(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】飲料を生成するためのカプセル及びカプセルを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20240808BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A47J31/06 323
B65D85/804 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512094
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022073908
(87)【国際公開番号】W WO2023031095
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ゼボウジ, リーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブザンボウ, ナジャット
(72)【発明者】
【氏名】アベグレン, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104AA20
4B104BA35
4B104BA53
4B104EA38
(57)【要約】
飲料調製マシンで使用するためのカプセル(1)であって、チャンバ(21)を画定しているカプセル本体(2)であって、上部開口部(23)に向かって軸線方向に延びている1つ以上の側壁(22)と、1つ以上の側壁から径方向外向きに延びている周方向フランジ(24)と、を備えるカプセル本体と、周方向フランジの上面(241)の少なくとも一部に取り付けられて、上部開口部を閉鎖し、カプセル内への液体の注入のために穿刺されるように適合されている上部膜(3)であって、上部膜及びフランジが共通平面(P)に沿って全体的に延びている上部膜と、チャンバ(21)内に設けられた下部膜(4)であって、上部膜(3)と下部膜との間に原材料チャンバを画定している下部膜(4)と、チャンバ内に設けられた開口デバイス(5)であって、チャンバを開口するように適合されている、開口デバイスと、を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製マシンで使用するためのカプセル(1)であって、可溶性の飲料原材料及び/又は抽出可能な飲料原材料を収容し、
チャンバ(21)を画定しているカプセル本体(2)であって、
上部開口部(23)に向かって軸線方向に延びている1つ以上の側壁(22)と、
前記1つ以上の側壁から径方向外向きに延びている周方向フランジ(24)と、
下部飲料出口(25)と、
を備える、カプセル本体(2)と、
前記周方向フランジの上面(241)の少なくとも一部に取り付けられて、前記上部開口部を閉鎖し、前記カプセル内への液体の注入のために穿刺されるように適合されている上部膜(3)であって、前記上部膜と前記フランジが共通平面(P)に沿って全体的に延びている、上部膜(3)と、
前記チャンバ(21)の内部に設けられた下部膜(4)であって、前記上部膜(3)と前記下部膜との間に原材料チャンバを画定している、下部膜(4)と、
前記カプセル本体(2)の内部に設けられた開口デバイス(5)であって、前記液体の注入中に前記原材料チャンバ内の前記液体の圧力上昇の影響下で前記開口デバイス(5)と前記下部膜(4)との相対的な係合によって前記原材料チャンバを開口するように適合されている、開口デバイス(5)と、
を備え、
前記フランジの前記上面(241)が、少なくとも1つの周方向横断固定部(7)を備え、前記固定部が、前記共通平面(P)に対して横断方向に延びており、
前記上部膜(3)が、少なくとも前記固定部(7)に取り付けられている、
カプセル(1)。
【請求項2】
前記横断固定部(7)が、前記上部開口部の周りに少なくとも1つの周方向凹部及び/又は少なくとも1つの周方向凸部を備えることができる、請求項1に記載のカプセル(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの周方向横断固定部(7)が、前記フランジの径方向内側端部(241a)と前記フランジの径方向外側端部(241b)との間に配置されている、請求項1又は2に記載のカプセル(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの周方向横断固定部(7)が、少なくとも0.2mm、好ましくは最大で0.5mmの長さで延びており、好ましくは0.2~0.35mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの周方向横断固定部(7)が、少なくとも0.8mm、好ましくは最大で2mmの幅で延びており、好ましくは0.8~1.8mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの周方向横断固定部(7)が、少なくとも1つの径方向内側端部(73)を備え、前記径方向内側端部(73)において、前記周方向横断固定部は、少なくとも10度、好ましくは最大45度の角度で前記共通平面(P)に対して横断方向に延びている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカプセル(1)。
【請求項7】
前記周方向横断固定部(7)が、少なくとも1つの凹部を備え、前記凹部が、前記フランジ(24)の前記上面から前記共通平面(P)に対して横断方向に前記フランジの内部に延びており、
前記凹部の下部(72)は、丸い凹形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記凹部の径方向内側及び径方向外側(71)が、直線面を有する、請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
前記上部膜(3)は、熱封止によって前記横断固定部(7)に固定されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記カプセル本体(2)と前記上部膜(3)は、同じリサイクル可能なプラスチック、例えば、ポリプロピレンで作製されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカプセル(1A、1B)。
