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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】熱伝達組成物、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20240808BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20240808BHJP
   C10M 107/24 20060101ALI20240808BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240808BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20240808BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
C09K5/04 F
C09K5/04 E
C10M105/38
C10M107/24
F25B1/00 396Z
C10N30:00 A
C10N40:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509112
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022074966
(87)【国際公開番号】W WO2023023483
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,184
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/872,434
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、カイミ
(72)【発明者】
【氏名】タングリ、ヘンナ
(72)【発明者】
【氏名】セティ、アンキット
(72)【発明者】
【氏名】ハルス、ライアン
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BB34A
4H104CB02A
4H104LA11
4H104PA20
(57)【要約】
本発明は、少なくとも約98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒組成物であって、各化合物が、以下の相対百分率、33.0重量%~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、48.5重量%~67.0重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1.0重量%~6.0重量%のフルオロエタン(HFC-161)で存在する、冷媒組成物、並びに空調、冷房用途、及びヒートポンプ用途を含む熱交換システムにおける冷媒の使用、並びに加熱用途及び冷却用途のための冷媒R-410A又はR-32又はR-454Bの代替品としての、そのような組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
33.0重量%~43.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
48.5重量%~67.0重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び
1.0重量%~6.0重量%のフルオロエタン(HFC-161)で存在し、前記冷媒がクラス2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、冷媒。
【請求項2】
以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
40重量%~45重量%のHFC-32、
49重量%~55重量%のHFO-1234yf、及び
1.0重量%~6.0重量%のHFC-161で存在する、冷媒。
【請求項3】
以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物が、以下の相対百分率、
41.5重量%~44.5重量%のHFC-32、
49.5重量%~53.5重量%のHFO-1234yf、及び
2.0重量%~6.0重量%のHFC-161で存在する、請求項2に記載の冷媒。
【請求項4】
以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%+0.5/-2重量%のHFC-32、
52.5重量%+1/-2重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%+1/-2重量%のHFC-161で存在する、請求項3に記載の冷媒。
【請求項5】
以下の3つの化合物からなり、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%+0.5/-2重量%のHFC-32、
52.5重量%+1/-2重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%+1/-2重量%のHFC-161で存在する、請求項4に記載の冷媒。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の冷媒を蒸発させることを含む、熱伝達の方法であって、前記冷媒が、5℃未満の蒸発器グライドを有する、方法。
【請求項7】
前記冷媒が、4℃未満の蒸発器グライドを有する、請求項6に記載の冷媒。
【請求項8】
請求項5に記載の冷媒と、POE及びPVEから選択される少なくとも1種の潤滑剤とを含む、熱伝達組成物。
【請求項9】
圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、を備え、かつ請求項8に記載の熱伝達組成物を含む、熱伝達システム。
【請求項10】
前記熱伝達システムが、住宅用空調、商用空調、冷却器、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム、中温冷房、及び低温冷房のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の熱伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年7月25日に出願された米国特許出願第17/872434号及び2021年8月20日に出願された米国仮特許出願第63/235,184号の優先権の利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、熱伝達用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関し、特に、定置式空調及びヒートポンプシステムにおいて有益であり、特定の態様において、(1)定置式空調及びヒートポンプシステム、中温冷房システム、及び低温冷房システムにおけるR-410Aの代替品として、並びに(2)定置式空調及びヒートポンプシステム、中温冷房システム、及び低温冷房システムにおけるR-32及びR454Bの代替品又はレトロフィットとしてなど、様々な加熱及び冷却用途のための冷媒R-410Aの代替品としての冷媒組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
工業用、商用、及び家庭用の機械式冷房システム、並びにヒートポンプ、冷却器、及び空調機などの関連する熱伝達デバイスが、当技術分野で周知である。いくつかのフルオロカーボン系流体が、空調、ヒートポンプ、及び冷房システムなどのシステムにおける作動流体としてのものを含む、多くの住宅用、商用、及び工業用途において幅広い使用を見出されている。これらの用途でこれまで使用されてきた、いくつかのハイドロフルオロカーボン(「hydrofluorocarbon、HFC」)系組成物の使用に関連する比較的高い地球温暖化係数を含む、特定の懸念される環境問題の理由から、300未満の地球温暖化係数(「global warming potential、GWP」)を有する流体を使用することが、ますます望ましくなっている。
【0004】
多くの用途において一般的に使用されてきた冷媒は、R-410A(ペンタフルオロエタン(HFC-125)及びジフルオロメタン(HFC-32)の重量基準で50:50のブレンド)である。R-410Aは、推定で2088のGWPを有する。
【0005】
概して、R-410Aの、任意の可能性のある300未満のGWPの代替物はまた、とりわけ、優れた熱伝達特性、化学的安定性、許容可能な軽度な可燃性又は不燃性、及び潤滑剤相溶性など、最も広く使用されているHFC系流体の多くに存在するこれらの性質も有するべきであることが、重要であると考えられている。
【0006】
使用効率に関しては、冷媒の熱力学性能又はエネルギー効率の喪失は、電気エネルギーの需要の増加の結果として化石燃料の使用量の増加がもたらされることにより、二次的な環境への影響を有し得ることに留意することが重要である。換言すれば、300未満のGWPを有する提案された新規の冷媒は、それでもなお、使用効率など、提案された新規の流体の別の特性が、同じレベルの冷房を達成するためにより高い燃料燃焼を必要とすることなどにより、環境排出の間接的な増加をもたらす場合、それが取って代わる流体ほど環境に優しくない可能性がある。したがって、代替品の選択は、予測可能な結果をもたらし得ない、複雑で困難な取り組みであることが分かる。
【0007】
更に、HFC冷媒代替物が、HFC冷媒を用いて現在使用されている従来の蒸気圧縮技術に対して、大きな工学的変更を伴わずに、又は圧縮機及び場合により少数の他の構成要素に変更を限定して有効であることが望ましいと、全般的に考えられている。
【0008】
蒸気圧縮式熱伝達システム中を循環する潤滑剤がその意図される潤滑機能を行うために圧縮機に戻されることが、システム効率の維持及び圧縮機の適切かつ確実な働きについて重要である。そうでなければ、潤滑剤が堆積し、熱伝達部品中を含む、システムのコイル及びパイプの中に留まる可能性がある。更に、潤滑剤が蒸発器の内面に堆積すると、蒸発器の熱交換効率が低下し、それによりシステムの効率が低減される。これらの理由から、多くのシステムについて、冷媒が、少なくともシステムの動作温度範囲にわたって、システムに用いられる潤滑剤と混和性であることが望ましい。
【0009】
上述の特性の多く又は全てを一度に達成することができる冷媒を達成する困難性は、例えば、中国特許第102746525号(「CN525」)に開示されている冷媒によって説明される。具体的には、「CN525」は、多数の冷媒ブレンドを開示しており、これらの冷媒の中には、R32、R161、及びHFO1234yfの組み合わせを含むブレンドが含まれ、各化合物の量は、規定の範囲内である。そのようなブレンド中のR161の最小量は20重量%であると開示されており、R32の最大量は20重量%であると開示されている。出願人らが実施した試験の結果として、以下に詳細に説明されるように、この冷媒ブレンドは、上記で特定した重要な特性のうちの少なくとも1つに欠けており、本発明による新規な冷媒は、予想外にも、特に不燃性を含む、CN525の教示に従うことによっては可能でない重要な特性の達成困難な組み合わせを達成することができる。
