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特表2024-530317不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20240808BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240808BHJP
【FI】
H10B63/00
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513312
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2022058064
(87)【国際公開番号】W WO2023031760
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2021/06263
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517395677
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ サウス アフリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッラバプラプ シュリーデヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッラバプラプ ヴィジャヤ シュリニヴァス
(72)【発明者】
【氏名】ドラミニ ゾリル ワイズマン
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083JA36
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA60
(57)【要約】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置された抵抗スイッチング/活性層とを備える。スイッチング層は、乳汁を含有するか若しくは乳汁ベースであるか、又は乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する。スイッチング層は、より具体的には、牛乳を含有してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)であって、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された抵抗スイッチング/活性層と、
を備え、
前記スイッチング層は、
(i)乳汁を含有するか若しくは乳汁ベースであるか、又は
(ii)乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する、ReRAM。
【請求項2】
前記スイッチング層は動物乳を含有する、請求項1に記載のReRAM。
【請求項3】
前記スイッチング層は牛乳を含有する、請求項1に記載のReRAM。
【請求項4】
前記スイッチング/活性層は、前記ReRAMの誘電体用である、請求項3に記載のReRAM。
【請求項5】
前記スイッチング/活性層は、印加電圧に応じてスイッチング動作を実行するように構成される、請求項3に記載のReRAM。
【請求項6】
前記スイッチング/活性層は膜の形態である、請求項5に記載のReRAM。
【請求項7】
前記スイッチング/活性層は、前記第1の電極上にコーティング/付与され、前記第2の電極は、前記スイッチング/活性層上に、前記スイッチング/活性層が前記2つの電極の間に配置され/挟まれるように付与される/設けられる、請求項5に記載のReRAM。
【請求項8】
前記第1の電極は、少なくとも部分的に、インジウムドープ酸化スズ(IT)から作製される、請求項7に記載のReRAM。
【請求項9】
前記第1の電極は、前記ReRAMの一部を構成する基板上にコーティングされる/設けられる、請求項7に記載のReRAM。
【請求項10】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)スイッチング層組成物であって、
乳汁か、又は
乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含む、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリスイッチング層組成物。
【請求項11】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRam)を製造する方法であって、
第1の電極と第2の電極との間にスイッチング層を設けることを含み、
前記スイッチング層は、
乳汁か、又は
乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する、方法。
【請求項12】
前記第1の電極が形成される/設けられる基板上に前記スイッチング層を付与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電極を乳汁又は前記エマルション内に浸漬し、乾燥させ、それによって、前記乳汁又はエマルションが、前記第1の電極上に/前記第1の電極にわたって前記スイッチング層を形成できるようにすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
基板を前記第1の電極でコーティングして、前記基板上に前記第1の電極が形成されるようにし、前記第1の電極及び前記基板を乳汁内に浸漬し、乾燥させ、それによって、前記乳汁が、前記第1の電極上に/前記第1の電極にわたって前記スイッチング層を形成できるようにすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電極を前記第1の電極上に、前記スイッチング層がそれらの間に位置する/挟まれるように堆積させ/付与し、それによって、前記層を分離することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記スイッチング層は牛乳を含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載のReRAMを含む不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイス。
【請求項18】
請求項10に記載の不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)スイッチング層組成物を含む不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイス。
【請求項19】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイスを製造する方法であって、
