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特表2024-530203使用済みプラスチックの熱分解のためのシステムおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】使用済みプラスチックの熱分解のためのシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20240808BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508067
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 GB2022052068
(87)【国際公開番号】W WO2023017250
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2111460.8
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521126911
【氏名又は名称】プラスティック・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLASTIC ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ストリブンス,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤブルディ,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】シルバ・ペレス,フアン
(72)【発明者】
【氏名】ダンフィ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA01
4F401CA70
4F401CA90
4F401CB01
4F401CB10
4F401CB14
4F401DA03
4F401DA12
4F401EA46
4F401FA01X
4F401FA01Y
4F401FA06Y
4F401FA07Z
4F401FA20X
4F401FA20Y
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC06
(57)【要約】
本発明は、燃料またはさらなるプラスチックの製造のための炭化水素を得るための廃プラスチック(使用済みプラスチック)の処理に関する。熱分解のための工程を制御する方法であって、反応器容器にプラスチック材料を充填することと、プラスチック材料を、プラスチック材料を熱分解するために反応器容器を加熱すること、反応器容器内の材料を混合するために反応器容器内の攪拌器を駆動すること、および、反応器容器から炭化水素蒸気を受け取ることによって、処理することと、1つまたは複数のパラメータであって、攪拌器の負荷、および/または、反応器容器内の複数の異なる高さの複数の温度、および/または、反応器容器から受け取られる蒸気の温度からなる、1つまたは複数のパラメータを監視することと、監視されているパラメータに応答して、加熱および/または駆動を修正すること、および/または、処理を終結させることとを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解のための工程を制御する方法であって、
反応器容器にプラスチック材料を充填することと、
前記プラスチック材料を、
前記プラスチック材料を熱分解するために前記反応器容器を加熱すること、
前記反応器容器内の前記材料を混合するために前記反応器容器内の攪拌器を駆動すること、および
前記反応器容器から炭化水素蒸気を受け取ること
によって、処理することと、
1つまたは複数のパラメータであって、
前記攪拌器の負荷、および/または
前記反応器容器内の複数の異なる高さの複数の温度、および/または
前記反応器容器から受け取られる前記蒸気の温度
からなる、1つまたは複数のパラメータを監視することと、
前記監視されているパラメータに応答して、
前記加熱および/または駆動を修正すること、および/または
前記処理を終結させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記監視されているパラメータは、前記反応器容器の前記内容物のワックス含有量の指標を提供するために使用され、前記方法は、前記ワックス含有量が2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%であることを、前記監視されているパラメータが示すことに応答して前記処理を終結させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、複数の温度センサによって監視されている温度の所定の分布を識別することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、温度の所定の分布の時系列が発生したことを判定することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、攪拌器負荷のピークを識別することと、前記ピークの前記識別に応答して、前記加熱および/または駆動を修正すること、および/または、前記処理を終結させることを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、前記複数の温度センサによって測定される温度間の差のピークを識別することと、前記ピークの前記識別に応答して、前記加熱および/または駆動を修正すること、および/または、前記処理を終結させることを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、蒸気温度が蒸気温度閾値を下回ったときを識別することと、前記識別に応答して、前記加熱および/または駆動を修正すること、および/または、前記処理を終結させることを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、
攪拌器負荷のピークの発生を識別することと、
前記複数の温度センサによって測定される温度間の差のピークの発生を識別することと、
両方のピークの前記識別に応答して、
前記加熱および/または駆動を修正すること、および/または、
前記処理を終結させることと
