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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20240808BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512182
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022073668
(87)【国際公開番号】W WO2023031010
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21194064.8
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー,ゴードン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD18
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイスのための方法であって、デバイスは、エアロゾル基材を加熱するための加熱装置と、電源と、電源から加熱装置への電力の供給を制御するための第1のスイッチング素子と、加熱装置を電源から切り離すための第2のスイッチング素子とを含み、加熱装置、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子は、電源の端子間で直列に配置される、方法。本方法は、第1の期間中、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の一方がオンとなり、且つ第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方がオフとなるように制御することと、第1の期間中に少なくとも1つの観測可能な事象が発生するかどうかを判定することであって、少なくとも1つの観測可能な事象は、ある電力量が加熱装置に伝達されることを示す、判定することとにより、デバイスの故障を検出することを含む。少なくとも1つの観測可能な事象が第1の期間中に発生すると判定される場合、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方の故障が検出される。コンピュータプログラム、エアロゾル発生デバイスのためのコントローラ及びエアロゾル発生デバイス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイスのための方法であって、前記デバイスは、エアロゾル基材を加熱するための加熱装置と、電源と、前記電源から前記加熱装置への電力の供給を制御するための第1のスイッチング素子と、前記加熱装置を前記電源から切り離すための第2のスイッチング素子とを含み、前記加熱装置、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、前記電源の端子間で直列に配置され、前記方法は、
第1の期間中、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の一方がオンとなり、且つ前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の他方がオフとなるように制御することと、
前記第1の期間中に少なくとも1つの観測可能な事象が発生するかどうかを判定することであって、前記少なくとも1つの観測可能な事象は、ある電力量が前記加熱装置に伝達されることを示す、判定することと
により、前記デバイスの故障を検出することを含み、前記少なくとも1つの観測可能な事象が前記第1の期間中に発生すると判定される場合、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の前記他方の故障が検出される、方法。
【請求項2】
前記検出することは、
前記第1の期間と異なる第2の期間中、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の前記一方がオフとなり、且つ前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の前記他方がオンとなるように制御することと、
前記第2の期間中に前記少なくとも1つの観測可能な事象が発生するかどうかを判定することと
を含み、前記少なくとも1つの観測可能な事象が前記第2の期間中に発生すると判定される場合、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の前記一方の故障が検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
故障の検出時に前記加熱装置を停止させることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの観測可能な事象は、前記加熱装置の温度の上昇を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の期間前に前記加熱装置の前記温度を測定することと、
前記測定された温度が所定の閾値未満である場合に前記検出を実施することと
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの観測可能な事象は、前記電源から前記加熱装置に流れる電流を検出することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスが電源に結合されることの検出時に実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記デバイスの使用の終了を示す、前記加熱装置の温度の低下の検出時に実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイスの使用の開始の検出時に実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
使用時、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される、エアロゾル発生デバイスのためのコントローラ。
【請求項12】
請求項11に記載のコントローラと、
エアロゾル基材を加熱するための加熱装置と、
電源と、
前記電源から前記加熱装置への電力の供給を制御するための第1のスイッチング素子と、
前記加熱装置を前記電源から切り離すための第2のスイッチング素子と
を含むエアロゾル発生デバイスであって、前記加熱装置、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、前記電源の端子間で直列に配置される、エアロゾル発生デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的な態様は、消耗品からのエアロゾル発生に関し、詳細には、エアロゾル発生デバイスのための方法、コンピュータプログラム、エアロゾル発生デバイスのためのコントローラ及びエアロゾル発生デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルを発生させるために、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温するために使用されるデバイスが知られている。例えば、噴霧器、気化器、電子タバコ、e-シガレット、シガライク(cigalike)など、既知のタイプのエアロゾル発生デバイスは、従来のタバコ製品からリスク低減又はリスク修正されたデバイスとして、エアロゾル化可能物質を加熱するために使用されている。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、湿った葉タバコ又は他の適切なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材を加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、使用者が求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。