第1の電極と第2の電極との間にスイッチング層を設けることを含み、前記スイッチング層は、乳汁か、又は乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含むエマルションを含有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)、及び不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ReRAMは、2つの電極、すなわち下部電極と上部電極との間に挟まれた薄膜等の活性層(スイッチング層)を利用する2端子の2次元(2D)メモリデバイスである。活性層は最初、高抵抗状態(HRS)にあり、電極の一方に電圧が印加され、他方の電極が接地されると、活性層はHRSから低抵抗状態(LRS)に変化する。これは、フォーミング(又は電鋳)プロセスと言われる。これらの2つの抵抗状態は電気的に交換可能であり、それらは、メモリデバイスのオフ状態及びオン状態に似たバイナリコード0及び1として解釈される。これがReRAMデバイスの動作原理である。
【0003】
ReRAMデバイスにおける書き込み及び消去プロセスは、SETプロセス中のHRSからLRSへの抵抗スイッチに関係付けられる。これに対し、消去プロセスは、RESETプロセス中のLRSからHRSへのスイッチングに関係する。
【0004】
特許文献1は、下部電極、上部電極、下部電極と上部電極との間に配置された誘電体層を含む或る種の抵抗可変記憶デバイスに関する。誘電体層は、ドープされた量子ドットのバイオベース材料から構成される。さらに、バイオベース材料はフィブロイン又はキトサンであってもよく、下部電極はITO又はAZO電極とすることができる。
【0005】
特許文献2は、金属薄膜電極、第1のシルクプロテインフィルム及び第2のシルクプロテインフィルムカバー、金属薄膜電極の上部層及び下部層を含む超軽量の抵抗ランダムアクセスメモリを記載している。軽いシルクプロテインは、基板として使用され、抵抗材料としても使用されるため、単位あたりの質量が4mg/cmである抵抗ランダムアクセスメモリを得ることができる。
【0006】
特許文献3は、ITOガラス基板、有機タンパク質膜、Ag電極膜を含む、有機生物学的適合性を備えた抵抗性ニューロバイオニクスデバイスに関する。
【0007】
特許文献4は、半導体デバイスを製造するための方法に関する。第1の絶縁層が基板上に形成される。親水性粒子を、第1の絶縁層上にコーティングしてもよい。これらの親水性粒子は、ミセル又は親水性ポリマーを含んでもよい。
【0008】
特許文献5は、第1の電極として動作可能な第1の層と、第2の電極として動作可能な第2の層と、抵抗スイッチング層として動作可能であり、第1の層と第2の層との間に配置された第3の層とを含む、抵抗ランダムアクセスメモリセルに関する。第3の層は金属ナノ粒子のアレイを含む。金属ナノ粒子のアレイは、ミセル溶液を使用して形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許第108831993号
【特許文献2】中国特許出願公開第105633112号
【特許文献3】中国特許出願公開第107425119号
【特許文献4】米国特許第9105575号
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0264224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、環境に優しく及び/又は生分解性の不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)を提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、既存の不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)に対する有用な代替物となる不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)又は抵抗スイッチングメモリであって、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配置された抵抗スイッチング/活性層と、
を備え、
スイッチング層は、
(i)乳汁を含有するか若しくは乳汁ベースであるか、又は
(ii)乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する、ReRAM又は抵抗スイッチングメモリが提供される。
【0013】
用語「含有する(contains)」又は「含有している(containing)」は、名称が記載されていない更なる要素の可能性を含むものと解釈すべきである。言い換えれば、スイッチング層は、前述した(i)乳汁又は(ii)エマルションに加えて、他の要素を含んでいてもよい。言い換えれば、エマルションは、乳糖、脂肪、タンパク質、及び水に加えて、ミネラル(例えば、塩)等の他の要素を含んでいてもよい。
【0014】
乳汁は動物乳であってもよい。動物乳は、牛乳、より具体的には、天然の牛乳であってもよい。
【0015】
通常、エマルションは、ミネラル(複数の場合もある)及びビタミン(複数の場合もある)を更に含んでいてもよい。
【0016】
詳細には、エマルションは、水、脂肪、脂肪酸、カゼイン、糖(乳糖)、血清タンパク質、カルシウム、リン、カリウム、鉄、マグネシウム、銅、及びビタミンを含有していてもよい。
【0017】
抵抗ランダムアクセスメモリは、抵抗ランダムアクセスメモリモジュールであってもよい。
【0018】
スイッチング/活性層は、ReRAMの誘電体用であってもよい。
【0019】
スイッチング/活性層は、印加電圧に応じてスイッチング動作(すなわち、高抵抗状態と低抵抗状態との間のスイッチング)を実行するように構成してもよい。
【0020】
スイッチング/活性層は、膜(例えば、薄膜)の形態であってもよい。
【0021】
スイッチング/活性層は、第1の電極上にコーティング/付与してもよい。第2の電極は、スイッチング/活性層上に、スイッチング/活性層が2つの電極の間に配置され/挟まれるように配置/付与し/設けられてもよい(例えば、図1に示すように)。
【0022】
第1の電極は、少なくとも部分的に、インジウムドープ酸化スズ(IT)から作製してもよい。第1の電極は、基板、より具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)基板上にコーティングし/設けてもよい。したがって、基板は、ReRAMの一部を構成してもよい。
【0023】
第2の電極は、少なくとも部分的に、チタン、銀、アルミニウム等の金属、好ましくは銀から作製してもよい。したがって、第2の電極は金属電極であってもよい。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)スイッチング層組成物であって、
