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特表2024-530213病理スライド画像に関する情報を出力する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】病理スライド画像に関する情報を出力する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240808BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240808BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20240808BHJP
   G06T 3/40 20240101ALI20240808BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G06T7/00 630
G06T7/60 110
G06T7/62
G06T3/40
G01N33/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508486
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2022011308
(87)【国際公開番号】W WO2023018085
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0105189
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0093637
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523098991
【氏名又は名称】ルニット・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lunit Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100224616
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 志聡
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジョンソク
(72)【発明者】
【氏名】オム,ジェホン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ドングン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,テウォン
【テーマコード(参考)】
2G045
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045CB01
2G045FA11
2G045FB03
2G045JA01
5B057AA10
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CD05
5B057CH09
5B057DA12
5B057DA13
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC02
5B057DC04
5B057DC40
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA01
5L096DA01
5L096FA19
5L096FA52
5L096FA59
5L096FA69
5L096FA74
5L096GA19
5L096GA51
5L096GA55
5L096HA09
5L096KA04
(57)【要約】
一態様によるコンピューティング装置は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記プロセッサは、病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報(quantitative information)を生成し、前記病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報(qualitative information)を生成し、ユーザの操作によって前記病理スライド画像上に前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを出力するように、ディスプレイ装置を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報(quantitative information)を生成し、前記病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報(qualitative information)を生成し、ユーザの操作によって前記病理スライド画像上に前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを出力するように、ディスプレイ装置を制御する、
コンピューティング装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記病理スライド画像に含まれる細胞のそれぞれに対応する座標情報を用いてデータ構造(data structure)を生成し、前記データ構造から前記関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞に対応する座標情報を確認し、前記確認された座標情報に対応する数に基づいて前記定量情報を生成する、
請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記関心領域に基づいてカーネル(kernel)を定義し、前記病理スライド画像及び前記カーネルを用いたコンボリューション(convolution)演算により前記定量情報を生成する、
請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
少なくとも1つの前記組織の分析結果に基づいて少なくとも1つの前記組織に含まれる少なくとも1つの細胞に対応するラベル情報を確認し、確認された前記ラベル情報に基づいて前記病理スライド画像に対応するビットマップ画像を変換する、
請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記病理スライド画像の少なくとも一部分に対応する定性情報及び前記関心領域に対応する定量情報を出力するように、前記ディスプレイ装置を制御する、
請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記ユーザの操作によって変更された前記病理スライド画像の出力部分又は出力倍率に基づいて前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを変更して出力するように、前記ディスプレイ装置を制御する、
請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記ユーザの操作によって変更された前記病理スライド画像の出力倍率と閾値倍率とを比較して、前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを変更して出力するように、前記ディスプレイ装置を制御する、
請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項8】
病理スライド画像に関する情報を出力する方法であって、
病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報(quantitative information)を生成するステップと、
前記病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報(qualitative information)を生成するステップと、
ユーザの操作によって前記病理スライド画像上に前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを出力するステップと、
を含む、
方法。
【請求項9】
前記定量情報を生成するステップは、
前記病理スライド画像に含まれる細胞のそれぞれに対応する座標情報を用いてデータ構造(data structure)を生成するステップと、
前記データ構造から前記関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞に対応する座標情報を確認するステップと、
前記確認された座標情報に対応する数に基づいて前記定量情報を生成するステップと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記定量情報を生成するステップは、
前記関心領域に基づいてカーネル(kernel)を定義するステップと、
前記病理スライド画像及び前記カーネルを用いたコンボリューション(convolution)演算により前記定量情報を生成するステップと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記定性情報を生成するステップは、
少なくとも1つの前記組織の分析結果に基づいて少なくとも1つの前記組織に含まれる少なくとも1つの細胞に対応するラベル情報を確認するステップと、
確認された前記ラベル情報に基づいて前記病理スライド画像に対応するビットマップ画像を変換するステップと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記出力するステップにおいては、
前記病理スライド画像の少なくとも一部分に対応する定性情報及び前記関心領域に対応する定量情報を出力する、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記出力するステップにおいては、
前記ユーザの操作によって変更された前記病理スライド画像の出力部分又は出力倍率に基づいて前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを変更して出力する、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記出力するステップにおいては、
