(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】船舶用の液体ガス貯蔵および/または輸送タンク
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20240808BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F17C13/00 302E
B63B25/16 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509117
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 FR2022051550
(87)【国際公開番号】W WO2023021250
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】エロディ、クピヨー
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ファテ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172EB03
3E172EB10
3E172EB19
3E172KA03
(57)【要約】
本発明は、液化ガスを貯蔵および/または輸送するためのタンク(1)に関し、タンク(1)が、少なくとも1つのメイン支柱(12)と、このメイン支柱(12)の一部を形成するポンプ室(180)内に収容されたフィードポンプ(18)とを備え、該フィードポンプ(18)が、タンク(1)内に収容された液化ガスを圧送するように構成されており、タンク(1)が、タンク(1)内にパージ流体を搬送するように構成されたパージライン(211)を備えており、メイン支柱(12)が、フィードポンプ(18)に近接して入口ポート(2110)を有しており、入口ポート(2110)を通じてパージライン(211)がポンプ室(180)に開口していることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ガス貯蔵および/または輸送タンク(1)であって、該タンク(1)が、少なくとも1つのメイン支柱(12)と、該メイン支柱(12)の一部を形成するポンプ室(180)内に収容されたフィードポンプ(18)とを備え、該フィードポンプ(18)が、前記タンク(1)内に含まれる液化ガスを圧送するように構成されており、前記タンク(1)が、該タンク(1)内にパージ流体を搬送するように構成されたパージライン(211)を備える、タンク(1)において、
前記タンク(1)内で、前記パージライン(211)が、主に前記メイン支柱(12)の外側に延びており、かつ
前記メイン支柱(12)が、前記フィードポンプ(18)に近接して入口ポート(2110)を有しており、該入口ポート(2110)を通じて、前記パージライン(211)が前記ポンプ室(180)に開口している
ことを特徴とする、タンク(1)。
【請求項2】
前記パージライン(211)が、主に前記メイン支柱(12)の外面に沿って、前記ポンプ室(180)への前記入口開口へと延びていることを特徴とする、請求項1記載のタンク(1)。
【請求項3】
前記メイン支柱(12)が、荷役タワー(2)の一部であり、該荷役タワー(2)が、二次支柱(11,13)をさらに備え、該二次支柱(11,13)が、タンク底部に近接して配置されたプレート(24)により互いに、かつ前記メイン支柱に結合されており、前記パージライン(211)が、少なくとも、前記二次支柱(11)に沿って延びる第1の部分(2111)と、前記プレート(24)に沿って前記メイン支柱(12)へと延びる第2の部分(2112)とを備える、請求項1記載のタンク(1)。
【請求項4】
前記ポンプ室(180)と前記タンクの底部との間に配置されたエアロック(182)内にフート弁(19)が収容されており、該フート弁(19)は、前記ポンプ室が前記タンク(1)から隔離されている位置を取ることができるように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のタンク(1)。
【請求項5】
付加的なパージライン(212)が、前記エアロック(182)の壁に穿孔されたオリフィスを介して前記エアロック(182)内にパージ流体を搬送するように構成されており、前記パージライン(211)と前記付加的なパージライン(212)とが互いに別個である、請求項4記載のタンク(1)。
【請求項6】
前記パージライン(211)と前記付加的なパージライン(212)とが、前記タンク(1)内で、かつそれらの長さの少なくとも一部にわたって隣接した経路を辿り、取付け手段が2つの前記パージライン(211,212)にとって共通のものであることを特徴とする、請求項5記載のタンク(1)。
【請求項7】
前記パージライン(211)が、前記タンク(1)の外側に配置されたパージ流体貯蔵タンクに接続されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のタンク(1)。
【請求項8】
前記パージ流体が、気体状の窒素であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のタンク(1)。
【請求項9】
前記タンク(1)が、前記フィードポンプ(18)を前記ポンプ室内で第1の位置または作動位置と第2の位置またはパージ位置との間で運動させるための手段を備え、前記パージ位置では、前記フィードポンプ(18)が、前記ポンプ室(180)内への前記パージライン(211)の前記入口ポート(2110)から離間して配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のタンク(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のタンク(1)内に配置されたフィードポンプ(18)を交換するための方法であって、該方法が、交換すべき前記フィードポンプ(18)をその作動位置とパージ位置との間で運動させる第1のステップと、前記パージライン(211)を通じて前記ポンプ室(180)内にパージ流体を導入する第2のステップと、交換すべき前記フィードポンプを前記メイン支柱から取り出す第3のステップと、前記メイン支柱内に新しいフィードポンプをそのパージ位置および作動位置へと挿入する第4のステップとを含み、前記第2のステップと前記第3のステップとを同時に行うことができる、方法。
