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特表2024-530225臓器の生存性を維持するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】臓器の生存性を維持するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A01N1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509039
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022040628
(87)【国際公開番号】W WO2023023175
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,563
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511266520
【氏名又は名称】ユナイテッド セラピューティクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ バーノン モンテイロ シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ロバート スーフー
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ ジュリー グレゴール
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011CA01
4H011CB05
4H011CC01
4H011CC03
4H011CD08
(57)【要約】
システム(400)は、流体供給部(414)、圧力調整器(418)、圧力バルブ(420)、及びベントアセンブリ(422)を備える。流体供給部は出口管(416)に流体結合され、出口管は臓器環境(404)の少なくとも一部に流体結合されるように構成される。圧力調整器は、出口管を介して臓器環境内の臓器(402)に流体を供給するように構成される。供給される流体は、臓器を膨張位置に維持するために周囲より高い圧力範囲にある。圧力バルブは、出口管に流体結合され、閾値を超える流体圧力の上昇を抑制する。ベントアセンブリは、臓器環境から過剰な流体を除去し、臓器環境内に配置されたベント管と、臓器環境の外部に配置されたベントバルブとを含む。別のシステムでは、流体コンデンサが提供されてもよく、圧力コントローラは、流体バルブを通して流体(例えば、周囲空気)を流体コンデンサに供給し、流体コンデンサは流体を凝縮する(例えば、供給された流体が主に酸素となるように気体を除去する)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
一定体積の流体を含むように構成された流体供給部であって、前記流体供給部は出口管に流体結合され、前記出口管は臓器を保持するように構成された臓器環境の少なくとも一部に流体結合されるように構成された、流体供給部と;
前記出口管に流体結合された圧力調整器であって、前記臓器を膨張位置に維持するように、前記出口管から前記臓器環境に供給される前記流体の流体圧力を、周囲より高い流体圧力範囲に維持するように構成された、圧力調整器と;
前記出口管に流体結合され、閾値を超える流体圧力の上昇を抑制するように構成された圧力バルブとを備える、システム。
【請求項2】
ベントアセンブリであって、前記臓器環境内に配置されたベント管及び前記臓器環境の外側に配置されたベントバルブを備え、過剰な流体を前記臓器環境から除去するように構成された、ベントアセンブリをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体は約12cmHO~約15cmHO周囲より高い範囲内の流体圧力を有する気体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記出口管に流体結合され、前記出口管内の前記流体圧力を測定するように構成された圧力計をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記臓器は、肺である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記出口管の遠位端に流体結合され、前記臓器環境の入口に流体結合されるように構成された臓器コネクタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記臓器環境は、臓器バッグであって、前記臓器バッグ内に配置された臓器安定媒体を含み、かつ、前記臓器をその中に受け入れるように構成された少なくとも1つの臓器バッグを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コントローラであって、
前記流体圧力に関連する流体圧力値を受信し;
前記流体圧力を前記流体圧力値に維持するように前記圧力調整器を調節し;
前記コントローラの中に位置するメモリに前記流体圧力値を格納する
ように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記システムの地理的位置を決定するように構成されたグローバル位置システムと、リモートサーバに前記地理的位置を送信するように構成されたアンテナとをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記システムの状態に関する情報をデバイスリモートサーバに送るための通信モジュールをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記通信モジュールは、前記システムの温度状態又は前記システムの圧力状態を調節するために前記リモートサーバからコマンドを受信することが可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
方法であって、
システムを提供することであって、
一定体積の流体を保管するように構成された流体供給部と、
流体供給部に流体結合されるように構成された出口管と、
前記出口管に流体結合された圧力調整器と、
前記出口管に流体結合された圧力バルブと、
を備える、システムを提供することと;
臓器の少なくとも一部を臓器環境の中へ配置することと;
前記出口管の第1の端部を前記臓器環境に流体結合することと;
前記出口管の第2の端部を前記流体供給部に流体結合することと;
前記臓器の少なくとも一部を膨張位置に維持するように周囲より高い圧力範囲で前記臓器に前記流体を前記出口管を通して供給するため、前記圧力調整器を調節することとを含む、方法。
【請求項13】
前記システムは、前記出口管に流体結合され、前記出口管内の流体圧力を測定するように構成された圧力計をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記圧力計により、前記流体供給部から前記臓器に前記流体が流れるときの前記出口管内の流体圧力の値を測定することと;
前記圧力バルブにより、前記出口管内の前記流体圧力を安定化することと;
前記ベントアセンブリにより、前記臓器環境内の前記流体圧力を安定化することとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記システムは、臓器環境内に配置されたベント管及び前記臓器環境の外側に配置されたベントバルブを備えるベントアセンブリをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
