IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海凱賽生物技術股▲フン▼有限公司の特許一覧 ▶ シーアイビーティー アメリカ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-530197耐高温性半芳香族ポリアミドおよびその調製方法、組成物並びに成形品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】耐高温性半芳香族ポリアミドおよびその調製方法、組成物並びに成形品
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/26 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
C08G69/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507898
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2022074277
(87)【国際公開番号】W WO2023029374
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111003945.5
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524014754
【氏名又は名称】上海凱賽生物技術股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519322820
【氏名又は名称】シーアイビーティー アメリカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】馮梧桐
(72)【発明者】
【氏名】趙元博
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シウカイ
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001EB08
4J001EB37
4J001EC03
4J001EC09
4J001EC10
4J001FB06
4J001FC06
4J001FD05
4J001JB02
4J001JB06
4J001JB21
4J001JB23
(57)【要約】
本発明は、耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂およびその調製方法、並びにその組成物および成形品を提供する。ポリアミド樹脂のポリマー単量体は、ジアミン単量体および二酸単量体を含み、ジアミン単量体は、ジアミン単量体A1およびジアミン単量体A2を含み、二酸単量体は、二酸単量体B1および二酸単量体B2を含み、ジアミン単量体A1の炭素原子数CA1およびジアミン単量体A2の炭素原子数CA2は、CA1-CA2≧4を満たし、二酸単量体B1は、炭素原子数7~12の芳香族ジカルボン酸およびその誘導体から選ばれ、二酸単量体B2は、炭素原子数4~18の脂肪族ジカルボン酸から選ばれる。本発明のポリアミド樹脂は、流動性がより良好である。ポリマー鎖の不規則性の程度が大きいほど、また鎖間の絡み合いが少ないほど、コポリアミドの流動性は良好である。本発明の耐高温性半芳香族ポリアミドの一段階縮合重合プロセスは、溶融および排出が容易であり、溶融物の流動性および安定性が良好である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂のポリマー単量体は、ジアミン単量体および二酸単量体を含み、
前記ジアミン単量体は、ジアミン単量体A1およびジアミン単量体A2を含み、前記二酸単量体は、二酸単量体B1および二酸単量体B2を含み、
前記ジアミン単量体A1の炭素原子数CA1およびジアミン単量体A2の炭素原子数CA2は、CA1-CA2≧4を満たし、
前記二酸単量体B1は、炭素原子数7~12の芳香族ジカルボン酸およびその誘導体から選ばれ、前記二酸単量体B2は、炭素原子数4~18の脂肪族ジカルボン酸から選ばれることを特徴とする、耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂。
【請求項2】
前記ジアミン単量体A1は、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミンおよび1,14-テトラデカンジアミンの1つ以上を含み、および/または、
前記ジアミン単量体A2は、炭素原子数4~10のジアミンから選択され、好ましくは、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミンおよび1,10-デカンジアミンの1つ以上を含み、前記ジアミン単量体A2は、好ましくは、炭素原子数4~7のジアミンから選択され、および/または、
前記二酸単量体B1は、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、イソフタル酸およびジメチルイソフタル酸の1つ以上を含み、および/または、
前記二酸単量体B2は、1,4-コハク酸、1,5-グルタル酸、1,6-アジピン酸、1,7-ヘプタン二酸、1,8-オクタン二酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,17-ヘプタデカン二酸および1,18-オクタデカン二酸の1つ以上を含み、および/または、
