(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】伝送コイル電力異物検出
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20240808BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240808BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240808BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/40
H02J50/12
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508986
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022040365
(87)【国際公開番号】W WO2023022994
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】トカルダニ,モハマド アリ,サケット
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック,ハインデル
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。ワイヤレス充電デバイスは、充電デバイスの充電面に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路と、共振回路に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、コントローラとを含む。コントローラは、共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求め、この平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力およびワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、充電面上またはその近傍に異物があると判定するように構成されている。一例では、電流の各サンプルが、共振回路に流れる電流を測定することによって得られ、電圧の各サンプルが、1または複数の電力伝送コイルの電圧を測定することによって得られる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電デバイスを動作させる方法であって、
ワイヤレス充電デバイスの充電面内に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路に充電電流を供給するステップと、
前記共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求めるステップと、
前記平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力および前記ワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が前記充電面上またはその近傍に位置していると判定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
電流の各サンプルが、前記共振回路に流れる電流を測定することによって得られ、電圧の各サンプルが、前記1または複数の電力伝送コイルの電圧を測定することによって得られることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する1または複数のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉するステップをさらに含み、各サンプリングサイクルが、複数のサンプリングポイントを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記複数のサンプリングポイントの各々が、前記複数のサンプリングポイントにおける他のサンプルの各々とは異なる充電電流のサイクルの位相で生じることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記1または複数のサンプリングサイクルが、第1のサンプリングサイクルおよび第2のサンプリングサイクルを含み、電流の第1のサンプルが、前記第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで捕捉され、電圧の第1のサンプルが、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、
電流および電圧のサンプルが、単一のサンプリングサイクルにおける複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントで同時に捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
ルートクロック周波数を有するルートクロック信号を提供するステップと、
前記ルートクロック周波数を第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を得るステップであって、前記サンプリングクロック周波数が、前記共振回路から電流および電圧のサンプルが捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する、ステップと、
前記ルートクロック周波数を第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロック周波数を得るステップとをさらに含み、前記第1の整数と前記第2の整数の最大公約数が1であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記寄生損失が、前記ワイヤレス充電デバイスの金属製または透磁性の構成要素に起因することを特徴とする方法。
【請求項9】
充電デバイスであって、
当該充電デバイスの充電面に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路と、
前記共振回路に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、
コントローラであって、
前記共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求め、
前記平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力および当該充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が前記充電面上またはその近傍に位置していると判定するように構成されたコントローラとを備えることを特徴とする充電デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
電流の各サンプルが、前記共振回路に流れる電流を測定することによって得られ、電圧の各サンプルが、前記1または複数の電力伝送コイルの電圧を測定することによって得られることを特徴とする充電デバイス。
【請求項11】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
1または複数のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)をさらに含み、このアナログ/デジタルコンバータが、
充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する1または複数のサンプリングサイクルに基づいて電流および電圧のサンプルを捕捉するように構成され、各サンプリングサイクルが、複数のサンプリングポイントを含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記複数のサンプリングポイントの各々が、前記複数のサンプリングポイントにおける他のサンプルの各々とは異なる充電電流のサイクルの位相で生じることを特徴とする充電デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の充電デバイスにおいて、
前記1または複数のADCが、単一のADCを含み、この単一のADCが、
第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電流の第1のサンプルを捕捉し、
第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで電圧の第1のサンプルを捕捉するように構成されていることを特徴とする充電デバイス。
【請求項14】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記1または複数のADCが、
第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電流の第1のサンプルを捕捉するように構成された第1のADCと、
前記第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電圧の第1のサンプルを捕捉するように構成された第2のADCとを含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項15】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
クロック生成回路をさらに含み、このクロック生成回路が、
ルートクロック周波数を第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を得るステップであって、前記サンプリングクロック周波数が、前記共振回路から電流および電圧のサンプルが捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する、ステップと、
前記ルートクロック周波数を第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロック周波数を得るステップであって、前記第1の整数と前記第2の整数の最大公約数が1である、ステップとを実行するように構成されていることを特徴とする充電デバイス。
【請求項16】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
前記寄生損失が、当該充電デバイスの金属製または透磁性の構成要素に起因することを特徴とする充電デバイス。
【請求項17】
命令が格納されたプロセッサ可読記憶媒体であって、
前記命令は、充電デバイス内の少なくとも1のプロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
ワイヤレス充電デバイスの充電面内に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路に充電電流を供給するステップと、
前記共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求めるステップと、
前記平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力および前記ワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が前記充電面上またはその近傍に位置していると判定するステップとを実行させることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項18】