【発明の概要】
【0010】
出願人らは、本発明の組成物が、ほんのわずかに可燃性であり(すなわち、ANSI/ASHRAE 34-2019,Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って2L分類を有する)、許容可能な毒性を有し(ASHRAE 34に基づいてクラスAである)、R-410Aに対して冷却効率及び能力において僅差で一致し、好ましくは、過度に高くないグライドも有する、R-410Aの、300未満のGWPの代替物(alternatives)及び/又は代替品(replacements)の必要性を、例外的かつ予想外の方法で満たすことを見出した。本明細書で使用される場合、「300未満(sub-300)のGWP」という用語は、300以下のGWP(以下に記載されるように測定される)を有する冷媒を指すために便宜上使用される。
【0011】
本発明は、少なくとも98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
33.0重量%~45重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
48.5重量%~67.0重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び
1.0重量%~7.0重量%未満のフルオロエタン(HFC-161)で存在する、冷媒を、当該冷媒がクラスA2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、という条件で含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、冷媒1と呼ばれることがある。
【0012】
本発明は、少なくとも98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
40重量%~45重量%のHFC-32、
50重量%~55重量%のHFO-1234yf、及び
1.0重量%~6.0重量%のHFC-161で存在する、冷媒を、当該冷媒がクラスA2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、という条件で含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒2」と呼ばれることがある。
【0013】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
33.0重量%~45重量%のHFC-32、
48.5重量%~67.0重量%のHFO-1234yf、及び
1.0重量%~6.0重量%のHFC-161で存在する、冷媒を、当該冷媒がクラスA2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、という条件で含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒3」と呼ばれることがある。
【0014】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
40重量%~45重量%のHFC-32、
50重量%~55重量%のHFO-1234yf、及び
1.0重量%~6.0重量%のHFC-161で存在する、冷媒を、当該冷媒がクラスA2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、という条件で含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒4」と呼ばれることがある。
【0015】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
41.5重量%~44.5重量%のHFC-32、
49.5重量%~53.5重量%のHFO-1234yf、及び
2.0重量%~6.0重量%のHFC-161で存在する、冷媒、を含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒5」と呼ばれることがある。
【0016】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%+0.5/-2重量%のHFC-32、
52.5重量%+2/-0.5重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%+0.5/-2重量%のHFC-161で存在する、冷媒、を含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒6」と呼ばれることがある。
【0017】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%+0.5/-2重量%のHFC-32、
52.5重量%+2/-0.5重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%+0.5/-2重量%のHFC-161で存在する、冷媒、を含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒7」と呼ばれることがある。
【0018】
本発明は、以下の3つの化合物から本質的になる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%+0.5/-2重量%のHFC-32、
51.5重量%+2/-0.5重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%+0.5/-2重量%のHFC-161で存在する、冷媒を、当該冷媒がクラスA2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、という条件で含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒8」と呼ばれることがある。
【0019】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%のHFC-32、
52.5重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%のHFC-161で存在する、冷媒、を含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒9」と呼ばれることがある。
【0020】
本発明は、以下の3つの化合物からなる冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%のHFC-32、
52.5重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%のHFC-161で存在し、当該冷媒がクラスA2L冷媒でありかつ300未満のGWPを有する、冷媒、を含む。この段落に記載される冷媒は、便宜上、「冷媒10」と呼ばれることがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】空調、低温冷房、及び中温冷房にて有用な、例示的な熱伝達システムの概略図である。
図2】低温及び中温冷房にて有用であり、蒸気注入器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
図3】低温及び中温冷房にて有用であり、液体注入器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
図4】低温及び中温冷房にて有用であり、吸引ライン/液体ライン熱交換器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
図5】低温及び中温冷房にて有用であり、蒸気注入器及び油分離器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義:
本発明の目的では、2%を超える量について重量%で表現される量に関係する「約」という用語は、成分の量が、±2重量%の量だけ変動する可能性があることを意味する。
【0023】
本発明の目的では、摂氏度(℃)の温度に関する「約」という用語は、規定温度が±5℃の量で変動し得ることを意味する。
【0024】
「能力」という用語は、冷房システムにおいて、冷媒によってBTU/時間単位で提供される冷却の量である。これは、冷媒が蒸発器を通過する際の冷媒のBTU/ポンド単位でのエンタルピーの変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって、実験的に決定される。エンタルピーは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷却システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の体積流量に対する熱量を送出する圧縮機のある程度の性能を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0025】
「成績係数」という語句(以下「COP」)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおいて冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷却工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって加えられるエネルギーに対する有効な冷却(refrigeration)又は冷却(cooling)能力の比率を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の体積流量に対する熱量を送出する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の動作条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段は、標準的な冷却サイクル分析技術を用いた冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0026】
「吐出温度」という語句は、圧縮機の出口における冷媒の温度を指す。低い吐出温度の利点は、好ましくは圧縮機部品を保護するように設計されたシステムの熱防御面を作動させることなく既存の設備の使用を可能にし、吐出温度を下げるための液体注入などの高価な制御装置の使用を回避することである。
【0027】
「地球温暖化係数」(以下「GWP」)という語句は、様々な気体の地球温暖化への影響を比較することを可能にするために開発された。具体的には、ある気体の1トンの排出が、二酸化炭素の1トンの排出に対して相対的に、所与の期間にわたってどのくらいのエネルギーを吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の排出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。http://www.protocolodemontreal.org.br/site/images/publicacoes/setor_manufatura_equipamentos_refrigeracao_arcondicionado/Como_calcular_el_Potencial_de_Calentamiento_Atmosferico_en_las_mezclas_de_refrigerantes.pdfを参照のこと。
