(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】双方向スイッチ付き構成可能バイアス電源
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240808BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240808BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20240808BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/50
C23C16/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508922
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022040046
(87)【国際公開番号】W WO2023018862
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519027693
【氏名又は名称】エーイーエス グローバル ホールディングス, プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヒエン ミン グエン
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
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4K030CA04
4K030CA12
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4K030KA20
4K030KA41
5F004AA16
5F004BA04
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5F045EM05
(57)【要約】
バイアス電源、プラズマ処理システム、および関連する方法が開示される。1つのバイアス電源は、電流の双方向制御を可能にするように構成されている双方向スイッチを備えている。コントローラは、全電流サイクルにわたり双方向スイッチを通しての電流の方向を制御するように構成されており、全電流サイクルは、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備え、前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れはゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少してゼロに戻る。後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れはゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少してゼロ電流に戻り、出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こす。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的電圧を印加するバイアス電源であって、
出力ノードと、
リターンノードと、
双方向スイッチであって、前記双方向スイッチの第1ノードと、前記双方向スイッチの第2ノードとの間の電流の双方向制御を可能にするように構成されている前記双方向スイッチと、
前記出力ノード、前記リターンノード、および前記双方向スイッチの前記第1と前記第2ノードに結合されている電力部と、
全電流サイクルにわたり前記双方向スイッチを通しての電流の方向を制御するように構成されているコントローラであって、前記全電流サイクルは、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備え、前記前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、前記正の電流の流れは、時刻t
0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
1においてゼロに戻り、前記後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、前記負の電流の流れは、時刻t
2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
3においてゼロ電流に戻り、前記出力ノードと前記リターンノードとの間の前記周期的電圧の印加を引き起こす前記コントローラを備えていることを特徴とするバイアス電源。
【請求項2】
前記電力部は、
前記双方向スイッチの前記第1ノードと前記出力ノードとの間に結合されている第1インダクタと、
前記出力ノードに結合されている第2インダクタの第1ノードと、
前記第2インダクタの第2ノードと前記リターンノードに結合されている電圧源を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電源。
【請求項3】
前記コントローラは、平均電力の制御を可能にするために、t
1とt
2との間のデッドタイムの制御を可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電源。
【請求項4】
前記双方向スイッチは、
第1ダイオードに結合されている第1スイッチと、
第2ダイオードに結合されている第2スイッチを備え、
前記コントローラは、
前記第1スイッチと前記第1ダイオードを通しての前記正の電流の流れが、前記前半電流サイクルを完了することを可能にするために、前記時刻t
0において前記第1スイッチを閉じ、
前記第2スイッチと前記第2ダイオードを通しての前記負の電流の流れが、前記後半電流サイクルを完了することを可能にするために、前記第1スイッチを開き、そして前記第2スイッチを閉じるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電源。
【請求項5】
前記コントローラは、平均電力の制御を可能にするために、t
1とt
2との間のデッドタイムの制御を可能にするように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のバイアス電源。
【請求項6】
前記第2インダクタの前記第2ノードは、前記リターンノードに結合されていることを特徴とする請求項2に記載のバイアス電源。
【請求項7】
前記電圧源は、前記バイアス電源における唯一の電圧源であることを特徴とする請求項2に記載のバイアス電源。
【請求項8】
第2電圧源を備え、
前記電圧源は、前記第2電圧源を介して前記双方向スイッチの前記第2ノードに結合されていることを特徴とする請求項2に記載のバイアス電源。
【請求項9】
前記第1インダクタの少なくとも一部は、前記双方向スイッチの内部に位置していることを特徴とする請求項2に記載のバイアス電源。
【請求項10】
前記電力部は、
変圧器であって、前記変圧器の一次巻線の第1ノードは前記双方向スイッチの第1ノードに結合され、前記変圧器の二次巻線の第1ノードは前記出力ノードに結合され、前記変圧器の前記二次巻線の前記第2ノードは前記リターンノードに結合されている前記変圧器と、
前記双方向スイッチの第2ノードと前記変圧器の前記一次巻線の第2ノードとの間に結合されている電圧源を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電源。
【請求項11】
オフセット電圧源を備え、
前記変圧器の前記二次巻線の第2ノードは、前記オフセット電圧源を介して前記リターンノードに結合されていることを特徴とする請求項10に記載のバイアス電源。
【請求項12】
プラズマ処理システムであって、
プラズマ室と、
バイアス電源を備え、
前記プラズマ室は、
プラズマを含んでいる容積と
入力ノードと、
リターンノードを含み、
前記バイアス電源は、
双方向スイッチの第1ノードと、前記双方向スイッチの第2ノードとの間の電流の双方向制御を可能にする前記双方向スイッチと、
前半電流サイクルと後半電流サイクルを備える全電流サイクルにわたり、前記双方向スイッチを通しての電流を提供および制御する手段と含み、前記前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、前記正の電流の流れは、時刻t
0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
1においてゼロに戻り、前記後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、前記負の電流の流れは、時刻t
2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