請求項17に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、
前記命令が、前記プロセッサに、
第1のサンプリングサイクルおよび第2のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉させ、各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有し、
各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの互いに異なる位相で生じる複数のサンプリングポイントを含み、
電流の第1のサンプルが、前記第1のサンプリングポイントで捕捉され、電圧の第1のサンプルが、前記第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで捕捉されることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項19】
請求項18に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、
前記命令が、前記プロセッサに、
充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する単一のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉させ、
各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの互いに異なる位相で生じる複数のサンプリングポイントを含み、
電流および電圧のサンプルが、単一のサンプリングサイクルにおける複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントで同時に捕捉されることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項20】
請求項18に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、
前記命令が、前記プロセッサに、
ルートクロック周波数を第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を得るステップであって、前記サンプリングクロック周波数が、前記共振回路から電流および電圧のサンプルが捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する、ステップと、
前記ルートクロック周波数を第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロック周波数を得るステップであって、前記第1の整数と前記第2の整数の最大公約数が1である、ステップとを実行させることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、モバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より詳細には、充電デバイスの近傍に置かれたデバイスの検出に関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2022年8月12日に米国特許庁に出願された特許出願第17/887,395号、および2021年8月16日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/233,716号の優先権および利益を主張するものであり、それら出願の内容全体は、あらゆる適用可能な目的のために、その全体が以下に完全に記載されているかのように、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
物理的な充電接続を使用せずに、特定のタイプのデバイスが内部バッテリを充電できるようにするために、ワイヤレス充電システムが開発されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理および/または通信デバイスが含まれる。Wireless Power Consortiumにより規定されたQi規格などの標準規格は、第1のサプライヤによって製造されたデバイスを、第2のサプライヤによって製造された充電器を使って、ワイヤレスで充電することを可能にする。ワイヤレス充電の標準規格は、デバイスの比較的単純な構成向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスと変化するフォームファクタをサポートするために必要である。例えば、充電デバイスがその表面上の充電式デバイスを検出して位置を特定することを可能にする、より高速で低電力の検出技術と、熱管理のための改善された技術が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスにより提供される充電面上に設けられ得る充電セルの一例を示している。
【
図2】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスにより提供される充電面のセグメントの単一の層上に設けられる充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図3】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスにより提供される充電面のセグメント内に充電セルの複数の層が重ねられている場合の充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図4】
図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を採用する充電デバイスの充電面により提供される電力伝送領域の配置構成を示している。
【
図5】
図5は、本明細書に開示の特定の態様に従って充電器基地局に提供され得るワイヤレス電力伝送装置を示している。
【
図6】
図6は、干渉する異物が存在する場合にワイヤレス電力伝送に関与するデバイスの構成を示している。
【
図7】
図7は、ワイヤレス電力伝送中のワイヤレス電力伝送装置およびワイヤレス電力受信装置の一部を示す断面図の一例を与えている。
【
図8】
図8は、本開示の特定の態様に従って共振回路内の電圧および電流をサンプリングするように構成されたワイヤレス充電デバイスの第1の例を示している。
【
図9】
図9は、本開示の特定の態様に従って構成されたサンプリング方式の一例を示している。
【
図10】
図10は、本開示の特定の態様に従ってサンプリングされた電圧値および電流値からの信号再構成の一例を示している。
【
図11】
図11は、本開示の特定の態様に従って共振回路内の電圧および電流をサンプリングするように構成されたワイヤレス充電デバイスの第2の例を示している。
【
図12】
図12は、本開示の特定の態様に従って構成された単一のサンプリングデバイスを使用するサンプリング方式の一例を示している。
【
図13】
図13は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用した装置の一例を示している。
【
図14】
図14は、本開示の特定の態様に従って充電デバイスを動作させるための方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図したものであり、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムのいくつかの態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。それらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。それら要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実現することができる。そのような要素がハードウェアとして実現されるか、またはソフトウェアとして実現されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1または複数のプロセッサを含む「処理システム」で実現され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1または複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離無線通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを使用してフリーポジションの充電面を提供し、または複数の受信デバイスを同時に充電することができるワイヤレス充電デバイスに関連するシステム、装置および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電デバイスのコントローラが、充電されるデバイスを見つけ出すことができ、受信デバイスに電力を供給するために最適な位置にある1または複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1または複数の誘導伝送コイルを備えるかまたは構成することができ、複数の充電セルを、充電面を提供するために配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の検知が、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、荷重、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。
【0010】
本開示の一態様では、充電デバイスを動作させるための方法が、充電デバイスから励起磁束を伝送するステップであって、励起磁束が、適合する充電式デバイスに関連する第1の公称共振周波数を含む第1の周波数範囲で伝送される、ステップと、励起磁束に応答して共振が検出されたときに、適合する充電式デバイスが充電デバイスによる充電のために利用可能であることを判定するステップと、充電電流を充電デバイスの電力伝送コイルに供給するステップとを含み、充電電流が、適合する充電式デバイスに関連付けられた第2の公称共振周波数を含む第2の周波数範囲で供給される。
【0011】
いくつかの実施態様では、充電デバイスが、充電面を提供することができ、それによって、充電面上の任意の位置に配置された受信デバイスに電力をワイヤレスで伝送することができる。受信デバイスは、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができ、かつ充電のために有効化された個別の配置位置に関係なく配置することができる。複数のデバイスを単一の表面上で同時にまたは一斉に充電することができる。装置は、表面を横切る1または複数のデバイスの動きを追跡することができる。
【0012】
充電セル
本明細書に開示の特定の態様によれば、充電デバイスは、充電デバイスの表面に隣接して展開された充電セルを使用して提供され得る。一例では、充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って展開される。充電セルは、1または複数のコイルを使用して実現することができ、各コイルが、コイルに隣接する充電デバイスの表面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる。本明細書において、充電セルは、1または複数のコイルを有する要素であって、各コイルが、充電セル内の他のコイルによって生成される磁場に対して加算的であり、共通の軸に沿ってまたは近接して向けられる電磁場を生成するように構成される、要素を指すことができる。
