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特表2024-530251触媒を湿式酸化再生するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】触媒を湿式酸化再生するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/16 20060101AFI20240808BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20240808BHJP
   B01J 23/96 20060101ALI20240808BHJP
   C07C 1/20 20060101ALN20240808BHJP
   C07C 29/60 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
B01J38/16
B01J23/46 301M
B01J23/96 M
C07C1/20
C07C29/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509466
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022040820
(87)【国際公開番号】W WO2023023290
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,037
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060418
【氏名又は名称】ヴィレント,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518329767
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ デイヴィー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ブロメル,ポール ジー.
(72)【発明者】
【氏名】アンソン,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ストラテン,マット
(72)【発明者】
【氏名】スティーンウィンケル,エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ホランド,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ギアリング,ラウフ エドワード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド,ロバート アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,イアン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169CB02
4G169CB70
4G169DA06
4G169DA07
4G169DA08
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EA06
4G169EB11
4G169EC02Y
4G169EC03Y
4G169EC04Y
4G169FC06
4G169FC07
4G169FC08
4G169GA03
4G169GA06
4H006AA02
4H006AA05
4H006AB44
4H006BA84
(57)【要約】
本開示は、総表面積および少なくとも1種の関連不純物を有する劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法を提供する。本方法は、劣化した水素化触媒と、水、酸素、および不活性ガスまたは希釈剤ガスを含むフラッシング媒体との接触を、水素化触媒から少なくとも1種の不純物の少なくとも一部を除去するのに十分な再生温度および再生圧力で維持し、再生水素化触媒を生成することを含むことができ、再生水素化触媒は、水素化触媒の活性の少なくとも70%を保持することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス流を水素化する方法であって、前記方法が、
水および酸素化炭化水素(C2+1+)を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記水素化触媒に接触させた後に、前記原料中の前記酸素化炭化水素に関する前記水素化触媒の転化率の少なくとも70%を保持することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記酸素が気体酸素の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸素が気体酸素含有ガス流中にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素含有ガス流が空気を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸素化炭化水素がサッカリドである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記水素化触媒に接触させた後に、前記原料中の前記酸素化炭化水素に関する前記劣化した水素化触媒の転化率を100%超保持し、前記原料中の前記酸素化炭化水素に関する前記水素化触媒の転化率の少なくとも70%を保持することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記再生温度が50℃~200℃である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記再生圧力が20psig~300psigである、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記フラッシング媒体が、0.1×10-3~100×10-3(mols/w/hr)の酸素対触媒フラックス比(O/cat/hr)を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記O/car/hrが、0.1×10-3~10×10-3(mols/w/hr)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フラッシング媒体が、1~100(w/w/hr)の水対触媒フラックス比(HO/cat/hr)を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記フラッシング媒体が過酸化水素を含まない、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記水素化触媒が、担体および活性金属を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記水素化触媒がルテニウム担持炭素(Ru/C)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、前記劣化した水素化触媒が、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有し、前記方法が、
少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、触媒反応させて、前記劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒中における前記少なくとも1種の硫黄含有不純物の濃度が、前記劣化した水素化触媒と比較して低下している、方法。
【請求項16】
劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、前記劣化した水素化触媒が、少なくとも1種の炭素含有不純物を有し、前記方法が、
少なくとも1種の炭素含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、触媒反応させて、前記劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒中における前記少なくとも1種の炭素含有不純物の濃度が、前記劣化した水素化触媒と比較して低下している、方法。
【請求項17】
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、前記劣化した水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記水素化温度および水素化圧力で、前記水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも10%の減少、または少なくとも15%の減少、または少なくとも20%の減少、または少なくとも25%の減少を示すことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記再生温度が50℃~200℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記再生圧力が20psig~300psigである、請求項15または19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の関連不純物を有する劣化した水素化触媒を再生する方法であって、前記方法が、
前記劣化した水素化触媒と、水、酸素、および不活性ガスを含むフラッシング媒体との接触を、前記水素化触媒から前記少なくとも1種の不純物の少なくとも一部を除去するのに十分な再生温度および再生圧力で維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
酸素化炭化水素(C2+1+)に関する前記再生水素化触媒の転化率が、前記酸素化炭化水素に関する前記劣化した水素化触媒の転化率よりも高い、方法。
【請求項22】
バイオマス流を水素化する方法であって、前記方法が、
水および糖を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水、酸素および不活性ガスを含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
酸素化炭化水素(C2+1+)に関する前記再生水素化触媒の転化率が、前記酸素化炭化水素に関する前記劣化した水素化触媒の転化率よりも高い、方法。
【請求項23】
前記再生水素化触媒が、前記劣化した水素化触媒に対して、不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記不純物が硫黄含有不純物である、請求項21から23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月19日に出願された米国特許仮出願第63/235,037号明細書の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
化石燃料のコストの増加、および環境に対する懸念により、石油ベースの燃料、化学物質、および他の製品の代替物の開発に対し、世界中で関心が高まっている。バイオマスは、このような燃料および化学物質に対して考えられる再生可能な代替物の1つのカテゴリーである。
【0003】
工業部門におけるバイオマスの利用を促進し維持するための重要な課題は、バイオマスを有用な製品に変換するための効率的で環境に優しい技術を開発する必要があることである。バイオマス変換技術には、残念ながら追加的なコストがかかる傾向があるため、化石燃料のような従来の資源を使用して製造された製品と競合することが困難である。このようなコストには、極端な温度および高圧を維持することができる装置および処理システムに対する資本支出、ならびに加熱燃料や、発酵生物、酵素材料、触媒などの反応生成物(reaction product)、および他の反応化学物質の、必要な運転コストが含まれることが多い。
【0004】