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数のパラメータを監視することが、
攪拌器負荷のピークの発生を識別することと、
前記複数の温度センサによって測定される温度間の差のピークの発生を識別することと、
前記蒸気温度が蒸気温度閾値を下回ったときを識別することと、
両方のピーク、および、前記蒸気が前記蒸気温度閾値を下回ったことの前記識別に応答して、
前記加熱および/または駆動を修正すること、および/または
前記処理を終結させることと
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記修正するステップおよび/または前記終結させるステップが、前記ピークの前記識別の所定の時間期間後に実施される、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記監視されているパラメータに応答して、前記反応器容器をより高い温度に加熱することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記攪拌器負荷の前記監視に応答して前記攪拌器の前記駆動速度を減少させることを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記工程が、前記監視されているパラメータに応答して終結し、前記工程を終結させることが、前記反応器容器の前記内容物を液体中に放出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記工程を終結させることが、前記反応器容器の前記内容物を、液体を保持する混合容器内に放出することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
熱分解のための工程を制御する方法であって、
反応器容器にプラスチック材料を充填することと、
前記プラスチック材料を熱分解するために前記反応器容器を加熱することと、
前記反応器容器内の前記材料を混合するために前記反応器容器内の攪拌器を駆動することと、
前記反応器容器から炭化水素蒸気を受け取ることと、
前記反応器容器の内容物を放出し、前記放出されている内容物を液体と混合することによって、前記処理を終結させることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記液体が水である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応器容器の前記内容物が混合容器内に放出され、前記液体と混合されてスラリーが形成される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体が、前記反応器容器の前記放出される内容物の前に前記混合容器に供給される、請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記スラリーが脱水コンテナに送られる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記スラリーが、加圧された不活性ガスによって前記脱水コンテナに押し込まれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
熱分解のための工程を制御する方法であって、
反応器容器にプラスチック材料を充填することと、
前記プラスチック材料を熱分解するために前記反応器容器を加熱することと、
前記反応器容器内の前記材料を混合するために前記反応器容器内の攪拌器を駆動することと、
前記反応器容器から炭化水素蒸気を受け取ることと、
反応器内容物のワックス含有量を推定することと、
前記推定されているワックス含有量が2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%であるとき、前記反応器容器の前記内容物を放出することと
を含む、方法。
【請求項22】
熱分解システムであって、
プラスチック材料の熱分解のための反応器であり、
プラスチック材料の供給を受けるための供給入口、炭化水素蒸気を放出するための蒸気出口、およびチャーを出すためのチャー出口を有する反応器容器、
前記反応器容器内で材料を混合するための攪拌器、
前記攪拌器を駆動するアクチュエータ、ならびに
前記反応器容器の内容物を加熱するヒータ
を含む、反応器と、
センサシステムであって、
前記アクチュエータの動作パラメータを示す信号を生成するためのアクチュエータセンサ、および/または
各々が温度を示す信号を生成するための、前記反応器容器内の複数のロケーションにそれぞれ位置する複数の温度センサ、および/または
前記蒸気出口の下流の蒸気の温度を監視するための蒸気温度センサ
から成る、センサシステムと、
前記反応器を複数の動作モードのうちの1つにおいて制御するために前記センサシステムと通信するコントローラであり、前記動作モードは、
前記アクチュエータが第1の速度で前記攪拌器を駆動し、前記ヒータが第1の熱量を生成する熱分解モード、および
前記チャー出口を通じてチャーが放出されるチャー放出モード
を含み、
前記コントローラは、前記センサシステムからの信号に応答して、前記動作モードのうちの前記第1の動作モードから前記動作モードのうちの前記第2の動作モードに切り替えるように構成されている、熱分解システム。
【請求項23】
熱分解システムであって、
プラスチック材料の熱分解のための反応器であり、
プラスチック材料の供給を受けるための供給入口、炭化水素蒸気を放出するための蒸気出口、およびチャーを出すためのチャー出口を有する反応器容器、
前記反応器容器内で材料を混合するための攪拌器、
前記攪拌器を駆動するアクチュエータ、ならびに
前記反応器容器の内容物を加熱するヒータ
を含む、反応器と、
前記反応器容器から残留物を放出するためのチャー放出システムであり、
液体の供給源、
チャーおよび液体のスラリーを形成するために、前記チャー出口および前記液体の供給源と連通する混合容器
を備える、チャー放出システムと
を備える、熱分解システム。
【請求項24】
前記チャー放出システムが、前記混合容器内にインペラをさらに備える、請求項23に記載の熱分解システム。
【請求項25】
前記混合容器がスチーム出口をさらに備える、請求項23または24に記載の熱分解システム。
【請求項26】
前記チャー放出システムが、
前記混合容器からスラリーを受け取るための脱水コンテナと、
不活性ガス源と
をさらに備え、
