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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】医薬懸濁液を投与するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/148 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61M5/148
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513167
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2022073887
(87)【国際公開番号】W WO2023031082
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21194033.3
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21210767.6
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】デリー, イェッペ イプセン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルボ, ヤヌス
(72)【発明者】
【氏名】エーゲンフェルト, スベント
(72)【発明者】
【氏名】ウィンダム, イェスペル ペータル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC08
4C066EE01
4C066FF04
4C066NN04
(57)【要約】
本発明は、用量送達装置(1、100、200、300、400)であって、医薬懸濁液を保持し、かつ出口(12、112、212、312、412)を備える、可変容積貯蔵部(10、110、210、310、410)と、ある体積の医薬懸濁液を、出口(12、112、5 212、312、412)を通して排出するための起動のために適合された用量排出機構と、用量排出機構の起動前に、対象者への上記体積の医薬懸濁液の投与を可能にするように操作可能な準備部材(30、130、230、330、430)を備える用量準備システムと、を備え、用量準備システムが、可変容積貯蔵部(10、110、210、310、10 410)に対して撹拌相対運動することができる撹拌部材(40、140、240、340、440)をさらに備え、撹拌相対運動が、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を引き起こし、撹拌部材(40、140、240、340、440)が、準備部材(30、130、230、330、430)と操作可能に結合され、準備部材(30、130、230、330、430)の操作に応答して、当該撹拌相対運動を受けるように構成されている、用量送達装置を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用量送達装置(1、100、200、300、400)であって、
-医薬懸濁液を保持し、かつ出口(12、112、212、312、412)を備える、可変容積貯蔵部(10、110、210、310、410)と、
-ある体積の前記医薬懸濁液を、前記出口(12、112、212、312、412)を通して排出するための起動のために適合された用量排出機構と、
-前記用量排出機構の起動前に、対象者への前記体積の前記医薬懸濁液の投与を可能にするように、操作可能な準備部材(30、130、230、330、430)を備える用量準備システムと、を備え、
前記用量準備システムが、前記可変容積貯蔵部(10、110、210、310、410)に対して撹拌相対運動することができる撹拌部材(40、140、240、340、440)をさらに備え、前記撹拌相対運動が、前記医薬懸濁液の再懸濁撹拌を引き起こし、
前記撹拌部材(40、140、240、340、440)が、前記準備部材(30、130、230、330、430)と操作可能に結合され、かつ前記準備部材(30、130、230、330、430)の操作に応答して、前記撹拌相対運動を受けるように構成されている、用量送達装置。
【請求項2】
前記撹拌相対運動が、前記可変容積貯蔵部(10、110、210、310、410)に対する第1の所定の位置から第2の所定の位置への前記撹拌部材(40、140、240、340、440)の移動を含む、請求項1に記載の用量送達装置。
【請求項3】
前記用量排出機構の起動が防止される初期状態から前記用量排出機構の起動が可能にされる解放状態に切り替え可能な解放可能な係止体(143、460)をさらに備え、前記解放可能な係止体(143、460)が、前記準備部材(130、430)と操作可能に結合され、かつ前記準備部材(130、430)の前記操作に応答して、前記初期状態から前記解放状態に切り替わるように構成されている、請求項1または2に記載の用量送達装置。
【請求項4】
前記可変容積貯蔵部(10、110)が、可撓性箔貯蔵部であり、
前記撹拌部材(40、140)が、前記可撓性箔貯蔵部を変形させて、それによって、前記医薬懸濁液の前記再懸濁撹拌を引き起こすように適合された変形要素(44a、144a)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の用量送達装置。
【請求項5】
前記変形要素(44a、144a)が、その外面をスイープおよび圧搾することによって前記可撓性箔貯蔵部を変形するように適合されている、請求項4に記載の用量送達装置。
【請求項6】
前記用量排出機構の少なくとも一部分を収容し、かつ基準軸を画定するハウジング(2、3)をさらに備え、
前記準備部材(30)が、前記出口(12)を覆うために前記ハウジング(2、3)に取り外し可能に取り付けられたキャップを含み、
前記変形要素(44a)が、前記キャップに取り付けられるか、またはその一部を形成し、かつ
前記キャップが、前記ハウジング(2、3)および前記可撓性箔貯蔵部に対する相対軸方向運動によって取り外されるように適合されており、前記変形要素(44a)が、それによって、前記可撓性箔貯蔵部の前記外面をスイープおよび圧搾する、請求項5に記載の用量送達装置。
【請求項7】
前記撹拌部材(40)が、互いに、かつ前記変形要素(44a)から軸方向に離隔されて配設された第2の変形要素(44b)および第3の変形要素(44c)をさらに備え、かつ
前記変形要素(44a、44b、44c)のうちの少なくとも2つが、異なる角度で前記基準軸と交差する、請求項6に記載の用量送達装置。
【請求項8】
前記用量排出機構の少なくとも一部分を収容し、かつ基準軸を画定するハウジング(102、103)をさらに備え、
前記準備部材(130)が、前記ハウジング(102、103)に取り外し可能に取り付けられたプルタブを備え、
前記変形要素(144a)が、前記プルタブに取り付けられるか、またはその一部を形成し、
前記プルタブが、前記ハウジング(102、103)および前記可撓性箔貯蔵部に対する相対横方向運動によって取り外されるように適合されており、前記変形要素(144a)が、それによって、前記可撓性箔貯蔵部の前記外面をスイープおよび圧搾する、請求項5に記載の用量送達装置。
【請求項9】
前記撹拌部材(140)が、前記変形要素(144a)から横方向に離隔されて配設された第2の変形要素(144b)をさらに備え、
前記2つの変形要素(144a、144b)が、異なる角度で前記基準軸と交差する、請求項8に記載の用量送達装置。
【請求項10】
前記出口(112)を覆うために前記ハウジング(102、103)に取り外し可能に取り付けられたキャップ(150)をさらに備え、
前記撹拌部材(140)および前記キャップ(150)が、前記プルタブが前記ハウジング(102、103)に取り付けられたときに、前記キャップ(150)の取り外しを防止するように構成された、相互に相互作用する接触部材(143、152)を備える、請求項8または9に記載の用量送達装置。
【請求項11】
前記用量排出機構が、アクチュエータ(120)と、第1の軸方向位置から第2の軸方向位置への前記ハウジング(102、103)に対する前記アクチュエータ(120)の軸方向変位に応答して、前記可撓性箔貯蔵部を折り畳むように適合された圧縮部材(127、128)と、を備え、
前記撹拌部材(140)が、前記プルタブが前記ハウジング(102、103)に取り付けられたときに、前記第1の軸方向位置から前記第2の軸方向位置に向かう前記アクチュエータ(120)の移動を阻止するように構成されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の用量送達装置。
【請求項12】
前記撹拌部材(340、440)が、前記医薬懸濁液中に浸漬され、かつ磁性要素であるか、または磁性要素を備え、かつ前記準備部材(330、430)が、前記磁性要素の位置に影響を与えることができる磁石であるか、またはそれを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の用量送達装置。
【請求項13】
前記準備部材(330)が、前記磁石を担持し、かつ前記可変容積貯蔵部(310)に対する遠位運動によって取り外し可能である、出口保護キャップを備え、かつ
前記磁性要素であるか、またはそれを備える前記撹拌部材(340)が、前記キャップが取り外されることに応答して、前記可変容積貯蔵部(310)内で近位位置から遠位位置に移動するように適合されている、請求項12に記載の用量送達装置。
【請求項14】
前記出口(412)が、皮膚への挿入のために構成された針端部分(412t)を有する注射針を備え、
前記準備部材(430)が、前記磁石を担持し、かつ前記針端部分(412t)が覆われる第1のシールド位置から前記針端部分(412t)が露出される第2のシールド位置まで、前記可変容積貯蔵部(410)に対して近位に変位可能である、針シールドを備え、
前記磁性要素であるか、またはそれを備える前記撹拌部材(440)が、前記針シールドが前記第1のシールド位置から前記第2のシールド位置に移動することに応答して、前記可変容積貯蔵部(410)内の遠位位置から近位位置に移動するように適合されている、請求項12に記載の用量送達装置。
【請求項15】