【0013】
いくつかの例では、充電セルが、充電デバイスの表面に実質的に直交する誘導される磁場に寄与するように、共通の軸に沿って積層され、かつ/または重なり合うコイルを含む。いくつかの態様では、充電セルが複数のコイルを含み、それらコイルが、充電デバイスの表面の規定された部分内に配置されるとともに、充電セルに関連する充電デバイスの表面の実質的に直交する部分内の誘導磁場に寄与する。いくつかの態様では、動的に規定された充電セルに含まれるコイルに励磁電流を供給することによって、充電セルを構成することが可能である。例えば、充電デバイスは、充電デバイスの表面全体に配置された複数のコイルのスタックを含むことができ、充電デバイスは、充電されるデバイスの位置を検出することができ、充電されるデバイスに隣接する充電セルを提供するためにコイルのスタックのいくつかの組合せを選択することができる。場合によっては、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられるものであってもよい。しかしながら、充電セルは、複数の積層されたコイルおよび/または複数の隣接するコイル若しくはコイルのスタックを含むことができることを理解されたい。コイルは、本明細書において、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送装置コイル、伝送コイル、電力伝送コイル、電力伝送装置コイルなどと呼ばれることがある。
【0014】
図1は、充電システムに含まれる充電面を提供するように展開および/または構成され得る充電セル100の一例を示している。充電システムは、複数の充電面を提供することができる。いくつかの例では、充電面を、部屋全体または車両の乗客または他のコンパートメント内に分散させることができる。
【0015】
本開示に提供されるいくつかの例では、充電面が、1または複数の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むと理解される。1または複数の集積回路(IC)および/または個々の電子部品を有する回路が、1または複数の基板106上に提供され得る。回路は、受信デバイスに電力を伝送するために使用されるコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含むことができる。回路は、本明細書に開示の特定の機能を実行するように構成された1または複数のプロセッサおよび/または1または複数のコントローラを含む処理回路として構成することができる。場合によっては、処理回路の一部またはすべてを充電デバイスの外部に設けることができる。場合によっては、電源を充電デバイスに結合することができる。
【0016】
充電セル100は、充電デバイスの外面領域に近接して設けられ、その上に1または複数のデバイスが充電のために配置され得る。充電デバイスは、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。
【0017】
いくつかの例では、充電セル100が、1または複数のコイル102を取り囲む実質的に六角形の形状を有し、コイルは、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、ワイヤまたは回路基板のトレースを使用して構成することができる。様々な態様では、いくつかのコイル102が、
図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形の形状を有することができる。他の態様では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、製造技術の能力または制限によって、かつ/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように、少なくとも部分的に決定され得る。各コイル102は、螺旋構成のワイヤ、プリント回路基板のトレースおよび/または他のコネクタを使用して実現することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通の軸108を中心に配置されるように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層に跨るようにしてもよい。
【0018】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応された充電システムに含まれる充電面のセグメントまたは一部分の単一層上に設けられた充電セル202の配置200の一例を示している。充電セル202は、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。この例では、充電セル202が、重なり合うことなく、端と端とを接して配置されている。この配置は、スルーホールまたはワイヤ相互接続なしで提供することができる。充電セル202の一部分が重なる配置を含む、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤをある程度交互に配置するようにしてもよい。
【0019】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメントまたは一部分内に複数の層が重ねられている場合の、2つの視点300、310(例えば、上面および側面)からの充電セルの配置の一例を示している。充電セルの層302、304、306、308は、充電面のセグメント内に設けられている。充電セルの各層302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。一例では、充電セルの層302、304、306、308が、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成されるようにしてもよい。充電セル100の配置は、図示のセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。充電セルは、多角形である伝送コイルによって提供される電力伝送領域に対応する、
図3に示す302、304、306、308であってもよい。他の態様では、充電コイルが、ワイヤから構築された螺旋状に巻かれた平面コイルを含むことができ、各ワイヤが実質的に円形の電力伝送領域を提供するように巻かれたものであってもよい。後者の例では、複数の螺旋状に巻かれた平面コイルが、ワイヤレス充電デバイスの充電面の下方の積層された平面に配置され得る。
【0020】
図4は、充電システムによって提供される充電面400に提供される電力伝送領域の配置を示している。一例では、充電面400が、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された複数の層の充電セルを採用する。例示の充電面400は、充電セルの4つの層402、404、406、408を使用して構成されている。
図4では、充電セルの第1の層402内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L1」と記され、充電セルの第2の層404内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L2」と記され、充電セルの第3の層406内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L3」と記され、充電セルの第4の層408内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0021】
ワイヤレス伝送装置
図5は、充電基地局に設けることができるワイヤレス伝送装置500を示している。コントローラ502は、調整回路508によってフィルタリングまたは他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、コンデンサ512およびインダクタ514を含む共振回路506に交流電流(AC)信号を供給するドライバ回路504の動作を制御することができる。共振回路506は、本明細書では、タンク回路、LCタンク回路および/またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定された電圧516は、タンク電圧とも呼ばれる。
【0022】
ワイヤレス伝送装置500は、適合デバイスが充電デバイスの表面上に置かれたか否かを判定するために、充電デバイスによって使用され得る。例えば、充電デバイスは、ワイヤレス伝送装置500を介して断続的なテスト信号(アクティブping)を送信することによって、適合デバイスが充電デバイスの表面上に置かれたことを判定することができ、共振回路506は、適合デバイスがテスト信号に応答したときに符号化された信号を検出または受信することができる。充電デバイスは、規格、慣例、製造業者またはアプリケーションによって規定された応答信号を受信した後、少なくとも1の充電セル内の1または複数のコイルを作動させるように構成され得る。いくつかの例では、充電デバイスが適合デバイスの充電に使用される最適な充電セルを見つけることができるように、適合デバイスは、受信信号強度を伝えることによってpingに応答することができる。
【0023】
本明細書に開示の特定の技術を含む受動デバイス発見技術は、充電式デバイスからの能動的な応答を必要としないテスト信号を使用して、充電式デバイスが充電面上に置かれたことを判定することができる。受動デバイス発見技術は、充電式デバイスの有無を示す応答を刺激するために、充電デバイスの表面を通してパルスを送信することを含むことができる。一例において、パッシブpingは、本明細書に開示の特定の態様に従って構成されたデバイスの充電パッドに近接する受信コイルの存在を識別するために、充電デバイス内のLCノード510で測定または観測された電圧および/または電流を監視することができる。多くの従来のワイヤレス充電器伝送装置では、LCノード510における電圧またはLCネットワークにおける電流を測定するための回路が提供される。それら電圧および電流は、電力調整の目的で、またはデバイス間の通信をサポートするために監視することができる。
図5に示す例では、LCノード510の電圧が監視されるが、短いパルスが共振回路506に供給されるパッシブpingをサポートするために、追加的または代替的には、電流も監視されることが考えられる。パッシブping(初期電圧V
0)に対する共振回路506の応答は、以下のように、LCノード510における電圧(V
LC)によって表すことができる。
【0024】
本明細書に開示の特定の態様によれば、適合デバイスを充電するための最適な電磁場を提供するために、1または複数の充電セル内のコイルを選択的に作動させることができる。場合によっては、複数のコイルが充電セルに割り当てられ、いくつかの充電セルが他の充電セルに重なり合うようにしてもよい。後者の例では、最適な充電構成を、充電セルレベルで選択することができる。他の例では、充電デバイスの表面上の充電対象デバイスの配置に基づいて、充電セルを規定することができる。それらの他の例では、各充電イベントで作動されるコイルの組合せが変わる可能性がある。いくつかの態様では、充電デバイスが、充電イベント中に作動させる1または複数のセルおよび/または1または複数の予め設定された充電セルを選択することができるドライバ回路を備えることができる。
【0025】
本開示の特定の態様は、ワイヤレス電力伝送の効率に影響を及ぼす異物の有無を検出するために、ワイヤレス電力伝送装置の特性を測定または監視する。
