(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】グラブ装置及びグラブ装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
E02F 3/47 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
E02F3/47 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508712
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022071804
(87)【国際公開番号】W WO2023016883
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュル アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】プァイファー ダヴィット
(72)【発明者】
【氏名】フーグル アンドレアス
(57)【要約】
本発明は、グラブシステムを操作する方法に関し、グラブシステムは、キャリア装置とその上に配置されたケーブルグラブとを具備し、ケーブルグラブは、保持ケーブルによってキャリア装置上に保持されるグラブフレームと、グラブフレームの下端に取り付けられて閉位置と開位置との間で回動することができる、少なくとも2つのグラブバケットと、グラブバケットを回動させるための作動ケーブルを備えた作動装置とを含み、ここで作動ケーブルはキャリア装置から作動装置まで導かれ、キャリア装置は、保持ケーブル用の駆動される第1のケーブルウィンチ及び作動ケーブル用の駆動される第2のケーブルウィンチを有し、ここでキャリア装置は、下部キャリッジ及び上部キャリッジを有し、上部キャリッジは鉛直軸軸の周りに回転するように下部キャリッジに取り付けられて、ケーブルグラブが鉛直方向に調整可能に取り付けられる片持ちアームを有し、ここで除去ステップでは、地面にトレンチを形成するために、ケーブルグラブはグラブバケットが開いた状態で保持ケーブルによって地中に降下され、グラブバケットが閉じられて土壌物質を除去及び採取し、ケーブルグラブは保持ケーブルによって地中から引き出されて、上部キャリッジを回転させることによって排出位置に旋回され、そこでグラブバケットは開けられて、採取した土壌物質を排出し、次にケーブルグラブを地面のトレンチの中に戻して除去ステップを繰り返す。本発明によれば、制御装置が設けられ、それを用いて、上部キャリッジの排出位置への回転、及び土壌物質を排出するためのグラブバケットの開閉、又は上部キャリッジを排出位置から地面のトレンチまで戻す回転が、自動的に制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア装置(12)とその上に配置されたケーブルグラブ(30)とを備えるグラブ装置(10)を操作するための方法であって、
前記ケーブルグラブ(30)が、
保持ケーブル(24)によって前記キャリア装置(12)上に保持されるグラブフレーム(32)と、
前記グラブフレーム(32)の下端に取り付けられて、閉位置と開位置との間で回動できる、少なくとも2つのグラブバケット(34)と、
前記グラブバケット(34)を回動させるための作動ケーブル(44)を備えた作動装置(40)と、
を含み、
前記作動ケーブル(44)が、前記キャリア装置(12)から前記作動装置(40)まで導かれており、
前記キャリア装置(12)が、前記保持ケーブル(24)用の駆動される第1のケーブルウィンチ(21)及び前記作動ケーブル(44)用の駆動される第2のケーブルウィンチ(22)を有し、
前記キャリア装置(12)が、下部キャリッジ(14)及び上部キャリッジ(16)を有し、前記上部キャリッジ(16)は、鉛直軸線の周りに回転するように前記下部キャリッジ(14)に取り付けられ、かつ前記ケーブルグラブ(30)が鉛直方向に調整可能に取り付けられる片持ちアーム(18)を有し、
除去ステップにおいて、地面にトレンチを形成するために、前記ケーブルグラブ(30)が前記グラブバケット(34)が開いた状態で前記保持ケーブル(24)によって地中に降下され、
前記グラブバケット(34)は閉じられて土壌物質を除去及び採取し、
前記ケーブルグラブ(30)は、前記保持ケーブル(24)及び/又は前記作動ケーブル(44)によって前記地中から引き出されて、前記上部キャリッジ(16)を回転させることによって、排出位置に旋回され、そこで前記グラブバケット(34)は開けられて、採取した前記土壌物質を排出し、
次に前記ケーブルグラブ(30)を前記地面のトレンチの中に戻して、前記除去ステップを繰り返し、
前記上部キャリッジ(16)の前記排出位置への回転、及び前記土壌物質を排出するための前記グラブバケット(34)の開閉、及び/又は前記上部キャリッジ(16)を前記排出位置から前記地面のトレンチまで戻す回転を自動的に制御する制御装置が設けられることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記制御装置が、前記グラブバケット(34)を開き、その間、前記ケーブルグラブ(30)は、前記上部キャリッジ(16)の前記回転の結果として、依然として振動していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケーブルグラブ(30)の前記地面のトレンチの中への導入、及び/又は前記ケーブルグラブ(30)の前記地面のトレンチからの引抜きは、前記制御装置によって自動的に制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御装置が、前記第1のケーブルウィンチ(21)及び前記第2のケーブルウィンチ(22)に接続されて制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記上部キャリッジ(16)の回転の間に前記ケーブルグラブ(30)の振動動作を検出するセンサ装置が設けられる請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記グラブバケット(34)は、振動している前記ケーブルグラブ(30)が依然として鉛直位置から偏向された位置にあるときに、その位置で前記制御装置によって開けられることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
振動している前記ケーブルグラブ(30)は、前記制御装置によって前記地面のトレンチの中に導入され、ここで前記振動動作が前記地面との接触によって減衰されることを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
