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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】換気および空調システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20240808BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240808BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
F24F13/02 B
F24F13/02 F
F24F13/02 A
F24F5/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507978
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022068702
(87)【国際公開番号】W WO2023016710
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021120799.1
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519462218
【氏名又は名称】フラマトム・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ダ シルヴァ ウェーバー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】トリーベル,ナンシー
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AB06
3L080AD03
(57)【要約】
本発明は、冷却用空気供給システムと、給気ダクトシステム(14)と、入口(18)、出口(20)および蓄熱要素(30)を含む少なくとも1つの筐体(16)とを含む、部屋用の換気および空調システム(6)に関する。換気および空調システム(6)は、冷却用空気供給システムの動作が故障した場合に、筐体(16)を通って入口(18)から出口(20)まで自然対流空気流が発生し、自然対流空気流が、蓄熱要素(30)への熱伝達によって冷却されるように構成されている。
給気ダクトシステム(14)は、入口(18)の上方でこの入口から一定の距離(A)のところに配設され、給気ダクトシステム(14)と入口(18)の間には間隙(38)が画定されている。筐体(16)の入口(18)は、部屋(2)から間隙(38)を通って筐体の入口(18)内に流れる空気によって、部屋(2)と恒常な流動連結状態になるように適応されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋(2)用の換気および空調システム(6)において、部屋(2)が、熱源(4)と、換気および空調システム(6)とを含んでおり、
- 冷却用空気供給システム(12)と、
-○ 筐体(16)の上位端部に位置設定された入口(18)、
○ 部屋(2)内に通じるように構成されている出口(20)、および
○ 入口(18)と出口(20)の間で筐体(16)内部に配設された蓄熱要素(30)、
を含む少なくとも1つの筐体(16)と、
- 冷却用空気供給システム(12)に連結された給気ダクトシステム(14)と、
を含み、
- 冷却用空気供給システム(12)の動作中、冷却用空気供給システム(12)から給気ダクトシステム(14)を通って、次に筐体(16)を通って入口(18)から出口(20)まで強制冷気流が存在し、これにより、蓄熱要素(30)を冷却し、好ましくは凍結させるように、かつ
- 冷却用空気供給システム(12)の動作が故障した場合に、筐体(16)を通って入口(18)から出口(20)まで自然対流空気流が発生し、自然対流空気流が、蓄熱要素(30)への熱伝達によって冷却されるように、
構成されている換気および空調システム(6)であって、
給気ダクトシステム(14)が、入口(18)の上方で、この入口から一定の距離(A)のところに配設され、給気ダクトシステム(14)と入口(18)の間には間隙(38)が画定されていること、
筐体(16)の入口(18)が、部屋(2)から間隙(38)を通って筐体の入口(18)内に流れる空気によって、部屋(2)と恒常な流動連結状態になるように適応されていること、
を特徴とする、換気および空調システム。
【請求項2】
給気ダクトシステム(14)が、少なくとも1つのエアダクト(22)、好ましくは織物材料製のエアホースを含む、請求項1に記載の換気および空調システム。
