(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有の頭蓋顔面インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20240808BHJP
【FI】
A61F2/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510386
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022041501
(87)【国際公開番号】W WO2023028214
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,チャド
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA14
4C097BB01
4C097CC03
4C097CC15
4C097CC17
4C097DD10
(57)【要約】
神経形成手術のための非患者固有のインプラントが提供される。非患者固有のインプラントは、3次元メッシュを含む。3次元メッシュは、チタンを含む。3次元メッシュは、予め折り畳まれている。3次元メッシュは、硬部組織のための空間及び/又は軟部組織のための空間を置換するように構成される。3次元メッシュは、3次元の三角形形状を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元メッシュを含む、神経形成手術のための非患者固有のインプラントであって、
前記3次元メッシュがチタンを含み、
該3次元メッシュが予め折り畳まれている、
神経形成手術のための非患者固有のインプラント。
【請求項2】
前記3次元メッシュが、硬部組織のための空間及び軟部組織のための空間の両方を置換するように構成される、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項3】
前記硬部組織が頭蓋骨を含み、前記軟部組織が前記頭蓋骨を覆う筋肉及び/又は脂肪を含む、請求項2に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項4】
前記3次元メッシュが軟部組織のための空間のみを置換するように構成される、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項5】
前記軟部組織が脊椎骨を覆う筋肉及び/又は脂肪を含む、請求項4に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項6】
前記3次元メッシュが3次元の三角形形状を有する、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項7】
前記3次元メッシュが所定の体積を備えた充填空間を含み、
該充填空間が、前記3次元メッシュの3つの側縁部及び湾曲した中央部分の内部に形成される、請求項6に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項8】
前記充填空間は、前記3次元メッシュで置換されるべき硬部組織及び/又は軟部組織のための空間の体積を充填するように構成される、請求項7に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項9】
前記3次元メッシュのサイズが約5cm~約10cmの範囲である、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項10】
前記3次元メッシュのサイズが約10cm~約15cmの範囲である、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項11】
前記3次元メッシュのサイズが約15cm~約20cmの範囲である、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項12】
前記3次元メッシュが多孔質ポリエチレン及びシリコーンよりも高い剛性を有する、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項13】
前記3次元メッシュが側頭窩領域に載置されるように構成される、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項14】
前記3次元メッシュが締結具を受けるように構成された1又はそれ以上の穴を含む、請求項1に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項15】
3次元チタンメッシュを含む、神経形成手術のための非患者固有のインプラントであって、
前記3次元チタンメッシュが予め折り畳まれており、
該3次元チタンメッシュが3次元の三角形形状を有する、
神経形成手術のための非患者固有のインプラント。
【請求項16】
前記3次元チタンメッシュが硬部組織のための空間及び軟部組織のための空間の両方を置換するように構成される、請求項15に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項17】
前記硬部組織が頭蓋骨を含み、前記軟部組織が前記頭蓋骨を覆う筋肉及び/又は脂肪を含む、請求項16に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項18】
前記3次元チタンメッシュが所定の体積を有する充填空間を含み、
該充填空間が、前記3次元チタンメッシュの3つの側縁部及び湾曲した中央部分の内部に形成される、請求項15に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項19】
前記充填空間が、前記3次元チタンメッシュで置換されるべき硬部組織及び/又は軟部組織のための空間の体積を充填するように構成される、請求項18に記載の非患者固有のインプラント。
【請求項20】