前記ポリアミド樹脂は、前記ジアミン単量体と前記二酸単量体との重合反応によって形成されるジアミン単位および二酸単位を含み、前記ジアミン単位および前記二酸単位の総重量は、前記ポリアミド樹脂の97%以上であり、より好ましくは99%以上であり、および/または、
前記ポリアミド樹脂中のポリアミンの含有量は0.8%以下、好ましくは0.5%以下、好ましくは0.2%以下、好ましくは0であり、前記ポリアミンは、チオエーテルポリアミン化合物、ポリエチレンイミンおよびポリアミノポリエーテルアミンの1つ以上から選択され、および/または、
前記ポリアミド樹脂は添加剤を含み、前記添加剤の含有量は、0.01~3%であり、前記添加剤は、末端封止剤、触媒、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤および帯電防止剤のいずれか1つ、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂。
【請求項3】
前記ポリマー単量体全量のモル数に対する、前記ジアミン単量体A2と前記二酸単量体B2との合計モル数のモル比は、(0.040~0.099):1であり、および/または、
前記二酸単量体に対する前記ジアミン単量体のモル比は、(1.01~1.03):1であることを特徴とする、請求項1に記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂。
【請求項4】
前記ポリアミド樹脂の相対粘度が1.8~2.6、好ましくは2.0~2.5であり、および/または、
前記ポリアミド樹脂の融点が265~315℃、好ましくは271~310℃であり、および/または、
前記ポリアミド樹脂の引張強度が65~105MPa、好ましくは75~95MPaであり、および/または、
前記ポリアミド樹脂の曲げ強度が80~140MPa、好ましくは90~125MPaであり、および/または、
前記ポリアミド樹脂の流動長が600mm以上、好ましくは850mm以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂。
【請求項5】
(1)ポリアミド塩の水溶液を120~140℃に加熱し、水を除去して濃縮した後、230~260℃に加熱して反応させる工程、および、
(2)脱ガスによる減圧工程を含む、耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂を調製する方法。
【請求項6】
工程(1)において、前記ポリアミド塩の濃度が40~80重量%、好ましくは55~65重量%になるまで、水の除去および濃縮を行い、および/または、
工程(1)において、反応時間が0.5~2時間、好ましくは1~1.5時間であり、および/または、
工程(1)において、反応圧力が2.0~3.5MPa、好ましくは2.5~3MPaに維持され、および/または、
工程(2)において、脱ガスによる減圧は、反応系内の圧力を0~0.1MPa(ゲージ圧)、好ましくは0~0.02MPa(ゲージ圧)にし、および/または、
工程(2)において、減圧終了後の反応系の温度は295~335℃であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ジアミン単量体A1、ジアミン単量体A2、二酸単量体B1および二酸単量体B2を水に添加し、得られた系を70~95℃に加熱し、任意に70~95℃で0.5~3時間保持してポリアミド塩の水溶液を形成する工程(a)を、工程(1)の前に含み、および/または、
-0.02MPa以下、好ましくは-0.05MPa~-0.1MPaの真空度に真空化し、任意に、前記真空度を0~300秒間、好ましくは0~90秒間、より好ましくは5~90秒間維持する真空化処理工程(3)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)、工程(1)、工程(2)および任意の工程(3)のいずれかの段階で添加剤を添加する工程を含み、
前記添加剤は、単量体の総質量の0.01~3%であり、前記添加剤は、末端封止剤、触媒、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤および帯電防止剤のいずれか1つ、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されないことを特徴とする、請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂または請求項9に記載の組成物を原料として調製された製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は高分子材料の分野に属し、特に耐高温性半芳香族ポリアミドに関する。
【0002】
〔背景技術〕
高い耐熱性、寸法安定性、良好な機械的強度および溶融加工性を持つ耐高温性ポリアミドは、電子機器、自動車エンジン周辺部品、航空宇宙などの分野で広く使用されている。特に長い炭素鎖を有する半芳香族ポリアミドは有用である。剛直なベンゼン環構造により、原料は優れた寸法安定性と機械的強度とを有し、長い炭素鎖構造は内部回転部位の抵抗が小さいため、原料は良好な靭性および低い吸水性を有する。しかし、長い炭素鎖を有する半芳香族ポリアミドは分子鎖の絡み合いが多く、溶融物の流動性が悪いため、一段階重合プロセスの溶融排出段階および完成品の射出成形が著しく困難になる。
【0003】