【0028】
「職業曝露限界(Occupational Exposure Limit、OEL)」という用語は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って決定される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「許容可能な毒性」という語句は、組成物が、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによってクラス「A」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1(各規格は、本願の出願日時点で存在するとおり)に記載されていることを意味する。不燃性かつ低毒性である物質は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによって「A1」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1(各規格は本願の出願日時点で存在するとおり)に記載されている。
【0030】
「質量流量」という用語は、単位時間当たりの導管を通過する冷媒の質量である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「代替品」という用語は、別の冷媒で用いるために設計された、又はそれで使用するのに好適である熱伝達システムにおける、本発明の組成物の使用を意味する。例えば、本発明の冷媒又は熱伝達組成物が、R-410Aで用いられるように設計された熱伝達システムにて用いられるとき、本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、当該システムにおけるR-410Aの代替品である。したがって、「代替品」という用語は、R-410Aで用いるように設計された、一般的それで用いられる、又は、それで用いるのに好適な新規及び既存のシステムの両方において、本発明の冷媒及び熱伝達組成物を使用することを含むことが理解されるであろう。
【0032】
「熱力学的グライド」という語句は、一定圧力での蒸発器又は凝縮器における相変化プロセス中に様々な温度を有する非共沸冷媒混合物に適用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「蒸発器グライド」という用語は、蒸発器出口における圧力が入口における圧力と同じであると仮定して、蒸発器の入口における冷媒の飽和温度と、蒸発器の出口における冷媒の露点との間の差を意味する。本明細書で使用される場合、「飽和温度」という語句は、液体冷媒が所与の圧力で蒸気に沸騰する温度を意味する。
【0034】
「低温冷房システム/低温冷蔵システム」という用語は、約20℃~約60℃の凝縮温度、及び、約-45℃から最大-12℃(この温度を含む)の蒸発温度にて動作する熱伝達システムを意味する。
【0035】
「中温冷房システム/中温冷蔵システム」という用語は、約20℃~約60℃の凝縮温度、及び、約-12℃~約0℃の蒸発温度にて動作する熱伝達システムを意味する。
【0036】
本明細書で使用する場合、「住宅用空調」という用語は、約20℃~約70℃の凝縮温度及び約0℃~約20℃の蒸発温度で動作する、空気を調整(冷却又は加熱)する熱伝達システムを指す。
【0037】
本明細書で使用する場合、「住宅用空気-水ヒートポンプ」という用語は、室外空気から住宅内の水に熱を伝達し、次にその水が住宅内の空気を調整するために使用され、約20℃~約70℃の凝縮温度及び約-20℃~約3℃の蒸発温度で動作する熱伝達システムを指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、「空冷式冷却器」という用語は、プロセス水(典型的には建物の内部を冷却又は加熱するために使用される)に又はプロセス水から熱を伝達し、周囲空気から熱を遮断又は吸収し、約20℃~約70℃の凝縮温度及び約0℃~約10℃の蒸発温度で動作する熱伝達システムを指す。
【0039】
本明細書で使用する場合、「スーパーマーケット冷蔵」という用語は、冷却又は冷凍食品を、製品陳列ケース及び保存冷蔵庫の両方にて維持するために用いる、商用冷蔵システムを意味する。
【0040】
「可変冷媒流システム」及び「VRFシステム」という用語は各々、2つ以上の室内蒸発器を使用し、複数の蒸発器に流れる冷媒の量を制御する能力を有する空調システム構成を意味する。
【0041】
本明細書で使用する場合、「HFO-1234yf」及び「R-1234yf」という用語は各々、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味する。
【0042】
本明細書で使用する場合、「HFC-32」及び「R-32」という用語は各々、ジフルオロメタンを意味する。
【0043】
本明細書で使用する場合、「HFC-161」及び「R-161」という用語は各々、フルオロエタンを意味する。
【0044】
本明細書で使用する場合、「R-454B」という用語は、68.9重量%のR-32及び31.1重量%のR-1234yfのブレンドを含む冷媒を意味する。
【0045】
定義された用語の群への本明細書における言及は、全てのそのような定義された用語を含み、接尾辞指定を有する全てのそのような用語を含む。
【0046】
冷媒及び熱伝達組成物
出願人らは、本明細書に記載の冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒が、熱伝達特性、許容可能な毒性、軽度の可燃性(すなわち、クラス2Lである)、ゼロ又はほぼゼロのオゾン層破壊係数(「ozone depletion potential、ODP」)、並びに定置式空調システム(住宅用空調、商用空調、VRF空調を含む)、冷却器(空冷式冷却器を含む)、ヒートポンプシステム(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)、中温冷房、及び低温冷房において使用される動作温度及び濃度範囲にわたってPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む潤滑剤相容性など、並外れて有利な特性を提供することができることを見出した。
【0047】
特に冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の特定の利点は、それらが、軽度に可燃性であり、許容できる毒性を有すること、すなわち、各々がクラスA2L冷媒であることである。冷媒の可燃性は、特定の重要な熱伝達用途において考慮される特性であり得ること、及び2Lとして分類される冷媒は、可燃性であると考えられる冷媒よりも有利な場合があることが多いことが、当業者によって理解されるであろう。したがって、410Aの代替品として(又はR-32及びR454Bの代替品若しくはレトロフィットとして)使用することができ、優れた熱伝達特性、許容可能な毒性、ゼロ又はほぼゼロのODP、並びに定置式空調システム(住宅用空調、商業用空調、VRF空調を含む)、冷却器(空冷式冷却器を含む)、ヒートポンプシステム(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)、及び商用冷房(中温冷房及び低温冷房を含む)において使用される動作温度及び濃度範囲にわたってPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む潤滑剤相容性を有し、使用時に不燃性を維持する冷媒組成物を提供することが、当技術分野において望まれている。この望ましい利点は、本発明の冷媒によって達成され、満たされ得、これは、驚くべきかつ予想外の結果である。
【0048】
出願人らは、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒組成物が、特に低いGWPを含む、達成困難な特性の組み合わせを達成することができることを見出した。したがって、本発明の組成物は、300以下、好ましくは295以下のGWPを有する。
【0049】
更に、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒組成物は、ゼロ又はほぼゼロのODPを有する。したがって、本発明の組成物は、0.02以下、より好ましくはゼロのODPを有する。
【0050】
更に、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒組成物は、許容可能な毒性を示し、好ましくは、約400超のOELを有する。当業者が認識しているように、約400より大きいOELを有する不燃性冷媒は、ASHRAE規格34の望ましい「クラスA」に分類されている冷媒をもたらすので、有利である。
【0051】
本発明の好ましい冷媒組成物は、ASHRAE規格34に基づいて許容可能な毒性及び軽度の可燃性の両方を示し、したがって、クラスA2L冷媒である。出願人らは、本明細書に記載の冷媒1~10の各々を含む熱伝達組成物を含む、本発明の熱伝達組成物が、良好な熱伝達特性、使用条件下での化学的安定性、許容可能な毒性、軽度の可燃性、ゼロ又はほぼゼロのオゾン層破壊係数(「ODP」)、並びに定置式空調システム(住宅用空調、商用空調、VRF空調を含む)、冷却器(空冷式冷却器を含む)、ヒートポンプシステム(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)、及び商用冷房(中温冷房及び低温冷房を含む)において使用される動作温度及び濃度範囲わたってPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む潤滑剤相容性、並びにそのようなシステムにおける、特にR-410Aの代替品として、又はR-32若しくはR454Bの代替品若しくはレトロフィットとして、300未満のGWPであることなど、特性の並外れて有利かつ予想外の組み合わせを提供することができることを見出した。
【0052】
熱伝達組成物は、冷媒1~10の各々を含む、本発明の任意の冷媒から本質的になることができる。
【0053】
本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~10の各々を含む、本発明の任意の冷媒からなることができる。
【0054】
本発明の熱伝達組成物は、ある特定の機能性を増強させるか、又はそれを組成物に提供する目的で他の成分を含んでもよい。そのような他の成分は、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒に加えて、潤滑剤、不動態化剤、可燃性抑制剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、極圧添加剤、及び耐摩耗添加剤、並びに、熱伝達組成物の特定の特性を調節する他の化合物及び/又は成分のうちの1つ以上を含んでもよく、そのような化合物及び成分の全ての存在は、本発明の広い範囲内である。
【0055】