前記3次元チタンメッシュが、締結具を受けるように構成された1又はそれ以上の穴を含む、請求項15に記載の非患者固有のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願に開示された技術は、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有の頭蓋顔面インプラントに関する。
(優先権の主張)
本出願は、2021年8月27日に出願された米国仮特許出願第63/237,703号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
脳外科手術の実施には、かなりのサイズの開頭手術を必要とする場合がある。すべての開頭手術の大部分(約75%)が、プテリオン部又は側頭部領域内で行われ得る。したがって、側頭部の解剖学的構造は、側頭筋及び側頭脂肪体(すなわち、関連する軟部組織)などの重要な構造の脈管切除及び神経支配切除のために歪む可能性がある。そのため、この解剖学的構造の破損に続いて、顔の対称性が永遠に危険にさらされ、歪められる可能性がある。さらに、かなりの数の脳神経外科患者は、感染、腫瘍病変、脳腫脹、及び/又は外傷性骨折のいずれかのために骨弁(すなわち、脳へのアクセスのために除去された骨のセグメント)を失うことがある。したがって、分離した軟部組織の損失に関連する変形、又は硬部組織と軟部組織の組合せの減少に関連する変形が存在し得る。いずれにしても、欠損した頭蓋骨及び/又は欠損した軟部組織バルクを再建するために、頭蓋形成術として知られる第2の手術が必要とされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は、一般に、再建手術、特に頭蓋形成術、神経形成手術、頭蓋顎顔面手術、及び脳神経外科手術の分野に関し、具体的には、解剖学的置換におけるカスタマイズされていないインプラントの形態及び機能を改善する分野に関連し得る。一例では、神経形成手術のための非患者固有のインプラントが提供され得る。非患者固有のインプラントは、3次元メッシュを含むことができる。3次元メッシュは、チタンを含むことができる。3次元メッシュは、予め折り畳まれていてもよい。
【0004】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは、硬部組織のための空間及び軟部組織のための空間の両方を置換し得る。
【0005】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、硬部組織は頭蓋骨であってよく、軟部組織は頭蓋骨を覆う筋肉及び/又は脂肪であってよい。
【0006】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは、軟部組織のための空間のみを置換し得る。
【0007】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、軟部組織は、脊椎骨を覆う筋肉及び/又は脂肪であり得る。
【0008】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは、3次元の三角形形状を有し得る。
【0009】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは、所定の体積を有する充填空間を含み得る。充填空間は、3次元メッシュの3つの側縁部及び湾曲した中央部分内に形成されてもよい。
【0010】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、充填空間は、3次元メッシュで置換されるべき硬部組織及び/又は軟部組織のための空間の体積を充填するように構成され得る。
【0011】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュのサイズは、約5cm~約10cmの範囲である。
【0012】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュのサイズは、約10cm~約15cmの範囲である。
【0013】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュのサイズは、約15cm~約20cmの範囲である。
【0014】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは、多孔質ポリエチレン及びシリコーンよりも高い剛性を有し得る。
【0015】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは側頭窩領域に載置されるように構成され得る。
【0016】
本明細書に列挙される任意の他の実施例又は実施例の組合せと組み合わせて使用され得る本開示のいくつかの実施例では、3次元メッシュは、締結具を受けるように構成された1又はそれ以上の穴を含み得る。
【0017】
本開示のいくつかの実施例では、非患者固有のインプラントは、3次元チタンメッシュを含み得る。3次元チタンメッシュは予め折り畳まれていてもよく、3次元チタンメッシュは3次元の三角形形状を有し得る。
【0018】
開示される装置又はシステムの追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図に記載され、それらから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有のインプラントの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有のインプラントの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】
図3は、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有のインプラントの例示的な実施形態を示す図である。
【
図4】
図4は、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有のインプラントの例示的な実施形態を示す図である。
