出現する場合、それぞれの場合における定義は、出現毎に独立している。例えば、1つの基が0、1つ、2つ、3つまたは4つのR置換基で置換される場合、上記基は任意選択的に多くとも4つのR置換基で置換してもよく、かつ各場合の各R置換基のオプションはすべて互いに独立している。
【0180】
用語「置換された」は、化合物または基上の1つまたは複数の水素原子が他の原子または基で置き換えられることを意味する。その条件は、安定な原子価または化合物が形成されることである。「非置換」という表現は、「置換されない」とも理解できる。置換基が水素である場合、これは、対応する基が「非置換」または「置換されない」であることを示してもよいことが理解されるべきである。
【0181】
本発明の化合物は、特定の幾何異性体または立体異性体の形態で存在してもよい。本発明においては、シスおよびトランス異性体、(-)-および(+)-エナンチオマー、(R)-および(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、ならびにそのラセミ混合物および他の混合物、例えばエナンチオマー的にまたはジアステレオマー的に富化された混合物を含むと想定され、これらの混合物のすべては、本発明の範囲内に属する。アルキル基などの置換基には、他の不斉炭素原子があってもよい。これらの異性体およびそれらの混合物は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。ある実施形態において、好ましい化合物は、より優れた生物学的活性を示す異性体化合物である。本発明の化合物の精製または部分精製された異性体および立体異性体、あるいはラセミ混合物またはジアステレオマー混合物は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。このような物質の精製および分離は、当分野で知られている標準的技術によって実現することができる。
【0182】
本発明に記載される水素原子は、いずれもその同位体の重水素で置換されてもよく、本発明に係る実施例の化合物におけるいずれか1つの水素原子は、いずれも重水素原子で置換されてもよい。
【0183】
用語「薬学的に許容される」物質とは、正常な医学的判断の範囲内で、不適切な毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに患者の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利害比を有し、かつその目的の用途に有効に使用され得る物質を指す。
【0184】
用語「薬用可能な塩」とは、本発明の化合物の塩を指し、このような塩は、哺乳動物の体内に使用される場合に安全性と有効性を有し、かつ所望の生物学的活性を有する。
【0185】
用語「医薬組成物」とは、1種または複数種の本発明に記載される化合物またはその生理学的に/薬用可能な塩もしくはプロドラッグと他の化学成分を含む混合物、および他の成分、例えば生理学的に/薬用可能な担体または賦形剤を含むものを指す。医薬組成物の目的は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与してさらに生物学的活性を発揮することである。
【0186】
用語「薬学的に許容される担体」とは、有機体に対して明らかな刺激効果を持たず、かつ当該活性化合物の生物学的活性および性能を損なわない物質を指す。「薬学的に許容される担体」は、流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味薬、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、安定剤、溶媒または乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0187】
用語「投与する」または「与える」などとは、化合物または組成物が所望の生物学的作用部位に送達されることを可能にする方法を指す。これらの方法は、経口または非経口(脳室内、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内注射または注入を含む)、局所、直腸投与などを含むが、これらに限定されない。特に注射または経口投与である。
【0188】
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、疾患または症状を緩和、軽減、または改善すること、他の症状を予防すること、症状の潜在代謝因子を改善または予防すること、疾患または症状を抑制すること、例えば、疾患または症状の進行を予防すること、疾患または症状を軽減すること、疾患または症状の緩和を促進すること、あるいは疾患または症状の徴候を停止させることを含み、および予防を含むまで延びる。「治療」は、治療的利益および/または予防的利益を実現することをさらに含む。治療的利益とは、治療される病状の根絶または改善を指す。さらに、治療的利益は、潜在疾患に関連する1つまたは複数の生理学的徴候を根絶または改善することによって達成され、患者が潜在疾患を依然として有している可能性があるにもかかわらず、患者の疾患の改善が観察され得る。予防的利益は、患者が、特定の疾患のリスクを予防するために組成物を使用すること、または患者が、1つまたは複数の疾患の生理学的病状が現れる時、その疾患がまだ診断されていないにもかかわらず、服用することを指す。
【0189】
用語「活性成分」、「治療剤」、「活性物質」、または「活性剤」とは、標的の障害、疾患、または病状を有効的に治療または予防することができる化学物質を指す。用語「神経精神系疾患」とは、神経系疾患および/または精神系疾患を含む、神経系疾患および精神系疾患の総称を指す。
【0190】
薬物、薬物単位または活性成分について、用語「有効量」、「治療有効量」または「予防有効量」とは、許容可能な副作用を伴いながら所望の効果を達成するのに十分な薬物または薬剤の用量を指す。有効量は人によって決定されるもので、個体の年齢と一般的状況に依存し、具体的な活性物質にも依存し、個体での好適な有効量は、当業者により通常の試験によって決定されることができる。
【0191】
本明細書で使用される「個体」は、ヒトまたは非ヒト動物を含む。例示的なヒト個体は、疾患(例えば、本明細書に記載される疾患)に罹患しているヒト個体(患者と称する)または正常個体を含む。本発明の「非ヒト動物」は、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えば鳥類、両生類、爬虫類)、および哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、家畜および/または馴化動物(例えばヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど)を含む。
【0192】
下記の発明の詳細な説明は、非限定的な実施形態を例示することを意図しており、当業者が本発明の技術案、その原理、およびその実際の応用をより十分に理解することを可能にし、これにより、当業者が特定の用途の要件に最も適合し得るように、本発明を多くの形で修正および実施することができる。
【0193】
有益な効果
本発明の化合物は、新規な構造を有し、比較的安定した化学的特性を有し、より良好な麻酔効果を生み出すことができ、より良好な薬効を有し、より安全で、より大きな安全域を有し、副作用がより小さい。
【発明を実施するための形態】
【0194】
発明を実施するための形態