潤滑剤
本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~10の各々を含む本明細書に記載される冷媒、及び潤滑剤を含むことができる。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物1と呼ばれることがある。
【0056】
本発明の熱伝達組成物はまた、冷媒1~10の各々を含む本明細書に記載される冷媒、及びポリオールエステル(polyol ester、POE)潤滑剤を含むことができる。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物2と呼ばれることがある。
【0057】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒7及びPOE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物3と呼ばれることがある。
【0058】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒8及びPOE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物4と呼ばれることがある。
【0059】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒9及びPOE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物5と呼ばれることがある。
【0060】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒10及びPOE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物6と呼ばれることがある。
【0061】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒7及びポリビニルエーテル(polyvinyl ether、PVE)潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物7と呼ばれることがある。
【0062】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒8及びPVE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物8と呼ばれることがある。
【0063】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒9及びPVE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物9と呼ばれることがある。
【0064】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒10及びPVE潤滑剤を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物10と呼ばれることがある。
【0065】
出願人らは、熱伝達組成物1~10の各々を含む本発明の熱伝達組成物が、冷媒に関して本明細書で特定された有利な特性に加えて、POE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む優れた冷媒/潤滑剤相容性を含む、特性の並外れて有利かつ予想外の組み合わせを、定置式空調システム(住宅用空調、商業用空調、VRF空調を含む)、冷却器(空冷式冷却器を含む)、ヒートポンプシステム(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)、及び商用冷房(中温冷房及び低温冷房を含む)で使用される動作温度及び濃度範囲にわたって提供することができることを見出した。
【0066】
ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30~約70であるPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書において潤滑剤1と呼ばれる。
【0067】
本発明の熱伝達組成物内で使用するのに好ましい市販のPOEとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコール、並びにCPI Fluid Engineeringによって商品名Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hとして販売されているものなどのペンタエリスリトール誘導体が挙げられる。Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hは、以下で特定される特性を有する好ましいPOE潤滑剤である。
【0068】
【表1】
【0069】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒、及び潤滑剤1を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物11と呼ばれることがある。
【0070】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒7及び潤滑剤1を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物12と呼ばれることがある。
【0071】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒8及び潤滑剤1を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物13と呼ばれることがある。
【0072】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒9及び潤滑剤1を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物14と呼ばれることがある。
【0073】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒10及び潤滑剤1を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物15と呼ばれることがある。
【0074】
ASTM D445に従って測定される、40℃で約30~約70の粘度を有し、熱伝達組成物の重量に基づいてPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書では潤滑剤2と呼ばれる。
【0075】
ASTM D445に従って測定される、40℃で約30~約70の粘度を有する、本発明の熱伝達組成物中に使用するのに好ましい市販のポリビニルエーテルとしては、Idemitsuから商品名FVC32D及びFVC68Dで販売されているものが挙げられる。
【0076】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒、及び潤滑剤2を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物16と呼ばれることがある。
【0077】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒7及び潤滑剤2を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物17と呼ばれることがある。
【0078】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒8及び潤滑剤2を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物18と呼ばれることがある。
【0079】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒9及び潤滑剤2を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物19と呼ばれることがある。
【0080】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒10及び潤滑剤2を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物20と呼ばれることがある。
【0081】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物21と呼ばれることがある。
【0082】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約2重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物22と呼ばれることがある。
【0083】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約1重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落に記載されている熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物23と呼ばれることがある。
【0084】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物24と呼ばれることがある。
【0085】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.2重量%~約0.5重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落に記載される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物25と呼ばれることがある。
【0086】
本発明の新規及び基本的な特徴から逸脱することなく、本明細書に含まれる教示を考慮して、本明細書において言及されていない他の添加剤もまた当業者によって含まれ得る。
【0087】
また、参照によりその開示全体が組み込まれている米国特許第6,516,837号に開示されるように、油溶性を補助するために、界面活性剤及び可溶化剤の組み合わせが本発明の組成物に添加されてもよい。
【0088】
方法、使用、及びシステム
システム
本発明は、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、全てのタイプの熱伝達システムを含む。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム1と呼ばれることがある。
【0089】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、定置式空調システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2と呼ばれることがある。