3においてゼロ電流に戻り、前記入力ノードと前記リターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こすことを特徴とするプラズマ処理システム。
【請求項13】
平均電力を調整するために、t
1とt
2との間の時間を調整する手段を備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
イオンエネルギーを調整するための調整可能電圧源を備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記全電流サイクル間の時間、半電流サイクル間の時間、または、イオンエネルギーの広がりを調整するための前記周期的電圧の基本周期の少なくとも1つを調整する手段を備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
バイアス電源の双方向スイッチを制御するためのプロセッサ読み取り可能命令で符号化されている非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体であって、前記命令は、
前記双方向スイッチを通して電流を提供し、
前記バイアス電源の出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こすために、全電流サイクルにわたり、前記双方向スイッチを通して前記電流を制御するための命令を備えており、前記全電流サイクルは前半電流サイクルと後半電流サイクルを備え、前記前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、前記正の電流の流れは、時刻t
0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
1においてゼロに戻り、前記後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、前記負の電流の流れは、時刻t
2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
3においてゼロ電流に戻ることを特徴とする非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体。
【請求項17】
イオンエネルギーを調整するために、前記バイアス電源の調整可能電圧源を制御するための命令を備えていることを特徴とする請求項16に記載の非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体。
【請求項18】
前記全電流サイクル間の時間、半電流サイクル間の時間、または、イオンエネルギーの広がりを調整するための前記周期的電圧の基本周期の少なくとも1つを調整するための命令を備えていることを特徴とする請求項16に記載の非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に電源に関し、より具体的には、プラズマ処理のための電圧を印加するための電源に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類の半導体装置が、プラズマに基づくエッチング技術を使用して製造されている。エッチング対象が導体の場合、基板導体の表面全体にわたり実質的に一様な負電圧を作成するように、接地に対して負の電圧を導体基板に印加することができ、それにより正に帯電したイオンを導体に向けて引き付け、結果として、導体に衝突する正イオンは実質的に同じエネルギーを有する。
【0003】
しかし基板が誘電体の場合、不変電圧は、基板の表面全体にわたり電圧を印加するためには無効である。しかし、交流(AC)場が基板の表面に電圧を誘導するように、AC電圧(例えば、高周波数ACまたは無線周波数(RF))を導体プレート(またはチャック)に印加できる。ACサイクルの正のピークの間、基板は、陽イオンの質量に対して軽い電子を引き付け、そのため、サイクルの正のピークの間に基板の表面に多くの電子が引き付けられる。結果として、基板の表面は負に帯電し、それによりイオンは、ACサイクルの残りの間に負に帯電した表面に向けて引き付ける。そしてイオンが基板の表面に衝突すると、その衝撃で基板の表面から材料が取り除かれ、エッチングが実現される。
【0004】
多くの場合、狭い(または、具体的には調整可能な)イオンエネルギー分布を有することは望ましいことであるが、正弦波形を基板に印加することによりイオンエネルギーの広い分布が誘導され、それは、プラズマプロセスの所望のエッチングプロファイルを実行する能力を制限してしまう。狭いイオンエネルギー分布を達成するための既知の技術は高価であり、非効率であり、制御が難しく、および/または、プラズマ密度に悪影響を与える可能性がある。結果として、これらの既知の技術の多くは商業的には採用されていない。従って、現在の技術の欠点に対処し、他の新しい、革新的な特徴を提供するためにシステムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
ある態様は周期的電圧を印加するバイアス電源として特徴付けることができ、バイアス電源は、出力ノード、リターンノード、および、双方向スイッチの第1ノードと、双方向スイッチの第2ノードとの間の電流の双方向制御を可能にするように構成されている双方向スイッチを備えている。電力部は、出力ノード、リターンノード、および双方向スイッチの第1と第2ノードに結合され、コントローラは、全電流サイクルにわたり双方向スイッチを通しての電流の方向を制御するように構成されている。全電流サイクルは、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備え、前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れは、時刻t0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t1においてゼロに戻る。後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れは、時刻t2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t3においてゼロ電流に戻り、出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こす。
【0006】
更に他の態様はプラズマ処理システムとして特徴付けることができ、プラズマ処理システムは、プラズマを含む容積、入力ノード、およびリターンノードを含むプラズマ室を備えている。プラズマ処理システムはまた、双方向スイッチの第1ノードと双方向スイッチの第2ノードとの間の電流の双方向制御を可能にするように構成されている双方向スイッチを備えている。加えて、プラズマ処理システムは、全電流サイクルにわたり双方向スイッチを通しての電流を提供および制御するために手段を備えている。全電流サイクルは、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備えている。前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れは、時刻t0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t1においてゼロに戻り、後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れは、時刻t2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t3においてゼロ電流に戻り、出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こす。
【0007】
ここにおいて開示される他の態様は、非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体であり、バイアス電源の双方向スイッチを制御するためのプロセッサ読み取り可能命令で符号化されている。命令は、双方向スイッチを通して電流を提供し、全電流サイクルにわたり双方向スイッチを通しての電流を制御して、バイアス電源の出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こす命令を備えている。全電流サイクルは、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備えている。前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れは、時刻t0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t1においてゼロに戻る。後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れは、時刻t2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t3においてゼロ電流に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ここにおいて開示されているバイアス電源を利用できる、例としてのプラズマ処理環境を示しているブロック図である。