【請求項11】
液化ガスを貯蔵するように構成された、請求項1から9までのいずれか1項記載の輸送および/または貯蔵タンク(1)が装備された貨物船であって、前記タンク(1)の前記メイン支柱(12)内に配置された前記フィードポンプ(18)の交換が、請求項10記載の方法により実施される、貨物船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液化天然ガスのような液体ガスを貯蔵および/または輸送するためのタンクが装備された船舶の分野に関する。本発明は、特に、このような船に装備された、天然ガスが液体の状態で貯蔵されているタンクの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内に存在する液化天然ガス(LNGとも呼ばれる)は、特に、少なくとも部分的に、船舶の機械類の動作を提供するために使用することができる。これに関して、タンク内にフィードポンプを配置することが知られており、フィードポンプは、液化天然ガスを吸い込み、この液化天然ガスを流体循環ダクトに向かってタンクの出口へと上昇させるように構成されている。流体循環ダクトは、燃料供給されるべき機械にも接続されている。ポンプは、特に荷役タワーの一部であってもよく、荷役タワーは、横材によって互いに取り付けられた幾つかの支柱を備えた構造体を備えている。
【0003】
機械類への供給のために液化天然ガスを使用することは、フィードポンプの連続的な動作を必要とし、このことは、液化天然ガスをタンクから取り出す必要がある場合にのみ動作する排出ポンプよりも頻繁にフィードポンプが交換されなければならないことを意味している。知られているように、引込み式フィードポンプは、荷役タワーの複数の支柱のうちの1つ支柱内に収容されており、このことは、ポンプの交換中にタンクの残りの部分からポンプを隔離することを可能にする。次いで支柱がパージされ、ポンプは、液化天然ガスがタンクに残っている間に、支柱の上側部分を通じて取り出すことができる。
【0004】
支柱には、ポンプとタンクとの間に配置されたフート弁が割り当てられており、このフート弁は、引込み式フィードポンプが交換されなければならず、かつ支柱の内部容積から、残留している液化天然ガスまたは存在し得る汚染物質がパージされなければならない場合に、支柱とタンクとの間の連通を閉鎖するように構成されている。
【0005】
引込み式フィードポンプの交換時に支柱内に存在する液化天然ガスの残留体積をパージするために、上記支柱の上端部を通じてパージ流体、特に不活性流体を支柱内に噴射することが知られており、このことは、液化天然ガスを気体状にし、次いで、これにより気化された液化天然ガスを、支柱の上端部に配置された開口を通じて容易に排出することによって、液化天然ガスの残留体積の排出を可能にする。しかし、このパージ流体を噴射するための既存の手段は、満足のいくものではない。なぜならば、液化天然ガスが、支柱の上端部に配置された開口とは反対側の支柱の底部に未だ液体の形態で残ってしまうからである。いったんパージ動作が実施されると、支柱内の液化天然ガスの残留量が大量なままであることが多く、上記ポンプの交換の動作を複雑にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に上述したようなポンプを交換するために、このポンプに近接するタンク内に残っている残留天然ガスの最大量を除去することを可能にする解決手段を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このためには、第1の態様によれば、本発明は、液化ガスを貯蔵および/または輸送するためのタンクであって、タンクが、少なくとも1つのメイン支柱と、メイン支柱の一部を形成するポンプ室内に収容されたフィードポンプとを備え、フィードポンプが、タンク内に収容された液化ガスを圧送するように構成されており、タンクが、このタンク内にパージ流体を搬送するように構成されたパージラインを備えるタンクにおいて、タンク内で、パージラインが、主にメイン支柱の外側に延びており、かつメイン支柱が、フィードポンプに近接して、入口ポートを有しており、入口ポートを通じてパージラインがポンプ室に開口していることを特徴とするタンクに関する。
【0008】
好適には、メイン支柱は、実質的にタンクの全高にわたって延びていて、タンク底壁の近傍の下端部を有している。
【0009】
好適には、フィードポンプが、引込み可能であり、以下で詳述するように、メイン支柱内で運動させられてよい。
【0010】
本明細書において「メイン支柱」の条件は、タンク内に存在している支柱であり、この支柱の一部に引込み式フィードポンプが浸漬されていることであり、この支柱は、タンク内に存在している別の支柱と差別化しかつタンクの構造において優位な重要性を与える構造的な寸法または特徴を有していないことに留意すべきである。知られているように、メイン支柱は、荷役タワーに属していてよい。
【0011】
