(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】較正可能な可変容量型ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 43/04 20060101AFI20240808BHJP
F04B 43/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F04B43/04 A
F04B43/02 F
F04B43/02 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510359
(86)(22)【出願日】2022-08-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022040976
(87)【国際公開番号】W WO2023023386
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516173968
【氏名又は名称】フルード・メタリング・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ヒル
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077CC02
3H077CC09
3H077DD02
3H077DD12
3H077EE05
3H077EE16
3H077FF06
3H077FF32
(57)【要約】
モータを取り付けるための第1の端部、及び第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部及び第2の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分とを有するベースを備えた較正システムを有する分配ポンプが提供されている。ヒンジは、上部ベース部分の第2の端部と下部ベース部分の第2の端部とを枢動可能に連結している。リニアアクチュエータは、ベース上に取り付けられ、その端部に固定されたカプラを有する駆動ロッドを含む。カプラは、駆動ロッドを連結部材の第1の端部に結合している。連結部材の第2の端部は、下部ベース部分に固定されている。取付板は、モータを上部ベース部分の第1の端部に取り付けている。取付板は、リニアアクチュエータを取り付けるためにモータから外向きに延在している。近接センサは、ベースの上方位置に固定されている。フラッグが駆動ロッドカプラに固定されており、このフラッグは駆動ロッドと共に直接移動する。フラッグは、本体と、本体から突出している較正要素とを含む。較正要素は、フラッグの本体に対して位置的に調整可能である。較正要素は、リニアドライブがホーム位置にあるときに近接センサを作動させるように構成されている。このホーム位置は、較正部材の調整時に調整可能である。リニアアクチュエータの作動によって、連結部材が駆動され、下部ベース部分と上部ベース部分とがヒンジを中心に互いに対して枢動し、それによって下部ベース部分と上部ベース部分との間の角度が変化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
較正システムを有する分配ポンプであって、
モータを取り付けるための第1の端部、及び第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部及び第2の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分と、前記上部ベース部分の前記第2の端部と前記下部ベース部分の前記第2の端部とを枢動可能に連結しているヒンジ部と、を含むベースと、
前記ベースに取り付けられたリニアアクチュエータであって、その端部に固定されたカプラを有する駆動ロッドを含み、前記カプラが、前記駆動ロッドを連結部材の第1の端部に結合し、前記連結部材の第2の端部が前記下部ベース部分に固定されている、リニアアクチュエータと、
前記モータを前記上部ベース部分の前記第1の端部に取り付ける取付板であって、前記リニアアクチュエータを取り付けるために前記モータから外向きに延在している取付板と、
前記ベースの上方位置に固定された近接センサと、
前記駆動ロッドカプラに固定されたフラッグであって、該フラッグは、前記駆動ロッドと共に直接移動し、前記フラッグは、本体と、該本体から突出している較正要素とを含み、該較正要素は、前記フラッグの本体に対して位置的に調整可能であり、前記較正要素は、前記リニアドライブがホーム位置にあるときに前記近接センサを作動させるように構成されており、前記ホーム位置は、前記較正部材の調整時に調整可能である、フラッグと、
前記リニアアクチュエータの作動により、前記連結部材が駆動され、前記下部ベース部分と前記上部ベース部分とが前記ヒンジを中心として互いに枢動することにより、前記下部ベース部分と前記上部ベース部分との間の角度が変化する、分配ポンプ。
【請求項2】
前記連結部材は、前記リニアアクチュエータに取り付けられた近位端部と、前記下部ベース部分に取り付けられたカラーに連結された遠位端部とを有する可撓性部材を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カラーに取り付けられたカムブロックを更に備え、該カムブロックは湾曲した支持面を有しており、前記湾曲経路に沿って前記可撓性部材を案内している、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カムブロックに隣接しているころ軸受を更に備え、該ころ軸受が、前記可撓性部材を前記カムブロックの曲面に対して押圧している、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記可撓性部材は、ばね鋼材料を含むか、または前記可撓性部材は、前記リニアアクチュエータの直線運動を前記上部ベース部分及び前記下部ベース部分の互いに対する枢動運動に移行させるために屈曲可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記較正要素は前記フラッグの本体と螺合しており、前記較正要素の回転は、前記フラッグの本体に対する前記較正要素の位置を調整している、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記上部ベース部分がフランジを備え、前記フランジが前記上部ベース部分を前記取付板に取り付けている、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記フラッグが、前記較正要素を収容するためのねじ付き開口部を有するヘッドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記較正要素は、ねじを付きロッドである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記フラッグは、前記カプラに固定された取付部を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記フラッグは、前記取付部から前記ヘッドまで延在している細長いアームを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