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。また、本発明の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に対して様々な変動や修正を行うことができ、これらの等価形態のものは同様に本発明の請求範囲に含まれると理解すべきである。
【0195】
実施例
以下、実施例を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明するが、当業者であれば理解できるように、以下の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。実施例において具体的な条件が明記されていない場合、一般的な条件またはメーカーが推奨する条件で実行する。使用される試薬または機器は、生産メーカーが明記されていない場合、いずれも市販されている通常の製品であってもよい。特に明記しない限り、本明細書で使用される割合または百分率は重量によるものである。
【0196】
本発明の化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)または/および液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により決定される。
【0197】
NMR化学シフト(δ)は、100万分の1(ppm)単位で示されている。NMRの測定は、AVANCE III 600核磁気装置またはBruker Avance III 400 MHz核磁気装置を用い、測定溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化メタノール(CD3OD)または重水素化クロロホルム(CDCl3)で、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)である。
【0198】
液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)の測定は、日本の島津LCMS2020質量分析計を使用する。HPLCの測定は、日本の島津LC20A液体クロマトグラフを使用する。
【0199】
薄層クロマトグラフィーのシリカゲルプレートは煙台江友シリカゲルプレートを使用し、TLCに使用された仕様は0.2 mm±0.03 mmであり、薄層クロマトグラフィーによる製品の分離精製に使用された仕様は0.4 mm~0.5 mmである。
【0200】
実施例1
5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0201】
【化34】
【0202】
合成方案:
【0203】
【化35】
【0204】
第1ステップ:2-(2-アセチル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸エチルの製造
【0205】
【化36】
【0206】
2,6-ジヒドロキシアセトフェノン(15 g、98.7 mmol)、炭酸カリウム(33.9 g、246.0 mmol)、およびブロモ酢酸エチル(11.46 mL、103.5 mmol)をアセトン(180 mL)に加え、60℃まで昇温し、2時間磁気攪拌反応させた後、冷却濾過し、濾液を濃縮乾燥させて目的生成物(20.85 g、収率89%)を得た。
LC-MS:MS Found: 237 [M-H]-.
【0207】
第2ステップ:2-(2-アセチル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸の製造
【0208】
【化37】
【0209】
2-(2-アセチル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸エチル(20.0 g、95.1 mmol)および水酸化リチウム(12.0 g、285.3 mmol)をMeOH/H2O(400 mL/100 mL)の混合溶媒に加え、室温で2時間撹拌し、減圧下でメタノールを除去し、残りの溶液のpH値を1 MのHCl溶液で3に調整し、さらに水(100 mL)を加え、酢酸エチル(300 mL × 2)で抽出し、有機相を合わせた後、水で洗浄し(200 mL × 2)、飽和食塩水で洗浄し(200 mL × 2)、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、濾液を減圧濃縮して、目的生成物(14 g、収率79%)を得た。
LC-MS:MS Found: 209 [M-H]-.
【0210】
第3ステップ:3-メチルベンゾフラン-4-オールの製造
【0211】
【化38】
【0212】
2-(2-アセチル-3-ヒドロキシフェノキシ)酢酸(14.0 g、66.6 mmol)および酢酸ナトリウム(38.0 g、466 mmol)を無水酢酸(110 mL)に加え、2時間昇温還流反応させ、室温まで冷却した後、氷水に加え、濾過した後、メタノール(100 mL)に溶解させ、水酸化ナトリウム溶液(2 M、100 mL)を加え、30分間昇温還流反応させ、室温に戻した後、水(500 mL)に注ぎ、2 M塩酸溶液でpH値を3.0に調整し、濾過して目的生成物(8 g、収率80%)を得た。
LC-MS:MS Found: 147 [M-H]-.
【0213】
第4ステップ:3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0214】
【化39】
【0215】
3-メチルベンゾフラン-4-オール(8 g、53.3 mmol)およびPd/C(800 mg)をエタノール(200 mL)に加え、水素 (1 atm)雰囲気下で、室温で一晩反応させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)により目的生成物(6 g、収率80%)を得た。
LC-MS:MS Found: 149 [M-H]-.
【0216】
第5ステップ:5-ブロモ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0217】
【化40】
【0218】
0℃で、3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールおよびNBS(2.1 g、11.9 mmol)を酢酸エチル(40 mL)に順次加え、室温に戻して16時間反応させ、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得、逆相カラムクロマトグラフィーにより目的生成物(1.0 g、収率36%)を得た。
LC-MS:MS Found: 227 [M-H]-.
【0219】
第6ステップ:5-ブロモ-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフランの製造
【0220】
【化41】
【0221】
5-ブロモ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(1.0 g、4.3 mmol)をジクロロメタン(20 mL)に溶解し、ブロモメチルメチルエーテル(545 mg、4.3 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.1 g、8.6 mmol)を加え、室温で2時間反応させ、水(20 mL)を加え、酢酸エチル(10 mL × 3)で抽出し、有機相を合わせた後に水で洗浄し(10 mL × 3)、飽和食塩水で洗浄し(10 mL × 3)、有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル= 30:1)により目的生成物(1.0 g、収率83%)を得た。
LC-MS:MS Found: 273 [M+H]+.