目下、ポリマーの流動性を改善する方法としては、(1)ポリマーの分子量を低下させる、(2)流動性改良剤を添加する、(3)処理温度を向上させる、および(4)剪断速度または剪断応力を大きくする、などの方法が主に採用されている。しかし、上記の方法はいずれも避けられない問題を抱えている。ポリマーの分子量を低下させることにより、溶融粘度を大幅に低下させ、ポリマーの溶融流動性を高めることができるが、同時に材料の機械的特性を大幅に低下させる。流動性改良剤を添加してポリアミドと溶融混合する場合、添加剤とマトリックスとの相溶性、添加剤の析出および臭気などの問題をも考慮しなければならない。処理温度を向上させる場合、ポリアミド溶融物の流動性を向上させることができるが、耐高温性ポリアミドの処理範囲が狭いことおよび過度に高い処理温度により、高温での経時劣化、架橋によるゲル生成等の問題も起こり、溶融処理がさらに困難になる可能性がある。ポリアミド溶融物は擬塑性流体であり、剪断速度または剪断応力の増加に伴い、ポリアミド溶融物の見かけ粘度は低下する。しかし、剪断速度、または剪断応力が高すぎると、材料の機械的分解が起こる可能性がある。
【0004】
中国特許CN101200591Bは、流動性の高い耐高温性ナイロン複合材料を開示している。流動性の悪い半芳香族ポリアミドマトリックスに流動性改良剤(例えば、シリコーン化合物、モンタン酸誘導体、および高分子ワックス滑剤など)を0.1~10重量%導入することにより流動性を改善する。流動性改良剤をカップリング剤で処理した後、ポリアミドマトリックスと混合して造粒し、相溶性を改善する。流動性改良剤は、優れた外部潤滑効果と内部潤滑効果とを有し、ポリアミドマトリックスと加工装置との間の摩擦力およびポリアミド分子鎖間の摩擦力を効果的に低減することができる。中国特許CN1368994Aは、高流動性ポリアミド組成物を開示している。高分子量のポリアミドマトリックスに、高分子量のポリアミドマトリックスよりも融点の高いポリアミドオリゴマーを0.5~20重量%添加することにより、高分子量のポリアミドの流動性が改善される。高分子量のポリアミドに対して、ポリアミドオリゴマー(平均分子量5,000g/mol以下)を可塑剤として使用することで、一定の可塑化効果が得られ、ポリアミドオリゴマーと高分子量のポリアミドマトリックスとの相溶性も良好である。しかし、この方法では、まず2種類のポリアミドを調製し、溶融混合する必要があり、工程が煩雑になるという欠点がある。中国特許CN101798456Bには、星型分岐構造を有するナイロン複合材料が開示されている。少なくとも3つの反応性官能基を含む星型分岐剤(トリカルボン酸ベンゼンスルホン酸、トリアミノトリフェニルメタン、およびトリヒドロキシプロピレンオキシドなど)0.05~5重量%を、ポリアミドマトリックスに添加することにより流動性を向上させる。星型分岐剤は可塑剤として使用され、分子の回転運動を可能にし、射出成形時のポリアミドの流動性を向上させる。しかし、関連する流動性向上のデータは具体的に提供されていない。この方法には、分岐剤の導入によりポリアミドマトリックスの部分的な架橋が生じるという欠点がある。適度な架橋は材料の機械的特性の向上に寄与するが、架橋によって溶融物の流動性が大きく低下する。両者のバランスをとることは難しい。
【0005】
現時点で特許に開示されているポリアミドの流動性を向上させる方法は、主に混合の観点から採用されており、二軸溶融押出しにより、ポリアミドマトリックスに、低分子または高分子の滑剤、低分子量のマトリックスと同じポリアミド、直鎖状または分岐状の構造を有するポリオルフィン、液晶ポリマー、星型分岐剤等を導入して、ポリアミド溶融物の流動性を向上させるものである。溶融混合法により、長い炭素鎖を有する半芳香族ポリアミドの溶融加工性をある程度向上させることができる。しかし、重合という観点では、一段階重合法の溶融排出の問題を解決することができない。
【0006】
〔発明の概要〕
先行技術および製品の問題点を解決するために、本発明は、耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂およびその調製方法を提供する。
【0007】
ポリアミド樹脂のポリマー単量体は、ジアミン単量体および二酸単量体を含み、前記ジアミン単量体は、ジアミン単量体A1およびジアミン単量体A2を含み、前記二酸単量体は、二酸単量体B1および二酸単量体B2を含み、
前記ジアミン単量体A1の炭素原子数CA1およびジアミン単量体A2の炭素原子数CA2は、CA1-CA2≧4を満たし、前記二酸単量体B1は、炭素原子数7~12の芳香族ジカルボン酸およびその誘導体から選ばれ、前記二酸単量体B2は、炭素原子数4~18の脂肪族ジカルボン酸から選ばれる。
【0008】
さらに、炭素原子数7~12の芳香族ジカルボン酸の誘導体は、炭素原子数7~12の芳香族ジカルボン酸のエステルを含み、好ましくはテレフタル酸ジメチルおよびイソフタル酸ジメチルを含む。
【0009】
本発明では、ジアミン単量体をジアミンと略記する。CA1はジアミンA1の炭素原子数を表し、同様にCA2はジアミンA2の炭素原子数を表す。CA1、CA2はいずれも整数である。CA1-CA2の差も整数である。
【0010】
いくつかの実施形態において、ジアミン単量体A1およびジアミン単量体A2の炭素原子数(C)は、4≦CA1-CA2≦10を満たす。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ジアミン単量体A1は、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミンおよび1,14-テトラデカンジアミンの1つ以上を含む。
【0011】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ジアミン単量体A2は、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミンおよび1,10-デカンジアミンの1つ以上を含む。