バイオリフォーミングプロセスはこれらの問題に対処するものであり、植物細胞壁に含まれるセルロース、ヘミセルロース、およびリグニンに由来する液体燃料や化学物質をもたらす。例えば、セルロースおよびヘミセルロースは、水相改質(APR)および水素化脱酸素(HDO)(水素化と統合された場合、セルロースおよびヘミセルロースを、液体燃料および他の化学製品を含む水素および炭化水素に変換することができる触媒改質プロセス)を含む様々なバイオリフォーミングプロセスのための原料として使用することができる。APRおよびHDOの方法および技術は、米国特許第6,699,457号明細書、同第6,964,757号明細書、同第6,964,758号明細書、同第7,618,612号明細書(いずれもCortrightらに対するもので、発明の名称は「Low-Temperature Hydrogen Production from Oxygenated Hydrocarbons」)、米国特許第6,953,873号明細書(Cortrightらに対するもので、発明の名称は「Low-Temperature Hydrocarbon Production from Oxygenated Hydrocarbons」)、ならびに米国特許第7,767,867号明細書、および同第7,989,664号明細書、および米国特許出願第2011/0306804号明細書(いずれもCortrightに対するもので、発明の名称は「Methods and Systems for Generating Polyols」)に記載されている。様々なAPRおよびHDOの方法および技術は、米国特許第8,053,615号明細書、同第8,017,818号明細書、および同第7,977,517号明細書、および米国特許出願第13/163,439号明細書、同第13/171,715号明細書、同第13/163,142号明細書、および同第13/157,247号明細書(いずれもCortrightおよびBlommelに対するもので、発明の名称は「Synthesis of Liquid Fuels and Chemicals from Oxygenated Hydrocarbons」);米国特許出願第2009/0211942号明細書(Cortrightに対するもので、発明の名称は「Catalysts and Methods for Reforming Oxygenated Compounds」);米国特許出願第2010/0076233号明細書(Cortrightらに対するもので、発明の名称は「Synthesis of Liquid Fuels from Biomass」);国際特許出願第PCT/US2008/056330号明細書(CortrightおよびBlommelに対するもので、発明の名称は「Synthesis of Liquid Fuels and Chemicals from Oxygenated Hydrocarbons」);ならびに所有者が共通する(commonly owned)同時係属中の国際特許出願第PCT/US2006/048030号明細書(Cortrightらに対するもので、発明の名称は「Catalyst and Methods for Reforming Oxygenated Compounds」)に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
特定の用途においては、APRおよび/またはHDOのための供給物として使用する前に、バイオマス原料の熱安定性を高めるためにバイオマス原料を水素化することが有益であり得る。APRおよび/またはHDOに適合する温度では、糖類は熱分解を受けやすく、これは副生成物の形成、触媒劣化、ひいては触媒再生間の時間が短くなることにつながる。この問題は、糖類を水素と反応させて、より熱的に安定なポリオールまたは糖アルコールを形成することによって回避される。
【0006】
バイオマス原料には、硫黄含有部分などの不純物が含まれており、これらの不純物は経時的に水素化触媒を被毒させる。触媒の被毒は、ポリオールおよび糖アルコール生成物の転化率および収率の低下につながる。その結果、ほとんどの工業的用途では、使用済み触媒を新鮮な触媒に交換するか、既存の触媒を再生して転化率を改善することを含むバッチ式または半連続式のプロセスを伴う。水素化触媒を頻繁に交換することは、時間がかかり、費用がかかり、生産停止時間につながる可能性がある。
【0007】
水素化触媒を再生する現在の方法としては、使用済み水素化触媒から不純物を除去するために過酸化水素洗浄を複数回行う方法が挙げられる。しかし、過酸化水素は、経時的に触媒の物理的強度を損ない、総表面積を減少させ、かつ最終的には触媒活性を低下させる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書には、バイオマスに由来する水溶性糖類および/または不飽和炭化水素流などの原料溶液の水素化に使用する水素化触媒を再生するための反応器システムおよび方法が記載される。提供される反応器システムおよび方法は、既存の再生技術に対して、特有の特徴および利点を提供する。いくつかの実施形態において、水素化触媒を再生するために提供される反応器システムおよび方法は、追加的に触媒の構造的完全性(例えば、表面積、細孔容積)を維持しながら、不純物を効果的に除去して水素化触媒活性を回復させることができる、穏やかな反応条件を提供する。触媒の構造的完全性および/または触媒活性を長期間維持することで、触媒の経時的な必要交換回数が減少することによって、ならびに再生頻度が低下することによって、運転経済性が改善される。これは、過酸化水素をベースとする方法など、触媒の表面積や細孔構造を経時的に劣化させる傾向がある、触媒活性を再生させる現在の技術に対する改善である。さらに、過酸化水素は、商業的規模での貯蔵に課題がある。本明細書で提供される再生酸化剤は、過酸化水素よりも安価であり、既存の技術を用いて商業規模で貯蔵することができる。
【0009】
一実施形態において、本開示は、総表面積、活性、および少なくとも1種の関連不純物を有する劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法を提供する。本方法は、劣化した水素化触媒と、水および酸素を含むフラッシング媒体との接触を、水素化触媒から少なくとも1種の不純物の少なくとも一部を除去するのに十分な再生温度および再生圧力で維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、再生水素化触媒は、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とするか、または、劣化した水素化触媒の基質変換活性の少なくとも70%を保持することを特徴とする。
【0010】
別の実施形態において、本開示は、バイオマス流を水素化する方法を提供する。本方法は、水および糖を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成することを含む。本方法は、原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること、ならびに劣化した水素化触媒とフラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することをさらに含み、再生水素化触媒は、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とするか、または、劣化した水素化触媒の基質変換活性の少なくとも70%を保持することを特徴とする。
【0011】
一実施形態において、本開示は、バイオマス流を水素化する方法を提供する。本方法は、水および酸素化炭化水素(例えば、C2+1+)を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成することを含む。本方法は、原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること、ならびに劣化した水素化触媒とフラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含む。再生水素化触媒は、フラッシング媒体を、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間水素化触媒に接触させた後に、原料中の酸素化炭化水素に関する水素化触媒の転化率の少なくとも70%を保持することを特徴とする。例えば、再生水素化触媒は、フラッシング媒体を、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間水素化触媒に接触させた後に、原料中の酸素化炭化水素に関する劣化した水素化触媒の転化率を100%超保持し、原料中の酸素化炭化水素に関する水素化触媒の転化率の少なくとも70%を保持することを特徴とする。
【0012】
別の実施形態において、本開示は、少なくとも1種の関連不純物を有する劣化した水素化触媒を再生する方法を提供する。本方法は、劣化した水素化触媒と、水、酸素、および不活性ガスを含むフラッシング媒体との接触を、水素化触媒から少なくとも1種の不純物の少なくとも一部を除去するのに十分な再生温度および再生圧力で維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、酸素化炭化水素(C2+1+)に関する再生水素化触媒の転化率は、酸素化炭化水素に関する劣化した水素化触媒の転化率よりも高い。例えば、再生水素化触媒の転化率は、劣化した水素化触媒の転化率よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも50%、または少なくとも100%高い可能性がある。
【0013】
別の実施形態において、本開示は、バイオマス流を水素化する方法を提供する。本方法は、水および糖を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成することを含む。本方法は、原料流を、水、酸素および不活性ガスを含むフラッシング媒体で置き換えることをさらに含む。本方法は、劣化した水素化触媒とフラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することをさらに含み、酸素化炭化水素(C2+1+)に関する再生水素化触媒の転化率は、酸素化炭化水素に関する劣化した水素化触媒の転化率よりも高い。例えば、再生水素化触媒の転化率は、劣化した水素化触媒の転化率よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも50%、または少なくとも100%高い可能性がある。
【0014】
別の実施形態において、本開示は、劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、劣化した水素化触媒は、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する、方法を提供する。本方法は、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成することを含む。本方法は、原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること、ならびに劣化した水素化触媒とフラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することをさらに含む。再生水素化触媒中における少なくとも1種の硫黄含有不純物の濃度は、劣化した水素化触媒と比較して低下している。いくつかの実施形態において、再生温度は50℃~200℃である。いくつかの実施形態において、再生圧力は20psig~300psigである。いくつかの実施形態において、再生温度は50℃~200℃、再生圧力は20psig~300psigである。
【0015】
一実施形態において、本開示は、劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、劣化した水素化触媒は、少なくとも1種の炭素含有不純物を有する、方法を提供する。本方法は、少なくとも1種の炭素含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成することを含む。本方法は、原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること、ならびに劣化した水素化触媒とフラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含む。再生水素化触媒中における少なくとも1種の炭素含有不純物の濃度は、劣化した水素化触媒と比較して低下している。
【0016】
別の実施形態において、本開示は、劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、劣化した水素化触媒は、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する、方法を提供する。本方法は、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成することを含む。本方法は、原料流をフラッシング媒体で置き換えることであって、フラッシング媒体が液相および気相を含み、液相が水を含み、気相が酸素を含むことを特徴とする、原料流をフラッシング媒体で置き換えること、ならびに劣化した水素化触媒とフラッシング媒体との接触を、再生温度50℃~200℃、再生圧力20psig~300psigで、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含む。再生水素化触媒中における少なくとも1種の硫黄含有不純物の濃度は、劣化した水素化触媒と比較して低下している。
【0017】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生水素化は、フラッシング媒体を、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、劣化した水素化触媒に接触させた後に、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする場合がある。