【請求項11】
前記カプセル本体(2)と前記上部膜(3)は、堆肥化可能材料及び/又は生分解性材料で作製されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカプセル(1A、1B)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のカプセル(1、1A、1B)を製造するための方法であって、
チャンバ(21)を画定しているカプセル本体であって、
上部開口部(23)に向かって延びている1つ以上の側壁(22)と、
前記1つ以上の側壁から径方向外向きに延び、平面(P)に沿って延びている周方向フランジ(24)と、
下部出口(25)と、
を備え、
前記フランジの上面(241)が、少なくとも1つの周方向横断固定部(7)を備え、前記固定部が、前記平面(P)に対して横断方向に延びている、
カプセル本体を準備する工程と、
前記カプセル本体(2)の内部に開口デバイス(5)を導入する工程と、
前記カプセル本体の内部、かつ前記開口デバイス(5)の上方に下部膜(4)を取り付ける工程と、
前記カプセル本体に飲料原材料を充填する工程と、
前記フランジ(24)に沿って配置された上部膜(3)に加熱ダイを用いて熱を加えることによって、前記カプセル本体の前記フランジの前記上面に前記上部膜を固定する工程であって、前記加熱ダイが、前記フランジの前記横断固定部(7)と相補的な形状を有し、前記カプセルの前記少なくとも1つの横断固定部において前記上部膜を加熱及び押圧する、工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製マシンで使用するためのカプセル、カプセルを製造するための方法、及び封止ダイに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料調製マシンは、消費者が家庭で様々なタイプの飲料、例えば、コーヒーベースの飲料を調製することを可能にする。
【0003】
今日、殆どの自宅飲料調製用飲料調製マシンは、飲料調製用のポーション化原材料を収容することができるマシンからなるシステムを含む。そのようなポーションは軟質ポッド若しくはパッド又はサッシェであってもよいが、剛性ポッド又はカプセルなどの半剛性又は剛性ポーションを用いるシステムがますます多くなっている。以下では、本発明の飲料マシンは、剛性カプセルを扱う飲料調製マシンであると考える。
【0004】
本マシンは、カプセルを収容するための容器と、加圧下でカプセル内に流体、好ましくは水を注入するための流体注入システムと、を備える。コーヒー飲料の調製のために加圧下でカプセル内に注入される水は、高温、すなわち70℃超の温度であることが好ましい。しかしながら、いくつかの特定の例では、水が周囲温度の場合もある。カプセルの内容物の抽出及び/又は溶解中のカプセルチャンバの内部の圧力は、典型的には、溶解製品の場合は(乳粉末、チョコレート粉末、インスタントコーヒー又はインスタントティーのような可溶性の原材料を溶解する場合は)、約1~8バールであり、焙煎して挽いたコーヒーの抽出の場合は、約2~12バールである。
【0005】
密閉カプセルの内容物を加圧下で抽出及び/又は溶解する原理は周知であり、典型的には、マシンの容器内にカプセルを収容し、物質の抽出又は物質の溶解のいずれかのためにカプセルの内部に加圧環境が形成されるように、一般に、マシンに取り付けられた流体注入ニードルなどの穿刺注入要素でカプセルの面を穿孔した後、一定量の加圧水をカプセル内に注入し、その後、カプセルから抽出物質又は溶解物質を放出することからなる。この原理の適用を可能にするカプセルは、例えば、欧州特許第1472156号明細書及び欧州特許第1784344号明細書に既に記載されている。これらのカプセルは、水が注入される上部膜と、チャンバ内の水圧の増加に対して更に開くように構成された下部膜とによって閉じられたチャンバ内に飲料原材料を封入するという特定の特徴を有する。チャンバ内に液体が注入されると、下部膜に近接して配置された開口要素が変形した膜を穿孔するまで、圧力が下部膜を変形させ、チャンバ内で調製された飲料にカプセルの外、例えば、カップの中に向かう経路を提供する。
【0006】
上述したように、これらのカプセルは、通常プラスチック材料で作られた剛性カプセルである。これらのカプセルのリサイクル性又は堆肥化性のいずれかを改善するために、これらの目的に応える新しい材料を使用しなければならない。
【0007】
特に、2つの異なる解決策を開発することができる。
1つは、ポリプロピレン(PP)材料のみで作製されたカプセルを提案することによって、カプセルのリサイクル性を可能にすることである。実際、現在の既存のカプセルでは、カプセルの異なる部分は、一般に、異なるタイプの材料で作製されており、これは、リサイクルプラントの能力によっては、使用済みカプセルのリサイクルが困難になる可能性がある。PP製の本体及び上部膜を有するカプセルは、リサイクルがより容易であろう。
もう1つは、生分解性材料のみで作製されたカプセルを提案することによって、カプセルの生分解性を可能にすることである。
【0008】
両方の状況において、材料の性質が変化したときに問題が生じた。
【0009】
100%PP材料で作製されたカプセルの問題は、PPのみで作製された上部膜を使用することによって、このPP上部膜をカプセル本体に封止するために用いられる温度を、このPP膜の損傷を回避するために220℃から170~175℃に下げなければならないことである。この温度は、カプセルの製造ラインにおける熱封止の工程で加えられる。熱封止は、カプセルの開いた上部を膜で覆い、次いで、切断及び加熱ヘッドを膜上に押し当て、上部膜をカプセルの寸法に切断し、同時に膜をカップに熱封止することからなる。これらの新しいカプセルを通常の製造ラインで製造している間、新しく製造されたカプセルは、飲料抽出中にカプセル内に生じる圧力に対してより低い抵抗を示すことが観察された。
【0010】