【0012】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ジアミン単量体A1は、炭素原子数8~14のジアミンから選ばれ、好ましくは炭素原子数4~11のジアミンから選ばれる。
【0013】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ジアミン単量体A2は、炭素原子数4~10のジアミンから選択され、好ましくは炭素原子数4~7のジアミンから選択される。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、二酸単量体B1は、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、イソフタル酸、およびジメチルイソフタル酸の1つ以上を含む。
【0015】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、二酸単量体B2は、1,4-コハク酸、1,5-グルタル酸、1,6-アジピン酸、1,7-ヘプタン二酸、1,8-オクタン二酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,17-ヘプタデカン二酸、および1,18-オクタデカン二酸の1つ以上を含む。
【0016】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ポリマー単量体全量のモル数に対する、ジアミン単量体A2と二酸単量体B2との合計モル数のモル比は、(0.040~0.099):1である。
【0017】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、二酸単量体に対するジアミン単量体のモル比は、(1.01~1.03):1である。
【0018】
ジアミンおよび/または二酸は、化学物質または生物学的物質に由来するジアミンおよび/または二酸であってよく、好ましくは生物学的物質に由来するジアミンおよび/または二酸であってよい。
【0019】
ポリアミド樹脂は、ジアミン単量体と二酸単量体とを重合反応させて形成されるジアミン単位および二酸単位を含み、ポリアミド樹脂中のジアミン単位と二酸単位との総重量は、ポリアミド樹脂の97%以上、好ましくは99%以上である。ポリアミド樹脂は、添加剤を0.01~3%含有していてもよい。
【0020】
添加剤は、末端封止剤、触媒、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤および帯電防止剤のいずれか1つ、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0021】
さらに、酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、無機リン酸塩系酸化防止剤、亜リン酸塩系酸化防止剤および炭素フリーラジカル捕捉剤系酸化防止剤から選ばれる1つ以上である。触媒は、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムおよび次亜リン酸亜鉛から選ばれる1つ以上である。末端封止剤は、酢酸、安息香酸およびシクロヘキサンカルボン酸から選ばれる1つ以上である。
【0022】
長鎖半芳香族ポリアミドの場合、長鎖同士の絡み合いにより、ポリアミド溶融物の流動性にはばらつきがある。本発明では、第3のコモノマー(アミン単量体A2)と第4のコモノマー(酸単量体B2)とを導入して共重合する。使用する2種のジアミン単量体の炭素原子数の差が4以上(即ち、CA1-CA2≧4)である場合に得られるコポリアミドは、炭素原子数の差が4未満(即ち、CA1-CA2<4)である場合に得られるコポリアミドよりも流動性が良好であることが、多くの実験により見出された。さらに、差が大きいほど、ポリマー鎖の不規則性が高く、鎖の絡み合いが少なく、コポリアミドの流動性が良い。
【0023】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ポリアミド樹脂中のポリアミンの含有量は、0.8重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、または好ましくは0であり、ポリアミンは、チオエーテルポリアミン化合物、ポリエチレンイミンおよびポリアミノポリエーテルアミンから選ばれる1つ以上である。好ましくは、ポリアミンの数平均分子量は2,500~5,000g/molである。
【0024】
いくつかの実施形態では、ポリアミド樹脂の調製中に、in-situ重合のために少量のポリアミンおよびコポリアミドを任意に導入することができる。いくつかの実施形態では、適切な量のポリアミンの導入により、コポリアミドの高分子鎖間に微量の化学結合が存在し、材料の引張強度、曲げ強度および衝撃強度がさらに向上する。
【0025】
さらに、ポリアミド樹脂の相対粘度は1.8~2.6、好ましくは2.0~2.5である。
【0026】
さらに、ポリアミド樹脂の融点は265~315℃、好ましくは271~310℃である。
【0027】
さらに、ポリアミド樹脂の引張強度は65~105MPa、好ましくは75~95MPaである。
【0028】
さらに、ポリアミド樹脂の曲げ強度は80~140MPa、好ましくは90~125MPaである。
【0029】
さらに、ポリアミド樹脂の流動長は600mm以上、好ましくは850mm以上である。
【0030】