【請求項3】
エアダクト(22)が、織物材料製のエアホースであり、円形または半円形の断面を有する、請求項2に記載の換気および空調システム。
【請求項4】
給気ダクトシステム(14)が、冷却用空気供給システム(12)の動作中、冷却用空気供給システム(12)からそれぞれの筐体(16)の入口(18)まで強制冷気流を誘導する支持開口部(24)を含む、請求項1から3のいずれか一つに記載の換気および空調システム。
【請求項5】
換気および空調システム(6)が、給気ダクトシステム(14)を部屋(2)の天井(26)から懸架するための少なくとも1つのブラケット(28)を含むか、または各々の筐体(16)が、給気ダクトシステム(14)を収容するためのブラケットを含む、請求項1から4のいずれか一つに記載の換気および空調システム。
【請求項6】
筐体(16)が、筐体(16)の少なくとも1つの側壁(32)を形成する有孔金属パネル(36)を含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の換気および空調システム。
【請求項7】
筐体(16)が、筐体(16)の上位端部に配設され、部屋(2)から筐体(16)の入口(18)内に空気を誘導するように適応されたバッフル(40)を含む、請求項1から6のいずれか一つに記載の換気および空調システム。
【請求項8】
蓄熱要素(30)が、相変化材料(46)製である、請求項1から7のいずれか一つに記載の換気および空調システム。
【請求項9】
相変化材料(46)が、16℃~30℃の温度範囲内で固体から液体への相変化を行なう、請求項8に記載の換気および空調システム。
【請求項10】
相変化材料(46)が、塩水和物をベースとしている、請求項8または9に記載の換気および空調システム。
【請求項11】
蓄熱要素(30)が、プレート形状を有する、請求項1から10のいずれか一つに記載の換気および空調システム。
【請求項12】
部屋(2)を含む建物であって、熱源(4)と、請求項1から11のいずれか一つに記載の換気および空調システム(6)とを含む部屋(2)、を含む建物。
【請求項13】
出口(20)が、部屋(2)の床(41)近くに位置設定されている、請求項12に記載の建物。
【請求項14】
熱源(4)が、多数の電気および電子部品(8)を含む、請求項12または13に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋用の換気および空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に原子力発電所における現代の制御部品およびシステムは、それらが設置されている技術室内の対流および放射を通して強い熱放散を生成する。こうした理由で、このような部屋の冷却が増々重要になってきた。
【0003】
通常、この冷却は、冷気をプラントルーム内に送風する能動的な換気および空調システムによって達成される。しかしながら、能動的な冷却機能が故障した場合、部屋の中に存在するシステムは典型的には、わずか約2時間後に最大許容温度に達する。
【0004】
詳細には国際公開第2019/105559号から、部屋の中に存在する設備が最大許容温度に達する、例えば最大24時間といった時間(以下「冷却期間」と呼ぶ)を延長させるために受動的な緊急冷却モードを提供する必要のあることが知られている。これは、例えば、蓄熱器として作用する相変化材料を受動的なシステムに具備することによって達成される。
【0005】
しかしながら、このようなシステムは、特にそのロバスト性および信頼性の観点から見て完全に満足のいく訳ではない。実際、このようなシステムは、特に能動的な冷却モードから受動的な冷却モードへ切換えるために、中間部品を使用する。これらの中間部品は、待機期間が長期にわたり、その機能を失うかまたは損傷を受ける可能性があり、このため、このようなシステムの信頼性を低減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/105559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、能動的な冷却機能が故障した場合、詳細には停電に起因して能動的な冷却機能が故障した場合に、能動的な換気および空調システム用の緊急冷却モードを提供することを目的とする。特に、現状の冷却期間を延長しなければならない。システムは、確実に機能し、設置およびメンテナンスが、容易でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的で、本発明は、請求項1の特徴を有する換気および空調システムを提案する。