前記不活性ガス源は、スラリーを前記混合容器から前記脱水コンテナへと駆動するように構成されている、請求項23~25のいずれか1項に記載の熱分解システム。
【請求項27】
前記不活性ガスが窒素である、請求項26に記載の熱分解システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料またはさらなるプラスチックの製造のための炭化水素を得るための廃プラスチック(使用済みプラスチック)の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みプラスチック化学リサイクル技術は、一般に、混合廃プラスチックを様々な液体炭化水素生成物にリサイクルするように設計されている。これらの廃プラスチックは、溶融形態のプラスチック供給物を反応器容器に供給することによって液体炭化水素生成物に変換される。反応器容器は、燃焼システムによって350℃を超える温度まで外部から加熱される。これにより、溶融プラスチックから豊富な飽和炭化水素蒸気が生成され、これは接触器容器を通って反応器容器から流出し、より重い蒸気留分が凝縮する。次いで、これは、下流の常圧蒸留塔でほぼ大気圧で蒸留される。
【0003】
国際公開第2011077419号および国際公開第2016030460号および国際公開第2020065316号などにおいて、使用済みプラスチックの熱分解のためのシステムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムには混合廃棄使用済みプラスチックの形態の材料が供給されるため、ソース材料の正確な組成は非常に予測不可能である。それは、プラスチック瓶からプラスチック袋まで、様々な特性および様々な不純物を有する任意の再生プラスチックから供給され得る。このような工程で使用する廃プラスチックは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE:low density polyethylene)、高密度ポリエチレン(HDPE:high density polyethylene)、ポリスチレン(PS:polystyrene)、および/またはポリプロピレン(PP:polypropylene)を含む場合がある。様々な種類のプラスチックの各々の量は、処理の開始時には分からない。結果として、プラスチック材料の正確な処理時間を予測することは困難であり、これは、これが材料に大きく依存し、供給速度およびバッチサイズにも依存し得るためである。
【0005】
処理されているプラスチック材料から炭化水素を抽出する有効性に関してだけでなく、工程全体のエネルギー効率に関しても、そのような熱分解システムにおける効率を改善することが継続的に必要とされている。この効率の改善は、廃プラスチックの予測不可能な供給の文脈において達成されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、以下に、熱分解の工程を制御する方法および熱分解システムを提示する。そのような方法およびシステムは、好ましくは、後述するように、プラスチック材料のバッチまたは半バッチ処理のために構成される。
【0007】
図面のリスト
本発明をよりよく理解するために、また本発明をどのように実践することができるかを示すために、ここで添付の図面を単に例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プラスチック材料を処理するための反応器アセンブリを示す図である。
図2】攪拌器を駆動するのに必要な電力の経時的な変化の一例を示す図である。
図3】反応器容器内の温度分布の経時変化の一例を示す図である。
図4】反応器システムの概略図である。
図5】混合容器の概略図である。
図6】脱水コンテナの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
全体構造
図4は、プラスチック材料の熱分解のための反応器システム100を描写する。反応器システム100は、図1を参照して説明されているような反応器容器1を含む。
【0010】
反応器システム100は、反応器容器1と、アクチュエータ5と、攪拌器3と、供給入口210と、蒸気出口206と、チャー出口208と、ヒータ202と、センサシステム110、112、114、116、118と、コントローラ204とを備える。
【0011】
反応器容器1は、プラスチック材料の供給を受けるための供給入口210を有する。
反応器容器1は、炭化水素蒸気を放出するための蒸気出口206を有する。
【0012】
反応器容器1は、チャーを出すためのチャー出口208を有する。
攪拌器3は、反応器容器1内で材料を混合するためのものである。好ましくは、攪拌器は、図1を参照して説明されているものである。
【0013】
攪拌器3は、アクチュエータ5によって駆動される。好ましくは、アクチュエータ5は、反応器容器1内で回転するように攪拌器3を駆動するモータまたはエンジン(好ましくはモータ)である。好ましくは、アクチュエータ5は可逆的である。
【0014】
ヒータ202は、反応器容器1の内容物を加熱するように構成されている。好ましくは、ヒータ202は、加熱流体から反応器容器1の内容物に熱を伝達するために反応器容器1の一部または全部を取り囲むジャケットである。ジャケットは、燃焼ガスなどの加熱された流体の流れを受け入れることができる。
【0015】
センサシステム110、112、114、116、118は、工程および反応器システム100の様々な動作パラメータを監視する。
【0016】
センサシステム110、112、114、116、118は、反応器容器1を出る蒸気の温度を示す信号を生成するための、蒸気出口206の下流の蒸気温度センサ118を含む。
【0017】
センサシステム110、112、114、116、118は、アクチュエータ5の動作パラメータを示す信号を生成するためのアクチュエータセンサ116を含む。動作パラメータは、攪拌器3に対する負荷を表すことができる。
【0018】
センサシステム110、112、114、116、118は、各々が温度を示す信号を生成するために、反応器容器1上の複数のロケーションにそれぞれ位置する複数の温度センサ110、112、114を含む。温度センサは、好ましくは、反応器容器1の壁の外面上にある。
【0019】
コントローラ204は、工程を、それが反応器システム100内で進行するときに監視し、反応器システム100を制御する。
【0020】