乳汁か、又は
乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含む、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリスイッチング層組成物が提供される。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRam)を製造する方法であって、
第1の電極と第2の電極との間にスイッチング層を設けることを含み、
スイッチング層は、
乳汁か、又は
乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する、方法が提供される。
【0026】
本方法は、より具体的には、第1の電極上にスイッチング層を付与することを含んでいてもよい。より具体的には、本方法は、第1の電極が形成される/設けられる基板上にスイッチング層を付与することを含んでいてもよい。
【0027】
本方法は、第1の電極を乳汁又はエマルション内に浸漬し、乾燥させ、それによって、乳汁又はエマルションが、第1の電極上に/第1の電極にわたってスイッチング層を形成できるようにすることを含んでいてもよい。より具体的には、本方法は、基板を第1の電極でコーティングして、基板上に第1の電極が形成されるようにし、第1の電極及び基板を乳汁又はエマルション内に浸漬し、乾燥させ、それによって、乳汁又はエマルションが、第1の電極上に/第1の電極にわたってスイッチング層を形成できるようにすることを含んでいてもよい。第1の電極は、少なくとも部分的に、インジウムドープ酸化スズ(ITO)から作製してもよい。
【0028】
本方法は、第2の電極を第1の電極上に、スイッチング層がそれらの間に位置する/挟まれように堆積させ/付与し、それによって、層を分離することを含んでいてもよい。第2の電極は、少なくとも部分的に、チタン、銀、又はアルミニウム等の金属、好ましくは銀から作製してもよい。したがって、第2の電極は金属電極であってもよい。本方法は、第1の電極上に銀ペーストを、スイッチング層が第1の電極と銀との間に位置する/挟まれるように堆積させることによって、第2の電極を形成し、したがって、銀が第2の電極を形成することを含んでいてもよい。
【0029】
基板は、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板であってもよい。
【0030】
乳汁は動物乳であってもよい。動物乳は、牛乳、より具体的には、天然の牛乳であってもよい。
【0031】
本方法は、スイッチング層を用意/作製することを含んでいてもよい。したがって、本方法は、以下のステップ、すなわち、
インジウムドープ酸化スズ(ITO)がコーティングされたPET(ポリエチレンテレフタレート)基板を乳汁内に浸し/浸漬して、薄膜を形成するステップと、
ITOがコーティングされたPET基板上の乳汁薄膜を乾燥させ(例えば、室温で、好ましくは約48時間)、ITOコーティングされた基板上に安定した膜を形成するステップと、
スイッチング層の上に、第2の電極として導電性銀(Ag)ペーストを堆積させるステップと、
を含んでいてもよい。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)を含む不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイスが提供される。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第2の態様による不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)スイッチング層組成物を含む不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイスが提供される。
【0034】
本発明の第6の態様によれば、不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイスを製造する方法であって、
第1の電極と第2の電極との間にスイッチング層を設けることを含み、スイッチング層は、乳汁か、又は乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含むエマルションを含有する、方法が提供される。
【0035】
本方法は、本発明の第3の態様による方法に関連して前述した方法ステップのいずれか1つ以上を含んでいてもよい。
【0036】
次に、本発明を、添付図面を参照して、一例として、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による、抵抗RAM(ReRAM)の形態の不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)の概略図である。
図2】本発明による抵抗RAMの写真である。
図3図1及び図2のReRamのI-V特性のグラフ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
同様の符号が同様の特徴を示す図面を参照して、不揮発性ランダムアクセスメモリ、より具体的には、本発明による抵抗ランダムアクセスメモリの非限定的な例を、参照符号10により、全般的に示す。1つの例において、本発明によるReRAM10は、第1の下部電極12と、スイッチング/活性層16上に配置/堆積された第2の上部電極14とを含んでいてもよく、スイッチング/活性層16は、2つの電極12、14の間に配置されている。
【0039】
下部電極12は通常、基板18上に形成/コーティングされる。より具体的には、下部電極12を形成するために、通常、酸化インジウムスズ(ITO)をPET(ポリエチレンテレフタレート)基板18上にコーティングする。上部電極14は通常、チタン、銀、アルミニウム等の金属、好ましくは銀で作製される。
【0040】
スイッチング/活性層16は通常、電極12、14間の抵抗を印加電圧に応じて変化させることによってスイッチング動作を実行するように構成される。
【0041】
スイッチング/活性層16は、乳汁か、又は乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する/含む。乳汁は、好ましくは牛乳、より具体的には、天然の牛乳であってもよい。
【0042】
エマルションは、ミネラル(複数の場合もある)及びビタミン(複数の場合もある)を更に含んでもよい。エマルションは、具体的には、天然の牛乳であってもよい。
【0043】