本発明はさらに、耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂を調製する方法を提供する。この方法は、
(1)ポリアミド塩の水溶液を120~140℃に加熱し、水を除去して濃縮した後、230~260℃に加熱して反応させる工程;および
(2)脱ガスによる減圧工程を含む。
【0031】
当業者は、ポリアミド塩がナイロン塩としても知られることを知っている。ナイロン塩は、ポリマー単量体(ジアミン単量体A1、ジアミン単量体A2、二酸単量体B1および二酸単量体B2を含む)間の反応により形成される塩であり、ナイロン塩を重縮合反応させてポリアミドを得る。
【0032】
さらに、この方法は、(1)ポリアミド塩の水溶液を120~140℃に加熱し、水を除去して濃縮した後、240~255℃に加熱して反応させる工程;および
(2)脱ガスによる減圧工程を含む。
【0033】
さらに、この方法は、ジアミン単量体A1、ジアミン単量体A2、二酸単量体B1および二酸単量体B2を水に添加し、得られた系を70~95℃に加熱し、任意に70~95℃で0.5~3時間保持してポリアミド塩の水溶液を形成する工程(a)を、工程(1)の前に含み、
さらに、この方法は、ジアミン単量体A1、ジアミン単量体A2、二酸単量体B1および二酸単量体B2を水に添加し、これらの化合物を70~90℃に加熱し、任意に70~90℃で0.5~3時間保温してポリアミド塩の水溶液を形成する工程(a)を、工程(1)の前に含み、
そして、工程(a)において、加熱工程は、窒素または不活性ガスの雰囲気中で行われる。不活性ガスとしては、アルゴン、またはヘリウムの1つ以上が含まれる。
【0034】
さらに、工程(a)では、保温時間は0.5~2時間である。
【0035】
工程(1)において、ポリアミド塩の濃度が40~80重量%、好ましくは55~65重量%になるまで、水の除去および濃縮を行う。
【0036】
工程(1)において、反応時間は0.5~2時間、好ましくは1~1.5時間である。
【0037】
工程(1)において、反応中、圧力は2.0~3.5MPa、好ましくは2.5~3MPaに維持される。
【0038】
工程(2)において、脱ガスによる減圧は、反応系内の圧力を0~0.1MPa(ゲージ圧)、好ましくは0~0.02MPa(ゲージ圧)に低減する。
【0039】
特に断りのない限り、あるいは明らかに矛盾する場合を除き、本発明における圧力とはゲージ圧を指す。
【0040】
工程(2)において、減圧終了後の反応系の温度は295~335℃である。
【0041】
さらに好ましくは、この方法は、-0.02MPa以下、好ましくは-0.05MPa~-0.1MPaの真空度に真空化し、任意に、この真空度を0~300秒間、好ましくは0~90秒間、より好ましくは5~90秒間、さらに好ましくは5~50秒間維持する真空化処理工程(3)を含む。
【0042】
さらに、この方法は、排出し、短冊状に延伸し、ペレット化を行う工程(4)をさらに含む。
【0043】
さらに、この方法は、工程(a)、工程(1)、工程(2)、任意の工程(3)および任意の工程(4)のいずれかの段階で添加剤を添加する工程を含み、添加剤は、単量体の総質量の0.01~3%であり、添加剤は、末端封止剤、触媒、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤および帯電防止剤のいずれか1つ、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0044】
さらに、末端封止剤は、C2~16脂肪族カルボン酸、C7~10芳香族カルボン酸、またはそれらの組み合わせを含む。脂肪族カルボン酸末端封止剤は、構造的には、直鎖、分岐鎖または環構造を有するモノカルボン酸であり、好ましくは直鎖、分岐鎖または環構造を有する飽和モノカルボン酸である。
【0045】
さらに、触媒は、リン酸塩および次亜リン酸塩を含み、好ましくは、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のリン酸塩、並びにアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の次亜リン酸塩を含み、好ましくは、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウムおよび次亜リン酸マグネシウムの1つまたはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0046】
さらに、酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、無機リン酸塩系酸化防止剤、亜リン酸塩系酸化防止剤および炭素フリーラジカル捕捉剤系酸化防止剤から選ばれる1つであり、またはそれらの2つ以上の組み合わせである。
【0047】
さらに、工程(4)において、短冊状に延伸してペレット化を行う工程は、水冷下で行うことができ、冷却水の温度は、例えば、10~30℃である。
【0048】
本発明の一実施形態として、耐高温性半芳香族コポリアミドを調製する方法は、
(a)ジアミン単量体A1、ジアミン単量体A2、二酸単量体B1および二酸単量体B2を水に添加し、得られた系を70~90℃に加熱し、70~90℃で0.5~3時間保持してポリアミド塩の水溶液を形成する工程;
(1)ポリアミド塩の水溶液を120~140℃に加熱し、ポリアミド塩の水溶液の濃度が40~80重量%になるまで水を除去して濃縮した後、240~255℃に加熱し、2.5~3MPaの圧力下で0.5~2時間反応させる工程;