【0004】
典型的には、エアロゾル化可能物質は、消耗品に含まれるエアロゾル基材において提供され、消耗品がデバイスに結合されると、デバイスは、基材を加熱又は加温してエアロゾルを発生させ得る。
【0005】
エアロゾル発生デバイスでは、電力が電源からエアロゾル発生デバイスにおける加熱装置に供給されて、エアロゾル化可能物質を加熱する。エアロゾル発生デバイスは、電源の端子間で加熱装置と直列に配置された第1のスイッチング素子を使用して、電力の供給を制御する。
【0006】
しかしながら、スイッチング素子は、故障することがあり、これにより加熱装置の加熱が制御不能になることがある。安全性を向上させるために、第2のスイッチング素子が電源の端子間で第1のスイッチング素子及び加熱装置と直列に配置される。したがって、故障によって第1のスイッチング素子が電流の流れを遮断できない場合(例えば、第1のスイッチング素子が短絡状態で故障した場合)、第2のスイッチング素子は、加熱装置を電源から切り離し、電力の供給を遮断するために使用され得る。
【0007】
エアロゾル発生デバイスの正常な使用では、第2のスイッチング素子は、電力の供給を可能にするように制御される。したがって、故障によって第2のスイッチング素子が電力の供給を遮断するように制御することができない場合(例えば、第2のスイッチング素子が短絡状態で故障した場合)、エアロゾル発生デバイスの安全性が損なわれる可能性があり、これによりエアロゾル発生デバイスの破損及び/又はエアロゾル発生デバイスの使用者の負傷のリスクが高まる。加えて、このような故障は、エアロゾル発生デバイスがエアロゾル化可能物質を加熱することを妨げないため、検出されないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、安全性を向上させるために、エアロゾル発生デバイス、特にスイッチング素子の1つで故障が発生するかどうかを検出する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示される第1の例示的な態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための方法であって、デバイスは、エアロゾル基材を加熱するための加熱装置と、電源と、電源から加熱装置への電力の供給を制御するための第1のスイッチング素子と、加熱装置を電源から切り離すための第2のスイッチング素子とを含み、加熱装置、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子は、電源の端子間で直列に配置され、本方法は、第1の期間中、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の一方がオンとなり、且つ第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方がオフとなるように制御することと、第1の期間中に少なくとも1つの観測可能な事象が発生するかどうかを判定することであって、少なくとも1つの観測可能な事象は、ある電力量が加熱装置に伝達されることを示す、判定することとにより、デバイスの故障を検出することを含み、少なくとも1つの観測可能な事象が第1の期間中に発生すると判定される場合、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方の故障が検出される、方法が提供される。
【0010】
したがって、スイッチング素子の一方に故障が発生するかどうかを検出して、電源から加熱装置への制御が悪化することを回避することが可能である。
【0011】
好ましくは、検出することは、第1の期間と異なる第2の期間中、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の一方がオフとなり、且つ第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方がオンとなるように制御することと、第2の期間中に少なくとも1つの観測可能な事象が発生するかどうかを判定することとを含む。この場合、少なくとも1つの観測可能な事象が第2の期間中に発生すると判定される場合、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の一方の故障が検出される。
【0012】
したがって、スイッチング素子のいずれか一方に故障が発生するかどうかを検出することが可能である。
【0013】
好ましくは、本方法は、故障の検出時に加熱装置を停止させることを含む。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの観測可能な事象は、加熱装置の温度の上昇を含む。
【0015】
好ましくは、本方法は、第1の期間前に加熱装置の温度を測定することと、測定された温度が所定の閾値未満である場合に検出を実施することとを含む。
【0016】
したがって、ある電力量が加熱装置に伝達されることを示す少なくとも1つの観測可能な事象がより容易に検出され得る。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの観測可能な事象は、電源から加熱装置に流れる電流を検出することを含む。
【0018】
好ましくは、本方法は、デバイスが電源に結合されることの検出時に実施される。
【0019】
好ましくは、本方法は、デバイスの使用の開始の検出時に実施される。
【0020】
本明細書で開示される第2の例示的な態様によれば、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、上記の第1の例示的な態様に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0021】
本明細書で開示される第3の例示的な態様によれば、使用時、上記の第1の例示的な態様に記載の方法を実施するように構成される、エアロゾル発生デバイスのためのコントローラが提供される。
【0022】
本明細書で開示される第4の例示的な態様によれば、第3の例示的な態様に記載のコントローラと、エアロゾル基材を加熱するための加熱装置と、電源と、電源から加熱装置への電力の供給を制御するための第1のスイッチング素子と、加熱装置を電源から切り離すための第2のスイッチング素子とを含むエアロゾル発生デバイスであって、加熱装置、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子は、電源の端子間で直列に配置される、エアロゾル発生デバイスが提供される。
【0023】
ここで、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。これらの実施形態は、発明の概念をよりよく理解するために提示されるが、本発明を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスの電気コンポーネントの一例を示すブロック図である。