キャリア装置(12)とその上に配置されたケーブルグラブ(30)とを備えるグラブ装置であって、
前記ケーブルグラブ(30)が、
保持ケーブル(24)によって前記キャリア装置(12)上に保持されるグラブフレーム(32)と、
前記グラブフレーム(32)の下端に取り付けられて、閉位置と開位置との間で回動できる、少なくとも2つのグラブバケット(34)と、
前記グラブバケット(34)を回動させるための作動ケーブル(44)を有する作動装置(40)と、
を含み、
前記作動ケーブル(44)が前記キャリア装置(12)から前記作動装置(40)まで導かれており、
前記キャリア装置(12)は、前記保持ケーブル(24)用の駆動される第1のケーブルウィンチ(21)及び前記作動ケーブル(44)用の駆動される第2のケーブルウィンチ(22)を有し、
前記キャリア装置(12)が、下部キャリッジ(14)、及び上部キャリッジ(16)を有し、前記上部キャリッジ(16)は、鉛直軸線の周りに回転するように前記下部キャリッジに取り付けられ、かつ前記ケーブルグラブ(30)が鉛直方向に調整可能に吊り下げられる片持ちアーム(18)を有し、
前記上部キャリッジ(16)の排出位置への回転、及び土壌物質を排出するための前記グラブバケット(34)の開閉、並びに/又は前記上部キャリッジ(16)を前記排出位置から前記地面のトレンチまで戻す回転を自動的に制御するように設計された制御装置が設けられ、
前記グラブバケット(34)の開閉は、好ましくは自動的に実行されることを特徴とする、
グラブ装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の前記方法を実行するように設計されていることを特徴とする請求項8に記載のグラブ装置。
【請求項10】
前記保持ケーブル(24)上の第1のケーブル力を検出する第1の検出装置と、前記作動ケーブル(44)上の第2のケーブル力を検出する第2の検出装置とが設けられ、
前記制御装置が前記第1の検出装置、前記第2の検出装置、前記第1のケーブルウィンチ(21)、及び前記第2のケーブルウィンチ(22)に接続され、前記第1のケーブルウィンチ(21)及び/又は前記第2のケーブルウィンチ(22)を、前記保持ケーブル(24)上の検出された前記第1のケーブル力と前記作動ケーブル(44)上の検出された前記第2のケーブル力に応じて、制御プログラム仕様に従って制御するように設計されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のグラブ装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記ケーブルウィンチ(21、22)が、前記保持ケーブル(24)上の前記第1のケーブル力と前記作動ケーブル(44)上の前記ケーブル力を互いに一致させるように制御される補償モードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項12】
前記制御装置が、前記ケーブルウィンチ(21、22)が鉛直長手方向軸線の周りの前記ケーブルグラブ(30)の意図的な回転を生じさせ得るように制御される回転モードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項13】
前記ケーブルグラブ(30)の回転位置及び/又は前記回転位置の変化を検出するための少なくとも1つの第3の検出装置が設けられていることを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項14】
特に前記ケーブルグラブ(30)の鉛直位置、前記キャリア装置(12)に対する前記ケーブルグラブ(30)の距離及び/又は角度位置を検出するための、少なくとも1つの更なる検出装置が設けられていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項15】
前記第1のケーブルウィンチ(21)上の前記保持ケーブル(24)は、前記第2のケーブルウィンチ(22)上の前記作動ケーブル(44)の第2の撚り方向とは反対方向である、第1の撚り方向を有することを特徴とする請求項8から14のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記グラブバケット(34)を所定の高さで開く及び/又は閉じるモードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項8から15のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項17】
前記ケーブルグラブ(30)は、前記グラブバケット(34)が閉じた状態で、前記作動ケーブル(44)及び前記保持ケーブル(24)から自由に吊り下げて保持され得て、ここで前記作動ケーブル(44)と前記保持ケーブル(24)にかかる前記ケーブル力が、ほぼ同じであり、好ましくは、適切には約+/-1tであることを特徴とする請求項8から16のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項18】
前記ケーブルグラブ(30)は、前記グラブバケット(34)が開いた状態で、前記作動ケーブル(44)及び前記保持ケーブル(24)から自由に吊り下げて保持され得て、ここで前記保持ケーブル(24)にかかる前記ケーブル力はほぼグラブ全体の重量に相当し、前記作動ケーブル(44)にかかる前記ケーブル力は約1t~2tの適切な範囲にあることを特徴とする請求項8から17のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項19】
前記制御装置は、前記グラブバケット(34)を自動的に開き、その直後に閉じるモードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項8から18のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【請求項20】