【
図5】
図5は、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するための非患者固有のインプラントの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の態様は、以下の説明及び関連する図面において開示される。当業者は、特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、代替の実施形態が考案され得ることを認識するであろう。加えて、本開示の例示的な実施形態の周知の要素は、本開示の関連する詳細を不明瞭にしないように詳細に説明されないか、又は省略され得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「例示的」という語句は、「例、事例、又は例示としての役割を果たす」を意味する。本明細書に記載の実施形態は限定的ではなく、単なる例示である。記載された実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではないことを理解されたい。さらに、「本発明の実施形態」、「実施形態」、又は「本発明」という用語は、本発明のすべての実施形態が説明された特徴、利点、又は動作モードを含むことを必要としない。
【0022】
本開示は、脳神経外科患者で一般的に起こる側頭及びプテリオン型空洞化変形を矯正及び/又は防止するための頭蓋顔面インプラントを利用するために、本発明者によって開発された技術を参照してもよく、その開示はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
人工インプラントは、それらが置換する骨(例えば、硬部組織)欠損に対する解剖学的置換のために設計され得る。それらは、カスタマイズされた患者固有のインプラントとしてコンピュータ支援設計/製造(CAD/CAM)を使用して事前設計されてもよく、又は「既製の」フリーサイズのインプラントとして解剖学的平均化を使用して予め設計されてもよい。どちらの方法でも、両方のインプラント製造プロセスは、時間に対してその形状及び形態を保持する安全で生体適合性のあるアロプラスチック材料から製造された予め製作されたインプラントと同等である。このようなインプラントに使用されるアロプラスチック材料の例としては、多孔質ポリエチレン又はシリコーンが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施例では、側頭空洞化変形を矯正及び/又は防止するためのカスタマイズされた解決策が提供され得る。いくつかのそのような解決策は、頭蓋顔面領域の欠損した骨及び軟部組織の両方を置換することができ、2019年4月8日に出願された「PATIENT-SPECIFIC CRANIOFACIAL IMPLANTS」という名称の米国特許第10,639,158号に開示されており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、場合によっては、必要とする各患者に対してカスタマイズされた「1つだけの」形状の解決策を設計するために必要とされる手術前の時間、労力及び費用を考慮すると、側頭部又はプテリオン部の変形を矯正及び/又は防止するために、非患者固有の頭蓋顔面インプラントが必要となることがある。
【0025】
一般的に用いられている、多孔質ポリエチレン(すなわち、MedPor)又はシリコーンで作成された既製のカスタマイズされていないプテリオンインプラントのような、側頭部の変形を矯正又は防止するための「普遍的な」解決策として一般的に販売されているアロプラスチックインプラントは、術後感染リスクの傾向がはるかに高く、外科医の選好又は快適性が低いことを考慮すると、最適ではない場合がある。
【0026】
人体の特定の態様を構成する骨の解剖学的構造は、一定の形態を維持することができ、したがって、それらの形状及び形態が常に一定のままであり得るという点で、埋め込み型インプラントの分野に適している。逆に、筋肉及び脂肪などの骨上に見られる軟部組織領域は、1日を通して人の身体の動きに応じて形状が絶えず変化している可能性があり、したがってインプラント設計の作業を困難にする一貫性のない境界を有する。したがって、これらの要因を考慮した解決策が望ましい。
【0027】
例えば、脳神経外科手術中に、頭蓋顔面インプラントを使用して、萎縮した側頭脂肪体バルク、側頭筋バルク、及び/又は側頭骨を置換することにより、頭部の罹患部分又は損傷部分(開頭手術後又は頭蓋切除術後の欠損)を安全に再建及び置換することができ、これらはすべて、標準的なプテリオン型開頭手術によって一般的に影響を受ける。脳神経外科手術又は頭蓋顔面形成手術の目的のためのこのプテリオン領域の頭蓋骨の一時的な除去又は恒久的な切除の後、そのような欠損は、カスタム頭蓋顔面インプラント(CCI)又は最も一般的には多孔質ポリエチレンから作成される「既製の」非患者固有のインプラントのいずれかを用いて再建されることが多い。
【0028】
本発明者による最近の改変は、軟部組織置換手術の分野に革命をもたらし、「側頭空洞化又は側頭変形矯正」と呼ばれ、これにより、神経形成外科医又は脳神経外科医などの臨床医は、事前に注文したカスタムインプラント又は「既製の」プラスチックインプラントのいずれかを手動で設置/再成形/サイズ変更し、真の解剖学的置換として側頭窩欠損部に完全に適合させる。どちらの方法でも、予め定義された側頭部欠損又はプテリオン部欠損のための頭蓋形成術による再建を含むこれらの方法では、コンピュータ支援設計/製造(CAD/CAM)の出現により、外科医に、精密切断術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャン及び3次元再建(+/-ステレオリソグラフィモデル)に部分的に基づいて設計及び製造された完全に成形されたインプラントが提供されている。しかしながら、今日の課題は、非患者固有の再建に使用される最も一般的な「既製の」解決策が、多孔質ポリエチレン(すなわち、MedPor)又はシリコーンとして知られる準最適なアロプラスチックから作成され、これは、ヒトの解剖学的平均化によって、「患者固有の」インプラントである代替選択肢を製作及び設計するために必要な付随するコスト、手術前の時間配分及び労力を排除するために使用される一般的な設計方法であるという事実に限定される。