【0009】
【
図2】
図2は、例としてのバイアス電源を示している模式図である。
【0010】
【
図3】
図3は、プラズマ処理室の態様を電気的に表している模式図である。
【0011】
【0012】
【
図5】
図5は、
図4A、4B、4C、および4Dにおいて示されているバイアス電源と関連して実践できる方法を示しているフローチャートである。
【0013】
【
図6A】
図6Aは、
図2において示されているバイアス電源として実現できるバイアス電源の追加的例を示している。
【
図6B】
図6Bは、
図2において示されているバイアス電源として実現できるバイアス電源の追加的例を示している。
【
図6C】
図6Cは、
図2において示されているバイアス電源として実現できるバイアス電源の追加的例を示している。
【
図6D】
図6Dは、
図2において示されているバイアス電源として実現できるバイアス電源の追加的例を示している。
【0014】
【
図7】
図7は、
図6A、6B、6C、および6Dにおいて示されているバイアス電源と関連して実践できる方法を示しているフローチャートである。
【0015】
【
図8A】
図8Aは、
図2、4A、4B、4C、4D、6A、6B、6C、および6Dにおいて示されている双方向スイッチの例を示している。
【
図8B】
図8Bは、
図2、4A、4B、4C、4D、6A、6B、6C、および6Dにおいて示されている双方向スイッチの例を示している。
【
図8C】
図8Cは、
図2、4A、4B、4C、4D、6A、6B、6C、および6Dにおいて示されている双方向スイッチの例を示している。
【0016】
【
図9A】
図9Aは、
図3におけるプラズマ処理室と共に操作されるときの、ここにおいて記述されているバイアス電源の電気的態様のタイミングを示しているタイミング図である。
【
図9B】
図9Bは、
図3におけるプラズマ処理室と共に操作されるときの、ここにおいて記述されているバイアス電源の電気的態様のタイミングを示しているタイミング図である。
【
図9C】
図9Cは、
図3におけるプラズマ処理室と共に操作されるときの、ここにおいて記述されているバイアス電源の電気的態様のタイミングを示しているタイミング図である。
【
図9D】
図9Dは、
図3におけるプラズマ処理室と共に操作されるときの、ここにおいて記述されているバイアス電源の電気的態様のタイミングを示しているタイミング図である。
【0017】
【
図10A】
図10Aは、周期的電圧波形および各波形と関連付けられている電力の種々の例を示しているグラフを備えている。
【0018】
【
図10B】
図10Bは、
図10Aにおいて示されている周期的電圧波形のそれぞれにより生成され得るシース電圧を示しているグラフである。
【0019】
【
図11A】
図11Aは、周期的電圧波形および各波形と関連付けられている電力の種々の他の例を示しているグラフを備えている。
【0020】
【
図11B】
図11Bは、
図11Aにおいて示されている周期的電圧波形のそれぞれにより生成され得るシース電圧を示しているグラフである。
【0021】
【
図12A】
図12Aは、シース電圧対時間および結果としてのイオンフラックス対イオンエネルギーのグラフ図である。
【0022】
【0023】
【
図13A】
図13Aは、他のシース電圧および結果としてのイオンフラックス対イオンエネルギーを示している。
【0024】
【0025】
【
図14】
図14は、制御システムの態様を示しているブロック図である。
【0026】
【
図15】
図15は、ここにおいて開示されている制御態様を実現するために利用できる構成要素を示しているブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
「例としての」という用語はここにおいては、「例として、実例として、または例示としての目的を果たしている」ということを意味するために使用されている。ここにおいて「例として」記述されている如何なる実施形態も、他の実施形態よりも必ずしも好適または有利であるとは解釈されるべきではない。
【0028】
予備的注記。下記の図におけるフローチャートおよびブロック図は、種々の実施形態に係わるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実現形態のアーキテクチャ、機能、および動作を例示している。この点に関して、これらのフローチャートまたはブロック図における幾つかのブロックは、特定の論理機能を実現するための1つ以上の実行可能命令を備えているモジュール、セグメント、またはコードの部分を表すことができる。幾つかの代替の実現形態においては、ブロックにおいて記述されている機能は、図において記述されている順序以外で起こり得るということにも留意すべきである。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際は、実質的に同時に実行でき、または、ブロックは、関与する機能によっては、逆の順序で実行できることもある。ブロック図および/またはフローチャートの例示の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャートの例示におけるブロックの組み合せは、特定の機能または動作を実行する特殊目的ハードウェアに基づくシステム、または、特殊目的ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合せにより実現可能であるということにも気付くであろう。
【0029】
この開示の目的のために、ソースジェネレータは、そのエネルギーが主にプラズマを生成および維持するために向けられるものであり、一方、「バイアス電源」は、そのエネルギーが主に、プラズマからイオンおよび電子を引き付けるための表面電位を生成するために向けられている。
【0030】
ここにおいて記述されているのは、周期的電圧関数を、プラズマ処理室における基板支持体に印加するために使用できる新しいバイアス電源の幾つかの実施形態である。
【0031】
まず
図1を参照すると、バイアス電源を利用できる、例としてのプラズマ処理システム(例えば、堆積またはエッチングシステム)が示されている。プラズマ処理環境は、プラズマ処理室101に直接または間接的に結合されている多数の機器を含むことができ、機器内においては、プラズマ102を含んでいる容積、加工品103(例えば、ウェーファー)、および電極104(これは、基板支持体に埋め込むことができる)が含まれている。機器は、真空取扱いおよび気体送出機器(図示されていない)、1つ以上のバイアス電源108、1つ以上のソースジェネレータ112、および1つ以上のソースマッチングネットワーク113を含むことができる。多くの適用においては、単一のソースジェネレータ112からの電力は、1つまたは複数のソース電極105に接続される。ソースジェネレータ112は、より高い周波数RFジェネレータであってよい(例えば、13.56MHz~120MHz)。電極105は、誘導結合プラズマ(ICP)ソース、他のRF周波数でバイアスされた二次上部電極を有するデュアル容量結像プラズマソース(CCP)、ヘリコンプラズマソース、マイクロ波プラズマソース、マグネトロン、または、プラズマエネルギーの何らかの他の独立に操作されるソースで実現されるもの全体を表している。
【0032】
図1において示されているシステムの変形例においては、ソースジェネレータ112およびソースマッチングネットワーク113は、リモートプラズマソースと置換でき、またはそれにより増強できる。そして、システムの他の変形例は、単一のバイアス電源108のみを含むことができる。
【0033】
下記の開示は、全体的にはプラズマに基づくウェーファー処理に言及しているが、実現形態は、プラズマ室内の任意の基板処理を含むことができる。幾つかの例においては、基板以外の対象物を、ここにおいて開示されているシステム、方法、および装置を使用して処理できる。言い換えると、本開示は、物理的または化学的手段により、表面の変化、表面下の変化、堆積、または除去に影響を及ぼすために、大気圧以下のプラズマ処理室内の任意の対象物のプラズマ処理に適用される。
【0034】
図2を参照すると、
図1を参照して記述されたバイアス電源108を実現するために利用できる、例としてのバイアス電源208が示されている。バイアス電源208は全体的に、周期的電圧関数を印加するための、