前記グラブバケットの開度は、前記制御装置によって検出され得て、前記開度はオペレータに向けて表示されることを特徴とする請求項8から19のいずれか一項に記載のグラブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、キャリア装置とその上に配置されたケーブルグラブとを具備するグラブ装置を操作するための方法に関し、ケーブルグラブは、保持ケーブルによってキャリア装置上に保持されるグラブフレームと、グラブフレームの下端に取り付けられて閉位置と開位置との間で回動する、少なくとも2つのグラブバケットと、グラブバケットを回動させるための作動ケーブルを備えた作動装置とを含み、ここで作動ケーブルはキャリア装置から作動装置まで導かれ、キャリア装置は、保持ケーブル用の駆動第1のケーブルウィンチ及び作動ケーブル用の駆動第2のケーブルウィンチを有し、ここでキャリア装置は、下部キャリッジ及び上部キャリッジを有し、上部キャリッジは鉛直軸線の周りを回転するように下部キャリッジに取り付けられて、ケーブルグラブが鉛直方向に調整可能に取り付けられる片持ちアームを有し、ここで除去ステップでは、地面にトレンチを形成するために、ケーブルグラブはグラブバケットが開いた状態で保持ケーブルによって地中に降下され、グラブバケットが閉じられて土壌物質を除去及び採取し、ケーブルグラブは保持ケーブル及び/又は作動ケーブルによって地中から引き出されて、上部キャリッジを回転させることによって、排出位置(emptying position)に旋回され、そこでグラブバケットは開けられて、採取した土壌物質を排出し、次にケーブルグラブを地面のトレンチの中に戻して除去ステップを繰り返す。
【0002】
本発明は更に、請求項8の前文による、キャリア装置とその上に配置されたケーブルグラブとを具備するグラブ装置に関し、ケーブルグラブは、保持ケーブルによってキャリア装置上に保持されるグラブフレームと、グラブフレームの下端に取り付けられて閉位置と開位置との間で回動する、少なくとも2つのグラブバケットと、グラブバケットを回動させるための作動ケーブルを備えた作動装置とを含み、ここで作動ケーブルはキャリア装置から作動装置まで導かれ、キャリア装置は、保持ケーブル用の駆動第1のケーブルウィンチ及び作動ケーブル用の駆動第2のケーブルウィンチを有し、ここでキャリア装置は、下部キャリッジ及び上部キャリッジを有し、上部キャリッジは鉛直軸線の周りを回転するように下部キャリッジに取り付けられて、ケーブルグラブが鉛直方向に調整可能に吊り下げられる片持ちアームを有する。
【背景技術】
【0003】
グラブシステムは、専門的な土木工学において、地面にトレンチを作るために使用される。掘削ピットを支持及び/又は封止するための地中連続壁は、トレンチ内に作製され得る。
【0004】
グラブシステムは、主に、複数のグラブバケットを有するグラブを含み、グラブは保持ケーブルによってキャリア装置、通常はジブクレーンから吊り下げられる。グラブは、保持ケーブルによって地中に降下され得る。グラブバケットを閉じることによって、土壌物質は地盤から除去され、グラブ内に採取され得る。次に、グラブは、保持ケーブル及び/又は作動ケーブルによって再び地中から引き出され、キャリア装置によって排出位置に旋回され、そこでグラブバケットが開けられて土壌物質を排出する。次に、グラブは旋回されて作業位置に戻され、新たなグラブ操作のために地面のトレンチの中に導入される。
【0005】
このようなグラブシステムで使用されるグラブには、2つの異なるタイプ、すなわち油圧グラブとケーブルグラブがある。いわゆる油圧グラブは、例えば欧州特許出願公開第3798367号明細書(EP3798367A1)において既知である。油圧グラブでは、グラブバケットを開閉する動作は、グラブフレーム上に配置される油圧シリンダによって生じる。
【0006】
このような油圧グラブは、油圧システムを使用して操作し、制御するのが比較的容易である。しかし、作動液を供給及び排出するための適切な油圧ラインが必要であり、それは保持ケーブルと並行して延びる。油圧ライン用の対応するケーブルドラムは、対応するウィンチドライブ及び対応して設計された油圧システムと共に、キャリア装置上に配設されるべきである。これにより、グラブ装置のサイズがそれに応じて増大し、また、より高価となる。油圧システムは更に、追加のメンテナンスの手間を必要とする。
【0007】
対照的に、いわゆるケーブルグラブは、より簡単な設計である。このようなケーブルグラブは、例えば英国特許出願公開第2126981号明細書(GB2126981A)で既知である。ケーブルグラブでは、グラブバケットの開閉動作は作動ケーブルによってもたらされる。作動ケーブルは、基本的に、グラブバケットの作動装置からキャリア装置まで、保持ケーブルに対して並行して延びる。別個のウィンチを作動ケーブル用に用いると、グラブバケットは、作動ケーブルをウィンチから繰り出すことで、又はウィンチに巻き取ることで開閉され得る。
【0008】
ケーブルグラブの場合、グラブへの油圧ラインの複雑な給油システムは、必要でない。対応するウィンチを備えた追加の作動ケーブルのみを要する。また、このタイプの作動ケーブルは、対応する油圧システムを備えた油圧ラインよりもはるかに少ないメンテナンスで済む。
【0009】
しかし、ケーブルグラブは、油圧グラブほど操作が簡単ではなく、経験を積んだ機械オペレータを必要とする。この理由の1つは、主に、非回転自在ケーブル、つまり保持ケーブルと作動ケーブルの二重配置のために、トルクが様々な動作状態で生成され、そのトルクにより、ケーブルグラブがその長手方向軸線の周りで特定の回転を引き起こす、という事実にある。しかし、ケーブルグラブの正確な回転位置は不可欠であり、それは、ケーブルグラブを、排出位置と、ケーブルグラブが地中に導入されてトレンチを形成する作業位置との間で安全に動かすことができるようにするためである。
【0010】
ケーブルグラブのその長手方向軸線の周りの回転位置は、機械オペレータが一定の張力を保持ケーブル及び作動ケーブルに加えることによって達成され得る。対応するケーブルウィンチの比較的正確な操作が、これには必要である。これは、機械オペレータにある程度の経験と、プロセスを実行する際の高い集中力を必要とする。加えて、ケーブルウィンチはフットペダルを使って操作されることが多いため、ケーブルウィンチを数時間にわたり正確に操作することは、更に機械オペレータにとって非常に骨の折れる作業となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3798367号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2126981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、グラブ装置の操作方法とグラブ装置を明示し、更に、単純なグラブ装置の設計を提供し、同時に簡単な操作を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、一方では、請求項1の特徴を有する方法によって達成され、他方では請求項8の特徴を有するグラブ装置によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項に示される。
【0014】
本発明による方法は、上部キャリッジの排出位置への回転、及び土壌物質を排出するためのグラブバケットの開放、及び/又は上部キャリッジを排出位置から地面のトレンチまで戻す回転を自動的に制御する、制御装置を設けることを特徴とする。そうすることで、グラブ装置の回転は、その垂鉛直軸の周りで行われ得る。