【0090】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、定置式住宅用空調システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3と呼ばれることがある。
【0091】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、定置式商用空調システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4と呼ばれることがある。
【0092】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、定置式VRF空調システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5と呼ばれることがある。
【0093】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、冷却器(空冷式冷却器を含む)を含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6と呼ばれることがある。
【0094】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、ヒートポンプシステム(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)を含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7と呼ばれることがある。
【0095】
本発明はまた、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含む、商用冷房(低温商用冷房及び中温商用冷房を含む)を含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落に記載される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム8と呼ばれることがある。
【0096】
熱伝達システムは、以下の表に示される熱伝達システム番号によって識別されるものを含み、冷媒欄の番号は、本明細書で規定される冷媒番号を指す。
【0097】
【表2-1】
【0098】
【表2-2】
【0099】
冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒で、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含むことで、有利に使用することができる住宅用空調システムの例としては、ダクト付きスプリット又はダクトなしスプリット、窓用、又は携帯型空調システムが挙げられる。
【0100】
冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒で、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含むことで、有利に使用することができる商用空調システムの例としては、冷却器システム、スーパーマーケット冷蔵、パッケージ化屋上ユニット、及び市販の可変冷媒流(variable refrigerant flow、VRF)システムが挙げられる)。
【0101】
冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒で、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含むことで、有利に使用することができるヒートポンプの例としては、住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、及び商用空気源、水源、又は地熱源のヒートポンプシステムが挙げられる。
【0102】
冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒で、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含むことで、有利に使用することができる冷却器の例としては、容積式冷却器、及び空冷式又は水冷式直接膨張冷却器(モジュール式、又は従来とおり単独パッケージ化のいずれでもよい)が挙げられる。
【0103】
システム内に圧縮機及び圧縮機用潤滑剤を含む、本発明の熱伝達システムの場合、システムは、システム内の潤滑剤充填量が、約5重量%~60重量%、又は約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約30重量%~約50重量%、又は約30重量%~約40重量%であるような、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒並びにPOE及びPVEを含む潤滑剤の充填量を含むことができる。本明細書で使用する場合、「潤滑剤充填量」という用語は、システム内に含まれる潤滑剤及び冷媒の合計の百分率として、システム内に含まれる潤滑剤の総重量を指す。このようなシステムはまた、熱伝達組成物の約5重量%~約10重量%、又は約8重量%の潤滑剤充填量を含み得る。
【0104】
例示的な熱伝達システム
以下に詳細に記述するとおり、本発明の好ましいシステムは、熱伝達組成物の冷媒及び関連する成分が、既知の方法でシステムを通って流れ、冷房サイクルを完了することができるように、配管、弁、及び制御システムを使用して全てが流体連通した、圧縮機、凝縮器、膨張装置、及び蒸発器を含む。このような基本的なシステムの例示的概略図を図1に示す。具体的には、図1に概略的に示すシステムは圧縮機10を示し、これは、圧縮された冷媒蒸気を凝縮器20に提供する。圧縮された冷媒蒸気は凝縮して液体冷媒を生成し、これが次に、低温圧力にて冷媒を生成する膨張装置40に向けられ、次に蒸発器50に提供される。蒸発器50内で、液体冷媒は本体からの熱、又は冷却された流体を吸収することにより冷媒蒸気を生成し、これが次に、圧縮機の吸引ラインに提供される。
【0105】
図2に示す冷房システムは、熱交換器30及びバイパス膨張バルブ25を含む蒸気注入システムを含むことを除いて、図1に関連して上述したものと同じである。バイパス膨張装置25は、凝縮器出口にて、冷媒流の一部分を装置を通して迂回させることにより、液体冷媒を熱交換器30に減圧にて、またそれ故低温にて、熱交換器30に提供する。次いで、この相対的に冷たい液体冷媒は、熱を、凝縮器からの相対的に高温の残りの液体と交換する。この動作により、主要膨張装置40及び蒸発器50に過冷却液体が生成され、相対的に冷たい冷媒蒸気が圧縮機10に戻される。このようにして、冷却した冷媒蒸気を、圧縮機の吸引側に注入することが、圧縮機の吐出温度を許容される限度に維持する役割を果たし、このことは特に、高圧縮比を利用する低温システムにおいて有利であることがある。
【0106】
図3に示す冷房システムは、バイパスバルブ26を含む液体注入システムを含むことを除いて、図1に関連して上述したものと同じである。バイパスバルブ26は、凝縮器を出る液体冷媒の一部分を、圧縮機、好ましくは、圧縮機10内の液体注入ポートに迂回させる。このようにして、液体冷媒を、圧縮機の吸引側に注入することが、圧縮機の吐出温度を許容される限度に維持する役割を果たし、このことは特に、高圧縮比を利用する低温システムにおいて有利であることがある。
【0107】
図4に示す冷房システムは、液体ライン/吸引ライン熱交換器35を含むことを除いて、図1に関連して上述したものと同じである。バルブ26は、凝縮器出口において、冷媒流の一部分を液体ライン/吸引ライン熱交換器に迂回させ、そこで、熱が、液体冷媒から、蒸発器50を出る冷媒蒸気に伝達される。
【0108】
図5に示す冷房システムは、圧縮機10の出口に接続されたオイルセパレータ60を含むことを除いて、図1に関連して上述したものと同じである。当業者に知られているように、ある程度の量の圧縮機潤滑剤は典型的には、圧縮機吐出冷媒蒸気に引き継がれ、オイルセパレータが、潤滑剤液体を冷媒蒸気から離す手段を提供するように含められ、潤滑剤油含有量が減少した、得られた冷媒蒸気が凝縮器入口に進み、次いで液体潤滑剤が、潤滑剤レシーバなどの圧縮機を潤滑化させるのに使用するために、潤滑剤リザーバに戻される。好ましい実施形態では、オイルセパレータは、好ましくは、フィルタ又は中実コアの形態の、本明細書に記載した封鎖材料を含む。
【0109】
当業者により、図2図5の各々に別個に示す、異なる装置/構成選択肢を、任意の用途に有利とみなされるように組み合わせること、及びともに使用することができることが理解されよう。
【0110】
使用
全般的使用
本発明はまた、定置式空調システム内での、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0111】
本発明はまた、定置式空調システム内での冷媒7の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0112】
本発明はまた、定置式空調システム内での冷媒8の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0113】
本発明はまた、定置式空調システム内での冷媒9の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0114】
本発明はまた、定置式空調システム内での冷媒10の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0115】
本発明はまた、冷却器内での、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0116】
本発明はまた、冷却器内での冷媒7の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0117】
本発明はまた、冷却器内での冷媒8の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0118】
本発明はまた、冷却器システム内での冷媒9の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0119】
本発明はまた、冷却器システム内での冷媒10の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0120】
本発明はまた、ヒートポンプシステム内での、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0121】
本発明はまた、ヒートポンプシステム内での冷媒7の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0122】
本発明はまた、ヒートポンプシステム内での冷媒8の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0123】
本発明はまた、ヒートポンプシステム内での冷媒9の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0124】
本発明はまた、ヒートポンプシステム内での冷媒10の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0125】