図2】例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスのための方法の一例を示す。
図3】第2の例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスの電気コンポーネントの一例を示すブロック図である。
図4】第2の例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスのための方法の一例を示す。
図5】例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスのための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例示的な実施形態について以下に説明するが、本発明のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの例示的な実施形態に対する様々な修正形態がなされ得ることが明らかになるであろう。したがって、以下の説明及び添付の図面は、限定的なものではなく、例示的なものとみなされる。
【0026】
以下の説明及び添付の図では、様々な例示的な実施形態を理解するために多数の詳細が記載される。しかしながら、実施形態は、これらの詳細なしで実施され得ることが当業者に明らかなはずである。
【0027】
図1は、例示的な実施形態によるエアロゾル発生デバイス10の電気コンポーネントの概略図である。
【0028】
図1に示す例では、エアロゾル発生デバイス10は、コントローラ100と、加熱装置110と、第1のスイッチング素子120と、第2のスイッチング素子130と、電源140と、充電装置150とを含む。
【0029】
詳細に後述するように、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120の状態及び第2のスイッチング素子130の状態を制御して、加熱装置110への電力の供給を制御するように構成される。
【0030】
電源140は、コントローラ100及び加熱装置110を含む、エアロゾル発生デバイス10の他の構成要素に電力を供給するように構成される。
【0031】
図1に示す例では、電源140は、バッテリ142(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル金属ハイブリッド電池などの二次電池又は非充電式電池)とバッテリ保護回路144とを含む。しかし、バッテリ保護回路144は、場合により(例えば、保護回路を必要としないバッテリの場合に)省略され得るか、又は電源140は、代わりに、エアロゾル発生デバイス10の外部にある電源(例えば、商用電源電力、DC5V電源など)に結合可能であり、且つ外部の電源からエアロゾル発生デバイス10の構成要素に電力を伝達するコネクタであり得ることを理解されたい。
【0032】
充電装置150は、バッテリ142を再充電するために、エアロゾル発生デバイスに電気的に結合された電源から電力を供給するためのものである。しかし、電源140が充電可能な要素を含まない場合(例えば、バッテリ142が充電可能ではないか又は省略される場合)、充電装置150も省略され得ることを理解されたい。
【0033】
図1に示す例では、充電装置150は、外部電源に結合可能なコネクタ152と、外部電源からバッテリ142への電力の供給を制御するための充電IC154とを含み、任意選択で、外部電源によって供給される電力の電圧/電流特性を変換するための変圧器を含む。
【0034】
加熱装置110は、消耗品を受け取るように、且つ電源140から供給される電力を用いて消耗品を加熱してエアロゾルを発生させるように構成される。消耗品は、本発明がこの態様において限定されないため、加熱されるとエアロゾルを発生させるエアロゾル化可能物質を(例えば、エアロゾル基材に)含む任意の消耗品であり得る。非限定的な例として、消耗品は、単回使用(すなわちエアロゾル基材を発生させるために一度のみ加熱されるべきもの)又は複数回使用のために設計され得、消耗品は、様々な形態、デザイン、形状、包装、タイプ、風味などを有し得る。
【0035】
いくつかの例では、消耗品は、エアロゾル化可能物質を含むエアロゾル基材を含み得る。エアロゾル基材は、本発明がこの態様において限定されないため、エアロゾルを発生させるための任意のエアロゾル基材であり得ることが当業者に理解されるであろう。非限定的な例として、エアロゾル基材は、細断された、ペレット状の、粉末状の、粒状のストリップ又はシート形態、任意選択でこれらの組み合わせの固体又はペーストタイプの材料として様々な種類で提供され得る。同様に、エアロゾル基材は、流体(例えば、液体又はゲル)を含み得る。エアロゾル基材は、タバコを例えば乾燥した又は干した形態で含み得、場合により風味のため又はより滑らかな若しくはより満足感を与える体験をもたらすための追加の成分を有する。エアロゾル基材に含まれる材料に応じて、消耗品がタバコスティックと定義されることもあれば、エアロゾル基材がフレーバー放出媒体と定義されることもある。いくつかの例では、タバコなどのエアロゾル基材は、気化剤で処理され得る。気化剤は、エアロゾル基材からの蒸気の発生を改善し得る。気化剤は、例えば、グリセロールなどのポリオール又はプロピレングリコールなどのグリコールを含み得る。場合により、エアロゾル基材は、タバコ又は更にニコチンを含まないこともあるが、代わりに風味、揮発性、滑らかさの改善及び/又は他の満足感を与える効果を提供するための天然の又は人工由来の成分を含み得る。タバコなどのエアロゾル基材は、グリコールなど、水分を保持するための1種以上の保湿剤を含み得る。
【0036】
加熱装置110は、電源から受け取った電力を熱エネルギーに変換して消耗品を加熱するためのヒータと、加熱装置110の温度を検知するための温度センサとを含む。ヒータは、本発明が特定の種類のヒータに限定されないため、伝導ベース又は対流ベースのヒータ(例えば、コイル、コイル及びウィックの組み合わせ)などの任意のタイプのヒータであり得る。温度センサによって検知された温度は、図1の矢印で示すように、コントローラ100によって取得される。
【0037】
いくつかの例では、加熱装置110は、電源140から受け取った電力を、エアロゾル基材を加熱するのに適した電力に変換するための変圧器(例えば、ブースタ回路)などの追加の要素を含み得る。
【0038】
第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130は、電源140の端子間で加熱装置110と直列に配置される。加熱装置110、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130は、同じ電流のループの一部を構成するため、電源140の端子間で直列であるとみなされる。電流ループは、場合により、図1に示したバッテリ保護回路144などの他の要素を含み得る。
【0039】
図1に示す例では、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130は、MOSFETである。
【0040】