コントローラ204は、センサシステム110、112、114、116、118から受信される信号を監視する。
【0021】
コントローラ204は、ヒータによって反応器容器1に供給される熱量、ならびにアクチュエータ5に供給される速度および/または電力を制御する。
【0022】
反応器システム100はまた、チャー放出手段(単に重力に依拠するのではなく、積極的に充填を放出するための)を備えてもよい。好ましい実施形態では、これは、図1を参照して論じられているように、攪拌器3および/または中央シャフトオーガ35(場合によっては、攪拌器3と一体的に形成される)を含むことができる。そのような場合、攪拌器3は、反応器容器1からチャーを放出するために反応器容器1のチャー出口208を通じて下向きの力が加えられるように逆に駆動可能であってもよい。この文脈における「逆」とは、攪拌器3が、反応器容器1の内容物を持ち上げ、したがって混合を促進するように構成される、処理中に攪拌器3が駆動される通常の駆動方向とは反対であることを意味する。
【0023】
反応器容器
熱分解の工程は、適切な反応器容器の非限定的な例を提供する図1に示すような反応器容器1内で実行することができる。
【0024】
反応器容器1内には、攪拌器3を回転可能に搭載することができる。攪拌器3は、反応器容器1内で概して長手方向に延在する中央シャフト31を含むことができる。攪拌器3は、軸Xを中心に回転可能であるように搭載されている。軸Xは、好ましくは、中央シャフト31、ならびに反応器容器1の上側開口部および下側開口部の中心軸とほぼ一致する。複数の水平支持バー32が、攪拌器3の中央シャフト31から延在することができる。水平バー32には、複数の攪拌翼34が取り付けられている。代替的な実施形態では、他の構造の攪拌器3が使用されてもよい。攪拌器3には、反応器容器1内で材料を混合するように構成されていることのみが必要とされる。
【0025】
攪拌器3は、システムのいくつかの機能を改善するために反応器容器内に設置される。特に、攪拌器3は、溶融プラスチック混合物の熱的均質化を増大させることができる。これは、反応器容器外被からの熱伝達を最大化し、コールドスポットが形成されるのを防止することによって、反応時間を短縮することができる。この熱的均質化は、より揮発性の炭化水素鎖のプラスチック塊内に蒸気泡が形成されるのをさらに防止することができる。その後、これにより、その後の圧力および/または温度の急上昇のリスクを減少させることができる。攪拌器3は、反応器容器壁の内面にコーキング形成をもたらす、問題のある副生成物(「チャー」として知られる物質)を除去することができる。チャーの過剰な蓄積は、反応器壁から溶融プラスチックへの熱伝導を阻害し得る。攪拌器3はまた、それを連続的に混合し、それを容器外被などの反応器容器のより高温の部分と接触させることによってチャーの乾燥を助けることもできる。最後に、攪拌器3は、チャーを反応器容器から押し出すことによってチャー副生成物の除去を改善することができる。
【0026】
本実施形態は、複数の攪拌翼34を含むが、攪拌器3は任意の適切な方法で設計されてもよいことが見込まれる。特に、攪拌器3は、代替の実施形態では、1つの攪拌翼34または3つ以上の攪拌翼34を含んでもよい。攪拌翼34は、概して一定の距離だけ中央シャフト31から遠位に離間するように、概してらせん状である。したがって、攪拌翼34の外縁は、概して、反応器容器1の内面から一定の距離だけ離間している。攪拌翼34は、その下端に(別個の部品として、またはそれと一体に)攪拌器基部33を備えることができる。基部33は、反応器容器1の下側湾曲面に概ね一致する。基部33は、攪拌翼34の主要部分に取り付けられた別個の構成要素であってもよく、または基部33は、それと一体的に形成されてもよい。
【0027】
攪拌器3は、中央シャフトオーガ35をさらに備えることができる。これにより、攪拌器3は、中央シャフトオーガ35によって反応器容器1の放出ノズルを介してチャーホッパ容器内に下向きの力が加えられる「逆」モードでさらに動作することが可能になる。これにより、反応容器1からチャーを吐出することができる。
【0028】
他の実施形態では、オーガ35は、攪拌器3とは別個に設けられてもよく、単独でチャー放出手段として作用してもよい。
【0029】
オーガ35は、チャー出口208内に位置してもよい。一方向に回転するように駆動されると、オーガ35は、反応器容器1からチャー出口35を通じてチャーを押し出すことができる。
【0030】
使用時に、プラスチックは、好ましくは押出溶融プラスチックの形態で反応器容器1に供給される。攪拌器3は、例えば軸Xを中心として回転するように駆動される。次いで、攪拌翼34がプラスチック内で回転し、このプラスチックを反応器容器1全体にわたって混合することができる。
【0031】
必須ではないが、反応器システム100は、好ましくは、セミバッチ工程において使用される。「セミバッチ工程」とは、プラスチック材料が依然として反応器容器1内に供給されている間にプラスチック材料の処理が開始され得るが、プラスチック材料の供給が所定の総充填量で停止し、「連続」工程のように処理全体にわたって継続しないことを意味する。バッチごとに利用可能な炭化水素収率は、反応器容器1に供給されるプラスチックの正確な構成に依存する。しかしながら、チャー副生成物を乾燥させるのに必要な時間がもたらす炭化水素生成は、無視できるほどである。炭化水素が生成される速度は、工程の終わりに向かって減少し、結果、工程の効率が減少する。
【0032】
反応器システム100が運転されると、炭化水素蒸気が反応器容器1から排出され、反応器容器1内に残っている反応器内容物の構成が変化する。反応器内容物は、炭化水素とチャーとの混合物を含む。工程が継続するにつれて、より短鎖の炭化水素は蒸気を形成し、チャーと混合された(主に)より長鎖の炭化水素から形成されるワックスの残留物を残す。すなわち、反応器内容物は、まだ排出されていない炭化水素蒸気および残留物を含む。炭化水素収率が増大するにつれて、残留物のワックス含有量は減少する。これにより、残留物の粘度が変化する。
【0033】
工程の終わりに向かって、残留物のワックス含有量は減少し、乾燥していると言える固体を形成する。典型的には、工程のこの時点で、残留物のワックス含有量対チャー含有量の比は、5質量%~12質量%の領域内にある。
【0034】