本発明はまた、商用冷房システム内での、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0126】
本発明はまた、商用冷房システム内での冷媒7の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0127】
本発明はまた、商用冷房システム内での冷媒8の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0128】
本発明はまた、商用冷房システム内での冷媒9の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0129】
本発明はまた、商用冷房システム内での冷媒10の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0130】
代替品の使用
本発明はまた、R-410の代替品としての、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。以下の表に記載されている様々な代替品の使用が、本発明に含まれ、代替冷媒欄の番号は、本明細書で規定される冷媒番号を指す。
【0131】
【表3-1】
【0132】
【表3-2】
【0133】
【表3-3】
【0134】
【表3-4】
【0135】
【表3-5】
【0136】
【表3-6】
【0137】
【表3-7】
【0138】
【表3-8】
【0139】
レトロフィットでの使用
本発明はまた、熱伝達システムのためのレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0140】
本発明はまた、定置式空調システムに含まれるR-32のレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0141】
本発明はまた、冷却器システムに含まれるR-32のレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0142】
本発明はまた、ヒートポンプシステムに含まれるR-32のレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0143】
本発明はまた、商用冷房システムに含まれるR-32のレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0144】
本発明はまた、熱伝達システムにおけるR-454Bのレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0145】
本発明はまた、定置式空調システムに含まれるR-454Bのレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0146】
本発明はまた、冷却器システムに含まれるR-454Bのレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0147】
本発明はまた、ヒートポンプシステムに含まれるR-454Bのレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0148】
本発明はまた、商用冷房システムに含まれるR-454Bのレトロフィットとしての、冷媒1~10を含む本発明の冷媒の使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。
【0149】
冷却方法
本発明は、冷却を提供するための方法であって、
(a)約-40℃~約+10℃の温度において、冷却される本体又は物品又は流体の近傍で、本発明による冷媒(冷媒1~10の各々から選択される任意の冷媒を含む)を蒸発させて、冷媒蒸気を生成することと、
(b)当該冷媒蒸気を圧縮して、約150℃未満の吐出温度の冷媒を生成することと、
(c)当該圧縮機からの冷媒を、約20℃~約70℃の温度で凝縮して、冷媒蒸気を生成することと、を含む、方法、を含む。本段落による冷却方法は、本明細書では、方法1と呼ばれる。
【0150】
本発明は、当該蒸発工程における冷媒が、3.5℃未満の冷媒グライドを有する、冷却方法1による方法を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法2と呼ばれる。
【0151】
本発明は、当該蒸発工程における冷媒が、3.0℃未満の冷媒グライドを有する、冷却方法1による方法を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法3と呼ばれる。
【0152】
本発明は、当該蒸発工程における冷媒が、2.5℃未満の冷媒グライドを有する、冷却方法1による方法を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法4と呼ばれる。
【0153】
本発明は、定置式空調システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0154】
本発明は、定置式住宅用空調システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0155】
本発明は、定置式商用空調システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0156】
本発明は、定置式VRF空調システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0157】
本発明は、冷却器システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0158】
本発明は、空冷式冷却器システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0159】
本発明は、ヒートポンプシステムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0160】
本発明は、住宅用空気-水ヒートポンプシステムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0161】
本発明は、商用冷房システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0162】
本発明は、商用低温冷房システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0163】
本発明は、商用中温冷房システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を行うことを含む。
【0164】
特定の冷却方法には、以下の表に示された冷却方法番号によって識別されるものが含まれ、冷媒欄の番号は、本明細書で規定される冷媒番号を指し、全ての温度値は、「約」が先行する。
【0165】
【表4】
【0166】
加熱方法
特定の加熱方法には、以下の表に示される加熱方法番号によって識別されるものが含まれ、冷媒欄の番号は、本明細書で規定される冷媒番号を指し、全ての温度値は、「約」が先行する。
【0167】
【表5】
【0168】
本発明は、加熱方法1の各々を含む、加熱空気を提供する方法を含み、当該方法は、約15℃~約25℃の温度の加熱された空気を提供する。
【0169】
本発明は、加熱方法1の各々を含む、加熱空気を提供する方法を含み、当該方法は、約18℃~約24℃の温度の加熱された空気を提供する。
【0170】
本発明は、加熱方法2及び3の各々を含む、加熱を提供する方法を含み、当該方法は、約50℃~約65℃の温度の温水を提供する。
【0171】
本発明は、加熱方法2及び3の各々を含む、加熱を提供する方法を含み、当該方法は、約50℃~約60℃の温度の温水を提供する。
【0172】
本発明は、加熱方法2及び3の各々を含む、加熱を提供する方法を含み、当該方法は、約50℃~約55℃の温度の温水を提供する。
【0173】
システム、方法、及び使用のための装置
一般的に使用される圧縮機の例としては、本発明の目的では、往復動式、回転式(ローリングピストン式及び回転翼式を含む)、スクロール式、スクリュー式、及び遠心式圧縮機が挙げられる。したがって、本発明は、往復動式、回転式(ローリングピストン式及び回転翼式を含む)、スクロール式、スクリュー式、又は遠心式圧縮機を備える熱伝達システムにおける使用のための、冷媒1~10の各々を含む冷媒、及び/又は冷媒1~10のいずれか1つを含有するものを含む、本明細書に記載された熱伝達組成物の、各々及びいずれかを提供する。
【0174】
一般的に使用される膨張装置の例としては、本発明の目的では、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、熱膨張バルブ、及び電子膨張バルブが挙げられる。したがって、本発明は、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、熱膨張バルブ、又は電子膨張バルブを備える熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載された、冷媒1~10の各々を含む冷媒、及び/又は冷媒1~10のいずれか1つを含有するものを含む熱伝達組成物、の各々及びいずれかを提供する。
【0175】
本発明の目的では、蒸発器及び凝縮器は、フィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、及びチューブインチューブ式(tube-in-tube)熱交換器から各々独立して選択することができる。したがって、本発明は、蒸発器及び凝縮器が、フィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、又はチューブインチューブ式熱交換器を一緒に形成する熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載した冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々及びいずれかを提供する。
【0176】
本発明の熱伝達組成物は、加熱及び冷却用途に使用することができる。本発明の特定の特徴では、熱伝達組成物は、熱伝達組成物を凝縮することと、その後冷却される物品又は本体の付近で当該組成物を蒸発させることとを含む、冷却方法に使用することができる。
【0177】
冷媒1~10を含む本発明の冷媒、及び熱伝達組成物1~25を含む本発明の熱伝達組成物は各々、以下の各々における使用を含む、商用冷房システムにおける使用のために提供される:
低温商用冷蔵庫、
スーパーマーケット冷蔵、
低温商用冷凍庫、
製氷機、
自販機、
低温輸送用冷蔵システム、
産業用冷凍庫、
産業用冷蔵庫、及び
低温冷却器。
【0178】
本発明の熱伝達組成物は、中温冷蔵システムにおける使用のために提供され、中温冷蔵システムは、好ましくは、冷蔵庫又はボトルクーラーなどにおいて食品又は飲料を冷却するために使用される。システムは通常、食品又は飲料を冷却するための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はスクリュー式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。