前記ユーザの操作に基づいて既に出力された第1定性情報の第2定性情報への変更及び所定の定量情報の出力を行い、
前記第1定性情報は、前記ユーザの操作が受信される前に出力された前記病理スライド画像の少なくとも一部分に対応するIP(immune phenotype)を含み、
前記第2定性情報は、前記ユーザの操作によって出力された前記病理スライド画像の少なくとも一部分に含まれる組織及び細胞の少なくとも1つの特性を含み、
前記所定の定量情報は、前記ユーザの操作によって出力された前記病理スライド画像の少なくとも一部分に含まれる免疫細胞の密度を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、病理スライド画像に関する情報を出力する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル病理学(digital pathology)分野は、病理スライド画像(pathological slide image)をスキャンすることによって生成された全スライド画像(whole slide image)を用いて、該当被検者の組織学的情報を取得するか、又は予後を予測する分野である。
【0003】
病理スライド画像は、対象体の染色された組織サンプルから取得することができる。例えば、組織サンプルは、ヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin and eosin)、トリクローム(trichrome)、過ヨウ素酸シッフ(periodic acid schiff)、オートラジオグラフィー(autoradiography)、酵素組織化学(enzyme histochemistry)、免疫蛍光(immuno-fluorescence)、免疫組織化学(immunohistochemistry)など、様々な染色方式で染色することができる。染色された組織サンプルは、組織学及び生検評価に用いられることによって、疾患状態を理解するために分子プロファイル分析に進むか否かを判断する根拠となり得る。
【0004】
一般に、病理スライド画像は、組織のセグメンテーション結果、細胞の検出結果などと共に表示される。しかし、ユーザは病理スライド画像を拡大又は縮小しながら判読を行うので、病理スライド画像と共に出力される情報もユーザの操作に対応して変更されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、病理スライド画像に関する情報を出力する方法及び装置を提供する。また、本開示は、前記方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。解決しようとする技術的課題は、上記技術的課題に限定されず、他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によるコンピューティング装置は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記プロセッサは、病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報(quantitative information)を生成し、前記病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報(qualitative information)を生成し、ユーザの操作によって前記病理スライド画像上に前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを出力するように、ディスプレイ装置を制御する。
【0007】
他の態様による病理スライド画像に関する情報を出力する方法は、病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報(quantitative information)を生成するステップと、前記病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報(qualitative information)を生成するステップと、ユーザの操作によって前記病理スライド画像上に前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを出力するステップとを含む。
【0008】
さらに他の態様によるコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、上述した方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した記録媒体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による病理スライド画像に関する情報を出力するシステムの一例を説明するための図
図2】一実施形態による機械学習を用いて組織標本のスライド画像を準備、処理及び検討するシステム及びネットワークのブロック図
図3a】一実施形態によるユーザ端末の一例を示す構成図
図3b】一実施形態によるサーバの一例を示す構成図
図4】一実施形態によるプロセッサが病理スライド画像に関する情報を出力する一例を説明するためのフローチャート
図5】一実施形態によるプロセッサが定量情報を生成する一例を説明するためのフローチャート
図6】一実施形態によるプロセッサが定量情報を生成する他の例を説明するためのフローチャート
図7】一実施形態によるプロセッサがカーネルを定義する一例を説明するための図
図8】一実施形態によるコンボリューション演算の一例を説明するための図
図9】一実施形態によるプロセッサが定性情報を生成する一例を説明するためのフローチャート
図10】一実施形態によるプロセッサが定性情報を生成する他の例を説明するためのフローチャート
図11】一実施形態による定量情報が出力された例を示す図
図12】一実施形態による定量情報が出力された例を示す図
図13】一実施形態による定量情報及び定性情報が出力された例を示す図
図14】一実施形態による定量情報及び定性情報が出力された例を示す図
図15】一実施形態によるプロセッサが病理スライド画像に関する情報を出力する一例を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
一態様によるコンピューティング装置は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記プロセッサは、病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報(quantitative information)を生成し、前記病理スライド画像を分析して前記病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報(qualitative information)を生成し、ユーザの操作によって前記病理スライド画像上に前記定量情報及び前記定性情報の少なくとも1つを出力するように、ディスプレイ装置を制御する。
【0011】
実施形態で用いられる用語としてはできるだけ現在広く用いられている一般的な用語を選択したが、それは当該技術分野に従事する技術者の意図又は判例、新しい技術の出現などによって変わり得る。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、該当する説明部分にその意味を詳細に記載する。よって、明細書で用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と明細書全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0012】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、それは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載された「ユニット」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能又は動作を処理する単位を意味し、それは、ハードウェア又はソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0013】
さらに、明細書で用いられる「第1」又は「第2」などの序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いることができるが、上記構成要素は上記用語により限定されるべきではない。上記用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いることができる。
【0014】
一実施形態によれば、「病理スライド画像」は、人体から採取された組織などに対して一連の化学処理工程を行って固定及び染色された病理スライドを撮影した画像を示すことができる。また、病理スライド画像は、全スライドの高解像度の画像を含む全スライド画像(Whole Slide Image,WSI)を示すことができ、全スライド画像の一部、例えば1つ以上のパッチを示すこともできる。例えば、病理スライド画像は、スキャン装置(例えば、デジタルスキャナなど)により撮影又はスキャンされたデジタル画像を示すことができ、人体内の特定のタンパク質、細胞(cell)、組織(tissue)及び/又は構造(structure)に関する情報を含むことができる。さらに、病理画像は、1つ以上のパッチを含むことができ、1つ以上のパッチには、アノテーション作業により組織学的情報を適用(例えば、タギング)することができる。
【0015】
一実施形態によれば、「医学情報」は、医療映像から抽出できる医学的に意味のある任意の情報を示すことができ、例えば、医療映像内の腫瘍細胞の領域、位置、大きさ、癌の診断情報、被検者の発癌の可能性に関する情報、及び/又は癌の治療に関連する医学的結論などを含むことができるが、それらに限定されるものではない。また、医学情報は、医療映像から得られる定量化された数値だけでなく、数値を可視化した情報、数値に応じた予測情報、画像情報、統計学的情報などを含むことができる。そのようにして生成された医学情報は、ユーザ端末に提供するか、ディスプレイ装置に出力又は伝達し、表示することができる。