モータ及びポンプアセンブリであって、
第1の端部及び第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部及び第2の端部を有する下部ベース部分と、上部ベース部分と下部ベース部分とを枢動可能に連結しているヒンジ部と、有するベースと、
前記上部ベース部分の前記第1の端部に取り付けられた取付板を有し、回転軸を中心に回転可能なシャフトを有するモータと、
前記上部ベース部分に固定された近接センサと、
前記下部ベース部分の前記第1の端部に取り付けられたポンプであって、回転軸を中心に回転可能であり、前記回転軸に沿って直線移動可能なピストンを有し、前記ポンプのピストンは前記モータシャフトに結合されている、ポンプと、
前記取付板に取り付けられ、駆動部材を有するリニアアクチュエータと、
前記駆動部材の出力に固定されたフラッグであって、該フラッグは、本体と、該本体から突出している較正要素とを含み、該較正要素は、前記フラッグの本体に対して位置的に調整可能であり、前記較正要素は、前記リニアドライブがホーム位置にあるときに前記近接センサを作動させるように構成されており、前記ホーム位置は、前記較正部材の調整時に調整可能である、フラッグと、
前記リニアアクチュエータの作動により、前記上部ベース部分が前記下部ベース部分に対して前記ヒンジを中心に枢動し、それにより、前記モータ軸の回転軸と前記ポンプのピストンの回転軸との間の角度が変化する、モータ及びポンプアセンブリ。
【請求項13】
前記リニアアクチュエータに取り付けられた近位端部と、前記下部ベース部分に取り付けられたカラーに連結された、前記近位端部とは反対側の遠位端部と、を有する可撓性部材を備えており、前記リニアアクチュエータが前記可撓性部材を湾曲した経路で駆動している、請求項12に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項14】
前記カラーに取り付けられたカムブロックを更に備え、該カムブロックは湾曲した支持面を有しており、前記湾曲経路に沿って前記可撓性部材を案内している、請求項13に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項15】
前記カムブロックに隣接しているころ軸受を更に備え、該ころ軸受が、前記可撓性部材を前記カムブロックの曲面に対して押圧している、請求項14に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項16】
前記リニアアクチュエータは、直線軸に沿って移動可能な駆動ロッドと、前記駆動ロッドの遠位端部に取り付けられた駆動ロッドカプラとを備え、前記可撓性部材は、前記駆動ロッドカプラに取り付けられており、前記駆動ロッドは、前記モータシャフトの回転軸と平行に延在している、請求項13に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項17】
前記フラッグが、前記較正要素を収容するためのねじ付き開口部を有するヘッドを含む、請求項12に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項18】
前記較正要素は、ねじ付きロッドである、請求項17に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項19】
前記フラッグは、前記カプラに固定された取付部を含む、請求項17に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項20】
前記フラッグは、前記取付部から前記ヘッドまで延在している細長いアームを含む、請求項19に記載のモータ及びポンプアセンブリ。
【請求項21】
電子調整を有する分配ポンプを較正する方法であって、
分配ポンプの流量を調整するためのアクチュエータを作動させるための信号をモータに提供するステップであって、前記モータは近接センサを含むベースに取り付けられ、前記アクチュエータはホーム位置を有し、前記ポンプはホーム位置に応答する流量を有するステップと;
前記センサがフラッグの存在を検出するまで前記モータを作動させるステップであって、前記フラッグは、フラッグの本体に対して位置的に調整可能な較正要素を含み、前記較正要素の位置の調整は、前記アクチュエータのホーム位置を調整するステップと;
前記較正要素を調整して前記ホーム位置を変更し、それによって前記ポンプの流量を所望の値に較正するステップと、
を含む方法。
【請求項22】
較正システムを有する分配ポンプであって、
モータを取り付けるための第1の端部、及び第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分であって、第2の端部を有する下部ベース部分と、前記上部ベース部分の前記第2の端部と前記下部ベース部分の前記第2の端部とを枢動可能に連結しているヒンジと、を含むベースと、
前記ベースに取り付けられたリニアアクチュエータであって、前記下部ベース部分に作動可能に結合された駆動ロッドを含むリニアアクチュエータと、
前記モータを前記上部ベース部分の前記第1の端部に取り付ける取付板であって、前記リニアアクチュエータを取り付けるために前記モータから外向きに延在している取付板と、
前記ベースの上方位置に固定された近接センサと、
前記駆動ロッドカプラに作動可能に結合されたフラッグであって、前記駆動ロッドカプラの移動によって前記フラッグの移動を生じさせ、前記フラッグは、本体と、該本体から突出している較正要素とを含み、該較正要素は、前記フラッグの本体に対して位置的に調整可能であり、前記較正要素は、前記リニアドライブがホーム位置にあるときに前記近接センサを作動させるように構成されており、前記ホーム位置は、前記較正部材の調整時に調整可能である、フラッグと、
前記リニアアクチュエータの作動により、前記連結部材が駆動され、前記下部ベース部分と前記上部ベース部分とが前記ヒンジを中心として互いに枢動することにより、前記下部ベース部分と前記上部ベース部分との間の角度が変化する、分配ポンプ。
【請求項23】