【0029】
本開示の態様は、様々なサイズ(極小、小、中、大及び特大)の三角形形状と一致する3次元曲げ形状を有し、硬部組織(例えば、骨)及び軟部組織(例えば、上にある筋肉及び脂肪)の一方又は両方を置換することができるチタンメッシュを提供することによって、従来技術の問題に対処することができる。本開示によるチタンメッシュは、術後感染との戦いにおいてより信頼できる材料であり、術中の取り扱いを改善して現場を真に前進させることができる。
【0030】
本開示によるチタンメッシュは、偶発的な頭部外傷に関連する外力に対して、アロプラスチック材料よりも耐性があり得る。本開示の態様は、折り畳まれたチタンメッシュを有する軟部組織及び/又は硬部組織インプラントを予め製作することによって分野を進歩させることができ、これは従来とは異なり、最終的な「既製の」非カスタム解決策を提供することができる。したがって、神経形成手術、脳神経外科手術及び頭蓋顔面手術のための軟部組織及び硬部組織の置換の分野は、材料及び形状の両方を変更してチタンメッシュ(特別なコーティング又は研磨の有無にかかわらず)を含めることによって大幅に改善され、外科医に、脳神経外科手術後の側頭部及びプテリオン部の変形を防止及び/又は矯正することとの戦いに対するはるかに改善された解決策を提供する。
【0031】
二重目的で設計されたCCIの使用は、脳神経外科手術後の外観を維持し、付随する社会的スティグマを伴う術後の変形を防止し、総手術時間を短縮し、頭皮関連の創傷合併症を防止し、患者の満足度を高めることが可能となり得る。この大きな進歩は、脳の周囲の十分に利用されていない硬部組織及び軟部組織の空間を利用する(それによって、頭蓋インプラントが解剖学的骨空間のために設計され得る古い、時代遅れの、世代的な定説を消去する)、本発明者によって提供される新規な設計アルゴリズムを使用すること、及び手術前にCAD/CAM設計を使用することによって達成され得る。しかしながら、その時点で、この解決策は、レーザ焼結及び/又はカスタマイズされた形状に成形することができる多孔質ポリエチレン(MedPor)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はPEEKなどのアロプラスチック材料の使用を必要とする。以前は、折り紙の技術と非常に類似する、チタンメッシュの二次元片をそれ自体の上に予め折り返すことができることは知られておらず、理解されていなかった。本開示の態様は、各インプラントを「カスタマイズ」するために必要な余分なコスト及び労力のすべてを除去することができる予め折り畳まれたチタンメッシュを提供することができる。
【0032】
図1は、本開示による非患者固有のインプラント100の一例を示す。いくつかの実施例では、非患者固有のインプラント100は、チタンメッシュで作成され得る。非患者固有のインプラント100は、解剖学的平均化を使用して予め製作され得る。非患者固有のインプラント100は、様々なサイズ、例えば、極小、小、中、大及び特大を有し得る。非患者固有のインプラント100は、様々な程度の既存の軟部組織の萎縮に対応するように予め折り畳まれてもよい。例えば、様々なサイズの非患者固有のチタンメッシュインプラントの各々は、例えば、三角形状のインプラントの内側に様々な量の体積を有することができる。いくつかの実施例では、チタンメッシュの側縁部は、予め折り返されていてもよい。
【0033】
いくつかの実施例では、非患者固有のインプラント100は、様々な他の特徴を含み得る。例えば、非患者固有のインプラント100は、1又はそれ以上の穴110を含み得る。1又はそれ以上の穴110は、締結具を受けるように構成され得る。締結具の例としては、ねじ、釘、ボルトが挙げられる。非患者固有のチタンメッシュインプラント100中の1又はそれ以上の穴110は、締結具(例えば、ヒト頭蓋顔面骨格に固定することがより容易である)の固定を容易にすることができ、これは、外科医の時間及び労力を節約し、頭蓋骨固定のためにより複雑な方法を必要とし得るより剛性の低い多孔質ポリエチレン又はシリコーンインプラントとは対照的に、外科医が永久固定の目的で締結具を載置するためのより多くの使用可能な選択肢を提供することができる。ここでも、手術後の解剖学的インプラントのあらゆる微動を最小限に抑えるように注意する必要がある場合があり、そうしないと、異物の感染率が高まり、最終的に除去される可能性がある。したがって、本開示の態様は、プラスチックから作成される非患者固有のインプラント(すなわち、多孔質ポリエチレン)と比較して、はるかに改善された特性を提供し得る。
【0034】
本開示の態様は、外科医に、欠損した骨及び/又は軟部組織に対して大幅に改善された剛性及び構造的完全性を伴うインプラントを提供することができ、これは、外部外傷でより容易に曲がるプラスチック材料(すなわち、多孔質ポリエチレン)に関しては著しく欠如している。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラント100は、硬部組織及び軟部組織の欠損した体積を置換して、チタンメッシュインプラント内(例えば、三角形の設計内)に維持された体積に基づいて可視輪郭変形を矯正及び/又は防止することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラント100は、硬部組織及び/又は軟部組織の隣接空間を充填することができる。例えば、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、単離された軟部組織の置換において、及び/又は硬部組織及び軟部組織の両方が置換を必要とする状況において使用することができる。