前記撹拌部材(340、440)が、前記近位位置と前記遠位位置との間の移動中に、前記医薬懸濁液において乱流を促進するように構成されている、請求項13または14に記載の用量送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療装置に関し、より具体的には、医薬懸濁液の投与のための送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬懸濁液は、異なる投与経路に広く使用され、注射可能な懸濁液、経口懸濁液、および局所懸濁液として広く分類され得る。
【0003】
理想的な医薬懸濁液では、不溶性薬剤粒子は、担体媒体全体にわたって三次元に均一に分散され、経時的にそのように留まる。したがって、理想的な医薬懸濁液からの2つの等しいサイズの体積用量ごとに、同じ量の薬剤を含有することになり、同じ臨床効果をレシピエントに与えることになる。
【0004】
しかしながら、実際には、医薬懸濁液は、物理的に不安定である。撹拌が存在しない場合、分散された薬剤粒子は、重力の影響下で沈降することになり、容器の底部に沈殿層を形成することになる。これは、薬剤濃度の局所的な変化を生じさせ、したがって、緩和されていない場合、不均一な投与を生じさせる。特に、顕著な過少投与のリスクが導入される。
【0005】
特許文献1は、医薬懸濁液を貯蔵および分注するための圧縮可能な容器を開示しており、これは、貯蔵中に液体から沈降した粒子の容易な再懸濁を可能にする。2本以上の指の間で容器を圧搾することによって、ユーザは、液体をオリフィスを通して、かつ渦の形成を可能にする球状容器部分に押し込むことができ、これは、沈殿した粒子を再懸濁するのに十分である。
【0006】
薬剤粒子の適切な再懸濁に続いて、任意の計量された用量は、意図される量の薬剤を含有するべきであり、それによって、正しい用量を受容しないリスクが排除される。しかしながら、特許文献1に説明されるタイプの容器では、ユーザは、用量投与前に処方された液体を操作することを忘れてはならない。そうしないと、結果的に、実際に分注された薬剤の量に関する不確実性が生じることになる。さらに、運動能力および指の強度が低下した高齢者および他の人々は、容器の取り扱いが困難であると感じる場合があり、その結果、これらの人々は、正しい治療を受けられないリスクがより高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,882,736号(Norton Healthcare Limited)
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を排除するか、もしくは減少させること、または先行技術の解決策に対する有用な代替案を提供することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、ユーザが意図される用量の薬剤を受容しないリスクが最小化または排除される、医薬懸濁液を投与するための解決策を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、安全かつ取り扱いが簡単であり、さらに、意図される用量の薬剤の発現に関して信頼性のある医薬懸濁液を投与するための装置またはシステムを提供することである。
【0011】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処し、かつ/または、以下の文章から明らかである目的に対処する、態様および実施形態が説明されることになる。
【0012】
本発明の原理を具体化する解決策では、用量送達装置は、医薬懸濁液を保持し、かつ出口を備える、可変容積貯蔵部と、ある体積の医薬懸濁液を、出口を通して排出するための起動のために適合された用量排出機構と、用量排出機構の起動前に、対象者への上記体積の医薬懸濁液の投与を可能にするように操作可能な用量準備システムと、を備え、用量準備システムの操作が、医薬懸濁液の撹拌を引き起こす。
【0013】
それによって、医薬懸濁液が最初に撹拌されていない状態で、用量送達装置を用いて用量投与を実施することは不可能であり、したがって、上記体積の医薬懸濁液が対象者の身体に入る前に、再懸濁が自動的に確保される。
【0014】
一態様では、したがって、本発明は、用量送達装置であって、医薬懸濁液を保持し、かつ出口を備える、可変容積貯蔵部と、ある体積の医薬懸濁液を、出口を通して排出するための起動のために適合された用量排出機構と、用量排出機構の起動前に、対象者への上記体積の医薬懸濁液の投与を可能にするように操作可能な準備部材を備える用量準備システムと、を備える、用量送達装置を提供する。用量準備システムが、可変容積貯蔵部に対して撹拌相対運動することができる撹拌部材をさらに備え、撹拌相対運動が、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を引き起こす。撹拌部材が、準備部材と操作可能に結合され、準備部材の操作に応答して、当該撹拌相対運動を受けるように構成されている。
【0015】
それによって、ユーザが用量投与事象の準備として準備部材を操作するとき、医薬懸濁液は、自動的に撹拌され、したがって、適切かつ信頼できる投与の準備が整うことになる。準備部材の操作は、対象者への上記体積の医薬懸濁液の投与を可能にするために必要であるため、用量送達装置は、用量排出機構が起動されると、薬剤粒子が再懸濁されたという保証を提供し、したがって、ユーザは、特定の手動再懸濁行為を実施することを覚えておく必要がない。さらに、以下から明らかであるように、準備部材の操作は、人間工学的に非常に単純かつ楽であり、力および器用さが低下した人々による使用も可能にし得る。
【0016】
撹拌部材は、第1の位置と第2の位置との間で可変容積貯蔵部に対して移動可能であり得、準備部材の操作に応答して、第1の位置と第2の位置との間で、例えば、第1の位置から第2の位置まで移動するように構成され得る。第1の位置は、第1の所定の位置であり得る。同様に、第2の位置は、第2の所定の位置であり得る。
【0017】
本発明の例示的な実施形態では、用量排出機構は、準備部材と操作可能に結合され、撹拌部材が第2の位置に到達したとき、またはその後に、準備部材の操作に応答して自動的に起動するように構成されている。例えば、準備部材は、磁石を担持し、かつ出口被覆位置から出口露出位置まで可変容積貯蔵部に対して近位に変位可能である、シールド部材を含み得、撹拌部材は、可変容積貯蔵部内に磁性要素を含み得、磁性要素は、シールド部材が出口被覆位置から出口露出位置に移動することに応答して、可変容積貯蔵部内の遠位位置から近位位置に移動可能であり、用量排出機構は、ばねを動力源とし、シールド部材が出口露出位置に到達することに応答して、解放するように構成され得る。
【0018】
撹拌部材は、例えば、基準軸に対して垂直および/または基準軸を中心としてなど、基準軸に沿って、ある角度で可変容積貯蔵部に対して移動可能であり得、すなわち、移動は、基準軸に対して並進、回転、または並進および回転の組み合わせ、例えば、螺旋状であってもよい。あるいは、撹拌部材は、第1の基準軸に沿って、かつ第2の基準軸を中心として、可変容積貯蔵部に対して移動可能であってもよい。第1の基準軸および第2の基準軸は、直交し得る。いずれの場合でも、第1の位置および第2の位置は、可変容積貯蔵部に対するそれぞれの軸方向、横方向、および/または角度方向位置であってもよい。
【0019】
例えば、撹拌部材は、基準軸に沿って延在し、準備部材の操作に応答して、第1の位置と第2の位置との間で可変容積貯蔵部に対して当該基準軸に沿って並進し、かつ/または当該基準軸を中心として回転することによって、撹拌相対運動を受けるように構成され得る。
【0020】
撹拌部材の構成は、可変容積貯蔵部に対する撹拌相対運動中に医薬懸濁液において所望の乱流を生成するために、製造業者によって選択され得る。
【0021】
準備部材は、用量排出機構の起動前に、出口を通したある体積の医薬懸濁液の排出を可能にするように操作可能であり得る。言い換えると、用量排出機構は、準備部材の操作前に、出口を通してある体積の医薬懸濁液を排出することが防止され得る。そのような場合、用量送達装置は、用量排出機構の起動が防止される初期状態から用量排出機構の起動が可能にされる解放状態に切り替え可能な解放可能な係止体をさらに備え得、解放可能な係止体が、準備部材と操作可能に結合され、準備部材の操作に応答して、初期状態から解放状態に切り替わるように構成されている。したがって、準備部材の操作は、用量排出機構の1つ以上の部品の移動に対する物理的障害物の除去を含み得る。
【0022】
そのような配設は、ユーザが、準備部材を事前に操作することなく、用量排出機構を起動することを防止することになり、それによって、例えば、用量送達装置が袋またはバッグ内で大雑把に持ち運ばれる単なる結果として、ユーザが用量排出機構を意図せず起動するリスク、および結果的に薬剤を周囲に廃棄することが排除される。
【0023】
解放可能な係止体は、撹拌部材の一部を形成してもよく、それによって、用量送達装置内の異なる構成要素の数が低減される。
【0024】
用量送達装置は、用量排出機構の少なくとも一部分を収容し、基準軸を画定するハウジングをさらに備え得る。
【0025】
可変容積貯蔵部は、例えば、ステーク状針を有するシリンジ、摺動可能なゴムストッパによって近位に密封され、かつ穿刺可能な隔壁によって密封され得る細くなる遠位出口部分を有するほぼ円筒形本体を含むカートリッジタイプの容器、または一体化された出口部分を有する変形可能な本体を備えるパウチタイプの容器などの、医薬懸濁液を保持するのに好適な任意のタイプの可変容積容器であってもよい。
【0026】
本発明の例示的な実施形態では、可変容積貯蔵部は、可撓性箔貯蔵部などの変形可能な貯蔵部であり、撹拌部材は、可撓性箔貯蔵部を変形させて、それによって、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を引き起こすように適合された変形要素を含む。それによって、再懸濁は、医薬懸濁液中の異物の存在なしで達成され得る。変形要素は、可撓性箔貯蔵部の外面をスイープおよび圧搾して、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を引き起こすように適合され得、これは、機械的に単純かつ人間工学的な構造を提供する。あるいは、変形要素は、例えば、スイープなしの、所定の、もしくはランダムな順序で外面の異なる領域を圧搾するか、または回転運動で外面を擦るように適合され得る。いずれの場合も、外面への影響は、可撓性箔貯蔵部の圧縮を引き起こし、これは、次いで、医薬懸濁液に撹乱を引き起こすことになる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「可撓性箔貯蔵部」という用語、または単に「箔貯蔵部」という用語は、変形要素によって変形されて再懸濁撹拌を得ることができる容器、すなわち、1つ以上の可撓性表面部分を有する容器を指す。したがって、「箔貯蔵部」は、その全ての部分が、例えば、パウチのように変形可能であるという意味で完全に可撓性であってもよく、またはそのいくつかの部分のみが、例えば、硬質基部部材に溶接されたか、もしくは別様に密封可能に取り付けられた箔シートのように変形可能であるという意味で部分的に可撓性であってもよい。注射針などの一体化された出口要素を備え得るか、または別個の出口要素を受容するように適合され得る。