前記フラッグが、前記駆動ロッドカプラに直接取り付けられている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記フラッグが、前記下部ベース部分に取り付けられている、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記フラッグの較正要素は、前記下部ベース部分に対して位置的に調整可能な湾曲した本体を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記湾曲した本体は歯付き側壁を有しており、歯付き歯車が、前記歯付き側壁と作動係合状態で前記下部ベース部分に回転可能に固定されており、前記歯車の回転によって、前記較正要素を前記下部ベース部分に対して移動させている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
較正システムを有する分配ポンプであって、
モータを取り付けるための第1の端部、及び第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分であって、第2の端部を有する下部ベース部分と、前記上部ベース部分の前記第2の端部と前記下部ベース部分の前記第2の端部とを枢動可能に連結しているヒンジと、を含むベースと、
前記ベースに取り付けられたリニアアクチュエータであって、前記下部ベース部分に作動可能に結合された駆動ロッドを含むリニアアクチュエータと、
前記モータを前記上部ベース部分の前記第1の端部に取り付ける取付板であって、前記リニアアクチュエータを取り付けるために前記モータから外向きに延在している取付板と、
前記ベースの上方位置に固定された近接センサと、
前記下部ベース部分に結合されたフラッグであって、前記フラッグは、本体と、該本体から突出している較正要素とを含み、該較正要素は、前記フラッグの本体に対して位置的に調整可能であり、前記較正要素は、前記リニアドライブがホーム位置にあるときに前記近接センサを作動させるように構成されており、前記ホーム位置は、前記較正部材の調整時に調整可能である、フラッグと、
前記リニアアクチュエータの作動により、前記連結部材が駆動され、前記下部ベース部分と前記上部ベース部分とが前記ヒンジを中心として互いに枢動することにより、前記下部ベース部分と前記上部ベース部分との間の角度が変化する、分配ポンプ。
【請求項28】
前記フラッグの較正要素は、前記下部ベース部分に対して位置的に調整可能な湾曲した本体を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記湾曲した本体は歯付き側壁を有しており、歯付き歯車が、前記歯付き側壁と作動係合状態で前記下部ベース部分に回転可能に固定されており、前記歯車の回転によって、前記較正要素を前記下部ベース部分に対して移動させている、請求項28に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月20日に出願された米国仮特許出願第63/235404号の優先権の利益を主張し、その内容は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、少量の流体を正確に分配するために使用される可変容量型ポンプ(variable displacement pump)に関する。特に、本発明は、分配容積(dispense volume)を制御するために、電子的に調整可能な分配ポンプ(dispensing pump)の較正を可能にする機構に関する。
【背景技術】
【0003】
当技術分野で知られている可変容量型ポンプには、駆動モータとポンプヘッドとの間に挿入されたベースを有するバルブレスポンプ(valve-less pump)が含まれる。これらのベースは、射出成形されたプラスチックであっても良く、上部ベース部分を下部ベース部分から分離するリビングヒンジ(living hinge)を組み込んでも良い。上部ベース部分は、リビングヒンジの撓みによって下部ベース部分に対して傾斜させることができる。上部ベース部分と下部ベース部分との間の相対角度は、1回転当たりのポンプ出力容積(output volume)を確立している。この機構は、本出願人が所有する特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されており、これらの各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
従来、角度を調整し設定する方法は、ベースの中心軸の反対側に位置する、ベースの2つの部分のピボットピンに係合する調整ねじによって達成されている。特定の用途では、1回転あたりの目標出力が同じポンプが必要である。これは、調整可能なネジ及びピボットピンの代わりに固定されたリンク手段を使用することによって達成された。固定リンクは、プラスチック樹脂から射出成形され、これらのリンクを成形するために使用される工具は、異なる目標ポンプ容量を日常的に生産することができるように、異なる長さのリンクを作製することを可能にしている。調整ねじと固定リンクの利点の組合せを提供する偏心ブッシュが、本出願人の所有する特許文献3に開示されている。
【0005】
上部ベース部分と下部ベース部分との間の角度を調整することによって1回転当たりの出力容積を変化させるこれらの従来の方法は、全て手動調整を必要とする。このことは、一般に、従来のポンプを、1回転当たり単一の出力容積で使用する場合にのみ便利なものとしている。
【0006】
1回転当たりの出力容積を電子的に調整できることが有益である用途がある。これにより、電子システムが手動の介入無しにこれらのポンプを調整することが可能になる。特許文献4は、ベースの角度の電子調整のための方法を開示している。しかしながら、この特許に開示された装置は、直線運動を回転運動に変換するために剛性部材を使用している。これにより、直線運動に対して角度運動が変化することになり、ベースの2つの部分間の角度を調整するために必要な直線運動を定義するときに複雑な関係が生じる。
【0007】
角度を電子的且つ遠隔的に調整して分配容積を変化させることができるポンプが開発されている。このようなポンプは特許文献5に記載されており、その全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる。調整装置は、モータシャフトとピストンポンプとの間の角度を調整している。調整装置は、角度を変化させるためにポンプヘッドに作動可能に連結されたシャフトを有するリニアアクチュエータを含む。しかしながら、このような設計は、正確な分配容積を可能にするためにポンプを較正するという課題を提示する。リニアアクチュエータのホーム位置は、構成部品の寸法変動及びポンプアセンブリの固有の公差のために、確実には決定されない。そのため、設定した角度が目的の角度と一致せず、流量が不正確になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5020980号明細書