【0036】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラント100は、他のタイプのインプラントと共に使用することができる。例えば、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラント100は、PEEK、多孔質ポリエチレン、及び/又はPMMAなどのアロプラスチック材料で作成された予め製作されたカスタマイズされたインプラントの外側に取り付けることができ、これは(予め拡張された)軟部組織領域を有していなくてもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、非患者固有のインプラント100は、形態及び機能を改善するための3次元の折り紙のように折り畳まれたチタンメッシュ、再建手術のための解剖学的に固有のインプラントを新規に利用して、硬部組織と軟部組織を組み合わせた再建のために提供され得る。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラント100は、標準的な骨置換のために平坦な二次元のチタンメッシュ片を使用する硬部組織置換設計を超えることができる。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラント100は、例えば、極小、小、中、大及び特大などの既成品としての利用可能性のための5つの異なるサイズを予め製作することによって、軟部組織と硬部組織とを組み合わせた再建のための解剖学的平均化に基づく独自の三角形の様式で予め折り畳まれたチタンメッシュの平坦片を含み得る。変化する空間/フットプリントは、折り畳まれた折り紙のような三角形のチタンメッシュインプラントの中心内に組み込まれた空間の体積に関連し得る。
【0038】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラント100は、頭蓋骨及び/又は上にある軟部組織空間を置換し得るチタンメッシュを含み得る。これは、多孔質ポリエチレン又はシリコーンで作成されたあまり望ましくない一般的に使用されるインプラントに対して、改善された代替案を再建の分野に提供し得る。
【0039】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラント100は、折り紙と同様に折り畳まれる方法でチタンメッシュを使用することができる。これは、多孔質ポリエチレンのようなアロプラスチック材料に一般的に関連するあまり望ましくない感染リスクに取って代わることができる。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラントは、
図1~
図5に示すような3次元の三角形形状を有してもよく、欠損した軟部組織の萎縮又は脳神経外科手術後に予想される変化の重症度に一致する内側の内部体積空間を表し得る、プロファイル幅の範囲スペクトル(狭い>>>広い)を有し得る。
【0040】
例えば、非患者固有のインプラント100は、互いに接続された3つの側縁部(第1側縁部122、第2側縁部124、第3側縁部126)を有してもよく、3つの側縁部122、124、126は、非患者固有のインプラント100の境界を画定し得る。非患者固有のインプラント100の中央部分130は、湾曲していてもよい。例えば、非患者固有のインプラント100の中央部分130は、凸状の湾曲を有してもよく、3つの側縁部122、124、126及び湾曲した中央部分130内に所定の体積を有する充填空間140を形成することができる。いくつかの実施例では、充填空間140は、3次元メッシュと置換されるべき硬部組織及び/又は軟部組織のための空間の体積に対応し得る。
【0041】
本開示の態様は、脳/頭蓋骨の周囲の重要な領域を覆う追加の筋肉及び脂肪体積に使用することができる。いくつかの実施例では、本開示の態様は、予め折り畳まれたチタンメッシュで作成された剛性の非患者固有のインプラントを提供することができ、これにより、骨、筋肉及び/又は脂肪などの様々な組織タイプを安全に置換することができる。軟部組織インプラントは、例えば、三角形のチタンメッシュインプラント内に利用されていない空間が存在し得るため、近くの脳に対して生命を増進させる、生命を変化させる、及び/又は生命を救うためのモダリティを提供し得る、様々な機能の埋め込み神経技術を含むことができる。折り畳まれたチタンメッシュ内部の軟部組織インプラント構成要素は、(もし以前の技術がもはや必要でない場合には)プラグアンドプレイ様式で別の軟部組織インプラント構成要素と交換可能であってもよい。
【0042】
患者固有の頭蓋顔面インプラントに関するいくつかの記載は、2019年4月8日に出願された「PATIENT-SPECIFIC CRANIOFACIAL IMPLANTS」という名称の米国特許第10,639,158号に開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、上記の軟部組織に集中するコンピュータ支援設計アルゴリズムを用いることによって、頭蓋骨再建と同時に欠損した軟部組織を置換することを記載している。さらなる技術革新は、一貫性を改善するためのより明確な解剖学的ベクトル線(すなわち、向上した結果)、載置時の軟部組織のインピンジメントを防止するための予め製作された側頭窓、及びこれらの頭蓋顔面インプラントを、瘢痕化した側頭筋の下ではなく上に載置することを含み得る、改良された設計を含み得る。しかしながら、これらの「二重目的頭蓋顔面インプラント」(例えば、第1の目的は、脳保護のために欠損した骨を置換することであり、第2の目的は、軟部組織変形に続発する顔面の対称性を回復することである)は、その開示はその全体が本明細書に組み込まれるZhongらの「Quantitative Analysis of Dual-Purpose,Patient-Specific Craniofacial Implants for Correction of Corporal Deformity」に開示されているように、アロプラスチック材料(すなわち、多孔質ポリエチレン、PMMA、及びPEEK)を使用して作成及び送達することができる。しかしながら、上述したように、アロプラスチック材料は、細菌感染のリスク及び外科医の使い勝手の悪さを考慮すると、側頭及びプテリオン型変形においては劣った解決策であり得る。さらに、カスタマイズされた頭蓋顔面インプラントが手術のために受け入れられ、本発明者によって最初に記載されたバルクアウトを欠いているときがある。対照的に、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、外科医の親しみやすさ、並びにより望ましいユーザプロファイル及びはるかに最適な感染耐性プロファイルの両方に関してはるかに改善されたプロファイルを有し得る。したがって、それは単独で使用することができるだけでなく、側頭空洞化を矯正及び/又は防止するために準備が不十分な「骨のみ」の置換で、頭蓋顔面インプラントの外側に載置し得る。