第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130は、それぞれ電界効果トランジスタ(FET)(例えば、Si MOSFET、GaN MOSFET、SiC MOSFETなど)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ又は他の公知のタイプのスイッチング素子などのトランジスタであり得る。第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130は、同じタイプであり得るか、又は異なるタイプのスイッチング素子であり得る。
【0041】
図1は、電源の端末間で加熱装置110、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130がこの順序で配置されるように示しているが、図1に示す順序は、単なる例示であり、変更され得る。例えば、加熱装置110は、第1のスイッチング素子120と第2のスイッチング素子130との間に配置され得、第1のスイッチング素子120と第2のスイッチング素子130との両方が加熱装置110の前に(すなわち+と表示された電源の端子の近くに)配置され得、第2のスイッチング素子130は、第1のスイッチング素子120の前に配置され得る。
【0042】
コントローラ100は、1つ以上のプロセッサ(例えば、シングル/マルチコアCPU、マイクロプロセッサなど)と、1つ以上の作業メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリRAM、フラッシュメモリなど)と、コンピュータ可読命令を格納する1つ以上の不揮発性命令ストア(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリなど)とを含み得、これにより、プロセッサは、命令ストアのコンピュータ可読命令を実行して、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130の状態を制御する。他の例では、コントローラは、その一部又は全部を集積回路(IC)などのハードウェアコンポーネントとして実装され得る。
【0043】
したがって、コントローラ100は、様々な動作を実施するための1つ以上のユニット又はモジュールを含み得ることが理解されるであろう。
【0044】
一例では、コントローラ100は、マイクロコントローラMCUと、別個のハードウェア監視回路とを含み得る。本例では、MCUは、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130の状態を制御して、加熱装置110の温度を制御するように構成され、ハードウェア監視回路は、エアロゾル発生デバイス10の故障が検出された場合、第1のスイッチング素子120及び/又は第2のスイッチング素子130を停止させるように構成される。
【0045】
図1に示す例では、コントローラ100は、マイクロコントローラMCUである。
【0046】
上述のように、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120の状態及び第2のスイッチング素子130の状態を制御して、加熱装置110への電力の供給を制御するように構成される。具体的には、コントローラ100(又はコントローラ100に含まれるか若しくはコントローラ100によって制御される信号発生器)は、図1の矢印で示すように、第1のスイッチング素子120をオン又はオフにするための制御信号を発生する。本開示では、電流がスイッチング素子を流れることが可能である場合、スイッチング素子は、オンであるとみなされ、電流がスイッチング素子を流れることが阻止される場合、スイッチング素子は、オフであるとみなされる。同様に、コントローラ100は、図1の矢印で示すように、第2のスイッチング素子をオン又はオフにするための制御信号を発生する。
【0047】
図1の例では、コントローラ100によって発生された制御信号は、第1のスイッチング素子120のゲート及び第2のスイッチング素子130のゲートに印加される。
【0048】
第1のスイッチング素子120又は第2のスイッチング素子130のいずれか(又は両方)がオフである場合、電流ループは、遮断され、電流は、加熱装置110を流れることができない。したがって、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130の状態を制御することにより、加熱装置110に電力を供給するかどうかを制御することができる。
【0049】
消耗品からエアロゾルを発生させることを望む使用者は、例えば、エアロゾル発生デバイス又はエアロゾル発生デバイスに設けられたボタン/スイッチなどを動作させる/操作することにより、エアロゾルを得るために消耗品の加熱を開始することができる。これは、エアロゾル発生セッションの開始を示す。したがって、コントローラ100は、加熱装置110の温度を、エアロゾル化可能物質がエアロゾルを(例えば、蒸発、昇華などによって)発生させる所望の温度に制御する。非限定的な例として、所望の温度は、200~250℃の範囲の温度であり得る。
【0050】
図1の例では、コントローラ100は、第2のスイッチング素子130をオン状態に維持し、それにより電力が加熱装置110に供給されるようにするための制御信号を発生する。コントローラ100は、温度センサから加熱装置110の検知された温度を取得する。コントローラ100は、加熱装置110の検知された温度及び所望の温度を用いて制御ループ(例えば、PID(比例、積分、微分)、PI又はP制御ループ)を実装して、第1のスイッチング素子120の状態を制御するためのパルス幅変調PWM信号を発生させ、加熱装置110を所望の温度に到達させる(且つ所望の温度に維持させる)。
【0051】
簡潔にするために、当業者に既知である制御ループ及び第1のスイッチング素子120の制御の更なる詳細を省略する。しかし、コントローラは、PID制御ループの使用及び/又はPWM信号によるスイッチング素子の制御に限定されず、任意の他のタイプの制御ループ又はスイッチング素子を制御する任意の他のタイプの信号が代わりに用いられ得ることを理解されたい。
【0052】
コントローラ100は、加熱装置110がもはや加熱されるべきではないと判定したとき(例えば、使用者がエアロゾル発生デバイス10の使用を停止したとき、エアロゾル化可能物質が枯渇したときなどのエアロゾル発生セッションの終了時)、コントローラは、第1のスイッチング素子120及び第2のスイッチング素子130をオフ状態に制御し、これにより加熱装置110を冷却させる。
【0053】
ここで、例示的な実施形態によるエアロゾル発生デバイスの故障を検出するための方法を説明する。
【0054】
ここで、図2を参照すると、ステップS102では、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120をオフにし、第2のスイッチング素子130をオフにするための制御信号を発生する。
【0055】
ステップS104では、コントローラ100は、温度センサから加熱装置110の第1の温度値T1を取得する。
【0056】
ステップS106では、コントローラ100は、第1の温度値T1が所定の閾値以下であるかどうかを判定する。閾値は、特定の期間(例えば、後述の第1の期間又は第2の期間)にわたって温度の上昇が検出され得ることを確保する値に設定され得る。例えば、閾値は、50℃又は100℃に設定され得る。
【0057】
第1の温度値T1が閾値以下ではない場合(ステップS106:いいえ)、コントローラ100は、ステップS104に戻って温度値T1を新たに取得する。任意選択で、コントローラ100は、加熱装置110の温度を低下させるために、温度値T1を再び取得する前に所定の時間待機し得る。
【0058】