【0009】
蓄熱要素を用いて能動的な部屋冷却から受動的な部屋冷却への受動的な切換えを行うというのが、基本的な考えである。筐体内部の蓄熱要素が冷却される強制冷却モードから、先に冷却された蓄熱要素が自然対流空気流用の冷却能力を提供する自然対流冷却モードへの受動的な切換えが存在する。さらに、この切換えは、追加の措置または追加の部品無しで行なわれ、このため、システムのロバスト性ひいては信頼性が増強される。
【0010】
従属請求項中および明細書中に、有利な構成が示されている。
【0011】
本発明はまた、熱源と、上述の換気および空調システムとを有する部屋を含む建物にも関する。
【0012】
本発明は、添付図面を参照する構成の以下の記述を用いて説明される。
【0013】
請求項および明細書の個別の特徴は、それらの特徴が技術的に互換性のないものではない限り、任意の組合せまたは部分的組合せで開示されているものとみなされるべきである。
【0014】
ここで本発明の優先的な構成について、図面を通して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】動作中に熱を発生させる多くの電気または電子調節および制御部品を格納している部屋の平面図を示す。
図2】本発明に係る換気および空調システムが設置され、能動的な通常の冷却モードが、空気流を表示する矢印によって視覚化されている、図1に表示された断面ラインII-IIに沿った部屋の側面断面図を示す。
図3】受動的な緊急冷却動作が視覚化されている、図2の側面断面図を示す。
図4図2および図3に示された換気および空調システムの、より詳細な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、熱源4と、換気および空調システム6を格納する部屋2の平面図を示す。
【0017】
部屋2は、詳細には、原子力発電所内の技術室である。
【0018】
熱源4は、複数の電気および電子部品8、詳細には動作中に熱を発生させる調節および制御部品を含む。調節および制御部品8は、例えば部屋2の中央部域内のキャビネット10内に収容されている。
【0019】
代替的には、熱源4は、以上で説明した電気/電子部品とは異なるタイプのものである。
【0020】
換気および空調システム6は、動作中、部屋2の中に冷気を送風して、部屋の温度を許容可能な最大値より低く保つ。
【0021】
部屋の温度は、例えば、連続動作において25℃未満に保たれなければならない。
【0022】
いくつかの構成においては、暖房もまた統合されており、結果として組合せ暖房、換気および空調システムがもたらされる。
【0023】
換気および空調システム6は、冷却用空気供給システム12、冷却用空気供給システム12に連結された給気ダクトシステム14ならびに、入口18および出口20を含む少なくとも1つの筐体16を含む。
【0024】
冷却用空気供給システム12は、例えば、蒸気圧縮サイクル冷凍機または熱電冷却により提供される空気冷却器、および給気ダクトシステム14を通って強制冷気流を生成するためのファンまたは送風機を含む。
【0025】
例えば、冷却用空気供給システム12は、15~20℃の温度で冷気を生成する。
【0026】
図1に概略的にのみ示されている冷却用空気供給システム12は、例えば部屋2の外部に配設される。
【0027】
冷却用空気供給システム12の動作中、給気ダクトシステム14を通って冷却用空気供給システム12からの強制冷気流が存在する。
【0028】
給気ダクトシステム14は、冷却用空気供給システム12の動作中、冷却用空気供給システム12から筐体16の入口18まで強制冷気流を誘導するように構成されている。
【0029】
図1に示された構成例において、換気および空調システム6は、好ましくは並列に配設されている複数の筐体16を含む。
【0030】
図1に示されているように、筐体16は、好ましくは一列に、好ましくは部屋2の壁34に配設されている。
【0031】
一例として、筐体16は、部屋2の対面する2ヶ所の壁34に2本の平行な列で配設される。
【0032】
代替的には、筐体16は、部屋2の中央に、詳細にはさまざまな部品8の間に配設される。
【0033】
給気ダクトシステム14は、これらの筐体16の各々に対応する分岐を含む。
【0034】
給気ダクトシステム14は、少なくとも1つのエアダクト22を含む。
【0035】
好ましくは、エアダクト22は、織物材料製のエアホースである。織物材料とは、例えば、織物ファブリック、詳細にはポリエステル製織物ファブリックを意味する。このようなポリエステル製の織物ファブリックは、環境的および化学的影響に対する優れた耐性を提供し、洗浄または清浄が容易である。