引込み式フィードポンプは、メイン支柱内に収容され、作動位置において、ポンプ室内に延びている。ここで、ポンプ室は、メイン支柱の一部を形成する管状の部分の形態であり、例えば、実質的に円筒状である。ポンプ室の直径は、この管状の部分が画定するキャビティ内にフィードポンプを配置することを可能にする。ここで、フィードポンプは、タンクに貯蔵された流体を圧送することができる作動位置にある場合に、完全にポンプ室内に配置されていると理解すべきである。ポンプ室は、ポンプ室内での数十センチメートルのオーダの引込み式フィードポンプの軸方向の運動を可能にするために、フィードポンプの軸方向の寸法よりも僅かに大きな軸方向の寸法を有している。例として、ポンプ室の軸方向寸法または高さが1メートルのオーダであってよい一方で、このポンプ室を収容するメイン支柱と、対応する引込み式フィードポンプとは、10メートルのオーダの対応する軸方向寸法を有していてよい。
【0012】
種々異なる実施形態によれば、ポンプ室は、適切な取付け手段によってメイン支柱の下端部に接合され、かつ取り付けられている独立した管状スリーブの形態であってよく、またはポンプ室は、支柱の残りの部分との正確な境界なしに、上記支柱の下側部分を形成する支柱の一体的な部分であってもよいことに留意すべきである。
【0013】
これにより、入口ポートを、独立した管状スリーブの周壁に形成することができるか、またはメイン支柱の周壁に形成することができる。概して、入口ポートは、ポンプ室を横方向で画定する周壁に形成されている。
【0014】
これらの種々異なる例は、ポンプ室およびメイン支柱が必要に応じて、底部タンク壁および支柱の下端部とは反対側の上端部を介してメイン支柱の外側に引込み式フィードポンプを引き出すことが必要である場合、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0015】
上述のように、本発明によれば、パージラインはタンク内に延びる一方で、主に支柱の外側にあり、メイン支柱は、上記パージラインがフィードポンプの近傍でポンプ室に開口することができるように構成されている。本発明によれば、パージラインがメイン支柱に開口する、つまりパージラインが主にメイン支柱の外側を巡った後に進入する入口ポートが、ポンプ室内でメイン支柱の下端部に近接して配置されていることにより、パージ流体をできるだけ深く支柱内に送ることができるが、この場合にメイン支柱内の通路を妨げることがなく、したがって例えば、フィードポンプのメンテナンス動作を妨げることがない。パージ流体をできるだけ深く送ることにより、支柱の下側領域にある残留液化天然ガスの気体の状態への転換が容易になる。支柱の上端部に設けられた開口を通してパージ流体の噴射が行われる場合、支柱の下側領域には、メイン支柱の軸方向寸法に関してアクセスが困難である。荷役タワーの下端部に近接したパージ流体の導入は、パージ流体の作用により気体状に変化した液化天然ガスの、タンクの上側部分に向かう容易な排出を可能にする。換言すると、本発明は、フィードポンプに近接して位置する残留液化天然ガスの上方への推進を可能にし、このことは、この液化天然ガスの排出を容易にする。
【0016】
1つの特徴によれば、引込み式フィードポンプおよび対応するポンプ室は、メイン支柱の下端部に近接して、タンクの底壁の近傍に配置されている。
【0017】
引込み式フィードポンプのために、作動位置を規定することが可能であり、この作動位置では、引込み式フィードポンプは、本発明によれば、タンクの底壁の近傍に配置されたポンプ室内に収容されており、本発明によるタンクの上壁に近接して配置された支柱の上端部とは反対側にあり、別の場所で、燃料供給されるべき船舶の機械類に接続された流体循環ダクトに接続することができる。
【0018】
したがって、前記のことから、本発明によれば、パージラインが支柱に開口する入口ポートは、タンクの底壁の近傍に配置されており、したがって、支柱の下側部分に存在する液化ガス残留物、すなわちフィードポンプによってタンクから吸い込まれるが、支柱を通じて排出されず、したがって支柱の底部に落ちている流体が、支柱の底部に沈殿し得る汚染物質と同様に、パージ流体の噴射によって実際に影響を受けることが保証されている。
【0019】
本発明の1つの特徴によれば、パージラインが、主にメイン支柱、つまりフィードポンプが収容されている支柱の外面に沿って、ポンプ室への入口開口へと延びている。ここで、パージラインは、主に、貯蔵および/または輸送タンク内で、軸方向の寸法または高さに沿って、メイン支柱に沿ってポンプ室へと延びていると理解されるべきである。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、メイン支柱が、荷役タワーの一部であり、荷役タワーが、複数の二次支柱をさらに備え、二次支柱が、タンク底部に近接して配置されたプレートにより互いに、かつメイン支柱に結合されており、パージラインが、少なくとも、二次支柱に沿って延びる第1の部分と、プレートに沿ってメイン支柱へと延びる第2の部分とを備えている。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、ポンプ室とタンクの底部との間に配置されたエアロック内にフート弁が収容されており、フート弁は、ポンプ室がタンクから隔離されている位置を取ることができるように構成されている。
【0022】
特に、フート弁は、引込み式フィードポンプの交換中に、ポンプ室、ひいてはメイン支柱を、タンクの残りの部分から隔離しなければならない。すなわち、一方では、タンク内に存在する液化天然ガスのポンプ室への排出が阻止され、かつ他方では、ポンプ室の外側のタンク内に含まれる液化天然ガスへのポンプ室からのパージ流体の通過が阻止されなければならない。
【0023】
本発明の1つの特徴によれば、フート弁を、管状スリーブ、例えば実質的に円筒形の形態のエアロック内に収容することができる。エアロックは、ポンプ室の直径と実質的に等しい直径を有していてよく、エアロックと、ポンプ室が形成されているメイン支柱とは、それぞれが備える取付け手段によって互いに取り付けられている。1つの例によれば、上記取付け手段は、ポンプ室において支柱の下端部に固く結合された第1の環状フランジおよびエアロックの上端部に統合された第2の環状フランジの態様を取り、第1の環状フランジおよび第2の環状フランジは、例えばねじ締結によって互いに取り付けられている。