炭化水素の収率を最大化することが好ましいと思われるが、直感に反して、本発明者らは、炭化水素の最大収率を意図的に抽出しないことにより、他の利点が生じ得ることを認識した。第1に、収率を最大化しないことにより、処理時間を大幅に短縮することができる。一例では、処理時間の最後の15%~20%は、総収率の5%しか生成しなかった。第2に、工程の終わりが、消費される単位エネルギー当たりのより少ない炭化水素蒸気収率をもたらすため、収率を最大化しないことによって、システムの全体的なエネルギー効率を改善することができる。
【0035】
広範な実験を通して、本発明者らは、2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%のワックス対チャー比を有する副生成物残留物が、残留物の下流での取り扱いに特に有益であり、効率的な工程を提供することを特定した。
【0036】
本発明者らは、図2に示す攪拌器ピーク電力消費のタイミングおよび/または図3に示す温度差を参照することによって、工程の進行、したがってワックス対チャー比が最もよく確立され得ることに気付いた。これらの監視概念については後述する。
【0037】
残留物のワックス含有量を間接的に示すパラメータを監視することができれば、特定の装置が放出された副生成物残留物を処理することを可能にする境界内でワックス含有量を制御することが可能になる。
【0038】
特に、これは、水などの液体との直接接触を介して副生成物残留物を急冷する好ましい方法を可能にする。これは、残留物のワックス含有量を正確に制御することができなくても可能ではあるが、廃棄された反応器内容物の凝集が多すぎて容易に管理可能なスラリーを形成することができないか、または低すぎてスラリーを適切に脱水することができない可能性があるため、急冷のために液体を使用することはより困難である。
【0039】
熱分解のための方法の一実施形態は、反応器容器にプラスチック材料を充填するステップと、プラスチック材料を熱分解するために反応器容器を加熱するステップ(任意選択的に、加熱ステップは、充電ステップと重なってもよい)と、反応器容器内の反応器内容物を混合するために反応器容器内の攪拌器を駆動するステップと、反応器容器から炭化水素蒸気を受け取るステップと、残りの反応器内容物から形成された残留物を放出するステップとを含む。
【0040】
好ましくは、残留物は、2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%のワックス含有量を有する場合に放出される。
【0041】
残留物中のワックスの量を直接測定することはできない。さらに、ワックス含有量は、供給材料の構成、供給速度および正確なバッチサイズが未知であるため、工程が実行されている時間量のみに基づいて正確に推定することができない。
【0042】
攪拌器負荷
図2は、攪拌器を駆動するのに必要な電力の経時的な変化を示す。チャーの乾燥が行われていることを示すために攪拌器負荷を使用することが注目されているが、今日まで、システムの動作パラメータを修正するためにこの情報を使用することは一切なかった。
【0043】
攪拌器負荷は、例えば、攪拌器3を駆動するモータなどのアクチュエータによって使用される電力、電流または電圧に基づいて、またはアクチュエータ5(モータ、エンジン等)によって攪拌器3に加えられる力のトルクによって決定することができる。攪拌器負荷を示す任意のそのような信号は、残留物の粘度の指標を提供するのに適している。アクチュエータ5によって消費される電力は、好都合で信頼性の高い信号を提供することが分かっている。
【0044】
本発明者らは、攪拌器負荷が、その残留物の粘度および量との関係のために、ワックス含有量の間接的な指標を提供するために使用することができ、ワックス含有量は、放出された副生成物残留物の将来の処理の容易さ(残りの反応器内容物および処理の終了)の間接的な指標として使用することができることに気付いた。
【0045】
上述のように、反応器内容物は、炭化水素蒸気が反応器容器1から得られるにつれて工程全体にわたって変化し、その結果、残留物のワックス含有量が減少する。
【0046】
早期段階では、液体になると、反応器内容物は最低粘度になり、低いチャー対液体比を有する。この段階の間、攪拌器の動きに対する反応器内容物の抵抗は低い。経時的に、反応器内容物は、最終的に最高粘度に達するまで粘度が増大する。この時点の直前に、攪拌器3の運動に対する反応器内容物の抵抗が急激に増大し、それによってアクチュエータ5に対する攪拌器負荷が増大する。
【0047】
この時点に続いて、残留物のワックス含有量はさらに減少し、乾燥していると言える固体を形成する。
【0048】
攪拌器負荷が、この信号に応じて制御パラメータを修正することができる反応器容器1内の工程の状態の信頼できる十分な指標を提供することができることは、以前には認識されていない。
【0049】
例えば、場合によっては、処理の終わりに向かって残留物の乾燥速度を、より早く放出され得るように、加速させることが好ましい場合がある。これにより、ソースプラスチック材料の特定のバッチからの炭化水素収率をわずかに減少させることができるが、各バッチを処理する時間およびエネルギーコストを大幅に削減することができる。したがって、コントローラは、チャー(すなわち、残留物からの炭化水素の除去)の乾燥を加速させるために、運転モードを熱分解モードからチャー乾燥モードに変更するようにプログラムすることができる。チャー乾燥モードでは、加熱ジャケットによって供給される熱は、熱分解モードと比較して増大し得る。代替的に、または加えて、チャー乾燥モードでは、攪拌器3の駆動速度は、熱分解モードと比較して増大され得る。
【0050】
他の場合には、攪拌器負荷信号を使用して残留物の放出を開始することができる。
ストール保護
加えて、本発明者らは、攪拌器負荷信号を監視することによって、攪拌器3の駆動モータなどのアクチュエータ5のストールを防止するために使用され得る早期警告を提供することができることに気付いた。
【0051】
反応器内容物の粘度が過度に増大すると、攪拌器3がストールする可能性があるという問題が認識されている。攪拌器3がストールすると、多くの場合、攪拌器3を再び動かすことができない。
【0052】
そのような場合、面倒な手動手順が必要とされる。まず、反応器システム100を停止しなければならない。次いで、反応器容器1を冷却しなければならない。次いで、反応器容器1内の残留物を手動で除去しなければならない。これは非常に時間がかかる可能性があり、工程全体の生産速度に影響を与える。
【0053】