【0036】
代替的には、金属エアダクト22を使用することができる。
【0037】
エアダクト22は、冷却用空気供給システム12から筐体16の各々まで強制冷気流を誘導する。
【0038】
この目的で、エアダクト22は、例えば、筐体16の各々の列のための連結を含む。
【0039】
代替的には、給気ダクトシステム14は、多数のエアダクト22、例えば筐体16の各々の列のための1本のエアダクト22を含む。
【0040】
エアダクト22が、織物材料製のエアホースである場合、エアホース22は、好ましくは、図中に示されている円形断面を有する。このような断面は、均一の空気分布を保証する。代替的には、エアホース22は、半円形の断面を有する。
【0041】
エアホース22は、例えば、300mm~800mmの直径を有する。
【0042】
エアホース22は、好ましくは、表面全体にわたり浸透性を有する。このことは、強制冷気流の一部がエアホース22内の任意の点で漏出できることを意味している。給気ダクトシステム14は、好ましくは、冷却用空気供給システム12の動作中、冷却用空気供給システム12からそれぞれの筐体16の入口18まで強制冷気流を誘導する支持開口部24を含む。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つの開口部24が、各々の筐体16の入口18に対面して配設されている。
【0044】
エアダクト22が、織物材料製のエアホースである場合、開口部24は、好ましくはノズルで形成されている。これらのノズル24は、好ましくはエアホース22の下側に位置設定される。各々のノズル24は、筐体16のうちの1つの入口18に向かって冷気の流れを誘導する。これらは、例えば、それぞれの入口18で冷気コーンを誘導するフルコーンノズル、またはコーンレスノズルまたはエアホース内に穿孔された開口部ノズルである。
【0045】
ノズル24は、それぞれの筐体16の入口18に強制冷気流を誘導することによって、流れを促進する。
【0046】
エアダクト22が、金属エアダクトである場合、開口部24は、ノズルまたは排出グリルによって形成され得る。この場合、開口部24は、好ましくは、強制冷気流のためのエアダクト22からの唯一の空気出口である。
【0047】
図2および3に示されているように、給気ダクトシステム14は有利には、部屋2の天井26近くで、例えば天井26から最大でも20cmの距離のところに配設される。
【0048】
この目的のため、換気および空調システム6は、部屋2の天井26から給気ダクトシステム14を懸架するための支持体28を含む。
【0049】
ホルダー28は、例えばロープ懸架装置、好ましくは図4に示されている両面ロープ懸架装置を含む。代替的には、ブラケット28は、懸架レールを含む。
【0050】
代替的には、各々の筐体16が、給気ダクトシステム14を収容するためのホルダーを含む。この場合、給気ダクトシステム14は、天井26に対する別個の懸架装置を必要としない。
【0051】
各々の筐体16は、入口18と出口20の間で筐体16内部に配設された蓄熱要素30を含む。各々の筐体16は、実質的に同一であるので、以下では図4を参照して1つの筐体16についてのみ説明する。
【0052】
筐体16は、好ましくは、冷却動作中、下向きの空気流を誘導する直線的で垂直に配向された区分を含む。
【0053】
筐体16は、入口18と出口20の間で垂直に延在する側壁32(部屋および壁の側に面する)を含む。
【0054】
図中に示された例において、側壁32の1つは、部屋2の壁34に接している。
【0055】
筐体16は、筐体16の少なくとも1つの側壁32を形成し、詳細には部屋2の壁34から遠隔に位置付けされた筐体16の側壁32を形成する有孔金属パネル36を含む。
【0056】
これらの有孔パネル36は、例えばメンテナンス作業のための筐体16への点検扉を画定する。
【0057】
有孔シート金属パネル36は、能動的な冷却用空気流が故障した場合に、筐体16内の蓄熱要素30が直接的熱放射の一部もまた吸収できるように、それらの孔パターンと共に寸法決定されている。
【0058】
入口18は、筐体16の上位端部、詳細には給気ダクトシステム14の下方に位置設定される。
【0059】
給気ダクトシステム14は、入口18の上方で、この入口から一定の距離Aのところに配設され、給気ダクトシステム14と入口18の間には間隙38が画定されている。距離Aは、垂直方向に沿って測定される。
【0060】