【0018】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生水素化触媒は、フラッシング媒体を、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間、劣化した水素化触媒に接触させた後に、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を保持することを特徴とする場合がある。
【0019】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生水素化触媒は、劣化した水素化触媒に対して、特定の不純物(例えば、硫黄含有不純物または炭素含有不純物)の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする場合がある。
【0020】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生水素化触媒は、フラッシング媒体を、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、劣化した水素化触媒に接触させた後に、劣化した水素化触媒に対して、不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする場合がある。
【0021】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生水素化触媒は、フラッシング媒体を、再生温度および再生圧力で水素化触媒に接触させた後に、劣化した水素化触媒に対して、不純物の少なくとも10%の減少、または少なくとも15%の減少、または少なくとも20%の減少、または少なくとも25%の減少を示すことを特徴とする場合がある。
【0022】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生圧力は20psig~300psigの範囲であってもよく、および/または再生温度は50℃~200℃の範囲であってもよい。
【0023】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、フラッシング媒体は、液相および気相を含んでもよい。気相は、0.1%~40%(v/v)の酸素含量、例えば、少なくとも1%(v/v)、または少なくとも5%(v/v)、または少なくとも10%(v/v)、または少なくとも15%(v/v)、または少なくとも20%(v/v)、または少なくとも25%(v/v)の酸素含量を含んでもよい。
【0024】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、不活性ガス(例えば、窒素)は、60%(v/v)~99.5%(v/v)の量で気相中に存在してもよい。前記実施形態のいずれか1つに記載の方法は、空気を含む気相を含んでもよい。
【0025】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、フラッシング媒体は、0.1×10-3~100×10-3(mols/w/hr)、または0.1×10-3~10×10-3(mols/w/hr)の酸素対触媒フラックス比(O/cat/hr)を含んでもよい。
【0026】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、フラッシング媒体は、1~100(w/w/hr)の水対触媒フラックス比(HO/cat/hr)を有してもよい。
【0027】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、フラッシング媒体は、過酸化水素を含まない場合がある。
【0028】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、水素化触媒は、担体および活性金属を含む。水素化触媒は、(i)少なくとも500m/gの総表面積;(ii)少なくとも400m/gのマイクロポア表面積;および(iii)少なくとも30m/gのメソポア表面積、の特性のうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0029】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、再生水素化触媒は、(i)再生水素化触媒が、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間フラッシング媒体と接触させた後に、劣化した水素化触媒のマイクロポア表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする;ならびに(ii)再生水素化触媒は、再生温度および再生圧力で、少なくとも1時間フラッシング媒体と接触させた後に、劣化した水素化触媒のメソポア表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、の特性のうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0030】
前記実施形態のいずれか1つに記載の方法において、水素化触媒は、ルテニウム担持炭素(Ru/C)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的な反応器システムを示す図である。
図2】40日間通流後の、不純物を有する水素化触媒に対して実施された湿式酸化再生(WAOR)を示す図である。水素化転化率を95%超、または95%近くに維持するために、注入口温度を、最初の40日間で、ベースラインの110℃から140℃弱まで上昇させた。WAORの後は、ベースラインの110℃でほぼ定量的な転化率が得られた。
図3】約140日間通流後の、不純物を有する水素化触媒に対して実施された複数回の湿式酸化再生(WAOR)を示す図である。各WAORの後、水素化転化率の増加が観察された。本実施例において、一定の反応器温度が使用された。
図4図3の水素化触媒で実施した湿式酸化再生からの誘導結合プラズマ質量分析(ICP)の結果を示す図である。上の結果は90日後であり、下の結果は115日後である。
図5】劣化した水素化触媒に対して実施した2回の湿式酸化再生を示す図である。再生条件は、運転温度120℃、反応器圧力100psig、および空気50%/N 50%を含有するガス流を含んでいた。
図6】運転温度110℃、反応器圧力100psig、および100%空気ガス流の再生条件を使用して、劣化した水素化触媒に対して実施された3回の湿式酸化再生を示す図である。
図7】運転温度110℃、反応器圧力100psig、および100%空気ガス流の再生条件を使用して、劣化した水素化触媒に対して実施された湿式酸化中に生成されたCOを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書には、バイオマスに由来する水溶性糖類および/または不飽和炭化水素流などの原料溶液の水素化に使用する水素化触媒を再生するための反応器システムおよび方法が記載される。提供される反応器システムおよび方法は、既存の再生技術に対して、特有の特徴および利点を提供する。いくつかの実施形態において、水素化触媒を再生するために提供される反応器システムおよび方法は、追加的に触媒の構造的完全性(例えば、表面積、細孔容積)を維持しながら、不純物を効果的に除去して水素化触媒活性を回復させることができる、穏やかな反応条件を提供する。触媒の構造的完全性および/または触媒活性を長期間維持することで、触媒の経時的な必要交換回数が減少し、および/または再生操作の必要頻度が減少して、運転経済性が改善される。これは、過酸化水素をベースとする方法など、触媒の表面積や細孔構造を経時的に劣化させる傾向がある、触媒活性を再生させる現在の技術に対する改善である。さらに、過酸化水素は、商業的規模での貯蔵に課題がある。本明細書で提供される再生酸化剤は、過酸化水素よりも安価であり、商業的規模で試薬を貯蔵するための既存の技術が利用可能である。
【0033】
代表的な反応器
【0034】
図1を参照すると、代表的な反応器システム10が、本開示のいくつかの実施形態に従って図示されている。本明細書に開示される原理は、図示された反応器システム10上で有益に実施され得るが、いくつかの実施形態において、他の反応器システムアーキテクチャの使用が可能である。特に、反応器システム10は、反応器12を原料導管16と流体連通させる原料注入口14を有する反応器12を含む。ポンプ18は、リザーバまたは上流プロセスユニットなどの原料供給源20から反応器12へ原料溶液を輸送するために、原料導管16内に構成されてもよい。原料導管16は、原料溶液の温度を制御するための熱交換器22と、反応器12への原料溶液の流量を制御するためのバルブ24とを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、好適な原料溶液は、バイオマスに由来する水溶性糖類を含むが、他の原料を使用することもできる。本明細書で使用される場合、「バイオマス」という用語は、限定されないが、植物(葉、根、種子および茎など)によって生成される有機材料、ならびに微生物および動物の代謝廃棄物を指す。一般的なバイオマス供給源としては、(1)農業廃棄物、例えばトウモロコシの茎、わら、種皮、サトウキビの搾りかす、バガス、木の実の殻、ならびに牛、鶏、および豚の糞尿;(2)木質材料、例えば木材または樹皮、おがくず、材木スラッシュおよびミルスクラップ;(3)都市廃棄物、例えば古紙および庭の刈り取った草;ならびに(4)資源作物、例えばポプラ、ヤナギ、スイッチグラス、アルファルファ、プレーリーブルーストリーム、トウモロコシ、ダイズなどが挙げられる。原料は、現在公知である、もしくは将来開発されるあらゆる手段によってバイオマスから製造することができ、または他のプロセスの単なる副産物であることもできる。糖類は小麦、トウモロコシ、テンサイ、サトウキビ、糖蜜などに由来するものであってもよい。糖は水と混合され、糖を水素化するのに有効な濃度を有する水性原料溶液をもたらす。一般に、好適な糖濃度は約5%~約70%の範囲であり、工業的用途では約40%~70%の範囲がより一般的である。
【0036】
加えて、またはあるいは、好適な原料溶液としては、酸素化炭化水素(C2+1+、例えば、環状エーテル、エステル、ケトン、ラクトン、カルボン酸)、植物油(例えば、多価不飽和脂肪酸)、オレフィン(例えば、C~C12オレフィンなどのアルケンおよび芳香族)、アルキン、アルデヒド、イミン、ニトリル、チオール、ジスルフィド、チオエステル、チオエーテル、フェノール、他のアレーン/芳香族化合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
再び図1を参照すると、反応器12は、反応器12を水素導管28と流体連通させる水素注入口26を含む。水素導管28内には、リザーバまたは上流プロセスユニットなどの水素供給源32から反応器12へ水素を輸送するためのガス輸送装置30が構成されてもよい。いくつかの実施形態において、水素導管28は、水素流の熱を制御するように構成された熱交換器34を含む。好適なガス輸送装置30としては、コンプレッサーまたはブロワーが挙げられるが、これらに限定されない。水素注入口26および原料注入口14は、図1では同流方向に向けられているが、水素注入口26が向流方向に配置され得る(すなわち、反応器12の底部に供給され得る)ことを理解されたい。水素導管28は、反応器12への水素の流量を制御するためのバルブ36を含んでもよい。図1には図示されていないが、原料および水素は、反応器12に供給される前に、混合器でブレンド、混合、または他の方法で組み合わされてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、反応器12は、中に配置された水素化触媒38を含む。水素化反応は、設計、サイズ、形状、流量などに関して限定されることなく、連続フロー、バッチ、セミバッチまたはマルチシステム反応器を含む、好適な設計の任意の反応器中で実施することができる。反応器システム10はまた、流動触媒床システム、揺動床(swing bed)システム、固定床システム、移動床システム、または上記のものの組み合わせを使用することができる。本開示の反応は、典型的には、平衡定常状態(steady-state equilibrium)で連続フローシステムを使用して実施される。
【0039】
いくつかの実施形態において、反応器システム10は、水素および原料溶液が反応器12の頂部で導入され、水素化触媒38の固定床を超えて下方に流れる、シェルアンドチューブ熱交換器を有する固定トリクルベッド反応器として作動する。トリクルベッド反応器の利点としては、単純な機械設計、単純な操作、および触媒開発が単純になる可能性があることが挙げられる。主な設計上の課題は、反応における熱伝達および物質移動の要件を確実に満たすことである。トリクルベッド反応器の主な操作上の課題は、水素化触媒38を均一にロードすること、ガスおよび液体供給物を均一に導入すること、ならびに反応器12を流れる際の反応物のチャネリングによる水素化触媒38の一部のバイパスを回避することである。
【0040】
いくつかの実施形態において、反応器システム10はスラリー反応器として作動する。トリクルベッド反応器には固定化水素化触媒38がロードされるが、スラリー反応器には反応物、生成物および水素化触媒38粒子の流動混合物が含有される。反応器12全体で均一な混合物を維持することには、ミキサーまたはポンプによる積極的な混合が含まれる。さらに、生成物を取り出すためには、濾過、沈降、遠心分離または他の何らかの手段によって、生成物および未反応供給物から触媒粒子を分離しなければならない。スラリー反応器の利点は、主に、活性混合により、反応器容積単位当たりの、より大きい熱伝達および物質移動速度が可能になる場合があることである。