上述のカプセルを用いた飲料調製の原理に基づいて、下部開口手段が下部膜を穿孔するまで、水の導入に対してカプセルの内部の圧力が増加し続ける。したがって、この効果を得るためには、上部膜が下部膜よりも高い圧力に耐えることができることが不可欠である。しかし、現在の製造ラインで製造された新しいリサイクル可能なカプセルでは、飲料抽出中に上部膜がカプセル本体から分離することが観察された。
【0011】
封止を改善するための1つの第1の解決策は、170~175℃で熱封止する工程を長くすることであったが、これは、製造ラインの速度の問題を引き起こし、製造ラインの他の工程に影響を与え、とりわけ、1時間当たりに製造されるカプセルの数を減少させた。
【0012】
生分解性材料で作製された他のカプセルの問題は、カプセル本体上の上部膜の封止にもある。膜及びカプセル本体の堆肥化可能材料は、飲料調製中にカプセルの内部の圧力が上昇すると容易に分離し、飲料の正確な調製を妨げることが観察された。
【0013】
その結果として、カプセルが作製されている材料の性質がどのようなものであっても、上部膜は、チャンバ内の圧力が最小圧力まで上昇する間、全く漏れを生じることなくチャンバを適切に閉鎖する必要がある。これは、飲料原材料の抽出又は溶解中に、規定された圧力を確保する必要があるために重要である。
【0014】
したがって、本発明の目的は、上記の不都合を克服することである。すなわち、特に、本発明の目的は、破裂に対する抵抗という点でより高い耐性を有するカプセルを提供すること、すなわち、それぞれの飲料を調製するために必要とされるカプセル内の圧力により良く耐えるカプセルを提供することである。
【0015】
以下の説明を読むことで明らかとなるこれらの目的及び他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に言及する。
【発明の概要】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、飲料調製マシンで使用するためのカプセルが提供され、カプセルは、可溶性の食材及び/又は抽出可能な食材を収容し、
チャンバを画定しているカプセル本体であって、
上部開口部に向かって軸線方向に延びている1つ以上の側壁と、
1つ以上の側壁から径方向外向きに延びている周方向フランジと、
下部飲料出口と、
を備える、カプセル本体と、
周方向フランジの上面の少なくとも一部に取り付けられ、上部開口部を閉鎖し、カプセル内への液体の注入のために穿刺されるように適合されている、上部膜であって、上部膜とフランジが共通平面(P)に沿って全体的に延びている、上部膜と、
チャンバの内部に設けられた下部膜であって、上部膜と下部膜との間に原材料チャンバを画定している下部膜と、
チャンバの内部に設けられた開口デバイスであって、液体の注入中に原材料チャンバ内の液体の圧力上昇の影響下で、開口デバイスと下部膜との相対的な係合によってチャンバを開口するように適合されている、開口デバイスと、
を備え、
フランジの上面は、少なくとも1つの周方向横断固定部を備え、固定部が、共通平面に対して横断方向に延びており、
上部膜は、少なくとも固定部に取り付けられている。
【0017】
周方向とは、この固定部がフランジの全周に存在することを意味する。一般に、この固定部の形状は、全周にわたって同一である。
【0018】
この固定部は、共通平面Pに対して横断方向にあり、当該平面から延びている。
【0019】
これにより、固定部と上部膜との間の固定界面は、上部膜の主配向を横断する方向に設けることができる。これは、フランジから上部膜を分離するために必要とされる力が増大するという有利な効果をもたらす。
【0020】
その結果、上部平面(P)に沿って固定部から延びている上部膜を引き裂くのに必要な強度は、結果として生じる引き裂き力が当該平面に対して横断方向であるために増大する。
【0021】
上部膜が固定部から外れることに対する抵抗は、膜を封止するための温度又は時間を増加することなく増大させることができる。弱い付着を有するカプセル材料を使用することができる。
【0022】
したがって、特に規定された(高い)圧力で飲料を調製する間の破裂に対する抵抗という点でのカプセルの抵抗は、非常に費用効果が高く容易な方法で増大する。したがって、カプセルは、規定された圧力に耐えるカプセルの能力に悪影響を及ぼすことなく材料の選択に高い柔軟性を提供する。したがって、カプセルはまた、例えば、特定の(環境に優しい)方法でカプセルの材料を選択することによって、環境持続性を改善することを可能にする。特に、固定部の特定の形状により、一方では本体からより分離しやすいが、他方では、例えば、向上したリサイクル性又は生分解性により、より環境に優しいなどの有利な特徴を有する材料を使用し得る。更に、上部膜の固定を改善するために、カプセルの製造又は生産における追加の固定工程及び/又は固定のための追加の時間が必要とされない。これは、上部膜の改善された固定及び抵抗の効果が、特定の横断固定部によって提供されるからである。更に、カプセルの製造における他のパラメータは、破裂に関するカプセルの抵抗に悪影響を及ぼすことなく、有利に変更することができる。例えば、熱封止に必要な温度は、熱封止の時間を減少させることなく低下させることができる。これにより、固定プロセスに関与するカプセルの部分、例えば、上部膜及び/又はカプセル本体を損傷するリスクが低減される。
【0023】
横断固定部は、上部開口部の周りに少なくとも1つの周方向凹部及び/又は少なくとも1つの周方向凸部を備えることができる。
【0024】
固定部は、フランジの上面から上方に延びていてもよく、フランジ上に周方向凸部、例えば、上部開口部の周りの環状隆起部又はリッジを形成してもよい。この凸部は、チャンバの上部開口部の周りに周方向に延びている。横断固定部は、好ましくは互いに同心円状に配置された複数(2つ以上)の凸部を備えることができる。
【0025】
あるいは、固定部は、フランジの上面から下方に延びていてもよく、フランジの上面の内部に凹部又は溝を形成してもよい。この凹部は、チャンバの上部開口部の周りに周方向に延びている環状溝を形成している。横断固定部は、好ましくは互いに同心円状に配置された複数(2つ以上)の凹部を備えることができる。
【0026】
別の実施形態では、横断固定部は、少なくとも1つの凸部及び少なくとも1つの凹部を備えることができる。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの周方向横断固定部は、長さl、すなわち、