攪拌器負荷信号を監視することによって、コントローラ204は、残留物の粘度が攪拌器をストールさせると予想される閾値をいつ超えるかを予測し、ストールを防止するように動作パラメータを変化させることができる。
【0054】
例えば、コントローラは、攪拌器負荷を、ストール負荷の所定の割合であるストール回避閾値と比較することができる。
【0055】
ストールが差し迫っているという判定に応答して、コントローラは、攪拌器3の速度をその通常の設定点、例えば回転速度から減少させることができる。このようにして、ストールを回避することができる。
【0056】
より好ましくは、いくつかの実施形態では、攪拌器負荷がストール負荷の所定の割合に等しくなるように攪拌器3の速度を調整するための制御システムを設けることができる。この制御システムは、ストールが差し迫っているという判定に応答してトリガすることができる。
【0057】
このようにして、反応器内容物の粘度がピーク値から減少するにつれて、攪拌器3は、攪拌器負荷が十分に低下すると、通常の設定点に戻るまで速度を増大させることができる。
【0058】
反応器温度測定
好ましい実施形態では、温度センサ110、112、114に隣接する反応器内容物の温度を示す信号を生成するために、複数の温度センサ110、112、114が設けられる。温度センサは、反応器容器1上の高さの異なる複数のロケーションに設けられている。
【0059】
複数の温度センサ110、112、114は、例えば、加熱ジャケットのエリア内の異なる高さで反応器容器1の外被に搭載されてもよい。加熱ジャケットは反応器容器1の外面を均等に加熱するため、センサ110、112、114間の任意の温度差は、温度センサ110、112、114に隣接する反応器内容物の温度の結果となる。
【0060】
第1の温度センサ110は、好ましくは、反応器容器1の高さの上側50%内に設けられる。第2の温度センサ112は、好ましくは、反応器容器1の高さの下側20%~50%内に設けられる。第3の温度センサ114は、好ましくは、反応器容器1の高さの下側20%内に設けられる。
【0061】
例えば、反応器容器1は、上面124および底面126によって封止されたほぼ円筒形の壁122を有する形状であってもよい。第1のセンサ110は、第1の高さでほぼ円筒形の壁122に設けられてもよい。第2のセンサ112は、第1の高さよりも低い第2の高さでほぼ円筒形の壁122に設けられてもよい。第3の温度センサ114は、底面126に設けられてもよい。
【0062】
第1の温度センサ110は第1の温度を測定し、第2の温度センサ112は第2の温度を測定し、第3の温度センサ114は第3の温度を測定する。
【0063】
温度センサ110、112、114はすべて加熱ジャケットのエリア内にあるため、反応器容器1が空であるとき、充填前に、温度センサ110、112、114はすべてほぼ同じ温度を記録する。
【0064】
したがって、温度センサ110、112、114間に第1の温度分布が存在する。第1の温度、第2の温度、および第3の温度は、実質的に等しい。
【0065】
反応器容器1は、プラスチック材料を充填する前に加熱される。プラスチック材料が充填されると、これは、液体内容物の最大レベルに達するまで溶融する(液体形態で提供されない場合)。炭化水素蒸気が反応器容器1から得られると、液位が低下する。
【0066】
反応器容器1は、第1の温度センサ110が任意の液体反応器内容物の最大レベルの上方にあり、第2の温度センサ112および第3の温度センサ114が任意の液体内容物のレベルの下方にあるようなレベルまでプラスチック材料を充填される。
【0067】
処理の早期段階において、反応器内容物が液体であるとき、第2の温度センサ112および第3の温度センサ114は同様の温度を記録する。唯一の差は、より低温の溶融供給プラスチックの冷却の影響に起因して、第3の温度センサ114に隣接する反応器の底部における反応器内容物の温度がわずかに低いことである。しかしながら、第1の温度センサ110によって記録される温度は、反応器容器1内のその高度には液体が存在しないため、はるかに高くなり、これは、熱伝導率の減少に起因して壁からの熱の伝達が減少することを意味する。
【0068】
したがって、温度センサ110、112、114間に第2の温度分布が存在する。第1の温度は第2の温度を超え、第2の温度は第3の温度に実質的に等しい。
【0069】
処理が継続し、炭化水素蒸気が反応器容器1から得られるにつれて、液体含有量が低減し、一方で、チャー含有量が増大し、反応器容器1内の内容物レベルが減少し、熱伝導率が減少した半液体内容物がもたらされる。結果として、第3の温度センサ114に隣接する反応器内容物の熱伝導率は低減し、結果、より高い温度が記録され、一方で、第2の温度センサ112によって記録される温度は、第1の温度センサ110によって記録された温度に近づき、これは、わずかに低下する。これは、液位が下がっており、そのため、反応器容器1全体の温度が増大するが、反応器容器1の底部には絶縁性の高い材料が存在するため、反応器容器1の上側区画よりもこの区画の方が加熱されるため、反応器容器1内への熱伝達が減少するためである。その上、反応器容器1内の蒸気の存在は、この差を悪化させる可能性がある。これにより、第1の温度センサ110および第2の温度センサ112は、第3の温度センサ114よりも低い温度を記録する。
【0070】
したがって、温度センサ110、112、114間に第3の温度分布が存在する。第1の温度は第2の温度に実質的に等しく、第2の温度は第3の温度未満である。
【0071】
最後に、さらなる処理の後、半液体内容物は固体になり、炭化水素蒸気の生成が制限された乾燥副生成物(ワックスと混合されたチャー)を生じる。この乾燥副生成物は熱伝導率が低く、そのため、もはや反応器容器1の壁から熱を奪うことはない。したがって、第3の温度センサ114によって記録される温度が増大する。
【0072】
したがって、温度センサ110、112、114間に第4の温度分布が存在する。第1の温度、第2の温度、および第3の温度は、実質的に等しい。
【0073】
したがって、複数の温度センサ110、112、114によって検知される温度分布は、経時的に予測可能であるように変化する。温度分布の時間経過は、供給材料の構成に対してロバストであるように反応器内容物の処理の段階を確実に示すことができる。
【0074】