【特許文献2】米国特許第4941809号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0245275号明細書
【特許文献4】米国特許第7708535号明細書
【特許文献5】国際公開第2021/022034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、電子的に調整可能な分配ポンプの1回転当たりの出力容積を較正するための手段を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、モータを取り付けるための第1の端部、及び第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部及び第2の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分とを有するベースを備えた較正システムを有する分配ポンプを提供している。ヒンジは、上部ベース部分の第2の端部と下部ベース部分の第2の端部とを枢動可能に連結している。リニアアクチュエータは、ベース上に取り付けられ、その端部に固定されたカプラを有する駆動ロッドを含む。カプラは、駆動ロッドを連結部材の第1の端部に結合している。連結部材の第2の端部は、下部ベース部分に固定されている。取付板は、モータを上部ベース部分の第1の端部に取り付けている。取付板は、リニアアクチュエータを取り付けるためにモータから外向きに延在している。近接センサは、ベースの上方位置に固定されている。フラッグ(flag)が駆動ロッドカプラに固定されており、このフラッグは駆動ロッドと共に直接移動する。フラッグは、本体と、本体から突出している較正要素(calibration element)とを含む。較正要素は、フラッグの本体に対して位置的に調整可能である。較正要素は、リニアドライブがホーム位置にあるときに近接センサを作動させるように構成されている。このホーム位置は、較正部材の調整時に調整可能である。リニアアクチュエータの作動によって、連結部材が駆動され、下部ベース部分と上部ベース部分とがヒンジを中心に互いに対して枢動し、それによって下部ベース部分と上部ベース部分との間の角度が変化する。
【0011】
本開示はまた、第1の端部及び第2の端部を有する上部ベース部分を含むベースを備えたモータ及びポンプアセンブリを提供している。下部ベース部分は、第1の端部と第2の端部とを有し、ヒンジは、上部ベース部分と下部ベース部分とを枢動可能に連結している。上部ベース部分の第1端部には、取付板を有するモータが取り付けられている。モータは、回転軸を中心に回転可能なシャフトを有している。近接センサは、上部ベース部分に固定されている。ポンプは、下部ベース部分の第1の端部に取り付けられる。ポンプは、回転軸を中心に回転可能で、回転軸に沿って直線移動可能であるピストンを有している。ポンプのピストンはモータシャフトに結合されている。リニアアクチュエータは、取付板に取り付けられ、駆動部材を有する。フラッグは、駆動部材の出力に固定されている。フラッグは、本体と、本体から突出している較正要素とを含む。較正要素は、フラッグの本体に対して位置的に調整可能であり、リニアドライブがホーム位置にあるときに近接センサを作動させるように構成されている。このホーム位置は、較正部材の調整時に調整可能である。リニアアクチュエータの作動によって、上部ベース部分が下部ベース部分に対してヒンジを中心に枢動し、それによってモータシャフトの回転軸とポンプのピストンの回転軸との間の角度が変化する。
【0012】
本開示はまた、以下のステップを含む電子調整を有する分配ポンプを較正する方法を提供している。
分配ポンプの流量を調整するためのアクチュエータを作動させるための信号をモータに提供するステップであって、モータは近接センサを含むベースに取り付けられ、アクチュエータはホーム位置を有し、ポンプはホーム位置に応答する流量を有するステップと;
前記センサがフラッグの存在を検出するまで前記モータを作動させるステップであって、前記フラッグは、フラッグの本体に対して位置的に調整可能な較正要素を含み、前記較正要素の位置の調整は、前記アクチュエータのホーム位置を調整するステップと;
較正要素を調整してホーム位置を変更し、それによってポンプの流量を所望の値に較正するステップと、を含む。
【0013】
本開示は更に、モータを取り付けるための第1の端部を有する上部ベース部分と、第2の端部を有する上部ベース部分と、第1の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分と、第2の端部を有する下部ベース部分と、を含むベースを備えた較正システムを有する分配ポンプを提供している。ヒンジは、上部ベース部分の第2の端部と下部ベース部分の第2の端部とを枢動可能に連結している。リニアアクチュエータがベースに取り付けられている。リニアアクチュエータは、下部ベース部分に作動可能に結合された駆動ロッドを含む。取付板がモータを上部ベース部分の第1の端部に取付け、取付板はリニアアクチュエータを取付けるためにモータから外向きに延在している。近接センサは、ベースの上方位置に固定されている。フラッグは駆動ロッドカプラに作動可能に結合され、駆動ロッドカプラの移動によってフラッグの移動を生じさせている。フラッグは、本体と、本体から突出している較正要素とを含む。較正要素は、フラッグの本体に対して位置的に調整可能である。較正要素は、リニアドライブがホーム位置にあるときに近接センサを作動させるように構成されている。このホーム位置は、較正部材の調整時に調整可能である。リニアアクチュエータの作動によって、連結部材が駆動され、下部ベース部分と上部ベース部分とがヒンジを中心に互いに対して枢動し、それによって下部ベース部分と上部ベース部分との間の角度が変化する。
【0014】
本開示は更に、モータを取り付けるための第1の端部を有する上部ベース部分と、第2の端部を有する上部ベース部分とを含むベースと、第1の端部にポンプを取り付けるための下部ベース部分と、第2の端部を有する下部ベース部分とを含む較正システムを有する分配ポンプを提供している。ヒンジは、上部ベース部分の第2の端部と下部ベース部分の第2の端部とを枢動可能に連結している。リニアアクチュエータがベースに取り付けられている。リニアアクチュエータは、下部ベース部分に作動可能に結合された駆動ロッドを含む。取付板がモータを上部ベース部分の第1の端部に取付け、取付板はリニアアクチュエータを取付けるためにモータから外向きに延在している。近接センサは、ベースの上方位置に固定されている。フラッグが下部ベース部分に結合されている。フラッグは、本体と、本体から突出している較正要素とを含む。較正要素は、フラッグの本体に対して位置的に調整可能である。較正要素は、リニアドライブがホーム位置にあるときに近接センサを作動させるように構成され、ホーム位置は、較正部材の調整時に調整可能である。リニアアクチュエータの作動により、連結部材が駆動され、下部ベース部分と上部ベース部分とがヒンジを中心に互いに対して枢動し、それによって下部ベース部分と上部ベース部分との間の角度が変化する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】較正可能な可変容量型ポンプの斜視図である。