【0015】
本発明の基本的な考え方は、第1に上部キャリッジの回転ドライブと、第2に作動ケーブル用の少なくとも1つのケーブルウィンチが協調された方法で制御され得る制御装置を設けることである。ケーブルグラブの迅速かつ効率的な動作と、排出位置での排出は、このようにして達成され得る。機械オペレータによる複雑な手動制御、ならびに上部キャリッジ及び/又はグラブ装置の回転制御と、従来から利用可能なフットペダルを使用した作動ケーブル用のケーブルウィンチ及び保持ケーブル用のケーブルウィンチの作動との調整は回避され得る。これにより、機械オペレータへの負担は、身体的及び調整作業の両方の点において大幅に軽減される。負担の理由は特に、単純に構築されたケーブルグラブが振動する、つまり揺動及び/又は回転する傾向があるためである。本発明は、経験の浅い機械オペレータであっても、ケーブルグラブの安全かつ効率的な操作を可能にする。
【0016】
代替又は追加として、本発明によれば、上部キャリッジは、排出位置から地面のトレンチへ戻すように回転され得る。このようにして、地面のトレンチの作業位置から排出位置へ、そして逆へのケーブルグラブの反復動作は、制御装置によって完全自動的に、ほぼ完全自動的に、又は少なくとも部分的に自動的に実行され得る。このプロセスでは、第1の操作が、最初に機械オペレータによって手動で実行され得て、一方、対応する自動プログラムがティーチイン手順で制御装置によって生成される。一旦、自動プログラムが記憶されると、そのプログラムは反復して自動的に実行され、それによって機械オペレータへの負担が大幅に軽減され得る。
【0017】
本発明の変形例によれば、特に効率的な排出は、制御装置がグラブバケットを開ける一方で、ケーブルグラブが、上部キャリッジの回転の結果として、依然として振動していることで達成される。動的な排出プロセスは、このようにして達成され得て、ケーブルグラブを、振動後に排出位置上で停止させる必要がない。これは、作業プロセスの大幅な高速化を意味する。ケーブルグラブの振動動作は、上部キャリッジの回転によるもののみでなく、ケーブルウィンチの作動によっても引き起こされる場合がある。この振動動作は、略水平方向の振動のみでなく、略鉛直方向の回転又は回転振動も含み得る。作動ケーブル用のケーブルウィンチと保持ケーブル用のケーブルウィンチの両方は、ケーブルに吊り下げられたケーブルグラブの振動動作を打ち消すように制御装置によって制御され得る。これにより作業場の安全が促進される。
【0018】
本発明の更なる展開によれば、地面のトレンチの中へのケーブルグラブの横方向の動作、及び/又は地面のトレンチからのケーブルグラブの引抜きが、制御装置によって自動的に制御されることは有利である。原理的には、地中連続壁グラブの導入及び引抜きが更に、自動的に実行され得る。トレンチの深さの増大もまた、ここで考慮することができる。好ましくは、機械オペレータは、これらのプロセスステップ又は他のプロセスステップを、制御装置に直接かかわることによって、いつでも自分で実行することが可能である。特に、地面のトレンチへの地中連続壁グラブの導入は、機械オペレータによって直接制御され得る。事前に、制御装置は、ケーブルグラブの動作を、鉛直軸線の周り(回転)と鉛直軸の横方向(振動)の両方で減速させるプログラムステップを実行した直後に、作製されたトレンチの中にケーブルグラブを導入し得る。
【0019】
制御装置は、第1のケーブルウィンチ及び第2のケーブルウィンチに接続され、これらを制御することが更に好ましい。このようにして、保持ケーブルと作動ケーブルの調整された作動は、ケーブルグラブの望ましくない回転及び振動動作を制限するか、又はそれらを完全に回避するために実行され得る。
【0020】
本発明の更なる展開によれば、グラブ装置の特に適切な操作は、上部キャリッジの回転中のケーブルグラブの振動動作を検出するセンサ装置を設けることによって達成される。センサ装置は、カメラベースであってもよく、又は接触式であるかどうかにかかわらず、鉛直方向に対して横方向の振動動作、及び/又は鉛直軸線の周りの回転振動動作を検出し得る他のセンサを有してもよい。このようにして得られた動作データは、制御装置によって使用されて、特に一方又は両方のケーブルウィンチを制御して、望ましくない又は過剰な振動動作を打ち消し得る。
【0021】
本発明の更なる設計の変形例によれば、グラブバケットの効率的なグラブ操作に関して、振動しているケーブルグラブが依然として鉛直位置に対して偏向位置にあるときに、グラブバケットを排出位置で制御装置によって開くことが有利である。全体として、これにより手順全体が高速化される。加えて、偏向位置にあるケーブルグラブの意図的な排出は、振動動作を打ち消すことができ、これは結果として生じる振動質量の減少が、振動動作を減衰させるためである。
【0022】
更に、より一層効率的なプロセスフローは、振動しているケーブルグラブを制御装置によって地面のトレンチの中に導入することにより達成され得て、振動動作が地面との接触によって減衰される。振動動作のある程度の低減が達成されると、振動動作の完全な減衰を、ケーブルグラブを地面のトレンチの中に目標を定めて導入することによって得ることができる。
【0023】
本発明によるグラブ装置に関して、本発明は、上部キャリッジの排出位置への回転、及び土壌物質を排出するためのグラブバケットの開放、及び/又は上部キャリッジを排出位置から地面のトレンチまで戻す回転を自動的に制御するように設計された制御装置を設けることを特徴とする。前述の利点は、このようにして達成され得る。
【0024】
特に好ましいことは、本発明によるグラブ装置は、上述したような本発明による方法を実行するように設計されることである。
【0025】
更に、本発明によるグラブ装置の一実施形態では、保持ケーブル上の第1のケーブル力を検出する第1の検出装置と、作動ケーブル上の第2のケーブル力を検出する第2の検出装置とが提供され、制御装置が第1の検出装置、第2の検出装置、第1のケーブルウィンチ、及び第2のケーブルウィンチに接続され、第1のケーブルウィンチ及び/又は第2のケーブルウィンチを、保持ケーブル上の検出された第1のケーブル力と作動ケーブル上の検出された第2のケーブル力に応じて、制御プログラム仕様に従って制御するように設計されることが好ましい。
【0026】
本発明の一態様は、ケーブルグラブのその長手方向軸線の周りのトルクが、保持ケーブル及び作動ケーブルのケーブル力に依存するという認識に基づいている。検出装置が設けられて、それを用いて保持ケーブル上のケーブル力と作動ケーブル上のケーブル力が検出される。それぞれ検出された力の値は、機械オペレータによる入力及び仕様に従って、保持ケーブル用の第1のケーブルウィンチ及び作動ケーブル用の第2のケーブルウィンチを制御する制御装置に供給され得る。したがって、対応するケーブルウィンチの適切な制御(巻き取り/繰り出し)により、保持ケーブル及び作動ケーブルの力は、制御装置によって相互に調整され得て、その結果、特に、ケーブルグラブの所与の又は所望の回転位置において、長手方向軸線の周りのトルクは、保持ケーブルと作動ケーブルによってケーブルグラブに発生されない。原理的には、制御装置を使用して、適切な方法でそれぞれのケーブル力に影響を与えることによって、所望の回転に対する規定の可変トルクを発生することもできる。振動動作は、この方法で打ち消され得る。