一方、第1の温度値T1が閾値以下である場合(ステップS106:はい)、本方法は、ステップS108に進む。
【0059】
ステップS106のプロセスは、第1の温度値T1が閾値以下であるかどうかをコントローラ100が判定する例に関して説明したが、コントローラ100は、代替的に、第1の温度値T1が厳密に閾値未満であるか(すなわち閾値を含まないか)どうかを判定するように構成され得る。
【0060】
ステップS108では、コントローラ100は、第1の期間中、第1のスイッチング素子120がオンとなり、且つ第2のスイッチング素子130がオフとなるように制御する。
【0061】
第2のスイッチング素子130がオン状態のままとなるような故障が発生した場合又はスイッチング素子を通る電流の流れを遮断することができない短絡状態では、電力が加熱装置110に供給され、加熱装置110の温度は、第1の期間中に上昇する。
【0062】
場合により、第1の期間の長さは、温度の上昇を検出することができるように設定され得、これは、測定された第1の温度値T1、加熱装置110の特性、電源によって供給される電力の特性、温度閾値、温度センサの特性などに依存し得る。
【0063】
ステップS110では、コントローラ100は、第1の期間が経過するのを待機する。例えば、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120をオンにし、且つ第2のスイッチング素子130をオフにするように制御する場合、第1の期間に等しいタイマをトリガし得、コントローラ100は、タイマが経過するのを待機し得る。
【0064】
第1の期間が経過すると、コントローラは、ステップS112に進む。
【0065】
ステップS112では、コントローラ100は、温度センサから加熱装置110の第2の温度値T2を取得する。次いで、コントローラ100は、ステップS114に進む。
【0066】
ステップS114では、コントローラ100は、第2の温度値T2が第1の温度値T1よりも高いかどうかを判定する。
【0067】
第2の温度値T2が第1の温度値T1よりも高いことは、第1の期間に発生する観測可能な事象(温度の上昇)の一例であり、これは、ある電力量が加熱装置110に伝達されることを示す。
【0068】
場合により、コントローラ100は、第2の温度値T2が少なくとも所定量だけ第1の温度値T1よりも高いかどうかを判定するように構成され得る。少なくとも所定量だけとは、例えば、少なくとも3℃だけ又は値T1の少なくとも5%に対応する量だけである。したがって、コントローラ100は、温度の上昇が他の要因(例えば、環境要因、温度センサの不正確さなど)に起因するものである場合、第2のスイッチング素子130がオンであるか又は短絡していると誤って判定する可能性が低くなり得る。
【0069】
第2の温度値T2が第1の温度値T1よりも高いとコントローラ100が判定した場合(ステップS114:はい)、コントローラ100は、ステップS116に進む。
【0070】
ステップS116では、コントローラ100は、第2のスイッチング素子をオン又は短絡状態にする第2のスイッチング素子130の故障を検出し、ステップS118に進む。
【0071】
ステップS118では、コントローラ100は、加熱装置110を停止させ、プロセスは、終了する。
【0072】
例えば、コントローラ100は、電源140から加熱装置110を切り離す信号を生成し得るか、又はコントローラ100は、加熱装置110に電力が供給されないように加熱装置110を(例えば、加熱装置110と並列のシャント抵抗器によって)バイパスさせ得る。
【0073】
場合により、コントローラ100は、エアロゾル発生デバイス10で故障が発生したこと及び/又は加熱装置110の動作が停止されていることを示すために、使用者への通知も生成し得る。例えば、エアロゾル発生デバイス10が表示画面を含む場合、コントローラ100は、表示画面に、消耗品が必要な水分量を有していないことをエアロゾル発生デバイスの使用者に通知するメッセージを表示させることができる。しかし、メッセージの表示の代わりに又はメッセージの表示に加えて、触覚フィードバック、他の視覚的フィードバック(例えば、エアロゾル発生デバイス10に配置されたLEDを介して)、音声フィードバックなど、ユーザに通知する他の手段が使用され得ることを理解されたい。
【0074】
S114では、第2の温度値T2が第1の温度値T1よりも高くないとコントローラ100が判定した場合(ステップS114:いいえ)、コントローラ100は、ステップS120に進む。
【0075】
ステップS120では、コントローラ100は、第2の期間中、第1のスイッチング素子120がオフとなり、且つ第2のスイッチング素子130がオンとなるように制御する。
【0076】
上記のステップS108に関連して説明したように、第1のスイッチング素子120をオン状態又は短絡状態のままにする故障がある場合、第2の期間中に加熱装置110の温度が上昇する。
【0077】
第2の期間は、第1の期間と同様に、場合により第2の温度値T2、加熱装置110の特性、電源によって供給される電力の特性、温度閾値などに基づいて設定され得る。第2の期間は、第1の期間と同じ長さを有し得るが、これは、必須ではない。
【0078】
ステップS120後、コントローラ100は、ステップS122に進む。
【0079】
ステップS122では、コントローラ100は、第2の期間が経過するのを待機する。このステップにおけるプロセスは、ステップS110で第1の期間に関して説明したプロセスと同じである。次いで、コントローラ100は、ステップS124に進む。
【0080】
ステップS124では、コントローラ100は、温度センサから加熱装置110の第3の温度値T3を取得し、次いでステップS126に進む。
【0081】
ステップS126では、コントローラ100は、第3の温度値T3が第2の温度値T2よりも高いかどうかを判定する。
【0082】
ステップS114に関連して説明したように、場合により、コントローラ100は、第3の温度値T3が第2の温度値T2よりも少なくとも所定量(ステップS114における所定量と同じであり得るか、又は異なる所定量であり得る)だけ高いかどうかを判定するように構成され得る。
【0083】
場合により、コントローラ100は、第2の温度値T2と第3の温度値T3とを比較する代わりに、(ステップS114で)第2の温度値T2が第1の温度値T1に等しい(又は少なくとも第1の温度値T1以下である)と判定されているため、第3の温度値T3が第1の温度値T1より大きいかどうかを判定し得る。
【0084】
第3の温度値T3が第2の温度値T2よりも高いとコントローラ100が判定した場合(ステップS126:はい)、コントローラ100は、ステップS128に進む。
【0085】
ステップS128では、コントローラ100は、第2の期間中に温度の上昇が発生すると判定し、これは、ある電力量が加熱装置110に伝達されることを示す観測可能な事象の一例である。したがって、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120をオン又は短絡状態にする第1のスイッチング素子120の故障を検出する。次いで、コントローラ100は、ステップS118に進む。
【0086】
一方、第3の温度値T3が第2の温度値T2よりも高くないとコントローラ100が判定した場合(ステップS126:いいえ)、第1のスイッチング素子120をオン又は短絡状態にする故障が検出されなかったことを示すため、プロセスが終了する。
【0087】
したがって、例示的な実施形態の方法を実施することにより、コントローラ100は、第1のスイッチング素子120及び/又は第2のスイッチング素子130で故障が発生するかどうかを検出し得る。