(2)脱ガスにより反応系の圧力を0~0.1MPa(ゲージ圧)まで減圧し、減圧終了後の反応系の温度を295~335℃とする工程;
(3)-0.05MPa~-0.1MPaの真空度に真空化し、この真空度を0~300秒間維持する工程;および
(4)排出、短冊状に延伸して、ペレット化を行う工程、を含む。
【0049】
工程(a)および工程(1)~(4)におけるパラメーターは、上記と同様である。
【0050】
本発明は、好ましくは上記のいずれか1つに記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂を含む組成物を提供する。
【0051】
本発明は、好ましくは上記のいずれか1つに記載の耐高温性半芳香族ポリアミド樹脂またはその組成物を原料として調製された製品を提供する。
【0052】
従来技術と比較して、本発明の実施形態は、少なくとも以下の利点を有する。
【0053】
1.長鎖半芳香族ポリアミドの場合、長鎖同士の絡み合いにより、ポリアミド溶融物の流動性にはばらつきがある。本発明では、第3のコモノマーと第4のコモノマーとを導入して共重合する。使用する2種のジアミン単量体の炭素原子数の差が4以上である場合に得られるコポリアミドは、流動性が良好であることが、多くの実験により見出された。さらに、この差が大きいほど、ポリマー鎖の不規則性が高く、鎖の絡み合いが少なく、コポリアミドの流動性が良い。
【0054】
2.本発明の耐高温性半芳香族ポリアミドの一段階縮合重合プロセスは、溶融および排出が容易であり、ポリアミド溶融物の流動性および安定性が良好であるという利点を有する。
【0055】
〔発明を実施するための形態〕
本発明の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下、本発明の実施形態を参照しながら、実施形態の技術案を明確かつ完全に説明するが、記載された実施形態は、本発明の実施形態の一部であり、全ての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創作的な労力を要することなく得られる他のすべての実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0056】
融点の測定は標準ISO 11357-3に準拠して行われ、加熱速度は20℃/分である。
【0057】
相対粘度ηは以下の方法で測定される:
ウッベローデ粘度計を用いた濃硫酸法は、乾燥ポリアミド試料0.5±0.0002gを正確に秤量し、濃硫酸(96%)50mLを加えて試料を溶解し、25±0.02℃の恒温水槽中で濃硫酸の流下時間(t)とポリアミド溶液の流下時間(t)とを測定し記録する。
【0058】
相対粘度の計算式:
相対粘度η=t/t
ここで、tはポリアミド溶液の流下時間を示し、tは溶媒としての濃硫酸の流下時間を示す。
【0059】
機械的特性の試験方法は以下のとおりである:
曲げ試験は、ISO-178規格を参照し、2mm/分の測定条件で実施され;
引張試験は、ISO-572-2規格を参照し、50mm/分の測定条件で実施され;
衝撃試験は、ISO 180規格を参照して実施される。
【0060】
アルキメデスらせん流動長(単に流動長と呼ぶ)試験は、ポリアミドの融点より25℃高い温度、および80barの射出圧力で行われる。
【0061】
以下の実施形態では、酸化防止剤として酸化防止剤H10を使用し、末端封止剤として酢酸を使用し、触媒として次亜リン酸ナトリウムを使用する。特に断りのない限り、あるいは明らかに矛盾する場合を除き、本発明および実施形態における「%」は、単量体の総質量に対する質量%を表す。
【0062】
〔実施例1〕
1,9-ノナンジアミン9.28mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%、および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が65重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を240℃に加熱し、2.5MPaの圧力下で1時間反応を行った。反応系の圧力を脱気により0MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は317℃であった。その後、真空度が-0.07MPaになるまで20秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0063】
〔実施例2〕
1,9-ノナンジアミン9.28mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、分子量3,000のポリエチレンイミン0.8%、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が65重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を240℃に加熱し、2.5MPaの圧力下で1時間反応を行った。反応系の圧力を脱気により0MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は317℃であった。その後、真空度が-0.07MPaになるまで20秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0064】
〔実施例3〕