【0041】
いくつかの実施形態において、原料溶液および水素は、反応器12内で水素化触媒38を通過して反応する。いくつかの実施形態において、熱交換器22、34は、原料溶液および水素の流れを、5℃~700℃、10℃~500℃、20℃~300℃、または50℃~180℃の温度に加熱する。いくつかの実施形態において、反応器12の圧力は、0psig~5000psig、または100psig~3000psigに維持される。水素化触媒38は、単一の固定床またはシェルアンドチューブ配置を含むがこれらに限定されない様々な構成で反応器12内に構成されてもよい。いくつかの実施形態において、反応器システム10は、所望の運転温度を維持するために反応器12に熱を供給するように構成された加熱システムを含む。いくつかの実施形態において、加熱システムは、例えば、加熱要素(例えば、電気ヒータ)、加熱流体、またはそれらの組み合わせを使用して、反応器12に熱を供給する。加熱システムは、反応器の外側に構成されてもよい。加えて、またはあるいは、加熱システムは、シェルアンドチューブ構成で構成されてもよく、この場合、加熱流体は、シェルまたはチューブ側を介して水素化触媒38に熱を供給する。いくつかの実施形態において、反応による発熱を低減するために、反応器12を通して反応生成物を再循環して戻すことによって反応器12の温度を制御することもできる。
【0042】
生成物の流れは、少なくとも1つの反応器出口50を通って反応器12から出て、任意選択で生成物導管52を介して分離器54に輸送される。いくつかの実施形態において、生成物導管52は、分離器54に入る前に生成物の流れの温度を調整するための熱交換器56を含む。分離器54は、任意選択で、未反応の反応物および生成物から未反応水素を分離することができる。未反応水素は、水素再循環導管58を介して水素供給源32に再循環させることができる。未反応の反応物および生成物から水素を分離するために、沈殿槽、フラッシュタンク、蒸留、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の好適な分離器54を使用することができる。図1には図示されていないが、いくつかの実施形態において、反応器12は、気体出口および液体出口を含んでもよく、この場合、分離器54なしで、反応器12の内部で蒸気および液体生成物の離脱が起こる。
【0043】
いくつかの実施形態において、分離器54は、導管64を介して分離器54を第2の分離器62と流体連通させる生成物出口60を含む。ポンプ66は、生成物の流れおよび未反応の反応物を第2の分離器62に輸送することができる。熱交換器68は、第2の分離器62に入る生成物の流れおよび未反応の反応物の温度を制御することができ、バルブ70は流量を調節することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、第2の分離器62は、生成物の流れを未反応の反応物から分離するように構成される。未反応の反応物は、再循環導管72を介して原料導管16へと再循環させるか、そうでなければプロセスから廃棄される。生成物導管74を介して分離器62を出る生成物の流れは、貯蔵または水相改質(APR)もしくは水素化脱酸素(HDO)システムなどの下流処理ユニット76へと送られてもよい。蒸留、エバポレーション、液液抽出、クロマトグラフィー、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、未反応の反応物から生成物の流れを分離するための任意の好適な分離器62を使用することができる。
【0045】
触媒
【0046】
本方法は、水素化触媒、例えば、バイオマスの水素化において使用される水素化触媒を再生するために使用することができる。いくつかの実施形態において、反応器システム10のための好適な水素化触媒38は、活性金属および担体を有する水素化触媒38を含む。好適な活性金属としては、Fe、Ru、Co、Pt、Pd、Ni、Re、Cu、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、これらは単独で使用されるか、またはAg、Au、Cr、Zn、Mn、Mg、Ca、Cr、Sn、Bi、Mo、W、B、P、およびこれらの合金もしくは組み合わせなどの助触媒と併用される。
【0047】
水素化触媒は、触媒の所望の機能性に応じて、いくつかの担体のうちのいずれか1つを含むこともできる。例示的な担体としては、遷移金属酸化物、1種以上の半金属から形成される酸化物、および反応性非金属(例えば、炭素)が挙げられる。担体の非限定的な例としては、炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、バナジア、セリア、シリカ-アルミネート、ゼオライト、キーゼルグール、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、クロミア、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態において、触媒は、Ru/C水素化触媒である。例えば、触媒は、炭素粒子に担持された約0.1%~約5%のルテニウムを含んでもよい。触媒は、押出品、錠剤、球体、顆粒、粉末、発泡体、被覆構造体、またはそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0049】
触媒は、触媒する反応または化学プロセスの間に失活してもよい。例えば、本明細書に記載される水素化触媒は、バイオマス水素化プロセス中に失活してもよい。触媒は、活性部位を有する表面を有する場合があり、活性部位は、水素化反応を触媒する際の触媒能に影響を及ぼす場合がある。触媒は、水素化プロセス中、例えば、嵩高い分子の物理的吸収(もしくは付着)による活性部位のブロック、原料中の不純物による活性部位の被毒、またはそれらの組み合わせを含む様々な理由によって失活することがある。触媒被毒は、例えば、不純物(例えば、硫黄含有化合物)と触媒の活性部位との化学反応または強い相互作用によって引き起こされる可能性があり、それによって水素化反応を触媒する触媒能が低下し、すなわち触媒が失活する。触媒失活の程度は、水素化プロセスが継続するにつれ、経時的に上昇する場合がある。原料中の不純物の量が比較的少量であり得る場合でも、大量かつ経時的に不純物が蓄積し、触媒活性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0050】
「新鮮な」触媒とは、水素化条件下で原料溶液または原料からの不純物に曝されていない触媒を意味するために使用される。
【0051】
本明細書で使用される「劣化した水素化触媒」または「劣化した触媒」とは、水素化プロセスで使用された(すなわち、触媒を使用して原料溶液を水素化する条件下で原料溶液に曝された)ために活性部位が少なくとも部分的に失活した水素化触媒を指す。劣化の程度は、例えば、触媒の組成、水素化プロセスの持続時間および条件、原料の組成、ならびに原料中の不純物の量によって影響される場合がある。
【0052】
本明細書で使用される「再生水素化触媒」または「再生触媒」とは、例えば、触媒表面から付着物および/または蓄積した不純物を除去すること、活性部位へのアクセスを回復すること、被毒活性部位を回復すること、またはそれらの組み合わせによって、触媒能が少なくとも部分的に回復した、劣化した触媒を指す。本明細書に記載されるように、再生触媒は、水素化プロセスにおいて再利用され、プロセス中に再び劣化した触媒となる場合がある。このような状況では、再生触媒は、そのような再生触媒から生成される劣化した触媒に対して、「再生されたばかりの」触媒とも呼ばれ得る。
【0053】
再生触媒の触媒能、または再生触媒が生成される劣化した触媒の触媒能は、新鮮な触媒の触媒能と比較されてもよい。例えば、劣化した触媒の触媒能は、新鮮な触媒の触媒能の約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%である場合がある。例えば、再生触媒の触媒能は、新鮮な触媒の触媒能の約80%、約90%、約95%、約99%、約100%、または約110%である場合がある。いくつかの実施形態において、再生触媒は、再生触媒が生成される劣化した触媒よりも高い触媒能を有する。例えば、本明細書における再生方法は、劣化した触媒の触媒能の少なくとも一部を回復させ、その結果、再生触媒の触媒能を向上させることができる。いくつかの実施形態において、再生触媒における触媒能は、再生触媒が生成される劣化した触媒の触媒能の約105%~約500%、例えば約120%、約150%、約200%、約300%、約400%、または約500%であってもよい。
【0054】
触媒(例えば、新鮮な触媒、劣化した触媒、または再生触媒)の触媒能は、そのような触媒によって触媒される反応(例えば、水素化反応)における原料中の試薬の転化率によって測定することができる。本明細書で使用される場合、水素化触媒の「転化率」という用語は、水素化サイクルのために原料溶液に曝露された後の、原料溶液中の反応物の持続時間(例えば、少なくとも1時間~少なくとも1日)にわたる水素化触媒の転化率を指す。水素化触媒は、新鮮な触媒、劣化した触媒、または再生触媒であってもよい。本明細書で使用される場合、特定の原料反応物の転化率(X)は、以下によって計算することができる。
【数1】
式中、nは、水素化プロセスの開始時(t=0)または特定の持続時間(t)後の特定の原料反応物(例えば、糖、オレフィン、植物油、アルキン、アルデヒド、イミン、ニトリル)のモル数である。転化率は温度および圧力に応じるものであり得るため、同じ水素化条件(例えば、温度50℃~180℃、圧力100psig~3000psig)で、新鮮な触媒、劣化した触媒、および再生触媒の転化率の値を比較することができる。
【0055】
本明細書で使用される触媒の「表面」または「表面積」は、効果的な触媒作用のための活性部位を有する活性表面、および本明細書に記載されるような活性部位の失活により触媒能が低下した失活表面の両方を含む。
【0056】
再生触媒の活性表面積、または再生触媒が生成される劣化した触媒の活性表面積は、触媒の劣化(または再生)の程度の1つの尺度として、新鮮な触媒の活性表面積と比較することができる。例えば、劣化した触媒の活性表面積は、新鮮な触媒の活性表面積の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%である場合がある。例えば、再生触媒の活性表面積は、新鮮な触媒の活性表面積の約80%、約90%、約95%、約99%、約100%、または約110%である場合がある。いくつかの実施形態において、再生触媒は、再生触媒が生成される劣化した触媒よりも大きい活性表面積を有する。例えば、本明細書における再生方法は、劣化した触媒中の失活表面の少なくとも一部を活性表面に戻し、したがって、再生触媒中の活性表面積を増加させることができる。いくつかの実施形態において、再生触媒における活性表面積は、再生触媒が生成される劣化した触媒の活性表面積の約105%~約500%、例えば約120%、約150%、約200%、約300%、約400%、または約500%であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、水素化触媒38および/または劣化した水素化触媒は、10m/g~1500m/gの総表面積を有する。水素化触媒38は、新鮮な触媒、劣化した触媒、または再生触媒であってもよい。水素化触媒38の再生後または使用後における表面積の保持率は、水素化触媒38の物理的強度の指標として使用することができる。いくつかの実施形態において、水素化触媒38および/または劣化した水素化触媒は、少なくとも10m/g、または少なくとも20m/g、または少なくとも30m/g、または少なくとも40m/g、または少なくとも50m/g、または少なくとも100m/g、または少なくとも200m/g、または少なくとも300m/g、または少なくとも500m/g、または少なくとも600m/g、または少なくとも700m/g、または少なくとも800m/g~900m/g未満、または1000m/g未満、または1100m/g未満、または1200m/g未満、または1300m/g未満、または1400m/g未満、または1500m/g未満の総表面積を有する。細孔の総表面積は、例えば、Brunauer-Emmet-Teller窒素吸着またはアルゴン吸着のような吸着に基づく方法、または他の好適な技術を使用して測定することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、水素化触媒38は、マイクロポアおよびメソポアを含む。水素化触媒38は、新鮮な触媒、劣化した触媒、または再生触媒であってもよい。本明細書で使用される場合、「マイクロポア」という用語は、水素化触媒38中の、2nm未満の細孔直径を有する細孔を指す。本明細書で使用される場合、「メソポア」という用語は、水素化触媒38中の、2nm~50nmの細孔直径を有する細孔を指す。
【0059】