【
図5】
図3の線5-5に沿ったポンプの断面図である。
【
図7】ポンプ較正システムの詳細な底面斜視図である。
【
図8】較正システムのフラッグ要素(flag element)の平面図である。
【
図10】調整可能なフラッグの代替実施形態の斜視図である。
【
図11】フラッグシステムの更なる代替実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の特徴は、添付の図面と共に検討される以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、図面は、例示としてのみ設計されており、本開示の限定の定義としては設計されていないことが理解されるべきである。
【0017】
図1は、本開示の調整可能な可変容量型ポンプ及びモータアセンブリ5を示す。アセンブリ5は、ベース14を介してポンプヘッド12に連結されたモータ10を含む。モータ及びポンプは特許文献5に記載されているタイプのものであっても良く、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。モータ10は、回転軸を中心に回転するシャフトを有している。ポンプは、回転軸を中心に回転し、回転軸の方向に並進するピストンを有している。モータのシャフトは、モータシャフトの回転によってポンプのピストンの回転を生じさせるように、ポンプのピストンに結合されている。モータシャフトの回転軸に対してポンプのピストンの回転軸を傾斜させることによって、モータシャフトの回転はまた、以下に更に詳細に記載される方法でポンプのピストンの直線移動を生じさせている。このタイプのポンプ及びモータ支持装置は、本出願人の所有する特許文献1及び特許文献2に示され、記載されており、これらの明細書は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
ここで
図1及び
図2を参照すると、ポンプ及びモータの構成は以下のように作動している。ポンプ12は、一般に、ポンプハウジング101とピストン118とを含む。ポンプハウジング101は、入口ポート104及び出口ポート106を有するプラスチック製のポンプケーシング102を含む。ポンプケーシング102は、開放端110を有する円筒形チャンバ108を画定している。中央の長手方向孔114と、長手方向孔114と連通している横方向孔116とを有するセラミック製のピストンライナ112が、円筒形チャンバ108内に収容されている。横方向孔116は、ポンプケーシング102の入口ポート104と流体連通しているライナ入口ポート116aと、ポンプケーシングの出口ポート106と流体連通しているライナ出口ポート116bとを含み、液体が、以下に説明するように、入口ポート116aからライナを通って出口ポート116bにポンピングされ得るようにしている。
【0019】
ポンプのピストン118は、ピストンライナ112の中央孔114内で軸方向に且つ回転可能に摺動可能である。ピストン118の一端は、ポンプケーシング102の開放端110から延在しており、モータ10のシャフトと係合するためのカップリング120を含む。ピストン118の反対側の端部には、ポンプライナの横方向孔116に隣接して配置される逃げ部すなわち「カットアウト」部122が形成されている。以下に説明するように、逃げ部122は、ポンプ12への流体の流入及びポンプ12からの流体の流出を導くように設計されている。
【0020】
ピストン118及びポンプチャンバ108をシールするために、ポンプケーシング102の開放端110にシールアセンブリ124が設けられている。シールアセンブリ124は、ピストン118を受け入れる中央開口部128を有するグランドナット(gland nut)126によって、ポンプケーシング102の開放端110に保持されている。グランドナット126は、ねじ連結130によってポンプケーシング102に取り付けられている。
【0021】
作動中、モータ10はピストン118を駆動して、ピストンライナ112の中央孔114内で軸方向に並進及び回転させる。入口ポート104から横方向孔116内に液体を引き込むために、ピストン118は、逃げ部122をライナ入口ポート116aと整列させるように必要に応じて回転される。次いで、ピストン118は、所望の容積の液体をポンプライナ112の中央孔114内に取り込むために必要に応じて引き戻される。ピストン118を引き抜くと、横方向孔116のライナ入口ポート116a内に負圧が生じ、ケーシングの入口ポート104から液体が引き込まれる。次に、ピストン118を回転させて、逃げ部122をライナ出口ポート116bと整列させる。最後に、ピストン118は、必要な距離だけ前方に駆動されて、液体を横方向孔116の出口ポート116bに押し込み、所望の吐出流(discharge flow)を生成している。
【0022】
従って、モータシャフトの各回転により、ポンプのピストンを回転させている。ポンプヘッド12とモータ10との間の角度配向により、モータシャフトの各回転は更に、ポンプのピストンを軸方向に往復運動させ、流体を交互に吸引及び押し出して、ポンプの入口と出口との間で流体を移送している。ピストンストロークの振幅は、ポンプの入口と出口との間に送達される流体の容積を決定している。モータ10に対するポンプヘッド12の角度を変化させることによって、ピストン118のストロークが調整され、それによって入口と出口との間で移送される流体の容積が調整される。
【0023】
このようなポンプ及びモータの構成では、モータ10に対するポンプ12の角度は、モータシャフトの回転毎にポンプの所望の容積流量(volumetric flow)を提供するように、ベース14を介して調整可能である。従って、ポンプの軸とモータシャフトとの間の角度を調整するように適合されたベース14を設けることが望ましい。
【0024】
ここで
図2~
図5を参照すると、角度調整アクチュエータ(angle adjustment actuator)60を有する調整可能なポンプ及びモータアセンブリ5が示されている。調整可能なポンプ及びモータアセンブリ5は、枢動可能に連結された上部ベース部分46及び下部ベース部分48を有するベース26を介して(