システムであって、
コントローラと;
前記コントローラに結合され、一定体積の流体を含むように構成された流体供給部と;
前記コントローラに結合され、前記流体供給部と流体結合されたコンデンサであって、前記コントローラは流体を前記コンデンサに供給するように前記流体供給部を操作し、前記コンデンサは前記流体を凝縮する、コンデンサと;
第1の端部で前記コンデンサに流体結合され、遠位端で少なくとも臓器環境の一部に流体結合された流体供給ラインであって、臓器環境に流体を供給するように構成された、流体供給ラインとを備える、システム。
【請求項17】
前記流体供給ラインに流体結合され、閾値を超える流体圧力の上昇を抑制する圧力バルブと;
前記流体供給ラインに流体結合された圧力調整器であって、前記流体供給ラインから前記臓器環境に供給されている流体の流体圧力を、臓器を膨張位置に維持するために周囲より高い流体圧力範囲に維持するように構成された、圧力調整器とをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記システムの地理的位置を決定するように構成された全地球測位システムと、リモートサーバに前記地理的位置を送信するように構成されたアンテナとをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、さらに、
前記流体圧力に関連する流体圧力値を受信し;
前記流体圧力を前記流体圧力値に維持するように前記圧力調整器を調節し;
前記コントローラの中に位置するメモリに前記流体圧力値を格納する
ように構成されたコントローラである、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記コンデンサは、前記コンデンサから供給される前記流体が主に酸素であるように気体を取り除くことによって、前記流体を凝縮する、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月18日に出願された米国仮特許出願第63/234,563号明細書の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、輸送中又は保管中の臓器の生存性を維持する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
輸送用に準備された臓器については、臓器が輸送されている間、臓器の生存性及び健康を維持することが望ましい。一手法として、臓器の温度を維持するために臓器を冷却器に入れて氷で囲む静的低温保管がある。しかし、この手法では、臓器や臓器腔の低膨張(hypoinflation)や過膨張(hyperinflation)につながる様々な圧力変化が生じ、臓器の損傷につながる場合がある。このような圧力の変化は、臓器内の漏出や臓器外の圧力の変化による場合がある。臓器の損傷は、患者予後の悪化、早期死亡、臓器生存不能につながる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、システムに関する。本システムは、流体供給部、圧力調整器、及び圧力バルブを備える。流体供給部は、一定体積の流体を含むように構成され、出口管に流体結合される。出口管は、臓器環境の少なくとも一部に結合されるように構成される。臓器環境は、臓器を保持するように構成される。圧力調整器は、出口管に結合され、出口管から臓器環境に供給される流体の流体圧力を維持するように構成される。供給される流体は、臓器を膨張位置に維持するための圧力範囲にある。圧力バルブは、出口管に流体結合され、閾値を超える流体圧力の上昇を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、輸送容器から過剰な流体を除去するように構成されたベントアセンブリを含む。ベントアセンブリは、臓器環境内に配置されたベント管及び/又はベントバルブと、臓器環境の外側に配置された排出口とを含む。
【0005】
一実施形態は、方法に関する。本方法は、流体供給部、出口管、及び圧力調整器を備えるシステムを提供することを含む。流体供給部は、一定体積の流体を含むように構成される。出口管は、流体供給部に流体結合されるように構成される。圧力調整器は、出口管に結合される。圧力バルブは、出口管に結合される。本方法は、臓器の少なくとも一部を臓器環境内に配置することと、出口管の第1の端部を臓器環境の少なくとも一部に流体結合することとを含む。圧力調整器は、臓器を膨張位置に維持するように一定の流体圧力範囲で出口管を通して臓器に流体を供給するように調節される。いくつかの実施形態では、本方法は、ベントアセンブリをさらに含むシステムを提供することを含む。ベントアセンブリは、臓器環境の中へ配置されたベント管及び/又はベントバルブと、臓器環境の外側に配置された排出口とを含む。
【0006】
別の実施形態はシステムに関する。本システムは、コントローラ、流体供給部、コンデンサ、及び流体供給ラインを含む。流体供給部は、コントローラに結合され、一定体積の流体を含むように構成される。コンデンサは、コントローラに結合され、流体供給部に流体結合される。コントローラは、コンデンサへの流体供給を操作し、コンデンサは流体を凝縮する。流体供給ラインは、第1の端部でコンデンサに流体結合され、遠位端で臓器環境の少なくとも一部に流体結合される。いくつかの実施形態では、システムは、圧力バルブ及び圧力調整器を含んでもよい。圧力バルブは、流体供給ラインに流体結合され、閾値を超える流体圧力の上昇を抑制するように構成される。圧力調整器は、流体供給ラインに流体結合され、流体供給ラインから臓器環境に供給される流体の流体圧力を周囲よりも高い流体圧力に維持するように構成され、臓器を膨張位置に維持する。
【0007】
本開示は、添付図と併せて以下の詳細な説明から、より完全に理解されるものであり、同種の参照数字は、特に断りのない限り同種の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態による例示的なシステムの概略図である。
【0009】
図2図2は、一実施形態による本システムの斜視図である。
【0010】
図3図3は、一実施形態による本システムの概略図である。
【0011】
図4図4は、一実施形態による本システムの概略図である。
【0012】
図5図5は、一実施形態による、臓器の生存性を維持するためのプロセスを示すフローチャートである。
【0013】
図6図6は、一実施形態による例示的なシステムの概略図である。
【0014】
図7図7は、図6のシステムの例の概略図である。
【0015】
図8図8は、図6のシステムの例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明を通して添付図面を参照する。図面において、文脈上別段の指示がない限り、同様の符号は通常、同様の構成要素とみなす。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載された例示的な実装形態は、限定を意味するものではない。ここに提示された主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実装形態を利用し、他の変更を加えることができる。本開示の態様は、本明細書で一般的に説明され、図示されるように、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、及び設計され得、そのすべてが明示的に企図され、本開示の一部とされることが容易に理解されるであろう。
【0017】
詳細な説明