【0016】
以下、添付の図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。しかし、実施形態は、様々な異なる形態で実現することができ、本明細書で説明する例に限定されるものではない。
【0017】
図1は一実施形態による病理スライド画像に関する情報を出力するシステムの一例を説明するための図である。
【0018】
図1を参照すると、システム1は、ユーザ端末10及びサーバ20を含む。例えば、ユーザ端末10とサーバ20とは、有線又は無線通信方式で接続され、互いにデータ(例えば、映像データなど)を送受信することができる。
【0019】
説明の便宜上、図1にはシステム1がユーザ端末10及びサーバ20を含むことが示されているが、それに限定されるものではない。例えば、システム1は、他の外部デバイス(図示せず)を含んでもよく、以下に説明されるユーザ端末10及びサーバ20の動作は、単一のデバイス(例えば、ユーザ端末10もしくはサーバ20)又はより多くのデバイスにより実現されてもよい。
【0020】
ユーザ端末10は、ディスプレイ装置及びユーザ入力を受信する装置(例えば、キーボード、マウスなど)を備え、メモリ及びプロセッサを含むコンピューティング装置であってもよい。例えば、ユーザ端末10としては、ノートパソコン(notebook PC)、デスクトップパソコン(desktop PC)、ラップトップコンピュータ(laptop computer)、タブレットコンピュータ(tablet computer)、スマートフォンなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0021】
サーバ20は、ユーザ端末10を含む外部デバイス(図示せず)と通信する装置であってもよい。一例として、サーバ20は、病理スライド画像、病理スライド画像に対応するビットマップ画像、病理スライド画像の分析により生成された情報(例えば、定量情報、定性情報などを含む)を含む様々なデータを保存する装置であってもよい。あるいは、サーバ20は、メモリ及びプロセッサを含み、独自の演算能力を有するコンピューティング装置であってもよい。サーバ20がコンピューティング装置である場合、サーバ20は、図1図16を参照して後述するユーザ端末10の動作の少なくとも一部を行うことができる。例えば、サーバ20は、クラウド(cloud)サーバであってもよいが、それに限定されるものではない。
【0022】
ユーザ端末10は、病理スライド画像、及び/又は病理スライド画像の分析により生成された定量情報(quantitative information)及び定性情報(qualitative information)の少なくとも1つを示す画像40を出力する。
【0023】
ここで、定量情報は、病理スライド画像上に設定された関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞又は組織に関する様々な面での数値情報を含む。例えば、定量情報は、関心領域に含まれる全細胞(又は、特定タイプの細胞)の数、全細胞の密度、特定タイプの細胞の密度、異なるタイプの細胞間の割合、全細胞に対する特定タイプの細胞の割合、全組織(又は、特定タイプの組織)の面積、異なるタイプの組織間の割合、全組織領域に対する特定タイプの組織の割合などを含むことができる。定量情報は、テキスト形式又はグラフ形式の情報を含むことができる。
【0024】
一方、定性情報は、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織又は細胞の状態に関する情報を含む。
【0025】
一例として、定性情報は、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の特性を含むことができる。定性情報は、組織の特性を対応するカラーで示す情報を含むことができる。例えば、組織の特性は、各ピクセルを中心とする所定の大きさの円領域内にPD-L1陽性癌細胞とPD-L1陰性癌細胞の割合が所定の閾値以上であるか否かを示すことができる。例えば、組織の特性は、病理スライド画像の一部の領域に対応する免疫表現型(IP,Immune phenotype)に関する情報を示すことができる。例えば、癌領域内の免疫細胞の密度及び/又は癌ストロマ内の免疫細胞の密度の少なくとも1つに基づいて計算された値がどの範囲に含まれるかによって、IPは、免疫活性(immune inflamed)、免疫除外(immune excluded)及び免疫欠乏(immune desert)の少なくとも1つで表示することができる。
【0026】
他の例として、定性情報は、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織のタイプを含むことができる。定性情報は、組織のタイプを対応するカラーで示す情報を含むことができる。例えば、組織のタイプは、癌、癌基質、壊死及びバックグラウンドのうちの1つを含むことができる。
【0027】
さらに他の例として、定性情報は、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの細胞のタイプ又は特性を含むことができる。定性情報は、細胞のタイプを対応するカラーで示す情報を含むことができる。例えば、細胞のタイプは、腫瘍細胞、リンパ球(lymphocyte)、大食細胞(macrophage)などの免疫細胞、及び腫瘍周辺の基質を構成する線維芽細胞(fibroblast)、脂肪細胞(adipocyte)などの間質細胞(stromal cell)の少なくとも1つを示すことができる。
【0028】
また、定性情報は、細胞の特性を対応するカラーで示す情報を含むことができる。例えば、細胞の特性は、細胞における特定のタンパク質の発現の有無に関する情報を含むことができる。例えば、定性情報は、該当細胞がPD-L1陽性腫瘍細胞(PD-L1(programmed death-ligand 1) positive tumor cell)、PD-L1陰性腫瘍細胞(PD-L1 negative tumor cell)、PD-L1陽性リンパ球(PD-L1 positive lymphocyte)又はPD-L1陽性大食細胞(PD-L1 positive macrophage)であるかに関する情報を含むことができる。
【0029】
病理スライド画像は、人体から採取された組織などを顕微鏡で観察するために一連の化学処理工程を行って固定及び染色された病理スライドを撮影した画像を示すことができる。一例として、病理スライド画像は、全スライドの高解像度の画像を含む全スライド画像(whole slide image)を示すことができる。他の例として、病理スライド画像は、そのような高解像度の全スライド画像の一部を示すことができる。
【0030】
一方、病理スライド画像は、全スライド画像においてパッチ単位に分割されたパッチ領域を示すことができる。例えば、パッチは、所定の領域の大きさを有することができる。あるいは、パッチは、全スライド内に含まれるオブジェクトのそれぞれを含む領域を示すことができる。
【0031】
また、病理スライド画像は、顕微鏡を用いて撮影されたデジタル画像を示すことができ、人体内の細胞(cell)、組織(tissue)及び/又は構造(structure)に関する情報を含むことができる。
【0032】
ユーザ端末10は、病理スライド画像を分析して、病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報及び病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報を生成する。ここで、ユーザ端末10は、独自に病理スライド画像を分析することにより定量情報及び定性情報を生成することもでき、サーバ20で病理スライド画像が分析されることによって生成された定量情報及び定性情報をサーバ20から受信することもできる。
【0033】
一般に、病理スライド画像上に出力される情報には、組織のセグメンテーション(segmentation)結果、細胞の検出結果などが含まれる。これらの結果をユーザ30に効果的に伝達するためには、所定の処理を経て病理スライド画像と共に出力することが必要であり得る。例えば、ユーザが病理スライド画像を操作(例えば、出力される位置の変更、画像の拡大/縮小など)することによってディスプレイ装置上に出力される情報が適応的に変更されることが好ましい。
【0034】
一実施形態によるユーザ端末10は、ユーザ30の操作によって設定された関心領域又はディスプレイ装置上に出力される病理スライド画像の少なくとも一部分に対応して定量情報又は定性情報を出力する。よって、ユーザ30がディスプレイ装置上に出力された画像を判読して被検者を診断することを効果的に助けることができる。
【0035】
一方、説明の便宜上、明細書全般にわたって、ユーザ端末10が病理スライド画像を分析して定量情報及び定性情報を生成し、ユーザの操作によって定量情報及び定性情報の少なくとも1つを出力することを説明したが、それに限定されるものではない。例えば、ユーザ端末10により行われる動作の少なくとも一部は、サーバ20により行うこともできる。
【0036】
言い換えれば、図1図15を参照して説明するユーザ端末10の動作の少なくとも一部は、サーバ20により行うことができる。一例として、サーバ20は、病理スライド画像を分析して、組織及び細胞に関する様々な情報(例えば、定量情報及び定性情報)を生成することができる。また、サーバ20は、生成された情報をユーザ端末10に送ることができる。他の例として、サーバ20は、組織及び細胞に関する様々な情報を生成し、生成された情報のうち、ユーザの操作によってディスプレイ装置に出力されるべき情報をユーザ端末10に送信することができる。ただし、サーバ20の動作は上述したものに限定されるものではない。
【0037】
図2は一実施形態による機械学習を用いて組織標本のスライド画像を準備、処理及び検討するシステム及びネットワークのブロック図である。
【0038】
図2を参照すると、システム2は、ユーザ端末11、12、スキャナ50、画像管理システム61、AIベースのバイオマーカー分析システム62、実験室情報システム63及びサーバ70を含む。また、システム2に含まれる構成要素(符号11、12、50、61、62、63、70)は、ネットワーク80を介して互いに接続することができる。例えば、ネットワーク80は、有線又は無線通信方式で構成要素(符号11、12、50、61、62、63、70)を互いに接続できるネットワークであってもよい。例えば、図2に示すシステム2は、病院、研究室、実験室などにあるサーバ、及び/又は医者もしくは研究員のユーザ端末に接続できるネットワークを含んでもよい。