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、保持ケーブルの第1のケーブル力と作動ケーブルの第2のケーブル力との間の規定の比率が明示され、制御装置の制御プログラム仕様によって設定され得ることにある。保持ケーブルと作動ケーブルのそれぞれが同一又は異なる設計は、制御プログラム仕様に従って考慮され得る。保持ケーブルと作動ケーブルが、好ましくは同一の設計であるが、ケーブルの撚り方向が反対である場合、トルク補償は、ケーブルにほぼ同様の張力を設定することで達成され得る。異なるケーブル構造に関して、ケーブルが異なる設計を有する場合、これを考慮して、制御プログラム仕様に応じて事前設定され得る。ケーブルグラブの追加の幾何学的条件は、例えばグラブフレーム上のケーブルの様々な取り付け点に関して、制御プログラム仕様で事前設定して考慮することもできる。
【0028】
本発明の更に好ましい実施形態は、制御装置が補償モードを備えて設計され、補償モードにおいて、保持ケーブル上の第1のケーブル力と作動ケーブル上の第2のケーブル力が互いに調整されるように、ケーブルウィンチが制御されるということにある。特に、ケーブルウィンチは、作動ケーブルと保持ケーブルのトルクが互いに補償するか、又は弱めるように制御され得る。ケーブルグラブのその長手方向軸線の周りの回転位置は、この方法で安定化され得る。したがって、動作中のケーブルグラブのその長手方向軸線の周りの望ましくない回転は、大幅に回避され得る。
【0029】
特に、本発明の更なる展開によれば、制御装置は、回転モードを備えるよう設計され、回転モードにおいて、ケーブルウィンチは、ケーブルグラブを鉛直長手方向軸線の周りで意図的に回転させ得るように制御されることが有利である。安定した回転位置から開始して、機械オペレータによって、回転位置に所望の変化がもたらされ得る。制御装置は更に、所望の回転のための値又は寸法を、機械オペレータが入力装置を介して指定できるように設計され得て、ここでウィンチは、所望の変更を加えた回転位置をもたらすように、プログラムロジックに従って制御装置によって作動される。
【0030】
本発明の更に好ましい実施形態は、制御装置がグラブバケットを所定の高さで開く及び/又は閉じるモードを備えるよう設計されていることにある。これは、開く及び/又は閉じる間、好ましくはグラブバケットの最下点の高さが変わらないように、又は高さにおける規定の変化が達成されるように、2つのケーブルウィンチが相互に調整され得ることを意味する。したがって、例えば閉じる間、グラブバケットの歯又は歯先が、円形経路で移動するか、又は直線経路に沿って移動するか、もしくはその間の規定の経路曲線に沿って移動するかを制御することが可能である。これは、特に地面の種類に応じて設定され得る。
【0031】
グラブは、好ましくは、グラブバケットが閉じた状態で、作動ケーブル及び保持ケーブルから自由に吊り下げて保持され得て、ここで作動ケーブルと保持ケーブルにかかるケーブル力はほぼ同じであり、例えば、適切には約+/-1tである。設備オペレータからの制御コマンドによって開始され、作動ケーブルが巻き取られるウィンチは、繰り出し方向に自動的に作動され、これは、自由落下又は摩擦ロックで実行され得る。同時に、保持ケーブルが巻き取られるウィンチは、巻き取り方向に自動的に作動される。これにより、グラブ本体のスライドが上方に移動され、グラブバケットがプッシュロッドを介して開かれる。作動ケーブル繰り出しと保持ケーブル巻き取りの比率を制御することにより、開いている間に、グラブ本体が地盤又は地面に対して鉛直移動するのを防ぐか、又は最小限に抑えることを達成し得る。この制御なしでは、グラブ本体は、グラブバケットが開いたときに著しく下方に移動することになる。
【0032】
同様に、制御装置はグラブバケットを閉じるモードを備えるよう設計され得る。これは、開く及び/又は閉じる間、好ましくはグラブバケットの最下点の高さが変わらないように、2つのケーブルウィンチが相互に調整され得ることを意味する。したがって、閉じる間、グラブバケットの歯又は歯先が、円形経路で移動するか、又は直線経路に沿って移動するか、もしくはその間の経路曲線に沿って移動するかを制御することが可能であり、これは特に地面の種類に応じて設定され得る。
【0033】
グラブは、好ましくは、グラブバケットが開いた状態で、作動ケーブル及び保持ケーブルから自由に吊り下げて保持され得て、ここで保持ケーブルにかかるケーブル力はほぼグラブ全体の重量に相当し、作動ケーブルにかかるケーブル力は約1t~2tの適切な範囲にある。設備オペレータからの制御コマンドによって開始され、作動ケーブルが巻き取られるウィンチは、巻き取り方向に自動的に作動され、同時に、保持ケーブルが巻き取られるウィンチは、繰り出し方向に、自由落下又は摩擦ロックのいずれかで自動的に作動される。これにより、グラブ本体のスライドが下方に移動され、グラブバケットがプッシュロッドを介して閉じられる。
【0034】
閉じるケーブル巻き取りと保持ケーブル繰り出しの比率を制御することにより、閉じている間に、グラブ本体が地盤又は地面に対して鉛直移動するのを防ぐか、又は最小限に抑えることを達成し得る。この制御なしでは、グラブ本体は、グラブバケットが閉じるときに著しく上方に移動することになる。
【0035】
本発明の更に好ましい実施形態は、制御装置がグラブバケットを自動的に開き、その直後にグラブバケットを閉じるモードを備えるよう設計されることに更にある。
【0036】
グラブは、好ましくは、グラブバケットが閉じて満杯にされた状態で、作動ケーブル及び保持ケーブルから自由に吊り下げて保持され得て、ここで作動ケーブルと保持ケーブルにかかるケーブル力はほぼ同じであり、特に、適切には約+/-1tである。
【0037】
設備オペレータが制御要素を作動すると、グラブバケットの開閉のプロセスが一度の操作で自動的に実行される。ここでの目的は、この操作を可能な限り迅速に実行することであり、これは「グラブバケットが開いている」状態では、保持ケーブルのケーブル力が作動ケーブルのケーブル力よりもはるかに大きいためである。これは、グラブを長手方向軸線の周りに回転させる場合がある。この回転を打ち消すために、自動開/閉操作を実行する前に、回転パルスが反対方向に、特に自動化された方法で作動ケーブルのケーブル力を意図的かつ一時的に増加させることによって発生され得る。