【0222】
第7ステップ:4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(プロピル-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフランの製造
【0223】
【化42】
【0224】
5-ブロモ-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン(1.0 g、3.66 mmol)およびイソプロペニルボロン酸ピナコールエステル(1.66 g、9.78 mmol)を1,4-ジオキサン(20 mL)に溶解し、水(2 mL)、Pd(dppf)Cl2(100 mg、0.2 mmol)および炭酸セシウム(3.58 g、10.9 mmol)を加え、窒素保護下で100℃まで昇温して16時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却して水(20 mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(20 mL × 3)、有機相を合わせて濃縮して粗生成物を得、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより目的生成物(800 mg、収率93%)を得た。
LC-MS:MS Found: 235 [M+H]+.
【0225】
第8ステップ:5-イソプロピル-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフランの製造
【0226】
【化43】
【0227】
室温下で、4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(プロピル-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(200 mg、0.854 mmol)およびPd/C(40 mg)をエタノール(10 mL)に順次加え、H2(1 atm)雰囲気下で1時間反応させた後、濾過し、濾液を濃縮して目的生成物(150 mg、収率75%)を得た。
LC-MS:MS Found: 237 [M+H]+.
【0228】
第9ステップ:5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0229】
【化44】
【0230】
5-イソプロピル-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン(150 mg、0.653 mmol)をHCl/EtOH(4 M、3 mL)溶液に加え、室温下で1時間反応させ、濃縮して粗製物を得、逆相分取HPLCにより精製して、目的の最終生成物実施例1(53.2 mg、収率44%)を得た。
LC-MS:MS Found: 191 [M-H]-.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.43 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.62 (dd, J = 8.8 5.2 Hz, 1H), 4.15 (dd, J = 8.8, 5.2 Hz, 1H), 3.60-3.55 (m, 1H), 3.03-3.00 (m, 1H), 1.36 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.24 (dd, J = 8.8, 7.2 Hz, 6H).
【0231】
実施例2
5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-オール
【0232】
【化45】
【0233】
合成方案:
【0234】
【化46】
【0235】
第1ステップ:4-クロロ-7-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの製造
【0236】
【化47】
【0237】
摂氏ゼロ度で、7-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(4.0 g、27.0 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(80 mL)溶液に、N-クロロスクシンイミド(3.6 g、27.0 mmol)を加え、反応混合物を室温下で16時間撹拌した後、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得、逆相カラムにより精製して、目的生成物(2.0 g、収率40%)を得た。
LC-MS:MS Found: 181 [M-H]-.
【0238】
第2ステップ:6-ブロモ-4-クロロ-7-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの製造
【0239】
【化48】
【0240】
4-クロロ-7-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.0 g、10.9 mmol)およびN-ブロモスクシンイミド(1.9 g、10.9 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20 mL)に溶解し、室温下で2時間撹拌し、反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得、逆相カラムにより精製して目的生成物(1.8 g、収率64%)を得た。
LC-MS:MS Found: 259 [M-H]-.
【0241】
第3ステップ:6-ブロモ-4-クロロ-7-(メトキシメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの製造
【0242】
【化49】
【0243】
6-ブロモ-4-クロロ-7-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.8 g、6.9 mmol)のジクロロメタン(10 mL)溶液に、ブロモメチルメチルエーテル(1.0 g、7.6 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.6 g、20.6 mmol)を加え、反応混合物を室温下で16時間撹拌し、水(20 mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせた後に水(10 mL × 2)および食塩水(10 mL × 2)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得、順相シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)により精製して目的生成物(1.7 g、収率55%)を得た。
LC-MS:MS Found: 305 [M+H]+.
【0244】
第4ステップ:6-ブロモ-4-クロロ-7-(メトキシメトキシ)-1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデンの製造
【0245】
【化50】
【0246】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.3 g、6.9 mmol)およびカリウムtert-ブトキシド(749 mg、6.9 mmol)のジエチルエーテル(20 mL)溶液を室温下で15分間撹拌した後、6-ブロモ-4-クロロ-7-(メトキシメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.7 g、5.6 mmol)を加え、室温下で16時間撹拌し、反応混合物を減圧濃縮して粗生成物を得、順相シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=50:1)により精製して目的生成物(1.1 g、収率65%)を得た。
LC-MS:MS Found: 303 [M+H]+.
【0247】
第5ステップ:4-クロロ-7-(メトキシメトキシ)-1-メチレン-6-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデンの製造
【0248】
【化51】
【0249】
6-ブロモ-4-クロロ-7-(メトキシメトキシ)-1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデン(600 mg、1.98 mmol)およびイソプロペニルボロン酸ピナコールエステル(890 mg、5.28 mmol)の1,4-ジオキサン(10 mL)と水(2 mL)の混合溶液に、1,1'-ビスジフェニルホスフィノフェロセンジクロロパラジウム(60 mg、0.2 mmol)および炭酸セシウム(1.9 g、5.93 mmol)を加えた。窒素保護下で、反応混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、水(10 mL)を加え、酢酸エチル(10 mL × 3)で抽出した。合併した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後に減圧濃縮して粗生成物を得、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=50:1)により精製して目的生成物(400 mg、収率76%)を得た。
LC-MS:MS Found: 265 [M+H]+.
【0250】
第6ステップ:6-イソプロピル-7-(メトキシメトキシ)-1-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン
【0251】
【化52】
【0252】
水素(1 atm)雰囲気下で、4-クロロ-7-(メトキシメトキシ)-1-メチレン-6-(プロパ-1-エン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン(400 mg、1.51 mmol)およびパラジウム炭素(40 mg)のエタノール(8 mL)溶液を室温下で一晩撹拌した。反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を真空下で濃縮して目的生成物(280 mg、収率83%)を得た。
LC-MS:MS Found: 235 [M+H]+.