この間隙Aの結果として、筐体16の入口18は、間隙38を通って部屋2から筐体16の入口18内に空気が流れることができるという点において、恒常的に部屋2と流動連結状態にある。
【0061】
間隙Aは、入口18とエアダクト22の間で部屋2から十分な空気が流れることができるように十分大きいものであると同時に、開口部24から失なわれる冷気が僅かであることを保証するのに十分小さいものでなければならない。距離Aは、例えば、50mm~250mmである。
【0062】
有利には、図4に示されているように、筐体16は、チャンバ2から筐体16の入口18内に空気を誘導するために筐体16の上位端部に位置設定されたバッフル40を含む。バッフル40は、間隙38を通って開口部24から部屋2内に冷気が流れるのを防ぎながら、部屋2の上位領域から間隙38まで暖気などの空気を誘導するように構成されている。このことは、開口部24からの強制冷気流が、ほぼ完全に入口18を通って筐体16内に流れることができるということを意味している。
【0063】
部屋2からの空気、詳細には緊急冷却モードでの加熱空気が、バッフル40を通って入口18まで導かれ、その後筐体16を通って流れる。こうして、冷却用空気供給システム12が故障した場合に、単純な方法で部屋2の信頼できる緊急冷却が生み出される。
【0064】
出口20は、部屋2内に通じており、筐体16からの空気の退出点を形成する。出口20は、図に示されているように、チャンバ2の床41の近くに位置設定されている。出口20は、例えばグリル42を含む。
【0065】
筐体16は、筐体16内部に配設されている支持構造44を含む。蓄熱要素30は、通常の動作中、冷却用空気供給システム12により提供される強制冷気流がそれらの上を流れるように支持構造44を用いて筐体16内部に配設される。
【0066】
蓄熱要素30に起因する幾分かの圧力の低下が存在するものの、蓄熱要素30間および/または蓄熱要素30と筐体16の側壁32との間の残留自由空間は、入口18と出口20の間の空気流が遮断されないことを保証している。
【0067】
好ましくは、蓄熱要素30は、プレート形状、詳細には平坦な側が主要な流れ方向に平行に配向されたプレート形状を有する。
【0068】
1つの構成によると、複数の蓄熱要素30が、筐体16内部の流れ方向との関係において平行にかつ/または互いに前後して配設される。
【0069】
蓄熱要素30は、好ましくは、相変化材料(PCM)46製である。
【0070】
蓄熱要素30のPCM46は、好ましくは、典型的には16℃~30℃の範囲内の温度を有する、冷却用空気供給システム12からの強制冷気流と接触した時点で凍結するように選択される。
【0071】
PCM46はまた、16℃~30℃の温度範囲内で固体から液体への相変化を行なうように選択される。
【0072】
換言すると、PCM46は、好ましくは、16℃~30℃の範囲内の融解温度で、自然対流下で融解する。
【0073】
この凍結/融解では、ヒステリシスを考慮に入れなければならない。
【0074】
PCM46は、好ましくは、塩水和物をベースとしており、これは、塩水和物が不燃性または少なくとも難燃性であるからである。さらに、塩水和物は、多数の凍結および融解サイクル中、それらの蓄熱容量に悪影響を与えるメモリ効果を有さない。塩水和物はまた、高い体積潜熱蓄熱容量も有している。
【0075】
代替的には、PCM46は、パラフィンをベースにしている。
【0076】
以下で、図2を参照しながら、換気および空調システム6の通常の冷却動作、すなわち冷却用空気供給システム12の動作中のその動作について説明する。
【0077】
図2中には、筐体16を通ってかつ部屋2を通って空気流が、対応する矢印によって概略的に示されている。
【0078】
冷却用空気供給システム12は、強制冷気流を生成する。次に、強制冷気流は、給気ダクトシステム14を通って分配される。給気ダクトシステム14そして詳細にはエアダクト22内の支持開口部24は、冷却用空気供給部から単数または複数の筐体16の入口18まで強制冷気流を誘導する。強制冷気流は、次に、単数または複数の筐体16を通って流れ、こうして通常の冷却動作中、蓄熱要素30を冷却し凍結させ、これらの蓄熱要素をその後のあらゆる緊急冷却動作に向けて準備する。
【0079】
通常の冷却モードでは、蓄熱要素30は、恒常的に冷却され、したがって低温を蓄えることできる。
【0080】
好ましくは、安全性の理由から、蓄熱の容量を導出するために、蓄熱要素30の前後の温度が測定される。
【0081】