【0026】
理想的な動作条件下では、ワイヤレス電力伝送中に生成される磁束が、伝送コイルおよび受信コイルに限定される。しかしながら、コイン、鍵、ネジおよびワイヤなどの金属製または透磁性の物体が、ワイヤレス電力伝送中に生成される磁場に曝されるように配置されることはよくある。物体が磁場に曝されたときに磁化される傾向がある場合、その物体は透磁性であると考えられる。例えば、加えられた磁場に応答して物体内に内部磁場が形成されると、物体は磁化される。材料の透磁率は、加えられた磁場に対する材料の応答を説明または定量化する。本明細書において、「透磁性」および「磁気」という用語は、例えば、物体の材料または構成要素を説明するために使用される場合、互いに置き換えることが可能である。
【0027】
変化する磁場は、金属製または透磁性の物体に渦電流を引き起こすことができ、渦電流のエネルギーは、熱エネルギーに変換される可能性がある。ワイヤレス電力伝送で発生する電力損失のかなりの割合が、ワイヤレス充電デバイスまたは充電されるデバイスの加熱をもたらす渦電流によって引き起こされる可能性がある。たとえ数百mWの電力損失であっても、金属製または透磁性の物体に大きな温度上昇を引き起こす可能性があり、深刻な安全上の問題につながる可能性がある。
【0028】
本開示の特定の態様によれば、ワイヤレス電力伝送における伝送装置は、ワイヤ充電デバイスの表面上のアクティブ充電領域内および/またはアクティブ充電領域内で発生する磁場の範囲内に何らかの異物が位置しているか否かを検出するように構成することができ、それら物体の存在によって引き起こされる温度上昇を緩和するようにさらに構成することができる。
【0029】
温度上昇は、ワイヤレス充電デバイスまたは充電されるデバイスの内部構成要素または干渉する異物に引き起こされる渦電流の流れに起因し得る。本開示の目的のために、干渉する異物は、ワイヤレス電力伝送中に生成される磁束内に位置する任意の金属製または透磁性の物体を含み得る。ワイヤレス充電デバイスまたは充電されるデバイスの内部構成要素には、ワイヤレス電力伝送中に生成される磁束の一部を受信または応答する、ワイヤレス充電デバイスまたは充電されるデバイスの任意の金属製または透磁性の物体が含まれる。
【0030】
図6は、干渉する異物630が存在する場合にワイヤレス電力伝送に関与するデバイス600の構成を示している。ワイヤレス電力伝送装置602は、共振回路606を駆動するための充電電流を生成するドライバ回路604を含む。共振回路606は、コンデンサ(C
p)およびインダクタ612(L
p)を含むLCタンク回路として表すことができる。充電電流は、インダクタ612の電流と実質的に同じであってもよい。コントローラ610は、インダクタ612の両端間の電圧および/またはインダクタ612を通る充電電流を示す測定信号614を監視することによって、伝送電力を制御するように動作され得る。一例では、測定量の変化に対するコントローラ610の応答性を設定し、コントローラ610が短期間の過渡現象を無視できるようにするために、測定信号614を調整回路608によってフィルタリングするか、または他の方法で調整することができる。
【0031】
受信装置622は、ワイヤレス通信デバイス、ヘッドセットなどのモバイルデバイスに組み込むことができる。受信装置622は、ワイヤレス電力伝送装置602によって生成される磁束の周波数または予想周波数に同調させることができる共振回路624を含む。整流回路626は、共振回路624からの誘導電流を整流して、負荷に直流(DC)電力を提供する。ワイヤレス電力伝送中にワイヤレス電力伝送装置602によって生成される磁束は、通常、伝送装置のインダクタ612によって示される伝送コイルと、受信装置622の共振回路624のインダクタ628によって示される受信コイルとを結合する磁束に限定されない。図示の例では、ワイヤレス電力伝送中にワイヤレス電力伝送装置602によって生成された磁束の一部が異物630を通過するように、異物630が伝送コイルと受信コイルとの間に部分的に位置している。
【0032】
図7は、ワイヤレス電力伝送中のワイヤレス電力伝送装置702およびワイヤレス電力受信装置720の一部を示す断面
図700である。この断面
図700は、基板706上であって、ワイヤレス電力伝送装置702の充電面712の直下に設けられた単一の平面巻線伝送コイル704a、704bの断面を示している。ワイヤレス電力伝送装置702は、複数のデバイスを同時に充電することができるマルチコイルデバイスであってもよい。一例では、他の伝送コイルが、基板706によって支持されるか、または基板706に埋め込まれて、断面
図700の平面と交差しないように配置されるものであってもよい。図示の例では、2つの内部構成要素708a、708bが基板706の下方に配置されている。内部構成要素708a、708bは、金属性または透磁性の材料を使用して作製されたものである。一例では、内部構成要素708a、708bが、留め具またはワッシャを含むことができる。別の例では、内部構成要素708a、708bが、内部チャンバに電磁シールドを提供する電線導管を含むことができる。
【0033】
ワイヤレス電力受信装置720は、充電面712の上部に配置され、充電面712の上面によって支持され得る。ワイヤレス電力受信装置720は、ワイヤレス電力伝送装置702によって提供される伝送コイル704a、704bと少なくとも部分的に整列される受信コイル722を備え、その結果、ワイヤレス電力伝送装置702の伝送コイル704a、704bによって生成された磁束710の少なくとも一部が、ワイヤレス電力伝送中に受信コイル722の巻線を通過するものとなっている。磁束710の一部は、ワイヤレス電力受信装置720の内部構成要素724も通過する。内部構成要素724は、金属製または透磁性の材料を用いて作製されたものであってもよい。いくつかの例では、内部構成要素724が、ワイヤレス電力受信装置720の留め具、またはフレームもしくは他の内部構造の一部を含むことができる。
【0034】
図示の例では、磁束710の戻り部分714が、ワイヤレス電力伝送装置702の内部構成要素708aを通過して、渦電流716を生成する。この渦電流716およびワイヤレス電力受信装置720の内部構成要素724に引き起こされる渦電流は、伝送電力の損失を引き起こし、失われた伝送電力が、熱エネルギーとして放散される可能性がある。熱エネルギーは、ワイヤレス電力伝送装置702またはワイヤレス電力受信装置720の動作性に影響を与える可能性がある。例えば、温度の上昇が検出されると、ワイヤレス電力伝送装置702の電力伝送のレベルが低下し、その結果、ワイヤレス電力受信装置720を完全に充電するのに必要な時間が増加する可能性がある。
【0035】
本開示の特定の態様によれば、ワイヤレス電力伝送装置702は、伝送電力損失または非効率を検出することによって、かつプロトコル指定の温度管理手順を必要とするほど温度が上昇する前に電力伝送速度を低下させることによって、温度上昇を防止または制限することができる。
【0036】
様々な規格およびプロトコルによれば、受信デバイスがワイヤレス電力伝送中に受信した電力のレベルを報告することが期待または要求される。電力レベルは、充電デバイスから伝送される磁束の変調においてエンコードされた情報で報告される場合がある。受信デバイスは、その電力受信回路によって提示されるインピーダンスのレベルを切り替えることによって、この磁束の変調を引き起こすことができる。受信電力の定期的な報告は、電力伝送の効率およびワイヤレス電力伝送中に発生した損失のレベルを求めるために、電力伝送デバイスによって使用され得る。電力伝送デバイスは、電力損失を軽減するためにそれらの判定を使用することができる。一例では、電力伝送デバイスが、1または複数の電力伝送コイルに供給される充電電流の周波数を変更することにより、電力伝送デバイスと受信デバイスとの間の電磁結合を改善しようと試みることができる。別の例では、マルチコイル電力伝送デバイスが、電力伝送デバイスと受信デバイスとの間の電磁結合を改善するか、または寄生結合を低減するために、充電構成から特定の伝送コイルを除外または追加することによって、異なる充電構成を生成することができる。
【0037】
電力伝送デバイスは、受信デバイスによって提供される受信電力の報告を使用して、異物が存在することを判定することもできる。理想的な場合、受信デバイスによって報告される電力(P
rx)は、伝送デバイスによって伝送される電力(P
tx)と等しくなる。すなわち、
磁束の一部に遭遇した異物も、伝送デバイスから電力(P
FO)を受信する。伝送デバイスは、以下の場合に異物が存在すると結論づけることができる。
実用的なアプリケーションでは、電力が完全に伝送される可能性は低く、伝送デバイスおよび受信デバイスの物理的な設計および構成に起因する不完全な結合および他の寄生効果により、P
txは、常にP
rxを上回ることが予想される。
【0038】
本開示の特定の態様に従って構成されたワイヤレス充電デバイスは、伝送電力および寄生損失をある程度の精度で測定することができ、それによりワイヤレス充電デバイスが、ワイヤレス充電デバイスに対する異物の到着、存在および離脱を検出することが可能となっている。ワイヤレス充電デバイスは、伝送電力の分布を以下のように求めることができる。
ここで、V
Coilは、1または複数の伝送コイルの両端間で測定された電圧であり、I
Coilは、1または複数の伝送コイルに流れる電流であり、1/T
SWは、スイッチング周波数であり、LOSS
Coilは、コイル抵抗およびコイルフェライトによる損失を含み、LOSS
Intは、ワイヤレス電力伝送中に磁束によって伝送デバイスの金属製または透磁性部分に引き起こされる渦電流による損失を示している。
【0039】
式3の伝送電力は、V
CoilとI
Coilの積の平均として計算される。本開示の一態様によれば、式3の連続積分項は、離散項を使用して書き換えることができ、以下の式に従って電圧および電流のサンプルを使用して導き出すことができる。
ここで、V(n)
Coilは、1または複数の伝送コイルの両端間で測定された電圧のn番目のサンプルを示し、I(n)
Coilは、共振回路、1または複数の伝送コイルを介して測定された電流のn番目のサンプルを示し、N
sampはサンプル数を示している。
【0040】
式4を使用して計算される平均電力Ptxの精度は、充電電流または磁束の1サイクルにおいて適切な数(Nsamp)の均等に分散されたサンプリングポイントが利用可能であるかどうかに依存し、さらにサンプル(V(n)CoilおよびI(n)Coil)各のペアが同時に捕捉されることを前提としている。
【0041】
図8は、本開示の特定の態様に従って、V
Coil824およびI
Coil826をサンプリングするように構成されたワイヤレス充電デバイス800の一例を示している。処理回路802は、本明細書においてプロセッサ810と呼ばれる、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、有限ステートマシンまたは他のタイプのコントローラを含むことができる。図示の例では、処理回路802が、アナログ/デジタル変換器(ADC814およびADC816)のペアおよびクロック生成回路812を含む。クロック生成回路812は、本開示の特定の態様に従って、V
Coil824およびI
Coil826のサンプリングのタイミングを制御するために使用されるサンプリングクロック信号818をADC814、816に提供する。ADC814、816およびクロック生成回路812は、プロセッサ810によって構成および/または制御することができる。いくつかの例では、ADC814、816およびクロック生成回路812を、プロセッサ810内に、またはプロセッサによって実装することができる。場合によっては、ADC814、816およびクロック生成回路812を、処理回路802の外部に設けることができる。