【0253】
第7ステップ:5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-オール
【0254】
【化53】
【0255】
室温下で、6-イソプロピル-7-(メトキシメトキシ)-1-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン(200 mg、0.13 mmol)のエタノール(5 mL)溶液に、濃塩酸(12 M、0.2 mL)を加えた。反応混合物を室温下で15分間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮して粗生成物を得、逆相分取HPLCにより精製して目的の最終生成物実施例2(66.7 mg、収率41%)を得た。
LC-MS:MS Found: 189 [M-H]-.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.01 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.56 (s, 1H), 3.35-3.31 (m, 1H), 3.20-3.13 (m, 1H), 2.98-2.94 (m, 1H), 2.81-2.74 (m, 1H), 2.33-2.24 (m, 1H), 1.78-1.71 (m, 1H), 1.28-1.25 (m, 9H).
【0256】
実施例3
5-(1-シクロプロピルエチル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0257】
【化54】
【0258】
合成方案
【0259】
【化55】
【0260】
第1ステップ:5-ブロモ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0261】
【化56】
【0262】
摂氏ゼロ度で、3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(5.0 g、33.3 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(80 mL)溶液にN-ブロモスクシンイミド(5.89 g、27.0 mmol)を加えた。反応混合物を室温下で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得、逆相カラムにより精製して目的生成物(5.0 g、収率65%)を得た。
LC-MS:MS Found: 227 [M-H]-.
【0263】
第2ステップ:5-ブロモ-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフランの製造
【0264】
【化57】
【0265】
5-ブロモ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(5.0 g、21.8 mmol)のジクロロメタン(100 mL)溶液に、ブロモメチルメチルエーテル(2.8 g、22.8 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.4 g、65.4 mmol)を加えた。反応混合物を室温下で16時間撹拌した。反応混合物に水(20 mL)を加え、酢酸エチル(10 mL × 2)で抽出し、合併した有機相を水(10 mL×2)および食塩水(10 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)により精製して目的生成物(5.2 g、収率87%)を得た。
LC-MS:MS Found: 273 [M+H]+.
【0266】
第3ステップ:5-(1-エトキシビニル)-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフランの製造
【0267】
【化58】
【0268】
5-ブロモ-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン(4.0 g、14.6 mmol)およびトリブチル(1-エトキシビニル)スズ(5.2 g、14.6 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液に、ビストリフェニルホスフィンジクロロパラジウム(511 mg、0.73 mmol)を加えた。窒素保護下で、反応混合物を100℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、水(20 mL)を加え、酢酸エチルEA(10 mL × 2)で抽出し、合併した有機相を水(10 mL × 2)および食塩水(10 mL × 2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、減圧濃縮して粗生成物を得、順相シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)により精製して目的生成物(3.4 g、収率88%)を得た。
LC-MS:MS Found: 265 [M+H]+.
【0269】
第4ステップ:1-(4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタノンの製造
【0270】
【化59】
【0271】
5-(1-エトキシビニル)-4-(メトキシメトキシ)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン(3.4 g、12.87 mmol)のエタノール(60 mL)溶液に、濃塩酸(10 mL)を加えた。反応混合物を室温下で16時間撹拌した。水(20 mL)を反応混合物に加え、酢酸エチルEA(10 mL × 2)で抽出した。合併した有機相を水(10 mL × 2)および食塩水(10 mL × 2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、減圧濃縮して粗生成物を得、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=15:1)により精製して目的生成物(1.8 g、収率73%)を得た。
LC-MS:MS Found: 193 [M+H]+.
【0272】
第5ステップ:5-(1-シクロプロピルビニル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0273】
【化60】
【0274】
1-(4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタノン(1g、5.2 mmol)のテトラヒドロフラン溶液を摂氏ゼロ度で5分間撹拌し、次いでシクロプロピルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1 M、20.8 mL、20.8 mmol)を加え、室温下で2時間撹拌した。水(10 mL)を反応混合物に加え、酢酸エチル(5 mL × 2)で抽出した。合併した有機相を水(5 mL × 2)および食塩水(5 mL × 2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、減圧濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=20:1)により精製して目的生成物(700 mg、収率62%)を得た。
LC-MS:MS Found: 217 [M+H]+.
【0275】
第6ステップ:5-(1-シクロプロピルエチル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0276】

【0277】
水素(1 atm)雰囲気下で、5-(1-シクロプロピルビニル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(400 mg、1.85 mmol)およびパラジウム炭素(100 mg)のエタノール(8 mL)溶液を室温下で一晩撹拌した。反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を真空下で濃縮し、逆相分取HPLCにより精製して目的の最終生成物実施例3(29.8 mg、収率7%)を得た。
LC-MS:MS Found: 217 [M-H]-.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.98 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.86 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.65-4.60 (m, 1H), 4.16-4.13 (m, 1H), 3.62-3.54 (m, 1H), 2.44-2.36 (m, 1H), 1.36 (dd, J = 6.8, 2.0 Hz, 3H), 1.28-1.25 (m, 3H), 1.06-0.96 (m, 1H), 0.59-0.52 (m, 1H), 0.50-0.43(m, 1H), 0.24-0.12 (m, 2H).
【0278】
実施例4
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0279】
【化61】
【0280】
合成方案:
【0281】
【化62】
【0282】
第1ステップ:1-(5-フルオロ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1-オンの製造
【0283】
【化63】
【0284】
4-フルオロベンゼン-1,3-ジオール(14 g、109 mmol)を三フッ化ホウ素エーテル溶液(84 mL)に溶解し、酢酸(12 mL)を滴下し、90℃で5時間反応させ、反応終了後、10%の酢酸ナトリウム水溶液(300 mL)に注ぎ、酢酸エチル(500 mL)で抽出した後、有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液(200 mL)で洗い、乾燥した後に濃縮し、そして石油エーテル/ジクロロメタン(10/1、50 mL)でスラリー化して目的生成物(16 g、収率86%)を得た。
LC-MS:MS Found: 169 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz, DMSO): δ 12.31 (s, 1H), 11.22 (s, 1H), 7.70 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 2.52 (s, 3H).
