(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電気モータ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/34 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
F04D29/34 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507890
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022040858
(87)【国際公開番号】W WO2023023307
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】エマーソン、リネア
(72)【発明者】
【氏名】トランプ、ブライアン
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130CB01
3H130CB07
3H130CB19
3H130DA02X
3H130DD02X
3H130EA01C
3H130EA01G
3H130EC17C
(57)【要約】
ブラシレスDC電気モータとともに使用するためのアウターロータが、ロータ本体と、ロータ本体と共回転し、回転軸を画定するように結合されたシャフトと、ロータ本体の少なくとも一部分を取り囲むカバーと、単体としてカバーと一体化して形成されたファンと、を含む。ファンは、カバーの外側に向かって放射状に伸びた、カバーの外面に沿って回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレスDC電気モータとともに使用するためのアウターロータであって、
ロータ本体と、
前記ロータ本体と共回転するように結合されたシャフトであって、回転軸を画定するシャフトと、
前記ロータ本体の少なくとも一部分を取り囲むカバーと、
単体として前記カバーと一体化して形成されたファンであって、前記カバーの外側に向かって放射状に伸びた、前記カバーの外面に沿って前記回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含むファンと、
を含むアウターロータ。
【請求項2】
前記ファンが、前記カバーの軸方向端部に隣接した前記カバーに結合されたハブを含む、請求項1に記載のアウターロータ。
【請求項3】
前記ブレードが、前記ハブから外側に向かって放射状に伸びている、請求項2に記載のアウターロータ。
【請求項4】
前記ブレードがそれぞれ、前記回転軸から前記カバーよりもさらに遠くへ伸びている、請求項3に記載のアウターロータ。
【請求項5】
前記カバー及び前記ファンが、プラスチックから形成されている、請求項1に記載のアウターロータ。
【請求項6】
前記ロータ本体の内面上に位置決めされた磁石をさらに含み、前記磁石が、前記ロータ本体及び前記カバーと共回転するように結合されている、請求項1に記載のアウターロータ。
【請求項7】
前記カバーが、前記ロータ本体の上にオーバーモールド成形される、請求項1に記載のアウターロータ。
【請求項8】
前記カバーが、前記ロータ本体の長さにわたっている、請求項7に記載のアウターロータ。
【請求項9】
ブラシレスDC電気モータであって、
ステータと、
前記ステータを取り囲むアウターロータであって、
ロータ本体、
前記ロータ本体と共回転するように結合されたシャフトであって、回転軸を画定するシャフト、
前記ロータ本体の少なくとも一部分を取り囲むカバー、及び
単体として前記カバーと一体化して形成されたファンであって、前記カバーの外側に向かって放射状に伸びた、前記カバーの外面に沿って前記回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含むファン、
を含むアウターロータと、
を含むブラシレスDC電気モータ。
【請求項10】
前記ブレードがそれぞれ、前記回転軸から前記カバーよりもさらに遠くへ伸びている、請求項9に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項11】
前記ファンが、前記カバーに結合されたハブを含み、前記ブレードが、前記ハブから伸びている、請求項9に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項12】
前記ブレードが、前記カバーの前記外面から外側に向かって放射状に伸びており、前記ブレードがそれぞれ、前記カバーの長さに沿って伸びている、請求項9に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項13】
前記カバーが、前記ロータ本体の上にオーバーモールド成形される、請求項9に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項14】
前記ロータ本体が、前記カバー内でプレス嵌めされる、請求項9に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項15】
前記ファンが、軸流ファンとして構成される、請求項9に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項16】
ブラシレスDC電気モータであって、
ステータと、
前記ステータを取り囲むアウターロータであって、
回転軸を画定するリング磁石、
前記リング磁石の少なくとも一部分を取り囲むカバー、及び
単体として前記カバーと一体化して形成されたファンであって、前記カバーの外側に向かって放射状に伸びた、前記カバーの外面に沿って前記回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含むファン、
を含むアウターロータと、
を含むブラシレスDC電気モータ。
【請求項17】
前記カバーが、前記リング磁石の上にオーバーモールド成形される、請求項16に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項18】