【0028】
準備部材は、出口を覆うためにハウジングに取り外し可能に取り付けられたキャップを備え得、変形要素は、キャップに取り付けられてもよく、またはその一部を形成してもよく、キャップは、ハウジングおよび可撓性箔貯蔵部に対する相対軸方向運動によって取り外されるように適合され得、変形要素が、それによって、可撓性箔貯蔵部の外面をスイープおよび圧搾する。これは、最小限の数の構成要素を有する単純かつ使い易い用量準備システムを提供する。
【0029】
撹拌部材は、互いから、かつ変形要素から軸方向に離隔されて配設された第2の変形要素および第3の変形要素をさらに備え得、変形要素のうちの少なくとも2つは、異なる角度で基準軸と交差する。異なる角度で基準軸と交差する変形要素は、可撓性箔貯蔵部の外面に対して異なる相対移動を受けることになり、これは、医薬懸濁液中に作り出される乱流を促進することになる。
【0030】
あるいは、準備部材は、ハウジングに取り外し可能に取り付けられたプルタブを備え得、変形要素は、プルタブに取り付けられてもよく、またはその一部を形成してもよく、プルタブは、ハウジングおよび可撓性箔貯蔵部に対する相対横方向運動によって取り外されるように適合され得、変形要素が、それによって、可撓性箔貯蔵部の外面をスイープおよび圧搾する。
【0031】
撹拌部材は、変形要素から横方向に離隔されて配設された第2の変形要素をさらに備え得、2つの変形要素は、異なる角度で基準軸と交差し得、医薬懸濁液中に作り出される乱流を促進する。
【0032】
用量送達装置は、出口を覆うためにハウジングに取り外し可能に取り付けられたキャップをさらに備え得、撹拌部材およびキャップは、プルタブがハウジングに取り付けられたときにキャップの取り外しを防止するように構成された相互に相互作用する接触部材を備え得る。したがって、自動的な再懸濁を引き起こすプルタブの取り外しが、出口を露出させ、それによって、ユーザへの用量の投与を可能にするために必要とされる。
【0033】
用量排出機構は、アクチュエータと、第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へのアクチュエータの軸方向変位に応答して可撓性箔貯蔵部を折り畳むように適合された圧縮部材と、を備え得、撹拌部材は、プルタブがハウジングに取り付けられたときに、第1の軸方向位置から第2の軸方向位置に向かうアクチュエータの移動を阻止するように構成され得る。これは、上述の解放可能な係止体の例を構築し、この場合、撹拌部材の一部を形成し、プルタブの取り外しは、解放可能な係止体を初期状態から解放状態に切り替え、それによって、アクチュエータの起動を可能にする。
【0034】
可変容積貯蔵部が変形可能な貯蔵部または非可撓性貯蔵部であり得る、本発明の他の例示的な実施形態では、撹拌部材は、医薬懸濁液中に浸漬され、可変容積貯蔵部内で移動して、それによって、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を引き起こすように構成されている。
【0035】
いくつかのそのような実施形態では、可変容積貯蔵部は、非可撓性貯蔵部であり、撹拌部材は、非可撓性貯蔵部内で乱流を促進するように構成され、準備部材は、撹拌部材に一体的または機械的に接続される。
【0036】
例えば、非可撓性貯蔵部は、中央ボアを有するエラストマーピストンを備え得、用量排出機構は、ピストンを作動させるためのピストンロッド構造を備え得、ピストンロッド構造が、a)気密接続で中央ボアを通って延在するように構成された前方シャフト部分を有するシャフトと、b)ピストンの近位表面に当接する駆動管と、を備え、シャフトが、使用前位置から、駆動管がシャフトと係合する用量準備完了位置まで、ピストンおよび駆動管に対する初期近位運動と、ピストンおよび駆動管とのその後のジョイント遠位運動と、を受けるように適合されている。その場合、準備部材は、ユーザ操作のために構成されたシャフトの拡大近位端部分を構成し得、撹拌部材は、初期近位運動中に医薬懸濁液の渦運動を促進するように構成されたシャフトの拡大遠位端部分を構成し得る。
【0037】
したがって、用量準備システムは、準備部材、撹拌部材、およびシャフトが、1つの単一構成要素または2つもしくは3つの機械的に結合された構成要素のいずれかであり得るように、用量排出機構の一部を形成し得、医薬懸濁液の自動再懸濁に必要な部品の数を最小化する。
【0038】
非可撓性貯蔵部は、シリンジバレルおよびステーク状針を有するシリンジであり得、それによって、準備的な針取り扱い行為の必要性が排除される。
【0039】
他のそのような実施形態では、撹拌部材は、磁性要素であるか、またはそれを備え、準備部材は、可変容積貯蔵部内の磁性要素の位置に影響を与えることができる磁石であるか、またはそれを備える。これは、医薬懸濁液の再懸濁撹拌が、装置の通例の使用の一部としてユーザによって実行される1つ以上の行為によって自動的に実施され、すなわち、再懸濁を得るために装置の専用の追加の操作が導入されない、解決策の開発を可能にする。
【0040】
例えば、出口は、皮膚への挿入のために構成された針端部分を有する注射針を備え得、準備部材は、磁石を担持し、かつ針端部分が覆われる第1のシールド位置から、針端部分が露出される第2のシールド位置まで、可変容積貯蔵部に対して近位に変位可能である、針シールドを含み得、磁性要素であるか、またはそれを含む撹拌部材は、針シールドが第1のシールド位置から第2のシールド位置に移動することに応答して、可変容積貯蔵部内の遠位位置から近位位置に移動可能であり得る。
【0041】
針端部分を露出させ、かつそのユーザの皮膚への挿入を可能にするために必要な針シールドの近位変位は、したがって、可変容積貯蔵部内の撹拌部材を担持された磁石の近位運動に追従させ、それによって、医薬懸濁液において乱流を作り出すことによって、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を確保する。
【0042】
用量送達装置の自動注射器バージョンでは、用量排出機構は、ばねを動力源とし、針シールドが第2のシールド位置に到達することに応答した解放および自動用量排出のために構成され得る。したがって、医薬懸濁液の再懸濁を引き起こすことと全く同じ移動は、その後すぐに医薬懸濁液の自動排出も引き起こす。これは、皮膚表面上の所望の場所に針シールドを配置し、可変容積貯蔵部を皮膚に向かって押すだけで、用量が投与され得る、取り扱い易い用量送達装置を提供する。
【0043】
あるいは、準備部材は、皮膚への用量排出を可能にするために可変容積貯蔵部から取り外されなければならない出口保護キャップを含み得る。キャップは、磁石を担持し得、可変容積貯蔵部に対する遠位運動によって取り外し可能であり得、磁性要素であるか、またはそれを備える撹拌部材は、キャップが取り外されることに応答して、可変容積貯蔵部内の近位位置から遠位位置に移動可能であり得る。
【0044】
したがって、出口を露出させるために必要であるキャップの遠位変位は、可変容積貯蔵部内の撹拌部材を担持された磁石の遠位運動に追従させ、それによって、医薬懸濁液において乱流を作り出すことによって、医薬懸濁液の再懸濁撹拌を確保する。キャップの取り外し後、用量送達装置は、用量投与の準備が整い得る。
【0045】
撹拌部材は、医薬懸濁液において乱流を発生させるための条件を最適化するように形状決めされ得る。特に、可変容積貯蔵部が非可撓性貯蔵部である場合、撹拌部材は、非可撓性貯蔵部の内部寸法に実質的に対応する外部寸法を有し得る。例えば、非可撓性貯蔵部が、内側貯蔵部直径を有する円筒形貯蔵部本体を含む場合、撹拌部材は、内側貯蔵部直径よりもわずかに小さい外側撹拌部材直径を有する環状撹拌部材本体を備え得る。その場合、撹拌部材本体の外面部分には、撹拌部材本体に沿った医薬懸濁液の通過を可能にするために、1つ以上の溝が提供され得る。溝のうちの1つ以上は、軸方向に延在してもよく、または貯蔵部本体によって画定される長手方向軸に対して傾斜されてもよく、後者は、撹拌部材にすぐ続いて液体の渦運動を誘発する。
【0046】
撹拌部材本体は、内側撹拌部材直径を有する中央ボアをさらに画定し得、それを通る液体通路、すなわち、抗力を低減することを可能にする。
【0047】
撹拌部材本体は、磁性材料で形成され得る。あるいは、撹拌部材本体は、例えば、プラスチックの非磁性シェルによって覆われた磁性コアを含み得る。
【0048】
上記の変動では、用量準備システムは、可変容積貯蔵部内の磁性要素の位置に影響を与えることができる第1の磁石を担持する出口保護キャップの形態の第1の準備部材と、可変容積貯蔵部内の磁性要素の位置に影響を与えることができる第2の磁石を担持する針シールドの形態の第2の準備部材と、を備え得る。個々の磁石強度の適切な比では、医薬懸濁液の第1の再懸濁撹拌は、出口保護キャップの取り外し中に達成され得、医薬懸濁液の第2の再懸濁撹拌は、その後、針シールドの近位変位中に達成され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「医薬懸濁液」という用語は、液体媒体中に分散された治療的に活性な固体粒子を含有する任意の剤形を指し、固体粒子は、沈殿のために十分に大きい。用語は、粒子が沈降した状態であっても、そのような剤形に適用される。また、第1の指定された特徴および第2の指定された特徴が「操作可能に結合」されていると言うとき、これは、2つの特徴が、指定された機能を実施するやり方で接続され、1つの特徴の状態、位置、および/または配向の変化が、他方の状態、位置、および/または配向に影響を与えることを意味する。用語は、ある距離で相互作用するために一体的に接続される、当接する、組み立てられる、または構成される特徴を包含し、すなわち、特徴は、1つの単一部品の異なるが一体的な部分であってもよく、またはそれらは、機械的に接続されるか、もしくは、例えば、磁化によってなどの非接触で互いに別様に影響する別個の部品であってもよい。