【0179】
本発明の熱伝達組成物は、低温冷蔵システムにおける使用のために提供され、当該低温冷蔵システムは、好ましくは、冷凍庫又は製氷機において使用される。システムは通常、食品又は飲料を冷却するための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。
【0180】
冷媒1~10のいずれか1つを含有する熱伝達組成物を含む、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、往復動式、回転式(ローリングピストン式若しくは回転翼式)、又はスクロール式圧縮機を備える低温システムで使用するために提供される。
【0181】
冷媒1~10のいずれか1つを含有する熱伝達組成物を含む、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、特に、往復動式、回転式(ローリングピストン式若しくは回転翼式)、又はスクロール式圧縮機を備える中温システムで使用するために提供される。
【0182】
本発明の組成物は、R-410Aの望ましい特性の多くを示すが、300未満のGWPを有すると同時に、R-410Aに実質的に類似する、又は実質的に一致する動作特性、すなわち能力及び効率(COP)を有する。これにより、例えば凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張バルブの大きなシステム変更を一切必要とすることなく、既存の熱伝達システムにおいて特許請求される組成物がR-410Aに代わることが可能となる。したがって、組成物は、R-410Aで使用されているか、又はそれでの使用に好適である直接的な代替品として使用され得る。
【0183】
したがって、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒は、好ましくはR-410Aと比較して動作特性を示し、組成物の効率(COP)は、熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の95%~105%であり、本発明の組成物がR-410A冷媒に置き換わるべきである。
【0184】
したがって、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒は、好ましくはR-410Aに匹敵する動作特性示し、組成物の能力は、熱伝達システムにおいて、R-410Aの能力の97~103%であり、本発明の組成物がR-410A冷媒に置き換わるべきである。
【0185】
したがって、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒は、好ましくはR-410Aに匹敵する動作特性示し、組成物の能力は、熱伝達システムにおいて、R-410Aの能力の97~103%であり、効率(COP)は、熱伝達システムにおいて、R-410Aの効率に等しいか、又はこれを上回り、本発明の組成物がR-410A冷媒に置き換わるべきである。
【0186】
好ましくは、冷媒1~102の各々を含む本発明の冷媒は、好ましくはR-410Aに匹敵する動作特性を示し、組成物の効率(COP)は、熱伝達システムにおいて、R-410Aの効率の100~105%であり、本発明の組成物がR-410A冷媒に置き換わるべきである。
【0187】
熱伝達システムの信頼性を維持するために、本発明の組成物がR-410Aと比較して以下の特性を更に示すことが好ましい:
吐出温度は、R-410Aの吐出温度よりも10℃以下高く、
圧縮機圧力比は、R-410Aの圧縮機圧力比の95~105%である。
本発明の組成物は、R-410A冷媒を置き換えるために使用される。
【0188】
本発明の組成物は、冷房システムにおいてR-410Aを置き換えるために代替的に提供される。したがって、冷媒1~10のいずれか1つを含む熱伝達組成物を含む、本明細書に記載の熱伝達組成物の各々を使用して、本明細書に開示されたシステムのいずれか1つにおいて、R-410Aを置き換えることができる。
【0189】
本発明は、冷媒1~10の各々を含む本発明の冷媒の、中温又は低温冷房システムにおける使用に関し、冷媒は、
(a)当該システムにおいて、R-410Aの効率の約95%~約105%の効率(COP)を有しかつ
(b)微燃性である。
【実施例
【0190】
比較例1
以下の表CE1に示される2つの組成物を、本発明の好ましい配合物との比較のために評価した。
【0191】
【表6】
【0192】
CE1として識別される組成物は、ASHRAE規格34に基づく燃焼速度をシミュレーションによって決定するために必要な実験データを得るために試験され、これに基づいて10.8cm/秒の燃焼速度を有することが分かった。したがって、この組成物は、ASHRAEによるクラス2L冷媒(軽度の可燃性)の要件を満たさなかった。CE1として識別される組成物は、ASHRAE規格34に従って試験され、10をはるかに超える燃焼速度を有することが分かり、またクラス2Lとして分類されず、したがって可燃性であるとみなされる。
【0193】
実施例1~6
本発明による2つの組成物を、以下の表E1~6に示されるように配合する。
【0194】
【表7】
【0195】
上記の表E1-6から分かるように、試験された組成物の全てが、10未満の燃焼速度を達成し、したがってクラス2L冷媒であり、同時に、各冷媒は、300未満のGWPも有する。これは、予想外の特性の組み合わせである。
【0196】
システム性能の実施例
以下のシステム性能の実施例において、上記の表E1-6においてE1及びE2として識別される冷媒を、本明細書に記載されるように分析した。各組成物を熱力学的分析に供して、その能力を測定したところ、様々な冷房システムにおいてR-410Aの動作特性と一致した。組成物中に使用されている成分の様々な二成分対の特性について収集した実験データを使用して、分析を実施した。HFO-1234yf、HFC-32、及びHFC-161の各々を含む一連の二成分対にて、各成分の蒸気/液体平衡挙動を決定及び試験した。実験評価において各二成分対の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各二成分対の混合パラメータを実験的に得られたデータに回帰させた。二成分対の蒸気/液体平衡挙動データは、National Institute of Science and Technology(NIST)のReference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Databaseソフトウェア(Refprop 9.1 NIST Standard Database 2013)で入手可能であり、実施例に使用した。分析を行うために選択したパラメータは、全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機等エントロピー効率及び体積効率であった。各実施例では、測定された気液平衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0197】
実施例E7-住宅用空調システム(冷房)
夏季に冷気(約12℃)を建物に供給するために使用される住宅用空調システムについて試験する。典型的なシステムの種類としては、ダクト付きスプリット、ダクトなしスプリット、窓用、及び携帯型空調システムが挙げられる。システムは通常、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張装置を有する。蒸発器及び凝縮器は一般的に、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は一般的に、往復動式、回転式(ローリングピストン式若しくは回転翼式)、又はスクロール式圧縮機である。膨張装置は一般的に、キャピラリーチューブ、熱膨張バルブ又は電子膨張バルブである。冷媒蒸発温度は一般的に、約0~約10℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約40~約70℃の範囲内である。
【0198】
冷媒E1及びE2を、上述の住宅用空調システムのシミュレーションに使用し、性能結果を以下の表7に報告する。動作条件は、以下のとおりであった:凝縮温度=46℃(対応する室外周囲温度=35℃)、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)、蒸発器過熱=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、及び吸引ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0199】
【表8】

●表E7は、R410Aシステムと比較した、住宅用空調システムの熱力学的性能を示す。
●新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。
●組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて4℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
【0200】
実施例8-可変冷媒流空調システム(冷房)
可変冷媒流空調システム(VRF)は、夏季に冷気(約12℃)を建物に供給するために一般的に使用される。VRFは、典型的には、単にオン/オフ動作を実行するのではなく、可変モータ速度、したがって可変冷媒流を支持するために、圧縮機にDCインバータを追加する空調機インバータとともに取り付けられる。様々な速度で動作することによって、VRFユニットは、必要とされるレートでのみ作動し、負荷条件において大幅なエネルギー節約を可能にする。圧縮機は通常、回転式又はスクロール式圧縮機である。膨張装置は通常、熱膨張バルブ又は電子膨張バルブである。冷媒蒸発温度は一般的に、約0~約10℃の範囲内である一方、凝縮温度は一般的に、約40~約70℃の範囲内である。
【0201】
夏季に冷気(約12℃)を建物に供給するために使用されるVRFについて試験する。冷媒E1及びE2を、上述したようなVRFのシミュレーションに使用し、性能結果を以下の表E8に報告する。動作条件は、以下のとおりであった:凝縮温度=46℃(対応する室外周囲温度=35℃)、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)、蒸発器過熱=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、及び吸引ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0202】
【表9】

●表E8は、R410Aシステムと比較した、可変冷媒流空調システムの熱力学的性能を示す。
●新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。
●組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて4℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
【0203】
実施例9-商用空調システム-冷却器