【0038】
本発明の更に好ましい実施形態は、制御装置がグラブバケットの開度を検出し、これをオペレータに表示し得ることにある。
【0039】
保持ケーブルと作動ケーブルの深さ又は繰り出し長さの比を検出することにより、装置コントローラはグラブバケットの開度を決定し、特にそれを画面上でオペレータに表示することが可能である。これは、開度50%などの数値を表示することによって、及び/又はグラフ表示、例えば開口角度付きのグラブバケットの表示又は棒グラフによって行われ得る。この表示がなければ、バケットの開度、ひいてはトレンチ内のグラブの状態がオペレータに可視化されない。
【0040】
本発明の更なる展開によれば、ケーブルグラブの回転位置及び/又は回転位置の変化を検出するための少なくとも1つの第3の検出装置が設けられることが好ましい。これは、光学検出装置、ロータリエンコーダ、ケーブルグラブ上のジャイロスコープ、又はその他の適切な手段によって実現され得る。これにより、グラブの回転位置又は回転に関するフィードバックを、グラブが制御装置によって制御されるときに行うことができるようになり、そのため回転位置又は回転の調整が実行され得る。これにより、ケーブルグラブの回転位置を高精度に設定することが可能となる。
【0041】
本発明の更なる実施形態によれば、操作性の更なる改善は、少なくとも1つの更なる検出装置を設けて、特にケーブルグラブの鉛直位置、キャリア装置に対するケーブルグラブの距離及び/又は角度位置を検出することによってもたらされる。この方法で検出された追加パラメータは、機械オペレータに直接表示され、及び/又は、制御装置によって処理されてグラブを制御し得る。
【0042】
本発明の更に有利な実施形態は、制御パネルが、ケーブルグラブ及び/又はケーブルウィンチを作動させる手動制御用に設けられることにある。
【0043】
入力装置としての制御パネルは、特に、ケーブルグラブの望ましい回転又は動作が機械オペレータによって、例えば数値又は角度寸法として、好ましくは適切な操作要素、例えばカーソル、回転ノブ、スイッチ、又はボタン、特にディスプレイと組み合わせたものを用いて入力され得るように設計される。したがって、機械オペレータは、ウィンチ及びウィンチの回転を直接入力する必要がない。その代わりに、グラブの位置に関するオペレータの入力に基づいて、プログラムロジックを使用する制御装置を介して、個々のモータ及び制御要素を備えた機械は制御されて、望ましくない回転をほとんど発生させることなく所望の位置を調整する。
【0044】
本発明の設計変形例によれば、制御装置は、ケーブルグラブを排出位置及び/又は除去位置に自動的に移動させ得る自動プログラムを備えて設計されることが特に好ましい。この場合、自動プログラムは永続的に記憶され得て、又は、反復的な操作の場合は、機械オペレータによって個別に規定されて保存され得る。したがって、グラブの比較的長い動作シーケンス、特に排出位置への動作及び/又は除去位置に戻る動作は、自動的に実行され得る。このようなケーブルグラブ移動経路は、特に頻繁な反復で地面に深いトレンチを作る場合に生じる。
【0045】
原理的には、個々のケーブルは同一の設計であっても、又は異なる設計であってもよい。本発明の一実施形態によれば、第1のケーブルウィンチの保持ケーブルは、第1の方向に巻き、それは、第2のケーブルウィンチの作動ケーブルの第2の巻き方向とは反対向きであることが特に有利である。特に、保持ケーブルと作動ケーブルは、互いに反対の撚り方向、いわゆるケーブル撚りを有する。したがって、張力が加えられると、ケーブルには互いに逆向きのトルクが発生する。これにより、トルクの補償が容易になり、ケーブルグラブの位置を操作中に安定させる。
【0046】
本発明の更なる実施形態によれば、表示画面が操作用の制御装置に設けられることが特に有利である。この場合、表示画面は、特に、操作要素の少なくとも一部が機械オペレータ用に実装されるタッチスクリーンとして設計され得る。
【0047】
更に、ケーブルグラブの位置は、表示画面に様々な表現で表示されて、機械オペレータの作動を更に簡単にすることができる。
【0048】
グラブ装置は、特に様々な作業に使用され得る。好ましい方法の変形例では、土壌が除去され、特にトレンチが、ケーブルグラブを使用して地面に準備される。ケーブルグラブは、特にいわゆる地中連続壁グラブとして設計され得て、これにより、トレンチは、地面の封止壁及び/又は支持壁用に、例えば掘削ピットを包囲するために準備され得る。
【0049】
本発明は、図面に概略的に示される、好ましい例示的な実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。図面には以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図2】グラブバケットが閉じた状態の、
図1のグラブ装置のケーブルグラブの正面図である。
【
図3】グラブバケットが開いた状態の、
図2に対応するケーブルグラブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明によるグラブシステム10は、
図1に示すように、下部キャリッジ14としてキャタピラトラックを備えた移動式キャリア装置12を含む。運転室17を備えた上部キャリッジ16は、鉛直回転軸線の周りに回転するように下部キャリッジ14に取り付けられる。運転室17の内側には、機械オペレータ用の入力装置を含む制御装置がある。
【0052】
片持ちアーム18は、上部キャリッジ16に、水平軸線の周りに回動可能であるように連結される。片持ちアーム18のヘッド20では、保持ケーブル24が、偏向ローラによって導かれ、保持ケーブルの端部から、グラブフレーム32と複数の下部グラブバケット34とを有するケーブルグラブ30が吊り下げられる。保持ケーブル24は、キャリア装置12上の第1のケーブルウィンチ21によって作動されて、ケーブルグラブ30を昇降させ得る。加えて、キャリア装置12上に、作動ケーブル44用の第2のケーブルウィンチ22があり、作動ケーブル44も同様にヘッド20を介してケーブルグラブ30に導かれて、グラブフレーム32の下端にあるグラブバケット34を作動させる。
【0053】
本発明によるグラブ装置10の操作モードは、
図2及び
図3に関連して以下でより詳細に説明される。
【0054】
グラブバケット34を作動させるための作動装置40の作動スライド42は、グラブフレーム32の中央領域に取り付けられて、鉛直長手方向に変位する。保持ケーブル24の端部が作動スライド42の上端に取り付けられることで、ケーブルグラブ30は作動スライド42によって保持される。
【0055】