【0050】
いかなる疑念も回避するために、この文脈では、「注射装置」という用語は、例えば、取り付け可能な針装置の助けを借りて、対象者の体内に流体媒体を注射するのに適した器具を指し、「薬剤」という用語は、状態の治療、予防、または診断に使用される媒体、すなわち、体内で治療または代謝効果を有する媒体を含む媒体を指す。さらに、「遠位」および「近位」という用語は、薬剤送達装置、薬剤貯蔵部、または針ユニットにおける位置、もしくはこれらに沿った方向を示し、「遠位」は薬剤出口端を指し、また「近位」は、薬剤出口端とは反対側の端を指す。
【0051】
本明細書において、特定の態様または特定の実施形態(例えば、「一態様」、「第1の態様」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」、またはこれらに類するもの)への言及は、それぞれの態様または実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または、特性が、少なくとも本発明のその一態様または実施形態に含まれるか、または固有のものであるが、必ずしも本発明の全ての態様または実施形態の中に含まれるわけではなく、それら全ての固有のものでもないことを表す。しかしながら、本発明に関連して説明した様々な特徴、構造および/もしくは特性の任意の組み合わせが、本明細書に明示的に記載されない限り、または明確に文脈上矛盾しない限り、本発明に包含されることが強調される。
【0052】
本文中のありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、など)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図するものであり、別段特許請求されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。さらに、本明細書中のいずれの言語または言い回しも、特許請求されないいずれの要素も本発明の実施に必須であると示しているとは解釈されない。
【0053】
以下において、本発明を、図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本発明の第1の例示的な実施形態による用量送達装置の分解組立図である。
図2図2は、使用前状態にある用量送達装置の斜視図である。
図3-4】図3および図4は、初期キャップ取り外し中の用量送達装置のそれぞれの斜視図および長手方向断面図である。
図5図5は、用量送達装置で用いられる再懸濁原理の概略図である。
図6-11】図6図11は、用量準備および用量投与中の様々な操作状態にある用量送達装置の異なる図である。
図12図12は、本発明の第2の例示的な実施形態による用量送達装置の分解組立図である。
図13図13は、使用前状態にある用量送達装置の斜視図である。
図14-19】図14図19は、用量準備および用量投与中の様々な操作状態にある図13の用量送達装置の異なる図である。
図20図20は、本発明の第3の例示的な実施形態による用量送達装置の長手方向断面図である。
図21-22】図21および図22は、それぞれ、用量準備および用量投与後の図20の用量送達装置の長手方向断面図である。
図23図23は、本発明の第4の例示的な実施形態による用量送達装置の分解組立図である。
図24-27】図24図27は、図23の用量送達装置の様々な構成要素を詳述する異なる図である。
図28-37】図28図37は、装置の一部分が明瞭化のために切り取られている、用量準備および用量投与中の様々な操作状態にある図23の用量送達装置の異なる図である。
図38-39】図38および図39は、本発明の第5の例示的な実施形態による用量送達装置の部分組立品のそれぞれの分解組立図である。
図40図38の部分組立品の長手方向断面図である。
図41-46】図41図46は、部分組立品の個々の構成要素の様々な図である。
図47図47は、用量送達装置の最終組み立て前の部分組立品の斜視図であり、明瞭化のために様々な部分が切り取られているか、または透明にされている。
図48-60】図48図60は、用量準備および用量投与中の様々な操作状態にある用量送達装置の異なる図である。
図61-64】図61図64は、用量解放機構の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図において、同様の構造は主に同様の参照番号によって識別される。
【0056】
「上」および「下」、「左」および「右」、「水平」および「垂直」、「時計回り」および「反時計回り」などの相対的な表現が以下で使用されるとき/場合、これらは添付の図を参照しており、必ずしも実際の使用状況を参照するものではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。
【0057】
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態による用量送達装置1の分解組立図である。用量送達装置1は、上部シェル2および底部シェル3によって画定されたハウジング2、3内に配設された硬質基部部材4を備える。一体化された注射針12および担体板14を有する可撓性箔貯蔵部10は、横方向端プレート6のすぐ近位で、基部部材4の前方部分7に固定される。箔貯蔵部10は、ある体積の医薬懸濁液を保持する。一対の軸方向に延在するレール5は、基部部材4の両側に沿って配設される。
【0058】
用量送達装置1は、軸方向に延在するリブ構造40が取り付けられるキャップ30をさらに備える。リブ構造40は、2つの平行な側面部材41および3つのリブ44a、44b、44cを備える。遠位リブ44aは、第1の傾斜角度で側面部材41を接続し、中央リブ44bは、第2の傾斜角度で側面部材41を接続し、近位リブ44cは、第1の傾斜角度と同一の第3の傾斜角度で側面部材41を接続する。側面部材41の各々は、V字形フック43を担持する薄い近位区分42を有する。
【0059】
用量送達装置1はまた、近位押しボタン22を有する細長い本体21と、2部品ゴムスクイーザ27、28を収容するように適合された遠位陥凹部29と、を有する、用量排出部材20を備える。カラーマーキング21cは、突出ガイド部材21pのすぐ遠位にある細長い本体21の上面上に位置付けられ、2つの横方向突出部23、24は、細長い本体21の両側に互いの軸方向延長部に配設される(一方の対のみが視認可能である)。横方向突出部23のうちの一方は、斜めの先導面25を有し、他方の横方向突出部24は、斜めの後続面26を有し、2つの横方向突出部23、24の間にV字形くぼみを残す。突出ガイド部材21cは、ハウジング2、3内への用量排出部材20の直線的な前進を提供するように適合され、カラーマーキング21cは、用量排出部材20がハウジング2、3内に完全に前進したときに上部シェル2の窓2wを通してユーザに視認可能になるように配設され、それによって、用量投与行為が適切に実行されたことを視覚的に合図する。
【0060】
図2は、使用前状態にある用量送達装置1の斜視図であり、明瞭化のために上部シェル2が除去されている。この状態では、キャップ30は、ハウジング2、3上に完全に装着され、したがって、注射針12を覆い、保護する。見て分かるように、側面部材41は、例えば、接着または溶接によって、キャップ30の内部端壁31に固定的に取り付けられ、遠位リブ44aは、箔貯蔵部10の近位に位置付けられている。また、リブ構造40および用量排出部材20は、フック43(1つのみが視認可能である)がそれぞれの横方向突出部23、24とレール5との間に閉じ込められるという点で接続されているということも分かる。
【0061】
以下の図は、様々な操作状態にある用量送達装置1を示す。箔貯蔵部10に収容されるある体積の医薬懸濁液の投与を準備するために、キャップ30は、図3に示されるように矢印の方向に、最初にハウジング2、3から引き抜かれなければならない。これは、リブ44a、44b、44cが箔貯蔵部10を連続的にスイープし、それによって、医薬懸濁液の再懸濁撹拌運動を誘発することにつながるとともに、フック43と横方向突出部23、24との間の係合に起因して用量排出部材20がハウジング2、3内に引き込まれることにつながる。キャップ30の遠位変位の間、斜めの後続面26は、フック43に反力を加え、その反力は、半径方向外向きを指す小さい非軸方向構成要素を有する。しかしながら、フック43がレール5に沿って移動する限り、フック43は、2つの横方向突出部23、24の間のくぼみから係合解除されることを防止される。図3では、遠位リブ44aは、箔貯蔵部10を完全にスイープしており、中央リブ44bは、ほぼ中間にある。
【0062】
図4は、図3に示される状態の用量送達装置1の長手方向断面図であり、基部部材4の各側面に配設されたゴムスクイーザ27、28の2つの部品を示す。用量排出部材20がキャップ30の移動によって遠位に引かれると、ゴムスクイーザ27、28の2つの部品は、基部部材4に沿って摺動し、箔貯蔵部10に近づく。
【0063】
図5は、用量送達装置1によって用いられる再懸濁原理の概略的な例示である。可撓性貯蔵部を使用することは、箔に圧力を加え、加えられた圧力の場所を変化させて、液体の乱流運動を機械的に引き起こすことによって、液体中の薬剤粒子の再懸濁を可能にする。乱流運動は、2つの理由から好ましい。第一に、それは、はるかに良好な混合、したがって、より均一な濃度を確保し、第二に、それは、より高い速度およびより薄い境界層を伴い、液体に、層流よりも表面の近くで粒子を撹拌させる。
【0064】
高速乱流は、あるエリアに圧力を加えること、およびこの圧力を連続的に加えながら、エリアを箔に対して移動させることによって、箔貯蔵部10内に誘発される。あるエリアに圧力が加えられると、液体は、そのエリアから変位し、箔貯蔵部10内の他の場所に移動する。図5は、中央リブ44bが箔貯蔵部10の上を軸方向に移動するときに起こることの原理を示すが、簡略化のために、中央リブ44bは、ここでは、運動軸に垂直な延長軸を有するものとして描かれている。
【0065】
任意の相互作用位置では、中央リブ44bは、液体充填済み箔貯蔵部10内にへこみを作製する。中央リブ44bが、第1の中間位置pi,1から第2の中間位置pi,2まで速度vで移動すると、図5の淡灰色の着色によって示される体積Vの液体が、変位し、中央リブ44bの前方の圧力蓄積によってリブ頂点の下に強制的に移動させられることになる。この体積Vは、図5のより暗い灰色の着色によって示される、リブ頂点の下の小さいエリアVのみを通過し得、これは、本例では、体積Vの約1/4である。結果として、リブ頂点の下を通過する液体の平均速度は、約4vとなる。