いくつかの実施形態において、水素化触媒38は、少なくとも5m/g、または少なくとも10m/g、または少なくとも20m/g、または少なくとも30m/g、または少なくとも50m/g、または少なくとも100m/g、少なくとも100m/g、または少なくとも200m/g、または少なくとも300m/g、または少なくとも500m/g、または少なくとも600m/g、または少なくとも700m/g、または少なくとも800m/g~900m/g未満、または1000m/g未満、または1100m/g未満、または1200m/g未満、または1300m/g未満、または1400m/g未満、または1450m/g未満のマイクロポア表面積を有する。細孔のマイクロポア表面積は、例えば、Brunauer-Emmet-Teller窒素吸着またはアルゴン吸着のような吸着に基づく方法、または他の好適な技術を使用して測定することができる。マイクロポア表面積は、Thommes et al. Pure Appl. Chem. 2015, " Physisorption of gases, with special reference to the evaluation of surface area and pore size distribution (IUPAC Technical Report)"に記載されているIUPACガイドラインに従って測定することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、水素化触媒38は、少なくとも0.5m/g、または少なくとも1m/g、または少なくとも2m/g、または少なくとも3m/g、または少なくとも5m/g、または少なくとも10m/g、または少なくとも20m/g、または少なくとも30m/g、または少なくとも40m/g~50m/g未満、または60m/g未満、または70m/g未満、または80m/g未満、または90m/g未満、または100m/g未満、または110m/g未満、または少なくとも125m/g、または少なくとも150m/gのマイクロポア表面積を有する。細孔のメソポア表面積は、例えば、Brunauer-Emmet-Teller窒素吸着またはアルゴン吸着のような吸着に基づく方法、または他の好適な技術を使用して測定することができる。メソポア表面積は、Thommes et al. Pure Appl. Chem. 2015, " Physisorption of gases, with special reference to the evaluation of surface area and pore size distribution (IUPAC Technical Report)"に記載されているIUPACガイドラインに従って測定することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、反応器システム10は、原料溶液および/または水素化触媒38を処理するための前処理ユニットまたはステップを含む。例えば、水素化触媒38は、還元により活性状態にされてもよい。例えば、製造中に触媒を還元し、特定の用途では、次いで、低レベルの酸素で不動態化して、空気に曝されたときの触媒安定性を高めることができる。還元ステップの目的は、任意の酸化された触媒を完全な還元状態に変換することである。特定の原料溶液については、反応器システム10の上流に前処理ステップを含めることができる。例えば、グリコシド結合を含む糖類(例えば、スクロース)は、反応器12における水素化の前に加水分解されてもよい。
【0062】
触媒再生
【0063】
水素化の間、触媒不純物が水素化触媒38の表面に蓄積し、触媒性能を低下させる場合がある。本明細書で使用される場合、「触媒不純物」または「不純物」という用語は、水素化触媒38の表面の触媒部位に蓄積する付着物を形成し、触媒部位へのアクセスを制限し、および/または経時的に触媒活性を低下させる(すなわち、その結果、生成物の転化率および収率が低下する)不純物を指す。例示的な触媒不純物としては、炭素含有不純物、硫黄含有不純物、ケイ素含有不純物、リン含有不純物、または鉄含有不純物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
いくつかの実施形態において、水素化触媒38は、水素化触媒38をフラッシング媒体と接触させることにより再生されて、再生触媒となる。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、気相および液相を含む。
【0065】
さらに図1を参照すると、反応器12は、気相導管82を介して反応器12を気相供給源80と流体連通させる気相注入口78を含む。気相供給源80から反応器12に気相を輸送するために、気相導管82内に流体輸送装置84(例えば、圧縮機またはブロワー)が構成されてもよい。気相導管82は、フラッシング媒体の気相温度を制御するための熱交換器86と、反応器12への気相の流量を制御するためのバルブ88とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、流体輸送装置84は、直接大気回収または大気回収のために構成され、流体輸送装置84は、圧縮のために空気と流体連通または直接流体連通している。フラッシング媒体の気相として空気を使用することは、様々な利点を提供する。特に、空気を使用することにより、他の酸化剤(例えば、過酸化水素)を現場で購入して貯蔵する必要がなくなる。いくつかの実施形態において、気相供給源80は、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはそれらの組み合わせ)供給源および酸素供給源(例えば、圧縮タンク)を含み、これらは気相のOおよび/または不活性ガス含量を本明細書に記載される濃度に変更するために使用され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、反応器12は、液相導管94を介して反応器12を液相供給源92と流体連通させる液相注入口90を含む。液相供給源92から反応器12に液相を輸送するために、液相導管94内にポンプ96が構成されてもよい。液相導管94は、フラッシング媒体の液相温度を制御するための熱交換器98と、反応器12への気相の流量を制御するためのバルブ100とを含んでもよい。図1には図示されていないが、液相および気相は、反応器12に供給される前に、混合器でブレンド、混合、または他の方法で組み合わされてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、再生水素化触媒は、フラッシング媒体と水素化触媒38との接触を、水素化触媒38から不純物の少なくとも一部を除去するのに十分な再生温度、再生圧力、および持続時間維持することによって生成することができる。フラッシング媒体を水素化触媒38に接触させることは、水素化触媒38へのフラッシング媒体の連続フロー(再循環なし)、水素化触媒38へのフラッシング媒体の連続フロー(一部または全体の再循環を伴う)、バッチフロー、または半バッチフローを含む、任意の好適なフロースキームで行うことができる。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、反応器出口50を通って反応器12を出て、バルブ102で生成物導管52内の流量を制御することによって、フラッシング媒体供給源80、92または反応器注入口78、90に再循環する。
【0068】
いくつかの実施形態において、再生温度は50℃~200℃である。いくつかの実施形態において、再生温度は、少なくとも50℃、または少なくとも60℃、または少なくとも70℃、または少なくとも80℃、または少なくとも90℃、または少なくとも100℃、または少なくとも110℃、または少なくとも120℃、または少なくとも130℃~140℃未満、または150℃未満、または160℃未満、または170℃未満、または180℃未満、または190℃未満、または200℃未満である。
【0069】
いくつかの実施形態において、再生圧力は20psig~300psigである。いくつかの実施形態において、再生圧力は、少なくとも20psig、または少なくとも30psig、または少なくとも40psig、または少なくとも50psig、または少なくとも60psig、または少なくとも70psig、または少なくとも80psig、または少なくとも90psig、または少なくとも100psig~110psig未満、または125psig未満、または150psig未満、または200psig未満、または250psig未満、または300psig未満である。
【0070】
いくつかの実施形態において、フラッシング媒体を水素化触媒38に接触させる持続時間は、10分~1週間、または30分~24時間、または1時間~12時間である。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体を水素化触媒に接触させる持続時間は、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間~12時間未満、または24時間未満、または2日未満、または3日未満、または4日未満、または5日未満、または6日未満、または1週間未満、またはそれ以上である。
【0071】
いくつかの実施形態において、液体フラッシング媒体を連続供給しながら、反応器への酸素フローを停止することができる。追加の液体フラッシングの持続時間は、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または24時間未満、または2日未満、または3日未満、または4日未満、または5日未満、または6日未満、または1週間未満、またはそれ以上である。
【0072】
いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、水、酸素、および不活性ガスを含む。いくつかの実施形態において、気相は、0.5%(v/v)~60%(v/v)、1%(v/v)~50%(v/v)、または5%(v/v)~30%(v/v)の酸素含量を有する。いくつかの実施形態において、気相は、少なくとも0.5%(v/v)、または少なくとも1%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%~40%未満、または45%未満、または50%未満、または55%未満、または60%未満の酸素含量を有する。
【0073】
いくつかの実施形態において、フラッシング媒体の気相は、40%(v/v)~99.5%(v/v)の不活性ガス含量を有する。いくつかの実施形態において、気相は、少なくとも40%(v/v)、または少なくとも45%、または少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%~85%未満、または90%未満、または95%未満、または99.5%(v/v)未満の不活性ガス含量を有する。
【0074】
いくつかの実施形態において、気相は空気で構成される。本明細書で使用される場合、「空気」は、地球を取り囲む気体を指す場合があり、これは地域的に変化する場合があり、温度および圧力などの様々な要因に応じるものである。一例として、「空気」という用語は、乾燥体積百分率(vol%)で、約78vol%の窒素、約20.9vol%の酸素、約0.9vol%のアルゴン、約0.04vol%の二酸化炭素、ならびにヘリウム、メタン、クリプトン、水素、亜酸化窒素、キセノン、オゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素、アンモニアなどの他の元素および化合物で構成される気体組成物を指す場合がある。
【0075】
いくつかの実施形態において、フラッシング媒体中の酸素含量は、反応器12中の水素化触媒38の量に基づく。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、0.1×10-3~100×10-3(mol/g/hr)の酸素対触媒フラックス比(O/cat/hr)を含む。いくつかの実施形態において、O/cat/hrフラックス比は、少なくとも0.1×10-3(mol/g/hr)、または少なくとも0.5×10-3、または少なくとも1×10-3~5×10-3未満、または10×10-3未満、または50×10-3未満、または100×10-3(mol/g/hr)未満である。
【0076】
いくつかの実施形態において、フラッシング媒体中の含水量は、反応器12中の水素化触媒38の量に基づく。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、1~100(g/g/hr)の水対触媒フラックス比(HO/cat/hr)を含む。いくつかの実施形態において、HO/cat/hr比は、少なくとも1、または少なくとも2、または少なくとも5、または10未満、または20未満、または100(g/g/hr)未満である。
【0077】
フラッシング媒体が水を含むことは、様々な利点を提供する。第1に、水はフラッシング媒体のヒートシンクとして作用し、気体のみで構成されるフラッシング媒体と比較して、反応器12の温度制御を改善することができる。熱制御の改善により、炭素などの触媒担体を焼失させる可能性があるホットスポットの発生が回避される。また、水は極性溶媒であり、イオン性塩および他の極性部位などの、特定の不純物の除去を促進することができる。第2に、フラッシング媒体が水を含むことで、再生中、水素化触媒38を湿潤状態に保つことができる。気体のみで構成されるフラッシング媒体では、触媒が乾燥し、固定床に亀裂が生じて、交換頻度の上昇につながる可能性がある。