図4A、4B、4C、4D、6A、6B、6C,および6Dを参照してここにおいて更に記述されるバイアス電源の多数の変形例を表している。そのため、バイアス電源208に対する言及は一般的には、
図2において示されているバイアス電源208、およびここにおいて更に記述されるバイアス電源408A~408Hおよび608A~608Dを指している。示されているように、バイアス電源208は、出力210(出力ノード210とも称される)、リターンノード212、双方向スイッチ220、および電力部230を含んでいる。一般的にバイアス電源208は、出力ノードとリターンノード212との間の周期電圧関数を印加するために機能する。出力ノード210を通して負荷に送出された電流は、負荷に対して共通であってよいリターンノード212を通してバイアス電源208に戻される。
【0035】
一般的に双方向スイッチは、双方向スイッチの第1ノードと、双方向スイッチの第2ノードとの間の電流の双方向制御を可能にする。多くの実現形態においては、双方向スイッチ220は2端子能動スイッチであり、双方向電流の流れを、それがオン状態のときにサポートでき、それがオフ状態になると、双方向電圧ブロッキングをサポートできる。言い換えると、双方向スイッチ220は、正または負のON状態電流を伝導でき、正または負のOFF状態電圧をブロックできる4象限スイッチである。双方向スイッチ220の例は、
図8A、8B、および8Cを参照してここにおいて更に提供される。
【0036】
ここにおいて更に記述されるように、電力部230は、1つ以上の電圧源および誘導要素の組合せを含むことができ、双方向スイッチ220は、電力部230と相互動作するように構成されているスイッチを含むことができる。明確性および簡潔性のために
図2においては示されていないが、バイアス電源208は、双方向スイッチ220および/または電力部230に結合されているコントローラに結合でき、および/または、そのコントローラを含むことができる。ここにおいて開示されている多くの実現形態においては、コントローラは、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備えている全電流サイクルにわたり、双方向スイッチを通しての電流の方向を制御するように構成されている。前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れは、ゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少してゼロに戻る。後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れは、ゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少してゼロ電流に戻り、出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こす。
【0037】
図3を簡単に参照すると、プラズマ処理室101内のプラズマ負荷の態様を電気的に示している模式図が示されている。示されているように、プラズマ処理室101は、プラズマ処理室101への入力ノード310(入力ノード310とも称される)と、加工品103(基板103とも称される)の表面におけるシース電圧Vsを表しているノードとの間に位置しているチャック容量C
ch(チャックおよび加工品103の容量を含んでいる)により表すことができる。加えて、リターンノード312(接地への接続であってよい)が示されている。処理室におけるプラズマ102は、シース容量C
s、ダイオード、および電流源の並列組み合わせにより表されている。ダイオードは、非線形な、直流(DC)電圧降下が加工品103とプラズマ102との間に現れるような、印加されたAC場の整流という結果になるプラズマシースのダイオードに類似の性質を表している。
【0038】
図4A、4B,4C、および4Dを参照すると、バイアス電源208を実現するためにそれぞれを利用できるバイアス電源408A、408B、408C、および408Dが示されており、そのため、バイアス電源408A~408Dは、
図1において示されているバイアス電源108として利用できる。示されているように、バイアス電源408A~408Dのそれぞれは、双方向スイッチ220および、多様なトポロジーで配置されている1つ以上の電圧源とインダクタを備えている。
【0039】
図4A~4Dを参照している間に、ここにおいて開示されている実施形態と関連して実践できる方法を示しているフローチャートである
図5を同時に参照する。加えて、バイアス電源208の動作と関連付けられている電圧と電流と示しているグラフの集合をそれぞれが含んでいる
図9A~9Dも参照する。示されているように、双方向スイッチ220の第1ノード422は、第1インダクタL1を介してバイアス電源208の出力210に結合されており(ブロック502)、第2インダクタLbの第1ノード424は、第1インダクタL1の第1ノード426、または第1インダクタL1の第2ノード428に結合されている(ブロック504)。
図4A、4C、および4Dのバイアス電源408A、408C、および408Dにおいてはそれぞれ、第2インダクタLbの第1ノード424は、第1インダクタL1の第2ノード428に結合されている。そして、
図4Bのバイアス電源408Bにおいては、第2インダクタLbの第1ノード424は、第1インダクタL1の第1ノード426に結合されている。
図4Cおよび4Dに示されている実現形態の他の変形例においては、第2インダクタLbの第1ノード424は、第1インダクタL1の第1ノード426に結合できるということを認識すべきである。
【0040】
加えて、電圧源Vbは、第2インダクタLbの第2ノード432と、双方向スイッチ220の第2ノード430との間に接続されている(ブロック506)。そして、電圧源Vbの負端子434または電圧源Vbの正端子436の何れかはリターンノード212に結合されている(ブロック508)。
図4A、4B、および4Dにおいては、電圧源Vbの正端子436はリターンノード212に結合され、
図4Cにおいては、電圧源Vbの負端子434はリターンノード212に結合されている。電圧源Vbは、この技術における技量を有する者には知られている調整可能電圧源であり、ここにおいて更に検討されるように、イオンエネルギーを制御するために調整できる。
【0041】
例としてのバイアス電源408Dにおいては、プラズマ処理室101内の静電チャックにより印加されるチャッキング力を調整するために使用できる、DC補償電圧を付加する追加的オフセット電圧源Vb2がある。動作の幾つかのモードにおいては、Vb1とVb2により印加される電圧の合計は、Vb1により印加された電圧が、Vb2により印加された電圧が増大するときに減少するように、一定の値に設定される。
【0042】
図5および
図9A~9Dにおいて示されているように、双方向スイッチ220を通しての電流i
switchの方向は制御され、出力ノード210とリターンノード212との間の周期的電圧の印加を引き起こすために、電圧源Vbにより電圧が、インダクタLbを介して出力ノード210に印加される(ブロック510)。より具体的には、双方向スイッチ220を通しての電流i
switchは、前半電流サイクルと、後半電流サイクルを備えている全電流サイクルにわたり制御される。前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れは、時刻t
0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
1においてゼロに戻り、後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れは、時刻t
2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t
3においてゼロ電流に戻る。
図9A~9Dにおいて示されているように、時刻t
3の後、i
switchは実質的にゼロであり、電源電圧Vb(インダクタLbを介して出力ノード210に印加される)は出力を放電し、出力ノード210においてt
3とt
4との間に周期的電圧Voの線形傾斜部を作成し、それは加工品103のバイアスに影響を与える。
図9A~9Dにおいてt
3とt
4との間の実質的に一定のシース電圧Vsにより示されているように、線形傾斜部は、加工品103の負のバイアスを維持できる。t
4において、周期的電圧Voのサイクルは、双方向スイッチが、双方向スイッチ220を通しての電流i
switchが再び流れるのを可能にするように制御されると反復を再び開始する。
【0043】
加えて、電圧源Vbの電圧および/または双方向スイッチ220の導通のタイミングは、プラズマ負荷の電極104の所望される波形を達成するために制御でき、従って、加工品103の表面におけるシース電圧Vsを達成するために制御できる(ブロック512)。例えば、