本明細書に記載の実施形態は、一般に、輸送中及び/又は保管中における臓器の生存性を維持するためのシステム及び方法に関し、特に、輸送中又は保管中に臓器の適切な圧力を維持するために、臓器の少なくとも一部に理想的な圧力範囲で流体を供給することに関する。本明細書で使用される場合、「臓器」は、臓器全体又は肺葉などの臓器の一部を指すことができる。
【0018】
移植、教育目的、研究、又は移植生存性の検査のために利用される臓器又は臓器の一部は、切除場所から、臓器又はその一部の利用が意図される場所まで搬送される場合が多い。一例として、生体外(ex vivo)肺灌流があり、肺又は肺の一部が生体外で灌流され、移植に使用するのに適しているかどうかを決定するために監視される。一般的に、臓器は輸送中、静的冷蔵保管、例えば、氷を入れた冷却器に詰めて保存される。保存液が使用されることもあり、臓器の血管系やその他の開口部(例えば、肺の気道)がクランプ又はカニュレーションされることもある。生理学的圧力又はその他の望ましい圧力を維持するための積極的な手段は存在しない。場合によっては、臓器調達担当者によっては、臓器調達時に臓器を初期膨張させないこともある。臓器は陸上輸送又は航空輸送で輸送され得る。陸上輸送中は、臓器又はその一部で起こりうる漏出のために、臓器の膨張が不足する低膨張の可能性がある。航空輸送中は、臓器は、1)漏出による低膨張、又は2)輸送中の圧力変化により臓器が過度に膨張する過膨張の可能性がある。過膨張及び/又は低膨張は、浮腫の増加、微小血管損傷、気体交換の悪化、臓器への血流回復時の組織損傷につながる可能性があり、場合によっては、輸送中に臓器又はその一部の生存性を低下又は失わせる可能性がある。場合によっては、臓器への損傷が臓器レシピエントに有害な結果をもたらすこともある。
【0019】
対照的に、理想的な圧力範囲で臓器を膨張させることを含む、本明細書に記載の生存性を維持するためのシステム及び方法は、(1)過膨張及び低膨張を制限するために臓器又はその一部の内部圧力を調整すること、(2)輸送中に周囲よりも高い圧力で臓器を膨張させること、(3)以前の使用から細菌又は他の感染因子を持ち込む可能性を減少させる使い捨てシステムを提供すること、(4)臓器の収縮を防止すること、及び(5)臓器を取り扱う際の操作者の相違の修正を提供すること、などを含む、1つ又は複数の利点を提供し得る。
【0020】
図1を参照すると、いくつかの実施形態によるシステム100が示される。システム100は、輸送中に臓器(例えば、肺、腎臓、肝臓など)の生存性を維持し、損傷を防止するために使用される。いくつかの実施形態では、システム100は、輸送中の臓器の少なくとも一部(例えば、肺葉など)の生存性を維持し、損傷を防止するために使用される。システム100は、一般に、流体(例えば、気体、液体、空気、酸素、空気/酸素混合物など)を臓器又は臓器の少なくとも一部(例えば、肺葉など)に供給して、臓器又は臓器の少なくとも一部の生存性の維持を補助する。システム100は、臓器102を含むことができる。いくつかの実施形態では、臓器102は、ヒト患者から抽出した臓器、例えば肺であってもよい。いくつかの実施形態では、臓器102は、非ヒト由来の臓器(例えば、3Dプリント臓器、グラフト臓器(grafted organ)、合成臓器、異種臓器(xeno organ)など)であってもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、臓器102の一部(例えば、肺葉、肝葉、血管部、消化器部)のみを含んでもよい。
【0021】
臓器102は、臓器環境104内に配置されている。いくつかの実施形態では、臓器環境104は無菌である。臓器環境104は、少なくとも1つの臓器バッグ106(例えば、肺バッグなど)を含む。いくつかの実施形態では、臓器バッグ106は無菌である。臓器バッグ106は、輸送のために臓器102を受け入れ、保管するように構成される。ここで、臓器102は、汚染物質(例えば、細菌、ウイルスなど)が臓器102と相互作用し、場合によっては臓器102に損傷を与えることを防止するために、臓器バッグ106内に保管され得る。臓器バッグ106は、プラスチックから形成されてもよく、臓器バッグ106内に臓器102を配置する前に、考えられる汚染物質及び細菌を除去するように処理(例えば、化学処理、蒸気処理、放射線処理など)が施されてもよい。いくつかの実施形態では、臓器バッグ106は、臓器安定化流体L1(例えば、電解質保存液、低カリウムデキストラン、細胞内保存液、薬理学的薬剤、生物学的薬剤など)を受け入れる。臓器安定化流体L1は、臓器102が臓器バッグ106に保管されている間、臓器102を保存するように構成される。いくつかの実施形態では、臓器102及び臓器安定化流体L1を含む臓器バッグ106は、少なくとも第2の臓器バッグ108内に配置される。いくつかの実施形態では、第2の臓器バッグ108は無菌である。第2の臓器バッグ108は、臓器バッグ106と構造的に同一であってもよい。いくつかの実施形態では、臓器102を含む臓器バッグ106を含む第2の臓器バッグ108と、臓器安定化流体L1は、少なくとも第3の臓器バッグ110内に配置され、第3の臓器バッグ110は、臓器バッグ106及び/又は第2の臓器バッグ108と構造的に同一であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の臓器バッグ110は無菌である。複数の臓器バッグを有することは、臓器バッグ106、108、又は110のうちの1つが故障(例えば、穴が開いた又は破裂した場合)しても、他の臓器バッグ106、108、及び/又は110が依然として流体の漏出を防止し、及び/又は臓器102の周囲の臓器環境を維持するという冗長性の利点を提供し得る。さらに、複数の臓器バッグ106、108、110は、臓器102からの熱移動を抑制することもできる。いくつかの実施形態では、バッグ106、108、及び/又は110は、箱などの他の容器に置き換えることができる。
【0022】
システム100は臓器環境マニホールド112を含む。臓器環境マニホールド112は、臓器バッグ106を外部環境から密封し、臓器環境104内で流体が漏出するのを防止するように構成される。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、臓器バッグ106を密封するように構成される。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、臓器バッグ106及び第2の臓器バッグ108を密封するように構成される。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、臓器バッグ106、第2の臓器バッグ108、及び第3の臓器バッグ110を密封するように構成される。臓器環境マニホールド112は、本明細書に記載されるように、臓器バッグ106内の圧力の調整を容易にする。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、第1の臓器バッグ106に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、第2の臓器バッグ108に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、第3の臓器バッグ110に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、第1の臓器バッグ106と第2の臓器バッグ108の組み合わせに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールド112は、第1の臓器バッグ106、第2の臓器バッグ108、及び第3の臓器バッグ110の組み合わせに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境マニホールドは存在しない。