【0066】
境界条件に起因して、液体の速度プロファイルは、硬質担体板14に対する界面で0の速度、かつ中央リブ44bの速度の4倍よりも著しく高い最大速度を有する放物線である。それによって、中程度のリブ速度でさえも、リブ頂点の下を通過する液体の高速乱流を発生させることになる。この高速流は、中央リブ44bの後ろに存在する液体に入り、この体積でも同様に乱流を引き起こす。
【0067】
したがって、キャップ30がハウジング2、3から取り外される際に、3つのリブ44a、44b、44cが連続して箔貯蔵部10をスイープすると、医薬懸濁液が激しく撹拌されることになり、結果として自動的に再懸濁される。
【0068】
図6では、キャップ30は、中央リブ44bが箔貯蔵部10を完全にスイープし、近位リブ44cが箔とのその相互作用をちょうど開始した点まで遠位に引かれている。一方で、側面部材41の薄い近位区分42は、レール5との接触から外れて移動している。この点では、レール5は、薄い近位区分42の横方向運動をもはや防止せず、したがって、キャップ30の継続的な引張は、斜めの後続面26からのそれぞれの非軸方向反力成分に応答して、薄い近位区分42が外向きに曲がることにつながる。これは、図7において例示される。結果として、フック43は、横方向突出部23、24とキャップ30との間のそれぞれのくぼみから係合解除され、したがって、図8に見られるように、用量排出部材20から係合解除する。キャップ30の取り外し移動の最後の部分の間、用量排出部材20は、近位リブ44cが箔貯蔵部10をスイープするため、結果として静止したままである。
【0069】
図9aおよび図9bは、キャップ30の取り外し後の用量送達装置1の残りの部品を示す。図9bから、ゴムスクイーザ27、28は、基部部材4の厚さが徐々に増加する移行部分8に位置付けられていることが見て分かる。この厚さの漸進的な増加は、基部部材4に沿ったゴムスクイーザ27、28の遠位運動に対する増加した抵抗を提供し、したがって、用量排出部材20を引っ張るために必要な力が、横方向に解放されたフック43と横方向突出部23、24の間のくぼみとの間の界面で伝達することができる力よりもさらに大きくなるため、用量排出部材20からのキャップ30の容易な取り外しに寄与する。
【0070】
しかしながら、移行部分8は、細長い本体21によって押されているときにゴムスクイーザ27、28にとって通過し易い。したがって、ユーザが、その後、注射針12を皮膚に挿入し、押しボタン22をハウジング2、3に向かって押し下げて用量投与を実施するとき、ゴムスクイーザ27、28は、基部部材4の増加した厚さを容易に克服し、大きな労力を必要とせずに箔貯蔵部10に向かって進む。
【0071】
前方部分7における基部部材4の増加した厚さは、移行部分8の通過時にゴムスクイーザ27、28がわずかに弾性変形することにつながり、これは、次いで、用量排出部材20がハウジング2、3内にさらに押し込まれるにつれて、ゴムスクイーザ27、28が前方部分7、および最終的には箔貯蔵部10に、より大きい圧縮力を加えることにつながる。したがって、用量排出部材20が、図10および図11の異なる図によって例示されるハウジング2、3内に遠位に前進すると、箔貯蔵部10は、しっかりと圧縮され、ますます崩壊し、それによって、医薬懸濁液が注射針12を通ってユーザの体内に押し出される。
【0072】
図12は、本発明の第2の例示的な実施形態による用量送達装置100の分解組立図である。上記に説明される用量送達装置1のコンパクトな変形例として見ることができる用量送達装置100は、上部シェル102および底部シェル103によって画定されるハウジング102、103内に配設された硬質基部部材104を備える。一体化された注射針112および担体板114を有する可撓性箔貯蔵部110は、横方向端プレート106のすぐ近位で、基部部材104の前方部分107に固定される。箔貯蔵部110は、ある体積の医薬懸濁液を保持する。一対の軸方向に延在するレール105は、基部部材104の両側に沿って配設される。
【0073】
用量送達装置100は、横方向に延在するリブ構造140が取り付けられるプルタブ130をさらに備える。リブ構造140は、上部シェル102の開口部109を通って延在するように適合された2つの平行な側面部材141と、2つのリブ144a、144bと、を備える。前方リブ144aは、第1の傾斜角度で側面部材141を接続し、後方リブ144bは、第1の傾斜角度とは異なる第2の傾斜角度で側面部材141を接続する。
【0074】
用量送達装置100はまた、取り外し可能なキャップ150と、近位押しボタン122を有する軸方向に延在する本体121、および2部品ゴムスクイーザ127、128を収容するように適合された遠位陥凹部129を有する、用量排出部材120と、を備える。横方向突出部123は、細長い本体121の両側に配設される(1つのみが視認可能である)。横方向突出部123の各々は、斜めの先導面125を有する。キャップ150は、一対の軸方向に延在する平行なアーム151を備え、アームの各々は、斜めの近位面154および直線状の遠位面153を有する拡大端区分152で終端する。
【0075】
図13は、使用前状態にある用量送達装置100の斜視図であり、明瞭化のために上部シェル102が除去されている。この状態では、キャップ150は、ハウジング102、103上に完全に装着され、したがって、注射針112を覆い、保護する。アーム151は、リブ構造140の上に延在し、拡大端区分152の直線状の遠位面153は、ハウジング102、103に対するキャップ150の軸方向運動が防止されるように、側面部材141のうちの一方の近位側面143に当接する。さらに、横方向突出部123の斜めの先導面125は、拡大端区分152の斜めの近位面154に当接し、したがって、用量送達装置100の使用前状態は、効果的に、リブ構造140の存在がキャップ150の取り外しおよび用量排出部材120の起動の両方を防止する、係止状態である。
【0076】
以下の図は、様々な操作状態にある用量送達装置100を示す。箔貯蔵部110に収容される、ある体積の医薬懸濁液の投与を準備するために、プルタブ130は、最初に、図14および図15に示されるように、矢印の方向に、ハウジング2、3から引き抜かれなければならない。これは、リブ144a、144bが箔貯蔵部110を連続的にスイープし、それによって、本発明の第1の例示的な実施形態に関連して上記に説明されたものと同様の様式で医薬懸濁液の再懸濁撹拌運動を誘発することにつながる。
【0077】
プルタブ130が完全に取り外され、したがって、近位側面143が拡大端区分152の移動をもはや妨げなくなると、キャップ130は、図16に示される矢印の方向の軸方向相対運動によってハウジング102、103から取り外され得る。これは、注射針112を露出させ、したがって、用量送達装置100は、適切に再懸濁された薬剤による用量投与の準備が整う。
【0078】
図17aおよび図17bは、準備完了状態の用量送達装置100を図示し、図17bから、ゴムスクイーザ127、128は、最初に、基部部材104の厚さが徐々に増加する移行部分108に位置付けられていることが見て分かる。それによって、本発明の既出の例示的な実施形態の場合と同様に、ユーザが注射針112を皮膚に挿入し、押しボタン122をハウジング102、103に向かって押し込んで、用量投与を実施するとき、ゴムスクイーザ127、128は、用量排出部材120がハウジング102、103内に押し込まれるにつれて、移行部分108の通過時にわずかに弾性的に変形し、したがって、前方部分107および箔貯蔵部110に増加した圧縮力を加える。
【0079】
したがって、用量排出部材120が、図18および図19の異なる図によって例示されるハウジング102、103内に遠位に前進すると、箔貯蔵部110は、しっかりと圧縮され、ますます崩壊し、それによって、医薬懸濁液が注射針112を通ってユーザの体内に押し出される。
【0080】
図20は、本発明の第3の例示的な実施形態による用量送達装置200の長手方向断面図である。用量送達装置200は、シリンジバレル210を収容するハウジング202を備える。シリンジバレル210は、近位ハウジング端203と係止係合する近位カラー213と、注射針212が固定的に取り付けられる遠位出口端部分211と、を有する。注射針212は、取り外し可能な保護キャップ219によって覆われた用量送達装置200の使用前状態にある。
【0081】
密封ゴムピストン218が、シリンジバレル210の内部を、医薬懸濁液で予め充填された湿潤チャンバ215と、ピストン駆動管220を収容する乾燥チャンバと、の2つに分離する。ピストン駆動管220は、ピストン218の近位端面と当接する遠位本体端228を有する軸方向硬質駆動管本体221を有する。駆動管本体221の近位端区分は、シリンジバレル210の中心に向かって先細りし、近位本体端222で終端する。
【0082】
ピストン218は、中央シャフト232が液体密封様式で延在する中央ボアを有する。中央シャフト232は、乾燥チャンバ内の半径方向拡大シャフト区分231と、湿潤チャンバ215内の遠位混合ヘッド240と、を有する。拡大シャフト区分231は、ハウジング202の外部、かつ移行部236の遠位に、ユーザ操作可能なプルプッシュノブ230において近位に終端する。拡大シャフト区分231の半径方向寸法は、駆動管本体221の弛緩状態にある近位本体端222の半径方向範囲よりも大きい。これは、近位本体端222が、用量送達装置200の使用前状態で半径方向内向きに付勢されることを意味する。
【0083】
混合ヘッド240は、シリンジバレル210の内径よりもわずかに小さい半径方向寸法を有する。図20に示される使用前状態では、中央シャフト232は、湿潤チャンバ215内にほぼ完全に延在し、混合ヘッド240は、出口端部分211の近くに位置付けられている。それに応じて、プルプッシュノブ230は、近位ハウジング端203の近くに位置付けられる。拡大シャフト区分231、混合ヘッド240、およびプルプッシュノブ230を含む中央シャフト232は、1つの単一構成要素として提供される。
【0084】