【0039】
本開示の様々な実施形態によれば、図3a~図15を参照して後述する方法は、ユーザ端末11、12、画像管理システム61、AIベースのバイオマーカー分析システム62、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70で行うことができる。
【0040】
スキャナ50は、被検者90の組織サンプルを用いて生成された組織サンプルスライドからデジタル化された画像を取得することができる。例えば、スキャナ50、ユーザ端末11、12、画像管理システム61、AIベースのバイオマーカー分析システム62、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70は、それぞれ、1つ以上のコンピュータ、サーバ及び/又はモバイルデバイスを介してインターネットなどのネットワーク80に接続するか、1つ以上のコンピュータ及び/又はモバイルデバイスを介してユーザ30及び/又は被検者90と通信することができる。
【0041】
ユーザ端末11、12、画像管理システム61、AIベースのバイオマーカー分析システム62、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70は、1つ以上の被検者90の組織サンプル、組織サンプルスライド、組織サンプルスライドのデジタル化された画像、又はそれらの任意の組み合わせを生成するか、そうでなければ、他の装置から取得することができる。また、ユーザ端末11、12、画像管理システム61、AIベースのバイオマーカー分析システム62、実験室情報システム63は、被検者90の年齢、病力、癌治療履歴、家族履歴、過去の生検記録、被検者90の疾病情報などの被検者特定情報の任意の組み合わせを取得することができる。
【0042】
スキャナ50、ユーザ端末11、12、画像管理システム61、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70は、ネットワーク80を介して、デジタル化されたスライド画像及び/又は被検者特定情報をAIベースのバイオマーカー分析システム62に送信することができる。AIベースのバイオマーカー分析システム62は、スキャナ50、ユーザ端末11、12、画像管理システム61、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70の少なくとも1つから受信した画像及びデータを保存するための1つ以上の保存デバイス(図示せず)を含んでもよい。また、AIベースのバイオマーカー分析システム62は、受信した画像及びデータを処理するように訓練されたAIモデルを保存するAIモデルリポジトリを含んでもよい。例えば、AIベースのバイオマーカー分析システム62は、被検者90のスライド画像から少なくとも1つの細胞に関する情報、少なくとも1つの領域に関する情報、バイオマーカーに関する情報、医学的診断情報及び/又は医学的治療情報の少なくとも1つを予測するために学習及び訓練されたAIモデルを含んでもよい。
【0043】
スキャナ50、ユーザ端末11、12、AIベースのバイオマーカー分析システム62、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70は、ネットワーク80を介して、デジタル化されたスライド画像、被検者特定情報、及び/又はデジタル化されたスライド画像の分析の結果を画像管理システム61に送信することができる。画像管理システム61は、受信した画像を保存するためのリポジトリ、及び分析の結果を保存するためのリポジトリを含んでもよい。
【0044】
また、本開示の様々な実施形態によれば、被検者90のスライド画像から少なくとも1つの細胞に関する情報、少なくとも1つの領域に関する情報、バイオマーカーに関する情報、医学的診断情報及び/又は医学的治療情報の少なくとも1つを予測するために学習及び訓練されたAIモデルは、ユーザ端末11、12及び/又は画像管理システム61に保存されて動作することができる。
【0045】
本開示の様々な実施形態によれば、スライド画像処理方法、被検者情報処理方法、被検者群選別方法、臨床試験設計方法、バイオマーカー選別方法、及び/又は特定のバイオマーカーに対する基準値設定方法は、AIベースのバイオマーカー分析システム62だけでなく、ユーザ端末11、12、画像管理システム61、実験室情報システム63、及び/又は病院もしくは研究室のサーバ70で行うことができる。
【0046】
図3aは一実施形態によるユーザ端末の一例を示す構成図である。
【0047】
図3aを参照すると、ユーザ端末100は、プロセッサ110、メモリ120、入出力インターフェース130及び通信モジュール140を含む。説明の便宜上、図3aには、本発明に関連する構成要素のみが示されている。よって、ユーザ端末100は、図3aに示す構成要素に加えて、他の汎用の構成要素をさらに含んでもよい。また、図3aに示されるプロセッサ110、メモリ120、入出力インターフェース130及び通信モジュール140を独立した装置として実現できることは、本発明に関連する技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0048】
プロセッサ110は、基本的な算術、ロジック及び入出力演算を行うことにより、コンピュータプログラムの命令を処理することができる。ここで、命令は、メモリ120又は外部装置(例えば、サーバ20など)から提供することができる。また、プロセッサ110は、ユーザ端末100に含まれる他の構成要素の動作を全般的に制御することができる。
【0049】
プロセッサ110は、病理スライド画像を分析して、病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報を生成する。例えば、プロセッサ110は、予め決定された画像処理技法を用いて病理スライド画像を分析するか、又は機械学習モデルを用いて病理スライド画像を分析することができる。
【0050】
一例として、プロセッサ110は、病理スライド画像に含まれる細胞のそれぞれに対応する座標情報を用いてデータ構造(data structure)を生成し、データ構造から関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞に対応する座標情報を確認することができる。ここで、データ構造は、病理スライド画像内の細胞の検索に効率的なツリーであってもよく、例えばKDツリー、ボールツリーなどで実現されてもよいが、それらに限定されるものではない。また、プロセッサ110は、座標情報に対応する数に基づいて細胞の定量情報を生成することができる。プロセッサ110がデータ構造を用いて定量情報を生成する例については、図5を参照して後述する。
【0051】
他の例として、プロセッサ110は、関心領域に基づいてカーネル(kernel)を定義し、病理スライド画像及び用いたコンボリューション(convolution)演算により定量情報を生成することができる。ここで、カーネルは、定量情報のタイプによって少なくとも1つが定義されるようにしてもよい。プロセッサ110がコンボリューション演算により定量情報を生成する例については、図6図8を参照して後述する。
【0052】
プロセッサ110は、病理スライド画像を分析して、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの細胞又は組織の定性情報を生成する。例えば、プロセッサ110は、少なくとも1つの細胞又は組織の分析結果に基づいて、当該細胞又は組織に対応するラベルを確認することができる。また、プロセッサ110は、ラベルに基づいて、病理スライド画像に対応するビットマップ画像を変換することができる。
【0053】
例えば、プロセッサ110は、ビットマップ画像を変換する装置(例えば、ユーザ端末100)のリソース(resource)に基づいてビットマップ画像を複数のタイルに分割し、確認されたラベルに基づいて各タイルを変換することができる。また、プロセッサ110は、変換されたタイルを組み合わせることにより、ビットマップ画像の変換を完了することができる。プロセッサ110が定性情報を生成する例については、図9及び図10を参照して後述する。
【0054】
プロセッサ110は、ユーザの操作によって病理スライド画像上に定量情報及び定性情報の少なくとも1つを出力する。例えば、プロセッサ110は、ユーザの操作によって変更された病理スライド画像の出力部分又は出力倍率に基づいて定量情報及び定性情報の少なくとも1つを変更して出力することができる。また、プロセッサ110は、ユーザの操作によって変更された病理スライド画像の出力倍率と閾値倍率とを比較して、定量情報及び定性情報の少なくとも1つを変更して出力することができる。プロセッサ110がユーザの操作に基づいてディスプレイ装置の出力を制御する例については、図13及び図14を参照して後述する。
【0055】
プロセッサ110は、複数の論理ゲートのアレイで実現されてもよく、汎用マイクロプロセッサと当該マイクロプロセッサで実行できるプログラムが保存されたメモリとの組み合わせで実現されてもよい。例えば、プロセッサ110は、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械などを含むことができる。一部の環境で、プロセッサ110は、特定用途向け半導体(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含むこともできる。例えば、プロセッサ110は、デジタル信号プロセッサ(DSP)とマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、デジタル信号プロセッサ(DSP)コアに結合された1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせなどの処理デバイスの組み合わせを示すこともできる。
【0056】