【0023】
システム100は、流体供給部114を含む。流体供給部114は、一定体積の流体を保管するように構成される。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、圧縮ガスタンクである。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、気体コンデンサであってもよい。いくつかの実施形態では、流体供給部114が保管する気体は、空気、酸素、窒素、又はそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、約(例えば、5%以内など)50%の酸素及び約50%の空気から構成される気体を保管する。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、約40%~60%の酸素及び残りの気体(40%~60%)の空気から構成される気体を保管する。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、約25%の酸素及び約75%の空気から構成される気体を保管する。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、約75%の酸素及び約25%の空気から構成される気体を保管する。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、100%の酸素から構成される気体を保管する。いくつかの実施形態では、流体供給部114は、気体と組み合わせて薬理学的薬剤を保管する。いくつかの実施形態では、システム100は、液体(例えば、圧縮液体、生理食塩水、電解質保存液、低カリウム保存液、合成血液、代用血液、パーフルオロカーボンなど)を保管するように構成された流体供給部114を含んでもよい。一部の実施形態では、システム100は、気体(例えば、肺の気道内の圧力を維持するための空気)を保存するように構成された第1の流体供給部及び液体(例えば、肺の血管系内の圧力を維持するための液体)を保管するように構成された第2の流体供給部など、複数の流体供給部を含むことができる。
【0024】
システム100は、出口管116を含む。出口管116は、流体供給部114から流体を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、出口管116は、導管(例えば、パイプ、チューブ、ホースなど)であってもよい。出口管116はまた、流体供給部114に流体結合されてもよい。出口管116はまた、流体供給部114に結合(例えば、取付、固定、貼着、接着、流体的に、電気的に、など)されてもよい。出口管116は、遠位端で臓器102に流体結合される。出口管116は、遠位端で臓器に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、出口管は、臓器に流体結合される臓器コネクタに流体結合される。具体的には、出口管116は、一端で流体供給部114に流体結合され、流体供給部114から臓器環境マニホールド112を通って延在し、臓器102に流体結合する。出口管116が臓器環境マニホールド112を通って延在するため、臓器環境マニホールド112は、臓器バッグ106内からの流体の漏れを防止するように、出口管116の外側部分の周囲の空間を密封するように構成される。臓器環境マニホールド112は、臓器バッグ106内からの漏出を防止するために、シール(例えば、ガスケット、エラストマーゴムシールなど)を利用することができる。いくつかの実施形態では、システム100は複数の流体供給部を含み、各流体供給部は別個の出口管を有することができ、流体供給部は臓器の異なる部分、例えば気道及び血管系に流体結合することができる。各流体供給部は、各流体供給部が独自の出口管、圧力調整器、圧力バルブなどを有するなど、流体供給部114と実質的に同じように動作することができる。
【0025】
流体供給部114内の流体が液体であるいくつかの実施形態では、流体供給部114は、液体を収容するための容器を含んでもよい。そのような実施形態では、ポンプ(図示せず)、例えば、回転ポンプ、容積式ポンプ、軸流ポンプなどが、流体供給部114に流体結合されてもよく、流体供給部114から流体を受け入れる。ポンプは、流体供給部114から受け入れた流体を加圧し、加圧された流体の出口管116への流れを促進するように構成される。いくつかの実施形態では、ポンプは、本明細書に記載されるように、流体供給部114及び/又は圧力調整器に置き換えることができる。いくつかの実施形態では、ポンプは、約3mmHg~約50mmHgの範囲(2.85mmHg、3mmHg、5mmHg、10mmHg、15mmHg、20mmHg、25mmHg、30mmHg、35mmHg、40mmHg、45mmHg、50mmHg、52.5mmHgなど)で流体を加圧する。本明細書で使用する場合、X~Yの範囲には、X、Y、XとYの間の値、並びにXにほぼ等しい値及びYにほぼ等しい値が含まれる。いくつかの実施形態では、臓器バッグ106から流体供給部まで戻りラインを設けて、臓器バッグ106から流体供給部114への流体の再循環を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプは臓器の血管圧で流体を加圧する。いくつかの実施形態では、ポンプは、臓器が肺である場合、約3mmHg~約20mmHgの範囲で臓器に対する流体を加圧するように構成される。いくつかの実施形態では、ポンプは、臓器が腎臓である場合、約10mmHg~約20mmHgの範囲で臓器に対する流体を加圧するように構成される。いくつかの実施形態では、ポンプは、臓器が肝臓である場合に、約3mmHg~約50mmHgの範囲で臓器に対する流体を加圧するように構成される。
【0026】
出口管116は、流体供給部114から臓器102に流体を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、流体は、輸送中に保管されている間の臓器102の膨張を容易にする。さらに、流体は、臓器102への酸素供給を維持し、臓器102への水分供給を維持し、臓器102に栄養素、薬理学的薬剤、又は生物学的薬剤を供給し続けることができる。流体が気体を含む実施形態では、流体供給部114から出口管116によって臓器102に供給される流体は、約8cmHO~約20cmHO(例えば 7.6cmHO、8cmHO、10cmHO、12cmHO、14cmHO、16cmHO、18cmHO、20cmHO、21cmHOなど)周囲気圧より高い(以下、「周囲より高い」)範囲内で加圧され得る。いくつかの実施形態では、流体は、約12cmHO~約15cmHO周囲気圧より高い範囲内で加圧され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、システム100は圧力調整器118を含む。圧力調整器118は、出口管116に流体結合される。いくつかの実施形態では、圧力調整器118は、流体供給部114(例えば、気体供給部)に直接結合される。