操作中、出口端部分211からの保護キャップ219の取り外し後、図21に示すように、ユーザは、混合ヘッド240がピストン218に到達するまで、プルプッシュノブ230の操作によって中央シャフト232を引き戻す。シリンジバレル210に対する混合ヘッド240の近位運動は、任意の沈殿した薬剤粒子を再懸濁するのに十分である、混合ヘッド240の周囲の医薬懸濁液の撹拌運動(視認できない)を引き起こす。混合ヘッド240がピストン218に到達すると、移行部236は、結果としてより小さい直径位置にスナップする近位本体端222を通過し、それによって、ピストン218およびピストン駆動管220を混合ヘッド240と移行部236との間に軸方向に係止する。
【0085】
再懸濁された医薬懸濁液を投与するために、ユーザは、ここで、プルプッシュノブ230を近位ハウジング端203に向かって遠位に押し、これは、移行部236に、軸方向駆動力を近位本体端222に加えさせ、駆動力は、軸方向硬質駆動管本体221を介してピストン218に伝達される。ピストン218がシリンジバレル210を通って前進すると、ある体積の医薬懸濁液が注射針212を通って排出される。図22では、プルプッシュノブ230は、完全に押し下げられており、ピストン218は、シリンジバレル210内のその最終的な投与終了位置に到達している。
【0086】
図23は、本発明の第4の例示的な実施形態による用量送達装置300の分解組立図である。用量送達装置300は、カートリッジタイプ貯蔵部に基づいており、カートリッジ組立品301cおよびハウジング組立品301hを備える。カートリッジ組立品301cは、遠位出口端部分311および一対の正反対の近位カートリッジフランジ316を有するカートリッジ310を備える。カートリッジ310は、ある体積の医薬懸濁液を保持し、摺動可能なピストン318によって近位に、かつ注射針312も配設される出口端部分311に接着された貫通可能な隔壁313によって遠位に密封される。ディスク317が、皮膚における注射針312の挿入の可能な深さを画定する位置で、注射針312上に固定的に装着されている。
【0087】
カートリッジ組立品301cは、注射針312およびカートリッジ310を収容するように適合された中空針キャップ本体331を有する針キャップ330をさらに備える。その近位端で、中空針キャップ本体331は、半円形磁石334を覆い、かつ保持するように適合された半円形オーバーハング333によって接続される、一対の正反対の針キャップフランジ332を備える。磁石334は、カートリッジ310の内部315(図24aおよび図24bを参照)内に配設された磁性ミキサ要素340を引き付けるように適合されている。各針キャップフランジ332は、当接表面332sを有し、カートリッジフランジ316のうちの1つの回転摺動受容のための内面部分上にノッチ335を備える。
【0088】
ハウジング組立品301hは、中央ハウジング部品302、近位ハウジング部品303、および遠位ハウジング部品304からなる3部品外側ハウジングを備える。そのように、外側ハウジングは、内部構成要素の位置付けを可能にするように分割される。各ハウジング部品は、他のハウジング部品のうちの少なくとも1つへの固定取り付けのための手段を有する。具体的には、近位ハウジング部品303は、いくつかの遠位に延在するスナップアーム303mを有し、これらは、各々、中央ハウジング部品302内の対応するいくつかの受容くぼみ302fのうちの1つと係合するように適合されており、中央ハウジング部品302は、同様に、いくつかの遠位に延在するスナップアーム302mを有し、これらは、各々、遠位ハウジング部品304内の対応するいくつかの受容くぼみ304fのうちの1つと係合するように適合されている。遠位ハウジング部品304は、半径方向内向きに突出する遠位リム304rをさらに有する。
【0089】
外側ハウジングは、係止リング350、ステータ360、ピストンロッド320、駆動ばね370、および遠位ばね基部371を収容する。ピストンロッド320は、細長いピストンロッド本体321と、ピストン318と相互作用するように適合された遠位ピストンロッド足部328と、遠位ばね基部371を支持するための中央プレート322と、近位ハウジング部品303の内部部分との相互作用のための近位スタッド323と、を有する。中央プレート322のすぐ遠位に、ピストンロッド320は、軸方向に延在するアーム326を有するハンガープロファイルを備える。押しボタン380は、近位ハウジング部品303から近位に延在する。押しボタン380は、指と相互作用するように適合された横方向端表面382、および軸方向に突出する幹383を有し、ボタンばね385によって近位方向に付勢される。
【0090】
図24aおよび図24bは、使用前状態にあるカートリッジ組立品301cのそれぞれの斜視図および長手方向断面図であり、中空針キャップ本体331の内側のカートリッジ310を示す。使用前状態では、カートリッジフランジ316は、ノッチ335内に受容され、それによって、カートリッジ310は、針キャップ330に対して軸方向に固定される。オーバーハング333内の磁石334の位置は、磁性ミキサ要素340に、ピストン318の隣のカートリッジ310内の近位端位置を維持させる。
【0091】
図25aおよび図25bは、中央貫通ボア345および鉄コア346を有する、カートリッジ310の内径に本質的に対応する外径のリング形プラスチック本体341を有する、磁性ミキサ要素340のそれぞれの斜視図および長手方向断面図である。複数の溝344は、プラスチック本体341の外面上に形成される。各溝344は、近位ミキサ端表面342と遠位ミキサ端表面343との間に延在し、カートリッジ310および注射針312によって画定される長手方向軸に対して傾斜している。
【0092】
図26aおよび図26bは、係止リング350の異なる斜視図である。係止リング350は、それぞれの針キャップフランジ332の摺動受容のために2つの長手方向軌道353が提供されている内面352を有する円筒形係止リング本体351を備える。近位端部分では、係止リング350は、一対の正反対の内部棚356(1つのみが視認可能である)と、ハンガープロファイルおよび係止リング350を回転方向に相互係止するためにそれぞれのアーム326を受容するように構成された正反対のボア355を備える一対の正反対の平坦部354と、を有する。係止リング350の内部はまた、それぞれの当接表面332sとの相互作用のために垂直反応表面357(1つのみが視認可能である)も備える。
【0093】
図27aおよび図27bは、それぞれ、ステータ360の側面図および斜視図であり、ステータは、2つの近位に延在する湾曲支柱361を支持するステータ基部363を備え、支柱は、各々、その全長に沿って半径方向外向きに突出するキー362を有する。ステータ360は、それぞれのカートリッジフランジ316の受容および回転固定のための2つの開口部365(1つのみが視認可能である)を有する遠位係止幾何学的形状364をさらに備える。2つの正反対の湾曲スロット366がステータ基部363内に提供され、これは、それぞれのアーム326の通過を可能にし、したがって、ステータ360に対するハンガープロファイルの所定の角度移動のために、湾曲支柱361間の円周方向の間隔と一緒である。
【0094】
以下では、用量送達装置300の操作が、図28図37を参照して説明される。
【0095】
図28は、ハウジング組立品301hの中への挿入の準備ができたカートリッジ組立品301cを示す、用量送達装置300の斜視図である。ハウジング組立品301hの一部分は、内部構成要素の検査を可能にするために取り外されている。係止リング350およびステータ360は、遠位リム304rと近位ばね基部305との間の外側ハウジングに対して軸方向に固定されていることが分かる。ステータ360は、キー362が近位ばね基部305内に回転方向に係止されることに起因して、外側ハウジングに対してさらに回転方向に固定される。さらに、近位スタッド323は、予め引っ張られた駆動ばね370からの付勢力に対してピストンロッド320を定位置に保持する一対の可撓性のフィンガ303hと係合する。
【0096】
図29は、ハウジング組立品301hの中へのカートリッジ組立品301cの直線挿入の初期ステップ後の用量送達装置300を示す。挿入中、針キャップフランジ332は、係止リング350(図示せず)内の軸方向停止部に接するまで、それぞれの長手方向軌道353内で摺動する。これが起こったとき、カートリッジフランジ316は、ステータ360のそれぞれの開口部365に入っている。この図では、ステータ360が完全に示されており、係止リング350の内部構成の一部は、特に棚356のうちの1つの識別を可能にするために、視認可能にされる。
【0097】
カートリッジ組立品301cとハウジング組立品301hとの間の並進的な相対運動を行った後、ユーザは、ここで、針キャップ本体331を図30に見られる矢印の方向に回転させる。これは、当接表面332sをそれぞれの反応表面357と相互作用させ、結果として、係止リング350が針キャップ本体331と連動して回転する。ステータ360が外側ハウジング内に回転方向に固定され、カートリッジフランジ316が開口部365内に位置付けられるため、カートリッジ310は、外側ハウジングに対して静止したままである。係止リング350の回転は、アーム326がボア355内に受容されることに起因して、棚356およびハンガープロファイルの角度変位を引き起こす。
【0098】
回転中、アーム326は、湾曲スロット366を端から端まで移動させ、したがって、湾曲スロット366の円周方向の範囲は、外側ハウジングに対する針キャップ本体331の可能な角度変位を画定する。針キャップ本体331が回転停止部に接する時点で、棚356は、カートリッジフランジ316のすぐ下の位置に移動しており、したがって、係止リング350は、カートリッジ310の軸方向移動を支持および防止する。これは、図31から分かる。
【0099】
ここでカートリッジ310が定位置にあり、外側ハウジングに対して固定されている状態で、ユーザは、図32に示される矢印の方向に、針キャップ本体331をハウジング組立品301hから離れるように引っ張る。これは、カートリッジ310に対するオーバーハング333の軸方向運動を導入し、これは、オーバーハング333内に保持された磁石334に起因して、磁性ミキサ要素340を遠位に引っ張る。磁性ミキサ要素340は、結果として、カートリッジ310の内部315内で下向きに移動し、これは、内部315の前方部分内の液体を、部分的にボア345を通して、かつ部分的に傾斜溝344を通して、本体341を強制的に通過させ、図32および図33の流線Fによって示されるように、本体341にすぐ続いて液体の高速渦運動を生成する。
【0100】