メモリ120は、非一時的な任意のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含むことができる。一例として、メモリ120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ(flash memory)などの永久大容量保存装置(permanent mass storage device)を含むことができる。他の例として、ROM、SSD、フラッシュメモリ、ディスクドライブなどの永久大容量保存装置は、メモリとは別の独立した永久保存装置であってもよい。また、メモリ210には、オペレーティングシステム(OS)と少なくとも1つのプログラムコード(例えば、プロセッサ110が図4図15を参照して後述する動作を行うためのコード)を保存することができる。
【0057】
そのようなソフトウェアコンポーネントは、メモリ120とは別のコンピュータで読み取り可能な記録媒体からロードされてもよい。そのような別のコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ユーザ端末100に直接接続できる記録媒体であってもよく、例えば、フロッピードライブ、ディスク、テープ、DVD/CD-ROMドライブ、メモリカードなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含むことができる。あるいは、ソフトウェアコンポーネントは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体ではなく、通信モジュール140を介してメモリ120にロードされてもよい。例えば、少なくとも1つのプログラムは、開発者又はアプリケーションのインストールファイルを配布するファイル配布システムが通信モジュール140を介して提供するファイルによりインストールされるコンピュータプログラム(例えば、プロセッサ110が図4図15を参照して後述する動作を行うためのコンピュータプログラムなど)に基づいて、メモリ120にロードされてもよい。
【0058】
入出力インターフェース130は、ユーザ端末100に接続されるか又はユーザ端末100に含まれる入力又は出力のための装置(例えば、キーボード、マウスなど)とのインターフェースのための手段であってもよい。図3aには、入出力インターフェース130がプロセッサ110とは別に構成された要素として示されているが、これに限定されず、入出力インターフェース130がプロセッサ110に含まれるように構成されてもよい。
【0059】
通信モジュール140は、ネットワークを介してサーバ20とユーザ端末100とが互いに通信するための構成又は機能を提供することができる。また、通信モジュール140は、ユーザ端末100が他の外部デバイスと通信するための構成又は機能を提供することができる。例えば、プロセッサ110の制御に従って提供される制御信号、命令、データなどを通信モジュール140とネットワークを介してサーバ20及び/又は外部デバイスに送信することができる。
【0060】
一方、図3aには示されていないが、ユーザ端末100は、ディスプレイ装置をさらに含んでもよい。あるいは、ユーザ端末100は、独立したディスプレイ装置と有線又は無線通信方式で接続され、互いにデータを送受信することができる。例えば、ディスプレイ装置により病理スライド画像、定量情報、定性情報などをユーザ30に提供することができる。
【0061】
図3bは一実施形態によるサーバの一例を示す構成図である。
【0062】
図3bを参照すると、サーバ20は、プロセッサ210、メモリ220及び通信モジュール230を含む。説明の便宜上、図3bには、本発明に関連する構成要素のみが示されている。よって、サーバ200は、図3bに示す構成要素に加えて、他の汎用の構成要素をさらに含むことができる。また、図3bに示されるプロセッサ210、メモリ220及び通信モジュール230を独立した装置として実現できることは、本発明に関連する技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0063】
プロセッサ210は、内部メモリ220、外部メモリ(図示せず)、ユーザ端末10及び外部装置の少なくとも1つから病理スライド画像を取得することができる。プロセッサ210は、病理スライド画像を分析して、関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報を生成するか、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報を生成するか、又はユーザの操作によって病理スライド画像上に定量情報及び定性情報の少なくとも1つを出力する。言い換えれば、図3aを参照して上述したプロセッサ110の動作の少なくとも1つは、プロセッサ210により行うことができる。この場合、ユーザ端末10は、サーバ20から送信された情報を、ディスプレイ装置を介して出力することができる。
【0064】
一方、プロセッサ210の実現例は、図3aを参照して上述したプロセッサ110の実現例と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0065】
メモリ220には、病理スライド画像、プロセッサ210の動作によって生成されたデータなど、様々なデータを保存することができる。また、メモリ220には、オペレーティングシステム(OS)と少なくとも1つのプログラム(例えば、プロセッサ210の動作に必要なプログラムなど)を保存することができる。
【0066】
一方、メモリ220の実現例は、図3aを参照して上述したメモリ220の実現例と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0067】
通信モジュール230は、ネットワークを介してサーバ200とユーザ端末100とが互いに通信するための構成又は機能を提供することができる。また、通信モジュール140は、サーバ200が他の外部デバイスと通信するための構成又は機能を提供することができる。例えば、プロセッサ210の制御に従って提供される制御信号、命令、データなどを、通信モジュール230とネットワークを介してユーザ端末100及び/又は外部デバイスに送信することができる。
【0068】
図4は一実施形態によるプロセッサが病理スライド画像に関する情報を出力する一例を説明するためのフローチャートである。
【0069】
図4を参照すると、病理スライド画像に情報を出力する方法は、図1図3bに示すユーザ端末10、100又はプロセッサ110で時系列的に処理されるステップから構成される。よって、以下で省略された内容であっても、図1図3bに示すユーザ端末10、100又はプロセッサ110について上述した内容は、図4の病理スライド画像に情報を出力する方法にも適用することができる。
【0070】
また、図1図3bを参照して上述したように、図4に示すフローチャートのステップの少なくとも1つは、サーバ20、200又はプロセッサ210で処理することができる。
【0071】
ステップ410において、プロセッサ110は、病理スライド画像を分析して、病理スライド画像の関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報を生成する。
【0072】
一例として、プロセッサ110は、所定の画像処理技術を用いて病理スライド画像を分析することにより、病理スライド画像から組織に対応する領域を検出し、組織を示す層を分離することができる。他の例として、プロセッサ110は、機械学習モデルを用いて、病理スライド画像からの組織に対応する領域の検出及び組織を示す層の分離を行うことができる。この場合、機械学習モデルは、複数の参照病理スライド画像及び複数の参照ラベル情報を含む学習データを用いて、参照病理スライド画像内の組織に対応する領域を検出し、組織を示す層を分離するように学習されてもよい。それにより、プロセッサ110は、病理スライド画像から様々な情報を取得することができる。
【0073】
一例として、プロセッサ110は、領域に関する情報を取得することができる。領域は、癌領域(cancer area)、癌基質領域(cancer stroma area)、壊死領域(necrosis area)及びバックグラウンド領域(background)のうちの1つであってもよい。ここで、バックグラウンド領域は、生物学的ノイズ(biological noise)を示す領域及び/又は技術的ノイズ(technical noise)を示す領域を含むことができる。例えば、生物学的ノイズを示す領域は正常領域を含み、技術的ノイズを示す領域は低下領域を含むことができる。
【0074】
他の例として、プロセッサ110は、細胞に関する情報を取得することができる。細胞は、腫瘍細胞(tumor cell)、リンパ球細胞(lymphocytes cell)及びその他の細胞のうちの1つであってもよい。例えば、プロセッサ110は、特定のタンパク質が発現している細胞(例えば、PD-L1陽性細胞)、特定のタンパク質が発現していない細胞(例えば、PD-L1陰性細胞)、腫瘍内の腫瘍浸潤リンパ球(Intratumoral Tumor-infiltrating lymphocytes)細胞、又は基質内の腫瘍浸潤リンパ球(Stromal Tumor-infiltrating lymphocytes)細胞に関する情報を取得することができる。
【0075】
さらに他の例として、プロセッサ110は、細胞、領域又は組織のその他の情報を取得することができる。例えば、プロセッサ110は、核サイズ(nuclei size)、細胞密度(cell density)、細胞の数、細胞クラスタ(cell cluster)、細胞異質性(cell heterogeneity)、細胞間の空間的距離(spatial distances between cells)、細胞間の相互作用(interaction between cells)などを確認することができる。
【0076】
さらに他の例として、プロセッサ110は、腫瘍微細環境(tumor microenvironment)に関する情報424を取得することができる。ここで、腫瘍微細環境とは、腫瘍を取り囲む環境に関する情報を意味し、例えば、腫瘍周辺の血管、免疫細胞、線維芽細胞(fibroblast)、シグナリング分子(signaling molecule)及び細胞外マトリックス(extracellular matrix,ECM)の存在有無、位置、種類、数量、面積などの情報を含む。
【0077】