図2を参照して上述したように)固定容量型のポンプ12に連結されたステッパモータ等のモータ10を含む。モータ10は、スピンドルカップリング120に連結されたシャフト(図示せず)を有し、シャフトは、回転軸を中心としてスピンドルカップリング120を回転させる。ポンプのピストン118はまた、回転軸を中心に回転し、その回転軸の方向に並進している。ピストン118の一端は、スピンドルカップリング120に連結されている。
【0025】
モータシャフト28の回転軸に対してポンプのピストン12の回転軸を傾斜させることによって、モータシャフトの回転はまた、ポンプのピストン30の直線移動を引き起こし、ピストン30の遠位端部におけるチャンバ35の容積を増減させる。
【0026】
ポンプのピストン118の軸とモータシャフトとの間の角度は、ヒンジ50を介して互いに枢動可能に連結された上部ベース部分46及び下部ベース部分48を有するベース26によって決定される。上部ベース部分46は、モータ10に取り付けられるフランジ52を有し、下部ベース部分48は、ピストン30及びシリンダ38を収容するポンプヘッド24を保持するフランジ54を有している。ヒンジ50は、上部ベース部分46が下部ベース部分48に対して
図3の矢印47で示す方向に傾斜することを可能にしている。これらの部分46及び部分48は別々に形成され、ピン止めされたヒンジ50に回転可能に連結されている。あるいは、上部ベース部分46及び下部ベース部分48を含むベース26は、リビングヒンジと共に射出成形され得ることが企図されている。
【0027】
モータシャフトとポンプのピストン118との間の角度の調整は、
図1、
図3~
図5に示すように、電子調整機構59によって達成されている。電子調整機構59は、ベース26のフランジの1つに取り付けられたリニアアクチュエータ60を含む。リニアアクチュエータ60は、上部ベース部分46のモータのフランジ52に取り付けられている。しかし、アクチュエータ60を反対側のポンプのフランジ54に取り付けることも考えられ、ここでは、本明細書に記載する残りの関連する構成要素の配置は逆にされている。
【0028】
リニアアクチュエータ60は、モータシャフトの回転軸に平行に延在している直線軸64に沿ってリニアアクチュエータの駆動ロッド62を正確な増分で平行移動させることができる電子装置であることが好ましい。本発明で使用されるリニアアクチュエータの1つのタイプは、駆動ロッド62の位置を正確に制御するためのステッパモータを含むキャプティブナットリニアアクチュエータ(captive nut linear actuator)として当技術分野で知られている。
【0029】
上部ベース部分46上のモータのフランジ52は、取付板66によってモータ10に取り付けられることが好ましい。取付板66は、モータ10から外向きに延在しており、電子角度調整機構59のリニアアクチュエータ60を取付板66の上面68に取り付けることができるような大きさ及び形状にされている。リニアアクチュエータ60及びモータ10を取付板66の上面68に取り付けること、及びモータのフランジ52を取付板66の下面70に取り付けることは、それぞれの構成要素にねじ連結されたボルトのような従来の締結具を用いて達成することができる。取付板66は、モータ10から外向きに延在し、単一の金属シートから形成され、電子角度調整機構59を収容するように形作られることが好ましい。
【0030】
図5を特に参照すると、駆動ロッドカプラ72が、リニアアクチュエータ60のリニアアクチュエータの駆動ロッド62の遠位端部に取り付けられている。駆動ロッドカプラ72は、長手方向軸64に沿って軸方向にリニアアクチュエータ60から外向きに延在している。駆動ロッドカプラ72は更に、取付板66の上面と下面との間に設けられた開口部を通って軸方向に延在している。駆動ロッドカプラ72の遠位端部には、駆動ロッド62の反対側に、連結部材74が取り付けられている。
【0031】
連結部材74は、可撓性を有する材料で形成されている。可撓性の連結部材74は、好ましくは、駆動ロッド62によってその長手方向軸64に沿って加えられる直線的な力を伝達する強度を有するが、以下で更に説明するように、若干の屈曲を許容するのに十分な可撓性を有する材料から作製される。可撓性部材の好適な材料は、例えば、ばね鋼である。
【0032】
可撓性の連結部材74は、駆動ロッドカプラ72の遠位端部に取り付けられた第1の端部と、第1の端部の反対側でベース26の下部フランジ54に連結された第2の端部とを有している。従って、リニアアクチュエータの駆動ロッド62の直線運動は、同じ方向への可撓性の部材74の直線運動を生じさせている。リニアアクチュエータ60が上部ベース部分46に連結され、可撓性の部材74が下部ベース部分48に連結されているので、可撓性の部材74の直線運動により、下部ベース部分48がヒンジ50を中心として上部ベース部分26に対して枢動する。
【0033】
可撓性の部材74は初期的には、駆動ロッドカプラ72から、リニアアクチュエータの駆動ロッド62の直線軸64に沿った方向に延在している。しかし、可撓性の部材74は、駆動ロッドカプラ72を越えて長手方向軸64に沿った点で屈曲し始めることが許される。可撓性の部材74のこのような屈曲は、下部フランジ54のベースのヒンジ50と反対側の端部の円弧形状の移動経路を補償するために望ましい。
【0034】
可撓性の部材74の屈曲は、カムブロックアセンブリ76及びころ軸受アセンブリ78によって容易にすることができる。カムブロックアセンブリ76は、ベースヒンジ50の反対側のベース26の下部フランジ54に取り付けられたブラケット80を含む。任意の取り付け手段を使用することができる。例えば、下部フランジ54に形成されたねじ穴に係合する従来のねじ締結具で十分である。
【0035】
更に
図6を参照すると、カムブロックアセンブリ76は、ブラケット80によって支持されたカムブロック82を更に含む。カムブロック82は、可撓性の部材74に対向する湾曲した支持面84を有している。カムブロック82の湾曲した支持面84は、ピボット点から可撓性の部材74とベース26の下部フランジ54との交点までの距離によって規定される、ベースヒンジ50のピボット点を中心とする曲率半径を有している。可撓性の部材74がカムブロック82の湾曲した支持面84に当接した状態で、可撓性の部材74は、ベースのヒンジ50を中心とする下部フランジ54の遠位端部の経路と一致する湾曲した経路を横断する。
【0036】
ころ軸受アセンブリ78は、取付板66に取り付けられたブラケット86を含む。ブラケット86は、カムブロック82のカム面84の反対側に位置するころ軸受88を回転可能に支持している。この点に関して、ころ軸受88は、ころ軸受アセンブリのブラケット86に固定されたピンに回転可能に取り付けることができる。ここで、ころ軸受88は、可撓性の部材74を湾曲した支持面84に対して拘束するのを助けるために使用されている。1つ以上のばね(図示せず)をころ軸受けアセンブリ78に含めて、可撓性の部材74をカムブロック82に対して押圧するためにころ軸受け88に継続的な付勢(ongoing bias)を与えることもできる。ころ軸受88がなければ、可撓性の部材74は、駆動ロッド62によって拘束されるだけであり、従って、外側に屈曲しやすい。