圧力調整器118は、出口管116を介して臓器102に流体を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力調整器118は、バルブ(例えば、呼気終末陽圧(PEEP)バルブ、逆止バルブ、圧力開放バルブ、高速応答バルブなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、圧力調整器118は、外部デバイスによって制御され得る操作バルブ(例えば、ゲートバルブ、ピンチバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、電磁バルブ、空気圧バルブなど)であってもよい。具体的には、圧力調整器118は、一定圧力閾値に設定され、該圧力閾値で流体供給部114から出口管116に流体を供給するように構成される。例えば、圧力調整器118は、一定圧力閾値に設定され、該圧力閾値で流体供給部114から出口管116への流体の流れを促進する。いくつかの実施形態では、圧力調整器118は、該圧力閾値よりも高い圧力で流体の流れを促進する。いくつかの実施形態では、圧力調整器118が設定され得る圧力閾値は、約8cmHO~約14cmHO(例えば、7.6cmHO、8cmHO、10cmHO、12cmHO、14cmHO、14.7cmHOなど)周囲より高い範囲内にある。例示的な実施形態において、圧力調整器118が12cmHOの圧力閾値に設定される場合、圧力調整器118から出口管116に供給される流体は、少なくとも12cmHOの圧力を有する。
【0028】
次いで、流体は圧力調整器118から出口管116に流れ込み、臓器102に向かう。圧力バルブ120は出口管116に流体結合される。いくつかの実施形態では、圧力バルブ120は、臓器バッグ106と圧力調整器118の間の出口管に流体結合される。圧力バルブ120は、圧力が圧力閾値を超えて上昇すると、圧力バルブ120を開いて流体供給部114から連通されている流体の一部を放出することによって、圧力調整器118と圧力バルブ120との間の流体圧力の上昇を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力バルブ120は、圧力バルブ120を開き、出口管116内の流体の一部を放出することによって、流体内の圧力上昇を抑制するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力バルブ120は、圧力バルブ120を開き、出口管116を介して臓器102内の流体の一部を放出することによって、流体内の圧力上昇を抑制するように構成される。圧力バルブ閾値は、約14cmHO~20cmHO(例えば、13.3cmHO、14cmHO、16cmHO、18cmHO、20cmHO、21cmHOなど)周囲より高い範囲内であり得る。動作中、流体が圧力バルブ120に向かって出口管116内を流れる際に、流体圧力は周囲の環境の圧力により上昇する可能性がある。流体が圧力バルブ120に到達すると、圧力バルブ120は、圧力閾値を超える流体への圧力の上昇により強制的に開放され得る。流体の圧力が圧力閾値以下になると、圧力バルブ120は、流体のさらなる流出を防ぐために閉じる。例示的な実施形態では、圧力バルブ120は、約15cmHOの圧力閾値に設定され得る。環境により、出口管116内の流体圧力が上昇し15cmHOより高くなる(例えば、17cmHOなど)可能性がある。流体が圧力バルブ120を通って流れる際に、圧力バルブ120は過剰な圧力によって開放され、流体の一部が圧力バルブ120を通って環境に放出されることを可能にする。流体の圧力が15cmHOまで低下すると、圧力バルブ120は閉じる。その後、流体は出口管116内を臓器102へと流れる。いくつかの実施形態では、臓器102内の圧力は圧力バルブの閾値よりも大きい場合がある。これにより、臓器102内の圧力が圧力バルブの閾値まで低下するように、過剰な圧力を解放するため圧力バルブ120が強制的に開放され得る。いくつかの実施形態では、臓器102内の圧力は圧力バルブの閾値未満に低下する。
【0029】
いくつかの実施形態では、臓器102が流体を受け入れると、臓器環境104内の圧力が上昇する。臓器102はまた、流体が臓器102から出て臓器環境104に入る原因となる流体の漏出をもたらす可能性のある物理的損傷を有することがある。臓器バッグ106が臓器環境104内に密封されているため、臓器環境104内の圧力が上昇し、臓器の損傷につながる可能性がある。臓器環境104内の圧力を調整するために、いくつかの実施形態では、システム100はベントアセンブリ122を含む。ベントアセンブリ122はベント管124を含む。ベント管124は、臓器環境マニホールド112を通って延在し、臓器バッグ106内に配置される。ベント管124は、臓器バッグ106内の流体の環境への流れを促進するように構成される。具体的には、ベントアセンブリ122はベントバルブ126を含む。ベントバルブ126はベント管124に流体結合され、ベント管124を介して臓器環境から流体を受け入れるように構成される。ベントバルブ126は、約1cmHO~5cmHO(例えば、0.95cmHO、1cmHO、2cmHO、3cmHO、4cmHO、5cmHO、5.25cmHOなど)の範囲内の圧力閾値に設定される。いくつかの実施形態では、ベントバルブ126は、臓器を膨張状態に保つように低圧閾値に設定され得る。動作中、流体がベントバルブ126に設定された圧力閾値を超えると、ベントバルブ126は流体によって強制的に開放される。
【0030】
図2は、一実施形態によるシステム200の斜視図である。システム200は、出口管216及び圧力調整器218を含む。圧力調整器218は、圧力調整器118と実質的に同一である。システム200は、圧力計219をさらに含む。圧力計219は、出口管内の流体の圧力を測定し、出口管216内の圧力を表示するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力計219はデジタル圧力計であってもよい。圧力計219は、出口管216内の流体の圧力が、約8cmHO~約14cmHO(例えば、7.6cmHO、8cmHO、10cmHO、12cmHO、14cmHO、14.7cmHOなど)周囲より高い範囲内にあることを確認するように構成される。例えば、圧力調整器218に欠陥があり、加圧流体を供給していない場合、圧力計219は、約8cmHO未満の圧力を読み取る場合がある。システム200は、圧力バルブ220及びベントアセンブリ222を含む。ベントアセンブリ222は、ベント管224及びベントバルブ226を含む。圧力調整器218、圧力バルブ220、並びにベント管224及びベントバルブ226を含むベントアセンブリ222は、それぞれ、圧力調整器118、圧力バルブ120、並びにベント管124及びベントバルブ126を含むベントアセンブリ122と実質的に同一であるため、本明細書ではこれ以上詳細に記載しない。
【0031】
システム200の出口管216は、流体供給部(図示せず)から流体を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、出口管216は、流体が圧力調整器218を通過すると、流体を受け入れる。出口管216は、流体供給部から臓器コネクタアセンブリ228まで延在し、それに結合される。具体的には、臓器コネクタアセンブリ228は、遠位端で出口管216に流体結合される。
【0032】