【0078】
いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、過酸化水素を実質的に含まないか、または完全に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、1%未満、または0.5%未満、または0.1%未満、または0.05%未満の過酸化水素を指す。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、反応器12に入る前に、過酸化水素を実質的に含まないか、または完全に含まない。
【0079】
200℃を超える温度の気体相条件下で作動する(例えば、デコーキング反応および脱硫反応)、または経時的に触媒の物理的構造を劣化させる酸化剤を利用する(例えば、Hベースの再生)、典型的な触媒再生プロセスとは異なり、本開示は、より苛酷でない条件下(例えば、200℃未満の温度)で作動するフラッシング媒体を用いて水素化触媒38を再生する方法を提供する。驚くべきことに、また予想外なことに、規定の再生圧力および温度で、水、酸素、および不活性/希釈剤ガスを含むフラッシング媒体は、触媒活性を回復させるのに十分な量の不純物を水素化触媒38から除去するのに有効である。さらに、驚くべきことに、また予想外なことに、水、酸素および窒素を含むフラッシング媒体は、規定の持続時間にわたってフラッシング媒体と接触させた後、劣化した水素化触媒38の活性(例えば、転化効力)および構造的完全性(例えば、全表面、細孔サイズ、細孔容積)を維持するのに効果的であることが見出された。
【0080】
いくつかの実施形態において、劣化した水素化触媒という用語は、本明細書に記載される規定の水素化条件(例えば、温度、圧力、原料の濃度)において、一定期間(例えば、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年)原料溶液に曝された水素化触媒38を指す。劣化した水素化触媒は、一度も原料溶液に曝されていない新鮮な触媒を規定の水素化条件に曝すことによって、または再生されたばかりの触媒を規定の水素化条件に曝すことによって生成され得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、再生水素化触媒は、過酸化水素ベースの再生を使用して再生された触媒と比較して、改善された構造完全性および/または触媒活性を示す。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して再生すると、もたらされる再生水素化触媒は、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも一部(例えば、劣化した水素化触媒の値の少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)を保持することを特徴とする。
【0082】
本明細書で使用される場合、基準値に関する「保持(retain)」、「保持すること(retaining)」、または「保持率(retention)」という用語は、基準値に対する部分値および増加値の両方を含む。例えば、規定のパラメータ(例えば、再生触媒の表面積または転化率)は、基準パラメータ(例えば、再生触媒が生成される劣化した触媒の表面積または転化率)の100%未満または100%超を保持することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、再生水素化触媒は、複数回の再生サイクルに曝された後も表面積を保持する。本明細書で使用される場合、「複数回再生された水素化触媒」という用語は、提供される水素化条件のうちの1つまたは複数における複数回の水素化処理サイクル、および提供される再生条件のうちの1つまたは複数における複数回の再生に曝された水素化触媒を指す。複数回再生された水素化触媒である触媒に関して、再生後の表面積の保持率に関する議論は、所定の再生前(例えば、2回目の再生前、3回目の再生前、4回目の再生前、5回目の再生前、6回目の再生前、7回目の再生前、8回目の再生前、9回目の再生前、10回目の再生前など)の、所定の再生直後の表面積と、劣化した水素化触媒の表面積との比較を指す。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用した複数回の再生では、もたらされる複数回再生水素化触媒は、所定の再生サイクルにおいて、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも一部(例えば、劣化した水素化触媒における総表面積の値の少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)を保持することを特徴とする。
【0084】
いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して再生すると、もたらされる再生水素化触媒は、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも一部(例えば、少なくとも1%、または少なくとも2%、または少なくとも3%、または少なくとも4%、または少なくとも5%の増加)が回復することを特徴とする。
【0085】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、水素化触媒38から不純物を除去するのに有効である。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して再生すると、もたらされる再生水素化触媒では、フラッシング媒体を、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)、水素化触媒38に接触させた後、劣化した水素化触媒の不純物含量に対して不純物が減少(例えば、少なくとも5%減少、または少なくとも10%減少、または少なくとも15%減少、または少なくとも20%減少、または少なくとも30%減少、または少なくとも40%減少、または少なくとも50%減少、または少なくとも60%減少)する。いくつかの実施形態において、不純物の減少は、初期の不純物含量を求めるために、劣化した水素化触媒をサンプリングすることによって求めることができる。同じ手順を、再生水素化触媒に対して行ってもよく、その結果を比較して、不純物の減少率を決定してもよい。いくつかの実施形態において、不純物の含量は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP分析)などの、任意の公知の方法によって求めることができる。いくつかの実施形態において、不純物は硫黄含有種である。いくつかの実施形態において、炭素質付着物の除去は、排ガス中のCO量を監視することによって測定することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、再生水素化触媒は、再生処理後、優れた触媒活性の保持率を示す。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して再生すると、もたらされる再生水素化触媒は、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、原料溶液に関する劣化した水素化触媒の転化率の一部(例えば、原料溶液に関する劣化した水素化触媒の転化率の少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)を保持することを特徴とする。
【0087】
いくつかの実施形態において、再生水素化触媒は、複数回の再生サイクルに曝された後も転化率を保持する。複数回再生水素化触媒である触媒に関して、再生後の転化率の保持率に関する議論は、所定の再生前(例えば、2回目の再生前、3回目の再生前、4回目の再生前、5回目の再生前、6回目の再生前、7回目の再生前、8回目の再生前、9回目の再生前、10回目の再生前など)と、所定の再生直後の転化率との、劣化した水素化触媒の転化率の比較を指す。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して複数回再生すると、もたらされる複数回再生水素化触媒は、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、原料溶液に関する劣化した水素化触媒の転化率の一部(例えば、原料溶液に関する劣化した水素化触媒の転化率の少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)を保持することを特徴とする。
【0088】
典型的には、劣化した触媒は、新鮮な触媒よりも低い触媒能(例えば、転化率の値によって測定される)を有する。劣化した触媒の触媒能は、本明細書に記載される再生方法によって、劣化した触媒が生成される新鮮な(または再生されたばかりの)触媒の触媒能に近いレベルまで向上させることができる。すなわち、本明細書の再生方法を使用して、劣化した触媒の触媒能を、新鮮な(または再生したばかりの)触媒のレベルにまで回復させることができる。再生触媒の、本明細書に記載される(触媒能の測定値としての)転化率の値、または再生触媒が生成される劣化した触媒の転化率の値は、新鮮な触媒の転化率の値と比較されてもよい。例えば、劣化した触媒の転化率の値は、新鮮な触媒の転化率の値の約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%である場合がある。例えば、再生触媒の転化率の値は、新鮮な触媒の触媒能の約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、約100%、または約110%である場合がある。いくつかの実施形態において、再生触媒の転化率の値は、劣化した触媒の転化率の値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、または少なくとも100%高い。いくつかの実施形態において、再生触媒は、劣化した触媒における転化率の値の少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも170%、少なくとも190%、または少なくとも200%を保持する。一例として、新鮮な触媒の転化率の値は0.96、劣化した媒の転化率の値は0.70(または新鮮な触媒の73%)である。再生後の、再生触媒における転化率の値は0.94(または新鮮な触媒の98%)である。この例において、再生触媒は、劣化した触媒の転化率の134%を保持している(または、再生触媒の転化率の値は、劣化した触媒の転化率の値よりも34%高い)。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される再生水素化触媒は、過酸化水素ベースの再生で再生された触媒と比較して、マイクロポア表面積の保持によって改善された構造的完全性を示す。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して再生すると、もたらされる再生水素化触媒は、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、劣化した水素化触媒のマイクロポア表面積の少なくとも一部(例えば、少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)を保持することを特徴とする。
【0090】
いくつかの実施形態において、再生水素化触媒は、過酸化水素ベースの再生で再生された触媒と比較して、メソポア表面積の保持によって改善された構造的完全性を示す。いくつかの実施形態において、提供される方法を使用して再生すると、もたらされる再生水素化触媒は、一定期間(例えば、少なくとも30分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日、または少なくとも3日、または少なくとも4日、または少なくとも5日、または少なくとも6日、または少なくとも1週間)フラッシング媒体と接触させた後、劣化した水素化触媒のメソポア表面積の少なくとも一部(例えば、少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)を保持することを特徴とする。
【0091】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される反応器システムおよび方法は、既存の再生技術および触媒に対する利点を提供する。いくつかの実施形態において、水素化触媒38を再生するために提供される反応器システムおよび方法は、追加的に触媒の構造的完全性(例えば、表面積、細孔容積)を維持しながら、不純物を効果的に除去して水素化触媒活性を回復させることができる、穏やかな反応条件を提供する。触媒の構造的完全性および/または触媒活性を長期間維持することで、触媒の経時的な必要交換回数が減少し、および/または再生操作の必要頻度が減少して、運転経済性が改善される。これは、過酸化水素をベースとする方法など、触媒の表面積や細孔構造を経時的に劣化させる傾向がある、触媒活性を再生させる現在の技術に対する改善である。さらに、過酸化水素は、商業的規模での貯蔵に課題がある。本明細書で提供される再生酸化剤は、過酸化水素よりも安価であり、商業的規模で試薬を貯蔵するための既存の技術が利用可能である。さらに、提供されるフラッシング媒体は、気体のみで構成されるフラッシング媒体と比較して、反応器12の温度制御を改善することができる。いくつかの実施形態において、フラッシング媒体は、直接大気回収によって得ることができる大気で構成される気相を含んでもよい。これにより、過酸化水素のような化学物質を現場で購入して貯蔵する必要がなくなり、したがって運転コストを低減し、プラントの経済性を改善することができる。