【0088】
ここで、第2の例示的な実施形態によるエアロゾル発生デバイスの一例を説明する。
【0089】
図3は、第2の例示的な実施形態によるエアロゾル発生デバイス10の電気コンポーネントの概略図である。
【0090】
簡潔にするために、電気コンポーネント110~150の説明は、図2に関連して既に説明したため、ここでは省略する。
【0091】
図3に示す例では、エアロゾル発生デバイス10は、加熱装置110に供給される電流を測定するための電流測定装置160を含む。電流測定装置160は、加熱装置110と直列に配置されたシャント抵抗器162を含む。電流測定装置160は、シャント抵抗器162と並列に電流測定要素164も含み、電流測定要素164は、電流がシャント抵抗器162を流れるかどうかを検出するように構成される。
【0092】
図3に示す例では、コントローラ10は、電流測定要素164によってシャント抵抗器162にわたって測定された電圧の値を取得するように構成される。したがって、コントローラ100は、シャント抵抗器162にわたって非ゼロの電圧が測定された場合、電流がシャント抵抗器162を通して流れていることを検出し得る。
【0093】
シャント抵抗器162が加熱装置110と直列であるため、コントローラ100は、シャント抵抗器162に電流が流れることが検出される場合、ある電力量が加熱装置に伝達されると判定することができる。したがって、シャント抵抗器162を流れる電流は、ある電力量が電源140から加熱装置110に伝達されることを示す観測可能な事象の一例である。
【0094】
ここで、図4を参照して、第2の例示的な実施形態による、エアロゾル発生デバイスの故障を検出するための方法を説明する。
【0095】
簡潔にするために、ステップS108、S116、S118、S120及びS128の説明は、図2に関連して既に説明したため、ここでは省略する。
【0096】
図4に示すように、ステップS102~S106は、省略され、プロセスは、ステップS108で開始する。コントローラは、第1の期間中、第1のスイッチング素子120がオンとなり、且つ第2のスイッチング素子130がオフとなるように制御する。
【0097】
第2の例示的な実施形態では、温度の上昇がないことを検出する必要があるため、第1の期間は、第1の例示的な実施形態の場合よりも短く設定され得る。その結果、本方法は、より速く且つ/又はより少ないエネルギーで実施され得る。
【0098】
ステップS108後、コントローラは、ステップS210に進み、ステップS210では、コントローラ100は、シャント抵抗器162にわたる第1の電圧値V1を取得する。次いで、コントローラ100は、ステップS212に進む。
【0099】
ステップS212では、コントローラ100は、第1の電圧値V1がゼロに等しいかどうかを判定する。
【0100】
第1の電圧値V1がゼロに等しくないとコントローラ100が判定した場合(ステップS212:いいえ)、コントローラ100は、シャント抵抗器162に電流が流れていると判定するため、電力が加熱装置110に供給される。したがって、コントローラは、ステップS116に進み、ステップS116では、コントローラは、第2のスイッチング素子130をオン又は短絡のままにする第2のスイッチング素子130の故障を検出する。
【0101】
一方、第1の電圧値V1がゼロに等しいとコントローラ100が判定した場合(ステップS212:はい)、コントローラは、ステップS120に進む。
【0102】
場合により、コントローラ100は、第1の電圧値V1が所定の電圧値よりも大きい大きさ(又は絶対値)を有するかどうかを判定するように構成され得る。したがって、コントローラ100は、例えば、シャント抵抗器162にわたって非ゼロの電圧が不正確に検出された場合、第2のスイッチング素子130の故障を不正確に検出する可能性が低くなり得る。
【0103】
例えば、コントローラ100は、第1の電圧値V1が0.3Vより大きいか(又は-0.3Vより小さいか)どうかを判定するように構成され得るが、この電圧値は、純粋に非限定的な例として提供されている。
【0104】
ステップS120では、コントローラ100は、第2の期間中、第1のスイッチング素子120がオフとなり、且つ第2のスイッチング素子130がオンとなるように制御する。第1の期間と同様に、第2の例示的な実施形態では、第2の期間は、第1の実施形態の例よりも短く設定され得る。
【0105】
ステップS120後、コントローラ100は、ステップS222に進み、ステップS222では、コントローラ100は、シャント抵抗器162にわたる第2の電圧値V2を取得する。
【0106】
ステップS224では、コントローラ100は、第2の電圧値V2がゼロに等しいかどうかを判定する。
【0107】
ステップS212に関連して説明したように、場合により、コントローラ100は、第2の電圧値V2が所定の電圧値(これは、ステップS212における所定の電圧値と同じであり得るか、又は異なる所定の電圧値であり得る)よりも大きい大きさを有するかどうかを判定するように構成され得、それによりコントローラ100による誤った故障検出のリスクを低減する。
【0108】
第2の電圧値V2がゼロに等しくないとコントローラ100が判定した場合(S224:いいえ)、コントローラ100は、ステップS128に進み、ステップS128では、コントローラは、第1のスイッチング素子120の故障を検出する。
【0109】
第2の電圧値V2がゼロに等しいとコントローラ100が判定した場合(S224:はい)、これは、第1のスイッチング素子120の故障が検出されないことを示すため、プロセスが終了する。
【0110】
上記から、特定の例示的な実施形態は、エアロゾル基材を加熱するための加熱装置と、電源と、電源から加熱装置への電力の供給を制御するための第1のスイッチング素子と、加熱装置を電源から切り離すための第2のスイッチング素子とを含むエアロゾル発生デバイスであって、加熱装置、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子は、電源の端子間で直列に配置される、エアロゾル発生デバイスのための方法を実施することが分かる。
【0111】
図5を参照すると、ステップS502では、エアロゾル発生デバイスは、第1の期間中、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の一方がオンとなり、且つ第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方がオフとなるように制御する。
【0112】
ステップS504では、エアロゾル発生デバイスは、第1の期間中に少なくとも1つの観測可能な事象が発生するかどうかを判定し、少なくとも1つの観測可能な事象は、ある電力量が加熱装置に伝達されることを示す。
【0113】
第1の期間中に少なくとも1つの観測可能な事象が発生すると判定される場合、ステップS508において、エアロゾル発生デバイスは、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子の他方の故障を検出する。
【0114】
図2図4又は図5を参照して上述した方法のそれぞれは、所定の事象が発生したときなど、様々なタイミングで実施され得る。
【0115】
第1の例として、方法のそれぞれは、エアロゾル発生デバイス10が外部電源に結合されることの検出時(例えば、外部電源が充電装置150に結合されたとき)に実施され得る。したがって、エアロゾル発生デバイス10は、使用されていないときに外部電源に結合されるという仮定に基づき、本方法は、使用者への影響を軽減しながら実施され得る。