少なくとも0.2mm、
好ましくは最大で0.5mm、
好ましくは、0.2~0.35mmで延びている。
【0028】
この長さは、共通平面(P)に垂直な方向に沿った横断固定部の最も大きな寸法に対応する。
【0029】
この寸法は、フランジの脆弱化を回避するためにあまり大き過ぎないことが好ましい。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの周方向横断固定部(7)は、少なくとも0.8mm、好ましくは最大2mmの幅で延びており、好ましくは0.8~1.8mmである。
【0031】
この幅は、横断固定部の最も大きな寸法に対応し、共通平面(P)に沿って径方向に延びている。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つの周方向横断固定部は、少なくとも1つの径方向内側端部を含み、径方向内側端部において、周方向横断固定部は、少なくとも10度、好ましくは最大45度の角度(α)で共通平面(P)に対して横断方向に延びている。好ましくは、径方向内側端部において、周方向横断固定部は、直線形状、例えば、面取り部に沿って延びている。
【0033】
好ましくは、少なくとも1つの周方向横断固定部は、フランジの径方向内側端部とフランジの径方向外側端部との間に配置されている。
【0034】
したがって、上部膜はフランジの端部付近に取り付けられないことが好ましく、むしろこれら2つの端部の間のフランジの上面に取り付けられることが好ましい。
【0035】
実際、製造ツール、特に上部膜をフランジに取り付けるために使用される加熱封止ダイは、通常、これらの2つの端部の間に位置するフランジの部分に熱を加えるように設計されているが、これは、同じ工程において、この製造ツールがカプセル本体上の上部膜を加熱し切断するためである。
【0036】
したがって、本発明の現在の実施においてそのような製造ツールの利点を使用することが好ましい。
【0037】
上部膜は、内側端部から外側端部までフランジの上面全体に沿って取り付けることができるが、一般的に、上部膜は、横断固定部のみに取り付けられる。
【0038】
好ましくは、周方向横断固定部は、少なくとも1つの凹部を備え、凹部は、フランジの上面から共通平面(P)に対して横断方向にフランジの内部に延びており、凹部の下部は、丸い形状を有する。
【0039】
そのような形状により、特に、カプセル本体の製造中に型から取り外す工程で、フランジにそのような凹部を有するカプセル本体を容易に製造することを可能にし、
形状がカプセル内に予め作製されず、封止時に作製される場合、材料の流れを容易にすることができる。
【0040】
好ましくは、この凹部の径方向内側及び径方向外側のそれぞれは、直線面を有する。
【0041】
そのような形状は、
特に、型から取り外す工程で、フランジにそのような凹部を有するカプセル本体を容易に製造すること、
凹部内への加熱封止ダイの導入を容易にすること、
形状がカプセル内に予め作製されず、封止時に作製される場合、材料の流れを容易にすること、を可能にする。
【0042】
一実施形態では、凹部の径方向内側及び/又は径方向外側は、面取り部を形成することができる。
【0043】
少なくとも1つの面取り部は、断面図において、凹部の対称形状又は非対称形状を形成し得る。断面図において、径方向内側及び径方向外側面取り部は、凹部の残りの部分又は凹部の残りの部分を通る対称軸線に対して対称であり得る。
【0044】
あるいは、凹部は、径方向外側面取り部又は径方向内側面取り部のみを含み、それによって非対称形状を形成し得る。したがって、それぞれの他方の側は面取りされておらず、例えば、フランジの上部平坦面に対して垂直である。
【0045】
周方向横断固定部が、フランジの上面から上向きに立ち上がる少なくとも1つの凸部を備える場合、凹部に関する上記の説明が凸部に対応するように適用されるように、凸部は、上述の凹部に対応して成形されてもよい。好ましくは、凸部は、上述の凹部と相補的に形成される。
【0046】
通常、フランジは平坦面を備え、平坦面から凸部が突出している、及び/又は平坦面から凹部が窪んでいる。
【0047】
一実施形態では、カプセル本体と上部膜は、同じリサイクル可能なプラスチック、例えば、ポリプロピレンで作製されている。
【0048】
「リサイクル可能」とは、カプセルの少なくとも一部分、好ましくは全部が、単一タイプの材料に、又は互いに分離されるいくつかのタイプの材料に変換することができることを意味する。好ましくは、カプセル本体はポリプロピレンで作製され、上部膜はポリプロピレンで作製されている。したがって、カプセル本体はPP製であるが、上部膜がPP及び他の材料、特にPET層を含む多層構成要素であるカプセルと比較して、特に改善されたリサイクル性が達成される。横断固定部は、より低い封止温度で、PP材料の異なる部分での互いのより強力な取り付けを保証する。
【0049】
別の実施形態では、カプセル本体と上部膜は、堆肥化可能材料及び/又は生分解性材料から作製することができる。「生分解性材料及び/又は堆肥化可能材料」という表現は、生物、例えば、微生物(細菌、真菌、又は藻類など)(の作用)によって環境的に無害な生成物に分解され得る任意の材料として理解され得る。生分解性材料が分解される環境的に無害な生成物は、水、二酸化炭素、及びバイオマスであり得る。生分解は、酸素が存在する環境(好気性)、又は酸素が存在しない環境(嫌気性)で行われ得る。国際標準(例えば、EU13432又はUSASTMD6400など)は、材料の堆肥化可能性を判定するための技術的要件及び手順を規定している。
【0050】
横断固定部は、堆肥化可能材料及び/又は生分解性材料の異なる部分の互いのより強力な取り付けを保証する。
【0051】
本発明の第2の態様によれば、上述したようなカプセルを製造するための方法が提供され、方法は、
チャンバを画定しているカプセル本体であって、
上部開口部(23)に向かって延びている1つ以上の側壁と、
1つ以上の側壁から径方向外向きに延び、平面(P)に沿って延びている周方向フランジと、
下部出口と、を備え、
フランジの上面が、少なくとも1つの周方向横断固定部を備え、固定部が、平面(P)に対して横断方向に延びている、カプセル本体を提供する工程と、