臓器コネクタアセンブリ228は、臓器環境内の臓器に流体を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、臓器コネクタアセンブリ228は、流体が臓器を取り囲むように輸送容器104に流体を供給するように構成される。臓器コネクタアセンブリ228は、臓器コネクタ管230を含む。臓器コネクタ管230は、出口管216に結合され、出口管216から流体を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ管230は、流体の漏出を防止するように出口管216に結合される。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ管230は、流体の漏出を防止するために臓器コネクタ管230と出口管216との間に配置されたシールを含んでもよい。臓器コネクタアセンブリ228は、臓器コネクタ232を含む。臓器コネクタ232は、一端部で臓器コネクタ管230に結合されており、臓器コネクタ管230から流体を受け入れる。別の端部では、臓器コネクタ232は、臓器(図示せず)に結合される。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ232は、臓器の入口に結合される。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ232は、針であってもよい。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ232は、可撓性カテーテルであってもよい。動作中、臓器コネクタ232は、臓器コネクタ管230から流体を受け入れ、臓器を膨張させ、臓器に酸素を供給し、及び/又は臓器に水分を供給するように、臓器に流体を供給する。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ232は、気管と結合される。いくつかの実施形態では、臓器コネクタ232は、主幹気管支と結合される。
【0033】
図3を参照すると、システム300の概略図が描かれている。システム300は、臓器安定化流体L3とともに配置された臓器302と、少なくとも1つの臓器バッグ306を含む臓器環境304とを含む。いくつかの実施形態では、臓器環境304は、第2の臓器バッグ308を含んでもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境304は、第3の臓器バッグ310を含んでもよい。システム300は、臓器環境マニホールド312を含む。臓器302、臓器安定化流体L3、臓器環境304、臓器バッグ306、第2の臓器バッグ308、第3の臓器バッグ310、及び臓器環境マニホールド312は、それぞれ、臓器102、臓器安定化流体L1、臓器環境104、臓器バッグ106、第2の臓器バッグ108、第3の臓器バッグ110、及び臓器環境マニホールド112と実質的に同一でもよく、したがって、本明細書ではこれ以上詳細に記載しない。
【0034】
システム300は、輸送容器313を含む。輸送容器313は、臓器302を含む臓器環境304を受け入れ、臓器環境304及び臓器302を外部の損傷から保護するように構成される。いくつかの実施形態では、輸送容器313は、本明細書に記載されるように、臓器の温度を維持するように構成された冷却器である。いくつかの実施形態では、輸送容器313は臓器環境304である。輸送容器313は、約12インチ(30.48cm)~24インチ(60.96cm)の範囲(例えば、11.4インチ(28.956cm)、12インチ(30.48cm)、13インチ(33.02cm)、14インチ(35.56cm)、15インチ(38.10cm)、16インチ(40.64cm)、17インチ(43.18cm)、18インチ(45.72cm)、19インチ(48.26cm)、20インチ(50.80cm)、21インチ(53.34cm)、22インチ(55.88cm)、23インチ(58.42cm)、24インチ(60.96cm)、24.7インチ(62.738cm)など)の内側の長さを有することができる。輸送容器313は、約10インチ(25.4cm)~16インチ(40.64cm)の範囲(例えば、9.6インチ(24.384cm)、10インチ(25.4cm)、11インチ(27.94cm)、12インチ(30.48cm)、13インチ(33.02cm)、14インチ(35.56cm)、15インチ(38.1cm)、16.8インチ(42.672cm)など)の内側の幅を有することができる。いくつかの実施形態では、輸送容器313は、約10インチ(25.4cm)~16インチ(40.64cm)(例えば、9.2インチ(23.368cm)、10インチ(25.4cm)、11インチ(27.94cm)、12インチ(30.48cm)、13インチ(33.02cm)、14インチ(35.56cm)、15インチ(38.1cm)、16インチ(40.64cm)、16.6インチ(42.164cm)など)の範囲の深さを有することができる。
【0035】
システム300は、流体供給部314、出口管316、圧力調整器318、圧力計319、圧力バルブ320、並びにベント管324及びベントバルブ326を含むベントアセンブリ322を含む。流体供給部314、出口管316、圧力調整器318、圧力バルブ320、並びにベント管324及びベントバルブ326を含むベントアセンブリ322は、それぞれ、流体供給部114、出口管116、圧力調整器118、圧力計219、圧力バルブ120、並びにベント管124及びベントバルブ126を含むベントアセンブリ122と実質的に同一であってもよく、したがって、本明細書ではこれ以上詳細に記載しない。いくつかの実施形態では、ベントバルブ126は、無菌を維持するためのフィルタであってもよい。
【0036】
システム300は、温度調整部327(例えば、氷、ドライアイス、冷却流体、相変化材料など)を含む。温度調整部327は、臓器を約0℃~約10℃の範囲内の温度範囲(例えば、-0.05℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、12.5℃など)に冷却するように構成される。ここで、温度調整部327は、輸送中の臓器内の代謝を低下させ、細胞死を抑制するように、臓器を冷却する。
【0037】
システム300は、臓器コネクタアセンブリ328を含む。臓器コネクタアセンブリは、臓器コネクタ管330及び臓器コネクタ332を含む。臓器コネクタ管330及び臓器コネクタ332を含む臓器コネクタアセンブリ328は、それぞれ、臓器コネクタ管230及び臓器コネクタ232を含む臓器コネクタアセンブリ228と実質的に同一であるため、本明細書ではこれ以上詳細に記載しない。
【0038】
図4を参照すると、システム400の概略図が描かれている。システム400は、臓器安定化流体L4とともに配置された臓器402と、少なくとも1つの臓器バッグ406を含む臓器環境404とを含む。いくつかの実施形態では、臓器環境404は、第2の臓器バッグ408を含んでもよい。いくつかの実施形態では、臓器環境404は、第3の臓器バッグ410を含んでもよい。システム400は、臓器環境マニホールド412、輸送容器413、出口管416、圧力調整器418、圧力バルブ420、並びにベント管424、ベントフィルタ425及びベントバルブ426を含むベントアセンブリ422、温度調整部427、並びに臓器コネクタ管430及び臓器コネクタ432を含む臓器コネクタアセンブリ428を含む。臓器402、臓器安定化流体L4、臓器環境404、臓器バッグ406、第2の臓器バッグ408、第3の臓器バッグ410、臓器環境マニホールド412、輸送容器413、並びに臓器コネクタ管430及び臓器コネクタ432を含む臓器コネクタアセンブリ428は、臓器102、臓器安定化流体L1、臓器環境104、臓器バッグ106、第2の臓器バッグ108、第3の臓器バッグ110、臓器環境マニホールド112、輸送容器313、並びに臓器コネクタ管230及び臓器コネクタ232を含む臓器コネクタアセンブリ228とそれぞれ実質的に同一であるため、本明細書ではこれ以上詳しく記載しない。
【0039】