【0024】
本発明の1つの特徴によれば、付加的なパージラインが、エアロックの壁部に穿孔されたオリフィスを介してエアロック内にパージ流体を搬送するように構成されており、パージラインと付加的なパージラインとは互いに別個である。
【0025】
ここで、タンク内では、本発明によれば、パージラインが、ポンプ室に形成された入口ポートとタンクの外側に配置されたパージ流体貯蔵タンクへの接続端部との間に延びていて、付加的なパージラインが、エアロックに形成された入口ポートとタンクの外側に配置されたパージ流体貯蔵タンクへの接続端部との間に延びていると理解されるべきである。タンクの上壁に形成された適切な接続部は、タンク内に存在するパージラインの部分と、パージ流体タンクに接続される、タンクの外側の部分とを接続することを可能にする。必要に応じて、2つのパージラインには、タンクの頂壁に形成された同一の接続部が割り当てられており、これらのパージラインは、特定の経路を辿り、ここでタンク内の同一の取付け手段の恩恵を得るために適切であれば一方のパージラインが他方のパージラインに隣接し、これらのパージラインは、それぞれポンプ室またはエアロックに開口する入口ポートにおいて互いに異なっている。
【0026】
本発明の1つの特徴によれば、パージラインと付加的なパージラインとが、タンク内で、かつそれらの長さの少なくとも一部にわたって隣接した経路を辿り、取付け手段が2つのパージラインにとって共通のものである。換言すると、本実施形態によれば、パージラインと付加的な別個のパージラインとは、互いに近傍の経路を辿るが、それらの長さの少なくとも一部にわたって別個の経路を辿る。パージラインと付加的なパージラインとは、特に、タンク内で、それらの長さの少なくとも一部にわたって互いに厳密に平行な経路を辿ることができる。
【0027】
本発明の1つの特徴によれば、付加的なパージラインは、荷役タワーのプレートに沿って延びる少なくとも1つの部分を備え、パージラインも、付加的なパージラインの対応する部分に隣接して、荷役タワーのプレートに沿って延びる少なくとも1つの部分を備えている。
【0028】
本発明の1つの特徴によれば、パージラインが、タンクの外側に配置されたパージ流体貯蔵タンクに接続されている。
【0029】
本発明の1つの特徴によれば、パージ流体は、気体状の窒素である。
【0030】
本発明の1つの特徴によれば、パージラインおよび付加的なパージラインは、同一のパージ流体貯蔵タンクに接続されている。結果として、パージラインを介してメイン支柱内に搬送されるパージ流体は、付加的なパージラインを介してフート弁に搬送されるパージ流体と同一である。
【0031】
本発明の1つの特徴によれば、本発明によるタンクは、ポンプ室内でフィードポンプを第1の位置または作動位置と第2の位置またはパージ位置との間で運動させるための手段を備え、パージ位置では、フィードポンプが、ポンプ室内へのパージラインの入口ポートから離間して配置されている。引込み式フィードポンプの作動位置では、メイン支柱におけるパージラインの入口ポートを引込み式フィードポンプと対向させることができる。パージ位置は、作動位置と、メイン支柱の、交換されるべきポンプがメイン支柱から引き出される上端部との間の中間位置にある。少なくとも1回のパージ運転、つまりメイン支柱内へのパージ流体の噴射は、交換すべきフィードポンプが中間位置にある場合に実施され、これにより、故障したポンプの効率的な交換が行われる前に、全ての残留液化天然ガスと、適切な汚染物質、例えばダストが排出されることを保証することができる。
【0032】
本発明の1つの特徴によれば、フート弁には、可動の弾性手段が割り当てられており、これにより、引込み式フィードポンプによりタンクから流体が吸い出される開口に対して押圧されるシーリング位置と、この開口から離間している解放位置とをフート弁に与えることができる。
【0033】
本発明の1つの特徴によれば、フィードポンプは、少なくともフィードポンプがその第1の位置または作動位置に配置されている第1の停止位置と、フィードポンプがその第2の位置またはパージ位置に配置されている中間位置と、ポンプが支柱から引き出されている終端位置との間で可動のホイストにより搬送される。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、上述のようなタンク内に配置されたフィードポンプを交換するための方法に関し、交換すべきフィードポンプをその作動位置とパージ位置との間で運動させる第1のステップと、パージラインによりポンプ室内にパージ流体を導入する第2のステップと、交換すべきフィードポンプをメイン支柱から取り出す第3のステップと、新しいフィードポンプをメイン支柱内にパージ位置と作動位置へと挿入する第4のステップとを有している。
【0035】
好適な実施形態によれば、第2のステップと第3のステップとを同時に行うことができる。
【0036】
本発明の1つの特徴によれば、新しいポンプのパージ位置から作動位置への切換えの間にパージ流体噴射が実施される。
【0037】
本発明の1つの特徴によれば、フート弁の運動によってメイン支柱の下端部を閉鎖するステップが、交換すべきフィードポンプを運動させる第1のステップと同時に実施される。
【0038】
本発明の1つの特徴によれば、フート弁の運動によって閉鎖するこのステップの間に、付加的なパージラインを介してパージ流体をエアロック内に噴射するステップが設けられていてよく、これにより、フィードポンプまたはポンプ室とフート弁との間に配置された容積から、残留液化天然ガスおよび残留液化天然ガスが含むダストのような汚染物質を出すことができる。代替的に、パージ流体噴射ステップは、フート弁を閉鎖するステップの後に行うことができる。
【0039】