【0092】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で定義され、使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献における定義、および/または定義された用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0093】
本発明は、1つまたは複数の好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、明示的に記載されたものとは別に、多くの等価物、代替物、変形、および修正が可能であり、それらは本発明の範囲内であることが理解されるべきである。
【実施例
【0094】
[実施例1]
水、窒素および酸素で構成されるフラッシング媒体を使用して、不純物を有する水素化触媒の再生試験を実施した。本プロセスは「湿式酸化再生」(WAOR)と呼ばれた。新鮮なRu/C水素化触媒を、水素化するブドウ糖一水和物またはコーンシロップ供給物によって失活させた。水素化反応は、水素化触媒が失活するまで数日間にわたって連続的に行われた。WAOR実験は、表1の条件に従って、失活水素化触媒で実施した。フラッシング媒体は、水を含む液相と、窒素および酸素を含む気相とを含んでいた。
【0095】
【表1】
【0096】
実行1~4の全てで、触媒の活性を回復させることに成功し、触媒の構造的完全性が維持された。
【0097】
図2を参照すると、実行4は、再生前に反応器注入口温度132℃において約94%の転化率を示した触媒で、反応器注入口温度110℃において約98%のグルコース転化率が得られたことを示した(図2)。グルコース転化率95%以上を維持するために、再生前はより高い温度を使用していた。再生後の低い温度での高い収率は、触媒再生が成功したことを示している。
【0098】
さらに、実行3による再生水素化触媒について、複数回の再生が行われ、その都度活性の回復が観察された(図3)。例えば、最初の再生後、再生水素化触媒の転化率は約90%であり、該転化率は新鮮な水素化触媒の活性(活性96%)の93.8%であった。2回目の再生後、再生水素化触媒の転化率は約92%であった(すなわち、再生水素化触媒は、再生したばかりの触媒の活性の102%、および新鮮な水素化触媒の活性の96%を保持していた)。
【0099】
図4は、実行3での2回の再生中に採取した複数のサンプルによる水性流の元素組成を示す。水性生成物中に硫黄が検出されている。棒グラフは、O導入前、再生開始30分後、再生開始の1時間後、再生開始の2時間後、再生開始の4時間後、再生開始の約18時間後、および再生開始の24時間後に採取したサンプルを示す。全体として、1回目の再生では0.024gの硫黄が除去され、2回目の再生では0.015gの硫黄が除去された。
【0100】
実行3の終了時にアンロードされた触媒の硫黄濃度は、ICPで測定して579ppmであった。この触媒の一部を反応器に入れ、実行5の条件(下記参照)で再生した。再生触媒は4セクションに分けてアンロードされた。4セクションの硫黄濃度を表2に示す。各触媒セクションの硫黄濃度は、ロードされた触媒の値を下回っており、触媒再生中に硫黄が除去されたことを裏付けている。
【0101】
【表2】
【0102】
ICPによる硫黄濃度の測定に加えて、Arを吸着ガスとして使用し、新鮮な触媒、劣化した触媒、および再生水素化触媒の総表面積を測定した(表3)。劣化した水素化触媒は、新鮮な触媒と比較して、総表面積、マイクロポア面積および容積、メソポア面積および容積が小さかった。再生後は、総表面積、マイクロポア面積、マイクロポア容積、メソポア面積の全てが増加した。特定の理論によって制限されるものではないが、劣化した触媒における総表面積、マイクロポア面積および容積、ならびにメソポア面積および容積の減少は、水素化処理中の触媒表面における分子付着、不純物蓄積、(例えば、不純物による)活性部位被毒、またはそれらの組み合わせに起因すると仮定される。これらのデータは、本発明の再生方法により、例えば、触媒表面から付着物および/または不純物を除去することで、劣化した水素化触媒の総表面積、マイクロポア面積および容積、ならびに/またはメソポア面積および容積を回復させることができることを実証する。
【0103】
【表3】
【0104】
供給物に曝されることなく触媒の「再生」が行われた実行2からの触媒に対して、試験が実施された。この試験は、再生条件が触媒および/または触媒担体を損傷させたか否かを判定するのに役立つであろう。この触媒は、再生され、反応器からアンロードされた後、良好な物理的強度特性を示した。特に、表4において、新鮮な水素化触媒と24時間再生後の水素化触媒の総表面積を比較する。表4において「再生サンプル-1」~「再生サンプル-4」で示される4つの再生水素化サンプルを反応器から採取した。「再生サンプル-1」は反応器の頂部から、「再生サンプル-4」は反応器の底部から採取された。
【0105】
【表4】
【0106】
表4に示されるように、再生水素化触媒は平均して、新鮮な水素化触媒の総表面積の95%を保持していた。いくつかの再生水素化触媒は、新鮮な水素化触媒の総表面積を超える総表面積を有していた(例えば、再生サンプル-1)。表面積の増加は、既存の炭素担体が限定的に除去され、触媒構造内のさらなるマイクロポアが開いた結果であると仮定される。全体として、再生水素化触媒は、優れた物理的完全性の保持率を示している。
【0107】
[実施例2]
不純物を有する水素化触媒を、触媒活性を回復させるための再生方法に供した。選択された第1の条件は、110℃、250mL/minの空気流であり、第2の条件は、120℃、400mL/minの50:50空気/N混合ガス流であった。120℃/50%空気の条件では、2サイクルにわたって触媒活性の再生に成功した(図5)。各再生後、95%を超える転化率が得られた。110℃/100%空気の方式でも、3サイクルにわたって同様の結果が得られた(図6)。
【0108】
【表5】
【0109】
図7は、実行5の一部として実施された再生のうちの1回における排ガス中のCO量を示す。CO濃度の減少は、触媒からの炭素質付着物の除去を示す。
【0110】
適度に穏やかな条件が用いられているため、この再生は幅広い技術に適用可能である。反応温度が低いため、高温水素ストリッピングのような他の高温再生手法と比較して、触媒のシンタリングが最小限に抑えられる可能性が高い。鉱酸の使用を避けることで、必要な投入物は水と空気(および場合によりN)のみであるため、現場での貯蔵に関する懸念が軽減される。
【0111】
完全性を期すため、本発明の様々な態様を、以下の番号が付けられた条項に記載する。
【0112】
条項1
劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、前記劣化した水素化触媒が、総表面積、および少なくとも1種の関連不純物を有し、前記方法が、
前記劣化した水素化触媒と、水、酸素、および不活性ガスを含むフラッシング媒体との接触を、前記水素化触媒から前記少なくとも1種の不純物の少なくとも一部を除去するのに十分な再生温度および再生圧力で維持し、前記再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒が、前記劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、方法。
【0113】
条項2
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、前記劣化した水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、条項1に記載の方法。
【0114】
条項3
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記劣化した水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を保持することを特徴とする、条項1または2に記載の方法。
【0115】
条項4
前記再生水素化触媒が、前記劣化した水素化触媒に対して、不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、条項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0116】
条項5
前記不純物が硫黄含有不純物である、条項4に記載の方法。
【0117】
条項6
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、前記劣化した水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、条項4に記載の方法。
【0118】
条項7
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、前記水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも10%の減少、または少なくとも15%の減少、または少なくとも20%の減少、または少なくとも25%の減少を示すことを特徴とする、条項4に記載の方法。
【0119】
条項8
前記再生温度が50℃~200℃である、条項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0120】
条項9
前記再生圧力が20psig~300psigである、条項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
条項10
前記フラッシング媒体が、液相および気相を含む、条項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【0122】
条項11
前記気相が、0.1%~40%(v/v)の酸素含量を含む、条項10に記載の方法。
【0123】
条項12
前記気相が、少なくとも1%(v/v)、または少なくとも5%(v/v)、または少なくとも10%(v/v)、または少なくとも15%(v/v)、または少なくとも20%(v/v)、または少なくとも25%(v/v)の酸素含量を含む、条項10に記載の方法。
【0124】
条項13
前記不活性ガスが、60%(v/v)~99.5%(v/v)の量で前記気相中に存在する、条項10に記載の方法。
【0125】
条項14
前記不活性ガスが窒素である、条項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
条項15
前記気相が空気を含む、条項10に記載の方法。
【0127】
条項16
前記フラッシング媒体が、0.1×10-3~100×10-3(mols/w/hr)の酸素対触媒フラックス比(O/cat/hr)を含む、条項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
条項17
前記O/cat/hrが、0.1×10-3~10×10-3(mols/w/hr)である、条項16に記載の方法。
【0129】
条項18
前記フラッシング媒体が、1~100(w/w/hr)の水対触媒フラックス比(HO/cat/hr)を含む、条項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【0130】
条項19
前記フラッシング媒体が過酸化水素を含まない、条項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【0131】
条項20
前記水素化触媒が、担体および活性金属を含む、条項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
条項21
前記水素化触媒が、
(i)少なくとも500m/gの総表面積、
(ii)少なくとも400m/gのマイクロポア表面積、および
(iii)少なくとも30m/gのメソポア表面積、の特性のうちの1つまたは複数を有する、条項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【0133】
条項22
前記再生水素化触媒が、
(i)前記再生水素化触媒が、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記フラッシング媒体と接触させた後に、前記劣化した水素化触媒のマイクロポア表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする;ならびに