蓄熱要素30を通って流れた後、冷気は、それぞれの出口20で各々の筐体16を退出し、その後、床の自然空気流によってキャビネット10に分配される。冷気の密度がより高いことに起因して、空気流は、部屋の低いところ、特に床近くに維持される。
【0082】
部屋の中の空気は、部品8の熱出力によって加熱され、部屋の天井に向かって上昇する。加熱空気はその後、天井26下の排気システム48を通って部屋2から放出される。
【0083】
したがって、通常の冷却モードでは、加熱空気はほとんどが、専ら部屋2の排気システム48を通って排気され、無視できる程度の量の加熱空気しかそれぞれの入口18を通って各々の筐体16に入らない。
【0084】
上述のように、換気および空調システム6は、冷却用空気供給システム12の動作中、冷却用空気供給システム12から給気ダクトシステム14を通って、次に単数または複数の筐体16を通ってそれぞれの入口18からそれぞれの出口20まで、強制冷気流が存在するように構成されており、これにより、蓄熱要素30を冷却し、好ましくは凍結させる。
【0085】
ここで次に、図3および4を参照して、換気および空調システム6の緊急冷却動作、すなわち冷却用空気供給システムの動作が故障した場合のその動作について説明する。
【0086】
冷却用空気供給システム12が、例えば停電に起因して故障した場合、冷却用空気供給システム12および排気システム48は、強制冷気流を発生させず、ひいてはいかなる冷気も給気ダクトシステム14から単数または複数の筐体16の入口18内に流れないことになる。この場合、部屋2の中および部品8間の温度は、比較的急速に臨界値を超え得る。
【0087】
受動的な緊急冷却モードは、図3中で、流れ方向を表示する矢印によって概略的に示されている。
【0088】
例えば24℃~52℃の範囲内の温度を有する加熱空気が、部屋の天井まで上昇し、それぞれの入口18を介して、単数または複数の筐体16の冷却された内部に向かって、温度差に起因する自然対流空気流として、その冷却された筐体16または各々の冷却された筐体16に入る。加熱空気はその後、単数または複数の筐体16を通って、詳細には蓄熱要素30を通って流れ、冷却される。
【0089】
したがって、強制空気流から自然空気流への切換えは、いかなる追加の能動的な機能または受動的な機能無しで実施される。
【0090】
受動的な冷却プロセス中、蓄熱要素30のPCM46は、その中を通過する暖気流によって加熱され、固体から液体へとその状態を変える(融解)。PCM46の相変化および付随する潜熱に起因して、比較的大きい蓄熱容量を達成することができる。蓄熱要素30はこうして、潜熱備蓄として作用し、自然対流空気流のための冷却能力を提供する。したがって、PCM46の温度は、完全な融解までほぼ恒常に保たれる。
【0091】
通常の冷却モードでのように、冷気は、底部部域内のそれぞれの出口20でその筐体16または各々の筐体16から退出し、自然空気流によって発熱生部品8に分配されてこれらの部品を冷却する。
【0092】
このようにして、部屋2を通ってかつ単数または複数の筐体16を通って自然対流空気流が確立され、蓄熱要素30の冷却能力を超えないかぎり維持される。
【0093】
上述のように、換気および空調システム6は、冷却用空気供給システム12の動作が故障した場合、それぞれの入口18からそれぞれの出口20まで単数または複数の筐体16を通って自然対流空気流が発生し、自然対流空気流は、蓄熱要素30への熱伝達によって冷却されるように構成されている。
【0094】
冷却用空気供給システム12の動作が復帰した場合、例えば電力がオンに戻って切換わった時点で、単数または複数の筐体16を通って強制冷気流が再び確立され、したがって蓄熱要素30は再凍結される。自然対流空気流から強制冷気流への切換えもまた、いかなる追加の能動的な機能または受動的な機能無しで行なわれる。
【0095】
この換気および空調システム6は、停電が発生した場合でさえ、一定の冷却期間、部屋の本質的に安全な冷却を保証する。
【0096】
全体として、本発明に係るシステムにより、受動的な(緊急)冷却の、例えば最高24時間といった比較的長い冷却時間が、冷却用空気供給システム12の故障後に達成される。正確な冷却期間は、詳細には、蓄熱要素30の数、使用されるPCM46および、筐体16の幾何形状によって左右される。
【0097】
発明者らは、合計12基の筐体16を含み、各々の筐体が180個の塩水和物PCM蓄熱要素30のスタックを格納している本発明に係るシステムを用いて実験および数値計算を行なった。各々の蓄熱要素30は、およそ450×300×15mmの寸法、およそ630kg(筐体およびベースフレームを含む)の重量そしておよそ83,000kJの熱容量を有していた。これらの試験および計算は、このような例示的システムが、少なくとも24時間、およそ11.5kWの暖房負荷でおよそ72mおよび高さ3.4mの部屋に対しておよそ1000MJの範囲内の総冷却能力を提供できるということを確認した。