プロセッサ110は、病理スライド画像の分析結果に基づいて、関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞の定量情報を生成する。
【0078】
ここで、関心領域は、病理スライド画像内でユーザ30の観察が必要な領域であるか、病理スライド画像内で選択された一部の領域であるか、病理スライド画像内の全細胞領域であってもよい。例えば、関心領域は、疾患の病理判読において重要に観察されるべき領域であってもよいが、それに限定されるものではない。例えば、肺癌の診断が必要な場合、病理スライド画像内で肺癌細胞が存在する領域が関心領域になり得、乳癌における有糸分裂を評価する場合、病理スライド画像内で有糸分裂が高いと予想される領域が関心領域になり得る。例えば、定量情報は、関心領域内のTPS(Tumor proportion score)、CPS(Combined positive score)、及びリンパ球(Intratumoral Tumor-infiltrating lymphocytes)密度の少なくとも1つを含むことができる。
【0079】
例えば、関心領域は、ユーザ30の操作によって設定されてもよい。また、関心領域は、ディスプレイ装置に出力された病理スライド画像上に任意の関心領域が設定され、その後ユーザ30により調整されるようにすることもできる。一方、関心領域は、病理スライド画像上に円形、四角形などで表示されてもよいが、それらに限定されるものではない。
一例として、プロセッサ110は、細胞の座標情報に基づいて構成されたデータ構造を用いて関心領域に関する定量情報を生成することができる。他の例として、プロセッサ110は、コンボリューション演算により定量情報を生成することもできる。以下、図5図8を参照して、プロセッサ110が定量情報を生成する例について説明する。
【0080】
図5は一実施形態によるプロセッサが定量情報を生成する一例を説明するためのフローチャートである。
【0081】
病理スライド画像には、多くは数十万個の細胞のそれぞれに対応する座標値があり得る。ユーザ30が病理スライド画像を効果的に判読するために、プロセッサ110は、関心領域内に含まれている特定種類の細胞の数に関する定量情報を生成することができる。
【0082】
ステップ510において、プロセッサ110は、病理スライド画像に含まれる細胞のそれぞれに対応する座標情報に基づくデータ構造を取得する。例えば、プロセッサ110は、座標情報を用いて予め生成されて保存されたデータ構造をメモリから取り出すか(fetch)、座標情報を用いてデータ構造を直接生成することができる。
【0083】
一例として、プロセッサ110は、病理スライド画像に表された全細胞のそれぞれに対応する座標値に基づいて生成されたデータ構造をロードすることができる。関心領域の大きさや位置は、ユーザ30の操作によってリアルタイムで変更されてもよい。プロセッサ110が関心領域の大きさや位置の変更に応じてリアルタイムで定量情報を提供するためには、数十万個の細胞から特定位置の細胞を効率的に検索できなければならない。よって、ステップ510により取得されるデータ構造は、データを挿入又は除去する効率が高い構造よりは、データを検索する効率が高い構造であり得る。
【0084】
例えば、データ構造は、病理スライド画像内の細胞の検索に効率的なツリーであってもよく、例えばKDツリー、ボールツリーなどで実現されてもよいが、それらに限定されるものではない。このようなデータ構造は、ディスプレイ装置に出力された画像領域内にある細胞の位置を視覚化する場合も用いることができる。
【0085】
他の例として、プロセッサ110は、病理スライド画像に表された全細胞のそれぞれに対応する座標値を確認する。そして、プロセッサ110は、確認された座標値を用いてデータ構造を生成する。
【0086】
関心領域の大きさや位置は、ユーザ30の操作によってリアルタイムで変更されてもよい。プロセッサ110が関心領域の大きさや位置の変更に応じてリアルタイムで定量情報を提供するためには、数十万個の細胞から特定位置の細胞を効率的に検索できなければならない。よって、ステップ510により生成されたデータ構造は、データを挿入又は除去する効率が高い構造よりは、データを検索する効率が高い構造が適切である。
【0087】
例えば、データ構造は、病理スライド画像内の細胞の検索に効率的なツリーであってもよく、例えばKDツリー、ボールツリーなどで実現されてもよいが、それらに限定されるものではない。プロセッサ110が生成したツリーは、ディスプレイ装置に出力された画像領域内にある細胞の位置を視覚化する場合も用いることができる。
【0088】
一方、ステップ510と同じ方式で、プロセッサ110は、病理スライド画像に設定されたグリッド(grid)に対しても、グリッドの座標値を用いてデータ構造を生成することができる。
【0089】
ステップ520において、プロセッサ110は、データ構造から関心領域に含まれる少なくとも1つの細胞に対応する座標情報を確認する。
【0090】
プロセッサ110は、関心領域の位置及び大きさを確認し、データ構造から関心領域内に含まれる細胞の座標値を検索する。例えば、データ構造が所定のツリーであると仮定すると、プロセッサ110は、ツリー内で細胞の座標値を検索する。
【0091】
ステップ530において、プロセッサ110は、確認された座標情報に対応する数に基づいて定量情報を生成する。
【0092】
プロセッサ110は、ステップ520により検索された座標値の数をカウントすることにより定量情報を生成する。例えば、定量情報は、関心領域に含まれる全細胞の数や関心領域に含まれる特定細胞の数などを含むことができる。
【0093】
図6は一実施形態によるプロセッサが定量情報を生成する他の例を説明するためのフローチャートである。
【0094】
プロセッサ110は、関心領域内の細胞の数や特定の統計値を演算することにより定量情報を生成することができる。病理スライド画像において任意の1つのピクセルにはそれに対応する関心領域が設定されているので、ユーザ30が入力装置(例えば、マウスなど)により特定のピクセルを指定すると、プロセッサ110は、そのピクセルに対応する関心領域内の細胞の数や特定の統計値を判読することができる。図6を参照して、プロセッサ110が関心領域内の細胞の数や特定の統計値を演算する例について説明する。
【0095】
ステップ610において、プロセッサ110は、関心領域に基づいてカーネルを定義する。
【0096】
ここで、カーネルは、定量情報のタイプによって少なくとも1つが定義される。図4を参照して上述したように、関心領域は、ユーザ30により大きさや形状が定義されるようにしてもよい。プロセッサ110は、ユーザ30の入力に基づいて、関心領域で取得しようとする定量情報のタイプを決定する。例えば、定量情報のタイプは、全細胞(又は、特定タイプの細胞)の数、全細胞(又は、特定タイプの細胞)の密度、異なる細胞間の割合、全細胞に対する特定タイプの細胞の割合などであり得る。プロセッサ110は、関心領域の大きさ及び形状、定量情報のタイプによってカーネルを定義する。以下、図7を参照して、プロセッサ110がカーネルを定義する例について説明する。
【0097】
図7は一実施形態によるプロセッサがカーネルを定義する一例を説明するための図である。
【0098】
第1例として、定量情報のタイプは、癌細胞の数であると仮定する。また、病理スライド画像の特定の倍率において、関心領域710は、半径がRである円であると仮定する。さらに、チャネルは、癌細胞に対応するピクセルには「1」が記録され、他のピクセルには「0」が記録された画像であると仮定する。例えば、癌細胞の中心に対応するピクセルに「1」が記録されてもよい。
【0099】
プロセッサ110は、関心領域710全体を含むカーネル720を設定する。例えば、プロセッサ110は、カーネル720を一辺の長さが2Rである四角形に設定することができる。よって、カーネル720は、関心領域710に含まれる領域721と、関心領域710に含まれない領域722とに分けることができる。プロセッサ110は、領域721に「1」を記録し、領域722に「0」を記録することにより、カーネル720を定義することができる。
【0100】
第2例として、定量情報のタイプは、全ての種類の細胞の数に対する癌細胞の数の割合であると仮定する。また、病理スライド画像の特定の倍率において、関心領域710は、半径がRである円であると仮定する。さらに、第1チャネルは、癌細胞の中心に対応するピクセルには「1」が記録され、他のピクセルには「0」が記録された画像であると仮定する。さらに、第2チャネルは、全ての細胞の中心に対応するピクセルには「1」が記録され、他のピクセルには「0」が記録された画像であると仮定する。
【0101】
プロセッサ110は、関心領域全体を含む第1カーネル及び第2カーネルを設定する。例えば、プロセッサ110は、第1カーネル及び第2カーネルを一辺の長さが2Rである四角形に設定することができる。よって、第1カーネル及び第2カーネルは、関心領域に含まれる領域と、関心領域に含まれない領域とに分けることができる。プロセッサ110は、関心領域に含まれる領域に「1」を記録し、関心領域に含まれない領域に「0」を記録することにより、第1カーネル及び第2カーネルを定義することができる。
【0102】
再び図6を参照すると、ステップ620において、プロセッサ110は、病理スライド画像及びカーネルを用いたコンボリューション演算により定量情報を生成する。以下、図8を参照して、プロセッサ110がコンボリューション演算を行う例について説明する。
【0103】
図8は一実施形態によるコンボリューション演算の一例を説明するための図である。
【0104】
図8には、コンボリューション演算に用いられるチャネル810及びカーネル820が示されている。また、図8には、チャネル810及びカーネル820によりコンボリューション演算が行われた結果830が示されている。図8には、チャネル810のサイズが4×4、カーネル820のサイズが2×2であることが示されているが、それに限定されるものではない。
【0105】
プロセッサ110は、チャネル810とカーネル820を重畳して積和(sum of product)演算を行い、演算後にカーネルを特定の方向に1マスずつ移動し、再び積和演算を行う。このような方式で、プロセッサ110は、チャネル810とカーネル820を用いてコンボリューション演算を行うことにより結果830を導出する。
【0106】