【0285】
第2ステップ:1-(3-ブロモ-5-フルオロ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1-オンの製造
【0286】
【化64】
【0287】
1-(5-フルオロ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(16 g、94 mmol)をテトラヒドロフラン(320 mL)に溶解し、室温下でNBS(16.75 g、94 mmol)を加えて3時間撹拌し、その後、水を加えて反応をクエンチし、抽出した後、乾燥濃縮して目的生成物(32 g)を得た。
LC-MS:MS Found: 247 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz, DMSO): δ 13.25 (s, 1H), 11.88 (s, 1H), 7.88 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.59 (s, 3H).
【0288】
第3ステップ:1-(4-(アリルオキシ)-3-ブロモ-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オンの製造
【0289】
【化65】
【0290】
1-(3-ブロモ-5-フルオロ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(32 g、129 mmol)および3-ブロモ-1-エン(15.48 g、129 mmol)をDMF(400 mL)に溶解し、炭酸銀(35.58 g、129 mmol)を加え、室温で2日間撹拌し、珪藻土で濾過して透明な溶液を得、酢酸エチルで希釈した後、飽和塩化ナトリウムを加えて抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=3%)により、目的生成物(13 g、収率22%)を得た。
LC-MS:MS Found: 287 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 12.97 (s, 1H), 7.46 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 6.11- 6.04 (m, 1H), 5.45 (d, J = 18.0 Hz, 1H), 5.30 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.81 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 2.59 (s, 3H).
【0291】
第4ステップ:1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オンの製造
【0292】
【化66】
【0293】
1-(4-(アリルオキシ)-3-ブロモ-5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(13 g、47 mmol)を無水トルエン(100 mL)に溶解し、AIBN(8.89 g、54 mmol)および水素化トリ-n-ブチルスズ(26 g、89 mmol)を順次加え、窒素保護下で、100℃で2時間加熱し、反応終了後、酢酸エチル(300 mL)で希釈し、飽和塩化ナトリウムを加えて抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に濃縮し、シリカゲルカラム(PE/EA=4%)により目的生成物(8.6 g、収率91%)を得た。
LC-MS:MS Found: 209 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 12.51 (s, 1H), 7.32 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.85 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 4.36 (dd, J =5.4, 8.4 Hz, 1H), 3.75 - 3.69 (m, 1H), 2.53 (s, 3H), 1.40 (d, J = 6.0 Hz, 3H).
【0294】
第5ステップ:5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0295】
【化67】
【0296】
1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オン(8.6 g、41 mmol)をテトラヒドロフラン(28 mL)に溶解し、氷浴下で1 Mのシクロプロピルマグネシウムブロミド(143 mL)を加え、室温で1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチし、酢酸エチル(200 mL)で抽出した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=12%)により目的生成物(8 g、収率78%)を得た。
LC-MS:MS Found: 251 [M-H]-.
【0297】
第6ステップ:5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの製造
【0298】
【化68】
【0299】
5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(8 g、34 mmol)をジクロロメタン(400 mL)に溶解し、氷浴下で、トリエチルシラン(14.79 g、127 mmol)を滴下し、10分間撹拌した後、トリフルオロ酢酸(28.79 g、253 mmol)を滴下し、1時間撹拌し続けた後、水を加えて反応をクエンチし、抽出後に有機相を収集し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(8.9 g、34 mmol)を加え、室温で30分間撹拌し、反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=3%)により目的の最終生成物実施例4(4 g、収率53%)を得た。
LC-MS:MS Found: 235 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz、CDCl3、非対応異性体1:1): δ 6.82 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.73 - 4.69 (m, 2H), 4.65 (s, 1H), 4.63 (s, 1H), 4.26 - 4.24 (m, 2H), 3.65 - 3.58 (m, 2H), 2.40 - 2.34 (m, 2H), 1.38 - 1.36 (m, 6H), 1.27 - 1.24 (m, 6H), 1.02 - 0.93 (m, 2H), 0.61 - 0.52 (m, 2H), 0.51 - 0.42 (m, 2H), 0.23 - 0.19 (m, 2H), 0.18 - 0.10 (m, 2H).
【0300】
実施例5
7-クロロ-5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0301】
【化69】
【0302】
合成方案:
【0303】
【化70】
【0304】
実施例1を原料とし、5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(400 mg、2.08 mmol)をCHCl3(10 mL)に溶解し、NCS(556 mg、4.16 mmol)を加え、2時間還流反応させた。反応終了後、冷却濃縮して粗生成物を得、分取HPLCにより、目的生成物実施例5(19.5 mg、収率4%)を得た。
LC-MS:MS Found: 225 [M-H]-.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.92 (s, 1H), 6.38 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.71 (dd, J = 8.8, 5.2 Hz, 1H), 4.23 (dd, J = 8.8, 5.2 Hz, 1H), 3.66-3.61 (m, 1H), 3.01-2.95 (m, 1H), 1.36 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.24 (dd, J = 8.8, 7.2 Hz, 6H).
【0305】
実施例6
7-フルオロ-5-イソプロピル-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0306】
【化71】
【0307】
実施例6の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 223 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 6.73 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.48 (s, 1H), 4.28 (s, 2H), 2.98 - 2.91 (m, 1H), 1.46 (s, 6H), 1.23 (d, J = 6.6 Hz,6H).