【0043】
図に示すように、本開示の態様は、独自の折り紙のような3次元折り畳みチタンメッシュインプラント(
図1及び
図2を参照のこと)を提供することができる。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、標準的な頭蓋骨フラップ又は置換インプラント(
図3~
図5を参照のこと)の外側に取り付けられてもよい。インプラントは、極小、小、中、大又は特大のインプラント設計で形成することができ、外科医は術中評価及び軟部組織再吸収の程度に基づいて、頭蓋形成術の際に使用を決定することができる。
【0044】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラント100は、例えば、a)欠損した頭蓋骨(すなわち、既存の頭蓋骨欠損)を置換するように設計された頭蓋顔面インプラント、及びb)欠損した側頭筋/脂肪を置換するように設計された軟部組織を含む、ヒトの解剖学的平均化及びCAD/CAM設計による仮想形状作成後の「既製の」インプラントとして送達することができ、この製作プロセスは、十分な内部体積(例えば、充填空間140内)を提供する。内部空間構成要素(例えば、充填空間140)は、脳神経外科手術又は既存の変形後の予想される軟部組織吸収の程度の違いに対応するために、極小、小、中、大又は特大のサイズで送達されてもよく、したがって、予め形成されたサイズは、長さ、幅及び高さに関して変化し得る。そのような実施形態における例示的なクリニカルシナリオは、既存の頭蓋骨欠損を有する患者が、神経形成手術及び/又は脳神経外科手術後に既存の軟部組織欠損を必要とするものであり得る。
【0045】
いくつかの実施例では、改善されたインプラントは、外科医に脳神経外科患者のための「非患者固有の頭蓋顔面インプラント」を提供することができる。神経技術が洗練され、フットプリントが小さくなる場合、これらの機能装置は、内側の空間には何もないので、側頭窩内に着座している予め折り畳まれたチタンメッシュインプラント内の三角形領域を埋めるように予め設計することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラント100は、a)欠損した側頭筋/側頭脂肪体/皮下組織を置換するように設計された非患者固有の軟部組織インプラントを含む、ヒトの解剖学的平均化及びCAD/CAM設計に従って、折り畳まれたチタンメッシュの折り紙のようなインプラントとして送達されてもよく、製作プロセスは、埋め込み時に近傍の周囲の健康な頭蓋骨への締結具(例えば、ねじ)接続のための多数の穴を提供する。軟部組織構成要素は、異なる程度の予想される軟部組織吸収に対応するために、極小、小、中、大、又は特大サイズの寸法で送達され得る。そのような実施形態の例示的なクリニカルシナリオは、患者が神経形成手術を必要とする脳神経外科的開頭手術による欠損後に既存の軟部組織欠損を有するものであり得る。
【0047】
いくつかの実施例では、将来の変形を見越した脳神経外科患者における非患者固有の軟部組織インプラントが提供され得る。したがって、極小、小、中、大及び特大サイズの軟部組織インプラント構成要素は、事前滅菌パッケージで外科医に送達されてもよく、これは外科医が、開頭手術の際、又は脳神経外科医が癌制御のために術後照射が必要であり、側頭部/プテリオン部の軟部組織変形が将来予想されることを知っている場合に同定される術中評価及び軟部組織モビライゼーションの程度に基づいて決定され得る。
【0048】
いくつかの実施例では、上記の新規の二重目的インプラントの使用のための別の適応症は、計画された頭蓋切除術(すなわち、罹患していない又は正常な頭蓋骨の選択的除去)の場合である。脳神経外科手術の多くは、正常で健康な骨に覆われている脳疾患に対して計画される(対象となる部位で手術を受けたことがなく、解剖学的構造に損傷がない患者対象)。しかしながら、神経形成手術の分野が拡大するにつれて、非患者固有のインプラントの使用は、脳神経外科手術後の変形及びそれに伴う頭蓋顔面変形を有する社会的スティグマにおけるあらゆるリスクに対抗する方法として、側頭及びプテリオン型開頭手術を受けているすべての脳神経外科患者においてより一般的に採用されるようになるであろう。換言すれば、脳神経外科患者は、(安全な脳外科手術に加えて)手術前の自己の外観を所望することができ、これは、1950年代に始まった、乳癌患者が癌切除時に再建を望む並行した革命に非常に似ている。したがって、本開示の態様は、外科医に、極小、小、中、大及び特大サイズの軟部組織インプラント構成要素と共に、標準的な頭蓋骨置換インプラントを有する折り紙様の予め折り畳まれたチタンメッシュインプラント設計を提供することができ、外科医は、術中の評価及び軟部組織吸収の程度に基づいて開頭手術時に使用することを決定することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、神経形成手術による計画された再建を必要とする患者において、本開示の態様は、神経形成手術による改善された治療戦略を提供することができる。これらの3次元の非患者固有の頭蓋顔面インプラントは、フットプリントの向上によって、より精緻になるので、本開示による非患者固有のインプラントは、載置のために脊椎骨及び脊椎の軟部組織の両方を置換する必要がある代わりに、脊髄の周囲の軟部組織要素を埋めるように予め折り畳むことができる。