【0116】
第2の例として、方法のそれぞれは、消耗品が加熱装置110に挿入されることの検出時又はエアロゾル発生デバイスの使用開始時(すなわちエアロゾル発生セッションの開始時)で消耗品が加熱される前に実施され得る。これらの場合、本方法は、エアロゾル発生デバイスが安全でない(又は安全性が低い)ときに加熱装置が加熱されるリスクを低減し、したがってデバイスの要素が高温であるときに故障が発生するリスクを低減することができ、これにより負傷及び/又は損傷のリスクを低減することができる。
【0117】
第3の例として、方法のそれぞれは、使用/エアロゾル発生セッションの終了時、加熱装置110が冷却されるためにオフにされた後に実施され得る。したがって、本方法は、加熱装置110の以前の加熱に起因するスイッチング素子の一方又は両方の故障の検出を可能にし得る。加えて、第3の例における所定の事象は、加熱装置110及び消耗品の加熱を遅延させる可能性が低いため、エアロゾル発生デバイス10の使い勝手に与える影響を小さくする。
【0118】
修正形態及び変形形態
上記の例示的な実施形態に対する多くの修正形態及び変形形態がなされ得る。
【0119】
例えば、図2又は図4に示すステップのいくつかが省略され得る。
【0120】
具体的には、図2に示す方法が、加熱装置110の温度が閾値未満であることが分かっている場合(例えば、消耗品が挿入された場合、エアロゾル発生デバイスが電源投入された場合又はエアロゾル発生デバイスが少なくとも所定時間使用されていない場合)に実施される場合、ステップS102及びS104は、省略され得る。
【0121】
場合により、第1のスイッチング素子120及び/又は第2のスイッチング素子130は、「スイッチング素子がオンとなるように制御する」又は「スイッチング素子がオフとなるように制御する」という用語が、コントローラ100がスイッチング素子をその状態に維持させることを意味するような既に所望の状態にあり得る。
【0122】
上記の説明では、第1のスイッチング素子120がPWM信号を用いて制御されて、加熱装置110の温度を調節し、第2のスイッチング素子130がオン状態に維持されて、加熱装置110への電力の供給を可能にする。しかし、第1のスイッチング素子120と第2のスイッチング素子130とは、交換可能であり得、第1のスイッチング素子120は、オン状態に維持される一方、第2のスイッチング素子130は、PWM信号を用いて制御されて、加熱装置110の温度を調節し得ることを理解されたい。
【0123】
図2及び図4に示す方法は、第1の期間中に第1のスイッチング素子120がオンにされ、第2の期間中にオフにされる(第2のスイッチング素子130については、その逆にされる)例を両方とも示す。しかし、逆の場合も可能であり、その場合、コントローラ100は、第1の期間中に第1のスイッチング素子120をオフにし、第2のスイッチング素子130をオンにするように制御し(すなわちステップS116で第1のスイッチング素子120の故障が検出される)、第2の期間中に第1のスイッチング素子120をオンにし、第2のスイッチング素子130をオフにするように制御する(すなわちステップS128で第2のスイッチング素子130の故障が検出される)。
【0124】
図2及び図4に示す方法は、第1のスイッチング素子120又は第2のスイッチング素子130のいずれかの故障が検出された場合、ステップS118で加熱装置110の動作が停止される例を両方とも示す。しかしながら、コントローラ100は、代わりに、消耗品の使用を可能にするように、且つスイッチング素子の一方又は両方に故障が検出された場合、エアロゾル発生デバイス10の修理又は交換をユーザに促すために、故障をユーザに通知するように構成され得る。
【0125】
図2及び図4に示す方法では、(ステップS116で)スイッチング素子の一方の故障を検出することにより、スイッチング素子の他方に故障が発生するかどうかを確認することなく処理を終了させる。代わりに、コントローラ100は、ステップS116後又はステップS118後、スイッチング素子の他方をチェックするステップ、すなわち図2のステップS120~S128又は図4のステップS120、S222、S224及びS128に進むように構成され得る。
【0126】
上記では、電流測定装置160を有するエアロゾル発生デバイス10の特定の構成について説明したが、本発明は、この特定の構成に限定されず、電流測定装置160の異なる構成及び/又は図3に示す回路における電流測定装置160の異なる配置が可能であることを理解されたい。例えば、電流測定装置(同じ構成又は異なる構成のもの)は、第1のスイッチング素子120と第2のスイッチング素子130との間に配置され得る。
【0127】
当然のことながら、当業者であれば、上述した以外の修正形態もなされ得ることを認識するであろう。
【0128】
特に、上述の例示的な実施形態が組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【0129】
例えば、コントローラ100は、図2のステップS112及びS114と、図4のステップS210及びS212とを並行して又は順次実施するように構成され得る。したがって、コントローラ100は、ステップS116において、ステップS114の判定、ステップS212の判定又はこれらの両方に基づいて第2のスイッチング素子130の故障を検出するように構成され得る。同様に、コントローラ100は、図2のステップS124及びS126と、図4のステップS222及びS224とを並行して又は順次実施し、且つステップS128において、ステップS126における判定、ステップS224における判定又はこれらの両方に基づいて故障を検出するように構成され得る。
【0130】
上述の方法では、故障の検出は、単一の比較に基づく(例えば、ステップS114若しくはステップS126における温度の単一の比較又はステップS212若しくはステップS224における測定された電圧の単一の比較に基づく)が、コントローラは、複数の比較を実施するように、且つ複数の比較がスイッチング素子の故障が発生していることを示す場合にのみ故障を検出するように構成され得る。例えば、コントローラ100は、第1の期間及び/又は第2の期間中の複数の時点で温度値を取得し得、コントローラ100は、複数の値が温度の連続的な上昇を示す場合、故障を検出し得る。別の例として、コントローラ100は、第1の期間及び/又は第2の期間中の複数の時点でシャント抵抗器162にわたる電圧値を取得し得、コントローラ100は、複数の電圧値がゼロに等しくない場合、故障を検出し得る。
【0131】