【0308】
実施例7
7-フルオロ-5-イソプロピル-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0309】
【化72】
【0310】
実施例7の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 209 [M-H]-.
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.74 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.70 (dd, J = 8.8, 5.2 Hz, 1H), 4.24 (dd, J = 8.8, 5.2 Hz, 1H), 3.64-3.58 (m, 1H), 3.04-2.97 (m, 1H), 1.36 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.24 (dd, J = 8.0, 6.8 Hz, 6H).
【0311】
実施例8
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0312】
【化73】
【0313】
実施例8の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 249 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 6.79 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.70 (s, 1H), 4.28 (s, 2H), 2.41 - 2.36 (m, 1H), 1.46 (d, J = 3.0 Hz, 6H), 1.25 (d, J= 6.6 Hz,3H),1.00 - 0.95 (m, 1H), 0.60 - 0.55 (m, 1H), 0.52 - 0.47 (m,1H), 0.22 - 0.18 (m, 1H), 0.16 - 0.12 (m, 1H).
【0314】
実施例9
5-(1-シクロプロピルエチル)-3-エチル-7-フルオロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0315】
【化74】
【0316】
実施例9の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 249 [M-H]-.
1H NMR (600 MHz、CDCl3、ジアステレオマー1:1): δ 6.83 (s, 1H), 6.81 (s, 1H), 4.68 - 4.62 (m, 4H), 4.42 - 4.40 (m, 2H), 3.51 - 3.46 (m, 2H), 2.41 - 2.31 (m, 2H), 1.27 - 1.24 (m, 10H), 0.96 - 0.93 (m, 6H), 0.89 - 0.84 (m, 2H), 0.59 - 0.54 (m, 2H), 0.49 - 0.45 (m, 2H), 0.23 - 0.18 (m, 2H), 0.16 - 0.13 (m, 2H).
【0317】
実施例10
(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウムの4つの光学異性体(10A1、10A2、10B1および10B2)
【0318】
【化75】
【0319】
合成方案A:
【0320】
【化76】
【0321】
第1ステップ:1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オンのキラル分割
80gの1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オンをキラルHPLCで分離し、キラル中間体A(30.5 g、保持時間5.898 min)およびキラル中間体B(29.5 g、保持時間6.858 min)を得た。分離条件:機器がShimadzu LC-20AP、カラムがDAICEL CHIRALPAK(登録商標)IA(250*25 mm 10 μm)、移動相がn-ヘキサン/エタノール(0.1% 7 M NH3 in MeOH)=80/20、波長が214 nm、流速が30 mL/min、温度がRT、時間が4.5 minである。
【0322】
第2ステップ:5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの合成
1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オン(29 g、138 mmol、キラル中間体A)をテトラヒドロフラン(94 mL)に溶解し、氷浴下で1 Mのシクロプロピルマグネシウムブロミド(482 mL)を加え、室温で1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチし、酢酸エチル(800 mL)で抽出した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した後、シリカゲルカラム(PE/EA=12%)により目的生成物5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(26 g、収率75%)を得た。
LC-MS(m/z): [M-H] - 251.00.
【0323】
第3ステップ:5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの合成
5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(26 g、110.5 mmol)をジクロロメタン(1300 mL)に溶解し、氷浴下で、トリエチルシラン(48.07 g、413 mmol)を滴下し、10分間撹拌した後、トリフルオロ酢酸(93.57 g、822 mmol)を滴下し、1時間撹拌し続けた後、水を加えて反応をクエンチし、抽出後に有機相を収集し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(28.9 g、110.5 mmol)を加え、室温で30分間撹拌し、反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥濃縮した後、シリカゲルカラム(PE/EA=3%)により目的の粗生成物5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(27 g)を得た。
LC-MS(m/z): [M-H] - 235.00.
【0324】
第4ステップ:ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルの合成
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(27 g)を無水DMF(400 mL)に溶解し、氷浴下で水素化ナトリウム(5.4 g、135 mmol)を加え、氷浴下で30分間撹拌し続け、ジベンジルクロロメチルホスフェート(30 g、92 mmol)を加え、室温まで昇温した後に一晩撹拌し、反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応をクエンチし、酢酸エチル(600 mL)で抽出した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、シリカゲルカラム(PE/EA=20%)により目的生成物のジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルを得た。
LC-MS(m/z): [M+H] + 527.10.
【0325】
第5ステップ:ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルのキラル分割
キラルHPLCで分離し、キラル中間体A1(12.2 g、保持時間5.976 min)およびキラル中間体A2(10.3 g、保持時間9.428 min)を得た。分離条件:機器がShamdzu LC20-AP、カラムがDAICEL CHIRALPAK(登録商標)IG(250*25 mm 10 μm)、移動相がn-ヘキサン/エタノール=80/20、波長が254 nm、流速が30 mL/min、温度がRT、時間が25 minである。
【0326】
第6ステップ:(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウム(光学異性体10A1および10A2)の合成
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体A1(2 g、3.8 mmol)のテトラヒドロフラン(20 mL)溶液に、水(10 mL)およびPd/C(600 mg)を加え、混合物を大気圧の水素下で2時間撹拌し、珪藻土濾過により触媒を除去し、濾液を炭酸ナトリウム(400 mg、3.8 mmol)の水溶液(5 mL)で処理し、テトラヒドロフランを減圧留去し、残りの水溶液をジクロロメタンで3回抽出し、水層を凍結乾燥して目的生成物の(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウム光学異性体10A1(1.2 g、収率91%)を得た。
1H NMR (600 MHz, D2O) δ 7.16 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 5.36 - 5.34 (m, 1H), 5.22 - 5.20 (m, 1H), 4.77 - 4.76 (m, 1H), 4.31 - 4.29 (m, 1H), 3.95 - 3.92 (m, 1H), 2.47 - 2.43 (m, 1H), 1.33 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.18 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.05 - 0.99 (m, 1H), 0.59 - 0.54 (m, 1H), 0.40 - 0.36 (m, 1H), 0.33 - 0.30 (m, 1H), 0.18 - 0.14 (m, 1H).