【0050】
本開示の態様は、非患者固有のチタンメッシュインプラントを提供するための方法を提供し得る。いくつかの実施例では、非患者固有のチタンメッシュインプラントの様々なサイズ(例えば、3~5つのサイズ)は、例えば、骨欠損及び/又は空隙を囲む骨上のオーバーラップを最小限に抑えながら所望の神経形成効果を提供するように、空隙の骨欠損の最も一般的なサイズを覆うように選択され得る。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラント100は、約5cm~約10cm、約10cm~約15cm、又は約15cm~約20cmの範囲のサイズ(例えば、長さ/幅)を有し得る。他の実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラント100は、任意の他の好適なサイズを有し得る。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは様々な方法のいずれかで形成及び利用することができる。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、3D印刷されてもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、非患者固有のチタンメッシュインプラント100の選択されたサイズは、好適な方法で処理、切断されてよく、又は他の方法で形成され得る。例えば、非患者固有のチタンメッシュインプラントは、既存の頭蓋骨欠損を埋めて解決することができるとともに、非欠損領域を有する任意の所望の頭蓋顔面の対称性を維持することができるように、手術前に成型、切断、及び/あるいは形成されてもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、適切なサイズのインプラントが選択されると、インプラントが外科的に載置される前に、任意のさらなる改変が実施されてもよい。いくつかの実施例では、適切なサイズのインプラント(所与のサイズの中で)を選択することで、さらなる改変が必要ない場合がある。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、滅菌され得る(及び事前滅菌パッケージで提供され得る)。
【0053】
いくつかの実施例では、切断の前後に、非患者固有のチタンメッシュインプラントをコーティング又は研磨することができる。例えば、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントに無摩擦コーティングプロセスを適用して、例えば、長期耐久性のために上記の絶えず移動する可動性の頭皮及び軟部組織に対してより滑らか且つ好適なものとし、したがって現在市販されている現在の「サンドペーパーのような」チタンメッシュ製品を改善することができる。いくつかの実施例では、チタンメッシュの研磨性を低下させ得るこのコーティング及び/又は製造/仕上げプロセスは、効果的な滑動の発生を可能にし、特に腫瘍疾患のための反復手術又は照射療法からの薄い頭皮上の場合に、最終的な押出、感染、除去、及び失敗のリスクを低下させる。
【0054】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、滑らかであるか、そうでなければ粗くないように研磨されてもよい。したがって、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、長期の損傷、最終的な萎縮、及び/又は破損及び除去につながる侵食から移植後にインプラントの上方の柔頭皮及び軟部組織(すなわち、側頭筋及び側頭脂肪体)を保護するために所望且つ効果的な方法で実施することができる。
【0055】
いくつかの実施例では、本開示によるチタンメッシュ頭蓋顔面インプラントは、移植前に予め曲げられてもよい。これは、頭蓋の曲率半径を考慮すると、典型的にはヒトに平坦な形状の頭蓋骨欠損がないため、望ましいものであり得る。したがって、平坦な形状で供給されるチタンメッシュインプラントを有することは、手術室での追加の労力及び時間のみを必要とする可能性があり、安全性、時間、及びコストの観点から望ましくない。それにより、製作プロセス中にチタンメッシュ頭蓋顔面インプラントを予め曲げることで、手術前及び手術中の外科医の労力を低減し、頭蓋顔面インプラントの適切な形成及びモデリングに関与する関連する技工の量を低減して欠損の所望の修復を達成し、頭蓋形成術による再建に関連する輪郭の不規則性に対処することに関する外科的ノウハウを使用して頭蓋顔面の対称性を維持し、最終的に、曝露しやすい領域の機能性を改善し、インプラントのレシピエントの手術後の外観も改善した、改善されたインプラントをもたらすことができる。
【0056】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、挿入中にはるかに小さい又は浅い締結具(例えば、ねじ)プロファイルを可能にするための皿穴を含むことができる。いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントの1又はそれ以上の穴は、皿穴として機能し得る。2mmが骨に挿入され、2mmがメッシュ又はインプラント内にある4mmの長さを有する神経形成インプラント用の典型的なねじでは、皿穴は1mm以上の減少を提供することができる。換言すれば、皿穴を用いて、4mmねじの3mmを、メッシュ又はインプラント内にわずか1mmとなるように骨に挿入することができる。その結果、平坦なインプラントプロファイルを提供することができる。したがって、メッシュインプラントに沿った皿穴は、皿穴領域の内側に平頭ねじを有することで最終的な薄型構造を提供し得るため、頭蓋顔面インプラントの滑らか又はより滑らかな輪郭で結果を改善することができる。特に喫煙者又は放射線を受けた患者では、薄い頭皮又は萎縮した頭皮の下の小さなねじ縁部は非常に問題となる可能性があり、慢性疼痛、目に見える変形などの症状を含む可能性があり、メッシュインプラントの除去を必要とする押出/感染につながる場合さえあるが、そのすべてが皿穴により減少することができる。