システム400は、流体供給部414を含む。流体供給部414は、流体を保管し、出口管416を介して臓器に流体を供給するように構成される点で、流体供給部114と実質的に同一である。いくつかの実施形態では、流体供給部414は輸送容器413内に収納されている。具体的には、流体供給部414は、流体供給部414内の流体が臓器402に流れる前に冷却され得るように、温度調整部427内に収納される。これにより、輸送中の臓器402の生存性を高める臓器402の追加冷却が可能になる。
【0040】
さらに、システム400は、コントローラ434(例えば、制御回路、プログラマブルロジックボード、ドライバなど)を含む。圧力調整器418及び圧力計419は、コントローラ434に電気的に又は通信可能に結合される。コントローラ434は、圧力調整器418を制御して、流体圧力を、約8cmHO~約20cmHO(例えば、7.6cmHO、8cmHO、10cmHO、12cmHO、14cmHO、16cmHO、18cmHO、20cmHO、21cmHOなど)周囲より高い範囲内の流体圧力値に維持するように構成される。流体が液体を含むいくつかの実施形態では、コントローラ434は、臓器に伝達される液体の供給及び圧力を制御するため、ポンプを制御するように構成され得る。
【0041】
コントローラ434は、処理回路435を含む。処理回路435は、プロセッサ436及びメモリ438を含む。プロセッサ436は、マイクロプロセッサ、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)など、又はそれらの組み合わせを含むことができる。メモリ438は、電子式、光学式、磁気式もしくは他の任意の記憶デバイス、又はプロセッサ、ASIC、FPGAなどにプログラム命令を提供することができる送信デバイスを含むことができるが、これらに限定されない。このメモリ438は、メモリチップ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、又はコントローラ434が命令を読み出すことができる他の任意の適切なメモリを含むことができる。命令は、任意の適切なプログラミング言語のコードを含むことができる。メモリ438は、プロセッサ436によって実行されるように構成された命令を含む様々なモジュールを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ438は、流体供給部414内に保管され得る様々な流体の圧力範囲を含む。いくつかの実施形態では、メモリ438は、温度範囲を含む。
【0042】
動作中、コントローラ434は、プロセッサ436を介して、圧力計419に、測定を実施し、流体圧力値を得るためのコマンドを電気的に送信する。圧力計419は、コマンドを受信し、流体圧力値を取得し、流体圧力値をコントローラ434に送信する。コントローラ434は、プロセッサ436を介して流体圧力値を受信し、流体圧力値をメモリ438に格納する。コントローラ434は、プロセッサ436を介して、流体供給管416内の流体の圧力範囲と、流体圧力値とをメモリ438から取り出し、流体圧力値を圧力範囲と比較する。いくつかの実施形態では、コントローラ434は、流体圧力値が圧力範囲の上限よりも大きいと判定する。ここで、コントローラ434は、流体の圧力が低下するように圧力調整器418を調節し、流体の圧力が圧力範囲内に維持され得るように圧力バルブ420が過剰な圧力を排出する。いくつかの実施形態では、コントローラ434は、流体の圧力値が圧力範囲内にあると判定し、圧力調整器418を調節しないことがある。いくつかの実施形態では、コントローラ434は、流体の圧力値が圧力範囲の下限未満であると判定する場合があり、流体の圧力を上昇させるために流体供給部414からより多くの流体が流れるように圧力調整器418を調節する。
【0043】
いくつかの実施形態では、コントローラ434は、全地球測位システムセンサ440(例えば、GPS(Global Positioning System)、経路情報センサなど)(以下、「GPSセンサ」)を含むことができる。GPSセンサ440は、システム400の位置を感知するように構成される。いくつかの実施形態では、GPSセンサ440は、システム400の地理的位置を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、GPSセンサ440は、システム400の正確な経度及び緯度座標を決定してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ434は、アンテナ442(例えば、受信機、トランスポンダなど)を含む。いくつかの実施形態では、システム400は、リモートサーバ446を含む。ここで、アンテナ442は、無線経路444を介して、リモートサーバ446に無線接続されている。リモートサーバ446は、システム400の位置を受信するように構成される。動作中、コントローラ434はプロセッサ436を介してGPSセンサ440を作動させる。GPSセンサ440は、システム400の位置を検出し、その位置をプロセッサ436に送信する。プロセッサ436は、その位置をアンテナ442に送信する。アンテナ442は、無線経路444を通じてリモートサーバー446に位置を送信する。リモートサーバー446は、システム400の位置を受信する。いくつかの実施形態では、リモートサーバ446は、ユーザに対してシステム400の位置を表示するディスプレイを有してもよい。いくつかの実施形態では、リモートサーバ446は、1つ又は複数のユーザデバイス(例えば、携帯電話、タブレット、リモートサーバなど)に位置を送信することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、コントローラ434は、少なくとも1つの他のデバイスとの一方向通信又は双方向通信を可能にする通信機能を含む。例えば、コントローラ434は、システム400又は臓器402の状態(例えば、圧力及び温度)などの情報を、任意の適切な方法、例えば、セルラー通信、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)を使用して、別のデバイスに報告することができる。情報は、中間デバイス、例えばサーバを用いてデバイスに中継することができる。いくつかの実施形態では、デバイスを使用して、温度や圧力を変更する命令などのコマンドや命令をコントローラに送信することができる。このようにして、システム400の状態、より具体的には臓器402の状態を、輸送中に監視及び/又は制御することができる。システム400は、ラップトップ又はモバイルデバイス、例えば携帯電話又はタブレットを使用するなどして、臓器402の状態を監視及び/又は調節するためのコンピュータインターフェースを含むことができる。いくつかの実施形態では、システム400は、飛行中の無線伝送に関する制限に従うために、ある速度(例えば、130mph)を超えると特定の無線伝送(例えば、セルラー等)をオフにし、デバイスの速度がある速度を下回ると再開するように構成される。
【0045】
図5を参照すると、一実施形態による、臓器の生存性を維持する方法500を示すフローチャートが示されている。動作502において、臓器の生存性を維持するためのシステムが提供される。このシステムは、一定体積の流体を保管するように構成された流体供給部と、流体供給部に流体結合されるように構成された出口管と、出口管に流体結合された圧力調整器と、出口管に流体結合された圧力バルブと、臓器環境内に配置されるように構成されたベント管及び臓器環境の外側に配置されるように構成されたベントバルブを含むベントアセンブリと、を含む。いくつかの実施形態では、システムは、出口管に流体結合される圧力計を含んでもよい。いくつかの実施形態では、システムは、システム100、200、300、400、又は本明細書に記載される他の任意のシステムを含んでもよい。