図9A~11Bを参照してここにおいて更に検討されるように、双方向スイッチ220の導通のタイミングは、デッドタイムt
rampおよび/またはt
0とt
4との間の出力周期を調整するために制御できる。
【0044】
次に
図6Aを参照すると、バイアス電源208を実現するために使用できる、他の例としてのバイアス電源608Aが示されている。示されているように、変圧器644が、バイアス電源の出力ノード210に電力を印加するために使用される。変圧器644は、一次巻線(LlpとLpにより表されている)と二次巻線(LlsとLsにより表されている)を含んでいる。変圧器644の一次巻線の第1ノード680は、双方向スイッチ220の第1ノード422に結合されている。変圧器644の二次巻線の第1ノード682は、出力ノード210に結合されている。そして、変圧器644の二次巻線の第2ノード684は変圧器644の二次側のリターンノード612に結合されている。電圧源Vbは、双方向スイッチ220の第2ノード430と変圧器644の一次巻線の第2ノード686との間に結合されている。
【0045】
図6Bを参照すると、周期的電圧関数を印加する他の例としてのバイアス電源608Bが示されている。示されているように、バイアス電源608Bは、電圧源Vbの負端子434がリターンノード212に接続され、電圧源Vbの正端子436が双方向スイッチ220の第2ノード430に接続されていることを除き、バイアス電源608Aと同じである。
【0046】
図6Cおよび6Dに示されているバイアス電源608Cおよび608Dはそれぞれ、オフセット電圧源Voffsetが、変圧器644の二次巻線の第2ノード684とリターンノード212との間に結合されていることを除き、
図6Aおよび6Bに示されているバイアス電源608Aおよび608Bと同じである。より具体的には、オフセット電圧源Voffsetの正端子はリターンノード212に結合され、負端子オフセット電圧源Voffsetは、変圧器644の第2ノード684に結合されている。
【0047】
図7は、バイアス電源608A、608B、608C、および608Dと関連して実践できる方法を示している他のフローチャートである。
図7を参照しながら、
図6A~6Cおよび
図9A~9Dを同時に参照する。示されているように、方法は、変圧器644の一次巻線の第1ノード680を、双方向スイッチ220の第1ノード422に結合することと、変圧器644の二次巻線の第1ノードを出力ノード210に結合することを含んでいる(ブロック711)。加えて、方法は、双方向スイッチの第2ノード430と、変圧器644の一次巻線の第2ノード686との間に電圧源Vbを結合することを含んでいる(ブロック721)。
【0048】
動作においては、双方向スイッチ220を通しての電流の方向は、前半電流サイクルと後半電流サイクルを備えている全電流サイクルにわたり制御される。前半電流サイクルは正の電流の流れを備え、この正の電流の流れは、時刻t0におけるゼロ電流から開始して、正のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t1においてゼロに戻り、後半電流サイクルは負の電流の流れを備え、この負の電流の流れは、時刻t2におけるゼロ電流から開始して、負のピーク値まで増大し、そして減少して時刻t3においてゼロ電流に戻り、出力ノードとリターンノードとの間の周期的電圧の印加を引き起こす(ブロック731)。加えて、電圧源Vbの電圧、および/または、双方向スイッチ220の導通のタイミングは、プラズマ負荷の電極104の所望の波形を達成するために制御でき、そのため、加工品103の表面における電圧Vsを達成するために制御できる(ブロック741)。
【0049】
次に
図8A~8Cを参照すると、上記の双方向スイッチ220を実現するために使用できる双方向スイッチ820A、820B、および820Cの例が示されている。示されているように、双方向スイッチ820A、820B、および820Cのそれぞれは、第1ドライバ842Aおよび第2ドライバ842Bをそれぞれ介して、第1スイッチS1および第2スイッチS2に結合されているコントローラ840を備えている。示されているように、第1ドライバ842Aは、第1駆動信号線844Aを介して第1スイッチS1に結合され、第2ドライバ842Bは、第2駆動信号線844Bを介して第2スイッチS2に結合されている。加えて、双方向スイッチ820A、820B、および820Cのそれぞれは、第1スイッチS1が閉じられたときに導通するように配置且つ構成されている第1ダイオードD1、および、第2スイッチS2が閉じられたときに導通するように配置且つ構成されている第2ダイオードD2を備えている。
【0050】
多くの実現形態においては、第1スイッチS1および/または第2スイッチS2は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのような電界効果スイッチにより実現され、幾つかの実現形態においては、第1スイッチS1および第2スイッチS2は、シリコンカーバイド金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(SiCMOSFET)、または窒化ガリウム金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(GaNMOSFET)により実現される。他の例として、第1スイッチS1および/または第2スイッチS2は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)により実現できる。これらの実現形態においては、第1ドライバ842Aおよび第2ドライバ842Bは、この技術においては知られている電気ドライバであってよく、コントローラ840からの信号に応答して、第1スイッチS1および第2スイッチS2に電力信号を印加するように構成されている。コントローラ840は、第1ドライバ842Aおよび第2ドライバ842Bを省略できるように、十分なレベルの電力を印加することができるということも考えられる。第1駆動信号線844Aおよび第2駆動信号線844Bは、光学スイッチ信号を伝達するための光回線であってよいということも考えられる。そして、第1スイッチS1および第2スイッチS2は、光信号、および/または、電気駆動信号に変換された光信号に応答して切り替わることができる。
【0051】
コントローラ840は、双方向スイッチ820A、820B、および820Cの一部として示されているが、そうする必要はなく、コントローラ840は、双方向スイッチ820A、820B、および820Cの外部であってよく、および/または、コントローラ840は、その一部が双方向スイッチ820A、820B、および820Cの一部として実現され、コントローラ840の1つ以上の他の部分は、バイアス電源208内、および/またはバイアス電源208の外部において実現されるように分散することができるということは認識されるべきである。
【0052】
図8Aにおいて示されている変形例においては、第2ダイオードD2は第1スイッチS1と平行に配置され、第1ダイオードD1は第2スイッチS2と平行に配置されている。この配置においては、第1ダイオードD1のカソードは第2ダイオードD2のカソードに共通接続850において結合され、第1スイッチS1および第2スイッチS2は、第1スイッチS1と第2ダイオードD2の両者がそれぞれ、共通接続850と、双方向スイッチ820Aの第1ノード422との間に位置し、第2スイッチS2と第1ダイオードD1がそれぞれ、共通接続850と、双方向スイッチ820Aの第2ノード430との間に位置するように共通接続850において結合されている。
図8AにおけるS1とD2の組み合せは、D1とD2がそれぞれのアノードで接続されるようにS2とD1の組み合わせと交換できるということは認識されるべきである。
図8Aの実現形態においては、第1ダイオードD1は第2スイッチS2のボディダイオードであってよく、第2ダイオードD2は第1スイッチS1のボディダイオードであってよい。
【0053】
図8Bにおいて示されている変形例においては、第1スイッチS1と第1ダイオードD1の直列組み合わせは、双方向スイッチ820Bの第1ノード422と双方向スイッチ820Bの第2ノードとの間において配置されている。加えて、第2スイッチS2と第2ダイオードD2の直列組み合わせは、双方向スイッチ820Bの第1ノード422と双方向スイッチ820Bの第2ノードとの間において配置されている。
図8Bにおいて示されているように、第1ダイオードD1は、第1スイッチS1と、双方向スイッチ820Bの第1ノード422との間において配置されており、そのアノードは第1スイッチS1に結合され、そのカソードは双方向スイッチ820Bの第1ノード422に結合されている。第2ダイオードD2は、第2スイッチS2と、双方向スイッチ820Bの第1ノード422との間において配置されており、そのカソードは第2スイッチS2に結合され、そのアノードは双方向スイッチ820Bの第1ノード422に結合されている。この配置においては、第1ダイオードD1のカソードは、双方向スイッチ820Bの第1ノード422において第2ダイオードD2のアノードに結合されている。示されてはいないが、第1スイッチS1の位置、および第1ダイオードD1の位置は交換できるということは認識されるべきである。同様に、第2スイッチS2の位置、および第2ダイオードD2の位置は交換できる。