1,9-ノナンジアミン9.28mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、分子量3,000のポリエチレンイミン0.4%、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が65重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を240℃に加熱し、2.5MPaの圧力下で1時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は317℃であった。その後、真空度が-0.07MPaになるまで20秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0065】
〔実施例4〕
1,10-デカンジアミン9.20mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が60重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を245℃に加熱し、2.6MPaの圧力下で1.2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は323℃であった。その後、-0.08MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0066】
〔実施例5〕
1,11-ウンデカンジアミン9.21mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を135℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を245℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で1.5時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は309℃であった。その後、-0.06MPaになるまで30秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0067】
〔実施例6〕
1,12-ドデカンジアミン9.20mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を140℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を250℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は308℃であった。その後、-0.09MPaになるまで30秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0068】
〔実施例7〕
1,12-ドデカンジアミン9.20mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、分子量3,000のポリエチレンイミン0.8%、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を140℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を250℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は308℃であった。次いで、-0.09MPaになるまで30秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0069】
〔実施例8〕
1,13-トリデカンジアミン9.23mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を140℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を255℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は301℃であった。次いで、-0.10MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0070】
〔実施例9〕
1,13-トリデカンジアミン9.23mol、テレフタル酸9.10mol、1,6-ヘキサンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を140℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を255℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は303℃であった。その後、-0.10MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0071】
〔実施例10〕
1,10-デカンジアミン9.76mol、テレフタル酸9.48mol、1,5-ペンタンジアミン0.52mol、オクタン二酸0.52mol、触媒0.02%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.20%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が60重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を245℃に加熱し、2.6MPaの圧力下で1.2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は334℃であった。その後、-0.08MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0072】