図7の第1例において、プロセッサ110は、チャネルとカーネルに対してコンボリューション演算を行うことにより、チャネルに含まれる全てのピクセル毎にそれに対応する関心領域の癌細胞の数を演算することができる。それにより、プロセッサ110は、定量情報として、関心領域内の癌細胞の数を生成することができる。
【0107】
図7の第2例において、プロセッサ110は、第1チャネルと第1カーネルに対してコンボリューション演算を行うことにより、関心領域内の癌細胞の数を演算することができる。また、プロセッサ110は、第2チャネルと第2カーネルに対してコンボリューション演算を行うことにより、関心領域内の全細胞の数を演算することができる。それにより、プロセッサ110は、定量情報として、関心領域内の全ての種類の細胞の数に対する癌細胞の数の割合を生成することができる。
【0108】
再び図4を参照すると、ステップ420において、プロセッサ110は、病理スライド画像を分析して、病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの組織の定性情報を生成する。
【0109】
プロセッサ110が病理スライド画像を分析する方法は、ステップ410を参照して上述した通りである。一方、定性情報は、該当組織に含まれる細胞のPD-L1(programmed death-ligand 1)の発現の有無に関する情報を含むことができる。例えば、定性情報は、該当細胞がPD-L1陽性腫瘍細胞(PD-L1 positive tumor cell)、PD-L1陰性腫瘍細胞(PD-L1 negative tumor cell)、PD-L1陽性リンパ球(PD-L1 positive lymphocyte)又はPD-L1陽性大食細胞(PD-L1 positive macrophage)であるかに関する情報を含むことができる。例えば、該当細胞が上述した細胞のうちどのタイプであるかは所定のカラー(color)で表すことができるので、ディスプレイ装置には定性情報を所定のカラーで出力することができる。以下、図9及び図10を参照して、プロセッサが定性情報を生成する例について説明する。
【0110】
図9は一実施形態によるプロセッサが定性情報を生成する一例を説明するためのフローチャートである。
【0111】
組織の分析結果(例えば、PD-L1 TPS(Tumor proportion score)、PD-L1 CPS(combined positive score)、癌領域、癌基質領域などの組織のセグメンテーション結果)の場合、病理スライド画像の原本の解像度より解像度が低いビットマップ画像として生成され、ビットマップ画像の各ピクセルは、該当位置に存在する組織のラベル(label)IDをピクセル値として有する。ここで、ラベルIDは、数字で表すことができる。プロセッサ110は、下記過程により、ラベル情報を用いて定性情報を生成することができる。
【0112】
ステップ910において、プロセッサ110は、少なくとも1つの組織の分析結果に基づいて少なくとも1つの組織に含まれる少なくとも1つの細胞に対応するラベル情報を確認する。
【0113】
まず、プロセッサ110は、細胞又は体内組織のそれぞれに関するラベル情報を確認する。ここで、ラベル情報は、各ラベルのID、カラー、タイトルを含む。また、プロセッサ110は、病理スライド画像の分析により、細胞又は組織のタイプを決定する。さらに、プロセッサ110は、確認されたラベル情報から病理スライド画像に含まれる少なくとも1つの細胞又は組織に対応するラベル情報を検索する。
【0114】
ステップ920において、プロセッサ110は、確認されたラベル情報に基づいて病理スライド画像に対応するビットマップ画像を変換する。
【0115】
プロセッサ110は、ステップ910により検索されたラベル情報内のカラー(すなわち、ラベルカラー)を用いて、ビットマップ画像内の各細胞に対応するピクセル値をラベルカラーのカラー値として設定する。それにより、ビットマップ画像に表された各細胞のピクセルは、組織の特性に応じたラベルカラーに設定することができる。
【0116】
一方、病理スライド画像の解像度に比べてビットマップ画像の解像度が低くても、病理スライド画像が非常に大きいため、ビットマップ画像も大きいので、プロセッサ110がビットマップ画像全体を全てロードできないことがある。その場合、プロセッサ110は、ビットマップ画像を変換する装置(例えば、ユーザ端末100)のリソース(resource)に基づいて他の方式でビットマップ画像を変換することができる。例えば、プロセッサ110は、ビットマップ画像を変換する装置のリソースに基づいてビットマップ画像を複数のタイルに分割する。また、プロセッサ110は、確認されたラベル情報に基づいて各タイルを変換する。さらに、プロセッサ110は、変換されたタイルを組み合わせる。
【0117】
例えば、プロセッサ110がビットマップ画像をラベルカラーに変換(ステップ920)するために、装置に内蔵されたGPUを活用できるWebGLを用いることができる。具体的には、プロセッサ110は、ビットマップ画像をWebGLに2Dテクスチャにロードし、その後フラグメントシェーダーで当該テクスチャをサンプリングし、サンプリングされたラベルIDに対応するカラー値を用いてレンダリングする。ただし、ビットマップ画像の解像度が原本の病理スライド画像の解像度より低くても、原本の病理スライド画像が非常に大きい場合、ビットマップ画像を全てGPUに2Dテクスチャにロードできない場合が発生し得る。その場合、プロセッサ110は、ビットマップ画像を複数のタイルに分割し、タイルに基づいてビットマップ画像の変換作業を行うことができる。プロセッサ110がタイルに基づいてビットマップ画像の変換作業を行う例については、図10を参照して説明する。
【0118】
図10は一実施形態によるプロセッサが定性情報を生成する他の例を説明するためのフローチャートである。
【0119】
ステップ1010において、プロセッサ110は、ビットマップ画像を取得する。
【0120】
ステップ1020において、プロセッサ110は、GPUがビットマップ画像をテクスチャにロードできるか否かを判断する。ここで、テクスチャは、2Dテクスチャであってもよい。
【0121】
GPUがビットマップ画像をテクスチャにロードできる場合、ステップ1030に進み、そうでない場合、ステップ1040に進む。
【0122】
ステップ1030において、プロセッサ110は、ビットマップ画像を表示可能な画像に変換する。例えば、プロセッサ110は、ステップ920を参照して上述した方式でビットマップ画像を変換する。また、プロセッサ110は、変換されたビットマップ画像をディスプレイ装置に出力可能な画像に変換する。
【0123】
ステップ1040において、プロセッサ110は、ビットマップ画像をタイルに分割する。例えば、プロセッサ110は、ビットマップ画像をGPUにテクスチャにロードできる画像の最大サイズの1/4サイズに分割することができるが、それに限定されるものではない。
【0124】
ステップ1050において、プロセッサ110は、分割されたタイルを表示可能な画像に変換する。例えば、プロセッサ110は、ステップ920を参照して上述した方式で各タイルを変換する。また、プロセッサ110は、変換されたタイルをディスプレイ装置に出力可能な画像に変換する。
【0125】
ステップ1060において、プロセッサ110は、全てのタイルの変換作業が完了したか否かを判断する。全てのタイルの変換作業が完了した場合、ステップ1070に進み、そうでない場合、ステップ1050をさらに行う。
【0126】
ステップ1070において、プロセッサ110は、変換されたタイルを組み合わせる。具体的には、プロセッサ110は、変換されたタイルを連結して全体ビットマップ画像に対応する産出物を生成する。
【0127】
再び図4を参照すると、ステップ430において、プロセッサ110は、ユーザ30の操作によって病理スライド画像上に定量情報及び定性情報の少なくとも1つを出力する。
【0128】
例えば、プロセッサ110は、病理スライド画像の少なくとも一部分に対応する定性情報及び関心領域に対応する定量情報を出力することができる。ディスプレイ装置には、病理スライド画像の一部分又は全部を出力することができる。また、ディスプレイ装置に出力された画像の一部分に関心領域を設定することができる。その場合、プロセッサ110は、ディスプレイ装置に出力された画像全体に対して定性情報を出力(例えば、組織に対応するカラーを出力)し、関心領域に関する定量情報を出力(例えば、関心領域に含まれる特定種類の細胞の数、TPS、CPS又はTIL密度を出力)することができる。
【0129】
一方、プロセッサ110は、ユーザ30の操作によってディスプレイ装置上に出力される画像の変化に対応して、定量情報及び/又は定性情報を適応的に出力することができる。
【0130】
一例として、プロセッサ110は、ユーザ30の操作によって変更された病理スライド画像の出力部分又は出力倍率に基づいて定量情報及び定性情報の少なくとも1つを変更して出力することができる。例えば、ユーザ30が病理スライド画像を拡大又は縮小する度にその領域に応じた分析結果(定量情報及び/又は定性情報)を提供し、ディスプレイ装置に出力された領域以外の領域に対しては分析結果を提供しないようにすることができる。
【0131】
他の例として、プロセッサ110は、ユーザの操作によって変更された病理スライド画像の出力倍率と閾値倍率とを比較して、定量情報及び定性情報の少なくとも1つを変更して出力することができる。例えば、ユーザ30が病理スライド画像を所定の倍率以上に拡大する場合にのみ特定の分析結果を提供することができる。あるいは、ユーザ30が病理スライド画像を拡大する前に提供されていた分析結果を、病理スライド画像を所定の倍率以上に拡大する場合は提供しないようにすることもできる。
【0132】
図11及び図12は一実施形態による定量情報が出力された例を示す図である。
【0133】
図11及び図12には、ディスプレイ装置に出力された病理スライド画像の一部分1110、1210が示されている。ユーザ30の操作によって、病理スライド画像上には関心領域1120、1220を設定することができる。また、関心領域1120、1220は、ユーザ30の操作によって大きさ及び位置を変更することができる。
【0134】