【0054】
図8Cの双方向スイッチ820Cは、双方向スイッチ820CがインダクタL1(第1ダイオードD1と双方向スイッチ820Cの第1ノード422との間に位置している)の少なくとも一部と、第2ダイオードD2と双方向スイッチ820Cの第1ノード422との間に位置している第2インダクタL2の少なくとも一部を含んでいることを除き
図8Bの双方向スイッチ820Bと同じである。
図8Cにおいて示されているインダクタL1は、
図4A~4Dにおいて示されているインダクタL1を増強またはそれと取って代わることができる。そして、
図8Cにおいて示されているインダクタL2は、
図4A~4Dにおいて示されているインダクタL2を増強またはそれと取って代わることができる。
【0055】
図8A、8B、および8Cを参照しながら、バイアス電源208とプラズマ処理室101の電気的態様を示している波形を例示している
図9を同時に参照する。
図9においては、第1スイッチS1と第2スイッチS2のスイッチングシーケンス、双方向スイッチ220を通しての電流I
switch、第2インダクタを通しての電流i
Lb、バイアス電源208の出力ノード210における電圧Vo、およびシース電圧Vs(
図3においても示されている)、および、イオンフラックス対イオンエネルギーとして示されている、対応するイオンエネルギー分布関数(IEDF)が示されている。本開示の態様は、どのようにしてL
bを通しての電流i
Lbを、イオン電流I
ionと等しく、イオン電流I
ionより大きく、またはイオン電流I
ionより小さくなるように調整するかという問題に対処する。本開示の他の態様は、イオンエネルギーのレベル、およびプラズマ室におけるイオンエネルギーの分布をどのようにして調整するかという問題に対処する。
【0056】
図9A~9Dにおいて示されているように、第1スイッチS1と第2スイッチS2は、双方向スイッチ220を通しての電流I
switchが、時刻t
0とt
3の間の全電流サイクルを完了するように制御できる。正の電流の流れを備えている前半電流サイクルの間、電流I
switchは、t
0におけるゼロからピーク値へ、そして、t
1においてゼロに戻るように制御される。そして、負の電流の流れを備えている後半電流サイクルの間、電流I
switchは、t
2におけるゼロから、減少してt
3においてゼロになる前に、反対方向(前半電流サイクルのピーク値とは反対側)におけるピーク値まで増大するように制御される。より具体的には、
図8A、8B、および8Cを参照すると、全電流サイクルの正の部分(時刻t
0からt
1)の間、電流I
L1は、第1ダイオードD1と第1スイッチS1の両者を通してリターンノード212から流れる。示されているように、電流サイクルの正の部分の間(第1スイッチS1が閉じられ、第2スイッチS2が開かれている)、電流は正のピーク値まで増大し、そしてゼロに減少するが、第1ダイオードD1は、電流が方向を反転することを防止する。全電流サイクルの負の部分の間(時刻t
2からt
3)、電流I
L1は、第2ダイオードD2と第2スイッチS2の両者を通して出力ノード210から流れる。示されているように、電流サイクルの負の部分の間、電流は負のピーク値まで増大し、そしてゼロに減少するが、第2ダイオードD2は、電流が方向を反転することを防止する。
【0057】
次に
図9A、9B、9C、および9Dを参照すると、プラズマ処理室101で動作されるときの、ここにおいて記述されているバイアス電源の電気的態様のタイミングを示すタイミング図が示されている。示されているように、
図9A~9Dにおいては、第1スイッチS1と第2スイッチS2は、前半と後半電流サイクルの間(スイッチS1が、閉じた位置から開かれた後で、S2が閉じられる前)の時間である時刻t
1からt
2である調整可能デッドタイムにより制御できる。第1スイッチS1は、第1ダイオードD1が、電流が方向を切り替えることを防止するので、
図9A~9Dにおいて示されているよりも後に開く(遮断する)ことができるということは認識されるべきである。しかし一般的には、切り替えロスを最小限にするために、第1スイッチS1は、電流I
L1が時刻t
1においてゼロに到達する前には開かれない。同様に、第2スイッチS2は、第2ダイオードD2が、電流が方向を切り替えることを防止するので、
図9A~9Dにおいて示されているよりも後に開く(遮断する)ことができる。しかし一般的には、第2スイッチS2は、電流I
L1が時刻t
3においてゼロに到達する前には開かれない。
【0058】
電圧源の電圧Vbはまた、Voにおける所望の周期的電圧および所望のシース電圧Vsを達成するために調整できる。他の制御可能な態様は、時刻t0とt3との間のリセット時間tresetであり、切り替えサイクル当たりの平均の制御を可能にする。電流サイクルの前半における電流iL1のピーク値は、電流サイクルの後半における電流iL1のピーク値とは異なることができるということは認識されるべきである。
【0059】
示されているように、出力ノード(リターンノード212に対する)におけるバイアス電源208の電圧Voは非対称周期的電圧波形であり、非対称周期的電圧波形の各サイクル(時刻t
0からt
4)は、第1電圧レベルに電圧が増大する第1部分(時刻t
0からt
1)、第1電圧レベル(または、第1電圧レベルからわずかに減少する)における第2部分(時刻t
1からt
2)、第2電圧レベル(時刻t
3における)への負の電圧変動のある第3部分(時刻t
2からt
3)、および、第2電圧レベルからの負の電圧傾斜を含む第4部分(時刻t
3からt
4)を含んでいる。ここにおいて更に検討されるように、非対称周期的電圧波形の基本周期(t
0からt
4)は、イオンエネルギーの広がりを調整するために調整できる。
図9A~9Dにおいて示されているように、全電流サイクルは、非対称周期的電圧波形の第1、第2、および第3部分の間に時刻t
0とt
3との間で起こる。そして、全電流サイクル間の時間は、時刻t
3とt
4との間の時間t
rampである。
【0060】
有利なことに双方向スイッチ220は、他の先行技術の設計とは対照的に、自由度の他のレベルを提供する。具体的には、ここにおいて開示されている双方向スイッチ220の変形例は、サイクルごとのデッドタイムの制御を可能にし、それは、デューティサイクルの平均を制御できることを意味し、そのため、サイクル当たりの平均電力を制御できることを意味している。
図9A~9Dにおいて示されているように、デッドタイムを制御することは、t
resetに対する制御を可能にし、t
resetのt
rampに対する比を調整することは、平均電力を調整する。そして、非対称周期的電圧波形(時刻t
0からt
4)のサイクル当たりの平均電力に対する制御は、基本切替え周波数を制御することを可能にする(例えば、プラズマ処理室101におけるプラズマ密度に影響を与えるレベル未満に留まることを可能にする)。
【0061】
ここにおいて開示されているバイアス電源208により達成できる制御の他の態様は、イオン電流補償である。より具体的には、デッドタイムの長さ、t
rampの長さ、および/または、周期的電圧関数(t
0とt
4の間)の周期は、イオン電流補償のレベルを制御するために制御できる。
図9Aにおいては、t
rampとデッドタイムは、プラズマ処理室101において、イオン電流I
ionが、第2インダクタL
bを通しての電流i
Lbがイオン電流I
ionに等しくなる点に補償されるように確立される。
図9Aにおいて示されているように、シース電圧V
Sは、デッドタイムにより画定されるパルス間で実質的に一定であり、結果として、プラズマ処理室101におけるイオンエネルギーの分布970Aは相対的に狭い。
【0062】
図9Bにおいて示されているように、プラズマ処理室101においてイオン電流を過補償するために、デッドタイムを、t
rampを同じに留めたままで(例えば、
図9Aにおけるt
rampと同じにしたままで)増大できる。結果として、V
Oにおける周期的電圧波形の周波数はより低くなる(
図9Aにおいて示されている周期的電圧波形と比較して)。
図9Bにおいて示されているように、イオン電流を過補償すると、シース電圧V
S(および、加工品103の表面における電圧)は、時刻t
3とt
4の間(t
ramp時間フレームの間)でますます負の程度が大きくなる。そして、t
3とt
4との間のシース電圧の範囲のために、イオンエネルギーの分布970Bは、
図9Aにおいて示されているイオンエネルギーの分布970Aよりも広くなる。