カプセル本体の内部に開口デバイスを導入する工程と、
カプセル本体の内部、かつ開口デバイスの上方に下部膜を取り付ける工程と、
カプセル本体に飲料原材料を充填する工程と、
フランジに沿って配置された上部膜に加熱ダイを用いて熱を加えることによって、カプセル本体のフランジの上面に上部膜を固定する工程であって、加熱ダイが、フランジの横断固定部と相補的な形状を有し、カプセルの少なくとも1つの横断固定部において上部膜を加熱及び押圧する、工程と、を含む。
【0052】
封止ダイは、熱によって封止するように適合されている。したがって、封止ダイは、熱伝導性を有し得る。封止ダイは、単一又は単体部品であり得、例えば、材料の単一ブロックから作製され得る。好ましくは、封止ダイは、リングの形態を有する。封止ダイは、金属などの単一の材料からなってもよい。封止ダイはまた、カプセルの製造において使用され得る(例えば、封止部と一体的に形成された)1つ以上のツール要素を備え得る。例えば、1つ以上のツール要素は、膜箔を切断又は打ち抜くことによって上部膜を提供するように適合された、切断要素を備える。封止ダイは、封止ヘッドの形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
以下、本発明について、添付の図を参照して例示的に説明する。
【
図1A】現在の既存のカプセルの概略断面図である。
【
図2A】本発明の第1の好ましい実施形態によるカプセルの上部の概略断面図である。
【
図3】本発明の第2の好ましい実施形態によるカプセルの上部の概略断面図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態によるカプセルの概略断面図である。
【
図5】本発明の第1の好ましい実施形態による封止ダイの概略断面図である。
【
図6】本発明の第2の好ましい実施形態による封止ダイの概略断面図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による封止ダイの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1Aは、飲料調製マシンで使用するように適合された既存のカプセル1を示す。カプセル1は、下部から上部に向かって軸線方向に延びている1つ以上の側壁22を有するカプセル本体2を備える。側壁は、上部開口部23に向かって延びている。上部開口部23において、本体は、1つ以上の側壁から径方向外向きに延びている周方向フランジ24を備える。フランジ24は、通常、1つ以上の側壁22と一体的に形成される。フランジは、好ましくは、閉鎖リングの形態で開口23の周りに延びている。フランジは、上部に面する上面241と、下面とを備える。下面は、好ましくは、平坦面を含む、又は平坦面からなる。
【0055】
一般に、
図1Bの斜視図に示すように、本体カプセルの任意の横断面は下部から上部まで円形であり、フランジも円形である。
【0056】
1つ以上の側壁は、可溶性及び/又は抽出可能な飲料原材料を収容するためのチャンバ21を画定している。
【0057】
この可溶性の飲料原材料は、水溶性の粉末原材料であり、インスタントコーヒー粉末、乳粉末、クリーム粉末、インスタント茶粉末、ココア粉末、スープ粉末、果実粉末又はこれらの粉末の混合物のリストの中から選択することができる。粉末は、凝集化又は加熱生成(sintered)されたものであってもよい。
【0058】
パッケージに包装されたこの飲料原材料は、焙煎して挽いたコーヒー又は茶葉のように抽出する又は浸出させることができる原材料であってもよい。その実施形態では、水が飲料原材料を抽出する。
【0059】
カプセルは、周方向フランジの上面241の少なくとも一部に固定され、封止され、又は取り付けられ、それにより、上部開口部23を覆って閉鎖する上部膜3を備える。上部膜3及びフランジ24は、上部開口部23の平面に対応する共通平面(P)に沿って全体的に延びている。
【0060】
この上部膜は、カプセル内へ液体の注入するために穿刺されるように適合されている。好ましくは、上部膜は、飲料調製マシンの注入ニードルによって穿孔可能であり、注入針は、チャンバの内部又は中に加圧下で抽出液を注入するように適合されている。好ましくは、穿刺操作は、国際公開第2006/082064号又は国際公開第2008/107281号に記載されているような水注入ニードルによって単一の位置で行われる。
【0061】
用語「上部膜」は、カプセル1の反対側に位置する膜として理解されるべきである「下部膜」(以下で説明される)とは対照的に、マシンの注入ニードルによって穿孔される膜として理解されるべきである。この定義では、「上部」及び「下部」膜は、カプセル及びマシンの両方が機能的な方法で係合される場合、マシン内のカプセル1の位置にかかわらず定義される。
【0062】
カプセルは、チャンバ21の下部を閉じる下部膜4を備える。したがって、可溶性及び/又は抽出可能な飲料原材料は、上部膜と下部膜との間に封入される。上部膜及び下部膜は、飲料の調製のための飲料原材料を保持するように構成されたチャンバの内部空間を画定している。
【0063】
好ましい一実施形態では、供給壁9は、チャンバの内部断面を通って延びていてもよく、原材料のための下位サブチャンバ及び液体のための上位分配チャンバを画定している。この供給壁は、液体を原材料上に均一に供給するための小さな穴を備える。
【0064】
カプセルは、液体の注入中にチャンバ内の液体の圧力上昇の影響下で下部膜4と相対的な係合によってチャンバを開口するように適合された開口デバイス5を備える。開口デバイス5は、下部膜4に向かって上向きに向けられた開口デバイス5の表面上にスパイクなどの開口要素を備える剛性プレートを備え得る。開口デバイス5は、一般に「ピラミッドプレート」と呼ばれることがある。チャンバ4内に液体が注入されると、圧力が上昇し、下部膜が穿孔されるまで、開口手段5に対して下部膜4を変形させ、カプセル1の対応するチャンバ21の内部で調製された飲料に開口デバイス5の下方への経路を提供する。
【0065】
通常、カプセル本体は、カプセル本体の下部及び開口デバイス5の下方に下部飲料出口25を備える。カプセル本体の下部は、好ましくは、開口手段の下に延びて、開口手段を保持し、飲料をこの飲料出口25に収集して、飲料をカプセル1の外に、例えば、カップ(図示せず)の中に送出する。