関心領域1120、1220が設定されると、プロセッサ110は、関心領域1120、1220に含まれる細胞の定量情報1130、1230を生成して出力する。定量情報1130、1230には関心領域に含まれる特定タイプの細胞の数1140、1240が含まれてもよいが、それに限定されるものではない。
【0135】
図13及び図14は一実施形態による定量情報及び定性情報が出力された例を示す図である。
【0136】
図13を参照すると、拡大以前の画像(すなわち、全体病理スライド画像)1310には癌細胞の位置が出力されず、癌細胞の数も出力されないようにすることができる。拡大以前の画像1310には定性情報(例えば、組織の特性をカラーで示す情報)のみ出力されるようにすることができる。例えば、組織の特性は、各ピクセルを中心とする所定の大きさの円領域内にPD-L1陽性癌細胞とPD-L1陰性癌細胞の割合が所定の閾値以上であるか否かを示すことができる。ユーザ30が画像1310を閾値倍率以上に拡大する場合、拡大された画像1320上に癌細胞の位置を出力することができる。例えば、各細胞のタイプがPD-L1陽性腫瘍細胞であるか、PD-L1陰性腫瘍細胞であるかによって異なるカラーの点(dot)で細胞の位置を表示することができる。また、画像1320には、関心領域1321を設定することができ、関心領域1321に関する定量情報1322を出力することができる。関心領域1321に関する定量情報1322として、関心領域内のTPS、関心領域内の全細胞の数、関心領域の広さ、関心領域内のPD-L1陽性腫瘍細胞の数、及び関心領域内のPD-L1陰性腫瘍細胞の数の少なくとも1つを出力することができる。
【0137】
一方、画面の一側面には、病理スライド画像1310、1320を示すサムネイル画像1311、1323を出力することができ、病理スライド画像1310、1320の現在の倍率を示す画像1312、1324も出力することができる。
【0138】
また、画面の一側面には、コントロールパネル(図示せず)を出力することができ、コントロールパネル(図示せず)内のチェックボックスを選択及び/又は解除することにより癌細胞の位置を表示又は除去することができる。さらに、コントロールパネル(図示せず)内のチェックボックスを選択及び/又は解除することによりPD-L1 TPSマップを表示又は除去することができる。
【0139】
一方、図14を参照すると、ユーザの操作(例えば、病理スライド画像の拡大など)によって、既に出力された第1定性情報を他の第2定性情報に変更して出力することができる。また、ユーザの操作が受信される前には出力されていなかった所定の定量情報をさらに出力することができる。
【0140】
例えば、第1定性情報は、ユーザの操作が受信される前に出力された病理スライド画像の少なくとも一部分1410に対応する免疫表現型(IP,Immune phenotype)であってもよく、第2定性情報は、ユーザの操作によって出力された病理スライド画像の少なくとも一部分1420に含まれる組織及び細胞の少なくとも1つの特性であってもよい。ただし、第1定性情報及び第2定性情報は、上述したものに限定されるものではない。また、所定の定量情報は、ユーザの操作によって出力された病理スライド画像の少なくとも一部分1420に含まれる免疫細胞の密度であってもよいが、それに限定されるものではない。
【0141】
例えば、拡大以前の画像1410には、定性情報(例えば、組織の特性をカラーで示す情報)のみを出力することができる。例えば、組織の特性は、IPを示すことができる。IPは、定量情報に基づいて決定することができる。例えば、IPは、病理スライドの少なくとも一部の領域内の免疫細胞の数、分布、密度の少なくとも1つに基づいて決定することができる。
【0142】
IPは、様々な分類方式で表示することができるが、一例として、グリッド上の癌領域内の免疫細胞の密度及び癌ストロマ内の免疫細胞の密度の少なくとも1つに基づいて各グリッドのIPを決定することができる。例えば、癌領域内の免疫細胞の密度及び癌ストロマ内の免疫細胞の密度の少なくとも1つに基づいて計算された値がどの範囲に含まれるかによって、IPは、免疫活性(immune inflamed)、免疫除外(immune excluded)及び免疫欠乏(immune desert)の少なくとも1つで表示することができる。
【0143】
拡大以前の画像1410には、IPマップがより容易に識別されるように、細胞及び組織に関するマップ(map)が出力されないようにすることができる。
【0144】
ユーザ30が画像1410を閾値倍率以上に拡大する場合、IPマップの代わりに、細胞及び組織の特性に関するマップを出力することができる。つまり、プロセッサ110は、少なくとも1つの細胞(例えば、リンパプラズマ細胞)の位置を画面上に出力することができる。プロセッサ110は、IPマップの代わりに、画面上の各領域に関する情報を出力することができる。例えば、プロセッサ110は、画面上の各領域が癌領域、癌基質領域、壊死領域及びバックグラウンド領域のうちの1つとして識別し、対応するカラーをオーバーレイすることができる。
【0145】
また、画像1420には、関心領域1421を設定することができ、関心領域1421に関する定量情報1422を出力することができる。関心領域1421に関する定量情報1422として、関心領域に含まれる癌領域内の免疫細胞の密度、関心領域に含まれる癌ストロマ内の免疫細胞の密度、及び関心領域内の免疫細胞の数の少なくとも1つを出力することができる。
【0146】
一方、画面の一側面には、病理スライド画像1410、1420を示すサムネイル画像1411、1423を出力することができ、病理スライド画像1410、1420の現在の倍率を示す画像1412、1413も出力することができる。
【0147】
また、画面の一側面には、コントロールパネル(図示せず)を出力することができ、コントロールパネル(図示せず)内のチェックボックスを選択及び/又は解除することにより少なくとも1つの位置を表示又は除去することができる。さらに、コントロールパネル(図示せず)内のチェックボックスを選択及び/又は解除することによりIPマップ及び/又は組織学的特徴(histological feature)マップを表示又は除去することができる。
【0148】
図15は一実施形態によるプロセッサが病理スライド画像に関する情報を出力する一例を説明するためのフローチャートである。
【0149】
病理スライド画像を分析して定量情報及び/又は定性情報を生成して出力する上で、プロセッサ110は、複数のスレッド(thread)により上述したプロセスを処理することができる。それにより、プロセッサ110は、プロセスの処理にかかる時間を短縮することができるので、ユーザ30の操作によってリアルタイムで関連情報をディスプレイ装置に出力することができる。
【0150】
例えば、図15を参照すると、第1スレッドは、ユーザ30の操作を受信し、ユーザ30の操作に対応する作業を第2スレッドに要求することができる。また、第2スレッドは、要求された作業の処理結果を第1スレッドに送信し、第1スレッドは、受信した結果を用いてディスプレイ装置に画像及び関連情報を出力することができる。
【0151】
ステップ1510において、第1スレッドから視覚化プロセス要求が受信される。ここで、視覚化プロセス要求は、ユーザ30の操作によって病理スライド画像が拡大又は縮小されるか、関心領域の位置が変更されるか、関心領域の大きさが拡大又は縮小されることを含む。
【0152】
ステップ1520において、第1スレッドは、第2スレッドの処理が終了するまで待機する。
【0153】
ステップ1530~ステップ1550により、第2スレッドは、ビットマップ画像の取得、分析及びレンダリング作業を行う。ステップ1530~ステップ1550は、図4図10を参照して上述したプロセッサ110の動作に対応する。よって、ステップ1530~ステップ1550に関する具体的な説明は省略する。
【0154】
ステップ1560において、第2スレッドは、レンダリングされたビットマップ画像及び細胞の座標情報を第1スレッドに送信する。そして、ステップ1570において、第1スレッドは、第2スレッドから送信された情報を用いてバイナリツリーを生成する。
【0155】
ステップ1580及びステップ1590において、第1スレッドは、ユーザ30の操作を受信し、ユーザ30の操作に対応して画像をディスプレイ装置上に出力する。ここで、画像は、病理スライド画像の少なくとも一部分だけでなく、定量情報及び定性情報の少なくとも1つが表示された画像を示す。
【0156】
上述したように、プロセッサ110は、ユーザ30の操作によって設定された関心領域又はディスプレイ装置上に出力される病理スライド画像の少なくとも一部分に対応して定量情報又は定性情報を出力する。よって、ユーザ30がディスプレイ装置上に出力された画像を判読して被検者を診断することを効果的に助けることができる。
【0157】
一方、上述した方法は、コンピュータで実行可能なプログラムで作成することができ、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を用いて前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで実現することができる。また、上述した方法で用いられたデータの構造は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に様々な手段を介して記録することができる。前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、磁気記録媒体(例えば、ROM、RAM、USB、フロッピーディスク、ハードディスクなど)、光学読取媒体(例えば、CD-ROM、DVDなど)などの保存媒体を含む。
【0158】
本実施形態に関連する技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記記載の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形態で実現できることが理解できるであろう。よって、開示された方法は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されるべきであり、権利範囲は、上記説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にあるすべての相違点を含むものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】