【0063】
図9Cにおいて示されているように、プラズマ処理室101においてイオン電流を過小補償するために、デッドタイムを、t
rampを同じに留めたままで(例えば、
図9Aにおけるt
rampと同じにしたままで)減少できる。結果として、V
Oにおける周期的電圧波形の周波数はより高くなる(
図9Aにおいて示されている周期的電圧波形と比較して)。
図9Cにおいて示されているように、イオン電流を過小補償すると、シース電圧V
S(および、加工品103の表面における電圧)は、時刻t
3とt
4との間(t
ramp時間フレームの間)で、負の程度がより小さくなる。そして、t
3とt
4との間のシース電圧の範囲のために、イオンエネルギーの分布970Cは、
図9Aにおいて示されているイオンエネルギーの分布970Aよりも広くなる。
【0064】
デッドタイムとt
rampの両者を変えることによりイオン電流補償を調整することもできる。例えば、
図9Dにおいて示されているように、イオンエネルギーの所望の分布970(時刻t
3とt
4との間のシース電圧V
Sの電圧の範囲に対応している)を達成するようにイオン電流を過補償するために、デッドタイムを長くでき、t
rampを短くできる。デッドタイムとt
rampの両者を調整することにより、周期的電圧波形の周波数を、所望するのであれば固定できるが、デッドタイム、t
ramp、および周期的電圧波形の周波数を変えることもできる。一方でt
rampを短くまたは長くしている間、デッドタイムを短くできるということも考えられる。
【0065】
イオン電流補償に影響を与えることに加えて、デッドタイムおよび/または電圧源により印加される電圧Vbはまた、バイアス電源により印加される電流のレベルを変えるために調整できる。例えば、
図10Aを参照すると、V
Oにおける4つの周期的電圧波形が示されており、V
Oにおける第1波形1050は、80nsのデッドタイムにより生成され、電圧電源電圧Vbは5.6kVであり、第2波形1052は、V
Oにおいて180nsのデッドタイムにより生成され、電源電圧Vbは5.3kVであり、第3波形1054は、V
Oにおいて280nsのデッドタイムにより生成され、電源電圧Vbは4.9kVであり、第4波形1056は、V
Oにおいて480nsのデッドタイムにより生成され、電源電圧Vbは3.9kVである。示されているように、t
rampの時間は、4つの例としての周期的電圧波形1050、1052、1054、1056のそれぞれに対して同じに留まっている。そして一般的に、デッドタイムが短ければ短いほど、バイアス電源208により印加される電力のレベルはより高くなる。より具体的には、デッドタイムが短ければ短いほど、t
resetはより短くなり、t
rampに対するt
resetの比が小さければ小さいほど、バイアス電源208により印加される平均電力はより高くなる。
【0066】
次に
図10Bを参照すると、4つの例としての周期的電圧波形1050、1052、1054、1056に対応する4つのシース電圧が示されている。示されているように、第1波形1050に対応する、最も短いデッドタイム(4つの例としての周期的電圧波形1050、1052、1054、1056の中で)を有する第1シース電圧1060は、電圧パルス間で時間の経過と共に負の程度がより小さくなる部分を備え、それはイオン電流の過小補償という結果になる(
図9Cを参照して記述されているシース電圧に類似している)。そして対照的に、第4波形1056に対応する第4シース電圧1066は、電圧パルス間で負の程度がより大きくなる部分を備え、それは、イオン電流の過補償という結果になる(
図9Bを参照して記述されているシース電圧に類似している)。
【0067】
図11Aを参照すると、V
Oにおける4つの周期的電圧波形が示されており、V
Oにおける第1波形1150は、80nsのデッドタイムにより生成され、電圧源電圧Vbは5.6kVであり、第2波形1152は、V
Oにおいて180nsのデッドタイムにより生成され、電源電圧Vbは5.3kVであり、第3波形1154は、V
Oにおいて280nsのデッドタイムにより生成され、電源電圧Vbは4.9kVであり、第4波形1156は、V
Oにおいて480nsのデッドタイムにより生成され、電源電圧Vbは3.9kVである。示されているように、t
rampの時間は、4つの例としての周期的電圧波形1150、1152、1154、1156の周波数が同じに留まるように、4つの例としての周期的電圧波形1150、1152、1154、1156のそれぞれに対して変化する。より具体的には、デッドタイムが長くなればなるほど、t
rampはより短くなる。示されているように、一般的に、デッドタイムが短ければ短いほど、バイアス電源208により印加される電力のレベルはより高くなる。そして一般的に、デッドタイムが短ければ短いほど、バイアス電源208により印加される電力のレベルはより高くなる。より具体的には、デッドタイムが短ければ短いほど、t
resetはより短くなり、t
rampに対するt
resetの比が小さければ小さいほど、バイアス電源208により印加される平均電力はより高くなる。
【0068】
次に
図11Bを参照すると、4つの例としての周期的電圧波形1150、1152、1154、1156に対応する4つのシース電圧V
Sが示されている。示されているように、第1波形1150に対応する、最も短いデッドタイム(4つの例としての周期的電圧波形1150、1152、1154、1156の中で)を有する第1シース電圧1160は、電圧パルス間で時間の経過と共に負の程度がより小さくなる部分を備え、それはイオン電流の過小補償という結果になる。そして対照的に、第4波形1156に対応する第4シース電圧1166は、電圧パルス間で負の程度がより大きくなる部分を備え、それは、イオン電流の過補償という結果になる(
図9Dを参照して記述されているシース電圧に類似している)。
【0069】
図12Aと12Bを参照すると、過小補償イオン電流と関連付けられているシース電圧、イオンフラックス、および周期的非対称電圧波形(バイアス電源208による出力)の一般的な態様が示されている。
図12Aにおいて示されているように、イオン電流I
ionが過小補償されると、シース電圧は、傾斜しながら、負の程度がより小さくなり、それは、イオンエネルギーのより広い分布(広がりとも称される)1272を生成する。
図12Bにおいては、
図12Aにおいて示されているシース電圧を実現するために基板支持体に印加できる周期的電圧が示されている。示されているように、周期的電圧波形の負の傾斜部分V
Oは、
図9Aの周期的電圧波形の傾斜部分(
図12Bにおいては破線として示されている)よりも小さな傾斜で降下する。
【0070】
図13Aと13Bは、過補償イオン電流と関連付けられているシース電圧、イオンフラックス、および周期的非対称電圧波形(バイアス電源208による出力)の態様を示している。
図13Aにおいて示されているように、イオン電流が過補償されると、シース電圧は、傾斜しながら負の程度がより大きくなり、それはまた、イオンエネルギーのより広い広がり1374を生成する(イオン電流I
ionが電流i
Lbと等しい動作とは対照的に)。
図13Bにおいては、
図13Aにおいて示されているシース電圧を実現するために基板支持体に印加できる周期的電圧波形が示されている。示されているように、周期的電圧関数の負の傾斜部分は、イオン電流を補償する(点線として示されている)
図9Aの周期的電圧波形の傾斜部分よりも大きな率で降下する。
【0071】
図14を参照すると、ここにおける実施形態と関連して使用できる制御システムの態様が示されている。シース容量(Csheath)と、プラズマ処理室101と関連付けられている、絶縁体、加工品、基板支持体、および静電チャックを含むことができる構成要素の固有容量を表している容量C1を表すものが示されている。
【0072】
示されているように、電流および/または電圧はコントローラ1460により、バイアス電源208の出力ノード210に印加される電力の態様(例えば、電圧、電流、および/または位相)、および/または、プラズマ処理室101の環境の1つ以上の特性を間接的に監視するために測定できる。プラズマ処理室101の環境の例としての特性は、測定された出力電圧VOを使用して計算できるシース容量(Csheath)であってよい。
【0073】
示されているように、双方向スイッチ220を通しての電流、出力における電流iout、および/または、第2インダクタLbを通しての電流は監視でき、フィードバックとして使用できる。加えて、バイアス電源の出力ノード210における電圧VOは監視でき、フィードバックとして使用できる。
【0074】
格納されているデータ(例えば、シース容量および/またはプラズマ処理室の環境の他の特性についてのデータ)取得するために、加工品103を処理する前に監視を予め実行でき、そしてデータは、周期的波形V