【0042】
クロック生成回路812は、スイッチング回路の周波数を制御するために使用される電力伝送クロック信号828を生成するために使用することができる。スイッチング回路は、1または複数のワイヤレス電力伝送コイル822を含む共振回路804に充電電流を供給するドライバ回路806に含まれるものであってもよい。スイッチング回路は、電力伝送クロック信号828によって制御される周波数でAC充電電流を得るために、DC電力を変換するために使用することができる。場合によっては、電力伝送クロック信号828が、クロック生成回路812以外のクロック生成回路によって生成される。
【0043】
プロセッサ810は、共振回路804に電力を供給するドライバ回路806の動作をさらに構成または制御することができる。共振回路804は、充電構成および電力伝送コイル822の数に基づいて構成することができる。VCoil824は、共振回路804のノード820で監視することができ、ICoil826は、電流検知回路を使用して監視することができる。一例では、電流検知回路が、抵抗器を通る電流を示す小さな電圧降下を生成するために、低い値の抵抗器を含むことができる。VCoil824は、第1のADC814に供給され、ICoil826は、第2のADC816に供給される。図示の例では、ADC814、816は、本開示の特定の態様に従って、VCoil824とICoil826の同時サンプリングを確実にするために、同じサンプリングクロック信号818によって同期が取られる。
【0044】
ADC814、816を実装するために使用されるデバイスの限られたサンプリング速度は、式4を使用して計算される平均電力Ptxの精度を制限する可能性がある。従来のADCは、VCoil824またはICoil826のスイッチングサイクルごとに比較的少数のサンプルを捕捉することができる。一例では、VCoil824およびICoil826が、10μSの周期でスイッチングするスイッチング回路を使用して導き出され、ADC814、816は、VCoil824およびICoil826の波形の1サイクル当たり10サンプルが得られる1MHzの周波数でサンプリングするように構成され得る。このサイクルごとのサンプル数は、異物の存在または除去を検出するには不十分である可能性がある。
【0045】
本開示の一態様によれば、複数回のスイッチングサイクルにわたって捕捉されたサンプルで式4を入力すると、平均電力Ptxの計算精度を改善することができる。定常状態では、波形が確実に反復され、平均電力Ptxを正確に求めるのに十分なサンプルが収集されるまで、ADC814、816によって指示されたレートでサンプリングが実行され得る。サンプルは、サンプリングされた波形のサイクル全体を通してサンプルポイントの均等な分布を得ることができるように、固定レートで捕捉される。
【0046】
サンプルポイントの分布は、同期されたサンプリングクロック信号818と電力伝送クロック信号828を使用して構成することができる。いくつかの例では、サンプリングクロック信号818の周波数が、電力伝送クロック信号828の周波数の整数倍であってよい。いくつかの例では、サンプリングクロック信号818と電力伝送クロック信号828の両方が、より高い周波数の共通のルートクロック信号から生成されるものであってもよい。後者の例では、プロセッサ810が、共通のルートクロック信号からそれぞれのクロック信号818、828を生成するために使用される分周値を選択することができる。場合によっては、サンプリングクロック信号818と電力伝送クロック信号828の周波数間の所望の関係を得るように、分周値を選択することができる。サンプリングクロック信号818と電力伝送クロック信号828との間の関係を固定するために、他の回路を使用することもできる。様々な例では、クロック信号818、828の一方または両方を生成するために、遅延ロックループ、注入同期発振器および他の発振器回路を使用することができる。
【0047】
特定の例では、均等に分布するサンプルを、次のように計算されるサンプリング周波数(f
s)を使用して得ることができる。
ここで、f
swは、スイッチング周波数(電力伝送クロック信号828)であり、N
Sampは、計算ごとのサンプル数であり、N
Cyclesはサンプルが捕捉されるサイクルの数である。式5では、N
SampとN
Cyclesは、最大公約数が1の整数である。
図9に示すサンプリング方式900の例では、サンプリング期間(サンプリングサイクル902)が、V
Coil824の第1のサンプルポイント904およびI
Coil826の第1のサンプルポイント908から始まる25個の間隔を含み、サンプルが均等に分散されている。次のサンプルスロットの第1のサンプルポイント906、910も示されている。
図9に示す例では、25個のサンプルが電圧および電流の4サイクルにわたって分散されている。図示の例では、V
Coil824とI
Coil826のサンプルが同時に捕捉されている。
【0048】
図10は、本開示の特定の態様に従って、サンプリングされた値からの信号再構成の一例を示している。
図9に示すサンプリング方式900は、V
Coil波形1000およびI
Coil波形1020の4サイクルからサンプルを得るために使用することができる。再構成されたV’
Coil波形1010および再構成されたI’
Coil波形1030は、4サイクルから捕捉されたサンプルを重ね合わせることによって得られる。一例では、電圧のサンプル1012および対応する電流のサンプル1032を使用して、4サイクルのサンプリングサイクルのサンプルポイントにおける瞬時電力を特定または推定することができる。サンプルポイントは、時間オフセットを参照することによって、またはV
Coil波形1000またはI
Coil波形1020の位相によって、特定することができる。
【0049】
本開示の特定の態様によれば、単一のADCを使用して、電圧波形と電流波形の両方の測定値をサンプリングして、デジタル化することができる。単一のADCは、いくつかの処理回路、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、またはワイヤレス充電デバイスでの使用に適した他のコントローラに設けることができる。定常状態では、電圧および電流の波形が、通常は確実に反復され、電圧および電流のサンプリングが、複数のサンプリングサイクル902にわたって実行され得る(
図9参照)。一例では、1MHzの周波数でサンプリングするように構成されたADCを使用して、電圧波形または電流波形の4サイクルで所望の25サンプルを得ることができる。2つのサンプリングサイクル902は、電圧波形の25個のサンプルと電流波形の25個のサンプルを得るために均等に割り当てることができる合計50個のサンプリング機会を提供する。
【0050】
図11は、本開示の特定の態様に従って、1つのADC1114を使用してV
Coil1124およびI
Coil1126をサンプリングするように構成されたワイヤレス充電デバイス1100の一例を示している。処理回路1102は、本明細書においてプロセッサ1110と呼ばれる、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、有限ステートマシンまたは他のタイプのコントローラを含むことができる。図示の例では、処理回路1102またはプロセッサ1110が、クロック生成回路1112、ADC1114およびスイッチ1116を含む。図示の例では、クロック生成回路1112が、ADC1114にサンプリングクロック信号1118を与え、スイッチ1116に選択信号1130を与える。選択信号1130は、V
Coil1124とI
Coil1126との間で選択して、捕捉およびデジタル化のための入力をADC1114に提供する。一例では、選択信号1130によって、スイッチ1116が、交互のサンプル間隔でV
Coil1124とI
Coil1126とを与える。一例では、V
Coil1124が、2つのサンプリングスロットのうちの一方のサンプリングスロットにおける各サンプリングポイントでサンプリングされ(
図9のサンプリングサイクル902参照)、I
Coil1126が、2つのサンプリングサイクル902のうちの第2のサンプリングスロットにおける各サンプリングポイントでサンプリングされる。別の例では、インターリーブサンプリングが採用され、それにより、V
Coil1124が、2つのサンプリングスロットのうちの第1のサンプリングスロットにおける奇数サンプリングポイント(1~25)および2つのサンプリングスロットのうちの第2のサンプリングスロットにおける偶数サンプリングポイント(2~24)でサンプリングされ、I
Coil1126が、2つのサンプリングスロットのうちの第1のサンプリングスロットにおける偶数サンプリングポイント(2~24)および2つのサンプリングスロットのうちの第2のサンプリングスロットにおける奇数サンプリングポイント(1~25)でサンプリングされる。他のサンプリング方式を使用することも可能であり、例えば、定常状態の安定性に基づいて使用のために選択することができる。
【0051】
クロック生成回路1112、ADC1114およびスイッチ1116は、プロセッサ1110によって構成および/または制御することができる。場合によっては、クロック生成回路1112、ADC1114およびスイッチ1116を、プロセッサ1110内に、またはプロセッサによって実装することができる。場合によっては、クロック生成回路1112、ADC1114およびスイッチ1116を、プロセッサ1110または処理回路1102の外部に設けることもできる。
【0052】
クロック生成回路1112を使用して、ドライバ内のスイッチング回路の周波数を制御するために使用される電力伝送クロック信号1128を生成することができる。スイッチング回路は、1または複数のワイヤレス電力伝送コイル1122を含む共振回路1104に充電電流を供給するドライバ回路1106に含まれるものであってもよい。スイッチング回路を使用してDC電力を変換することにより、電力伝送クロック信号1128により制御される周波数でAC充電電流を得ることができる。場合によっては、電力伝送クロック信号1128が、別のクロック生成回路によって生成される。
【0053】
プロセッサ1110は、共振回路1104に電力を供給するドライバ回路1106の動作をさらに構成または制御することができる。共振回路1104は、充電構成および電力伝送コイル1122の数に基づいて構成することができる。VCoil1124は、共振回路1104のノード1120で監視することができ、ICoil1126は、電流検知回路を使用して監視することができる。単純な一例では、電流検知回路が、抵抗器を通る電流を示す小さな電圧降下を生成するために、低い値の抵抗器を含むことができる。
【0054】
本開示の一態様によれば、複数回のスイッチングサイクルにわたって捕捉されたサンプルを使用して、式4により平均電力Ptxを正確に計算することができる。定常状態では、波形が確実に反復され、平均電力Ptxを正確に求めるのに十分なサンプルが得られるまで、ADC1114によって指示されたレートでサンプリングを実行することができる。サンプルは、サンプリングされた波形のサイクル全体にわたってサンプルポイントを均等に分布させるために、固定されたレートで捕捉される。
【0055】