【0037】
図3を参照すると、上記の説明から理解することができるように、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、それぞれの電線90、92、及び94を介してモータ10及びリニアアクチュエータ60に結合されるコントローラ21を含む。コントローラのそのような一例は、リニアアクチュエータ60の動的制御を可能にし、電子調整機構59を正確且つ繰り返し修正させるコンピュータ装置である。このように、分配される流体の容積は、極めて正確で、反復可能であり、且つ動的である。当業者は、本発明が、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって、及びネットワーク化された構成を含む様々なシステム構成で実施され得ることを理解する。
【0038】
上述したように、ポンプの軸とモータとの間の角度を変化させることによる駆動ロッド62の移動により、ピストン118の移動距離を調整し、チャンバ35の最大容積及び流量を決定している。従って、モータとポンプとの間の角度は、駆動ロッド62の位置に直接的に対応している。モータ、ポンプ、及び電子調整機構59を含むシステムが組み立てられると、システムにおける公差及び固有の変動のために、リニアドライブによって生成される実際の設定角度は、所望の角度と一致しない場合がある。従って、流量は正確ではない。従って、ポンプアセンブリ及びリニアアクチュエータ60の較正が望まれる。ポンプアセンブリ5を較正するために、リニアアクチュエータの開始位置すなわちホーム位置を決定することが望ましい。次に、既知の位置を基準にして駆動ロッド62の位置調整を行うことができる。その位置が既知であれば、流量の調整を確実に繰り返し行うことができる。リニアアクチュエータの較正を可能にするために、本開示は、較正システム500を提供している。
【0039】
図6~
図8を参照すると、較正システム500は、センサ502と、調整可能なフラッグ504とを含む。調整可能なフラッグ504は、センサ502と協働して、リニアアクチュエータの駆動ロッド62が所定の位置にあるときに信号を提供している。センサ502は、物体が接近したときに信号を生成する近接型センサであっても良い。フラッグ504は、駆動ロッドカプラ72に固定された剛性のフラッグの本体を含むことができる。駆動ロッドカプラ72はリニアアクチュエータの駆動ロッド62に直接固定されるので、フラッグ504をカプラに固定することにより、フラッグが駆動ロッド62の正確な位置を確実に示すことが可能になる。
【0040】
フラッグ504は、一端にフラッグをカプラに固定するための取付部508を有している。取付部508は、締結具(図示せず)が貫通して延在しており、カプラ72内のねじ付き開口部(図示せず)と係合することを可能にする貫通孔510を含む。細長いフラッグのアーム516が取付部508から延在しており、フラッグのヘッド518で終端している。ヘッド518は、ブロック形状を有することができるが、他の形状も考えられる。較正要素520は、ヘッド518に移動可能に連結され、センサ502と協働して信号を生成している。較正要素520の位置は、ヘッド518に対して調整することができ、これにより、フラッグ504の有効長さを調整することができる。較正要素520は、ヘッドの貫通開口部522と螺合するねじ付きロッドまたはねじであっても良い。開口部522は、較正要素520へのアクセスを提供している。較正要素520の位置は、ユーザによって調整されない限り、頭部に対して固定されたままである。較正要素520を回転させることによって、要素520がヘッド518から延在する量が変化する。従って、ホーム位置とみなされる駆動ロッド位置は調整可能である。ねじ付きロッド及びヘッド内のねじ付き開口部が図示され、説明されているが、ヘッドに対する較正要素の位置を調整することは、異なる方法で達成され得ることが企図されている。例えば、較正要素は、ロッドがヘッドに対して摺動する摺動要素を含んでも良く、またはシャフトの位置を調整する歯車配列であっても良い。更に、位置調整可能な偏心ブッシュを使用して、較正要素の位置を変更することができる。
【0041】
リニアアクチュエータ60が作動されると、フラッグ504は、駆動ロッドカプラ72に取り付けられることにより、駆動ロッド62と共に移動する。リニアアクチュエータ60がカプラ及びカプラに固定されたフラッグ504を後退位置に向けて移動させると、較正要素520は最終的にセンサ502の検知経路524内にもたらされる。これにより、コントローラ21に送信される信号が生成される。この信号は、リニアアクチュエータ60が所定のホーム位置に到達したことを示す。較正要素520は、正確な流量を達成することができるように、このホーム位置を駆動ロッドの所望の実際の位置に調整することを可能にしている。例えば、較正要素520を外向きに延在させることによって、センサ502は、駆動ロッド後退ストロークにおいてより早く作動される。逆に、ヘッド518からあまり突出しないように調整要素502を後退させると、センサ502は、駆動ロッドが後退するストロークの後の方で作動する。このようにして、流量感知ホーム位置を調整し、モータ/ポンプ角度を制御して、所望の出力流量を提供することができる。
【0042】
作動中、ポンプ流量は、較正システム500によって較正することができる。ポンプアセンブリ5によって分配される流体の量は、ポンプヘッド12とモータ10との間の角度に依存する。角度を制御するために、コントローラ21からリニアアクチュエータ60に信号が供給されている。この信号に応答して、リニアアクチュエータ60は、駆動ロッド62を、センサ502及び較正部材520によって感知されるホーム位置から設定位置まで所定量だけ前進させる。設定位置は、ポンプヘッド12とモータ10との間の所定の角度に対応して、ストローク当たりの所望の分配量を提供している。
【0043】
次いで、分配された流体の実際の容積を測定して、それが所望の容積に対応するかどうかを決定している。分配量が正しくない場合は、較正を行うことができる。これを行うために、較正要素520は、フラッグのヘッド518から多少とも突出するように調整することができる。例えば、出力が低すぎる場合、フラッグのヘッドから較正要素を延長することができる。これは、より大きな初期角度、すなわち、駆動ロッド62がホーム位置にあるときの角度を生成するホーム位置を生じさせる。信号が角度を調整するためにリニアアクチュエータ60に与えられると、設定された角度はより大きくなり、その結果、分配容積及び流量がより大きくなる。較正要素は、所望の分配容積及び流量が達成されるまで、更に調整され得る。