最後に、本発明は、液化ガスを貯蔵するように構成された上述のような輸送および/または貯蔵タンクを装備した貨物船に関し、タンクのメイン支柱内に配置されたフィードポンプの交換が、上記のような方法により実施される。
【0040】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明と、例示的な幾つかの実施形態との両方から明らかになり、これらの実施形態は、添付の概略的な図面を参照して例示目的で与えられており、限定を伴わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】液体の状態の天然ガスの少なくとも1つのタンクを示す輸送船の側面図である。
【
図2】本発明による輸送および/または貯蔵タンクの概略的な全体図である。
【
図3】
図2に示したタンクのようなタンク内に設置された荷役タワーの概略的な全体図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による、
図3に示した荷役タワーのような荷役タワーのプレートを拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による、
図3に示した荷役タワーのような荷役タワーのプレートを拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図6】液化天然ガスが支柱の下端部とタンクの底壁との間を通過することを可能にするフート弁と共に、
図3に示した荷役タワーのような荷役タワーの支柱内に設置されたフィードポンプをその作動位置において示すポンプ室の概略的な断面図である。
【
図7】パージ位置におけるフィードポンプを示す、
図6と同様の概略的な断面図であり、フート弁は、液化天然ガスへの支柱のアクセスを支柱の下端部を介してブロックしている。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の特徴、変形例および異なる実施形態は、それら実施形態が互いに非料率的または排他的ではない限り、種々異なる組合せで互いに組み合わせることができる。特に、以下に説明する複数の特徴のうち選択した1つの特徴のみを、記載した別の特徴から分離して備える本発明の変化形を想定することが可能であり、ただしこの特徴の選択は、技術的な利点を与え、かつ/または本発明を先行技術と差別化するために十分であるものとする。
【0043】
さらに、以下の説明および添付の様々な図面において同一の要素は同一の参照符号によって示されている。
【0044】
慣例により、図面では、本発明によるタンクの要素を表すために直交座標系(oxyz)が使用される。ox軸は、本発明によりタンクが配置される船舶の長手方向に対応し、oy軸は、船舶の長手方向に対して垂直な横方向軸である。「前方」および「後方」という用語は、以下では、長手方向における船の運動の主要方向に関して理解される。oz軸は、長手方向軸および横方向軸に対して垂直な鉛直方向軸を表し、本発明によるタンクおよびタンクが配置される船舶の鉛直方向を具現化する。以下において、「上」または「高」という用語は、oz軸の正の方向を意味し、「下」または「底」という用語は、oz軸の負の方向を意味する。
【0045】
図1は、液化天然ガスの少なくとも1つのタンクを備える輸送船100を示しており、これらのタンクのうちの1つ、つまりタンク1が、
図1において理解を容易にするために可視化されている。輸送船100は、特に、船舶の運転のための燃料として液化天然ガスを使用するように構成されている。タンク1は、液化天然ガスをタンク1内へ積み込み、かつ/またはタンク1から降ろすことを可能にするように構成された荷役タワー2を備え、以下で説明するように、タンクは、引込み式フィードポンプを備え、この引込み式フィードポンプは、液化天然ガスを圧送し、船舶の機械類に送るように構成されている。
【0046】
図2は、流体を貯蔵および/または輸送するためのタンク1を概略的に示している。タンク1には、上述した荷役タワー2が装備されている。タンク1も船内の支持構造体3にアンカ固定されている。支持構造体3は、例えば、船舶の内部船体によって形成されているが、より一般的には、適切な機械的特性を有する任意のタイプの剛性の仕切り壁から形成されていてよい。このタンク1は、液化天然ガスを輸送するためのものであってよく、または船を推進するための燃料として働く液化天然ガスを収容するためのものであってよく、または船舶の発電機の熱機関への燃料供給のためのものであってもよい。
【0047】
ここに示す例によれば、タンク1内に含まれる流体は、液化天然ガスであるが、本発明の文脈から逸脱することなしに、液化天然ガスとは異なる流体であってもよいと理解される。例えば、この流体は、主にメタンを含み、小さな割合の1種または複数種の別の炭化水素および窒素を含む気体状の混合物であってよい。以下では、「流体」および「液化天然ガス」という用語は、タンク1内に収容された流体を示すために交換可能に使用される。
【0048】
荷役タワー2は、有利にはタンク1の側壁8に近接して設置されており、より具体的にはタンク1の後側壁8に近接して設置されており、このことは、特に振動を制限するために、船がバラストを用いて概して後方に傾斜させられている限り、荷役タワー2によって荷降ろしすることができる貨物の量を最適化することを可能にする。本明細書の残りの部分において、「タワー」および「荷役タワー」という用語は、同一の構造体を示すために区別なく使用されることになる。
【0049】
タワー2は、実質的に、タンクの上壁9に近接して配置された上端部200と、タンク1の底壁23に近接して配置された下端部201との間で、oz軸方向に沿ってタンク1の全高にわたって延びている。
【0050】
図3は、
図2に示したタワーのような荷役タワー2をより正確に斜視図で示している。
【0051】