前記リング磁石が、前記カバー内でプレス嵌めされる、請求項16に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項19】
前記ブレードが、前記カバーの前記外面から外側に向かって放射状に伸びており、前記ブレードがそれぞれ、前記カバーの長さに沿って伸びている、請求項16に記載のブラシレスDC電気モータ。
【請求項20】
前記ファンが、軸流ファンとして構成される、請求項19に記載のブラシレスDC電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月17日出願の同時係属中の米国仮特許出願第63/245,361号明細書、及び2021年8月20日出願の同時係属中の米国仮特許出願第63/235,235号明細書の優先権を主張するものであり、これらの両方の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気モータに関し、より詳細には、アウターロータ型ブラシレスDC電気モータに関する。
【背景技術】
【0003】
ブラシレスDC電気モータは、少なくともステータ及びロータを含む。複数の永久磁石がロータによって支持されており、磁石と、ステータによって生み出された磁界との間の相互作用の結果としてのトルクを受け取り、ロータを回転させる。場合によっては、ブラシレスDC電気モータは、ロータと共回転するように結合されたファンを含むことになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一態様において、ブラシレスDC電気モータとともに使用するためのアウターロータを提供する。アウターロータは、ロータ本体と、ロータ本体と共回転し、回転軸を画定するように結合されたシャフトと、ロータ本体の少なくとも一部分を取り囲むカバーと、単体としてカバーと一体化して形成されたファンと、を含む。ファンは、カバーの外側に向かって放射状に伸びた、カバーの外面に沿って回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含む。
【0005】
本発明は、別の態様において、ステータと、ステータを取り囲むアウターロータと、を含むブラシレスDC電気モータを提供する。アウターロータは、ロータ本体と、ロータ本体と共回転するように結合されたシャフトであって、回転軸を画定するシャフトと、ロータ本体の少なくとも一部分を取り囲むカバーと、単体としてカバーと一体化して形成されたファンと、を含む。ファンは、カバーの外側に向かって放射状に伸びた、カバーの外面に沿って回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含む。
【0006】
本発明は、さらに別の態様において、ステータと、ステータを取り囲むアウターロータと、を含むブラシレスDC電気モータを提供する。アウターロータは、回転軸を画定するリング磁石と、リング磁石の少なくとも一部分を取り囲むカバーと、単体としてカバーと一体化して形成されたファンと、を含む。ファンは、カバーの外側に向かって放射状に伸びた、カバーの外面に沿って回転軸と平行な方向に空気流を誘導するように構成された複数のブレードを含む。
【0007】
本発明の他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を検討すれば明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による、ブラシレスDC電気モータの斜視図である。
【
図3】
図1の断面線3-3に沿って得られる
図1の電気モータの断面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による、ブラシレスDC電気モータの斜視図である。
【
図6】
図5の断面線6-6に沿って得られる
図5の電気モータの断面図である。
【
図7】
図5のモータとともに使用するためのファンの代替的な一実施形態の斜視図である。
【
図8】
図1又は
図5の電気モータを利用する電動工具の側面図である。
【
図9】
図8の断面線9-9に沿って得られる
図8の電動工具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されるか又は以下の図面に示される構造の細部及び構成要素の配置に本発明の用途を限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。また、本明細書で使用される語法及び専門用語は、説明を目的としたものであり、限定するものとみなすべきではないことを理解されたい。
【0010】
図1~
図4は、本開示の一実施形態による電気モータ10を図示している。電気モータ10は、内部のステータ14と、外部のロータ、すなわちアウターロータ18と、を含むブラシレスDC(BLDC)電気モータ10である。ロータ18は、ステータ14の少なくとも一部分を、周辺を取り囲むように支持され、モータ軸Aに沿って伸びている。
図1~
図3を参照すると、ステータ14は、強磁性体材料から作られたステータ本体22を含み、ロータ18によって取り囲まれている。ステータ本体22は、外側に向かって放射状に伸びた複数の指状突起24を含み、複数の巻線30がそれぞれの指状突起24に巻き付けられている。図示されている実施形態のアウターロータ18は、概して円筒形の形状をしており、モータ軸Aに沿って長手方向に伸びていることで、アウターロータ18及びステータ14がモータ軸Aを中心に同軸であるようになっている。
【0011】
ロータ18は、ロータ本体20と、ロータ本体20と共回転するように結合されたシャフト26と、を含む。シャフト26は、モータ軸Aを中心に回転可能であり、いくつかの実施形態では、ステータ14によって回転が支持されている。例えば、