スイッチング層16は通常、第1の/下部電極12がコーティングされた基板18を、牛乳内に浸し/浸漬して、乳汁が薄膜20を形成することによって用意する。次いで、ITOがコーティングされたPET上の乳汁薄膜20を、室温で48時間乾燥させ、乳汁が、ITOコーティングされた基板上に安定した膜を形成できるようにし、これによりスイッチング/活性層16が形成される。第2の/上部電極14を形成するために、導電性銀(Ag)ペーストを、スイッチング/活性層16(すなわち、乳汁の層)上に、スイッチング/活性層16が下部電極12と上部(Ag)電極14との間に配置され/挟まれるように堆積させる。
【0044】
スイッチング/活性層16は乳汁で作られているため、スイッチング/活性層16を形成するために潜在的に危険な化学物質を使用することが回避され、これにより、ReRAM10は、より環境に優しく、「生分解性」であるとともに、無毒性である。したがって、ReRAMは、いわゆる「グリーンコンピューティング」用の重要なコンポーネントを形成することができる。
【0045】
前述の方法を実験の間に実施することによって、本発明者らは、図3に示すように、本発明によるReRAM10が、2.6Vの低電圧でオン/オフ>250において、2桁を超える顕著なユニポーラスイッチングを示すことを見出した。この低いスイッチング電圧により、デバイスは低電力消費デバイスになり、エネルギーの節約に役立つ。
【0046】
図2に、製造したReRAM10の写真を示す。
【0047】
ReRAM10は通常、柔軟であり、したがって、ReRAM10又はReRAMデバイス/モジュールが機械的柔軟性を採用する必要がある用途において使用することができる。
【0048】
さらに、デバイス/モジュールは、電気、又は高価でエネルギーを消費する技法、例えば、スピンコート及び原子層堆積を使用することなく、完成まで製造することができる。
【0049】
前述で強調した利点に加えて、本発明者は、従来の不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)モジュール/デバイスに勝るいくつかの他の利点が、本発明によって得られるとも考えている。そのいくつかを以下に要約する。
1.ReRAM10は、電気を使用することなく完成まで製造することができる。
2.比較的単純な製造は、高価でエネルギーを消費する技法、例えば、スピンコート、及び原子層堆積を使用する必要がない。
3.ReRAM10は、透明エレクトロニクスに適合する。
4.ReRAM10は、コンピューターメモリデバイスとしての潜在的な用途を有する。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)であって、
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された抵抗スイッチング/活性層と、
を備え、
前記スイッチング層は、
(i)乳汁を含有するか若しくは乳汁ベースであるか、又は
(ii)乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有し、
該ReRAMは柔軟である、ReRAM。
【請求項2】
前記ReRAMは生分解性ReRAMである、請求項1に記載のReRAM。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記ReRAMの一部を構成するポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にコーティングされる/設けられる、請求項2に記載のReRAM。
【請求項4】
前記スイッチング層は動物乳を含有する、請求項2に記載のReRAM。
【請求項5】
前記スイッチング層は牛乳を含有する、請求項2に記載のReRAM。
【請求項6】
前記スイッチング/活性層は、前記ReRAMの誘電体用である、請求項5に記載のReRAM。
【請求項7】
前記スイッチング/活性層は、印加電圧に応じてスイッチング動作を実行するように構成される、請求項5に記載のReRAM。
【請求項8】
前記スイッチング/活性層は膜の形態である、請求項7に記載のReRAM。
【請求項9】
前記スイッチング/活性層は、前記第1の電極上にコーティング/付与され、前記第2の電極は、前記スイッチング/活性層上に、前記スイッチング/活性層が前記2つの電極の間に配置され/挟まれるように付与される/設けられる、請求項7に記載のReRAM。
【請求項10】
前記第1の電極は、少なくとも部分的に、インジウムドープ酸化スズ(IT)から作製される、請求項9に記載のReRAM。
【請求項11】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)を製造する方法であって、
柔軟な基板上の第1の電極と第2の電極との間にスイッチング層を設けることを含み、
前記スイッチング層は、
乳汁か、又は
乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含有するエマルションを含有する、方法。
【請求項12】
前記方法は、生分解性ReRAMを製造するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電極を乳汁又は前記エマルション内に浸漬し、乾燥させ、それによって、前記乳汁又はエマルションが、前記第1の電極上に/前記第1の電極にわたって前記スイッチング層を形成できるようにすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
基板を前記第1の電極でコーティングして、前記基板上に前記第1の電極が形成されるようにし、前記第1の電極及び前記基板を乳汁内に浸漬し、乾燥させ、それによって、前記乳汁が、前記第1の電極上に/前記第1の電極にわたって前記スイッチング層を形成できるようにすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の電極を前記第1の電極上に、前記スイッチング層がそれらの間に位置する/挟まれるように堆積させ/付与し、それによって、前記層を分離することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記スイッチング層は牛乳を含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載のReRAMを含む不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイス。
【請求項19】
不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)モジュール/デバイスを製造する方法であって、
柔軟な基板上の第1の電極と第2の電極との間にスイッチング層を設けることを含み、前記スイッチング層は、乳汁か、又は乳糖、脂肪、タンパク質、及び水を含むエマルションを含有する、方法。
【請求項20】
前記方法は、生分解性ReRAMを製造するものである、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】