サンプルポイントの分布は、同期されたサンプリングクロック信号1118と電力伝送クロック信号1128を使用して構成することができる。いくつかの例では、サンプリングクロック信号1118の周波数が、電力伝送クロック信号1128の周波数の整数倍であってもよい。いくつかの例では、サンプリングクロック信号1118と電力伝送クロック信号1128の両方を、より高い周波数の共通のルートクロック信号から生成することができる。後者の例では、プロセッサ1110が、共通のルートクロック信号からそれぞれのクロック信号1118、1128を生成するために使用される分周値を選択することができる。場合によっては、サンプリングクロック信号1118と電力伝送クロック信号1128の周波数間の所望の関係を得るように、分周値を選択することができる。他の回路を使用して、サンプリングクロック信号1118と電力伝送クロック信号1128との間の関係を固定することもできる。様々な例では、クロック信号1118、1128の一方または両方を生成するために、遅延ロックループ、注入同期発振器および他の発振器回路を使用することができる。
【0056】
図12は、単一のサンプリングデバイス(例えば、ADC)が利用可能である場合に、本明細書に開示の特定の態様に従って採用され得るサンプリング戦略1200の一例を示している。この例では、
図11の処理回路1102を使用して、サンプリングを実行することができる。合計50個のサンプリングポイントが提供され、25個のサンプリングポイントがV
Coil1202のサンプリングに割り当てられ、25個のサンプリングポイントがI
Coil1204のサンプリングに割り当てられる。一例では、第1のサンプリングサイクル1210内の時間に捕捉されたV
Coil1202のサンプル1206ごとに、第2のサンプリングサイクル1212内の対応する時間にI
Coil1204のサンプル1208が捕捉される。サンプルは、サンプリングサイクル1210、1212の特定の位相で捕捉され、V
Coil1202のサンプル1206が第1のサンプリングサイクル1210の特定の位相で捕捉されるときに、I
Coil1204のサンプル1208が第2のサンプリングサイクル1212内の特定の位相で捕捉されるといえる。サンプリングサイクル1210、1212の位相は、V
Coil1202またはI
Coil1204の互いに異なる位相に対応し、すなわち、V
Coil1202またはI
Coil1204の各サンプリングされた位相は、各サンプリングサイクル1210、1212において複数回サンプリングされることはない。
【0057】
サンプリング周波数は、V
Coil1202およびI
Coil1204の波形における同等のリアルタイム位置が、異なるサンプリングサイクル1210、1212においてサンプリングされることを可能にするように選択され得る。図示の例では、V
Coil1202のサンプル1206が、時間1210 t=t
0で採取され、I
Coil1204のサンプル1208が、時間1210 t=t
1で採取され、t
1が、t
0からV
Coil1202の4クロックサイクル後に発生する。言い換えると、
このタイプのサンプリングは、電圧と電流を同時にサンプリングすることによって得られる結果と同等の結果を与えることができる。
【0058】
一例では、8つの電圧/電流サイクルの期間にわたって各波形の25個のサンプルを取得するために選択されたサンプリング周波数(f
s)は、次のように計算される。
【0059】
アプリケーション要件、利用可能な回路および回路機能に基づいて、他のサンプリング周波数を採用し、他のサンプリング方式を使用できることが理解されよう。サンプルは、本明細書で説明するものとは異なるシーケンスで採取することができる。いくつかの例では、交互のサンプリングポイントでサンプルを採取するように、インターリーブサンプリングを使用することもできる(例えば、1つの電圧サンプルの後に1つの電流サンプルが続く)。場合によっては、すべての電圧サンプルを1つのサンプリングサイクルで取り込み、すべての電流サンプルを別のサンプリングサイクルで取り込むこともできる。
【0060】
本開示の特定の態様によれば、伝送コイルの電力を求めるための同期サンプリングの必要性は、2以上の電力スイッチングサイクルを含むサンプリングサイクルにわたって均等に分散されるサンプリングによって満たすことができる。サンプリング方式は、電力の正確な計算を可能にするために、電流波形と電圧波形の異なる部分を特徴付けるように構成することができる。サンプリング方式は、適切なサンプリング周波数を選択することによって構成することができる。十分な数のADCモジュールが利用可能である場合、電流と電圧を同時にサンプリングすることができる。単一のADCモジュールを使用して、電流と電圧を連続的にサンプリングすることもできる。いくつかの例では、サンプリング周波数を調整することができ、または同じ繰り返される瞬間に対応する電圧と電流のサンプルを収集するときに、サンプリングポイント間に時間遅延を加えることができる。
【0061】
式3を再び参照すると、充電デバイスによって伝送される電力は、3つの項から計算することができる。第1項は、伝送コイルに供給される総電力を求めるために、電圧と電流の両方のサンプルを使用する。第2項と第3項は、伝送コイルの損失と、内部の寄生金属製または透磁性構成要素の影響に起因する損失である。損失項は、コイル電圧とコイル電流の二乗平均平方根(RMS)値に正比例する。電圧と電流のRMS値は、収集したサンプルから以下のように計算することができる。
【0062】
ワイヤレス充電デバイスは、キャリブレーションプロセス中に損失項を計算し、その後、追加の損失または新たな損失が、充電デバイスの充電面上またはその近傍に異物が置かれたことに起因すると判定することができる。ワイヤレス充電デバイスは、損失の減少が、充電面からの異物の除去に起因すると判定することができる。
【0063】
いくつかの例では、ワイヤレス充電デバイスが、様々なワイヤレス電力伝送について計算した電力損失値の履歴を蓄積することができる。履歴は、新たに計算した電力損失値が異物の存在を示すか否かを判定するためのベースライン値として使用することができる最小電力損失を確立するために使用することができる。一例では、異物に起因する電力損失値を示すために使用される1または複数の閾値電力損失値を確立するために、履歴を使用することができる。場合によっては、製造プロセス、電圧および温度(PVT)、および経時的に電力損失に影響を及ぼし得る他の要因の変動を考慮することができる統計的方法を使用して、ベースライン値を決定することができる。いくつかの例では、ワイヤレス電力伝送中のコイルの位置合わせまたは間隔を考慮するために、ベースライン値または閾値電力損失値を、伝送装置と受信装置との間の結合の品質に関連付けることができる。
【0064】
処理回路の例
図13は、バッテリをワイヤレスで充電することを可能にする充電デバイスまたは受信デバイスに組み込むことができる装置1300のハードウェア実装の一例を示している。いくつかの例では、装置1300が、本明細書に開示の1または複数の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、処理回路1302を用いて実現することができる。処理回路1302は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1または複数のプロセッサ1304を含むことができる。プロセッサ1304の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1または複数のプロセッサ1304は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1316の1つによって構成、増強または制御することができる。1または複数のプロセッサ1304は、初期化中にロードされたソフトウェアモジュール1316の組合せを通じて構成されるものであってもよく、動作中に1または複数のソフトウェアモジュール1316をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されるものであってもよい。
【0065】
図示の例では、処理回路1302が、全体としてバス1310で示されるバスアーキテクチャで実現することができる。バス1310は、処理回路1302の具体的なアプリケーションおよび全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1310は、1または複数のプロセッサ1304およびストレージ1306を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1306は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1306は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0066】
バス1310は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路もリンクすることができる。バスインターフェース1308は、バス1310と1または複数のトランシーバ1312との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1300が充電デバイスまたは受信デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1312を設けることができる。また、装置1300の性質に応じて、ユーザインターフェース1318(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティック)も提供することができ、バス1310に直接またはバスインターフェース1308を介して通信可能に結合することができる。
【0067】
プロセッサ1304は、バス1310の管理と、ストレージ1306を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1304を含む処理回路1302は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実現するために使用することができる。ストレージ1306は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1304によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0068】
処理回路1302の1または複数のプロセッサ1304は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1306に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、例えば、搬送波、伝送ライン、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、処理回路1302に存在していても、プロセッサ1304に存在していても、処理回路1302の外部にあっても、処理回路1302を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0069】
ストレージ1306は、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどにおいてソフトウェアを維持および/または編成することができ、それらは、本明細書においてソフトウェアモジュール1316と呼ばれることがある。ソフトウェアモジュール1316の各々は、処理回路1302にインストールまたはロードされて、1または複数のプロセッサ1304によって実行されると、1または複数のプロセッサ1304の動作を制御するランタイムイメージ1314に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1302に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0070】