図3を参照すると、荷役タワー2は、3本の支柱11,12,13を備え、これらの支柱11,12,13はそれぞれ、横材14によって互いに取り付けられている。これらの支柱11,12,13はそれぞれ中空であり、タンク1の上壁を閉鎖するカバー10を通過している。3つの支柱11,12,13は、横材14によって三角形の横断面を有する角柱を画定しているが、この形状は、本発明を限定するものではない。
【0052】
より詳細に
図3に示された実施形態によれば、支柱11,12,13は、互いに等距離で配置されているので、角柱の横断面は正三角形であるが、ここで、この配置は発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0053】
本発明によれば、タンク1は、複数の支柱のうちの1つの支柱に収容された引込み式フィードポンプ18を備え、この支柱は、以下ではメイン支柱12と呼ばれる。
図3に示したように、上記メイン支柱12は、別の支柱11,13、または二次支柱の対応する断面よりも大きな通路断面を有してもよいが、メイン支柱の底部にポンプを位置決めすることを必要とする場合に、メイン支柱の通路断面が、メイン支柱の上側の開口からタワーの下端部201に近接する下側部分へと引込み式フィードポンプをスライドさせ、または特にポンプを交換するためにポンプの引出しを必要とする場合に、別の方向に引込み式フィードポンプをスライドさせることを可能にすることができる限り、本発明を制限するものではない。引込み式フィードポンプ18は、タンク1内に存在する液化天然ガスを圧送し、タンク1から出して図示しない循環ラインを通じて船舶の機械類へ送るために、メイン支柱を通じてこのメイン支柱の上端部へと送るように構成されている。
【0054】
タンクは、1つまたは複数の引込み式フィードポンプ18を備えてもよい。以下では、本発明を、タンク1が、単独の引込み式フィードポンプ18を備えている構成について説明する。この引込み式フィードポンプ18に適用される特性は、タンク1の別の支柱のうちの1つに装備される別の引込み式フィードポンプのいずれにも適用されることを理解されたい。
【0055】
引込み式フィードポンプ18は、ポンプが作動位置にある場合、つまりタンク内の液化天然ガスを圧送することができる場合に、支柱の所定の領域に収容されており、この所定の領域をポンプ室180と見なすことができる。ポンプ室は、荷役タワー2の支柱12内に形成されており、したがって、この支柱12は、上で定義した意味でメイン支柱を形成している。引込み式フィードポンプは、次いで船舶の機械類へ供給するためにメイン支柱を上昇することができる液化天然ガスの流れを通って延びるように、ポンプ室内に配置されている。
【0056】
ポンプ室180は、メイン支柱12の下側部分に配置されており、かつメイン支柱12の下側部分における、メイン支柱の軸方向でタンクの底壁に向かうメイン支柱12の延長部であると考えることができる。
【0057】
図3に概略的に示された例では、ポンプ室は、メイン支柱12の一体的な部分である一方で、この支柱の下側部分を形成しており、支柱の残りの部分との正確な境界を定めていない。本発明の文脈から逸脱することなしに、ポンプ室が、メイン支柱から独立した管状スリーブによって形成されており、適切な取付け手段によってこのメイン支柱の下端部に取り付けられていることが規定されていてよい。いずれの場合にも、ポンプ室と支柱の上側部分との間で流体連通が存在し、支柱およびポンプ室の寸法、特に通路断面は、引込み式フィードポンプを、支柱の下側部分における作業位置から支柱の上端部にまで持ち上げることによって、ポンプの交換が必要な場合に、支柱の外部に引き出すことを可能にする。
【0058】
荷役タワー2は、タワー2の下端部201の形成に関与するプレート24を備えている。
図3に示したように、プレート24は、引込み式フィードポンプ18およびフィードポンプ18が収容されているポンプ室180のための支持体として働くことができる。しかし、
図3に示したプレートの描写は、このプレートの形状の非限定的な概略図であることに留意されたい。
【0059】
図4は、本発明の第1の実施形態によるタンク1の荷役タワー2の下端部201を拡大した概略図である。
図4は、荷役タワー2の下端部201、上記タワーのプレート24、ならびにメイン支柱12の下側部分を示しており、フィードポンプ18が配置されているポンプ室180は、
図4では見えない。
【0060】
タンクは、
図6および
図7の概略図において確認することができるフート弁19をさらに備えている。フート弁19は、引込み式フィードポンプによってタンク内に存在する液化天然ガスの吸込みを可能にするか、または遮断するために働き、または換言すると、メイン支柱12の下端部120における流体の通過を許容するか、または遮断するために働く。したがってフート弁19は、
図6に示した、メイン支柱12の下端部120から離間している解放位置と、
図7に示した、メイン支柱の下端部のエッジ120に対して押圧されているシーリング位置との間で可動である。解放位置からシーリング位置へ、またはシーリング位置から解放位置へのフート弁の運動は、特にメイン支柱内の引込み式フィードポンプの運動によって引き起こされる加圧効果および吸込み効果と、上記
図6および
図7に概略的に示されたばね190のセットを介した弾性的な戻り効果との組合せによって、達成される。
【0061】
1つの実施形態では、ポンプ室180において、メイン支柱12が、その下端部において環状フランジ181を備えていてよく、環状フランジ181によって、メイン支柱およびポンプ室が、管状スリーブ182に接続されており、この管状スリーブ182の直径は本実施例では、ポンプ室180の直径と実質的に同一である。より具体的には、メイン支柱12の下端部に配置された環状フランジ181は、例えばねじ締結によって、管状スリーブ182の上側の環状フランジ183に結合されている。
【0062】