商用空調システム(冷却器)は一般的に、オフィス、病院などの大きな建物に冷却水(約7℃)を供給するために使用される。用途に応じて、冷却器システムは、通年稼働している場合がある。冷却器システムは、空冷式又は水冷式であり得る。空冷式冷却器は通常、冷却水を供給するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルインチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン又はマイクロチャネル凝縮器、及び熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。水冷式システムは通常、冷却水を供給するためのシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を冷却塔又は湖、海、及び他の天然源からの水と交換するためのシェルアンドチューブ式凝縮器、並びに熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。冷媒蒸発温度は一般的に、約0~約10℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約40~約70℃の範囲内である。
【0204】
大きな建物(オフィス及び病院の建物など)に冷却水(7℃)を供給するために使用される商用空調システム(冷却器)を、冷媒E1及びE2に関して試験し、性能結果を以下の表E9に報告する。動作条件は以下のとおりであった:凝縮温度=46℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=4.5℃、蒸発器過熱=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、及び吸引ライン中の温度上昇=2℃。
【0205】
【表10】

●表E9は、R410Aシステムと比較した、商用空冷式冷却器システムの熱力学的性能を示す。
【0206】
新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて4℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
【0207】
実施例10-住宅用ヒートポンプシステム(暖房)
住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(21℃)を建物に供給するために使用され、典型的には、住宅用空調システムと同じに構成される。しかしながら、そのようなシステムがヒートポンプモードで動作している場合、冷媒流が逆転し、室内コイルが凝縮器になり、室外コイルが蒸発器になる。典型的なシステムの種類は、ダクトスプリット型及びダクトレススプリット型ヒートポンプシステムである。蒸発器及び凝縮器は、典型的には、フィンチューブ式又はマイクロチャネル熱交換器であり、圧縮機は、典型的には、往復動式又は回転式(ローリングピストン式若しくは回転翼式)、又はスクロール式圧縮機である。膨張装置は一般的に、キャピラリーチューブ、熱膨張バルブ又は電子膨張バルブである。冷媒蒸発温度は一般的に、約-30~約5℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約35~約50℃の範囲内である。
【0208】
冷媒E1及びE2を、上述したような住宅用ヒートポンプシステムのシミュレーションに使用し、性能結果が、以下の表E10にある。動作条件は以下のとおりであった:凝縮温度=41℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=0.5℃、蒸発器過熱=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、及び吸引ライン中の温度上昇=5.5℃。
【0209】
【表11】

●表E10は、R410Aシステムと比較した、住宅用ヒートポンプシステムの熱力学的性能を示す。
●新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。
●組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて4℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
【0210】
実施例11-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、典型的には、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(約55℃)を建物に供給するために使用される。温水システムは通常、熱を周囲空気と交換するためのフィン付又はマイクロチャネル蒸発器、往復動式、回転式、又はスクロール式圧縮機、水を加熱するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式凝縮器、及び熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。冷媒蒸発温度は、典型的には、約-30~約5℃の範囲内である一方、凝縮温度は、典型的には、約50~約90℃の範囲内である。
【0211】
冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(55℃)を建物に供給するために使用される住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムを、冷媒E1及びE2を用いて試験し、性能結果を表E115に報告する。動作条件は、以下のとおりであった:凝縮温度=60℃(対応する室内出口水温=50℃)、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=0.5℃(対応する室外周囲温度=8.3℃)、蒸発器過熱=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、及び吸引ライン中の温度上昇=2℃。
【0212】
【表12】

●表E11は、R410Aシステムと比較した、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムの熱力学的性能を示す。
●新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。
【0213】
組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて3℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
【0214】
実施例12-中温冷蔵システム
中温冷蔵システムは、冷蔵庫及びボトルクーラーなどにおいて食品又は飲料を冷却するために使用される。システムは通常、食品又は飲料を冷却するための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はスクリュー式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。冷媒蒸発温度は、約-12~約0℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約20~約70℃の範囲内である。
【0215】
冷蔵庫及びボトルクーラーなどにおいて、食品又は飲料を冷却するために使用される中温冷蔵システムを、冷媒EA1及びE2を用いて試験し、性能結果を以下の表E12に報告する。動作条件は以下のとおりであった:凝縮温度=40.6℃、凝縮器過冷却=5.5℃、蒸発温度=-6.7℃、蒸発器過熱=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、吸引ラインにおける過熱度=15℃。
【0216】
【表13】

●表E12は、R410Aシステムと比較した、中温冷蔵システムの熱力学的性能を示す。
●新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。
●組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて4℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
【0217】
実施例13-低温冷蔵システム
低温冷蔵システムは、食品を冷凍するために、例えばアイスクリーム製造機及び冷凍庫において使用される。システムは通常、空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はスクリュー式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び熱膨張バルブ又は電子膨張バルブを有する。冷媒蒸発温度は、約-40~約-12℃の範囲内である一方、凝縮温度は、約20~約70℃の範囲内である。
【0218】
アイスクリーム製造機及び冷凍庫などにおいて、アイスクリームなどの食品を冷凍するために使用される低温冷蔵システムを、冷媒E1及びE2を使用して試験し、性能結果が、表E13にある。動作条件は以下のとおりであった:凝縮温度=40.6℃、凝縮器過冷却=1℃、蒸発温度=-31.6℃、蒸発器出口における過熱度=5.5℃、等エントロピー効率=70%、体積効率:100%、吸引ラインにおける過熱度=30.6℃。
【0219】
【表14】

●表E13は、R410Aシステムと比較した、低温冷蔵システムの熱力学的性能を示す。
●新たなシステムでは、圧縮機容積は、増加して能力を補うことができる。
●組成物E1及びE2は各々、予想外にも、このシステムにおいて4℃未満の蒸発器グライドを達成することができ、同時に、300未満のGWP及び2Lの可燃性等級を達成する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約98.5重量%の以下の3つの化合物を含む冷媒であって、各化合物が、以下の相対百分率、
33.0重量%~43.5重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
48.5重量%~67.0重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び
1.0重量%~6.0重量%のフルオロエタン(HFC-161)で存在し、前記冷媒がクラス2L冷媒であり、300未満のGWPを有する、冷媒。
【請求項2】
以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物が、以下の相対百分率、
43.5重量%+0.5/-2重量%のHFC-32、
52.5重量%+1/-2重量%のHFO-1234yf、及び
4重量%+1/-2重量%のHFC-161で存在する、請求項4に記載の冷媒。
【請求項3】
圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、を備え、かつ請求項2に記載の冷媒を含む、熱伝達システムであって、住宅用空調、商用空調、冷却器、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム、中温冷房、及び低温冷房のうちの1つ以上を含む、熱伝達システム。
【国際調査報告】