ソフトウェアモジュール1316のいくつかは、処理回路1302の初期化中にロードされるものであってもよく、それらのソフトウェアモジュール1316は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1302を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1316は、プロセッサ1304の内部デバイスおよび/または論理回路1322を構成することができ、トランシーバ1312、バスインターフェース1308、ユーザインターフェース1318、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1316は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1302が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1312へのアクセス、ユーザインターフェース1318などを含むことができる。
【0071】
処理回路1302の1または複数のプロセッサ1304は、多機能であり、それにより、ソフトウェアモジュール1316のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1または複数のプロセッサ1304は、例えば、ユーザインターフェース1318、トランシーバ1312およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されるようにしてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1または複数のプロセッサ1304は、マルチタスク環境を提供するように構成されるようにしてもよく、それにより、複数の機能の各々が、必要に応じて1または複数のプロセッサ1304によって提供されるタスクのセットとして実現される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1304の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1320を使用して実現されるものであってもよく、それにより、各タスクは、未処理の動作の完了時にかつ/または割り込みなどの入力に応答して、1または複数のプロセッサ1304の制御をタイムシェアリングプログラム1320に戻す。タスクが1または複数のプロセッサ1304の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1320は、オペレーティングシステム、ラウンドロビンベースで制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1または複数のプロセッサ1304の制御を割り当てる機能、および/または、1または複数のプロセッサ1304の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0072】
一態様では、装置1300が、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1または複数のプロセッサ1304に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電デバイスを含むか、またはワイヤレス充電デバイスとして動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。少なくとも1のコイルは、各充電セルの電荷移動領域を介して電磁場を向けるように構成することができる。
【0073】
ワイヤレス充電デバイスは、充電デバイスの充電面に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路と、共振回路に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、コントローラとを備えることができる。コントローラは、共振回路から取り込んだ電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求め、平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力およびワイヤレス充電デバイスに付随する寄生損失の測定値を超える場合に、充電面上またはその近傍に異物があると判定するように構成することができる。場合によっては、寄生損失が、ワイヤレス充電デバイスの金属製または透磁性の構成要素に起因する。一例では、電流の各サンプルが、共振回路に流れる電流を測定することによって取得され、電圧の各サンプルが、1または複数の電力伝送コイルの電圧を測定することによって取得される。
【0074】
特定の例では、充電デバイスが、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する1または複数のサンプリングサイクルに基づいて、電流および電圧のサンプルを捕捉するように構成された1または複数のADCを含む。各サンプリングサイクルは、複数のサンプリングポイントを含むか、または規定することができる。一例では、複数のサンプリングポイントの各々が、複数のサンプリングポイントにおける他のサンプルの各々とは異なる充電電流のサイクルの位相で生じる。1または複数のADCは、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電流の第1のサンプルを捕捉し、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで電圧の第1のサンプルを捕捉するように構成された単一のADCを含む。別の例では、第1のADCが、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電流の第1のサンプルを捕捉するように構成され、第2のADCが、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電圧の第1のサンプルを捕捉するように構成される。
【0075】
特定の例では、充電デバイスがクロック生成回路を含み、このクロック生成回路が、ルートクロックを第1の整数で除算して、電流および電圧のサンプルが共振回路から捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定するサンプリングクロック周波数を有するサンプリングクロックを取得し、ルートクロックを第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロックを取得するように構成されている。この例では、第1の整数と第2の整数の最大公約数が1である。
【0076】
いくつかの態様では、ストレージ1306が命令および情報を保持し、命令が、1または複数のプロセッサ1304に、ワイヤレス充電デバイスの充電面内の1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路に充電電流を供給させるステップと、共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求めるステップと、平均伝送電力が、受信デバイスによって供給された受信電力およびワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、充電面上またはその近傍に異物があると判定するステップとを実行させるように構成されている。
【0077】
一例では、命令が、プロセッサに、第1のサンプリングサイクルおよび第2のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉させ、各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する。各サンプリングサイクルは、充電電流のサイクルの互いに異なる位相で生じる複数のサンプリングポイントを含むことができる。電流の第1のサンプルは、第1のサンプリングポイントで捕捉され、電圧の第1のサンプルは、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで捕捉される。
【0078】
別の例では、命令が、プロセッサに、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する単一のサンプリングサイクルにおいて電流および電圧のサンプルを捕捉させる。この例における各サンプリングサイクルは、充電電流のサイクルの互いに異なる位相で生じる複数のサンプリングポイントを含み、電流および電圧のサンプルは、単一のサンプリングサイクルにおける複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントで同時に捕捉される。
【0079】
図14は、本開示の特定の態様に従って充電デバイスを動作させるための方法を示すフローチャート1400である。この方法は、充電デバイス内のDSP、プロセッサまたは他のコントローラによって実行することができる。ブロック1402では、ワイヤレス充電デバイスの充電面内の1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路に充電電流を供給することができる。ブロック1404では、共振回路から捕捉された電流および電圧のサンプルを使用して、平均伝送電力を求めることができる。ブロック1406では、平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力およびワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が充電面上またはその近傍に位置していると判定することができる。一部の例では、寄生損失が、ワイヤレス充電デバイスの金属製または透磁性の構成要素に起因する。ある例では、電流の各サンプルが、共振回路に流れる電流を測定することによって得られ、電圧の各サンプルが、1または複数の電力伝送コイルに生じる電圧を測定することによって得られる。
【0080】
特定の例では、電流および電圧のサンプルが、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する1または複数のサンプリングサイクルで捕捉される。各サンプリングサイクルは、複数のサンプリングポイントを含み得る。一例では、複数のサンプリングポイントの各々が、複数のサンプリングポイントにおける他のサンプルの各々とは異なる充電電流のサイクルの位相で生じる。1または複数のサンプリングサイクルは、第1のサンプリングサイクルおよび第2のサンプリングサイクルを含み得る。電流の第1のサンプルは、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで捕捉され、電圧の第1のサンプルは、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで捕捉される。別の例では、電流および電圧のサンプルが、単一のサンプリングサイクルにおける複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントで同時に捕捉される。
【0081】
いくつかの例では、ルートクロック周波数を有するルートクロック信号がクロック生成回路に供給される。クロック生成回路は、ルートクロックを第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を有するサンプリングクロックを得ることができ、サンプリングクロック周波数が、電流および電圧のサンプルが共振回路から捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する。クロック生成回路は、ルートクロックを第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロックを得ることができる。第1の整数と第2の整数の最大公約数は1であり得る。