さらに、図3を参照すると、個々の温度は同様の時間にピークに達するが、底部温度(第3の温度センサ114からのもの)は上部(温度センサ110)および側部(温度センサ112)の温度よりも多くピークに達することが分かる。本発明者らは、ピーク温度差のタイミングが、ピーク粘度が達成されることの有用な指標であることを見出した。ピーク温度差は、第1の温度または第2の温度のいずれかと第3の温度との間の差(または、任意選択的に、第1の温度および第2の温度の平均または加重和と第3の温度との間の差)であってもよい。
【0075】
例えば、(i)第1の温度と第3の温度との間の差、
(ii)第2の温度と第3の温度との間の差、
(iii)第3の温度と第1の温度および第2の温度の平均との間の差、(iv)第3の温度と第1の温度および第2の温度の加重平均(異なる高さを補償するための)との間の差等である。
【0076】
一般に、ピーク温度差は、温度差閾値を超える2つのロケーションで測定された温度間の差として決定される。例えば、閾値を超える第1の温度と第3の温度との間の差である。好ましくは、閾値は、摂氏50度~摂氏100度の範囲内である。
【0077】
蒸気温度
蒸気温度センサ118は、蒸気出口206を通じて反応器容器1を出る蒸気の温度を測定するために設けられる。本発明者らは、この温度がまた、反応器容器1内の工程の状態に関する有用な情報も提供することに気付いた。
【0078】
具体的には、この温度が閾値を下回ると、これは、上述した攪拌器または温度差ピークと同じ、工程の点を示すことができる。
【0079】
適切な蒸気温度閾値は、例えば、摂氏100度などの、摂氏90度~摂氏110度の範囲内であってもよい。
【0080】
工程
熱分解のためのバッチ工程の好ましい実施形態は、反応器容器にプラスチック材料を充填することと、プラスチック材料を熱分解するために反応器容器を加熱することと、反応器容器内の材料を混合するために反応器容器内の攪拌器を駆動することと、反応器容器から炭化水素蒸気を受け取ることと、工程またはシステムの1つまたは複数のパラメータを監視することとを含む。
【0081】
1つまたは複数のパラメータを監視することは、攪拌器3の負荷(上述したような)、および/または、反応器容器1内の複数の高さにおける複数の温度(上述したような)、および/または、反応器容器1から受け取られる蒸気の温度を監視することを伴い得る。
【0082】
コントローラ204は、バッチ工程を制御する。コントローラはまた、監視されたパラメータに基づいて加熱および/または駆動を修正し、ならびに/または、監視されたパラメータに基づいてバッチ工程を終結させることもできる。
【0083】
具体的には、コントローラ204は、反応器システム100を複数の動作モードのうちの1つにおいて動作させる。
【0084】
コントローラ204は、アクチュエータ5が攪拌器3を第1の速度で駆動し、ヒータ202が第1の熱量を生成する通常の熱分解モードで反応器システム100を動作させるように構成されてもよい。
【0085】
コントローラ204は、アクチュエータ5が攪拌器3を第2の速度で駆動し、ヒータ202が第2の量の熱を生成するトリップ回避熱分解モードで反応器システム100を動作させるように構成されてもよく、第2の速度は第1の速度よりも低い。
【0086】
任意選択的に、コントローラ204は、アクチュエータ5が攪拌器2を第2の速度で駆動し、ヒータ202が第2の熱量を生成するチャー乾燥モードで反応器システム100を動作させるように構成されてもよく、第2の熱量は第1の熱量よりも大きい。
【0087】
コントローラ204は、残留物(チャーとワックスとの混合物を含む)がチャー出口208を通じて放出されるチャー放出モードにおいて反応器システム100を動作させるように構成することができる。
【0088】
通常の熱分解モード
コントローラ204は、通常の熱分解モードを実装することができる。このモードでは、ヒータ202は、反応器内容物を摂氏390度~摂氏430度の温度にするために反応器容器1を加熱する。攪拌器は、毎分30および40回転で回転するように駆動される。
【0089】
コントローラ204は、通常の熱分解モードを実装し、次いで、監視されたパラメータに基づいて別のモードに切り替えることができる。
【0090】
トリップ回避熱分解モード
例えば、コントローラ204は、(上述したような)ストール回避閾値を上回るまでの攪拌器負荷3の増大を検知し、次いで攪拌器3のストールを回避するために攪拌器3の速度を減少させることができる。例えば、攪拌器3は、65%速度を減少させてもよい。
【0091】
好ましい実施形態では、トリップ回避熱分解モードにおいて、攪拌器の速度は、攪拌器負荷がストール回避閾値を超えるのを防ぐように調節される。
【0092】
チャー乾燥モード
いくつかの実施形態では、コントローラ204は、監視されたパラメータに基づいてチャー乾燥モードに切り替える。例えば、上述したように、コントローラ204は、パラメータを監視して、残留物のワックス含有量が2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%である点を推定することができる。
【0093】
これを行うことができる1つの様式は、攪拌器3のピーク負荷のタイミングを監視し、ピーク後の一定の時間期間にわたって通常の熱分解モードを継続し、次いでチャー乾燥モードに切り替えることである。
【0094】
代替的に、温度分布信号の使用を使用して、いつチャー乾燥モードに切り替えるかを確立することができる。これは、ピーク温度差が達成されること、または温度差の追跡された進行が上記のように第3の温度分布まで進行したことのいずれかであり得る。
【0095】
攪拌器ピーク負荷とピーク温度差の両方を検知した一定期間後に、チャー乾燥モードに切り替えることによって、温度分布および攪拌器ピーク負荷タイミングを組み合わせて使用することができる。すなわち、攪拌器ピーク負荷およびピーク温度差のうちの遅い方の後の一定期間である。
【0096】
チャー乾燥モードでは、コントローラ204は、反応器容器1を加熱して反応器内容物を摂氏420度~摂氏430度の温度にするようにヒータ202を制御し、攪拌器3を毎分30~40回転で回転させるようにアクチュエータ5を制御することができる。典型的には、チャー乾燥モードは、コントローラ204がチャー放出モードに動作を切り替える前に、一定期間にわたって実装される。
【0097】
チャー放出モード
いくつかの実施形態では、コントローラ204は、監視されたパラメータに基づいてバッチ工程を終結させる。例えば、上述したように、コントローラ204は、パラメータを監視して、残留物のワックス含有量が2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%である点を推定することができる。