【0046】
504において、臓器の少なくとも一部が臓器環境内に配置される。いくつかの実施形態では、臓器環境は、臓器安定化媒体を含む少なくとも1つの臓器バッグを含むことができる。いくつかの実施形態では、臓器環境は複数の臓器バッグを含んでもよい。506において、システムの出口管の第1の端部が、臓器の少なくとも一部に流体結合される。いくつかの実施形態では、出口管は、臓器の少なくとも一部に流体結合する臓器コネクタアセンブリに接続されてもよい。
【0047】
508において、出口管の第2の端部が流体供給部に流体結合される。510において、流体供給部から臓器の少なくとも一部への流体の流れを促進するために、圧力調整器が調節される。具体的には、圧力調整器は、所定の圧力閾値に設定され、出口管内の流体が該圧力閾値を超えた場合に圧力調整器が出口管から環境への流体の流れを促進するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力調整器後の出口管内の流体の圧力は、周囲の環境のために上昇する可能性がある。ここで、システムに含まれる圧力バルブは、出口管内の圧力を安定させるために、過剰な流体の除去を容易にする。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法500は、512において、臓器環境の中へベントアセンブリを配置することも含む。ベントアセンブリは、臓器環境内の流体圧力を安定化させるように構成される。具体的には、ベントアセンブリは、臓器環境内に配置されるベント管を含むことができる。さらに、ベントアセンブリは、ベント管に流体結合され、臓器環境内の過剰な流体をベント管を介して周囲環境に解放するように構成されたベントバルブを含むことができる。
【0049】
図6~8を参照すると、システム600の概略図が描かれている。システム600は、臓器安定化流体L5内に配置された臓器602と、少なくとも1つの臓器バッグ606を含む臓器環境606とを含む。いくつかの実施形態では、臓器環境606は1つ又は複数の臓器バッグ606を含む。臓器環境システム606は、輸送容器608を含む。輸送容器608、少なくとも1つの臓器バッグ606、臓器安定化流体L5、臓器環境604、及び臓器602は、輸送容器313、少なくとも1つの臓器バッグ102、臓器安定化流体L1、臓器環境104、及び臓器102と実質的に同一であるため、これ以上詳細に説明しない。
【0050】
システム600は、コントローラ610(例えば、制御回路、プログラマブルロジックボード、ドライバなど)を含む。コントローラ610は、輸送容器608に結合されてもよい。コントローラ610は、コントローラ434と実質的に同一である。コントローラ610は、流体コンデンサ612、圧力計614、圧力コントローラ616、流体入力ライン618、ベント供給ライン620、流体バルブ622、及びベントバルブ624に結合される。圧力計614は、圧力計219と実質的に同一であるため、これ以上詳細には記載しない。いくつかの実施形態では、流体コンデンサ612は、流体供給部114が気体コンデンサである場合の流体供給部114と同様である。
【0051】
動作中、圧力コントローラ616は、臓器602に流体を供給するように操作される。圧力コントローラ616は、周囲の大気からの流体(例えば、周囲空気、酸素など)が流体バルブ622を通って流体コンデンサ612に流れるように流体バルブ622を操作する。その結果、圧力コントローラ616は、臓器602を取り囲む流体の圧力を制御することができる。流体コンデンサ612(例えば、酸素コンデンサ、気体コンデンサなど)が流体を凝縮(例えば、窒素を除去、二酸化炭素を除去、ネオンを除去、水素を除去など)し、凝縮した流体を流体入力ライン618に供給する。例示的な実施形態において、流体コンデンサ612は、流体バルブ624から流体を受け入れ、流体が主に酸素であるように窒素をフィルタリングする。いくつかの実施形態では、流体コンデンサ612は、流体バルブ622を通って流れる流体を、流体供給部(例えば、流体供給部114、流体供給部214、流体供給部314、流体供給部414など)からの流体と組み合わせることができる。流体は、臓器602が望ましい状態(例えば、膨張した状態など)になるように、流体供給ライン618を通って臓器602に流入する。臓器602が所望の状態に維持されると、過剰な流体は、ベント供給ライン620を通り、大気中にベントバルブ624を通って流れる。
【0052】
本明細書で使用される「結合された(coupled)」などの用語は、2つの構成要素が互いに直接的に又は間接的に接合することを意味する。そのような接合は、固定的(例えば、永久的)であってもよく、可動的(例えば、取り外し可能又は解放可能)であってもよい。そのような接合は、2つの構成要素、又は2つの構成要素及び任意の付加的な中間構成要素が、単一のユニット体として互いに一体的に形成されている状態で、2つの構成要素、又は2つの構成要素及び任意の付加的な中間構成要素が互いに取り付けられている状態で、達成され得る。
【0053】
本明細書で使用される「流体結合された(fluidly coupled to)」などの用語は、介在する構成要素又は物体の有無にかかわらず、2つの構成要素又は物体の間に、空気、気体、液体等の流体が流れ得る経路が形成されていることを意味する。
【0054】
様々な例示的な実装形態に示された様々なシステムの構造及び配置は、例示的なものに過ぎず、特徴を限定するものではないことに留意することが重要である。記載された実装形態の精神及び/又は範囲内に入る全ての変更及び修正が保護されることが望まれる。いくつかの特徴は必須でなくてもよく、様々な特徴を欠く実装形態も本開示の範囲内として企図され得、その範囲は以下の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。「一部(a portion)」という語が使用される場合、特に反対の記載がない限り、項目は、一部及び/又は項目全体を含み得る。
【0055】
また、用語「又は(or)」及び「もしくは(or)」は、要素のリストの文脈では、その包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されるため、要素のリストを接続するために使用される場合、用語「又は」及び「もしくは」は、リスト内の要素の1つ、複数、又はすべてを意味する。「X、Y、Zのうち少なくとも1つ」というような接続詞は、特に断りのない限り、ある項目、用語などが、X、Y、Z、X及びY、X及びZ、Y及びZ、又はX及びY及びZ(すなわち、X、Y及びZの任意の組み合わせ)のいずれかとし得ることを伝えるために一般的に使用されるものとして、文脈とともに理解される。したがって、このような接続詞は、特に指示がない限り、ある実施形態が、少なくとも1つのXと、少なくとも1つのYと、少なくとも1つのZと、のそれぞれが存在することを要件とすることを一般に意味するものではない。
【0056】
さらに、本明細書における値の範囲(例えば、W1~W2など)の使用は、特に指示がない限り、それらの最大値及び最小値を含む(例えば、W1~W2は、W1及びW2を含むなど)。さらに、値の範囲(例えば、W1~W2など)は、特に指示がない限り、値の範囲内の中間値を必ずしも含む必要はない(例えば、W1~W2は、W1及びW2のみを含み得るなど)。
図1
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【国際調査報告】