図6に示されているように、シャフト26は、ステータ本体22内で第1の軸受28によって支持され、ロータ本体20内で第2の軸受32によって支持されている場合がある。ロータ18は、ロータ本体20の内周のまわりにステータ14と対面する関係で複数の磁気極が等間隔に設けられたリング磁石48もまた含む。リング磁石48は、ロータ本体20の長さに沿って長手方向に伸びている。いくつかの実施形態では、リング磁石48は、モータ軸Aに対して垂直な向きの平面で矩形の断面形状を有する複数の別個の永久磁石と置き換えることができる。
【0012】
引き続き
図1~
図3を参照すると、ロータ18は、ロータ本体20を取り囲むプラスチック製カバー34をさらに含む。カバー34は、ロータ18の長さに沿って長手方向に伸び、第1の開放端部38と、第2の閉鎖端部42と、を含む。ロータ18は、カバー34の閉鎖端部42に位置する軸流ファン46もまた含む。プラスチック製カバー34、及びファン46は、ロータと共回転するようにロータ18に固定されており、これにより、アウターロータ18の回転がファン46の回転につながり、これが次に、カバー34の外面36に沿ってモータ軸Aと平行な方向に軸方向の空気流Fを誘導するようになっている。モータ10の他の実施形態では、ファン46は、モータ軸Aと平行な方向に軸方向の空気流を誘導し、放射状に外側に向かう方向に空気流の向きを変えることが可能な放射状流ファンとして、又は遠心ファンとして構成することができる。
【0013】
図3及び
図4を参照すると、ファン46は、カバー34に結合された中心ハブ50と、ハブ50から外側に向かって(すなわち、モータ軸Aに垂直な方向に)、カバー34の外面36を越えて放射状に伸びる複数のブレード54と、を含む。図示されているモータ10の実施形態では、ファンのブレード54の先端は、(モータ軸Aに対して)カバー34の半径R2よりも大きい半径R1まで伸びている。いくつかの実施形態では、半径R1は、半径R2の少なくとも1.1倍である。他の実施形態では、半径R1は、半径R2の少なくとも1.3倍である。ハブ50は、ファン46及びカバー34の両方と一体化して形成されている。言いかえれば、カバー34、ハブ50、及びファン46は、単一の、モノリシックの構成要素として形成されている。
【0014】
図3及び
図4を再び参照すると、プラスチック製カバー34は、ロータ本体と共回転するようにロータ本体20に結合されている。図示されている実施形態では、カバー34は、ロータ本体20の外側表面の上にオーバーモールド成形されている。ファン46もまた、カバー34をロータ本体20の外側表面にオーバーモールド成形するプロセスの間に、一体化して形成されている。いくつかの実施形態では、オーバーモールド成形プロセスの間に、シャフト26もまた、中心ハブ50の一部分によってオーバーモールド成形され、これにより、シャフト26が(中心ハブ50及びカバー34を介して)ロータ本体20に回転可能にユニット化されている。リング磁石48は、カバー34が成形された後に、カバー34内でプレス嵌めすることができる。
【0015】
図5及び
図6は、ファン46の別の実施形態を図示しており、類似した構成要素は、文字「b」がプラスされた類似した参照番号を有し、以下の相違点について下記で説明する。ファン46のように別個のロータ本体20を含むのではなく、ファン46bは、(例えば、射出成形プロセスによって)ファン46bが形成された後に、カバー34b内でプレス嵌めされたリング磁石48bを含む。また、複数のファンのブレード54bは、ハブ50bから伸びているのではなく、カバー34bの外面36bから外側に向かって放射状に(すなわち、モータ軸Aに垂直な方向に)伸びており、図示されている実施形態では、複数のファンのブレード54はそれぞれ、カバー34bの長さにわたっている。
【0016】
図7は、ファン46、46bの別の実施形態を図示しており、類似した構成要素は、文字「c」がプラスされた類似した参照番号を有し、以下の相違点について下記で説明する。製造後の組み立てプロセスにおいてリング磁石48cをカバー34cの中にプレス嵌めするのではなく、リング磁石48cは、ファン46cを作り出すための射出成形プロセスの間に、カバー34cによってオーバーモールド成形される。
図7の実施形態では、ロータ本体20も省略されている。
【0017】
電気モータ10(又はファン46b若しくはファン46cの場合はモータ10b)の動作時に、カバー34及びファン46は、カバー34及びファン46をロータ本体20にオーバーモールド成形するプロセスの間にロータ本体20に回転可能にユニット化された結果、ロータ本体20と共回転する。ファンのブレード54は、カバー34の外面36のまわりに軸方向の空気流Fを誘導して、モータ10、及び冷却空気流の経路内のモータ10と関連付けされた他の電子機器を冷却する。モータ10が使用され得るいくつかの用途では、ファン46によって誘導される空気流は、冷却に加えて他の目的のために使用することができる。例えば、誘導された空気流は、回転ハンマー集塵機又は真空中でデブリ又は粒子を移送するために使用してもよい。
【0018】
また、モータ10は、加工面からデブリを消散させるために、ノズルから空気流を放出する送風機で使用してもよい。
図8及び
図9に示されているように、送風機は、モータ10が中に配置されたハウジング58を含む。ハウジング58は、ハンドル62と、長手方向に伸びるノズル66と、を含み、このノズルを通って、モータ10によって生じた高速の空気流が仕向けられる。動作時に、ファン46は、電気モータ10のロータ本体20に回転可能にユニット化された結果、高速の空気流を生み出す。高速の空気流は、電気モータ10を冷却するとともに、送風機のノズル66から放出される空気流として機能する。
【0019】
本発明を、特定の好適な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、記載されている本発明の1つ又は複数の独立態様の範囲及び趣旨内に変形形態及び修正形態が存在する。
【0020】
本発明の様々な特徴及び態様は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】