【0098】
さらに、追加の装置または措置無しの強制流から自然空気流への受動的な切換えは、換気および空調システム6のロバスト性ひいては信頼性を保証する。
【符号の説明】
【0099】
2 部屋
4 熱源
6 換気および空調システム
12 冷却用空気供給システム
14 給気ダクトシステム
16 筐体
18 入口
20 出口
30 蓄熱要素
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋(2)用の換気および空調システム(6)において、部屋(2)が、熱源(4)と、換気および空調システム(6)とを含んでおり、
- 冷却用空気供給システム(12)と、
-○ 筐体(16)の上位端部に位置設定された入口(18)、
○ 部屋(2)内に通じるように構成されている出口(20)、および
○ 入口(18)と出口(20)の間で筐体(16)内部に配設された蓄熱要素(30)、
を含む少なくとも1つの筐体(16)と、
- 冷却用空気供給システム(12)に連結された給気ダクトシステム(14)と、
を含み、
- 冷却用空気供給システム(12)の動作中、冷却用空気供給システム(12)から給気ダクトシステム(14)を通って、次に筐体(16)を通って入口(18)から出口(20)まで強制冷気流が存在し、これにより、蓄熱要素(30)を冷却し、好ましくは凍結させるように、かつ
- 冷却用空気供給システム(12)の動作が故障した場合に、筐体(16)を通って入口(18)から出口(20)まで自然対流空気流が発生し、自然対流空気流が、蓄熱要素(30)への熱伝達によって冷却されるように、
構成されている換気および空調システム(6)であって、
給気ダクトシステム(14)が、入口(18)の上方で、この入口から一定の距離(A)のところに配設され、給気ダクトシステム(14)と入口(18)の間には間隙(38)が画定されていること、
筐体(16)の入口(18)が、部屋(2)から間隙(38)を通って筐体の入口(18)内に流れる空気によって、部屋(2)と恒常な流動連結状態になるように適応されていること、
を特徴とする、換気および空調システム。
【請求項2】
給気ダクトシステム(14)が、少なくとも1つのエアダクト(22)、好ましくは織物材料製のエアホースを含む、請求項1に記載の換気および空調システム。
【請求項3】
エアダクト(22)が、織物材料製のエアホースであり、円形または半円形の断面を有する、請求項2に記載の換気および空調システム。
【請求項4】
給気ダクトシステム(14)が、冷却用空気供給システム(12)の動作中、冷却用空気供給システム(12)からそれぞれの筐体(16)の入口(18)まで強制冷気流を誘導する支持開口部(24)を含む、請求項に記載の換気および空調システム。
【請求項5】
換気および空調システム(6)が、給気ダクトシステム(14)を部屋(2)の天井(26)から懸架するための少なくとも1つのブラケット(28)を含むか、または各々の筐体(16)が、給気ダクトシステム(14)を収容するためのブラケットを含む、請求項に記載の換気および空調システム。
【請求項6】
筐体(16)が、筐体(16)の少なくとも1つの側壁(32)を形成する有孔金属パネル(36)を含む、請求項に記載の換気および空調システム。
【請求項7】
筐体(16)が、筐体(16)の上位端部に配設され、部屋(2)から筐体(16)の入口(18)内に空気を誘導するように適応されたバッフル(40)を含む、請求項に記載の換気および空調システム。
【請求項8】
蓄熱要素(30)が、相変化材料(46)製である、請求項に記載の換気および空調システム。
【請求項9】
相変化材料(46)が、16℃~30℃の温度範囲内で固体から液体への相変化を行なう、請求項8に記載の換気および空調システム。
【請求項10】
相変化材料(46)が、塩水和物をベースとしている、請求項8または9に記載の換気および空調システム。
【請求項11】
蓄熱要素(30)が、プレート形状を有する、請求項に記載の換気および空調システム。
【請求項12】
部屋(2)を含む建物であって、熱源(4)と、請求項に記載の換気および空調システム(6)とを含む部屋(2)、を含む建物。
【請求項13】
出口(20)が、部屋(2)の床(41)近くに位置設定されている、請求項12に記載の建物。
【請求項14】
熱源(4)が、多数の電気および電子部品(8)を含む、請求項12または13に記載の建物。
【国際調査報告】