したがって、針キャップ本体331が遠位ハウジング部品304から完全に引き出されたとき、磁性ミキサ要素340は、出口端部分311に存在し、医薬懸濁液は、再懸濁形態であり、用量投与の準備ができている。図34では、露出した注射針312は、皮膚バリア(図示せず)を通して挿入されており、出口端部分311は、ディスク317に対して押し下げられており、それによって、注射針312の後方部分は、カートリッジ310の内部315内に摺動し、隔壁313の貫通(図示せず)を引き起こす。
【0101】
用量投与を実施するために、ユーザは、ここで、図35に示される矢印の方向に押しボタン380を押す。押しボタン380の下向きの移動は、最終的に、幹383を係合させ、可撓性フィンガ303hを半径方向に偏向させ、その結果、スタッド323から係合解除させる。
【0102】
図36に見られるように、これは、遠位ばね基部371、およびそれによってピストンロッド320を下向きに伸長および強制する駆動ばね370を解放する。ピストンロッド足部328は、結果として、カートリッジ310の内部315内でピストン318を遠位に前進させ、したがって、再懸濁された医薬懸濁液は、ボア345および注射針312を通して皮膚内に排出される。
【0103】
図37では、ピストン318は、磁性ミキサ要素340に当接し、カートリッジ310は、(実質的に)空である。したがって、ユーザは、注射針312を皮膚から後退させ、針キャップ本体331をハウジング組立品301h内に直線的に再挿入し、カートリッジ310の取り付け中に針キャップ本体331を回転方向に対して逆に回転させ、カートリッジ310を内部に有する針キャップ本体331を遠位ハウジング部品304から離して引っ張ることによって、使用済みカートリッジ310を係止リング350から取り外すことができる。外側ハウジングに対する針キャップ本体331の近位運動中、カートリッジフランジ332は、アーム326に当接し、スタッド323が可撓性フィンガ303hと接してその後ろにスナップするまでピストンロッド320を上向きに持ち上げ、それによって、駆動ばね370が再び起こされる。それによって、ハウジング組立品301hは、新しいカートリッジ組立品による使用準備が整う。
【0104】
図38は、本発明の第5の例示的な実施形態による用量送達装置400(図47参照)の部品を形成するカートリッジ組立品401cの分解組立図である。カートリッジ組立品401cは、基準軸に沿って延在し、かつ遠位出口部分411を有するカートリッジ410を備える。カートリッジ410は、本発明の第4の例示的な実施形態に関連して上記に説明された磁性ミキサ要素340と同様に、ある体積の医薬懸濁液(図示せず)および磁性ミキサ要素440を保持する。
【0105】
カートリッジ410は、摺動可能なピストン418によって近位に、かつ注射針412の後方部分の周りに配設され、出口部分411に固定された貫通可能な隔壁413によって遠位に密封される。貫通可能な隔壁413は、例えば、弾性針コーティングと注射針412との間の初期接着が提供されるように、注射針412に直接塗布された弾性針コーティングを備え得、初期接着は、2つの間の相対的な軸方向変位によって不可逆的に破断可能である。ディスク417が、皮膚における注射針412の挿入の可能な深さを画定する位置で、注射針412上に固定的に装着されている。その近位端で、カートリッジ410は、フランジ416を備える。
【0106】
カートリッジ組立品401cは、中央内側ハウジング部品492と、中央内側ハウジング部品492の近位端部分にスナップ嵌めされている近位内側ハウジング部品493と、中央内側ハウジング部品492の遠位端部分にスナップ嵌めされている遠位内側ハウジング部品494と、から構成される、3部品内側ハウジングをさらに備える。近位内側ハウジング部品493は、一対の半径方向に対向する近位突出部493p(図38では1つのみが視認可能である)を有するが、一方で、中央内側ハウジング部品492は、一対の半径方向に対向する中央突出部492pを有する。遠位内側ハウジング部品494は、フランジ416を受容および保持するように構成されたその遠位端に受容区分494rを有し、それによって、カートリッジ410は、内側ハウジングに対して軸方向に固定される。
【0107】
内側ハウジングは、ロータ495、ピストン418を駆動するように適合されたピストンロッド420、およびエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを放出してピストンロッド420を作動させることができる駆動ばね470を収容するように構成されている。
【0108】
カートリッジ410および内側ハウジングは、管状シールド本体431、遠位針シールド部分436、および一対の近位に延在するアーム432を備える、シールド部材430内に配設されている。シールド本体431は、中央内側ハウジング部品492上の中央突出部492pと摺動可能に係合するように構成された、内面部分に沿って2つの正反対の内部軌道431t(図50では1つが視認可能である)を有する。遠位針シールド部分436は、貫通可能なシールド密封部438が配設される開口部439を有する横方向端壁437を有する。シールド部材430は、シールドばね435によって付勢され、シールド本体431の遠位端に配設された磁石ホルダ433内に保持される半円形磁石434を担持する。
【0109】
図39は、用量送達装置400のハウジング組立品401hの分解組立図である。ハウジング組立品401hは、主ハウジング部品402およびそれにスナップ嵌めされた上部ハウジング部品403と、遠位端部分に一対の正反対の内側バヨネット軌道459(1つのみが視認可能である)を備える管状基部部材450と、係止部材460と、係止ばね465と、近位部分が上部ハウジング部品403の近位開口部を通って延在する用量解放ボタン480と、ボタンばね485と、を備える。基部部材450は、主ハウジング部品402によって収容され、軸方向および回転方向に固定される。
【0110】
図40は、カートリッジ組立品401cの長手方向断面図であり、使用前状態の構成要素の相対位置を示し、これらの構成要素のうちのいくつかの構造的特徴をさらに詳述する。見て分かるように、シールド部材430の近位に延在するアーム432の各々は、傾斜近位端432iを備える。さらに、ピストンロッド420は、ピストン418の近位表面に当接し、駆動ばね470の遠位基部として作用するように適合された遠位ピストンロッド足部428と、使用前状態で中央内側ハウジング部品492の内部の中央バリア492cの近位側に当接する一対の半径方向突起425と、を有する。中央バリア492cの遠位側は、駆動ばね470の近位基部として作用し、したがって、駆動ばね470は、カートリッジ組立品401cのこの状態では、ピストンロッド428が内側ハウジングに対して遠位に移動することができないため、予め引っ張られ、安全に起こされる。磁性ミキサ要素440は、最初はカートリッジ内部415内に遠位に位置付けられ、磁石ホルダ433の半円形磁石434によって部分的に取り囲まれることに留意されたい。
【0111】
図41は、ピストンロッド420の斜視図であり、ピストンロッド足部428および半径方向突起425に加えて、円筒形主ピストンロッド本体421と、長方形断面を有する近位端片423と、を備える。
【0112】
図42aは、円筒形壁492wと、近位内側ハウジング部品493との相互係止係合のための一対の近位スナップアーム492sと、遠位内側ハウジング部品494と相互係止係合するための一対の遠位くぼみ492iと、を備える、中央内側ハウジング部品492の長手方向断面図である。中央バリア492cは、貫通キーホール492kを有し、環状ブリッジ区分492bによって円筒形壁492wに接続される。キーホール492kは、半径方向突起425を有する主ピストンロッド本体421の断面と類似しているが、わずかに大きい構成を有し、したがって、中央バリア492cは、中央内側ハウジング部品492に対するピストンロッド420の特定の角度配向のみで、半径方向突起425の通過を可能にする。キーホール492kの構成は、中央内側ハウジング部品492の上面図である図42bに見ることができる。
【0113】
図43は、明瞭化のために、内部輪郭(点線で図示される)を可視化するために透明として示される円筒形外壁496を有する、ロータ495の斜視図である。ロータ495は、ピストンロッド420の近位部分を収容するように適合された内部タワー497で形成される。したがって、タワー497は、ピストンロッド420の近位部分と実質的に同様に形状決めされる狭い空間を画定する。特に、タワー497は、断面が長方形である開口部499を有する近位部分を備え、開口部は、近位端片423と嵌合して、ピストンロッド420とロータ495との間に回転方向に相互係止されるが軸方向に自由の接続を提供する。一対の螺旋状ランプ498が外壁496とタワー497との間に形成される。ランプ498は、約半回転延在し、互いに180°オフセットされている。
【0114】
図44は、2つの脚部484を有する円筒形本体483を備える、用量解放ボタン480の斜視図であり、脚部は、各々、傾斜遠位端表面484i、近位カラー部分481、およびわずかに凹状上面482を有する。カラー部分481は、上部ハウジング部品403の内面上の嵌合突出部と摺動係合して、上部ハウジング部品403および主ハウジング部品402に対して用量解放ボタン480を回転方向に係止するように構成されている、円周方向に等距離に間隔を有する3つのカービング489(1つのみが視認可能である)を備える。
【0115】
図45は、基部部材450の斜視図であり、貫通ボア455を有する基部部材本体451と、主ハウジング部品402の内面上の突出部との係合のために構成された円周方向に離隔された4つのノット453を備える基部部材フランジ452と、基部部材450に対する係止部材460の初期角度位置を画定するスタッド456と、近位に延在するアーム432、基部部材450、およびシールド部材430の摺動受容を可能にし、それによって、回転方向に相互係止されるが相対軸方向運動を受けることを可能にされるように構成された2つの正反対のスロット454と、を備える。
【0116】
図46aおよび図46bは、それぞれ、係止部材本体461および近位係止部材フランジ462を備える、係止部材460の斜視図および上面図である。係止部材フランジ462は、2つの正反対の半径方向突出部463を有し、各々が、近位に延在するアーム432の傾斜近位端432iのうちの1つとの連結のために構成された傾斜縁部部分464と、基部部材フランジ452との当接のための遠位表面部分466と、を有する。
【0117】