【0066】
上部膜3は、チャンバ21内に注入された抽出液が、チャンバ21内の圧力の増加をもたらし、開口デバイス5による、変形した下部膜4の穿孔を達成するのに必要な圧力に到達するように、フランジ24に固定されている。したがって、上部膜3は、少なくともチャンバの内部の規定された圧力が達成されるまで剥離しないようにフランジに固定される。この規定された圧力は、少なくとも2バール、好ましくは少なくとも3バール又は少なくとも6バールであり得る。したがって、この固定により、カプセル1は、飲料調製中にフランジと上部膜との間の界面を介する漏れを生じさせない。
【0067】
図2Aは、本発明の第1の実施形態によるカプセルの上部の概略断面図である。カプセルの残りの部分は、
図1のカプセルと同様である。
【0068】
このカプセルでは、フランジの上面241は、上部膜3が取り付けられる周方向横断固定部7を備える。周方向とは、この固定延長部が、断面図の左側及び右側に示されるようにフランジの全周に存在していることを意味する。好ましくは、膜は、熱封止によってこの領域に固定され、膜は、カプセルフランジの上面に面する下面に熱封止剤成分を含む。
【0069】
横断固定部は、上部膜、フランジ、及び上部開口部の共通平面Pに対して横断方向に延びている。横断方向とは、この固定部がこの平面P内にあるのではなく、平面に交差する方向に延びていることを意味する。結果として、固定部の表面の少なくとも一部71は、平面Pに対して傾いている、又は傾斜している。
図2Bは、固定部の径方向内側端部73において平面Pと角度αを形成する部分71の傾斜した平面を示す。
【0070】
好ましくは、周方向横断固定部7は、少なくとも0.2mmの長さlで延びている。この長さは、図示されるように、共通平面(P)に垂直な方向に沿った横断固定部の最も大きな寸法に対応する。
【0071】
フランジは、1つ以上の平坦部6を備え得る。好ましくは、フランジの上部は、1つ以上の平坦部6と横断固定部7とからなる。平坦部6の各々は平坦面を含み、これらの平坦面は好ましくは平面Pに沿って延びている。1つの第1の平坦部6は、横断固定部7に対して径方向内側にあり、第2の平坦部6は、固定部7に対して径方向外側にある。任意選択で、上部膜3は、1つ以上の平坦部6に固定されない。したがって、上部膜3は、横断固定部7のみに固定されてもよい。
【0072】
図2Aのこの実施形態によれば、固定部7は、フランジの上面241からフランジ24に対して横断方向に内部に延びている凹部である。
図2Aに示すように、凹部は、断面図において、下部の凹状の丸みを帯びた形状72を取り囲む2つの直線状の面取り部71を有し得る。面取り部71及び凹状の形状72は、好ましくは、開口部23の全周に延びている。
【0073】
したがって、上部膜3は、非常に有利な方法で固定部7に固定されている。この固定は、特に、上部膜3が開口部6を覆う単一の平面Pに沿って固定されないことを結果としてもたらす。その代わりに、上部膜3は、部分71及び72によって提供される異なる方向に沿って固定される。したがって、固定を破断又は分離するまで引き裂くのに必要な強度が増加する。特に、水の充填に起因してカプセルの内部の圧力が上昇すると、水は、側壁22とフランジ24との間の交差部241aに力を及ぼし、力は、矢印Aによって示されるように、膜3をフランジ24から離れるように上向きに押す。この力は、平坦部6に沿った、フランジからの上部膜3の分離を容易にすることができる。更に、横断固定部7において、この固定部の新たな向きは、膜及びフランジの封止に及ぼす上向きの力の影響を減少させる。
【0074】
図2Aに示されるように、固定部7は、径方向外側面取り部及び径方向内側面取り部71を備え、上部膜3は、それらの両方に固定される。このようにして、フランジと上部膜との間の固定は、これらの部品間の固定が更に異なる方向に存在するために更に改善される。
【0075】
カプセルは、特定の材料に限定されるものではない。
【0076】
一実施形態では、カプセル本体2はリサイクル可能であり、及び/又はポリプロピレンなどの単一材料からなる。特に、カプセル本体2及び上部膜3である。したがって、周方向横断固定部7を設けることで、より低温での熱封止によって、これらの両要素をより強固に封止することができる。
【0077】
別の実施形態では、カプセル、特にカプセル本体2及び上部膜3は、堆肥化可能材料及び/又は生分解性材料で作製されてもよい。したがって、これらの両要素の堆肥化可能材料及び/又は生分解性材料間の封止が弱い場合であっても、それらの取り付けは、周方向横断固定部7によって補強することができる。
【0078】
図3は、本発明の第2の実施形態によるカプセル1を例示的に示す。カプセル1は、周方向横断固定部7の断面形状が異なることを除いて、
図2Aの実施形態に対応する。すなわち、径方向内側面取り部71が存在しない。
【0079】
図示されていない他の実施形態では、凹部74は凸部によって置き換えられ得る。すなわち、周方向横断固定部は、フランジ上のフランジの上面から横断方向に延びている。
【0080】
図2A及び
図3の平面Pに沿って延びているフランジの上面に対して窪んでいる凹部の代わりに、凸部が突出する。この凸部は、
図2A及び
図3に示される凹部の形状と相補的な形状である形状を備え得る。好ましくは、凸部は、リッジ、例えば、開口部6の周りに延びている環状リッジを備える。
【0081】
フランジの上面は、互いに同心円状に配置された複数の凸部を備えることができる。
【0082】
図示されていない他の一実施形態では、フランジの上面は、
フランジ上のフランジの上面から共通平面Pに対して横断方向に延びている、上述したような少なくとも1つの凸部と、
フランジ上のフランジの上面に対して横断方向に内部に延びている、上述したような少なくとも1つの凹部と、を含む。
【0083】
凸部(複数可)及び凹部(複数可)は、互いに同心円状に配置される。
【0084】
図4は、本発明の第3の実施形態によるカプセルの上部の概略断面図である。
【0085】
フランジの上面241は、共通平面Pに対して横断方向にあり、フランジの径方向外側端部241bに配置された、1つの周方向横断固定部7を備える。固定部7は、上部膜3が取り付けられる平面面取り部71からなる。