【0327】
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体A2(2 g、3.8 mmol)は、同じ操作手順を使用して、目的生成物の(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウム光学異性体10A2(1.1 g、収率84%)を得た。
1H NMR (600 MHz, D2O) δ 7.11 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 5.35 - 5.33 (m, 1H), 5.20 - 5.18 (m, 1H), 4.77 - 4.75 (m, 1H), 4.32 - 4.29 (m, 1H), 3.97 - 3.91 (m, 1H), 2.55 - 2.51 (m, 1H), 1.33 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.18 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.96 - 0.90 (m, 1H), 0.53 - 0.49 (m, 1H), 0.30 - 0.21 (m, 2H), 0.10 - 0.06 (m, 1H).
【0328】
合成方案B:
【0329】
【化77】
【0330】
第1ステップ:1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オンのキラル分割
80gの1-(7-フルオロ-4-ヒドロキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)エタン-1-オンをキラルHPLCで分離し、キラル中間体A(30.5 g、保持時間5.898 min)およびキラル中間体B(29.5 g、保持時間6.858 min)を得た。分離条件:機器がShimadzu LC-20AP、カラムがDAICEL CHIRALPAK(登録商標)IA(250*25 mm 10 μm)、移動相がn-ヘキサン/エタノール(0.1% 7 M NH3 in MeOH)=80/20、波長が214 nm、流速が30 mL/min、温度がRT、時間が4.5 minである。
【0331】
第2ステップ:5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの合成
キラル中間体Aの第2ステップの合成方法を参照して、キラル中間体Bを原料とし、目的生成物の5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(32.6 g)を合成して得た。
LC-MS(m/z): [M-H] - 251.00.
【0332】
第3ステップ:5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの合成
キラル中間体Aの第3ステップの合成方法を参照して、5-(1-シクロプロピル-1-ヒドロキシエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(32.6 g)を原料とし、目的粗生成物の5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(27.5g)を合成して得た。
LC-MS(m/z): [M-H] - 235.00.
【0333】
第4ステップ:ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルの合成
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(21 g)を無水DMF(300 mL)に溶解し、氷浴下で水素化ナトリウム(4.2 g、129 mmol)を加え、氷浴下で30分間撹拌し続け、ジベンジルクロロメチルホスフェート(23 g、71 mmol)を加え、室温まで昇温した後に一晩撹拌し、反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応をクエンチし、酢酸エチル(500 mL)で抽出した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、シリカゲルカラム(PE/EA=20%)により目的生成物を得た。
LC-MS(m/z): [M+H] + 527.10.
【0334】
第5ステップ:ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルのキラル分割
キラルHPLCで分離し、キラル中間体B1(10.5 g、保持時間1.956 min)およびキラル中間体B2(9.8 g、保持時間2.224 min)を得た。分離条件:機器がWaters SFC 150、カラムがDAICEL CHIRALCEL(登録商標)OJ(250*25 mm 10 μm)、移動相がSupercritical CO2/MeOH(0.1% 7.0 mol/L Ammonia in MeOH)=80/20、波長が214 nm、流速が120 mL/min、温度がRT、時間が2.5 minである。
【0335】
第6ステップ:(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウム(光学異性体10B1および10B2)の合成
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体B1(2 g、3.8 mmol)のテトラヒドロフラン(20 mL)溶液に、水(10 mL)およびPd/C(600 mg)を加え、混合物を大気圧の水素下で2時間撹拌し、珪藻土濾過により触媒を除去し、濾液を炭酸ナトリウム(400 mg、3.8 mmol)の水溶液(5 mL)で処理し、テトラヒドロフランを減圧留去し、残りの水溶液をジクロロメタンで3回抽出し、水層を凍結乾燥して目的生成物の(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウム光学異性体10B1(1.3 g、収率99%)を得た。
1H NMR (600 MHz, D2O) δ 7.17 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 5.36 - 5.34 (m, 1H), 5.22 - 5.20 (m, 1H), 4.77 - 4.76 (m, 1H), 4.32 - 4.29 (m, 1H), 3.97 - 3.91 (m, 1H), 2.48 - 2.43 (m, 1H), 1.33 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.18 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.06 - 1.00 (m, 1H), 0.59 - 0.54 (m, 1H), 0.41 - 0.36 (m, 1H), 0.34 - 0.30 (m, 1H), 0.18 - 0.14 (m, 1H).
【0336】
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体B2(2 g、3.8 mmol)は、同じ操作手順を使用して、目的生成物の(5-(1-シクロプロピル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)オキシメチルリン酸ナトリウム光学異性体10B2(1.2 g、収率91%)を得た。
1H NMR (600 MHz, D2O) δ 7.10 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 5.35 - 5.33 (m, 1H), 5.19 - 5.17 (m, 1H), 4.78 - 4.76 (m, 1H), 4.31 - 4.28 (m, 1H), 3.96 - 3.91 (m, 1H), 2.55 - 2.50 (m, 1H), 1.32 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.27 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.95 - 0.90 (m, 1H), 0.52 - 0.48 (m, 1H), 0.29 - 0.27 (m, 2H), 0.09 - 0.05 (m, 1H).