【0098】
これを行うことができる1つの様式は、攪拌器3のピーク負荷のタイミングを監視し、この後の一定の時間期間にわたって処理を継続し、次いで処理を終結させ、チャー出口208を介して副生成物残留物を放出することである。
【0099】
代替的に、これは、ピーク温度差のタイミングを監視し、この後の一定の時間期間にわたって処理を継続し、次いで処理を終結させ、チャー出口208を介して副生成物残留物を放出することによって行われてもよい。
【0100】
代替的に、これは、蒸気温度が蒸気温度閾値を下回る時点を監視し、この後の一定の時間期間にわたって処理を継続し、次いで処理を終結させ、チャー出口208を介して副生成物残留物を放出することによって行われてもよい。
【0101】
好ましい選択肢は、攪拌器ピークとピーク温度差の両方のタイミングを監視し、両方のピークが発生したという判定後の一定の時間期間にわたって処理を継続し、次いで処理を終結させ、チャー出口208を介して副生成物残留物を放出することである。
【0102】
しかしながら、蒸気温度閾値を下回る蒸気温度は、いずれかのピーク判定を補うことができる有用な徴候である。
【0103】
したがって、最も好ましい選択肢は、攪拌器ピークとピーク温度差の両方のタイミングを監視し、また、蒸気温度も監視し、両方のピークが発生したという判定、およびまた、蒸気温度が蒸気温度閾値を下回ったという判定の後の一定の時間期間にわたって処理を継続し、次いで処理を終結させ、チャー出口208を介して副生成物残留物を放出することである。
【0104】
放出の工程は、好ましくは、例えば上述のオーガ35を使用する自動化された(非手動の)工程である。
【0105】
急冷
処理の終わりに、高温の副生成物残留物は、チャー出口208を介して放出されなければならない。
【0106】
放出された副生成物残留物の副生成物管理の好ましい方法は、液体中で急冷してスラリーを生成することを伴う。液体は、好ましくは水であるが、他の溶媒を含んでいてもよい。水は、再使用のためのスラリーからの分離が容易であり、他の溶媒ほど揮発性ではないという事実のために好ましい。
【0107】
上記のように、工程の状態を監視するための開示されている方法の1つの利点は、残留物が2質量%~20質量%、好ましくは5質量%~12質量%の所定のワックス含有量を有する時点で残留物が放出され得ることである。ワックス含有量がこれらの限界の間であることは必須ではないが、これらは、残留物を急冷することから生じるスラリーの好ましい特性を提供することが分かった。
【0108】
好ましい急冷システムは、混合容器および脱水コンテナ(すなわち、水または他の液体であるかにかかわらず、液体を除去するためのコンテナ)を備える。
【0109】
好ましい混合容器300を図5に示す。混合容器300は、チャー出口208と連通するチャー入口308と、スラリー出口350とを備える。
【0110】
好ましくは、混合容器は、チャー出口208がチャー入口308の真上にあるように、反応器容器1の真下に位置付けられる。
【0111】
好ましくは、スラリー出口350は、混合容器300の円錐形の下側区画340の下端にある。
【0112】
混合容器300は、1つまたは複数の液体入口320を備える。これらは、好ましくは、回転運動量を有する液体の供給源を提供するために接線方向に配置される。
【0113】
混合容器300は、反応器容器1から放出される副生成物残留物を受け取る前に、所定量の液体で充填することができる。代替的であるがあまり好ましくない実施形態では、副生成物残留物が反応器容器1から混合容器300内に放出された後に、液体が混合容器300に供給されてもよい。
【0114】
蒸発による液体の損失を減少させるために、最初に混合容器300内に液体を提供することが好ましい。
【0115】
副生成物残留物の温度は、少なくとも摂氏35度である可能性が高く、摂氏60度程度の高さであり得る。したがって、副生成物残留物が混合容器300内の液体に入ると、相当量のスチームが生成される。したがって、混合容器300は、スチーム出口310を備える。スチームはまた、いくらかの炭化水素蒸気を搬送することができ、したがって、スチーム出口310は、下流のスチームスクラビングシステムと連通することができる。
【0116】
液体内の副生成物残留物の凝集を減少させるために、混合容器は、好ましくは、回転可能インペラなどの攪拌器306を備える。インペラは、副生成物残留物の懸濁を維持し、より大きい固体を分解するようにも作用することができる。このようにして、スラリーを生成することができる。
【0117】
その上、液体が副生成物残留物の前に混合容器300に供給されるとき、それは静的ではなく、攪拌されてもよい。
【0118】
スラリーが生成され、その温度がスラリー温度閾値を下回ると、これはスラリー出口350を介して混合容器300から放出され得る。
【0119】
混合容器からのスラリーの放出は、混合容器300の上端のガス入口(図示せず)を介して不活性ガスの加圧源によって補助することができる。不活性ガスは窒素であることが好ましい。ここでも、所定のワックス含有量は好ましくは、スラリーのワックス含有量および液体含有量が、その接着特性を決定し、したがってそれが不活性ガスによってどれだけ容易に推進されるかを決定するため、好ましい範囲内である。
【0120】
スラリーは、図6に示すような脱水コンテナ400に放出される。
脱水コンテナは、水密コンテナ本体420を備え、その中に有孔コンテナ410が支持されている。有孔コンテナ410の基部および壁は、液体がコンテナ本体420内に排出され得るようにコンテナ本体410から離間され、一方、固体は有孔コンテナ410内に保持される。スラリーは、混合容器300から有孔本体410内へと送達される。
【0121】
有孔コンテナ410をコンテナ本体420に対して振動させて固体からの液体の分離を補助するために、1つまたは複数の振動要素430が設けられている。
【0122】
有孔コンテナの壁および基部は、液体透過性の布または膜で内張りされた有孔プレートまたはメッシュを含むことが好ましい。
【0123】
コンテナ本体420は、液体を排出するための1つまたは複数の濾液出口440を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】