【0086】
この実施形態は、一般に製造中に、上部膜をカプセル本体に取り付けるために、最初に膜を所望の寸法に切断し、次に膜を凹部7に取り付ける2つの異なる工程を必要とするので、あまり好ましくない。
【0087】
図5は、
図2Aに示されるカプセルの製造に使用される封止ダイ100Aの断面を示す。封止ダイ100Aは、カプセル本体のフランジの固定部に上部膜を封止し、その結果固定するように適合されている。封止ダイ100Aは、上部膜3をカプセル本体のフランジの固定部に固定するために、膜をカプセルのフランジ241に対して押圧及び加熱するように構成された環状封止部170Aを備える。
【0088】
封止ダイの環状加熱部分170Aは、
図2Aのカプセルのフランジの周方向横断固定部7に相補的な形状と、部分170Aの外面をカプセルの横断固定部の外面に沿って配置することができ、これらの表面の間に配置された上部膜を横断固定部の表面全体に沿って取り付けることができるような直径を有する環状形状とを有する。
【0089】
このため、環状加熱部分170Aは、
図2Aのカプセルの横断固定部71の2つの面取り部71及び凹形状72のネガ形状又は共形形状に対応する、2つの面取り部171及び中間凸部分172を含む断面を有する。
【0090】
カプセル上部開口部及びカプセルのフランジによって画定されている平面Pに沿って延びている上部膜3に高温加熱ダイを押圧することによって、環状加熱部分170Aは、カプセルの対応する横断固定部71の内部に入り、それを固定する。
【0091】
同様に、
図6は、
図3に示されるカプセルを製造するために使用される封止ダイ100Bの断面を例示的に示す。
【0092】
このため、環状加熱部分170Bは、1つの面取り部171のみと、
図3のカプセルの横断固定部71の面取り部71及び凹形状72のネガ形状又は共形形状に対応する凸状部分172とを含む断面を呈する。
【0093】
同様に、
図7は、別のタイプのカプセル(図示せず)を製造するために使用される封止ダイ100Cの断面の一部を例示的に示す。
【0094】
環状加熱部分170Cは、1つの凸状部分172と、径方向外側に位置する平面部分173とを含む断面を有する。
【0095】
この加熱ダイ170を用いて上部膜によって封止されるカプセルは、凹状の丸みを帯びた形状である環状加熱部分170Cのネガ形状又は共形形状に対応する溝を備えるフランジを有する。上部膜は、この凹状形状に沿って、かつカプセルの平面Pに沿って延びており、かつ凹状部分から径方向外側部に配置された平面部分に沿って封止される。
【0096】
上部膜の一部がカプセルのフランジの上部平坦面に取り付けられるとき、この部分は、横断固定部と比較して径方向外側に配置されるフランジの部分に取り付けられることが好ましい。
【0097】
他の実施形態では、凸部である環状加熱部分170A、170B、170Cは、凹部によって置き換えることができる。例えば、凹部は、カプセルのフランジの上面にある凸部の形状と相補的な形状である形状を有し得る。
【0098】
凸部に関する説明は、したがって、凹部にも同様に適用される。
【0099】
図8には、カプセル1を製造するための方法の好ましい実施形態を実行する例示的な製造構成(例えば、製造ライン)が示されている。カプセル1は、上述した
図2A又は
図3のカプセルであってもよい。製造構成は、固定装置100、例えば、上述した封止ダイ100A、100Bのうちの1つ以上を少なくとも備える。
【0100】
第1の工程(a)では、カプセル本体2が準備される。工程(a)の前に、開口デバイス5、下部膜、及び飲料原材料を上部開口部を介して導入する。また、カプセル本体2と固定デバイス100との間には、原料30が設けられている。原料30は、箔の形態で提供されてもよい。第1の工程(a)では、固定デバイス100は、初期位置にある。
【0101】
第2の工程(b)では、固定デバイス100は、カプセル本体2の固定部7に対して上部膜の切断及び熱封止を行う。固定する工程は、固定デバイス100によって接触される上部膜3に熱を加えることによって行われてもよい。これにより、上部膜3が、固定部7に固定される。
【0102】
上部膜3が固定部7に固定されると、上述したように、固定部7への上部膜8の有利な固定が達成される。
【0103】
任意選択である第3の工程(c)では、固定デバイス100は、移動軸線に沿ってその初期位置に戻る。それによって、原料20の残りの部分が残り、その後、更に移動して更なるカプセル1を製造するために工程(a)~(c)を繰り返すことができる。
【実施例】
【0104】
以下において、本発明によるカプセルを用いた実施例を、比較例と比較して記載する。
【0105】
各実施例において、破裂に対するカプセルの抵抗を測定する。そのような測定のための手順は、以下の工程、すなわち、a)試験されるカプセルを気密条件下でベル内に置く工程と、b)圧縮空気(6バール)を、カプセルの下部の穴を通してベルの内部に導入し、ベルの内部の圧力を測定する工程であって、試験されるカプセルは空であってもよく(本体の下部にピラミッドプレート及び(アルミニウム)下部膜がない)、又はピラミッドプレート及び(アルミニウム)下部膜がある場合には、下部の穴を通して導入される空気が下部膜又は壁を容易に穿孔し、これらのいずれの場合においても、上部膜の破裂抵抗に関する結果は同じである、工程と、c)上部膜の破裂を待って、対応する圧力を測定する工程と、を含む。
【0106】
実施例1-比較
この比較例によるカプセルは、膜のための固定部を有する平坦なフランジを有するカプセル本体を含む。したがって、固定部は、互いに対して横断方向に延びるいかなる部分も含まない。この固定部への上部膜の封止は、220℃の温度で熱を用いて行われる。上部膜はリサイクル不能であり、層構造PET/alu/PPを有する。破裂圧力測定を一連の(確認される数の)そのようなカプセルに対して行い、以下の結果を得た(圧力は、カプセルが破裂する、すなわち、上部膜がカプセル本体から分離して漏れが生じる圧力を示す)。
【0107】
【0108】
飲料調製マシン(例えば、NDG「Nestle Dolce Gusto」マシン)の内部で正確に抽出されるために、カプセルは、好ましくは、低圧で抽出された製品の場合、少なくとも2.1バール、高圧で抽出された他の製品の場合、少なくとも3.0バールの破裂圧力を示す。