【0082】
いくつかの実施例は、以下の付番された条項に記載されている。
1.ワイヤレス充電デバイスを動作させる方法であって、ワイヤレス充電デバイスの充電面内に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路に充電電流を供給するステップと、共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求めるステップと、平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力およびワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が充電面上またはその近傍に位置していると判定するステップとを備えることを特徴とする方法。
2.条項1に記載の方法において、電流の各サンプルが、共振回路に流れる電流を測定することによって得られ、電圧の各サンプルが、1または複数の電力伝送コイルの電圧を測定することによって得られることを特徴とする方法。
3.条項1または条項2に記載の方法において、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する1または複数のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉するステップをさらに含み、各サンプリングサイクルが、複数のサンプリングポイントを含むことを特徴とする方法。
4.条項3に記載の方法において、複数のサンプリングポイントの各々が、複数のサンプリングポイントにおける他のサンプルの各々とは異なる充電電流のサイクルの位相で生じることを特徴とする方法。
5.条項4に記載の方法において、1または複数のサンプリングサイクルが、第1のサンプリングサイクルおよび第2のサンプリングサイクルを含み、電流の第1のサンプルが、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで捕捉され、電圧の第1のサンプルが、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで捕捉されることを特徴とする方法。
6.条項3に記載の方法において、電流および電圧のサンプルが、単一のサンプリングサイクルにおける複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントで同時に捕捉されることを特徴とする方法。
7.条項1~6の何れかに記載の方法において、ルートクロック周波数を有するルートクロック信号を提供するステップと、ルートクロック周波数を第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を得るステップであって、サンプリングクロック周波数が、共振回路から電流および電圧のサンプルが捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する、ステップと、ルートクロック周波数を第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロック周波数を得るステップとをさらに含み、第1の整数と第2の整数の最大公約数が1であることを特徴とする方法。
8.条項1~7の何れかに記載の方法において、寄生損失が、ワイヤレス充電デバイスの金属製または透磁性の構成要素に起因することを特徴とする方法。
9.充電デバイスであって、当該充電デバイスの充電面に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路と、共振回路に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、コントローラであって、共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求め、平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力および当該充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が充電面上またはその近傍に位置していると判定するように構成されたコントローラとを備えることを特徴とする充電デバイス。
10.条項9に記載の充電デバイスにおいて、電流の各サンプルが、共振回路に流れる電流を測定することによって得られ、電圧の各サンプルが、1または複数の電力伝送コイルの電圧を測定することによって得られることを特徴とする充電デバイス。
11.条項9または条項10に記載の充電デバイスにおいて、1または複数のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)をさらに含み、このアナログ/デジタルコンバータが、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する1または複数のサンプリングサイクルに基づいて電流および電圧のサンプルを捕捉するように構成され、各サンプリングサイクルが、複数のサンプリングポイントを含むことを特徴とする充電デバイス。
12.条項11に記載の充電デバイスにおいて、複数のサンプリングポイントの各々が、複数のサンプリングポイントにおける他のサンプルの各々とは異なる充電電流のサイクルの位相で生じることを特徴とする充電デバイス。
13.条項12に記載の充電デバイスにおいて、1または複数のADCが、単一のADCを含み、この単一のADCが、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電流の第1のサンプルを捕捉し、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで電圧の第1のサンプルを捕捉するように構成されていることを特徴とする充電デバイス。
14.条項11に記載の充電デバイスにおいて、1または複数のADCが、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電流の第1のサンプルを捕捉するように構成された第1のADCと、第1のサンプリングサイクルにおける第1のサンプリングポイントで電圧の第1のサンプルを捕捉するように構成された第2のADCとを含むことを特徴とする充電デバイス。
15.条項9~14の何れかに記載の充電デバイスにおいて、クロック生成回路をさらに含み、このクロック生成回路が、ルートクロック周波数を第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を得るステップであって、サンプリングクロック周波数が、共振回路から電流および電圧のサンプルが捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する、ステップと、ルートクロック周波数を第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロック周波数を得るステップであって、第1の整数と第2の整数の最大公約数が1である、ステップとを実行するように構成されていることを特徴とする充電デバイス。
16.条項9~15の何れかに記載の充電デバイスにおいて、寄生損失が、当該充電デバイスの金属製または透磁性の構成要素に起因することを特徴とする充電デバイス。
17.命令が格納されたプロセッサ可読記憶媒体であって、命令は、充電デバイス内の少なくとも1のプロセッサによって実行されると、プロセッサに、ワイヤレス充電デバイスの充電面内に1または複数の電力伝送コイルを含む共振回路に充電電流を供給するステップと、共振回路から捕捉した電流および電圧のサンプルを使用して平均伝送電力を求めるステップと、平均伝送電力が、受信デバイスによって提供される受信電力およびワイヤレス充電デバイスに関連する寄生損失の測定値を超える場合に、異物が充電面上またはその近傍に位置していると判定するステップとを実行させることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
18.条項19に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、命令が、プロセッサに、第1のサンプリングサイクルおよび第2のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉させ、各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有し、各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの互いに異なる位相で生じる複数のサンプリングポイントを含み、電流の第1のサンプルが、第1のサンプリングポイントで捕捉され、電圧の第1のサンプルが、第2のサンプリングサイクルにおける対応する第1のサンプリングポイントで捕捉されることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
19.条項19に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、命令が、プロセッサに、充電電流のサイクルの複数の期間に跨る期間を有する単一のサンプリングサイクルで電流および電圧のサンプルを捕捉させ、各サンプリングサイクルが、充電電流のサイクルの互いに異なる位相で生じる複数のサンプリングポイントを含み、電流および電圧のサンプルが、単一のサンプリングサイクルにおける複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントで同時に捕捉されることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
20.条項19に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、命令が、プロセッサに、ルートクロック周波数を第1の整数で除算して、サンプリングクロック周波数を得るステップであって、サンプリングクロック周波数が、共振回路から電流および電圧のサンプルが捕捉されるサンプリングサイクルの周波数を決定する、ステップと、ルートクロック周波数を第2の整数で除算して、充電電流の周波数を制御する充電クロック周波数を得るステップであって、第1の整数と第2の整数の最大公約数が1である、ステップとを実行させることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【0083】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1または複数」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1または複数を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。請求項の要素が「のための手段(means for)」という文言を使用して明示的に記載されていない限り、また、方法の請求項の場合には、「のためのステップ(step for)」という文言を使用して記載されていない限りは、何れの請求項の要素も、米国特許法第1の12条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】