【0337】
実施例11
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オールの4つの光学異性体
(11A1、11A2、11B1および11B2)
【0338】
【化78】
【0339】
合成方案:
【0340】
【化79】
【0341】
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体A1(1 g、1.9 mmol)をDMF(12 mL)に溶解し、6 NのHCl(8 mL)を加え、室温で一晩撹拌し、酢酸エチル(50 mL)で2回抽出し、乾燥した後に濃縮し、カラム(PE/EA=8%~10%)により目的生成物の5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール光学異性体11A1(310 mg、収率69%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.81 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.72 - 4.70 (m, 2H), 4.26 - 4.23 (m, 1H), 3.65 - 3.59 (m, 1H), 2.40 - 2.35 (m, 1H), 1.37 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.26 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.99 - 0.93 (m, 1H), 0.59 - 0.54 (m, 1H), 0.49 - 0.45 (m, 1H), 0.23 - 0.19 (m, 1H), 0.16 - 0.12 (m, 1H).
【0342】
他の3つの光学異性体生成物は、同じ合成方法を使用して得られた。
【0343】
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体A2(1 g、1.9 mmol)から、目的生成物の5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール光学異性体11A2(230 mg、収率51%)を合成して得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.82 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.72 - 4.69 (m, 2H), 4.26 - 4.24 (m, 1H), 3.64 - 3.58 (m, 1H), 2.39 - 2.34 (m, 1H), 1.37 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.25 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.01 - 0.95 (m, 1H), 0.59 - 0.55 (m, 1H), 0.51 - 0.46 (m, 1H), 0.23 - 0.19 (m, 1H), 0.17 - 0.12 (m, 1H).
【0344】
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体B1(800 mg、1.5 mmol)から、目的生成物の5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール光学異性体11B1(106 mg、収率30%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.81 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.72 - 4.70 (m, 2H), 4.26 - 4.23 (m, 1H), 3.64 - 3.59 (m, 1H), 2.40 - 2.35 (m, 1H), 1.36 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.26 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.99 - 0.93 (m, 1H), 0.59 - 0.54 (m, 1H), 0.49 - 0.45 (m, 1H), 0.23 - 0.19 (m, 1H), 0.16 - 0.12 (m, 1H).
【0345】
ジベンジル[(5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-4-イル)オキシ]リン酸メチルエステルキラル中間体B2(800 mg、1.5 mmol)から、目的生成物の5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール光学異性体11B2(200 mg、収率56%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 6.82 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.72 - 4.66 (m, 2H), 4.26 - 4.23 (m, 1H), 3.64 - 3.58 (m, 1H), 2.39 - 2.34 (m, 1H), 1.37 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.25 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.01 - 0.95 (m, 1H), 0.60 - 0.55 (m, 1H), 0.51 - 0.46 (m, 1H), 0.23 - 0.19 (m, 1H), 0.17 - 0.13 (m, 1H).
【0346】
実施例12
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0347】
【化80】
【0348】
実施例12の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 221 [M-H]-.
【0349】
実施例13
3-シクロプロピル-7-フルオロ-5-イソプロピル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0350】
【化81】
【0351】
実施例13の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 235 [M-H]-.
【0352】
実施例14
7-フルオロ-5-イソプロピル-2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0353】
【化82】
【0354】
実施例14の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 223 [M-H]-.
【0355】
実施例15
5-(1-シクロプロピルエチル)-7-フルオロ-2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0356】
【化83】
【0357】
実施例15の合成方法は、実施例4を参考にした。
LC-MS:MS Found: 249 [M-H]-.
【0358】
生物学的試験と評価
以下、試験例と合わせて本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0359】
試験例1:マウス立ち直り反射試験およびLD50試験
1、試験の目的:
本発明化合物のED50値とLD50値を逐次法により測定し、薬物のTI(治療指数)を計算し、実験過程中の動物症状を観察し、本発明化合物の薬効作用、安全性および副作用の状況を調べた。
【0360】
2、被験動物と投与:
SPFグレードICRマウス(▲ひ▼州市東方養殖有限会社)、22~28 g、15匹/群。すべてのマウスは、3日間の検疫および適応飼育を受け、実験の1時間前に環境に適応するように飼育室から実験室に移された。
被験化合物は20%の脂肪乳または精製水を用いて溶解し、5 mg/mLの薬液とした。
【0361】
3、試験方法:
試験時に、まず、1匹のマウスを取って尾静脈より投与し、10秒間一定速度で注射投与を完了し、投与後にマウスが死亡するか否かを観察し、立ち直り反射の潜伏期間、持続期間およびマウスに投与した後の状況を記録し、化合物が最初の投与量で麻酔作用(ED50試験)または死亡(LD50試験)を示さなかった場合、次のマウスに前回の投与量(すなわち最初の投与量の1.25倍)の薬物を注射し、当該化合物が最初の投与量で麻酔薬効または死亡を示した場合、次のマウスに次の濃度(すなわち最初の投与量の0.8倍)の薬物を注射し、以下同様にして、6回繰り返すか、15匹のマウスが完了するまで当該試験を終了した。最後に、AOT425 Statpmソフトウェアを使用して、ED50(半数有効量:試験により50%のマウスの立ち直り反射の喪失を引き起こすのに必要な用量)およびLD50(半数致死量:試験により50%のマウスが死亡するのに必要な用量)を計算した。
TI(治療指数)の計算式は、TI=LD50/ED50である。
【0362】
4、試験結果は表1に示された。
【0363】
【表1】
【0364】
5、試験結論:
上記のデータから、本発明の化合物は、より良好な麻酔作用を有し、より安全で、安全域がより大きく、副作用がより小さいことが分かった。
【国際調査報告】