管状スリーブ182は中空であり、管状スリーブ182が形成するキャビティは、このキャビティ内に、前述のフート弁を収容しており、このキャビティは、引込み式フィードポンプ18と、ポンプ室180およびメイン支柱12の内部容積とを、タンク1の内部容積の残りの部分から隔離することを可能にする。したがって、上述の管状スリーブ182は、エアロックを形成しており、このエアロック内にフート弁19が延びている。メイン支柱の延長線上に配置されたエアロックは、上記で定義した鉛直方向ozで、貯蔵タンクの底壁とポンプ室180との間に配置されている。
【0063】
本発明によれば、貯蔵タンクが、パージライン211を備えている。パージライン211は、パージ流体を、タンク1の外側に配置された貯蔵タンク(図示せず)から、メイン支柱12の下端部120に近接する、特にフィードポンプ18が配置されているポンプ室180内へ搬送するように構成されている。このためには、パージライン211が、タンク1内に延びている一方で、主にメイン支柱の外側にある。パージラインの、貯蔵タンクと反対側の終端部分のみが、メイン支柱に形成された入口ポートを介してメイン支柱内に収容され、またはメイン支柱と協働する。
【0064】
より具体的には、本発明は、パージライン211は、
図4に概略的に示された入口ポート2110を介してメイン支柱12に開口し、メイン支柱の下端部120に対してできるだけ近傍に配置されていることを規定している。入口ポートは、特に、引込み式フィードポンプ18が作動位置にある場合に、引込み式フィードポンプ18の近くでメイン支柱に開口していてよい。上述のことにより、入口ポート2110は、有利には、メイン支柱12の下側部分に近接して、つまり荷役タワー2のプレート24の近くでポンプ室内に配置されている。換言すると、入口ポート2110は、ポンプ室を横方向で画定する周壁に形成されていてよい。
【0065】
2つの例示的な実施形態を、
図4および
図5に関してより詳細に説明する。各例は、本発明の特徴に関連しており、その特徴によれば、開口が、メイン支柱12の下端部に近接してメイン支柱に形成されており、パージラインが、メイン支柱の下側部分において、ポンプ室においてパージ流体を噴射することができるように、上記開口に接続されている。これらの2つの実施形態は、パージラインが沿って延びる、タンク内に存在する構造エレメントにより互いに異なっている。
【0066】
図4に示す例示的な第1の実施形態では、パージライン211は、タンク1の頂部に配置されたパージ流体貯蔵タンクに接続された端部から、ポンプ室180へと、連続して以下の部分を備えている。
【0067】
荷役タワー2の構造物の形成に関与する二次支柱11,13に沿って、この二次支柱の下端部2100へと延びる第1の部分2111であって、当該第1の部分2111は、oz軸の方向に延びており、かつポンプ室180内にフィードポンプ18が配置されているメイン支柱12に対して平行である、第1の部分2111。
【0068】
二次支柱11,13の下端部2100とメイン支柱12の下端部120との間に延びる第2の部分2112であって、ox軸およびoy軸を含む平面に延びており、荷役タワー2のプレート24に対して実質的に平行である、第2の部分2112。
【0069】
メイン支柱12に開口している入口ポート2110に第2の部分2112を接続することを可能にする第3の部分2113。
【0070】
第1の部分2111と第2の部分2112とは、メイン支柱12の外側に延びるパージラインの主要部分を形成している。
【0071】
取付け兼アンカ固定手段215が、タンク内で二次支柱およびプレートに沿ってパージライン211の位置を位置固定するために設けられており、上記取付け兼アンカ固定手段は、特に、支柱またはプレートとそれぞれ一体化されかつパージラインを保持することを可能にするように成形されたクリップの形態を取ることができる。
【0072】
図示の例では、タンクは、付加的なパージライン212も有しており、この付加的なパージライン212は、パージ流体を上述の貯蔵タンクから、フート弁の近傍に搬送するように構成されている。この付加的なパージライン212は、特に、フート弁19が配置されているエアロックを形成する管状スリーブ182によって画定されたキャビティ内へと延びていてよい。付加的なパージライン212は、
図4に概略的に示された入口ポート2120を通ってエアロック182に開口している。
【0073】
これに関して、パージライン211と付加的なパージライン212とは互いに別個であり、つまり、パージライン211と付加的なパージライン212とは、別個のオリフィスを通ってタンク1の上側部分に進入し、メイン支柱12の下端部120まで通過し、パージライン211と付加的なパージライン212と間には、これらのラインのうちの一方によって搬送された流体が、他方のラインによって搬送された流体に接触してしまう交差点は存在しない。
【0074】
より具体的には、
図4に示した例示的な第1の実施形態では、パージライン211と付加的なパージライン212とは、それぞれ二次支柱11とポンプ室180との間および二次支柱13とエアロック182との間で、局所的に隣接した経路を辿る。
【0075】
特にパージライン211と付加的なパージライン212とはそれぞれ、二次支柱11,13に沿って延びる第1の部分2111,2121と、対応する二次支柱11,13の下端部2100とメイン支柱12の下端部120との間でプレート24に沿って延びる第2の部分2112,2122とを備えている。
【0076】
したがって、本発明のこの例示的な実施形態によれば、パージライン211と付加的なパージライン212とは、それらのそれぞれの長さの大部分にわたって互いに実質的に平行な経路を有している。特に、このことは、特に荷役タワー2のプレート24および二次支柱11,13に対してパージラインを迅速に固定するために、これらの2つのラインに共通の取付け兼アンカ固定ポイント215を実施することを可能にする。
【0077】