リンクロッド47を有するリンク機構46は、作動スライド42の下端に配置される。リンクロッド47は、1つの側で作動スライド42に回転可能に結合され、別の側でグラブバケット34の1つに回転可能に結合される。グラブバケット34自体は、ピボット支持具35によってグラブフレーム32の下端に回動可能に取り付けられる。グラブバケット34は、グラブフレーム32に対する作動スライド42の相対変位によって開閉され得る。作動スライド42の上方への相対変位により、リンクロッド47が上方に引かれ、ここで、
図3に明確に示されるように、グラブバケット34は、その回動軸35の周りを開位置まで回動される。
【0056】
作動スライド42の下で、プーリ装置50が作動ケーブル44用に設けられる。プーリ装置50は、作動スライド42に回転可能に取り付けられる少なくとも1つの上部ローラ52と、グラブフレーム32の下部領域に回転可能に取り付けられる少なくとも1つの下部ローラ54とを含む。作動ケーブル44は、ローラ52、54の周りにループとして配置され、上方から送り込まれて複数のループ56又は複数の引き締めを形成し、ここで作動ケーブル44の下端はグラブフレーム32に確実に接続される。したがって、作動スライド42は、作動ケーブル44によってグラブフレーム32に調整可能に接続されるか、又は結合される。
【0057】
図3に示されるような開位置から開始して、作動スライド42は、作動ケーブル44を第2のケーブルウィンチ22で上方に引っ張ることにより、プーリ装置50を使用して、グラブフレーム32に対して下方に引っ張られる。リンクロッド47は、増加された閉じる力を用いてグラブバケット34を下方に押し、ここでグラブバケット34は、ピボット支持具35の周りを、
図2に示すように閉位置に回動される。
【0058】
地面のトレンチで使用される場合、土壌物質は、作動ケーブル44にかかる張力と比較して高い閉じる力により、グラブバケット34の間に掴まれ、囲い込まれ得る。
【0059】
ケーブルグラブ30を地面のトレンチから引き出し、それを排出位置に移動させた後、作動ケーブル44にかかる張力は低減され得る。グラブフレーム32は、その重量によって作動スライド42に対して下方に移動し、その結果、
図3に示すように、グラブバケット34はリンクロッド47によって回動されてその開位置に戻される。
【0060】
記載されたこの配置は、単なる例であることを意図する。原理的には、同等のグラブバケットの作動を可能にする、異なるケーブルリンク及び異なるリンク機構を備えた他のプーリ配置もまた、選択され得る。
【0061】
グラブバケット34が満杯になると、上部キャリッジ16は、
図1に示す位置から排出位置まで、鉛直軸線の周りを約90°、自動的に旋回される。片持ちアーム18もまた、調整され得る。排出位置では、グラブバケット34は、ケーブルグラブ30が依然として振動している場合でさえ、開けられて土壌物質を排出する。ケーブルグラブ30はまた、その長手方向軸線の周りに回転されて、例えばトラックの荷台と位置合わせされ得る。その後、上部キャリッジ16は、
図1に示す位置へ、自動的に旋回されて戻され得る。
【0062】
そこから、ケーブルグラブ30は、グラブバケット34が開いた状態で地面のトレンチの中に降下されて、新たに土壌物質を掬い上げる。次に、グラブバケット34が閉じた状態で
図1に示す位置に引き戻され、再び空にされる。
【0063】
ケーブルグラブ30を作動させると、保持ケーブル24と作動ケーブル44との間の力と動作を調整する必要があり、特に、個々のケーブルのトルク、したがって、巻きケーブルのいわゆる撚り方向に起因する、吊り下げられたケーブルグラブ30のその長手方向軸線の周りのトルクを制御する必要がある。
【0064】
本発明によれば、例えばケーブルウィンチ21、22の上、又は片持ちアーム18のヘッド20上の偏向ローラの上に配置され得る適切な検出装置を使用して、保持ケーブル24及び作動ケーブル44にかかる力を検出する。好ましくはキャリア装置12の上の運転室17に配置される制御装置を用いて、ウィンチ21、22は、検出されたケーブル力に応じて制御され得て、長手方向軸線に対する振動動作の安定化、又はケーブルグラブ30のその長手方向軸線の周りの回転位置、又は機械オペレータが望む特定の回転のいずれかが達成される。機械オペレータは、所望の自動動作、位置安定化のための補償モード、又はケーブルグラブ30の所望の回転位置に関する入力に対して、適切な入力を制御装置に入力し得る。これに基づいて、上部キャリッジ16の制御装置は、片持ちアーム18又はケーブルウィンチ21、22を適宜制御して、ケーブルグラブ30の所望の位置決め及び開/閉をもたらし得る。単純な設計のケーブルグラブ30の制御は、このようにして、大幅に簡素化され、機械オペレータにとって容易になり得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア装
置とその上に配置されたケーブルグラ
ブとを備えるグラブ装置を操作するための方法であって、
前記ケーブルグラ
ブが、
保持ケーブ
ルによって前記キャリア装
置上に保持されるグラブフレー
ムと、
前記グラブフレー
ムの下端に取り付けられて、閉位置と開位置との間で回動できる、少なくとも2つのグラブバケッ
トと、
前記グラブバケッ
トを回動させるための作動ケーブ
ルを備えた作動装
置と、
を含み、
前記作動ケーブ
ルが、前記キャリア装
置から前記作動装
置まで導かれており、
前記キャリア装
置が、前記保持ケーブ
ル用の駆動される第1のケーブルウィン
チ及び前記作動ケーブ
ル用の駆動される第2のケーブルウィン
チを有し、
前記キャリア装
置が、下部キャリッ
ジ及び上部キャリッ
ジを有し、前記上部キャリッ
ジは、鉛直軸線の周りに回転するように前記下部キャリッ
ジに取り付けられ、かつ前記ケーブルグラ
ブが鉛直方向に調整可能に取り付けられる片持ちアー
ムを有し、
除去ステップにおいて、地面にトレンチを形成するために、前記ケーブルグラ
ブが前記グラブバケッ
トが開いた状態で前記保持ケーブ
ルによって地中に降下され、
前記グラブバケッ
トは閉じられて土壌物質を除去及び採取し、
前記ケーブルグラ
ブは、前記保持ケーブ
ル及び/又は前記作動ケーブ
ルによって前記地中から引き出されて、前記上部キャリッ
ジを回転させることによって、排出位置に旋回され、そこで前記グラブバケッ
トは開けられて、採取した前記土壌物質を排出し、
次に前記ケーブルグラ
ブを前記地面のトレンチの中に戻して、前記除去ステップを繰り返し、
前記上部キャリッ
ジの前記排出位置への回転、及び前記土壌物質を排出するための前記グラブバケッ
トの開閉、及び/又は前記上部キャリッ
ジを前記排出位置から前記地面のトレンチまで戻す回転を自動的に制御する制御装置が設けられることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記制御装置が、前記グラブバケッ
トを開き、その間、前記ケーブルグラ