〔実施例11〕
1,9-ノナンジアミン9.20mol、テレフタル酸9.02mol、1,5-ペンタンジアミン0.98mol、1,10-デカン二酸0.98mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が65重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を240℃に加熱し、2.5MPaの圧力下で1時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は313℃であった。その後、-0.07MPaになるまで20秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0073】
〔実施例12〕
1,11-ウンデカンジアミン9.47mol、テレフタル酸9.24mol、1,6-ヘキサンジアミン0.76mol、1,12-ドデカン二酸0.76mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を135℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を245℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で1.5時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は301℃であった。その後、-0.06MPaになるまで30秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0074】
〔実施例13〕
1,13-トリデカンジアミン9.23mol、テレフタル酸9.10mol、1,8-オクタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を140℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。その後、溶液を255℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は298℃であった。その後、-0.10MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0075】
〔比較例1〕
1,13-トリデカンジアミン9.23mol、テレフタル酸9.10mol、1,12-ドデカンジアミン0.90mol、1,12-ドデカン二酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を140℃に加熱した後、溶液の濃度が70重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を255℃に加熱し、3.0MPaの圧力下で2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は296℃であった。その後、-0.10MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0076】
〔比較例2〕
1,10-デカンジアミン9.20mol、テレフタル酸9.10mol、1,9-ノナンジアミン0.90mol、1,12-ドデカン二酸0.90mol、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が60重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を245℃に加熱し、2.6MPaの圧力下で1.2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は317℃であった。その後、-0.08MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0077】
〔比較例3〕
1,10-デカンジアミン9.20mol、テレフタル酸9.10mol、1,5-ペンタンジアミン0.90mol、アジピン酸0.90mol、分子量3,000のポリエチレンイミン1.5%、触媒0.03%、酸化防止剤0.3%、末端封止剤0.24%および水を、70rpmの撹拌速度で均一に混合し、得られた系を窒素雰囲気中で90℃に加熱し、この温度を1時間維持して、濃度50重量%のポリアミド塩溶液を調製した。反応系を130℃に加熱した後、溶液の濃度が60重量%になるまで水を除去して濃縮した。次いで、溶液を245℃に加熱し、2.6MPaの圧力下で1.2時間反応を行った。反応系の圧力を脱ガスにより0.01MPa(ゲージ圧)まで減圧した。減圧完了後の反応系の温度は323℃であった。その後、-0.08MPaになるまで10秒間真空化を行い、共重合体溶融物を得た。この共重合体溶融物を短冊状に延伸し、ペレット化することにより、耐高温性半芳香族ポリアミドを得た。
【0078】
【表1】
【0079】
最後に、上記の実施形態は、本発明の技術案を説明するために使用されているだけであり、本発明を限定するものではない。本発明は、実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者にとって、実施形態に記載された技術案の修正、または技術特徴の一部または全部に対する等価な置換が依然として可能であり、すべての修正または置換は、対応する技術案の本質を本発明の実施形態の技術案の範囲から逸脱させるものではない。
【国際調査報告】