【0057】
いくつかの例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは対称であってよい。他の実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは非対称であってよい。非対称構造は、インプラントを曲げ成形するための追加の角度を提供することができ、より容易で時間がかからず、より正確なインプラント構造をもたらし得る。
【0058】
いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のチタンメッシュインプラントは、血管新生の破壊及び不必要な出血を防止するために、側頭筋の上に載置されてもよい。チタンメッシュ頭蓋顔面インプラントのそのような載置は、側頭領域並びに頭蓋骨欠損における欠損骨の所望の再建を提供することができ、これは、頭蓋切除術及びその後の段階的手術を必要とする頭部外傷又は腫瘍後の二次頭蓋形成術の場合に特に関連する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「約(about)」、「約(approximately)」及び「実質的に(substantially)」は、数字の範囲、例えば、参照された数字の-10%~+10%、好ましくは参照された数字の-5%~+5%、より好ましくは参照された数字の-1%~+1%、最も好ましくは参照された数字の-0.1%~+0.1%の範囲の数値を指すと理解される。さらに、このような数値範囲は、その範囲内の任意の数又は数のサブセットに関する請求項をサポートするものと解釈されるべきである。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートすると解釈されるべきである。
【0060】
本明細書全体を通して、「様々な態様」、「いくつかの態様」、「いくつかの実施例」、「他の実施例」、「いくつかの場合」、又は「1つの態様」への言及は、その態様に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して見られる「様々な態様では」、「いくつかの態様では」、「特定の実施形態では」、「いくつかの実施例では」、「他の実施例では」、「特定の他の実施形態では」、「いくつかの場合では」、又は「1つの態様では」という語句は、必ずしもすべてが同じ態様を指しているわけではない。さらに、1つの実施例に関連して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、全体的又は部分的に、1又はそれ以上の他の態様の特徴、構造、又は特性と組み合わせることができるが、これらに限定されない。
【0061】
2つの部分の間の位置関係が、「上に(on)」、「上方に(above)」、「下に(below)」、「下に(under)」、及び「次に(next)」などの用語を使用して説明されるとき、それらの用語が「直ちに(immediately)」又は「直接(directly)」という用語と共に使用されない限り、1又はそれ以上の部分が2つの部分の間に位置し得る。同様に、本明細書で使用される場合、「取り付け可能」、「取り付けられる」、「接続可能」、「接続される」という用語又は任意の同様の用語は、直接的又は間接的に取り付け可能、直接的又は間接的に取り付けられる、直接的又は間接的に接続可能、及び直接的又は間接的に接続されることを含み得る。
【0062】
本明細書の図及び説明の少なくともいくつかは、本開示の明確な理解に関連する要素を示すために簡略化されており、明確にするために、他の要素を排除していることを理解されたい。しかしながら、当業者は、これら及び他の要素が望ましい場合があることを認識するであろう。しかしながら、そのような要素は当該技術分野で周知であり、それらは本開示のより良い理解を容易にしないので、そのような要素の説明は本明細書では提供されない。
【0063】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを意図しており、本開示を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に明記しない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことがさらに理解されよう。本明細書で使用される場合、「X又はYの少なくとも1つ」又は「X及びYの少なくとも1つ」という用語は、X、又はY、又はX及びYとして解釈されるべきである。
【0064】
本明細書に開示された実施形態は、本発明の精神から逸脱することなくさらに改変され得ることを理解されたい。さらに、いくつかの実施例では、本開示による非患者固有のインプラントは、それらが本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の材料、例えば、様々な人工生体材料及び/又は3d印刷チタン、又はそれらの任意の組合せで構築されてもよい。さらに、いくつかの実施例では、骨インプラント及び軟部組織インプラントの両方は、上述の実施形態と同様に、埋め込み神経技術のためのキャビティをその中に含むことができる。
【0065】
前述の説明及び添付の図は、本発明の原理、好ましい実施形態、及び動作モードを示している。しかし、本発明は、上述の特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。上述の実施形態のさらなる変形例は、当業者には理解されよう。
【0066】
したがって、上述の実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされるべきである。したがって、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に対する変形例が当業者によってなされ得ることを理解されたい。
【国際調査報告】