本明細書で提示される例のソフトウェア実施形態は、1つの例示的な実施形態では、それぞれが非一時的であり得る機械アクセス可能若しくは機械可読媒体、命令ストア又はコンピュータ可読ストレージデバイスなどの製品に含まれるか又は格納される、命令又は命令シーケンスを有する1つ以上のプログラムなどのコンピュータプログラム又はソフトウェアとして提供され得る。非一時的な機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、命令ストア又はコンピュータ可読ストレージデバイス上のプログラム又は命令は、コンピュータシステム又は他の電子デバイスをプログラムするために使用され得る。本明細書で説明される技法は、いかなるソフトウェア構成にも限定されない。それらは、任意のコンピューティング環境又は処理環境において適用可能性を見出し得る。本明細書で使用される「コンピュータ可読」、「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、「命令ストア」及び「コンピュータ可読ストレージデバイス」という用語は、機械、コンピュータ又はコンピュータプロセッサによる実行のために、命令又は命令シーケンスを記憶、符号化又は送信することが可能であり、機械/コンピュータ/コンピュータプロセッサに、本明細書に説明される方法のいずれか1つを実施させる任意の媒体を含むものとする。更に、当技術分野では、ソフトウェアという場合、形態を問わず(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、ロジックなど)にアクションを起こすか又は結果をもたらすものとするのが一般的である。このような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行が、プロセッサにあるアクションを実施させ、ある結果を生じさせることを示す省略表現にすぎない。
【0132】
いくつかの実施形態は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイを用意すること又は従来の構成回路の適切なネットワークを相互接続することによっても実施され得る。
【0133】
いくつかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含む。コンピュータプログラム製品は、本明細書で説明される例示的な実施形態の手順のいずれかをコンピュータ若しくはコンピュータプロセッサが実施するように制御するか、又はコンピュータ若しくはコンピュータプロセッサに実施させるために使用され得る命令を格納した1つ又は複数の記憶媒体、命令ストア又はストレージデバイスであり得る。記憶媒体/命令ストア/ストレージデバイスは、例えば、限定されないが、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、遠隔データストレージ/アーカイブ/保管庫並びに/又は命令及び/若しくはデータを記憶するのに適した他の任意のタイプのデバイスを含むことができる。
【0134】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体、命令ストア又はストレージデバイスのいずれか1つに格納され、いくつかの実装形態は、エアロゾル発生デバイスのハードウェアを制御することと、エアロゾル発生デバイス又はマイクロプロセッサが、本明細書で説明される例示的な実施形態に従って動作することを可能にすることとの両方のためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアとしては、限定されないが、デバイスドライバ、オペレーティングシステム及びユーザアプリケーションが挙げられる。最終的に、このようなコンピュータ可読媒体又はストレージデバイスは、上述のように、本発明の例示的な態様を実施するためのソフトウェアを更に含む。
【0135】
エアロゾル発生デバイスのプログラミング及び/又はソフトウェアは、本明細書で説明される手順を実施するためのソフトウェアモジュールを含む。本明細書におけるいくつかの例示的な実施形態では、モジュールは、ソフトウェアを含むが、本明細書における他の例示的な実施形態では、モジュールは、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含む。
【0136】
上記では、本発明の様々な例示的な実施形態について説明してきたが、これらは、例示として提示したものであり、限定するものではないことを理解されたい。形状及び細部における様々な変更形態がなされ得ることは、関連する技術分野の当業者に明らかなはずである。したがって、本発明は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物に従ってのみ定義されるものとする。
【0137】
更に、要約の目的は、特許庁及び一般公衆、特に特許用語又は法律用語に精通していない科学者、技術者及び当業者が一見して本出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に判断することができるようにすることである。要約は、本明細書に提示された例示的な実施形態の範囲を決して限定することを意図するものではない。特許請求の範囲に記載された手順は、提示された順序で実施される必要はないことも理解されたい。
【0138】
本明細書は、多くの具体的な実施形態の詳細を含むが、これらは、本発明の範囲又は特許請求され得るものの範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ本明細書で説明された特定の実施形態に特有の特徴を説明するものとして解釈されるべきである。本明細書で別々の実施形態に関連して説明される特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせても実施され得る。逆に、単一の実施形態に関連して説明される様々な特徴も複数の実施形態で別々に実施され得るか又は任意の好適な部分的組み合わせで提供され得る。更に、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、最初にそのように特許請求の範囲に記載されることさえあるが、特許請求の範囲に記載された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合により、組み合わせから除外されることがあり、特許請求の範囲に記載された組み合わせは、部分的組み合わせ又は部分的組み合わせのバリエーションに向けられることがある。
【0139】
特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利な場合もある。更に、上述の実施形態における様々な構成要素の分離は、すべての実施形態でそのような分離が必要であると理解されるべきではない。
【0140】
上記では、いくつかの例示的な実施形態及び実施形態を説明してきたが、上記は、例示であり、例として提示したものであり、限定するものではないことが明らかである。特に、本明細書に提示した例の多くは、装置又はソフトウェア要素の特定の組み合わせを含むが、これらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされ得る。1つの実施形態に関連してのみ論じられる行為、要素及び特徴は、他の実施形態又は実施形態における同様の役割を排除することを意図するものではない。
【0141】
本明細書で説明される装置は、その特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。したがって、本明細書で説明される装置の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に入る変更形態がそれに包含される。
【符号の説明】
【0142】
10 エアロゾル発生デバイス
100 コントローラ(例えば、MCU)
110 加熱装置
120 第1のスイッチング素子(例えば、MOSFET)
130 第2のスイッチング素子(例えば、MOSFET)
140 電源
142 バッテリ
144 バッテリ保護回路
150 充電装置
152 コネクタ(例えば、USBコネクタ)
154 充電IC
160 電流測定装置
162 シャント抵抗器
164 電流測定要素
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】