図5は、パージライン211の経路により上述したものとは異なる、本発明の第2の実施形態を示している。この図は、荷役タワー2、その下端部201およびそのプレート24ならびにポンプ室180、エアロック182、二次支柱11,13、パージライン211および入口ポート2110を示しており、入口ポート2110を通じてパージライン211がメイン支柱12に開口している。
【0078】
この例示的な第2の実施形態によれば、パージライン211は、メイン支柱12の外面に沿って、タンク1の上壁からポンプ室180およびポンプ室に形成された入口ポート2110へと実質的に鉛直方向に延びる第1の部分2111のみを備えている。パージラインは、メイン支柱に取り付けることができるが、上述したことにしたがって、支柱の外側でタンク内に延びている。ここでも、図示しないが、メイン支柱に沿って規則的な間隔で取付け兼アンカ固定手段を配置することができ、これにより、メイン支柱の外面に対するパージラインの保持を保証することができる。
【0079】
例示的な第1の実施形態に関して上述したように、パージラインとは別個の、かつフート弁のポートに接続されている付加的なパージラインが設けられていてよい。この付加的なパージラインは、
図5に示したような二次支柱およびプレートに沿って、
図4に示して上述したような経路を辿ることができるか、またはメイン支柱の外面に沿ってパージラインと同一の経路を辿ることができ、これにより、2つのパージラインの固定および取付け手段を共通のものとすることができる。
【0080】
したがって、選択された実施形態にかかわらず、タワー12の下端部120に近接して配置された入口ポート2110の存在は、ポンプ交換動作中にメイン支柱の下側部分に残っているあらゆる残留液化天然ガスを、メイン支柱12の下側部分からメイン支柱12およびタンク1の上側部分に向かって押し上げることによって、効果的かつ完全な排出を可能にする。
【0081】
選択された例示的な実施形態にかかわらず、本発明は、さらに、タンク1が、
図6および
図7に概略的に示したフィードポンプ18を運動させるための手段を備えることを規定している。
図6は、より具体的には、フィードポンプ18を作業位置において示しており、この作業位置では、ポンプは、タンク内に存在する液化天然ガスを、メイン支柱12の下端部120に設けられた開口を通じて吸い込むことができ、これにより、メイン支柱を通じてこの液化天然ガスを船舶の機械類に向かって送ることができる。
図7は、より具体的には、フィードポンプ18をパージ位置、すなわち、作業位置と交換すべきポンプがメイン支柱12の上端部を通じて取り出される位置との間の中間位置において示している。
【0082】
フィードポンプ18を運動させるための手段は、
図6に示した作動位置とパージ位置との間でのフィードポンプ18の運動を可能にするように構成されている。
【0083】
本実施形態では、これらの運動手段は、フィードポンプ18の上壁に固定されたホイスト184の形態を取り、少なくとも、フィードポンプ18がその作動位置にある第1の停止位置と、フィードポンプ18が上述のパージ位置にある第2の位置とを取ることができる。フィードポンプを運動させるための手段は、
図6および
図7に概略的に示されており、これらの手段は、本発明の趣旨から逸脱することなしに異なる形態を有していてもよい。しかし、図示された内容にしたがって、運動手段がポンプ室180に設けられた入口開口をブロックしないことが有利であることに留意すべきである。
【0084】
したがって、フィードポンプ18を交換する動作の間、本発明は、第1のステップにおいて、交換すべきフィードポンプ18がその作動位置からパージ位置へ運動させられることを規定しており、次いで、第2のステップにおいて、本発明は、入口ポート2110を介してパージ流体をポンプ室180内に噴射することを規定しており、これにより、残留液化天然ガスが上方に向かって駆動されると同時に、交換すべきポンプは、このポンプが収容されているメイン支柱12から取り出されることを保証することができる。
【0085】
同時にフィードポンプをパージ位置へ運動させることによって、フート弁の吸込みによって支柱の下端部120をブロックすることが可能になる。
【0086】
第3のステップおよび続く第4のステップにおいて、本発明は、交換すべき引込み式フィードポンプがメイン支柱から取り出され、次いで新しいポンプ18が支柱内に挿入され、順次パージ位置および作動位置を取ることを規定している。パージラインを介したパージ流体の噴射は、新しいポンプのパージ位置から作動位置への切換えの間に行われ、これによって、フィードポンプ18が最終的に作動する前に、液化天然ガス残留物および汚染物質が適切に排出されることを保証することができる。フィードポンプ18がそのパージ位置にあるときにポンプ室180内へパージ流体を噴射することにより、ポンプ室180のアセンブリが効果的に空にされる。
【0087】
様々異なる例によれば、ポンプ室180内へパージ流体を噴射する動作は、エアロック182内へのパージ流体の噴射に先行されるか、同伴されるか、かつ/または後行され得る。パージライン211と付加的なパージライン212とが異なるので、ポンプ室180内へのパージ流体の噴射の動作およびエアロック182内へのパージ流体の噴射の動作は、実際、互いに独立して、同時にまたは非同時に実施することができる。
【0088】
本発明は、まさに、上述のように、設定された目標を達成し、タンクの内容物を空にする必要なく、液化天然ガスを輸送および/または貯蔵するためのタンク内の欠陥のあるポンプの交換を可能にする。実際に、本発明は、パージ流体を支柱の下側部分内に噴射することによって、ポンプの交換時にメイン支柱内に潜在的に存在する大量の液化天然ガスまたは汚染物質をメイン支柱の上側部分へと排出することを可能にする。
【0089】
本明細書に記載されていない変形例は、本明細書に記載された特徴を有している限り、本発明の文脈から逸脱することなしに実施することができる。
【国際調査報告】