(ii)前記再生水素化触媒が、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記フラッシング媒体と接触させた後に、前記劣化した水素化触媒のメソポア表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、の特性のうちの1つまたは複数を有する、条項21に記載の方法。
【0134】
条項23
前記水素化触媒がルテニウム担持炭素(Ru/C)である、条項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【0135】
条項24
バイオマス流を水素化する方法であって、前記方法が、
水および糖を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水、酸素および不活性ガスを含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒が、前記劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、方法。
【0136】
条項25
前記再生水素化触媒が、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、前記フラッシング媒体と接触させた後に、前記劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、条項24に記載の方法。
【0137】
条項26
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒の総表面積の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を保持することを特徴とする、条項24または25に記載の方法。
【0138】
条項27
前記再生水素化触媒が、前記劣化した水素化触媒に対して、不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、条項1から26のいずれか1項に記載の方法。
【0139】
条項28
前記不純物が硫黄含有不純物である、条項27に記載の方法。
【0140】
条項29
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、前記劣化した水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、条項27に記載の方法。
【0141】
条項30
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、前記水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも10%の減少、または少なくとも15%の減少、または少なくとも20%の減少、または少なくとも25%の減少を示すことを特徴とする、条項27に記載の方法。
【0142】
条項31
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記水素化触媒に接触させた後に、前記原料中の前記糖に関する前記劣化した水素化触媒の転化率の少なくとも70%を保持することを特徴とする、条項24に記載の方法。
【0143】
条項32
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記水素化触媒に接触させた後に、前記原料中の前記糖に関する前記劣化した水素化触媒の転化率の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を保持することを特徴とする、条項24に記載の方法。
【0144】
条項33
前記再生温度が50℃~200℃である、条項1から32のいずれか1項に記載の方法。
【0145】
条項34
前記再生圧力が20psig~300psigである、条項1から33のいずれか1項に記載の方法。
【0146】
条項35
前記フラッシング媒体が、液相および気相を含む、条項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【0147】
条項36
前記気相が、0.1%~60%(v/v)の酸素含量を含む、条項35に記載の方法。
【0148】
条項37
前記気相が、少なくとも1%(v/v)、または少なくとも5%(v/v)、または少なくとも10%(v/v)、または少なくとも15%(v/v)、または少なくとも20%(v/v)、または少なくとも25%(v/v)の酸素含量を含む、条項35に記載の方法。
【0149】
条項38
前記不活性ガスが、60%(v/v)~99.5%(v/v)の量で前記気相中に存在する、条項35に記載の方法。
【0150】
条項39
前記不活性ガスが窒素である、条項38に記載の方法。
【0151】
条項40
前記気相が空気を含む、条項35に記載の方法。
【0152】
条項41
前記フラッシング媒体が、0.1×10-3~100×10-3(mols/w/hr)の酸素対触媒フラックス比(O/cat/hr)を含む、条項1から40のいずれか1項に記載の方法。
【0153】
条項42
前記O/cat/hrが、0.1×10-3~10×10-3(mols/w/hr)である、条項41に記載の方法。
【0154】
条項43
前記フラッシング媒体が、1~100(w/w/hr)の水対触媒フラックス比(HO/cat/hr)を含む、条項1から42のいずれか1項に記載の方法。
【0155】
条項44
前記フラッシング媒体が過酸化水素を含まない、条項1から43のいずれか1項に記載の方法。
【0156】
条項45
前記水素化触媒が、担体および活性金属を含む、条項1から44のいずれか1項に記載の方法。
【0157】
条項46
前記水素化触媒が、
(i)少なくとも500m/gの総表面積、
(ii)少なくとも400m/gのマイクロポア表面積、および
(iii)少なくとも30m/gのメソポア表面積、の特性のうちの1つまたは複数を有する、条項1から45のいずれか1項に記載の方法。
【0158】
条項47
前記再生水素化触媒が、
(i)前記再生水素化触媒が、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記フラッシング媒体と接触させた後に、前記水素化触媒のマイクロポア表面積の少なくとも70%を保持することを特徴とする;ならびに
(ii)前記再生水素化触媒が、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記フラッシング媒体と接触させた後に、前記水素化触媒のメソポア容積の少なくとも70%を保持することを特徴とする、の特性のうちの1つまたは複数を有する、条項46に記載の方法。
【0159】
条項48
前記水素化触媒がルテニウム担持炭素(Ru/C)を含む、条項1から47のいずれか1項に記載の方法。
【0160】
条項49
バイオマス流を水素化する方法であって、前記方法が、
水および酸素化炭化水素(C2+1+)を含む原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、水素と触媒反応させて、劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、前記水素化触媒に接触させた後に、前記原料中の前記酸素化炭化水素に関する前記劣化した水素化触媒の転化率の少なくとも70%を保持することを特徴とする、方法。
【0161】
条項50
前記酸素が気体酸素の形態である、条項49に記載の方法。
【0162】
条項51
前記酸素が気体酸素含有ガス流中にある、条項50に記載の方法。
【0163】
条項52
前記酸素含有ガス流が空気を含む、条項51に記載の方法。
【0164】
条項53
前記酸素化炭化水素がサッカリドである、条項1から52のいずれか1項に記載の方法。
【0165】
条項54
前記再生温度が50℃~200℃である、条項1から53のいずれか1項に記載の方法。
【0166】
条項55
前記再生圧力が20psig~300psigである、条項1から54のいずれか1項に記載の方法。
【0167】
条項56
前記フラッシング媒体が、0.1×10-3~100×10-3(mols/w/hr)の酸素対触媒フラックス比(O/cat/hr)を含む、条項1から55のいずれか1項に記載の方法。
【0168】
条項57
前記O/car/hrが、0.1×10-3~10×10-3(mols/w/hr)である、条項56に記載の方法。
【0169】
条項58
前記フラッシング媒体が、1~100(w/w/hr)の水対触媒フラックス比(HO/cat/hr)を含む、条項1から57のいずれか1項に記載の方法。
【0170】
条項59
前記フラッシング媒体が過酸化水素を含まない、条項1から58のいずれか1項に記載の方法。
【0171】
条項60
前記水素化触媒が、担体および活性金属を含む、条項1から59のいずれか1項に記載の方法。
【0172】
条項61
前記水素化触媒がルテニウム担持炭素(Ru/C)である、条項60に記載の方法。
【0173】
条項62
劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、前記劣化した水素化触媒が、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有し、前記方法が、
少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、触媒反応させて、前記劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒中における前記少なくとも1種の硫黄含有不純物の濃度が、前記劣化した水素化触媒と比較して低下している、方法。
【0174】
条項63
劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、前記劣化した水素化触媒が、少なくとも1種の炭素含有不純物を有し、前記方法が、
少なくとも1種の炭素含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、水素化持続時間、触媒反応させて、前記劣化した水素化触媒を生成すること;
前記原料流を、水および酸素を含むフラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度および再生圧力で、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒中における前記少なくとも1種の炭素含有不純物の濃度が、前記劣化した水素化触媒と比較して低下している、方法。
【0175】
条項64
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記再生温度および前記再生圧力で、少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも24時間、または少なくとも2日間、または少なくとも1週間、前記劣化した水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも5%の減少を示すことを特徴とする、条項62または63に記載の方法。
【0176】
条項65
前記再生水素化触媒が、前記フラッシング媒体を、前記水素化温度および水素化圧力で、前記水素化触媒に接触させた後に、前記劣化した水素化触媒に対して、前記不純物の少なくとも10%の減少、または少なくとも15%の減少、または少なくとも20%の減少、または少なくとも25%の減少を示すことを特徴とする、条項64に記載の方法。
【0177】
条項66
劣化した水素化触媒から再生水素化触媒を生成する方法であって、前記劣化した水素化触媒が、少なくとも1種の硫黄含有不純物を有し、前記方法が、
少なくとも1種の硫黄含有不純物を有する原料流を、水素化触媒の存在下、触媒反応させて、前記劣化した水素化触媒を生成すること、
前記原料流を、フラッシング媒体で置き換えること;
前記劣化した水素化触媒と前記フラッシング媒体との接触を、再生温度50℃~200℃、再生圧力20psig~300psigで、再生持続時間維持し、再生水素化触媒を生成することを含み、
前記再生水素化触媒中における前記少なくとも1種の硫黄含有不純物の濃度が、前記劣化した水素化触媒と比較して低下し、
前記フラッシング媒体が、液相および気相を含み、前記液相が水を含み、前記気相が酸素を含むことを特徴とする、方法。
【符号の説明】
【0178】
10 反応器システム
12 反応器
14 原料注入口
16 原料導管
18 ポンプ
20 原料供給源
22 熱交換器
24 バルブ
26 水素注入口
28 水素導管
30 ガス輸送装置
32 水素供給源
34 熱交換器
36 バルブ
38 水素化触媒
50 反応器出口
52 生成物導管
54 分離器
56 熱交換器
58 水素再循環導管
60 生成物出口
62 第2の分離器
64 導管
66 ポンプ
68 熱交換器
70 バルブ
72 再循環導管
74 生成物導管
76 下流処理ユニット
78 気相注入口
80 気相供給源
82 気相導管
84 流体輸送装置
86 熱交換器
88 バルブ
90 液相注入口
92 液相供給源
94 液相導管
96 ポンプ
98 熱交換器
100 バルブ
102 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】