【0109】
実施例2-比較
この比較例によるカプセルは、膜のための固定部を有する平坦なフランジを有するカプセル本体を備える。したがって、固定部は、互いに対して横断方向に延びるいかなる部分も含まない。この固定部への上部膜の封止は、175℃の温度で熱を用いて行われる。上部膜は、PPから作製されたリサイクル可能な多層単一材料膜である。破裂圧力測定を一連の(確認される数の)そのようなカプセルに対して行い、以下の結果を得た(圧力は、カプセルが破裂する圧力、すなわち、上部膜がカプセル本体から分離して漏れが生じる圧力を示す)。
【0110】
【0111】
これらの結果から導き出すことができるように、破裂圧力は、飲料マシン内でこれらのカプセルの抽出を可能にするには低すぎる。膜は、飲料調製中に剥離する。
【0112】
実施例3-本発明
この例によるカプセルは、溝として凹部を含み、
図2A及び
図2Bに示すような対称設計を有する固定部を有するフランジを備えたカプセル本体を含む。これらの部分への上部膜の封止は、220℃の温度で熱を用いて行われる。上部膜は、リサイクル不能な膜であり、層構造PET/alu/PPを有する。破裂圧力測定を一連のそのようなカプセルに対して行い、以下の結果を得た(圧力は、カプセルが破裂する圧力、すなわち、上部膜がカプセル本体から分離して漏れが生じる圧力を示す)。
【0113】
【0114】
図から分かるように、破裂圧力の値は、比較例1の値と同等である。
【0115】
実施例4-本発明
この実施例によるカプセルは、実施例3と同じ対称設計の溝として凹部を含む固定部を有するフランジを備えたカプセル本体を含む。したがって、対称設計は、互いに対して横断方向である第1の部分及び第2の部分を備え、上部膜は、封止され、したがって、これらの部分に固定されている。これらの部分への上部膜の封止は、175℃の温度で熱を用いて行われる。上部膜は、リサイクル可能な多層単一材料PP膜である。破裂圧力測定を一連のそのようなカプセルに対して行い、以下の結果を得た(圧力は、カプセルが破裂する、すなわち、上部膜がカプセル本体から分離して漏れが生じる圧力を示す)。
【0116】
【0117】
示されるように、破裂圧力の最小値は増加し、2.1バールを常に超えており、これは、平坦なフランジを有する同じカプセル(比較例2)の値と比較してプラスの増加を意味する。
【0118】
実施例5-本発明
この比較例によるカプセルは、
図3に示すような非対称設計の溝として凹部を含む固定部を有するフランジを備えたカプセル本体を含む。この固定部への上部膜の封止は、220℃の温度で熱を用いて行われる。上部膜は、層構造PET/alu/PPを有するリサイクル不能な膜である。破裂圧力測定を一連のそのようなカプセルに対して行い、以下の結果を得た(圧力は、カプセルが破裂する圧力、すなわち、上部膜がカプセル本体から分離して漏れが生じる圧力を示す)。
【0119】
【0120】
示されるように、破裂圧力の値は、飲料マシン内でカプセルを効率的に機能させるための基準である比較例1の値と比較して改善されている。
【0121】
実施例6-本発明
この例によるカプセルは、
図3に示される同じ非対称設計を有する溝として凹部を備える固定部を有するフランジを有するカプセル本体を備える。この固定部への上部膜の封止は、175℃の温度で熱を用いて行われる。上部膜は、リサイクル可能な多層単一材料PP膜である。破裂圧力測定を一連のそのようなカプセルに対して行い、以下の結果を得た(圧力は、カプセルが破裂する圧力、すなわち、上部膜がカプセル本体から分離して漏れが生じる圧力を示す)。
【0122】
【0123】
示されるように、破裂圧力の最小値は増加し、平均で2.1バールを常に超えており、これは、平坦なフランジを有する同じカプセル(比較例2)の値と比較してプラスの増加を意味する。
【0124】
実施例7-比較
カプセルは、生分解性材料、すなわちポリヒドロキシアルカノエート(PHA)で作製されたカプセル本体と、同じくPHAで作製された120マイクロメートルの上部膜とを用いて製造された。上部膜を、カプセル本体のフランジの完全に平坦な固定部に固定した。平均破裂圧力は8バールであった。
【0125】
実施例8-本発明
カプセルは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)で作製されたカプセル本体と、同じくPHAで作製された120マイクロメートルの上部膜とを用いて製造された。上部膜は、カプセル本体のフランジの固定部に固定され、この固定部は、
図3に示されるようなフランジに溝を有する非対称形状を有する。平均破裂圧力は10バールであった。
【0126】
したがって、上部膜が固定される固定部の非対称形状は、破裂圧力が比較例7における平均8バールから平均10.5バールまで増加する結果をもたらした。
【0127】
実施例9-本発明
カプセルは、生分解性材料、すなわちポリヒドロキシアルカノエート(PHA)で作製されたカプセル本体と、同じくPHAで作製された150マイクロメートルの上部膜とを用いて製造された。上部膜は、カプセル本体のフランジの固定部に固定され、この固定部は、
図3に示されるようなフランジに溝を有する非対称形状を有する。実施例8と比較して、溝の深さを2mmから0.5mmに変更した。平均破裂圧力は10バールから11バールに増加した。
【0128】
図示する実施形態は、好ましい実施形態に過ぎないこと、しかしながら、カプセル、封止ダイ、及び本方法のための製造構成の他の設計も使用できることが、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0129】
1 カプセル
2 カプセル本体
21 チャンバ
22 側壁
23 上部開口部
24 フランジ
241 上面
241a 径方向内側端部
241b 径方向外側端部
25 飲料出口
26 交差部
3 上部膜
30 原料
4 下部膜
5 開口手段
6 平面部
7 横断固定部
71 径方向内側面又は径方向外側面
72 下面部分
73 径方向内側端部
100A、100B、100C 加熱ダイ
170A、170B、170C 環状加熱部分
171 面取り部
172 凸状部分
173 平面部分
8 飲料原材料
9 供給壁
【国際調査報告】