【0044】
較正システム500は、ソフトウェアを変更または再プログラムしたり、他の調整を行ったりする必要無く、ポンプアセンブリを較正する簡単な方法を提供している。ポンプシステム5が利用されるとき、それは定期的にチェックされ、必要に応じて再較正され得る。
【0045】
図9を参照すると、較正システムフラッグの代替実施形態が示されている。フラッグ600は、そこを貫通して形成されたスロット604を有する本体602を含んでも良い。細長い較正要素606は、スロットを通って延在しており、端部608で終端している。フラッグのヘッドは、上述のフラッグ504と同様の方法でセンサ502と協働している。較正要素606は、スロットの軸に沿って位置的に調整可能である。較正要素の反対側の端部は、そこを通って延在しているねじ付きの調整部材612を有する突出タブ610を含む。調整部材612は、スロット604の長さ方向に平行である。調整部材612は、タブ610に回転可能に固定されたヘッド613を含む。締結具が、本体のねじ付きの開口部614にねじ込まれ、ねじ付きの調整部材を本体の内外にねじ込むことによって、較正要素、従って、端部608の位置が移動する。バネ616は、締結具612の上に配置され、本体602とタブ610との間に保持されている(captured)。ばねは、較正要素606を本体から離れるように付勢して、調整を補助している。例えば止めねじである固定装置618は、本体を貫通して延在しており、所望の較正要素の端部位置が達成されると、較正要素606と係合して、本体602に対して較正要素を所定の位置にロックすることができる。アーム618は、本体から延在しており、フラッグ600を駆動ロッドカプラ72に固定するための締結具(図示せず)を受け入れる開口部617を含む。ユーザは、調整部材612を回し、センサ502に対する較正要素の位置を調整することによって、システムを較正することができる。
【0046】
図10を参照すると、代替実施形態では、フラッグ620は、フラッグ620が下部ベース部分のフランジ54に直接連結されることを除いて、上述のフラッグ600と同様である。本体622は、フランジ54の側面に係合して固定される取り付け面623を有することができる。本体622は、そこを通って延在するスロット624を有し、細長い較正要素626は、スロットを通って延在し、端部628で終端している。フラッグの端部628は、上述のフラッグ504及び600と同様の方法でセンサ502と協働している。較正要素626は、スロットの軸に沿って位置的に調整可能である。較正要素の反対側の端部は、そこを通って延在しているねじ付きの調整部材632を有する突出タブ630を含む。調整部材632の回転は、本体622及びそれが取り付けられているフランジ54に対して較正要素626を移動させる。従って、ユーザは、調整部材632を回転させ、センサ502に対する較正要素の位置を調整することによって、システムを較正することができる。
【0047】
図11及び
図12を参照すると、代替の較正システムのフラッグが示されている。この実施形態では、較正要素650は、下部ベース部分のフランジ54に固定されている。フランジ54の位置が駆動ロッドによって設定されると、較正要素650をセンサ502に対して位置的に調整して、システムを較正することができる。フランジ54は、湾曲したスロット654を有する側壁652を含む。較正要素650は、較正要素650がスロット654内を移動できるように、湾曲したスロット654の曲率と同様の曲率を有する湾曲した本体656を有している。本体656は、較正要素の長さの一部に沿って延在している開口部658を含む。1つまたは複数のピン660は、開口部658を通ってフランジ54内に入り、スロット内に較正要素を移動可能に固定している。較正要素の端部656は、フランジ54を越えて延在しており、センサ502と協働してシステムを較正している。
【0048】
較正要素の一方の側は、フランジ54に回転可能に固定された歯車664と協働する一連の歯662を含んでも良い。歯車664の回転により、較正要素650は、湾曲したスロット654の湾曲に従う湾曲した経路665内を移動する。湾曲スロットは、湾曲スロットとヒンジ50との間の距離に対応する半径を有している。このようにして、較正要素650の位置が較正のためにフランジ54に対して調整されるとき、較正要素の調整は、センサに対する横方向位置X-Xを維持する。
【0049】
本発明の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を包含し、各媒体は、データまたはデータを操作するためのコンピュータ実行可能命令を含むように構成することができる。コンピュータ実行可能命令は、データ構造、オブジェクト、プログラム、ルーチン、または、様々な異なる機能を実行することができる汎用コンピュータに関連付けられたものや、限られた数の機能を実行することができる専用コンピュータに関連付けられたもの等、処理システムによってアクセスされ得る他のプログラムモジュールを含む。コンピュータ実行可能命令は、処理システムに特定の機能または機能のグループを実行させるものであり、本明細書に開示する方法のステップを実施するためのプログラムコード手段の例である。更に、実行可能命令の特定のシーケンスは、そのようなステップを実装するために使用され得る対応する動作の例を提供している。コンピュータ可読媒体の例には、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読み出し専用メモリ(「ROM」)、プログラム可能読み出し専用メモリ(「PROM」)、消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(「EPROM」)、電気的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(「CD-ROM」)、または処理システムによってアクセスされ得るデータまたは実行可能命令を提供することが可能な任意の他の装置または構成要素が含まれる。
【0050】
例えば、コンピュータ装置は、パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯情報端末(「PDA」)または他のハンドヘルド装置、ワークステーション、ミニコンピュータ、メインフレーム、スーパーコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ネットワークコンピュータ、コントローラ、プロセッサベースの民生用電子装置等であっても良い。
【0051】
本発明の様々な実施形態が本明細書に具体的に例示及び/または説明されているが、本発明の精神及び意図された範囲から逸脱すること無く、本発明の修正及び変形が当業者によって実施され得ることが理解される。
【国際調査報告】