係止部材本体461の遠位端は、2つの内向きに突出するレッジ468を備え、レッジは、それらの間に正反対のギャップ469を形成するように離隔されている。ギャップ469は、係止部材460および用量解放ボタン480が特定の相対角度位置にあるときに、脚部484の通過を可能にする。
【0118】
ハウジング組立品401hでは、係止部材本体461は、ボア455を通って延在し、遠位表面部分466は、基部部材フランジ452の近位面上に置かれる。したがって、係止部材460は、主ハウジング部品402内で軸方向に制約されるが、それに対して回転することができる。係止ばね465は、半径方向突出部463のうちの1つをスタッド456と当接するように付勢するねじりばねである。
【0119】
以下では、用量送達装置400の組立品および使用が、図47図64を参照して説明される。
【0120】
図47は、ハウジング組立品401hへのカートリッジ組立品401cの取り付け前の用量送達装置400の斜視図である。明瞭化のために、主ハウジング部品402の一部分は切り取られており、基部部材本体451の一部分およびシールド部材430全体が透明として示されている。
【0121】
用量送達装置400を組み立てるために、カートリッジ組立品401cは、近位突出部493pがバヨネット軌道459の入口区分の端に到達するまで、図48の矢印によって示されるように、最初に近位方向に直線的に移動される。その後、シールド部材430は、主ハウジング部品402に対して反時計回りに回転して、近位突出部493pがバヨネット軌道459の端に移動し、それによって、基部部材450および主ハウジング部品402に対して内側ハウジングおよびカートリッジ410を軸方向に係止することを可能にする。これは、図49に示されている。
【0122】
ここで、図50に図示されるように、主ハウジング部品402に対するシールド部材430のさらなる反時計回りの回転は、バヨネット軌道459の端における近位突出部493pの位置に起因して、近位内側ハウジング部品493が、基部部材450に対するさらなる反時計回りの回転を防止されるため、シールド本体431と内側ハウジングとの間の相対角度変位を引き起こす。結果として、中央突出部492pは、内部軌道431tのそれぞれの円周方向軌道部分を強制的に移動させ、接続された軸方向軌道部分と整列させ、それによって、シールド部材430を内側ハウジングに対して軸方向に変位可能にする。ここで、用量送達装置400は、注射行為の準備ができた係止解除状態にある。
【0123】
図51図54は、カートリッジ410内で何が起こっているかを可視化することを可能にするために、いくつかの要素が除去され、かついくつかが透明にされた(いくつかの輪郭は点線で示されている)、さらに分解されたバージョンにおける用量送達装置400を示す。したがって、図51に示される用量送達装置400の状態は、図50に示される状態に対応する。そのため、用量送達装置400の係止解除状態では、磁性ミキサ要素440は、カートリッジ410の遠位部分にピストン418と軸方向に対向して位置付けられ、ディスク417は、出口部分411から軸方向に離隔されている。
【0124】
注射針412を挿入するために、ユーザは、横方向端壁437を皮膚上の所望の場所に配置し、本体に向かって主ハウジング部品402を押す。図52に示されるように、これは、シールド部材430が結果として主ハウジング部品402に対して近位に変位される際に、注射針412の前方先端412tにシールド密封部438を貫通させる。また、主ハウジング部品402に対するシールド部材430の近位変位に起因して、磁石434は、カートリッジ410に対して近位に移動し、それによって、磁性ミキサ要素440は、カートリッジ内部415内で上向きに摺動するように強制され、その後に、流線Fによって示されるように、医薬懸濁液の渦運動を生成する。
【0125】
主ハウジング部品402がユーザの本体に徐々に近づき、それによって、シールド部材430が主ハウジング部品402内にさらに近位に押し込まれると、注射針412は、図53に示されるように、シールド密封部438を有する横方向端壁437がディスク417に到達するまで、皮膚内により深く挿入され、磁性ミキサ要素440は、カートリッジ内部415内でさらに上向きに移動し、医薬懸濁液のより多くを撹拌する。
【0126】
横方向端壁437がディスク417に到達したとき、本体に向けた主ハウジング部品402のさらなる移動は、出口部分411がディスク417と強制的に接触すると、カートリッジ410とディスク417との間の相対収束運動を引き起こす。この収束運動の間、出口部分411に固定されている貫通可能な隔壁413と、ディスク417が固定的に装着されている注射針412との間の初期接着が破断し、注射針412の後方先端412rは、結果として、注射針412がカートリッジ内部415内に小さい距離で摺動すると、貫通可能な隔壁413を貫通する。これは、図54から分かる。
【0127】
ここで、シールド部材430は、主ハウジング部品402内に完全に押し下げられ、磁性ミキサ要素440は、カートリッジ内部415全体を移動し、ピストン418に到達し、それによって、医薬懸濁液の完全な再懸濁を確保し、ユーザの身体に部分的に常駐するカートリッジ内部415と注射針412との間の流体連通が確立される。
【0128】
図51図54に関連して説明された用量送達装置400の状態変化はまた、いくつかの他の顕著な構成要素の移動を含む。図55および図56は、カートリッジ410の外部の層で何が起こっているかの説明を可能にするように、不透明の内側ハウジングを有する用量送達装置400を示す。図55に示される用量送達装置400の状態は、図52に示される状態に対応し、図56に示される用量送達装置400の状態は、図54に示される状態に対応する。
【0129】
したがって、図55では、シールド部材430は、主ハウジング部品402に対してわずかに近位に移動しており、前方先端412tがシールド密封部438(図55では視認可能ではない)を貫通することを可能にする。ディスク417は、この時点で依然として出口部分411から軸方向に離隔されている。中央突出部492pが内部軌道431tの軸方向軌道部分内にガイドされるため、シールド部材430の軸方向移動が可能である。したがって、シールド本体431が基部部材450に対して近位に並進すると、近位に延在するアーム432は、基部部材フランジ452のスロット454を通って延在する。基部部材フランジ452の近位に、傾斜近位端432iは、半径方向突出部463と相互作用し、近位に延在するアーム432が近位運動を続けると、この相互作用は、傾斜縁部部分464が傾斜近位端432iに沿って摺動することにつながり、それによって、主ハウジング部品402の中心軸を中心とした係止部材460の回転につながる。係止部材460の回転は、図56に見られるように、中央突出部492pが内部軌道431tの軸方向軌道部分のそれぞれの端に到達するまで継続する。これは、シールド部材430が主ハウジング部品402内に完全に押し込まれる点である。
【0130】
図57および図58は、構造のさらなる層における構成要素の移動の説明を可能にするために、内側ハウジングを有しておらず、かつロータ495の透明な外壁496および透明な係止部材460を有する用量送達装置400を示す。図57に示される用量送達装置400の状態は、図52および図55に示される状態に対応し、図58に示される用量送達装置400の状態は、図54および図56に示される状態に対応する。
【0131】
図57は、脚部484が係止部材460のレッジ468上に最初に置かれ、それによって、用量解放ボタン480が主ハウジング部品402に対する遠位移動を防止されることを示す。しかしながら、係止部材460の回転につながるシールド部材430の上記に説明された近位変位は、係止部材460に、最終的に、ギャップ469が脚部484と整列される用量解放ボタン480に対する角度位置を占めさせる。図58に示される、この特定の相対角度位置では、用量解放ボタン480は、もはや、主ハウジング部品402に対する遠位移動を防止されず、したがって、ここで、注射機構の起動が可能にされる。
【0132】
注射針412が皮膚に安全に挿入されると、ユーザは、上面482を上部ハウジング部品403に向かって押し下げて、注射を実施する。図59に示されるように、これは、最初に、脚部484の傾斜遠位端表面484iを、ギャップ469を通して移動させ、螺旋状ランプ498と摺動当接させる。用量解放ボタン480が主ハウジング部品402内にさらに押し込まれると、脚部484は、ランプ498に沿って移動し、中心軸を中心としてロータ495を回転させる。したがって、図60から、ロータ495が中心軸を中心として時計回りに回転することは明らかである(近位の視点から見たとき)。
【0133】
開口部499と近位端片423との間の嵌合接続のため、ロータ495の回転は、ピストンロッド420の同様の回転を引き起こす。図61図63は、脚部484がランプ498(点線で図示される)を下に移動する際のピストンロッド420の結果的に生じる角度変位を示す。最初に(図61)、主ピストンロッド本体421は、半径方向突起425が中央バリア492c上に置かれ、ピストンロッド420を固定するように配向されており、最終的に(図63)、主ピストンロッド本体421は、中央内側ハウジング部品492に対して90°時計回りに回転し、その結果、半径方向突起425がキーホール492kと適切に整列することをもたらす。
【0134】
半径方向突起425およびキーホール492kがそのように整列されたとき、駆動ばね470は、伸長することを可能にされ、駆動ばね470の伸長によって解放されるエネルギーが、タワー497を通してピストンロッド420を下向きに付勢することになり、それによって、ピストン418および磁性混合要素440は、カートリッジ内部415内で出口部分411に向かって遠位に強制され、所定の用量の再懸濁された医薬懸濁液を、注射針412を通して排出する。これは、図64に示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図18a
図18b
図19a
図19b
図20
図21
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図24a
図24b
図25a
図25b
図26a
図26b
図27a
図27b
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図46b
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【国際調査報告】