ブは、前記上部キャリッ
ジの前記回転の結果として、依然として振動していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケーブルグラ
ブの前記地面のトレンチの中への導入、及び/又は前記ケーブルグラ
ブの前記地面のトレンチからの引抜きは、前記制御装置によって自動的に制御されることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御装置が、前記第1のケーブルウィン
チ及び前記第2のケーブルウィン
チに接続されて制御することを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記上部キャリッ
ジの回転の間に前記ケーブルグラ
ブの振動動作を検出するセンサ装置が設けられる請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記グラブバケッ
トは、振動している前記ケーブルグラ
ブが依然として鉛直位置から偏向された位置にあるときに、その位置で前記制御装置によって開けられることを特徴とする請求項
2に記載の方法。
【請求項7】
振動している前記ケーブルグラ
ブは、前記制御装置によって前記地面のトレンチの中に導入され、ここで前記振動動作が前記地面との接触によって減衰されることを特徴とする請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
キャリア装
置とその上に配置されたケーブルグラ
ブとを備えるグラブ装置であって、
前記ケーブルグラ
ブが、
保持ケーブ
ルによって前記キャリア装
置上に保持されるグラブフレー
ムと、
前記グラブフレー
ムの下端に取り付けられて、閉位置と開位置との間で回動できる、少なくとも2つのグラブバケッ
トと、
前記グラブバケッ
トを回動させるための作動ケーブ
ルを有する作動装
置と、
を含み、
前記作動ケーブ
ルが前記キャリア装
置から前記作動装
置まで導かれており、
前記キャリア装
置は、前記保持ケーブ
ル用の駆動される第1のケーブルウィン
チ及び前記作動ケーブ
ル用の駆動される第2のケーブルウィン
チを有し、
前記キャリア装
置が、下部キャリッ
ジ、及び上部キャリッ
ジを有し、前記上部キャリッ
ジは、鉛直軸線の周りに回転するように前記下部キャリッジに取り付けられ、かつ前記ケーブルグラ
ブが鉛直方向に調整可能に吊り下げられる片持ちアー
ムを有し、
前記上部キャリッ
ジの排出位置への回転、及び土壌物質を排出するための前記グラブバケッ
トの開閉、並びに/又は前記上部キャリッ
ジを前記排出位置から前記地面のトレンチまで戻す回転を自動的に制御するように設計された制御装置が設けられ、
前記グラブバケッ
トの開閉は、好ましくは自動的に実行されることを特徴とする、
グラブ装置。
【請求項9】
請求項
1に記載の前記方法を実行するように設計されていることを特徴とする請求項8に記載のグラブ装置。
【請求項10】
前記保持ケーブ
ル上の第1のケーブル力を検出する第1の検出装置と、前記作動ケーブ
ル上の第2のケーブル力を検出する第2の検出装置とが設けられ、
前記制御装置が前記第1の検出装置、前記第2の検出装置、前記第1のケーブルウィン
チ、及び前記第2のケーブルウィン
チに接続され、前記第1のケーブルウィン
チ及び/又は前記第2のケーブルウィン
チを、前記保持ケーブ
ル上の検出された前記第1のケーブル力と前記作動ケーブ
ル上の検出された前記第2のケーブル力に応じて、制御プログラム仕様に従って制御するように設計されていることを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記
第1および第2のケーブルウィン
チが、前記保持ケーブ
ル上の前記第1のケーブル力と前記作動ケーブ
ル上の前記
第1および第2のケーブル力を互いに一致させるように制御される補償モードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項
10に記載のグラブ装置。
【請求項12】
前記制御装置が、前記
第1および第2のケーブルウィン
チが鉛直長手方向軸線の周りの前記ケーブルグラ
ブの意図的な回転を生じさせ得るように制御される回転モードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項13】
前記ケーブルグラ
ブの回転位置及び/又は前記回転位置の変化を検出するための少なくとも1つの第3の検出装置が設けられていることを特徴とす
る請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項14】
特に前記ケーブルグラ
ブの鉛直位置、前記キャリア装
置に対する前記ケーブルグラ
ブの距離及び/又は角度位置を検出するための、少なくとも1つの更なる検出装置が設けられていることを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項15】
前記第1のケーブルウィン
チ上の前記保持ケーブ
ルは、前記第2のケーブルウィン
チ上の前記作動ケーブ
ルの第2の撚り方向とは反対方向である、第1の撚り方向を有することを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記グラブバケッ
トを所定の高さで開く及び/又は閉じるモードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項17】
前記ケーブルグラ
ブは、前記グラブバケッ
トが閉じた状態で、前記作動ケーブ
ル及び前記保持ケーブ
ルから自由に吊り下げて保持され得て、ここで前記作動ケーブ
ルと前記保持ケーブ
ルにかかる前記ケーブル力が、ほぼ同じであり、好ましくは、適切には約+/-1tであることを特徴とする請求項
10に記載のグラブ装置。
【請求項18】
前記ケーブルグラブは、前記グラブバケットが開いた状態で、前記作動ケーブル及び前記保持ケーブルから自由に吊り下げて保持され得て、ここで前記保持ケーブルにかかる前記ケーブル力はほぼグラブ全体の重量に相当し、前記作動ケーブルにかかる前記ケーブル力は約1t~2tの適切な範囲にあることを特徴とする請求項
10に記載のグラブ装置。
【請求項19】
前記制御装置は、前記グラブバケッ
トを自動的に開き、その直後に閉じるモードを備えるよう設計されていることを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【請求項20】
前記グラブバケットの開度は、前記制御装置によって検出され得て、前記開度はオペレータに向けて表示されることを特徴とする請求項
8に記載のグラブ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】