Oを調整するために利用される(例えば、フィードフォワードの方法で)。監視はまた、プラズマ処理の間に実行でき、電圧源Vb、t
ramp、および/またはデッドタイムは、例えば、
図14において示されているような電圧および/または電流測定値を使用するリアルタイムフィードバックを使用して調整できる。加えて、周期的電圧波形の第3部分の負の電圧変動(時刻t
2からt
3)は、所望のシース電圧Vsを達成するために制御できる。
図8A~8Cを参照して記述されているコントローラ840は、コントローラ1460の一部として実現でき、または、コントローラ840は、コントローラ1460とは別個に実現できるが、コントローラ840とコントローラ1460は、バイアス電源208を制御するために通信できるということは確実に考えられる。
【0075】
ここにおいて開示されている実施形態と関連して記述されている方法は、ハードウェア、非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体において符号化されているプロセッサ実行可能コード、またはその両者の組み合わせにおいて直接具現化できる。
図15を参照すると、例えば、ここにおいて開示されている制御態様を実現するために利用できる物理構成要素を示しているブロック図が示されている。示されているように、この実施形態においては、ディスプレイ1312と不揮発性メモリ1320はバス1322に結合され、バス1322はまた、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)1324、処理部(N個の処理構成要素を含んでいる)1326、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)1327、および、N個のトランシーバを含んでいるトランシーバ構成要素1328に結合されている。
図15において示されている構成要素は物理構成要素を表しているが、
図15は詳細なハードウェア図であることは意図されていない。そのため、
図15において示されている構成要素の多くは、通常の構成物により実現でき、または、追加的物理構成要素において分散できる。更に、
図15を参照して記述されている機能構成要素を実現するために、他の既存の、およびまだ開発されていない物理構成要素およびアーキテクチャを利用できるということは考えられる。
【0076】
このディスプレイ1312は一般的には、ユーザに対するユーザインタフェースを提供するために動作し、幾つかの実現形態においては、ディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイにより実現される。一般的に、不揮発性メモリ1320は、非一時的実体プロセッサ読み取り可能格納媒体であり、データおよびプロセッサ読み取り可能命令(ここにおいて記述されている方法を実現することと関連付けられている実行可能コードを含む)を格納(例えば、永続的に格納)するために機能する。例えば、幾つかの実施形態においては、不揮発性メモリ1320は、ブートローダコード、オペレーティングシステムコード、ファイルシステムコード、および、単一の制御されたスイッチで基板にバイアスをかける方法の実行を容易にするための非一時的プロセッサ実行可能コードを含んでいる。
【0077】
多くの実現形態においては、不揮発性メモリ1320はフラッシュメモリ(例えば、NANDまたはONENANDメモリ)により実現されるが、他のメモリタイプも同様に利用できるということが考えられる。コードを不揮発性メモリ1320から実行することは可能であるが、不揮発性メモリにおける実行可能コードは、典型的にはRAM1324にロードされ、処理部1326において、N個の処理構成要素の1つ以上により実行される。
【0078】
RAM1324と関連して、N個の構成要素は一般的には、ここにおいて記述されているアルゴリズムおよび機能の実行を可能にするために、不揮発性メモリ1320において格納されている命令を実行するように動作する。幾つかのアルゴリズムがここにおいて開示されているが、これらのアルゴリズムの幾つかはフローチャートにおいては表されていないということは認識されるべきである。ここにおいて記述されている方法を実現するためのプロセッサ実行可能コードは、不揮発性メモリ1320において永続的に格納でき、RAM1324と関連してN個の処理構成要素により実行される。この技術における通常の技量を有するものは認識するように、処理部1326は、ビデオプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、または他のハードウェア処理構成要素、または、ハードウェアとソフトウェア処理構成要素(例えば、FPGAまたは、デジタルロジック処理部を含んでいるFPGA)の組み合わせを含むことができる。
【0079】
加えて、または代替として、非一時的FPGA構成命令は、不揮発性メモリ1320において永続的に格納でき、ここにおいて開示されているアルゴリズム(例えば、下記に制限されないが、
図5と7を参照して記述されているアルゴリズムを含む)を実現するためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を構成するようにアクセスされる(ブートアップの間)。
【0080】
入力構成要素1330は、信号(例えば、開示されているバイアス電源の出力において取得される電流と電圧を示している信号)を受信できる。加えて、入力構成要素1330は、プラズマ処理室101内の環境の1つ以上の態様、および/または、ソースジェネレータと単一のスイッチバイアス電源との間の同期された制御を示す、バイアス電源108とソースジェネレータ112との間の位相情報および/または同期信号を受信できる。入力構成要素において受信される信号は、例えば、同期信号、種々のジェネレータおよび電源ユニットへの電力制御信号、またはユーザインタフェースからの制御信号を含むことができる。この技術における通常の技量を有する者は、制限されることはないが、指向性カプラおよび電圧-電流(VI)センサなどのような多様なタイプのセンサの何れも、電圧および電流などのような電力パラメータのサンプリングを行うための使用でき、電力パラメータを示す信号は、アナログドメインで生成でき、デジタルドメインに変換できるということを容易に認識するであろう。
【0081】
出力構成要素は一般的には、第1スイッチS1と第2スイッチS2の開閉を実現するための1つ以上のアナログまたはデジタル信号を提供するように動作する。出力構成要素はまた、ここにおいて記述されている電圧源を制御することもできる。
【0082】
示されているトランシーバ構成要素1328はN個のトランシーバチェーンを含み、N個のトランシーバチェーンは、ワイヤレスまたはワイヤ線ネットワークを介して外部装置と通信するために使用できる。N個のトランシーバチェーンのそれぞれは、特別な通信スキーム(例えば、WiFi、Ethernet、Profibusなど)と関連付けられているトランシーバを表すことができる。
【0083】
この技術における技量を有する者には認識されるように、本開示の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化できる。従って、本開示の態様は、完全にハードウェア実施形態、完全にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなど)、または、ここにおいてはすべての総称として「回路」、「モジュール」、または「システム」と称することができるソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせている実施形態の形状を取ることができる。更に、本開示の態様は、そこに含まれているコンピュータ読み取り可能プログラムコードを有する1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体に含まれているコンピュータプログラム製品の形状を取ることができる。
【0084】
ここにおいて使用されているように、「A、B、またはCの少なくとも1つ」という記述は、A、B、Cの何れか、または、A、B、およびCの任意の組み合わせを意味することが意図されている。開示されている実施形態の前記の記述は、この技術における技量を有する如何なる者も本開示を実施または使用することが可能となるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する種々の修正は、この技術における技量を有する者には容易に明白であるであろうし、ここにおいて定義されている一般的な原則は、開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用できる。そのため、本開示は、ここにおいて示されている実施形態に制限されることは意図されておらず、ここにおいて開示されている原則および新規の特徴と整合する最も広い範囲が与えられるべきである。
【国際調査報告】